説明

チップの固定構造、並びに弾性表面波デバイス、及び弾性表面波デバイスの製造方法

【課題】紫外線透過率が悪化したSAW素子片であっても、接合剤として紫外線硬化型樹脂を有効に使用することのできるチップの固定構造を持ったSAWデバイスを提供する。
【解決手段】体積抵抗率を低下させるための酸化還元処理が施されたニオブ酸リチウム、またはタンタル酸リチウムを圧電素板14として採用したSAW素子片12をパッケージ20の搭載面に固定するSAWデバイス10であって、SAW素子片12の周囲に塗布した紫外線硬化型樹脂34により、SAW素子片12の側面と前記搭載面とを結合したことを特徴とする。このような構成のSAWデバイス10では、紫外線硬化型樹脂34をSAW素子片12の全周に塗布することが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチップの固定構造、並びに弾性表面波デバイス、及び弾性表面波デバイスの製造方法に係り、特に、紫外線を透過しないチップの固定、搭載をする場合の固定手段として、紫外線硬化型の樹脂を用いたい場合に好適なチップの固定構造、並びに弾性表面波デバイス、及び弾性表面波デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニオブ酸リチウム(LiNbO:以下、LNと称す)やタンタル酸リチウム(LiTaO:以下、LTと称す)は、弾性表面波の伝播速度が速く、電気機械結合定数が大きいため、高周波数帯の弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、SAWと称す)デバイスに用いる弾性表面波素子片の圧電素板として、幅広く採用されている。
【0003】
このような圧電素板を採用するSAWデバイスでは、圧電振動片(SAW素子片)をパッケージに搭載する際、接合用の接着剤として、紫外線硬化型の樹脂を採用することがある(例えば特許文献1参照)。紫外線硬化型の樹脂は、硬化に要する時間が短いため、生産性を向上させることができると共に、硬化時に殆ど熱を要しないため、熱膨張率の相違に基づく反りなどが生じにくいためである。
【0004】
ところで、LN結晶やLT結晶は、異極像晶族であるため、同類端と異類端とで分極して電荷が附帯する。こうして附帯した分極電荷は、常温では対イオンなどで中和されるが、SAW素子片の素板として加熱等の処理による温度変化が付加されると、素板表面に焦電気を生じさせる。
【0005】
こうした焦電気は、SAW素子片を構成するIDT(Inter Digital Transducer)などの微細電極が素板表面に形成されている場合、当該電極を破壊することとなり、製造工程における歩留りを低下させる要因ともなっていた。
【0006】
このような問題を解決する手段として、LNやLTの結晶や素板を還元性雰囲気で加熱(酸化還元処理)することで体積抵抗率を下げるという手段(例えば特許文献2参照)や、LNやLTに少量のFe、Co、Cu、Ni、Cr、Ti等の金属元素を含有させる手段(例えば特許文献3参照)が知られている。また、酸化還元処理の手段としては、LTの結晶や素板をCa、Al、Ti、Si等の金属粉末(いわゆる還元剤)に埋め込み、加熱するという手段(例えば特許文献4参照)も知られている。また、特許文献5には、特許文献3に開示されているようなLT素板の分光特性が示されており、波長が300nm以下の電磁波、すなわち紫外線は、殆ど透過しないことが解る。
【特許文献1】特開2007−150931号公報
【特許文献2】特開平11−92147号公報
【特許文献3】特開2004−254114号公報
【特許文献4】特開2005−119906号公報
【特許文献5】特開2007−256590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献2〜特許文献5に開示されているLNやLTの素板に施された処理は、黒化と称される現象を伴い、透明性の高い圧電素板が、灰色から濃青色、黒、赤褐
色といった暗色へと変化し、特許文献5に開示されているように、紫外線を吸収してしまう(紫外線を透過しない、または透過し辛くなる)といった特性を持つこととなる。
【0008】
そうした場合、上記特許文献1に開示されているような効果を得るために紫外線硬化型の樹脂でLN素板やLT素板をパッケージ基板等に接着しようとした場合、十分な接合強度を得ることができなかったり、樹脂の硬化に相当長い時間を要するといった事態が生じ得る。
【0009】
このような問題を鑑み、本発明では、黒化され、紫外線透過率が悪化したチップ(例えばSAW素子片)であっても、接合剤として紫外線硬化型樹脂を有効に使用することのできるチップの固定構造、並びに弾性表面波デバイス、及び弾性表面波デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]紫外線透過率が50%以下のチップを搭載面に固定するための構造であって、前記チップの周囲に塗布した紫外線硬化型樹脂により、前記チップの側面と前記搭載面とを結合したことを特徴とするチップの固定構造。
