ツースピードトランスミッション及びベルトドライブシステム
【課題】2速変速比及び出力プーリ若しくは補機プーリ比の組合せにより、エンジンスピードに関して補機のスピードを制御するベルトドライブシステムの提供。
【解決手段】ツースピードトランスミッション100は、入力キャリア20に接続された入力プーリ10、サンギア18、及びリングギア17を備えるプラネタリギアトレーンを備える。サンギア18は電磁ブレーキ部材190と係合される。リングギアは出力プーリ30と係合される。ワンウェイクラッチ22は入力キャリアと出力シャフト31との間に設けられる。ブレーキ部材190はエンジンアイドル時に係合され、アイドル以上のエンジンスピードで解放される。ブレーキ部材が係合されるときサンギアは回転せず、それにより入力プーリよりも速いスピードでリングギア及び出力プーリを駆動する。
【解決手段】ツースピードトランスミッション100は、入力キャリア20に接続された入力プーリ10、サンギア18、及びリングギア17を備えるプラネタリギアトレーンを備える。サンギア18は電磁ブレーキ部材190と係合される。リングギアは出力プーリ30と係合される。ワンウェイクラッチ22は入力キャリアと出力シャフト31との間に設けられる。ブレーキ部材190はエンジンアイドル時に係合され、アイドル以上のエンジンスピードで解放される。ブレーキ部材が係合されるときサンギアは回転せず、それにより入力プーリよりも速いスピードでリングギア及び出力プーリを駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はツースピードトランスミッション及びベルトドライブシステムに関し、特に補機プーリ及び電磁ブレーキを有するツースピードトランスミッションの複合物を用いる、車両のエンジンベルト駆動システムに関する。各々の補機プーリと協働するツースピードトランスミッションの出力プーリは、エンジンアイドル時にはエンジンスピードと実質的につり合う第1のスピードで、そしてエンジンスピードがエンジンアイドルスピードよりも実質的に速い間は、第1のエンジンスピードよりも遅いスピードで、エンジンの補機を駆動する。またトランスミッションは、エンジンとモータジェネレータとの間に設けられる減速ユニットをも提供する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンは、エンジン及び車両の操作に用いられる、特定の補機を一般的に備える。それらの補機は、パワーステアリングポンプ、空調機用コンプレッサ、オルタネータ、オイルポンプ、燃料ポンプ等を含みうる。これらの補機は、サーペンタインベルトにより一般的に駆動される。サーペンタインベルトはエンジンのクランクシャフトと同様に、それぞれの補機上のプーリと係合する。エンジンのクランクシャフトは補機を駆動するためのトルクを供給する。
【0003】
ベルトがクランクシャフトによって駆動されると、車両の加速及び減速の間におけるエンジンスピードの変化に必然的にさらされる。言い換えると、補機の動作スピードはエンジンのスピードに直接つり合う。エンジンスピード、特にアイドルよりも速いエンジンスピードにおける変化は、それぞれの補機が全てのエンジンスピードの範囲に渡って申し分なく動作するように設計されるために、補機の不十分な動作となる。これは、効率がエンジンスピードの範囲の多くにおいて最適以下であることを必然的に意味する。それゆえ、いくつかのあるいは全ての補機が、より低くそしてより狭い最適スピード範囲で駆動されうるように、エンジンクランクシャフトから解放されることが望ましい。さらに、比較的高いスピードで補機を駆動することは、補機が低いスピードで駆動される場合よりもエンジンにより大きな負荷をかける。
【0004】
従来技術を代表するものは、要求に応じてオルタネータのスピードを増加させるための自動車用オルタネータのような、自動車用補機の表面に取り付けられるに適したツースピードギアボックスを開示する、スミスに付与された米国特許第4,862,770号(1989年)である。
【0005】
スミスにおいて開示されるクラッチアセンブリは、円筒の外側表面を取り巻くブレーキバンドを備える。ブレーキバンドは、ブレーキバンドを係合し又は解放する機械的真空手段により動かされる。そのようなシステムは真空の喪失、例えば真空ホースの損傷、あるいはブレーキバンドと円筒表面との間の円筒面上の汚れにより、悪い影響が与えられ得る。
【0006】
従来技術のトランスミッションは、アイドル以上にエンジンスピードが増加したときに、駆動される補機のスピードを比例して減速するように設計される。これは、補機の動力必要量を減少させる。しかしながら、アイドル以上のエンジンスピードと比較するとスピード低下なく、アイドルにおいて補機は1:1基準で動かされる。
【0007】
近年、走行中の車両が停止した後にエンジンを止め、そして車両が再度動かされるための状況が満たされた場合にエンジンを再始動するための、エンジン自動停止始動装置が知られている。エンジン自動停止始動装置は、車両が停止される間エンジンへの燃料供給が中断されるように設計され、燃料消費量の削減となる。
【0008】
従来技術を代表するものは、エンジンのドライブシャフトとモータの回転シャフトとの間で動力伝達を可能/不可能にするために、エンジンのドライブシャフトとモータの回転シャフトとの間に設けられる接続切替装置と、動力伝達を可能/不可能にするための接続切替装置の機能を制御するトランスミッションコントローラを備えることにより、車両が停止されるときにモータを動かすシステムとを開示する、ツジらに付与された米国特許第6,048,288号(2000年)である。エンジンが停止される一方で補機がモータによって動かされるとき、制御は、モータの回転シャフトの回転がエンジンのドライブシャフトに伝達されないように機能する。補機はエンジンを動かすことなく、モータによって動かされる。
【0009】
必要なものは、ツースピードトランスミッション比及び、出力プーリ若しくは補機プーリの比の組合せにより、エンジンスピードに関して補機のスピードを制御する、ベルトドライブシステムである。必要なものは、エンジンの状態に関して制御される電磁ブレーキを備える、ツースピードトランスミッションである。必要なものは、同軸入力及び二重出力を有するツースピードトランスミッションである。必要なものは、エンジンとモータジェネレータとの間に配される減速装置を有する、モータジェネレータシステムである。本願発明は、これらの要求に合致する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の特徴は、ツースピードトランスミッション比及び、出力プーリ若しくは補機プーリの比の組合せにより、エンジンスピードに関して補機のスピードを制御する、ベルトドライブシステムを提供することである。
【0011】
本発明の他の特徴は、エンジンの状態に関して制御される電磁ブレーキを備える、ツースピードトランスミッションを提供することである。
【0012】
本発明の他の特徴は、同軸入力及び二重出力を有する、ツースピードトランスミッションを提供することである。
【0013】
本発明の他の特徴は、エンジンとモータジェネレータとの間に配される減速装置を有する、モータジェネレータシステムを提供することである。
【0014】
本発明の他の特徴は、本発明に関する以下の記述および添付された図面により指摘され、あるいは明らかにされる。
【0015】
本願発明は、トランスミッションを利用するツースピードトランスミッション及びベルトドライブシステムを備える。ツースピードトランスミッションは、入力キャリア及びサンギア及びリングギアに接続される入力プーリを備えるプラネタリギアトレーンを備える。また、入力キャリアは、サンギアとリングギアとの間に設けられる複数のプラネタリギアを備える。サンギアは電磁ブレーキ部材と係合する。リングギアは出力プーリと係合する。ワンウェイクラッチは入力キャリアと出力シャフトとの間に設けられる。ブレーキ部材はエンジンアイドル時に係合され、エンジンスピードがアイドル以上のときに外される。ブレーキ部材がサンギアに係合されるときサンギアは回転せず、それにより入力プーリよりも速いスピードでリングギアと出力ギアが駆動される。補機プーリは、アイドルにおいてエンジンスピードとつり合う補機スピードである、トランスミッション出力プーリと共に動作する。アイドル以上のエンジンスピードでは、トランスミッションは解放され、出力プーリと補機プーリの比が、エンジンスピードより低速で、ベルト駆動補機を駆動する。また、補機は、出力プーリと結合する出力シャフトに直接接続されうる。トランスミッションは、エンジンとモータジェネレータとの間に設けられる減速装置を供給することにより、モータジェネレータシステムと共に用いられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、ツースピードトランスミッションの断面図である。ツースピードトランスミッション100は、車両用内燃エンジンに用いられる形式の、ベルト駆動補機ドライブで用いられる。ツースピードトランスミッションは、例えば工業機器あるいは二、三又は四輪駆動車のトランスミッションを駆動するために、ツースピードトランスミッションが必要とされる様々な適用物で用いられ得る。
【0017】
トランスミッション及び関連する制御システムは、エンジンの燃料効率と駆動輪で利用できる出力ドライブトルクとを最適化するため、エンジンスピードに基づいて、補機スピードを自動的に制御する。トランスミッションは非常にコンパクトであり、補機、例えばパワーステアリングポンプ、オルタネータ、あるいは空調機用コンプレッサに直接取り付けられ得る。この構成では、補機はエンジンブロックに接続される。
【0018】
ツースピードトランスミッション100は入力キャリアに設けられるプラネタリギアを備える。トランスミッション入力シャフト及び出力シャフトは同軸である。電磁ブレーキはサンギアの回転を制御するために用いられ、それにより出力シャフトのスピードを制御する。
【0019】
無端伝動ベルトは、エンジンクランクシャフトCR、図12参照、のようなドライバプーリとトランスミッション入力プーリ10との間で駆動的に係合する。ベルトは、従来公知であるVベルト又はマルチリブドベルトを備えうる。ベルトは、従来公知であるチェーン又は歯付きベルトにより置換されうる。
【0020】
入力プーリ10は、従来公知であるファスナを用いて入力キャリアに接続される。入力キャリアは、入力キャリア部11と、入力キャリア部11、プラネタリギア部材15及び入力シャフト200に対向して設けられる入力キャリア部20とを備える。複数のシャフト21は部位11と部位20との間を相互に連結する。それぞれのプラネタリギア部材15はシャフト21に軸支される。入力キャリア部20は入力シャフト200に接続される。
【0021】
ラビリンスシール26は出力プーリ30に接続される。Oリングシール25はシャフト19と入力キャリア部11との間に設けられる。それぞれのシールは従来公知であり、プラネタリギアセットにゴミが入ることを防止する。
【0022】
リングギア17及びサンギア18は、プラネタリギア15と係合するようにかみ合うギアを有する。サンギア18はシャフト19の上に設けられる。リングギア17は出力プーリ30の上に設けられる。シャフト19は入力シャフト200及び出力シャフト31に対して同心で回転する。プラネタリギア15、サンギア18,及びリングギア17は直線切りギアを備える。直線切りギアの使用は、他方で螺旋状のギアと共に必要とされるスラストギアへの必要性を無効にする。これは、プラネタリギアトレーンのコストを著しく低減する。
【0023】
ブレーキ40は、摩擦回転停止係合のために、ハウジング52、電磁コイル41,及び軸方向に動作するブレーキシュー190を備える。コイル41が電気的に作動されたとき、シャフト19のブレーキシュー190はコイル41と摩擦係合し、それによりサンギア18の回転が停止する。
【0024】
入力シャフト200は、ベアリング23、24の上でブレーキハウジング52に軸支される。ベアリング23、24は従来公知であるボールベアリングを備え、ブレーキ40に対して適切な支持を与えるために用いられる。従来公知である他のベアリング、例えばニードル又はコーンベアリングもまた用いられ得る。
【0025】
ブレーキ40は、部位190と係合して回転を止め、それにより、シャフト19及びサンギア18の回転を止めるため、エンジンスピード信号に基づいて電磁的に作動させられる。ブレーキ40は係合され(シャフト19が停止)るか、あるいは解放される(シャフト19が回転)。ブレーキ40はエンジンアイドルで係合され、エンジンスピードがアイドル以上である間は解放される。電力は、車両電子システムから電線410によりブレーキ40のコイルに伝達され、12V又は42V又はいくつかの望ましい電圧のうちいずれかであり得る。
【0026】
リテーナクリップ230、231,及び240は、入力シャフト200上の適切な位置にベアリング23、24を保持する。また、クリップは、入力シャフト200をブレーキハウジング52に関して適切に離間するように保持する。
【0027】
シャフト19は、スリーブベアリング50の上で入力シャフト200に軸支される。スリーブタイプベアリングは、ブレーキ40が係合されたとき、すなわち入力シャフト200が回転してシャフト19が固定されるときに、アイドルでの放射方向における負荷が最小となるため、この用務に十分な能力を有する。スピードがアイドルよりも速いとき、ブレーキ40は解放され、シャフト19は、ワンウェイクラッチ22の働きにより入力シャフト200と共に一致して回転する。すなわちシャフト19と200との間に回転差は無い。ハウジング52はエンジンブロック又は他の取付面に、ボス53、54を介して係合するボルト、螺子又はスタッドのような公知のファスナを用いて取り付けられ得る。
【0028】
ワンウェイクラッチ22は入力シャフト200及び出力シャフト31との間に設けられる。ワンウェイ、すなわちスプラグクラッチ22は、従来公知の形式、例えばワーナーエレクトリック/フォームスプラグから入手可能であるモデルGFK5904である。
【0029】
プラネタリギア15、ベルト受け面33、ベアリング50、及びワンウェイクラッチ22は、回転軸A−Aに関して放射方向の実質的な同一平面上にある。この配列は、より軸的にずれた配列によって引き起こされる、トランスミッションの出力部に加えられうる曲げモーメントを最小化又は除去する利点を有する。
【0030】
