説明

タスクリストのタスクを完了するためにユーザに通告を与えるコンピュータシステム及び方法

本発明は、メモリ(12、13、14、15)及び位置測定装置(23)と通信するように構成されるプロセッサユニット(11)を具備するコンピュータシステムに関する。メモリ(12、13、14、15)は、地図データベース及びタスクリストを含むように構成され、タスクリストは、少なくとも1つのタスクを含むように構成される。少なくとも1つのタスクのうち少なくとも1つは、関連付けられた位置指標を有する。位置測定装置(23)は、位置に関する情報を提供するように構成される。コンピュータシステムは、a)地図データベースを使用して、現在の位置から少なくとも1つのタスクのうちの1つと関連付けられた位置指標までの推定移動パラメータを算出し、b)推定移動パラメータを所定の閾値と比較し、c)推定移動パラメータが所定の閾値より小さい場合に通告信号を生成するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データベース及びタスクリストを含むように構成され、タスクリストのタスクを完了するためにユーザに通告を与えるように構成されるコンピュータシステムに関する。更に本発明は、そのようなコンピュータシステムを具備する車両、タスクリストのタスクを完了するためにユーザに通告を与える方法、コンピュータプログラム及びデータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(全地球測位システム)に基づく従来のナビゲーション装置は周知であり、車載ナビゲーションシステムとして広く採用されている。そのようなGPSに基づくナビゲーション装置は、外部(又は内部)GPS受信機に機能接続する際に地球上の位置を判定できる演算装置に関係する。更に演算装置は、演算装置のユーザにより入力される出発地の住所と目的地の住所との間のルートを判定できる。通常、演算装置は、地図データベースから出発地の住所の場所と目的地の住所の場所との間の「最善」又は「最適」なルートを計算することがソフトウェアにより可能になる。「最善」又は「最適」なルートは、所定の基準に基づいて判定され、必ずしも最速又は最短のルートである必要はない。更にそのルートは、以前に運転したルートに基づいて判定される好適なルートであってもよい。
【0003】
ナビゲーション装置は、通常は車両のダッシュボードに搭載されるが、車両に搭載されたコンピュータ又は自動車のラジオの一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置は、PDA又はラップトップ等のハンドヘルドシステム(の一部)であってもよい。
【0004】
GPS受信機から得られる位置情報を使用することにより、演算装置は、定期的に位置を判定し、車両の現在の位置をユーザに対して表示できる。ナビゲーション装置は、地図データを格納するメモリデバイス及び地図データの選択部分を表示するディスプレイを具備してもよい。
【0005】
更にナビゲーション装置は、ディスプレイ上に表示される且つ/又はスピーカからの可聴信号として生成される適切なナビゲーション指示により、決定されたルートをどのように進むかを案内する(ナビゲートする)ことができる(例えば、「100m先を左折する」)。遂行されるべき動作を示す図形(例えば、前方を左折することを示す左矢印)は、ステータスバーに表示され、地図自体には該当する分岐点/曲がり角等に重ね合わされる。
【0006】
運転者がナビゲーションシステムにより計算されたルートに沿って自動車を運転している時に、運転者がルートの再計算を開始できるようにする車載ナビゲーションシステムが使用可能であることは周知である。これは、車両が建築工事又は交通渋滞に直面した場合に有用である。
【0007】
ナビゲーション装置により展開されるルート計算アルゴリズムの種類をユーザが選択できることも周知であり、例えば、「通常」モード及び「高速」モード(最短時間でルートを計算し、通常モードほど多くのルートを調査しない)から選択する。
【0008】
また、ユーザが規定した基準でルートを計算できることが周知である。例えばユーザは、景色のよいルートが装置により計算されることを好む場合がある。装置のソフトウェアは、種々のルートを計算し、例えば景色が美しい所としてタグ付けされる地点情報(POIとして周知である)をルートに沿って最も多く含むルートを更に有利に重み付けする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
米国特許第6,266,612B1号公報において、例えばGPS衛星、GLONASS衛星又はスードライト(pseudolite)(擬似衛星)を使用することにより、その地理的場所に対応する位置測定情報を受信するように構成されるモバイルコンピュータシステムが説明される。モバイルコンピュータシステムは、タスクリストを有するデータベースを更に具備してもよいし、あるいはそのようなデータベースにアクセスできるようにしてもよい。モバイルコンピュータがタスクリストのタスクの完了を可能にする地理的位置の所定の半径R内にいることを位置測定情報が示す場合、モバイルコンピュータシステムは、位置測定情報に基づいてデータベースに索引付けする。この場合、モバイルコンピュータシステムは通告を与えるように構成される。
【0010】
より効率的な通告を生成するように構成されるコンピュータシステムを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの面は、メモリ及び位置測定装置と通信するように構成されるプロセッサユニットを具備するコンピュータシステムであり、
メモリが地図データベース及びタスクリストを含むように構成され、タスクリストが少なくとも1つのタスクを含むように構成され、少なくとも1つのタスクのうち少なくとも1つが関連付けられた位置指標を有し、
位置測定装置が位置に関する情報を提供するように構成されるコンピュータシステムであって、
a)地図データベースを使用して、位置測定装置により測定される現在の位置から少なくとも1つのタスクのうちの1つと関連付けられた位置指標までの推定移動パラメータを算出し、
b)推定移動パラメータを所定の閾値と比較し、
c)推定移動パラメータが所定の閾値より小さい場合に通告信号を生成するように構成されることを特徴とするコンピュータシステムを提供する。そのようなコンピュータシステムは、タスクを相対的に容易に完了できる場合、すなわち所定の閾値と比較して容易に完了できる場合に完了されるべきタスクに関する通告をユーザに提供するように構成される。
【0012】
一実施形態によると、地図データベースは住所情報及び地点情報を含み、地点情報はPOIカテゴリに分類され、各位置指標は住所及び地点情報(POI)カテゴリの一つとすることができる。
【0013】
一実施形態によると、タスクに関連付けられた位置指標がPOIカテゴリである場合、コンピュータシステムは、上述のa)を、
a1)POI選択アルゴリズムを使用してPOIカテゴリから地図データベースの複数のPOIを選択し、
a2)現在の位置から選択したPOIの各々までの推定移動パラメータを算出し、
a3)複数のPOIから最小の推定移動パラメータを有するPOIを選択することにより実行するように構成される。
【0014】
