説明

ストリーミング配信システム、送信装置、中継装置、受信装置、方法、プログラム及び記録媒体

【課題】受信装置が移動した場合でも再生が滞ることを抑制するストリーミング配信システム、送信装置、中継装置、受信装置、方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】送信装置と受信装置と複数の中継装置とがネットワークを介して接続されるストリーミング配信システムで、受信装置は中継装置との接続における電波強度を監視し、電波強度が下がってきた場合は送信装置に通信エリア変更通知を行い、送信装置はストリーム送信中に通信エリア変更通知を受けた際は、複数の中継装置のうち受信装置の移動に伴って次にストリーム送信の伝送中継を行うために接続すると予想される新たな接続先中継装置を判定し、中継装置は送信装置から予め送信されたストリームが有する受信装置識別情報と合致する識別情報を有する受信装置が接続された場合に、ストリームを受信装置へ伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリーミング配信システム、送信装置、中継装置、受信装置、方法、プログラム及び記録媒体に関し、特にストリーミング配信を受信する受信装置が移動した場合でも、受信装置において再生が滞ることを抑制するストリーミング配信システム、送信装置、中継装置、受信装置、方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
音声データや動画データ等のデータファイルをインターネット等のネットワーク上でダウンロードしながらリアルタイムに再生することは「ストリーミング」と呼ばれ、また、このようにダウンロードと再生を同時に行えるデータ形式はストリームデータと呼ばれている(単にストリームとも称す)。
【0003】
音声データや動画データ等は、ハードディスクなどの記憶媒体に一旦ダウンロードしてから再生されるのが一般的である。そのため、ユーザは、音声データや動画データ等のデータファイル全体がダウンロードされるまで待っていなければならなかった。一方、ストリームデータは、ダウンロードと再生を略同時に行えるので、ユーザは、データファイル全体をダウンロードするまで再生を待つ必要はなくなる。
【0004】
従来のストリーム配信方法では、クライアント側(ストリームデータ受信側)は、サーバ側(ストリームデータの送信側)から送信(配信)された音声や動画などのストリームデータを受信(ダウンロード)した時点で、直ちにその受信したストリームデータをデコードして再生するのではなく、その受信した一定量のストリームデータをバッファーメモリに蓄積してから、その蓄積したストリームデータをデコードして再生する。
【0005】
このように、予め一定量のストリームデータをバッファーメモリに蓄積した後、そのストリームデータをデコードして再生するので、クライアント側では、サーバ側の処理能力不足やネットワークの通信回線のバンド幅不足などによるストリームデータのデコード動作におけるデータアンダーフローが発生して、そのデコード動作が滞ってしまうのを回避することが出来る。
【0006】
また、上記のように予め一定量のストリームデータが蓄積するまで待ってからデコードを開始するのでは、タイムラグが生じるため、クライアント側で、ストリームデータの受信開始とともに、滞りなくストリームデータのデコード動作を継続するストリーム配信方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
ストリームデータは、ネットワークに接続してダウンロードするが、ここで、近年は外出先でも無線LAN(Local Area Network)経由で(無線基地局を経由して)、有線のインターネットへの接続を可能としている無線接続サービスが知られている(特許文献2参照)。無線接続サービスでは、無線LAN基地局により通信エリア内の各通信端末にIP(Internet Protocol)アドレスが割り当てられ、基地局ごとに割り当てられるIPアドレスに基づいてパケットデータの送受信が行われる。通信端末としては、持ち運びができるIP通信可能なノート型パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機等の無線IP通信端末が用いられる。
【0008】
通信端末をネットワークに接続するには、ルータのIP(Internet Protocol)アドレスやDNS(Domain Name System)のIPアドレス等のネットワーク情報をコンピュータに設定する必要がある。また、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバが存在する場合には、ネットワーク情報をDHCPサーバから取得することができる。
【0009】
しかしながら、無線LANを用いてデータの送受信を行っている時に、通信端末−無線基地局間の無線区間通信が切断されると、通信端末は再スキャン処理を行って無線基地局装置を探し出すハンドオーバ処理が行われることとなる(特許文献3参照)。つまり、無線LANシステムでは、通信端末の移動に伴って、無線基地局の切り替えが発生する。このように、通信端末の移動に伴って無線通信可能な基地局が変わると、該通信端末に対して新たなIPアドレスの割り当てを行わなければならないため、パケットデータの送受信が中断してしまうという問題があった。
【0010】
そこで、例えば特許文献2では、2以上の基地局と同時に無線通信可能とし、セッションを切断することなく、新たに無線通信可能となった基地局からもIPアドレスを取得し、受信信号の受信感度に基づいて、相手方IP端末との間で確立したセッションから、新たに取得したIPアドレスに係る他の基地局を介したセッションへ自動的に切り替えることで、無線IP通信端末の移動に伴って無線通信可能な基地局が変わる場合であっても、パケットデータ送受信が中断するのを抑制することが出来る無線IP通信端末が提案されている。また、特許文献3では、予め使用可能な全周波数についてスキャン処理を行い、接続可能な無線基地局を予めAP接続候補リストに保持しておき、無線区間通信が切断された場合に該AP接続候補リストから周波数及び無線基地局の情報を引き出すことで、エンドエンド間の通信を保ったまま、データリンク層における無線区間及び有線区間の通信路を切替えることが出来るハンドオーバ処理方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−158657号公報