出力シャフト31の端部32により、補機が出力シャフト31に直接接続されることが出来る。端部32は、例えばキー付き、キー無し、又はスプライン結合による従来公知のいかなるカップリングとでも用いられ得る。補機は、例えばボルト、スクリュー、といった公知のファスナを用いてハウジング52に直接接続される。図11参照。補機はオルタネータ、空調機用コンプレッサ、パワーステアリングポンプ、燃料ポンプ、オイルポンプ、又はいかなる他の回転する補機を備えうる。直接連結される補機は、出力プーリ30と同じスピードで駆動される。
【0031】
出力プーリ30は、ベルトドライブシステムにおいて、他のベルト駆動補機にトルクを伝達する、無端動力伝達ベルトと係合する。図12参照。
【0032】
動作時において、動力伝達ベルトB1は、入力プーリ10にトルクを伝達するクランクシャフトプーリCRのようなドライバと係合する。トランスミッション出力プーリ30は、他のベルト駆動補機へ駆動するように接続される第2無端ベルトを介してトルクを伝達する。
【0033】
トランスミッションはエンジンスピードに基づく2つのモードのうちの1つで動作する。ブレーキの状態はエンジンスピードの作用である。すなわち、出力プーリのスピードは、ブレーキがエンジンに係合され又は解放されるかどちらかによってある程度決定される。
【0034】
ブレーキ40が係合されたとき、シャフト19はトランスミッションハウジングに関して静止するように固定される。すなわち、シャフト19は回転しない。一方、サンギア18は回転しない。入力キャリアは、静止するサンギア18上のプラネタリギア15を駆動する。プラネタリギア15の回転は、出力プーリ30及び出力シャフト31を次々に駆動するリングギア17を次々に駆動する。このモードにおける入力/出力プーリのスピード増加率は、サンギア及びリングギアの相対的な直径に依存する、約1.1から3.0の範囲である。好ましいスピード伝達比は約1.3から1.8の範囲であるが、この範囲外の比は特定のシステムにより必要とされる場合に使用されうる。スピード伝達比は、トランスミッションプラネタリギアセットのみの比であり、クランクシャフトCRプーリと入力プーリ10との間の比と同様に、出力プーリと補機プーリとの間のプーリ比を含む、プーリの比に依存しない。
【0035】
第1の動作モードでは、エンジンが始動され又はアイドルスピードで動作するとき、ブレーキ40は係合される。ブレーキは、エンジンコントロールユニット500から供給されるエンジンスピード信号により電気的に係合され、あるいは解放される。ユニット500は、CPU、RAM、ROM、双方向通信バス、インターフェース回路(信号変換回路及び同等物)、及びメモリを含む公知のユニットと共に提供されるコンピュータシステムとして形成されうる。ユニット500は、センサ、又はタコメータ600若しくは近接感知計のような従来公知である回転スピード検出のための他の同様の計器からエンジンスピード信号を受信する。
【0036】
エンジンが停止されるとき、ブレーキ40は係合されない。キーがエンジンを始動させるために挿入されると、ブレーキ40はスタータがエンジンを始動させる前に作動される。しかしながら、エンジン始動を容易にするため、ブレーキ40はエンジンが始動するわずか後に作動されうる。この場合、ワンウェイクラッチは出力シャフトを駆動し、補機はアイドルに必要なスピードよりも低速で駆動されるため、エンジン始動に必要な力を最小にする。ブレーキが解放されるとき、補機は、出力プーリ30と補機プーリとの間におけるプーリ比に従った低速で駆動される。エンジン始動とブレーキ作動との間の遅延時間は、約0.5から1.0秒である。この時間が経過後にブレーキ40は係合される。より詳しくは、エンジン始動時には、あるいはエンジンスピードが望ましいレベル、例えば約1200−1500RPMよりも低いときには、エンジンコントロールユニット500により検出されたスピード信号はコントロール信号を生成する。コントロール信号はブレーキを作動し、それによりサンギア18の回転を止める。前述したように、これは、出力シャフト30が、駆動される入力シャフト10よりも速いスピードで、プラネタリギアを介して駆動されることになる。もっとも、ブレーキ40が作動されるときのエンジンスピードは、エンジンの特性及び求められる動作特性に基づいて選択される。
【0037】
この明細書では、エンジンアイドルスピードは約800RPMである。ブレーキが係合され又は解放されるときのトランスミッションスピードは、補機スピードがアイドル時に最低要求スピード以下に著しく低下しない、約1200−1500RPMであり、それにより一以上の補機が例え一瞬でも余りにゆっくりと駆動される状況を回避する。
【0038】
第2の動作モードは、エンジンがエンジンアイドル時よりも速いスピードで動作しているとき、例えば巡航、又はあらかじめ定められたエンジンスピード、例えば1200−1500RPMを超えるときである。選択されたスピードがユニット500により検出されると、ブレーキ40が解放される。ブレーキが解放されると、シャフト19はロックが外され、サンギア18は入力キャリアと一致して回転する。ワンウェイクラッチ22は係合され、それにより入力シャフト200と1:1基準で出力シャフト31を駆動する。
【0039】
しかしながら、トランスミッション比はベルト駆動補機の駆動スピードを決定する全体のシステムの一部に過ぎない。それぞれの補機の回転スピードは、補機プーリの直径及び出力プーリ30に関する直径の比によって部分的にそれぞれ決定される。それゆえ、加えられるエンジンスピードに対するファイナルベルト駆動補機スピードは、ドライバプーリ(クランクシャフト)の直径、入力プーリ10の直径、トランスミッション比、出力プーリ30の直径、および補機プーリの直径の関数である。これらの変数のそれぞれは、望ましいファイナルドライブ比とそれによるベルト駆動補機スピードを与えるため、選択及び合算される。ファイナルドライブ比は、既知のクランクシャフト(エンジン)スピードに対する補機スピードを決定する。
【0040】
典型的なドライブシステムでは、本発明によるトランスミッションは、本発明によるトランスミッションを有さない同種のエンジンと比較して最大約5%の幅で燃費低減を提供する。アイドルよりも速いエンジンスピードにおける本発明によるシステムは、補機の回転スピードを減少する。このことは、加速時間の改良や車輪で用いられ得る力の増加を含む、エンジン及び車両の性能を改善する。
【0041】
2.0リッターエンジンを用いる典型的なシステムでは、本発明によるシステムは以下に示す動作特性を有する。
【0042】
【0043】
第一列では、従来のドライブ及びツースピードトランスミッション(ツースピードモジュール)を用いるドライブシステムで用いられるようなそれぞれのプーリに対して、mmで直径が与えられる。名称は以下の通りである。”Crank”−クランクシャフト、”AC”−空調機、”PS”−パワーステアリング、”Alt”−オルタネータ、”WP”−ウォーターポンプ。この実施形態におけるシステムでは、空調機(AC)はトランスミッションの出力シャフト31に直接接続されるが、補機のいずれかは出力シャフト31に直接接続されうるため、これに限定されることを意図しない。参照の容易のため”アイドル”として参照されるエンジンスピードでは、ツースピードトランスミッションは係合され、それゆえブレーキ40は係合される。本実施形態における”アイドル”は、約800RPMに任意に設定される。トランスミッション比は約1.57である。アイドルにおける、ツースピードトランスミッションにより駆動されるときの補機のスピードは、同等の”従来のドライブ”と同じである。”従来のドライブ”は、ツースピードトランスミッションなしでクランクシャフトと直接係合する、従来技術によるドライブである。
【0044】
アイドルよりも速いエンジンスピードにおいて、本実施形態における2500RPMでは、ブレーキ40は解放される。それゆえ、ワンウェイクラッチ22は、入力プーリ10と出力プーリ30とが一致して回転するように動作可能である。入力プーリ10及び出力プーリ30はそれぞれ1458RPMで回転する。しかしながら、それぞれの補機に対するプーリの直径により、それぞれの補機は、従来技術によるシステムと比較して相対的に遅いスピードで回転する。これ、及びアイドル時における後述する実施形態において、ブレーキ40が係合されたときにトランスミッションによって引き起こされる1.57xの相対的なスピード増加を、出力プーリ30とそれぞれの補機プーリとの間のそれぞれのプーリ比が効果的に打ち消すように、プーリの直径は選択される。
【0045】
エンジンアイドルでのオルタネータに対する2.0Lエンジンの例におけるファイナルドライブ比は、約2.33(1866RPM/800RPM)である。”オフアイドル”エンジンスピードでのオルタネータに対するファイナルドライブ比は、約1.48(3705RPM/2500RPM)である。本発明によるシステムは、エンジンスピードに反比例の関係であるベルト駆動補機についてのファイナルドライブ比を伝える。また、エンジンスピードに対するプーリドライブ比における反比例の関係は、直接接続され、トランスミッションにより駆動される補機、すなわちクランクシャフトプーリ及びトランスミッション入力プーリにも適用される。
【0046】
アイドルよりも速いエンジンスピードでは、ブレーキ40が解放されワンウェイクラッチ22が固定されるとき、本発明によるシステムは完全な支配権が与えられる。入力プーリ10及び出力プーリ30は一致して回転する。補機プーリと組み合わされたこのシステムは、補機回転スピードを従来公知のシステムと比較して減少する。この方法で補機スピードを減少させることは、エンジンの全体としての燃料効率を著しく増加する。また、車輪に利用されるトルクを増加する。もちろん、プーリ比はいかなるエンジン補機駆動の構成に適応させるために選択されうる。
【0047】
他の実施形態では、5.3リッターエンジンシステムが説明される。
【0048】
【0049】
本実施形態では、トランスミッション比は約1.57である。本実施形態におけるアイドルスピードは、前述の実施形態における800RPMと比較されるように、約650RPMである。エンジンアイドルでのオルタネータに対する本実施形態におけるファイナルドライブ比は、約3.26(2121.6RPM/650RPM)である。”オフアイドル”エンジンスピードでのオルタネータに対するファイナルドライブ比は、約2.07(3110RPM/1500RPM)である。
【0050】
それぞれの実施形態では、出力シャフト31に直接接続されるA/Cに関し、直接接続される補機のエンジンアイドルでのスピードは、トランスミッション比によって変更されるクランクシャフトプーリと入力プーリ10との間のプーリ比に一致する。エンジンアイドルを超過するエンジンスピードでは、直接接続される補機のスピードは、クランクシャフトプーリと入力プーリ10とのプーリ比に一致する。アイドルを超過するエンジンスピードでは、プラネタリギアは操作されずに出力シャフトの全ての回転はワンウェイクラッチ22により引き起こされるため、トランスミッション比に起因する効果が付加されない。
【0051】
本発明のシステムにおけるトランスミッションのデューティーサイクルは、約5%であり、これはトランスミッションが時間の約5%、基本的にはエンジンがアイドルしているときに動作する(すなわち、ブレーキが係合されるとき)ことを意味する。デューティーサイクルは、エンジンの稼働状況に依存し、好ましくは約4%から10%までの範囲であり、約25%から30%と同じくらい高いこともあり得る。一方、先行技術によるシステムは、エンジンがアイドルよりも速いスピードで稼働しているときにトランスミッションを稼働するため、逆数のデューティーサイクル(〜95%)を有する。トランスミッションの稼働寿命を延ばすため、低いデューティーサイクルは好ましい。術語アイドルは参照の容易のために用いられ、本発明を特定のエンジンスピードに限定することを示すことを意図しない。アイドルスピードは様々な車両及びエンジンタイプにより異なりうる。
【0052】
システムは複数の補機をエンジンスピードのいかなる範囲においても2つの異なったスピードで駆動しうる。第1の利用できる補機スピードは、出力シャフト31に直接接続される補機のスピードである。第2の補機スピードは、トランスミッション比、及びトランスミッション出力プーリ30若しくは特定のドリブン補機プーリのそれぞれのプーリ比によってさらに決定されるような、ベルト駆動補機のスピードである。
【0053】
補機は、2つの利用可能な動作スピードの有益な効果を最適化するために、ベルトドライブシステム内に置かれ、選択される。例えば、空調機又はオルタネータはトランスミッション出力シャフト(32)に直接接続されうるが、一方、パワーステアリングポンプ又はウォーターポンプのような、他のベルト駆動補機は出力プーリ30から第2のベルトによって異なるスピードで駆動される。
【0054】
革新的なコンパクトデザインは、完全に出力プーリ30のベルト係合面33の幅(W)の中にプラネタリギアトレーンを設けることにより実現される。サンギア18のためのブレーキシュー190は、入力プーリ10にぴったりと隣接して設けられる。それにより、トランスミッションの全体の厚さは、実質的にプーリ10,プーリ30、の幅、及びブレーキ40の幅の関数である。電気的サービス要件、状況により、ブレーキ40は入力プーリ10の幅(W2)の幅に完全に含まれうる。それにより、トランスミッションの全体の幅は、可能な限り近接する入力及び出力プーリの幅によって実質的に制限される、最低限界を有する。例えば、約45mmと同じくらい小さい、端から端までのトランスミッション全体の厚さを提供することができる。フロントエンド補機ドライブに少なくともベルト1本の幅が与えられたと想定すると、本発明によるトランスミッションは約30mmの追加クリアランススペースを必要とするのみで燃料効率をかなり向上させ、そして、特定の場合には出力ベルトB2の全体の幅に基づいて20mm以下が必要とされる。
【0055】
図2はツースピードトランスミッションの断面図である。入力キャリア部11及び入力キャリア部20はファスナ201により部材27と互いに結合される。部材27は入力キャリアの周囲に設けられる。図4参照。入力プーリ10、入力キャリア部11,入力キャリア部20、及び入力シャフト200は入力回転アセンブリを構成する。図1に示すように、プラネタリギア15は入力キャリアシャフト21に軸支される。ブレーキ40が解放されるとワンウェイクラッチ22は係合し、それにより出力シャフト31を駆動する。ブレーキ40が係合されると、出力シャフト31は入力シャフト200のスピードよりも速いスピードで回転するために、ワンウェイクラッチ22は解放される。
【0056】
図3はプラネタリギアキャリアの斜視図である。プラネタリギア15は、部材27の間に相互に挿入されるキャリアの周囲に設けられる。ファスナ201は部位11を部材27に接続する。
【0057】
