説明

ダイ取付接着材における接着及び導電促進剤としてのキノリノール類及びキノリノール誘導体の金属塩

【課題】接着促進剤及び導電促進剤としてのキノリノール誘導体の金属塩を含有するダイ取付接着材を提供すること。
【解決手段】本発明のダイ取付組成物は、接着性及び/又は導電性促進剤として8−キノリノール誘導体の金属塩を添加することによって、改善された接着性及び導電性を示す。8−キノリノール誘導体の金属塩は、Cu、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Yt、La、Pb、Sb、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Ce及びPrからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着促進剤及び導電促進剤としてのキノリノール類及びキノリノール誘導体の金属塩を含有するダイ取付接着材(die attach adhesive)に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの製作組立において、集積回路チップ又はダイを接着材やワイヤーボンディングでリードフレームへ取付させ、そしてそのダイ及び内部リードフレーム集成体を成形樹脂中に封入する。封入後、リードフレームの外部リードを印刷回路板又は他の外部装置へ取付させる。リードフレーム又は印刷配線板上のどの露出金属表面、特に銅表面も空気にさらされて酸化され、従って規定通りに抗酸化剤で被覆されている。しかし、酸化防止剤が存在すると、半導体パッケージの製造及びそれを印刷回路板へ取付させる場合、ダイ取付、ワイヤーボンディング、封入及び最終半田付け作業中のボンディング工程が妨げられるのではないかと疑われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は硬化性樹脂、場合によって該樹脂用硬化剤、充填剤及び8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体の金属塩を含有するダイ取付接着材組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は硬化性樹脂、場合によって該樹脂用硬化剤、充填剤及び8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体の金属塩を含有するダイ取付接着材組成物である。これらの組成物においてこの8−キノリノール類又は8−キノリノール誘導体[以下8−キノリノール(類)の金属塩又は8−キノリノール金属塩]は接着促進剤及び導電促進剤として作用する。本明細書において用いられる「接着促進剤及び導電促進剤」及び「接着促進剤又は導電促進剤」の記載はそれぞれ「接着促進剤及び/又は導電促進剤」を意味する。本明細書において用いられる用語「8−キノリノール」は「8−ヒドロキシキノリン」と同意語である。代表的なキノリノール塩を以下に示す。
【0005】
【化1】

【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の接着及び導電促進剤は、8−キノリノール化合物又は8−キノリノール部分を含む化合物を意味する8−キノリノールから誘導された化合物(以下キノリノール誘導体)の金属塩である。金属に配位して金属塩を形成するための好適なキノリノール化合物は、例えば、次のものである。
【0007】
【化2】

【0008】
金属に配位して金属塩を形成するための8−キノリノール誘導体としては、例えば、次のビスキノリノール構造:
【0009】
【化3】

【0010】
有するものである。このビスキノリノールはヒドロキシ官能基化キノリノールと選択された二塩基酸とのフィッシャーエステル化による反応で製造することができる。キノリノール官能基間の橋かけの性質は該酸の構造により決まる。融点及び溶解性等の物性はその適正な二塩基酸を選択することにより制御することができる。
【0011】
この反応はここに示す反応スキームにより例示することができる。そのスキーム中、Rは任意の有機部分である。
【0012】
【化4】

【0013】
具体的な適当な化合物は、Rがアルキル基であり、特にペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチル基であるものを含む。他の化合物はRが芳香族基であるものを含む。
金属に配位して金属塩を形成するための他のキノリノール誘導体は、次の化合物で例示され、これらは重合性の官能基を含有し、硬化中に反応してダイ取付組成物となる。その結果、これらの化合物は揮発を免れ、そしてこれらを用いることで上昇した温度での空洞化が減少する。例として以下のものが挙げられる。
【0014】
【化5】

【0015】
上記化合物A、B及びCにおける反応性官能基はそれぞれアクリレート、スチレン系及びマレイミド官能基である。他の適当な反応性官能基は、エポキシ類、オキセタン類、ベンゾトリアゾール類、シンナミル化合物、スチレン系化合物及びビニルエーテル類である。
【0016】
これら及び類似の化合物は有機合成の分野の当業者の専門知識の範疇にあり、化合物A、B及びCに対する合成スキームをここに示す。
【0017】
【化6】

