説明

ターボチャージャ制御装置

【課題】 触媒コンバータの暖機効率を向上させることができるターボチャージャ制御装置を提供する。
【解決手段】 触媒コンバータ5の暖機必要時に、ターボチャージャECU20及びクラッチコントローラ24がターボチャージャ2の電磁クラッチ2Dを遮断操作してタービン2Aとコンプレッサ2Bとを遮断状態にする。したがって、コンプレッサ2Bが非駆動状態となって吸入管4の吸入空気量が減少し、これに伴い排気管3の排気量が減少して排気熱エネルギが増大する。また、タービン2Aがコンプレッサ2Bを駆動しない状態となり、タービン2Aによる排気熱エネルギの消費が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ターボチャージャ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ターボチャージャと触媒コンバータとを備えるエンジンが知られている(下記特許文献1参照)。ターボチャージャは、エンジン排気系の排気エネルギを利用してタービンを回転させ、その動力によりコンプレッサを駆動し、吸入空気を圧縮してエンジンに過給する。一方、触媒コンバータは、通常、エンジン排気系のタービンの下流側に配設されて排気を浄化する。
【0003】
ここで、触媒コンバータは、その触媒の温度が所定の温度以上でないと触媒が活性化せず、有効に機能しない。そのため、触媒コンバータを有効に機能させるには、排気の熱エネルギなどにより触媒の温度を所定の活性温度まで上げる必要がある。しかし、排気熱エネルギはターボチャージャを駆動させるためにも利用される。したがって、触媒の温度を短時間で所定の活性温度まで上昇させるためには、排気熱エネルギを触媒コンバータに効率よく付与する必要がある。この点に関し、触媒の温度を測定し、その測定結果に基づいて、ターボチャージャに設けられた発電機の発電量を制御するエンジン制御装置が下記特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2004−340122号公報
【特許文献2】特開2004−143997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2に記載のターボチャージャにおいて、タービンに回転軸を介して連結されているコンプレッサは、上述した発電機の制御に関係なく回転し続ける。そして、コンプレッサが高速で回転すると、エンジン吸入系の吸入空気量が増大し、これに伴いエンジン排気系の排気量が増大するため、触媒コンバータを暖機するための排気の温度が低下する。したがって、触媒コンバータが有効に機能し得る所定の温度まで触媒の温度を上昇させるためには一定以上の時間を要し、触媒コンバータを短時間で効率的に暖機することができない。
【0005】
そこで、本発明は、触媒コンバータの暖機効率を向上させることができるターボチャージャ制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のターボチャージャ制御装置は、エンジンの排気系に配設された触媒コンバータの上流側にタービンが配置されるターボチャージャの制御装置であって、ターボチャージャは、タービンの動力をコンプレッサに可変に伝達可能な可変伝達手段を有し、触媒コンバータの暖機必要時に可変伝達手段を操作してタービンからコンプレッサへの動力伝達を遮断可能な制御手段を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のターボチャージャ制御装置では、触媒コンバータの暖機必要時に、制御手段がターボチャージャの可変伝達手段を操作してタービンからコンプレッサへの動力伝達を遮断することが可能である。したがって、コンプレッサを非駆動状態とすることによりエンジン吸入系の吸入空気量が減少し、これに伴いエンジン排気系の排気量が減少して単位ガス流量当たりの排気熱エネルギが増大し、排気ガス温度も上昇する。また、タービンがコンプレッサを駆動しない状態とすることで、タービンによる排気熱エネルギの消費が抑制される。その結果、触媒コンバータの暖機必要時には十分なガス温度を有する排気ガスが触媒コンバータに供給され、触媒コンバータの暖機効率が向上する。
【0008】
本発明のターボチャージャ制御装置において、可変伝達手段は、タービンとコンプレッサとを接続状態と遮断状態とに切り替え可能なクラッチで構成されていることが好ましい。
【0009】
この場合、触媒コンバータの暖機必要時にクラッチを遮断することにより、コンプレッサが非駆動状態となり、上述のように排気ガス温度を上昇させることができる。また、クラッチを遮断してコンプレッサを非駆動状態とすることで、タービンによる排気熱エネルギの消費が抑制される。
【0010】
本発明のターボチャージャ制御装置において、制御手段は、触媒コンバータの暖機必要時にクラッチを徐々に遮断するのが好ましい。
