説明

チップ部品接合装置、チップ部品接合方法

【課題】光素子を基板に実装する際に、光素子の厚さ寸法公差の影響や基板の光素子を実装する電極の厚さ寸法公差や基板の反り変形により、基板の実装面と光素子の受発光面との高さ方向の寸法がばらつく事を防止し、光モジュールの特性を安定させる。
【解決手段】光素子の受発光面を搭載ステージの上面に密接するように固定し、基板を搭載加圧するZステージの下面に固定された基板の基準面または基板に設けた台座の基準面を同じ搭載ステージの上面に接触させた時のZステージの変位を記憶した後、所望の変位で実装すべくZステージをZ駆動機構とコントローラにより制御して光素子と基板とを接合材を介して接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品接合装置およびチップ部品接合方法に関し、詳しくは、光モジュールの組立における面発光型レーザ素子などのチップ部品を実装する際に用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路の細密化および部品の高密度実装化に伴い、回路基板の部品搭載面上に半導体素子等のチップ部品を実装する表面実装技術が発展してきている。従来、この種の表面実装技術に用いられるチップ部品接合装置として、例えば特許文献1に記載されたような、基板を位置決め可能なステージと、このステージ上の基板上に半田片を介してチップ部品を搭載する搭載ヘッドとを備えたものが採用されている。
【0003】
基板の部品搭載面上にチップ部品を接合するには、予めステージ上に位置決めされた基板上に例えば半田片といった接合材を介してチップ部品を搭載し、次にステージあるいは搭載アームを加熱してチップ部品と基板間の半田片を加熱溶融する事により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−233933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来から知られているチップ部品接合装置にはいくつかの課題があった。
即ち、第1の課題として、光モジュールの組立に関して例えば面発光型レーザ素子のような光素子を基板に実装する面と反対側の面から光が出入りするように実装した場合、光素子の光が出入りする面(以下、受発光面と呼ぶ)と基板の光素子の実装面との光軸方向に関する高さ寸法にばらつきを生じるということがある。
その理由は、光素子の受発光面の反対側の面が基板に実装されるため、光素子の個別の厚さ寸法のばらつきが基板に対して光軸方向に関する高さ寸法のばらつきに直接反映するからである。
【0006】
第2の課題として、光モジュールの組立に関して光素子と例えばアレイレンズ等のその他の光学部品との光軸方向の距離がばらつくということである。
その理由は、基板上の光素子が搭載される部分の電極とアレイレンズ等の光学部品が搭載される部分の電極の厚さ寸法に差異があったり、基板に反りが存在することにより光素子が搭載される電極とアレイレンズ等の光学部品が搭載される電極とが同一の平面上に無く、光素子が搭載される電極の上面を含む平面とアレイレンズ等の光学部品が搭載される電極の上面を含む平面との光軸方向に関する距離に差異があるからである。
【0007】
上記に鑑み本発明は、光モジュールの組立に関して例えば面発光型レーザ素子のような光素子を基板に実装する面と反対側の面から光が出入りするように実装した場合、光素子の個別の厚さ寸法のばらつきから生じる光素子の受発光面の基板の基準面からの光軸方向に関する高さ寸法のばらつきを抑制可能なチップ部品接合装置、およびチップ部品接合方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、基板上の光素子が搭載される部分の電極とアレイレンズ等のその他の光学部品が搭載される部分の電極の厚さ寸法に差異があったり、基板に反りが存在したりする事から生じる光素子とその他の光学部品との光軸方向に関する距離のばらつきを抑制可能なチップ部品接合装置、およびチップ部品接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のいくつかの態様は次のようなチップ部品接合装置、およびチップ部品接合方法を提供した。