【0018】
当業者であれば、他の官能基を類似の反応によってこれらの化合物へ組込むことができることを理解するであろう。
キノリノール類の金属塩はAldrichから商業的に得られる。この他に、その塩は公知の合成方法、例えば、レビュー誌「“The Reactions of 8-Quinolinol” by J.P. Phillips in CHEMICAL REVIEWS, VOLUME 56, 1956, published for The American Chemical Society by the Williams & Wilkins Company, Baltimore, USA」に記載されている参考文献に開示されているものによって調製することができる。要するに、8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体の金属塩がCu、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Yt、La、Pb、Sb、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Ce及びPrからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される。いくつかの他の希土類金属も使用できる。
【0019】
ダイ取付組成物において、硬化性樹脂は10乃至99.5重量%の量で存在し;硬化剤は有効量で、一般的には30重量%までの量で存在し;充填剤が存在する場合は、90重量%までの量で存在し;そして金属塩接着及び導電促進剤は有効量で存在し、それは30重量%まで可能である。一般的な態様において、接着及び導電促進剤は低いレベルで存在し、より一般的には0.1乃至10重量%である。
【0020】
該組成物用の適当な硬化性樹脂類は熱硬化性及び熱可塑性重合体を含み、特にエポキシ、マレイミド(ビスマレイミドを含む)、アクリレート類及びメタクリレート類及びシアナートエステル類からなる群より選ばれる。他の有用な樹脂類は、ビニルエーテル類、ビニルシラン類、チオール-エン類、芳香族環に付いており、該芳香族環中の不飽和と共役している炭素-炭素二重結合を含有する樹脂類(シンナミル及びスチレン系出発化合物から誘導された化合物等)、フマレート類及びマレエート類を含む。
【0021】
他の典型的な重合体は、ポリアミド類、フェノキシ化合物、ベンゾオキサジン類、ポリベンゾオキサジン類、ポリエーテルスルホン類、ポリイミド類、ケイ素化オレフィン類、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリスチレン類、ポリカーボネート類、ポリプロピレン類、ポリ塩化ビニル類、ポリイソブチレン類、ポリアクリロニトリル類、ポリ酢酸ビニル類、ポリ2-ビニルピリジン類、シス-1,4-ポリイソプレン類、3,4-ポリクロロプレン類、ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド類、ポリエチレングリコール類、ポリホルムアルデヒド類、ポリアセトアルデヒド類、ポリβ-プロピオラクトン類、ポリ-10-デカノエート類、ポリエチレンテレフタレート類、ポリカプロラクタム類、ポリ-11-ウンデカノアミド類、ポリm-フェニレン-テレフタルアミド類、ポリテトラメチレン-m-ベンゼンスルホンアミド類、ポリエステルポリアリーレート類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリスルホン類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルイミド類、フッ素化ポリイミド類、ポリイミドシロキサン類、ポリイソインドロキナゾリンジオン類、ポリチオエーテルイミドポリフェニルキノキサリン類、ポリキニキサロン類(polyquinixalones)、イミド-アリールエーテルフェニルキノキサリン共重合体、ポリキノキサリン類、ポリベンゾイミダゾール類、ポリベンゾオキサゾール類、ポリノリボルネン類、ポリアリーレンエーテル類、ポリシラン類、パリレン類、ベンゾシクロブテン類、ヒドロキシルベンゾオキサゾール共重合体及びポリシルアリーレンシロキサン類を含む。
【0022】
適当なシアナートエステル類は、包括構造
【0023】
【化7】

【0024】
(式中、nは1以上であり、そしてXは炭化水素基である。)
を有するものを含む。典型的なXの実体は、以下に限定されないが、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールE、ビスフェノールO、フェノール又はクレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテル又はポリエステルである。商業的に入手可能なシアナートエステル材料は、Huntsman LLCから入手可能なAroCy L-10、AroCy XU366、AroCy XU371、AroCy XU378、XU71787.02L及びXU71787.07L; Lonza Group Limitedから入手可能なPrimaset PT30、Primaset PT30 S75、Primaset PT60、Primaset PT60S、Primaset BADCY、Primaset DA230S、Primaset MethylCy及びPrimaset LECY;Oakwood Products, Inc.から入手可能な2-アリルフェノールシアナートエステル、4-メトキシフェノールシアナートエステル、2,2-ビス(4-シアナトフェノール)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアナートエステル、ジアリルビスフェノールAシアナートエステル、4-フェニルフェノールシアナートエステル、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、4-クミルフェノールシアナートエステル、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロオクタンジオールジシアナートエステル及び4,4’-ビスフェノールシアナートエステルを含む。
【0025】
他の適当なシアナートエステル類は、構造
【0026】
【化8】

【0027】
[式中、R1乃至R4は独立して水素、炭素原子数1乃至10のアルキル、炭素原子数3乃至8のシクロアルキル、炭素原子数1乃至10のアルコキシ、ハロゲン、フェニル、フェノキシ及び部分的に或いは完全にフッ素化したアルキル又はアリール基(1例はフェニレン-1,3-ジシアナート)である。]
を有するシアナートエステル類;
構造
【0028】
【化9】

【0029】
(式中、R1乃至Rは独立して水素、炭素原子数1乃至10のアルキル、炭素原子数3乃至8のシクロアルキル、炭素原子数1乃至10のアルコキシ、ハロゲン、フェニル、フェノキシ及び部分的に或いは完全にフッ素化したアルキル又はアリール基である。)
を有するシアナートエステル類;
構造
【0030】
【化10】

