説明

データ処理装置

【課題】ユーザが欲する処理を実行するためにユーザを煩わせてしまうこと。
【解決手段】HDD12には、タッチパネル25での処理要求と要求時に係る状況とを対応付けてHDD12に記憶させ、現在に係る状況に対応付けられた処理要求に係る処理を実行する制御部としてCPU14を機能させるための制御プログラムが記憶されている。移動体が「札幌市中央区南3条西5条」に接近しているので、地図の縮尺は、「1/1万」(図8(a)を参照)から「1/2500」に自動的に変更される(図8(b)を参照)。縮尺「1/2500」の選択は、「札幌市中央区南3条西5条」に対応付けられた処理要求である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種処理を実行するデータ処理装置に関するものであって、より詳しくは、ナビゲーション装置、携帯電話やマルチメディア端末などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、ユーザが所定の項目についての設定を行う毎に操作履歴ファイルを自動的に作成し、ユーザによる入力操作に従って操作履歴ファイルの処理要求を再現するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2004−185240号公報(段落0027および0034ならびに図8を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のものにおいては、操作履歴ファイルの処理要求を再現するために、ユーザによる入力操作が必要であるので、再現すべき処理要求が複数ある場合、ユーザは、その都度、入力操作を行わなければならない。つまり、ユーザに対して煩わしさを感じさせてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るデータ処理装置は、記憶媒体に記憶された過去の処理要求に係る処理を実行するデータ処理装置であって、ユーザからの処理要求と要求時に係る状況とを対応付けて記憶媒体に記憶させ、現在に係る状況に対応付けられた処理要求に係る処理を実行する制御部を備えるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0005】
「記憶媒体」とは、データを記憶する物であって、データ処理装置に内蔵されているか否かを問わない。
【0006】
「要求時に係る状況」とは、広く要求時における状況であって、その一例として、要求時における移動体の位置、移動体が要求時において属する道路種別、要求時の時刻、要求時の交通状況、要求時の曜日や要求時の気象などがある。
【0007】
「現在に係る状況」とは、広く現在における状況であって、その一例として、移動体の現在位置、移動体が現在において属する道路種別、現在時刻、現在の交通状況、現在の曜日や現在の気象などがある。
【0008】
「制御部」は、ハードウエアまたはハードウエアとソフトウエアとの協働によって制御を行うものである。
【0009】
「制御部」は、好ましくは、記憶媒体に記憶された処理要求を削除するか否かを操作部での操作に応じて制御するものである。ここで、「操作部」とは、ユーザの操作に対応する操作データを出力するものであって、その一例として、リモートコントローラ、タッチパネルや音声認識用マイクなどがある。
【0010】
「制御部」は、好ましくは、操作部での操作に応じて記憶媒体に記憶された処理要求を修正することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、処理要求と要求時に係る状況とを対応付けて記憶媒体に記憶させ、現在に係る状況に対応付けられた処理要求に係る処理を実行することによって、ユーザの欲する処理をユーザを煩わせることなく実行することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るデータ処理装置を実施するための最良の形態は、図1ないし図7で示される。
<装置構成について>本実施の形態に係るデータ処理装置1の構成は、図1で示される。データ処理装置1は、データの入出力を行うI/O11と、各種データやプログラムなどを記憶するHDD12(「記憶媒体」に相当する)と、BIOSなどの基本プログラムを記憶するROM13と、HDD12やROM13などに記憶されたプログラムを実行するCPU14(「制御部」に相当する)と、各種データを保持するRAM15と、音声データを処理する音声LSI16と、画像に対応する画像データを処理する描画LSI17と、画像データを保持するVRAM18とを備える。これらの部品は、バスで接続されている。
【0013】
I/O11には、GPSデータ(「時刻」および「位置」に相当する)を受信するGPS受信機21、VICSデータ(「交通状況」に相当する)を受信するVICS受信機22、速度データを出力する速度センサ23、ジャイロデータを出力するジャイロセンサ24および操作データを出力するタッチパネル25(「操作部」に相当する)が接続されている。また、I/O11には、音声データに対応する音声を出力するスピーカ31および画像データに対応する画像を表示するディスプレイ32が接続されている。
【0014】
HDD12には、タッチパネル25での処理要求と要求時に係る状況とを対応付けてHDD12に記憶させ、現在に係る状況に対応付けられた処理要求に係る処理を実行する制御部としてCPU14を機能させるための制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、RAM15に展開され、CPU14によって実行される。また、HDD12には、地図画像に対応する地図画像データや道路種別に対応する道路種別データなどが記憶されている。
<記憶処理について>以上のように構成されたデータ処理装置1の記憶処理は、図2ないし図4で示される。CPU14は、タッチパネル25が操作データを出力すると、記憶処理を実行中の処理に割り込ませる(図2を参照)。
【0015】
CPU14は、要求時に係る状況データをHDD12に記憶させる(ステップS1)。状況データは、道路種別データ、GPSデータやVICSデータなどである。GPSデータは、位置および時刻を示す。他方、VICSデータは、曜日、気象および交通状況を示す(図3を参照)。