図4はキャリア上のプラネタリギアの部分斜視図である。それぞれのプラネタリギア15は、ニードルベアリングあるいはスリーブベアリングのような従来公知であるベアリング210の上でシャフト21に軸支される。ベアリングの選択は業務の状況に依存する。
【0058】
図5はプラネタリギアベアリング及びキャリアスリーブベアリングの部分斜視図である。それぞれのプラネタリギアベアリング210はプラネタリギア15とシャフト21との間に設けられる。キャリアスリーブベアリング50は入力シャフト200及び出力シャフト31との間に設けられる。
【0059】
図6はキャリア及び出力プーリの部分斜視図である。トランスミッションのコンパクトデザインにより、プラネタリギアキャリアが出力プーリの幅の中に完全に納められる。入力シャフト200は、出力シャフト31が設けられる孔202を備える。
【0060】
図7はキャリア、出力プーリ、及び入力プーリの部分斜視図である。ファスナ12は入力プーリ10を入力キャリア部11に取り付ける。また、入力プーリ10も、仮付け溶接又は従来公知である他の適する接続手段によって、入力キャリア部11に取り付けられる。
【0061】
図8はキャリアブレーキシュー及び出力プーリの部分斜視図である。ブレーキシュー190は、コイル41が起動されたときにコイル41と摩擦係合する、放射方向に延びる表面を備える。シュー190のコイル41との係合はサンギア18の回転を止める。ブレーキシュー190は入力プーリ10の幅の中に実質的に収容される。
【0062】
図9はベアリング及びキャリアブレーキシューの部分斜視図である。ベアリング23、24はブレーキハウジング52上に入力シャフト200を支持する。
【0063】
図10はコイルを有するトランスミッションの斜視図である。ブレーキ40は軸周りに回転し、入力シャフト200をベアリング23、24上に支持する。ボス53、54はトランスミッションを取付面に接続するためにファスナと共に用いられる。
【0064】
図11は、オルタネータ700に接続されたツースピードトランスミッションの断面図である。オルタネータ700は出力シャフト31に直接連結される。いかなる他の補機も同様にしてトランスミッションに直接接続されうるため、オルタネータ700は単に例として用いられる。直接連結は、シャフト31上の溝703を用いることにより達成されるが、その役目に適したシャフト連結のいかなる形状、及び従来公知のものも好ましい。
【0065】
タブ702はトランスミッション及びオルタネータから延びる。ファスナ701はタブ702と接続する。ファスナ701は、例えば、スクリュー、ボルト、又はスタッドを備える。従来公知の方法により、オルタネータ700は車両電子システムに電気的に接続される。
【0066】
図12はベルト駆動補機ドライブの概略図である。ベルトB1はクランクシャフトプーリCRと入力シャフト10との間で動的に係合される。ベルトB2は出力プーリ30と補機プーリA2及びA3との間で動的に係合される。ベルトB1及びB2は、それぞれマルチリブド形状を備える。図2参照。補機A1はトランスミッション100に直接連結される。補機A1はオルタネータ700を備える。ベルトテンショナTはベルトB2に張力を加える。テンショナTは、非対称テンショナ、Zタイプ、あるいは線形テンショナを含む従来公知のいかなるテンショナであってもよい。
【0067】
非対称テンショナはテンショナアームに軸支されるプーリを備える。非対称テンショナは、第2の方向よりも第1の方向において大きい減衰力を有する、減衰機構を備える。
【0068】
他の実施形態では、ベルトB1又はB2のどちらか、あるいは両方が、従来公知である低弾性ベルトを備える本発明によるシステムにおいて用いられる。低弾性ベルトは、ナイロン4.6又はナイロン6.6又はこの2つの組合せを備える伸張ひもを有するベルトである。ベルトの弾性率は、約1500N/mmから約3000N/mmの範囲である。低弾性ベルトの特徴は、テンショナあるいは可動シャフト補機無くベルトドライブシステムに取り付けられ得ることである。低弾性ベルトは従来公知であるベルト取付工具を用いて単純に取り付けられる。工具は、プーリシャフトの中心位置を他の方法で調節する必要なく、トランスミッションプーリ又は補機プーリの角にベルトを曲げ、又は水平方向に押しつけるために用いられる。エンジンブロックのようなエンジン取付面に直接接続される単純なトランスミッションの設計よりも高価となり得る、他の方法でベルトB1を可動に取付及び調節する方法でトランスミッションを取り付けるため、低弾性ベルトは、ベルトB1に特に適している。さらに、クランクシャフトに関してトランスミッションシャフトの位置を調節することは、同様に組立時間を消費する。
【0069】
他の実施形態においてもなお、チェーンがベルトの位置において用いられ得る。
【0070】
もちろん、トランスミッション100及び補機のうち1つ又は全ては、取り付ける間にシャフトの位置が調節される従来公知の調節可能取付手段と共に提供される。
【0071】
図13は、ジェネレータモータ適用物に用いられる本発明の一実施形態によるトランスミッションの概略図である。オートマチックトランスミッション(”A/T”)2はエンジン(”E/G”)1に隣接して設けられる。モータジェネレータ300(”M/G”)はモータ及び発電機として提供される。エンジンクランクシャフト3、及びM/Gのシャフト31若しくはシャフト200は、互いに平行に設けられる。M/G300は、この明細書中の他の所に記載されるように、トランスミッション100に直接接続される。トランスミッション100は、シャフト200の回転スピードが減速され、クランクシャフト3に伝達されるように、M/G300とクランクシャフト3との間に機械的に設けられる。プーリCRはクランクシャフト3に接続される。プーリ10はこの明細書に記載されるように、トランスミッション100に接続される。ベルトB1はプーリCRとプーリ10との間に配置される。プーリ30はM/G300のシャフト31に直接接続される。プーリ10はプラネタリギアセットによってシャフト200に動作可能に接続される。
【0072】
パワーステアリングユニット及びエアーコンディショナ用のコンプレッサA/Cは、それぞれエンジンベルトドライブシステムに含まれる補機である。プーリA2及びA3は、ポンプP及びコンプレッサA/Cの回転シャフトにおけるそれぞれの端部に固定される。ベルトB2は、プーリ30、A2、及びA3の間に係合される。プーリ30、A2、A3、そしてベルトB2は、M/G300の回転をそれぞれの補機に伝達するためのパワー伝達手段を構成する。
【0073】
インバータ400はM/G300に電気的に接続され、M/G300がモータモードで使用されるとき、M/G300のスピードを調節するため、バッテリ800からM/G300へ供給される電気エネルギーの量を変化させるように設計される。
【0074】
M/G300は、A/Tのために電子クラッチ191を介してオイルポンプ194に接続される。オイル注入パイプ192はオイルポンプ194に接続される。オイル排出パイプ193はオイルポンプ194に接続される。オイルポンプ194はエンジン潤滑システム(図示しない)に接続される。前述の構造は、エンジンが停止している間、M/G300が、電子クラッチ191を係合させることによってオイルポンプ194を操作することを可能にする。A/Tの中に設けられるスターティングクラッチ(図示しない)は、エンジンを再始動するとき車両をなめらかに駆動するため、即座に係合されるように設計される。
【0075】
再度、図13を参照する。コントローラ500は、エンジン動作モード切替動作を制御するための信号、つまり電子クラッチ191へのON−OFF制御信号、及びトランスミッションの電子コイル41へのON−OFF制御信号をインバータ400に伝達する。また、コントローラ500は、車両やエンジンに設けられた様々なセンサから、車両制御状況及び/又はエンジン制御状況を表す信号を受ける。この信号は、M/G300のスピードを示す信号、エンジン動作モードを切り替える信号、エアーコンディショナの制御を切り替える信号、例えばエンジン1のスピードを示すエンジンステータス信号、車両のスピード及び類似のものを示す車両ステータス信号(図示しない)、車輪ブレーキステータス信号、エンジンスロットルポジション信号、及びシフトレバーにより選択された範囲を示すA/Tのステータス信号を含む。スロットルポジション信号は、加速、減速、無加速巡航、あるいはアイドルといった、エンジンに対するドライバの要求を示す、スロットルポジションに関係する。それぞれの信号はアナログ又はデジタルのどちらかである。
【0076】
前述の信号により示された情報に応じて、コントローラ500はメモリ900からデータを読み込む動作と、エンジン第1動作モード(エンジン稼働)又は第2動作モード(エンジン不稼働)を決定するための動作の演算とを行う。その後、コントローラ500は制御信号を、トランスミッションブレーキコイル41、インバータ400,及び電子クラッチ191に伝達する。コントローラ500は、CPU、RAM、ROM、双方向コミュニケーションバス、インターフェース回路(信号変換回路及びその類似品)、及びメモリ900を含む、公知のユニットにより提供されるコンピュータシステムとして形成される。
【0077】
以下、動作が記載される。初めに、M/G300はエンジン1を始動するために作動される。エンジン1を始動した後、M/G300はバッテリ800に電気エネルギーを蓄積するために発電機として動作する。エンジンが始動されると、コントローラ500はM/G300のスピードを検出する。さらに、コントローラ500は、エンジン1を始動するために必要とされるトルク及びスピードが実現されるように、インバータ400にスイッチング動作を行わせる。例えば、エンジン始動時に、エアーコンディショナA/Cをスイッチングするための信号がONに変えられると、A/CのOFF状態と比較してより強いトルクが必要とされる。それゆえコントローラ500は、M/G300がより速いスピードと共に強いトルクで回転するために、スイッチング制御信号をインバータ400へ加える。
【0078】
スイッチング制御信号は、エンジン1、A/T2及び車両の様々なステータス信号がコントローラ500に供給され、それによりメモリに記憶されたマップメモリと比較されて決定される。あるいは、スイッチング制御信号はコントローラ500内に設けられるプロセサユニット(CPU)によって行われる計算により決定されうる。
【0079】
エンジン停止信号がONに変えられると、コントローラ500は、エンジン1、例えば、電磁燃料ポンプ(図示しない)への燃料供給を中断する信号を伝達することにより、エンジン1を停止する。エンジン停止動作は、例えば、車両スピードがゼロ、ブレーキが部分的に又は完全にかけられ、あるいはシフトレバーがD又はN設定であるという状況の下で行われる。このように、プーリ10とエンジン1との間には力が伝達されない。この状況では、電子クラッチ191は、エンジン1がOFFである間、M/G300がオイルポンプ194を動作させるよう、接続状況にされる。これは、A/T2内に設けられるスターティングクラッチ(図示しない)が、エンジンを再始動するとき車両をなめらかに駆動するため、即座に係合されるように設計されるためである。
【0080】
例えエンジン1が停止されても、エアコンディショナ及びパワーステアリングが操作されることが必要である場合、コントローラ500は、パワーステアリングユニット用ポンプP、エアーコンディショナ用コンプレッサA/C、及びA/T2用オイルポンプ190の負荷に一致するスピードとトルクでM/G300を回転させるためのスイッチング制御信号をインバータ400へ加える。この場合、ブレーキ41はOFFあるいは解放される。
【0081】
車両が停止した状況からエンジン1が再始動されたとき、ブレーキコイル41はONに変えられ、それによりサンギア18の回転が止まり、モータモードにあるM/G300はエンジン1を始動させる。ブレーキコイル41は通電され、プーリ10が既定のスピードとトルクで回転する。このように、M/G300の回転力は、減速されたスピードでリングギア17からキャリア11に、そしてそれによりプーリ10に、またそれによりクランクシャフトプーリCRに伝達される。
【0082】
M/G300が発電機として用いられ、及び/又は補機が稼働する一方で、エンジン1が第1動作モードで動作するとき、ブレーキコイル41はOFFに変えられてワンウェイクラッチ22は係合状態にある。このように、M/G300及びプーリ10は、プーリ10の回転がクラッチ22を介しシャフト31を経由してM/G300に伝達されるように、互いに回転可能に接続される。
【0083】
ポンプP及びコンプレッサA/CがモータモードにあるM/G300により操作されル一方で、エンジン1が停止されるとき、ブレーキコイル41はOFFに変更される。この第2の動作モードでは、エンジン1は停止され、ピニオンギア15及びサンギア18は自由に回転する。キャリア11及びプーリ10は停止されたクランクシャフトプーリCRと係合するベルトB1と係合されるため、回転しない。ブレーキコイル41はOFFであるため、サンギア18はリングギア17及びプーリ30と反対方向に回転する。実際には、この構成はあたかもトランスミッション100が”ニュートラル”ギアに置かれているかのように動作し、それによってプーリ30からプーリ10へのトルクの伝達を妨げる。
【0084】
トランスミッション100は、選択されたモードに従ってエンジンからトルクを受け、又はエンジンへのトルク伝達を制御する、クラッチの一部として動作する。
【0085】
図14は、他のジェネレータモータ配置における本発明のトランスミッションの概略図である。一般に、本実施形態における構成要素とその関係は図13に記載され、相違点がここに記載される。
【0086】
本実施形態においては、M/G300はトランスミッション100に直接取り付けられない。トランスミッション100は補機に直接接続されない。M/G300はベルトB2によりトランスミッション100に接続される。トルクは、エンジン1,M/G300及び補機の間のベルトB1及びB2によりトランスミッション100へ、そしてトランスミッション100から伝達される。トランスミッション100は、ボルトあるいはスクリューのようなファスナを用いてエンジン1に直接取り付けられる。
【0087】
本実施形態は、M/G300が、直接、又はベルトにより、トランスミッション出力シャフト31のいずれかの端部に、接続されうることを説明する。これは、本発明によるトランスミッションがうまく用いられ得る、他のベルトドライブ配列を提供する。
【0088】
