センサ装置およびこれを用いて試験媒体の1つ以上の物理的特性を解明する方法
【課題】 光ファイバの端部に位置する単一表面センサの処理能力を向上する。
【解決手段】 1つの端部112を備える光ファイバ110と、光ファイバ110の前記端部に配置された第1のセンサ114と、光ファイバ110の前記端部に配置された第2のセンサ116とを備え、第1及び第2のセンサ114、116が、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成されていることを特徴とするセンサ装置を提供する。
【解決手段】 1つの端部112を備える光ファイバ110と、光ファイバ110の前記端部に配置された第1のセンサ114と、光ファイバ110の前記端部に配置された第2のセンサ116とを備え、第1及び第2のセンサ114、116が、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成されていることを特徴とするセンサ装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
表面検知では、表面状態または表面状態の変化を利用して、試験媒質の物理的特性を測定する。表面検知用途の1つでは、センサ表面における屈折率の変化を測定することが可能である。もう1つの表面検知用途では、蛍光の指向性を高める表面状態を利用して、蛍光物質を検出することが可能である。
【0002】
表面センサは、例えば、原位置検知の実施に利用可能な単一表面センサを造るため、光ファイバの端部に製作されてきている。光ファイバの端部に位置する単一表面センサによって、原位置検知が可能になるが、単一表面センサの処理能力は、ファイバ当り1試験に制限される。表面検知システムの処理能力は、商業的に有望な検知製品を実現する上においてクリティカルな要素になる場合が多い。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、表面検知システムは、同じ光ファイバの端部に配置された少なくとも2つのセンサを含む。センサは、互いに区別ができる共振周波数またはQ値を示すように構成されているが、ここで、Q値は、共振周波数を半値全幅(FWHM)における共鳴スペクトルによって割った値と定義される。センサの区別可能な共振周波数またはQ値は、例えば、誘電率の高い領域及び低い領域に関する空間プロファイルが異なるセンサを製作することによって実現可能である。センサは、区別可能な共振周波数またはQ値を有していて、同じ光ファイバの端部に配置されているので、光学干渉をほとんどまたは全く伴うことなく、並行してモニタすることが可能である。区別可能な共振周波数またはQ値を有する複数センサの並行モニタは、本明細書において「スペクトル・マルチプレクシング」と呼ばれる。同じ光ファイバの端部にあるセンサの並行モニタは、その波長範囲に両方のセンサの共振周波数を含む掃引光信号を光ファイバに送り込み、掃引光信号とセンサの相互作用が生じた後、単一検出器で掃引光信号を検出することによって可能になる。スペクトル・マルチプレクシングを可能にする表面センサ・システムは、例えば、バイオセンシング用途に用いることが可能である。
【0004】
本発明の他の態様及び利点については、本発明の原理の一例として示される、添付の図面に関連して行われる下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本明細書全体を通じて、同様の要素の識別には、同様の参照番号を利用する。
【0006】
図1A〜図1Cは、同じ光ファイバの端部に配置された、共振周波数またはQ値の異なる2つのセンサの本発明による典型的な実施形態を記載している。図1Aは、2つのセンサS1 114及びS2 116を示すファイバの端部112の拡大図と共に、光ファイバ110の透視図を記載している。図1Aの例において、センサS1 114の共振周波数及びQ値は、それぞれ、RFλ1及びQ1として識別され、センサS2 116の共振周波数及びQ値は、それぞれ、RFλ2及びQ2として識別される。図1Bは、図1Aからのファイバ端部112と、2つのセンサ114及び116を真正面から見た図を記載している。図1Cは、図1A及び図1Bからのファイバ110と、2つのセンサ114及び116の側面図を記載している。
【0007】
本発明によれば、図1A〜図1Cに関連して記載した2つのセンサは、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成されている。センサ・タイプの例及び所望の共振周波数またはQ値を示すようにセンサを構成するための技法については後述する。説明のため、2つのセンサは、その共振周波数が互いに区別可能になるように構成されるものと仮定する。図2は、2つのセンサの共振周波数が互いに区別可能である場合に関する、図1A〜図1Cの2つのセンサ114及び116の反射率対波長のグラフである。図2に記載しているように、2つのセンサの反射率スペクトル130同士は、2つのセンサの共振周波数を互いに容易に区別できるように、スペクトル間隔があけられている。2つのセンサの反射率スペクトル130同士の間のスペクトル間隔は、共振周波数の区別が依然として可能である限りにおいて、さらに狭めることが可能である。
【0008】
図1〜図1Cに関連して解説の表面センサ・システムを利用して試験媒質の1つ以上の物理的特性を解明するため、2つのセンサ114及び116が試験媒質(図示せず)にさらされる。例えば、試験媒質は、液体とすることが可能であり、2つのセンサを含む光ファイバ端部が液体内に配置される。図1Cを参照すると、光信号118が、センサの両方と並行して相互作用するように、光ファイバに送り込まれる。2つのセンサから反射される光は、測定され、測定された反射率スペクトルを利用して、センサの共振周波数及び/または反射率スペクトルが求められる。一実施形態では、2つのセンサが試験媒質にさらされる前、及び/または、2つのセンサが試験媒質にさらされている間に、光ファイバに光信号を送り込んで、共振周波数の変化を測定することが可能である。共振周波数の変化を利用して、試験媒質の1つ以上の物理特性が解明される。2つのセンサの共振周波数は区別可能であるため、複数特性解明の並行実施が可能である。例えば、バイオセンシング用途の場合には、異なる2組の生体分子間の親和性を並行測定することが可能である。
【0009】
2つの特性解明を並行して実施可能にするため、図1A〜図1Cに記載したセンサは、区別可能な共振周波数または区別可能なQ値を示さなければならない。2つのセンサは、区別可能な共振周波数と区別可能なQ値の両方を示すことができるが、これは必要というわけではない。
【0010】
図3Aは、2つのセンサが区別可能な共振周波数(例えば、RFλ1≠RFλ2)と区別できないQ値(すなわち、Q1=Q2)を示す場合に、並行して測定される2つのセンサの反射率スペクトル130を記載している。2つのセンサの反射率スペクトルは、試験媒質への暴露に応答して変化するので、共振周波数は、依然として互いに区別可能なままである。図3Bは、共振周波数のシフト後における、2つのセンサの反射率スペクトルを記載している。共振周波数は、シフトしたが、光信号の全スペクトル・バンド幅にわたって互いに区別可能なままである。
【0011】
図4Aは、2つのセンサが区別可能なQ値(例えば、Q1≠Q2)を示す場合に、並行して測定される2つのセンサの反射率スペクトル130を記載している。2つのセンサが示すQ値は、区別可能であるが、2つのセンサの共振周波数は、全ての試験条件下において区別可能というわけにはいかない可能性がある。図4Bは、2つのセンサの反射率スペクトルがシフトして、2つのセンサの共振周波数を互いに区別できなくなる場合を記載している。2つのセンサの共振周波数は互いに区別できないが(例えば、RFλ1=RFλ2)、2つのセンサの反射率スペクトルは、Q値が異なるため、依然として互いに区別可能である。例えば、高分解能の光検出システム及び技法を用いて、センサの光応答を個別に認識可能である場合には、センサが示す共振周波数及びQ値は、互いに区別可能とみなされる。
【0012】
一実施形態では、センサは、光ファイバの端部に製作される回折格子である。図5Aは、図1A〜図1Cのシステムに利用可能な、回折格子ベースのセンサのセクション115(例えば、図1Bに記載したセンサ114のセクション115)の拡大図を記載している。回折格子ベースのセンサは、高誘電率の領域102及び低誘電率の領域104を含む空間プロファイルを有しているが、この空間プロファイルは、センサ上面の二次元プロファイルである。低誘電率の領域は、低誘電率特徴104と呼ばれ、センサの残りの部分は、高誘電率の領域102である。低誘電率特徴104は、一般に、各特徴のサイズ及び形状が本質的に同じである、反復パターンを示す。センサは、例えば、光ファイバ端部の表面に金の層を付着させて、高誘電率の領域102を形成することによって、光ファイバ110の端部112に製作される。低誘電率の領域104は、一般に、金層の正方形の穴である。図5Bは、光ファイバ110、及び、光ファイバ110の端部に配置された高誘電率領域102及び低誘電率領域104を示す、センサ・セクションの側面図である。図5A及び図5Bに記載した正方形の穴は、長さ寸法dとピッチ(格子定数とも呼ばれる)aによって定義されるが、ここで、ピッチは、隣接特徴(例えば、正方形の穴)の中心間の距離である。図5A及び図5Bに記載しているような回折格子ベースのセンサは、光リソグラフィ、インプリント・リソグラフィ、リフトオフ、及び、エッチングといった既知の半導体処理技法を含む各種技法を用いて、光ファイバの端部に製作することが可能である。回折格子ベースのセンサは、例えば、Al、Ag、または、TiO2またはSi3N4のような非導電性誘電体を含む他の材料を利用して形成することが可能である。
【0013】
各センサの設計の多くの特徴が、特定センサの共振周波数及びQ値に影響を及ぼす。例えば、特定センサの共振周波数及びQ値は、光ファイバ組成、高誘電率領域の組成及び厚さ、低誘電率特徴の組成及び厚さ、低誘電率特徴のサイズ及び形状、低誘電率特徴のパターン対称性(例えば、正方形または六角形)、及び、低誘電率特徴のピッチによって影響される可能性がある。センサ設計の共振周波数及び/またはQ値は、高誘電率領域及び低誘電率領域の空間プロファイルを変えることによって、変更することが可能である。例えば、低誘電率特徴のサイズまたはピッチといった、センサの空間プロファイルの1つの点だけを変えることによって、センサの共振周波数及び/またはQ値が変化することになる。
【0014】
図1A〜図1Cの例では、図5A及び図5Bに関連して解説したように、金層に異なるピッチで正方形の穴(図示せず)を形成することによって、2つのセンサ114及び116の共振周波数が異なるようにすることが可能である。例えば、第1のセンサ114の正方形の穴のピッチは、1,000nm(a=1.00um)であり、第2のセンサ116の正方形の穴のピッチは、1,030nm(a=1.03um)である。もう1つの実施形態では、異なるサイズの正方形の穴を形成することによって、2つのセンサ114及び116のQ値が異なるようにすることが可能である。例えば、第1のセンサの正方形の穴は、200nmの辺を備え、一方、第2のセンサの正方形の穴は、500nmの辺を備えることが可能である。2つのセンサの正方形の穴のサイズを200nm〜500nmの範囲で変化させることによって(1umの周期で)、2つのセンサの共振の線幅を3nm〜90nmの範囲で変化させることが可能である。
【0015】
図1A〜図1Cの例では、2つのセンサ114及び116は、それぞれ、光ファイバ端部112の表面領域の重なり合わない半分をカバーしている。図1A〜図1Cに示す2つのセンサは光ファイバ端部の中央に沿って振り分けられているが、光ファイバ端部における2つのセンサの他の構成も可能である。図6A〜図6Cには、光ファイバの端部112に配置された2つのセンサ114及び116の代替構成の例が示されている。図6Aは、2つのセンサ114及び116が光ファイバ端部の象限を交互にカバーする典型的な構成を記載している。すなわち、センサS1は、共振周波数がRFλ1で、Q値がQ1であり、光ファイバ端部の右上及び左下の象限をカバーし、一方、センサS2は、共振周波数がRFλ2で、Q値がQ2であり、光ファイバ端部の右下及び左上の象限をカバーしている。図6Bは、2つのセンサ114及び116が光ファイバ端部112の同心円形領域をカバーする、典型的な構成を記載している。すなわち、センサS1が光ファイバ端部の内円領域をカバーし、センサS2は光ファイバ端部の外輪領域をカバーする。図6Cには、2つのセンサ114及び116が光ファイバ端部112の水平スライス状部分を交互にカバーする。図6A〜図6Cの構成において、2つのセンサの表面積はほぼ等しいが、センサ表面積の他の構成比も可能である。
【0016】
上述の表面検知システムは、同じ光ファイバ110の端部112に、共振周波数及び/またはQ値の異なる2つのセンサ114及び116だけしか配置されていないが、同じ光ファイバの端部に、共振周波数及び/またはQ値の異なる3つ以上のセンサを備えた表面検知システムを配置することも可能である。図7A〜図7Cは、同じ光ファイバの端部112に配置された、それぞれ、共振周波数及び/またはQ値の異なる4つの個別センサ114、116、134、及び、136を含む表面検知システムの典型的な構成を記載している。図7Aを参照すると、ファイバ端部は、4つの象限に分割され、各象限毎に異なるセンサが配置されている。センサS1 114は、右上象限にあって、共振周波数がRFλ1で、Q値がQ1であり、センサS2 116は、右下象限にあって、共振周波数がRFλ2で、Q値がQ2であり、センサS3 134は、左下象限にあって、共振周波数がRFλ3で、Q値がQ3であり、センサS4 136は、左上象限にあって、共振周波数がRFλ4で、Q値がQ4である。図7Bを参照すると、センサは、同心の輪をなすように割り振られ、各センサが異なる輪に配置されている。図5Aのセンサと同様、センサS1 114は、共振周波数がRFλ1で、Q値がQ1であり、センサS2 116は、共振周波数がRFλ2で、Q値がQ2であり、センサS3 134は、共振周波数がRFλ3で、Q値がQ3であり、センサS4 136は、共振周波数がRFλ4で、Q値がQ4である。図7Cを参照すると、センサは、1/8分割された円の各部分に割り振られ、4つのセンサのそれぞれが、2つの非隣接分円部分に含まれている。やはり、センサS1 114は、共振周波数がRFλ1で、Q値がQ1であり、センサS2 116は、共振周波数がRFλ2で、Q値がQ2であり、センサS3 134は、共振周波数がRFλ3で、Q値がQ3であり、センサS4 136は、共振周波数がRFλ4で、Q値がQ4である。異なる共振周波数及び/またはQ値は、例えば、2つのセンサの低誘電率特徴が異なるピッチ及び/または異なるサイズになるようにして、光ファイバ端部にセンサを製作することによって実現することが可能である。
【0017】
図8は、図7A〜図7Cからのセンサ構成の任意の1つによる4つのセンサ114、116、134、及び、136に関する反射率対波長のグラフである。4つのセンサの反射率は、例えば、ファイバに掃引光信号を送り込むことによって並行して測定される。図8に記載しているように、4つのセンサの反射率スペクトル132は、単一検出器を用いて、4つのセンサの共振周波数を容易に区別することができるように、スペクトル間隔があけられている。4つのセンサの共振スペクトル132間のスペクトル間隔は、共振周波数を依然として区別可能である限りにおいて、さらに狭めることが可能である。スペクトル間隔が狭くなると、同じスペクトル・バンド幅内に、区別可能なチャネルをより多く含むことが可能になる。センサのスペクトル・プロファイルを狭める(例えば、センサのQ値を増す)ことによって、やはり、同じスペクトル・バンド幅内に、区別可能なチャネルをより多く含むことが可能になる。
【0018】
概して、上述の表面検知システムは、反射または透過の際に機能するように設計することが可能である。表面検知システムが、反射時に機能するように設計されている場合、センサの共振周波数は、反射率スペクトルのディップまたは最小値によって識別される。表面検知システムが、透過時に機能するように設計されている場合、センサの共振周波数は、透過率スペクトルのピークまたは最大値によって識別される。
【0019】
上述の表面検知システムを利用して、スペクトル・マルチプレクシングを実現するには、光信号、光ファイバ端部に光信号を加える方法、及び、光信号の反射または透過される部分を検出して、センサの共振周波数の変化を識別する方法が必要になる。反射型センサを利用するスペクトル・マルチプレクシング・システムの基本機能は、1)センサの共振周波数を含む光信号を発生すること、2)端部に配置されたセンサを含む光ファイバに光信号を送り込むこと、3)センサから反射される光信号の部分を集光すること、4)光信号の反射部分を検出することである。上述の機能をもたらすために利用可能なスペクトル・マルチプレクシング・システムの構成は数多く存在し、上述の機能が得られる限りにおいて、本発明にとって、そっくりそのままの構成であることが不可欠というわけではない。
【0020】
