説明

スラッジ又はスラッジ化された廃棄物に基づく建設資材

本発明は、スラッジ又は残滓物質(例えば浚渫物)、バインダー、バインダー遅延剤、及び場合により1以上の他の成分を含む流動性建設混合物に関する。本発明は、さらに、固体建設資材を製造する方法、及びインフラストラクチャープロジェクトにおいて建設資材を使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラッジ又は残滓物質、例えば浚渫物に基づく建設資材に関する。
【0002】
河川及び港湾は、利用できる状態に保つために、定期的に浚渫される必要がある。水から浚渫される物質は典型的には廃棄物と考えられる。従来、該物は、なんらさらに使用されることなく廃棄されている。
【0003】
近年、高められた生態学的意識の結果、有利に使用されることのできる浚渫物を加工することに関心が高まっている。
【背景技術】
【0004】
国際特許出願国際公開第02/074391号は、高められた温度において浚渫物及び石灰をベースとするバインダーが混合されるところの、浚渫物の処理のための方法を記載している。石灰をベースとするバインダーは、水分及び加工していない浚渫物の体積の減少をもたらす条件下で添加される。冷却後、キレート剤が添加され、浚渫物の浄化及び固化をもたらす。固体物はコンポジット物質のためのフィラーとして適切であることが報告されている。
【0005】
日本国特許出願公開第58-079859号の要約は、他の成分の中に、スラッジ、セメント、発泡剤、クエン酸塩、砂、及び相対的に少量の水を含むコンクリート混合物を記載している。該コンクリート混合物は流動性であることは述べられていない。さらに、該混合物に繊維物質を添加することは記載されていない。
【0006】
旧ソビエト連邦特許出願公開第1557127号は、削減された水の消費を利点として有するコンクリート混合物に関する。該混合物は他の成分の中に、セメント、ボーキサイトスラッジ、バインダー、及びリグノスルホネート(lignosulphonate)を含む。水分は相対的に低い(23.1〜26.3%)。該コンクリート混合物が流動性であることは述べられていない。さらに、該混合物に繊維物質を添加することは記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水分を減らすための高温を必要とせずに、スラッジ又は残滓から建設資材、特に土木工学用途において柔軟な使用を好ましく許す資材を製造するための方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その使用を容易にするために十分に長期間流動性を保つスラッジ又は残滓物質に基づく建設混合物(construction mixture)を提供することが可能であることが、驚いたことに今見出された。
【0009】
特に、本発明は、重要なパラメーター、例えば機械的強度、支持強さ(bearing strength)、硬さ比重(stiffness specific weight)、透過性、加工性、及び/又は本発明に従う流動性混合物から得られる得る固体建設資材のコストを制御する可能性を提供する。
【0010】
従って、本発明は、スラッジ又は残滓物質(例えば浚渫物)、バインダー、バインダー遅延剤、及び場合により1以上の他の成分、特に発泡剤、及び/又は加重物(weighting material)を含む流動性の建設混合物に関する。
【0011】
本発明は、該流動性混合物から固体建設資材を製造する方法、そのような方法により得られ得る固体建設資材にさらに関する。
【0012】
図1は、流動相、プラスチック相(バインディング開始剤の添加後)、及び硬化相における本発明に従う混合物の剪断強さを示す。
【0013】
図2は、通過する流れの体積の数の関数として、本発明の2つの異なる建設資材の透過性を示す。
【0014】
1以上のパラメーター、例えば上述されたもの、を非常に簡便に制御することが可能であることが見出された。
【0015】
図3は、本発明に従うインフラストラクチャー要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に従う建設混合物又は固体建設資材は、インフラストラクチャー要素を提供するために非常に適切であることが見出された。そのような要素の好ましい例は、道路、駐車場、飛行機の着陸滑走路、埠頭、防波堤、堤防、土手、道路盛土(road embankment)、鉄道盛土、ダム、防音壁、及び土地造成プロジェクトから選択される。
【0017】
本発明に従う固体建設資材は、さらに、バラスト、特に船舶のためのバラスト、クレーンの平衡錘、又は水面下のパイプライン又は水面下の建造物のためのバラスト物質として特に適切であることがさらに見出された。
