説明

セラミックパッケージおよびカメラモジュール

【課題】イメージセンサに加えて、受動素子部品や能動素子部品を内部に収容しつつ、小型化を図ることのできるセラミックパッケージを提供すること。
【解決手段】セラミックパッケージ1は、セラミック基板2と、セラミック基板上に搭載されたカバー部6とにより内部空間が封止されたセラミックパッケージであって、内部空間内のセラミック基板上に搭載されたイメージセンサ4と、内部空間内のセラミック基板上に搭載された素子部8と、内部空間内のセラミック基板上に形成されて、ボンディングワイヤによってイメージセンサと電気的に接続されるリード電極10と、を有し、リード電極が形成される面と、カバー部が搭載される面とが同一面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックパッケージおよびカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
薄板状のセラミック板を積層したセラミック基板上に、イメージセンサが搭載されたセラミックパッケージが用いられている。セラミックパッケージは、ガラスカバー等のカバー部によって、イメージセンサが搭載された内部空間が封止されている。セラミックパッケージは、樹脂基板を用いた樹脂パッケージに比べ、強度や放熱性に優れている。また、加工端面からの加工屑の発生も少なく、イメージセンサ等に加工屑が付着することで画質が低下するといった問題の発生も抑えることができる。このようなセラミックパッケージが、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0003】
セラミックパッケージは、カメラモジュール等に用いられるが、近年のカメラモジュールの小型化に伴い、セラミックパッケージにも小型化が要求される場合がある。しかしながら、特許文献1に開示のものは、セラミック基板の断面構成が3段の段差を備える構成となっており、イメージセンサを搭載する面と、ワイヤボンディング用のリード電極が形成される面と、カバー部が搭載される面とが、それぞれ段違いに形成されている。この場合、セラミックパッケージの製造上、段差ごとに所定の寸法が必要になる。また、各段差を構成するためにセラミック板を貼り合わせる工程において、貼り合わせ公差が生じる。貼り合わせ公差は、段差数の増加に応じて大きくなりやすい。このような、製造上の必要寸法や貼り合わせ公差が、セラミックパッケージの小型化を図るうえでの障害となる場合がある。
【0004】
また、特許文献2に開示のものは、セラミックパッケージの外部に受動素子部品や能動素子部品といった素子部を配置している。これらの素子部をセラミックパッケージの内部に収容してユニット化を図る場合もある。この場合、セラミックパッケージの内部に素子部を収容することで、セラミックパッケージの小型化がさらに困難になりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−99791号公報
【特許文献2】特開2004−172436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、イメージセンサに加えて、受動素子部品や能動素子部品を内部に収容しつつ、小型化を図ることのできるセラミックパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の一態様によれば、セラミック基板と、セラミック基板上に搭載されたカバー部とにより内部空間が封止されたセラミックパッケージであって、内部空間内のセラミック基板上に搭載されたイメージセンサと、内部空間内のセラミック基板上に搭載された素子部と、内部空間内のセラミック基板上に形成されて、ボンディングワイヤによってイメージセンサと電気的に接続されるリード電極と、を有し、リード電極が形成される面と、カバー部が搭載される面とが同一面であることを特徴とするセラミックパッケージが提供される。
【0008】
また、本願発明の一態様によれば、上記セラミックパッケージと、被写体からの光をイメージセンサに向けて進行させる光学レンズと、光学レンズを駆動するレンズアクチュエータと、を有することを特徴とするカメラモジュールが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受動素子部品や能動素子部品を内部に収容しつつ、小型化を図ることのできるセラミックパッケージを得ることができるという効果を奏する。
【0010】
また、本発明によれば、小型化されたセラミックパッケージを用いることで、カメラモジュールの小型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るセラミックパッケージの平面構成を示す図。
【図2】図1に示すセラミックパッケージのA−A線に沿った矢視断面図。
【図3】比較例としての従来のセラミックパッケージの平面構成を示す図。
【図4】図3に示すセラミックパッケージのB−B線に沿った矢視断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るセラミックパッケージの平面構成を示す図。
【図6】図5に示すセラミックパッケージのC−C線に沿った矢視断面図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るカメラモジュールの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態にかかるセラミックパッケージを詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるセラミックパッケージの平面構成を示す図である。図2は、図1に示すセラミックパッケージのA−A線に沿った矢視断面図である。なお、図1では、カバー部を省略して示している。
【0014】