すなわち、本発明のチップ部品接合装置は、チップ部品を設置する搭載ステージと、前記搭載ステージを水平方向に駆動するXY補正ステージと、接合材を供給された基板を保持した上で垂直方向に駆動して、前記基板に前記チップ部品を搭載可能なZステージおよびその駆動に用いるZ駆動機構と、前記Zステージの垂直方向の変位を測定する変位計測機構と、前記Zステージを駆動する前記Z駆動機構および前記変位計測機構に接続して、前記変位計測機構の計測結果に基づいて前記Z駆動機構を制御可能なコントローラとを備えたチップ部品接合装置であって、
前記基板の前記チップ部品の搭載面上の任意の基準位置を有し、前記チップ部品の前記基板に搭載される面と反対側の面との距離を所定の寸法に制御した上で、前記チップ部品を前記基板に搭載することを特徴とする。
【0010】
本発明のチップ部品接合方法は、前記チップ部品接合装置を用い、前記チップ部品の前記基板への実装面と反対側の面を前記搭載ステージの上面に密接するように固定し、前記チップ部品に前記基板を搭載加圧する前記Zステージの下面に固定された前記基板の基準位置を、前記搭載ステージの上面に接触させた時の前記変位計測機構により計測された前記Zステージの変位を記憶し、その後、前記チップ部品の前記基板への実装面と反対側の面と前記基板の基準位置を含む平面との距離を先に記憶した前記Zステージの変位の値に基づいて、所望の寸法になるように前記Zステージの変位を前記Z駆動機構を制御して補正した上で、前記チップ部品と前記基板とを前記接合材を介して接合することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のチップ部品接合装置は、チップ部品を設置する搭載ステージと、前記搭載ステージを水平方向に駆動するXY補正ステージと、接合材を供給された基板を保持した上で垂直方向に駆動して前記基板に前記チップ部品を搭載可能なZステージおよびその駆動に用いるZ駆動機構と、前記Zステージの垂直方向の変位を測定する変位計測機構と、前記Zステージを駆動する前記Z駆動機構および前記変位計測機構に接続して前記変位計測機構の計測結果に基づいて前記Z駆動機構を制御可能なコントローラとを備えたチップ部品接合装置であって、
前記基板上に設けられ、前記基板の前記チップ部品の搭載面と平行かつ法線の方向が同じ方向である基準面を有する台座の基準面を有し、前記チップ部品の前記基板に搭載される面と反対側の面との距離を所定の寸法に制御した上で前記チップ部品を前記基板に搭載することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のチップ部品接合方法は、前記チップ部品接合装置を用い、前記チップ部品の前記基板への実装面と反対側の面を前記搭載ステージの上面に密接するように固定し、前記チップ部品に前記基板を搭載加圧する前記Zステージの下面に固定された前記基板に設けられた前記台座の基準面を前記搭載ステージの上面に接触させた時の前記変位計測機構により計測された前記Zステージの変位を記憶し、その後、前記チップ部品の前記基板への実装面と反対側の面と前記台座の基準面との距離を先に記憶した前記Zステージの変位の値に基づいて所望の寸法になるように前記Zステージの変位を前記Z駆動機構を制御して補正した上で前記チップ部品と前記基板とを前記接合材を介して接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のチップ部品接合装置、チップ部品接合方法によれば、チップ部品の個別の厚さ寸法のばらつきから生じるチップ部品の基準面と基板の基準面との搭載高さ寸法のばらつきを抑制可能なチップ部品接合装置および方法を提供することができる。
その理由は、チップ部品の基板への実装面と反対側の面を搭載ステージの上面に密接するように固定し、チップ部品に基板を搭載加圧するZステージの下面に固定された基板の基準位置を搭載ステージの上面に接触させた時の変位計測機構により計測されたZステージの変位を記憶し、次にチップ部品の基板への実装面と反対側の面と基板の基準位置を含む平面との距離を先に記憶したZステージの変位の値に基づいて所望の寸法になるようにZステージの変位をZ駆動機構を制御して補正した上でチップ部品と基板とを接合材を介して接合するからである。