【0031】
[式中、R1乃至Rは独立して水素、炭素原子数1乃至10のアルキル、炭素原子数3乃至8のシクロアルキル、炭素原子数1乃至10のアルコキシ、ハロゲン、フェニル、フェノキシ及び部分的に或いは完全にフッ素化したアルキル又はアリール基であり;Zは化学結合又はSO2、CF2、CH2、CHF、CHCH3、イソプロピル、ヘキサフルオロイソプロピル、炭素原子数1乃至10のアルキル、O、N=N、R8C=CR8 (式中、R8はH、炭素原子数1乃至10のアルキル又はアリール基)、R8COO、R8C=N、R8C=N-C(R8)=N、炭素原子数1乃至10のアルコキシ、S、Si(CH3)2又は次の構造
【0032】
【化11】

【0033】
の1種である(1例はVanticoからの商品名AroCy L-10を有する4,4’-エチリデンビスフェニレンシアナートである。)。]を有するシアナートエステル類;
構造
【0034】
【化12】

【0035】
{式中、R6は水素又は炭素数1乃至10のアルキルでありXは CH2又は次の構造
【0036】
【化13】

【0037】
[nは0乃至20の数であり(例としてVanticoからの商品であるXU366及びXU71787.07を含む。)]の1つである。}を有するシアナートエステル類;
構造:N≡C-O-R7-O-C≡Nを有するシアナートエステル類及び
構造:N≡C−O−R7(式中、R7は炭素原子数3乃至12の非芳香族炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖は任意に部分的に或いは完全にフッ素化さていてもよい。)を含む。
【0038】
適当なエポキシ樹脂類はビスフェノール、ナフタレン及び脂肪族系エポキシ類を含有する。商業的に入手可能な材料は、大日本インク化学株式会社から入手可能なビスフェノール系エポキシ樹脂類(Epiclon 830LVP、830CRP、835LV、850CRP);大日本インク化学株式会社から入手可能なナフタレン系エポキシ樹脂 (Epiclon HP4032);Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な脂肪族エポキシ樹脂類(Araldite CY179、184、192、175、179);Dow Corporationから入手可能な(Epoxy 1234、249、206)及びダイセル化学工業株式会社から入手可能な(EHPE-3150)を含む。
【0039】
他の適当なエポキシ樹脂類は、シクロ脂肪族エポキシ樹脂類、ビスフェノールA型エポキシ樹脂類、ビスフェノールF型エポキシ樹脂類、エポキシノボラック樹脂類、ビフェニル型エポキシ樹脂類、ナフタレン型エポキシ樹脂類、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂類を含む。
【0040】
適当なマレイミド樹脂類は、包括構造
【0041】
【化14】

【0042】
(式中、nは1乃至3であり、そしてX1は脂肪族又は芳香族基である。)
を有するものを含む。典型的なX1の実体は、ポリブタジエン類、ポリカーボネート類、ポリウレタン類、ポリエーテル類、ポリエステル類、単純炭化水素類(simple hydrocarbons)及びカルボニル、カルボキシ、アミド、カルバメート、尿素、エステル又はエーテル等の官能基を有する単純炭化水素類を含む。この種の樹脂類は商業的に入手可能であり、例えば、大日本インク化学株式会社から得られる。
【0043】
追加の適当なマレイミド樹脂は、固体芳香族ビスマレイミド(BMI)樹脂、特に構造
【0044】
【化15】

【0045】
(式中、Qは芳香族基である。)を含むがそれらに限定されない。典型的な芳香族基類は、
【0046】
【化16】

【0047】
を含む。これらの橋かけ基Qを有するビスマレイミド樹脂類は商業的に入手可能であり、例えばSartomer(アメリカ合衆国)又は HOS-Technic GmbH(オーストリア)から得ることができる。
【0048】
他の好ましいマレイミド樹脂類は以下のものを含む。
【0049】
【化17】

