ステータ、モータ及び記録媒体駆動装置
【課題】導線を空中に横切らせることなくコイルの層数を奇数層にすることができ、生産性良く薄型でトルクの低下もない高性能なステータを得ること。
【解決手段】軸線Lを中心として環状に形成された環状部10aと、軸線を中心とする所定角度毎に永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部10bと、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて永久磁石の周面に対向する先端部10cと、を有するステータコア10と、両端に接続パッド12a、12bを有した状態で、複数の歯極部にそれぞれ沿うようにステータコアの上面にパターニングされ、一方の接続パッド12aが先端部側に配置されると共に、他方の接続パッド12bが環状部側に配置された配線パターン12と、少なくとも導線14の端部が一方の接続パッドに接続された状態で歯極部の周囲に巻回されたコイル11と、を備えているステータ6を提供する。
【解決手段】軸線Lを中心として環状に形成された環状部10aと、軸線を中心とする所定角度毎に永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部10bと、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて永久磁石の周面に対向する先端部10cと、を有するステータコア10と、両端に接続パッド12a、12bを有した状態で、複数の歯極部にそれぞれ沿うようにステータコアの上面にパターニングされ、一方の接続パッド12aが先端部側に配置されると共に、他方の接続パッド12bが環状部側に配置された配線パターン12と、少なくとも導線14の端部が一方の接続パッドに接続された状態で歯極部の周囲に巻回されたコイル11と、を備えているステータ6を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HD(ハードディスク)等の記録媒体を回転駆動するモータの固定子となるステータ、該ステータを有するモータ及び該モータを有する記録媒体駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブ装置(HDD)等の記録媒体駆動装置は、携帯音楽再生装置や携帯電話機等の各種の電子機器に採用され始めている。特に、携帯型の電子機器は、その利便性から今後の主流となるものであり、さらなる小型化及び薄型化が求められている。これに伴い、HD(ハードディスク)を駆動するモータの小型化及び薄型化が図られている。
【0003】
ここで、一般的なモータを有する記録媒体駆動装置について、図24及び図25を参照して簡単に説明する。この記録媒体駆動装置100は、図24に示すように、コイル101及びステータコア102を有するステータ部103と、永久磁石104及びハブ105を有するロータ部106とを備えている。ハブ105は、スリーブ107によって軸線L回りに回転可能に支持されており、ハードディスクDの中心孔に嵌合する嵌合部105aが上端に形成されている。これによりハードディスクDは、ハブ105に固定されている。また、ハブ105の外周には、ステータコア102に所定距離を空けて対向するように永久磁石104が固定されている。
【0004】
スリーブ107は、ベース108に固定されており、ハブ105を回転可能に支持している。この際、スリーブ107とハブ105との間には、若干の隙間が確保されており、この隙間にオイルWが充填されている。そして、ハブ105或いはスリーブ107の表面には、へリングボーン溝と呼ばれる図示しないラジアル動圧発生溝及びスラスト動圧発生溝が適宜形成されている。これにより、ハブ105は軸線L回りに回転したときに、スラスト方向及びラジアル方向にぶれることなく、安定して回転するようになっている。つまり、ハブ105は、流体動圧軸受によって支持された状態となっている。
【0005】
上記ステータコア102は、図25に示すように、環状に形成されたコアバック102aと、該コアバック102aに基端側が固定されると共に、半径方向に延出するように形成された複数の歯極部(ティース)102bとを備えている。また、このステータコア102は、コアバック102a側でベース108に支持されている。歯極部102bは、軸線L回りに所定角度毎に形成されており、その数(スロット数)が3の倍数となるように形成されている。例えば、40度毎の9スロットだけ形成されている。
【0006】
また、コイル101は、この複数の歯極部102bの周囲にそれぞれ巻回されている。この際、3相(U相、V相、W相)となるように、3つおきに(間を2つ空けて)巻回されている。この際、コイル101とコイル101との間には、渡り線101aが架設されている。
【0007】
このように構成された記録媒体駆動装置100によりハードディスクDを駆動させる場合には、まず、コイル101に三相交流電流を供給してコイル101に磁界を発生させる。この磁界は、歯極部102bを介して永久磁石104に作用して、ロータ部106を軸線L回りに回転させる。これにより、嵌合部105aによってロータ部106に固定されているハードディスクDを回転させることができる。
【0008】
ところで、上述したようにモータは、今後に向けてより一層の小型化及び薄型化が求められている。ここで、モータを薄型化しようとした場合に、コイル101部分の厚みを少しでも薄くするためにコイル101の層数(厚み方向の重ね数)を少なくする方法が有効な方法の一つであり、奇数層(望ましくは1層)で巻き終わりとしたい場合がある。しかしながら、コイル101は、図26に示すように、渡り線101a処理をする必要があるので、歯極部102bの先端側で巻き終わりとすることができない。つまり、次の歯極部102bに導線(コイル線)を導くために、コイル101の層数は一般的に偶数層にする必要があった。
【0009】
一方、コイル層を奇数層にすることが可能なステータが知られている。
その1つとして、歯極部の先端に巻き終わりの導線を係止するための切欠部(導線係止部)が形成されたステータが知られている(特許文献1参照)。このステータによれば、巻き終わりの導線を切欠部に引っ掛けてコアバック側に折り返すことができるので、コイルの層数を奇数層にすることが可能である。
また、別のステータの1つとして、歯極部の先端に巻き終わりの導線を係止するための係止部が形成されたステータが知られている(特許文献2参照)。このステータにおいても同様に、巻き終わりの導線を係止部に引っ掛けてコアバック側に折り返すことができるので、コイルの層数を奇数層にすることが可能である。
上述したこれらステータによれば、コイルの厚みの部分をできるだけ薄くできるので、モータの薄型化に貢献することができる。また、厚みが薄くなったスペース(巻線高さ方向のスペース)を、他のスペースとして効率的に有効利用することができる。
【特許文献1】特開2003−230243号公報
【特許文献2】特開2003−324886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のステータにはまだ以下の課題が残されている。
即ち、上述した従来のステータでは、巻き終わりの導線を切欠部或いは係止部に引っ掛けた後、コアバック側に折り返しているが、その間の導線はどうしても空中を横切った状態となってしまう。そのため、組み立て時に他の部品や治具が空中を横切っている導線部分に接触してしまうことや、動作時には振動や衝撃等の何らかの理由によって、導線とコイルとが接触してしまう可能性等があった。通常、導線の表面には、電気絶縁性を確保するために絶縁層がコーティングされているが、万が一接触してしまうと、絶縁層が傷ついて剥がれ、モータに不具合が生じる恐れがあった。
【0011】
また、モータの薄型化及び小型化を図るためには、ステータ自体を小型に設計する必要があるので、歯極部のサイズも自然と小さく設計せざるを得ない。そのため、切欠部や係止部の寸法も小さくなってしまう。よって、この切欠部や係止部に精度良く導線を引っ掛けることが困難となってしまい、生産性の低下を招いてしまうものであった。
特に、歯極部に導線を巻回してコイルにする際に、弛みを防止するため、ある程度の張力をかけながら導線を巻回する必要がある。そのため、切欠部や係止部に導線を余計に引っ掛け難いものであった。しかも、張力を与えているので、引っ掛けたときに、導線の絶縁層が剥がれ易いうえ、導線が切断されてしまう可能性もあるので、注意を要するものであった。
【0012】
更に、切欠部や係止部を形成するために、歯極部の先端の幅を狭くしなければならず、永久磁石との対向面積が減少してしまう。そのため、磁束量が減少してしまい、トルクが低下してしまう恐れもあった。
【0013】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、導線を空中に横切らせることなくコイルの層数を奇数層にすることができ、生産性良く薄型でトルクの低下もない高性能なステータ、該ステータを有するモータ及び該モータを有する記録媒体駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係るステータは、軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、両端に接続パッドを有した状態で、複数の前記歯極部にそれぞれ沿うように前記ステータコアの上面にパターニングされ、一方の接続パッドが前記先端部側に配置されると共に、他方の接続パッドが前記環状部側に配置された配線パターンと、少なくとも導線の端部が前記一方の接続パッドに接続された状態で、前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
この発明に係るステータにおいては、コイルに所定の電流を供給すると、各歯極部が励磁されて磁界が発生する。この磁界により、永久磁石を軸線回りに回転させることができる。この際、ステータコアは、永久磁石の周面に対向する先端部を歯極部の先端にそれぞれ有しているので、該ステータコアと永久磁石との間の磁束の受け渡しが密になる。従って、永久磁石を効率良く回転させることができる。
【0016】
特にステータコアの上面には、複数の歯極部にそれぞれ沿うように、両端に接続パッドを有する配線パターンがパターニングされている。しかも、この配線パターンは、一方の接続パッドが先端部側に配置されていると共に、他方の接続パッドが環状部側に配置された状態となっている。そのため、各歯極部の周囲に導線を巻回してコイルを構成する際に、巻き終わり或いは巻き始めが先端部側であっても、導線の端部を一方の接続パッドに接続するだけで、他方の接続パッドから環状部側に電気的な取り出しを行うことができる。
【0017】
従って、コイルの層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線を空中に横切らながら環状部側に折り返す必要がない。よって、ステータの薄型化を図ることができると共に、導線やコイルが擦れ等によって傷付く恐れもないので、高品質化を図ることができる。また、従来のように切欠部や係止部に導線を引っ掛けるといった手間が不要で、単に一方の接続パッドに導線の端部を接続するという簡単な作業で、コイルの層数を奇数層にできるので、生産性良くステータを製造することができる。また、ステータコアの先端部の形状に何ら影響を与えないので、永久磁石との対向面積が減少することがない。よって、ステータコアに入る磁束量が減少せず、トルクが低下してしまうことを防止することができる。
なお、他方の接続パッドを他のコイルの導線に電気的に接続することで、複数のコイルを所定の組み合わせで使用することができ、コイルを3相(U相、V相、W相)として機能させることが可能である。
【0018】
また、本発明に係るステータは、軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、該ステータコアと略同一の外形形状で形成され、ステータコアの上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板と、両端に接続パッドを有した状態で、複数の前記歯極部にそれぞれ沿うように前記絶縁性基板の上面にパターニングされ、一方の接続パッドが前記先端部側に配置されると共に、他方の接続パッドが前記環状部側に配置された配線パターンと、少なくとも導線の端部が前記一方の接続パッドに接続された状態で、前記絶縁性基板及び前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、を備えていることを特徴とするものである。
【0019】
この発明に係るステータにおいては、コイルに所定の電流を供給すると、各歯極部が励磁されて磁界が発生する。この磁界により、永久磁石を軸線回りに回転させることができる。この際、ステータコアは、永久磁石の周面に対向する先端部を歯極部の先端にそれぞれ有しているので、該ステータコアと永久磁石との間の磁束の受け渡しが密になる。従って、永久磁石を効率良く回転させることができる。
【0020】
特に、ステータコアに重ね合わされた絶縁性基板の上面には、ステータコアの複数の歯極部にそれぞれ沿うように、両端に接続パッドを有する配線パターンがパターニングされている。しかも、この配線パターンは、一方の接続パッドがステータコアの先端部側に配置されていると共に、他方の接続パッドがステータコアの環状部側に配置された状態となっている。そのため、絶縁性基板と一緒に各歯極部の周囲に導線を巻回してコイルを構成する際に、巻き終わり或いは巻き始めが先端部側であっても、導線の端部を一方の接続パッドに接続するだけで、他方の接続パッドから環状部側に電気的な取り出しを行うことができる。
【0021】
従って、コイルの層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線を空中に横切らせながら環状部側に折り返す必要がない。よって、ステータの薄型化を図ることができると共に、導線やコイルが擦れ等によって傷付く恐れもないので、高品質化を図ることができる。なお、絶縁性基板は、厚みが薄いシート状であるので、薄型化に影響を与えるものではない。
また、従来のように切欠部や係止部に導線を引っ掛けるといった手間が不要で、単に一方の接続パッドに導線の端部を接続するという簡単な作業で、コイルの層数を奇数層にできるので、生産性良くステータを製造することができる。また、ステータコアの先端部の形状に何ら影響を与えないので、永久磁石との対向面積が減少することがない。よって、ステータコアに入る磁束量が減少せず、トルクが低下してしまうことを防止することができる。
