説明

デュアルドープポリシリコン及びシリコンゲルマニウムエッチング

【課題】
【解決手段】処理チャンバ内で、基板上に少なくとも一つのシリコンゲルマニウム層を有するスタックをエッチングする方法を提供する。シリコンゲルマニウムエッチングを提供する。エッチャントガスは、処理チャンバ内に提供され、エッチャントガスは、HBrと、不活性希釈剤と、O2及びN2の少なくとも一方とを含む。基板は、40℃未満の温度に冷却される。エッチャントガスは、シリコンゲルマニウム層をエッチングするために、プラズマに転換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスに関する。特に、本発明は、ドープポリシリコン及びシリコンゲルマニウムスタックを有する半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシリコン及びシリコンゲルマニウム(SiGe)のドープ及び非ドープ領域の膜スタックの形成は、半導体デバイスのゲート電極の形成に使用される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記を達成するために、本発明の目的に従って、処理チャンバ内で、基板上に少なくとも一つのシリコンゲルマニウム層を有するスタックをエッチングする方法を提供する。シリコンゲルマニウムエッチングを提供する。エッチャントガスは、処理チャンバ内に提供され、エッチャントガスは、O2とN2の少なくとも一方と、HBrと、不活性希釈剤と、を含む。基板は、40℃未満の温度に冷却される。エッチャントガスは、シリコンゲルマニウム層をエッチングするために、プラズマに転換される。
【0004】
本発明の別の実施では、ポリシリコン層が少なくとも一つのドープ領域を有する状態で、基板上のポリシリコン層をエッチングする方法が提供される。基板は、処理チャンバ内に配置される。エッチャントガスは、処理チャンバ内に提供され、エッチャントガスは、N2と、SF6と、CHF3及びCH22の少なくとも一方と、を含む。エッチャントガスは、ポリシリコン層をエッチングするために、プラズマに転換される。
【0005】
本発明の別の実施では、基板上に少なくとも一つのシリコンゲルマニウム層を有するスタックをエッチングする装置を提供する。装置は、処理チャンバと、ガスソースと、励起ソースと、基板の温度を制御するための温度制御デバイスと、コントローラとを含む。コントローラは、HBrと、不活性希釈剤と、O2及びN2の少なくとも一方とを含むエッチャントガスを、ガスソースから処理チャンバへ提供するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、基板を40℃未満の温度に冷却するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、励起ソースを使用して、エッチャントガスをプラズマに転換し、シリコンゲルマニウム層をエッチングするためのコンピュータ読み取り可能なコードと、を含むコンピュータ読み取り可能な媒体を含む。
【0006】
本発明の上記その他の特徴は、次の図面と併せて、本発明の詳細な説明において、以下でさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、同様の参照番号が類似する要素を示す添付図面の各図において、本発明を限定的ではなく例示的に示す。
【0008】
本発明について、添付図面に例示した幾つかの好適な実施形態を参照して、詳細に説明する。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細について述べる。しかしながら、こうした具体的な詳細の一部又は全部がなくとも、本発明を実施し得ることは、当業者には明白であろう。別の事例において、本発明を不必要に曖昧にしないために、周知の処理工程及び/又は構造については詳細な説明を省略する。
【0009】
理解を容易にするため、図1は、ゲート電極として使用し得るエッチング膜スタックを形成するための高レベルフローチャートである。積層スタックが形成される(工程104)。積層スタックをエッチングする(工程108)。図2は、積層スタックの形成のさらに詳細なフローチャートである(工程104)。ゲート酸化層が形成される(工程204)。図3Aは、基板308上に形成されたゲート酸化層304を有する膜スタックの断面図である。シリコンシード層312は、ゲート酸化層304上に形成される(工程208)。シリコンゲルマニウム(SiGe)層316は、ゲート酸化層304上に形成される(工程212)。ポリシリコン層320は、SiGe層316上に形成される(工程216)。ポリシリコン層320は、デュアルドープ層と非ドープ層324とを含む。デュアルドープ層は、ドープ領域328と非ドープ領域322とを含む。