【特許文献2】特開2005−277537号公報
【特許文献3】特開2004−207922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、無線ネットワークでストリーミング配信を受けるクライアント(通信端末)が、エッジルータ間を移動した場合は、DHCPサーバからケアオブIPアドレスを取得し、それをサーバに通知してストリーミング継続要求を出し、サーバからケアオブIPアドレスに対してストリーミングが再開される。図19に、従来のストリーミング配信の問題点を説明するためのシステム全体図を示す。携帯通信端末71がサーバ1からストリームデータを受信し、ストリーミングを行っている際に(1)、携帯通信端末71が通信エリアA1からA2へ移動すると(2)、サーバ1から送信されるストリームデータは、ルータ31からルータ51経由に変更される(4)。すなわち、移動した携帯通信端末71がDHCPサーバ(例えばルータ51)からケアオブIPアドレスを取得し、サーバ1に通知することで(3)、サーバ1からケアオブIPアドレスに対してストリーミングが継続される(4)。
【0013】
しかしながら、クライアントにストリーミングデータが到着するまでタイムラグがあり、クライアントが予め一定量のストリームデータをバッファーメモリに蓄積していたとしても、バッファ容量の小さなクライアントでは、クライアント画面で再生が滞り、ストリーミングが一時中断するという問題があった。
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ストリーミング配信を受信する受信装置が移動した場合でも、受信装置において再生が滞ることを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るストリーミング配信システムは、ストリームを送信する送信装置と、前記ストリームを受信して再生する受信装置と、前記ストリームの伝送の中継を行う複数の中継装置と、がネットワークを介して接続されるストリーミング配信システムであって、前記送信装置は、前記ストリームの送信中に、前記受信装置から通信エリア変更通知を受けた際は、前記複数の中継装置のうち現在ストリーム送信の中継を行っている中継装置から取得した中継装置移動履歴に基づき、前記複数の中継装置のうち受信装置の移動に伴って次にストリーム送信の中継を行うと予想される移動先中継装置を判定する移動先判定手段と、前記ストリームの送信と並行して、前記移動先判定手段により移動先と判定された中継装置に前記ストリームの送信を行う送信側通信制御手段と、を備え、前記中継装置は、過去に接続した受信装置が、前記複数の中継装置のうちどの中継装置に移動したかの移動履歴を記憶する履歴記憶手段と、前記受信装置の要求に応じてIPアドレスを付与するIPアドレス付与手段と、前記送信装置から送信されたストリームの宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続されている場合に、前記ストリームを前記受信装置へ伝送する中継を行い、現在中継を行っている受信装置の移動履歴を前記履歴記憶手段から抽出し、前記送信装置へ送信する第1の中継側通信制御手段と、前記送信装置から送信されたストリームの宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続されていない場合は、前記送信されたストリームを記憶するストリーム記憶手段と、前記ストリーム記憶手段に記憶したストリームを、前記宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続された場合に送信する第2の中継側通信制御手段と、を備え、前記受信装置は、前記中継装置との接続における電波強度を監視し、前記電波強度が下がってきた場合は、前記中継装置及びネットワークを介して前記送信装置に通信エリア変更通知を行う電波強度監視手段と、接続していた中継装置との通信が途絶えた場合は、他に接続できる中継装置を探して新たに接続し、前記新たに接続した中継装置から取得した前記IPアドレスを前記送信装置に通知し、ストリーム送信要求を行う受信側通信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る送信装置は、ネットワークを介して、ストリームを受信して再生する受信装置に、前記ストリームを送信する送信装置であって、前記ストリームの送信中に、前記受信装置から通信エリア変更通知を受けた際は、前記ストリームの伝送の中継を行う複数の中継装置のうち現在ストリーム送信の中継を行っている中継装置から取得した中継装置移動履歴に基づき、前記複数の中継装置のうち受信装置の移動に伴って次にストリーム送信の中継を行うと予想される移動先中継装置を判定する移動先判定手段と、前記ストリームの送信と並行して、前記移動先判定手段により移動先と判定された中継装置に前記ストリームの送信を行う送信側通信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る中継装置は、送信装置からネットワークを介して送信されたストリームを受信装置に中継する中継装置であって、過去に接続した受信装置が、どの他の中継装置に移動したかの移動履歴を記憶する履歴記憶手段と、前記受信装置の要求に応じてIPアドレスを付与するIPアドレス付与手段と、前記送信装置から送信されたストリームの宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続されている場合に、前記ストリームを前記受信装置へ伝送する中継を行い、現在中継を行っている受信装置の移動履歴を前記履歴記憶手段から抽出し、前記送信装置へ送信する第1の中継側通信制御手段と、前記送信装置から送信されたストリームの宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続されていない場合は、前記送信されたストリームを記憶するストリーム記憶手段と、前記ストリーム記憶手段に記憶したストリームを、前記宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続された場合に送信する第2の中継側通信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る受信装置は、送信装置からネットワーク及び中継装置を介して送信されたストリームを受信し、再生する受信装置であって、前記中継装置との接続における電波強度を監視し、前記電波強度が下がってきた場合は、前記中継装置及びネットワークを介して前記送信装置に通信エリア変更通知を行う電波強度監視手段と、接続していた中継装置との通信が途絶えた場合は、他に接続できる中継装置を探して新たに接続し、前記新たに接続した中継装置から取得したIPアドレスを前記送信装置に通知し、ストリーム送信要求を行う受信側通信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る送信制御方法は、ネットワークを介して、ストリームを受信して再生する受信装置に、前記ストリームを送信する送信装置の送信制御方法であって、前記ストリームの送信中に、前記受信装置から通信エリア変更通知を受けた際は、前記ストリームの伝送の中継を行う複数の中継装置のうち現在ストリーム送信の中継を行っている中継装置から取得した中継装置移動履歴に基づき、前記複数の中継装置のうち受信装置の移動に伴って次にストリーム送信の中継を行うと予想される移動先中継装置を判定するステップと、前記ストリームの送信と並行して、前記判定するステップにより移動先と判定された中継装置に前記ストリームの送信を行うステップと、を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る中継制御方法は、送信装置からネットワークを介して送信されたストリームを受信装置に中継する中継装置の中継制御方法であって、前記送信装置から送信されたストリームの宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続されている場合に、前記ストリームを前記受信装置へ伝送する中継を行い、過去に接続した受信装置がどの他の中継装置に移動したかの移動履歴を記憶する履歴記憶部から、現在中継を行っている受信装置の移動履歴を抽出し、前記送信装置へ送信するステップと、前記送信装置から送信されたストリームの宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続されていない場合は、前記送信されたストリームをストリーム記憶部に記憶し、前記ストリーム記憶部に記憶したストリームを、前記宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続された場合に送信するステップと、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る制御方法は、送信装置からネットワーク及び中継装置を介して送信されたストリームを受信し、再生する受信装置の制御方法であって、前記中継装置との接続における電波強度を監視し、前記電波強度が下がってきた場合は、前記中継装置及びネットワークを介して前記送信装置に通信エリア変更通知を行うステップと、接続していた中継装置との通信が途絶えた場合は、他に接続できる中継装置を探して新たに接続するステップと、前記新たに接続した中継装置から取得したIPアドレスを前記送信装置に通知し、ストリーム送信要求を行うステップと、を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る送信制御プログラムは、ネットワークを介して、ストリームを受信して再生する受信装置に、前記ストリームを送信する送信装置の送信制御プログラムであって、前記ストリームの送信中に、前記受信装置から通信エリア変更通知を受けた際は、前記ストリームの伝送の中継を行う複数の中継装置のうち現在ストリーム送信の中継を行っている中継装置から取得した中継装置移動履歴に基づき、前記複数の中継装置のうち受信装置の移動に伴って次にストリーム送信の中継を行うと予想される移動先中継装置を判定する処理と、前記ストリームの送信と並行して、前記判定するステップにより移動先と判定された中継装置に前記ストリームの送信を行う処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る中継制御プログラムは、送信装置からネットワークを介して送信されたストリームを受信装置に中継する中継装置の中継制御プログラムであって、前記送信装置から送信されたストリームの宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続されている場合に、前記ストリームを前記受信装置へ伝送する中継を行い、過去に接続した受信装置がどの他の中継装置に移動したかの移動履歴を記憶する履歴記憶部から、現在中継を行っている受信装置の移動履歴を抽出し、前記送信装置へ送信する処理と、前記送信装置から送信されたストリームの宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続されていない場合は、前記送信されたストリームをストリーム記憶部に記憶し、前記ストリーム記憶部に記憶したストリームを、前記宛先に合致する識別情報を有する受信装置が接続された場合に送信する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る制御プログラムは、送信装置からネットワーク及び中継装置を介して送信されたストリームを受信し、再生する受信装置の制御プログラムであって、前記中継装置との接続における電波強度を監視し、前記電波強度が下がってきた場合は、前記中継装置及びネットワークを介して前記送信装置に通信エリア変更通知を行う処理と、接続していた中継装置との通信が途絶えた場合は、他に接続できる中継装置を探して新たに接続する処理と、前記新たに接続した中継装置から取得したIPアドレスを前記送信装置に通知し、ストリーム送信要求を行う処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る記録媒体は、上記本発明に係る送信制