説明

ズームレンズ,撮像光学装置及びデジタル機器

【課題】画角が75度以上の比較的広角な焦点距離域を含んだ変倍比3倍程度のズームレンズであって、光学全長の短縮と防振時の高い光学性能を達成したズームレンズ,それを備えた撮像光学装置及びデジタル機器を提供する。
【解決手段】負正負正のズームレンズZLは、少なくとも第1群Gr1から第3群Gr3がそれぞれ移動して各群間隔を変化させることにより変倍を行う。第2群Gr2がその内部に少なくとも1つの空気間隔を有し、第2群Gr2内の最も像側の空気間隔を境として第2群Gr2を2つのレンズ群Gr2a,Gr2bに分け、その像側のレンズ群である第2b群Gr2bを光軸AXに対して略垂直な面内で移動させて(矢印mC)防振を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はズームレンズ,撮像光学装置及びデジタル機器に関するものである。例えば、被写体の映像を撮像素子で取り込む画像入力機能付きデジタル機器(デジタルカメラ等)に適したコンパクトなズームレンズと、そのズームレンズ及び撮像素子で取り込んだ被写体の映像を電気的な信号として出力する撮像光学装置と、その撮像光学装置を搭載した画像入力機能付きデジタル機器と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
負正負正のズームタイプは、負の第1群と負の第3群が絞りを挟んで対称に配置されていることから軸外収差の補正を行いやすく、また、望遠端においては負の第3群によるテレフォト効果によって望遠端の光学全長を短くしやすく、2ω≧75(度)となる比較的広角な焦点距離を含んだ3倍程度のズームレンズに適したレンズタイプである。例えば、交換レンズとしては特許文献1に記載のものが知られており、レンズ一体型カメラ用のレンズとしては特許文献2や特許文献3に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−170061号公報
【特許文献2】特開2006−208889号公報
【特許文献3】特開2010−152148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のズームレンズは、広角端から望遠端への変倍に際して正の第2群と正の第4群が物体側へ大きく繰り出す構成になっているため、望遠端での光学全長を小さくすることが困難である。
【0005】
特許文献2や特許文献3に記載のズームレンズでは、広角端から望遠端への変倍に際して第4群の位置が不変であり、主に第1群と第2群との間隔を変化させることで変倍が行われる。この構成では、フォーカス群として第3群を用いることにより、フォーカス移動方向が像側となり、特に大きなフォーカス移動量を必要とする望遠端において、第3群と第4群との間のスペースを有効活用できるため、光学全長を小さくすることが可能となる。
【0006】
しかしながら、特許文献2,3に記載のズームレンズでは、防振に好適なレンズ群が無いという問題がある。例えば、第1群を防振に用いるとレンズ径が大きくなり重量が重くなるため、第1群は防振に不適である。一般的に負正負正のズームタイプでは第2群を防振に用いると防振感度が高くなりすぎる傾向があるため、第2群は防振に不適である。防振感度が高くなりすぎると、露光時間中に電気的なノイズ等で防振レンズ群の位置が変動した場合に像質が劣化しやすくなる。また、光学全長を短縮しようとすると防振感度は更に高まる傾向がある。第3群はフォーカス群であるため、第3群を防振に用いると防振やフォーカシングに用いる駆動機構の構成が複雑になる。したがって、第3群は防振に不適である。第4群を防振に用いると防振感度が低くなりすぎる傾向があるため、速度の大きな駆動装置と大きな駆動範囲が必要になる、という問題がある。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、画角(2ω)が75度以上の比較的広角な焦点距離域を含んだ変倍比3倍程度のズームレンズであって、光学全長の短縮と防振時の高い光学性能を達成したズームレンズ,それを備えた撮像光学装置及びデジタル機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明のズームレンズは、物体側から順に、負パワーを有する第1群と、正パワーを有する第2群と、負パワーを有する第3群と、正パワーを有する第4群と、で構成され、少なくとも前記第1群から前記第3群がそれぞれ移動して各群間隔を変化させることにより変倍を行うズームレンズであって、前記第2群がその内部に少なくとも1つの空気間隔を有し、前記第2群内の最も像側の空気間隔を境として第2群を2つのレンズ群に分け、その像側のレンズ群を第2b群としたとき、前記第2b群を光軸に対して略垂直な面内で移動させて防振を行うことを特徴とする。
【0009】
第2の発明のズームレンズは、上記第1の発明において、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
−0.1<β2b<0.8 …(1)
ただし、
β2b:望遠端における第2b群の近軸横倍率、
である。
【0010】
第3の発明のズームレンズは、上記第1又は第2の発明において、以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
0.6<H2b/H2<0.85 …(2)
ただし、
H2:第2群の最も物体側のレンズ面における望遠端での軸上光線高さ、
H2b:第2b群の最も物体側のレンズ面における望遠端での軸上光線高さ、
である。
【0011】
第4の発明のズームレンズは、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、以下の条件式(3)を満足することを特徴とする。
1.0<f2b/f2<4.2 …(3)
ただし、
f2b:第2b群の焦点距離、
f2:第2群の焦点距離、
である。
【0012】