一実施形態によると、ナビゲーションソフトウェアを使用して現在の位置から位置指標までのルートを算出することにより、推定移動パラメータは算出される。
【0015】
一実施形態によると、推定移動パラメータは、最短ルート、最速ルート等の所定の基準に従って算出される。
【0016】
一実施形態によると、推定移動パラメータは、現在の交通情報を考慮して算出される。
【0017】
一実施形態によると、少なくとも1つのタスクの各々は関連付けられた閾値を有し、関連するタスクと関連付けられた所定の閾値と推定移動パラメータとを比較することにより実行される。
【0018】
一実施形態によると、各タスクは関連付けられた時間を有する。
【0019】
一実施形態によると、所定の閾値は変動する。
【0020】
一実施形態によると、所定の閾値は、タスクと関連付けられた時間に依存して変動する。例えば所定の閾値は、タスクと関連付けられた時間が近付いている時に増加されてもよい。
【0021】
一実施形態によると、推定移動パラメータは、推定移動時間及び推定移動距離のいずれか一方である。
【0022】
一実施形態によると、所定の閾値は、時間閾値及び距離閾値のいずれか一方である。
【0023】
一実施形態によると、通告信号は、スピーカを使用して提供される音響通告信号又は音声通告メッセージ等であってもよい。
【0024】
一実施形態によると、通告信号は、ディスプレイに表示される通告アイコンである。
【0025】
一実施形態によると、通告アイコンは、押下された時にナビゲーション命令を提供して関連する位置指標までユーザをナビゲートするようにコンピュータシステムをトリガする仮想ボタンである。
【0026】
一実施形態によると、コンピュータシステムは、ナビゲーション装置、移動電話、パーソナルデジタルアシスタント、ラップトップのうちのいずれか1つのであってもよい。
【0027】
一実施形態によると、コンピュータシステムは、タスクの完了を登録するように構成される。
【0028】
一実施形態によると、コンピュータシステムはナビゲーション装置である。
【0029】
本発明の1つの面は、上述のコンピュータシステムを具備する車両を提供する。そのような車両は、自動車、オートバイ、自転車等であってもよい。
【0030】
本発明の1つの面は、
−タスクリストが少なくとも1つのタスクを含むように構成され、少なくとも1つのタスクのうち少なくとも1つが関連付けられた位置指標を有する場合に、地図データベース及びタスクリストを提供することと、
−位置に関する情報を提供するように構成される位置測定装置を提供することとから成る方法であって、
a)地図データベースを使用して、位置測定装置により測定される現在の位置から少なくとも1つのタスクのうちの1つと関連付けられた位置指標までの推定移動パラメータを算出することと、
b)推定移動パラメータを所定の閾値と比較することと、
c)推定移動パラメータが所定の閾値より小さい場合に通告信号を生成することとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0031】
本発明の1つの面は、コンピュータ構成にロードされた時に上述の方法を実行するように構成されるコンピュータプログラムを提供する。
【0032】
本発明の1つの面は、上述のコンピュータプログラムを含むデータ記憶媒体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。図中、対応する図中記号は対応する部分を示す。
図1は、算術演算を行なうプロセッサユニット11を具備するナビゲーション装置10の一実施形態を示す概略ブロック図である。プロセッサユニット11は、ハードディスク12又は他の外部記憶媒体、読み出し専用メモリ(ROM)13、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)14及びランダムアクセスメモリ(RAM)15等の命令及びデータを格納する記憶装置と通信するように構成される。記憶装置は地図データを含んでもよい。この地図データは、2次元地図データ(緯度及び経度)であってもよいが、第3の次元(高度)を含んでもよい。地図データは更に、様々なタイプの面白い場所(POI)に関する情報といったような追加の情報を備えてもよい。そのようなPOIとしては、ガソリンスタンド、ショップ、観光地などが上げられるが、これらに限られるものではない。POIの場所は静的(大部分のPOIがそうであろう)または動的である。たとえば、POIは、他のナビゲーションデバイス10のようなオブジェクトの現在位置の表示であってもよい。ここで、他のナビゲーションデバイス10は、異なるナビゲーションデバイス10に接続している動くオブジェクトであり、その現在位置はネットワークを介してやりとりされる。POIはまた、一時的に飲み存在する動的POIであってもよい。例えば、POIはポップコンサートのようなイベントが開催されている場所を参照するようにしてもよい。
【0034】
地図データは、また、道路沿いの建物及び物体の形状に関する情報を含んでもよい。また、他の地図強化として、例えば天候状態が含まれてもよい。
【0035】
プロセッサユニット11は、キーボード16及びマウス17等の1つ以上の入力装置と通信するように構成されてもよい。キーボード16は、例えばタッチスクリーンであるディスプレイ18に提供される仮想キーボードであってもよい。プロセッサユニット11は、ディスプレイ18、スピーカ24、及び、例えばフロッピディスク20又はCDROMまたはDVD21、或いは他の利用可能な格納メディアを読み取るための1つ以上の読み取り装置19、等の1つ以上の出力装置と通信するように更に構成されてもよい。ディスプレイ18は、従来のコンピュータディスプレイ(例えば、LCD)であってもよく、あるいは計測データを自動車のフロントガラスに投影するために使用されるヘッドアップディスプレイ等の投影型ディスプレイであってもよい。ディスプレイ18は、タッチスクリーンとして機能するように構成されるディスプレイであってもよい。タッチスクリーンは、ユーザが指でディスプレイ18に触れることにより命令及び/又は情報を入力することを可能にする。
【0036】
スピーカ29は、ナビゲーション装置10の一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置10が車載ナビゲーション装置として使用される場合、ナビゲーション装置10は、自動車のラジオ及びボードコンピュータ等のスピーカを使用してもよい。
【0037】
プロセッサユニット11は、ナビゲーション装置10又は位置測定装置23自体の位置に関する情報を提供するGPS受信機等の位置測定装置23と通信するように更に構成されてもよい。本実施形態によると、位置測定装置23はGPSに基づく位置測定装置23である。しかし、ナビゲーション装置10は、任意の種類の位置検知技術を実現してもよく、GPSに限定されないことが理解されるだろう。従って、ナビゲーション装置10は、欧州のガリレオシステム等の他の種類のGNSS(グローバルナビゲーションサテライトシステム)を使用して実現できる。同様に、ナビゲーション装置10は、衛星を使用する位置/速度システムに限定されず、地上ビーコン又は装置が地理的な場所を判定することを可能にする任意の他の種類のシステムを使用して同様に展開される。
【0038】
