説明

セルスタートスイッチ付きスロットル調整機構

【課題】スロットル全閉位置にあるときにのみ、セルスタートスイッチを操作する。
【解決手段】操向用ハンドルに固定されるケース1の側壁2に形成された軸受部3にネジ4を設け、ネジ4には上記側壁2の外側にロングレバー5を、内側にはスロットル調整用ワイヤWを取り付けたサブレバー6とを装着するとともに、ロングレバー5の先端にはスイッチボタン15をネジ4と平行に作動可能に設け、スイッチボタン15にはケース1の周壁14に周方向に沿ってZ字形に形成された案内溝を貫通してケース1内に進入する脚部17を形成し、ロングレバー5を回動したときに脚部17が案内溝の連結溝18cに係合して停止した後、スイッチボタン15をネジ4と平行に移動させ、さらに周方向に移動したときに脚部17がケース1内に配置されたリミットスイッチ7を押圧可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルスタートスイッチとスロットルを開閉調整するレバーとを設け、このスロットル調整用レバーがスロットルを全閉にしてアイドリング状態にあるときにのみセルスタートの操作を行うことができるセルスタートスイッチ付きスロットル調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、刈払機、耕耘機、田植え機、芝刈機等の管理機のハンドル用パイプにはセルスタートスイッチ付きスロットル調整機構がユニット化されて設けられているものがある。
【0003】
このような装置においては、エンジンを始動するときは、サブレバーをアイドリング状態にしてからセルスタートの操作をしなければならない。ところが、サブレバーとスタートスイッチボタンとが別個に設けられていると、サブレバーがスロットルが開いた位置にあることを忘れてセルスタート操作をしてしまうことがある。この場合、エンジンが始動すると同時に高速回転するので、管理機が突然動き出すなどして不測の事故が発生するおそれがある。
【0004】
そこで、サブレバーがスロットル全閉位置でセルスタートのボタンを操作せざるを得ないようにするセルスタートスイッチ付きスロットル調整機構が提案されている(特許文献1参照)。これは、サブレバーがスロットル全閉位置にないと、セルスタートのスイッチを操作することができないように、セルスタートスイッチをサブレバーの裏側に配置し、サブレバーがスロットル全閉位置にないときは、セルスタートスイッチはサブレバーの裏側に配置されたままで上から操作することができず、サブレバーがスロットル全閉位置にあるときは、上記スイッチが露出して操作可能となるものである。
【特許文献1】特開2006−83763
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記装置のように、セルスタートスイッチがサブレバーの裏に隠れるような位置取りになっていると、たとえ露出しても操作が煩わしく、またスイッチとレバーとが別体であると、一方から一度手を離してから他方の操作をしなければならず、スムーズな操作がしにくいという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解消し、サブレバーがスロットル全閉位置にあるときにのみ、セルスタートスイッチを操作することができるとともに、スロットル全閉操作からセルスタート操作へ、またセルスタート操作からスロットル開き操作への動きをスムーズに行うことができるセルスタートスイッチ付きスロットル調整機構を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、操向用ハンドルに固定されるケースの側壁に形成された軸受部の外側にロングレバーを、内側にはエンジンのスロットル調整用ワイヤを取り付けたサブレバーを回動可能に配置し、ロングレバーとサブレバーをほぼ一体的に回動するように係合させるとともに上記軸受部の中心に設けられたネジで止め、上記ロングレバーの先端にはスイッチボタンを上記ネジと平行に作動可能に設け、スイッチボタンには上記ケースの周壁に沿って第1の案内溝と第2の案内溝とを連結溝を介してZ字形に連続形成した案内溝を貫通してケース内に進入する脚部を形成し、該脚部が上記第1の案内溝にあるときはスロットルが開き状態、上記連結溝にあるときはスロットル全閉状態とし、ロングレバーを回動したときに上記脚部が上記連結溝に係合して停止した後、スイッチボタンを上記ネジと平行に移動させ、さらに第2の案内溝に沿って移動したときに上記脚部が上記ケース内に配置されたセルスタートスイッチを押圧可能としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記ロングレバーが上記案内溝の連結溝に係合したとき、同時に上記サブレバーの作動を停止させ、上記ロングレバーがさらにスイッチボタンとともにセルスタートスイッチ側に移動したときに、ロングレバーを上記連結溝側に復帰移動するようにバネ付勢したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、上記ロングレバーの内側に保持プレートを一体に回動するように係合させ、保持プレートの内側に上記サブレバーを、該サブレバーの内側にはアジャストスプリングを介してアジャストプレートをそれぞれ上記ネジに沿って配置するとともに、上記保持プレートとサブプレートとを係合させ、かつアジャストプレートと該アジャストプレートを止めるナットとを一体に回動するように係合させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、エンジンの始動にあたり、ロングレバーを回動するときは、スイッチボタンを第2の案内溝に沿って摺動させなければならないが、ロングレバーが第1の案内溝にあるときはスイッチボタンはネジと平行に動かすことはできない。まず、ロングレバーを回動してスイッチボタンの脚部が第1の案内溝の端部、つまりZ字形の案内溝の連結溝に係合して停止する位置、つまりスロットル全閉位置まで作動させた後、スイッチボタンを連結溝に沿って上記ネジと平行に、第2の案内溝に臨む位置まで摺動させたときに初めて第2の案内溝に沿って摺動させることができる。ここで、スイッチボタンを第2の案内溝に沿って摺動したときに上記脚部がケース内に配置されたセルスタートスイッチを押圧してオン作動させることができる。このように、スイッチボタンはロングレバーをエンジンのアイドリング状態となるスロットル全閉位置にしておかなければ、セルスタートすることができないので、エンジン始動時にいきなりエンジンが高速回転するという問題を解消することができる。
【0011】
しかも、運転中にスロットルを開いている状態から一時的にアイドリング状態にするためにロングレバーを勢いよく移動させたときでも、ロングレバーは必ず連結溝で停止させられ、そのまま第2の案内溝に移行してセルスタートを作動させることがない。エンジンを始動させるには、スイッチボタンを意識的に第2の案内溝に沿って移動させなければならないので、運転中にセルスタータを始動させるというトラブルを確実に回避することができる。
【0012】
また、スロットル全閉操作からセルスタート操作へ、またセルスタート操作からスロットル開き操作への動きをロングレバーとスイッチボタンを片手で連続的に行うことができるので、操作性がよい。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、上記ロングレバーが上記案内溝の連結溝に係合したとき、同時に上記サブレバーの作動を停止させ、上記ロングレバーがさらにスイッチボタンとともにセルスタートスイッチ側に移動したときに、ロングレバーを上記連結溝側に復帰移動するようにバネ付勢したので、ロングレバーに加えた力を解除すると、蓄えられたバネ力によってロングレバーは自動的に復帰作動するから、操作性がよい。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ロングレバーと保持プレートとアジャストプレートとナットとは一体に回動し、ネジはロングレバーと一体に回動するので、結局ロングレバーとネジとナットは一体に回動する。したがって、ナットが弛むことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1(a)は芝刈り機などの管理機の操向用ハンドルに設けられたセルスタートスイッチ付きスロットル調整機構の平面図、同図(b)はその側面図、図2は図1(a)のX−X線上の断面図、図3は図1(a)のY−Y線上の断面図、図4(a)(b)は上記装置を異なる方向からみた分解斜視図、図5は上記装置の側面からの分解図、図6はロングレバーとサブレバーと保持プレートとリタンスプリングの部品図、図7(a)(b)は図6の部品の取付状態説明図、図8(a)(b)は上記装置のスロットル全開状態及び案内溝を示す平面図であり、図9(a)(b)(c)は上記装置のスロットル全閉状態と案内溝とを示す平面図及びスイッチボタンでリミットスイッチを押圧した状態の縦断面図を示す。