第5の発明のズームレンズは、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記第2群内の最も像側の空気間隔を境として第2群を2つのレンズ群に分け、その物体側のレンズ群を第2a群としたとき、前記第2a群に、光軸上で正パワーを有し、かつ、光軸から離れるに従ってパワーが減少する非球面を少なくとも1面有することを特徴とする。
【0013】
第6の発明のズームレンズは、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記第2a群がその内部に少なくとも1つの空気間隔を有し、前記第2a群内の最も物体側の空気間隔を境として第2a群を2つのレンズ群に分け、その物体側,像側のレンズ群をそれぞれ第2a1群,第2a2群としたとき、前記第2a1群が正パワーを有し、前記第2a2群が負パワーを有することを特徴とする。
【0014】
第7の発明のズームレンズは、上記第6の発明において、以下の条件式(4)を満足することを特徴とする。
0.5<f2a1/f2<1.5 …(4)
ただし、
f2a1:第2a1群の焦点距離、
f2:第2群の焦点距離、
である。
【0015】
第8の発明のズームレンズは、上記第6又は第7の発明において、前記第2a1群が正レンズ1枚から成り、前記第2a2群が負レンズ1枚から成ることを特徴とする。
【0016】
第9の発明のズームレンズは、上記第8の発明において、前記第2a2群が、光軸から離れるに従って負パワーが増加する非球面を少なくとも1面有することを特徴とする。
【0017】
第10の発明のズームレンズは、上記第6又は第7の発明において、前記第2a1群が正レンズ1枚から成り、前記第2a2群が物体側から順に負レンズと正レンズとの接合レンズから成り、以下の条件式(5)を満足することを特徴とする。
0.3<ndn−ndp …(5)
ただし、
ndn:接合レンズを構成する負レンズのd線に関する屈折率、
ndp:接合レンズを構成する正レンズのd線に関する屈折率、
である。
【0018】
第11の発明のズームレンズは、上記第1〜第10のいずれか1つの発明において、デジタルカメラ用の交換レンズであることを特徴とする。
【0019】
第12の発明の撮像光学装置は、上記第1〜第11のいずれか1つの発明に係るズームレンズと、受光面上に形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備え、前記撮像素子の受光面上に被写体の光学像が形成されるように前記ズームレンズが設けられていることを特徴とする。
【0020】
第13の発明のデジタル機器は、上記第12の発明に係る撮像光学装置を備えることにより、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第2b群を光軸に対して略垂直な面内で移動させて防振を行う構成になっているため、高い光学性能を有しながら高精度の防振が可能である。したがって、画角(2ω)が75度以上の比較的広角な焦点距離域を含んだ変倍比3倍程度のズームレンズでありながら、光学全長の短縮と防振時の高い光学性能を達成したズームレンズ及び撮像光学装置を実現することができる。そして、その高性能でコンパクトなズームレンズ又は撮像光学装置をデジタル機器(例えばデジタルカメラ)に用いることによって、デジタル機器に対して高性能の画像入力機能をコンパクトに付加することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態(実施例1)の光学構成図。
【図2】第2の実施の形態(実施例2)の光学構成図。
【図3】第3の実施の形態(実施例3)の光学構成図。
【図4】実施例1の縦収差図。
【図5】実施例2の縦収差図。
【図6】実施例3の縦収差図。
【図7】実施例1の手振れ補正前後,広角端での横収差図。
【図8】実施例1の手振れ補正前後,望遠端での横収差図。
【図9】実施例2の手振れ補正前後,広角端での横収差図。
【図10】実施例2の手振れ補正前後,望遠端での横収差図。
【図11】実施例3の手振れ補正前後,広角端での横収差図。
【図12】実施例3の手振れ補正前後,望遠端での横収差図。
【図13】撮像光学装置を搭載したデジタル機器の概略構成例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るズームレンズ,撮像光学装置及びデジタル機器を説明する。本発明に係るズームレンズは、物体側から順に、負パワーを有する第1群と、正パワーを有する第2群と、負パワーを有する第3群と、正パワーを有する第4群と、で構成され(パワー:焦点距離の逆数で定義される量)、少なくとも前記第1群から前記第3群がそれぞれ移動して各群間隔を変化させることにより変倍を行うズームレンズであって、前記第2群がその内部に少なくとも1つの空気間隔を有し、前記第2群内の最も像側の空気間隔を境として第2群を2つのレンズ群に分け、その物体側,像側のレンズ群をそれぞれ第2a群,第2b群としたとき、前記第2b群を光軸に対して略垂直な面内で移動させて防振(つまり手振れ補正)を行うことを特徴としている。
【0024】
一般的に負正負正のズームタイプでは、第2群での軸上光線高さが最も高くなり、その結果、第2群を構成する個々のレンズの偏心による結像性能劣化の敏感度が高くなっている。そのため、レンズ組立時にはレンズ群を構成する個々のレンズ同士の軸合わせ調整がしばしば行われる。一方、防振レンズ群は自身の偏心によって光軸を傾けるため、偏心による像質劣化の敏感度(例えば、偏心コマ収差敏感度,片ボケ敏感度)が極力小さくなるように設計が行われている。
【0025】
防振レンズ群が第2群の内側に位置する場合、防振レンズ群の物体側と像側のエレメント同士の光軸合わせの精度を保つことが必要になるが、防振機構等が介在するため精度の確保は困難である。したがって、防振レンズ群は第2群の最も物体側又は最も像側に配置されることが、組立誤差による結像性能劣化を抑える上で望ましい。しかしながら、第2群の最も物体側は光学系の中で最も軸上光線高さが高くなる場所であり、防振レンズ群自身の偏心敏感度を抑えることは困難である。以上の点から、第2群の最も像側のレンズを含むレンズ群(つまり第2b群)を防振レンズ群とすることが望ましい。
