説明

スイッチング回路およびスイッチング回路を用いた撮像装置

【課題】相補のMOSFETが同時導通する貫通電流を低減する。
【解決手段】相補のMOSFETスイッチング回路において、相補のMOSFETのゲート電極に直列に挿入した導通終了方向のダイオードと並列にスイッチング周波数のインピーダンスが上記ゲート電極インピーダンスの1/2より低く、MOSFETが同時導通する時間がスイッチング周期の1/4より短く、スイッチング周期の1/4の周波数のインピーダンスがMOSFETのゲート電極インピーダンスの2倍より高いインピーダンスのフェライトビーズを接続し、相補のMOSFETのドレイン電極に直列にスイッチング周波数のインピーダンスがスイッチング周波数の容量性負荷のインピーダンスの1/2より低く、スイッチング周期の1/4の周波数のインピーダンスが容量性負荷のインピーダンスの2倍より高いフェライトビーズを接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量性負荷のスイッチング回路、特に電子増倍電荷転送型撮像素子の水平転送電極の駆動回路の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電荷転送型(Charge Coupled Device以下CCDと略す)撮像素子の水平転送電極駆動回路も、駆動対象の撮像素子の電圧振幅が5V以下であれば、CCD撮像素子の駆動用論理集積回路が使用でき、電圧振幅が6V以下であれば、汎用CMOS論理集積回路が使用できる(非特許文献1参照)。
しかし、電子増倍CCD撮像素子(Electron Multiplying-CCD以下EM−CCDと略す)は、電子冷却と組み合わせて感度を高くできるが、EM−CCDの電子増倍を行う水平転送電極(Charge Multiplication Gate以下CMGと略す)は、例えば、TEXAS INSTRUMENTS(以下TIと略す)製の33万画素で、容量負荷約25pFで12.5MHzでのインピーダンスは約509Ωと重い負荷となり、電圧振幅が18 Vp-pから24Vp-pと大きくかつ可変な上に、CMG電圧振幅が高い高電子増倍時は、CMG電圧振幅の可変0.1Vで1.4倍感度が変化し、11℃の温度変化で1.8倍感度が変化するので、駆動波形の電圧振幅確保と高安定性と発熱つまり消費電力の低減が求められる。例えば、e2V Technology(以下e2Vと略す)製の14万画素では、CMG電圧振幅が35Vp-pから45Vp-pとさらに大きい。したがって、CCD撮像素子の他の電極駆動の様に耐圧18V程度の汎用集積回路を利用することが困難である。そこで、EM−CCDの電子増倍を行う水平転送電極に、電源電圧可変の相補のエンハンスメント型金属酸化膜形電界効果トランジスタ(MOSFET)のドレインでパルス波形を供給し、MOSFETのゲートを容量結合したCMOS論理集積回路で駆動することが一般的である。また読み出しの水平転送電極は、例えば、TI製の33万画素で、容量負荷約85pFと約55pFで12.5MHzでのインピーダンスは約150Ωと約231Ωと重い負荷となり、電圧振幅が8Vp-pで耐圧18V程度のピンドライバと呼ばれる集積回路が使用される(非特許文献2、非特許文献3参照)。CMG電圧振幅が高い高電子増倍時は水平解像度が低下するので、EM−CCDを冷却してCMG電圧振幅を最小限にする(非特許文献4参照)。水平解像度が低下するのはCMG電圧振幅が高い高電子増倍時にCMGの矩形波特性が劣化し、水平転送が不完全になるためと推定される。また、過大光量により垂直転送路へ漏れこんだ電荷が、蓄積部転送路、水平転送路へ次々と溢れだして行くブルーミングと称される状態も起こる。
【0003】
また、小型自動車や放送用カメラの電圧10.5V〜17Vの公称12Vバッテリ入力のスイッチング電源や非増倍の水平転送電極Hφ駆動用に、導通時間と非導通時間をほぼ等しくする従来の相補のMOSFET駆動回路の構成を示すブロック図の図7のような各種の回路も実用化されている(特許文献1参照)。図8に従来の相補のMOSFET駆動回路の入出力電圧動作の模式図を示す。
【0004】
図7と図8において、MOSFETのゲートを駆動するIC4の出力電圧Vout4が0Vになる際は、ダイオードD6が導通し抵抗5で駆動されてPch−MOSFETのQ1のゲート電圧は比較的長い時間でスレッショルド電圧を越えてPch−MOSFETのQ1は導通開始(ターンオン)する。MOSFETのゲートを駆動するIC4の出力電圧Vout4が5Vになる際は、ダイオードD7が導通し抵抗6で駆動されて、Pch−MOSFETのQ1のゲート電圧は、スレッショルド電圧までは短い時間で上昇し、チャージ電荷が引き抜かれるまでスレッショルド電圧に止まり、比較的長い時間でPch−MOSFETのQ1は導通終了(ターンオフ)する。
【0005】
同様に、MOSFETのゲートを駆動するIC4の出力電圧Vout4が0Vになる際は、ダイオードD8が導通し抵抗7で駆動されて、Nch−MOSFETのQ2のゲート電圧は、スレッショルド電圧までは短い時間で下降し、チャージ電荷が引き抜かれるまでスレッショルド電圧に止まり、比較的長い時間でNch−MOSFETのQ2はターンオフする。MOSFETのゲートを駆動するIC4の出力電圧Vout4が5Vになる際は、ダイオードD9が導通し抵抗8で駆動されて、Nch−MOSFETのQ2のゲート電圧は比較的長い時間でスレッショルド電圧を越え、Nch−MOSFETのQ2はターンオンする。
【0006】
MOSFETのゲートソース間容量(以下Cgsと略す)はドレインソース耐圧(以下耐圧と略す)とドレイン電流容量(以下電流容量と略す)との積に比例し、加工の細かさ(デザインルール)にもほぼ比例する。2006年量産の、例えば三洋製のMCH3335とMCH3435等耐圧30VのMOSFETではPchピーク電流容量1.6Aで約40pF、Nchピーク電流容量2.8Aで約30pFである。また、MOSFETの電流をカットオフさせるゲートチャージ電荷(以下Qgと略す)は耐圧と電流容量との積やドレイン電流に比例し、加工の細かさにもほぼ比例する。前記三洋製のMCH3335とMCH3435等2006年量産の耐圧30VのMOSFETではQgはPch電流1A当たり約2100pC、Nch電流1A当たり約1400pCであり、Pchはターンオフが遅くなる。