しかし、当業者に周知の更なる及び/又は他の記憶装置、入力装置及び読み取り装置が提供されてもよいことが理解されるべきである。更に、それら装置のうち1つ以上の装置は、必要に応じてプロセッサユニット11から物理的に遠く離れて配置されてもよい。プロセッサユニット11は1つのボックスで示されるが、当業者には周知であるように、互いに遠く離れて配置され且つ1つの主プロセッサにより制御されるか又は同時に機能するいくつかの処理ユニットを含んでもよい。
【0039】
ナビゲーション装置10は、コンピュータシステムとして示されるが、本明細書で説明される機能を実行するように構成されるアナログ及び/又はデジタル及び/又はソフトウェア技術を使用する任意の信号処理システムであってもよい。ナビゲーション装置10は、複数の構成要素から構成されるものとして図1に示すが、単一の装置として形成されてもよいことが理解されるだろう。
【0040】
ナビゲーション装置10は、Navigatorと呼ばれるTomTom B.V.のナビゲーションソフトウェア等のナビゲーションソフトウェアを使用してもよい。ナビゲータソフトウェアは、ウインドウズCE下で動作するCompaqiPaqや、シンビアンOS(Symbian OS)下で動作するノキアコミュニケータフォーンのような、特にナビゲーション目的で製造されたものではないPDA装置上や、TOMTOMGOのような特別なナビゲーションPDA装置で動作することができる。これらの装置は組み込まれたGPS受信器23を有していてもよいし、外部のGPSを用いるものであってもよい。組み合わされたPDA及びGPS受信機システムは、車載ナビゲーションシステムとして使用されるように設計される。実施形態は、一体型GPS受信機/コンピュータ/ディスプレイを有する装置、あるいは車両以外による使用(例えば、歩行者)又は自動車以外の車両(例えば、航空機)のために設計された装置等のナビゲーション装置10の任意の他の構成で実現されてもよい。
【0041】
図2は、上述のようなナビゲーション装置10を示す。
【0042】
ナビゲータソフトウェアは、ナビゲーション装置10上で動作する場合、ナビゲーション装置10に、図2に示すような通常のナビゲーションモード画面をディスプレイ18上へ表示させる。このビューは、テキスト、記号、音声ガイダンス及び動画地図の組合せを使用して運転命令を提供することができる。重要なユーザインタフェース要素は、3D地図が画面の殆どを占有することである。尚、その地図は2D地図として示されてもよい。
【0043】
地図は、ナビゲーション装置10が動く方向が常に「上」になるように回転されたナビゲーション装置10の位置及びその周囲を示す。ステータスバー2は、例えば、画面の下1/4にわたって設けられる。ナビゲーション装置10の現在の場所(ナビゲーション装置10自体が従来のGPS位置探索を使用して判定する)及びその姿勢(移動する方向から推測される)は、位置の矢印3により示される。装置により計算されたルート4(メモリデバイス11、12、13、14、15の地図データベースに格納された地図データに適用されるメモリデバイス11、12、13、14、15に格納されたルート計算アルゴリズムを使用して計算されたルート)は、陰影をつけた経路で示される。ルート4において、全ての主な動作(例えば、角、交差点、ロータリー等を曲がる)は、ルート4に重なる矢印5により概略的に示される。ステータスバー2は、左側に次の動作6(ここでは、右折)を示す概略的なアイコンを更に含む。ステータスバー2は、装置により計算されたルート全体のデータベース(すなわち、利用されるルートを規定する全ての道路及び関連する動作のリスト)から抽出される次の動作までの距離(すなわち、右折−ここでは距離は190メートル)を更に示す。ステータスバー2は、現在の道路名8、到着までの推定時間9(ここでは、35分)、実際の推定到着時間22(4:50pm)及び目的地までの距離26(31.6Km)を更に示す。ステータスバー2は、移動電話と同様の信号強度指標でGPS信号強度等の追加の情報を更に示してもよい。
【0044】
上述したように、ナビゲーション装置10は、ユーザがナビゲーションメニュー(不図示)を呼び出すことを可能にするタッチスクリーン等の入力装置を具備してもよい。このメニューから、他のナビゲーション機能が開始されたり、制御されたりする。非常に容易に呼び出される(例えば、地図の表示からメニュー画面まで1ステップである)メニュー画面からナビゲーション機能を選択することを可能にすることにより、ユーザ対話が非常に簡単化されて高速且つ容易になる。ナビゲーションメニューは、ユーザが目的地を入力するオプションを含む。
【0045】
ナビゲーション装置10自体の実際の物理的な構造は、一体型GPS受信機23又は外部GPS受信機からのGPSデータ供給があること以外は任意の従来のハンドヘルドコンピュータと本質的に異ならない。従って、メモリデバイス12、13、14、15は、ルート計算アルゴリズム、地図データベース及びユーザインタフェースソフトウェアを格納する。プロセッサユニット12は、ユーザ入力(例えば、出発地及び目的地の住所を入力するためのタッチスクリーンを用いた入力、並びに全ての他の制御入力)を解釈及び処理し、最適なルートを計算するためにルート計算アルゴリズムを展開する。ここで、「最適」は、最短時間又は最短距離、あるいは他のユーザに関係する要素等の基準を参照してもよい。
【0046】
更に詳細には、ユーザは、タッチスクリーン18、キーボード16等の提供された入力装置を使用して、ナビゲーション装置10上で動作するナビゲーションソフトウェアにユーザのスタート位置と要求する目的地を入力する。例えば、ユーザは、目的地の住所をタイプすること、或いは、目的地として(静的/動的な)POIを選択することによって、目的地を入力することができる。
【0047】
次に、ユーザは、移動ルートを計算する方法を選択する。ルートを非常に迅速に計算するがルートが最短ではない可能性のある「高速」モード;全ての可能なルートを調べ且つ最短のルートを見つけるが計算時間がより長い「フル」モード等の種々のモードが提供される。例えば、特に美しい眺めとしてマーク付けされた殆どのPOI(地点情報)を通過する景色のよいルート、子供が興味を持つ可能性のある殆どのPOIを通過するルート、あるいは分岐点が最も少ないルートをユーザが定義する等、他のオプションが可能である。
【0048】
ナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置10が他のナビゲーション装置10、パーソナルコンピュータ、サーバ等のリモートシステムとネットワーク27を介して通信するのを可能にする入出力装置25を更に具備してもよい。ネットワーク27は、LAN、WAN、Bluetooth、インターネット及びイントラネット等の任意の種類のネットワーク27であってもよい。通信は、有線であってもよく又は無線であってもよい。無線通信リンクは、例えばRF信号(無線周波数)及びRFネットワークを使用してもよい。
【0049】