【0014】
また、基板上のチップ部品が搭載される部分の電極の厚さ寸法に差異があったり、基板に反りが存在したりする事から生じるチップ部品の基準面と基板の基準面との搭載高さ寸法のばらつきを抑制可能なチップ部品接合装置および方法を提供することができる。
その理由は、チップ部品の基板への実装面と反対側の面を搭載ステージの上面に密接するように固定し、チップ部品に基板を搭載加圧するZステージの下面に固定された基板に設けられた台座の基準面を搭載ステージの上面に接触させた時の変位計測機構により計測されたZステージの変位を記憶し、次にチップ部品の基板への実装面と反対側の面と台座の基準面との距離を先に記憶したZステージの変位の値に基づいて所望の寸法になるようにZステージの変位をZ駆動機構を制御して補正した上でチップ部品と基板とを接合材を介して接合するからである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のチップ部品接合装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明のチップ部品接合方法を示す説明図である。
【図3】本発明のチップ部品接合方法を示す説明図である。
【図4】チップ部品接合方法の搭載工程を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態を説明する説明図である。
【図6】本発明の別な実施形態を説明する説明図である。
【図7】本発明の別な実施形態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の光モジュールのいくつかの形態について説明する。なお、これら実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
(第一の実施形態)
図1は、本発明のチップ部品接合装置の構成を示す模式図である。
本発明のチップ部品接合装置は、チップ部品1を設置する搭載ステージ4と、搭載ステージ4を水平方向に駆動するXY補正ステージ5と、接合材3を供給された基板2を保持した上で垂直方向に駆動して基板2にチップ部品1を搭載可能なZステージ7およびその駆動に用いるZ駆動機構8と、Zステージ7に接続されて基板2をZステージ7ごとXY平面内での回転方向(以下、θ方向とする)に駆動するθ補正ステージ10と、Zステージ7の垂直方向の変位を測定する変位計測機構9と、Zステージ7を駆動するZ駆動機構8および変位計測機構9に接続して変位計測機構9の計測結果に基づいてZ駆動機構8を制御可能なコントローラ11と、搭載ステージ4上のチップ部品1を画像認識するためのステージ認識カメラ12と、基板2を認識するためのヘッド認識カメラ6とを備えている。
【0018】
チップ部品1は、例えば光インターコネクション用の光モジュールに用いられインジウム等を主成分とする面発光型レーザ素子であってよく、基板2は、例えばセラミックや有機材料からなる板状の基材に配線パターンを形成した配線基板であってよく、接合材3は、例えば金スズ半田といった光素子の接合によく用いられる半田材であってよい。
【0019】
搭載ステージ4には単数または複数のチップ部品1を例えば外部に連通する真空発生装置による吸着といった方法で固定する機能を備えていてよく、また例えば固定したチップ部品1をヒータにより加熱する機能を備えていてよい。搭載ステージ4はXY補正ステージ5上に設置され、XY補正ステージ5の動作範囲内の任意の位置に移動可能である。
【0020】
Zステージ7は例えばセラミック材料により構成されたエアスライダであってよく、搭載ステージ4に固定されたチップ部品1に対して基板2を垂直上方から搭載加圧できる機能を有する。またZステージ7の下面には基板2を例えば外部に連通する真空発生装置による吸着といった方法で固定する機能を備えていてよく、また例えば固定した基板2をヒータにより加熱する機能を備えていてよい。Zステージ7には上下方向の駆動のためのZ駆動機構8が接続されている。
【0021】
