説明

スロット付基板

【課題】チップの側面とコーナとを完全に密封し、チップへの水分や埃の侵入を防止することによってチップを保護するスロット付基板の提供。
【解決手段】スロット付基板は、一つの能動面31と複数の金属板33、34、35、36とを有する。金属板33、34、35、36は能動面31に形成されている。各金属板33、34、35、36は、第一表面と第二表面とを有し、第一表面は能動面31に接続されている。少なくとも一つの金属板は、第二表面に形成された少なくとも一つのスロット353、354を有する。スロット付基板によれば、チップ32と金属板33、34、35、36とを接続させる樹脂37は、チップ32の側面とコーナとを完全に封止することができるので、チップ32への水や埃の侵入が防止されてチップが保護される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に関し、特にスロット付基板に関する。
【背景技術】
【0002】
図1及び図2は、従来の基板を示す概略図である。図示のように、従来の基板10は、能動面11と、チップ12と、複数の金属板13,14,15,16とを有する。チップ12及び金属板13,14,15,16は、能動面11に配置されており、金属板13,14,15,16は、複数のワイヤ金属板13,14と少なくとも一つの擬似リード15,16とに分類されている。
【0003】
チップ12は、通常方形であり、複数の側面と複数のコーナとを有する。ワイヤ金属板13,14は、チップの側面に近づいて配置されており、擬似リード15,16は、チップ12の少なくとも一つのコーナに近づいて配置されている。これらワイヤ金属板13,14は、チップ12を電気的に接続するために用いられ、擬似リード15,16は、チップ12と電気的に接続されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板10は、チップ12の側面とコーナとを囲む樹脂17を有する。この樹脂17は、チップ12を保護するようにチップ12と金属板13,14,15,16とを気密的に接続させるために用いられる。しかし、チップ12のコーナにあたる金属板15,16が大きい面積を有するので、樹脂17がチップ12のコーナと擬似板15,16との間に介在されたとき、金属板15,16上の樹脂17がチップ12に向かって少し縮むようになる。その後、加熱処理を受けると、樹脂17がチップ12のコーナへ更に縮むので、チップ12のコーナは樹脂による密閉性を失って、水や埃などがこのコーナよりチップ12に侵入し、チップ12が正常に機能しなくなる。
【0005】
そこで、上述した問題を解決できる基板を提供することが必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、スロット付基板を提供することにある。本発明の基板は、能動面と複数の金属板とを有する。前記金属板は前記能動面に形成され、各金属は第一表面と第二表面とを有し、前記第一表面は前記能動面に接続され、少なくとも一枚の金属板は、第二表面に形成された少なくとも一つのスロットを有する。
【0007】
本発明のスロット付基板によれば、チップと金属板とを接続するための樹脂は、チップの側面とコーナとを完全に密封することができるので、チップへの水分や埃の侵入を防止することができ、チップを保護することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図3は、本発明に係わるスロット付基板を示す概略図である。図示のように、基板30は、能動面31と、チップ32と、複数の金属板33,34,35,36とを有する。基板30は、可撓性を有する基板またはフレキシブル印刷回路基板(FPC)である。基板30の材質は、ポリイミド(PI)であるが、これに制限される必要がない。また、本発明の基板は、テープ搬送パッケージ(TCP: Tape Carrier Package)或いはフィルム上チップ(COF: Chip On Film)にも応用可能である。
【0009】
チップ32及び金属板33,34,35,36は、能動面31に配置されている。これら金属板33,34,35,36は、複数のワイヤ金属板33,34と少なくとも一つの擬似リード35,36とに分類されている。チップ32は、通常方形であり、複数の側面と複数のコーナとを有している。ワイヤ金属板33,34は、チップ32の側面の対応位置に配置されて、チップ32への電気的接続を行なうために用いられる。擬似リード35,36は、チップ32における少なくとも一つのコーナ(例えば、図3に示す右下コーナ)の対応位置に設けられており、チップ32とは電気的に接続されていない。
【0010】
基板30は、更に、チップ32の側面とコーナとを囲むように塗布した樹脂37を有する。この樹脂37は、チップ32を保護するようにチップ32と金属板33,34,35,36とを気密的に接続させるために用いられている。
【0011】
図3及び図4において、擬似リード35は一つの例として示されている。図示のように、擬似リード35は、第一表面351と第二表面352とを有する。第一表面351は、能動面31に接続されている。少なくとも一つのスロット353又は354は、第二表面352に形成されており、これらのスロット353,354の深さは、擬似リード35の高さ(即ち、第一表面351から第二表面352までの高さ)より低くなっている。擬似リード35は、複数のスロット353,354を有するので、樹脂37はスロット353,354内に保持される。従って、樹脂37がコーナへ向かって縮む現象(図1に示したようなこと)が発生しない。
【0012】