様々な構成のドープ領域及び非ドープ領域を使用してよい。一般には、ポリシリコン層320の最も強くドープされた領域をドープ領域328の上部近くにして、最も強くドープされた領域を有する上部から、最も弱いドープ領域又は非ドープ領域を有するポリシリコン層の底部へ、勾配を形成してよい。強くドープした領域は、ポリシリコン層の上部に位置する。ドーピングレベルは、さらに深い位置で減少し、最終的に、ポリシリコンは、さらに深い位置で非ドープ状態となる。底部反射防止膜(BARC)層等の反射防止膜(ARC)層322は、デュアルドープポリシリコン層320上に配置される(工程220)。フォトレジストマスク336は、ARC層332上に形成される(工程224)。
【0010】
スタックの一例において、ゲート酸化層304は、厚さ約1.5nmにしてよい。シリコンシード層312は、厚さ約10nmにしてよい。SiGe層316は、厚さ約20nmにしてよい。デュアルドープポリシリコン層320は、厚さ約100nmにしてよい。デュアルドープポリシリコン層320の最も強くドープされた領域328は、50乃至70nmの深さを有してよい。ARC層332は、厚さ約100nmにしてよい。193nmフォトレジストマスクは、厚さ約190nmにしてよい。
【0011】
こうしたスタックのエッチングは、ドープポリシリコン領域のエッチング特性が非ドープポリシリコン領域をエッチングする特性とは異なる点において、一層困難なものとなっている。その結果、非ドープポリシリコン領域に垂直なエッチングプロファイルを提供し得るエッチング処理では、ドープポリシリコン領域にアンダカットをもたらす恐れがある。別の例において、ドープポリシリコン領域に垂直なエッチングプロファイルを提供し得るエッチングでは、非ドープポリシリコン領域にテーパプロファイル又はフッタをもたらす恐れがある。
【0012】
デュアルドープポリシリコン層320の下のSiGe層316は、デュアルドープポリシリコン層320とは異なるエッチング特性を有する。SiGe層316の異なるエッチング特性と、SiGe層316及びシリコンシード層312の薄さとにより、エッチングにはさらに問題が生じる。こうした問題において、デュアルドープポリシリコン層320の垂直エッチングを提供し得るエッチング処理は、SiGe層316におけるアンダカット、或いはシリコンシード層312におけるフッタの形成を発生させる恐れがある。SiGe層及びシード層の薄さにより生じる問題の理由の一部は、こうした薄層に対して別個のエッチング工程を有するのが比較的困難なことにある。SiGe層及びシードシリコン層の両方をエッチングするために、単一のエッチング工程が使用される。垂直エッチングは重要であり、スタック底部近くの寸法はゲート長を定めるのに役立つことから、スタックの底部近くでは重要性がさらに増加する。したがって、アンダカット又はフットの形成は、ゲート長を変化させる。
【0013】
加えて、フォトレジストは、好ましくは、旧世代のレジストより軟質の193nm以降の世代のレジストである。したがって、本発明のエッチングは、より選択的となる必要があり、エッチングの停止を発生させる過剰なパッシベーションをもたらすことなく、フォトレジストエッチングマスクを保護するために、ある程度のパッシベーションを提供する必要もある
【0014】
図4は、積層スタックをエッチングする工程のさらに詳細なフローチャートである(工程108)。フォトレジストマスクをトリミングする(工程404)。以下に説明するように、ここでは新規のトリミング処理を使用して、フォトレジストマスクの限界寸法を低減してよい。この実施形態ではBARCであるARC層をエッチングする(工程408)。ここでは従来のBARCエッチング処理を使用して、BARC層をエッチングしてよい。
【0015】
次に、ブレークスルエッチングを使用して、ポリシリコン層320の非ドープ領域322及びドープ領域328により形成されたデュアルドープ領域の少なくとも一部をエッチングする(工程412)。ポリシリコン層の上部の非ドープ領域322及びドープ領域328は、同時にエッチングされる。この実施形態において、ブレークスルエッチングは、N2と、SF6と、CHF3及びCH22の少なくとも一方と、を含むエッチャントガスを提供する。エッチャントガスは、プラズマに転換され、ポリシリコン層320のドープ領域328及び非ドープ領域322をエッチングするのに使用される。ブレークスルエッチングはポリシリコン上に形成された自然酸化物のエッチングを意味し得るが、この工程で使用されるブレークスルエッチングは、デュアルドープポリシリコン上に形成された自然酸化物と、デュアルドープポリシリコン層の最も強くドープされた領域との両方をエッチングするのに使用される。本発明のブレークスルエッチングは、ドープ及び非ドープ領域が同じエッチング特性でエッチングされ、ドープ及び非ドーププロファイルが類似して見えるような、最少ドープ/非ドーププロファイルローディング結果を提供する。