Z駆動機構8は、例えばVCMによるリニアモータやエアにより駆動するシリンダであってよい。また、Zステージ7の上下方向の変位を測定するための変位計測機構9が接続されており、例えば光学式レーザエンコーダであってよい。さらにZ駆動機構8および変位計測機構9はコントローラ11に接続されており、Zステージ7の変位を所定値に移動または維持するような制御や、基板2を加圧する荷重を所定値に変化または維持するような制御を自在に行う事が可能である。また搭載ステージ4上のチップ部品2を認識するためのステージ認識カメラ12と、Zステージ7の下面の基板2を認識するためのヘッド認識カメラ6が設けられており、XY補正ステージ5と連携して制御する事によりチップ部品1を基板2上の任意の位置に位置決め補正を行う事が可能である。
【0022】
次に図2を参照して、基板2上の基準位置に対してチップ部品1の基準面の光軸方向に関する距離を制御して搭載するチップ部品接合方法を説明する。
始めに、チップ部品1の基準面と基板2の基準位置が接触する時のZステージ7の変位を変位計測機構9により検出する。ここで、チップ部品1の基準面は基板2に実装される面と反対側の面であるため、搭載ステージ4の上面と接触する側の面となる。よって、チップ部品1の基準面と搭載ステージ4の上面とは同一平面内にあるとみなす事ができる。一方、基板2の基準位置は基板2の搭載面上の所定の箇所であり、基板基準電極22とする。ただしチップ部品1を搭載する場所には予め接合材3が供給されているため、チップ部品1の搭載箇所とは異なる所である必要がある。図2の左図は、XY補正ステージ5を基準高さの検出位置に移動した上で搭載ステージ4の上面と基板基準電極22とが接触する状態を示している。
【0023】
Zステージ7が上方に上がっている位置をZステージ下面原点高さとし、Zステージ7が下方に下がる方向をZステージ7の変位の+方向として、搭載ステージ4の上面と基板基準電極22とが接触する時のZステージ7の変位hをh=htとする。
【0024】
次に、図2の中ほどを参照して、チップ部品1を基板2への搭載位置にXY補正ステージ5を移動した上でチップ部品1と基板2とが接合材3を介して搭載加圧されている。ここで、チップ部品1の基準面と基板基準電極22との搭載高さの設計寸法をdとすると、チップ部品1の厚さ寸法および公差をtc±dtc、接合材3の厚さ寸法および公差をts±dtsとした場合、良好な搭載加圧の状態を得るための制約条件として(tc+dtc)<d<(tc−dtc+ts−dts)を満たす必要がある。
【0025】
次に図2の右側を参照して、搭載ステージ4またはZステージ7の加熱機構を作動させて接合材3を溶融させる。この加熱によって搭載ステージ4の上面の高さがδs、基板基準電極22部分の基板2の厚さがδtb変動する場合、チップ部品1の基準面と基板基準電極22との間の所望の搭載高さ寸法dを実現するためには、Zステージ7の変位hをh=ht−δs−d−δtbと設定するとよい。またZステージ7の変位計測機構9の原点とZステージ7の下面の高さ方向の寸法をLとし、その寸法が加熱によって(L+δL)に変動する場合は、δLの値を補正に加えてZステージ7の変位hをh=ht−δs−d−δtb−δLと設定するとよい。
【0026】
次に図3を参照して、基板2上に基準面を有する台座23が予め設けられ、その基準面に対してチップ部品1の基準面の光軸方向に関する距離を制御して搭載するチップ部品接合方法を説明する。
始めに、チップ部品1の基準面と基板2に設けられた台座23の基準面が接触する時のZステージ7の変位を変位計測機構9により検出する。チップ部品1の基準面は図2に示された場合と同様に、搭載ステージ4の上面と同一平面内にあるとみなす事ができる。一方、基板2の基準位置は基板2に設けられた台座23の基準面である。
【0027】
図3の左側は、搭載ステージ4の上面と台座23の基準面とが接触する状態を示している。Zステージ7が上方に上がっている位置をZステージ下面原点高さとして、搭載ステージ4の上面と台座23の基準面とが接触する時のZステージ7の変位hをh=htとする。
【0028】
次に図3の中ほどは、チップ部品1を基板2への搭載位置にXY補正ステージ5を移動した上でチップ部品1と基板2とが接合材3を介して搭載加圧されている状態を示している。この時、台座23と搭載ステージ4とが衝突しないように台座逃げ用切欠き41が設けられている。またここで、チップ部品1の基準面と台座23の基準面との搭載高さの設計寸法をdとすると、チップ部品1の厚さ寸法および公差をtc±dtc、接合材3の厚さ寸法および公差をts±dtsとした場合、良好な搭載加圧の状態を得るための制約条件として(tc+dtc)<(tsp−d)<(tc−dtc+ts−dts)を満たす必要がある。tspは台座23の厚さ寸法である。