図9は、反射型表面検知システムに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム142の一例を記載している。図9のスペクトル・マルチプレクシング・システム142には、光源144と、カプラ146と、光ファイバ148、150、及び、152と、区別可能な共振周波数及び/またはQ値を有する少なくとも2つのセンサ(図示せず)が光ファイバ150の端部に配置されている表面検知システム154と、光スペクトル・アナライザ(OSA)156と、プロセッサ158が含まれている。図9の例では、光源によって、光ファイバの端部にあるセンサの共振周波数を含む広帯域エネルギ・スペクトルを備えた光信号が生じる。センサを用いて、屈折率の変化が測定されるが、センサ測定は、生体分子の測定に用いることが可能である。すなわち、センサを試験媒質にさらす前に、センサにさまざまな捕獲物質を固定化することによって、同じ光ファイバ端部の複数センサを用いて、生体分子の特異性を測定することが可能である。一実施形態では、光ファイバの端部に配置されたセンサに捕獲物質が塗布される。多種多様な捕獲物質及びセンサへの捕獲物質の塗布技法を用いることが可能である。バイオセンシング用途では、捕獲物質には、問題となる特定の蛋白質に対する親和性のために選択される1つ以上の抗体を含むことが可能である。捕獲物質を厚さ50nm未満の単一層として塗布することが可能である。センサに捕獲物質を塗布すると、センサ及び捕獲物質は、捕獲物質の抗体の1つ以上に対して高い親和性を示す蛋白質を含む、試験媒質にさらされる。センサ及び捕獲物質を試験媒質にさらすための技法(原位置技法を含む)は、当該技術において既知のところであり、本明細書ではこれ以上の説明を控えることにする。試験媒質内における蛋白質の屈折率は、全体として、試験媒質の屈折率とは異なるので、センサの屈折率が変化し、その結果、特定センサの共振周波数が変化することになる。
【0021】
抗体と蛋白質との結合をセンサでモニタするため、光源144からの広帯域光信号が光ファイバ148に送り込まれる。光信号は、光ファイバ148、カプラ146、及び、光ファイバ150を通って伝搬し、光ファイバ150の端部に配置されたセンサに到達する。センサは、同じ光ファイバの端部に配置されているので、光信号は並行して相互作用する。センサは、それぞれの共振周波数の光エネルギを吸収し、光信号の一部を反射して、カプラ146に向けて戻す。カプラ146は、反射光信号を光ファイバ152に結合し、光ファイバ152は、その反射光信号をOSA156に送る。OSA156は、波長の関数として反射光信号の強度を測定し、強度対波長情報をプロセッサ158に供給する。強度対波長情報を用いて、センサにおける抗体と蛋白質との分子の結合の結果生じる、センサの共振周波数のシフトが識別される。センサの共振周波数のシフトを利用して、試験媒質の1つ以上の物理的特性が解明される。
【0022】
図10は、反射型表面検知システムに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム162のもう1つの例を記載している。図10のスペクトル・マルチプレクシング・システム162には、同調可能レーザ光源164と、カプラ146と、光ファイバ148、150、及び、152と、異なる共振周波数及び/またはQ値を有する少なくとも2つのセンサ(図示せず)が光ファイバ150の端部に配置されている表面検知システム154と、検出器166と、プロセッサ158が含まれている。図10の例では、同調可能レーザ光源164によって、光ファイバ150の端部にあるセンサの共振周波数を含むある波長範囲にわたって掃引可能な、狭帯域光エネルギ・スペクトルを備えた光信号が発生する。典型的な操作において、上述のように、捕獲物質がセンサに塗布される。捕獲物質がセンサに塗布されると、上述のように、捕獲物質が試験媒質にさらされる。
【0023】
センサにおける結合をモニタするため、同調可能レーザ光源164は、ある波長範囲にわたって掃引される光信号を発生するが、その波長範囲には、センサの共振周波数が含まれる。掃引光信号は、光ファイバ148に送り込まれ、カプラ146を通って、光ファイバ150の端部のセンサに到達する。センサは、同じ光ファイバ150の端部に配置されているので、光信号は並行して相互作用する。光信号によってある波長範囲の掃引が行われる間に、センサによって、センサの共振周波数の光エネルギが吸収される。掃引光信号の吸収されない部分は、反射されて、光ファイバ150に戻され、カプラ146に達する。カプラ146は、反射光信号を光ファイバ152に結合し、光信号は、検出器166まで伝搬する。検出器166は、集められた光信号の光強度を測定し、光強度情報をプロセッサ158に送る。プロセッサ158は、同調可能レーザ光源164からの波長情報、及び、検出器166からの光強度情報を受信し、これらの情報を利用して、強度対波長情報を生成する。強度対波長情報を利用して、センサにおける抗体と蛋白質との結合の結果生じる、センサの共振周波数のシフトが識別される。センサの共振周波数のシフトを利用して、試験媒質の1つ以上の物理的特性が解明される。
【0024】
透過型センサを利用するスペクトル・マルチプレクシング・システムの基本機能は、1)センサの共振周波数を含む光信号を発生すること、2)端部にセンサを含む光ファイバに光信号を送り込むこと、3)センサを通過する光信号の部分を集光すること、4)光信号の通過部分を検出することである。上述の機能をもたらすために利用可能なスペクトル・マルチプレクシング・システムの構成は数多く存在し、上述の機能が得られる限りにおいて、本発明にとって、そっくりそのままの構成であることが不可欠というわけではない。
【0025】
図11は、透過型表面検知システムに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム172の一例を記載している。図11のスペクトル・マルチプレクシング・システム172には、光源144と、光ファイバ150及び152と、異なる共振周波数及び/またはQ値の少なくとも2つのセンサ(図示せず)が光ファイバ150の端部に配置されている表面検知システム154と、光学素子174と、OSA156と、プロセッサ158が含まれている。図11のスペクトル・マルチプレクシング・システム172が、センサから反射される光ではなく、光ファイバ150の端部にあるセンサを通過する光をモニタするという点を除けば、スペクトル・マルチプレクシング・システム172は、図9に関連して解説のスペクトル・マルチプレクシング・システム142と同様である。操作中、光学素子174によって、センサを通過する光がOSA156に送られる。操作の残りの部分については、図9に関連して上述のものと本質的に同じである。
【0026】
図12は、透過型センサに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム182のもう1つの例を記載している。図12のスペクトル・マルチプレクシング・システム182には、同調可能レーザ光源164と、光ファイバ150及び152と、異なる共振周波数及び/またはQ値の少なくとも2つのセンサ(図示せず)が光ファイバ150の端部に配置されている表面検知システム154と、光学素子174と、検出器166と、プロセッサ158が含まれている。図12のスペクトル・マルチプレクシング・システム182が、センサから反射される光ではなく、光ファイバ150の端部にあるセンサを通過する光をモニタするという点を除けば、スペクトル・マルチプレクシング・システム182は、図10に関連して解説のスペクトル・マルチプレクシング・システム162と同様である。操作中、光学素子174によって、センサを通過する光が検出器166に送られる。操作の残りの部分については、図10に関連して上述のものと本質的に同じである。
【0027】
図13は、透過型センサに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム183のもう1つの代替実施態様を記載している。図13のスペクトル・マルチプレクシング・システム183の場合、表面検知システム154が、外部から照射される(例えば、照射光が、最初に、表面検知システム154を含む光ファイバ150内に送り込まれることはない)。表面検知システムを通過して、光ファイバ150を伝搬する光源からの光が、OSA156によって検出される。もう1つの実施形態では、図10及び図12に関連して上述のように、OSAは検出器であり、光源は同調可能レーザ光源である。
【0028】
図9〜図13に関連して、スペクトル・マルチプレクシング・システムのいくつかの例142、162、172、182、及び、183について解説されたが、他の構成も可能である。例えば、利用可能な検出チャネル数を増すために束ねられた複数光ファイバに、単一光ファイバにおけるスペクトル・マルチプレクシングを適用することが可能である。もう1つの代替構成の場合、光源は、順次起動されて、所望の波長範囲をカバーする、1組の狭帯域光源である。
【0029】