御プログラム、中継制御プログラム、制御プログラムのいずれかのプログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ストリーミング配信を受信する受信装置が移動した場合でも、受信装置において再生が滞ることを抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るストリーミング配信の全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るサーバの機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るルータの機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る携帯通信端末の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係るストリーミング配信の動作処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るルータが有する移動リストの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るストリーミング配信の動作処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るサーバ1が有する各ルータの移動リストの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るルータと携帯通信端末との接続を説明するためのOSI基本参照モデルを示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るルータと携帯通信端末との接続を説明するためのフレーム・フォーマットを示す図である。
【図11】本発明の実施形態1に係るルータと携帯通信端末との接続を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態1に係るルータと携帯通信端末との接続を説明するためのタイムチャートである。
【図13】本発明の実施形態2に係るルータと携帯通信端末との接続を説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態2に係るルータと携帯通信端末との接続を説明するためのフレーム・フォーマットの一例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係るサーバが携帯通信端末(クライアント)のIPアドレス宛て、またはルータのIPアドレス宛てに送信するIPパケットを示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る携帯通信端末(クライアント)の動作処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施形態に係るサーバの動作処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態に係るルータの動作処理を示すフローチャートである。
【図19】従来のストリーミング配信の問題点を説明するためのシステム全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0029】
本明細書では、ストリームを配信する送信装置の一例としてサーバ、ストリームを受信して再生する受信装置の一例として携帯通信端末、ストリームの伝送の中継を行う中継装置の一例としてルータ、を用いる。
【0030】
(構成)
本発明の実施形態に係るストリーミング配信システムの全体構成図を図1に示す。サーバ1と、ルータ3と、ルータ5とが、ネットワークを介して接続されている。携帯通信端末7は、無線通信制御を行う基地局、基地局と接続するルータ、を介してネットワーク2に接続する。ここで、ルータは2つ記載しているが、複数であれば良く、各ルータに係る通信エリア間で、携帯通信端末7が移動した場合について説明出来れば良い。なお、図1では基地局をルータと別に示しているが、ルータが無線通信制御機能(基地局)を格納しても良い。
【0031】
サーバ1の機能ブロック図を図2に示す。サーバ1は、ストリームデータを蓄積するHDD(Hard Disk Drive)102と、データの送受信(少なくともストリーミング配信を含む)を制御する通信制御部101と、移動リストから移動先を判定する判定部103と、CPU(Central Processing Unit)104と、ROM(Read Only Memory)105と、RAM(Random Access Memory)106と、から少なくとも構成される。
【0032】
CPU104は、サーバ1の全体制御を行うプロセッサである。ROM105は、読み出し専用メモリであり、本実施形態に係る処理を実現するプログラムが格納される。本プログラムは、主記憶へロードされてCPU104により実行される。RAM106は、CPU104が行う処理において必要となる各種データを一時的に格納するメモリである。
【0033】
各ルータの機能ブロック図を図3に示す。データの送受信を制御する通信制御部301、HDD302と、IPアドレスを携帯通信端末に付与するIPアドレス付与部303と、CPU304と、ROM305と、RAM306と、から少なくとも構成される。
【0034】
ルータは、サーバ1から配信されるストリームデータを携帯通信端末7に伝送する中継を行う。HDD302は、サーバ1から送信されたストリームデータの送信先である携帯通信端末(携帯通信端末7の固有識別情報で識別)が未だ接続されていない場合は、一時的に該ストリームデータをバッファリングする。また、HDD302は後述する移動リストを蓄積する。
【0035】
CPU304、ROM305、RAM306などは、サーバ1と同様の役割を果たす。
【0036】
なお各ルータは、ファイルサイズの大きいデジタルコンテンツをネットワーク経由で配信するために最適化されたネットワークであるCDN(Contents Delivery Network)に対応した無線CDNルータを用いても良い。
【0037】