【0026】
上記特徴的構成によると、画角(2ω)が75度以上の比較的広角な焦点距離域を含んだ3倍程度の変倍比を有し、光学全長の短縮と防振時の高い光学性能を達成したズームレンズ及びそれを備えた撮像光学装置を実現することが可能である。そのズームレンズ又は撮像光学装置をデジタルカメラ等のデジタル機器に用いれば、デジタル機器に対し高性能の画像入力機能を軽量・コンパクトに付加することが可能となる。したがって、デジタル機器のコンパクト化,低コスト化,高性能化,高機能化等に寄与することができる。また、本発明に係るズームレンズは、レンズバックの短縮化や大口径化を図る上で、ミラーレスタイプのデジタルカメラ用の交換レンズとして好適であるため、持ち運びに便利なコンパクトな交換レンズを実現することができる。こういった効果をバランス良く得るとともに、更に高い光学性能,小型化等を達成するための条件等を以下に説明する。
【0027】
前述したように、第2群内の最終レンズを含む第2b群を防振レンズ群として用いると、適切な防振感度を容易に設定することが可能となる。そして、その防振感度に関して、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
−0.1<β2b<0.8 …(1)
ただし、
β2b:望遠端における第2b群の近軸横倍率、
である。
【0028】
望遠端での防振感度は、以下の式(BS)で与えられる。
(1−β2b)βr …(BS)
ここで、
βr:防振レンズ群よりも像側のレンズ群(すなわち第3群及び第4群)の望遠端における近軸横倍率、
である。
【0029】
式(BS)は、手振れの像が動く感度を表している。例えば、防振レンズ群が1mm動いたときに像面上で像が1mm動く場合の防振感度は1である。近軸横倍率β2bが大きいと防振感度(1−β2b)βrは小さくなって、防振レンズ群を大きく動かす必要が生じる。その結果、防振レンズ群の移動スペースを大きく確保する必要が生じて、パワーの大きいアクチュエータが必要になる。逆に、近軸横倍率β2bが小さいと防振感度(1−β2b)βrは大きくなって、ノイズ等の影響を受けやすくなり、像質が劣化してしまう。こういった観点から、防振感度(1−β2b)βrは1〜2が好ましい。
【0030】
条件式(1)の下限を下回ると、防振感度が高くなりすぎるため、式(BS)から分かるように、第3群以降の倍率を小さくする必要が生じる。その結果、望遠端での光学全長が増大してしまう。条件式(1)の上限を上回ると、防振感度が低くなりすぎるため、第3群以降の倍率を大きくする必要が生じる。その結果、第3群のパワーを増大させることが必要になり、第3群で発生する像面湾曲やコマ収差が増大してしまう。したがって、条件式(1)を満たすことにより、小型化と高性能化とをバランス良く達成することができる。
【0031】
以下の条件式(1a)を満足することが更に望ましい。
0.1<β2b<0.6 …(1a)
この条件式(1a)は、前記条件式(1)が規定している条件範囲のなかでも、前記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。したがって、好ましくは条件式(1a)を満たすことにより、上記効果をより一層大きくすることができる。
【0032】
以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
0.6<H2b/H2<0.85 …(2)
ただし、
H2:第2群の最も物体側のレンズ面における望遠端での軸上光線高さ、
H2b:第2b群の最も物体側のレンズ面における望遠端での軸上光線高さ、
である。
【0033】
防振時の偏心コマ収差を抑えるためには、防振レンズ群に入射する軸上光線高さをできるだけ低くすることが望ましい。防振レンズ群を第2群の最も像側に配置することで、軸上光線高さを低く抑えることが可能となる。このとき、条件式(2)を満足させることが望ましい。条件式(2)は、望遠端で第2群と第2b群とに対して入射する軸上光束の光線高さの好ましい比を規定している。条件式(2)の下限を下回ると、軸上光線高さが低くなるため、防振レンズ群の偏心敏感度を低減するには有利になる。しかし、第2a群のパワーを強くする必要が生じるため、球面収差やコマ収差の補正が困難になる。逆に、条件式(2)の上限を上回ると、軸上光線高さが高くなりすぎて、防振レンズ群が偏心した際の偏心コマ収差を抑えることが困難になる。したがって、条件式(2)を満たすことにより、防振レンズ群の偏心状態にかかわらず高い収差性能を得ることが可能になる。
【0034】
以下の条件式(2a)を満足することが更に望ましい。
0.65<H2b/H2<0.8 …(2a)
この条件式(2a)は、前記条件式(2)が規定している条件範囲のなかでも、前記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。したがって、好ましくは条件式(2a)を満たすことにより、上記効果をより一層大きくすることができる。
【0035】
以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
1.0<f2b/f2<4.2 …(3)
ただし、
f2b:第2b群の焦点距離、
f2:第2群の焦点距離、
である。
【0036】
防振時の偏心コマ収差を抑えるためには、防振レンズ群(すなわち第2b群)自身で発生する球面収差を十分小さく抑える必要がある。それには、防振レンズ群のパワーを小さくすることが有効である。条件式(3)の下限を下回ると、防振レンズ群のパワーが強くなりすぎて、防振レンズ群で発生する球面収差を抑えることが困難になり、防振時の偏心コマ収差が増大してしまう。条件式(3)の上限を上回ると、防振レンズ群のパワーは弱まって防振時の偏心コマ収差は抑え易くなるが、第2群全体で必要なパワーを確保するために第2a群のパワーを強くする必要が生じてしまう。その結果、通常時の球面収差とコマ収差を抑えることが困難になる。したがって、条件式(3)を満たすことにより、防振レンズ群の偏心状態にかかわらず高い収差性能を得ることが可能になる。