【0016】
ブレークスルエッチングに続いて、非ドープポリシリコン層324をエッチングするのに使用される第一のメインエッチングが行われる(工程416)。この実施形態において、非ドープポリシリコン層の第一のメインエッチングでは、Cl2、HBr、O2、及びCF4の少なくとも一つを含むエッチャントガスを使用する。このエッチング工程は、SiGe層316に特徴部をエッチングするのに使用してよい。このエッチング処理は、ゲート酸化物に対して低感度であることが分かっているため、エッチング特徴部がゲート酸化物に達する前に、ブレークスルエッチングを停止するのが望ましい。干渉計の終点を使用して、ゲート酸化層604から約40nmの距離に特徴部をエッチングし得る。さらに、光学発光の終点を使用して、ポリシリコン/SiGe界面においてエッチングを停止し得る。
【0017】
第一のメインエッチングに続いて、ゲート酸化層であるエッチング停止部に対する高い選択性を有する第二のメインエッチング(工程420)が行われる。この実施形態において、第二のメインエッチングは、HBr又はO2のエッチャントガスを使用する。第二のメインエッチングは、ポリシリコン層、SiGe層、及びシリコンシード層を高い選択性でエッチングするのに使用される。
【0018】
第二のメインエッチングがエッチング停止部に到達した後、SiGe層及びシリコンシード層のエッチングを完了されるために、オーバエッチング工程が実行される(工程424)。そのため、この実施形態では、SiGeエッチングをポリシリコンオーバエッチング工程として使用して、ポリシリコン層320、SiGe層、及びシリコンシード層のエッチングを完了させる。この実施形態において、SiGe層及びシリコンシード層のエッチングは、HBr、He、及びO2のエッチャントガスを使用する。このオーバエッチングは、エッチングを完了させ、残留物を除去するために使用される。このエッチングを40℃未満の温度で実行することが、SiGe及びシリコンシード層の両方において、アンダカット、ボーイング、或いはフットの形成のない、垂直エッチングプロファイルを提供するという予想外の結果が生じることが発見された。
【0019】
数ヶ月の期間に渡って実験を行い、デュアルドープポリシリコン層、SiGe層、及びシード層をエッチングする時に、垂直エッチングプロファイルを提供する処理の発見を試みた。40℃未満の低い処理温度を使用した実験をSiGeエッチング中に使用して、アンダカット、ボーイング、或いはフットの形成のない所望のプロファイルが予想外に提供されるまで、試行したエッチング処理で所望の結果を提供するものは発見されなかった。
【0020】
一般には、各エッチング工程に、オーバエッチング工程を提供してよい。エッチングモニタを使用して終点に達する時期を決定する場合、オーバエッチング工程は、終点を過ぎて一定量をエッチングする時間に、追加エッチングを提供するために使用してよい。
実施例1
【0021】
本発明の例では、積層スタックが形成される。積層スタックは、図2において説明した工程を使用して形成され、図3Aに示した積層スタックが形成される。この例において、ゲート酸化層304は、厚さ1.5nmである。シリコンシード層312は、厚さ10nmである。SiGe層316は、厚さ20nmである。デュアルドープポリシリコン層は、厚さ100nmである。ARC層332は、厚さ100nmである。193フォトレジストマスク336は、厚さ190nmである。次に、基板308は、処理チャンバ内に配置される。
【0022】
図5は、本発明の好適な実施形態において使用し得る処理チャンバ500の概略図である。この例において、処理チャンバは、カリフォルニア州フレモントのLam Research Corporationの2300Versys Siliconを含む。プラズマ処理チャンバ500は、誘導コイル504と、下部電極508と、ガスソース510と、排出ポンプ520とを含んでよい。プラズマ処理チャンバ500内において、基板308は、下部電極508上に位置決めされる。下部電極508には、基板308を指示するために、適切な基板チャック機構(例えば、静電、機械クランプ、その他)が組み込まれる。リアクタ上部528には、誘電体窓が組み込まれる。チャンバ上部528、チャンバ壁552、及び下部電極508は、閉じ込めプラズマ容積540を定める。ガスは、ガスソース510により、ガス入口543を介して閉じ込めプラズマ容積へ供給され、排出ポンプ520により、閉じ込めプラズマ容積から排出される。排出ポンプ520は、プラズマ処理チャンバのガス出口を形成する。第一のRFソース544は、コイル504に電気的に接続される。第二のRFソース548は、下部電極508に電気的に接続される。