携帯通信端末7の機能ブロック図を図4に示す。携帯通信端末7は、HDD702と、データの送受信を制御する通信制御部701と、電波強度監視部703と、CPU704と、ROM705と、RAM706と、から少なくとも構成される。
【0038】
HDD702は、一定量のストリームデータを蓄積する。ストリーミング配信は、ストリームデータのダウンロードと再生を略同時に行えることを特徴とするが、このように受信した一定量のストリームデータをバッファーメモリに蓄積してから、その蓄積したストリームデータを再生することで、かかる一定量のデータの再生時間分はストリーミング配信が滞ることを回避することが出来る。
【0039】
電波強度監視部703は、接続するネットワーク機器(例えば基地局)との電波強度を監視する。電波強度が下がってきた場合は、携帯通信端末7が接続するネットワーク機器から離れていき、将来的には接続できなくなると判断でき、データ通信を行っているサーバ1に、通信エリア変更通知を行う。
【0040】
CPU704、ROM705、RAM706などは、サーバ1と同様の役割を果たす。
【0041】
(動作処理)
〔概要〕
本実施形態に係るストリーミング配信システムでは、通信エリアA1にある携帯通信端末に対してルータ3を介してストリームデータを送信(配信)している際に(図1の(10)参照)、他のルータ5にも、ストリームデータを送信し(11)、ルータ5でストリームデータをバッファする(12)。その後、携帯通信端末7が通信エリアA2に移動した場合は(13)、予めルータ5に蓄積したストリームデータを送信できるため(14)、携帯通信端末7でのストリーミングが滞ることなく、継続することが出来る。すなわち、ルータ5に蓄積したストリームデータを携帯通信端末7に送信して再生している間に、サーバ1からルータ5を介した携帯通信端末7へのストリーム配信を行う処理を済ませることで、ストリーミング配信を継続することが出来る。なお従来は、携帯通信端末7で再生するために一定量のストリームデータを蓄積していたが、携帯通信端末が備える記憶部のストリームデータ蓄積のための容量は少なく、携帯通信端末が移動して通信エリアが変更してしまった場合に、サーバ1から新たにストリーム配信を受けるまでに一定量の再生が終わってしまい、ストリーミングが滞ることがあった。
【0042】
〔移動リスト(移動履歴とも称す)〕
ここで、ネットワークに接続するルータは複数あるため、携帯通信端末7がどの通信エリアに移動するかについての情報(履歴)を、サーバ1は予め備えることが必要となる。なお本実施形態では、サーバ1が全てのルータにおける移動リストを保持するのはサーバ1に負担がかかるため、ストリーミング配信が開始された場合に、現在接続しているルータから該ルータの移動リストを取得することとする。
【0043】
図5は、本実施形態に係るストリーミング配信の動作処理を示すフローチャートである。まず、ルータ3は、接続する携帯通信端末7の固有識別情報を取得する(ステップS1)。かかる固有識別情報は、例えばMACアドレス(Media Access Control address)である。MACアドレスは、ネットワーク上で各ノードを識別するために設定されているLANカードなどのネットワーク機器のハードウェア固有の物理アドレス(Node IDとも称される)である。
【0044】
携帯通信端末7は、移動により通信エリアが変更した場合、移動元ルータ(ルータ3)に、現在接続している移動先ルータ(ルータ5)のIPアドレスを通知する(ステップS2)。これにより、ルータ3は、過去に接続した各携帯通信端末が、どのルータに移動したか収集し、リスト化(履歴化)することが出来る(ステップS3)。ルータ3が有する移動リストの一例を図6に示す。図6では、携帯通信端末7の固有識別情報が「01−A1−11−1B…」、ルータ3のIPアドレスが「123.XXX.YYY…」、ルータ5のIPアドレスが「456.XXX.YYY…」とする。なお、図6に示すように、過去の移動先ルータを時系列順にリスト化しても良いし、前回移動したルータのIPアドレスのみリストに残すようにしても良い。
【0045】
〔ストリーミング配信〕
以上のように、各ルータが移動リストの履歴を有していることを前提に、本実施形態の動作処理が以下のように行われる。本実施形態に係るストリーミング配信の動作処理を図7に示す。
【0046】
サーバ1−携帯通信端末7間で、ルータ3を介してストリーミング配信が開始されると(ステップS5)、サーバ1は、現在接続しているルータ3の移動リストを取得する(ステップS6)。サーバ1は、同時に複数の携帯通信端末に対してそれぞれ別のルータを介してストリーミング配信することも可能であり、複数のルータから移動リストを取得した場合の、サーバ1が有する各ルータの移動リストの一例を図8に示す。
【0047】
ストリーミング配信中に、携帯通信端末7から、現在の通信エリアから外れる恐れのある旨の通知(通信エリア変更通知)を受けた場合は(ステップS7/Yes)、取得した移動リストから携帯通信端末7の移動先ルータを判定する(ステップS8)。例えば、移動リストが過去の移動先ルータを時系列順にリスト化したものである場合は、過去において携帯通信端末7(固有識別情報:「01−A1−11−1B…」)はルータ3(IPアドレス:「123.XXX.YYY…」)からルータ5(IPアドレス:「456.XXX.YYY…」)に移動する確立が高いため、移動先ルータはルータ5であると判定することが出来る。
【0048】
ここで、携帯通信端末7が通信エリアから外れる恐れのある旨の通知について説明する。携帯通信端末7が備える電波強度監視部703は(図4参照)、現在通信を行っている電波の強度が下がってきた場合は、携帯通信端末7が通信エリアを移動していると判断できるため、通信制御部701を介して、携帯通信端末7が通信エリアから外れる恐れのある旨を通知する。
【0049】
上記ステップS8において、携帯通信端末7の移動先ルータが判定できた場合、現在行っているルータ3を介したストリーミング配信と並列して、移動先ルータ5のIPアドレス宛に、アプリケーション層にて携帯通信端末7のMACアドレスを把握できるストリーミング配信を行う(ステップS9)。ルータ5は、配信されたストリームデータを記憶部302に蓄積し、アプリケーション層にて把握できる指定MACアドレスを有する携帯通信端末7が接続された場合に、記憶部302に蓄積したストリームデータを携帯通信端末7に送信する。