【0011】
このような固定構造を採用することによれば、接合剤として紫外線硬化型樹脂を使用した場合であっても、十分な強度を得ることができると共に、樹脂の硬化を短時間で成すことが可能となる。
【0012】
[適用例2]適用例1に記載のチップの固定構造であって、前記紫外線硬化型樹脂を前記チップの少なくとも2側面に接触するように塗布したことを特徴とするチップの固定構造。
紫外線硬化型樹脂は、その硬化後の硬度が高いため、少なくともチップの2側面を搭載面に固定することで、十分な強度を得ることが可能となる。
【0013】
[適用例3]適用例1に記載のチップの固定構造であって、前記紫外線硬化型樹脂を前記チップの全周に塗布したことを特徴とするチップの固定構造。
紫外線硬化型樹脂をチップの全周に塗布してチップ固定することによれば、チップを固定する強度が向上し、大型のチップであっても固定することが可能となる。
【0014】
[適用例4]適用例1乃至適用例3のいずれかに記載のチップの固定構造であって、前記チップは、体積抵抗率を低下させるための酸化還元処理が施されたニオブ酸リチウム、またはタンタル酸リチウムを圧電素板として採用した弾性表面波素子片であることを特徴とするチップの固定構造。
【0015】
上記のような固定構造を持つことで、上記のような酸化還元処理が施されたニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを圧電素板として採用した弾性表面波素子片であっても、紫外線硬化型樹脂を用いて搭載面への固定が可能となる。
【0016】
[適用例5]適用例1乃至適用例3のいずれかに記載のチップの固定構造であって、前記チップは、体積抵抗率を低下させるための金属元素添加処理が施されたタンタル酸リチウムを圧電素板として採用した弾性表面波素子片であることを特徴とするチップの固定構造。
【0017】
上記のような固定構造を持つことで、上記のような金属元素添加処理が施されたタンタ
ル酸リチウムを圧電素板として採用した弾性表面波素子片であっても、紫外線硬化型樹脂を用いて搭載面への固定が可能となる。
【0018】
[適用例6]適用例4または適用例5に記載のチップの固定構造を採用し、階段状のキャビティを有するパッケージにおける前記キャビティの底面を前記搭載面として弾性表面波素子片を固定したことを特徴とする弾性表面波デバイス。
このような構成とすることで、安価で量産性に優れた弾性表面波デバイスを提供することが可能となる。
【0019】
[適用例7]適用例6に記載の弾性表面波デバイスであって、前記底面における前記弾性表面波素子片の載置部を除く面を紫外線硬化型樹脂で覆ったことを特徴とする弾性表面波デバイス。
【0020】
このような構成とすることで、安価で量産性に優れた弾性表面波デバイスを提供することが可能となると共に、パッケージにおけるキャビティの底面を構成する底板が肉薄であった場合でも、硬化後の紫外線硬化型樹脂により曲げ強度を補強することができる。よって、曲げ応力に対する耐性を高めることができる。
【0021】
[適用例8]弾性表面波デバイスを製造する方法であって、パッケージベースに対して弾性表面波素子片を載置する工程と、前記弾性表面波素子片を載置した後に当該弾性表面波素子片の周囲に紫外線硬化型樹脂を塗布する工程と、塗布した前記紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して硬化させる工程とを有することを特徴とする弾性表面波デバイスの製造方法。
【0022】
このような工程を有する弾性表面波デバイスの製造方法であれば、弾性表面波素子片の構成に関わらず、量産性を向上させることができ、安価な弾性表面波デバイスを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明のチップの固定構造、並びに弾性表面波デバイス、及び弾性表面波デバイスの製造方法に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
まず、図1を参照して、本発明の弾性表面波(SAW)デバイスについて説明する。なお、図1に示すSAWデバイスは、縦結合二重モードSAWフィルタ(縦結合DMSフィルタ)の例を示すもので、図1(A)は、SAWデバイスのリッドを除く平面形態を示すもので、図1(B)はリッドを付けた状態における同図(A)のA−A断面を示す図である。
【0025】
第1の実施形態に係るSAWデバイス10は、図1に示すように、SAW素子片12と、これを収容するパッケージ20とを基本として構成される。本実施形態に係るSAW素子片12は、圧電素板14と、当該圧電素板14上に形成されたIDT16、反射器18等の電極パターンを有する。