【0050】
[式中、C36は(環状部分を有するか或いは有しない)炭素原子数36の線状又は分枝鎖炭化水素鎖を表す。];
【0051】
【化18】

【0052】
適当なアクリレート樹脂及びメタクリレート樹脂は、包括構造
【0053】
【化19】

【0054】
(式中、nは1乃至6であり;R1は-H又は-CH3であり;そしてX2は芳香族又は脂肪族基である。)を有するものである。典型的なX2の実体は、ポリブタジエン類、ポリカーボネート類、ポリウレタン類、ポリエーテル類、ポリエステル類、単純炭化水素類及びカルボニル、カルボキシル、アミド、カルバメート、尿素、エステル又はエーテル等の官能基を有する単純炭化水素類を含む。商業的に入手可能な材料は、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸n-ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルエチル、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリプロキシレート(メタ)アクリレート及び共栄社化学株式会社から入手可能なポリペントキシレートテトロラヒドロフルフリルアクリレート;Sartomer Company, Inc.から入手可能なポリブタジエンウレタンジメタクリレート(CN302、NTX6513)及びポリブタジエンジメタクリレート(CN301、NTX6039、PRO6270); 根上工業株式会社から入手可能なポリカーボネートウレタンジアクリレート(Art Resin UN9200A); Radcure Specialities, Inc.から入手可能なアクリル化脂肪族ウレタンオリゴマー類(Ebecryl 230、264、265、270、284、4830、4833、4834、4835、4866、4881、4883、8402、8800-20R、8803、8804); Radcure Specialities, Inc.から入手可能なポリエステルアクリレートオリゴマー類(Ebecryl 657、770、810、830、1657、 1810、1830);及びSartomer Company, Inc.から入手可能なエポキシアクリレート樹脂類(CN104、111、112、115、116、117、118、119、120、124、136)を含む。1態様において、該アクリレート樹脂類は、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリレート官能基を有するポリブタジエン及びメタクリレート官能基を有するポリブタジエンからなる群より選ばれる。
【0055】
適当なビニルエーテル樹脂類は、ビニルエーテル官能基を含有する任意のもので、ポリブタジエン類、ポリカーボネート類、ポリウレタン類、ポリエーテル類、ポリエステル類、単純炭化水素類及びカルボニル、カルボキシル、アミド、カルバメート、尿素、エステル又はエーテル等の官能基を有する単純炭化水素類を含む。商業的に入手可能な樹脂類は、International Speciality Products (ISP)から入手可能なシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル及びブタンジオールジビニルエーテル及びSigma-Aldrich, Inc.から入手可能なVectomer 4010、4020、4030、 4040、4051、4210、4220、4230、4060、5015を含む。
【0056】
該硬化剤は、ラジカル又はイオン硬化性樹脂が選ばれるかによりフリーラジカル開始剤或いはイオン開始剤(カチオン又はアニオン)のいずれかであり、そして有効量存在する。フリーラジカル硬化剤では、有効量は一般的に、 (いかなる充填剤も含まない) 該有機化合物の0.1乃至10重量%であるが30重量%という高い量でもあり得る。イオン硬化剤又は開始剤では、有効量は一般的に、(いかなる充填剤も含まない)該有機化合物の0.1乃至10重量%であるが30重量%という高い量でもあり得る。硬化剤の例は、イミダゾール類、第3級アミン類、有機金属塩類、アミン塩類、変性イミダゾール化合物、無機金属塩類、フェノール類、酸無水物類及び他のこのような化合物を含む。
【0057】
典型的なイミダゾール類は、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-プロピル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-グアナミノエチル-2-メチルイミダゾール及びイミダゾールとトリメリット酸の付加生成物を含むがそれらに限定されない。
【0058】
典型的な第3級アミン類は、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、N,N-ジメチル-p-アニシジン、p-ハロゲノ-N,N-ジメチルアニリン、2-N-エチルアニリノエタノール、トリ- n-ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N-メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン及びN-メチルピペリジンを含むがそれらに限定されない。他の好ましい窒素含有化合物は、ジシアンジアミド、ジアリルメラミン、ジアミノマルコニトリル(diaminomalconitrile)、アミン塩類及び変性イミダゾール化合物を含むがそれらに限定されない。
【0059】
典型的なフェノール類は、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、フェノールノボラック及びフロログルシンを含むがそれらに限定されない。
典型的な有機金属塩類は、ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、亜鉛オクトレート、オレイン酸スズ、ジブチルスズマレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト及びアセチルアセトン鉄を含むがそれらに限定されない。他の適当な金属化合物は、金属アセトアセトナート類、金属オクトエート類、金属アセテート類、金属ハロゲン化物類、金属イミダゾール錯体類、コバルト(II)アセトアセトナート、銅(II)アセトアセトナート、マンガン(II)アセトアセトナート、チタニウムアセトアセトナート及び鉄(II)アセトアセトナートを含むがそれらに限定されない。典型的な無機金属塩類は、塩化スズ(IV)、塩化亜鉛及び塩化アルミニウムを含むがそれらに限定されない。
【0060】
典型的な過酸化物類は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、過オクタン酸ブチル、過酸化ジクミル、過酸化アセチル、過酸化p-クロロベンゾイル及びジ過フタル酸ジ-t-ブチルを含むがそれらに限定されない。
【0061】
典型的な酸無水物類は、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、ラウリン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロピロメリット酸無水物及びヘキサヒドロトリメリット酸無水物を含むがそれらに限定されない。
【0062】
典型的なアゾ化合物は、アゾイソブチロニトリル(azoisobutyronitrile)、2,2’-アゾビスプロパン、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)及びm,m’-アゾキシスチレンを含むがそれらに限定されない。他の好ましい化合物は、ヒドラゾン類、アジピン酸ジヒドラジド及びBF3-アミン錯体類を含む。
【0063】
1より多い硬化、例えばカチオン及びフリーラジカル開始の双方を用いることが望ましい場合があり、その場合はフリーラジカル硬化及びイオン硬化樹脂の双方を該組成物中に用いることができる。このような組成物では、例えば紫外線照射を用いるカチオン開始により硬化過程を開始させ、そして後の工程において熱を加えてフリーラジカル開始により完結させることも可能であろう。
【0064】
ある系では、硬化剤に加えて硬化速度を最適化するために硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤は、ナフテン酸金属塩、金属アセチルアセトナート類(キレート類)、オクタン酸金属塩類、酢酸金属塩類、金属ハロゲン化物、金属イミダゾール錯体類、金属アミン錯体類、トリフェニルホスフィン、アルキル置換イミダゾール類、イミダゾリウム塩類及びオニウムホウ酸塩を含むがそれらに限定されない。
【0065】
最終用途によって、該組成物中に1種以上の充填剤を含ませてもよく、それらは通常流動特性を改良し、応力を低減させるために添加される。好ましい非導電性充填剤類の例は、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、ヒュームドシリカ、バーミキュライト、雲母、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、チタニア、砂、ガラス、硫酸バリウム、ジルコニウム、カーボンブラック、有機充填剤類及びテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、塩化ビニリデン及び塩化ビニル等から誘導される重合体等のハロゲン化エチレン重合体を含む。好ましい導電性充填剤類の例は、カーボンブラック、黒鉛、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド及びアルミナを含む。
【0066】
該充填剤粒子はナノサイズから数ミリメートルの範囲の任意の適切な大きさを有することができる。任意の特定の最終用途のためにこのような大きさを選択することは当業者の専門知識の範疇にある。充填剤は全組成物の10乃至90重量%の量で存在することができる。1より多い充填剤を組成物中に用いることができ、その充填剤は表面処理されていても或いはされていなくてもよい。適切な充填剤の大きさは実施者により決定されるが一般的には20 ナノメートル乃至100ミクロンの範囲にある。
【0067】
実施例(材料はAldrich Chemicalsから得た。)
実施例1 ビス-キノリノールの作製
【0068】
【化20】

【0069】
Donald. S. Noyce及びLloyd J. Dolby, Amino- and Chloromethylation of 8-Quinolinol, Mechanism of Preponderant ortho Substitution in Phenols under Mannich Conditions, in The Journal of Organic Chemistry、26巻、10号、1961年10月24日, 4078乃至4083頁に記載された手順に従って、塩酸水溶液中で8-キノリノールと過剰のホルムアルデヒドとの反応によりビスキノリノールを製造した。8-キノリノール(29.0 g、0.2000 mol)と塩酸(37%、85 mL) を磁気撹拌棒、還流凝縮器及び熱油浴を備えた250 mLの四つ口、丸底フラスコ中で反応させた。これらの試薬を混合すると、最初は約25℃の発熱が観察された。次いでホルムアルデヒド(37%、9 mL)を添加すると透明な黄色の溶液から金色の溶液へと変化した。この混合物を90分間還流下で加熱した。この間、重い酸性煙霧が発生した。15分間還流下で混合すると、結晶性の黄色の固体が溶液から沈殿した。還流後、その混合物を室温へ冷却し、そして一晩沈降させた。
【0070】
14時間後、より多くの固形物が結晶化しており、フラスコが沈殿物で閉塞しそうであったことが観察された。この黄色の固形物を該透明な金色の母液からろ別し、そして約850mLの水に溶解させた。得られた黄色の溶液のpHは0乃至1の間に測定された。濃縮水酸化アンモニウムをゆっくりと添加して該溶液を中和した。pHが3と4の間でこの透明な黄色の溶液は不透明となり、pHが5で微粒子が形成し始めた。更に水酸化アンモニウムを添加してpHを10.02とした。この添加は90分以内で完了し、そしてこの時間中、反応溶液/混合物の温度は27℃を超えることはなかった。
【0071】
反応物を70分混合すると微粒子の大きさのクリーム状の白色混合物となった。反応物の最終pHは10.08であった。淡灰色の粉末ケークを該混合物からろ別し、ろ液は透明な金色の液であった。このケークを300 mLのジメチルホルムアミドへ添加し、30分間激しく混合した。ろ過して白色ケークを集め、ろ液は薄紫色の液であった。次いでこのケークを湿ったままで300 mLのアセトンへ添加して30分間攪拌し、そしてろ過した。次いでこの洗浄を繰り返し、白色ケークと透明な無色のろ液が得られた。該白色ケークを空気乾燥し、粉砕して白色粉体とし、更に真空下50℃で一晩乾燥させた。この反応から36%の収率が得られた。
【0072】
この物質の構造を1HNMRで確認した結果、約95%の純度で該文献で開示されたものと同一のピークを有していた。ビスキノリノールに対するDSCの結果は、その融点が285℃であり、この値は該文献に見られる融点と一致していることを示した。TGAの結果は、200℃で損失重量が僅かに1.2%であることを示した。
【0073】
実施例2 キノリノール/ピペリジンの製造
【0074】
【化21】