この実施形態において、第一及び第二のRFソース544、548は、13.56MHz電源を含む。RF電力を電極に接続する異なる組み合わせも可能である。コントローラ535は、第一のRFソース544、第二のRFソース545、排出ポンプ520、及びガスソース510と制御可能に接続される。基板冷却システムは、冷却剤を冷却する冷却器552と、冷却剤を冷却器552から下部電極508(静電チャック)へ送り、再び冷却器へ戻す流体送給デバイス556とを含む。冷却された下部電極508は、基板を冷却する。加えて、基板を加熱するために、ヒータ560が設けられ、下部電極の内部に位置決めされる。ヒータ560、基板冷却システム、及びコントローラ535は、以下の説明に記載するように、様々な工程で異なる基板温度を提供するために、温度を十分に制御できる。
【0023】
図6A及び6Bは、本発明の実施形態において使用されるコントローラ535を実施するのに適したコンピュータシステム800を示す。図6Aは、コンピュータシステムの可能な物理的形態の一つである。当然ながら、コンピュータシステムは、集積回路、プリント回路基板、及び小型ハンドヘルドデバイスから、巨大なスーパコンピュータまで、多くの物理形態を有し得る。コンピュータシステム800は、モニタ802と、ディスプレイ804と、筐体806と、ディスクドライブ808と、キーボード810と、マウス812とを含む。ディスク814は、コンピュータシステム800との間でデータを転送するために使用されるコンピュータ読み取り可能な媒体である。
【0024】
図6Bは、コンピュータシステム800のブロック図の例である。システムバス820には、広範なサブシステムが取り付けられる。プロセッサ(群)822(中央演算処理装置又はCPUとも呼ばれる)は、メモリ824を含む記憶装置に結合される。メモリ824は、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含む。この技術において周知であるように、ROMは、データ及び命令をCPUへ一方向で転送する役割を果たし、RAMは、通常、データ及び命令を双方向で転送するために使用される。こうしたタイプのメモリは、両方とも、以下に説明する任意の適切なコンピュータ読み取り可能な媒体を含んでよい。固定ディスク826も、CPU822に双方向で結合され、追加のデータ記憶容量を提供し、同じく以下に説明する任意のコンピュータ読み取り可能な媒体を含んでよい。固定ディスク826は、プログラム、データ、その他を格納するのに使用してよく、通常は、一次記憶装置より低速の二次記憶媒体(ハードディスク等)である。固定ディスク826内に保持される情報は、適切である場合には、標準的な方法で、メモリ824内に仮想メモリとして組み込んでよいことは理解されよう。リムーバブルディスク814は、以下に説明する任意のコンピュータ読み取り可能な媒体の形態を取り得る。
【0025】
CPU822は、ディスプレイ804、キーボード810、マウス812、及びスピーカ830等の様々な入出力デバイスにも結合される。一般に、入出力デバイスは、ビデオディスプレイ、トラックボール、マウス、キーボード、マイクロフォン、タッチセンシティブディスプレイ、トランスデューサカードリーダ、磁気又は紙テープリーダ、タブレット、スタイラス、音声又は手書き認識装置、生体認証リーダ、又は他のコンピュータのいずれかにしてよい。CPU822は、随意的に、ネットワークインタフェース840を使用して、別のコンピュータ又は電気通信ネットワークに結合され得る。こうしたネットワークインタフェースにより、CPUは、上記の方法工程を実行する過程で、ネットワークから情報を受領すること、或いはネットワークへ情報を出力することが考えられる。さらに、本発明の方法の実施形態は、CPU822単独で実行し得るものであり、或いは、処理の一部を共有するリモートCPUと連動して、インターネット等のネットワーク上で実行し得る。
【0026】
加えて、本発明の実施形態は、さらに、様々なコンピュータ実施動作を実行するためにコンピュータコードを有するコンピュータ読み取り可能な媒体を備えたコンピュータストレージ製品に関する。媒体及びコンピュータコードは、本発明のために特別に設計及び構築されたものにしてよく、或いは、コンピュータソフトウェア技術に関する当業者に周知であり利用可能な種類のものにしてよい。コンピュータ読み取り可能な媒体の例には、一部として、ハードディスク、フレキシブルディスク、及び磁気テープといった磁気媒体と、CD−ROM及びホログラフィックデバイスといった光学媒体と、フロプティカルディスク等の光磁気媒体と、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、及びROM及びRAMデバイスといった、プログラムコードを格納及び実行するために特別に構成されたハードウェアデバイスとが含まれる。コンピュータコードの例には、コンパイラによって生成されるようなマシンコードと、インタプリタを使用してコンピュータで実行される高レベルコードを含むファイルとが含まれる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号によって送信され、プロセッサによって実行可能な命令のシーケンスを表すコンピュータコードにしてもよい。