【0037】
以下の条件式(3a)を満足することが更に望ましい。
1.6<f2b/f2<3.6 …(3a)
この条件式(3a)は、前記条件式(3)が規定している条件範囲のなかでも、前記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。したがって、好ましくは条件式(3a)を満たすことにより、上記効果をより一層大きくすることができる。
【0038】
第2a群に、光軸上で正パワーを有し、かつ、光軸から離れるに従ってパワーが減少する非球面を少なくとも1面有することが望ましい。先に述べたように、防振レンズ群である第2b群のパワーをできるだけ小さくするため、第2a群には強いパワーが必要となる。また、ズーム全域にわたって球面収差を小さく抑えるためには、ズームブロックごとの球面収差を十分抑制しておく必要があり、第2群全体での球面収差も十分に小さくしておくことが必要である。第2b群については、防振時の偏心コマ収差を抑えるため、球面収差を十分小さく設定しているので、第2群全体の球面収差を小さくするためには、第2a群の球面収差も十分小さくしておくことが必要となる。以上の観点から、第2a群に配置されている光軸上で正のパワーを持つ面の少なくとも1面に、光軸から離れるに従って正のパワーが減少する非球面を配置することが望ましい。
【0039】
第2a群がその内部に少なくとも1つの空気間隔を有し、第2a群内の最も物体側の空気間隔を境として第2a群を2つのレンズ群に分け、その物体側,像側のレンズ群をそれぞれ第2a1群,第2a2群としたとき、第2a1群が正パワーを有し、第2a2群が負パワーを有することが望ましい。上述の通り、第2a群には強い収束作用を持たせつつ、球面収差を十分に抑制することが必要となるため、正のパワーを持つ第2a1群と負のパワーを持つ第2a2群を有することが望ましい。
【0040】
以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.5<f2a1/f2<1.5 …(4)
ただし、
f2a1:第2a1群の焦点距離、
f2:第2群の焦点距離、
である。
【0041】
第2a1群の焦点距離は条件式(4)を満足することが望ましい。条件式(4)の下限を下回ると、第2a1群のパワーが強くなりすぎて、球面収差やコマ収差の補正が困難になる。条件式(4)の上限を上回ると、第2a1群のパワーが弱くなりすぎて、第2群全体で必要なパワーを確保するために第2b群のパワーを強くする必要が生じる。その結果、防振時の偏心コマ収差を抑えることが困難になる。したがって、条件式(4)を満たすことにより、防振レンズ群の偏心状態にかかわらず高い収差性能を得ることが可能になる。
【0042】
第2a1群が正レンズ1枚から成り、前記第2a2群が負レンズ1枚から成ることが望ましい(後述する実施例1,3に相当する。)。第2a1群を正レンズ1枚、第2a2群を負レンズ1枚で構成することは、第2a群全体の球面収差を抑える上で有効である。正レンズと負レンズの各1枚の簡単な組み合わせで球面収差を効果的に抑えることができ、また、その効果は前記条件式(4)を満たすことでより一層増大する。
【0043】
第2a2群が、光軸から離れるに従って負パワーが増加する非球面を少なくとも1面有することが望ましい。負のレンズ面に非球面を配置することで、収束面(つまり正パワーの光学面)で発生する球面収差を効果的に打ち消すことが可能となる。したがって、光軸から離れるに従って負パワーが増大する非球面を第2a2群に配置することにより、第2a群全体の球面収差を更に効果的に抑えることができる。
【0044】
第2a1群が正レンズ1枚から成り、第2a2群が物体側から順に負レンズと正レンズとの接合レンズから成り、以下の条件式(5)を満足することが望ましい(後述する実施例2に相当する。)。
0.3<ndn−ndp …(5)
ただし、
ndn:接合レンズを構成する負レンズのd線に関する屈折率、
ndp:接合レンズを構成する正レンズのd線に関する屈折率、
である。
【0045】
第2a1群を正レンズ1枚、第2a2群を物体側から負正の接合レンズで構成し、条件式(5)を満たすことは、第2a群全体の球面収差を抑える上で有効である。条件式(5)を満足することにより、接合面で所望の球面収差を発生させることができ、収束面(第2a1群)で発生する球面収差を効果的に打ち消すことが可能となる。また、接合レンズでの色収差補正も可能である。
【0046】
第3群の移動によりフォーカシングを行うことが望ましい。負正負正のズームタイプでは、第3群をフォーカス群にすることでアクチュエータの軽量化及びフォーカシングの高速化を達成することが可能となる。また、第3群はフォーカス感度の制御が容易であるため、フォーカシング群としては第3群が好適である。
【0047】
本発明に係るズームレンズは、画像入力機能付きデジタル機器(例えば、デジタルカメラ)用の撮像レンズとしての使用に適しており、これを撮像素子等と組み合わせることにより、被写体の映像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力する撮像光学装置を構成することができる。撮像光学装置は、被写体の静止画撮影や動画撮影に用いられるカメラの主たる構成要素を成す光学装置であり、例えば、物体(すなわち被写体)側から順に、物体の光学像を形成するズームレンズと、そのズームレンズにより形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えることにより構成される。そして、撮像素子の受光面(すなわち撮像面)上に被写体の光学像が形成されるように、前述した特徴的構成を有するズームレンズが配置されることにより、小型・低コストで高変倍・高性能の撮像光学装置やそれを備えたデジタル機器(例えば、デジタルカメラ,携帯電話)を実現することができる。