セラミックパッケージ1は、セラミック基板2、イメージセンサ4、カバー部6、素子部8、リード電極10を有して構成される。セラミック基板2は、薄板状のセラミック板を積層して構成されている。セラミック基板2は、図2に示すように、互いに段違いとなるように形成された第1面12と第2面14とを備えている。第1面12には、イメージセンサ4と素子部8が搭載される。第2面14には、リード電極10が形成されるとともに、カバー部6が搭載される。
【0015】
イメージセンサ4は、被写体からの光を信号電荷に変換し、画像データを得る。カバー部6は、セラミック基板2に対して、第1面12および第2面14側の表面を覆うように搭載される。セラミック基板2とカバー部6とにより、イメージセンサ4や素子部8を収容する内部空間が封止される。
【0016】
カバー部6は、内部空間への埃等の侵入を防ぐ。カバー部6は、ガラス部6aと樹脂部6bを備えて構成される。カバー部6が、透光性のガラス部6aを備えているので、被写体からの光が、カバー部6に遮られずに、イメージセンサ4まで到達することができる。カバー部6は、樹脂部6b部分をセラミック基板2の第2面14に貼り付けることで、セラミック基板2に搭載される。
【0017】
素子部8は、受動素子部品や能動素子部品である。受動素子部品としては、例えば、コンデンサや抵抗やインダクタが挙げられる。能動素子部品としては、例えば、図示しないレンズアクチュエータを駆動させるドライバICや不揮発性メモリが挙げられる。リード電極10は、セラミック基板2の第2面14上に形成される。リード電極10は、例えば、金メッキでパターニングされて形成される。リード電極10は、ボンディングワイヤ11によってイメージセンサ4と電気的に接続される。
【0018】
次に、比較例としての従来のセラミックパッケージを図に示す。図3は、比較例としての従来のセラミックパッケージ100の平面構成を示す図である。図4は、図3に示すセラミックパッケージ100のB−B線に沿った矢視断面図である。なお、図3では、カバー部を省略して示している。図3に示すように、従来のセラミックパッケージ100は、セラミック基板2が3段の段違いで形成されることが多い。そして、第1面112には、イメージセンサ4と素子部8が搭載され、第2面114には、リード電極10が形成される。そして、カバー部6は、第2面114よりもさらに高い位置に形成された第3面116に搭載される。ここで、比較例に示すセラミック基板2の第3面116の幅を「c」、第2面114の幅を「d」、第2面114の端部とイメージセンサ4との幅を「e」とする。
【0019】
セラミック基板2は、第1面112、第2面114、第3面116を構成するそれぞれのセラミック板を貼り合わせて構成される。第2面114や第3面116を構成するセラミック板は、平面視において第1面112を囲む枠型形状に形成されるが、セラミック板の製造上、その幅を一定の幅よりも狭く形成することが難しい。
【0020】
第3面116では、セラミック板の幅が、そのまま第3面116の幅となる。第3面116は、幅寸法が「c1」だけあれば、カバー部6の搭載が可能であるが、上記製造上の制約により、「c1」よりも「c2」分だけ大きく形成されている。
【0021】
図2に戻って、第1の実施の形態に係るセラミックパッケージ1では、セラミック基板2が2段の段違いで形成されている。また、リード電極10が形成される第2面14にカバー部6が搭載されている。すなわち、リード電極10が形成される面と、カバー部6が搭載される面とが同一面となっている。
【0022】
このように構成することで、第2面14の幅寸法「a」は、比較例における第2面114の幅寸法と第3面116との和である「c+d」よりも約「c2」程度、小さく形成することができる。これにより、図2に示す側の反対側での縮小分も含めると、比較例に示すセラミックパッケージ100に比べて、セラミックパッケージ1の外形寸法を、約「c2×2」程度、小さくすることができる。
【0023】
また、図3,4に示す比較例としての従来のセラミックパッケージ100では、第2面114の幅寸法「d」について、リード電極10をパターニングするために、一定の幅寸法が必要とされる。一方、第1の実施の形態では、第2面14が、カバー部6も搭載できるように、比較例の第2面114よりも幅寸法「a」が大きく形成されている。したがって、リード電極10をパターニングするための十分な寸法を確保しやすいため、比較例において「d」に相当する幅を、第2の実施の形態ではより小さく形成することができる。これにより、セラミックパッケージ1のさらなる小型化を図ることができる。
【0024】
また、セラミック板を3段の段違いを形成するように貼り合わせるよりも、2段の段違いを形成するように貼り合わせたほうが、貼り合わせ工程を少なくすることができる。これにより、セラミック板を貼り合わせる際に生じる貼り合わせ公差を減らすことができ、セラミックパッケージ1の一層の小型化を図ることができる。
【0025】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るセラミックパッケージの平面構成を示す図である。図6は、図5に示すセラミックパッケージのC−C線に沿った矢視断面図である。なお、図5では、カバー部を省略して示している。
【0026】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、セラミック基板2は2段の段違いに形成される。ただし、第2の実施の形態では、素子部8が第2面14上に搭載される。また、素子部8は、ボンディングワイヤ11で接続されるイメージセンサ4とリード電極10との間の領域から外れた位置に搭載される。
【0027】
ここで、図3,4に示す比較例としての従来のセラミックパッケージ100では、第1面112に素子部8を搭載しているので、イメージセンサ4と素子部8との間、および第2面114を構成するセラミック板と素子部8との間の両方に所定の空間が形成されている。この素子部8の両側に形成された空間により、素子部8を搭載する際の作業性などが確保される。つまり、「e」で示す幅寸法は、素子部8の幅とその両側に形成された空間の幅の和になる。