このように、本発明に係わるスロット付基板30を使用することによって、樹脂37は、チップ32の側面とコーナとを完全に囲み、チップ32と複数の金属板34,35,36,37とを完全気密的に接続させることができる。従って、チップ32への水や埃の侵入が防止されてチップ32が保護される。
【0013】
スロット353,354は、図3及び図4に示すような形状および数量に限定される必要がない。金属板は、樹脂37の後退を防止するスロットが一つだけでもよい。また、擬似リード35,36は、チップ32の側面の対応位置にも配置することが可能であると共に、前記スロットの形成場所は、擬似リード35,36だけでなく、前記ワイヤ金属板33,34にもスロットを形成するが可能である。そうすれば、ワイヤ金属板33,34上の樹脂37は収縮することなく、樹脂37がチップ32の側面まで後退することが防止される(このような樹脂収縮により、チップ32を完全に封止し保護することができないという問題が生じる)。
【0014】
図5は、本発明の第二実施例に係わるスロットを示す概略図である。上述と同様に、擬似リード35は、例として示される。図示のように、擬似リード35のスロット356は、擬似リード35の第一表面351と第二表面352とを貫通する貫通孔である。貫通孔となっているスロット356によって、樹脂37は、後退することなくスロット356に保持されるので、チップ32が保護される。
【0015】
以上のように図示した実施例は、本発明の原理および効果を示すだけであって、本発明の範囲を限定するわけではない。従って、本発明の精神から逸脱することなく上記実施例に対する修正および変更は、当業者にとって自明である。本発明の請求範囲、次の請求項によって定義される。
【0016】
本発明に係わる複数の実施例は、図面を参照しながら説明されたが、当業者にとって各種の修正および改善が可能である。従って、本発明の実施例は、説明のためであって、限定のためではない。また、本発明は、図示した特定の形態に限定されるべきでなく、本発明の精神及び範囲に係わる全ての修正は、次に添付される請求項によって定義された範囲に入っている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の基板を部分的に拡大した概略図である。
【図2】従来の基板を示す斜視図である。
【図3】本発明に係わるスロット付基板を部分的に拡大した概略図である。
【図4】本発明の第一実施例に係わるスロットを示す概略図である。
【図5】本発明の第二実施例に係わるスロットを示す概略図である。
【符号の説明】
【0018】
10 基板
11 能動面
12 チップ
13,14,15,16 金属板
17 樹脂
30 基板
31 能動面
32 チップ
33,34,35,36 金属板
37 樹脂
351 第一表面
352 第二表面
353,354 スロット
356 貫通孔となったスロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロット付基板であって、
能動面と、
前記能動面に形成された複数の金属板と、
を備え、
各金属板は第一表面と第二表面とを有し、第一表面は前記能動面に接続され、少なくとも一つの金属板は、前記第二表面に形成された少なくとも一つのスロットを有することを特徴とするスロット付基板。
【請求項2】
前記基板はフレキシブル基板であることを特徴とする請求項1記載の基板。
【請求項3】
前記金属板は、複数のワイヤ金属板と少なくとも一つの擬似リードとに分類されていることを特徴とする請求項1記載の基板。
【請求項4】
更に、前記能動面に配置されると共に前記ワイヤ金属板に電気的に接続された少なくとも一つのチップを有することを特徴とする請求項3記載の基板。
【請求項5】
前記チップは、複数の側面と複数のコーナとを有し、前記ワイヤ金属板は、チップ側面の対応位置に配置され、前記擬似リードは、チップにおける少なくとも一つのコーナの対応位置に配置されており、前記擬似リードは、チップに電気的に接続されていないことを特徴とする請求項4記載の基板。
【請求項6】
更に、チップの側面とコーナとを囲むように塗布されており、チップと金属板とを気密的に接続させている樹脂を有することを特徴とする請求項5記載の基板。
【請求項7】
前記擬似リードは、樹脂を保持する少なくとも一つのスロットを有することを特徴とする請求項6記載の基板。
【請求項8】
前記スロットの深さは金属板の高さより低いことを特徴とする請求項1記載の基板。
【請求項9】
前記スロットは、前記金属板の第一表面と第二表面とを貫通する貫通孔であることを特徴とする請求項1記載の基板。
【請求項10】
更に、前記能動面に配置された少なくとも一つのチップを有することを特徴とする請求項1記載の基板。
【請求項11】
チップ側面の対応位置に配置された少なくとも一つの金属板は、少なくとも一つのスロットを有することを特徴とする請求項10記載の基板。
【請求項12】
チップコーナの対応位置に配置された少なくとも一つの金属板は、少なくとも一つのスロットを有することを特徴とする請求項10記載の基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−216950(P2006−216950A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22523(P2006−22523)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(504412093)ハイマックス テクノロジーズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】