【0022】
更に、絶縁性基板という専用の基板に配線パターンをパターニングするので、ステータコアの製造過程とは関係なくパターニング作業を行うことができる。よって、効率良く作業でき生産性をさらに向上することができるうえ、高精度なパターニングをし易い。
なお、他方の接続パッドを他のコイルの導線に電気的に接続することで、複数のコイルを所定の組み合わせで使用することができ、コイルを3相(U相、V相、W相)として機能させることが可能である。
【0023】
また、本発明に係るステータは、上記本発明のステータにおいて、前記配線パターンが、前記一方の接続パッドが配置された前記歯極部とは異なる他の歯極部の近傍に前記他方の接続パッドが配置されるように、前記環状部に沿って延びるようにパターニングされていることを特徴とするものである。
【0024】
この発明に係るステータにおいては、歯極部と歯極部との間(スロット間)における渡り線に相当する部分に関しても配線パターンとすることができるので、導線を引き回した一般的な渡り線の場合に比べて厚みを遥かに薄くすることができる。よって、ステータのさらなる薄型化を図ることができる。
【0025】
また、本発明に係るステータは、軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、前記軸線を中心とする周方向に沿うように、複数の前記先端部上にそれぞれパターニングされ、両端に接続パッドを有する第1の配線パターンと、少なくとも導線の端部が前記接続パッドに接続された状態で、前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、複数の前記先端部に重なるようにリング状に形成され、これら複数の先端部に重なるように前記ステータコアの上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板と、該絶縁性基板の裏面にパターニングされ、前記絶縁性基板が重ね合わされたときに、前記コイルを所定の組み合わせで接続するように該コイルに対応した前記接続パッド同士を接続させる第2の配線パターンと、を備えていることを特徴とするものである。
【0026】
この発明に係るステータにおいては、コイルに所定の電流を供給すると、各歯極部が励磁されて磁界が発生する。この磁界により、永久磁石を軸線回りに回転させることができる。この際、ステータコアは、永久磁石の周面に対向する先端部を歯極部の先端にそれぞれ有しているので、該ステータコアと永久磁石との間の磁束の受け渡しが密になる。従って、永久磁石を効率良く回転させることができる。
【0027】
特に、ステータコアの先端部には、両端に接続パッドを有する第1の配線パターンがパターニングされている。そのため、各歯極部の周囲に導線を巻回してコイルを構成する際に、巻き終わり或いは巻き始めが先端部側であっても、導線の端部を接続パッドに接続することができる。
ところで、ステータコアの上面には、複数の先端部に重なるようにリング状の絶縁性基板が重ね合わされている。そして、絶縁性基板の裏面にパターニングされた第2の配線パターンによって、コイルを所定の組み合わせで接続するように該コイルに対応した接続パッド同士が接続されるようになっている。そのため、第2の配線パターン及び相手側のコイルを利用して、環状部側に電気的な取り出しを行うことができる。
【0028】
従って、コイルの層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線を空中に横切らせながら環状部側に折り返す必要がない。よって、ステータの薄型化を図ることができると共に、導線やコイルが擦れ等によって傷付く恐れもないので、高品質化を図ることができる。なお、絶縁性基板は、厚みが薄いシート状であるので、薄型化に影響を与えるものではない。
また、従来のように切欠部や係止部に導線を引っ掛けるといった手間が不要で、単に先端部上にパターニングされた接続パッドに導線の端部を接続するという簡単な作業で、コイルの層数を奇数層にできるので、生産性良くステータを製造することができる。また、ステータコアの先端部の形状に何ら影響を与えないので、永久磁石との対向面積が減少することがない。よって、ステータコアに入る磁束量が減少せず、トルクが低下してしまうことを防止することができる。
なお、複数のコイルを所定の組み合わせで使用することができるので、コイルを3相(U相、V相、W相)として機能させることが可能である。
【0029】
また、本発明に係るモータは、上記本発明のステータと、前記永久磁石を保持した状態で前記軸線回りに回転可能に支持された軸体と、を備えていることを特徴とするものである。
【0030】
この発明に係るモータにおいては、薄型でトルクの低下が抑えられた高性能なステータを備えているので、モータ自体の薄型化及び高性能化を図ることができる。
【0031】
また、本発明に係る記録媒体駆動装置は、上記本発明のモータと、前記軸体に設けられ、各種情報を記録可能な記録媒体を保持する保持部と、前記軸体を前記軸線回りに回転可能に支持する軸受部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0032】
この発明に係る記録媒体駆動装置においては、薄型化及び高性能化したモータを備えているので、装置自体の薄型化及び高性能化を図ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るステータによれば、導線を空中に横切らせることなくコイルの層数を奇数層にすることができ、生産性の向上化、薄型化を図ることができると共に、トルクの低下を防止して高性能化を図ることができる。
また、本発明に係るモータ及び記録媒体駆動装置によれば、薄型化及び高性能化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態を、図1から図8を参照して説明する。
本実施形態の記録媒体駆動装置1は、図1に示すように、各種情報を記録可能なハードディスク(記録媒体)Dを軸線L回りに回転駆動するスピンドルモータ(モータ)2と、該スピンドルモータ2の後述するハブ(軸体)4に設けられ、上記ハードディスクDを嵌合保持する嵌合部(保持部)4cと、ハブ4を軸線L回りに回転可能に支持する流体動圧軸受部(軸受部)3とを備えている。
【0035】
スピンドルモータ2は、インナーロータータイプのモータであって、軸線L回りに回転可能に支持されたハブ4と、該ハブ4に保持された環状の永久磁石5と、該永久磁石5の周囲を囲むように対向配置されたステータ6と、を備えている。
ハブ4は、軸線Lを中心として略円柱状に形成されたシャフト部4aと、該シャフト部4aの外周面から半径方向外方に延びて形成され、後述するスリーブ7の鍔部7aを上下から挟み込むように形成されたフランジ部4bとを備えている。また、ハブ4の上端は、ハードディスクDの中心孔に挿通されて、該ハードディスクDを嵌合保持する上記嵌合部4cとなっている。また、永久磁石5は、半径方向に沿った断面積が矩形状になるように形成されており、その外周面が軸線Lに平行な方向な面となっている。この永久磁石5は、フランジ部4bによって保持されている。
【0036】
上記流体動圧軸受部3は、カップ状に形成され、基端側がベースによって固定されたスリーブ7と、該スリーブ7と上記ハブ4との間に供給されたオイルWとを備えている。このスリーブ7は、内側が断面円形状に形成されて上記シャフト部4aが収容される収容部となっている。また、スリーブ7の上端には、半径方向外方に延びて形成された鍔部7aが形成されている。また、このスリーブ7とハブ4との間には、微小な隙間が空くように設計されており、その隙間にオイルWが供給されている。なお、このオイルWは、図示しないシールによって、永久磁石5側に洩れないようになっている。
【0037】
また、フランジ部4bに対向する鍔部7aの上下の外表面には、へリングボーン溝と呼ばれる図示しないスラスト動圧発生溝が複数形成されている。また、スリーブ7の内周面に対向するシャフト部4aの外表面にも同様に、図示しないへリングボーン溝と呼ばれるラジアル動圧発生溝が複数形成されている。これにより、ハブ4が回転したときに、オイルWがこれらスラスト動圧発生溝及びラジアル動圧発生溝に沿って流れて圧力が高まり、ハブ4が安定して回転するようになっている。
即ち、これらスラスト動圧発生溝及びラジアル動圧発生溝は、流体動圧軸受部3を構成する一部である。
【0038】
上記ステータ6は、図2に示すように、ステータコア10と、該ステータコア10の後述するティース10bの周囲に巻回されたコイル11と、を備えており、図1に示すように、ベース8上に載置された状態で固定されている。
【0039】
ステータコア10は、プレス等により打ち抜き加工により形成された珪素鋼板等の磁性体の平板を積層(例えば3層)したものであって、図3及び図4に示すように、軸線Lを中心として環状に形成されたコアバック(環状部)10aと、該コアバック10aに基端が固定されると共に永久磁石5に向かう半径方向に延出するように形成され、軸線Lを中心として所定角度(40度)毎に9個(即ち、スロット数が9スロット)だけ形成されたティース(歯極部)10bと、これら複数のティース10bの先端にそれぞれ形成され、永久磁石5の外周面(周面)に対向する先端部10cと、を有している。
このように構成されたステータコア10の外表面には、図示しない絶縁膜がコーティングされている。
【0040】
また、ステータコア10の上面には、複数の配線パターン12がパターニングされている。各配線パターン12は、それぞれ両端に接続パッド12a、12bを有しており、9つのティース10bにそれぞれ沿うようにパターニングされている。なお、図1では、配線パターン12の図示を省略している。
両接続パッド12a、12bのうち、一方の接続パッド12aが先端部10c側に配置され、他方の接続パッド12bがコアバック10a側に配置されるようにパターニングされている。しかも、本実施形態では、各配線パターン12がコアバック10aに沿って延びるようにパターニングされており、他方の接続パッド12bが一方の接続パッド12aが形成されたティース10bの近傍ではなく、該ティース10bから間を2つ空けて3つ目のティース10bの近傍のコアバック10a上に配置されるようになっている。
【0041】
但し、複数の配線パターン12のうち3つの配線パターン12は、他方の接続パッド12bが、1つのティース10bの近傍のコアバック10a上に集まった状態でパターニングされており、グランド端子として機能する。なお、これら複数の配線パターン12は、両接続パッド12a、12bを除く部分が図示しない絶縁膜によってコーティングされている。
【0042】
コイル11は、図2に示すように、ティース10bの周囲を巻回された導線(コイル線)14から構成されており、少なくとも導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続されている。そして、これらコイル11は、U相、V相、W相としてそれぞれ機能するようになっている。具体的には、3つのティース10bを一組として電気的な導通をとることができるように、配線パターン12と組み合わせて導線14がティース10bに巻回されている。なお、導線14は、周囲が図示しない絶縁膜で被覆されている。
【0043】
ここで、3相のうち1相(例えばU相)だけに着目して、導線14と配線パターン12との組み合わせについて説明する。
まず、図5に示すように1つ目のティース10b(矢印Aで示す)には、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き終わった導線14の端部は、一方の接続パッド12aに対して電気的に接続されている。このように、導線14の端部を一方の接続パッド12aに接続することができるので、導線14を奇数層(1層或いは3層等)だけ巻回することができ、コイル11の層数を奇数層にすることができる。
【0044】
また、1つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている2つ目のティース10b(矢印Bで示す)にも同様に、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き始めの導線14の端部は、図6及び図7に示すように、先ほどの配線パターン12の他方の接続パッド12bに接続されている。これにより、1つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。
また、巻き終わった導線14の端部は、先ほどと同様、図6及び図8に示すように一方の接続パッド12aに対して電気的に接続されている。従って、先ほどと同様に、コイル11の層数を奇数層にすることができる。なお、図7及び図8では、コイル11の層数が1層の場合を例に挙げて図示している。
【0045】
更に、図5に示すように、2つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10b(矢印Cで示す)にも同様に、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、導線14の巻き始めの端部及び巻き終わりの端部は、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と同様である。これにより、コイル11の層数を奇数層にすることができる。また、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、3つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。なお、3つ目のティース10bに巻回された導線14に接続された配線パターン12の他方の接続パッド12bは、上述したようにグランド端子として機能する。
【0046】
このように、3つのコイル11は、配線パターン12を介して電気的に導通するようになっており、U相として機能するようになっている。また、残り6つのティース10bにも同様に、配線パターン12と組み合わせて導線14が巻回され、残りの2相(V相、W相)のコイル11として機能するようになっている。なお、各相として機能するコイル11の導線14は、図示しない三相交流電源に電気的に接続されている。
【0047】
次に、このように構成された記録媒体駆動装置1の動作について、以下に説明する。