【0018】
本発明に従う建設混合物は、環境条件下において、該物質の固体資材への柔軟なさらなる加工を許すのに十分に、好ましくは少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも1日、(ポンプ輸送可能、又は注入可能であり続けるように)流動性である。これは、固体資材を製造する場所とは異なる場所において混合物を製造することを許す。原則として、該流動性混合物を土木工学用途に直接使用することさえ許す。それは大きなマスターバッチで流動物を製造し、そのバッチから種々の性質を有する種々の固体資材を提供することをさらに許す。
【0019】
流動性混合物は、4週間以上(バインディング開始剤の不存在において)流動性であるようなものであり得る。実際には、それは約1日から約1週間まで流動性であることが好ましい。
【0020】
用語流動性は、本明細書において注入可能、及び/又はポンプ輸送可能として定義される。特に、剪断強さがHaakeのロトビスコシメーター(温度:25℃、スピンドル:FL10、スピンドル速度:毎分10回転)で測定されて250Pa未満であれば、組成物は、流動性であると考えられる。
【0021】
本明細書において使用される用語スラッジは、最も広義には、粒子状の無機の鉱物物質(特にシリカをベースとするもの)及び水を含む分散物である。用語スラッジは、特に浚渫物を含む。スラッジは典型的には主成分として泥を含む。あるいは、さらにシルト、粘土、砂、及び/又は他の粒状物質を含み得る。
【0022】
本明細書において使用される用語残滓物質は、採掘工程、粉砕工程、研磨加工から得られるスラッジ化された物質、又は他のスラッジ化された産業廃棄物として定義される。
【0023】
別に特定されない限り、用語スラッジは、スラッジ、残滓物質、及び浚渫物を含むことが意味される。
【0024】
用語、環境条件は、本明細において、物質が加工される環境の温度を記載するために特に使用される。好ましくはそのような温度は約0〜30℃の間である。
【0025】
本発明に従う流動性の建設混合物は、スラッジ又は残滓物質、バインダー、バインダー遅延剤、及び1以上の任意的な成分を一緒に混合することにより製造され得る。
【0026】
好ましい混合方法は、バインダーを混合する前にスラッジ及び遅延剤を混合することである。
【0027】
別の好ましい混合方法は、遅延剤を混合する前に、スラッジをバインダーと混合することである。
【0028】
両方の混合方法において、他の成分は、通常、スラッジ、バインダー及び遅延剤を混合した後に添加される。
【0029】
本発明に従う方法は、環境条件下において非常に適切に行われる得る。
【0030】
スラッジ又は残滓物質が成分を混合する前に、通常予備処理される必要がないことはさらなる利点である。特にスラッジ又は残滓物質は、脱水することなくさらに加工され得る。
【0031】
スラッジ又は残滓物質(例えば浚渫物)が所望されない巨視的な物体、(例えばレンガ、自転車など、家庭用備品、梱包材料)を含む場合、これらは混合の前にスラッジ又は残滓物質から除去され得る。もしその物体が約5cm以上(最大直径)のサイズを有するならば、そのような物体は、好ましくは少なくとも部分的に除去される。
【0032】
任意的に、有機汚染物質は、好ましくは曝気によりスラッジ、残滓物質、又は混合物から除去される。しかし、不純物、例えば重金属、有機化合物、例えば鉱油、PCB(ポリクロロビフェニル)、PAC(ポリ芳香族炭化水素)などを除去するための予備処理なしに、スラッジを使用することが可能である。
【0033】
建設混合物中のスラッジの量は、好ましくは少なくとも約50%(体積)、より好ましくは少なくとも約65%(体積)である。好ましくはその量は、98%(体積)を超えず、より好ましくはその量は約95%(体積)未満である。
【0034】
混合物中のバインダーの量は、好ましくは約50〜400kg/m3スラッジである。高い強さ及び/又はE-モジュラスのために、バインダーの量は好ましくは相対的に高く、特に約100kg/m3以上、より好ましくは約200kg/m3以上である。
【0035】
特に、インフラストラクチャー用途における基礎資材としての使用のためには、バインダーの量は少なくとも約75kg/m3のスラッジであることが好ましい。
【0036】
特に、建設の目的の場合、特にもし高い透過性が所望されるならば、及び/又はもし混合物は相対的に長い時間の間ポンプ輸送可能であることが所望されるならば、バインダーの量は約200kg/m3未満、より好ましくは約100kg/m3未満スラッジであることが好ましい。
【0037】
