データ生成装置、ミシン、及びデータ生成プログラム
【課題】模様を縫製するためのデータであって、送り歯による縫製対象物の移送量と、針棒揺動機構による針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを作成する際のユーザの利便性を向上させたデータ作成装置、ミシン、及びデータ作成プログラムを提供すること。
【解決手段】データ生成装置において、記憶手段に記憶された縫製データに基づき縫製される模様が選択される(S20)。選択された模様の配置が設定される(S30)。選択された模様を縫製するための縫製データが取得される(S120)。取得された縫製データに基づき、選択された複数個の模様を、設定された配置に従って組合せた模様である複合模様を縫製するための縫製データが生成される(S230)。生成された縫製データが、ステップS10で取得可能に記憶手段に記憶される(S240)。
【解決手段】データ生成装置において、記憶手段に記憶された縫製データに基づき縫製される模様が選択される(S20)。選択された模様の配置が設定される(S30)。選択された模様を縫製するための縫製データが取得される(S120)。取得された縫製データに基づき、選択された複数個の模様を、設定された配置に従って組合せた模様である複合模様を縫製するための縫製データが生成される(S230)。生成された縫製データが、ステップS10で取得可能に記憶手段に記憶される(S240)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送り歯による縫製対象物の移送量と、針棒揺動機構による針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを生成するデータ生成装置、ミシン、及びデータ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、模様を縫製するためのデータであって、送り歯による縫製対象物の移送量と、針棒揺動機構による針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを、ユーザの指示に従って生成する模様データ作成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の模様データ作成装置は、送り歯を有する送り機構と、針棒揺動機構とを備えるミシン用の縫製データを生成する。送り歯は、縫製対象物を第1所定方向に移送する。針棒揺動機構は、針棒を第1所定方向と交差する方向である第2所定方向に揺動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−43231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置では、タッチパネルを用いて入力された指示に従って新たな模様を縫製するための縫製データが生成された場合であっても、生成された縫製データをユーザが意図するように利用することができない場合があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、模様を縫製するためのデータであって、送り歯による縫製対象物の移送量と、針棒揺動機構による針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを生成する際のユーザの利便性を向上させたデータ作成装置、ミシン、及びデータ作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1態様のデータ生成装置は、下端に縫針が装着される針棒と、縫製対象物を第1所定方向に移送する送り歯を駆動する送り機構と、前記針棒を前記第1所定方向と交差する方向である第2所定方向に揺動させる針棒揺動機構とを備えるミシンを用いて模様を縫製するためのデータであって、前記送り歯による前記縫製対象物の移送量と、前記針棒揺動機構による前記針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを生成するデータ生成装置であって、記憶手段に記憶された前記縫製データに基づき縫製される模様を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された前記模様を縫製するための前記縫製データを前記記憶手段から取得する取得手段と、前記選択手段によって選択された前記模様の配置を設定する配置設定手段と、前記取得手段によって取得された前記縫製データに基づき、前記選択手段によって選択された複数個の前記模様を、前記配置設定手段によって設定された前記配置に従って組合せた模様である複合模様を縫製するための前記縫製データを生成する第1縫製データ生成手段と、前記第1縫製データ生成手段によって生成された前記縫製データを、前記取得手段が取得可能に前記記憶手段に記憶させる第1記憶制御手段とを備えている。
【0007】
第1態様のデータ作成装置は、記憶手段に記憶されている縫製データを利用して、複合模様を縫製するための縫製データを新たに生成した場合、生成された縫製データを利用して新たな複合模様を作成し、作成された複合模様の縫製データを生成することが可能である。このため、データ作成装置は、新たに複合模様の縫製データを生成する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0008】