まず、各コイル11の導線14に三相交流電流を供給してティース10bを励磁させ、磁界を発生させる。この磁界により、永久磁石5及びハブ4を軸線L回りに回転させて、ハードディスクDを回転させることができる。この際、ステータコア10は、永久磁石5の外周面に対向する先端部10cをティース10bの先端に有しているので、該ステータコア10と永久磁石5との間の磁束の受け渡しが密になる。従って、ハブ4を効率良く回転させることができる。
また、ハブ4の回転に伴って、オイルWがスラスト動圧発生溝及びラジアル動圧発生溝に沿って流れるので圧力が高まる。これによりハブ4は、流体動圧軸受部3によってスラスト方向及びラジアル方向の力が支持されるので、滑らかに回転する。
【0048】
特に、ステータコア10の上面には、両端に接続パッド12a、12bを有する配線パターン12がパターニングされている。しかも、この配線パターン12は、一方の接続パッド12aが先端部10c側に配置されていると共に、他方の接続パッド12bがコアバック10a側に配置された状態となっている。そのため、各ティース10bの周囲に導線14を巻回してコイル11を構成する際に、巻き終わりが先端部10c側であっても、導線14の端部を一方の接続パッド12aに接続するだけで、他方の接続パッド12bからコアバック10a側に電気的な取り出しを行うことができる。
【0049】
従って、コイル11の層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線14を空中に横切らせながらコアバック10a側に折り返す必要がない。よって、ステータ6の薄型化を図ることができると共に、導線14やコイル11が擦れ等によって傷付く恐れもないので、高品質化を図ることができる。特に、絶縁層が剥がれることがないので、予期せぬ電気的接触をなくすことができ、スピンドルモータ2の性能低下が生じ難い。
また、従来のように切欠部や係止部に導線14を引っ掛けるといった手間が不要で、単に一方の接続パッド12aに導線14の端部を接続するという簡単な作業で、コイル11の層数を奇数層にできるので、生産性良くステータ6及びスピンドルモータ2を製造することができる。また、ステータコア10の先端部10cの形状に何ら影響を与えないので、永久磁石5との対向面積が減少することがない。よって、ステータコア10に入る磁束量が減少せず、トルクが低下してしまうことを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、ティース10b上だけでなく、コアバック10a上にも配線パターン12がパターニングされている。そのため、ティース10bとティース10bとの間(スロット間)における配線部分の厚みを、導線14を引き回した一般的な渡り線の場合に比べて遥かに薄くすることができる。この点においても、薄型化を図ることができる。
【0051】
上述したように、本実施形態のステータ6によれば、ステータコア10の上面に配線パターン12をパターニングすることで、導線14を空中に横切らせることなくコイル11の層数を奇数層にすることができ、生産性の向上化、薄型化を図ることができると共に、トルクの低下を防止して高性能化を図ることができる。
また、本実施形態のスピンドルモータ2は、上述したステータ6を備えているので、スピンドルモータ2自体の薄型化及び高性能化を図ることができる。更に、本実施形態の記録媒体駆動装置1は、上述したスピンドルモータ2を備えているので、同様に薄型化及び高性能化を図ることができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を、図9から図13を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、ティース10b上だけでなくコアバック10a上にも配線パターン12をパターニングし、他方の接続パッド12bを他のティース10bの近傍のコアバック10a上に配置した構成にしたが、第2実施形態では、一方の接続パッド12aが形成されたティース10bの近傍に他方の接続パッド12bが配置されるように配線パターン12がパターニングされている点である。
【0053】
即ち、本実施形態のステータ20は、図9から図11に示すように、各ティース10b上をコアバック10aから先端部10cに亘ってライン状に配線パターン12がパターニングされたステータコア10を備えている。
このように、配線パターン12がライン状にパターニングされているので、一方の接続パッド12aが形成されたティース10bの近傍に他方の接続パッド12bが配置された状態となっている。また、本実施形態においても、第1実施形態と同様、図9に示すように少なくとも導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続されており、コイル11がU相、V相、W相としてそれぞれ機能するようになっている。
【0054】
ここで、3相のうち1相(例えばU相)だけに着目して、導線14と配線パターン12との組み合わせについて説明する。
まず、図12に示すように1つ目のティース10b(矢印Aで示す)上にパターニングされた配線パターン12の他方の接続パッド12bには、導線14の端部が電気的に接続されている。また、別の導線14の端部(巻き始め)が、同じ配線パターン12の一方の接続パッド12aに電気的に接続された後、先端部10c側からコアバック10aに向かってきれいに整列された状態でティース10bに巻回されている。このように、導線14の巻き始めの端部を一方の接続パッド12aに接続することができるので、導線14を奇数層(1層或いは3層等)だけ巻回することができ、コイル11の層数を奇数層にすることができる。
【0055】
そして、1つ目のティース10bを巻き終わってコアバック10aに達した導線14は、コアバック10a上を渡り線となって、1つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10b(矢印Bで示す)に向かって架設される。そして、2つ目のティース10bに達した導線14は、該ティース10bにパターニングされた配線パターン12の他方の接続パッド12bに電気的に接続される。
一方、この2つ目のティース10bには、別の導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続された後、先ほどと同様に、先端部10c側からコアバック10aに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。これにより、1つ目のティース10bに巻回されたコイル11と2つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。
【0056】
また、巻き終わった導線14の端部は、先ほどと同様にコアバック10a上を渡り線となって、2つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10b(矢印Cで示す)に向かって架設される。そして、3つ目のティース10bに達した導線14は、該ティース10bにパターニングされた配線パターン12の他方の接続パッド12bに電気的に接続される。
一方、この3つ目のティース10bには、別の導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続された後、先ほどと同様に、先端部10c側からコアバック10aに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。これにより、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と3つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。なお、3つ目のティース10bを巻き終わった導線14は、グランドに接続される。
【0057】
このように、本実施形態においても、3つのコイル11が配線パターン12を介して電気的に導通するようになっており、U相として機能するようになっている。また、残り6つのティース10bにも同様に、配線パターン12と組み合わせて導線14が巻回され、残りの2相(V相、W相)のコイル11として機能するようになっている。なお、各相として機能するコイル11の導線14は、図示しない三相交流電源に電気的に接続されている。
【0058】
このように構成されたステータ20であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、この第2実施形態では、各ティース10bに導線14を巻回する際に、巻き始めの導線14の端部を配線パターン12の一方の接続パッド12aに接続した後、コアバック10aに向けて巻回したが、これとは逆に、図13に示すように、コアバック10a側から先端部10cに向けて巻回しても構わない。この場合には、巻き終わりの導線14の端部を一方の接続パッド12aに接続すれば良い。また、1つ目のティース10bにパターニングされた配線パターン12の他方の接続パッド12bに別の導線14の端部を接続した後、コアバック10a上を渡り線として架設し、そのまま2つ目のティース10bをコアバック10a側から巻回すれば良い。
【0059】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態を、図14から図16を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、配線パターン12をステータコア10上にパターニングしたが、第3実施形態では、専用の基板上にパターニングする点である。
【0060】
即ち、本実施形態のステータ30は、図14及び図15に示すように、ステータコア10と、該ステータコア10と略同一の外形形状で形成され、ステータコア10の上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板31と、を備えている。そして、この絶縁性基板31の上面に、第1実施形態と同じパターン形状の配線パターン12がパターニングされている。
また、本実施形態のコイル11は、絶縁性基板31と一緒にティース10bの周囲を巻回された導線14から構成されており、少なくとも導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続されている。そして、これらコイル11は、U相、V相、W相としてそれぞれ機能するようになっている。
【0061】
なお、導線14の巻き方は、第1実施形態と同様であるが、3相のうち1相(例えばU相)だけに着目して、導線14と配線パターン12との組み合わせについて説明する。
まず、図16に示すように1つ目のティース10b(矢印Aで示す)に対して、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き終わった導線14の端部は、絶縁性基板31上にパターニングされた配線パターン12の一方の接続パッド12aに対して電気的に接続されている。このように、導線14の端部を一方の接続パッド12aに接続することができるので、導線14を奇数層(1層或いは3層等)だけ巻回することができ、コイル11の層数を奇数層にすることができる。
【0062】
また、1つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている2つ目のティース10b(矢印Bで示す)には、別の導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き始めの導線14の端部は、先ほどの配線パターン12の他方の接続パッド12bに接続されている。これにより、1つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。
また、巻き終わった導線14の端部は、先ほどと同様、一方の接続パッド12aに対して電気的に接続されている。従って、先ほどと同様に、コイル11の層数を奇数層にすることができる。
【0063】
また、2つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10b(矢印Cで示す)には、別の導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、導線14の巻き始めの端部及び巻き終わりの端部は、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と同様である。これにより、コイル11の層数を奇数層にすることができる。また、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と3つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。
【0064】
このように、本実施形態においても、3つのコイル11が配線パターン12を介して電気的に導通するようになっており、U相として機能するようになっている。また、残り6つのティース10bにも同様に、配線パターン12と組み合わせて導線14が巻回され、残りの2相(V相、W相)のコイル11として機能するようになっている。
【0065】
このように構成されたステータ30であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。しかも、絶縁性基板31という専用の基板に配線パターン12をパターニングするので、ステータコア10の製造過程とは関係なくパターニング作業を行うことができる。よって、効率良く作業でき、生産性をさらに向上することができるうえ、高精度なパターニングをし易い。なお、絶縁性基板31は、厚みが薄いシート状であるので、薄型化に影響を与えることはない。
【0066】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態を、図17から図23を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第4実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、複数のティース10bにそれぞれ沿うように配線パターン12をパターニングしたが、第4実施形態では、先端部10cのみにパターニングすると共に、絶縁性基板41を利用する点である。
【0067】