原則として、無機物質のための任意のバインダーが使用され得る。特に適切であるのは、酸化カルシウムを含むバインダーである。好ましいバインダーは、フライアッシュ、セメント、石灰をベースとするバインダー(例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウムシリカ、酸化第二鉄、酸化アルミニウム)を含む。好ましい実施態様においては、第二の物質(即ち廃棄物)が、バインダーとして使用される。例えば、フライアッシュ、特に酸化カルシウムに富むフライアッシュは非常に適切である。
【0038】
良好な最初の流動性を維持するために、(スラッジ+場合によって添加された余分の水からの)建設混合物中の水の量は、通常混合物の合計重量に基づいて30重量%超である。加工性(ポンピング、注入)を容易にするため、及び/又は輸送を容易にするために(物質に低い密度を与える)には、水の量は好ましくは少なくとも約40重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%、特に少なくとも約60重量%である。
【0039】
実際上の理由から、水の量は通常90重量%未満、好ましくは約85重量%以下、より好ましくは約80重量%以下、特に約75重量%以下である。
【0040】
バインダーに対する重量比に関して、良好な結果が1より上の比で達成された。好ましくは該比は1.5〜10、より好ましくは2〜9の範囲である。
【0041】
その上、バインダー遅延剤が本発明に従う混合物中に存在する。そのような剤は、混合物の固化を遅くする、又は阻害する。適するバインダー遅延剤は、技術において公知である。セメント遅延剤及びコンクリート遅延剤は、特に適する。適する遅延剤は、セメントの水和を阻止することのできる化合物、例えばクエン酸塩などを含む。好ましいバインダー遅延剤は、ポリホスフェート、スルホネート化ナフタレン、及びリグノスルホネートを含む。
【0042】
一般的な常識及び本明細書に開示された情報に基づいて加工性(混合物が流動性であり続ける期間)を制御するために、当業者は、特定のバインダー遅延剤及び適切な濃度を選択する方法を知っている。良好な結果が、スラッジの重量に基づいて少なくとも約0.1重量%の濃度で達成されることができる。良好な結果が、スラッジの重量に基づいて約1重量%以上の濃度で達成されることができる。
【0043】
混合物(及びそれから製造される固体資材)の比重(specific weight)を特に制御するために、発泡剤は好ましくは存在する。発泡剤の存在は、本発明に従う流動体を固化させることにより得られ得る固体建設資材の(特に水及び/又は空気のための)透過性を制御することにとって、さらに有利である。
【0044】
発泡剤は、好ましくは混合物の発泡を起こすのに有効な量で、例えば混合、曝気、又はインシチューでのガス発生の後に、好ましく存在する。当業者は発泡剤、他の成分の性質、及び所望される効果に基づいて適する濃度の選択の仕方を知っている。存在するときには、発泡剤の濃度は、少なくとも0.5kg/m3、より好ましくは少なくとも2kg/m3である。相対的に軽量の資材を提供することへ貢献すること以外に、発泡剤は物資の1以上の他の性質を制御するために使用され得る。特に、発泡剤は、増加された破壊時伸び、増大された透過性、及び/又は長時間流動性を維持することに貢献し得る。
【0045】
非常に良好な結果は、スラッジの合計重量に基づいて約5kg/m3まで含む混合物で達成された。
【0046】
発泡剤の含有量は、所望される性質に依存して広い範囲で選択され得る。好ましい実施態様において、流動性混合物中のフォームの含有量は50%(体積/体積)までである。より低い含有量が選択され得るが、発泡された混合物のフォームの含有量は、好ましくは少なくとも20%である。本明細書においてフォームの含有量は、混合物中の気相の体積百分率として定義される。
【0047】
適する発泡剤は技術において公知であり、界面活性剤を含む。特に適するのは、発泡コンクリートに一般的に使用される発泡剤である。発泡剤はアニオン性又はカチオン性であり得る。
【0048】
好ましい発泡剤は、スルホン化アルキル化合物である。非常に良好な結果がスルホヒドロキシポリ(オキシアルク−ジイル)−(C10〜C16)アルキルエーテル、特にスルホヒドロキポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−C10〜C16−アルキルエーテル及びオレフィンスルホネート、特にC14〜C16オレフィンスルホネートから選択された化合物で達成された。好ましくは、スルホン化アルキル化合物のナトリウム塩が採用される。
【0049】
