デイジーチェーン構成の電荷格納領域を有する復調ピクセルおよびそれを操作する方法
【課題】高いサンプリング周波数と比較的多数のサンプルの両方を満足することができる、復調ピクセルアーキテクチャを提供する。
【解決手段】感光性領域110であって、その領域では入射光が光電荷に変換され、この感光性領域110内の横方向のドリフト電界116が光電荷をピックアップ点112に移動させる、感光性領域110と、ピックアップ点112において感光性領域110から光電荷を受け取る電荷格納部154のチェーン152であって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する光電荷はチェーン152の連続した電荷格納部154を通して伝達される、チェーン152とを備える。
【解決手段】感光性領域110であって、その領域では入射光が光電荷に変換され、この感光性領域110内の横方向のドリフト電界116が光電荷をピックアップ点112に移動させる、感光性領域110と、ピックアップ点112において感光性領域110から光電荷を受け取る電荷格納部154のチェーン152であって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する光電荷はチェーン152の連続した電荷格納部154を通して伝達される、チェーン152とを備える。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119(e)条により、2008年8月28日出願の仮特許出願第61/092,548号の優先権を主張するものであり、この仮出願の全開示内容は参照により本明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
ピクセル(画素)レベルで変調された光の復調は、光発生電荷電流(光により発生した電荷電流)の切り替えを必要とする。電子電流と正孔電流の両方を操作することが可能であるが、一般的な方法は現在、光発生電子電流(光により発生した電子電流)を用いる。この選択は主として、半導体材料における電子の移動度がより高いことによる。光電流に基づいて必要な信号処理を実行するピクセルアーキテクチャもあれば、直接電荷領域において作用するピクセルアーキテクチャも存在する。
【0003】
ピクセルアーキテクチャのすべてが、感光検出領域を介して、次の格納領域または次の処理ユニットに光電荷を転送する。電荷領域ベースのピクセルアーキテクチャの場合、光電荷は一般に集積ノードに転送される。光信号を復調するために、ピクセルは、別個の時間区間にわたって光発生電荷を蓄積する少なくとも2つの集積ノードを包含しなければならない。
【0004】
様々なピクセルの概念が、過去2、30年間において実現されてきた。ピクセル内蔵in-pixel)復調センサの基本原理は、Thomas SpirigおよびPeter Seitzが発明者である特許文献1に最初に記載された。センサの各ピクセルは、集積領域のそれぞれに対応している感光性領域および転送ゲートまたはスイッチを有していた。このセンサによって、理論的に任意の数のサンプルで、入射光信号のピクセル内でのサンプリング(in-pixel sampling)が可能になる。
【0005】
別の同様のピクセル概念がT,Ushinagaらの「背景光電荷送出構造を備えるQVGAサイズ(240×320ピクセルサイズ)のCMOS飛行時間レンジ画像センサ(A QVGA-size CMOS time-of-flight range image sensor with background light charge draining structure)」、3次元画像捕獲および応用VII、Proceeding of SPIE、 Vol.6056、pp.34-41 2006)」に記載されている。ここでは、厚いフィールド酸化層が、復調ゲートの下の電位分布を均一にするために使用される。
【0006】
上述のピクセルアーキテクチャの一般的な問題は、半導体材料を通る電荷転送速度が遅いことである。これは、ピクセル内復調プロセスの品質を著しく低下させる。すべてのピクセル構造体において、制限された転送速度は、半導体基板内の段階状の電位分布を生じさせる。この電位分布は、感光性領域の外側で横方向に半導体を通して電荷を転送するのに利用される。これらの構成では、段階状の電位分布から生じる横方向のドリフト電界による移動に代わって、熱拡散が転送速度を支配する。
【0007】
最近になって、電荷のピクセル内の転送速度を速める新しい方法が提案された。Peter Seitzによる、特許文献2に記載されている一例では、より滑らかな電位分布を生成する目的で、極めて高抵抗のポリシリコンゲート電極に電流を通すことにより、横方向のドリフト電界を生成する。同様に、D. van Nieuwenhoveらの「検出接合部の方向に光発生電子を案内するのに多数キャリア電流を用いる、新規で標準的なCMOS検出器(Novel Standard CMOS Detector using Majority Current for guiding Photo-Generated Electrons towards Detecting Junctions)、Procceding Stmposium IEEE/LEOS Benelux Chapter,2005」は、別のドリフト電界ピクセルを紹介している。この別のドリフト電界ピクセルでは、基板におけるドリフト電界が多数キャリア電流により生成される。光で発生した少数キャリアの復調を実行するために、多数キャリア電流は復調信号によって動的に制御される。
【0008】
しかし、上述のドリフト電界ピクセルの概念は欠点を有する。第1に、復調は、感光性領域全体を動的に制御する必要があるため、大きなキャパシタンスの切り替えを必要とする。第2に、電子電流がドリフト電界を生成するのに使用されるため、大きなピクセル内電力消費をもたらす。
【0009】
代替のピクセル概念は静的ドリフト電界ピクセルを用いる。特許文献3「画像センサに使用する広面積ピクセル(Large-area pixel for use in an image sensor)」に記載されているアーキテクチャは、これらの2つの問題を克服している。上述のアーキテクチャと対照的に、本アーキテクチャはピクセル内の検出領域と復調領域とを分離している。本アーキテクチャは、電力消費が小さく、同時に、高速のピクセル内横方向の電荷転送および復調が可能である。
【0010】
復調ピクセルの主要な用途の1つは、リアルタイム3Dイメージングに見られる。光信号を復調し、サンプルに離散フーリエ解析を適用することにより、振幅および位相などのパラメータが、対象とする周波数に関して抽出される。例えば、光信号が正弦波変調されている場合、少なくとも3つの別個のサンプルに基づいた抽出により、オフセット、振幅および位相の情報が得られる。位相値は、求めた距離値に比例する。このような高調波変調方式は、復調ピクセルを組み込んでいるリアルタイムの3Dイメージングシステムにおいて使用されることが多い。
【0011】
これらのピクセルアーキテクチャの別の可能な用途は、蛍光寿命イメージング顕微鏡法(FLIM)であり、FLIMでは、より短いレーザーパルスが蛍光のトリガーとなる。
【0012】
ピクセルをベースとした距離測定の精度は、変調周波数に直接正比例する。したがって、感光性領域から格納領域への高速電荷転送は、高精度位相測定を可能にするのにもっとも重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5856667号
【特許文献2】米国特許第7498621B1号
【特許文献3】欧州特許出願第1624490A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在の復調ピクセルは一般に、取得するサンプル数と高いサンプリング周波数との間で妥協点を見出す必要がある。大部分の商品化されているピクセルでは、サンプリング周波数を最大化するために、ピクセル当たりわずか2つの格納領域に格納される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、高いサンプリング周波数と比較的多数のサンプルの両方を満足することができる。これは、後続の格納領域のデイジーチェーンと組み合わせて、おそらくは静的ドリフト電界を用いる、感光性領域を有することにより達成される。
【0016】
このピクセルアーキテクチャに基づくセンサによって、多くのサンプルを極めて高速で取得する必要がある、全く新しい用途への展開が可能になる。1つの例は、飛行時間原理に基づくサブミリメートル疑似雑音3Dイメージングである。
【0017】
本発明の実施形態は、ほぼ任意の数のサンプルノードを有することができる。これまでは、3つ以上のサンプリング格納領域を備える復調ピクセルの実現は、集積回路設計レイアウトルールの制限によって妨げられていた。復調領域は感光性領域に比べて極めて小さいのが好ましいため、ほとんどの場合、復調領域は、3つ以上のサンプリング格納ステージの設計を実現するのに十分な空間を備えない。
【0018】
さらに、本発明の実施形態によって、異なるサンプリングチャネルの不一致の問題を低減することができる。異なるサンプルの挙動の不一致は主に、異なるサンプルに対する光電荷の転送の方向が異なることにより引き起こされる。ここでは、すべてのサンプリングは半導体格子の同一方向において実行される。言い換えると、転送方向は変更される必要がなく、したがって、サンプル間の不一致は大幅に低減される。
【0019】
一般に、一態様によると、本発明は、入射光を光電荷に変換する感光性領域であって、感光性領域内の横方向(水平方向)ドリフト電界がピックアップ点に光電荷を移動させる、感光性領域と、ピックアップ点において感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域(電荷格納部)のチェーンとを備えるピクセルを特徴とし、異なる(別々の)時間区間に対応する光電荷は連続した電荷格納領域のチェーンを通して転送される。
【0020】
一般に、別の態様によると、本発明は、入射光を光電荷に変換する工程と、横方向(水平方向)のドリフト電界によって光電荷を格納領域(格納部)のチェーンの先頭に移動(輸送)させる工程と、連続した電荷格納領域のチェーンを通して、光電荷を異なる(別々の)時間区間に対応する電荷パケットとして転送する工程とを備える、光サンプリング方法を特徴とする。
【0021】
一般に、別の態様によると、本発明は、ピクセルの1次元または2次元アレイを備えるセンサを特徴とし、各ピクセルは、入射光が光電荷に変換されて横方向ドリフト電界によって移動させられる感光性領域と、感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域のチェーンとを備え、異なる時間区間に対応する光電荷は連続した電荷格納領域のチェーンを通して転送される。
【0022】
一般に、別の態様によると、本発明は、
変調期間によって特徴付けられる変調された光信号を用いてシーン(場面、背景)を照明する光源と、
前記シーンからの変調された光信号を検出するセンサとを備えたイメージングシステムを特徴とし、
前記センサはピクセルアレイを備え、
各ピクセルは、入射光が光電荷に変換される感光性領域、および感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域のチェーンとを備え、