図14は、本発明に従って、試験媒質の1つ以上の特性を解明するための方法のプロセス流れ図を記載している。ブロック300では、第1及び第2のセンサが、試験媒質にさらされるが、第1及び第2のセンサは、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成されている。ブロック302では、第1及び第2のセンサと並行して相互作用するように、光信号が光ファイバへと送り込まれる。ブロック304では、第1及び第2のセンサと相互作用した後の光信号を検出する。
【0030】
異なる共振周波数及び/またはQ値を有するセンサが同じ光ファイバの端部に配置された表面検知システムでスペクトル・マルチプレクシングを実施することによって、試験媒質の異なる物理特性を平行して解明することが可能になる。解明することが可能な試験媒質の物理特性には、制限するわけではないが、温度、圧力、生物学的構成、及び、化学的構成が含まれる。上述のように、さまざまな物理的特性を並行して解明することが可能である。例えば、同じ光ファイバの端部に配置された2つの異なるセンサを用いて、試験媒質の温度及び試験媒質中における特定蛋白質の濃度を並行して特性解明することが可能である。
【0031】
図9〜図13に関連して既述のスペクトル・マルチプレクシング・システム142、162、172、182、及び、183の利点は、スペクトル・マルチプレクシングが、単一光信号源144、164と、単一検出器156、166で実施される点にある。
【0032】
表面センサを利用して、蛍光の集光効率が向上した。すなわち、金属構造(例えば、周期的または一様な)を利用して、蛍光体の放射崩壊時間がうまく処理され、同時に、蛍光体からの通常は等方性の放出が特定の角度に向けられた。この技法については、参考までに引用することにより本明細書の一部をなす、Joseph R.Lakowicz、「Radiative decay engineering 5:metal−enhanced fluorescence and plasmon emission」、Analytical Biochemistry、2005年2月15日、第337巻、第2号、p.171−194に記載がある。本発明による一実施形態では、同じ光ファイバの端部に配置された少なくとも2つの異なるセンサが、1以上の蛍光体からの蛍光をより効率よく結合するように構成されている。すなわち、同じ光ファイバの端部にあるセンサに、少なくとも2つの異なる色の蛍光の集光効率が向上するように、波長依存性の構成が施されている。同じ光ファイバの端部に配置された少なくとも2つのセンサを用いて、2つの異なる色の蛍光の集光効率を高めることによって、スペクトル・マルチプレクシングが可能になる。同じ光ファイバの端部にあるセンサは、電磁界を局在化する働きもし、その結果、背景蛍光雑音が低減する。
【0033】
典型的なセンサ・タイプの1つとして、回折格子ベースのセンサについて解説してきたが、同じ光ファイバの端部に他のセンサ構造を配置して、表面検知システムにおけるスペクトル・マルチプレクシングを可能にすることも可能である。
【0034】
本発明の具体的な実施形態について解説して説明してきたが、本発明は、このようにして解説され、説明された部分の具体的な形態または構成に制限されるものではない。本発明の範囲は、添付の請求項及びその均等物によって規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】A〜Cは、同じ光ファイバの端部に配置された、共振周波数及び/またはQ値の異なる2つのセンサの、本発明による典型的な実施形態を示す図である。
【図2】図1A〜図1Cの2つのセンサに関する反射率対波長のグラフである。
【図3】A及びBは、2つのセンサが区別可能な共振周波数(例えば、RFλ1≠RFλ2)と区別できないQ値(すなわち、Q1=Q2)を示す場合に、並行して測定される2つのセンサの反射率スペクトルを示す図である。
【図4】A及びBは、2つのセンサが区別可能なQ値(例えば、Q1≠Q2)を示す場合に、並行して測定される2つのセンサの反射率スペクトルを示す図である。
【図5】Aは、図1A〜図1Cのシステムに用いることが可能な回折格子ベースのセンサのあるセクションの拡大図である。Bは、図5Aからの回折格子ベース・センサの側面図である。
【図6】A〜Cは、同じ光ファイバの端部に配置された2つのセンサの代替構成例を示す図である。
【図7】A〜Cは、同じ光ファイバの端部に配置された、それぞれ、共振周波数の異なる4つの個別センサを含む、バイオセンサの典型的な構成を示す図である。
【図8】図7A〜図7Cからのバイオセンサ構成の任意の1つに関する4つのセンサの反射率対波長のグラフである。
【図9】光ファイバの端部に配置された反射型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムの一例を示す図である。
【図10】光ファイバの端部に配置された反射型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムのもう1つの例を示す図である。
【図11】光ファイバの端部に配置された透過型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムの一例を示す図である。
【図12】光ファイバの端部に配置された透過型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムのもう1つの例を示す図である。
【図13】光ファイバの端部に配置された透過型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムのもう1つの例を示す図である。
【図14】本発明に従って生体分子の結合の特性解明をするための方法のプロセス流れ図である。
【符号の説明】
【0036】
104 低誘電率特徴
110 光ファイバ
112 光ファイバの端部
114 第1のセンサ
116 第2のセンサ
142 スペクトル・マルチプレクシング・システム
156 検出器
162 スペクトル・マルチプレクシング・システム
164 同調可能レーザ光源
172、182、183 スペクトル・マルチプレクシング・システム
【背景技術】
【0001】
表面検知では、表面状態または表面状態の変化を利用して、試験媒質の物理的特性を測定する。表面検知用途の1つでは、センサ表面における屈折率の変化を測定することが可能である。もう1つの表面検知用途では、蛍光の指向性を高める表面状態を利用して、蛍光物質を検出することが可能である。
【0002】
表面センサは、例えば、原位置検知の実施に利用可能な単一表面センサを造るため、光ファイバの端部に製作されてきている。光ファイバの端部に位置する単一表面センサによって、原位置検知が可能になるが、単一表面センサの処理能力は、ファイバ当り1試験に制限される。表面検知システムの処理能力は、商業的に有望な検知製品を実現する上においてクリティカルな要素になる場合が多い。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、表面検知システムは、同じ光ファイバの端部に配置された少なくとも2つのセンサを含む。センサは、互いに区別ができる共振周波数またはQ値を示すように構成されているが、ここで、Q値は、共振周波数を半値全幅(FWHM)における共鳴スペクトルによって割った値と定義される。センサの区別可能な共振周波数またはQ値は、例えば、誘電率の高い領域及び低い領域に関する空間プロファイルが異なるセンサを製作することによって実現可能である。センサは、区別可能な共振周波数またはQ値を有していて、同じ光ファイバの端部に配置されているので、光学干渉をほとんどまたは全く伴うことなく、並行してモニタすることが可能である。区別可能な共振周波数またはQ値を有する複数センサの並行モニタは、本明細書において「スペクトル・マルチプレクシング」と呼ばれる。同じ光ファイバの端部にあるセンサの並行モニタは、その波長範囲に両方のセンサの共振周波数を含む掃引光信号を光ファイバに送り込み、掃引光信号とセンサの相互作用が生じた後、単一検出器で掃引光信号を検出することによって可能になる。スペクトル・マルチプレクシングを可能にする表面センサ・システムは、例えば、バイオセンシング用途に用いることが可能である。
【0004】
本発明の他の態様及び利点については、本発明の原理の一例として示される、添付の図面に関連して行われる下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本明細書全体を通じて、同様の要素の識別には、同様の参照番号を利用する。
【0006】
図1A〜図1Cは、同じ光ファイバの端部に配置された、共振周波数またはQ値の異なる2つのセンサの本発明による典型的な実施形態を記載している。図1Aは、2つのセンサS1 114及びS2 116を示すファイバの端部112の拡大図と共に、光ファイバ110の透視図を記載している。図1Aの例において、センサS1 114の共振周波数及びQ値は、それぞれ、RFλ1及びQ1として識別され、センサS2 116の共振周波数及びQ値は、それぞれ、RFλ2及びQ2として識別される。図1Bは、図1Aからのファイバ端部112と、2つのセンサ114及び116を真正面から見た図を記載している。図1Cは、図1A及び図1Bからのファイバ110と、2つのセンサ114及び116の側面図を記載している。