好ましい発泡剤の別の群は、窒素含有界面活性剤、特にトリアルキルアミノオキシドである。非常に良好な結果がココスアルキルジメチルアミノオキシドで達成された。
【0050】
フォームを含む混合物の利点は、多孔構造を形成する可能性である。その孔から汚染物質、それは出発原料として使用されたスラッジに存在し得る、が制御された環境下で濾し出されることができる。
【0051】
加重物は、好ましくは相対的に高い比重を与えるために存在する。
【0052】
加重物は、典型的には混合物全体(又は固化された建設資材)の平均の比重より高い比重を有する。好ましくは、加重剤の比重は、2500kg/cm3より多い。比重は、5500kg/cm3以上までであり得る。加重物の好ましい例は、砂、バライト、ヘマタイト、及びマグネタイトである、なぜならそれらは非常に高い比重を有するからである。そのような高い比重物質の使用は、バラスト物質としての使用に意図された固体建設資材の場合、特に好ましい。
【0053】
本発明に従う流動性建設混合物から得られる得る固化された建設資材の強さ及び/又は透過性を増加させるために、繊維物質が好ましくは存在する。
【0054】
余分の強さを与えるために、金属繊維(特に鉄/鋼鉄)、ポリマー状繊維、及びガラス繊維からなる群から選択された繊維が非常に適することが見出された。
【0055】
有利な透過性、及び/又は増加されたE−モジュラスのために、非常に良好な結果が、有機繊維物質、例えば木材(特に木材チップ、おがくず)、ピートダスト、羊毛、アシ、藁、亜麻、干し草、他の(乾燥された)葉物質(leave material)、及びポリマー状繊維で達成された。
【0056】
10-9 m/s、特に約1×10-8m/s〜約1×10-4 m/s、より特に約1×10-7 m/s〜約5×10-5 m/sの範囲内の水の透過性が、繊維物質を添加することにより実行可能である。
【0057】
木材ファイバー(例えばおがくず)及び乾燥された草(干し草)は、透過性及び/又はE-モジュラスを増加するために特に適することが見出された。
【0058】
ピートダストは、E-モジュラスを増加させるために、及び/又は長期間ポンプ輸送可能な混合物を維持するために特に適することが見出された。例えば約100〜200g/リットルのダストを含むポンプ輸送可能な混合物を5週間以上の継続期間、維持することが可能であることが見出された。
【0059】
もし存在するならば、建設混合物、又は本発明に従う固体建設資材中の繊維の量は、好ましくは約1〜100kg乾燥物質/m3、好ましくは少なくとも10kg乾燥物質/m3の範囲である。
【0060】
固化された物質中の非常に満足できる透過性を実現するために、発泡剤及び繊維物質の両方を混合物に付与することが特に有利であることが見出された。この組み合わせは、資材中に開いた孔の発生を促進し、資材の透過性に貢献することが見出された。
【0061】
上に示されたように、本発明に従う流動性建設混合物は、固体建設資材を製造するために非常に適切に使用され得る。
【0062】
そのような方法は、流動性建設混合物を固化することを典型的に含む。固化は、好ましくは流動性建設混合物にバインダー開始剤を添加することにより達成される。開始剤の量は、広い制限範囲から選択され得る。好ましくはバインダー開始剤は有効量で添加されて、環境条件下、添加後、10秒〜3日内に固化を起こす。
【0063】
バインダー開始剤が約25〜約250kg/m3、特に50〜150kg/m3の範囲の量のスラッジに添加される方法で非常に良好な結果が達成された。基本的に、バインダーのバインディングを促進する任意のバインダー開始剤が使用され得る。非常に良好な結果が、水ガラス及びアルカリ性水酸化物からなる群から選択されたブラインダー開始剤で達成された。
【0064】
特に好ましいのは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びアルミン酸ナトリウムである、なぜならこれらの物質は、それが特にバインダーとしてのフライアッシュと組み合わせて使用されたときバインディング工程に対して有利である高いpHをもたらすことが見出されたからである。
【0065】
資材は、固化の間又は固化の後に、粒状化され得る。
【0066】
固化は、成形された製品(モノライト)、例えば、板、レンガ、又はブロックを製造するために、型の中で実行され得る。
【0067】
上述されたように、多孔構造は、特に、(少なくとも孔の一部を形成するガスベル(gas bell)を付与する)発泡剤で付与され得るが、発泡剤の不存在において多孔構造を付与することもまた可能である(液体混合物中の水の存在のために、それが、固化の後漏出することが許され得る)。
【0068】