道路自体は、ナビゲーション装置10上で実行するナビゲーションソフトウェアの一部である(あるいは、ソフトウェアによりアクセスされる)地図データベースにおいて、線、すなわちベクトル(例えば、始点、終点、道路の方向であり、道路全体は、各々が始点/終点方向パラメータにより一意に規定される多数の部分から構成される)として記述される。地図は、そのような道路ベクトル、地点情報(POI)、道路名、公園の境界や川の境界等の他の地理的特徴の集合であり、それらは全てベクトルと、時間と共に変化する可能性のある付加的な情報(交通渋滞、天候状態、他の人の位置、等)として規定される。全ての地図の特徴(例えば、道路ベクトル、POI等)は、GPS座標系に対応するか又は関連する座標系で規定され、GPSシステムを介して判定される装置の位置を地図に示される関連する道路に配置することを可能にする。
【0050】
地図データベースは、道路名、家屋番号、郵便番号、都市名などを含み得る。
【0051】
ルート計算は、ナビゲーションソフトウェアの一部である複雑なアルゴリズムを使用する。アルゴリズムは、大量の潜在的に異なるルートに得点をつけるために適用される。ナビゲーションソフトウェアは、景色のよいルート、歴史博物館及びスピードカメラなしを含むユーザが規定したフルモードスキャンのような基準(又は装置のデフォルト)に対してそれらルートを評価する。規定された基準に最もよく適合するルートは、プロセッサユニット11により計算され、ベクトル、道路名及びベクトルの終点で行なわれる動作のシーケンス(例えば、100メートル先でx通りを左折する等、ルートの各道路に沿う所定の距離に対応する)としてメモリデバイス12、13、14、15のデータベースに格納される。
【0052】
ナビゲーション装置10は、移動電話、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)又はラップトップ等の任意の種類のコンピュータシステムに組み込まれてもよい。本明細書で使用されるナビゲーション装置10という用語は、ディスプレイ18を有さないナビゲーション装置10に関連してもよい。そのようなナビゲーション装置10は、可聴命令のみを提供するように構成されてもよく、例えば視覚障害者により使用されてもよい。
【0053】
実施形態1A
一実施形態によると、例えば上述のようなナビゲーション装置10が提供される。ナビゲーション装置10は、メモリ12、13、14、15に格納された図3に概略的に示すようなタスクリストを含んでもよい。当業者には理解されるように、このタスクリストは、例えば上述のキーボード16、マウス17、タッチスクリーンであるディスプレイ18のような入力装置を使用してユーザにより入力されてもよい。あるいは、当業者には理解されるように、入力は音声入力を使用して行なわれてもよい。
【0054】
タスクリストは、「博物館を訪れる」、「プレゼントを購入する」及び「買い物をする」等の複数のタスクを含んでもよい。タスクリストは、タスクと関連して、住所「Museumstreet 1, Amsterdam」又はPOIカテゴリ「玩具店」又は「ショッピングセンター」等の位置指標(locationindicator)を含む。
【0055】
POIカテゴリは、例えば「写真」、「ダンス」、「音楽」、「収集」、「スポーツ」、「絵画」、「彫刻」、「自動車」、「コンピュータ」等のユーザの個人的興味又は特定の対象物に関係してもよい。
【0056】
全てのPOI及びPOIカテゴリを効率的に編成し且つユーザが適切なPOIカテゴリを容易に選択できるようにするために、あるPOIカテゴリは複数のPOIを含んでもよく(例えば、POIカテゴリ「音楽店」は複数の音楽店を含んでもよい)、他のPOIカテゴリは複数のPOIカテゴリを含んでもよい(例えば、POIカテゴリ「音楽」はPOIカテゴリ「音楽店」、「ポップコンサート」及び「ダンス」を含んでもよい)。これにより、ユーザは自分の興味に合致したPOIカテゴリを容易に選択できる。
【0057】
「音楽」等の興味を選択することにより、ユーザは近接する音楽店、ポップコンサート等を常に通知される。ナビゲーション装置10のメモリに格納されたPOIが動的なPOIであり、定期的に更新される可能性があるため、ユーザはポップコンサート等のイベントを通知されてもよい。
【0058】
図4aは、一実施形態に係るナビゲーション装置10により実行される動作を概略的に示すフローチャートである。メモリ12、13、14、15は、図4aに提示される動作を実行するようにプロセッサユニット11に命令する、プロセッサユニット11により読み出し可能であり且つ実行可能であるプログラミング命令を含んでもよい。
【0059】
第1の動作100において、プロセッサユニット11はフローチャートの実行を開始することができる。動作100は、ユーザによりトリガされてもよく、実行を開始するようにナビゲーション装置10に命令する。しかし、例えばナビゲーション装置10の電源が投入された時に自動的に開始するように、ナビゲーション装置10はプログラムされてもよい。
【0060】
次の動作101において、プロセッサユニット11は、例えば上述のようにナビゲーション装置10の位置に関する情報を提供するGPS受信機等の位置測定装置23から位置データを受信することにより、ナビゲーション装置10の現在の位置を判定する。プロセッサユニット11が、位置測定を実行するように位置測定装置23に命令してもよいが、位置測定装置23が位置測定を継続的に実行するように構成されてもよい。後者の場合、プロセッサユニット11は最新の利用可能な位置測定値を単純に使用してもよい。
【0061】
次の動作102において、プロセッサユニット11は、例えばアドレス:Museumstreet1, Amsterdamである第1の位置指標をメモリ12、13、14、15のタスクリストから検索する。位置指標が住所である場合、動作103に継続する。
【0062】
動作103において、動作101で判定された現在の位置から動作102でタスクリストから検索された住所までのルートが算出される。このルートは、当業者に周知の任意の種類のナビゲーションソフトウェアを使用して算出されてもよい。ナビゲーション装置10は、上述のような「通常」モード又は「高速モード」を使用して最適なルート(例えば、最短ルート又は最速ルート)を算出してもよい。
【0063】
現在の位置からタスクに関連付けられた住所までのルートを算出する場合、当業者には理解されるように、推定移動時間等の推定移動パラメータが更に算出される。推定移動時間の算出は、ルートに沿う制限速度を考慮して行なわれてもよい。更に推定移動時間の算出は、現在の交通情報(交通渋滞)等を考慮して行なわれてもよい。推定移動時間は、例えば、15分、のように得られる。
【0064】
(最適な)ルート及び関連する推定移動時間が算出された後、動作104において、移動時間は例えばメモリ12、13、14、15に格納される時間閾値Tと比較される。以下に更に詳細に説明するように、この時間閾値Tは所定の時間閾値Tであってもよい。推定移動時間が時間閾値Tより大きい場合、通告信号は生成されず、通告はユーザに与えられない。推定移動時間が時間閾値T以下である場合、通告信号が生成され、ユーザに通告が与えられる。これは、動作108においてプロセッサユニット11により決定される。
【0065】
動作108の後、動作102に戻り、例えばPOIカテゴリ「玩具店」である次の位置指標をメモリ12、13、14、15のタスクリストから検索する。この場合、位置指標はPOIカテゴリであり、動作105に継続する。
【0066】