【0029】
次に図3の右側は、搭載ステージ4またはZステージ7の加熱機構を作動させて接合材3を溶融させた状態を示している。図2に示す場合と同様、チップ部品1の基準面と台座23の基準面との間の所望の搭載高さ寸法dを実現するためには、Zステージ7の変位hをh=ht−δs−d−δtbと設定するとよい。またZステージ7の変位計測機構9の原点とZステージ7の下面の高さ方向の寸法をLとし、その寸法が加熱によって(L+δL)に変動する場合は、δLの値を補正に加えてZステージ7の変位hをh=ht−δs−d−δtb−δLと設定するとよい。ここで、d寸法はチップ部品1の基準面が台座23の基準面に対して基板2から見て出っ張る方向の寸法を正の値とする。
【0030】
次に、図4を参照して、チップ部品接合方法の搭載工程を説明する。
始めに、チップ部品1を搭載ステージ4の上面に固定する。ここで、チップ部品1の基準面は搭載ステージ4の上面と接触する側の面であり、例えばチップ部品1が光素子である場合はその受発光面に相当し、基板2に対する実装面はその受発光面の反対側の面という事になる。次に、基板2をZステージ7の下面に固定する。ここで、基板2の基準面は搭載ステージ4の上面に固定されたチップ部品1に対向する側の面であり、その基準面と反対側の面をZステージ7に固定するという事になる。
【0031】
次に、XY補正ステージ5をチップ部品1および基板2の互いの基準面の高さを検出する位置に移動する。ここで、基板2の基準面は図2に示す構造では基板基準電極22、図3に示す構造では台座23の基準面という事になる。次に、Zステージ7を搭載ステージ4に向けて下降させ、搭載ステージ4の上面と基板2の基準面とが接触する高さを検出して(図4において、タッチ検出と呼ぶ)、その時点での変位計測機構9の変位の値を記憶する(前出の、ht値である)。
【0032】
次に、Zステージ7を上昇させた上で、チップ部品1を基板2に搭載する位置にXY補正ステージ5を移動する。この位置は、チップ部品1を画像認識するためのステージ認識カメラ12および基板2を認識するためのヘッド認識カメラ6による計測結果に基づいて正確に補正された位置である。
【0033】
次に、Zステージ7を搭載ステージ4に向けて下降させ、Zステージ7の変位が前出のh=ht−δs−d−δtb−δLで与えられる変位となるように制御する。ここで、Zステージ7が下降動作を完了した時点で、変位h<hmであるかの確認を行う。この時h<hmでない場合、例えば接合材3が脱落していたり、チップ部品1や基板2のチップ部品搭載部電極21や接合材3の厚さ寸法の公差が小さい方向に累積していたりといった理由でチップ部品1が基板2とが接合材3を介して十分に密着していない可能性を示しており、搭載不良の原因となる。よって、h<hmでない場合は搭載加圧不良としてZステージ7を上昇させた上で異常終了とする。
【0034】
変位h<hmを満たす場合、搭載ステージ4およびZステージ7に組み込まれた加熱機構を作動させ、接合材3を加熱溶融させる。この加熱が完了した時点(図4において、加熱完了と呼ぶ)で、変位h=hmであるかの確認を行う。この時h=hmでない場合、おそらくh<hmのままであるが、例えばチップ部品1や基板2のチップ部品搭載部電極21の厚さ寸法の公差が大きい方向に累積していたりといった理由でチップ部品1が基板2と完全に密着している可能性を示しており、所望のチップ部品1の基準面と基板2の基準面との搭載高さ寸法dを実現できていない可能性がある。よって、h=hmでない場合は加熱機構の冷却完了を待って、過加圧不良としてZステージ7を上昇させた上で異常終了とする。変位h=hmを満たす場合、加熱機構の冷却完了を待ってZステージ7を上昇させた上で正常終了として一連の搭載工程が終了する。
【実施例1】
【0035】
次に、図5を参照して、第1の実施例について説明する。