第1態様のデータ生成装置は、前記第1縫製データ生成手段は、前記取得手段によって取得された前記縫製データと、前記配置設定手段によって設定された前記配置とに基づき、第1基準点に対する前記複合模様の針落ち点の相対位置によって表されるデータであるベクトルデータを生成するベクトルデータ生成手段と、前記ベクトルデータ生成手段によって生成された前記ベクトルデータを編集して、前記第1基準点に対する前記複合模様の針落ち点の相対位置を変更する編集手段と、前記編集手段によって編集された前記ベクトルデータに基づき、前記第1基準点に対する前記針落ち点の相対位置が変更された前記複合模様の前記縫製データを生成する第2縫製データ生成手段とを備えてもよい。この場合のデータ作成装置は、縫製データを一旦ベクトルデータに変換することによって、複合模様を1つの模様として編集することができる。このため、データ作成装置は、複合模様の縫製データを編集する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0009】
第1態様のデータ生成装置は、第2基準点に対する針落ち点の相対位置を入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された前記針落ち点の前記相対位置に基づき、前記縫製データを生成する第3縫製データ生成手段と、前記第3縫製データ生成手段によって生成された前記縫製データを、前記取得手段が取得可能に前記記憶手段に記憶させる第2記憶制御手段とをさらに備えてもよい。この場合のデータ生成装置は、ユーザが針落ち点の相対位置を指定して生成した模様を縫製するための縫製データを利用して、複合模様を表す縫製データを生成することができる。
【0010】
第1態様のデータ生成装置において、前記第1縫製データ生成手段はさらに、前記複合模様に含まれる前記複数個の模様のうちの、前記配置設定手段によって設定された前記配置によって決定される組合せ順序がN(Nは自然数)番目の前記模様の最後の針落ち点と、前記組合せ順序がN+1番目の前記模様の1番目の針落ち点とを一致させる第1設定手段を備えてもよい。この場合のデータ生成装置は、組合せ順序がN番目の模様の終点と、組合せ順序がN+1番目の模様の始点とを自動的に一致させることができる。
【0011】
第1態様のデータ生成装置において、前記第1縫製データ生成手段はさらに、前記複合模様の1番目の針落ち点の第3基準点に対する前記第2所定方向の相対位置と、前記複合模様の最後の針落ち点の前記第3基準点に対する前記第2所定方向の相対位置とを一致させる第2設定手段を備えてもよい。この場合のデータ生成装置は、複合模様が繰り返し模様である場合の複合模様の始点と、終点との第2所定方向の相対位置を自動的に一致させることができる。繰り返し模様は、同じ模様が連続して繰り返し縫製される模様である。
【0012】
第2態様のミシンは、下端に縫針が装着される針棒と、縫製対象物を第1所定方向に移送する送り歯を駆動する送り機構と、前記針棒を前記第1所定方向と交差する方向である前記第2所定方向に揺動させる針棒揺動機構と、第1態様のデータ生成装置と、前記データ生成装置によって生成された前記縫製データに基づいて、前記送り機構と、前記針棒揺動機構とを制御して、前記縫製対象物に前記複合模様を縫製する縫製手段とを備えている。第2態様のミシンは、第1態様のデータ生成装置と同様の作用効果を奏することができる。
【0013】
第3態様のデータ生成プログラムは、第1態様のデータ生成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させる。第3態様のデータ生成プログラムは、コンピュータに実行させることにより第1態様のデータ生成装置の各種処理手段としての作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ミシン1の斜視図である。
【図2】ミシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】第1縫製データ生成処理のフローチャートである。
【図4】図3の第1縫製データ生成処理で生成された模様100の説明図である。
【図5】模様100を縫製するための縫製データ170の説明図である。
【図6】第2縫製データ生成処理のフローチャートである。
【図7】模様呼出画面200の説明図である。
【図8】模様表示画面201の説明図である。
【図9】模様表示/組合せ画面202の説明図である。
【図10】模様110の説明図である。
【図11】模様110を縫製するための縫製データ171の説明図である。
【図12】模様編集/確定画面203の説明図である。
【図13】模様表示画面204の説明図である。
【図14】模様編集画面205の説明図である。
【図15】図6の第2縫製データ生成処理で実行される変換処理の説明図である。
【図16】複合模様120の説明図である。
【図17】複合模様120を縫製するための縫製データ172及び複合模様120のベクトルデータ173の説明図である。
【図18】複合模様表示画面206の説明図である。
【図19】複合模様130の説明図である。
【図20】複合模様130を縫製するための縫製データ174及び複合模様130のベクトルデータ175の説明図である。