変調期間内の異なる時間区間(変調期間内の複数に区分された時間)に対応する光電荷は、連続した電荷格納領域のチェーンを通して転送される。
【0023】
一般に、さらに別の態様によると、本発明は、
入射光を光電荷に変換する感光性領域と、
ピックアップ点において感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域のチェーンであって、種々の時間区間に対応する光電荷が連続した電荷格納領域のチェーンを通して伝達される、電荷格納領域のチェーンと、
各電荷格納領域に接続された(関連付けられた)電荷集積領域(電荷集積部)であって、電荷格納領域から、接続された(関連付けられた)電荷集積領域に光電荷が転送される、電荷集積領域とを備えたピクセルを特徴とする。
【0024】
一般に、さらに別の態様によると、本発明は、
入射光を光電荷に変換する工程と、
光電荷を格納領域のチェーンの先頭に移動させる工程と、
連続した電荷格納領域のチェーンを通して、光電荷を異なる時間区間に対応する電荷パケットとして転送する工程と、
各格納領域に接続された(関連付けられた)集積領域内に、種々の期間のうちの同一時間期間からの電荷パケットを集積する工程とを備えた光サンプリング方法を特徴とする。
【0025】
一般に、別の態様によると、本発明はピクセルの1次元アレイまたは2次元アレイを備えたセンサを特徴とし、
各ピクセルは、
入射光を光電荷に変換する感光性領域と、
感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域のチェーンであって、種々の時間区間に対応する光電荷がチェーンの連続した電荷格納領域のチェーンを通して伝達される、電荷格納領域のチェーンと、
各電荷格納領域に接続された(関連付けられた)電荷集積領域であって、電荷格納領域から、接続された(関連付けられた)電荷集積領域に光電荷が転送される、電荷集積領域とを備えたセンサを特徴とする。
【0026】
部品の構成と組み合わせの様々な新規の詳細事項を含む本発明の上記および他の特徴、ならびに他の利点は、添付図面を参照して以下により具体的に説明し、特許請求の範囲において示す。本発明を具体化する特定の方法および装置が例示として示されているが、本発明を限定するものではないことが理解されるであろう。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な多数の実施形態において採用されてもよい。
【0027】
添付図面では、参照符号は異なる図であっても同一部品を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態による復調ピクセルの図である。
【図2】復調ピクセルの処理回路を示す回路図である。
【図3】復調ピクセルを組み込んでいるセンサを示す回路図である。
【図4】本発明の別の実施形態による復調ピクセルの概略図である。
【図5A】4タップ復調ピクセルの動作を示す図である。
【図5B】4タップ復調ピクセルの動作を示す図である。
【図5C】4タップ復調ピクセルの動作を示す図である。
【図5D】4タップ復調ピクセルの動作を示す図である。
【図6A】(1)〜(5)は、3タップピクセルにおける復調動作を示す図である。
【図6B】3タップピクセルにおける復調動作を示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態による4タップ復調ピクセルの概略図である。
【図8】本発明の別の実施形態による復調ピクセルの概略図である。
【図9】復調ピクセルを備えるセンサを使用する、3次元測定構成の従来の方式を示す図である。
【図10】(a)および(b)は、図9の方式を用いて、放射信号および受信信号について、時間の関数として光強度を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明はpドープ基板を備えたセンサに関し、その場合、電子が有効な光発生電荷キャリアである。全ての考察内容はnドープ材料に対しても適用でき、その場合、正孔が情報のキャリアであり、ゲートおよび/または拡散領域に加えられる電圧が逆になる。
【0030】
図1は、本発明の原理により構成されている、半導体基板に組み込まれた復調ピクセル100を示す。
【0031】
ピクセル100は感光性領域110を備える。感光性領域110は一般に半導体基板の一部によって特徴付けられる。この半導体基板は、入射光などの放射線を受けるが、そうでなければ、金属層のような不透明な層によって遮蔽されているわけではない。感光性領域110は光電荷転送領域115を有し、この光電荷転送領域115は、典型的にはその一端に存在するピックアップ点112に光電荷を移動させる。
【0032】
光電荷転送領域115は、光電変換された信号に対する任意のローパスフィルタ効果を最小化するために、一般に可能な限り高速で、ピックアップ点112に光電荷を移動させる。高速の電荷キャリア移動は、横方向のドリフト電界116によって実現される。ドリフト電界116は様々な方法により生成することができる。以下に、いくつかの実現可能な方法の詳細を示す。
【0033】
静的ドリフト電界の1つの実現形態は、半導体基板およびその上面に接触して位置する絶縁層の上面に高抵抗材料の光透過性ゲートを形成することにより実現される。電位差を加えるとゲートを通る電流が発生し、それにより一定の横方向の電界が生成される。ゲートと半導体間の静電結合に起因した電位分布は半導体基板に反映されて、光発生電荷がドリフト電界により方向付けられる。
【0034】
感光性領域110内に横方向のドリフト電界を生成する別の方法は、作りつけの(予め組み込まれた(built-in))ドリフト電界を実現することである。作りつけのドリフト電界は感光性領域全体にわたるドーピング濃度を段階的に変化させることにより生成される。ピクセル100の感光性検出領域110内で横方向のドリフト電界を生成する他の例は、不連続(ディスクリート)ゲート構造(discrete gate)、フローティングゲートもしくはフローティング拡散、樹枝状ゲート構造、PINフォトダイオード、および基板を通る多数キャリア電流である。ここでの好ましい実施形態は、異なる静電位が加えられる重畳ゲート構造(共通ゲート構造(overlapping gates structure))を使用する。横方向のドリフト電界を生成する上述の方法の組み合わせもまた実現できる。ドリフト電界領域内で発生した電子は陽電位に引き付けられる。したがって、ゲート電位は遠端部からピックアップ点112まで増加している。このピックアップ点において、すべての電子は、専用のサンプリング処理が完了するまで蓄積される。この後、それら電子はデイジーチェーン152に転送される。
【0035】
光電荷転送領域115(ここでは「検出領域」と称される)の実現における多くの例および説明は、2008年4月16日出願のBernhard Buettgenによる米国特許出願第12/090,404号の発明の名称「変調電磁波場を復調する装置およびその方法(Device and Method for the Demodulation of Modulated Electromagnetic Wave Fields)」に記載されており、その全開示内容は、参照により本明細書に引用したものとする。
【0036】
ピックアップ点112から、光発生電荷は電荷格納領域(電荷格納部)152のデイジーチェーンに転送される。このデイジーチェーン152は好ましくは、非感光性領域150内に存在する。この実現形態では、デイジーチェーン152は、一連の電荷結合素子(CCD)ゲートを備える。典型的には、金属層を用いてこの領域150を覆って、基板に光電荷が発生するのを防止する。
【0037】
より詳細には、格納領域のデイジーチェーン152またはゲート154は、第1分離ノードまたはバリアゲート構造156aによりピックアップ点112から分離されている第1格納領域154aを備える。動作中、感光性領域110内で発生し、横方向のドリフト電界116によってピックアップ点112に移動される光電荷が、第1分離ノード156aを通って流れるように、分離ノード156および格納領域154に加える電位をピクセルコントローラ102によって制御する。第1電荷格納領域154aが1つの時間区間中に感光性領域110において発生した光電荷の電荷パケットを含むように、ピクセルコントローラ102は分離ノード156aに加える電位を上昇させる。ピクセルコントローラ102は次に、分離ノード156aに加える電位を低下させることにより、ピックアップ点112から第1電荷格納領域154aを分離する。
【0038】
次の時間区間中に、第1格納領域154aに含まれる電荷パケットはデイジーチェーン152の第2格納領域154bに転送される。このプロセスは、ピクセルコントローラ102によって達成され、ピクセルコントローラ102は、第1格納領域154aに加える電位を低下させると同時に、第2格納領域154bおよびこれらの間に介在する第2分離ノードすなわちバリアゲート構造156bに加える電位を上昇させる。その後、第2分離ノード156bに加える電位を低下させて、第1格納領域154aから第2格納領域154bを分離する。この転送プロセスでは、第1格納領域154aを、次のサンプリングの時間区間における次の電荷パケットを受け取ることができる状態にする。
【0039】
第3時間期間中に、第2格納領域154bに含まれる電荷パケットは、第3格納領域154cに転送され、第1格納領域154aに含まれる電荷パケットは第2格納領域154bに転送される。先に説明した場合と同様に、このプロセスは、ピクセルコントローラ102によって達成され、ピクセルコントローラ102は、上流の格納領域および分離ノードに加える電位を低下させると同時に、連続する格納領域に加える電位を上昇させる。その後、分離ノードに加える電位を低下させて、格納領域を相互に分離する。先に説明した場合と同様に、この転送プロセスでは、第1格納領域154aを、次のサンプリングの時間期間における次の電荷パケットを受け取ることができる状態にする。
【0040】
図示の実施形態では、デイジーチェーン152は一連の3つの格納領域154a〜154cで示されている。しかし、図示のピクセルは、デイジーチェーン152においてほぼ任意の数の格納領域を用いて実現できる。正弦波の復調つまり位相決定に関しては、少なくとも3つの格納領域がデイジーチェーン152に存在するのが望ましい。正弦以外の関数の波の位相を復調つまり決定する場合、より多い数の格納領域が望ましい。nビット疑似雑音シーケンスの復調は長さnのデイジーチェーンを用いる。ただし、いくつかの実現形態では、n=4から16またはそれ以上である。
【0041】
好ましい実施形態では、各格納領域154には少なくとも1つの集積領域(集積部)160が接続されている。集積領域は一般に集積ゲートまたは拡散領域として実現される。図示の例では、第1格納領域は2つの集積領域160a1、160a2を有する。同様に、第2格納領域は2つの集積領域160b1、160b2を有し、第3格納領域は2つの集積領域160c1、160c2を有する。
【0042】
集積領域160のそれぞれは、転送ノードすなわちゲート構造158によって、対応する格納領域から分離されている。
【0043】