【0050】
ここで、サーバ1が、携帯通信端末7(クライアント)のIPアドレス宛て、または、ルータのIPアドレス宛てに送信するIPパケットを図15に示す。図15において、IPヘッダはIPパケットのヘッダである。コネクションIDはクライアントとの通信に割り当てられたユニークなID、例えばシーケンシャル番号を通信に対して順に割り当てる。コンテンツIDはサーバが保持するコンテンツを一意に識別可能なIDである。フレーム番号はコンテンツを時間的に分割したフレームに対して割り振った番号である。オフセットはフレーム内のオフセットである。データはコンテンツデータである。
【0051】
次に、各装置の動作処理について説明する。図16は、本実施形態に係る携帯通信端末(クライアント)の動作処理を示すフローチャートである。新規にファイルを受信する場合は(S100/Yes)、ルータからIPアドレスを取得し(S101)、サーバにファイル送信要求を送信する(S102)。電波強度が0の場合は次ルータに接続通知(コマンドID=0001)を送信する(S103/Yes)。
【0052】
電波強度が0ではないが(S103/No)、電波強度が弱まった場合は弱電通知を送信する(S104/Yes、S105)。
【0053】
ファイルデータのIPパケット受信を行う(S106/Yes)。IPパケットからフレーム番号、フレーム内オフセット、データ長(バイト)を取得する(S107)。ファイル最終パケットを受信すると終了する(S108/Yes)。
【0054】
一方、ファイル受信が新規でない場合(S100/No)、すなわちファイルデータ受信(ストリーミング)中に携帯通信端末が移動し、該ファイルデータ受信を継続する場合に、次ルータに接続通知(コマンドID=0001)を送信する(S109)。当該ルータの電波強度が0の場合は、さらに次ルータに接続通知を送信する(S110/Yes)。
【0055】
電波強度が0でない場合は(S110/No)当該ルータとの接続を継続する。当該ルータ(移動後のルータ)から新規にIPアドレスを取得した場合は(S111/Yes)、サーバ及び前ルータに移動通知を送信する(S112)。
【0056】
移動後のルータで、新規にIPアドレスを取得しなかった場合は(S111/No)、コマンドID=0002(データリンク層でのデータ通信)のパケットを受信し(S113/Yes)、フレーム番号、フレーム内オフセット、データ長(バイト)を取得する(S114)。
【0057】
コマンドID=0003のパケットを受信する(S115/Yes)。コマンドID=0003は、サーバから、クライアントに対し、ファイルデータを送信するIPパケットである。フレーム番号、フレーム内オフセット、データ長(バイト)を取得する(S116)。その後、S106以降のファイルデータのIPパケット受信処理が行われる。
【0058】
図17は、本実施形態に係るサーバの動作処理を示すフローチャートである。クライアントからファイル送信要求を受信すると(S120/Yes)、フレーム番号、フレーム内オフセットを送信先リストに追加する(S121)。
【0059】
クライアントから弱電通知を受信した場合(S122/Yes)、現在のルータから過去の移動履歴を受信する(S126)。送信先リストに次ルータを追加する(S127)。
【0060】
クライアントから移動通知を受信した場合は(S123/Yes)、送信先リストは新規IPアドレス(S123の移動通知の際にクライアント(携帯通信端末)から受信したもの)のみとする(S128)。
【0061】
送信先リストの全てにファイルデータのIPパケットを送信する(S124)。ファイル最終パケットまで送信したら終了する(S125/Yes)。
【0062】
図18は、本実施形態に係るルータの動作処理を示すフローチャートである。クライアントから移動通知を受信すると(S130/Yes)、クライアントのMACアドレスと、新ルータIPアドレスを記録する(S133)。
【0063】
未接続のクライアントへのデータを受信した場合は(S133/Yes)、将来接続するクライアントへのデータとしてバッファリングする(S134)。
【0064】
新規クライアントが接続すると(S132/Yes)、バッファリングしたデータをクライアントに送信する(S135)。IPアドレスを新クライアントに付与する(S136)。
【0065】
以上のように、移動先のルータに予めストリームデータを一時的にバッファリングすることで、クライアントのローミングによるストリーミングの滞りを防止する。
【0066】
なお、図7に示すフローチャートでは、サーバ1がストリーミング配信を開始した後、予め移動リストを取得しているが、サーバ1は携帯通信端末から通知を受けてから(ステップS7/Yes)、上記移動リストをルータ3から取得するようにしても良い。
【0067】
次に、ストリームデータを予め蓄積したルータ5の動作処理について説明する。上記では「指定されたMACアドレスを有する携帯通信端末7が接続された場合」とあるが、具体的には、携帯通信端末等の情報処理装置(コンピュータ)をネットワークに接続するには、IPアドレス、ルータアドレス等のネットワーク情報を取得してコンピュータに設定する必要がある。DHCPサーバが存在する場合には、ネットワーク情報をDHCPサーバから取得することが出来る。本実施形態では、ルータ5がDHCPサーバとしてIPアドレス等のネットワーク情報の割り当てを行う。
【0068】
ルータは、ネットワーク間を相互接続する通信機器であり、コンピュータ・ネットワークの機能を分類した7層(物理層(第1層)、データリンク層(第2層)、ネットワーク層(第3層)、トランスポート層(第4層)、セッション層(第5層)、プレゼンテーション層(第6層)、アプリケーション層(第7層))から成るOSI基本参照モデルでいえば、第1層「物理層」から第3層「ネットワーク層」までの接続を担う(図9参照)。
【0069】
ここで、ネットワーク2上を流れるパケットは、例えばネットワークが有線のEthernet((登録商標)、IEEE802.3)であれば、図10(a)に示すフォーマットを有するデータリンク層のパケットであり、無線LAN(IEEE802.11)であれば、同図(b)に示すフォーマットを有する。