【0048】
カメラの例としては、デジタルカメラ,ビデオカメラ,監視カメラ,車載カメラ,テレビ電話用カメラ等が挙げられ、また、パーソナルコンピュータ,デジタル機器(例えば、携帯電話,モバイルコンピュータ等の小型で携帯可能な情報機器端末),これらの周辺機器(スキャナー,プリンター等),その他のデジタル機器等に内蔵又は外付けされるカメラが挙げられる。これらの例から分かるように、撮像光学装置を用いることによりカメラを構成することができるだけでなく、各種機器に撮像光学装置を搭載することによりカメラ機能を付加することが可能である。例えば、カメラ付き携帯電話等の画像入力機能付きデジタル機器を構成することが可能である。
【0049】
図13に、画像入力機能を有するデジタル機器DUの概略構成例を模式的断面で示す。図13に示すデジタル機器DUに搭載されている撮像光学装置LUは、物体(すなわち被写体)側から順に、物体の光学像(像面)IMを変倍可能に形成するズームレンズZL(AX:光軸,ST:絞り)と、平行平面板PT(撮像素子SRのカバーガラス;必要に応じて配置される光学的ローパスフィルター,赤外カットフィルター等の光学フィルター等に相当する。)と、ズームレンズZLにより受光面SS上に形成された光学像IMを電気的な信号に変換する撮像素子SRと、を備えている。この撮像光学装置LUで画像入力機能付きデジタル機器DUを構成する場合、通常そのボディ内部に撮像光学装置LUを配置することになるが、カメラ機能を実現する際には必要に応じた形態を採用することが可能である。例えば、ユニット化した撮像光学装置LUをデジタル機器DUの本体に対して着脱自在又は回動自在に構成することが可能である。
【0050】
撮像素子SRとしては、例えば複数の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ,CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の固体撮像素子が用いられる。ズームレンズZLは、撮像素子SRの光電変換部である受光面SS上に被写体の光学像IMが形成されるように設けられているので、ズームレンズZLによって形成された光学像IMは、撮像素子SRによって電気的な信号に変換される。
【0051】
デジタル機器DUは、撮像光学装置LUの他に、信号処理部1,制御部2,メモリ3,操作部4,表示部5等を備えている。撮像素子SRで生成した信号は、信号処理部1で所定のデジタル画像処理や画像圧縮処理等が必要に応じて施され、デジタル映像信号としてメモリ3(半導体メモリ,光ディスク等)に記録されたり、場合によってはケーブルを介したり赤外線信号等に変換されたりして他の機器に伝送される(例えば携帯電話の通信機能)。制御部2はマイクロコンピュータから成っており、撮影機能(静止画撮影機能,動画撮影機能等),画像再生機能等の機能の制御;ズーミングやフォーカシングのためのレンズ移動機構の制御等を集中的に行う。例えば、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方を行うように、制御部2により撮像光学装置LUに対する制御が行われる。表示部5は液晶モニター等のディスプレイを含む部分であり、撮像素子SRによって変換された画像信号あるいはメモリ3に記録されている画像情報を用いて画像表示を行う。操作部4は、操作ボタン(例えばレリーズボタン),操作ダイヤル(例えば撮影モードダイヤル)等の操作部材を含む部分であり、操作者が操作入力した情報を制御部2に伝達する。
【0052】
ズームレンズZLは、前述したように、負正負正の4群から成る負リードのズーム構成になっており、少なくとも第1群から第3群がそれぞれ光軸AXに沿って移動して各群間隔を変化させることにより変倍(すなわちズーミング)を行い、撮像素子SRの受光面SS上に光学像IMを形成する構成になっている。ここで、第1〜第3の実施の形態を挙げて、ズームレンズZLの具体的な光学構成を更に詳しく説明する。図1〜図3は、第1〜第3の実施の形態を構成するズームレンズZLにそれぞれ対応するレンズ構成図であり、広角端(W),中間焦点距離状態(M),望遠端(T)でのレンズ配置を光学断面で示している。各レンズ構成図中の軌跡m1,m2,m3,m4は、広角端(W)から望遠端(T)へのズーミングにおける第1群Gr1,第2群Gr2,第3群Gr3,第4群Gr4の移動をそれぞれ模式的に示している(なお、破線はズーム位置固定を示している。)。
【0053】
第1の実施の形態(図1)では、第1群Gr1〜第3群Gr3が移動群であり、第4群Gr4が固定群である。したがって、ズーミングにおいて第1群Gr1〜第3群Gr3が移動し、第4群Gr4はズーム位置固定である。第3群Gr3はフォーカス群であり、矢印mFで示すように、近距離物体へのフォーカシングにおいて像側へ移動する。絞りSTは第2群Gr2内に配置されており、ズーミングにおいて第2群Gr2と共に移動する。負の第5レンズと正の第6レンズとの接合レンズから成る第2b群Gr2が防振レンズ群であり、矢印mCで示すように、光軸AXに対して垂直に移動することにより手振れ補正が行われる。非球面は、第1レンズの像側面、第3レンズの物体側面、第4レンズの像側面、第7レンズの像側面である。
【0054】
第2の実施の形態(図2)では、第1群Gr1〜第3群Gr3が移動群であり、第4群Gr4が固定群である。したがって、ズーミングにおいて第1群Gr1〜第3群Gr3が移動し、第4群Gr4はズーム位置固定である。第3群Gr3はフォーカス群であり、矢印mFで示すように、近距離物体へのフォーカシングにおいて像側へ移動する。絞りSTは第2群Gr2の物体側に配置されており、ズーミングにおいて第2群Gr2と共に移動する。第7レンズから成る第2b群Gr2が防振レンズ群であり、矢印mCで示すように、光軸AXに対して垂直に移動することにより手振れ補正が行われる。非球面は、第2レンズの像側面、第4レンズの両面、第8レンズの像側面である。