また、水平転送の約600倍と遅い周期の水平同期周期でCCD撮像素子の基盤電極をバイポーラトランジスタで定電流駆動する回路も実用化されている(特許文献2参照)。
ところで、最近不要輻射低減用に、低い周波数では、低いインピーダンスで、特定周波数からインピーダンスが急激に高くなり、抵抗成分が大きいフェライトビーズが多様な種類で量産されている(非特許文献5参照)。フェライトビーズの近似の等価回路はインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものである(非特許文献6参照)。
【0007】
逆方向もれ電流IRを低減したまま、順方向降下電圧VFを0.13Vと低減したショットキバリアダイオードもある。
【0008】
上記の導通時間と非導通時間をほぼ等しくする従来技術では、従来の相補のMOSFET駆動回路の構成を示すブロック図の図7において、MOSFETのゲートに接続された抵抗と直列に接続された抵抗直列ダイオードD6〜D9で、ゲート駆動振幅がダイオード順方向降下電圧0.6Vの2倍の1.2V減少し3.8Vと、従来の相補のMOSFET駆動回路の動作の入出力波形をしめす模式図の図8の様になる。この図8において、抵抗R3,R4のインピーダンスが低いために電流R3,R4は大きい。またQg1の値が大きいために、Vcmgはアンバランスとなっている。
【0009】
EM−CCDの電子増倍を行う水平転送電極(CMG)を駆動するスイッチング回路では、例えば18 Vp-pから24Vp-pや35Vp-pから45Vp-pと振幅が大きく、バッテリ入力のスイッッチング電源や非増倍の水平転送電極Hφ駆動用の低耐圧で導通抵抗がほぼ飽和するゲートソース間(制御)電圧も低いMOSFETは使用できない。CMG駆動のPchMOSFETのオン抵抗が下がるゲート電圧は例えば4.5Vと高い。したがって、上記の導通時間と非導通時間をほぼ等しくする従来技術をCMG駆動に適用できない。そのため、NchMOSFETとPchMOSFETとが同時導通する同時導通時間が発生し、無効電力が消費される。無効電力による損失が大きい分発熱量が増加し温度が上昇しEM−CCDの感度が低下することが予想される。そのため、NchMOSFETとPchMOSFETとのドレイン間に許容損失の大きい約33オームの抵抗を挿入し、NchMOSFETとPchMOSFETとが同時導通する電流を低減させる代わりに、CMGの容量は約25pFで12.5MHzでのインピーダンスは約509Ωであり、CMG電圧振幅例えば24Vp-pの減衰を(24Vx509/(509+33+2))=22.5Vと図7のR3とR4とCMGとによる電圧降下を1.5Vも許容していた。これは例えば、TI製TC246の最高感度動作では、CMG電圧振幅の可変0.1Vで1.4倍感度が変化することからおおよそ1/160の感度低下に相当する。
【0010】
また、背景技術のDesert Star System製品のようにCMG電圧振幅が高い高電子増倍時は水平解像度が低下する。さらに、水平転送のブルーミングが劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−298943号公報
【特許文献2】特開2001−45384号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ソニー製ICX422AL対角11mm(2/3型)EIA白黒用固体撮像素子 J01X22A41
【非特許文献2】TI製TC246RGB-B0 680 x 500 PIXEL IMPACTRONTM PRIMARY COLOR CCD IMAGE SENSOR SOCS087 - DECEMBER 2004 - REVISED MARCH 2005
【非特許文献3】e2V製 A1A-CCD65_Series_Ceramic Issue 7, June 2004
【非特許文献4】Desert Star Systems製 Night and Low-Light Imaging withFrogEyeTM and SharkEyeTM Digital Cameras Application Note 2nd Edition 28OCT05
【非特許文献5】TDK製006-01 / 20071025 / j9412_mmz2012.fm
【非特許文献6】TDK製mmz2012Equivalent Circuit
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、NchMOSFETとPchMOSFETとの相互が同時導通する貫通電流を低減しながら、負荷容量の振幅の減衰を防ぎ、矩形波特性を改善する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、前記論理バッファ出力と前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極との間に直列に挿入された導通終了方向のダイオードに並列にスイッチング基本波周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を接続することを特徴とするスイッチング回路が提供される。
【0015】
また本発明によれば、電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路が提供される。
【0016】
すなわち、本発明は、反転スイッチング回路において、負荷駆動パルス周波数での半導体素子の電極直列インピーダンスを低くし貫通電流周波数での半導体素子の電極直列インピーダンスを高くする、または導通開始(ターンオン)方向の半導体素子の電極直列インピーダンスを低くし導通終了(ターンオフ)方向の半導体素子の電極直列インピーダンスを高くすることにより、貫通電流の主成分の高周波数電流を制限する事を特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0017】