多孔率(porosity)は、広い範囲、例えば5〜90%、好ましくは75%までの範囲で選択され得る。多孔質の固体建設資材の特別の利点は、孔のタイプ(閉じている又は開いている/相互に連結されている)に関わらず、相対的に比重が低いことである。
【0069】
多孔率は、好ましくは、Darcyによる水の透過性が10-4m/s〜10-11m/sの範囲であるようなものである。上に示されたように、所望される多孔率及び透過性は、それから固体資材が製造されるところの混合物に発泡剤及び/又は繊維を付与することにより達成され得る。
【0070】
10-7 m/s未満の透過性を与える多孔率を有する建設資材は、絶縁物質としての使用に非常に適することが見出された。
【0071】
開いた孔の利点は、それが水及び/又は他の化合物に対する透過性を与えることである。これは有利である、なぜならそれは、例えばインフラストラクチャープロジェクトにおけるそれの使用後、該資材がインシチューで浄化されることを可能するからである。もしそのような性質が所望されるならば、該資材は、少なくとも10-7 m/s、より好ましくは少なくとも約10-6 m/sの水への透過性を与える孔を好ましく付与される。
【0072】
特に、実質的に水平な構造において使用されるとき(道路工事(road works)、滑走路、駐車場など)、そのような透過性は、雨水が表面に水たまりを形成するよりむしろ該構造を通して移動することを許すという利点をさらに提供し得る。
【0073】
本発明に従う好ましいインフラストラクチャー建設は、スラッジをベースとする建設資材から染み出し得る、所望されない(特に毒性の又はそうでなければ有害な)成分であって、スラッジをベースとする建築資材から染み出し得る成分のインシチューでの除去を許す建設である。
【0074】
実施態様、例えば図3に示されたものにおいて、インフラストラクチャー建設物は、水透過性の上層Iを水透過性支持層2の上に含み、該支持層は、本発明に従う固体建設資材、上層から支持層を通して透過する水が、該層から排水されることを許すドレイン3を含み、ここで該ドレインは、これら層を通して透過した水から成分を除去するための少なくとも1の設備(例えば図3の6、7、8)と流体連絡している。
【0075】
上層1は、特定の用途のための上層としての使用に適する任意の水透過性層であり得る。それは例えば、道路、滑走路、又は駐車場表面層のためのアスファルト層又はコンクリート層であり得る。原則として、表面層は、本発明に従う建設資材を含み得る。
【0076】
インフラストラクチャーは、水透過性の補助基層(図3の4、5)を支持層の下にさらに含み得る。そのような層は、技術において公知である。その場合、ドレインは該補助基層と流動体連結している。
【0077】
水から成分を除去する設備は、インフラストラクチャー要素から染み出し得る特定の成分を除去するための任意のシステムであり得る。好ましくは該設備は、重金属、PAK 、PCB,及びそれらのオイルからなる群から選択する少なくとも1の成分を除去するためのシステムを含む。該システムは、技術において公知であるシステムに基づき得る。
【0078】
非常に適することに、インフラストラクチャー要素は、除去されるべき成分のための吸着剤を含むフィルター6を含む。適する吸着剤は技術において公知であり、活性炭、鉄及びピートを含む。良好な結果は、ピートフィルターで実現され、ピートフィルターにより99%超の重金属、PAK、PCB、及び/又は鉱物オイルが水から除去され得る。さらに、ピートフィルターは、支持層からしみ出す、通常アルカリ性である水を中和するために使用され得る。
【0079】
別の適するフィルターのタイプは、沼性植物フィルター(図3の7)であり、例えば www.duurzaamwater.nl、www.helofyhtenfilter.nl.、Naftzら著、「透過可能な反応性の障壁を使用する地下水改善のハンドブック――放射性核、微量金属、及び栄養への応用」(ISBN 0-12-513563-7)、アカデミックプレス、2002年、Afstromendwegwater, Commissie integraal Waterbeheer、2002年4月、に記載されている。
【0080】
沼性植物フィルターは技術において公知である。沼性植物フィルターは、沼性植物(例えばアシ、アシニクズク)が水を精製するために使用される。沼性植物は一般的に砂などの中に植えられる。好ましくはフィルターは、いわゆる根領域フィルターである。本明細書において精製されるべき水は、沼性植物が植えられている物(通常、砂)を通して(植物の根の間)を流れる。そのようなフィルターにおいて、開放水面は全く必要とされない。
【0081】