【0075】
キノリノールは揮発性であり、この実施例においてはキノリノールの嵩高性を増し、揮発性を減少させるためにキノリノール/ピペリジン誘導体を製造した。この誘導体の非対称性が、該ビスキノリノールで見られる融点よりもより低い融点に助長した。キノリノール/ピペリジンは当モル量の8-キノリノール、ピペリジン及びパラホルムアルデヒドの反応により溶けた状態で製造した。
【0076】
8-キノリノール(29.0 g、0.2000 mol)、ピペリジン(17.0 g、0.2000 mol)及びパラホルムアルデヒド(6.0 g、0.2000 mol)を機械的撹拌機、温度計及び還流凝縮器を備えた100 mLの三つ口、丸底フラスコに入れた。攪拌して固形物は部分的に溶解して不透明の金色の液体となり、そして反応温度は5分以内に室温から71℃へ上昇した。反応温度が約60℃へ下がるまで混合を続けた。この時点でフラスコを100℃へ予備加熱した熱油浴中に置いた。反応は約3.5時間にわたって該浴中で混合し、その間、反応温度は80乃至90℃の範囲にあった。
【0077】
反応の終わりにおいて生成物は暗琥珀色のシロップであった。残留出発物質はKugelrohr装置により85℃で該シロップから除去した。得られた透明な金色の粘稠な液体(33 g)を33 mLの石油エーテルと一緒にして粉末化した。このようにして該シロップから淡い象牙色の粉体が形成した。該粉体を石油エーテルで更に2回洗浄し、70℃で2日間にわたって真空オーブンで乾燥した。この物質の構造を1HNMR及びGC/MSの双方で確認したところ、該文献に見られるものと一致した結果が得られた。この反応から41%の収率が得られた。DSCでの融点116℃は文献(Donald. S. Noyce及びLloyd J. Dolby, Amino- and Chloromethylation of 8-Quinolinol, Mechanism of Preponderant ortho Substitution in Phenols under Mannich Conditions, in The Journal of Organic Chemistry、26巻、10号、1961年10月24日, 4078乃至4083頁)に見られる融点と一致した。
【0078】
実施例3 ヒドロキシ官能基化キノリノールの製造
【0079】
【化22】