【0016】
ステップS1で状況データが記憶されると、CPU14は、操作メニューの階層Nを第1階層(「N=1」)に設定する(ステップS2)。本実施の形態では、操作メニューは、階層的に構成されているからである(図4を参照)。
【0017】
ステップS2で階層Nが第1階層に設定されると、CPU14は、第N階層に係る操作データ(以下、各階層に係る操作データは「要求データ」という)をHDD12に記憶させる(ステップS3)。例えば、第1階層で「ナビ」が選択されると、第1階層に係る要求データは、「ナビ」の選択を内容とするものとなる。
【0018】
ステップS3で第N階層に係る要求データが記憶されると、CPU14は、操作メニューの階層Nを次の階層(「N=N+1」)に設定する(ステップS4)。例えば、第1階層に係る要求データが記憶されると、操作メニューの階層Nは、第2階層に設定される。
【0019】
ステップS4で次の階層が設定されると、CPU14は、第N階層に係る要求データがRAM15にあるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5で第N階層に係る要求データがあれば(S5のYes)、CPU14は、ステップS3からの処理を実行する。他方、ステップS5で第N階層に係る要求データがなければ(S5のNo)、CPU14は、記憶処理を終了する。
【0020】
以上の記憶処理おいて、状況データは、札幌の市街地である「札幌市中央区南3条西5条」を示す。また、要求データは、第1階層で「ナビ」が選択されたこと、第2階層で「縮尺」が選択されたことおよび第3階層で「1/2500」が選択されたことを示すものとする。つまり、「札幌市中央区南3条西5条」での処理要求は、縮尺「1/2500」での地図表示である。
<削除・修正処理について>以上のように構成されたデータ処理装置1の削除・修正処理は、以下のとおりである。CPU14は、タッチパネル25からの操作データが削除・修正処理の要求を示していれば、ディスプレイ32に対して確認画面を表示させる。本実施の形態では、確認画面は、要求時の位置が「札幌市中央区南3条西5条」であること、第1階層で「ナビ」が選択されたこと、第2階層で「縮尺」が選択されたことおよび第3階層で「1/2500」が選択されたことを内容とする(図5を参照)。
【0021】
消去ボタンが選択される、すなわち、タッチパネル25での接触座標とディスプレイ32上で消去ボタンが表示されている表示座標とが一致すると、CPU14は、操作データをHDD12から消去する。
【0022】
他方、修正ボタンが選択される、すなわち、タッチパネル25での接触座標とディスプレイ32上で修正ボタンが表示されている表示座標とが一致すると、CPU14は、HDD12に記憶された操作データを更新する。例えば、第3階層での「1/2500」が「1/5000」に修正された場合、第3階層に係る操作データは「1/5000」に更新される。操作データが更新された後、確定ボタンが選択される、すなわち、タッチパネル25での接触座標とディスプレイ32上で確定ボタンが表示されている表示座標とが一致すると、CPU14は、更新を終了する。
【0023】
なお、本実施の形態では、記憶処理において記憶された操作データが全て自動実行処理で用いられるのではなく、削除・修正処理を施された操作データが自動実行処理で用いられる。
<自動実行処理について>以上のように構成されたデータ処理装置1の自動実行処理は、図6および図7で示される。CPU14は、自動実行処理を周期的に実行する(図6を参照)。
【0024】
CPU14は、現在に係る状況データに対応付けられた要求データがHDD12にあるか否かを判定する(ステップS21)。例えば、移動体が「札幌市中央区南3条西5条」に接近していれば、第1階層で「ナビ」が選択されたこと、第2階層で「縮尺」が選択されたこと、および第3階層で「1/2500」が選択されたことが対応付けられていることになる。
【0025】
ステップS21で現在に係る状況データに対応付けられた要求データがあるとの判定がなされると(S21のYes)、CPU14は、操作メニューの階層Nを第1階層(「N=1」)に設定する(ステップS22)。
【0026】
ステップS32で階層Nが第1階層に設定されると、CPU14は、第N階層に係る要求データに対応する処理を実行する(ステップS23)。例えば、第1階層に係る要求データが「ナビ」メニューへの移行を要求していれば、「ナビ」メニューへの移行が実行される。
【0027】
ステップS23で第N階層に係る処理が実行されると、CPU14は、操作メニューの階層Nを次の階層(「N=N+1」)に設定する(ステップS24)。例えば、第1階層に係る処理が実行されると、操作メニューの階層Nは、第2階層に設定される。
【0028】
ステップS24で次の階層が設定されると、CPU14は、第N階層に係る要求データがRAM15にあるか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25で第N階層に係る要求データがあれば(S25のYes)、CPU14は、ステップS23からの処理を実行する。他方、ステップS25で第N階層に係る要求データがなければ(S25のNo)、CPU14は、記憶処理を終了する。
【0029】
本実施の形態では、移動体が「札幌市中央区南3条西5条」に接近しているので、地図の縮尺は、「1/1万」(図7(a)を参照)から「1/2500」に自動的に変更される(図7(b)を参照)。縮尺「1/2500」での地図表示は、「札幌市中央区南3条西5条」に対応付けられた要求である。
<本実施の形態における効果>本実施の形態によれば、要求時の状況と処理要求とが対応付けて記憶されるので、記憶された状況と同一の状況が存在すれば自動的に処理要求の具体的内容が実行される。つまり、ユーザを煩わせることなくユーザの欲する処理を実行することができる。例えば、移動体が市街地に存在する場合、詳細な情報がユーザにとって便利なので、ユーザは、地図の縮尺を実際の尺度に近づけることを要求しやすい(以下、詳細地図の表示要求という)。このとき、詳細地図の表示要求と市街地の位置とが対応付けて記憶されれば、移動体が同じ市街地に存在した場合、詳細地図が自動的に表示され、ユーザは、何ら操作をすることなく、詳細な情報を得られる。