動作105において、関連するPOIは、動作101で判定された現在の位置の範囲R内で選択される。範囲Rは、メモリ12、13、14、15に格納された5km等の標準的な範囲Rであってもよい。範囲Rは、例えば動作104及び動作107(後述する)で使用される時間閾値Tと結び付けられてもよく、Rは、例えば100km/hの特定の最高速度vmaxで除算された閾値Tである。
【0067】
しかし、他の方法によると、範囲内で全ての関連するPOIを選択するのではなく、最寄の10個の関連するPOIが選択されてもよい。当然、任意の他の適切な数が使用されてもよい。
【0068】
動作105を実行するために、任意の適切なPOI選択アルゴリズムが使用されてもよいことは理解されるだろう。
【0069】
次の動作106において、ルートは、それら選択された関連するPOI及びそれらの対応する推定移動時間に対して算出される。ルートは、例えば動作103に関して上述したように算出されてもよい。
【0070】
次の動作107において、動作104と同様に最短の移動時間が時間閾値Tと比較される。その後、動作108において、通告信号が生成されるかが判定される。
【0071】
最後に動作102に戻り、タスクリストから次の位置指標を検索する。一実施形態によると、通告信号が生成されない場合又はユーザが通告を無視した後にのみ動作102に戻ってもよい。これは、同時に2つ以上の通告信号が生成されるのを防止するためである。
【0072】
一実施形態によると、動作102ではなく動作101に戻り、最新の現在の位置を判定してもよい。動作101及び動作102は、逆の順番で実行されてもよいことが理解されるだろう。すなわち、最初に動作102が実行され、その後動作101が実行されてもよい。
【0073】
本明細書で説明される処理は、タスクリストの全ての位置指標が使用されるまで繰り返されてもよい。その後、処理は第1の位置指標から再び開始してもよく、あるいは計算時間を節減するために第1の位置指標から再び開始するまで所定の期間待つように構成されてもよい。
【0074】
一実施形態によると、プロセッサユニット11は、ナビゲーション装置10が1km等の所定の距離を超えて移動したことが動作101で検出された時に第1の位置指標から再び開始するように構成されてもよい。
【0075】
動作108の後、POI探索が実行されたタスクを終了したものとして印をつけるか又はそのタスクを削除するオプションが存在してもよい。タスクリスト中の全てのタスクが終了したものとして印をつけられるか又はタスクリスト中にタスクが存在しなくなった場合、例えば図4aに係る方法は、1つ以上のエントリがタスクリストに再び入力されるまでオフにされてもよい。
【0076】
実施形態1B
更なる実施形態のフローチャートを図4bに示す。その更なる実施形態によると、推定移動時間Tを算出するのではなく、推定移動距離Dが算出される。図4bは、動作103、104、106及び107以外は図4aと同様であり、それら動作は、ここでは動作103.1、104.1、106.1及び107.1に置換される。
【0077】
動作103.1において、動作101で判定された現在の位置から動作102でタスクリストから検索された住所までのルートが算出される。このルートは、当業者に周知の任意の種類のナビゲーションソフトウェアを使用して算出されてもよい。ナビゲーション装置10は、上述のような「通常」モード又は「高速モード」を使用して最適なルート(例えば、最短ルート又は最速ルート)を算出してもよい。
【0078】
現在の位置からタスクと関連付けられた住所までのルートを算出する時、当業者には理解されるように、推定移動距離等の推定移動パラメータが更に算出される。推定移動距離の算出は、当業者に周知の方法で行なわれてもよい。推定移動距離は、例えば、10km、のように得られる。
【0079】
(最適な)ルート及び関連する推定移動距離が算出された後、動作104.1において、移動距離は例えばメモリ12、13、14、15に格納される距離閾値Dと比較される。以下に更に詳細に説明するように、この距離閾値Dは所定の距離閾値Dであってもよい。推定移動距離が距離閾値Dより大きい場合、通告信号は生成されず、通告はユーザに与えられない。推定移動距離が距離閾値D以下である場合、通告信号は生成され、ユーザに通告が与えられる。これは、動作108においてプロセッサユニット11により決定される。
【0080】
図4bにおいて動作106.1及び動作107.1により示されるように、同様の変更が動作106及び動作107に対して行なわれてもよいことが理解されるだろう。
【0081】
一般に、推定移動パラメータは動作103、103.1、106、106.1において算出され、それは例えば推定移動時間T又は推定移動距離Dであってもよい。この推定移動パラメータは、時間閾値T又は距離閾値Dのような閾値と比較される。
【0082】
閾値
上述の動作104及び動作107において、推定移動パラメータは閾値T、Dと比較され、通告信号を生成し且つユーザに通告を与えるかを判定する。この閾値T、Dは、15分又は10km等の所定の閾値T、Dであってもよい。
【0083】
一実施形態によると、タスク別閾値T、Dは、新しいタスクをタスクリストに追加する時にユーザにより入力されてもよい。ナビゲーション装置10は、タスク別閾値T、Dを入力することをユーザに要求するように構成されてもよい。これにより、種々のタスクに対する種々のタスク別閾値T、Dを格納するオプションをユーザに提供する。
【0084】
タスクリストは、タスクを実行する必要がある時期を特定する時間欄を更に含んでもよい。例えば、タスク「博物館を訪れる」は、「2006年3月21日〜2006年9月21日」という関連付けられた時間を有してもよい。これは、ユーザが示される時間ウィンドウの間にのみ開催される博物館の展示会を訪れたい場合に有用である。タスク「プレゼントを購入する」は、例えばそのプレゼントが2006年5月13日に行なわれる誕生日パーティのためのものである場合、「2006年5月13日まで」という関連付けられた時間を有してもよい。更にタスク「買い物をする」は、毎週買い物をする必要があるために「毎週」という関連付けられた時間を有してもよい。
【0085】
一実施形態によると、閾値T、Dは特定される時間に依存してもよい。例えば、博物館を訪れる場合の距離閾値Dは、ユーザが時間ウィンドウ「2006年3月21日〜2006年9月21日」内に通告を与えられるのを確実にするために、その時間ウィンドウの間に例えば最初の5kmから100kmまで増加してもよい。
【0086】
更なる実施形態によると、特定のタスクの最終的な期限が近付いている場合、ナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置10の現在の場所に関わらず通告信号を生成し且つユーザに通告を与えるように構成されてもよい。
【0087】
通告信号
通告は、ディスプレイ18に表示される通告アイコンであってもよく、例えばテキスト「タスク:展示会を訪れる。推定移動時間:15分」を含む。この通告アイコンは仮想ボタンであってもよく、通告を受け入れるか又は通告を無視するオプションをユーザに提供する。受け入れられると、ナビゲーション装置10は、例えば先に算出されたルートに従ってその住所までユーザをナビゲートするようにトリガされる。ユーザが通告を無視した場合、ナビゲーション装置10は、通告が繰り返し与えられるのを防止するために所定の期間そのタスクを無視するようにトリガされてもよい。
【0088】