沼性植物フィルターの機能は、沼性植物が植えられているところの土壌中のバクテリアの活性に主に基づく。バクテリアの成長は沼性植物の存在により刺激される。バクテリアは、水中の有機成分の好気性の石化を許す。さらに重金属及び窒素含有化合物がそのようなフィルター中に吸着され得る。
【0082】
沼性植物フィルター7は、好ましくは別のフィルター、例えば成分に対する吸着剤を有するフィルター6の下流に配置される。第一のフィルターは、次に成分の大半を除去するために使用されることができる。
【0083】
さらに、嫌気性領域8が、好ましくは沼性植物フィルター(もし存在するとすれば)の上流、及び/又は第一フィルター7(例えばピートフィルター)の後に存在し得る。嫌気性領域もまた技術、例えば「建設された処理湿地への技術的及び規制指針書(Technical and Regulatory Guidance Document for Constructed Treatment Wetlands)」、IRCT湿地チーム、2003年12月において公知である。嫌気性領域はドレイン3又はドレイン9(図3に示されている)によりフィルター7の出口と、直接流動体伝達している可能性がある。
【0084】
嫌気性領域は、通常水を溜めるための貯水部、例えば溝を含む。貯水部は、嫌気層、通常貯水部の底部、又は近くの層、を含み、該貯水部には、有機物質のCO2及び/又はメタンへの分解のための条件が存在している。さらに、硝酸塩は、窒素ガスに転化され得る。さらに、リン酸塩及び/又はアンモニアのような栄養は、嫌気性バクテリアにより使用され得、バイオマスを形成する。硫酸塩は例えばDesulfovibrio及び/又はDesulfobaterの存在下、スルフィドに転化され得る。スルフィドは重金属を固定することを助け得る。
【0085】
本発明に従うインフラストラクチャー要素の利点は、インシチューでの浄化のための適切さである。即ち、固体建設資材は、本発明に従って製造されることができ、該資材は汚染されたスラッジに基づき、該建設資材はインフラストラクチャー要素の寿命の間に浄化され、寿命の終末(50〜60年以上後であり得る)に、要素は分解され、固体資材は低いレベルの汚染成分を有するクラスの資材として廃棄され得る、又は相対的にきれいな建設資材として再利用され得る。
【0086】
本発明は、以下の実施例により説明される。
【実施例】
【0087】
実施例1
以下の成分
1m3のスラッジ(浚渫物)
150kgのバインダー(CEMIIIB/42.5、標準(conform)NEN-EN)
4kgのバインダー遅延剤(Addiment HM/VT(商標)(供給元:Sica/Addiment)
で混合物が製造され、5分間混合することにより少なくとも48時間、液状でいるベースグラウトを与えた。
【0088】
85kgの水ガラス(32%)と混合したのち、図1に示された硬化曲線が得られた:
【0089】
図1は、典型的な硬化曲線であり、開始剤を添加した後、混合物は相対的に短い時間、液状であり、そして開始剤の添加後10秒〜30分の間に凝固し始める。
【0090】
プラスチック相(該相において物質は粘土状の挙動を有する)は、好ましくは15分から3日の間に凝固する。これらの凝固時間は、バインダーのタイプ、バインダーの量、遅延剤及び開始剤に依存する。
【0091】
実施例2
いくつかのタイプの繊維物質の効果が試験された。以下の成分
1m3のスラッジ(浚渫物)
200kgのバインダー(CEMIII/B 42.5、標準NEN-EN)
4kgのバインダー遅延剤(Addiment HM/VT(商標)(供給元:Sica/Addiment)
50kgの繊維物質(干し草、又はおがくず)
を有する混合物が5分間、混合された。
次に0.5m3のフォームが添加された。
【0092】
繊維以外のすべての成分を含む別の混合物が製造された。
【0093】
混合物は開始剤を添加することにより凝固することを許された。凝固速度は繊維物質の存在により全く又はほとんど影響されなかった。
【0094】
【表1】

【0095】
結果は、良好な強さを維持しながら、E−モジュラスに繊維物質の正の効果を示す。さらに、おがくずを含む資材及び干し草を含む資材の場合、透過性が増加される。
【0096】
透過性、pH、及び電気伝導度は、該資材を水が流出した回数の関数として追跡された(毎回、資材の孔体積に対応する体積に関して)。
【0097】
透過性は、各方向について20kPaの圧力で、該圧力は1mの円筒の土壌の圧力に匹敵する、3軸セルを使用して測定された。透過性は、60回超の流出の後、上の表に示されたレベルに維持された。
【0098】
pHは、12.3から11.2へ減少(おがくず)、又は11.8から11.0(干し草)への減少を示した。