【0007】
本発明によれば、図1A〜図1Cに関連して記載した2つのセンサは、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成されている。センサ・タイプの例及び所望の共振周波数またはQ値を示すようにセンサを構成するための技法については後述する。説明のため、2つのセンサは、その共振周波数が互いに区別可能になるように構成されるものと仮定する。図2は、2つのセンサの共振周波数が互いに区別可能である場合に関する、図1A〜図1Cの2つのセンサ114及び116の反射率対波長のグラフである。図2に記載しているように、2つのセンサの反射率スペクトル130同士は、2つのセンサの共振周波数を互いに容易に区別できるように、スペクトル間隔があけられている。2つのセンサの反射率スペクトル130同士の間のスペクトル間隔は、共振周波数の区別が依然として可能である限りにおいて、さらに狭めることが可能である。
【0008】
図1〜図1Cに関連して解説の表面センサ・システムを利用して試験媒質の1つ以上の物理的特性を解明するため、2つのセンサ114及び116が試験媒質(図示せず)にさらされる。例えば、試験媒質は、液体とすることが可能であり、2つのセンサを含む光ファイバ端部が液体内に配置される。図1Cを参照すると、光信号118が、センサの両方と並行して相互作用するように、光ファイバに送り込まれる。2つのセンサから反射される光は、測定され、測定された反射率スペクトルを利用して、センサの共振周波数及び/または反射率スペクトルが求められる。一実施形態では、2つのセンサが試験媒質にさらされる前、及び/または、2つのセンサが試験媒質にさらされている間に、光ファイバに光信号を送り込んで、共振周波数の変化を測定することが可能である。共振周波数の変化を利用して、試験媒質の1つ以上の物理特性が解明される。2つのセンサの共振周波数は区別可能であるため、複数特性解明の並行実施が可能である。例えば、バイオセンシング用途の場合には、異なる2組の生体分子間の親和性を並行測定することが可能である。
【0009】
2つの特性解明を並行して実施可能にするため、図1A〜図1Cに記載したセンサは、区別可能な共振周波数または区別可能なQ値を示さなければならない。2つのセンサは、区別可能な共振周波数と区別可能なQ値の両方を示すことができるが、これは必要というわけではない。
【0010】
図3Aは、2つのセンサが区別可能な共振周波数(例えば、RFλ1≠RFλ2)と区別できないQ値(すなわち、Q1=Q2)を示す場合に、並行して測定される2つのセンサの反射率スペクトル130を記載している。2つのセンサの反射率スペクトルは、試験媒質への暴露に応答して変化するので、共振周波数は、依然として互いに区別可能なままである。図3Bは、共振周波数のシフト後における、2つのセンサの反射率スペクトルを記載している。共振周波数は、シフトしたが、光信号の全スペクトル・バンド幅にわたって互いに区別可能なままである。
【0011】
図4Aは、2つのセンサが区別可能なQ値(例えば、Q1≠Q2)を示す場合に、並行して測定される2つのセンサの反射率スペクトル130を記載している。2つのセンサが示すQ値は、区別可能であるが、2つのセンサの共振周波数は、全ての試験条件下において区別可能というわけにはいかない可能性がある。図4Bは、2つのセンサの反射率スペクトルがシフトして、2つのセンサの共振周波数を互いに区別できなくなる場合を記載している。2つのセンサの共振周波数は互いに区別できないが(例えば、RFλ1=RFλ2)、2つのセンサの反射率スペクトルは、Q値が異なるため、依然として互いに区別可能である。例えば、高分解能の光検出システム及び技法を用いて、センサの光応答を個別に認識可能である場合には、センサが示す共振周波数及びQ値は、互いに区別可能とみなされる。
【0012】
一実施形態では、センサは、光ファイバの端部に製作される回折格子である。図5Aは、図1A〜図1Cのシステムに利用可能な、回折格子ベースのセンサのセクション115(例えば、図1Bに記載したセンサ114のセクション115)の拡大図を記載している。回折格子ベースのセンサは、高誘電率の領域102及び低誘電率の領域104を含む空間プロファイルを有しているが、この空間プロファイルは、センサ上面の二次元プロファイルである。低誘電率の領域は、低誘電率特徴104と呼ばれ、センサの残りの部分は、高誘電率の領域102である。低誘電率特徴104は、一般に、各特徴のサイズ及び形状が本質的に同じである、反復パターンを示す。センサは、例えば、光ファイバ端部の表面に金の層を付着させて、高誘電率の領域102を形成することによって、光ファイバ110の端部112に製作される。低誘電率の領域104は、一般に、金層の正方形の穴である。図5Bは、光ファイバ110、及び、光ファイバ110の端部に配置された高誘電率領域102及び低誘電率領域104を示す、センサ・セクションの側面図である。図5A及び図5Bに記載した正方形の穴は、長さ寸法dとピッチ(格子定数とも呼ばれる)aによって定義されるが、ここで、ピッチは、隣接特徴(例えば、正方形の穴)の中心間の距離である。図5A及び図5Bに記載しているような回折格子ベースのセンサは、光リソグラフィ、インプリント・リソグラフィ、リフトオフ、及び、エッチングといった既知の半導体処理技法を含む各種技法を用いて、光ファイバの端部に製作することが可能である。回折格子ベースのセンサは、例えば、Al、Ag、または、TiO2またはSi3N4のような非導電性誘電体を含む他の材料を利用して形成することが可能である。
【0013】
各センサの設計の多くの特徴が、特定センサの共振周波数及びQ値に影響を及ぼす。例えば、特定センサの共振周波数及びQ値は、光ファイバ組成、高誘電率領域の組成及び厚さ、低誘電率特徴の組成及び厚さ、低誘電率特徴のサイズ及び形状、低誘電率特徴のパターン対称性(例えば、正方形または六角形)、及び、低誘電率特徴のピッチによって影響される可能性がある。センサ設計の共振周波数及び/またはQ値は、高誘電率領域及び低誘電率領域の空間プロファイルを変えることによって、変更することが可能である。例えば、低誘電率特徴のサイズまたはピッチといった、センサの空間プロファイルの1つの点だけを変えることによって、センサの共振周波数及び/またはQ値が変化することになる。
【0014】
図1A〜図1Cの例では、図5A及び図5Bに関連して解説したように、金層に異なるピッチで正方形の穴(図示せず)を形成することによって、2つのセンサ114及び116の共振周波数が異なるようにすることが可能である。例えば、第1のセンサ114の正方形の穴のピッチは、1,000nm(a=1.00um)であり、第2のセンサ116の正方形の穴のピッチは、1,030nm(a=1.03um)である。もう1つの実施形態では、異なるサイズの正方形の穴を形成することによって、2つのセンサ114及び116のQ値が異なるようにすることが可能である。例えば、第1のセンサの正方形の穴は、200nmの辺を備え、一方、第2のセンサの正方形の穴は、500nmの辺を備えることが可能である。2つのセンサの正方形の穴のサイズを200nm〜500nmの範囲で変化させることによって(1umの周期で)、2つのセンサの共振の線幅を3nm〜90nmの範囲で変化させることが可能である。
【0015】
図1A〜図1Cの例では、2つのセンサ114及び116は、それぞれ、光ファイバ端部112の表面領域の重なり合わない半分をカバーしている。図1A〜図1Cに示す2つのセンサは光ファイバ端部の中央に沿って振り分けられているが、光ファイバ端部における2つのセンサの他の構成も可能である。図6A〜図6Cには、光ファイバの端部112に配置された2つのセンサ114及び116の代替構成の例が示されている。図6Aは、2つのセンサ114及び116が光ファイバ端部の象限を交互にカバーする典型的な構成を記載している。すなわち、センサS1は、共振周波数がRFλ1で、Q値がQ1であり、光ファイバ端部の右上及び左下の象限をカバーし、一方、センサS2は、共振周波数がRFλ2で、Q値がQ2であり、光ファイバ端部の右下及び左上の象限をカバーしている。図6Bは、2つのセンサ114及び116が光ファイバ端部112の同心円形領域をカバーする、典型的な構成を記載している。すなわち、センサS1が光ファイバ端部の内円領域をカバーし、センサS2は光ファイバ端部の外輪領域をカバーする。図6Cには、2つのセンサ114及び116が光ファイバ端部112の水平スライス状部分を交互にカバーする。図6A〜図6Cの構成において、2つのセンサの表面積はほぼ等しいが、センサ表面積の他の構成比も可能である。
【0016】