通告アイコンは、例えばPOIの種類、価格帯、営業時間等に関する更なる情報を要求するオプションをユーザに更に提供してもよい。
【0089】
当然、通告はスピーカ29を使用して提供される音響通告信号又は音声通告メッセージ等により与えられてもよい。
【0090】
タスク完了の登録
ナビゲーション装置10は、例えば通告アイコンが受け入れられた時、ナビゲーション装置10がタスクと関連付けられる場所を実際に訪れたことを位置測定装置23を使用して検知した時、又はユーザがタスクの状態を手動で完了に設定した時等、タスクの完了を登録するように更に構成されてもよい。上述のように、POI探索が実行されたタスクを終了したものとして印をつけるか又はタスクを削除するオプションが存在してもよい。
【0091】
新しいタスクの追加
新しいタスクをタスクリストに追加するために、種々の方法が考えられる。一実施形態によると、ナビゲーション装置10は、タスクをタスクリストに追加するためにユーザが選択する可能性のある特定のPOI及び/又はPOIカテゴリに対する事前定義済みタスクの集合を含んでもよい。当然、ユーザは、この事前定義済みタスクの集合に新しいタスクを追加してもよい。本実施形態によると、ユーザは、事前定義済みタスクの集合からタスクを選択することにより新しいタスクをタスクリストに追加してもよく、ユーザは関連する時間を入力することのみが必要である。
【0092】
タスクを完了する順序
更なる可能性によると、タスクリストに複数のタスクが存在し、それらタスクが実行される複数のPOIが存在する場合、ユーザにとって最適に位置するPOIが選択されるようにしてもよい。例えば、ナビゲーション装置10が最短の移動時間及び最小費用(例えば有料道路、駐車場使用料、交通渋滞)を推定する方法を有するという仮定の下、最短の移動時間及び/又は最小費用を要求するように選択される。また、タスクが完了される順序は、移動時間を短縮するように調整されてもよい。
【0093】
従って、移動時間を最短にし且つ費用を最小にするために、第2番目のPOIの選択は選択された第1番目のPOIの場所に依存してもよい。
【0094】
2つ以上の通告が提供された場合のために、ナビゲーション装置10は最短の移動時間及び/又は最小費用に基づいてタスクを完了する最適な順序を算出するように構成されてもよい。
【0095】
利点
実施形態おいて説明されたナビゲーション装置10は、ユーザがタスクを実行可能な場所の近くにいる時にタスクリマインダをユーザに提供する。これにより、ユーザは、常にタスクリストをチェックし且つ行なう全てのタスクを確認する必要がなくなる。更に、タスクを忘れる可能性も低減する。
【0096】
これは、それ程緊急ではないが最終的には行なう必要があるタスクに対して特に有用である。そのようなタスクは、殆どのユーザが忘れてしまい、機会を逃した時に行なわなければいけなかったことに気付く傾向にあるタスクである。
【0097】
本明細書で説明する実施形態によると、直線距離に基づくのではなく推定移動時間又は推定移動距離等の推定移動パラメータに基づいて、通告信号は生成され且つ通告がユーザに与えられる。これにより、タスクを完了するのにかかる時間の正確な予測を含む通告をユーザに提供する。通告が直線距離に基づいて提供される場合、ユーザはタスクを完了するのにかかる時間に関する知識を有さない。ユーザが運転している幹線道路がショッピングセンターへの直接の出口を有さない場合、幹線道路から500mの距離にあるショッピングセンターまで、30分又は40km運転する必要がある可能性がある。本明細書で説明する実施形態によると、この例において通告信号は生成されない。あるいは、通告信号が生成される(閾値に依存して)場合は、ユーザは推定移動時間又は距離に関する正確な情報を与えられる。
【0098】
本明細書で説明する実施形態がタスクの完了に関連する場所までの(最適な)ルートを算出するため、ナビゲーション装置10は現在の交通状況等を考慮してもよい。従って、現在の場所とタスクが完了される場所との間のルートで交通渋滞がある場合には、ユーザにタスクを完了するための通告を与えられないようにすることができる。
【0099】
更に本明細書で説明する実施形態によると、ユーザは、住所又はPOIカテゴリ等のいくつかの種類の位置指標をタスクリストに格納するオプションを提供される。完了されるべきタスクと関連付けられるPOIカテゴリを格納するオプションを提供することにより、ユーザは、タスクが完了される場所を厳密に特定する必要がない。プレゼントを購入する場合、ユーザは適切なプレゼントを購入できるPOIの種類を特定することのみが必要となる。
【0100】
実施形態2
更なる実施形態によると、タスクリストは図5に従って提供される。図5において、位置指標はPOIカテゴリである。
【0101】
住所の代わりにPOIカテゴリを位置指標として使用することにより、有利な実施形態が提供されることが明らかである。そのような一実施形態によると、ユーザは、タスクが完了される厳密な住所を特定する必要がない。以下に更に詳細に説明するように、ナビゲーション装置10は、タスクを完了できる関連するPOIを探索する機能性を備える。また、そのPOIは現在の位置から特定の範囲R’内にある等の所定の基準を満たす。
【0102】
図6は、本実施形態にかかるナビゲーション装置10により実行され得る動作を概略的に示すフローチャートである。メモリ12、13、14、15は、図6に提示される動作を実行するようにプロセッサユニット11に命令する、プロセッサユニット11により読み出し可能であり且つ実行可能であるプログラミング命令を含んでもよい。
【0103】
第1の動作200において、プロセッサユニット11はフローチャートの実行を開始する。動作200はユーザによりトリガされてもよく、実行を開始するようにナビゲーション装置10に命令する。しかし、ナビゲーション装置10は、例えば電源が投入された時に自動的に開始するようにプログラムされてもよい。
【0104】
次の動作201において、プロセッサユニット11は、上述のように、例えばナビゲーション装置10の位置に関する情報を提供するGPS受信機等の位置測定装置23から位置データを受信することにより、ナビゲーション装置10の現在の位置を判定する。プロセッサユニット11は、位置測定を実行するように位置測定装置23に命令してもよいが、位置測定装置が位置測定を継続的に実行するように構成されてもよい。後者の場合、プロセッサユニット11は、単純に最新の利用可能な位置測定値を使用してもよい。
【0105】
次の動作202において、ナビゲーション装置10は、メモリ12、13、14、15に格納されたタスクリストからPOIカテゴリである、第1の位置指標を検索する。
【0106】
次の動作203において、動作201で判定された現在の位置に最近接する関連するPOIが探索される。当業者には理解されるように、これはいくつかの方法で行なわれ得る。例えば、特定の半径Rの円を現在の位置の周囲に作成し、半径Rの円内の全ての関連するPOIを探索することにより行なわれてもよい。2つ以上のPOIが見つけられた場合、半径が縮小され(例えば、R2 = R1/2)、POIが見つけられなかった場合、半径Rは拡大される(例えば、R2= 3*R1/2)。円の拡大及び縮小の反復処理は、単一のPOIが見つけられるまで行なわれてもよい。そのPOIは、最近接するPOIと考えられる。
【0107】