典型的は動作では、デイジーチェーン152が、一連のサンプリングの時間区間に対応する電荷パケットで完全に満たされると、電荷パケットは、格納領域154から集積領域160に転送される。このプロセスはピクセルコントローラ102によって制御され、転送ノード158の電位を上昇させると同時に、格納領域154の電位を低下させる。例えば、第2格納領域154bから集積領域160b2に電荷パケットを転送するために、ピクセルコントローラ102は、第2格納領域154bの電位を低下させると同時に、転送ゲート158b2の電位を上昇させる。このようにして、多くのサンプリングシーケンスからの光電荷は集積され、改善された信号対雑音比動作を実現する。すなわち、電荷パケットでデイジーチェーン152を充満するプロセスが、例えば、10もしくは100、または最大100万回またはそれ以上繰り返され、集積領域160のそれぞれが、これらの繰り返されたサンプリングプロセスからの光電荷の総数を格納する。
【0044】
各集積領域すなわちゲート160がそれ自体の別個に制御された転送ノードすなわちゲート158を有することは必須ではない。しかし、1つの実現形態においては、すべての集積領域160に対して1つだけの大きい転送ノードすなわちゲート158を備え、その転送ノードすなわちゲート158を1つのマスタ信号を用いてピクセルコントローラ102によって制御することにより、電荷パケットが、同時にすべて一斉に、各格納領域154からそれぞれ対応する集積領域160に転送されるようにすることも可能である。
【0045】
図2は、ピクセル100に接続された追加の回路を示す。集積領域160は、各ピクセル100に組み込まれた処理回路210に結合されている。この回路210は好ましくは、集積領域160のそれぞれに含まれる光電荷の量、または集積領域160内の光電荷の相対量を決定するための、アナログデジタル変換器、減算素子および/またはコンパレータ回路を含む。他の例では、回路210は、特に低雑音環境において、集積領域160を用いずに、直接格納領域154のそれぞれに含まれる光電荷の量を決定する。このような例の1つにおいては、別個の集積領域160を用いずに、格納領域154はリング型トポロジで構成されている。そのため、格納領域に含まれる電荷パケットはリングに沿って段階的に移動し、これら格納領域は、電荷パケットがピックアップ点の反対側に来る毎に、新しく発生した光電荷でさらに連続的に充満される。
【0046】
図3は、完全なセンサ200の構成体(フレーム)内のピクセルアーキテクチャの全体の実現形態を示す。典型的には、センサ200は、ピクセル100の1次元または2次元のアレイを備える。行選択は行デコーダ212によってなされる。列選択はシフトレジスタまたはデジタルデコーダによってなされる。読み出し回路はレジスタ214および追加の処理回路216を有する。
【0047】
図4は、4タップアーキテクチャに基づくピクセル100の1つの実現形態を示す。この実施形態は、このピクセル概念の特定の実現形態である。
【0048】
ピクセル100を用いて、4つの時点(それぞれの時点はπ/2の間隔を空けている)に対応する時間区間に対して、正弦波変調された光信号をサンプリングする場合、2つの上側の集積領域160d、160bは好ましくは位相0°および180°に対応し、下側の集積領域160c、160aは90°および270°に対応する。
【0049】
ダンプノード410はデイジーチェーン152の端部に含まれる。初期校正またはピクセルのリセット動作の間、光電荷をダンプノード410に転送して、光電荷をピクセル100から消去する。これらの光電荷は背景照明の結果である場合が多く、そのため、雑音源となる。しかし、ダンプノードは、必ずしもデイジーチェーンの端部に配置されなければならないわけではない。例えば、他の実現形態では、ダンプノードが集積領域の1つと置き換えられる。
【0050】
全体的な4タップサンプリング手順が図4および図5A〜図5Dに示されている。光信号のサンプリング中に、すべての光電荷は、横方向のドリフト電界116の作用により、ピックアップ点112にドリフトつまり移動する。サンプリング時間つまり期間が終了すると、図4に示したように、1つの実現形態では、光電荷は標準的な電荷結合素子(CCD)レジスタ動作によって、デイジーチェーン152に転送される。次に、図5Aに示すように、次の電荷パケットがサンプリングされる。各サンプリングステップ後に、CCDデイジーチェーン152内の電荷パケットは、図5Bおよび5Cに示すように、さらに転送される。CCDデイジーチェーンは、例えば、3相CCD構造または4相CCD構造として実現されてもよい。これは、分離ノード156がそれぞれ、典型的には2つ以上のCCDゲートのバリアゲート構造を備えることを意味する。
【0051】
第4サンプリング後には、図5Dに示すように、4つの電荷パケットがCCDデイジーチェーン152内に存在する。これら電荷パケットを格納するために、格納領域154a、154b、154c、154dのそれぞれの電荷パケットは、特定の信号位相にそれぞれ専用である集積領域160a、160b、160c、160dに転送される。復調プロセスの信号対雑音比を上げるために、全体的な4タップサンプリングは複数回繰り返され(最大では100万回以上)、電荷は集積領域160a、160b、160c、160d内に蓄積される。
【0052】
CCDデイジーチェーン152の右端部に存在するダンプノード410は、読み出し段階中における光電荷のダンプを可能にする。基本的に、ダンプノードの設計は本ピクセルアーキテクチャの柔軟な動作を特徴としている。これにより、バーストモード動作またはパルスモード動作のような様々な光変調技術を用いることができる。
【0053】
図6Aの(1)〜(5)は、3タップピクセルに基づく復調原理を示す。図6Aは、電荷が最初に、ピックアップ点112から異なる分離ノード156a〜156cおよび格納領域154a〜154cを通して転送されるタイミングを示し、図6の(1)〜(4)がそれぞれのタイミングを示している。図6Aの(4)のように、すべての格納領域154a〜154cがそれぞれの電荷パケットを受け取るとすぐに、図6Aの(5)のように、電荷は転送ゲート158a〜158cの下流の集積領域160a〜160cに転送される。そして、このプロセスは最大100万回以上繰り返すこともできる。上述した場合と同様に、変調光が放射されることなく、背景光によって発生したこれら電子を除去するように、ダンプノードを実現することができる。ここで、デイジーチェーン152は、3相CCDゲート構造または4相CCDゲート構造で実現されてもよい。
【0054】
図6Bは、正弦波変調されたシステムの特定の例について示し、入射する正弦波は3つの互いに異なる時間区間でサンプリングされる。各時間区間サンプルに対する光電荷は、対応する集積領域160a〜160c内に、1区間ごとに1回集積される。
【0055】
図7は、4つの集積領域160a〜160dを備えたピクセルを示す。デイジーチェーンは、格納領域154a〜154dおよび分離ノード156a〜156dのそれぞれにおいて、G1からG4のゲートアレイを繰り返すことによって、4相CCDゲート構造原理を用いて構築されている。この場合、分離ノード156a〜156dは、3つのゲートG2〜G3から成り、格納領域154a〜154dはゲートG1に相当する。3相CCD転送ゲート構造は、例えば、分離ノード156a〜156dからすべてのG4ゲートを除去することにより、同様に設計できる。
【0056】
本発明の実施形態では、従来のドリフト電界ピクセルと比較するといくつかの重要な利点を提示することができる。まとめると以下のようになる。
‐ピックアップノードを拡大する必要性に起因したサンプリング性能の低下を生じることなく、Nタップの設計が可能である。
‐ピクセルの速度はタップの数によって制限されることはない。むしろ、検出領域のサイズと、1つのCCDシフトレジスタから別のCCDシフトレジスタへの転送速度とによって決定される。速度とは無関係に、任意の数のタップを設計できる。
‐全部で4つのタップでは、同一ゲートの下で電荷が蓄積され、また転送が同一方向であることから、サンプリングプロセスにおいて傾いた入射光による強い影響は予想されない。
‐ダンプノードは、横方向のドリフト電界に用いられる一定電圧を切り替えるという要件を招くことなく、容易に組み込むことができる。
【0057】
<サンプリング周波数についての考慮>
サンプリング周波数は、感光性検出/ドリフト領域の形状寸法と、蓄積された電荷を、CCDデイジーチェーン152内で1つのCCDレジスタゲートから次のレジスタゲートに転送するのに必要な時間とにより決定される。ここでは、サンプリング周波数は、1つのピクセルが有するタップの数によって影響されない。タップの数が多いほど、多くのCCDレジスタまたは格納領域154が追加されるが、検出領域またはピックアップノードを変更する必要はない。
【0058】
最大3dBカットオフサンプリング周波数の理論分析が評価される。このサンプリング周波数は、任意の種類の復調ピクセルの検出領域を通してサンプルノードまで転送される有限の電荷転送時間によって制限されている。基本的に、平均転送時間はモデル化できる。この平均転送時間は、電荷がサンプルノードに到達するまでの、任意のドリフトおよび拡散時間の合計である。平均転送時間Ttrに基づいて、3dB減衰周波数Fmaxは以下のように表すことができる。
Fmax=7/(16Ttr)
【0059】
簡略化モデルにおいては、電荷ドリフトTdriftにより生じる1つの時間要素と、レジスタを通る転送によって生じる1つの要素Tregとが存在すると仮定できる。そのため、以下の式で平均転送時間Ttrを表すことができる。
Ttr=Tdrift+Treg
【0060】
検出領域およびCCDチェーンのゲートの形状寸法に関するピクセルの設計は以下の式が満たされるようになされる必要がある。
(Tdrift+Treg)<7/(16Fdesired)
ここで、Fdesiredは、ピクセルが依然として対応できることが望ましい、最大サンプリング周波数である。
【0061】
最初に述べたように、上記等式は、ピクセルタップの数に依存しない。ピクセルは、CCDレジスタを介するドリフト時間および転送時間を最適化することにより、速度を最適化できる。これは、同時に、製造装置(process feature)の形状が小さくなるほど電荷転送時間がより短くなることから、半導体プロセスの現行の小型化の恩恵を本システムが受けることを意味する。
【0062】
図8は、電荷サンプルを2つのデイジーチェーンのセグメント152‐1、152‐2の内の一方に転送することができる実施形態を示す。ここでは、転送ゲート158および集積ゲートは片側のみに配置されており、転送経路指定には好都合である。
【0063】
図9は、上述の復調ピクセル100を備えたセンサ200に基づく3D(3次元)測定カメラシステムの基本原理を示す。
【0064】
照明モジュールすなわち光源IMからの変調された照明光ML1は、シーンつまり照明対象である場面(景色)の物体OBに送られる。送り出された全光出力の一部は、カメラ10の方向に反射され、3Dイメージングセンサ200によって検出される。センサ200は、復調ピクセル100の2次元ピクセルマトリクスを含む。各ピクセル100は、上述のように、入射する光信号ML2を復調することができる。すべてのピクセルの位相値は、シーンにおける対応する位置の特定の距離情報に相当する。距離情報を備えた2次元のグレースケール画像は、画像プロセッサIPによって3次元画像に変換される。この画像は、ディスプレイDによってユーザに表示されるか、またはマシンビジョン(機械視覚)入力として使用される。
【0065】
各ピクセルに対する距離Rは以下の式によって計算される。
R=(c×TOF)/2