【0016】
図1〜図5において符号1はケースを示す。このケース1には操向用ハンドルaの挿通口が設けられている。ケース1は2分割され、ケース1の一方の側壁2には軸受部3が形成されている。軸受部3にはロングレバー5が回動自在に軸受けされ、ロングレバー5の内側にはサブレバー6が装着されている。また、ケース1内部の軸受部3の近傍にはリミットスイッチ(セルスタートスイッチ)7が固定されている。
【0017】
ロングレバー5は、基部の円盤部8から長腕部10aと短腕部10bとからなる略L字形のレバー部10を形成したもので、円盤部8の中心にはネジ4の挿通孔13aが形成され、その内側周辺部には3個の爪部11が等間隔に形成されている。これらの爪部11はケース1の軸受部3に回動自在に嵌合するように形成されている。なお、1個の爪部11の中央にはスプリングの受け部12が形成されている。上記ネジ挿通孔13aにはネジ4が挿通され、ネジ4は軸受部3の中心に設けられているので、ロングレバー5は上記ネジ4の軸心のまわりに回動可能となっている。回動時に、長腕部10aはケース1の側壁2に沿って移動し、短腕部10bはケース1の上部周壁14(案内壁)に沿って移動するようになっている。
【0018】
短腕部10bにはスイッチボタン15が設けられている。スイッチボタン15は上記ネジ4と平行に作動可能であり、スプリング16によって常時内側に作動するように付勢されている。なお、短腕部10bの案内壁はケース1の周壁14ではなく、ケース1と独立に形成してもよい。
【0019】
スイッチボタン15にはリミットスイッチ7の作動片7aを押圧可能な脚部17が形成されている。図8(a)(b)に示されるように、ケース1の周壁14にはロングレバー5の回動方向に沿って第1の案内溝18aと第2の案内溝18bと連結溝18cとからなるZ字形の案内溝が貫通形成されている。第1の案内溝18aと第2の案内溝18bは平行に形成され、第1の案内溝18aは長く、第2の案内溝18bは短く形成されている。また、連結溝18cは第1の案内溝18aと第2の案内溝18bに対して直角に形成されている。しかし、操作をより滑らかにするため、第1の案内溝18aに対しては一部が斜めに連結している。そして、上記スイッチボタン15の脚部17は上記案内溝を貫通してケース1の内部に進入するように配置されている。したがって、スイッチボタン15は上記案内溝の全長にわたって摺動可能となっている。上記脚部17は連結溝18cに沿って摺動するときにのみ、上記リミットスイッチ7の作動片7aを押圧できるように設定されている。
【0020】
また、サブレバー6は、円盤部20の一部に、スロットル調整用ワイヤWの端部に設けられたタイコを収納する収納部19を突出形成し、円盤部20の外側には上記ロングレバー5の円盤部8の爪部11と噛合する爪部21が形成されている。サブレバー6とロングレバー5の爪部11と爪部21とはわずかに余裕をもって噛合している。なお、円盤部20の中心にはネジ4の挿通孔13bが形成されている。これにより、サブレバー6もネジ4の中心のまわりに回動可能となっているが、後述のようにスロットル全閉のアイドリング位置でケース1に設けられた係合部33(図3参照)に係合して停止するように構成されている。
【0021】
次に、ロングレバー5とサブレバー6との間には、保持プレート22とリタンスプリング23が配置されている。保持プレート22は有孔円板22aの外周に耳片22bとZ字片22cとを突出形成したもので、有孔円板22aはロングレバー5の円盤部8の内側に配置され、耳片22bはロングレバー5の爪部11の間に配置されている。これにより、保持プレート22はネジ4のまわりをロングレバー5と一体に回動する。リタンスプリング23はコイル状に形成され、その一端23aはロングレバー5の受け部12に係合され、他端23bはサブレバー6の爪部21の周囲に形成された2個の円弧状係合片9bの間に係合している。上記リタンスプリング23のバネ力によりロングレバー5とサブレバー6は通常は一体的に回動する。なお、上記ロングレバー5とサブレバー6とリタンスプリング23との取付位置関係は、図6及び図7(a)に示すとおりである。