【0011】
この場合、制御手段がクラッチを徐々に遮断することにより、タービンとコンプレッサとが徐々に遮断状態に移行する。したがって、コンプレッサの回転は徐々に低下し、これに伴いエンジン吸入系の吸入空気量が徐々に減少する。その結果、エンジンは、吸入空気量の急激な変化が抑制されて燃焼状態が安定する。
【0012】
本発明のターボチャージャ制御装置においては、ターボチャージャがタービンを駆動可能なアシストモータを有し、制御手段が触媒コンバータの暖機必要時に排気エネルギの損失を低減させるようにアシストモータの回転を制御するように構成することが好ましい。
【0013】
この場合、触媒コンバータの暖機必要時に、制御手段が排気エネルギの損失を低減させるようにアシストモータの回転を制御する。例えば、タービンの上流側と下流側の排気の圧力差が減少するように制御手段がアシストモータの回転を制御してタービンを回転駆動する。その結果、タービンによる排気エネルギの消費が更に抑制される。
【0014】
本発明のターボチャージャ制御装置においては、ターボチャージャがタービン側に可変ノズルを有し、制御手段が触媒コンバータの暖機必要時に可変ノズルを全開状態に制御するように構成することが好ましい。
【0015】
この場合、触媒コンバータの暖機必要時に、制御手段が可変ノズルを全開状態に制御する。したがって、タービンの上流側と下流側の排気の圧力差が可能な限り低減され、タービン通過時の排気の流速が低下してタービンの回転が低下する。その結果、タービンによる排気エネルギの消費が更に抑制される。
【0016】
本発明のターボチャージャ制御装置においては、制御手段が触媒コンバータの温度を検出する温度センサの検出信号に基づいて触媒コンバータの暖機必要時を判断するのが好ましい。この場合、触媒コンバータの暖機必要時を確実に判定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るターボチャージャ制御装置によれば、触媒コンバータの暖機必要時にクラッチが遮断操作されてタービンとコンプレッサとが遮断状態に切り替えられる。その結果、エンジンの吸入空気量が減少して排気量が減少して単位ガス流量当たりの排気熱エネルギが増大し、排気ガス温度も上昇する。また、タービンによる排気熱エネルギの消費が抑制される。したがって、触媒コンバータの暖機効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明に係るターボチャージャ制御装置の最良の実施形態を説明する。この説明において、同一又は同様の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。ここで、添付図面の図1は一実施形態にかかるターボチャージャ制御装置の概略構成を示す模式図、図2は一実施形態に係るターボチャージャ制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【0019】
一実施形態に係るターボチャージャ制御装置は、例えば図1に示すような燃料噴射式のエンジン1に付設されるターボチャージャ2の制御装置である。このターボチャージャ2は、エンジン1の排気マニホールド1Aに接続された排気管3の途中に設置されるタービン2Aと、エンジン1の吸入マニホールド1Bに接続された吸入管4の途中に設置されるコンプレッサ2Bと、タービン2Aの回転をコンプレッサ2Bに伝達するシャフト2Cとを備えている。
【0020】
ここで、ターボチャージャ2のシャフト2Cには、タービン2Aとコンプレッサ2Bとを接続状態と遮断状態とに切り替え可能な電磁クラッチ2Dが介設されている。この電磁クラッチ2Dは可変伝達手段として機能する。そして、この電磁クラッチ2Dよりタービン2A側のシャフト2Cをロータとしてタービン2Aを直接駆動可能なアシストモータ2Eがターボチャージャ2に内蔵されている。
【0021】
また、ターボチャージャ2のタービン2Aの入り口側には、エンジン1の排気マニホールド1Aから排気管3を介して流入する排気の流速(圧力)を可変に調節するための一群の可変ベーン2Fが内蔵されている。そしてターボチャージャ2のタービン2Aより下流側の排気管3の途中には、排気を浄化する触媒を内蔵した触媒コンバータ5が設置されている。
【0022】
一方、ターボチャージャ2のコンプレッサ2Bより上流側の吸入管4の途中には、吸入空気量を検出するエアフローメータ6が設置されている。また、ターボチャージャ2のコンプレッサ2Bより下流側の吸入管4の途中には、コンプレッサ2Bにより圧縮されて昇温した吸入気体を冷却するインタークーラ7が設置され、その下流側にはスロットルバルブ8が設置されている。
【0023】