図5の上部は、本発明のチップ部品接合装置により単数のチップ部品1が基板2に接合材3を介して搭載されている状態を示す図である。チップ部品1は例えばインジウム等を主成分とする面発光型レーザ素子である。基板2は例えばセラミックや有機材料からなる配線基板である。接合材3は、例えば金スズといった半田材である。また基板2のチップ部品1の搭載側の面には台座23が設けられている。
【0036】
台座23は例えば金属材料からなっており、基板2のチップ部品1の搭載面と平行かつ法線の方向が同じ方向である基準面を有しており、基準面は平坦面となっている。チップ部品1の厚さ寸法および公差を例えば200±10μm、接合材3の厚さ寸法および公差を30±2μmとして、チップ部品1の基準面であるところの受発光面と台座23の基準面との間の搭載高さ寸法dを100μmと設計したい場合は台座23の厚さ寸法を315μmと設定して、チップ部品1の厚さが公差±10μmの範囲で変動したとしても接合材3の溶融後の厚さが15±10μmの範囲となって、接合材3の溶融前の厚さ寸法である30μm以下となるように寸法を設定するのが好適である。
【0037】
また、図5の下部は、チップ部品1の搭載後の基板2を示す図である。台座23の基準面上には透明カバー13が搭載され、透明カバー13は例えば反射防止用のコーティングが施されたガラス板やアレイレンズであってよい。また透明カバー13は台座23の基準面上に例えば接着剤により密着して固定されていてよい。また透明カバー13の他にも同じ台座23の基準面上に他の光学部品を固定する事も可能である。
【実施例2】
【0038】
次に、図6を参照して、第2の実施例について説明する。
図6の上部は、複数のチップ部品1が基板2に接合材3を介して搭載されている状態を示す図である。第2の実施例では例えば3個のチップ部品1が搭載ステージ(左)42、搭載ステージ(中)43および搭載ステージ(右)44とそれぞれ別のステージ上に固定されている。ここで、搭載ステージ(左)42、搭載ステージ(中)43および搭載ステージ(右)44の各上面は同じ平面内にあるため、各チップ部品1の基準面も全て同じ平面内に固定されている。また、搭載ステージ(左)42、搭載ステージ(中)43および搭載ステージ(右)44には各チップ部品1の位置を基準面に平行な平面方向に微調整する機能が備わっていてよい。
【0039】
第1の実施例と同様に、チップ部品1の厚さ寸法および公差が例えば200±10μmである場合、3個の各チップ部品1についてそれぞれ厚さが±10μmの範囲内で異なる場合が考えられる。第1の実施例と同様に、接合材3の厚さ寸法および公差が30±2μm、台座23の厚さ寸法が315μm(チップ部品1の基準面と台座23の基準面との間の搭載高さ寸法dが100μm)であれば、接合材3の溶融後の厚さが3個の各チップ部品1において全て15±10μmの範囲となるため、3個の各チップ部品1の厚さにばらつきがあった場合でもそれらの基準面を同じ平面内に揃えた上で基板2に固定する事ができる。
【0040】
また、図6の下部は、3個のチップ部品1の搭載後の基板2を示す図である。第1の実施例と同様に、台座23の基準面上には透明カバー13が搭載されている。また台座23の基準面上には透明カバー13の他にも光学部品が固定されていてよい。
【実施例3】
【0041】
次に、図7を参照して、第3の実施例について説明する。
図7の上部は、基板2に反りがある場合にチップ部品1が接合材3を介して搭載されている状態を示す図である。ここで、チップ部品1は単数または複数であってよい。基板2に反りがある場合、基板2のチップ部品1を搭載する箇所において、チップ部品1の搭載側の面と基板2との距離が部分的に異なるという事が考えられる。
【0042】
例えばチップ部品1の搭載側の面と基板2との距離が±2.5μmの範囲内で基板2の反りにより変動している場合、接合材3の溶融後の厚さが15±12.5μmとなるように台座23の厚さ寸法を設定する事で、基板2の反りの影響を吸収しつつ所望のチップ部品1の基準面と台座23の基準面との間の搭載高さ寸法を得る事が可能である。また、図7の下図に示すように第1および第2の実施例と同様に台座23の基準面上には透明カバー13または他の光学部品が固定されていてよい。
【符号の説明】
【0043】