動作時において、エンジン1が例えば停止信号で車両が停止されている状態から再始動されるとき、モータモードにあるM/G300は、ブレーキコイル41がONに変更されそれによりブレーキを係合してサンギア18の回転が止められたときに、ベルトB2、トランスミッション100、及びベルトB1を介してエンジン1を始動する。ブレーキコイル41への通電は、既定のスピード及びトルクでプーリ10を回転させる。このように、M/G300の回転力は、ベルトB2を介して減速時にプーリ30に、リングギア17に、キャリア11に、そしてそれによりプーリ10に、またそれによりベルトB1を介してクランクシャフトプーリCRに伝達される。ベルトB2の構成により、同様にしてエンジン始動しているときにM/G300がモータモードで回転される間、補機P及びA/Cは回転される。
【0089】
M/G300が発電機として用いられ、及び/又は補機が操作される一方で、エンジン1が第1動作モードで稼働されるとき、ブレーキコイル41はOFFに変更され、そしてワンウェイクラッチ22は係合状態に置かれる。このように、プーリ30及びプーリ10は、プーリ10の回転がプーリ30に、そしてそれによりベルトB2を介して補機P、A/C及びM/G300に伝達されるように、互いに直接接続される。
【0090】
ポンプP及びコンプレッサA/CがM/G300により動かされ、M/G300はモータモードにある一方で、エンジン1が止められているとき、ブレーキコイル41はOFFに変更される。第2動作モードでは、エンジン1は止められ、ピニオンギア15及びサンギア18は自由に回転する。キャリア11及びプーリ10は停止されたクランクシャフトプーリCRと係合するベルトB1と係合されるため、これらは回転しない。ブレーキコイル41はOFFであるため、サンギア18はリングギア17及びプーリ30と反対方向に回転し、それによりM/G300はエンジン1を始動させずにベルトB2を介して補機P及びA/Cを稼働させる。
【0091】
他の実施形態においては、図11に示すように、補機1000はトランスミッション100に直接接続される。補機1000は燃料ポンプ、オイルポンプ、又はエンジン若しくは車両に必要とされうる他の補機を備えうる。本実施形態では、補機1000はトランスミッション100及びシャフト31に直接接続される。同軸シャフト31に特有の配列により、トランスミッション100における入力シャフト200、つまり補機1000は、エンジン1が動かされず、M/G300がモータモードにあるときですら、他の補機と同調するM/G300により完全に動作可能である。もちろん、補機1000もまた、エンジン1が動かされ、そしてM/G300が発電機として動かされるときに、補機P及びA/Cと同調するエンジン1によって駆動される。
【0092】
ここに本発明の複数の実施形態が説明されたが、記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく、変形が各部の構造と関係に施されることは、当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】ツースピードトランスミッションの断面図である。
【図2】ツースピードトランスミッションの断面図である。
【図3】プラネタリギアキャリアの斜視図である。
【図4】キャリア上のプラネタリギアの部分斜視図である。
【図5】プラネタリギアベアリングとキャリアブッシングの部分斜視図である。
【図6】キャリアと出力プーリの部分斜視図である。
【図7】キャリア及び出力プーリ及び入力プーリの部分斜視図である。
【図8】キャリアブレーキシューと出力プーリの部分斜視図である。
【図9】ベアリングとキャリアブレーキシューの部分斜視図である。
【図10】コイルを備えるトランスミッションの斜視図である。
【図11】トランスミッションに接続され、出力プーリに連結されるオルタネータを備えるツースピードトランスミッションの断面図である。
【図12】ベルト駆動補機ドライブの概略図である。
【図13】ジェネレータモータ適用物に用いられる本発明の一実施形態によるトランスミッションの概略図である。
【図14】他方のジェネレータモータ配置における本発明のトランスミッションの概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明はツースピードトランスミッション及びベルトドライブシステムに関し、特に補機プーリ及び電磁ブレーキを有するツースピードトランスミッションの複合物を用いる、車両のエンジンベルト駆動システムに関する。各々の補機プーリと協働するツースピードトランスミッションの出力プーリは、エンジンアイドル時にはエンジンスピードと実質的につり合う第1のスピードで、そしてエンジンスピードがエンジンアイドルスピードよりも実質的に速い間は、第1のエンジンスピードよりも遅いスピードで、エンジンの補機を駆動する。またトランスミッションは、エンジンとモータジェネレータとの間に設けられる減速ユニットをも提供する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンは、エンジン及び車両の操作に用いられる、特定の補機を一般的に備える。それらの補機は、パワーステアリングポンプ、空調機用コンプレッサ、オルタネータ、オイルポンプ、燃料ポンプ等を含みうる。これらの補機は、サーペンタインベルトにより一般的に駆動される。サーペンタインベルトはエンジンのクランクシャフトと同様に、それぞれの補機上のプーリと係合する。エンジンのクランクシャフトは補機を駆動するためのトルクを供給する。
【0003】
ベルトがクランクシャフトによって駆動されると、車両の加速及び減速の間におけるエンジンスピードの変化に必然的にさらされる。言い換えると、補機の動作スピードはエンジンのスピードに直接つり合う。エンジンスピード、特にアイドルよりも速いエンジンスピードにおける変化は、それぞれの補機が全てのエンジンスピードの範囲に渡って申し分なく動作するように設計されるために、補機の不十分な動作となる。これは、効率がエンジンスピードの範囲の多くにおいて最適以下であることを必然的に意味する。それゆえ、いくつかのあるいは全ての補機が、より低くそしてより狭い最適スピード範囲で駆動されうるように、エンジンクランクシャフトから解放されることが望ましい。さらに、比較的高いスピードで補機を駆動することは、補機が低いスピードで駆動される場合よりもエンジンにより大きな負荷をかける。
【0004】
従来技術を代表するものは、要求に応じてオルタネータのスピードを増加させるための自動車用オルタネータのような、自動車用補機の表面に取り付けられるに適したツースピードギアボックスを開示する、スミスに付与された米国特許第4,862,770号(1989年)である。
【0005】
スミスにおいて開示されるクラッチアセンブリは、円筒の外側表面を取り巻くブレーキバンドを備える。ブレーキバンドは、ブレーキバンドを係合し又は解放する機械的真空手段により動かされる。そのようなシステムは真空の喪失、例えば真空ホースの損傷、あるいはブレーキバンドと円筒表面との間の円筒面上の汚れにより、悪い影響が与えられ得る。
【0006】
従来技術のトランスミッションは、アイドル以上にエンジンスピードが増加したときに、駆動される補機のスピードを比例して減速するように設計される。これは、補機の動力必要量を減少させる。しかしながら、アイドル以上のエンジンスピードと比較するとスピード低下なく、アイドルにおいて補機は1:1基準で動かされる。
【0007】
近年、走行中の車両が停止した後にエンジンを止め、そして車両が再度動かされるための状況が満たされた場合にエンジンを再始動するための、エンジン自動停止始動装置が知られている。エンジン自動停止始動装置は、車両が停止される間エンジンへの燃料供給が中断されるように設計され、燃料消費量の削減となる。
【0008】
従来技術を代表するものは、エンジンのドライブシャフトとモータの回転シャフトとの間で動力伝達を可能/不可能にするために、エンジンのドライブシャフトとモータの回転シャフトとの間に設けられる接続切替装置と、動力伝達を可能/不可能にするための接続切替装置の機能を制御するトランスミッションコントローラを備えることにより、車両が停止されるときにモータを動かすシステムとを開示する、ツジらに付与された米国特許第6,048,288号(2000年)である。エンジンが停止される一方で補機がモータによって動かされるとき、制御は、モータの回転シャフトの回転がエンジンのドライブシャフトに伝達されないように機能する。補機はエンジンを動かすことなく、モータによって動かされる。
【0009】
必要なものは、ツースピードトランスミッション比及び、出力プーリ若しくは補機プーリの比の組合せにより、エンジンスピードに関して補機のスピードを制御する、ベルトドライブシステムである。必要なものは、エンジンの状態に関して制御される電磁ブレーキを備える、ツースピードトランスミッションである。必要なものは、同軸入力及び二重出力を有するツースピードトランスミッションである。必要なものは、エンジンとモータジェネレータとの間に配される減速装置を有する、モータジェネレータシステムである。本願発明は、これらの要求に合致する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の特徴は、ツースピードトランスミッション比及び、出力プーリ若しくは補機プーリの比の組合せにより、エンジンスピードに関して補機のスピードを制御する、ベルトドライブシステムを提供することである。
【0011】
本発明の他の特徴は、エンジンの状態に関して制御される電磁ブレーキを備える、ツースピードトランスミッションを提供することである。
【0012】
本発明の他の特徴は、同軸入力及び二重出力を有する、ツースピードトランスミッションを提供することである。
【0013】
本発明の他の特徴は、エンジンとモータジェネレータとの間に配される減速装置を有する、モータジェネレータシステムを提供することである。
【0014】
本発明の他の特徴は、本発明に関する以下の記述および添付された図面により指摘され、あるいは明らかにされる。
【0015】
本願発明は、トランスミッションを利用するツースピードトランスミッション及びベルトドライブシステムを備える。ツースピードトランスミッションは、入力キャリア及びサンギア及びリングギアに接続される入力プーリを備えるプラネタリギアトレーンを備える。また、入力キャリアは、サンギアとリングギアとの間に設けられる複数のプラネタリギアを備える。サンギアは電磁ブレーキ部材と係合する。リングギアは出力プーリと係合する。ワンウェイクラッチは入力キャリアと出力シャフトとの間に設けられる。ブレーキ部材はエンジンアイドル時に係合され、エンジンスピードがアイドル以上のときに外される。ブレーキ部材がサンギアに係合されるときサンギアは回転せず、それにより入力プーリよりも速いスピードでリングギアと出力ギアが駆動される。補機プーリは、アイドルにおいてエンジンスピードとつり合う補機スピードである、トランスミッション出力プーリと共に動作する。アイドル以上のエンジンスピードでは、トランスミッションは解放され、出力プーリと補機プーリの比が、エンジンスピードより低速で、ベルト駆動補機を駆動する。また、補機は、出力プーリと結合する出力シャフトに直接接続されうる。トランスミッションは、エンジンとモータジェネレータとの間に設けられる減速装置を供給することにより、モータジェネレータシステムと共に用いられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、ツースピードトランスミッションの断面図である。ツースピードトランスミッション100は、車両用内燃エンジンに用いられる形式の、ベルト駆動補機ドライブで用いられる。ツースピードトランスミッションは、例えば工業機器あるいは二、三又は四輪駆動車のトランスミッションを駆動するために、ツースピードトランスミッションが必要とされる様々な適用物で用いられ得る。
【0017】
トランスミッション及び関連する制御システムは、エンジンの燃料効率と駆動輪で利用できる出力ドライブトルクとを最適化するため、エンジンスピードに基づいて、補機スピードを自動的に制御する。トランスミッションは非常にコンパクトであり、補機、例えばパワーステアリングポンプ、オルタネータ、あるいは空調機用コンプレッサに直接取り付けられ得る。この構成では、補機はエンジンブロックに接続される。
【0018】
ツースピードトランスミッション100は入力キャリアに設けられるプラネタリギアを備える。トランスミッション入力シャフト及び出力シャフトは同軸である。電磁ブレーキはサンギアの回転を制御するために用いられ、それにより出力シャフトのスピードを制御する。
【0019】
無端伝動ベルトは、エンジンクランクシャフトCR、図12参照、のようなドライバプーリとトランスミッション入力プーリ10との間で駆動的に係合する。ベルトは、従来公知であるVベルト又はマルチリブドベルトを備えうる。ベルトは、従来公知であるチェーン又は歯付きベルトにより置換されうる。
【0020】
入力プーリ10は、従来公知であるファスナを用いて入力キャリアに接続される。入力キャリアは、入力キャリア部11と、入力キャリア部11、プラネタリギア部材15及び入力シャフト200に対向して設けられる入力キャリア部20とを備える。複数のシャフト21は部位11と部位20との間を相互に連結する。それぞれのプラネタリギア部材15はシャフト21に軸支される。入力キャリア部20は入力シャフト200に接続される。
【0021】
ラビリンスシール26は出力プーリ30に接続される。Oリングシール25はシャフト19と入力キャリア部11との間に設けられる。それぞれのシールは従来公知であり、プラネタリギアセットにゴミが入ることを防止する。
【0022】
リングギア17及びサンギア18は、プラネタリギア15と係合するようにかみ合うギアを有する。サンギア18はシャフト19の上に設けられる。リングギア17は出力プーリ30の上に設けられる。シャフト19は入力シャフト200及び出力シャフト31に対して同心で回転する。プラネタリギア15、サンギア18,及びリングギア17は直線切りギアを備える。直線切りギアの使用は、他方で螺旋状のギアと共に必要とされるスラストギアへの必要性を無効にする。これは、プラネタリギアトレーンのコストを著しく低減する。
【0023】
ブレーキ40は、摩擦回転停止係合のために、ハウジング52、電磁コイル41,及び軸方向に動作するブレーキシュー190を備える。コイル41が電気的に作動されたとき、シャフト19のブレーキシュー190はコイル41と摩擦係合し、それによりサンギア18の回転が停止する。
【0024】
入力シャフト200は、ベアリング23、24の上でブレーキハウジング52に軸支される。ベアリング23、24は従来公知であるボールベアリングを備え、ブレーキ40に対して適切な支持を与えるために用いられる。従来公知である他のベアリング、例えばニードル又はコーンベアリングもまた用いられ得る。