上述の表面検知システムは、同じ光ファイバ110の端部112に、共振周波数及び/またはQ値の異なる2つのセンサ114及び116だけしか配置されていないが、同じ光ファイバの端部に、共振周波数及び/またはQ値の異なる3つ以上のセンサを備えた表面検知システムを配置することも可能である。図7A〜図7Cは、同じ光ファイバの端部112に配置された、それぞれ、共振周波数及び/またはQ値の異なる4つの個別センサ114、116、134、及び、136を含む表面検知システムの典型的な構成を記載している。図7Aを参照すると、ファイバ端部は、4つの象限に分割され、各象限毎に異なるセンサが配置されている。センサS1 114は、右上象限にあって、共振周波数がRFλ1で、Q値がQ1であり、センサS2 116は、右下象限にあって、共振周波数がRFλ2で、Q値がQ2であり、センサS3 134は、左下象限にあって、共振周波数がRFλ3で、Q値がQ3であり、センサS4 136は、左上象限にあって、共振周波数がRFλ4で、Q値がQ4である。図7Bを参照すると、センサは、同心の輪をなすように割り振られ、各センサが異なる輪に配置されている。図5Aのセンサと同様、センサS1 114は、共振周波数がRFλ1で、Q値がQ1であり、センサS2 116は、共振周波数がRFλ2で、Q値がQ2であり、センサS3 134は、共振周波数がRFλ3で、Q値がQ3であり、センサS4 136は、共振周波数がRFλ4で、Q値がQ4である。図7Cを参照すると、センサは、1/8分割された円の各部分に割り振られ、4つのセンサのそれぞれが、2つの非隣接分円部分に含まれている。やはり、センサS1 114は、共振周波数がRFλ1で、Q値がQ1であり、センサS2 116は、共振周波数がRFλ2で、Q値がQ2であり、センサS3 134は、共振周波数がRFλ3で、Q値がQ3であり、センサS4 136は、共振周波数がRFλ4で、Q値がQ4である。異なる共振周波数及び/またはQ値は、例えば、2つのセンサの低誘電率特徴が異なるピッチ及び/または異なるサイズになるようにして、光ファイバ端部にセンサを製作することによって実現することが可能である。
【0017】
図8は、図7A〜図7Cからのセンサ構成の任意の1つによる4つのセンサ114、116、134、及び、136に関する反射率対波長のグラフである。4つのセンサの反射率は、例えば、ファイバに掃引光信号を送り込むことによって並行して測定される。図8に記載しているように、4つのセンサの反射率スペクトル132は、単一検出器を用いて、4つのセンサの共振周波数を容易に区別することができるように、スペクトル間隔があけられている。4つのセンサの共振スペクトル132間のスペクトル間隔は、共振周波数を依然として区別可能である限りにおいて、さらに狭めることが可能である。スペクトル間隔が狭くなると、同じスペクトル・バンド幅内に、区別可能なチャネルをより多く含むことが可能になる。センサのスペクトル・プロファイルを狭める(例えば、センサのQ値を増す)ことによって、やはり、同じスペクトル・バンド幅内に、区別可能なチャネルをより多く含むことが可能になる。
【0018】
概して、上述の表面検知システムは、反射または透過の際に機能するように設計することが可能である。表面検知システムが、反射時に機能するように設計されている場合、センサの共振周波数は、反射率スペクトルのディップまたは最小値によって識別される。表面検知システムが、透過時に機能するように設計されている場合、センサの共振周波数は、透過率スペクトルのピークまたは最大値によって識別される。
【0019】
上述の表面検知システムを利用して、スペクトル・マルチプレクシングを実現するには、光信号、光ファイバ端部に光信号を加える方法、及び、光信号の反射または透過される部分を検出して、センサの共振周波数の変化を識別する方法が必要になる。反射型センサを利用するスペクトル・マルチプレクシング・システムの基本機能は、1)センサの共振周波数を含む光信号を発生すること、2)端部に配置されたセンサを含む光ファイバに光信号を送り込むこと、3)センサから反射される光信号の部分を集光すること、4)光信号の反射部分を検出することである。上述の機能をもたらすために利用可能なスペクトル・マルチプレクシング・システムの構成は数多く存在し、上述の機能が得られる限りにおいて、本発明にとって、そっくりそのままの構成であることが不可欠というわけではない。
【0020】
図9は、反射型表面検知システムに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム142の一例を記載している。図9のスペクトル・マルチプレクシング・システム142には、光源144と、カプラ146と、光ファイバ148、150、及び、152と、区別可能な共振周波数及び/またはQ値を有する少なくとも2つのセンサ(図示せず)が光ファイバ150の端部に配置されている表面検知システム154と、光スペクトル・アナライザ(OSA)156と、プロセッサ158が含まれている。図9の例では、光源によって、光ファイバの端部にあるセンサの共振周波数を含む広帯域エネルギ・スペクトルを備えた光信号が生じる。センサを用いて、屈折率の変化が測定されるが、センサ測定は、生体分子の測定に用いることが可能である。すなわち、センサを試験媒質にさらす前に、センサにさまざまな捕獲物質を固定化することによって、同じ光ファイバ端部の複数センサを用いて、生体分子の特異性を測定することが可能である。一実施形態では、光ファイバの端部に配置されたセンサに捕獲物質が塗布される。多種多様な捕獲物質及びセンサへの捕獲物質の塗布技法を用いることが可能である。バイオセンシング用途では、捕獲物質には、問題となる特定の蛋白質に対する親和性のために選択される1つ以上の抗体を含むことが可能である。捕獲物質を厚さ50nm未満の単一層として塗布することが可能である。センサに捕獲物質を塗布すると、センサ及び捕獲物質は、捕獲物質の抗体の1つ以上に対して高い親和性を示す蛋白質を含む、試験媒質にさらされる。センサ及び捕獲物質を試験媒質にさらすための技法(原位置技法を含む)は、当該技術において既知のところであり、本明細書ではこれ以上の説明を控えることにする。試験媒質内における蛋白質の屈折率は、全体として、試験媒質の屈折率とは異なるので、センサの屈折率が変化し、その結果、特定センサの共振周波数が変化することになる。
【0021】
抗体と蛋白質との結合をセンサでモニタするため、光源144からの広帯域光信号が光ファイバ148に送り込まれる。光信号は、光ファイバ148、カプラ146、及び、光ファイバ150を通って伝搬し、光ファイバ150の端部に配置されたセンサに到達する。センサは、同じ光ファイバの端部に配置されているので、光信号は並行して相互作用する。センサは、それぞれの共振周波数の光エネルギを吸収し、光信号の一部を反射して、カプラ146に向けて戻す。カプラ146は、反射光信号を光ファイバ152に結合し、光ファイバ152は、その反射光信号をOSA156に送る。OSA156は、波長の関数として反射光信号の強度を測定し、強度対波長情報をプロセッサ158に供給する。強度対波長情報を用いて、センサにおける抗体と蛋白質との分子の結合の結果生じる、センサの共振周波数のシフトが識別される。センサの共振周波数のシフトを利用して、試験媒質の1つ以上の物理的特性が解明される。
【0022】
図10は、反射型表面検知システムに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム162のもう1つの例を記載している。図10のスペクトル・マルチプレクシング・システム162には、同調可能レーザ光源164と、カプラ146と、光ファイバ148、150、及び、152と、異なる共振周波数及び/またはQ値を有する少なくとも2つのセンサ(図示せず)が光ファイバ150の端部に配置されている表面検知システム154と、検出器166と、プロセッサ158が含まれている。図10の例では、同調可能レーザ光源164によって、光ファイバ150の端部にあるセンサの共振周波数を含むある波長範囲にわたって掃引可能な、狭帯域光エネルギ・スペクトルを備えた光信号が発生する。典型的な操作において、上述のように、捕獲物質がセンサに塗布される。捕獲物質がセンサに塗布されると、上述のように、捕獲物質が試験媒質にさらされる。
【0023】