さらに、上記のスイッチング回路と電子増倍電荷転送型撮像素子とを有し、前記スイッチング回路を、前記電子増倍電荷転送型撮像素子の水平転送電極の駆動に用いることを特徴とする撮像装置を提供する。
【0018】
具体的には上記のスイッチング回路において、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0019】
さらに、上記のスイッチング回路において、前記スイッチング素子が金属酸化膜形電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、前記インピーダンス体がフェライトビーズであることを特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0020】
また、上記のスイッチング回路において、前記スイッチング素子が金属酸化膜形電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、前記インピーダンス体がフェライトビーズであることを特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0021】
また、上記のスイッチング回路において、前記スイッチング素子が金属酸化膜形電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、前記インピーダンス体がフェライトビーズであり、前記負荷が容量性負荷であり、前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子とが同時導通する時間がスイッチング基本波周期の1/4より短く、前記基本波周期の1/4の周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ2倍より高いフェライトビーズを接続することを特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0022】
また、上記のスイッチング回路において、前記スイッチング素子が金属酸化膜形電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、前記インピーダンス体がフェライトビーズであり、前記負荷が容量性負荷であり、前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子とが同時導通する時間がスイッチング基本波周期の1/4より短く、前記基本波周期の1/4の周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ2倍より高いフェライトビーズを接続することを特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0023】
また、上記のスイッチング回路において、前記スイッチング素子が金属酸化膜形電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、前記インピーダンス体がフェライトビーズであり、前記負荷が容量性負荷であり、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低く、前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子とが同時導通する時間を半周期とする同時導通周波数におけるインピーダンスが同時導通周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ2倍より高いフェライトビーズを前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0024】
また、上記のスイッチング回路において、前記スイッチング素子が金属酸化膜形電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、前記インピーダンス体がフェライトビーズであり、前記負荷が容量性負荷であり、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低く、前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子とが同時導通する時間を半周期とする同時導通周波数におけるインピーダンスが同時導通周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ2倍より高いフェライトビーズを前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0025】
また、上記のスイッチング回路において、前記スイッチング素子が金属酸化膜形電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、前記インピーダンス体がフェライトビーズであり、前記負荷が容量性負荷であり、前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子とが同時導通する時間がスイッチング基本波周期の1/4より短く、前記基本波周期の1/4の周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ2倍より高いフェライトビーズを接続し、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低く、前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子とが同時導通する時間を半周期とする同時導通周波数におけるインピーダンスが同時導通周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ2倍より高いフェライトビーズを前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0026】