【0070】
なお、ルータ5と携帯通信端末7との接続について図を用いて以下詳述するが、ここでは無線基地局6(図1参照)は省略して説明する。
【0071】
(実施形態1)
携帯通信端末7が通信エリアA1から通信エリアA2に移動し、ルータ5との接続を要求する場合について図11を用いて説明する。(i)携帯通信端末は、ブロードキャストでDHCPサーバ(ルータ)を探し、回答のあったサーバから接続するサーバを選び、接続する。図12は、かかる接続の手順を示すタイムチャートである。このように、DHCPでIPアドレスを取得してから、(ii)ルータ5は携帯通信端末7に割り当てたIPアドレス宛にパケット(ストリームデータ)を送信する。なお、予めサーバ1から受信したストリームはアプリケーション層で把握できるMACアドレスを有するため、携帯通信端末7のMACアドレスを取得することで、指定の携帯通信端末を識別することが出来る。
【0072】
(実施形態2)
一方、携帯通信端末7が通信エリアA1から通信エリアA2に移動し、ルータ5との接続した場合に、IPアドレスの割り当てを受ける前にストリーミングを始めることが考え得る。より早くルータ5からストリームデータを受信した方が、ストリーミングの滞りを防ぐことが出来る。図13は、本実施形態に係る携帯通信端末7とルータ5との通信を説明するための図である。本実施形態では、ルータ5と物理層、データリンク層レベルで携帯通信端末7とルータ5が接続した段階で(i)、パケットを用いずに例えばデータリン
ク層のプロトコルを使用して、ストリームデータを送信する(ii)。なお、ストリームデータを送受信している間も、IPアドレス取得処理(DHCPサーバからのIPアドレス付与)は並行して行われる(iii)。
【0073】
具体的には、図10(b)に示すフレーム・フォーマットの(I)データに、例えば図
14に示すフォーマットを入れることが考え得る。コマンドIDは、0001を接続要求通知、0002をデータ送信、など予め決めておく。コンテンツIDは、サーバ1が配信しているストリームデータを管理するIDであり、どのコンテンツ(ストリームデータ)を要求しているかが示される。フレーム番号は、コンテンツを更に分割して番号を振ったものであり、例えば1時間のコンテンツのうち、どこから送ってほしいのかを示す。ルータ5は、要求に応じたストリームデータを数回に分けて送信することが出来る。
【0074】
以上、実施形態1若しくは実施形態2により、携帯通信端末7がIPアドレスを取得した後は、サーバ1にストリーミング配信要求を行い、サーバ1からのストリーミング配信を継続することが出来る。サーバ1からのストリーミング配信は、図19の(4)ストリームデータ配信のように、通常のストリーミング配信がサーバ1−ルータ5−携帯通信端末7間で行われる。
【0075】
なお、各図のフローチャートに示す処理を、CPUが実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録する記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0076】
以上、本発明を好適な実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
1 サーバ
2 ネットワーク
3、5、21、51 ルータ
4、6 基地局
7、71 携帯通信端末
101、301、701 通信制御部
102、302、702 記憶部
103 移動先判定部
703 電波強度監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリームを送信する送信装置と、前記ストリームを受信して再生する受信装置と、前記ストリームの伝送の中継を行う複数の中継装置と、がネットワークを介して接続されるストリーミング配信システムであって、
前記送信装置は、
前記ストリームの送信中に、前記受信装置から通信エリア変更通知を受けた際は、前記複数の中継装置のうち受信装置の移動に伴って次にストリーム送信の伝送中継を行うために接続すると予想される新たな接続先中継装置を判定する判定手段と、
前記ストリームの送信と並行して、前記判定手段により新たな接続先と判定された中継装置に予め前記ストリームの送信を行う送信側通信制御手段と、を備え、
前記中継装置は、
前記送信装置から予め送信されたストリームが有する受信装置識別情報と合致する識別情報を有する受信装置が接続された場合に、前記ストリームを前記受信装置へ伝送する中継を行う中継側通信制御手段と、
前記送信装置から予め送信されたストリームを、前記受信装置が接続されるまで記憶するストリーム記憶手段と、を備え、
前記受信装置は、
前記中継装置との接続における電波強度を監視し、前記電波強度が下がってきた場合は、前記中継装置及びネットワークを介して前記送信装置に通信エリア変更通知を行う電波強度監視手段を備えることを特徴とするストリーミング配信システム。
【請求項2】
前記送信装置が備える判定手段は、前記複数の中継装置のうち現在ストリーム送信の中継を行っている中継装置から取得した中継装置接続履歴に基づき、前記新たな接続先中継装置を判定し、
前記中継装置は、
過去に接続した受信装置が、前記受信装置の移動に伴って、前記複数の中継装置のうちどの中継装置に次に接続したかの履歴である中継装置接続履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記受信装置の要求に応じてIPアドレスを付与するIPアドレス付与手段と、を備え、
前記受信装置は、
接続していた中継装置との通信が途絶えた場合は、他に接続できる中継装置を探して新たに接続し、前記新たに接続した中継装置から取得した前記IPアドレスを前記送信装置に通知し、ストリーム送信要求を行う受信側通信制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載のストリーミング配信システム。
【請求項3】
前記中継側通信制御手段は、前記送信装置から予め送信されたストリームが有する受信装置識別情報と合致する識別情報を有する受信装置であって、且つ前記IPアドレスを付与した受信装置に対して、IPパケットを利用し、ネットワーク層で前記ストリーム記憶手段に記憶したストリームを送信することを特徴とする請求項2記載のストリーミング配信システム。