センサにおける結合をモニタするため、同調可能レーザ光源164は、ある波長範囲にわたって掃引される光信号を発生するが、その波長範囲には、センサの共振周波数が含まれる。掃引光信号は、光ファイバ148に送り込まれ、カプラ146を通って、光ファイバ150の端部のセンサに到達する。センサは、同じ光ファイバ150の端部に配置されているので、光信号は並行して相互作用する。光信号によってある波長範囲の掃引が行われる間に、センサによって、センサの共振周波数の光エネルギが吸収される。掃引光信号の吸収されない部分は、反射されて、光ファイバ150に戻され、カプラ146に達する。カプラ146は、反射光信号を光ファイバ152に結合し、光信号は、検出器166まで伝搬する。検出器166は、集められた光信号の光強度を測定し、光強度情報をプロセッサ158に送る。プロセッサ158は、同調可能レーザ光源164からの波長情報、及び、検出器166からの光強度情報を受信し、これらの情報を利用して、強度対波長情報を生成する。強度対波長情報を利用して、センサにおける抗体と蛋白質との結合の結果生じる、センサの共振周波数のシフトが識別される。センサの共振周波数のシフトを利用して、試験媒質の1つ以上の物理的特性が解明される。
【0024】
透過型センサを利用するスペクトル・マルチプレクシング・システムの基本機能は、1)センサの共振周波数を含む光信号を発生すること、2)端部にセンサを含む光ファイバに光信号を送り込むこと、3)センサを通過する光信号の部分を集光すること、4)光信号の通過部分を検出することである。上述の機能をもたらすために利用可能なスペクトル・マルチプレクシング・システムの構成は数多く存在し、上述の機能が得られる限りにおいて、本発明にとって、そっくりそのままの構成であることが不可欠というわけではない。
【0025】
図11は、透過型表面検知システムに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム172の一例を記載している。図11のスペクトル・マルチプレクシング・システム172には、光源144と、光ファイバ150及び152と、異なる共振周波数及び/またはQ値の少なくとも2つのセンサ(図示せず)が光ファイバ150の端部に配置されている表面検知システム154と、光学素子174と、OSA156と、プロセッサ158が含まれている。図11のスペクトル・マルチプレクシング・システム172が、センサから反射される光ではなく、光ファイバ150の端部にあるセンサを通過する光をモニタするという点を除けば、スペクトル・マルチプレクシング・システム172は、図9に関連して解説のスペクトル・マルチプレクシング・システム142と同様である。操作中、光学素子174によって、センサを通過する光がOSA156に送られる。操作の残りの部分については、図9に関連して上述のものと本質的に同じである。
【0026】
図12は、透過型センサに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム182のもう1つの例を記載している。図12のスペクトル・マルチプレクシング・システム182には、同調可能レーザ光源164と、光ファイバ150及び152と、異なる共振周波数及び/またはQ値の少なくとも2つのセンサ(図示せず)が光ファイバ150の端部に配置されている表面検知システム154と、光学素子174と、検出器166と、プロセッサ158が含まれている。図12のスペクトル・マルチプレクシング・システム182が、センサから反射される光ではなく、光ファイバ150の端部にあるセンサを通過する光をモニタするという点を除けば、スペクトル・マルチプレクシング・システム182は、図10に関連して解説のスペクトル・マルチプレクシング・システム162と同様である。操作中、光学素子174によって、センサを通過する光が検出器166に送られる。操作の残りの部分については、図10に関連して上述のものと本質的に同じである。
【0027】
図13は、透過型センサに用いられるスペクトル・マルチプレクシング・システム183のもう1つの代替実施態様を記載している。図13のスペクトル・マルチプレクシング・システム183の場合、表面検知システム154が、外部から照射される(例えば、照射光が、最初に、表面検知システム154を含む光ファイバ150内に送り込まれることはない)。表面検知システムを通過して、光ファイバ150を伝搬する光源からの光が、OSA156によって検出される。もう1つの実施形態では、図10及び図12に関連して上述のように、OSAは検出器であり、光源は同調可能レーザ光源である。
【0028】
図9〜図13に関連して、スペクトル・マルチプレクシング・システムのいくつかの例142、162、172、182、及び、183について解説されたが、他の構成も可能である。例えば、利用可能な検出チャネル数を増すために束ねられた複数光ファイバに、単一光ファイバにおけるスペクトル・マルチプレクシングを適用することが可能である。もう1つの代替構成の場合、光源は、順次起動されて、所望の波長範囲をカバーする、1組の狭帯域光源である。
【0029】
図14は、本発明に従って、試験媒質の1つ以上の特性を解明するための方法のプロセス流れ図を記載している。ブロック300では、第1及び第2のセンサが、試験媒質にさらされるが、第1及び第2のセンサは、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成されている。ブロック302では、第1及び第2のセンサと並行して相互作用するように、光信号が光ファイバへと送り込まれる。ブロック304では、第1及び第2のセンサと相互作用した後の光信号を検出する。
【0030】
異なる共振周波数及び/またはQ値を有するセンサが同じ光ファイバの端部に配置された表面検知システムでスペクトル・マルチプレクシングを実施することによって、試験媒質の異なる物理特性を平行して解明することが可能になる。解明することが可能な試験媒質の物理特性には、制限するわけではないが、温度、圧力、生物学的構成、及び、化学的構成が含まれる。上述のように、さまざまな物理的特性を並行して解明することが可能である。例えば、同じ光ファイバの端部に配置された2つの異なるセンサを用いて、試験媒質の温度及び試験媒質中における特定蛋白質の濃度を並行して特性解明することが可能である。
【0031】
図9〜図13に関連して既述のスペクトル・マルチプレクシング・システム142、162、172、182、及び、183の利点は、スペクトル・マルチプレクシングが、単一光信号源144、164と、単一検出器156、166で実施される点にある。
【0032】
表面センサを利用して、蛍光の集光効率が向上した。すなわち、金属構造(例えば、周期的または一様な)を利用して、蛍光体の放射崩壊時間がうまく処理され、同時に、蛍光体からの通常は等方性の放出が特定の角度に向けられた。この技法については、参考までに引用することにより本明細書の一部をなす、Joseph R.Lakowicz、「Radiative decay engineering 5:metal−enhanced fluorescence and plasmon emission」、Analytical Biochemistry、2005年2月15日、第337巻、第2号、p.171−194に記載がある。本発明による一実施形態では、同じ光ファイバの端部に配置された少なくとも2つの異なるセンサが、1以上の蛍光体からの蛍光をより効率よく結合するように構成されている。すなわち、同じ光ファイバの端部にあるセンサに、少なくとも2つの異なる色の蛍光の集光効率が向上するように、波長依存性の構成が施されている。同じ光ファイバの端部に配置された少なくとも2つのセンサを用いて、2つの異なる色の蛍光の集光効率を高めることによって、スペクトル・マルチプレクシングが可能になる。同じ光ファイバの端部にあるセンサは、電磁界を局在化する働きもし、その結果、背景蛍光雑音が低減する。
【0033】
典型的なセンサ・タイプの1つとして、回折格子ベースのセンサについて解説してきたが、同じ光ファイバの端部に他のセンサ構造を配置して、表面検知システムにおけるスペクトル・マルチプレクシングを可能にすることも可能である。
【0034】
本発明の具体的な実施形態について解説して説明してきたが、本発明は、このようにして解説され、説明された部分の具体的な形態または構成に制限されるものではない。本発明の範囲は、添付の請求項及びその均等物によって規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】A〜Cは、同じ光ファイバの端部に配置された、共振周波数及び/またはQ値の異なる2つのセンサの、本発明による典型的な実施形態を示す図である。
【図2】図1A〜図1Cの2つのセンサに関する反射率対波長のグラフである。
【図3】A及びBは、2つのセンサが区別可能な共振周波数(例えば、RFλ1≠RFλ2)と区別できないQ値(すなわち、Q1=Q2)を示す場合に、並行して測定される2つのセンサの反射率スペクトルを示す図である。
【図4】A及びBは、2つのセンサが区別可能なQ値(例えば、Q1≠Q2)を示す場合に、並行して測定される2つのセンサの反射率スペクトルを示す図である。
【図5】Aは、図1A〜図1Cのシステムに用いることが可能な回折格子ベースのセンサのあるセクションの拡大図である。Bは、図5Aからの回折格子ベース・センサの側面図である。
【図6】A〜Cは、同じ光ファイバの端部に配置された2つのセンサの代替構成例を示す図である。