即ち、本実施形態のステータ40は、図17に示すように、ステータコア10と、該ステータコア10の複数の先端部10cに重なるようにリング状に形成され、これら複数の先端部10cに重なるようにステータコア10の上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板41と、を備えている。
本実施形態のステータコア10には、図18及び図19に示すように、軸線Lを中心とする周方向に沿うように、両端に接続パッド42aを有する第1の配線パターン42が複数の先端部10c上にそれぞれパターニングされている。
コイル11は、図17に示すように、ティース10bの周囲を巻回された導線14から構成されており、少なくとも導線14の端部が第1の配線パターン42の接続パッド42aに電気的に接続されている。そして、これらコイル11は、U相、V相、W相としてそれぞれ機能するようになっている。
【0068】
ところで、第1の配線パターン42は、図18及び図19に示すように、軸線Lに向かう半径方向に3段階位置がずれるようにパターニングされている。即ち、U相として機能するコイル11が巻回されたティース10b(矢印Fで示すティース)の先端部10cには、第1の配線パターン42がコアバック10a側に極力近い位置に形成されている。一方、V相として機能するコイル11が巻回されたティース10b(矢印Gで示すティース)の先端部10cには、第1の配線パターン42が先ほどよりも軸線Lに近づいた位置に形成されている。そして、W相として機能するコイル11が巻回されたティース10b(矢印Hで示すティース)の先端部10cには、第1の配線パターン42がさらに軸線Lに近づいた位置に形成されている。
【0069】
また、上記絶縁性基板41の裏面には、図20に示すように、ステータコア10に重ね合わされたときに、コイル11を所定の組み合わせで接続するように該コイル11に対応した接続パッド42a同士を電気的に接続させる第2の配線パターン43がパターニングされている。具体的には、半径方向に3段階に位置がずれた接続パッド42aに対応して、第2の配線パターン43も同様に半径方向に3段階に位置がずれた状態でパターニングされており、U相、V相、W相として各コイル11が機能するように、接続パッド42a同士を電気的に接続するようになっている。
【0070】
ここで、3相のうち1相(例えばU相)だけに着目して、導線14と、第1の配線パターン42及び第2の配線パターン43と、の組み合わせについて説明する。
まず、図21に示すように1つ目のティース10b(矢印Aで示す)には、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き終わった導線14の端部は、先端部10cに形成された第1の配線パターン42の接続パッド42aに電気的に接続されている。
【0071】
また、1つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている2つ目のティース10b(矢印Bで示す)にも同様に、別の導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き始めの導線14の端部は、先端部10cに形成された第1の配線パターン42の接続パッド42aに電気的に接続されている。そして、2つ目のティース10bを巻き終わってコアバック10aに達した導線14は、コアバック10a上を渡り線となって、2つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10bに向かって架設される。そして、3つ目のティース10bに達した導線14は、コアバック10a側から先端部10cに向かって該ティース10bを巻回した後、先端部10cに形成された第1の配線パターン42の接続パッド42aに電気的に接続される。
【0072】
ところで、ステータコア10の上面には、第2の配線パターン43が形成された絶縁性基板41が重ね合わされるので、図22に示すように、1つ目のティース10bの接続パッド42aと第2の配線パターン43とが電気的に接続する。また、この第2の配線パターン43は、2つ目のティース10bの接続パッド42aとも電気的に接続している。これにより、1つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、第1の配線パターン42及び第2の配線パターン43を介して電気的に導通された状態となる。
【0073】
また、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、3つ目のティース10bに巻回されたコイル11とは、導線14で直接接続されているので、電気的に導通されている。なお、3つ目のティース10bの先端部10cに形成された接続パッド42aに接続される第2の配線パターン43は、共通のグランド端子として機能するグランド接続パッド43aに繋がるようにパターニングされている。
【0074】
このように、3つのコイル11は、第1の配線パターン42及び第2の配線パターン43を介して、電気的に導通するようになっており、U相として機能するようになっている。また、残り6つのティース10bにも同様に、第1の配線パターン42及び第2の配線パターン43と組み合わせて導線14が巻回され、残りの2相(V相、W相)のコイル11として機能するようになっている。なお、各相として機能するコイル11の導線14は、図示しない三相交流電源に電気的に接続されている。
【0075】
このように構成されたステータ40であっても、コイル11の層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線14を空中に横切らせながらコアバック10a側に折り返す必要がない。従って、やはり第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、第3実施形態と同様に、絶縁性基板41は厚みが薄いシート状であるので、薄型化に影響を与えるものではない。
【0076】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0077】
例えば、上記各実施形態では9個のティース10bが形成されたステータコア10を例に挙げて説明したが、ティース10bの数はこの場合に限られるものではない。また、ハブ4を流体動圧軸受部3により回転可能に支持したが、動圧を利用せずに、単に回転可能に支持する軸受部でも構わない。
【0078】
また、上記各実施形態では、スピンドルモータ2をインナーロータータイプとして説明したが、この場合に限られず、アウターロータータイプであっても構わない。ここで、第1実施形態のスピンドルモータ2をアウターロータータイプに適用した場合の形態を、図面を参照して簡単に説明する。
図23に示すように、この場合の記録媒体駆動装置50は、ステータ6の周囲を囲むように配置された永久磁石5と、永久磁石5の内側で、該永久磁石5に対して対向配置されたステータ6と、を備えており、ステータ6の外側で永久磁石5が軸線L回りに回転するように構成されている。永久磁石5は、ステータ6を越えて該ステータ6の外側まで伸びたハブ4のフランジ部4bによって保持されている。なお、これ以外のハブ4の構成及び流体動圧軸受部3の構成は、第1実施形態と同様である。
【0079】
ステータコア10は、コアバック10aに固定されたティース10bが半径方向外方に延出するように形成されており、該ティース10bの先端が永久磁石5の内周面(周面)に対向する先端部10cとなっている。また、ステータコア10は、スリーブ7の周囲を囲むように配置された状態でベース8上に固定されている。
【0080】
このように構成された記録媒体駆動装置1は、ステータ6の外側を永久磁石5が回転する点が異なるだけで、それ以外に関しては第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、ハブ4のフランジ部4bを長く形成できるので、ハードディスクDをより安定して保持することができ、回転の安定性の向上化、振動の低減化を図ることができる。なお、第1実施形態のスピンドルモータ2をアウターロータータイプに適用した場合を例に挙げて説明したが、その他の実施形態のスピンドルモータ2であっても、アウターロータータイプに適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る第1実施形態の記録媒体駆動装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す記録媒体駆動装置を構成するステータの上面図である。
【図3】図2に示すステータを構成するステータコアの上面図である。
【図4】図3に示すステータコアの一部拡大図である。
【図5】図3に示すステータコアの3つのティースに導線を巻回して、U相として機能するコイルを構成した状態を示す図である。
【図6】図5に示すステータコアの一部拡大図である。
【図7】図6に示す断面矢視D−D図である。
【図8】図6に示す断面矢視F−F図である。
【図9】本発明に係る第2実施形態のステータを示す上面図である。
【図10】図9に示すステータを構成するステータコアの上面図である。
【図11】図10に示すステータコアの一部拡大図である。
【図12】図10に示すステータコアの3つのティースに導線を巻回して、U相として機能するコイルを構成した状態を示す図である。
【図13】導線と配線パターンとの組み合わせの変形例を示す図であって、コイルを構成する際に、コアバック側から先端部に向かって導線を巻回し、巻き終わりの端部を配線パターンの一方の接続部に接続した状態を示す図である。
【図14】本発明に係る第3実施形態のステータを示す上面図である。
【図15】図14に示すステータの分解斜視図である。
【図16】図14に示すステータコアの3つのティースに導線を巻回して、U相として機能するコイルを構成した状態を示す図である。
【図17】本発明に係る第4実施形態のステータを示す上面図である。
【図18】図17に示すステータを構成するステータコアの上面図である。
【図19】図18に示すステータコアの一部拡大図である。
【図20】図17に示すステータを構成する絶縁性基板の上面図である。
【図21】図18に示すステータコアの3つのティースに導線を巻回して、U相として機能するコイルを構成した状態を示す分解斜視図である。
【図22】U相として機能するコイルを構成したときの、導線と第1の配線パターンと第2の配線パターンとの関係を示した図である。
【図23】本発明に係る記録媒体駆動装置の変形例を示す図であって、アウターロータータイプのスピンドルモータを有する記録媒体駆動装置の断面図である。
【図24】従来の記録媒体駆動装置の一例を示す断面図である。
【図25】図24に示す記録媒体駆動装置を構成するステータの上面図である。
【図26】図25に示す断面矢視J−J図である。
【符号の説明】
【0082】
D…ハードディスク(記録媒体)
L…軸線
1、50…記録媒体駆動装置
2…スピンドルモータ(モータ)
3…流体動圧軸受部(軸受部)
4…ハブ(軸体)
4c…嵌合部(保持部)
5…永久磁石
6、20、30、40…ステータ
10…ステータコア
10a…コアバック(環状部)
10b…ティース(歯極部)
10c…先端部
11…コイル
12…配線パターン
12a…一方の接続パッド
12b…他方の接続パッド
31、41…絶縁性基板
42…第1の配線パターン
42a…第1の配線パターンの接続パッド
43…第2の配線パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、HD(ハードディスク)等の記録媒体を回転駆動するモータの固定子となるステータ、該ステータを有するモータ及び該モータを有する記録媒体駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブ装置(HDD)等の記録媒体駆動装置は、携帯音楽再生装置や携帯電話機等の各種の電子機器に採用され始めている。特に、携帯型の電子機器は、その利便性から今後の主流となるものであり、さらなる小型化及び薄型化が求められている。これに伴い、HD(ハードディスク)を駆動するモータの小型化及び薄型化が図られている。
【0003】
ここで、一般的なモータを有する記録媒体駆動装置について、図24及び図25を参照して簡単に説明する。この記録媒体駆動装置100は、図24に示すように、コイル101及びステータコア102を有するステータ部103と、永久磁石104及びハブ105を有するロータ部106とを備えている。ハブ105は、スリーブ107によって軸線L回りに回転可能に支持されており、ハードディスクDの中心孔に嵌合する嵌合部105aが上端に形成されている。これによりハードディスクDは、ハブ105に固定されている。また、ハブ105の外周には、ステータコア102に所定距離を空けて対向するように永久磁石104が固定されている。
【0004】
スリーブ107は、ベース108に固定されており、ハブ105を回転可能に支持している。この際、スリーブ107とハブ105との間には、若干の隙間が確保されており、この隙間にオイルWが充填されている。そして、ハブ105或いはスリーブ107の表面には、へリングボーン溝と呼ばれる図示しないラジアル動圧発生溝及びスラスト動圧発生溝が適宜形成されている。これにより、ハブ105は軸線L回りに回転したときに、スラスト方向及びラジアル方向にぶれることなく、安定して回転するようになっている。つまり、ハブ105は、流体動圧軸受によって支持された状態となっている。
【0005】
上記ステータコア102は、図25に示すように、環状に形成されたコアバック102aと、該コアバック102aに基端側が固定されると共に、半径方向に延出するように形成された複数の歯極部(ティース)102bとを備えている。また、このステータコア102は、コアバック102a側でベース108に支持されている。歯極部102bは、軸線L回りに所定角度毎に形成されており、その数(スロット数)が3の倍数となるように形成されている。例えば、40度毎の9スロットだけ形成されている。
【0006】
また、コイル101は、この複数の歯極部102bの周囲にそれぞれ巻回されている。この際、3相(U相、V相、W相)となるように、3つおきに(間を2つ空けて)巻回されている。この際、コイル101とコイル101との間には、渡り線101aが架設されている。
【0007】