【0027】
フォトレジストのトリミングは、処理チャンバ500内、或いは基板を処理チャンバ500内に配置する前に達成してよい。好適なトリミング処理の実施形態では(工程404)、フォトレジストをトリミングするために、HBr、O2、及びCHF3が処理チャンバ内に提供される。この例において、トリミングガスは、30sccmのHBrと、30sccmのO2と、40sccmのCHF3とである。処理チャンバ内の圧力は、5mTorrである。処理チャンバに供給されるTCP電力は、250ワットである。バイアス電圧は70ボルトである。静電チャックには、8Torrのヘリウム背面圧力を提供する。60℃の静電チャック温度を提供した。この工程を44秒間維持した。この好適な実施形態は、フォトレジストのトリミングの改善をもたらした。
【0028】
次にBARC層が開口される。従来のBARC開口工程を使用してよい。BARCのエッチングは、処理チャンバ500内、或いは基板を処理チャンバ500内に配置する前に達成してよい。こうしたBARC開口処理(工程408)では、BARCのエッチングにCl2、O2、及びHeを使用してよい。
【0029】
ブレークスル工程(工程412)では、N2と、SF6と、CHF3及びCH22の少なくとも一方と、を含むエッチャントガスを提供する。この例において、エッチャントガスは、100sccmのCHF3と、50sccmのN2と、20sccmのSF6とである。処理チャンバ内の圧力は、5mTorrである。処理チャンバに供給されるTCP電力は、275ワットである。バイアス電圧は135ボルトである。静電チャックには、8Torrのヘリウム背面圧力を提供する。60℃の静電チャック温度を提供した。この工程を23秒間維持した。
【0030】
第一のメインエッチング工程(工程416)では、Cl2、HBr、O2、及びCF4の少なくとも一つを含むエッチャントガスを提供する。この例において、エッチャントガスは、50sccmのCl2と、250sccmのHBrと、50sccmのCF4と、5sccmのO2とである。処理チャンバ内の圧力は、10mTorrである。処理チャンバに供給されるTCP電力は、600ワットである。バイアス電圧は125ボルトである。8Torrのヘリウム背面圧力を提供する。60℃の静電チャック温度を提供した。この工程を17秒間維持した。
【0031】
第二のメインエッチング工程(工程420)では、HBrと、不活性希釈剤と、O2及びN2の少なくとも一方とを含むエッチャントガスを提供する。この例において、エッチャントガスは、180sccmのHBrと、5sccmのO2とである。処理チャンバ内の圧力は、6mTorrである。処理チャンバに供給されるTCP電力は、350ワットである。バイアス電圧は65ボルトである。8Torrのヘリウム背面圧力を提供する。60℃の静電チャック温度を提供した。この工程を14秒間維持した。
【0032】
オーバエッチング工程(工程424)は、SiGeエッチングでもあり、HBrと、不活性希釈剤と、O2及びN2の少なくとも一方とを含むエッチャントガスを提供する。この例において、エッチャントガスは、133sccmのHBrと、2sccmのO2とである。処理チャンバ内の圧力は、80mTorrである。処理チャンバに供給されるTCP電力は、500ワットである。バイアス電圧は210ボルトである。8Torrのヘリウム背面圧力を提供する。30℃の静電チャック温度を提供した。この工程を72秒間維持した。低い処理温度のため、SiGeエッチング工程は、非常に堅牢であり、SiGe層の横方向の攻撃なしで、工程時間を延長できる。ヘリウム等の不活性ガスをエッチャントガスに追加してもよい。この例では、267sccmのHeが追加される。本発明の装置のヒータ及びクーラは、工程間で基板温度を60℃から30℃へ変更可能な、所望の温度制御を提供できる。ヒータ及びクーラは、温度を迅速に変化させる能力を提供する。
【0033】
この例は、ウェーハ全体で均一なエッチングを提供することが分かっている。
その他の実施例
【0034】
表1は、ブレークスルエッチングに対する好適な範囲、さらに好適な範囲、及び最も好適な範囲を提供する。
【表1】

【0035】
表2は、第一のメインエッチングに対する好適な範囲、さらに好適な範囲、及び最も好適な範囲を提供する。
【表2】

【0036】
表3は、第二のメインエッチングに対する好適な範囲、さらに好適な範囲、及び最も好適な範囲を提供する。