ここで、cは光速度であり、TOFは飛行時間である。パルス強度変調光または連続強度変調光のいずれかが、照明モジュールつまり光源IMによって送り出され、物体で反射されてセンサにより検出される。センサ200の各ピクセル100が同時に光信号を復調することができるため、センサは、リアルタイムで3D画像を伝達できる。すなわち、最大30ヘルツ(Hz)またはそれ以上のフレームレートで画像を伝達できる。パルス動作では、復調が飛行時間を直接伝達する。しかし、連続正弦波変調は、放射信号と受信信号の間の位相遅延(P)を伝達し、この遅延はまた距離Rに直接相当する。
R=(P×c)/(4×π×fmod)
ここで、fmodは、光信号の変調周波数である。典型的には、現時点での最新技術の変調周波数は、数MHzから数百MHzまたはさらにGHzまでおよぶ。
【0066】
図10(a)および10(b)は、連続正弦波変調と信号サンプリングの場合についての信号間の関係を示す。この特定の変調方式を以下に詳述するが、3Dイメージングにおけるピクセルの利用はこの特定の方式に制限されるわけではない。任意の他の変調方式、例えば、パルス、矩形波、疑似雑音またはチャープ変調も適用可能である。これら方式は、距離情報の最終の抽出のみが異なる。
【0067】
図10(a)は、変調された放射照明信号ESおよび受信信号RSの両方を示す。受信信号RBの振幅AおよびオフセットB、ならびに両方の信号間の位相Pは未知であるが、これらは、受信信号の少なくとも3つのサンプルを用いて一義的に復元できる。BGは、背景光からの受信信号部分を表している。
【0068】
図10(b)には、変調期間当たり4つのサンプルを用いるサンプリングが示されている。各サンプルは、変調期間の所定の一部である継続時間dtにわたる、上述の集積ゲートまたは拡散領域での電気光信号の積分である。典型的には、4つの集積領域を備える復調ピクセルでは、dtは変調期間の4分の1に相当する。各サンプルの信号対雑音比(SN比)を増加させるために、光発生電荷は、集積領域において、複数(最大100万以上)の変調期間にわたって蓄積されてもよい。
【0069】
例えば、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を採用する、電子タイミング回路は、復調段階における同期チャネル起動用の信号を生成する。
【0070】
これらの4つのサンプルを使用すると、3つの重要な変調パラメータである、変調信号の振幅A、オフセットBおよび位相シフトPが、以下の式から導き出される。
A=sqrt[(A3−A1)2+(A2−A1)2]/2
B=[A0+A1+A2+A3]/4
P=arctan[(A3−A1)/(A0−A2)]
【0071】
本発明を好ましい実施形態を参照して詳細に示し、説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部において様々な変更が可能なことが理解されよう。
【符号の説明】
【0072】
100 ピクセル
110 感光性領域
112 ピックアップ点
116 ドリフト電界
152 電荷格納領域のチェーン
154 電荷格納領域
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119(e)条により、2008年8月28日出願の仮特許出願第61/092,548号の優先権を主張するものであり、この仮出願の全開示内容は参照により本明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
ピクセル(画素)レベルで変調された光の復調は、光発生電荷電流(光により発生した電荷電流)の切り替えを必要とする。電子電流と正孔電流の両方を操作することが可能であるが、一般的な方法は現在、光発生電子電流(光により発生した電子電流)を用いる。この選択は主として、半導体材料における電子の移動度がより高いことによる。光電流に基づいて必要な信号処理を実行するピクセルアーキテクチャもあれば、直接電荷領域において作用するピクセルアーキテクチャも存在する。
【0003】
ピクセルアーキテクチャのすべてが、感光検出領域を介して、次の格納領域または次の処理ユニットに光電荷を転送する。電荷領域ベースのピクセルアーキテクチャの場合、光電荷は一般に集積ノードに転送される。光信号を復調するために、ピクセルは、別個の時間区間にわたって光発生電荷を蓄積する少なくとも2つの集積ノードを包含しなければならない。
【0004】
様々なピクセルの概念が、過去2、30年間において実現されてきた。ピクセル内蔵in-pixel)復調センサの基本原理は、Thomas SpirigおよびPeter Seitzが発明者である特許文献1に最初に記載された。センサの各ピクセルは、集積領域のそれぞれに対応している感光性領域および転送ゲートまたはスイッチを有していた。このセンサによって、理論的に任意の数のサンプルで、入射光信号のピクセル内でのサンプリング(in-pixel sampling)が可能になる。
【0005】
別の同様のピクセル概念がT,Ushinagaらの「背景光電荷送出構造を備えるQVGAサイズ(240×320ピクセルサイズ)のCMOS飛行時間レンジ画像センサ(A QVGA-size CMOS time-of-flight range image sensor with background light charge draining structure)」、3次元画像捕獲および応用VII、Proceeding of SPIE、 Vol.6056、pp.34-41 2006)」に記載されている。ここでは、厚いフィールド酸化層が、復調ゲートの下の電位分布を均一にするために使用される。
【0006】
上述のピクセルアーキテクチャの一般的な問題は、半導体材料を通る電荷転送速度が遅いことである。これは、ピクセル内復調プロセスの品質を著しく低下させる。すべてのピクセル構造体において、制限された転送速度は、半導体基板内の段階状の電位分布を生じさせる。この電位分布は、感光性領域の外側で横方向に半導体を通して電荷を転送するのに利用される。これらの構成では、段階状の電位分布から生じる横方向のドリフト電界による移動に代わって、熱拡散が転送速度を支配する。
【0007】
最近になって、電荷のピクセル内の転送速度を速める新しい方法が提案された。Peter Seitzによる、特許文献2に記載されている一例では、より滑らかな電位分布を生成する目的で、極めて高抵抗のポリシリコンゲート電極に電流を通すことにより、横方向のドリフト電界を生成する。同様に、D. van Nieuwenhoveらの「検出接合部の方向に光発生電子を案内するのに多数キャリア電流を用いる、新規で標準的なCMOS検出器(Novel Standard CMOS Detector using Majority Current for guiding Photo-Generated Electrons towards Detecting Junctions)、Procceding Stmposium IEEE/LEOS Benelux Chapter,2005」は、別のドリフト電界ピクセルを紹介している。この別のドリフト電界ピクセルでは、基板におけるドリフト電界が多数キャリア電流により生成される。光で発生した少数キャリアの復調を実行するために、多数キャリア電流は復調信号によって動的に制御される。
【0008】
しかし、上述のドリフト電界ピクセルの概念は欠点を有する。第1に、復調は、感光性領域全体を動的に制御する必要があるため、大きなキャパシタンスの切り替えを必要とする。第2に、電子電流がドリフト電界を生成するのに使用されるため、大きなピクセル内電力消費をもたらす。
【0009】
代替のピクセル概念は静的ドリフト電界ピクセルを用いる。特許文献3「画像センサに使用する広面積ピクセル(Large-area pixel for use in an image sensor)」に記載されているアーキテクチャは、これらの2つの問題を克服している。上述のアーキテクチャと対照的に、本アーキテクチャはピクセル内の検出領域と復調領域とを分離している。本アーキテクチャは、電力消費が小さく、同時に、高速のピクセル内横方向の電荷転送および復調が可能である。
【0010】
復調ピクセルの主要な用途の1つは、リアルタイム3Dイメージングに見られる。光信号を復調し、サンプルに離散フーリエ解析を適用することにより、振幅および位相などのパラメータが、対象とする周波数に関して抽出される。例えば、光信号が正弦波変調されている場合、少なくとも3つの別個のサンプルに基づいた抽出により、オフセット、振幅および位相の情報が得られる。位相値は、求めた距離値に比例する。このような高調波変調方式は、復調ピクセルを組み込んでいるリアルタイムの3Dイメージングシステムにおいて使用されることが多い。
【0011】
これらのピクセルアーキテクチャの別の可能な用途は、蛍光寿命イメージング顕微鏡法(FLIM)であり、FLIMでは、より短いレーザーパルスが蛍光のトリガーとなる。
【0012】
ピクセルをベースとした距離測定の精度は、変調周波数に直接正比例する。したがって、感光性領域から格納領域への高速電荷転送は、高精度位相測定を可能にするのにもっとも重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5856667号
【特許文献2】米国特許第7498621B1号
【特許文献3】欧州特許出願第1624490A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在の復調ピクセルは一般に、取得するサンプル数と高いサンプリング周波数との間で妥協点を見出す必要がある。大部分の商品化されているピクセルでは、サンプリング周波数を最大化するために、ピクセル当たりわずか2つの格納領域に格納される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、高いサンプリング周波数と比較的多数のサンプルの両方を満足することができる。これは、後続の格納領域のデイジーチェーンと組み合わせて、おそらくは静的ドリフト電界を用いる、感光性領域を有することにより達成される。
【0016】
このピクセルアーキテクチャに基づくセンサによって、多くのサンプルを極めて高速で取得する必要がある、全く新しい用途への展開が可能になる。1つの例は、飛行時間原理に基づくサブミリメートル疑似雑音3Dイメージングである。
【0017】
本発明の実施形態は、ほぼ任意の数のサンプルノードを有することができる。これまでは、3つ以上のサンプリング格納領域を備える復調ピクセルの実現は、集積回路設計レイアウトルールの制限によって妨げられていた。復調領域は感光性領域に比べて極めて小さいのが好ましいため、ほとんどの場合、復調領域は、3つ以上のサンプリング格納ステージの設計を実現するのに十分な空間を備えない。
【0018】
さらに、本発明の実施形態によって、異なるサンプリングチャネルの不一致の問題を低減することができる。異なるサンプルの挙動の不一致は主に、異なるサンプルに対する光電荷の転送の方向が異なることにより引き起こされる。ここでは、すべてのサンプリングは半導体格子の同一方向において実行される。言い換えると、転送方向は変更される必要がなく、したがって、サンプル間の不一致は大幅に低減される。
【0019】
一般に、一態様によると、本発明は、入射光を光電荷に変換する感光性領域であって、感光性領域内の横方向(水平方向)ドリフト電界がピックアップ点に光電荷を移動させる、感光性領域と、ピックアップ点において感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域(電荷格納部)のチェーンとを備えるピクセルを特徴とし、異なる(別々の)時間区間に対応する光電荷は連続した電荷格納領域のチェーンを通して転送される。