また、上記のスイッチング回路において、前記スイッチング素子が金属酸化膜形電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、前記インピーダンス体がフェライトビーズであり、前記負荷が容量性負荷であり、前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子とが同時導通する時間がスイッチング基本波周期の1/4より短く、前記基本波周期の1/4の周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ2倍より高いフェライトビーズを接続し、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低く、前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子とが同時導通する時間を半周期とする同時導通周波数におけるインピーダンスが同時導通周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ2倍より高いフェライトビーズを前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路を提供する。
【0027】
また、電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、前記論理バッファ出力と前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極との間に直列に挿入された導通終了方向のダイオードに並列にスイッチング基本波周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を接続することを特徴とするスイッチング回路と、電荷転送型撮像素子とを有し、前記スイッチング回路の出力を、容量性負荷の前記電荷転送型撮像素子の水平転送電極に接続し、前記スイッチング回路で前記電荷転送型撮像素子の水平転送電極を駆動することを特徴とする撮像装置を提供する。
【0028】
また、電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路と、電荷転送型撮像素子とを有し、前記スイッチング回路の出力を、容量性負荷の前記電荷転送型撮像素子の水平転送電極に接続し、前記スイッチング回路で前記電荷転送型撮像素子の水平転送電極を駆動することを特徴とする撮像装置を提供する。
【0029】
また、電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、前記論理バッファ出力と前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極との間に直列に挿入された導通終了方向のダイオードに並列にスイッチング基本波周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を接続することを特徴とするスイッチング回路と、前記スイッチング回路の電圧VHを可変供給する回路と電子増倍電荷転送型撮像素子とを有し、前記スイッチング回路の出力を、容量性負荷の前記電子増倍電荷転送型撮像素子の電子増倍水平転送電極に接続し、前記スイッチング回路で前記電子増倍電荷転送型撮像素子の電子増倍水平転送電極を駆動し、前記スイッチング回路の電圧VHを可変して電子増倍率を可変することを特徴とする撮像装置を提供する。
【0030】
また、電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路前記スイッチング回路の電圧VHを可変供給する回路と電子増倍電荷転送型撮像素子とを有し、前記スイッチング回路の出力を、容量性負荷の前記電子増倍電荷転送型撮像素子の電子増倍水平転送電極に接続し、前記スイッチング回路で前記電子増倍電荷転送型撮像素子の電子増倍水平転送電極を駆動し、前記スイッチング回路の電圧VHを可変して電子増倍率を可変することを特徴とする撮像装置を提供する。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように本発明によれば、電圧振幅が例えば18 Vp-pから24Vp-pや35Vp-pから45Vp-pと大きくかつ可変な上に、電圧振幅が高い高電子増倍時は振幅可変0.1Vで1.4倍感度が変化するEM−CCDのCMGを駆動する場合には、負荷駆動パルス周波数でのNchMOSFETとPchMOSFETとの電極直列インピーダンスを低くして、CMGの電圧振幅減衰を減少し、感度低下を減少して、従来例の図7のR3とR4とCMGとによる電圧降下1.5Vは振幅可変0.1Vで1.4倍感度が変化することからおおよそ1/160の感度低下に比較し数十倍の感度向上になる。
【0032】
また、本発明は、PchMOSFETとNchMOSFETとが同時導通する貫通電流の主成分の高周波数電流を低減し、電力損失を低減させ、電力損失分の発熱と温度上昇とが低減し、11℃で1.8倍感度が変化するEM−CCDの感度がより向上する。
【0033】
さらに、前記PchMOSFETと前記NchMOSFETのゲート電極に直列に挿入された導通終了(ターンオフ)方向のダイオードに並列に高いインピーダンス体を挿入することにより、前記PchMOSFETと前記NchMOSFETのゲート電極に直列に挿入された導通開始(ターンオン)方向のダイオードを短絡し、導通開始(ターンオン)方向のダイオードの順方向降下電圧をなくし前記PchMOSFETと前記NchMOSFETの導通時のゲートーソース電圧を大きく確保し導通時の前記PchMOSFETと前記NchMOSFETのオン抵抗が下がりCMG電圧の矩形波特性を改善しEM−CCDの感度がさらに向上する。CMG電圧の矩形波特性を改善すれば、CMG電圧振幅が高い高電子増倍時の水平解像度の低下と、過大光量により垂直転送路へ漏れこんだ電荷が蓄積部転送路から水平転送路へ次々と溢れだして行くブルーミングが起きにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例の相補のMOSFET駆動回路の構成を示すブロック図(ゲート直列にフェライトビーズ挿入)