【0022】
また、サブレバー6の内側には板バネからなるアジャストスプリング24が配置され、さらにその内側にはアジャストプレート25が配置され、ネジ4の最内端部にはナット26が螺合されている。アジャストスプリング24は湾曲形成され、その中央には略長方形の開口部27が形成され、該開口部27はサブレバー6の内側に形成された略長方形状の凸部28に係合している。したがって、アジャストスプリング24もサブレバー6と一体に回動する。
【0023】
アジャストプレート25は板状に形成され、その一側には係合孔30を有する突片31が形成されている。また、中央部にはネジ4の挿通孔13cとともにナット収納用凹部32が形成されている。そして、上記係合孔30には保持プレート22のZ字片22cの先端が係合され、ネジ4の端部に螺合したナット26は上記凹部32に隙間なく収納される。
【0024】
ところで、ネジ4に上記各部品を図4および図5に示すように配置し、ナット26をネジ4の端部に螺合しアジャストプレート25の凹部32に収納した後、ネジ4の頭部をドライバで回転させることにより、ナット26とアジャストプレート25とを頭部側に螺進させると、アジャストスプリング24が押圧されてたわみ変形し、これによって発生した反発荷重によってサブレバー6がロングレバー5側に押されるので、図2および図4(a)(b)に示すように、サブレバー6の円盤部20の係合片9bとロングレバー5の円盤部8の周縁部9aとは互いに近接するように押圧される。このため、ケース1の軸受部3の周縁部を強く締め付け、摩擦抵抗が大きくなる。したがって、ロングレバー5を任意の位置で止めたとき、ロングレバー5は摩擦抵抗によりその位置に保持される。
【0025】
なお、上記摩擦抵抗トルクは上記脚部17が第1の案内溝18aにある場合のリタンスプリング23のトルクよりも小さく設定する。
【0026】
上記構成によれば、ロングレバー5を回動させると、摩擦力によってネジ4も回転するが、ロングレバー5と係合しているサブレバー6も回動し、同サブレバー6に係合したアジャストプレート25も回動する。さらに、ロングレバー5に係合している保持プレート22が回動するので、保持プレート22に係合しているアジャストプレート25も回動する。したがって、アジャストプレート25ともにナット26も回動する。
【0027】
このように、ロングレバー5とネジ4とナット26は一体に回動するので、ナット26が弛むことがない。これに対し、アジャストプレート25がロングレバー5やナット26と係合関係のない状態で取り付けられていると、アジャストプレート25が摩擦によってネジ4と相対的に回動し、これによってナット26もアジャストプレート25の回動に追従して回動し、ナット26が弛むおそれがある。
【0028】
また、ロングレバー5は、スイッチボタン15の脚部17が第1の案内溝18aと第2の案内溝18bに沿って摺動するときに、回動可能となり、上記脚部17が連結溝18cに沿って摺動するときは、停止したままとなっている。これに対し、サブレバー6はロングレバー5が第1の案内溝18aに沿って移動するときは、一体に回動してワイヤWを引き出し又は引き戻してスロットルを開閉操作することができる。そこで、スイッチボタン15の脚部17が連結溝18cにあるときは、サブレバー6がスロットル全閉状態とする位置となるように設定する。
【0029】
したがって、ロングレバー5が、スイッチボタン15の脚部17が図3及び図8(b)の点線の符号17で示すように、第2の案内溝18bに当たって停止したときは、スロットル全閉のアイドリング位置にあり、このとき、図3のように、脚部17はリミットスイッチ7の作動片7aには届かない。また、この位置でケース1に設けられた係合部33に係合して停止し、それ以上は回動できないようになっている。したがって、ロングレバー5が第2の案内溝18bに沿って回動しても、サブレバー6はアイドリング位置で停止し、それ以上は回動しないので、ワイヤWが弛んでサブレバー6から外れることがない。
【0030】