【0020】
一般に、別の態様によると、本発明は、入射光を光電荷に変換する工程と、横方向(水平方向)のドリフト電界によって光電荷を格納領域(格納部)のチェーンの先頭に移動(輸送)させる工程と、連続した電荷格納領域のチェーンを通して、光電荷を異なる(別々の)時間区間に対応する電荷パケットとして転送する工程とを備える、光サンプリング方法を特徴とする。
【0021】
一般に、別の態様によると、本発明は、ピクセルの1次元または2次元アレイを備えるセンサを特徴とし、各ピクセルは、入射光が光電荷に変換されて横方向ドリフト電界によって移動させられる感光性領域と、感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域のチェーンとを備え、異なる時間区間に対応する光電荷は連続した電荷格納領域のチェーンを通して転送される。
【0022】
一般に、別の態様によると、本発明は、
変調期間によって特徴付けられる変調された光信号を用いてシーン(場面、背景)を照明する光源と、
前記シーンからの変調された光信号を検出するセンサとを備えたイメージングシステムを特徴とし、
前記センサはピクセルアレイを備え、
各ピクセルは、入射光が光電荷に変換される感光性領域、および感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域のチェーンとを備え、
変調期間内の異なる時間区間(変調期間内の複数に区分された時間)に対応する光電荷は、連続した電荷格納領域のチェーンを通して転送される。
【0023】
一般に、さらに別の態様によると、本発明は、
入射光を光電荷に変換する感光性領域と、
ピックアップ点において感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域のチェーンであって、種々の時間区間に対応する光電荷が連続した電荷格納領域のチェーンを通して伝達される、電荷格納領域のチェーンと、
各電荷格納領域に接続された(関連付けられた)電荷集積領域(電荷集積部)であって、電荷格納領域から、接続された(関連付けられた)電荷集積領域に光電荷が転送される、電荷集積領域とを備えたピクセルを特徴とする。
【0024】
一般に、さらに別の態様によると、本発明は、
入射光を光電荷に変換する工程と、
光電荷を格納領域のチェーンの先頭に移動させる工程と、
連続した電荷格納領域のチェーンを通して、光電荷を異なる時間区間に対応する電荷パケットとして転送する工程と、
各格納領域に接続された(関連付けられた)集積領域内に、種々の期間のうちの同一時間期間からの電荷パケットを集積する工程とを備えた光サンプリング方法を特徴とする。
【0025】
一般に、別の態様によると、本発明はピクセルの1次元アレイまたは2次元アレイを備えたセンサを特徴とし、
各ピクセルは、
入射光を光電荷に変換する感光性領域と、
感光性領域から光電荷を受け取る電荷格納領域のチェーンであって、種々の時間区間に対応する光電荷がチェーンの連続した電荷格納領域のチェーンを通して伝達される、電荷格納領域のチェーンと、
各電荷格納領域に接続された(関連付けられた)電荷集積領域であって、電荷格納領域から、接続された(関連付けられた)電荷集積領域に光電荷が転送される、電荷集積領域とを備えたセンサを特徴とする。
【0026】
部品の構成と組み合わせの様々な新規の詳細事項を含む本発明の上記および他の特徴、ならびに他の利点は、添付図面を参照して以下により具体的に説明し、特許請求の範囲において示す。本発明を具体化する特定の方法および装置が例示として示されているが、本発明を限定するものではないことが理解されるであろう。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な多数の実施形態において採用されてもよい。
【0027】
添付図面では、参照符号は異なる図であっても同一部品を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態による復調ピクセルの図である。
【図2】復調ピクセルの処理回路を示す回路図である。
【図3】復調ピクセルを組み込んでいるセンサを示す回路図である。
【図4】本発明の別の実施形態による復調ピクセルの概略図である。
【図5A】4タップ復調ピクセルの動作を示す図である。
【図5B】4タップ復調ピクセルの動作を示す図である。
【図5C】4タップ復調ピクセルの動作を示す図である。
【図5D】4タップ復調ピクセルの動作を示す図である。
【図6A】(1)〜(5)は、3タップピクセルにおける復調動作を示す図である。
【図6B】3タップピクセルにおける復調動作を示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態による4タップ復調ピクセルの概略図である。
【図8】本発明の別の実施形態による復調ピクセルの概略図である。
【図9】復調ピクセルを備えるセンサを使用する、3次元測定構成の従来の方式を示す図である。
【図10】(a)および(b)は、図9の方式を用いて、放射信号および受信信号について、時間の関数として光強度を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明はpドープ基板を備えたセンサに関し、その場合、電子が有効な光発生電荷キャリアである。全ての考察内容はnドープ材料に対しても適用でき、その場合、正孔が情報のキャリアであり、ゲートおよび/または拡散領域に加えられる電圧が逆になる。
【0030】
図1は、本発明の原理により構成されている、半導体基板に組み込まれた復調ピクセル100を示す。
【0031】
ピクセル100は感光性領域110を備える。感光性領域110は一般に半導体基板の一部によって特徴付けられる。この半導体基板は、入射光などの放射線を受けるが、そうでなければ、金属層のような不透明な層によって遮蔽されているわけではない。感光性領域110は光電荷転送領域115を有し、この光電荷転送領域115は、典型的にはその一端に存在するピックアップ点112に光電荷を移動させる。
【0032】
光電荷転送領域115は、光電変換された信号に対する任意のローパスフィルタ効果を最小化するために、一般に可能な限り高速で、ピックアップ点112に光電荷を移動させる。高速の電荷キャリア移動は、横方向のドリフト電界116によって実現される。ドリフト電界116は様々な方法により生成することができる。以下に、いくつかの実現可能な方法の詳細を示す。
【0033】
静的ドリフト電界の1つの実現形態は、半導体基板およびその上面に接触して位置する絶縁層の上面に高抵抗材料の光透過性ゲートを形成することにより実現される。電位差を加えるとゲートを通る電流が発生し、それにより一定の横方向の電界が生成される。ゲートと半導体間の静電結合に起因した電位分布は半導体基板に反映されて、光発生電荷がドリフト電界により方向付けられる。
【0034】
感光性領域110内に横方向のドリフト電界を生成する別の方法は、作りつけの(予め組み込まれた(built-in))ドリフト電界を実現することである。作りつけのドリフト電界は感光性領域全体にわたるドーピング濃度を段階的に変化させることにより生成される。ピクセル100の感光性検出領域110内で横方向のドリフト電界を生成する他の例は、不連続(ディスクリート)ゲート構造(discrete gate)、フローティングゲートもしくはフローティング拡散、樹枝状ゲート構造、PINフォトダイオード、および基板を通る多数キャリア電流である。ここでの好ましい実施形態は、異なる静電位が加えられる重畳ゲート構造(共通ゲート構造(overlapping gates structure))を使用する。横方向のドリフト電界を生成する上述の方法の組み合わせもまた実現できる。ドリフト電界領域内で発生した電子は陽電位に引き付けられる。したがって、ゲート電位は遠端部からピックアップ点112まで増加している。このピックアップ点において、すべての電子は、専用のサンプリング処理が完了するまで蓄積される。この後、それら電子はデイジーチェーン152に転送される。
【0035】
光電荷転送領域115(ここでは「検出領域」と称される)の実現における多くの例および説明は、2008年4月16日出願のBernhard Buettgenによる米国特許出願第12/090,404号の発明の名称「変調電磁波場を復調する装置およびその方法(Device and Method for the Demodulation of Modulated Electromagnetic Wave Fields)」に記載されており、その全開示内容は、参照により本明細書に引用したものとする。
【0036】
ピックアップ点112から、光発生電荷は電荷格納領域(電荷格納部)152のデイジーチェーンに転送される。このデイジーチェーン152は好ましくは、非感光性領域150内に存在する。この実現形態では、デイジーチェーン152は、一連の電荷結合素子(CCD)ゲートを備える。典型的には、金属層を用いてこの領域150を覆って、基板に光電荷が発生するのを防止する。
【0037】
より詳細には、格納領域のデイジーチェーン152またはゲート154は、第1分離ノードまたはバリアゲート構造156aによりピックアップ点112から分離されている第1格納領域154aを備える。動作中、感光性領域110内で発生し、横方向のドリフト電界116によってピックアップ点112に移動される光電荷が、第1分離ノード156aを通って流れるように、分離ノード156および格納領域154に加える電位をピクセルコントローラ102によって制御する。第1電荷格納領域154aが1つの時間区間中に感光性領域110において発生した光電荷の電荷パケットを含むように、ピクセルコントローラ102は分離ノード156aに加える電位を上昇させる。ピクセルコントローラ102は次に、分離ノード156aに加える電位を低下させることにより、ピックアップ点112から第1電荷格納領域154aを分離する。
【0038】
次の時間区間中に、第1格納領域154aに含まれる電荷パケットはデイジーチェーン152の第2格納領域154bに転送される。このプロセスは、ピクセルコントローラ102によって達成され、ピクセルコントローラ102は、第1格納領域154aに加える電位を低下させると同時に、第2格納領域154bおよびこれらの間に介在する第2分離ノードすなわちバリアゲート構造156bに加える電位を上昇させる。その後、第2分離ノード156bに加える電位を低下させて、第1格納領域154aから第2格納領域154bを分離する。この転送プロセスでは、第1格納領域154aを、次のサンプリングの時間区間における次の電荷パケットを受け取ることができる状態にする。
【0039】
第3時間期間中に、第2格納領域154bに含まれる電荷パケットは、第3格納領域154cに転送され、第1格納領域154aに含まれる電荷パケットは第2格納領域154bに転送される。先に説明した場合と同様に、このプロセスは、ピクセルコントローラ102によって達成され、ピクセルコントローラ102は、上流の格納領域および分離ノードに加える電位を低下させると同時に、連続する格納領域に加える電位を上昇させる。その後、分離ノードに加える電位を低下させて、格納領域を相互に分離する。先に説明した場合と同様に、この転送プロセスでは、第1格納領域154aを、次のサンプリングの時間期間における次の電荷パケットを受け取ることができる状態にする。