1つ又はいくつかの最近接するPOIが判定されると、現在の位置からそのPOIまでの距離が判定される。この距離は、「直線」距離(この場合、1つのPOIを選択することで十分である)であってもよいが、推定移動距離(実施形態1a及び1bを参照して上述したように算出されてもよい)であってもよい。
【0108】
その後、動作204で、判定された現在の位置から最近接する関連するPOIまでの距離は、例えば10kmである所定の距離閾値Rthと比較される。距離閾値Rthは、メモリ12、13、14、15に格納された一般的な閾値Rthであってもよいが、タスク別閾値Rth,1、Rth,2、...であってもよい。
【0109】
距離が閾値Rthより大きい場合、通告信号は生成されず、通告はユーザに与えられない。距離が閾値Rth以下である場合、通告信号は生成され、通告はユーザに与えられる。これは動作205において判定される。
【0110】
最後に動作202に戻り、タスクリストから次の位置指標を検索する。一実施形態によると、通告信号が生成されない場合又はユーザが通告を無視した場合にのみ動作202に戻るようにしてもよい。これにより、同時に2つ以上の通告がユーザに提示されるのを防止する。
【0111】
一実施形態によると、動作202ではなく動作201に戻り、最新の現在の位置を判定してもよい。動作201及び動作202は、逆の順番で実行されてもよいことが理解されるだろう。すなわち、最初に動作202が実行され、その後動作201が実行されてもよい。
【0112】
この第2の実施形態の変形例によると、当然、ナビゲーション装置10は、最近接する関連するPOIを選択せずに最短の移動時間内に到達できる関連するPOIを選択してもよい。これは、図4aに関して説明された動作100、101、102、105、106、107及び108を含む処理により行なわれ得る。
【0113】
利点
実施形態において説明されたナビゲーション装置10は、ユーザがタスクを実行可能な場所の近くにいる時にタスクリマインダをユーザに提供する。これにより、ユーザは、常にタスクリストをチェックし且つ行なう全てのタスクを確認する必要がなくなる。更に、タスクを忘れる可能性も低減する。
【0114】
これは、それ程緊急ではないが最終的には行なう必要があるタスクに対して特に有用である。そのようなタスクは、殆どのユーザが忘れてしまい、機会を逃した時に行なわなければいけなかったことに気付く傾向にあるタスクである。
【0115】
本明細書で説明した実施形態によると、ユーザは位置指標としてPOIカテゴリを格納するオプションを提供される。完了されるべきタスクと関連付けられるPOIカテゴリを格納するオプションを提供することにより、ユーザは、タスクが完了される場所を厳密に特定する必要がなくなる。例えば、プレゼントを購入する場合、ユーザは適切なプレゼントを購入できるPOIの種類のみを特定すればよい。
【0116】
実施形態3
更なる実施形態によると、ナビゲーション装置10は、計画ルートに関する情報を使用して、計画ルートに沿って完了できるタスクをユーザに通知するように更に構成されてもよい。従って、ナビゲーション装置10により判定されるような計画ルートは、メモリ12、13、14、15に格納されたタスクリストの位置指標と比較されてもよい。これは、例えば100m間隔で離間されたルートに沿う後続する位置を位置指標と比較することにより行なわれてもよい。
【0117】
図7は、そのような一実施形態に係るフローチャートを示す。このフローチャートは、動作101が動作101.1で置換されること以外は図4aに示すフローチャートと同様である。このフローチャートによると、動作101.1において、ナビゲーション装置10は、位置測定装置23から受信される情報に基づいて現在の位置を判定し且つ/又はナビゲーション装置10により計画されたルートに関する情報を受信する。これは、計画され且つメモリ12、13、14、15に格納されたルートであってもよい。当然、ルートは現在移動中のルートであってもよい。
【0118】
このように、ユーザはルートに沿って完了されるか又は目的地の近傍で完了されるタスクに関して通知される。本実施形態によると、ユーザは、事前に、すなわちユーザが位置指標に実際に接近する前に又はユーザが移動を開始する前にそれらタスクに関して通知されてもよい。
【0119】
当然、本実施形態は、例えば図4b(閾値が移動距離Dである)及び図6(位置指標がPOIカテゴリである)を参照して説明した他の実施形態と組み合わされてもよい。
【0120】
ユーザがある都市(例えば、Amsterdam)へのルートを計画している場合、ユーザにその都市で行なわれるイベントが通知されるようにしてもよい。例えばナビゲーション装置10は、ユーザがその都市に到着する前に特定のイベントをユーザに通知するメッセージを示してもよい。
【0121】
上述の実施形態はナビゲーション装置に限定されず、モバイルコンピュータシステム、ラップトップ、PDA又は移動電話等の任意の種類のコンピュータシステムに組み込まれてもよいことが理解されるだろう。実施形態は、ハンドヘルドコンピュータシステム、組込み車両ナビゲーション装置等の任意の種類のナビゲーション装置10に組み込まれてもよい。
【0122】
上述したように、ナビゲーション装置10はディスプレイ18を有さないナビゲーション装置10であってもよい。そのようなナビゲーション装置10は、例えば視覚障害者により使用されてもよい。ナビゲーション装置10のすぐ近くのPOIを通知されることは、そのようなユーザにとって大きな利点であろう。
【0123】
本発明の特定の実施形態を上述したが、本発明が上述以外の方法で実施されてもよいことが理解されるだろう。例えば本発明は、上述のような方法を記述する機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム又はそのようなコンピュータプログラムを格納するデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク又は光ディスク)の形態であってもよい。全てのソフトウェアコンポーネントがハードウェアコンポーネントとして形成されてもよいことは、当業者には理解されるだろう。
【0124】
上記説明は例示することを意図しており、限定することを意図しない。従って、以下に示す請求の範囲から逸脱せずに、上述した本発明に対して変更が行なわれてもよいことは当業者には明らかだろう。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】ナビゲーション装置を概略的に示す概略ブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置を概略的に示す概略図である。
【図3】一実施形態に係るタスクリストを概略的に示す図である。
【図4a】種々の実施形態を概略的に示すフローチャートである。
【図4b】種々の実施形態を概略的に示すフローチャートである。
【図5】一実施形態に係るタスクリストを概略的に示す図である。
【図6】一実施形態に係る動作を概略的に示すフローチャートである。
【図7】更なる実施形態に係る動作を概略的に示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ(12、13、14、15)及び位置測定装置(23)と通信するように構成されるプロセッサユニット(11)を具備するコンピュータシステムであり、