【表3】

【0037】
2の代わりにN2を使用する場合、N2は、上記の例におけるO2と同じ流量及び流量比を有する。さらに、窒素を酸素に加えて、同じ量で使用できる。
【0038】
表4は、SiGe及びシリコンシード層をエッチング(SiGeエッチング)するポリシリコンのオーバエッチングに対する好適な範囲、さらに好適な範囲、及び最も好適な範囲を提供する。
【表4】

【0039】
2の代わりにN2を使用する場合、N2は、上記の例におけるO2と同じ流量及び流量比を有する。さらに、窒素を酸素に加えて、同じ量で使用できる。
【0040】
上記の例において、エッチングガスは、基本的には、指定された成分ガスで構成される。その他の実施形態では、その他の成分ガス、或いは追加の成分ガスを使用してよい。
【0041】
別の例では、圧力5mTorr、TCP電力300ワット、バイアス53ボルト、チャック温度60℃のブレークスルレシピにより、CH22、SF6、及びN2のブレークスルガス混合物を使用できた。一例において、ブレークスルガス混合物は、30sccmのCH22と、20sccmのSF6と、50sccmのN2とを含み、37秒間維持した。別の例において、ブレークスルガス混合物は、40sccmのCH22と、20sccmのSF6と、50sccmのN2とを含み、52秒間維持した。こうしたレシピは良好な結果を提供したが、CH22を使用した時の処理ウィンドウは、CH3Fを使用した時の処理ウィンドウと比べて小さくなると思われることが分かった。TCP電力を少なくとも600ワットまで増加させることで、ネッキングの低減に役立つことが分かった。
【0042】
60℃での実験により、SiGeエッチング中にHBr/He比を低下させることで、SiGe層のボーイングが減少するが、シリコンシード層に小さなフットが生じ得ることが分かった。さらに、SiGeエッチング工程を延長することで、SiGeプロファイルのボーイングが増加することが分かった。
【0043】
SiGeエッチング工程中に、基板温度を40℃未満、好ましくは約30℃にすることで、シードシリコン層、ポリシリコン層、及びSiGe層のそれぞれがほぼ同じエッチング特性を有するエッチングが生じることが分かった。基板温度の低下は、非常に堅牢な処理を提供し、パラメータの僅かな変化により、アンダカット又はボーイング、或いはフッタの形成は大幅に増加しなくなる。したがって、SiGeエッチング中の温度低減により、エッチング特徴部の垂直プロファイルに影響を与えることなく、処理パラメータのある程度の変動が可能となる。基板を30℃に維持することは、冷却器552により冷却液を20℃にすることで達成し得る。冷却液は、下部電極508を通過して、下部電極を20℃に冷却し、下部電極は基板308を20℃に冷却する。その後、ヒータ560を使用して、基板を30℃に加熱する。
【0044】
本発明の他の実施形態では、第一のメインエッチングをブレークスルエッチングに置き換えるため、ブレークスルエッチングが延長され、第一のメインエッチングが除去される。
【0045】
他の実施形態では、さらに堅牢な結果を得るために、第二のメインエッチングを40℃未満の温度で実行してよい。本発明のエッチングは、エッチングの停止を発生されることなく、アンダカットを防止するのに十分なパッシベーションも提供する。別の例では、第二のメインエッチング中に少量のCl2を提供し、第二のエッチング中に形成される任意のフットを除去又は低減する。
【0046】
本発明のエッチングは、さらに、ラインエッジの粗さの低減をもたらすことが分かった。本発明は、トリミング工程中、側壁の粗さを低減するパッシベーションを増やすことができると考えられる。
【0047】
本発明の他の実施形態では、ポリシリコンのオーバエッチングとしてではなく、本発明のSiGeエッチングを単独で提供してよい。
【0048】
理解を容易にするため、図7A乃至7Dは、様々な処理を使用してエッチングされた様々なプロファイルの概略図であり、図7A乃至7Cは、従来技術の処理を使用してエッチングしたプロファイルの概略図であり、図7Dは、本発明を使用してエッチングしたプロファイルの概略図である。図7Aは、基板780上のゲート酸化層上のスタックの概略図であり、スタックは、シリコンシード層712と、SiGe層716と、ドープ及び非ドープ領域を有するポリシリコン層722とを含む。この例の従来技術のエッチング処理では、ボーイングのあるSiGe部分722とシードシリコンのフット724とが形成される。この例において、ボーイング及びフットの組み合わせは、何らかのCDの増加を形成しない。図7Bは、小さなボーイングを有するSiGe部分732と大きなシードシリコンのフット734とを形成する、従来技術のエッチングによるスタックの概略図であり、ボーイング及びフットの組み合わせは、CDの増加を発生させる。図7Cは、垂直なSiGe部分とシードシリコンのフット744とを形成する、従来技術のエッチングによるスタックの概略図であり、フットがCDの増加を発生させる。図7Dは、垂直なSiGe層及びシードシリコンエッチングを形成する、本発明を使用したエッチングによるスタックの概略図である。