【0030】
本実施の形態によれば、要求時の状況と処理要求とが対応がユーザによって削除または修正されるので、よりユーザの意図に沿った処理を自動的に実行することができる。
<変形例1>本実施の形態では、「状況」が位置である場合について説明がなされているが、「状況」が他のパラメータであってもよい。
【0031】
<「状況」が道路種別である場合について>移動体の位置が一の高速道路に存在する場合、大まかな情報があればユーザにとって十分であるから、ユーザは、地図の縮尺を実際の尺度から遠ざけることを要求しやすい(以下、広域地図の表示要求という)。このとき、高速道路という道路種別と広域地図の表示要求とが対応付けて記憶されるので、移動体が他の高速道路に存在した場合であっても、広域地図が自動的に表示される。したがって、ユーザは、何ら操作をすることなく、大まかな情報を得られる。
【0032】
<「状況」が気象である場合について>ユーザは、「雨」をタイトルに含む曲の演奏を欲して、その演奏を要求する(以下、演奏要求という)。このとき、気象が雨であれば、雨という気象と演奏要求とが対応付けて記憶されるので、別の機会において、そのときの気象が雨であれば、「雨」をタイトルに含む曲が自動的に演奏される。したがって、ユーザは、何ら操作をすることなく、「雨」をタイトルに含む曲を楽しめる。
【0033】
<「状況」が時刻である場合について>ユーザは、Aラジオ番組の聴視を欲して、Aラジオ番組へのチャンネル設定を要求する(以下、設定要求という)。このとき、要求時刻と設定要求とが対応付けて記憶されるので、別の日の同時刻が到来すると、Aラジオ番組へのチャンネル設定が自動的になされる。したがって、ユーザは、何ら操作をすることなく、Aラジオ番組を楽しめる。この例は、「状況」が曜日である場合にも該当する。
<変形例2>本実施の形態では、HDD12に記憶された操作データがタッチパネル25での操作によって削除されているが、操作データがSRAM15などに保持され、タッチパネル25で選択された操作データのみがHDD12に記憶されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明は、ユーザが欲する処理をユーザを煩わせることなく実行することができるという効果を有し、ナビゲーション装置、携帯電話やマルチメディア端末などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るデータ処理装置を実施するための最良の形態の構成を示すハードウエア構成図
【図2】本実施の形態における記憶処理の流れを示すフロー図
【図3】本実施の形態における状況データと要求データとの対応関係を示す図
【図4】本実施の形態における操作メニューの階層を示す図
【図5】本実施の形態における確認画面の表示例を示す図
【図6】本実施の形態における自動実行処理の流れを示すフロー図
【図7】(a)本実施の形態における自動処理実行前の表示例を示す図(b)本実施の形態における自動処理実行後の表示例を示す図
【符号の説明】
【0036】
1 データ処理装置
12 HDD(記憶媒体)
14 CPU(制御部)
25 タッチパネル(操作部)
32 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体に記憶された過去の処理要求に係る処理を実行するデータ処理装置であって、
ユーザからの処理要求と要求時に係る状況とを対応付けて記憶媒体に記憶させ、現在に係る状況に対応付けられた処理要求に係る処理を実行する制御部を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、処理要求と要求時における移動体の位置とを対応付けて記憶媒体に記憶させ、移動体の現在位置に対応付けられた処理要求に係る処理を実現することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、処理要求と移動体が要求時において属する道路種別とを対応付けて記憶媒体に記憶させ、移動体が現在において属する道路種別に対応付けられた処理要求に係る処理を実現することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、処理要求と要求時の時刻とを対応付けて記憶媒体に記憶させ、現在時刻に対応付けられた処理要求に係る処理を実現することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、処理要求と要求時の交通状況とを対応付けて記憶媒体に記憶させ、現在の交通状況に対応付けられた処理要求に係る処理を実現することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、処理要求と要求時の曜日とを対応付けて記憶媒体に記憶させ、現在の曜日に対応付けられた処理要求に係る処理を実現することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、処理要求と要求時の気象とを対応付けて記憶媒体に記憶させ、現在の気象に対応付けられた処理要求に係る処理を実現することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、記憶媒体に記憶された処理要求を削除するか否かを操作部での操作に応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、操作部での操作に応じて記憶媒体に記憶された処理要求を修正することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−51931(P2007−51931A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237170(P2005−237170)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】