【0025】
ブレーキ40は、部位190と係合して回転を止め、それにより、シャフト19及びサンギア18の回転を止めるため、エンジンスピード信号に基づいて電磁的に作動させられる。ブレーキ40は係合され(シャフト19が停止)るか、あるいは解放される(シャフト19が回転)。ブレーキ40はエンジンアイドルで係合され、エンジンスピードがアイドル以上である間は解放される。電力は、車両電子システムから電線410によりブレーキ40のコイルに伝達され、12V又は42V又はいくつかの望ましい電圧のうちいずれかであり得る。
【0026】
リテーナクリップ230、231,及び240は、入力シャフト200上の適切な位置にベアリング23、24を保持する。また、クリップは、入力シャフト200をブレーキハウジング52に関して適切に離間するように保持する。
【0027】
シャフト19は、スリーブベアリング50の上で入力シャフト200に軸支される。スリーブタイプベアリングは、ブレーキ40が係合されたとき、すなわち入力シャフト200が回転してシャフト19が固定されるときに、アイドルでの放射方向における負荷が最小となるため、この用務に十分な能力を有する。スピードがアイドルよりも速いとき、ブレーキ40は解放され、シャフト19は、ワンウェイクラッチ22の働きにより入力シャフト200と共に一致して回転する。すなわちシャフト19と200との間に回転差は無い。ハウジング52はエンジンブロック又は他の取付面に、ボス53、54を介して係合するボルト、螺子又はスタッドのような公知のファスナを用いて取り付けられ得る。
【0028】
ワンウェイクラッチ22は入力シャフト200及び出力シャフト31との間に設けられる。ワンウェイ、すなわちスプラグクラッチ22は、従来公知の形式、例えばワーナーエレクトリック/フォームスプラグから入手可能であるモデルGFK5904である。
【0029】
プラネタリギア15、ベルト受け面33、ベアリング50、及びワンウェイクラッチ22は、回転軸A−Aに関して放射方向の実質的な同一平面上にある。この配列は、より軸的にずれた配列によって引き起こされる、トランスミッションの出力部に加えられうる曲げモーメントを最小化又は除去する利点を有する。
【0030】
出力シャフト31の端部32により、補機が出力シャフト31に直接接続されることが出来る。端部32は、例えばキー付き、キー無し、又はスプライン結合による従来公知のいかなるカップリングとでも用いられ得る。補機は、例えばボルト、スクリュー、といった公知のファスナを用いてハウジング52に直接接続される。図11参照。補機はオルタネータ、空調機用コンプレッサ、パワーステアリングポンプ、燃料ポンプ、オイルポンプ、又はいかなる他の回転する補機を備えうる。直接連結される補機は、出力プーリ30と同じスピードで駆動される。
【0031】
出力プーリ30は、ベルトドライブシステムにおいて、他のベルト駆動補機にトルクを伝達する、無端動力伝達ベルトと係合する。図12参照。
【0032】
動作時において、動力伝達ベルトB1は、入力プーリ10にトルクを伝達するクランクシャフトプーリCRのようなドライバと係合する。トランスミッション出力プーリ30は、他のベルト駆動補機へ駆動するように接続される第2無端ベルトを介してトルクを伝達する。
【0033】
トランスミッションはエンジンスピードに基づく2つのモードのうちの1つで動作する。ブレーキの状態はエンジンスピードの作用である。すなわち、出力プーリのスピードは、ブレーキがエンジンに係合され又は解放されるかどちらかによってある程度決定される。
【0034】
ブレーキ40が係合されたとき、シャフト19はトランスミッションハウジングに関して静止するように固定される。すなわち、シャフト19は回転しない。一方、サンギア18は回転しない。入力キャリアは、静止するサンギア18上のプラネタリギア15を駆動する。プラネタリギア15の回転は、出力プーリ30及び出力シャフト31を次々に駆動するリングギア17を次々に駆動する。このモードにおける入力/出力プーリのスピード増加率は、サンギア及びリングギアの相対的な直径に依存する、約1.1から3.0の範囲である。好ましいスピード伝達比は約1.3から1.8の範囲であるが、この範囲外の比は特定のシステムにより必要とされる場合に使用されうる。スピード伝達比は、トランスミッションプラネタリギアセットのみの比であり、クランクシャフトCRプーリと入力プーリ10との間の比と同様に、出力プーリと補機プーリとの間のプーリ比を含む、プーリの比に依存しない。
【0035】
第1の動作モードでは、エンジンが始動され又はアイドルスピードで動作するとき、ブレーキ40は係合される。ブレーキは、エンジンコントロールユニット500から供給されるエンジンスピード信号により電気的に係合され、あるいは解放される。ユニット500は、CPU、RAM、ROM、双方向通信バス、インターフェース回路(信号変換回路及び同等物)、及びメモリを含む公知のユニットと共に提供されるコンピュータシステムとして形成されうる。ユニット500は、センサ、又はタコメータ600若しくは近接感知計のような従来公知である回転スピード検出のための他の同様の計器からエンジンスピード信号を受信する。
【0036】
エンジンが停止されるとき、ブレーキ40は係合されない。キーがエンジンを始動させるために挿入されると、ブレーキ40はスタータがエンジンを始動させる前に作動される。しかしながら、エンジン始動を容易にするため、ブレーキ40はエンジンが始動するわずか後に作動されうる。この場合、ワンウェイクラッチは出力シャフトを駆動し、補機はアイドルに必要なスピードよりも低速で駆動されるため、エンジン始動に必要な力を最小にする。ブレーキが解放されるとき、補機は、出力プーリ30と補機プーリとの間におけるプーリ比に従った低速で駆動される。エンジン始動とブレーキ作動との間の遅延時間は、約0.5から1.0秒である。この時間が経過後にブレーキ40は係合される。より詳しくは、エンジン始動時には、あるいはエンジンスピードが望ましいレベル、例えば約1200−1500RPMよりも低いときには、エンジンコントロールユニット500により検出されたスピード信号はコントロール信号を生成する。コントロール信号はブレーキを作動し、それによりサンギア18の回転を止める。前述したように、これは、出力シャフト30が、駆動される入力シャフト10よりも速いスピードで、プラネタリギアを介して駆動されることになる。もっとも、ブレーキ40が作動されるときのエンジンスピードは、エンジンの特性及び求められる動作特性に基づいて選択される。
【0037】
この明細書では、エンジンアイドルスピードは約800RPMである。ブレーキが係合され又は解放されるときのトランスミッションスピードは、補機スピードがアイドル時に最低要求スピード以下に著しく低下しない、約1200−1500RPMであり、それにより一以上の補機が例え一瞬でも余りにゆっくりと駆動される状況を回避する。
【0038】
第2の動作モードは、エンジンがエンジンアイドル時よりも速いスピードで動作しているとき、例えば巡航、又はあらかじめ定められたエンジンスピード、例えば1200−1500RPMを超えるときである。選択されたスピードがユニット500により検出されると、ブレーキ40が解放される。ブレーキが解放されると、シャフト19はロックが外され、サンギア18は入力キャリアと一致して回転する。ワンウェイクラッチ22は係合され、それにより入力シャフト200と1:1基準で出力シャフト31を駆動する。
【0039】
しかしながら、トランスミッション比はベルト駆動補機の駆動スピードを決定する全体のシステムの一部に過ぎない。それぞれの補機の回転スピードは、補機プーリの直径及び出力プーリ30に関する直径の比によって部分的にそれぞれ決定される。それゆえ、加えられるエンジンスピードに対するファイナルベルト駆動補機スピードは、ドライバプーリ(クランクシャフト)の直径、入力プーリ10の直径、トランスミッション比、出力プーリ30の直径、および補機プーリの直径の関数である。これらの変数のそれぞれは、望ましいファイナルドライブ比とそれによるベルト駆動補機スピードを与えるため、選択及び合算される。ファイナルドライブ比は、既知のクランクシャフト(エンジン)スピードに対する補機スピードを決定する。
【0040】
典型的なドライブシステムでは、本発明によるトランスミッションは、本発明によるトランスミッションを有さない同種のエンジンと比較して最大約5%の幅で燃費低減を提供する。アイドルよりも速いエンジンスピードにおける本発明によるシステムは、補機の回転スピードを減少する。このことは、加速時間の改良や車輪で用いられ得る力の増加を含む、エンジン及び車両の性能を改善する。
【0041】
2.0リッターエンジンを用いる典型的なシステムでは、本発明によるシステムは以下に示す動作特性を有する。
【0042】
【0043】
第一列では、従来のドライブ及びツースピードトランスミッション(ツースピードモジュール)を用いるドライブシステムで用いられるようなそれぞれのプーリに対して、mmで直径が与えられる。名称は以下の通りである。”Crank”−クランクシャフト、”AC”−空調機、”PS”−パワーステアリング、”Alt”−オルタネータ、”WP”−ウォーターポンプ。この実施形態におけるシステムでは、空調機(AC)はトランスミッションの出力シャフト31に直接接続されるが、補機のいずれかは出力シャフト31に直接接続されうるため、これに限定されることを意図しない。参照の容易のため”アイドル”として参照されるエンジンスピードでは、ツースピードトランスミッションは係合され、それゆえブレーキ40は係合される。本実施形態における”アイドル”は、約800RPMに任意に設定される。トランスミッション比は約1.57である。アイドルにおける、ツースピードトランスミッションにより駆動されるときの補機のスピードは、同等の”従来のドライブ”と同じである。”従来のドライブ”は、ツースピードトランスミッションなしでクランクシャフトと直接係合する、従来技術によるドライブである。
【0044】
アイドルよりも速いエンジンスピードにおいて、本実施形態における2500RPMでは、ブレーキ40は解放される。それゆえ、ワンウェイクラッチ22は、入力プーリ10と出力プーリ30とが一致して回転するように動作可能である。入力プーリ10及び出力プーリ30はそれぞれ1458RPMで回転する。しかしながら、それぞれの補機に対するプーリの直径により、それぞれの補機は、従来技術によるシステムと比較して相対的に遅いスピードで回転する。これ、及びアイドル時における後述する実施形態において、ブレーキ40が係合されたときにトランスミッションによって引き起こされる1.57xの相対的なスピード増加を、出力プーリ30とそれぞれの補機プーリとの間のそれぞれのプーリ比が効果的に打ち消すように、プーリの直径は選択される。
【0045】
エンジンアイドルでのオルタネータに対する2.0Lエンジンの例におけるファイナルドライブ比は、約2.33(1866RPM/800RPM)である。”オフアイドル”エンジンスピードでのオルタネータに対するファイナルドライブ比は、約1.48(3705RPM/2500RPM)である。本発明によるシステムは、エンジンスピードに反比例の関係であるベルト駆動補機についてのファイナルドライブ比を伝える。また、エンジンスピードに対するプーリドライブ比における反比例の関係は、直接接続され、トランスミッションにより駆動される補機、すなわちクランクシャフトプーリ及びトランスミッション入力プーリにも適用される。
【0046】
アイドルよりも速いエンジンスピードでは、ブレーキ40が解放されワンウェイクラッチ22が固定されるとき、本発明によるシステムは完全な支配権が与えられる。入力プーリ10及び出力プーリ30は一致して回転する。補機プーリと組み合わされたこのシステムは、補機回転スピードを従来公知のシステムと比較して減少する。この方法で補機スピードを減少させることは、エンジンの全体としての燃料効率を著しく増加する。また、車輪に利用されるトルクを増加する。もちろん、プーリ比はいかなるエンジン補機駆動の構成に適応させるために選択されうる。
【0047】
他の実施形態では、5.3リッターエンジンシステムが説明される。
【0048】
【0049】
本実施形態では、トランスミッション比は約1.57である。本実施形態におけるアイドルスピードは、前述の実施形態における800RPMと比較されるように、約650RPMである。エンジンアイドルでのオルタネータに対する本実施形態におけるファイナルドライブ比は、約3.26(2121.6RPM/650RPM)である。”オフアイドル”エンジンスピードでのオルタネータに対するファイナルドライブ比は、約2.07(3110RPM/1500RPM)である。
【0050】
それぞれの実施形態では、出力シャフト31に直接接続されるA/Cに関し、直接接続される補機のエンジンアイドルでのスピードは、トランスミッション比によって変更されるクランクシャフトプーリと入力プーリ10との間のプーリ比に一致する。エンジンアイドルを超過するエンジンスピードでは、直接接続される補機のスピードは、クランクシャフトプーリと入力プーリ10とのプーリ比に一致する。アイドルを超過するエンジンスピードでは、プラネタリギアは操作されずに出力シャフトの全ての回転はワンウェイクラッチ22により引き起こされるため、トランスミッション比に起因する効果が付加されない。
【0051】
本発明のシステムにおけるトランスミッションのデューティーサイクルは、約5%であり、これはトランスミッションが時間の約5%、基本的にはエンジンがアイドルしているときに動作する(すなわち、ブレーキが係合されるとき)ことを意味する。デューティーサイクルは、エンジンの稼働状況に依存し、好ましくは約4%から10%までの範囲であり、約25%から30%と同じくらい高いこともあり得る。一方、先行技術によるシステムは、エンジンがアイドルよりも速いスピードで稼働しているときにトランスミッションを稼働するため、逆数のデューティーサイクル(〜95%)を有する。トランスミッションの稼働寿命を延ばすため、低いデューティーサイクルは好ましい。術語アイドルは参照の容易のために用いられ、本発明を特定のエンジンスピードに限定することを示すことを意図しない。アイドルスピードは様々な車両及びエンジンタイプにより異なりうる。
【0052】
システムは複数の補機をエンジンスピードのいかなる範囲においても2つの異なったスピードで駆動しうる。第1の利用できる補機スピードは、出力シャフト31に直接接続される補機のスピードである。第2の補機スピードは、トランスミッション比、及びトランスミッション出力プーリ30若しくは特定のドリブン補機プーリのそれぞれのプーリ比によってさらに決定されるような、ベルト駆動補機のスピードである。