【0049】
以上、本発明について幾つかの好適な実施形態により説明してきたが、本発明の範囲に含まれる変更、置換、及び等価物が存在する。さらに、本発明の方法及び装置を実施する数多くの代替方法が存在することにも留意されたい。したがって、添付特許請求の範囲は、本発明の本来の趣旨及び範囲に入るこうした全ての変更、置換、及び等価物を含むと解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ゲート電極として使用し得るエッチングスタックを形成するための高レベルフローチャートである。
【図2】積層スタックの形成のさらに詳細なフローチャートである。
【図3A】基板上に形成されたゲート酸化層304を有する膜スタックの模式断面図である。
【図3B】基板上に形成されたゲート酸化層304を有する膜スタックの模式断面図である。
【図4】積層スタックのエッチングのさらに詳細なフローチャートである。
【図5】本発明の好適な実施形態において使用し得る処理チャンバの概略図である。
【図6A】コントローラを実施するのに適したコンピュータシステムを示す図である。
【図6B】コントローラを実施するのに適したコンピュータシステムを示す図である。
【図7A】エッチング膜スタックの概略図である。
【図7B】エッチング膜スタックの概略図である。
【図7C】エッチング膜スタックの概略図である。
【図7D】エッチング膜スタックの概略図である。
【符号の説明】
【0051】
304…ゲート酸化層
308…基板
312…シリコンシード層
320…デュアルドープポリシリコン層
322…非ドープ領域
324…非ドープポリシリコン層
328…ドープ領域
336…フォトレジストマスク
500…処理チャンバ
500…プラズマ処理チャンバ
504…誘導コイル
508…下部電極
510…ガスソース
520…排出ポンプ
528…チャンバ上部
528…リアクタ上部
535…コントローラ
540…プラズマ容積
543…ガス入口
552…チャンバ壁
552…冷却器
556…流体送給デバイス
560…ヒータ
604…ゲート酸化層
712…シリコンシード層
722…ポリシリコン層
780…基板
800…コンピュータシステム
802…モニタ
804…ディスプレイ
806…筐体
808…ディスクドライブ
810…キーボード
812…マウス
814…ディスク
814…リムーバブルディスク
820…システムバス
822…CPU
824…メモリ
826…固定ディスク
830…スピーカ
840…ネットワークインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ内で、基板上に少なくとも一つのシリコンゲルマニウム層を有するスタックをエッチングする方法であって、
2とN2の少なくとも一方と、HBrと、不活性希釈剤と、を含むエッチャントガスを前記処理チャンバ内に提供する工程と、
40℃未満の温度に前記基板を冷却する工程と、
前記シリコンゲルマニウム層をエッチングするために、前記エッチャントガスをプラズマに転換する工程と、
を備えるシリコンゲルマニウムエッチングを提供する工程を備えるエッチング方法。
【請求項2】
請求項1記載のエッチング方法であって、
前記スタックは、さらに、前記シリコンゲルマニウム層上にポリシリコン層を備え、前記ポリシリコン層の少なくとも一つの領域がドープされ、
前記エッチング方法は、さらに、
CHF3とCH22の少なくとも一方と、N2と、SF6と、を含む前記エッチャントガスを前記処理チャンバ内に提供する工程と、
前記ポリシリコン層をエッチングするために、前記エッチャントガスをプラズマに転換する工程と、
を備える前記ポリシリコン層のブレークスルーエッチングを提供する工程を備えるエッチング方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエッチング方法であって、さらに、
Cl2、HBr、O2、及びCF4の少なくとも一つを含むエッチャントガスを提供する工程と、
前記ポリシリコン層をエッチングするために、前記エッチャントガスをプラズマに転換する工程と、
を備えるポリシリコンメインエッチングを提供する工程を備えるエッチング方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載のエッチング方法であって、
前記シリコンゲルマニウム層及び前記ポリシリコン層を前記エッチングする工程は、垂直なプロファイルを提供するエッチング方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のエッチング方法であって、