1:チップ部品 、2:基板、3:接合材、4:搭載ステージ、5:XY補正ステージ、6:ヘッド認識カメラ、7:Zステージ、8:Z駆動機構、9:変位計測機構、10:θ補正ステージ、11:コントローラ、12:ステージ認識カメラ、13:透明カバー、21:チップ部品搭載部電極、22:基板基準電極、23:台座、41:台座逃げ用切欠き、42:搭載ステージ(左)、43:搭載ステージ(中)、44:搭載ステージ(右)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ部品を設置する搭載ステージと、前記搭載ステージを水平方向に駆動するXY補正ステージと、
接合材を供給された基板を保持した上で垂直方向に駆動して、前記基板に前記チップ部品を搭載可能なZステージおよびその駆動に用いるZ駆動機構と、
前記Zステージの垂直方向の変位を測定する変位計測機構と、前記Zステージを駆動する前記Z駆動機構および前記変位計測機構に接続して、前記変位計測機構の計測結果に基づいて前記Z駆動機構を制御可能なコントローラとを備えたチップ部品接合装置であって、
前記基板の前記チップ部品の搭載面上の任意の基準位置を有し、前記チップ部品の前記基板に搭載される面と反対側の面との距離を所定の寸法に制御した上で、前記チップ部品を前記基板に搭載することを特徴とするチップ部品接合装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたチップ部品接合装置を用いたチップ部品接合方法であって、
前記チップ部品の前記基板への実装面と反対側の面を前記搭載ステージの上面に密接するように固定し、前記チップ部品に前記基板を搭載加圧する前記Zステージの下面に固定された前記基板の基準位置を、前記搭載ステージの上面に接触させた時の前記変位計測機構により計測された前記Zステージの変位を記憶し、
その後、前記チップ部品の前記基板への実装面と反対側の面と前記基板の基準位置を含む平面との距離を先に記憶した前記Zステージの変位の値に基づいて、所望の寸法になるように前記Zステージの変位を前記Z駆動機構を制御して補正した上で、前記チップ部品と前記基板とを前記接合材を介して接合することを特徴とするチップ部品接合方法。
【請求項3】
チップ部品を設置する搭載ステージと、
前記搭載ステージを水平方向に駆動するXY補正ステージと、
接合材を供給された基板を保持した上で垂直方向に駆動して前記基板に前記チップ部品を搭載可能なZステージおよびその駆動に用いるZ駆動機構と、
前記Zステージの垂直方向の変位を測定する変位計測機構と、
前記Zステージを駆動する前記Z駆動機構および前記変位計測機構に接続して前記変位計測機構の計測結果に基づいて前記Z駆動機構を制御可能なコントローラとを備えたチップ部品接合装置であって、
前記基板上に設けられ、前記基板の前記チップ部品の搭載面と平行かつ法線の方向が同じ方向である基準面を有する台座の基準面を有し、前記チップ部品の前記基板に搭載される面と反対側の面との距離を所定の寸法に制御した上で前記チップ部品を前記基板に搭載することを特徴とするチップ部品接合装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたチップ部品接合装置を用いたチップ部品接合方法であって、
前記チップ部品の前記基板への実装面と反対側の面を前記搭載ステージの上面に密接するように固定し、前記チップ部品に前記基板を搭載加圧する前記Zステージの下面に固定された前記基板に設けられた前記台座の基準面を前記搭載ステージの上面に接触させた時の前記変位計測機構により計測された前記Zステージの変位を記憶し、
その後、前記チップ部品の前記基板への実装面と反対側の面と前記台座の基準面との距離を先に記憶した前記Zステージの変位の値に基づいて所望の寸法になるように前記Zステージの変位を前記Z駆動機構を制御して補正した上で前記チップ部品と前記基板とを前記接合材を介して接合することを特徴とするチップ部品接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−35109(P2011−35109A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178915(P2009−178915)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】