【0053】
補機は、2つの利用可能な動作スピードの有益な効果を最適化するために、ベルトドライブシステム内に置かれ、選択される。例えば、空調機又はオルタネータはトランスミッション出力シャフト(32)に直接接続されうるが、一方、パワーステアリングポンプ又はウォーターポンプのような、他のベルト駆動補機は出力プーリ30から第2のベルトによって異なるスピードで駆動される。
【0054】
革新的なコンパクトデザインは、完全に出力プーリ30のベルト係合面33の幅(W)の中にプラネタリギアトレーンを設けることにより実現される。サンギア18のためのブレーキシュー190は、入力プーリ10にぴったりと隣接して設けられる。それにより、トランスミッションの全体の厚さは、実質的にプーリ10,プーリ30、の幅、及びブレーキ40の幅の関数である。電気的サービス要件、状況により、ブレーキ40は入力プーリ10の幅(W2)の幅に完全に含まれうる。それにより、トランスミッションの全体の幅は、可能な限り近接する入力及び出力プーリの幅によって実質的に制限される、最低限界を有する。例えば、約45mmと同じくらい小さい、端から端までのトランスミッション全体の厚さを提供することができる。フロントエンド補機ドライブに少なくともベルト1本の幅が与えられたと想定すると、本発明によるトランスミッションは約30mmの追加クリアランススペースを必要とするのみで燃料効率をかなり向上させ、そして、特定の場合には出力ベルトB2の全体の幅に基づいて20mm以下が必要とされる。
【0055】
図2はツースピードトランスミッションの断面図である。入力キャリア部11及び入力キャリア部20はファスナ201により部材27と互いに結合される。部材27は入力キャリアの周囲に設けられる。図4参照。入力プーリ10、入力キャリア部11,入力キャリア部20、及び入力シャフト200は入力回転アセンブリを構成する。図1に示すように、プラネタリギア15は入力キャリアシャフト21に軸支される。ブレーキ40が解放されるとワンウェイクラッチ22は係合し、それにより出力シャフト31を駆動する。ブレーキ40が係合されると、出力シャフト31は入力シャフト200のスピードよりも速いスピードで回転するために、ワンウェイクラッチ22は解放される。
【0056】
図3はプラネタリギアキャリアの斜視図である。プラネタリギア15は、部材27の間に相互に挿入されるキャリアの周囲に設けられる。ファスナ201は部位11を部材27に接続する。
【0057】
図4はキャリア上のプラネタリギアの部分斜視図である。それぞれのプラネタリギア15は、ニードルベアリングあるいはスリーブベアリングのような従来公知であるベアリング210の上でシャフト21に軸支される。ベアリングの選択は業務の状況に依存する。
【0058】
図5はプラネタリギアベアリング及びキャリアスリーブベアリングの部分斜視図である。それぞれのプラネタリギアベアリング210はプラネタリギア15とシャフト21との間に設けられる。キャリアスリーブベアリング50は入力シャフト200及び出力シャフト31との間に設けられる。
【0059】
図6はキャリア及び出力プーリの部分斜視図である。トランスミッションのコンパクトデザインにより、プラネタリギアキャリアが出力プーリの幅の中に完全に納められる。入力シャフト200は、出力シャフト31が設けられる孔202を備える。
【0060】
図7はキャリア、出力プーリ、及び入力プーリの部分斜視図である。ファスナ12は入力プーリ10を入力キャリア部11に取り付ける。また、入力プーリ10も、仮付け溶接又は従来公知である他の適する接続手段によって、入力キャリア部11に取り付けられる。
【0061】
図8はキャリアブレーキシュー及び出力プーリの部分斜視図である。ブレーキシュー190は、コイル41が起動されたときにコイル41と摩擦係合する、放射方向に延びる表面を備える。シュー190のコイル41との係合はサンギア18の回転を止める。ブレーキシュー190は入力プーリ10の幅の中に実質的に収容される。
【0062】
図9はベアリング及びキャリアブレーキシューの部分斜視図である。ベアリング23、24はブレーキハウジング52上に入力シャフト200を支持する。
【0063】
図10はコイルを有するトランスミッションの斜視図である。ブレーキ40は軸周りに回転し、入力シャフト200をベアリング23、24上に支持する。ボス53、54はトランスミッションを取付面に接続するためにファスナと共に用いられる。
【0064】
図11は、オルタネータ700に接続されたツースピードトランスミッションの断面図である。オルタネータ700は出力シャフト31に直接連結される。いかなる他の補機も同様にしてトランスミッションに直接接続されうるため、オルタネータ700は単に例として用いられる。直接連結は、シャフト31上の溝703を用いることにより達成されるが、その役目に適したシャフト連結のいかなる形状、及び従来公知のものも好ましい。
【0065】
タブ702はトランスミッション及びオルタネータから延びる。ファスナ701はタブ702と接続する。ファスナ701は、例えば、スクリュー、ボルト、又はスタッドを備える。従来公知の方法により、オルタネータ700は車両電子システムに電気的に接続される。
【0066】
図12はベルト駆動補機ドライブの概略図である。ベルトB1はクランクシャフトプーリCRと入力シャフト10との間で動的に係合される。ベルトB2は出力プーリ30と補機プーリA2及びA3との間で動的に係合される。ベルトB1及びB2は、それぞれマルチリブド形状を備える。図2参照。補機A1はトランスミッション100に直接連結される。補機A1はオルタネータ700を備える。ベルトテンショナTはベルトB2に張力を加える。テンショナTは、非対称テンショナ、Zタイプ、あるいは線形テンショナを含む従来公知のいかなるテンショナであってもよい。
【0067】
非対称テンショナはテンショナアームに軸支されるプーリを備える。非対称テンショナは、第2の方向よりも第1の方向において大きい減衰力を有する、減衰機構を備える。
【0068】
他の実施形態では、ベルトB1又はB2のどちらか、あるいは両方が、従来公知である低弾性ベルトを備える本発明によるシステムにおいて用いられる。低弾性ベルトは、ナイロン4.6又はナイロン6.6又はこの2つの組合せを備える伸張ひもを有するベルトである。ベルトの弾性率は、約1500N/mmから約3000N/mmの範囲である。低弾性ベルトの特徴は、テンショナあるいは可動シャフト補機無くベルトドライブシステムに取り付けられ得ることである。低弾性ベルトは従来公知であるベルト取付工具を用いて単純に取り付けられる。工具は、プーリシャフトの中心位置を他の方法で調節する必要なく、トランスミッションプーリ又は補機プーリの角にベルトを曲げ、又は水平方向に押しつけるために用いられる。エンジンブロックのようなエンジン取付面に直接接続される単純なトランスミッションの設計よりも高価となり得る、他の方法でベルトB1を可動に取付及び調節する方法でトランスミッションを取り付けるため、低弾性ベルトは、ベルトB1に特に適している。さらに、クランクシャフトに関してトランスミッションシャフトの位置を調節することは、同様に組立時間を消費する。
【0069】
他の実施形態においてもなお、チェーンがベルトの位置において用いられ得る。
【0070】
もちろん、トランスミッション100及び補機のうち1つ又は全ては、取り付ける間にシャフトの位置が調節される従来公知の調節可能取付手段と共に提供される。
【0071】
図13は、ジェネレータモータ適用物に用いられる本発明の一実施形態によるトランスミッションの概略図である。オートマチックトランスミッション(”A/T”)2はエンジン(”E/G”)1に隣接して設けられる。モータジェネレータ300(”M/G”)はモータ及び発電機として提供される。エンジンクランクシャフト3、及びM/Gのシャフト31若しくはシャフト200は、互いに平行に設けられる。M/G300は、この明細書中の他の所に記載されるように、トランスミッション100に直接接続される。トランスミッション100は、シャフト200の回転スピードが減速され、クランクシャフト3に伝達されるように、M/G300とクランクシャフト3との間に機械的に設けられる。プーリCRはクランクシャフト3に接続される。プーリ10はこの明細書に記載されるように、トランスミッション100に接続される。ベルトB1はプーリCRとプーリ10との間に配置される。プーリ30はM/G300のシャフト31に直接接続される。プーリ10はプラネタリギアセットによってシャフト200に動作可能に接続される。
【0072】
パワーステアリングユニット及びエアーコンディショナ用のコンプレッサA/Cは、それぞれエンジンベルトドライブシステムに含まれる補機である。プーリA2及びA3は、ポンプP及びコンプレッサA/Cの回転シャフトにおけるそれぞれの端部に固定される。ベルトB2は、プーリ30、A2、及びA3の間に係合される。プーリ30、A2、A3、そしてベルトB2は、M/G300の回転をそれぞれの補機に伝達するためのパワー伝達手段を構成する。
【0073】
インバータ400はM/G300に電気的に接続され、M/G300がモータモードで使用されるとき、M/G300のスピードを調節するため、バッテリ800からM/G300へ供給される電気エネルギーの量を変化させるように設計される。
【0074】
M/G300は、A/Tのために電子クラッチ191を介してオイルポンプ194に接続される。オイル注入パイプ192はオイルポンプ194に接続される。オイル排出パイプ193はオイルポンプ194に接続される。オイルポンプ194はエンジン潤滑システム(図示しない)に接続される。前述の構造は、エンジンが停止している間、M/G300が、電子クラッチ191を係合させることによってオイルポンプ194を操作することを可能にする。A/Tの中に設けられるスターティングクラッチ(図示しない)は、エンジンを再始動するとき車両をなめらかに駆動するため、即座に係合されるように設計される。
【0075】
再度、図13を参照する。コントローラ500は、エンジン動作モード切替動作を制御するための信号、つまり電子クラッチ191へのON−OFF制御信号、及びトランスミッションの電子コイル41へのON−OFF制御信号をインバータ400に伝達する。また、コントローラ500は、車両やエンジンに設けられた様々なセンサから、車両制御状況及び/又はエンジン制御状況を表す信号を受ける。この信号は、M/G300のスピードを示す信号、エンジン動作モードを切り替える信号、エアーコンディショナの制御を切り替える信号、例えばエンジン1のスピードを示すエンジンステータス信号、車両のスピード及び類似のものを示す車両ステータス信号(図示しない)、車輪ブレーキステータス信号、エンジンスロットルポジション信号、及びシフトレバーにより選択された範囲を示すA/Tのステータス信号を含む。スロットルポジション信号は、加速、減速、無加速巡航、あるいはアイドルといった、エンジンに対するドライバの要求を示す、スロットルポジションに関係する。それぞれの信号はアナログ又はデジタルのどちらかである。
【0076】
前述の信号により示された情報に応じて、コントローラ500はメモリ900からデータを読み込む動作と、エンジン第1動作モード(エンジン稼働)又は第2動作モード(エンジン不稼働)を決定するための動作の演算とを行う。その後、コントローラ500は制御信号を、トランスミッションブレーキコイル41、インバータ400,及び電子クラッチ191に伝達する。コントローラ500は、CPU、RAM、ROM、双方向コミュニケーションバス、インターフェース回路(信号変換回路及びその類似品)、及びメモリ900を含む、公知のユニットにより提供されるコンピュータシステムとして形成される。
【0077】
以下、動作が記載される。初めに、M/G300はエンジン1を始動するために作動される。エンジン1を始動した後、M/G300はバッテリ800に電気エネルギーを蓄積するために発電機として動作する。エンジンが始動されると、コントローラ500はM/G300のスピードを検出する。さらに、コントローラ500は、エンジン1を始動するために必要とされるトルク及びスピードが実現されるように、インバータ400にスイッチング動作を行わせる。例えば、エンジン始動時に、エアーコンディショナA/Cをスイッチングするための信号がONに変えられると、A/CのOFF状態と比較してより強いトルクが必要とされる。それゆえコントローラ500は、M/G300がより速いスピードと共に強いトルクで回転するために、スイッチング制御信号をインバータ400へ加える。
【0078】
スイッチング制御信号は、エンジン1、A/T2及び車両の様々なステータス信号がコントローラ500に供給され、それによりメモリに記憶されたマップメモリと比較されて決定される。あるいは、スイッチング制御信号はコントローラ500内に設けられるプロセサユニット(CPU)によって行われる計算により決定されうる。
【0079】
エンジン停止信号がONに変えられると、コントローラ500は、エンジン1、例えば、電磁燃料ポンプ(図示しない)への燃料供給を中断する信号を伝達することにより、エンジン1を停止する。エンジン停止動作は、例えば、車両スピードがゼロ、ブレーキが部分的に又は完全にかけられ、あるいはシフトレバーがD又はN設定であるという状況の下で行われる。このように、プーリ10とエンジン1との間には力が伝達されない。この状況では、電子クラッチ191は、エンジン1がOFFである間、M/G300がオイルポンプ194を動作させるよう、接続状況にされる。これは、A/T2内に設けられるスターティングクラッチ(図示しない)が、エンジンを再始動するとき車両をなめらかに駆動するため、即座に係合されるように設計されるためである。
【0080】
例えエンジン1が停止されても、エアコンディショナ及びパワーステアリングが操作されることが必要である場合、コントローラ500は、パワーステアリングユニット用ポンプP、エアーコンディショナ用コンプレッサA/C、及びA/T2用オイルポンプ190の負荷に一致するスピードとトルクでM/G300を回転させるためのスイッチング制御信号をインバータ400へ加える。この場合、ブレーキ41はOFFあるいは解放される。
【0081】
車両が停止した状況からエンジン1が再始動されたとき、ブレーキコイル41はONに変えられ、それによりサンギア18の回転が止まり、モータモードにあるM/G300はエンジン1を始動させる。ブレーキコイル41は通電され、プーリ10が既定のスピードとトルクで回転する。このように、M/G300の回転力は、減速されたスピードでリングギア17からキャリア11に、そしてそれによりプーリ10に、またそれによりクランクシャフトプーリCRに伝達される。