そして、吸入管4におけるインタークーラ7の下流側の部分とコンプレッサ2Bの上流側の部分との間には、バイパス開閉弁9を備えたバイパス管10が接続されている。このバイパス管10は、バイパス開閉弁9が開くと、インタークーラ7の下流側の高圧空気をコンプレッサ2Bの上流側へ戻すことにより、ターボチャージャ2のサージ現象を回避する。
【0024】
ここで、一実施形態のターボチャージャ制御装置は、前述したターボチャージャ2の電磁クラッチ2D、アシストモータ2E及び可変ベーン2Fの作動を協調制御するターボチャージャECU(Electronic Control Unit)20を制御手段として備えている。このターボチャージャECU20は、入出力インタフェースI/O、A/Dコンバータ、プログラム及びデータを記憶したROM(Read Only Memory)、入力データ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などを備えて構成されている。
【0025】
ターボチャージャECU20は、温度センサ21、上流側圧力センサ22及び下流側圧力センサ23からそれぞれ入力される検出信号に基づき、クラッチコントローラ24、モータコントローラ25及び可変ノズルコントローラ26に所定の制御信号を出力する。
【0026】
温度センサ21は、触媒コンバータ5に内蔵された触媒の温度を間接的に検出するように触媒コンバータ5に付設されている。この温度センサ21は、検出した触媒コンバータ5の温度Tの信号をターボチャージャECU20に出力する。
【0027】
上流側圧力センサ22は、ターボチャージャ2の可変ベーン2Fより上流側の排気流入部又は排気管3に設置されている。この上流側圧力センサ22は、検出した上流側の排気圧力Pの信号をターボチャージャECU20に出力する。
【0028】
一方、下流側圧力センサ23は、ターボチャージャ2のタービン2Aより下流側の排気流出部又は触媒コンバータ5との間の排気管3に設置されている。この下流側圧力センサ23は、検出した下流側の排気圧力Pの信号をターボチャージャECU20に出力する。
【0029】
クラッチコントローラ24は、ターボチャージャECU20から制御信号としてのON信号が入力されると、電磁クラッチ2Dに所定の制御電流を供給して電磁クラッチ2Dを接続させる。また、ターボチャージャECU20から制御信号としてのOFF信号が入力されると、電磁クラッチ2Dに供給する制御電流を遮断して電磁クラッチ2Dを遮断させる。
【0030】
モータコントローラ25は、ターボチャージャECU20から制御信号としての回転数信号すなわちNt信号が入力されると、アシストモータ2Eに所定の制御電流を供給してアシストモータ2Eの回転数を制御する。
【0031】
可変ノズルコントローラ26は、ターボチャージャECU20から制御信号としての開度信号が入力されると、一群の可変ベーン2Fを開閉操作するアクチュエータ(図示せず)に所定の制御電流を供給して一群の可変ベーン2Fの開度を所定の開度に制御する。すなわち、可変ノズルコントローラ26は、ターボチャージャECU20から全開信号が入力されると、一群の可変ベーン2Fの開度を全開に制御する。
【0032】
ここで、ターボチャージャECU20は、前述したターボチャージャ2の電磁クラッチ2D、アシストモータ2E及び可変ベーン2Fの作動を協調制御する。以下、ターボチャージャECU20が実行する協調制御の処理手順を図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0033】
まず、ステップS1では温度センサ21から入力される触媒コンバータ5の温度Tの検出信号に基づき、触媒コンバータ5が暖機必要時であるか否かをターボチャージャECU20が判定する。この判定は、触媒の活性温度に対応した触媒コンバータ5の温度として予めROMなどに記憶されている基準温度を参照して行う。
【0034】
ステップS1の判定は、YESとなるまで繰り返される。そして、ステップS1の判定結果がYESとなると、次のステップS2でターボチャージャECU20がクラッチコントローラ24にOFF信号を出力する。これにより、クラッチコントローラ24が電磁クラッチ2Dを遮断させる。
【0035】
続くステップS3では、ターボチャージャECU20が可変ノズルコントローラ26に全開信号を出力する。これにより、可変ノズルコントローラ26が一群の可変ベーン2Fの開度を全開に制御する。
【0036】