【0080】
ヒドロキシ官能基化キノリノール中間体を、塩酸水溶液中で当モル量の8-キノリノールとホルムアルデヒドとの反応により製造した。(キノリノールは同様に、しかし8-キノリノールに対してモル過剰のホルムアルデヒドで合成したことに注意)。この反応生成物はビスキノリノールよりも改良された溶解性を示し、またより容易に確認された。合成手順は、Donald. S. Noyce及びLloyd J. Dolby, Amino- and Chloromethylation of 8-Quinolinol, Mechanism of Preponderant ortho Substitution in Phenols under Mannich Conditions, in The Journal of Organic Chemistry、26巻、10号、1961年10月24日, 4078乃至4083頁から得られた。
【0081】
8-キノリノール(120.0 g、0.8267 mol)、塩酸(37%、352 mL)及びホルムアルデヒド(37%、67.7 g)を磁気撹拌棒、温度計、還流凝縮器及び熱油浴を備えた1 Lの四つ口、丸底フラスコ中で反応させた。これらの試薬を混合すると、約20℃の発熱が観察された。この反応は透明な金色の溶液となった。次いで、反応を125℃の油浴で加熱すると、殆んど直ちに黄色の固体が溶液から沈殿した。加熱を還流下(95乃至111℃)で約65分間続けた。次いで、鮮明な黄色の反応混合物を室温まで冷却した。
【0082】
固形物をその透明な黄色の母液からろ別し、そして約800mLの水に溶解させた。得られた深黄色の溶液のpHは0乃至1の間に測定された。濃縮水酸化アンモニウムをゆっくりと添加して該溶液を中和した。pHが3と4の間でこの透明な黄色の溶液は不透明な赤橙色に変わった。pHが5で微粒子が形成し始め、該反応は濃厚になった。更に水酸化アンモニウムを添加してpHを10.0とした。この添加は50分以内で終了し、そしてこの時間中反応溶液/混合物の温度は35℃を超えることはなかった。反応物を60分間混合すると微粒子の大きさの黄色スラリーとなった。次いで一晩混合すると、反応物の最終pHは10.15であった。
【0083】
淡褐色の粉末ケークを該混合物からろ別し、ろ液は暗琥珀色の液であった。このケークを500 mLのジメチルホルムアミド中に添加し、30分間激しく混合した。ろ過して白色ケークを集め、ろ液は薄い透明な金色の液体であった。この洗浄を繰り返した。該白色ケークを空気乾燥し、粉砕して粉体とし、更に真空下45℃で一晩乾燥させた。この反応から42%の収率が得られた。この物質の構造を1HNMR及びGC/MSの双方で確認した。更に、DSC走査を行って融点137℃を得た。これは上で引用した文献に見られる融点138-139℃に非常に近接していた。
【0084】
実施例4 可使時間
8−ヒドロキシキノリンCu(II)塩を含む硬化性組成物の可使時間をフリーズ/ソー(freeze/thaw)サイクル後16時間経過後の粘度増加の関数として測定した。硬化性組成物が配合され、それは7.5重量部のビスマレイミド樹脂、102重量部のアクリレート樹脂、4.0重量部のエポキシ樹脂、1重量部のフュームド(fumed)シリカ及びマイナー量(minor amounts)の硬化剤及び接着促進剤(硬化剤としての3.5重量部の過酸化物及び0.25重量部のイミダゾール並びに接着促進剤としての1.75重量部のシランスルフィド)を含んだ。この樹脂配合物を20重量%の量で80重量%の銀フレークと混合し、対照組成物として用いた。2種の追加の試料を製造した。すなわち、第1の試料は19.5重量%の該樹脂配合物、0.5重量%の該塩及び80重量%の銀フレークを含有し、そして第2の試料は19重量%の該樹脂配合物、1.0重量%の該塩及び80重量%の銀フレークを含有していた。8−ヒドロキシキノリンCu(II)塩を含まない対照配合物は21%の粘度増加を示した。8−ヒドロキシキノリンCu(II)塩を0.5重量%含む配合物は18%の粘度増加を示した。該塩を1.0重量%含む配合物は15%の粘度増加を示した。このように、8−ヒドロキシキノリンCu(II)塩を添加することによっては代表的なダイ取付配合物の可使時間は影響を受けなかった。
【0085】
実施例5 ボンドジョイント抵抗
実施例4で調製されたものと同じ配合物を20重量%で、80重量%の銀フレークと混合し、対照組成物として使用した。2種の追加の試料を製造した。すなわち、第1の試料は19.5重量%の該樹脂配合物、0.5重量%の該塩及び80重量%の銀フレークを含有し、そして第2の試料は19重量%の該樹脂配合物、1.0重量%の該塩及び80重量%の銀フレークを含有していた。ボンドジョイント抵抗試験は、10.0×10.0×0.12mmのボンドパッドを有する銅リードフレームに硬化性ダイ取付接着材で接着され、25℃〜175℃まで30分勾配で昇温し、175℃で15分間保持して硬化された6.0×6.0×1.0mmの銅スクエアテストクーポンを含む。マイクロ−オーム単位の電気抵抗をKeithley Nonovoltmeter 2182/2440でボンドジョイントにわたり測定する。各試料をボンドジョイント抵抗で試験した。各試験は試料あたり4回行った。その結果を集め、平均し、表Aにボンドジョイントにわたるボンドジョイント抵抗(BJR:Kg force単位)として示した。
【0086】
表A(表中、8−HQは8−ヒドロキシ−キノリンである。)に示されたデータは、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及び亜鉛(Zn)金属塩の添加により配合物の導電性が改善したことを示している。
【0087】
【表1】

【0088】
実施例6 接着強度
実施例5で調製されたものと同じ配合物を20重量%で、80重量%の銀フレークと混合し、対照組成物として使用した。2種の追加の試料を製造した。すなわち、第1の試料は19.5重量%の該樹脂配合物、0.5重量%の該塩及び80重量%の銀フレークを含有し、そして第2の試料は19重量%の該樹脂配合物、1.0重量%の該塩及び80重量%の銀フレークを含有していた。
【0089】
これらの組成物をDage Die Shear Testerを用いて接着強度について試験した。各組成物を5×5mmのシリコンダイと10.0×10.0×0.12mmのボンドパッドを有する銅被覆リードフレーム(Si対Cu接着)又は10.0×10.0×0.12mmのボンドパッドを有する銀被覆リードフレーム(Si対Ag接着)との間に置き、そして本明細書に記載した硬化手順に従って硬化させた。HWはホット/ウェット、DSSはダイせん断強度である。
【0090】
HW-DSS:30分間25℃から175℃へ温度を上昇させ、175℃で15分間保持し、240℃で1分間保持し(ワイアボンディングの模擬)、175℃で4時間保持し(ポストモールドベークの模擬)、121℃/100%相対湿度で16時間保持する(プレッシャクッカ試験環境)。
【0091】
HW-DSS+5分270℃:30分間25℃から175℃へ温度を上昇させ、175℃で15分間保持し、240℃で1分間保持し(ワイアボンディングの模擬)、175℃で4時間保持し(ポストモールドベークの模擬)、121℃/100%相対湿度で16時間保持し(プレッシャクッカ試験環境)、270℃で5分保持する。
【0092】
各試料はダイせん断強度について試験し、各試験は試料あたり4回行った。その結果を集めて平均し、そしてこのダイせん断強度(DSS)をKg forceで表Bに報告した。これらの結果は、このビスキノリノールの添加が接着性を改良したことを示している。
【0093】
【表2】