【図2】本発明の一実施例の相補のMOSFET駆動回路の構成を示すブロック図(ゲート直列とドレイン直列とにフェライトビーズ挿入)
【図3】本発明の他の一実施例の相補のMOSFET駆動回路の構成を示すブロック図(ドレイン直列にフェライトビーズ挿入)
【図4】本発明の一実施例の相補のMOSFET駆動回路の出力波形動作をしめす模式図(ゲート直列にフェライトビーズ挿入)
【図5】本発明の一実施例の相補のMOSFET駆動回路の出力波形動作をしめす模式図(ゲート直列とドレイン直列とにフェライトビーズ挿入)
【図6】本発明の他の一実施例の相補のMOSFET駆動回路の出力波形動作をしめす模式図(ドレイン直列にフェライトビーズ挿入)
【図7】従来例の相補のMOSFET駆動回路の構成を示すブロック図
【図8】従来例の相補のMOSFET駆動回路の入出力波形動作をしめす模式図
【図9】EM−CCD撮像素子を用いた撮像装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0035】
本発明の一実施例のスイッチング回路を、電子増倍CCD撮像素子(EM−CCD)の水平転送電極の駆動に用いた撮像装置をブロック図の図9を用いて説明する。それから、本発明の1実施例のスイッチング回路をブロック図の図1、図2,図3と、波形模式図の図4、図5、図6を用いて説明する。
【0036】
図9は、EM−CCDを用いた撮像装置の構成を示すブロック図であり、図9において、1は撮像装置、2はレンズである。撮像装置1内で、3はEM−CCD、4は雑音を除去するCDS(Correlated Double Sampling)と暗電流補正と利得可変増幅回路(Automatic Gain Control以下AGC)とデジタル映像信号Viに変換するADC(Analog Digital Converter)とを内蔵したFEP(Front End Processor)であり、5は映像信号処理部、6はCPU、7はタイミング発生部(Timing Generator:以下TG)であり、映像信号処理部5とCPU6とTG7とはFPGA(Field Programable Gate Array)等の集積回路に集積されることもある。8は垂直転送駆動部、9は水平転送駆動部、10は電子増倍を行う水平転送電極(CMG)駆動部である。
【0037】
CMG電圧振幅が例えば18 Vp-pから24Vp-pや35Vp-pから45Vp-pと大きくかつ可変なEM−CCDを用いた撮像装置の構成を示すブロック図の図9のCMG駆動部10に本発明の1実施例のスイッチング回路を用いた動作を説明する。
【0038】
従来の相補のMOSFET駆動回路の構成を示すブロック図の図7では、従来の相補のMOSFET駆動回路の入出力波形動作をしめす模式図の図8のように、貫通電流低減制限抵抗R3+R4の33ΩによりCMG電圧振幅を(24Vx509/(509+33+2))=22.5Vと図7のR3とR4とCMGとによる電圧降下で1.5Vも減衰し、TI製TC246の最高感度動作では電圧振幅が0.1Vで1.4倍感度が変化するので、従来はおおよそ1/160の感度低下に相当していた。この例示では、24Vは減衰されない場合のパルス振幅つまり電源電圧値で、CMGの容量は約25pFで12.5MHzでのインピーダンスは約509Ωに対し、R3とR4が33ΩでMOSFETの導通抵抗を2Ωとした時のパルス振幅を減衰させる場合のインピーダンス分割比が509/(509+33+2)とした。
【0039】
本発明の実施例によれば、CMGの電圧振幅0.1Vで1.4倍感度が変化するEM−CCDのCMGを駆動する場合には、負荷駆動パルス周波数でのNchMOSFETとPchMOSFETとの電極直列インピーダンスを低くして、CMGの電圧振幅減衰を減少し、感度低下を減少して、従来の感度低下に比較し数十倍の感度向上になる。
【0040】
また、本発明の実施例では、PchMOSFETとNchMOSFETとが同時導通する貫通電流の主成分の高周波数電流を低減し、電力損失を低減させ、電力損失分の発熱と温度上昇とが低減し、11℃で1.8倍感度が変化するEM−CCDの感度がさらに向上する。
【0041】
以下、本発明の1実施例のスイッチング回路をブロック図の図1、図2,図3と、タイミング波形模式図の図4、図5、図6を用いて説明する。図1は、ゲート電極容量のインピーダンスやCMG容量のインピーダンスに対し、フェライトビーズのインピーダンスが、スイッチング基本周波数において、10分の1以下と充分低く、スイッチングのターンオフ時間を周期とする周波数において、インピーダンスが10倍以上と十分高い、ゲート駆動のフェライトビーズL5,L6の特性の適合が好適な状態で、Q1とQ2とが同時導通しない場合の構成例である。図2はゲート駆動のフェライトビーズL5,L6の特性の適合が必ずしも望ましいレベルでないとしても、フェライトビーズ直列接続のショットキーバリアダイオード(Shottoky Barrier Diode 以下SBD)でフェライトビーズ導通をゲートとターンオン時に限定し、さらにQ1とQ2とが同時導通する時間が少し残存しても双方のドレインG、G間に接続したフェライトビーズL1,L2で貫通電流を減少させる他の構成例で、図3はドレインに接続したフェライトビーズで貫通電流を減少させる構成例である。
【0042】