【0040】
図示の実施形態では、デイジーチェーン152は一連の3つの格納領域154a〜154cで示されている。しかし、図示のピクセルは、デイジーチェーン152においてほぼ任意の数の格納領域を用いて実現できる。正弦波の復調つまり位相決定に関しては、少なくとも3つの格納領域がデイジーチェーン152に存在するのが望ましい。正弦以外の関数の波の位相を復調つまり決定する場合、より多い数の格納領域が望ましい。nビット疑似雑音シーケンスの復調は長さnのデイジーチェーンを用いる。ただし、いくつかの実現形態では、n=4から16またはそれ以上である。
【0041】
好ましい実施形態では、各格納領域154には少なくとも1つの集積領域(集積部)160が接続されている。集積領域は一般に集積ゲートまたは拡散領域として実現される。図示の例では、第1格納領域は2つの集積領域160a1、160a2を有する。同様に、第2格納領域は2つの集積領域160b1、160b2を有し、第3格納領域は2つの集積領域160c1、160c2を有する。
【0042】
集積領域160のそれぞれは、転送ノードすなわちゲート構造158によって、対応する格納領域から分離されている。
【0043】
典型的は動作では、デイジーチェーン152が、一連のサンプリングの時間区間に対応する電荷パケットで完全に満たされると、電荷パケットは、格納領域154から集積領域160に転送される。このプロセスはピクセルコントローラ102によって制御され、転送ノード158の電位を上昇させると同時に、格納領域154の電位を低下させる。例えば、第2格納領域154bから集積領域160b2に電荷パケットを転送するために、ピクセルコントローラ102は、第2格納領域154bの電位を低下させると同時に、転送ゲート158b2の電位を上昇させる。このようにして、多くのサンプリングシーケンスからの光電荷は集積され、改善された信号対雑音比動作を実現する。すなわち、電荷パケットでデイジーチェーン152を充満するプロセスが、例えば、10もしくは100、または最大100万回またはそれ以上繰り返され、集積領域160のそれぞれが、これらの繰り返されたサンプリングプロセスからの光電荷の総数を格納する。
【0044】
各集積領域すなわちゲート160がそれ自体の別個に制御された転送ノードすなわちゲート158を有することは必須ではない。しかし、1つの実現形態においては、すべての集積領域160に対して1つだけの大きい転送ノードすなわちゲート158を備え、その転送ノードすなわちゲート158を1つのマスタ信号を用いてピクセルコントローラ102によって制御することにより、電荷パケットが、同時にすべて一斉に、各格納領域154からそれぞれ対応する集積領域160に転送されるようにすることも可能である。
【0045】
図2は、ピクセル100に接続された追加の回路を示す。集積領域160は、各ピクセル100に組み込まれた処理回路210に結合されている。この回路210は好ましくは、集積領域160のそれぞれに含まれる光電荷の量、または集積領域160内の光電荷の相対量を決定するための、アナログデジタル変換器、減算素子および/またはコンパレータ回路を含む。他の例では、回路210は、特に低雑音環境において、集積領域160を用いずに、直接格納領域154のそれぞれに含まれる光電荷の量を決定する。このような例の1つにおいては、別個の集積領域160を用いずに、格納領域154はリング型トポロジで構成されている。そのため、格納領域に含まれる電荷パケットはリングに沿って段階的に移動し、これら格納領域は、電荷パケットがピックアップ点の反対側に来る毎に、新しく発生した光電荷でさらに連続的に充満される。
【0046】
図3は、完全なセンサ200の構成体(フレーム)内のピクセルアーキテクチャの全体の実現形態を示す。典型的には、センサ200は、ピクセル100の1次元または2次元のアレイを備える。行選択は行デコーダ212によってなされる。列選択はシフトレジスタまたはデジタルデコーダによってなされる。読み出し回路はレジスタ214および追加の処理回路216を有する。
【0047】
図4は、4タップアーキテクチャに基づくピクセル100の1つの実現形態を示す。この実施形態は、このピクセル概念の特定の実現形態である。
【0048】
ピクセル100を用いて、4つの時点(それぞれの時点はπ/2の間隔を空けている)に対応する時間区間に対して、正弦波変調された光信号をサンプリングする場合、2つの上側の集積領域160d、160bは好ましくは位相0°および180°に対応し、下側の集積領域160c、160aは90°および270°に対応する。
【0049】
ダンプノード410はデイジーチェーン152の端部に含まれる。初期校正またはピクセルのリセット動作の間、光電荷をダンプノード410に転送して、光電荷をピクセル100から消去する。これらの光電荷は背景照明の結果である場合が多く、そのため、雑音源となる。しかし、ダンプノードは、必ずしもデイジーチェーンの端部に配置されなければならないわけではない。例えば、他の実現形態では、ダンプノードが集積領域の1つと置き換えられる。
【0050】
全体的な4タップサンプリング手順が図4および図5A〜図5Dに示されている。光信号のサンプリング中に、すべての光電荷は、横方向のドリフト電界116の作用により、ピックアップ点112にドリフトつまり移動する。サンプリング時間つまり期間が終了すると、図4に示したように、1つの実現形態では、光電荷は標準的な電荷結合素子(CCD)レジスタ動作によって、デイジーチェーン152に転送される。次に、図5Aに示すように、次の電荷パケットがサンプリングされる。各サンプリングステップ後に、CCDデイジーチェーン152内の電荷パケットは、図5Bおよび5Cに示すように、さらに転送される。CCDデイジーチェーンは、例えば、3相CCD構造または4相CCD構造として実現されてもよい。これは、分離ノード156がそれぞれ、典型的には2つ以上のCCDゲートのバリアゲート構造を備えることを意味する。
【0051】
第4サンプリング後には、図5Dに示すように、4つの電荷パケットがCCDデイジーチェーン152内に存在する。これら電荷パケットを格納するために、格納領域154a、154b、154c、154dのそれぞれの電荷パケットは、特定の信号位相にそれぞれ専用である集積領域160a、160b、160c、160dに転送される。復調プロセスの信号対雑音比を上げるために、全体的な4タップサンプリングは複数回繰り返され(最大では100万回以上)、電荷は集積領域160a、160b、160c、160d内に蓄積される。
【0052】
CCDデイジーチェーン152の右端部に存在するダンプノード410は、読み出し段階中における光電荷のダンプを可能にする。基本的に、ダンプノードの設計は本ピクセルアーキテクチャの柔軟な動作を特徴としている。これにより、バーストモード動作またはパルスモード動作のような様々な光変調技術を用いることができる。
【0053】
図6Aの(1)〜(5)は、3タップピクセルに基づく復調原理を示す。図6Aは、電荷が最初に、ピックアップ点112から異なる分離ノード156a〜156cおよび格納領域154a〜154cを通して転送されるタイミングを示し、図6の(1)〜(4)がそれぞれのタイミングを示している。図6Aの(4)のように、すべての格納領域154a〜154cがそれぞれの電荷パケットを受け取るとすぐに、図6Aの(5)のように、電荷は転送ゲート158a〜158cの下流の集積領域160a〜160cに転送される。そして、このプロセスは最大100万回以上繰り返すこともできる。上述した場合と同様に、変調光が放射されることなく、背景光によって発生したこれら電子を除去するように、ダンプノードを実現することができる。ここで、デイジーチェーン152は、3相CCDゲート構造または4相CCDゲート構造で実現されてもよい。
【0054】
図6Bは、正弦波変調されたシステムの特定の例について示し、入射する正弦波は3つの互いに異なる時間区間でサンプリングされる。各時間区間サンプルに対する光電荷は、対応する集積領域160a〜160c内に、1区間ごとに1回集積される。
【0055】
図7は、4つの集積領域160a〜160dを備えたピクセルを示す。デイジーチェーンは、格納領域154a〜154dおよび分離ノード156a〜156dのそれぞれにおいて、G1からG4のゲートアレイを繰り返すことによって、4相CCDゲート構造原理を用いて構築されている。この場合、分離ノード156a〜156dは、3つのゲートG2〜G3から成り、格納領域154a〜154dはゲートG1に相当する。3相CCD転送ゲート構造は、例えば、分離ノード156a〜156dからすべてのG4ゲートを除去することにより、同様に設計できる。
【0056】
本発明の実施形態では、従来のドリフト電界ピクセルと比較するといくつかの重要な利点を提示することができる。まとめると以下のようになる。
‐ピックアップノードを拡大する必要性に起因したサンプリング性能の低下を生じることなく、Nタップの設計が可能である。
‐ピクセルの速度はタップの数によって制限されることはない。むしろ、検出領域のサイズと、1つのCCDシフトレジスタから別のCCDシフトレジスタへの転送速度とによって決定される。速度とは無関係に、任意の数のタップを設計できる。
‐全部で4つのタップでは、同一ゲートの下で電荷が蓄積され、また転送が同一方向であることから、サンプリングプロセスにおいて傾いた入射光による強い影響は予想されない。
‐ダンプノードは、横方向のドリフト電界に用いられる一定電圧を切り替えるという要件を招くことなく、容易に組み込むことができる。
【0057】
<サンプリング周波数についての考慮>
サンプリング周波数は、感光性検出/ドリフト領域の形状寸法と、蓄積された電荷を、CCDデイジーチェーン152内で1つのCCDレジスタゲートから次のレジスタゲートに転送するのに必要な時間とにより決定される。ここでは、サンプリング周波数は、1つのピクセルが有するタップの数によって影響されない。タップの数が多いほど、多くのCCDレジスタまたは格納領域154が追加されるが、検出領域またはピックアップノードを変更する必要はない。
【0058】
最大3dBカットオフサンプリング周波数の理論分析が評価される。このサンプリング周波数は、任意の種類の復調ピクセルの検出領域を通してサンプルノードまで転送される有限の電荷転送時間によって制限されている。基本的に、平均転送時間はモデル化できる。この平均転送時間は、電荷がサンプルノードに到達するまでの、任意のドリフトおよび拡散時間の合計である。平均転送時間Ttrに基づいて、3dB減衰周波数Fmaxは以下のように表すことができる。
Fmax=7/(16Ttr)
【0059】
簡略化モデルにおいては、電荷ドリフトTdriftにより生じる1つの時間要素と、レジスタを通る転送によって生じる1つの要素Tregとが存在すると仮定できる。そのため、以下の式で平均転送時間Ttrを表すことができる。
Ttr=Tdrift+Treg
【0060】
検出領域およびCCDチェーンのゲートの形状寸法に関するピクセルの設計は以下の式が満たされるようになされる必要がある。
(Tdrift+Treg)<7/(16Fdesired)
ここで、Fdesiredは、ピクセルが依然として対応できることが望ましい、最大サンプリング周波数である。
【0061】
最初に述べたように、上記等式は、ピクセルタップの数に依存しない。ピクセルは、CCDレジスタを介するドリフト時間および転送時間を最適化することにより、速度を最適化できる。これは、同時に、製造装置(process feature)の形状が小さくなるほど電荷転送時間がより短くなることから、半導体プロセスの現行の小型化の恩恵を本システムが受けることを意味する。