【0055】
第3の実施の形態(図3)では、第1群Gr1〜第3群Gr3が移動群であり、第4群Gr4が固定群である。したがって、ズーミングにおいて第1群Gr1〜第3群Gr3が移動し、第4群Gr4はズーム位置固定である。第3群Gr3はフォーカス群であり、矢印mFで示すように、近距離物体へのフォーカシングにおいて像側へ移動する。絞りSTは第2群Gr2の物体側に配置されており、ズーミングにおいて第2群Gr2と共に移動する。負の第5レンズと正の第6レンズとの接合レンズから成る第2b群Gr2が防振レンズ群であり、矢印mCで示すように、光軸AXに対して垂直に移動することにより手振れ補正が行われる。非球面は、第1レンズの像側面、第3レンズの物体側面、第4レンズの像側面、第7レンズの像側面である。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施したズームレンズの構成等を、実施例のコンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで挙げる実施例1〜3(EX1〜3)は、前述した第1〜第3の実施の形態にそれぞれ対応する数値実施例であり、第1〜第3の実施の形態を表す光学構成図(図1〜図3)は、対応する実施例1〜3のレンズ構成をそれぞれ示している。
【0057】
各実施例のコンストラクションデータでは、面データとして、左側の欄から順に、面番号,曲率半径r(mm),軸上での面間隔d(mm),d線(波長587.56nm)に関する屈折率nd,d線に関するアッベ数vdを示す。面番号に*が付された面は非球面であり、その面形状は面頂点を原点とするローカルな直交座標系(x,y,z)を用いた以下の式(AS)で定義される。非球面データとして、非球面係数等を示す。なお、各実施例の非球面データにおいて表記の無い項の係数は0であり、すべてのデータに関してE−n=×10-nである。
z=(c・h2)/[1+√{1−(1+K)・c2・h2}]+Σ(Aj・hj) …(AS)
ただし、
h:z軸(光軸AX)に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)、
z:高さhの位置での光軸AX方向のサグ量(面頂点基準)、
c:面頂点での曲率(曲率半径rの逆数)、
K:円錐定数、
Aj:j次の非球面係数、
である。
【0058】
各種データとして、ズーム比を示し、さらに各焦点距離状態(W)(M)(T)について、全系の焦点距離(f,mm),Fナンバー(Fno.),半画角(ω,°),像高(Y’,mm),レンズ全長(TL,mm),バックフォーカス(BF,mm),及び可変面間隔di(i:面番号,mm)を示し、ズームレンズ群データとして、各レンズ群の焦点距離(mm)を示す。ただし、ここで使っているBFはカバーガラス(平行平面板PTに相当する。)の像側面から像面までの距離であり、レンズ全長はレンズ最前面から像面までの距離である。また、表1に条件式対応値とその関連データを各実施例について示す。
【0059】
図4〜図6は、実施例1〜実施例3(EX1〜EX3)にそれぞれ対応する収差図(通常時(偏心前),無限遠合焦状態での縦収差図)であり、(W)は広角端,(M)は中間,(T)は望遠端における諸収差(左から順に、球面収差等,非点収差,歪曲収差である。)を示している。図4〜図6中、FNOはFナンバー、Y’(mm)は撮像素子SRの受光面SS上での最大像高(光軸AXからの距離に相当する。)である。球面収差図において、実線d,一点鎖線g,二点鎖線cはd線,g線,c線に対する球面収差(mm)をそれぞれ表しており、破線SCは正弦条件不満足量(mm)を表している。非点収差図において、破線DMはメリディオナル面、実線DSはサジタル面でのd線に対する各非点収差(mm)を表している。また、歪曲収差図において実線はd線に対する歪曲(%)を表している。
【0060】
図7〜図12は、実施例1〜実施例3(EX1〜EX3)の偏心前(通常時)及び偏心後(手振れ補正時)の無限遠合焦状態での横収差図であり、図7及び図8は実施例1、図9及び図10は実施例2、図11及び図12は実施例3にそれぞれ対応している。図7〜図12中、(A),(B)は偏心前の横収差図であり、(C)〜(E)は偏心後の横収差図である(y’(mm)は撮像素子SRの受光面SS上での像高(光軸AXからの距離に相当する。)である。)。図7,図9,図11では、広角端(W)で0.3度の角度の像ブレを偏心レンズ成分(すなわち、第2b群(防振レンズ群)Gr2b)の偏心により補正したときの軸上及び軸外での横収差の劣化を表しており、図8,図10,図12では、望遠端(T)で0.3度の角度の像ブレを偏心レンズ成分の偏心により補正したときの軸上及び軸外での横収差の劣化を表している。
【0061】
実施例1
単位:mm
面データ
面番号 r d nd vd
1 539.632 1.190 1.80420 46.49
2* 12.159 4.331
3 18.835 2.430 1.84666 23.78
4 34.946 可変
5* 7.853 3.600 1.49700 81.61
6 342.062 1.045
7(絞り) ∞ 1.000
8 200.290 1.740 1.83441 37.28
9* 24.028 1.344
10 28.169 0.400 1.62004 36.30
11 7.280 2.860 1.63854 55.43
12 -91.514 可変
13 -149.072 0.800 1.53048 55.72
14* 14.199 可変
15 -96.170 2.560 1.80420 46.49
16 -26.897 12.100
17 ∞ 2.000 1.51680 64.20
18 ∞ BF
【0062】
非球面データ
第2面
K= 0.00000
A4=-3.35989E-05
A6=-3.84200E-07
A8= 2.55853E-09