次に、上記構成の装置によってエンジンを始動操作するときは、まずロングレバー5をスイッチボタン15の脚部17が図8(a)(b)に示される位置から図3及び図8(b)の点線に示されるように、第1の案内溝18aの基部の連結溝18cに当たって停止する位置まで回動させる。このとき、同じく回動したサブレバー6はスロットル全閉状態となって停止する。ここで、スイッチボタン15をスプリング16のバネ力に抗して図9(b)の矢印で示すように連結溝18cに沿ってネジ4と平行に移動させると、スイッチボタン15の脚部17は第2の案内溝18bに臨む位置に至る。ロングレバー5をさらに第2の案内溝18bに沿って摺動させると、図9(a)(c)に示されるように、脚部17はリミットスイッチ7の作動片7aを押し込んでスイッチオンさせるから、セルスタートが行なわれ、エンジンが始動する。なお、上述のようにサブレバー6が停止した状態でスイッチボタン15によってロングレバー5をさらに回動したときは、リタンスプリング23は巻き締められるから、ロングレバー5に加えた力を解除すると、リタンスプリング23に蓄えられたバネ力によってロングレバー5とともにスイッチボタン15は自動的に連結溝18cの位置まで復帰作動する。また、スプリング16によってスイッチボタン15は元の位置に復帰する。
【0031】
エンジン始動後、ロングレバー5に加えた力を緩めることにより、ロングレバー5はリタンスプリング23により再び連結溝18cまで戻るが、エンジンはそのまま運転を継続し、アイドリング状態となる。そして、ロングレバー5を第1の案内溝18aに沿って回動させると、サブレバー6も一体的に回動するので、サブレバー6に取り付けられたワイヤWの引き量を調整することによりスロットルを全閉から全開まで調整することができる。ロングレバー5を第1の案内溝18aの中間位置で止めて手を離しても、ロングレバー5は摩擦抵抗によりその位置に保持される。なお、図1のエンジンスイッチ34を押せばエンジンを切ることができるように構成されている。
【0032】
上述のように、上記装置によれば、エンジンの始動にあたり、ロングレバー5を回動するときは、スイッチボタン15を第2の案内溝18bに沿って摺動させなければならないが、まず、ロングレバー5を回動してスイッチボタン15の脚部17が第1の案内溝18aの端部、つまりZ字形の案内溝の連結溝18cに係合して停止する位置、つまりスロットル全閉位置まで作動させた後、スイッチボタン15を連結溝18cに沿って上記ネジ4と平行に、第2の案内溝18bに臨む位置まで摺動させたときに初めて第2の案内溝18bに沿って摺動させることができる。ここで、スイッチボタン15を第2の案内溝18bに沿ってケース1の周方向に摺動したときに上記脚部17がケース1内に配置されたリミットスイッチ7を押圧してオン作動させることができる。このように、スイッチボタン15はロングレバー5をエンジンのアイドリング状態となるスロットル全閉位置にしておかなければ、セルスタートすることができないので、エンジン始動時にいきなりエンジンが高速回転するという問題を解消することができる。
【0033】
しかも、運転中にスロットルを開いている状態から一時的にアイドリング状態にするためにロングレバー5を勢いよく移動させたときや、管理機を不使用時にどこかに立てかけたときにロングレバー5が何かのはずみで作動しようとしても、ロングレバー5は必ず連結溝18cで停止させられ、第2の案内溝18bに移行してセルスタートを作動させることがない。このように、エンジンを始動させるには、スイッチボタン15を意識的に第2の案内溝18bに沿って移動させなければならないので、誤ってセルスタータが始動するというトラブルを確実に回避することができる。
【0034】
また、スロットル全閉操作からセルスタート操作へ、またセルスタート操作からスロットル開き操作への動きをロングレバー5とスイッチボタン15を片手で連続的に行うことができるので、操作性がよい。
【0035】
さらに、上記ロングレバー5が上記案内溝の連結溝18cに係合したとき、同時に上記サブレバー6の作動を停止させ、上記ロングレバー5がさらにスイッチボタン15とともにセルスタートスイッチ側に移動したときに、リタンスプリング23によりロングレバー5を上記連結溝18c側に復帰移動するようにバネ付勢したので、ロングレバー5に加えた力を解除すると、リタンスプリング23に蓄えられたバネ力によってロングレバー5は自動的に復帰作動するから、操作性がよい。