【0094】
本発明は以下の態様を含む。
[1]
接着性及び導電性が改良されたダイ取付組成物であって、該ダイ取付組成物は硬化性樹脂、充填剤及び場合によって該樹脂用硬化剤を含有し、更に接着性及び導電性促進剤として8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体の金属塩を含有する組成物。
【0095】
[2]
8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体の金属塩がCu、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Yt、La、Pb、Sb、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Ce及びPrからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される、[1]のダイ取付組成物。
【0096】
[3]
8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体の金属塩がCu、Zn及びAlからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される、[2]のダイ取付組成物。
【0097】
[4]
該金属塩を形成する8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体が
【0098】
【化23】

【0099】
(式中、Rは有機部分である。)
からなる群より選ばれる、[1]、[2]又は[3]のダイ取付組成物。
[5]
該金属塩を形成する8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体が
【0100】
【化24】

【0101】
からなる群より選ばれる、[1]、[2]又は[3]のダイ取付組成物。
[6]
該硬化性樹脂がマレイミド樹脂、アクリレート又はメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂又はシアナートエステル樹脂である、[1]、[2]又は[3]のダイ取付組成物。
【0102】
[7]
硬化性樹脂、充填剤及び場合によって該樹脂用硬化剤を含有するダイ取付接着材の接着性又は導電性の改良方法であって、8−キノリノールの金属塩又は8−キノリノール誘導体の金属塩を該組成物へ添加することを含有する方法。
【0103】
[8]
該金属塩を形成するキノリノール又はキノリノール誘導体が
【0104】
【化25】

【0105】
(式中、Rは有機部分である。)
からなる群より選ばれる、[7]の方法。
[9]
該金属塩を形成するキノリノール又はキノリノール誘導体が
【0106】
【化26】

【0107】
からなる群より選ばれる、[7]の方法。
[10]
8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体の金属塩がCu、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Yt、La、Pb、Sb、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Ce及びPrからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される、[7]の方法。
【0108】
[11]
8−キノリノール又は8−キノリノール誘導体の金属塩がCu、Zn及びAlからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される、[10]の方法。
【0109】
[12]
該硬化性樹脂がマレイミド樹脂、アクリレート又はメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂又はシアナートエステル樹脂である、[7]の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着性及び導電性が改良されたダイ取付組成物であって、該ダイ取付組成物は硬化性樹脂、充填剤及び場合によって該樹脂用硬化剤を含有し、更に接着性及び導電性促進剤として8−キノリノール誘導体の金属塩を含有し、該金属塩を形成する8−キノリノール誘導体が
【化1】

(式中、Rは有機部分である。)
からなる群より選ばれる、ダイ取付組成物。
【請求項2】
8−キノリノール誘導体の金属塩がCu、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Yt、La、Pb、Sb、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Ce及びPrからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される、請求項1のダイ取付組成物。
【請求項3】
8−キノリノール誘導体の金属塩がCu、Zn及びAlからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される、請求項2のダイ取付組成物。
【請求項4】
該硬化性樹脂がマレイミド樹脂、アクリレート又はメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂又はシアナートエステル樹脂である、請求項1、2又は3のダイ取付組成物。
【請求項5】
硬化性樹脂、充填剤及び場合によって該樹脂用硬化剤を含有するダイ取付接着材の接着性又は導電性の改良方法であって、8−キノリノール誘導体の金属塩を該ダイ取付接着材へ添加することを含有し、該金属塩を形成するキノリノール誘導体が
【化2】

(式中、Rは有機部分である。)
からなる群より選ばれる、方法。
【請求項6】
8−キノリノール誘導体の金属塩がCu、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Yt、La、Pb、Sb、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Ce及びPrからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される、請求項5の方法。
【請求項7】
8−キノリノール誘導体の金属塩がCu、Zn及びAlからなる群から選ばれる金属が配位することによって形成される、請求項6の方法。
【請求項8】
該硬化性樹脂がマレイミド樹脂、アクリレート又はメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂又はシアナートエステル樹脂である、請求項5の方法。

【公開番号】特開2012−94876(P2012−94876A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251699(P2011−251699)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【分割の表示】特願2006−256703(P2006−256703)の分割
【原出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(510208712)ヘンケル・アーゲー・アンド・カンパニー・カーゲーアーアー (1)
【Fターム(参考)】