【0062】
図8は、電荷サンプルを2つのデイジーチェーンのセグメント152‐1、152‐2の内の一方に転送することができる実施形態を示す。ここでは、転送ゲート158および集積ゲートは片側のみに配置されており、転送経路指定には好都合である。
【0063】
図9は、上述の復調ピクセル100を備えたセンサ200に基づく3D(3次元)測定カメラシステムの基本原理を示す。
【0064】
照明モジュールすなわち光源IMからの変調された照明光ML1は、シーンつまり照明対象である場面(景色)の物体OBに送られる。送り出された全光出力の一部は、カメラ10の方向に反射され、3Dイメージングセンサ200によって検出される。センサ200は、復調ピクセル100の2次元ピクセルマトリクスを含む。各ピクセル100は、上述のように、入射する光信号ML2を復調することができる。すべてのピクセルの位相値は、シーンにおける対応する位置の特定の距離情報に相当する。距離情報を備えた2次元のグレースケール画像は、画像プロセッサIPによって3次元画像に変換される。この画像は、ディスプレイDによってユーザに表示されるか、またはマシンビジョン(機械視覚)入力として使用される。
【0065】
各ピクセルに対する距離Rは以下の式によって計算される。
R=(c×TOF)/2
ここで、cは光速度であり、TOFは飛行時間である。パルス強度変調光または連続強度変調光のいずれかが、照明モジュールつまり光源IMによって送り出され、物体で反射されてセンサにより検出される。センサ200の各ピクセル100が同時に光信号を復調することができるため、センサは、リアルタイムで3D画像を伝達できる。すなわち、最大30ヘルツ(Hz)またはそれ以上のフレームレートで画像を伝達できる。パルス動作では、復調が飛行時間を直接伝達する。しかし、連続正弦波変調は、放射信号と受信信号の間の位相遅延(P)を伝達し、この遅延はまた距離Rに直接相当する。
R=(P×c)/(4×π×fmod)
ここで、fmodは、光信号の変調周波数である。典型的には、現時点での最新技術の変調周波数は、数MHzから数百MHzまたはさらにGHzまでおよぶ。
【0066】
図10(a)および10(b)は、連続正弦波変調と信号サンプリングの場合についての信号間の関係を示す。この特定の変調方式を以下に詳述するが、3Dイメージングにおけるピクセルの利用はこの特定の方式に制限されるわけではない。任意の他の変調方式、例えば、パルス、矩形波、疑似雑音またはチャープ変調も適用可能である。これら方式は、距離情報の最終の抽出のみが異なる。
【0067】
図10(a)は、変調された放射照明信号ESおよび受信信号RSの両方を示す。受信信号RBの振幅AおよびオフセットB、ならびに両方の信号間の位相Pは未知であるが、これらは、受信信号の少なくとも3つのサンプルを用いて一義的に復元できる。BGは、背景光からの受信信号部分を表している。
【0068】
図10(b)には、変調期間当たり4つのサンプルを用いるサンプリングが示されている。各サンプルは、変調期間の所定の一部である継続時間dtにわたる、上述の集積ゲートまたは拡散領域での電気光信号の積分である。典型的には、4つの集積領域を備える復調ピクセルでは、dtは変調期間の4分の1に相当する。各サンプルの信号対雑音比(SN比)を増加させるために、光発生電荷は、集積領域において、複数(最大100万以上)の変調期間にわたって蓄積されてもよい。
【0069】
例えば、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を採用する、電子タイミング回路は、復調段階における同期チャネル起動用の信号を生成する。
【0070】
これらの4つのサンプルを使用すると、3つの重要な変調パラメータである、変調信号の振幅A、オフセットBおよび位相シフトPが、以下の式から導き出される。
A=sqrt[(A3−A1)2+(A2−A1)2]/2
B=[A0+A1+A2+A3]/4
P=arctan[(A3−A1)/(A0−A2)]
【0071】
本発明を好ましい実施形態を参照して詳細に示し、説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部において様々な変更が可能なことが理解されよう。
【符号の説明】
【0072】
100 ピクセル
110 感光性領域
112 ピックアップ点
116 ドリフト電界
152 電荷格納領域のチェーン
154 電荷格納領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換され、この感光性領域内の横方向のドリフト電界が前記光電荷をピックアップ点に移動させる、感光性領域と、
前記ピックアップ点において前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンであって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する前記光電荷は前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、チェーンとを備えたピクセル。
【請求項2】
請求項1において、前記横方向のドリフト電界は、異なる静電位が加えられる重畳ゲート構造によって生成される、ピクセル。
【請求項3】
請求項1において、前記横方向のドリフト電界は、作りつけの静的ドリフト電界によって生成される、ピクセル。
【請求項4】
請求項1において、さらに、前記格納部を相互に電気的に分離する、前記格納部それぞれについての分離ノードを備えた、ピクセル。
【請求項5】
請求項4において、前記電荷格納部および前記分離ノードはCCDゲート構造である、ピクセル。
【請求項6】
請求項1において、さらに、各電荷格納部に対応した電荷集積部を備え、前記光電荷は前記電荷格納部から前記対応した電荷集積部に転送される、ピクセル。
【請求項7】
請求項1において、さらに、当該ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、ピクセル。
【請求項8】
請求項1において、さらに、前記チェーンの終端部において、当該ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、ピクセル。
【請求項9】
入射光を光電荷に変換する工程と、
横方向のドリフト電界によって前記光電荷を格納部のチェーンの先頭に移動させる工程と、
前記チェーンの連続した電荷格納部を通して、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する電荷パケットとして前記光電荷を転送する工程とを備えた、光サンプリング方法。
【請求項10】
請求項9において、前記光電荷を前記チェーンの前記先頭に移動させる工程は、前記光電荷を前記チェーンの前記先頭の方向に駆動する前記横方向のドリフト電界に、前記光電荷をさらす、光サンプリング方法。
【請求項11】
請求項9において、前記チェーンの連続した電荷格納部を通して、電荷パケットとして前記光電荷を転送する工程は、前記格納部のそれぞれにおける電荷パケットを相互に分離する、光サンプリング方法。
【請求項12】
請求項9において、さらに、各格納部に対応する集積部に、互いに異なる期間のうちで同一の時間区間からの電荷パケットを集積する、光サンプリング方法。
【請求項13】
請求項9において、さらに、背景照明から生じる光電荷をダンプノードに排出する工程を備えた、光サンプリング方法。
【請求項14】
ピクセルの1次元アレイまたは2次元アレイを備えたセンサであって、
前記ピクセルのそれぞれは、
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換されて、横方向のドリフト電界によって移動させられる、感光性領域と、
前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンであって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する前記光電荷は前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、チェーンとを備えた、センサ。
【請求項15】
変調期間によって特徴付けられる変調光信号でシーンを照明する光源と、
前記シーンからの前記変調光信号を検出するセンサとを備えた、イメージングシステムであって、
前記センサはピクセルアレイを備え、
前記ピクセルのそれぞれは、
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換される、感光性領域、および、
前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンを有し、
前記変調期間内のうちで互いに異なる時間区間に対応する前記光電荷は、前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、イメージングシステム。
【請求項16】
請求項15において、さらに、前記ピクセルのそれぞれの感光性領域における横方向のドリフト電界であって、前記感光性領域を電荷格納部の前記チェーンに接続するピックアップ点に前記光電荷を移動させる、横方向のドリフト電界を備えた、イメージングシステム。
【請求項17】
請求項15において、さらに、前記格納部を相互に電気的に分離する、前記格納部それぞれについての分離ノードを備えた、イメージングシステム。
【請求項18】
請求項17において、前記電荷格納部および前記分離ノードはCCDゲート構造である、イメージングシステム。
【請求項19】
請求項15において、さらに、各電荷格納部に対応した電荷集積部であって、前記光電荷は前記電荷格納部から前記対応した電荷集積部に転送される、電荷集積部を備えた、イメージングシステム。
【請求項20】
請求項15において、さらに、前記ピクセルそれぞれに対して、前記ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、イメージングシステム。
【請求項21】
請求項15において、さらに、前記ピクセルのそれぞれにおける前記チェーンの終端部において、前記ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、イメージングシステム。
【請求項22】
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換される、感光性領域と、
ピックアップ点において前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンであって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する前記光電荷は前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、チェーンと、
各電荷格納部に対応した電荷集積部とを備えたピクセルであって、
前記光電荷は前記電荷格納部から前記対応した電荷集積部に転送される、ピクセル。
【請求項23】
請求項22において、さらに、前記ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、ピクセル。
【請求項24】