【0099】
電導度曲線は図2に示される。上の曲線は、干し草を含む資材、下の曲線は、おがくずを含む資材に関する。電導度におけるかなりの減少は、平衡が到達されるまで示される(両方の物質について約750μS/cmにおいて)。プロフィールから、最初の数回の流出回数の間、特に、染み出しよりむしろ流出に関連した除去により、大量の溶解された成分が資材から除去される;曲線がフラットになり、平衡に近づくにつれて、染み出し関連した拡散による除去が、資材を浄化するための優勢な浄化因子になることが結論付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】流動相、プラスチック相、及び硬化相における本発明に従う混合物の剪断強さを示す。
【図2】通過する流れの体積の数の関数として、本発明の2つの異なる建設資材の透過性を示す。
【図3】本発明に従うインフラストラクチャー要素を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)浚渫物、又はその他のスラッジ又は残滓物質、(ii)バインダー、(iii)バインダー遅延剤を含み、場合により(iv)発泡剤を含んでいてもよく、かつ場合により(v)加重物を含んでいてもよい流動性建設混合物。
【請求項2】
繊維物質を含む、請求項1に記載の建設混合物。
【請求項3】
金属繊維、ポリマー繊維、ガラス繊維、及び有機繊維からなる群から選択された、好ましくは有機繊維からなる群から選択された、より好ましくは木材繊維、羊毛、葦、藁、乾燥された草(干し草)及び亜麻から選択された少なくとも1の繊維物質を含む、請求項2に記載の建設混合物。
【請求項4】
1より大きい、好ましくは1.5〜10の範囲、より好ましくは2〜9の範囲の水:バインダーの重量比を与える水が存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の建設混合物。
【請求項5】
前記混合物中のバインダーの量が約50〜約400kg/m3スラッジである、好ましくは約75 kg/m3〜約200kg/m3スラッジである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設混合物。
【請求項6】
バインダーが、フライアッシュ、セメント、及び酸化カルシウム、酸化マグネシウムシリカ、酸化第二鉄、酸化アルミニウム、並びにその他の石灰をベースとするバインダーからなる群、好ましくはフライアッシュからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の建設混合物。
【請求項7】
建設混合物中のスラッジの量が少なくとも約50%(体積による)、好ましくは50〜98%(体積による)、より好ましくは約65〜95%(体積による)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の建設混合物。
【請求項8】
バインダー遅延剤が、環境条件下でその製造から少なくとも1日、混合物をポンプ輸送可能に保つために有効な量で存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の建設混合物。
【請求項9】
バインダー遅延剤が、ポリホスフェート、スルホン化ナフタレン、及びリグノスルホネートからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の建設混合物。
【請求項10】
発泡剤が、混合物を発泡させるのに有効な量で、好ましくは0.5〜約5kg/m3スラッジの量で存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の建設混合物。
【請求項11】
発泡剤が、アルキルスルホネート及び窒素含有界面活性剤からなる群から選択される、好ましくは発泡剤が、スルホヒドロキポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−C10〜C16−アルキルエーテル(例えばナトリウム塩)、ココスアルキルジメチルアミノオキシド及びオレフィン(C14/C16)スルホン酸ナトリウムから選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の建設混合物。
【請求項12】
加重物が、混合物の平均比重より高い比重を有する鉱物からなる群から、好ましくは、バライト、ヘマタイト、及びマグネタイトからなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の建設混合物。
【請求項13】