【図7】A〜Cは、同じ光ファイバの端部に配置された、それぞれ、共振周波数の異なる4つの個別センサを含む、バイオセンサの典型的な構成を示す図である。
【図8】図7A〜図7Cからのバイオセンサ構成の任意の1つに関する4つのセンサの反射率対波長のグラフである。
【図9】光ファイバの端部に配置された反射型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムの一例を示す図である。
【図10】光ファイバの端部に配置された反射型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムのもう1つの例を示す図である。
【図11】光ファイバの端部に配置された透過型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムの一例を示す図である。
【図12】光ファイバの端部に配置された透過型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムのもう1つの例を示す図である。
【図13】光ファイバの端部に配置された透過型バイオセンサに用いられる、スペクトル・マルチプレクシング・システムのもう1つの例を示す図である。
【図14】本発明に従って生体分子の結合の特性解明をするための方法のプロセス流れ図である。
【符号の説明】
【0036】
104 低誘電率特徴
110 光ファイバ
112 光ファイバの端部
114 第1のセンサ
116 第2のセンサ
142 スペクトル・マルチプレクシング・システム
156 検出器
162 スペクトル・マルチプレクシング・システム
164 同調可能レーザ光源
172、182、183 スペクトル・マルチプレクシング・システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの端部を備える光ファイバと、
前記光ファイバの前記端部に配置された第1のセンサと、
前記光ファイバの前記端部に配置された第2のセンサと
を含んでなり、前記第1及び第2のセンサが、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成されていることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記第1のセンサが、第1の共振周波数及びQ値を生じることになる、誘電率の高い領域及び低い領域の空間プロファイルを有することと、前記第2のセンサが、第2の共振周波数及びQ値を生じることになる、誘電率の高い領域及び低い領域の空間プロファイルを有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のセンサの前記空間プロファイルに、低誘電率特徴のパターンを含むことを特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第1のセンサの前記空間プロファイルのある点が、前記第2のセンサの前記空間プロファイルの同じ点と異なっていることを特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のセンサが、前記光ファイバ端部の重なり合わない部分をカバーしていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記第1及び第2のセンサと相互作用する光信号の並行検出を可能にするように構成された、前記光ファイバと光学的に通じているスペクトル・マルチプレクシング・システムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記スペクトル・マルチプレクシング・システムに、同調可能レーザ光源を含むことと、前記同調可能レーザ光源の波長範囲に、前記第1及び第2のセンサの共振周波数を含むことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記光ファイバと光学的に通じているスペクトル・マルチプレクシング・システムを有し、該スペクトル・マルチプレクシング・システムが、前記光ファイバに掃引光信号を供給するように構成された光信号源と、前記第1及び第2のセンサと相互作用する前記光信号の部分を検出するように構成された検出器とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項9】
同じ光ファイバの端部に配置されて、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成された第1及び第2のセンサを試験媒質にさらすステップと、
前記光ファイバに光信号を送り込んで、前記光信号と前記第1及び第2のセンサを並行して相互作用させるステップと、
前記第1及び第2のセンサとの相互作用がすんだ後の前記光信号を検出するステップと
を含んでなる、試験媒質の1つ以上の物理的特性を解明する方法。
【請求項10】
前記検出するステップは、単一光検出器において前記光信号を検出することを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項1】
1つの端部を備える光ファイバと、
前記光ファイバの前記端部に配置された第1のセンサと、
前記光ファイバの前記端部に配置された第2のセンサと
を含んでなり、前記第1及び第2のセンサが、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成されていることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記第1のセンサが、第1の共振周波数及びQ値を生じることになる、誘電率の高い領域及び低い領域の空間プロファイルを有することと、前記第2のセンサが、第2の共振周波数及びQ値を生じることになる、誘電率の高い領域及び低い領域の空間プロファイルを有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のセンサの前記空間プロファイルに、低誘電率特徴のパターンを含むことを特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第1のセンサの前記空間プロファイルのある点が、前記第2のセンサの前記空間プロファイルの同じ点と異なっていることを特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のセンサが、前記光ファイバ端部の重なり合わない部分をカバーしていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記第1及び第2のセンサと相互作用する光信号の並行検出を可能にするように構成された、前記光ファイバと光学的に通じているスペクトル・マルチプレクシング・システムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記スペクトル・マルチプレクシング・システムに、同調可能レーザ光源を含むことと、前記同調可能レーザ光源の波長範囲に、前記第1及び第2のセンサの共振周波数を含むことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記光ファイバと光学的に通じているスペクトル・マルチプレクシング・システムを有し、該スペクトル・マルチプレクシング・システムが、前記光ファイバに掃引光信号を供給するように構成された光信号源と、前記第1及び第2のセンサと相互作用する前記光信号の部分を検出するように構成された検出器とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項9】
同じ光ファイバの端部に配置されて、互いに区別可能な共振周波数またはQ値を示すように構成された第1及び第2のセンサを試験媒質にさらすステップと、
前記光ファイバに光信号を送り込んで、前記光信号と前記第1及び第2のセンサを並行して相互作用させるステップと、
前記第1及び第2のセンサとの相互作用がすんだ後の前記光信号を検出するステップと
を含んでなる、試験媒質の1つ以上の物理的特性を解明する方法。
【請求項10】
前記検出するステップは、単一光検出器において前記光信号を検出することを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−3527(P2007−3527A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171972(P2006−171972)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】
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