前記メモリ(12、13、14、15)が地図データベース及びタスクリストを含むように構成され、前記タスクリストが少なくとも1つのタスクを含むように構成され、前記少なくとも1つのタスクのうち少なくとも1つが関連付けられた位置指標を有し、
前記位置測定装置(23)が位置に関する情報を提供するように構成されるコンピュータシステムであって、
a)前記地図データベースを使用して、前記位置測定装置(23)により測定される現在の位置から前記少なくとも1つのタスクのうちの1つと関連付けられた位置指標までの推定移動パラメータを算出し、
b)前記推定移動パラメータを所定の閾値と比較し、
c)前記推定移動パラメータが前記所定の閾値より小さい場合に通告信号を生成するように構成されることを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
前記地図データベースは住所情報及び地点情報を含み、前記地点情報はPOIカテゴリに分類され、各位置指標は住所及び地点情報(POI)カテゴリのうちの一つである請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
タスクに関連付けられた前記位置指標がPOIカテゴリである場合、前記コンピュータシステムは、前記a)を、
a1)POI選択アルゴリズムを使用して前記POIカテゴリから前記地図データベースの複数のPOIを選択し、
a2)前記現在の位置から前記選択したPOIの各々までの推定移動パラメータを算出し、
a3)前記複数のPOIから最小の推定移動パラメータを有するPOIを選択すること、により実行するように構成される請求項2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
ナビゲーションソフトウェアを使用して前記現在の位置から前記位置指標までのルートを算出することにより、前記推定移動パラメータが算出される請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記推定移動パラメータは、最短ルート、最速ルート等の所定の基準に従って算出される請求項4に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記推定移動パラメータは、現在の交通情報を考慮して算出される請求項4又は5に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのタスクの各々は関連付けられた閾値(T、D)を有し、前記b)は前記関連するタスクと関連付けられた前記所定の閾値と前記推定移動パラメータとを比較することにより実行される請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
各タスクは関連付けられた時間を有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
前記所定の閾値は変動する請求項1乃至8のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項10】
前記所定の閾値は、前記タスクと関連付けられた時間に依存して変動する請求項8に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
前記推定移動パラメータは、推定移動時間及び推定移動距離のうちの一つである請求項1乃至10のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項12】
前記所定の閾値は、時間閾値(T)及び距離閾値(D)のうちの一つである請求項1乃至11のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項13】
前記通告信号は、スピーカ(29)を使用して提供される音響通告信号又は音声通告メッセージ等である請求項1乃至12のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
前記通告信号は、ディスプレイ(18)に表示される通告アイコンである請求項1乃至13のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
前記通告アイコンは、押下された時にナビゲーション命令を提供して前記関連する位置指標までユーザをナビゲートするように前記コンピュータシステムをトリガする仮想ボタンである請求項14に記載のコンピュータシステム。
【請求項16】
前記コンピュータシステムは、ナビゲーション装置(10)、移動電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップのうちのいずれか1つである請求項1乃至15のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
前記コンピュータシステムは、タスクの完了を登録するように構成される請求項1乃至16のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項18】
前記コンピュータシステムはナビゲーション装置である請求項1乃至17のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載のコンピュータシステムを具備する車両。
【請求項20】
・タスクリストが少なくとも1つのタスクを含むように構成され、前記少なくとも1つのタスクのうち少なくとも1つが関連付けられた位置指標を有する場合に、地図データベース及び前記タスクリストを提供することと、
・位置に関する情報を提供するように構成される位置測定装置(23)を提供することとを有する方法であって、
a)前記地図データベースを使用して、前記位置測定装置(23)により測定される現在の位置から前記少なくとも1つのタスクのうちの1つと関連付けられた位置指標までの推定移動パラメータを算出することと、
b)前記推定移動パラメータを所定の閾値と比較することと、
c)前記推定移動パラメータが前記所定の閾値より小さい場合に通告信号を生成することとを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
コンピュータ構成にロードされたときに請求項20記載の方法を実行するように構成されるコンピュータプログラム。
【請求項22】
請求項21記載のコンピュータプログラムを含むデータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−533693(P2009−533693A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506430(P2009−506430)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/NL2006/050147
【国際公開番号】WO2008/002127
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
2.ウィンドウズ
3.Bluetooth
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】