【0026】
本実施形態で採用する前記圧電素板14としては、ニオブ酸リチウム(LN)やタンタル酸リチウム(LT)の結晶を酸化還元処理して得られる結晶を素板として切り出したものである。ここでいう酸化還元処理とは、アルゴン、水、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、およびこれらの組み合わせから選択されたガス(酸化雰囲気ガス)に晒された状態で、加熱処理することを言う。このようにして得られるLNやLTの素板は、低焦電気化を図ることができると共に、黒化と呼ばれる現象により、透明性の高い圧電素板が、灰色から濃青色、あるいは黒といった色へと変化し、紫外線を吸収する特性すなわち
紫外線の透過を妨げる特性を持つこととなる。なお、低焦電気化は、圧電素板の体積抵抗率の低下に基づく分極電荷の中和によるものであるが、体積抵抗率を低下させすぎると、電気石としての特性である圧電効果が無くなってしまうため、その加減に気をつける必要がある。
【0027】
ここで、実施形態に用いる圧電素板14の紫外線透過率について具体的に例示すると、酸化還元処理を行っていないLNやLTの紫外線(例えば波長が365nmの電磁波:以下、UVと称す)透過率が80%程度とした場合、上記のような酸化還元処理を施して黒化したLNやLTのUV透過率は、35%程度となる。
【0028】
なお酸化還元処理に関しては、LTの結晶をCa、Al、Ti、Si等のうちの1つの金属粉末(いわゆる還元剤)に埋め込み、350℃〜600℃で熱処理するという手段も知られており、同様な効果を得ることができ、黒化を伴う。
【0029】
前記パッケージ20は、SAW素子片12を搭載するパッケージベース24と、前記パッケージベース24の開口部を封止するリッド22とより成る。パッケージベース24は、枡形の箱体であり、実施形態に係るものは、内部に階段状の段部を有する。実施形態に係るパッケージベース24は、上記SAW素子片12を搭載するための底面を有する第1層26と、第1層よりも高い位置にあり、SAW素子片12とパッケージベース24とを電気的に接続するための内部実装端子30を配置するための第2層28を有する。また、パッケージベース24の外底面には前記内部実装端子30と電気的に接続されると共に、SAWデバイス10を他の基板等に実装するための外部実装端子32が備えられている。また、前記リッド22は、コバール等の金属の合金や透光性を有するガラス等により構成された平板であれば良い。このようなパッケージベース24とリッド22とからなるパッケージ20は、内部に階段状のキャビティを有することとなる。
【0030】
上記のようなパッケージ20に対して上記のような構成のSAW素子片12は、紫外線硬化型樹脂34を用いて搭載、固定される。紫外線硬化型樹脂34は、SAW素子片12の側面と、パッケージベース24の底面とを結合するために、SAW素子片12の周囲を囲うように塗布される。紫外線硬化型樹脂34をこのような形態で配置することによれば、SAW素子片12を構成する圧電素板14が黒化され、紫外線を透過させない(透過させ辛い)ものであっても、紫外線硬化型樹脂34に対して直接的にUVを照射することができる。このため、短時間のUV照射で確実に紫外線硬化型樹脂34を硬化させることが可能となる。なお、本実施形態でいう紫外線を透過させ辛い圧電素板14とは紫外線透過率が50%以下の圧電素板をいうこととする。
SAW素子片12におけるIDT16と、パッケージベース24における内部実装端子30とは、ボンディングワイヤ40により電気的に接続される。
【0031】
上記のような構成のSAWデバイス10は、例えば以下に示す2つの方法により製造することができる。
まず、図2を参照して第1の製造方法について説明する。第1の製造方法では最初に、パッケージベース24の第1層26に紫外線硬化型樹脂34を塗布する(図2(A)参照)。次に、塗布した紫外線硬化型樹脂34の上にSAW素子片12を載置して押圧する。これにより、紫外線硬化型樹脂34はSAW素子片12の周囲に押し出され、SAW素子片12の外周を囲むような配置形態をとることとなる(図2(B)参照)。次に、紫外線硬化型樹脂34にUVを照射して、紫外線硬化型樹脂34を硬化させた後、ボンディングワイヤ40によりパッケージベース24とSAW素子片12とを電気的に接続する(図2(C)参照)。その後、パッケージベース24の上部開口部をリッド22で封止することにより、SAWデバイス10が完成する(図2(D)参照)。
【0032】