請求項22において、さらに、前記チェーンの終端部において、前記ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、ピクセル。
【請求項25】
入射光を光電荷に変換する工程と、
前記光電荷を格納部のチェーンの先頭に移動させる工程と、
前記チェーンの連続した電荷格納部を通して、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する電荷パケットとして前記光電荷を転送する工程と、
各格納部に対応する集積部に、互いに異なる期間のうちで同一の時間区間からの電荷パケットを集積する工程とを備えた、光サンプリング方法。
【請求項26】
請求項25において、さらに、背景照明から生じる光電荷をダンプノードに排出する工程を備えた、光サンプリング方法。
【請求項27】
ピクセルの1次元アレイまたは2次元アレイを備えたセンサであって、
前記ピクセルのそれぞれは、
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換される、感光性領域と、
前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンであって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する前記光電荷は前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、チェーンと、
各電荷格納部に対応した電荷集積部とを備えたセンサであって、
前記光電荷は前記電荷格納部から前記対応した電荷集積部に転送される、センサ。
【請求項1】
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換され、この感光性領域内の横方向のドリフト電界が前記光電荷をピックアップ点に移動させる、感光性領域と、
前記ピックアップ点において前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンであって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する前記光電荷は前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、チェーンとを備えたピクセル。
【請求項2】
請求項1において、前記横方向のドリフト電界は、異なる静電位が加えられる重畳ゲート構造によって生成される、ピクセル。
【請求項3】
請求項1において、前記横方向のドリフト電界は、作りつけの静的ドリフト電界によって生成される、ピクセル。
【請求項4】
請求項1において、さらに、前記格納部を相互に電気的に分離する、前記格納部それぞれについての分離ノードを備えた、ピクセル。
【請求項5】
請求項4において、前記電荷格納部および前記分離ノードはCCDゲート構造である、ピクセル。
【請求項6】
請求項1において、さらに、各電荷格納部に対応した電荷集積部を備え、前記光電荷は前記電荷格納部から前記対応した電荷集積部に転送される、ピクセル。
【請求項7】
請求項1において、さらに、当該ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、ピクセル。
【請求項8】
請求項1において、さらに、前記チェーンの終端部において、当該ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、ピクセル。
【請求項9】
入射光を光電荷に変換する工程と、
横方向のドリフト電界によって前記光電荷を格納部のチェーンの先頭に移動させる工程と、
前記チェーンの連続した電荷格納部を通して、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する電荷パケットとして前記光電荷を転送する工程とを備えた、光サンプリング方法。
【請求項10】
請求項9において、前記光電荷を前記チェーンの前記先頭に移動させる工程は、前記光電荷を前記チェーンの前記先頭の方向に駆動する前記横方向のドリフト電界に、前記光電荷をさらす、光サンプリング方法。
【請求項11】
請求項9において、前記チェーンの連続した電荷格納部を通して、電荷パケットとして前記光電荷を転送する工程は、前記格納部のそれぞれにおける電荷パケットを相互に分離する、光サンプリング方法。
【請求項12】
請求項9において、さらに、各格納部に対応する集積部に、互いに異なる期間のうちで同一の時間区間からの電荷パケットを集積する、光サンプリング方法。
【請求項13】
請求項9において、さらに、背景照明から生じる光電荷をダンプノードに排出する工程を備えた、光サンプリング方法。
【請求項14】
ピクセルの1次元アレイまたは2次元アレイを備えたセンサであって、
前記ピクセルのそれぞれは、
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換されて、横方向のドリフト電界によって移動させられる、感光性領域と、
前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンであって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する前記光電荷は前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、チェーンとを備えた、センサ。
【請求項15】
変調期間によって特徴付けられる変調光信号でシーンを照明する光源と、
前記シーンからの前記変調光信号を検出するセンサとを備えた、イメージングシステムであって、
前記センサはピクセルアレイを備え、
前記ピクセルのそれぞれは、
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換される、感光性領域、および、
前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンを有し、
前記変調期間内のうちで互いに異なる時間区間に対応する前記光電荷は、前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、イメージングシステム。
【請求項16】
請求項15において、さらに、前記ピクセルのそれぞれの感光性領域における横方向のドリフト電界であって、前記感光性領域を電荷格納部の前記チェーンに接続するピックアップ点に前記光電荷を移動させる、横方向のドリフト電界を備えた、イメージングシステム。
【請求項17】
請求項15において、さらに、前記格納部を相互に電気的に分離する、前記格納部それぞれについての分離ノードを備えた、イメージングシステム。
【請求項18】
請求項17において、前記電荷格納部および前記分離ノードはCCDゲート構造である、イメージングシステム。
【請求項19】
請求項15において、さらに、各電荷格納部に対応した電荷集積部であって、前記光電荷は前記電荷格納部から前記対応した電荷集積部に転送される、電荷集積部を備えた、イメージングシステム。
【請求項20】
請求項15において、さらに、前記ピクセルそれぞれに対して、前記ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、イメージングシステム。
【請求項21】
請求項15において、さらに、前記ピクセルのそれぞれにおける前記チェーンの終端部において、前記ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、イメージングシステム。
【請求項22】
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換される、感光性領域と、
ピックアップ点において前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンであって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する前記光電荷は前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、チェーンと、
各電荷格納部に対応した電荷集積部とを備えたピクセルであって、
前記光電荷は前記電荷格納部から前記対応した電荷集積部に転送される、ピクセル。
【請求項23】
請求項22において、さらに、前記ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、ピクセル。
【請求項24】
請求項22において、さらに、前記チェーンの終端部において、前記ピクセルから電荷を排出するダンプノードを備えた、ピクセル。
【請求項25】
入射光を光電荷に変換する工程と、
前記光電荷を格納部のチェーンの先頭に移動させる工程と、
前記チェーンの連続した電荷格納部を通して、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する電荷パケットとして前記光電荷を転送する工程と、
各格納部に対応する集積部に、互いに異なる期間のうちで同一の時間区間からの電荷パケットを集積する工程とを備えた、光サンプリング方法。
【請求項26】
請求項25において、さらに、背景照明から生じる光電荷をダンプノードに排出する工程を備えた、光サンプリング方法。
【請求項27】
ピクセルの1次元アレイまたは2次元アレイを備えたセンサであって、
前記ピクセルのそれぞれは、
感光性領域であって、その領域では入射光が光電荷に変換される、感光性領域と、
前記感光性領域から前記光電荷を受け取る電荷格納部のチェーンであって、互いに異なる時間区間にそれぞれ対応する前記光電荷は前記チェーンの連続した電荷格納部を通して伝達される、チェーンと、
各電荷格納部に対応した電荷集積部とを備えたセンサであって、
前記光電荷は前記電荷格納部から前記対応した電荷集積部に転送される、センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−501608(P2012−501608A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525219(P2011−525219)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/055309
【国際公開番号】WO2010/025331
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(508120341)メサ・イメージング・アー・ゲー (3)
【氏名又は名称原語表記】MESA IMAGING AG
【出願人】(511051409)
【氏名又は名称原語表記】HOUSTON,J.Grant
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/055309
【国際公開番号】WO2010/025331
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(508120341)メサ・イメージング・アー・ゲー (3)
【氏名又は名称原語表記】MESA IMAGING AG
【出願人】(511051409)
【氏名又は名称原語表記】HOUSTON,J.Grant
【Fターム(参考)】
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