【0082】
M/G300が発電機として用いられ、及び/又は補機が稼働する一方で、エンジン1が第1動作モードで動作するとき、ブレーキコイル41はOFFに変えられてワンウェイクラッチ22は係合状態にある。このように、M/G300及びプーリ10は、プーリ10の回転がクラッチ22を介しシャフト31を経由してM/G300に伝達されるように、互いに回転可能に接続される。
【0083】
ポンプP及びコンプレッサA/CがモータモードにあるM/G300により操作されル一方で、エンジン1が停止されるとき、ブレーキコイル41はOFFに変更される。この第2の動作モードでは、エンジン1は停止され、ピニオンギア15及びサンギア18は自由に回転する。キャリア11及びプーリ10は停止されたクランクシャフトプーリCRと係合するベルトB1と係合されるため、回転しない。ブレーキコイル41はOFFであるため、サンギア18はリングギア17及びプーリ30と反対方向に回転する。実際には、この構成はあたかもトランスミッション100が”ニュートラル”ギアに置かれているかのように動作し、それによってプーリ30からプーリ10へのトルクの伝達を妨げる。
【0084】
トランスミッション100は、選択されたモードに従ってエンジンからトルクを受け、又はエンジンへのトルク伝達を制御する、クラッチの一部として動作する。
【0085】
図14は、他のジェネレータモータ配置における本発明のトランスミッションの概略図である。一般に、本実施形態における構成要素とその関係は図13に記載され、相違点がここに記載される。
【0086】
本実施形態においては、M/G300はトランスミッション100に直接取り付けられない。トランスミッション100は補機に直接接続されない。M/G300はベルトB2によりトランスミッション100に接続される。トルクは、エンジン1,M/G300及び補機の間のベルトB1及びB2によりトランスミッション100へ、そしてトランスミッション100から伝達される。トランスミッション100は、ボルトあるいはスクリューのようなファスナを用いてエンジン1に直接取り付けられる。
【0087】
本実施形態は、M/G300が、直接、又はベルトにより、トランスミッション出力シャフト31のいずれかの端部に、接続されうることを説明する。これは、本発明によるトランスミッションがうまく用いられ得る、他のベルトドライブ配列を提供する。
【0088】
動作時において、エンジン1が例えば停止信号で車両が停止されている状態から再始動されるとき、モータモードにあるM/G300は、ブレーキコイル41がONに変更されそれによりブレーキを係合してサンギア18の回転が止められたときに、ベルトB2、トランスミッション100、及びベルトB1を介してエンジン1を始動する。ブレーキコイル41への通電は、既定のスピード及びトルクでプーリ10を回転させる。このように、M/G300の回転力は、ベルトB2を介して減速時にプーリ30に、リングギア17に、キャリア11に、そしてそれによりプーリ10に、またそれによりベルトB1を介してクランクシャフトプーリCRに伝達される。ベルトB2の構成により、同様にしてエンジン始動しているときにM/G300がモータモードで回転される間、補機P及びA/Cは回転される。
【0089】
M/G300が発電機として用いられ、及び/又は補機が操作される一方で、エンジン1が第1動作モードで稼働されるとき、ブレーキコイル41はOFFに変更され、そしてワンウェイクラッチ22は係合状態に置かれる。このように、プーリ30及びプーリ10は、プーリ10の回転がプーリ30に、そしてそれによりベルトB2を介して補機P、A/C及びM/G300に伝達されるように、互いに直接接続される。
【0090】
ポンプP及びコンプレッサA/CがM/G300により動かされ、M/G300はモータモードにある一方で、エンジン1が止められているとき、ブレーキコイル41はOFFに変更される。第2動作モードでは、エンジン1は止められ、ピニオンギア15及びサンギア18は自由に回転する。キャリア11及びプーリ10は停止されたクランクシャフトプーリCRと係合するベルトB1と係合されるため、これらは回転しない。ブレーキコイル41はOFFであるため、サンギア18はリングギア17及びプーリ30と反対方向に回転し、それによりM/G300はエンジン1を始動させずにベルトB2を介して補機P及びA/Cを稼働させる。
【0091】
他の実施形態においては、図11に示すように、補機1000はトランスミッション100に直接接続される。補機1000は燃料ポンプ、オイルポンプ、又はエンジン若しくは車両に必要とされうる他の補機を備えうる。本実施形態では、補機1000はトランスミッション100及びシャフト31に直接接続される。同軸シャフト31に特有の配列により、トランスミッション100における入力シャフト200、つまり補機1000は、エンジン1が動かされず、M/G300がモータモードにあるときですら、他の補機と同調するM/G300により完全に動作可能である。もちろん、補機1000もまた、エンジン1が動かされ、そしてM/G300が発電機として動かされるときに、補機P及びA/Cと同調するエンジン1によって駆動される。
【0092】
ここに本発明の複数の実施形態が説明されたが、記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく、変形が各部の構造と関係に施されることは、当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】ツースピードトランスミッションの断面図である。
【図2】ツースピードトランスミッションの断面図である。
【図3】プラネタリギアキャリアの斜視図である。
【図4】キャリア上のプラネタリギアの部分斜視図である。
【図5】プラネタリギアベアリングとキャリアブッシングの部分斜視図である。
【図6】キャリアと出力プーリの部分斜視図である。
【図7】キャリア及び出力プーリ及び入力プーリの部分斜視図である。
【図8】キャリアブレーキシューと出力プーリの部分斜視図である。
【図9】ベアリングとキャリアブレーキシューの部分斜視図である。
【図10】コイルを備えるトランスミッションの斜視図である。
【図11】トランスミッションに接続され、出力プーリに連結されるオルタネータを備えるツースピードトランスミッションの断面図である。
【図12】ベルト駆動補機ドライブの概略図である。
【図13】ジェネレータモータ適用物に用いられる本発明の一実施形態によるトランスミッションの概略図である。
【図14】他方のジェネレータモータ配置における本発明のトランスミッションの概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバプーリと
入力プーリと出力プーリとを有するプラネタリギアトランスミッションと、
前記入力プーリは入力キャリアに接続され、
補機プーリを有する補機と、
前記ドライバプーリと前記入力プーリとの間で駆動するように係合する第1のベルトと、
前記出力プーリと前記補機プーリとの間で駆動するように係合する第2のベルトとを備え、
前記出力プーリ及び前記補機プーリはプーリ比を有し、
前記プラネタリギアトランスミッションはトランスミッション比を有し、前記トランスミッション比はエンジンスピードによって決定され、
前記プーリ比は補機スピードを決定する前記トランスミッション比と合算される補機ベルトドライブシステム。
【請求項2】
1よりも大きい前記トランスミッション比は、約1.3から1.7の範囲にある請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記出力プーリ及び前記入力プーリは同軸である請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、トランスミッション出力シャフトに直接接続される補機をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プラネタリギアトランスミッションは、サンギアの回転を調節するための電磁ブレーキを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プラネタリギアトランスミッションは前記電磁ブレーキと入力シャフトとの間に設けられるベアリングを備え、前記入力シャフトは前記入力キャリアに接続される請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プラネタリギアトランスミッションは、前記入力シャフトと前記出力シャフトとの間に設けられるスリーブベアリングを備える請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記プラネタリギアトランスミッションは入力シャフトと出力シャフトとの間に設けられるワンウェイクラッチを備え、前記ワンウェイクラッチは前記電磁ブレーキが解放されたときに係合される請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記電磁ブレーキはエンジンスピード信号により作動される請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記プラネタリギアはプーリの幅の中に完全に含まれる請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1ベルトは、約1500N/mmから約3000N/mmの範囲の弾性を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2ベルトは、約1500N/mmから約3000N/mmの範囲の弾性を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムはテンショナをさらに備え、前記テンショナは非対称減衰を有する。
【請求項14】
特定のプーリ比を有するようにトランスミッション出力プーリ及び補機プーリを選択するステップと、
ドライバに接続されたベルトでトランスミッション入力プーリを駆動するステップと、
第1のエンジンスピードにおいて第1の補機スピードで補機を駆動するステップと、
第2のエンジンスピードにおいて第2の補機スピードで補機を駆動するステップと、前記第2の補機スピードは前記第1の補機スピードよりも遅く、前記第1のエンジンスピードは前記第2のエンジンスピードよりも遅く、
特定のエンジンスピードでトランスミッション比を制御するステップと、
前記第1のエンジンスピードにおいて1よりも大きいトランスミッション比を用いるステップと、
前記第2のエンジンスピードにおいて1と等しいトランスミッション比を用いるステップと、
補機スピードをトランスミッション比及び前記プーリ比で制御するステップとを備えるエンジン補機の駆動方法。
【請求項15】
ベルトの振動を非対称に減衰するステップをさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
補機を前記トランスミッションに直接接続するステップをさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項17】
トランスミッション比及び入力手段及び出力手段を有するトランスミッション手段を備え、
前記トランスミッション手段は前記入力手段を介して係合するドライバにより駆動され、
前記出力手段は第1の補機駆動手段に駆動的に接続され、
前記出力手段及び前記第1の補機駆動手段は特定の比を有し、
第2の補機は前記トランスミッション手段に直接接続され、
合算された前記トランスミッション比及び前記比は、第1のドライバスピードの間、第1のスピードで前記第1の補機を駆動し、
前記トランスミッション比は第2のドライバスピードにおいて解放可能であり、前記第2のドライバスピードは前記第1のドライバスピードよりも速い補機ベルト駆動システム。
【請求項18】
前記トランスミッション手段は前記トランスミッション比を制御するための電磁ブレーキ手段を備える請求項17に記載の補機ベルトドライブシステム。
【請求項19】
ドライバと共にトランスミッションを駆動し、
前記トランスミッションと共に補機を駆動し、
前記補機と前記トランスミッションとの間のプーリ比を決定し、
ドライバスピードに従ってトランスミッション比を選択し、
第1のドライバスピードにおいて前記プーリ比と前記トランスミッション比との合算で前記補機を制御し、
前記第2のドライバスピードにおいて前記プーリ比で前記補機のみを制御し、前記第2のドライバスピードは前記第1のドライバスピードよりも速い、ベルト駆動エンジン補機を駆動する方法。
【請求項20】
さらに、前記トランスミッションに第2の補機を直接接続する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1及び第2の動作モードで動作可能なエンジンと、
モータジェネレータと、
前記第2の動作モードにおいて前記エンジンが動作しているとき、前記モータジェネレータから電力を受ける補機と、
前記モータジェネレータ及び前記エンジンとの間のクラッチと、
車両の動作状況を検出するために動作可能であり、信号を精製するために動作可能であるセンサと、
前記第1の動作モード又は第2の動作モードを選択的に作動するために前記信号を用いるコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記第2の動作モードの間、前記補機に電力を供給するために前記モータジェネレータを動かし、一方で前記エンジンが前記第2の動作モードで動かされているときに前記モータジェネレータから前記エンジンに伝達されることを防ぐ前記クラッチを不能にする、車両のためのパワートレーンシステム。
【請求項22】
前記エンジン又は前記モータジェネレータにより制御される補機をさらに備え、
前記補機は前記モータジェネレータの回転シャフトに接続される、請求項21に記載のパワートレーンシステム。
【請求項23】
前記モータジェネレータは前記エンジンのドライブシャフトに接続され、
トランスミッション機構は前記エンジンと前記モータジェネレータとの間に設けられ、前記トランスミッション機構は、前記モータジェネレータの回転シャフトの回転を前記エンジンの前記ドライブシャフトに、変更されたスピードで伝達することを可能にし、
前記補機は、前記モータジェネレータの前記回転シャフトに接続され、前記エンジン又は前記モータジェネレータによって動かされ、
前記トランスミッション機構は、前記エンジンが止められた状態において前記補機が前記モータジェネレータにより動かされるときに、前記モータジェネレータの前記回転シャフトの回転のスピードを減少し、前記回転を前記エンジンの前記ドライブシャフトに伝達する、請求項21に記載のパワートレーンシステム。