【0036】
さらにまた、ロングレバー5の内側に保持プレート22を一体に回転可能に係合させるとともに、該保持プレート22とネジ4のナット26とを一体に回転可能に係合させたから、ネジ4は固定されていないのでロングレバー5と一体に回動するが、ナット26もロングレバー5と一体に回動するので、結局ロングレバー5とネジ4とナット26は一体に回動し、ナット26が弛むことがない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)は芝刈り機などの管理機の操向用ハンドルに設けられたセルスタートスイッチ付きスロットル調整機構の平面図、同図(b)はその側面図
【図2】図1(a)のX−X線上の断面図
【図3】図1(a)のY−Y線上の断面図
【図4】(a)(b)は上記装置を異なる方向からみた分解斜視図
【図5】上記装置の側面からの分解図
【図6】ロングレバーとサブレバーと保持プレートとリタンスプリングの部品図
【図7】(a)(b)は図6の部品の取付状態説明図
【図8】(a)(b)は上記装置のスロットル全開状態及び案内溝を示す平面図
【図9】(a)(b)(c)は上記装置のスロットル全閉状態と案内溝とを示す平面図及びスイッチボタンでリミットスイッチを押圧した状態の縦断面図
【符号の説明】
【0038】
1 ケース
2 側壁
3 軸受部
4 ネジ
5 ロングレバー
6 サブレバー
14 周壁(案内壁)
15 スイッチボタン
17 脚部
18a 第1の案内溝
18b 第2の案内溝
18c 連結溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向用ハンドルに固定されるケースの側壁に形成された軸受部の外側にロングレバーを、内側にはエンジンのスロットル調整用ワイヤを取り付けたサブレバーを回動可能に配置し、ロングレバーとサブレバーをほぼ一体的に回動するように係合させるとともに上記軸受部の中心に設けられたネジで止め、上記ロングレバーの先端にはスイッチボタンを上記ネジと平行に作動可能に設け、スイッチボタンには上記ケースの周壁に沿って第1の案内溝と第2の案内溝とを連結溝を介してZ字形に連続形成した案内溝を貫通してケース内に進入する脚部を形成し、該脚部が上記第1の案内溝にあるときはスロットルが開き状態、上記連結溝にあるときはスロットル全閉状態とし、ロングレバーを回動したときに上記脚部が上記連結溝に係合して停止した後、スイッチボタンを上記ネジと平行に移動させ、さらに第2の案内溝に沿って移動したときに上記脚部が上記ケース内に配置されたセルスタートスイッチを押圧可能としたことを特徴とするセルスタートスイッチ付きスロットル調整機構。
【請求項2】
上記ロングレバーが上記案内溝の連結溝に係合したとき、同時に上記サブレバーの作動を停止させ、上記ロングレバーがさらにスイッチボタンとともにセルスタートスイッチ側に移動したときに、ロングレバーを上記連結溝側に復帰移動するようにバネ付勢したことを特徴とする、請求項1に記載のセルスタートスイッチ付きスロットル調整機構。
【請求項3】
上記ロングレバーの内側に保持プレートを一体に回動するように係合させ、保持プレートの内側に上記サブレバーを、該サブレバーの内側にはアジャストスプリングを介してアジャストプレートをそれぞれ上記ネジに沿って配置するとともに、上記保持プレートとサブプレートとを係合させ、かつアジャストプレートと該アジャストプレートを止めるナットとを一体に回動するように係合させたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のセルスタートスイッチ付きスロットル調整機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−127526(P2009−127526A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303461(P2007−303461)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(391014000)スターテング工業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】