前記スタックは、さらに、前記シリコンゲルマニウム層下にシードシリコン層を備え、
前記シリコンゲルマニウムエッチングは、前記シードシリコン層をエッチングするエッチング方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のエッチング方法であって、
前記シードシリコン層及びシリコンゲルマニウム層の合計厚さは、10乃至50ナノメートルであるエッチング方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のエッチング方法であって、さらに、
前記スタック上にフォトレジストマスクを提供する工程を備えるエッチング方法。
【請求項8】
請求項7記載のエッチング方法であって、
前記フォトレジストマスクは、193以降の世代のフォトレジストであるエッチング方法。
【請求項9】
請求項2ないし4のいずれかに記載のエッチング方法であって、
前記ポリシリコン層は、少なくとも一つの非ドープ領域を有するエッチング方法。
【請求項10】
請求項2ないし4あるいは9のいずれかに記載のエッチング方法であって、
前記シードシリコン層及びシリコンゲルマニウム層の合計厚さは、前記ポリシリコン層の厚さの半分未満であるエッチング方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかの方法により形成された半導体デバイス。
【請求項12】
少なくとも一つのドープ領域を有する、基板上のポリシリコン層をエッチングする方法であって、
処理チャンバ内に前記基板を配置する工程と、
CHF3とCH22の少なくとも一方と、N2と、SF6と、を含むエッチャントガスを前記処理チャンバ内に提供する工程と、
前記ポリシリコン層をエッチングするために、前記エッチャントガスをプラズマに転換する工程と、
を備えるエッチング方法。
【請求項13】
請求項12記載のエッチング方法であって、さらに、
Cl2、HBr、CF4、及びO2の少なくとも一つを含むエッチャントガスを提供する工程と、
前記ポリシリコン層をエッチングするために、前記エッチャントガスをプラズマに転換する工程と、
を備えるポリシリコンメインエッチングを提供する工程を備えるエッチング方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載のエッチング方法であって、さらに、
前記スタック上にフォトレジストマスクを提供する工程を備えるエッチング方法。
【請求項15】
請求項14記載のエッチング方法であって、
前記フォトレジストマスクは、193以降の世代のフォトレジストであるエッチング方法。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれかに記載のエッチング方法であって、
前記ポリシリコン層は、少なくとも一つの非ドープ領域を有するエッチング方法。
【請求項17】
請求項12ないし16のいずれかの方法により形成された半導体デバイス。
【請求項18】
基板上に少なくとも一つのシリコンゲルマニウム層を有するスタックをエッチングする装置であって、
処理チャンバと、
ガスソースと、
励起ソースと、
前記基板の温度を制御するための温度制御デバイスと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
2とN2の少なくとも一方と、HBrと、不活性希釈剤と、を含むエッチャントガスを、前記ガスソースから前記処理チャンバへ提供するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、
前記基板を40℃未満の温度に冷却するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、
前記励起ソースを使用して、前記エッチャントガスをプラズマに転換し、前記シリコンゲルマニウム層をエッチングするためのコンピュータ読み取り可能なコードと、
を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体を備えるエッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公表番号】特表2007−529904(P2007−529904A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503962(P2007−503962)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/007750
【国際公開番号】WO2005/091338
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】