A10=-2.96843E-11
【0063】
第5面
K= 0.00000
A4=-1.44451E-05
A6=-6.27159E-07
A8= 2.62746E-08
A10=-4.40636E-10
【0064】
第9面
K= 0.00000
A4= 3.44172E-04
A6= 6.47376E-06
A8=-3.89285E-08
A10= 1.01322E-08
【0065】
第14面
K= 0.00000
A4= 2.30309E-05
A6=-7.37430E-07
A8=-5.67158E-08
A10= 1.24925E-09
【0066】
各種データ
ズーム比 3.000
広角(W) 中間(M) 望遠(T)
焦点距離 14.000 24.200 41.999
Fナンバー 3.600 4.400 5.700
半画角 39.932 23.577 14.094
像高 10.800 10.800 10.800
レンズ全長 68.870 58.000 63.858
BF 2.000 2.000 1.999

d4 25.602 8.550 0.500
d12 1.163 4.597 7.145
d14 2.706 5.453 16.813
【0067】
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -26.099
2 5 16.572
3 13 -24.397
4 15 45.679
【0068】
実施例2
単位:mm
面データ
面番号 r d nd vd
1 43.454 1.400 1.72916 54.66
2 12.166 6.033
3 86.816 1.100 1.83481 42.72
4* 21.885 2.084
5 22.902 2.500 1.84666 23.78
6 58.836 可変
7(絞り) ∞ 0.500
8* 10.919 4.100 1.77377 47.18
9* -314.096 1.317
10 62.572 1.740 1.90366 31.31
11 6.700 3.850 1.49700 81.61
12 -78.786 1.000
13 44.573 1.300 1.84666 23.78
14 507.123 可変
15 507.123 1.100 1.53048 55.72
16* 14.924 可変
17 -221.628 3.350 1.62299 58.11
18 -24.743 12.100
19 ∞ 2.000 1.51680 64.20
20 ∞ BF
【0069】
非球面データ
第4面
K= 0.00000
A4=-2.29360E-05
A6=-1.02931E-07
A8= 2.31746E-10
A10=-5.64920E-12
【0070】
第8面
K= 0.00000
A4=-3.73493E-05
A6= 3.56228E-07
A8=-1.57672E-08
A10= 1.43557E-10
【0071】
第9面
K= 0.00000
A4= 3.36398E-05
A6= 9.43525E-07
A8=-3.57707E-08
A10= 4.42346E-10
【0072】
第16面
K= 0.00000
A4= 4.15552E-05
A6=-7.78732E-07
A8= 9.35178E-09
A10=-2.62548E-10
【0073】
各種データ
ズーム比 3.500
広角(W) 中間(M) 望遠(T)
焦点距離 12.000 22.400 42.000
Fナンバー 3.600 4.400 5.700
半画角 44.361 25.175 14.166
像高 10.800 10.800 10.800
レンズ全長 80.000 69.483 79.811
BF 2.000 2.000 2.000

d6 28.354 9.899 1.865
d14 1.000 6.544 11.230
d16 3.172 5.566 19.242
【0074】
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -21.356
2 7 17.975
3 15 -29.009
4 17 44.418
【0075】
実施例3
単位:mm
面データ
面番号 r d nd vd
1 1429.665 1.250 1.80420 46.49
2* 12.550 5.002
3 19.604 2.400 1.84666 23.78
4 35.288 可変
5(絞り) ∞ 0.500
6* 8.379 4.000 1.49700 81.61
7 -217.375 1.773
8 27.930 0.500 1.67270 32.17
9* 13.051 3.800
10 19.563 0.600 1.64769 33.84
11 12.655 2.290 1.49700 81.61
12 -65.404 可変
13 150.745 0.800 1.53048 55.72
14* 12.449 可変
15 -39.062 2.270 1.80420 46.49
16 -21.738 12.100
17 ∞ 2.000 1.51680 64.20
18 ∞ BF
【0076】
非球面データ
第2面
K= 0.00000
A4=-3.14807E-05
A6=-2.93044E-07
A8= 1.39119E-09
A10=-1.90131E-11
【0077】
第6面
K= 0.00000
A4=-1.79356E-05
A6=-7.18301E-07
A8= 1.19309E-08
A10=-3.82123E-10
【0078】
第9面
K= 0.00000
A4= 3.21205E-04
A6= 4.60161E-06
A8= 4.56187E-08
A10= 4.51866E-09
【0079】
第14面
K= 0.00000
A4= 1.59657E-05
A6=-7.72935E-07
A8=-1.29370E-08
A10=-4.05302E-11
【0080】