このように構成された記録媒体駆動装置100によりハードディスクDを駆動させる場合には、まず、コイル101に三相交流電流を供給してコイル101に磁界を発生させる。この磁界は、歯極部102bを介して永久磁石104に作用して、ロータ部106を軸線L回りに回転させる。これにより、嵌合部105aによってロータ部106に固定されているハードディスクDを回転させることができる。
【0008】
ところで、上述したようにモータは、今後に向けてより一層の小型化及び薄型化が求められている。ここで、モータを薄型化しようとした場合に、コイル101部分の厚みを少しでも薄くするためにコイル101の層数(厚み方向の重ね数)を少なくする方法が有効な方法の一つであり、奇数層(望ましくは1層)で巻き終わりとしたい場合がある。しかしながら、コイル101は、図26に示すように、渡り線101a処理をする必要があるので、歯極部102bの先端側で巻き終わりとすることができない。つまり、次の歯極部102bに導線(コイル線)を導くために、コイル101の層数は一般的に偶数層にする必要があった。
【0009】
一方、コイル層を奇数層にすることが可能なステータが知られている。
その1つとして、歯極部の先端に巻き終わりの導線を係止するための切欠部(導線係止部)が形成されたステータが知られている(特許文献1参照)。このステータによれば、巻き終わりの導線を切欠部に引っ掛けてコアバック側に折り返すことができるので、コイルの層数を奇数層にすることが可能である。
また、別のステータの1つとして、歯極部の先端に巻き終わりの導線を係止するための係止部が形成されたステータが知られている(特許文献2参照)。このステータにおいても同様に、巻き終わりの導線を係止部に引っ掛けてコアバック側に折り返すことができるので、コイルの層数を奇数層にすることが可能である。
上述したこれらステータによれば、コイルの厚みの部分をできるだけ薄くできるので、モータの薄型化に貢献することができる。また、厚みが薄くなったスペース(巻線高さ方向のスペース)を、他のスペースとして効率的に有効利用することができる。
【特許文献1】特開2003−230243号公報
【特許文献2】特開2003−324886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のステータにはまだ以下の課題が残されている。
即ち、上述した従来のステータでは、巻き終わりの導線を切欠部或いは係止部に引っ掛けた後、コアバック側に折り返しているが、その間の導線はどうしても空中を横切った状態となってしまう。そのため、組み立て時に他の部品や治具が空中を横切っている導線部分に接触してしまうことや、動作時には振動や衝撃等の何らかの理由によって、導線とコイルとが接触してしまう可能性等があった。通常、導線の表面には、電気絶縁性を確保するために絶縁層がコーティングされているが、万が一接触してしまうと、絶縁層が傷ついて剥がれ、モータに不具合が生じる恐れがあった。
【0011】
また、モータの薄型化及び小型化を図るためには、ステータ自体を小型に設計する必要があるので、歯極部のサイズも自然と小さく設計せざるを得ない。そのため、切欠部や係止部の寸法も小さくなってしまう。よって、この切欠部や係止部に精度良く導線を引っ掛けることが困難となってしまい、生産性の低下を招いてしまうものであった。
特に、歯極部に導線を巻回してコイルにする際に、弛みを防止するため、ある程度の張力をかけながら導線を巻回する必要がある。そのため、切欠部や係止部に導線を余計に引っ掛け難いものであった。しかも、張力を与えているので、引っ掛けたときに、導線の絶縁層が剥がれ易いうえ、導線が切断されてしまう可能性もあるので、注意を要するものであった。
【0012】
更に、切欠部や係止部を形成するために、歯極部の先端の幅を狭くしなければならず、永久磁石との対向面積が減少してしまう。そのため、磁束量が減少してしまい、トルクが低下してしまう恐れもあった。
【0013】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、導線を空中に横切らせることなくコイルの層数を奇数層にすることができ、生産性良く薄型でトルクの低下もない高性能なステータ、該ステータを有するモータ及び該モータを有する記録媒体駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係るステータは、軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、両端に接続パッドを有した状態で、複数の前記歯極部にそれぞれ沿うように前記ステータコアの上面にパターニングされ、一方の接続パッドが前記先端部側に配置されると共に、他方の接続パッドが前記環状部側に配置された配線パターンと、少なくとも導線の端部が前記一方の接続パッドに接続された状態で、前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
この発明に係るステータにおいては、コイルに所定の電流を供給すると、各歯極部が励磁されて磁界が発生する。この磁界により、永久磁石を軸線回りに回転させることができる。この際、ステータコアは、永久磁石の周面に対向する先端部を歯極部の先端にそれぞれ有しているので、該ステータコアと永久磁石との間の磁束の受け渡しが密になる。従って、永久磁石を効率良く回転させることができる。
【0016】
特にステータコアの上面には、複数の歯極部にそれぞれ沿うように、両端に接続パッドを有する配線パターンがパターニングされている。しかも、この配線パターンは、一方の接続パッドが先端部側に配置されていると共に、他方の接続パッドが環状部側に配置された状態となっている。そのため、各歯極部の周囲に導線を巻回してコイルを構成する際に、巻き終わり或いは巻き始めが先端部側であっても、導線の端部を一方の接続パッドに接続するだけで、他方の接続パッドから環状部側に電気的な取り出しを行うことができる。
【0017】
従って、コイルの層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線を空中に横切らながら環状部側に折り返す必要がない。よって、ステータの薄型化を図ることができると共に、導線やコイルが擦れ等によって傷付く恐れもないので、高品質化を図ることができる。また、従来のように切欠部や係止部に導線を引っ掛けるといった手間が不要で、単に一方の接続パッドに導線の端部を接続するという簡単な作業で、コイルの層数を奇数層にできるので、生産性良くステータを製造することができる。また、ステータコアの先端部の形状に何ら影響を与えないので、永久磁石との対向面積が減少することがない。よって、ステータコアに入る磁束量が減少せず、トルクが低下してしまうことを防止することができる。
なお、他方の接続パッドを他のコイルの導線に電気的に接続することで、複数のコイルを所定の組み合わせで使用することができ、コイルを3相(U相、V相、W相)として機能させることが可能である。
【0018】
また、本発明に係るステータは、軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、該ステータコアと略同一の外形形状で形成され、ステータコアの上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板と、両端に接続パッドを有した状態で、複数の前記歯極部にそれぞれ沿うように前記絶縁性基板の上面にパターニングされ、一方の接続パッドが前記先端部側に配置されると共に、他方の接続パッドが前記環状部側に配置された配線パターンと、少なくとも導線の端部が前記一方の接続パッドに接続された状態で、前記絶縁性基板及び前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、を備えていることを特徴とするものである。
【0019】
この発明に係るステータにおいては、コイルに所定の電流を供給すると、各歯極部が励磁されて磁界が発生する。この磁界により、永久磁石を軸線回りに回転させることができる。この際、ステータコアは、永久磁石の周面に対向する先端部を歯極部の先端にそれぞれ有しているので、該ステータコアと永久磁石との間の磁束の受け渡しが密になる。従って、永久磁石を効率良く回転させることができる。
【0020】
特に、ステータコアに重ね合わされた絶縁性基板の上面には、ステータコアの複数の歯極部にそれぞれ沿うように、両端に接続パッドを有する配線パターンがパターニングされている。しかも、この配線パターンは、一方の接続パッドがステータコアの先端部側に配置されていると共に、他方の接続パッドがステータコアの環状部側に配置された状態となっている。そのため、絶縁性基板と一緒に各歯極部の周囲に導線を巻回してコイルを構成する際に、巻き終わり或いは巻き始めが先端部側であっても、導線の端部を一方の接続パッドに接続するだけで、他方の接続パッドから環状部側に電気的な取り出しを行うことができる。
【0021】
従って、コイルの層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線を空中に横切らせながら環状部側に折り返す必要がない。よって、ステータの薄型化を図ることができると共に、導線やコイルが擦れ等によって傷付く恐れもないので、高品質化を図ることができる。なお、絶縁性基板は、厚みが薄いシート状であるので、薄型化に影響を与えるものではない。
また、従来のように切欠部や係止部に導線を引っ掛けるといった手間が不要で、単に一方の接続パッドに導線の端部を接続するという簡単な作業で、コイルの層数を奇数層にできるので、生産性良くステータを製造することができる。また、ステータコアの先端部の形状に何ら影響を与えないので、永久磁石との対向面積が減少することがない。よって、ステータコアに入る磁束量が減少せず、トルクが低下してしまうことを防止することができる。
【0022】
更に、絶縁性基板という専用の基板に配線パターンをパターニングするので、ステータコアの製造過程とは関係なくパターニング作業を行うことができる。よって、効率良く作業でき生産性をさらに向上することができるうえ、高精度なパターニングをし易い。
なお、他方の接続パッドを他のコイルの導線に電気的に接続することで、複数のコイルを所定の組み合わせで使用することができ、コイルを3相(U相、V相、W相)として機能させることが可能である。
【0023】
また、本発明に係るステータは、上記本発明のステータにおいて、前記配線パターンが、前記一方の接続パッドが配置された前記歯極部とは異なる他の歯極部の近傍に前記他方の接続パッドが配置されるように、前記環状部に沿って延びるようにパターニングされていることを特徴とするものである。
【0024】
この発明に係るステータにおいては、歯極部と歯極部との間(スロット間)における渡り線に相当する部分に関しても配線パターンとすることができるので、導線を引き回した一般的な渡り線の場合に比べて厚みを遥かに薄くすることができる。よって、ステータのさらなる薄型化を図ることができる。
【0025】
また、本発明に係るステータは、軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、前記軸線を中心とする周方向に沿うように、複数の前記先端部上にそれぞれパターニングされ、両端に接続パッドを有する第1の配線パターンと、少なくとも導線の端部が前記接続パッドに接続された状態で、前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、複数の前記先端部に重なるようにリング状に形成され、これら複数の先端部に重なるように前記ステータコアの上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板と、該絶縁性基板の裏面にパターニングされ、前記絶縁性基板が重ね合わされたときに、前記コイルを所定の組み合わせで接続するように該コイルに対応した前記接続パッド同士を接続させる第2の配線パターンと、を備えていることを特徴とするものである。
【0026】
この発明に係るステータにおいては、コイルに所定の電流を供給すると、各歯極部が励磁されて磁界が発生する。この磁界により、永久磁石を軸線回りに回転させることができる。この際、ステータコアは、永久磁石の周面に対向する先端部を歯極部の先端にそれぞれ有しているので、該ステータコアと永久磁石との間の磁束の受け渡しが密になる。従って、永久磁石を効率良く回転させることができる。
【0027】
特に、ステータコアの先端部には、両端に接続パッドを有する第1の配線パターンがパターニングされている。そのため、各歯極部の周囲に導線を巻回してコイルを構成する際に、巻き終わり或いは巻き始めが先端部側であっても、導線の端部を接続パッドに接続することができる。
ところで、ステータコアの上面には、複数の先端部に重なるようにリング状の絶縁性基板が重ね合わされている。そして、絶縁性基板の裏面にパターニングされた第2の配線パターンによって、コイルを所定の組み合わせで接続するように該コイルに対応した接続パッド同士が接続されるようになっている。そのため、第2の配線パターン及び相手側のコイルを利用して、環状部側に電気的な取り出しを行うことができる。
【0028】
従って、コイルの層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線を空中に横切らせながら環状部側に折り返す必要がない。よって、ステータの薄型化を図ることができると共に、導線やコイルが擦れ等によって傷付く恐れもないので、高品質化を図ることができる。なお、絶縁性基板は、厚みが薄いシート状であるので、薄型化に影響を与えるものではない。
また、従来のように切欠部や係止部に導線を引っ掛けるといった手間が不要で、単に先端部上にパターニングされた接続パッドに導線の端部を接続するという簡単な作業で、コイルの層数を奇数層にできるので、生産性良くステータを製造することができる。また、ステータコアの先端部の形状に何ら影響を与えないので、永久磁石との対向面積が減少することがない。よって、ステータコアに入る磁束量が減少せず、トルクが低下してしまうことを防止することができる。
なお、複数のコイルを所定の組み合わせで使用することができるので、コイルを3相(U相、V相、W相)として機能させることが可能である。
【0029】
また、本発明に係るモータは、上記本発明のステータと、前記永久磁石を保持した状態で前記軸線回りに回転可能に支持された軸体と、を備えていることを特徴とするものである。
【0030】
この発明に係るモータにおいては、薄型でトルクの低下が抑えられた高性能なステータを備えているので、モータ自体の薄型化及び高性能化を図ることができる。