次に、図3を参照して第2の製造方法について説明する。第2の製造方法では最初に、パッケージベース24の第1層26にSAW素子片12を配置する(図3(A)参照)。次に、ディスペンサ等を用いてSAW素子片12の周囲を囲うように紫外線硬化型樹脂34を塗布する(図3(B)参照)。次に紫外線硬化型樹脂34にUVを照射して、紫外線硬化型樹脂34を硬化させた後、ボンディングワイヤ40によりパッケージベース24とSAW素子片12とを電気的に接続する(図3(C)参照)。その後、パッケージベース24の上部開口部をリッド22で封止することにより、SAWデバイス10が完成する(図3(D)参照)。
【0033】
上記のような構成のSAWデバイス10を上記のような方法で製造することによれば、SAW素子片12の搭載に紫外線硬化型樹脂34を採用することができ、安価で量産性の高いSAWデバイス10を提供することが可能となる。また、紫外線硬化型樹脂34によりSAW素子片12の全周を囲んでいるため、耐衝撃性、耐振動性等の信頼性に優れている。
【0034】
次に、本発明のSAWデバイスに係る第2の実施形態について図4を参照して説明する。なお、図4において図4(A)はSAWデバイスの平面構成を示す図であり、図4(B)は同図(A)におけるB−B断面を示す図である。また、本実施形態に係るSAWデバイスの構成要素は、図1に示す第1の実施形態に係るSAWデバイスと同じであり、その配置形態のみに相違を持つ。よって、その作用を同一とする箇所には図面に100を足した符号を付して、その詳細な説明は省略することとする。
【0035】
本実施形態に係るSAWデバイス110は、SAW素子片112を固定するための紫外線硬化型樹脂134を、SAW素子片112の周囲だけでなく、パッケージベース24における第1層126を構成する底面全面に塗布する構成としている。液化状態で粘性の低い紫外線硬化型樹脂134では、紫外線硬化型樹脂134を単純に流し込むことで、このような構成を採ることが可能となり、ディスペンサ等によりSAW素子片112の周囲に適宜塗布するといった行為が不要となる。
【0036】
また、硬化後の硬度が高い紫外線硬化型樹脂134で、第1層126を覆うことで、パッケージベース124の底板の強度が向上する。これにより、パッケージベース124の第1層126を構成する基板(底板)を薄くした場合であっても、基板に十分な強度を持たせることができ、内部に搭載したSAW素子片112に対して負荷される曲げ応力も小さくすることができる。また、実際に第1層126を構成する基板を薄くした場合には、SAWデバイス110の低背化を図ることができる。なお、他の作用効果については、第1の実施形態に係るSAWデバイス10と同様である。
【0037】
次に、本発明のSAWデバイスに係る第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るSAWデバイスの構成要素も、上記第1の実施形態に係るSAWデバイスと同じであり、その配置形態のみに相違を持つ。よって、その作用を同一とする箇所には、図面に200を足した符号を付して、その詳細な説明は省略することとする。
【0038】
本実施形態に係るSAWデバイス210は、SAW素子片212を固定するための紫外線硬化型樹脂234を、SAW素子片212の全周では無く、特定の2辺または3辺(図5の例では2辺)に塗布する構成としている。このような構成とすることで、必要最低限の量の紫外線硬化型樹脂234でSAW素子片212を固定することができる。なお、その他の作用効果については、第1の実施形態に係るSAWデバイス10と同様である。
【0039】
上記実施形態では、SAW素子片に使用する圧電素板について、酸化還元処理を施したLNやLTである旨記載した。しかしながら、上記実施形態で採用する圧電素板は、LT
やLNに金属元素を含有させたものであっても良い。金属元素の含有についてLNに関する具体的な手段を講ずると、Nb、Liを含む所定の材料(例えばFe、Co、Cu、Ni、Cr、Ti等)を混合し、これを焼成して原料混合物を作成する。その後、作成した原料混合物を溶融させ、この溶融液中にLNの種結晶を吊るして引き上げることで、実施形態に係るLN結晶が形成される。このような構成のLN基板も、上記実施形態に示した基板同様に、紫外線透過率が極めて悪くなる。具体的には、金属元素添加処理を施していないLTのUV透過率が80%程度とした場合、上記のような処理を施して黒化したLTのUV透過率は、略0%となる。
【0040】
よって、基板の下に接着剤を塗布するという従来の接合方法では、上記のような圧電素板を採用したSAW素子片を搭載する際にも、紫外線硬化型樹脂を使用することができなかった。しかし、上記実施形態に係る固定構造を採用することで、上記のように金属元素添加処理が施された圧電基板を採用したSAW素子片であっても、その固定の際に紫外線硬化型樹脂を使用することができる。
【0041】