スラッジ又は残滓物質、バインダー、バインダー遅延剤、場合により発泡剤、及び場合により加重物を混合することを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の流動性建設混合物を製造する方法。
【請求項14】
混合する前に、レンガ、自転車など、家庭用備品、梱包材料、及びその他の所望されない巨視的な物体が、スラッジ又は残滓物質から除去される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
有機汚染物質、特に酸化する汚染物質が、スラッジ、残滓物質、又は混合物から好ましくは曝気により除去される、請求項13又は14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の流動性建設混合物を固化することを含む、固体建設資材を製造する方法。
【請求項17】
バインダー開始剤を流動性建設混合物に添加し、そうすることにより前記混合物を固化させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
バインダー開始剤が、環境条件下で、添加後10秒〜3日内に固化させるのに有効な量で添加される、請求項16又は17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
バインダー開始剤が、約25〜約250kg/m3スラッジの量で添加される、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
バインダー開始剤が、水ガラス、及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルミン酸ナトリウム、並びにその他のアルカリ性水酸化物からなる群から選択される、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
固化した後、建設資材が粒状化される、請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法により得られ得る、特にレンガ、ブロック、又は粒状化物質の形態における固体建設資材。
【請求項23】
75%までの多孔率を有する閉じた及び/又は開いた孔を有する、請求項20に記載の固体建設資材。
【請求項24】
10-4 m/s〜10-11 m/s(Darcyによる)、好ましくは10-4 m/s〜10-7m/sの水の透過性範囲を有する、請求項20又は21のいずれか1項に記載の固体資材。
【請求項25】
請求項1〜15のいずれか1項において定義された流動性建設混合物又は請求項16〜24のいずれか1項において定義された固体建設資材を、インフラストラクチャー要素の供給において使用する方法。
【請求項26】
インフラストラクチャー要素が道路、駐車場、飛行機の着陸滑走路、埠頭、防波堤、堤防、土手、道路盛土、鉄道盛土、ダム、防音壁、及び土地造成プロジェクトからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜12のいずれか1項において定義されたポンプ輸送可能な建設混合物、又は請求項22〜24のいずれか1項において定義された固体建設資材を含むインフラストラクチャー要素。
【請求項28】
アスファルト層、又はその他の水透過性の上層(1)、請求項22〜24のいずれか1項に記載の固体建設資材を含む水透過性支持層(2)、上層(1)から支持層(2)を通して透過する水が、これら層から排水されることを許すためのドレイン(3)を含むインフラストラクチャー要素において、前記ドレイン(3)が、前記層を通して透過した水から成分を除去するための設備(6、7、8)と流体連絡しているところの、請求項27に記載のインフラストラクチャー要素。
【請求項29】
請求項22〜24のいずれか1項において定義された固体建設資材を、バラスト、特に船舶のためのバラスト、クレーンの平衡錘、又は水面下のパイプライン又は水面下の建造物のためのバラスト物質として使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−520415(P2007−520415A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552065(P2006−552065)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000079
【国際公開番号】WO2005/075373
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506267318)
【Fターム(参考)】