【0031】
また、本発明に係る記録媒体駆動装置は、上記本発明のモータと、前記軸体に設けられ、各種情報を記録可能な記録媒体を保持する保持部と、前記軸体を前記軸線回りに回転可能に支持する軸受部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0032】
この発明に係る記録媒体駆動装置においては、薄型化及び高性能化したモータを備えているので、装置自体の薄型化及び高性能化を図ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るステータによれば、導線を空中に横切らせることなくコイルの層数を奇数層にすることができ、生産性の向上化、薄型化を図ることができると共に、トルクの低下を防止して高性能化を図ることができる。
また、本発明に係るモータ及び記録媒体駆動装置によれば、薄型化及び高性能化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態を、図1から図8を参照して説明する。
本実施形態の記録媒体駆動装置1は、図1に示すように、各種情報を記録可能なハードディスク(記録媒体)Dを軸線L回りに回転駆動するスピンドルモータ(モータ)2と、該スピンドルモータ2の後述するハブ(軸体)4に設けられ、上記ハードディスクDを嵌合保持する嵌合部(保持部)4cと、ハブ4を軸線L回りに回転可能に支持する流体動圧軸受部(軸受部)3とを備えている。
【0035】
スピンドルモータ2は、インナーロータータイプのモータであって、軸線L回りに回転可能に支持されたハブ4と、該ハブ4に保持された環状の永久磁石5と、該永久磁石5の周囲を囲むように対向配置されたステータ6と、を備えている。
ハブ4は、軸線Lを中心として略円柱状に形成されたシャフト部4aと、該シャフト部4aの外周面から半径方向外方に延びて形成され、後述するスリーブ7の鍔部7aを上下から挟み込むように形成されたフランジ部4bとを備えている。また、ハブ4の上端は、ハードディスクDの中心孔に挿通されて、該ハードディスクDを嵌合保持する上記嵌合部4cとなっている。また、永久磁石5は、半径方向に沿った断面積が矩形状になるように形成されており、その外周面が軸線Lに平行な方向な面となっている。この永久磁石5は、フランジ部4bによって保持されている。
【0036】
上記流体動圧軸受部3は、カップ状に形成され、基端側がベースによって固定されたスリーブ7と、該スリーブ7と上記ハブ4との間に供給されたオイルWとを備えている。このスリーブ7は、内側が断面円形状に形成されて上記シャフト部4aが収容される収容部となっている。また、スリーブ7の上端には、半径方向外方に延びて形成された鍔部7aが形成されている。また、このスリーブ7とハブ4との間には、微小な隙間が空くように設計されており、その隙間にオイルWが供給されている。なお、このオイルWは、図示しないシールによって、永久磁石5側に洩れないようになっている。
【0037】
また、フランジ部4bに対向する鍔部7aの上下の外表面には、へリングボーン溝と呼ばれる図示しないスラスト動圧発生溝が複数形成されている。また、スリーブ7の内周面に対向するシャフト部4aの外表面にも同様に、図示しないへリングボーン溝と呼ばれるラジアル動圧発生溝が複数形成されている。これにより、ハブ4が回転したときに、オイルWがこれらスラスト動圧発生溝及びラジアル動圧発生溝に沿って流れて圧力が高まり、ハブ4が安定して回転するようになっている。
即ち、これらスラスト動圧発生溝及びラジアル動圧発生溝は、流体動圧軸受部3を構成する一部である。
【0038】
上記ステータ6は、図2に示すように、ステータコア10と、該ステータコア10の後述するティース10bの周囲に巻回されたコイル11と、を備えており、図1に示すように、ベース8上に載置された状態で固定されている。
【0039】
ステータコア10は、プレス等により打ち抜き加工により形成された珪素鋼板等の磁性体の平板を積層(例えば3層)したものであって、図3及び図4に示すように、軸線Lを中心として環状に形成されたコアバック(環状部)10aと、該コアバック10aに基端が固定されると共に永久磁石5に向かう半径方向に延出するように形成され、軸線Lを中心として所定角度(40度)毎に9個(即ち、スロット数が9スロット)だけ形成されたティース(歯極部)10bと、これら複数のティース10bの先端にそれぞれ形成され、永久磁石5の外周面(周面)に対向する先端部10cと、を有している。
このように構成されたステータコア10の外表面には、図示しない絶縁膜がコーティングされている。
【0040】
また、ステータコア10の上面には、複数の配線パターン12がパターニングされている。各配線パターン12は、それぞれ両端に接続パッド12a、12bを有しており、9つのティース10bにそれぞれ沿うようにパターニングされている。なお、図1では、配線パターン12の図示を省略している。
両接続パッド12a、12bのうち、一方の接続パッド12aが先端部10c側に配置され、他方の接続パッド12bがコアバック10a側に配置されるようにパターニングされている。しかも、本実施形態では、各配線パターン12がコアバック10aに沿って延びるようにパターニングされており、他方の接続パッド12bが一方の接続パッド12aが形成されたティース10bの近傍ではなく、該ティース10bから間を2つ空けて3つ目のティース10bの近傍のコアバック10a上に配置されるようになっている。
【0041】
但し、複数の配線パターン12のうち3つの配線パターン12は、他方の接続パッド12bが、1つのティース10bの近傍のコアバック10a上に集まった状態でパターニングされており、グランド端子として機能する。なお、これら複数の配線パターン12は、両接続パッド12a、12bを除く部分が図示しない絶縁膜によってコーティングされている。
【0042】
コイル11は、図2に示すように、ティース10bの周囲を巻回された導線(コイル線)14から構成されており、少なくとも導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続されている。そして、これらコイル11は、U相、V相、W相としてそれぞれ機能するようになっている。具体的には、3つのティース10bを一組として電気的な導通をとることができるように、配線パターン12と組み合わせて導線14がティース10bに巻回されている。なお、導線14は、周囲が図示しない絶縁膜で被覆されている。
【0043】
ここで、3相のうち1相(例えばU相)だけに着目して、導線14と配線パターン12との組み合わせについて説明する。
まず、図5に示すように1つ目のティース10b(矢印Aで示す)には、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き終わった導線14の端部は、一方の接続パッド12aに対して電気的に接続されている。このように、導線14の端部を一方の接続パッド12aに接続することができるので、導線14を奇数層(1層或いは3層等)だけ巻回することができ、コイル11の層数を奇数層にすることができる。
【0044】
また、1つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている2つ目のティース10b(矢印Bで示す)にも同様に、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き始めの導線14の端部は、図6及び図7に示すように、先ほどの配線パターン12の他方の接続パッド12bに接続されている。これにより、1つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。
また、巻き終わった導線14の端部は、先ほどと同様、図6及び図8に示すように一方の接続パッド12aに対して電気的に接続されている。従って、先ほどと同様に、コイル11の層数を奇数層にすることができる。なお、図7及び図8では、コイル11の層数が1層の場合を例に挙げて図示している。
【0045】
更に、図5に示すように、2つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10b(矢印Cで示す)にも同様に、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、導線14の巻き始めの端部及び巻き終わりの端部は、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と同様である。これにより、コイル11の層数を奇数層にすることができる。また、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、3つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。なお、3つ目のティース10bに巻回された導線14に接続された配線パターン12の他方の接続パッド12bは、上述したようにグランド端子として機能する。
【0046】
このように、3つのコイル11は、配線パターン12を介して電気的に導通するようになっており、U相として機能するようになっている。また、残り6つのティース10bにも同様に、配線パターン12と組み合わせて導線14が巻回され、残りの2相(V相、W相)のコイル11として機能するようになっている。なお、各相として機能するコイル11の導線14は、図示しない三相交流電源に電気的に接続されている。
【0047】
次に、このように構成された記録媒体駆動装置1の動作について、以下に説明する。
まず、各コイル11の導線14に三相交流電流を供給してティース10bを励磁させ、磁界を発生させる。この磁界により、永久磁石5及びハブ4を軸線L回りに回転させて、ハードディスクDを回転させることができる。この際、ステータコア10は、永久磁石5の外周面に対向する先端部10cをティース10bの先端に有しているので、該ステータコア10と永久磁石5との間の磁束の受け渡しが密になる。従って、ハブ4を効率良く回転させることができる。
また、ハブ4の回転に伴って、オイルWがスラスト動圧発生溝及びラジアル動圧発生溝に沿って流れるので圧力が高まる。これによりハブ4は、流体動圧軸受部3によってスラスト方向及びラジアル方向の力が支持されるので、滑らかに回転する。
【0048】
特に、ステータコア10の上面には、両端に接続パッド12a、12bを有する配線パターン12がパターニングされている。しかも、この配線パターン12は、一方の接続パッド12aが先端部10c側に配置されていると共に、他方の接続パッド12bがコアバック10a側に配置された状態となっている。そのため、各ティース10bの周囲に導線14を巻回してコイル11を構成する際に、巻き終わりが先端部10c側であっても、導線14の端部を一方の接続パッド12aに接続するだけで、他方の接続パッド12bからコアバック10a側に電気的な取り出しを行うことができる。
【0049】
従って、コイル11の層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線14を空中に横切らせながらコアバック10a側に折り返す必要がない。よって、ステータ6の薄型化を図ることができると共に、導線14やコイル11が擦れ等によって傷付く恐れもないので、高品質化を図ることができる。特に、絶縁層が剥がれることがないので、予期せぬ電気的接触をなくすことができ、スピンドルモータ2の性能低下が生じ難い。
また、従来のように切欠部や係止部に導線14を引っ掛けるといった手間が不要で、単に一方の接続パッド12aに導線14の端部を接続するという簡単な作業で、コイル11の層数を奇数層にできるので、生産性良くステータ6及びスピンドルモータ2を製造することができる。また、ステータコア10の先端部10cの形状に何ら影響を与えないので、永久磁石5との対向面積が減少することがない。よって、ステータコア10に入る磁束量が減少せず、トルクが低下してしまうことを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、ティース10b上だけでなく、コアバック10a上にも配線パターン12がパターニングされている。そのため、ティース10bとティース10bとの間(スロット間)における配線部分の厚みを、導線14を引き回した一般的な渡り線の場合に比べて遥かに薄くすることができる。この点においても、薄型化を図ることができる。
【0051】
上述したように、本実施形態のステータ6によれば、ステータコア10の上面に配線パターン12をパターニングすることで、導線14を空中に横切らせることなくコイル11の層数を奇数層にすることができ、生産性の向上化、薄型化を図ることができると共に、トルクの低下を防止して高性能化を図ることができる。
また、本実施形態のスピンドルモータ2は、上述したステータ6を備えているので、スピンドルモータ2自体の薄型化及び高性能化を図ることができる。更に、本実施形態の記録媒体駆動装置1は、上述したスピンドルモータ2を備えているので、同様に薄型化及び高性能化を図ることができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を、図9から図13を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、ティース10b上だけでなくコアバック10a上にも配線パターン12をパターニングし、他方の接続パッド12bを他のティース10bの近傍のコアバック10a上に配置した構成にしたが、第2実施形態では、一方の接続パッド12aが形成されたティース10bの近傍に他方の接続パッド12bが配置されるように配線パターン12がパターニングされている点である。
【0053】
即ち、本実施形態のステータ20は、図9から図11に示すように、各ティース10b上をコアバック10aから先端部10cに亘ってライン状に配線パターン12がパターニングされたステータコア10を備えている。
このように、配線パターン12がライン状にパターニングされているので、一方の接続パッド12aが形成されたティース10bの近傍に他方の接続パッド12bが配置された状態となっている。また、本実施形態においても、第1実施形態と同様、図9に示すように少なくとも導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続されており、コイル11がU相、V相、W相としてそれぞれ機能するようになっている。
【0054】