【請求項4】
前記中継側通信制御手段は、前記送信装置から予め送信されたストリームが有する受信装置識別情報と合致する識別情報を有する受信装置に対して、データリンク層で前記ストリーム記憶手段に記憶したストリームを送信し、
前記IPアドレス付与手段は、前記データリンク層でのストリームの送信と並行して、前記受信装置にIPアドレスの付与を行うことを特徴とする請求項2記載のストリーミング配信システム。
【請求項5】
ストリームを受信して再生する受信装置に、ネットワークを介して前記ストリームを送信する送信装置であって、
前記ストリームの送信中に、前記受信装置から通信エリア変更通知を受けた際は、前記複数の中継装置のうち受信装置の移動に伴って次にストリーム送信の伝送中継を行うために接続すると予想される新たな接続先中継装置を判定する判定手段と、

前記ストリームの送信と並行して、前記判定手段により新たな接続先と判定された中継装置に予め前記ストリームの送信を行う送信側通信制御手段と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項6】
送信装置からネットワークを介して送信されたストリームを受信装置に中継する中継装置であって、
前記送信装置から予め送信されたストリームが有する受信装置識別情報と合致する識別情報を有する受信装置が接続された場合に、前記ストリームを前記受信装置へ伝送する中継を行う中継側通信制御手段と、
前記送信装置から予め送信されたストリームを、前記受信装置が接続されるまで記憶するストリーム記憶手段と、
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項7】
送信装置からネットワーク及び中継装置を介して送信されたストリームを受信し、再生する受信装置であって、
前記中継装置との接続における電波強度を監視し、前記電波強度が下がってきた場合は、前記中継装置及びネットワークを介して前記送信装置に通信エリア変更通知を行う電波強度監視手段と、
接続していた中継装置との通信が途絶えた場合は、他に接続できる中継装置を探して新たに接続し、前記新たに接続した中継装置から取得したIPアドレスを前記送信装置に通知し、ストリーム送信要求を行う受信側通信制御手段と、を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項8】
ストリームを受信して再生する受信装置に、ネットワークを介して前記ストリームを送信する送信装置の送信制御方法であって、
前記ストリームの送信中に、前記受信装置から通信エリア変更通知を受けた際は、前記複数の中継装置のうち受信装置の移動に伴って次にストリーム送信の伝送中継を行うために接続すると予想される新たな接続先中継装置を判定するステップと、
前記ストリームの送信と並行して、前記判定するステップにより新たな接続先と判定された中継装置に予め前記ストリームの送信を行うステップと、を備えることを特徴とする送信制御方法。
【請求項9】
送信装置からネットワークを介して送信されたストリームを受信装置に中継する中継装置の中継制御方法であって、
前記送信装置から予め送信されたストリームを、前記送信されたストリームが有する受信装置識別情報と合致する識別情報を有する受信装置が接続されるまで記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶したストリームを、前記受信装置が接続された場合に送信するステップを備えることを特徴とする中継制御方法。
【請求項10】
送信装置からネットワーク及び中継装置を介して送信されたストリームを受信し、再生する受信装置の制御方法であって、
前記中継装置との接続における電波強度を監視し、前記電波強度が下がってきた場合は、前記中継装置及びネットワークを介して前記送信装置に通信エリア変更通知を行うステップを備えることを特徴とする制御方法。
【請求項11】
ストリームを受信して再生する受信装置に、ネットワークを介して前記ストリームを送信する送信装置の送信制御プログラムであって、
前記ストリームの送信中に、前記受信装置から通信エリア変更通知を受けた際は、前記複数の中継装置のうち受信装置の移動に伴って次にストリーム送信の伝送中継を行うために接続すると予想される新たな接続先中継装置を判定する処理と、
前記ストリームの送信と並行して、前記判定するステップにより新たな接続先と判定された中継装置に予め前記ストリームの送信を行う処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする送信制御プログラム。
【請求項12】
送信装置からネットワークを介して送信されたストリームを受信装置に中継する中継装置の中継制御プログラムであって、
前記送信装置から予め送信されたストリームを、前記送信されたストリームが有する受信装置識別情報と合致する識別情報を有する受信装置が接続されるまで記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶したストリームを、前記受信装置が接続された場合に送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする中継制御プログラム。
【請求項13】
送信装置からネットワーク及び中継装置を介して送信されたストリームを受信し、再生する受信装置の制御プログラムであって、
前記中継装置との接続における電波強度を監視し、前記電波強度が下がってきた場合は、前記中継装置及びネットワークを介して前記送信装置に通信エリア変更通知を行う処理をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項記載のプログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−239421(P2010−239421A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85646(P2009−85646)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】