各種データ
ズーム比 3.000
広角(W) 中間(M) 望遠(T)
焦点距離 14.000 24.200 42.000
Fナンバー 3.600 4.400 5.700
半画角 39.939 23.477 14.345
像高 10.800 10.800 10.800
レンズ全長 73.108 60.000 69.074
BF 2.000 2.000 2.000

d4 27.575 8.692 1.500
d12 1.000 4.607 5.180
d14 3.248 5.416 21.109
【0081】
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -26.032
2 5 17.365
3 13 -25.632
4 15 57.587
【0082】
【表1】

【符号の説明】
【0083】
DU デジタル機器
LU 撮像光学装置
ZL ズームレンズ
Gr1 第1群
Gr2 第2群
Gr3 第3群
Gr4 第4群
Gr2a 第2a群
Gr2b 第2b群(防振レンズ群)
Gr2a1 第2a1群
Gr2a2 第2a2群
ST 絞り(開口絞り)
SR 撮像素子
SS 受光面(撮像面)
IM 像面(光学像)
AX 光軸
1 信号処理部
2 制御部
3 メモリ
4 操作部
5 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負パワーを有する第1群と、正パワーを有する第2群と、負パワーを有する第3群と、正パワーを有する第4群と、で構成され、少なくとも前記第1群から前記第3群がそれぞれ移動して各群間隔を変化させることにより変倍を行うズームレンズであって、
前記第2群がその内部に少なくとも1つの空気間隔を有し、前記第2群内の最も像側の空気間隔を境として第2群を2つのレンズ群に分け、その像側のレンズ群を第2b群としたとき、前記第2b群を光軸に対して略垂直な面内で移動させて防振を行うことを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1記載のズームレンズ;
−0.1<β2b<0.8 …(1)
ただし、
β2b:望遠端における第2b群の近軸横倍率、
である。
【請求項3】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1又は2記載のズームレンズ;
0.6<H2b/H2<0.85 …(2)
ただし、
H2:第2群の最も物体側のレンズ面における望遠端での軸上光線高さ、
H2b:第2b群の最も物体側のレンズ面における望遠端での軸上光線高さ、
である。
【請求項4】
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のズームレンズ;
1.0<f2b/f2<4.2 …(3)
ただし、
f2b:第2b群の焦点距離、
f2:第2群の焦点距離、
である。
【請求項5】
前記第2群内の最も像側の空気間隔を境として第2群を2つのレンズ群に分け、その物体側のレンズ群を第2a群としたとき、前記第2a群に、光軸上で正パワーを有し、かつ、光軸から離れるに従ってパワーが減少する非球面を少なくとも1面有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記第2a群がその内部に少なくとも1つの空気間隔を有し、前記第2a群内の最も物体側の空気間隔を境として第2a群を2つのレンズ群に分け、その物体側,像側のレンズ群をそれぞれ第2a1群,第2a2群としたとき、前記第2a1群が正パワーを有し、前記第2a2群が負パワーを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項6記載のズームレンズ;
0.5<f2a1/f2<1.5 …(4)
ただし、
f2a1:第2a1群の焦点距離、
f2:第2群の焦点距離、
である。
【請求項8】
前記第2a1群が正レンズ1枚から成り、前記第2a2群が負レンズ1枚から成ることを特徴とする請求項6又は7記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第2a2群が、光軸から離れるに従って負パワーが増加する非球面を少なくとも1面有することを特徴とする請求項8記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第2a1群が正レンズ1枚から成り、前記第2a2群が物体側から順に負レンズと正レンズとの接合レンズから成り、以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項6又は7記載のズームレンズ;
0.3<ndn−ndp …(5)
ただし、
ndn:接合レンズを構成する負レンズのd線に関する屈折率、
ndp:接合レンズを構成する正レンズのd線に関する屈折率、
である。
【請求項11】
デジタルカメラ用の交換レンズであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のズームレンズと、受光面上に形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備え、前記撮像素子の受光面上に被写体の光学像が形成されるように前記ズームレンズが設けられていることを特徴とする撮像光学装置。
【請求項13】
請求項12記載の撮像光学装置を備えることにより、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とするデジタル機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−15778(P2013−15778A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150360(P2011−150360)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】