ここで、3相のうち1相(例えばU相)だけに着目して、導線14と配線パターン12との組み合わせについて説明する。
まず、図12に示すように1つ目のティース10b(矢印Aで示す)上にパターニングされた配線パターン12の他方の接続パッド12bには、導線14の端部が電気的に接続されている。また、別の導線14の端部(巻き始め)が、同じ配線パターン12の一方の接続パッド12aに電気的に接続された後、先端部10c側からコアバック10aに向かってきれいに整列された状態でティース10bに巻回されている。このように、導線14の巻き始めの端部を一方の接続パッド12aに接続することができるので、導線14を奇数層(1層或いは3層等)だけ巻回することができ、コイル11の層数を奇数層にすることができる。
【0055】
そして、1つ目のティース10bを巻き終わってコアバック10aに達した導線14は、コアバック10a上を渡り線となって、1つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10b(矢印Bで示す)に向かって架設される。そして、2つ目のティース10bに達した導線14は、該ティース10bにパターニングされた配線パターン12の他方の接続パッド12bに電気的に接続される。
一方、この2つ目のティース10bには、別の導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続された後、先ほどと同様に、先端部10c側からコアバック10aに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。これにより、1つ目のティース10bに巻回されたコイル11と2つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。
【0056】
また、巻き終わった導線14の端部は、先ほどと同様にコアバック10a上を渡り線となって、2つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10b(矢印Cで示す)に向かって架設される。そして、3つ目のティース10bに達した導線14は、該ティース10bにパターニングされた配線パターン12の他方の接続パッド12bに電気的に接続される。
一方、この3つ目のティース10bには、別の導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続された後、先ほどと同様に、先端部10c側からコアバック10aに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。これにより、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と3つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。なお、3つ目のティース10bを巻き終わった導線14は、グランドに接続される。
【0057】
このように、本実施形態においても、3つのコイル11が配線パターン12を介して電気的に導通するようになっており、U相として機能するようになっている。また、残り6つのティース10bにも同様に、配線パターン12と組み合わせて導線14が巻回され、残りの2相(V相、W相)のコイル11として機能するようになっている。なお、各相として機能するコイル11の導線14は、図示しない三相交流電源に電気的に接続されている。
【0058】
このように構成されたステータ20であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、この第2実施形態では、各ティース10bに導線14を巻回する際に、巻き始めの導線14の端部を配線パターン12の一方の接続パッド12aに接続した後、コアバック10aに向けて巻回したが、これとは逆に、図13に示すように、コアバック10a側から先端部10cに向けて巻回しても構わない。この場合には、巻き終わりの導線14の端部を一方の接続パッド12aに接続すれば良い。また、1つ目のティース10bにパターニングされた配線パターン12の他方の接続パッド12bに別の導線14の端部を接続した後、コアバック10a上を渡り線として架設し、そのまま2つ目のティース10bをコアバック10a側から巻回すれば良い。
【0059】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態を、図14から図16を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、配線パターン12をステータコア10上にパターニングしたが、第3実施形態では、専用の基板上にパターニングする点である。
【0060】
即ち、本実施形態のステータ30は、図14及び図15に示すように、ステータコア10と、該ステータコア10と略同一の外形形状で形成され、ステータコア10の上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板31と、を備えている。そして、この絶縁性基板31の上面に、第1実施形態と同じパターン形状の配線パターン12がパターニングされている。
また、本実施形態のコイル11は、絶縁性基板31と一緒にティース10bの周囲を巻回された導線14から構成されており、少なくとも導線14の端部が一方の接続パッド12aに電気的に接続されている。そして、これらコイル11は、U相、V相、W相としてそれぞれ機能するようになっている。
【0061】
なお、導線14の巻き方は、第1実施形態と同様であるが、3相のうち1相(例えばU相)だけに着目して、導線14と配線パターン12との組み合わせについて説明する。
まず、図16に示すように1つ目のティース10b(矢印Aで示す)に対して、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き終わった導線14の端部は、絶縁性基板31上にパターニングされた配線パターン12の一方の接続パッド12aに対して電気的に接続されている。このように、導線14の端部を一方の接続パッド12aに接続することができるので、導線14を奇数層(1層或いは3層等)だけ巻回することができ、コイル11の層数を奇数層にすることができる。
【0062】
また、1つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている2つ目のティース10b(矢印Bで示す)には、別の導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き始めの導線14の端部は、先ほどの配線パターン12の他方の接続パッド12bに接続されている。これにより、1つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。
また、巻き終わった導線14の端部は、先ほどと同様、一方の接続パッド12aに対して電気的に接続されている。従って、先ほどと同様に、コイル11の層数を奇数層にすることができる。
【0063】
また、2つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10b(矢印Cで示す)には、別の導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、導線14の巻き始めの端部及び巻き終わりの端部は、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と同様である。これにより、コイル11の層数を奇数層にすることができる。また、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と3つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、配線パターン12を介して電気的に導通された状態となっている。
【0064】
このように、本実施形態においても、3つのコイル11が配線パターン12を介して電気的に導通するようになっており、U相として機能するようになっている。また、残り6つのティース10bにも同様に、配線パターン12と組み合わせて導線14が巻回され、残りの2相(V相、W相)のコイル11として機能するようになっている。
【0065】
このように構成されたステータ30であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。しかも、絶縁性基板31という専用の基板に配線パターン12をパターニングするので、ステータコア10の製造過程とは関係なくパターニング作業を行うことができる。よって、効率良く作業でき、生産性をさらに向上することができるうえ、高精度なパターニングをし易い。なお、絶縁性基板31は、厚みが薄いシート状であるので、薄型化に影響を与えることはない。
【0066】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態を、図17から図23を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第4実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、複数のティース10bにそれぞれ沿うように配線パターン12をパターニングしたが、第4実施形態では、先端部10cのみにパターニングすると共に、絶縁性基板41を利用する点である。
【0067】
即ち、本実施形態のステータ40は、図17に示すように、ステータコア10と、該ステータコア10の複数の先端部10cに重なるようにリング状に形成され、これら複数の先端部10cに重なるようにステータコア10の上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板41と、を備えている。
本実施形態のステータコア10には、図18及び図19に示すように、軸線Lを中心とする周方向に沿うように、両端に接続パッド42aを有する第1の配線パターン42が複数の先端部10c上にそれぞれパターニングされている。
コイル11は、図17に示すように、ティース10bの周囲を巻回された導線14から構成されており、少なくとも導線14の端部が第1の配線パターン42の接続パッド42aに電気的に接続されている。そして、これらコイル11は、U相、V相、W相としてそれぞれ機能するようになっている。
【0068】
ところで、第1の配線パターン42は、図18及び図19に示すように、軸線Lに向かう半径方向に3段階位置がずれるようにパターニングされている。即ち、U相として機能するコイル11が巻回されたティース10b(矢印Fで示すティース)の先端部10cには、第1の配線パターン42がコアバック10a側に極力近い位置に形成されている。一方、V相として機能するコイル11が巻回されたティース10b(矢印Gで示すティース)の先端部10cには、第1の配線パターン42が先ほどよりも軸線Lに近づいた位置に形成されている。そして、W相として機能するコイル11が巻回されたティース10b(矢印Hで示すティース)の先端部10cには、第1の配線パターン42がさらに軸線Lに近づいた位置に形成されている。
【0069】
また、上記絶縁性基板41の裏面には、図20に示すように、ステータコア10に重ね合わされたときに、コイル11を所定の組み合わせで接続するように該コイル11に対応した接続パッド42a同士を電気的に接続させる第2の配線パターン43がパターニングされている。具体的には、半径方向に3段階に位置がずれた接続パッド42aに対応して、第2の配線パターン43も同様に半径方向に3段階に位置がずれた状態でパターニングされており、U相、V相、W相として各コイル11が機能するように、接続パッド42a同士を電気的に接続するようになっている。
【0070】
ここで、3相のうち1相(例えばU相)だけに着目して、導線14と、第1の配線パターン42及び第2の配線パターン43と、の組み合わせについて説明する。
まず、図21に示すように1つ目のティース10b(矢印Aで示す)には、導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き終わった導線14の端部は、先端部10cに形成された第1の配線パターン42の接続パッド42aに電気的に接続されている。
【0071】
また、1つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている2つ目のティース10b(矢印Bで示す)にも同様に、別の導線14がコアバック10a側から先端部10cに向かってきれいに整列された状態で巻回されている。この際、巻き始めの導線14の端部は、先端部10cに形成された第1の配線パターン42の接続パッド42aに電気的に接続されている。そして、2つ目のティース10bを巻き終わってコアバック10aに達した導線14は、コアバック10a上を渡り線となって、2つ目のティース10bから間を2つ空けた位置に配置されている3つ目のティース10bに向かって架設される。そして、3つ目のティース10bに達した導線14は、コアバック10a側から先端部10cに向かって該ティース10bを巻回した後、先端部10cに形成された第1の配線パターン42の接続パッド42aに電気的に接続される。
【0072】
ところで、ステータコア10の上面には、第2の配線パターン43が形成された絶縁性基板41が重ね合わされるので、図22に示すように、1つ目のティース10bの接続パッド42aと第2の配線パターン43とが電気的に接続する。また、この第2の配線パターン43は、2つ目のティース10bの接続パッド42aとも電気的に接続している。これにより、1つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11とが、第1の配線パターン42及び第2の配線パターン43を介して電気的に導通された状態となる。
【0073】
また、2つ目のティース10bに巻回されたコイル11と、3つ目のティース10bに巻回されたコイル11とは、導線14で直接接続されているので、電気的に導通されている。なお、3つ目のティース10bの先端部10cに形成された接続パッド42aに接続される第2の配線パターン43は、共通のグランド端子として機能するグランド接続パッド43aに繋がるようにパターニングされている。
【0074】