【0028】
一方、第2の実施の形態では、素子部8を第2面14に搭載したので、「e」に相当する部分の幅「f」を、より小さくすることができる。また、カバー部6を搭載する前であれば、素子部8の両側に段差や壁面がないため、素子部8の両側の空間を考慮せずに、素子部8を搭載する際の作業性を確保することができる。したがって、素子部8の両側に形成される空間を減らすことができ、セラミックパッケージ1のさらなる小型化を図ることができる。
【0029】
また、第2の実施の形態とは異なり、イメージセンサ4とリード電極10との間の領域内に素子部8を搭載する場合には、以下の問題がある。すなわち、素子部8を、イメージセンサ4とリード電極10との間の領域内に搭載する場合には、ボンディングワイヤ11に素子部8の上方を通過させる必要があり、ボンディングワイヤ11と素子部8とが干渉して不具合が生じるおそれがある。一方、第2の実施の形態では、素子部8は、第2面14上であって、イメージセンサ4とリード電極10との間の領域から外れた位置に搭載されるので、ボンディングワイヤ11と素子部8が干渉しにくく、上記不具合の発生を抑えることができる。なお、第1の実施の形態では、素子部8が第2面14よりも1段低い第1面12に搭載されているので、ボンディングワイヤ11に素子部8の上方を通過させても干渉の問題が生じにくい。
【0030】
なお、上記実施の形態では、セラミック基板2を2段の段違いに構成しているが、段差のない構成としてもよい。例えば、イメージセンサ4、素子部8、リード電極10およびカバー部6を、同一平面に搭載した場合であっても、比較例の第3面116に要求されるような製造上の必要寸法の問題を解消することができる。したがって、セラミック基板を段差のない構成にした場合であっても、比較例のように3段の段違いでセラミック基板を構成した場合に比べて、セラミックパッケージの小型化を図ることができる。また、セラミック板の貼り合わせ工程もさらに削減することができるので、貼り合わせ公差を減らして、セラミックパッケージのさらなる小型化を図ることができる。
【0031】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るカメラモジュールの断面図である。
【0032】
カメラモジュール20は、被写体の画像を撮影するためのものである。カメラモジュール20は、上記第2の実施の形態で説明したセラミックパッケージ1と、光学レンズ22と、レンズアクチュエータ24とを有して構成される。光学レンズ22は、セラミックパッケージ1のカバー部6側に配置される。光学レンズ22は、被写体からの光を取り込んで、イメージセンサ4に向けて進行させる。光学レンズ22は、複数のレンズを組み合わせたレンズユニットとして構成されていてもよいし、単一のレンズで構成されていてもよい。
【0033】
レンズアクチュエータ24は、光学レンズ22を支持する。また、レンズアクチュエータ24は、図示しない制御手段や素子部8からの指示に基づいて光学レンズ22を駆動して、光学レンズ22の焦点を調節する。なお、光学レンズ22を駆動させる駆動機構については、詳細な説明を省略する。
【0034】
第2の実施の形態で説明したように、セラミックパッケージ1の小型化を図ることで、カメラモジュール20自体の小型化も図ることができる。
【0035】
なお、カメラモジュール20は第2の実施の形態で説明したセラミックパッケージ1を備える構成として説明したが、もちろん第1の実施の形態で説明したセラミックパッケージ1を備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 セラミックパッケージ、2 セラミック基板、4 イメージセンサ、6 カバー部、6a ガラス部、6b 樹脂部、8 素子部、10 リード電極、11 ボンディングワイヤ、12 第1面、14 第2面、20 カメラモジュール、22 光学レンズ、24 レンズアクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、前記セラミック基板上に搭載されたカバー部とにより内部空間が封止されたセラミックパッケージであって、
前記内部空間内の前記セラミック基板上に搭載されたイメージセンサと、
前記内部空間内の前記セラミック基板上に搭載された素子部と、
前記内部空間内の前記セラミック基板上に形成されて、ボンディングワイヤによって前記イメージセンサと電気的に接続されるリード電極と、を有し、
前記リード電極が形成される面と、前記カバー部が搭載される面とが同一面であることを特徴とするセラミックパッケージ。
【請求項2】
前記リード電極が形成される面は、前記イメージセンサが搭載される面と段違いに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミックパッケージ。
【請求項3】
前記リード電極が形成される面は、前記素子部が搭載される面と同一面であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックパッケージ。
【請求項4】
前記素子部は、前記イメージセンサと前記リード電極との間の領域を外れた位置に搭載されることを特徴とする請求項3に記載のセラミックパッケージ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックパッケージと、
被写体からの光を前記イメージセンサに向けて進行させる光学レンズと、
前記光学レンズを駆動するレンズアクチュエータと、を有することを特徴とするカメラモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−101228(P2011−101228A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254949(P2009−254949)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】