次のステップS4では、上流側圧力センサ22から入力される上流側の排気圧力Pの信号及び下流側圧力センサ23から入力される下流側の排気圧力Pの信号に基づき、上流側の排気圧力Pが下流側の排気圧力P程度まで低下するようにターボチャージャECU20がモータコントローラ25に所定の回転数信号であるNt信号を出力する。これにより、上流側の排気圧力Pが下流側の排気圧力P程度まで低下するようにモータコントローラ25がアシストモータ2Eの回転数をフィードバック制御する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、触媒コンバータ5の暖機必要時に、ターボチャージャECU20がOFF信号をクラッチコントローラ24に出力する。そして、クラッチコントローラ24がそのOFF信号に基づいて電磁クラッチ2Dを遮断操作し、タービン2Aとコンプレッサ2Bとを遮断状態にする。したがって、コンプレッサ2Bが非駆動状態となってエンジン1の吸入管4の吸入空気量が減少し、これに伴いエンジン1の排気管3の排気量が減少して単位ガス流量当たりの排気熱エネルギが増大し、排気ガス温度も上昇する。また、タービン2Aがコンプレッサ2Bを駆動しない状態となり、タービン2Aによる排気エネルギの消費が抑制される。その結果、触媒コンバータ5の暖機必要時には十分なガス温度を有する排気ガスが触媒コンバータ5に供給され、触媒コンバータ5の暖機効率が向上する。
【0038】
また、本実施形態によれば、触媒コンバータ5の暖機必要時に、ターボチャージャECU20が排気熱エネルギの損失を低減させるようにアシストモータ2Eの回転を制御する。具体的には、上流側の排気圧力Pが下流側の排気圧力P程度まで低下するようにターボチャージャECU20がモータコントローラ25に上述のNt信号を出力する。そして、モータコントローラ25がそのNt信号に基づいてアシストモータ2Eの回転を制御してタービン2Aを回転駆動する。その結果、タービン2Aによる排気エネルギの消費が更に抑制される。
【0039】
この効果について図3及び図4を用いて説明する。図3は、タービン2Aの上流側の排気圧力Pと下流側の排気圧力Pとの排気圧力差(P−P)を横軸とし、タービン2Aが消費する排気熱エネルギを縦軸として両者の相関を示すグラフである。図4は、タービン2Aの回転数とタービン2Aが消費する排気熱エネルギとの相関を示すグラフである。
【0040】
図3において、排気圧力差(P−P)が大きい状態とは、排気ガスの流れに対してタービン2Aが大きな抵抗となっている状態である。このとき排気ガスはタービン2Aを回そうとするため、大量の排気熱エネルギが消費されてしまう。これに対し、アシストモータ2Eを駆動してこの排気圧力差(P−P)を0に近づければ、すなわち排気ガスの流れに対してタービン2Aがなるべく抵抗とならないようにすれば、排気ガスがタービン2Aに与える仕事が減り、排気熱エネルギの消費を抑制できる。したがって、図4に示すように、タービン2Aの回転数が排気圧力差(P−P)を0に近づけ得るタービン回転数Nt_trgまで上昇するようにアシストモータ2Eを駆動すれば、タービン2Aによる排気熱エネルギの消費を更に抑えることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、触媒コンバータ5の暖機必要時に、ターボチャージャECU20が全開信号を可変ノズルコントローラ26に出力する。そして、可変ノズルコントローラ26がその全開信号に基づいて可変ベーン2Fを全開状態に制御する。したがって、上流側圧力センサ22が検出した圧力Pと下流側圧力センサ23が検出した圧力Pとの排気圧力差(P−P)が可能な限り低減され、タービン2A通過時の排気の流速が低下してタービンの回転が低下する。その結果、タービン2Aによる排気エネルギの消費が更に抑制される。
【0042】
また、本実施形態によれば、温度センサ21が触媒コンバータ5の温度を検出するので、触媒コンバータ5の暖機必要時を確実に判定することができる。
【0043】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0044】
本実施形態では、可変伝達手段として電磁クラッチ2Dを用いたが、可変伝達手段はこの形態に限られない。例えば、電磁クラッチに代えてギヤ機構を可変伝達手段として構成してもよい。
【0045】
本実施形態では、電磁クラッチ2Dの切り替え操作は、タービン2Aとコンプレッサ2Bとを単に接続状態と遮断状態とに切り替えるように行われたが、クラッチの切り替え操作はこの形態に限られない。例えば、電磁クラッチとして滑り制御が可能なものを用いて、タービン2Aとコンプレッサ2Bとを徐々に遮断し、また接続してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、触媒コンバータ5の暖機必要時に、電磁クラッチ2Dを遮断操作し、更に、アシストモータ2E及び可変ベーン2Fを制御しているが、触媒コンバータ5の暖機必要時に行う制御はこの形態に限られない。例えば、電磁クラッチ2Dを遮断操作することに加えてアシストモータ2Eの制御及び可変ベーン2Fの制御のうちどちらか一方のみを行ってもよい。また、電磁クラッチ2Dの遮断操作のみを行ってもよい。