このように、3つのコイル11は、第1の配線パターン42及び第2の配線パターン43を介して、電気的に導通するようになっており、U相として機能するようになっている。また、残り6つのティース10bにも同様に、第1の配線パターン42及び第2の配線パターン43と組み合わせて導線14が巻回され、残りの2相(V相、W相)のコイル11として機能するようになっている。なお、各相として機能するコイル11の導線14は、図示しない三相交流電源に電気的に接続されている。
【0075】
このように構成されたステータ40であっても、コイル11の層数を奇数層にすることができることに加え、従来のように導線14を空中に横切らせながらコアバック10a側に折り返す必要がない。従って、やはり第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、第3実施形態と同様に、絶縁性基板41は厚みが薄いシート状であるので、薄型化に影響を与えるものではない。
【0076】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0077】
例えば、上記各実施形態では9個のティース10bが形成されたステータコア10を例に挙げて説明したが、ティース10bの数はこの場合に限られるものではない。また、ハブ4を流体動圧軸受部3により回転可能に支持したが、動圧を利用せずに、単に回転可能に支持する軸受部でも構わない。
【0078】
また、上記各実施形態では、スピンドルモータ2をインナーロータータイプとして説明したが、この場合に限られず、アウターロータータイプであっても構わない。ここで、第1実施形態のスピンドルモータ2をアウターロータータイプに適用した場合の形態を、図面を参照して簡単に説明する。
図23に示すように、この場合の記録媒体駆動装置50は、ステータ6の周囲を囲むように配置された永久磁石5と、永久磁石5の内側で、該永久磁石5に対して対向配置されたステータ6と、を備えており、ステータ6の外側で永久磁石5が軸線L回りに回転するように構成されている。永久磁石5は、ステータ6を越えて該ステータ6の外側まで伸びたハブ4のフランジ部4bによって保持されている。なお、これ以外のハブ4の構成及び流体動圧軸受部3の構成は、第1実施形態と同様である。
【0079】
ステータコア10は、コアバック10aに固定されたティース10bが半径方向外方に延出するように形成されており、該ティース10bの先端が永久磁石5の内周面(周面)に対向する先端部10cとなっている。また、ステータコア10は、スリーブ7の周囲を囲むように配置された状態でベース8上に固定されている。
【0080】
このように構成された記録媒体駆動装置1は、ステータ6の外側を永久磁石5が回転する点が異なるだけで、それ以外に関しては第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、ハブ4のフランジ部4bを長く形成できるので、ハードディスクDをより安定して保持することができ、回転の安定性の向上化、振動の低減化を図ることができる。なお、第1実施形態のスピンドルモータ2をアウターロータータイプに適用した場合を例に挙げて説明したが、その他の実施形態のスピンドルモータ2であっても、アウターロータータイプに適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る第1実施形態の記録媒体駆動装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す記録媒体駆動装置を構成するステータの上面図である。
【図3】図2に示すステータを構成するステータコアの上面図である。
【図4】図3に示すステータコアの一部拡大図である。
【図5】図3に示すステータコアの3つのティースに導線を巻回して、U相として機能するコイルを構成した状態を示す図である。
【図6】図5に示すステータコアの一部拡大図である。
【図7】図6に示す断面矢視D−D図である。
【図8】図6に示す断面矢視F−F図である。
【図9】本発明に係る第2実施形態のステータを示す上面図である。
【図10】図9に示すステータを構成するステータコアの上面図である。
【図11】図10に示すステータコアの一部拡大図である。
【図12】図10に示すステータコアの3つのティースに導線を巻回して、U相として機能するコイルを構成した状態を示す図である。
【図13】導線と配線パターンとの組み合わせの変形例を示す図であって、コイルを構成する際に、コアバック側から先端部に向かって導線を巻回し、巻き終わりの端部を配線パターンの一方の接続部に接続した状態を示す図である。
【図14】本発明に係る第3実施形態のステータを示す上面図である。
【図15】図14に示すステータの分解斜視図である。
【図16】図14に示すステータコアの3つのティースに導線を巻回して、U相として機能するコイルを構成した状態を示す図である。
【図17】本発明に係る第4実施形態のステータを示す上面図である。
【図18】図17に示すステータを構成するステータコアの上面図である。
【図19】図18に示すステータコアの一部拡大図である。
【図20】図17に示すステータを構成する絶縁性基板の上面図である。
【図21】図18に示すステータコアの3つのティースに導線を巻回して、U相として機能するコイルを構成した状態を示す分解斜視図である。
【図22】U相として機能するコイルを構成したときの、導線と第1の配線パターンと第2の配線パターンとの関係を示した図である。
【図23】本発明に係る記録媒体駆動装置の変形例を示す図であって、アウターロータータイプのスピンドルモータを有する記録媒体駆動装置の断面図である。
【図24】従来の記録媒体駆動装置の一例を示す断面図である。
【図25】図24に示す記録媒体駆動装置を構成するステータの上面図である。
【図26】図25に示す断面矢視J−J図である。
【符号の説明】
【0082】
D…ハードディスク(記録媒体)
L…軸線
1、50…記録媒体駆動装置
2…スピンドルモータ(モータ)
3…流体動圧軸受部(軸受部)
4…ハブ(軸体)
4c…嵌合部(保持部)
5…永久磁石
6、20、30、40…ステータ
10…ステータコア
10a…コアバック(環状部)
10b…ティース(歯極部)
10c…先端部
11…コイル
12…配線パターン
12a…一方の接続パッド
12b…他方の接続パッド
31、41…絶縁性基板
42…第1の配線パターン
42a…第1の配線パターンの接続パッド
43…第2の配線パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、
前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、
両端に接続パッドを有した状態で、複数の前記歯極部にそれぞれ沿うように前記ステータコアの上面にパターニングされ、一方の接続パッドが前記先端部側に配置されると共に、他方の接続パッドが前記環状部側に配置された配線パターンと、
少なくとも導線の端部が前記一方の接続パッドに接続された状態で、前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、を備えていることを特徴とするステータ。
【請求項2】
軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、
前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、
該ステータコアと略同一の外形形状で形成され、ステータコアの上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板と、
両端に接続パッドを有した状態で、複数の前記歯極部にそれぞれ沿うように前記絶縁性基板の上面にパターニングされ、一方の接続パッドが前記先端部側に配置されると共に、他方の接続パッドが前記環状部側に配置された配線パターンと、
少なくとも導線の端部が前記一方の接続パッドに接続された状態で、前記絶縁性基板及び前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、を備えていることを特徴とするステータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のステータにおいて、
前記配線パターンは、前記一方の接続パッドが配置された前記歯極部とは異なる他の歯極部の近傍に前記他方の接続パッドが配置されるように、前記環状部に沿って延びるようにパターニングされていることを特徴とするステータ。
【請求項4】
軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、
前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、
前記軸線を中心とする周方向に沿うように、複数の前記先端部上にそれぞれパターニングされ、両端に接続パッドを有する第1の配線パターンと、
少なくとも導線の端部が前記接続パッドに接続された状態で、前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、
複数の前記先端部に重なるようにリング状に形成され、これら複数の先端部に重なるように前記ステータコアの上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板と、
該絶縁性基板の裏面にパターニングされ、前記絶縁性基板が重ね合わされたときに、前記コイルを所定の組み合わせで接続するように該コイルに対応した前記接続パッド同士を接続させる第2の配線パターンと、を備えていることを特徴とするステータ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のステータと、
前記永久磁石を保持した状態で前記軸線回りに回転可能に支持された軸体と、を備えていることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項5に記載のモータと、
前記軸体に設けられ、各種情報を記録可能な記録媒体を保持する保持部と、
前記軸体を前記軸線回りに回転可能に支持する軸受部と、を備えていることを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項1】
軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、
前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、
両端に接続パッドを有した状態で、複数の前記歯極部にそれぞれ沿うように前記ステータコアの上面にパターニングされ、一方の接続パッドが前記先端部側に配置されると共に、他方の接続パッドが前記環状部側に配置された配線パターンと、
少なくとも導線の端部が前記一方の接続パッドに接続された状態で、前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、を備えていることを特徴とするステータ。
【請求項2】
軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、
前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、
該ステータコアと略同一の外形形状で形成され、ステータコアの上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板と、
両端に接続パッドを有した状態で、複数の前記歯極部にそれぞれ沿うように前記絶縁性基板の上面にパターニングされ、一方の接続パッドが前記先端部側に配置されると共に、他方の接続パッドが前記環状部側に配置された配線パターンと、
少なくとも導線の端部が前記一方の接続パッドに接続された状態で、前記絶縁性基板及び前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、を備えていることを特徴とするステータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のステータにおいて、
前記配線パターンは、前記一方の接続パッドが配置された前記歯極部とは異なる他の歯極部の近傍に前記他方の接続パッドが配置されるように、前記環状部に沿って延びるようにパターニングされていることを特徴とするステータ。
【請求項4】
軸線回りに回転する永久磁石に対して対向配置されるステータであって、
前記軸線を中心として環状に形成された環状部と、該環状部に基端が固定されると共に、軸線を中心とする所定角度毎に前記永久磁石に向かう半径方向に延出するように形成された複数の歯極部と、該複数の歯極部の先端にそれぞれ形成されて前記永久磁石の周面に対向する先端部と、を有するステータコアと、
前記軸線を中心とする周方向に沿うように、複数の前記先端部上にそれぞれパターニングされ、両端に接続パッドを有する第1の配線パターンと、
少なくとも導線の端部が前記接続パッドに接続された状態で、前記歯極部の周囲に巻回されたコイルと、
複数の前記先端部に重なるようにリング状に形成され、これら複数の先端部に重なるように前記ステータコアの上面に重ね合わされるシート状の絶縁性基板と、
該絶縁性基板の裏面にパターニングされ、前記絶縁性基板が重ね合わされたときに、前記コイルを所定の組み合わせで接続するように該コイルに対応した前記接続パッド同士を接続させる第2の配線パターンと、を備えていることを特徴とするステータ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のステータと、
前記永久磁石を保持した状態で前記軸線回りに回転可能に支持された軸体と、を備えていることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項5に記載のモータと、
前記軸体に設けられ、各種情報を記録可能な記録媒体を保持する保持部と、
前記軸体を前記軸線回りに回転可能に支持する軸受部と、を備えていることを特徴とする記録媒体駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2009−118549(P2009−118549A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285432(P2007−285432)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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