【請求項24】
前記エンジンが止められた状態において前記補機が前記モータジェネレータにより動かされるとき、前記クラッチは、前記モータジェネレータの前記回転シャフトの回転が前記エンジンの前記ドライブシャフトへ伝達されることを妨げる、請求項23に記載のパワートレーンシステム。
【請求項25】
前記信号はデジタルである請求項22に記載のパワートレーンシステム。
【請求項26】
前記信号はアナログである請求項22に記載のパワートレーンシステム。
【請求項27】
第1の動作モード又は第2の動作モードにおいて動作可能なエンジンと、
電気モータジェネレータと、
前記エンジン及び前記モータジェネレータのうち少なくとも1つから電力を受ける補機と、
前記エンジンと前記モータジェネレータとの間のトランスミッションとを有する車両用パワートレーンシステムを制御する方法であって、
センサで車両動作状況を検出し、
前記センサから信号を供給し、
前記第1の運転モード又は前記第2の運転モードを選択的に作動するための信号を用い、
前記第2の運転モードが選択されたときに前記モータジェネレータから前記補機に電力を供給し、
前記第2の運転モードにて前記エンジンが動かされるとき、前記モータジェネレータから前記エンジンへ電力が伝達されることを防止する前記クラッチを不能にする、車両用パワートレーンシステムを制御する方法。
【請求項28】
デジタル信号を供給する手段を備える請求項27に記載の方法。
【請求項29】
アナログ信号を供給する手段を備える請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記トランスミッションに前記補機を取り付ける手段を備える請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記補機は前記トランスミッションに直接接続される請求項23に記載のパワートレーンシステム。
【請求項32】
前記モータジェネレータは前記トランスミッションに直接接続される請求項23に記載のパワートレーンシステム。
【請求項33】
前記モータジェネレータは前記トランスミッションにベルトで接続される請求項31に記載のパワートレーンシステム。
【請求項34】
前記プラネタリギアトランスミッションは約5%から25%のデューティーサイクルを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
約5%から25%の範囲におけるトランスミッションデューティーサイクルで動作する前記ステップを備える請求項14に記載の方法。
【請求項36】
前記トランスミッション手段は約5%から25%の範囲におけるデューティーサイクルを有する請求項17に記載のシステム。
【請求項37】
約5%から25%のデューティーサイクルで前記トランスミッションを動かす前記ステップを備える請求項19に記載の方法。
【請求項1】
ドライバプーリと
入力プーリと出力プーリとを有するプラネタリギアトランスミッションと、
前記入力プーリは入力キャリアに接続され、
補機プーリを有する補機と、
前記ドライバプーリと前記入力プーリとの間で駆動するように係合する第1のベルトと、
前記出力プーリと前記補機プーリとの間で駆動するように係合する第2のベルトとを備え、
前記出力プーリ及び前記補機プーリはプーリ比を有し、
前記プラネタリギアトランスミッションはトランスミッション比を有し、前記トランスミッション比はエンジンスピードによって決定され、
前記プーリ比は補機スピードを決定する前記トランスミッション比と合算される補機ベルトドライブシステム。
【請求項2】
1よりも大きい前記トランスミッション比は、約1.3から1.7の範囲にある請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記出力プーリ及び前記入力プーリは同軸である請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、トランスミッション出力シャフトに直接接続される補機をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プラネタリギアトランスミッションは、サンギアの回転を調節するための電磁ブレーキを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プラネタリギアトランスミッションは前記電磁ブレーキと入力シャフトとの間に設けられるベアリングを備え、前記入力シャフトは前記入力キャリアに接続される請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プラネタリギアトランスミッションは、前記入力シャフトと前記出力シャフトとの間に設けられるスリーブベアリングを備える請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記プラネタリギアトランスミッションは入力シャフトと出力シャフトとの間に設けられるワンウェイクラッチを備え、前記ワンウェイクラッチは前記電磁ブレーキが解放されたときに係合される請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記電磁ブレーキはエンジンスピード信号により作動される請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記プラネタリギアはプーリの幅の中に完全に含まれる請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1ベルトは、約1500N/mmから約3000N/mmの範囲の弾性を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2ベルトは、約1500N/mmから約3000N/mmの範囲の弾性を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムはテンショナをさらに備え、前記テンショナは非対称減衰を有する。
【請求項14】
特定のプーリ比を有するようにトランスミッション出力プーリ及び補機プーリを選択するステップと、
ドライバに接続されたベルトでトランスミッション入力プーリを駆動するステップと、
第1のエンジンスピードにおいて第1の補機スピードで補機を駆動するステップと、
第2のエンジンスピードにおいて第2の補機スピードで補機を駆動するステップと、前記第2の補機スピードは前記第1の補機スピードよりも遅く、前記第1のエンジンスピードは前記第2のエンジンスピードよりも遅く、
特定のエンジンスピードでトランスミッション比を制御するステップと、
前記第1のエンジンスピードにおいて1よりも大きいトランスミッション比を用いるステップと、
前記第2のエンジンスピードにおいて1と等しいトランスミッション比を用いるステップと、
補機スピードをトランスミッション比及び前記プーリ比で制御するステップとを備えるエンジン補機の駆動方法。
【請求項15】
ベルトの振動を非対称に減衰するステップをさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
補機を前記トランスミッションに直接接続するステップをさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項17】
トランスミッション比及び入力手段及び出力手段を有するトランスミッション手段を備え、
前記トランスミッション手段は前記入力手段を介して係合するドライバにより駆動され、
前記出力手段は第1の補機駆動手段に駆動的に接続され、
前記出力手段及び前記第1の補機駆動手段は特定の比を有し、
第2の補機は前記トランスミッション手段に直接接続され、
合算された前記トランスミッション比及び前記比は、第1のドライバスピードの間、第1のスピードで前記第1の補機を駆動し、
前記トランスミッション比は第2のドライバスピードにおいて解放可能であり、前記第2のドライバスピードは前記第1のドライバスピードよりも速い補機ベルト駆動システム。
【請求項18】
前記トランスミッション手段は前記トランスミッション比を制御するための電磁ブレーキ手段を備える請求項17に記載の補機ベルトドライブシステム。
【請求項19】
ドライバと共にトランスミッションを駆動し、
前記トランスミッションと共に補機を駆動し、
前記補機と前記トランスミッションとの間のプーリ比を決定し、
ドライバスピードに従ってトランスミッション比を選択し、
第1のドライバスピードにおいて前記プーリ比と前記トランスミッション比との合算で前記補機を制御し、
前記第2のドライバスピードにおいて前記プーリ比で前記補機のみを制御し、前記第2のドライバスピードは前記第1のドライバスピードよりも速い、ベルト駆動エンジン補機を駆動する方法。
【請求項20】
さらに、前記トランスミッションに第2の補機を直接接続する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1及び第2の動作モードで動作可能なエンジンと、
モータジェネレータと、
前記第2の動作モードにおいて前記エンジンが動作しているとき、前記モータジェネレータから電力を受ける補機と、
前記モータジェネレータ及び前記エンジンとの間のクラッチと、
車両の動作状況を検出するために動作可能であり、信号を精製するために動作可能であるセンサと、
前記第1の動作モード又は第2の動作モードを選択的に作動するために前記信号を用いるコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記第2の動作モードの間、前記補機に電力を供給するために前記モータジェネレータを動かし、一方で前記エンジンが前記第2の動作モードで動かされているときに前記モータジェネレータから前記エンジンに伝達されることを防ぐ前記クラッチを不能にする、車両のためのパワートレーンシステム。
【請求項22】
前記エンジン又は前記モータジェネレータにより制御される補機をさらに備え、
前記補機は前記モータジェネレータの回転シャフトに接続される、請求項21に記載のパワートレーンシステム。
【請求項23】
前記モータジェネレータは前記エンジンのドライブシャフトに接続され、
トランスミッション機構は前記エンジンと前記モータジェネレータとの間に設けられ、前記トランスミッション機構は、前記モータジェネレータの回転シャフトの回転を前記エンジンの前記ドライブシャフトに、変更されたスピードで伝達することを可能にし、
前記補機は、前記モータジェネレータの前記回転シャフトに接続され、前記エンジン又は前記モータジェネレータによって動かされ、
前記トランスミッション機構は、前記エンジンが止められた状態において前記補機が前記モータジェネレータにより動かされるときに、前記モータジェネレータの前記回転シャフトの回転のスピードを減少し、前記回転を前記エンジンの前記ドライブシャフトに伝達する、請求項21に記載のパワートレーンシステム。
【請求項24】
前記エンジンが止められた状態において前記補機が前記モータジェネレータにより動かされるとき、前記クラッチは、前記モータジェネレータの前記回転シャフトの回転が前記エンジンの前記ドライブシャフトへ伝達されることを妨げる、請求項23に記載のパワートレーンシステム。
【請求項25】
前記信号はデジタルである請求項22に記載のパワートレーンシステム。
【請求項26】
前記信号はアナログである請求項22に記載のパワートレーンシステム。
【請求項27】
第1の動作モード又は第2の動作モードにおいて動作可能なエンジンと、
電気モータジェネレータと、
前記エンジン及び前記モータジェネレータのうち少なくとも1つから電力を受ける補機と、
前記エンジンと前記モータジェネレータとの間のトランスミッションとを有する車両用パワートレーンシステムを制御する方法であって、
センサで車両動作状況を検出し、
前記センサから信号を供給し、
前記第1の運転モード又は前記第2の運転モードを選択的に作動するための信号を用い、
前記第2の運転モードが選択されたときに前記モータジェネレータから前記補機に電力を供給し、
前記第2の運転モードにて前記エンジンが動かされるとき、前記モータジェネレータから前記エンジンへ電力が伝達されることを防止する前記クラッチを不能にする、車両用パワートレーンシステムを制御する方法。
【請求項28】
デジタル信号を供給する手段を備える請求項27に記載の方法。
【請求項29】
アナログ信号を供給する手段を備える請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記トランスミッションに前記補機を取り付ける手段を備える請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記補機は前記トランスミッションに直接接続される請求項23に記載のパワートレーンシステム。
【請求項32】
前記モータジェネレータは前記トランスミッションに直接接続される請求項23に記載のパワートレーンシステム。
【請求項33】
前記モータジェネレータは前記トランスミッションにベルトで接続される請求項31に記載のパワートレーンシステム。
【請求項34】
前記プラネタリギアトランスミッションは約5%から25%のデューティーサイクルを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
約5%から25%の範囲におけるトランスミッションデューティーサイクルで動作する前記ステップを備える請求項14に記載の方法。
【請求項36】
前記トランスミッション手段は約5%から25%の範囲におけるデューティーサイクルを有する請求項17に記載のシステム。
【請求項37】
約5%から25%のデューティーサイクルで前記トランスミッションを動かす前記ステップを備える請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−292078(P2007−292078A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134693(P2007−134693)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【分割の表示】特願2006−549227(P2006−549227)の分割
【原出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【分割の表示】特願2006−549227(P2006−549227)の分割
【原出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]