もちろん、電磁クラッチ2Dの遮断操作に加えてアシストモータ2Eの制御及び可変ベーン2Fの制御の双方を行えば、排気エネルギの損失がより低減され、触媒コンバータ5の暖機効率をより向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、タービン2Aの上流側及び下流側の排気圧力P、Pに基づいてターボチャージャECU20がNt信号を出力したが、Nt信号の出力はこの形態に限られない。例えば、図5に示すような、エンジン冷却水の水温とアシストモータ2Eの回転数との相関を示すグラフに基づいてNt信号を出力してもよい。すなわち、水温が低ければエンジン1の回転数も低いため、アシストモータ2Eを駆動してタービン2Aの回転数を上げる必要があるが、水温が高ければエンジン1の回転数も上昇しているため、アシストモータ2Eのアシスト量を下げてよい。また、オイルポンプやオイルパンなどで構成される潤滑系(図示せず)内の潤滑油の油温とアシストモータ2Eの回転数との相関も図5のようなグラフで表される。したがって、水温に基づく制御と同様に、油温に基づいてNt信号を出力してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るターボチャージャ制御装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示したターボチャージャECUによる協調制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図1に示したタービンが消費する排気熱エネルギとタービンの上流側及び下流側の排気圧力差(P−P)との相関を示すグラフである。
【図4】図1に示したタービンの回転数とタービンが消費する排気熱エネルギとの相関を示すグラフである。
【図5】図1に示したアシストモータの回転数とエンジン冷却水の水温(潤滑油の油温)との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
【0049】
2…ターボチャージャ、2A…タービン、2B…コンプレッサ、2D…電磁クラッチ、2E…アシストモータ、2F…可変ベーン、5…触媒コンバータ、20…ターボチャージャECU、21…温度センサ、22…上流側圧力センサ、23…下流側圧力センサ、24…クラッチコントローラ、25…モータコントローラ、26…可変ノズルコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気系に配設された触媒コンバータの上流側にタービンが配置されるターボチャージャの制御装置であって、
前記ターボチャージャは、前記タービンの動力をコンプレッサに可変に伝達可能な可変伝達手段を有し、
前記触媒コンバータの暖機必要時に前記可変伝達手段を操作して前記タービンから前記コンプレッサへの動力伝達を遮断可能な制御手段を備えることを特徴とするターボチャージャ制御装置。
【請求項2】
前記可変伝達手段が前記タービンと前記コンプレッサとを接続状態と遮断状態とに切り替え可能なクラッチで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャ制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記触媒コンバータの暖機必要時に前記クラッチを徐々に遮断することを特徴とする請求項2に記載のターボチャージャ制御装置。
【請求項4】
前記ターボチャージャは、前記タービンを駆動可能なアシストモータを有し、
前記制御手段は、前記触媒コンバータの暖機必要時に排気エネルギの損失を低減させるように前記アシストモータの回転を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のターボチャージャ制御装置。
【請求項5】
前記ターボチャージャは、前記タービン側に可変ノズルを有し、
前記制御手段は、前記触媒コンバータの暖機必要時に前記可変ノズルを全開状態に制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のターボチャージャ制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記触媒コンバータの温度を検出する温度センサの検出信号に基づいて前記触媒コンバータの暖機必要時を判断すること特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のターボチャージャ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−270731(P2007−270731A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97669(P2006−97669)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】