図1と図2はMOSFET駆動回路がゲートとをターンオン時に比較的遅く駆動しターンオフ時に比較的早く駆動する本発明の1実施例を示したブロック図であり、図3はMOSFETの比較的早いターンオン時の貫通電流の主成分の高周波数成分を低減する本発明の他の一実施例を示したブロック図であり、図4と図5はMOSFET駆動回路がゲートとをターンオン時に比較的遅く駆動しターンオフ時に比較的早く駆動する本発明の一実施例の動作の入出力電圧を示す模式図であり、図6はMOSFETの比較的早いターンオン時の貫通電流の主成分の高周波数成分を低減する本発明の他の一実施例の動作の入出力電圧を示す模式図である。上記図5、6においてターン・オフ周波数でのL1,L2のインピーダンスが高いため、電流L1,L2はきわめて小さい。本発明の実施例に用いるインピーダンス体L1,L2,L5,L6は、フェライトビーズまたは同様な周波数特性例をしめすインダクタと容量の並列接続と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものである。
【0043】
図1、図2、図3、図4、図5、図6において、VccHとVccLと5Vとは論理電源、VHとVLとはスイッチング回路電源であり、IC1とIC2はCMOSインバータ論理集積回路(InvIC)であり、IC3 1/6〜6/6は図1では一般的な6個入りInvICを1入力5出力に直列接続してあるがIC3は駆動電流が大きい1ゲート/1パッケージCMOSバッファ論理集積回路(BufIC)が1個でも良い。
【0044】
Q1はPchMOSFET、Q2はNchMOSFET、D1〜D5は直流再生ダイオード、D10〜D13は逆流防止のSBDである。また、CMGはEM−CCDの電子増倍水平転送電極、C1、C2は交流結合容量であり、R1およびR2はゲート駆動抵抗であり、L1、L2、L5、L6はフェライトビーズであり、クロック基本波周波数におけるインピーダンスがクロック基本波周波数における容量性負荷のインピーダンスより低く、スイッチング回路の同時導通時間を半周期とする周波数におけるインピーダンス成分は高い。
【0045】
図1、図2、図3、図4、図5、図6において、Viは論理回路1、論理回路2、論理回路3の入力波形であり、Vout1は論理回路1 IC1の出力波形であり、Vout2は論理回路2 IC2の出力波形であり、Vout3は論理回路3 IC3 2/6〜6/6 の出力波形であり、Vg1はPchMOSFETのQ1のゲート電圧波形であり、Vg2はNchMOSFETのQ2のゲート電圧波形であり、Vd1はPchMOSFETのQ1のドレイン電圧波形であり、Vd2はNchMOSFETのQ2のドレイン電圧波形であり、Vcmgは負荷容量CMGに印加される出力電圧波形である。
【0046】
本発明の一実施例を示したブロック図の図1と図2と図3と従来技術のブロック図の図7との相異は、図7の様に論理集積回路IC4 2/6〜6/6の出力Vout4にダイオードD6,7,8と抵抗R5,6,7,8の組合せを複数用いて出力インピーダンスを制御するだけではなく、クロック基本波周波数におけるインピーダンスがクロック基本波周波数における容量性負荷のインピーダンスより低く、スイッチング回路(Q1,Q2他)の同時導通時間を半周期とする周波数におけるインピーダンス分は高いフェライトビーズを用いて、貫通電流の主成分の高周波数電流を制限し、負荷駆動パルス周波数でのNchMOSFETとPchMOSFETとの電極直列インピーダンスを低くして、CMGの電圧振幅減衰を減少することである。さらに、前記PchMOSFETと前記NchMOSFETのゲート電極G,ゲート電極Gに直列に挿入された導通終了(ターンオフ)方向のダイオードD11,12に並列にフェライトビーズL5,L6を挿入することにより、前記PchMOSFETと前記NchMOSFETのゲート電極G,ゲート電極Gに直列に挿入された導通開始(ターンオン)方向のダイオードD10,D13を短絡したことである。
【0047】
以下図1と図2と図4と図5を用いて、本発明の一実施例を説明する。
【0048】
図1と図2において、Q1のPchMOSFETのon抵抗が下がるゲート電圧は例えば4.5Vと高いので、VccHはIC1の推奨最大電圧以下に設定する。つまりIC3 1/6〜6/6の品種がTTL論理IC74LSとピン配置が同一で、高速で駆動電流も大きく耐圧も比較的高い74ACならVccH=6V以下、IC3の品種が高速ではあるが耐圧が中くらいの74LVCならVccH=5.5V以下にする。
【0049】
図1において、Q1のゲートGもQ2のゲートGもコンデンサC1とC2を介して、ターンオフ時にはSBDのD11とD12とでIC3 2/6〜6/6からチャージ電荷Qgが駆動され、ターンオフ遅延はほとんどなくなる。ターンオン時にはフェライトビーズL5,L6とで高周波数成分の駆動は制限され、ターンオンは遅延し、Q1とQ2との間で導通期間と非導通期間とが相互にほぼ等しくQ1とQ2との間で同時オン期間がなくなり、フェライトビーズの特性の適合が好適であればQ1とQ2とが同時導通しなく貫通電流が流れなくなる。
【0050】
図2において、Q1のゲートもQ2のゲートもコンデンサC1とC2を介して、ターンオフ時にはSBDのD11とD12とでIC3からチャージ電荷Qgで駆動され、ターンオフ遅延はほとんどなくなる。ターンオン時にはSBDのD10とD13とフェライトビーズL5,L6とで高周波数成分の駆動は制限され、ターンオンは遅延し、ゲート電極容量のインピーダンスやCMG容量のインピーダンスに対し、フェライトビーズのインピーダンスが、スイッチング基本周波数において、約2分の1以上と下がりきらず、スイッチングのターンオフ時間を周期とする周波数において、インピーダンスが約2倍以下と上がらなず、フェライトビーズの特性の適合が必ずしも最適でない場合でも、Q1とQ2との間で導通期間と非導通期間とが相互にほぼ等しくQ1とQ2との同時オン期間が減少し、さらにフェライトビーズL1,L2が貫通電流を減少させ、貫通電流が非常に少なくなる。
【0051】
その結果、高感度動作のためにCMGの電圧振幅を大きくしてMOSFETのドレイン電流が増加し、よりQgが増加しても、Q1とQ2との同時オン期間の貫通電流が少なくなり、CMGの電圧振幅と矩形波形が確保され、感度低下がなくなり、実効感度が改善される。また、貫通電流が少ない分電力損失が低減し、発熱と温度上昇とが低減し、さらに感度が向上する。
【0052】