また、上記実施形態では、SAWデバイスの例として縦結合型DMSフィルタを示した。しかしながら本発明のSAWデバイスは上記のようなフィルタに限らず、SAW共振子を製造する場合、他の構成を伴うフィルタを製造する場合であっても、これらを包含する。さらに、本発明に係るチップの固定構造の適用範囲は、SAW素子片を固定する場合に限られたものでは無い。すなわち、UVを透過させない、あるいはUVを透過させ辛いチップであれば、半導体素子片や半導体集積回路(IC)、その他の電子部品等を搭載面に固定する際にも適用することができる。
【0042】
さらに、本発明に係るSAWデバイスの製造方法は、黒化されて紫外線の透過率が低下したSAW素子片を搭載するSAWデバイスの製造に限るものでは無い。すなわち、本発明のSAWデバイスの製造方法は、一般的なLTやLN、水晶といった圧電素板を搭載する場合であっても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態に係るSAWデバイスの構成を示す図である。
【図2】SAWデバイスの製造方法における第1の実施形態を示す図である。
【図3】SAWデバイスの製造方法における第2の実施形態を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係るSAWデバイスの構成を示す図である。
【図5】第3の実施形態に係るSAWデバイスの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
10………弾性表面波デバイス(SAWデバイス)、12………弾性表面波素子片(SAW素子片)、14………圧電素板、16………IDT、18………反射器、20………パッケージ、22………リッド、24………パッケージベース、26………第1層、28………第2層、30………内部実装電極、32………外部実装電極、34………紫外線硬化型樹脂、40………ボンディングワイヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線透過率が50%以下のチップを搭載面に固定するための構造であって、
前記チップの周囲に塗布した紫外線硬化型樹脂により、前記チップの側面と前記搭載面とを結合したことを特徴とするチップの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載のチップの固定構造であって、
前記紫外線硬化型樹脂を前記チップの少なくとも2側面に接触するように塗布したことを特徴とするチップの固定構造。
【請求項3】
請求項1に記載のチップの固定構造であって、
前記紫外線硬化型樹脂を前記チップの全周に塗布したことを特徴とするチップの固定構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチップの固定構造であって、
前記チップは、体積抵抗率を低下させるための酸化還元処理が施されたニオブ酸リチウム、またはタンタル酸リチウムを圧電素板として採用した弾性表面波素子片であることを特徴とするチップの固定構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチップの固定構造であって、
前記チップは、体積抵抗率を低下させるための金属元素添加処理が施されたタンタル酸リチウムを圧電素板として採用した弾性表面波素子片であることを特徴とするチップの固定構造。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のチップの固定構造を採用し、階段状のキャビティを有するパッケージにおける前記キャビティの底面を前記搭載面として弾性表面波素子片を固定したことを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の弾性表面波デバイスであって、
前記底面における前記弾性表面波素子片の載置部を除く面を紫外線硬化型樹脂で覆ったことを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項8】
弾性表面波デバイスを製造する方法であって、
パッケージベースに対して弾性表面波素子片を載置する工程と、
前記弾性表面波素子片を載置した後に当該弾性表面波素子片の周囲に紫外線硬化型樹脂を塗布する工程と、
塗布した前記紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して硬化させる工程とを有することを特徴とする弾性表面波デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−225409(P2009−225409A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70797(P2008−70797)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】