本発明の一実施例の図1と図2と図4と図5とを従来技術の図7と図8と比較すると、MOSFETQ1とQ2とのゲートをturn-offさせる従来技術の直列抵抗R6とR7が短絡され(削除されて)Q1とQ2のturn-off がより高速化している(turn-off期間が短い)。
【0053】
また、Q1とQ2とのゲートをturn-onさせる直列抵抗R5とR8がフェライトビーズL5,L6とに置き換えて高周波数成分の駆動は制限され、ターンオンはさらに遅延している。さらに、従来技術のダイオードD6〜D9が、本実施例ではSBDのD10〜D13となり小電流領域の順方向降下電圧が0.6Vから0.2Vと1/3化が可能となり、論理電源電圧が少なくできる分、電源電圧が低くより高速なCMOS論理集積回路の使用が可能となる。
【0054】
具体的には、図1と図2と図4と図5において、Q1のPchMOSFETのon抵抗が下がるゲート電圧は例えば4.5Vと高いので、直流再生ダイオードD3を順方向降下電圧0.3VのSBDにしてオン時のPchMOSFETのQ1ゲート電圧Vgs=−5.4V〜−4.7Vを確保する。また、ゲート電圧が確保される一方、MOSFETのゲートのスレッショルド電圧で電荷引き抜きを駆動する際の論理CMOS集積回路の電源電圧と論理CMOS集積回路の出力電圧との差が低減するが、駆動電流24mAを保証するLVCシリーズ等の高速論理CMOS集積回路IC3を例えば3個等複数個を並列接続すれば、VccH=5Vにしても良い。IC1をさらに駆動能力の高い品種にするか並列個数を増加すれば、直流再生ダイオードD3を順方向降下電圧0.2VのSBDにしても良い。
【0055】
その結果、本発明の一実施例の図1と図2の回路は、MOSFET駆動回路がゲートとをターンオン時に比較的遅く駆動しターンオフ時に比較的早く駆動する本発明の一実施例の動作の入出力電圧を示す模式図の図4と図5の動作(Vg1波形)になり、NchMOSFETとPchMOSFETとが同時導通する期間が短くなり、負荷CMGの電圧振幅減衰がおおよそ0.2Vに減少する。振幅可変0.1Vで1.4倍感度が変化するため、本発明の一実施例の図1と図2の回路は、振幅可変0.2Vで2倍の感度変化になり、感度低下をおよそ1/2にして、従来の感度低下に比較しおおよそ80倍の感度向上になる。また、貫通電流が少ない分電力損失が低減し、発熱と温度上昇とが低減し、さらに感度が向上する。
【0056】
さらに、図1において、フェライトビーズL5,L6とで導通開始(ターンオン)方向の高周波数成分のインピーダンスは高く維持され、Q1のPchMOSFETとQ2のNchMOSFETとのターンオンの遅延は維持される。さらに、図5の導通開始(ターンオン)方向のダイオードD10とD13の順方向降下電圧がなくなり、導通時のMOSFETゲートーソース電圧を大きく確保し導通時のMOSFETのQ1とQ2のオン抵抗が下がり、CMG電圧の矩形波特性を改善しEM−CCDがさらに感度が向上する。CMG電圧の矩形波特性を改善すれば、CMG電圧振幅が高い高電子増倍時の水平解像度の低下と、過大光量により垂直転送路へ漏れこんだ電荷が蓄積部転送路から水平転送路へ次々と溢れだして行くブルーミングが起きにくくなる。
また、発明の一実施例は、EM−CCDの読み出しの水平転送電極の容量負荷は約85pFと約55pFで、電圧振幅が8 Vp-pのEM−CCDの読み出しの水平転送電極の駆動にも適用できる。EM−CCD撮像素子を用いた撮像装置の構成を示すブロック図の図9のCMG駆動部10だけではなく、水平転送駆動部9にも適用し、図1または図2の回路を二組設けて、入力Viを正相と逆相とし、出力Voを水平転送路のSRG1,SRG2に接続すれば良い。
【0057】
図8のVcmgの立ち上がり波形の傾斜が急で立ち下がり波形の傾斜が緩やかなのに対し、図4のVcmgの立ち上がりも立ち下がりも波形の傾斜が急となり、水平転送電極の電圧振幅の矩形波特性と対称性が改善され、転送できる最大電荷量が増加し、過大光量により垂直転送路へ漏れこんだ電荷が蓄積部転送路から水平転送路へ次々と溢れだして行くブルーミングが起きにくくなる。
【0058】
以下図3と図6を用いて、本発明の他の一実施例を説明する。
【0059】
図3と図6において、PchMOSFETQ1のon抵抗が下がるゲート電圧は例えば4.5Vと高いので、VccHはIC1の推奨最大電圧以下とする。つまり、例えばIC1の品種が高速で駆動電流も大きく耐圧も比較的高い74ACならVccH=6V以下、IC1の品種が高速だが耐圧が中くらいの74LVCならVccH=5.5V以下で可変する。
【0060】
NchMOSFETQ2のチャージ電荷Qgとターンオフ遅延はPchMOSFETQ1より小さく、かつQ2のon抵抗が下がるゲート電圧は例えば2.5Vと低いので、VccLはIC2の品種が十分高速で駆動能力が大きく電源電圧より高い入力電圧を許容する74LVCならVccL=4.5Vとする。
【0061】
12.5MHzまたは37.5MHzのインピーダンスが容量性負荷のインピーダンスより低く、スイッチング回路の同時導通時間を半周期とする周波数の100MHzまたは300MHzのインピーダンス分は高いフェライトビーズを用いて、図6の下のVd1-Vd2の様にPchMOSFETQ1のドレインとNchMOSFETQ2のドレインとの間に高い周波数成分の電位差が生じても貫通電流の主成分の高周波数電流を制限する。
【0062】
その結果、高感度動作のためにCMGの電圧振幅が大きくなりMOSFETのドレイン電流が増加し、よりQgが増加しても、貫通電流が少なく、CMGの電圧振幅と矩形波形が確保され、CMGの電圧振幅の振幅減衰がおおよそ0.8Vに減少し、感度低下をおよそ1/15にして、従来の感度低下に比較しおよそ10倍の感度向上になる。また、貫通電流が少ない分電力損失が低減し、発熱と温度上昇とが低減し、さらに感度が向上する。
【0063】
また、本発明の一実施例の図3と図6とを従来技術の図7、図8と比較すると、PchMOSFETのon抵抗が下がるゲート電圧Vg1が高い分論理IC電源電圧VccHを高く、NchMOSFETのon抵抗が下がるゲート電圧Vg2が低い分論理IC電源電圧VccLを低くして、PchMOSFETQ1のon抵抗とNchMOSFETQ2ののon抵抗とを均一化し、図8のVcmgの立ち上がり波形の傾斜が急で立ち下がり波形の傾斜が緩やかなのに対し、図4のVcmgの立ち上がりも立ち下がりも波形の傾斜が急となり、CMGの電圧振幅の対称性が改善される。
【0064】
さらに、フェライトビーズL1,L2を用いて、貫通電流の主成分の高周波数電流を制限していることにより、ゲート駆動回路の部品点数を簡略化している。貫通電流を制限する大きな許容損失の従来技術の抵抗R3とR4が、本願の実施例ではチップサイズのフェライトビーズL1,L2になり、回路が小型化する。さらに、図7での導通開始(ターンオン)方向のダイオードD6とD8の順方向降下電圧がなくなり、導通時のMOSFETゲートーソース電圧を大きく確保し導通時のMOSFETのQ1とQ2のオン抵抗が下がりCMG電圧の矩形波特性を改善しEM−CCDがさらに感度が向上する。CMG電圧の矩形波特性を改善すれば、CMG電圧振幅が高い高電子増倍時の水平解像度の低下と、過大光量により垂直転送路へ漏れこんだ電荷が蓄積部転送路から水平転送路へ次々と溢れだして行くブルーミングが起きにくくなる。
【符号の説明】
【0065】
1:撮像装置、2:レンズ、3:EM−CCD、4:FEP、
5:映像信号処理部、6:CPU、7:タイミング発生部(TG)、
8:垂直転送駆動部、9:水平転送駆動部、10:CMG駆動部
IC1、IC2、IC3、IC4:反転論理CMOS集積回路(Inv IC)、
Q1:PchMOSFET、 Q2:NchMOSFET、
D1〜D9:ダイオード、D10〜D13:ショットキダイオード、
C1,C2:容量、CMG:EM−CCDの電子増倍水平転送電極、
Z1〜Z6:フェライトビーズ、R1〜R8:抵抗、
6V,5.5V,5V:論理電源、VH,VL:電源、
Vi:IC1、IC2、IC3、の入力波形、
Vout1:IC1の出力波形、Vout2:IC2の出力波形、
Vout3:IC3の2/6〜6/6の出力波形、
Vg1:PchMOSFETのQ1のゲート電圧波形、
Vg2:NchMOSFETのQ2のゲート電圧波形、
Vd1:PchMOSFETのQ1のドレイン電圧波形、
Vd2:NchMOSFETのQ2のドレイン電圧波形、
Vcmg:負荷容量CMGに印加される出力電圧波形、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、前記論理バッファ出力と前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極との間に直列に挿入された導通終了方向のダイオードに並列にスイッチング基本波周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を接続することを特徴とするスイッチング回路。
【請求項2】
電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路。
【請求項3】
請求項2のスイッチング回路において、前記論理バッファ出力と前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極との間に直列に挿入された導通終了方向のダイオードに並列にスイッチング基本波周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を接続することを特徴とするスイッチング回路。
【請求項4】
電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、前記論理バッファ出力と前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極との間に直列に挿入された導通終了方向のダイオードに並列にスイッチング基本波周波数におけるインピーダンスが前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子のゲート電極インピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を接続することを特徴とするスイッチング回路と、電荷転送型撮像素子とを有し、前記スイッチング回路の出力を、容量性負荷の前記電荷転送型撮像素子の水平転送電極に接続し、前記スイッチング回路で前記電荷転送型撮像素子の水平転送電極を駆動することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
電源電圧が6Vを超え、負荷を駆動し、Pchスイッチング素子とNchスイッチング素子と論理バッファとを用いるスイッチング回路において、スイッチング基本波周波数におけるインピーダンスがスイッチング基本波周波数における前記容量性負荷のインピーダンスのおおよそ1/2より低いインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したもので近似の等価回路として表せるインピーダンス体またはインダクタと容量と抵抗との並列接続したものと抵抗との直列接続したものの少なくとも一方を前記Pchスイッチング素子と前記Nchスイッチング素子との少なくとも一つのドレイン電極に挿入することを特徴とするスイッチング回路と、電荷転送型撮像素子とを有し、前記スイッチング回路の出力を、容量性負荷の前記電荷転送型撮像素子の水平転送電極に接続し、前記スイッチング回路で前記電荷転送型撮像素子の水平転送電極を駆動することを特徴とする撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−11451(P2010−11451A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127187(P2009−127187)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】