【図21】模様呼出画面207の説明図である。
【図22】縫製処理のフローチャートである。
【図23】変換処理のフローチャートである。
【図24】複合模様140の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、第1及び第2の実施形態のミシン1について、図面を参照して順に説明する。参照する図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明するために用いるものであり、記載している装置の構成、及びフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0016】
図1及び図2を参照して、第1及び第2の実施形態のミシン1に共通する物理的構成について説明する。以下の説明では、図1の左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側をそれぞれ、ミシン1の左側、右側、後方、前方とする。
【0017】
図1に示すように、ミシン1は、ベッド部2と、脚柱部3と、アーム部4とを構成の主体とする。脚柱部3は、ベッド部2の右端部分にベッド部2から垂直方向に立設されている。アーム部4は、脚柱部3の上端部から左方向へベッド部2に対向して延びる。アーム部4の先端部は、頭部49である。
【0018】
ベッド部2には、針板11が設けられている。針板11には、後述の送り歯57(図2参照)が出没可能な角穴34が形成されている。また、針板11の下部のベッド部2内には、釜機構(図示外)が設けられている。釜機構は、下糸用ボビン(図示外)を収容する。また、針板11の下部のベッド部2内には、送り歯57と、送り機構58(図2参照)とが設けられている。送り歯57は、縫製対象物(例えば、加工布)を所定の移送量(送り量)でミシン1の前方及び後方のいずれかに移送する。送り機構58は、送り歯57を駆動する周知の機構である。送り機構58として、例えば、特開2006−346087号公報に記載の機構を採用することができる。送り量調整用モータ77(図2参照)は、送り歯57の移動量、すなわち縫製対象物の移送量を所定の値に調整するためのモータである。
【0019】
脚柱部3の下方には、ミシンモータ79(図2参照)が設けられている。ミシンモータ79の駆動力は、駆動ベルト(図示外)を介して主軸(図示外)に伝達される。主軸は、アーム部4内を左右方向へ伸びる。ミシンモータ79の駆動力は、主軸の途中部に設けられた伝達機構(図示外)によって、下軸(図示外)にも伝達される。下軸は、ベッド部2内を左右方向に伸びる。このような構成により、後述の針棒8と、天秤機構(図示外)と、釜機構(図示外)と、送り機構58とを含む要素が同期駆動される。
【0020】
図1に示すように、脚柱部3には、縦長の液晶ディスプレイ(以下、単に「LCD」という)10が設けられている。LCD10には、縫製模様の選択及び編集といった、縫製作業に必要な各種の機能を実行させる機能名及び各種のメッセージ等が表示される。LCD10の前面にはタッチパネル26が備えられている。ユーザがLCD10に表示された項目を指又はタッチペンで選択すると、タッチパネル26によってどの項目が選択されたかが感知される。このようにして、ユーザは、LCD10及びタッチパネル26を介して種々の指示を入力することができる。
【0021】
アーム部4の上部には、収容部15が設けられている。収容部15は、上糸が巻回された糸駒21を収容する凹部である。頭部49の下部には、針棒8が配設されている。針棒8の下端には、縫針16が装着可能である。針棒8の後方には押え棒38が設けられている。押え棒38の下端部には、押えホルダ29が取り付けられる。押えホルダ29には、押え足30が着脱可能である。頭部49内には、針棒上下動機構(図示外)と、針棒揺動機構59(図2参照)と、天秤機構(図示外)とが設けられている。針棒上下動機構は、縫針16が装着された針棒8を上下方向に駆動させる。針棒揺動機構59は、針棒8を左方及び右方のいずれかに移動させるための周知の機構である。詳しくは図示しないが、針棒揺動機構59は、針振り用モータ78(図2参照)を動力源として回動する偏心状の揺動カム(図示外)を駆動させることで、針棒台(図示外)を左右方向に揺動させる。針棒台(図示外)の左右方向の揺動によって、針棒8が左右方向に揺動する。
【0022】
アーム部4には、糸駒21から引き出される上糸を、糸調子機構と、糸取りバネと、天秤(いずれも図示外)とを経由して、最終的に縫針16まで案内する糸案内溝7が設けられている。さらに、アーム部4の前面には、各種の縫製動作を指示するための複数の操作キー9が設けられている。操作キー9には、例えば、縫製開始・停止スイッチ91と、速度調整摘み94とが含まれる。縫製開始・停止スイッチ91は、縫製動作の開始及び停止を指示するためのスイッチである。縫製停止中に縫製開始・停止スイッチ91が押下されると、ミシン1は縫製動作を開始する。縫製中に、縫製開始・停止スイッチ91が押下されると、ミシン1は縫製動作を停止する。速度調整摘み94は、縫製速度(ミシンモータ79の回転速度)を指示するための操作部材である。
【0023】
次に、図2を参照して、第1及び第2の実施形態のミシン1に共通する、ミシン1の電気的構成について説明する。図2に示すように、ミシン1は、制御部60を備える。制御部60は、CPU61と、ROM62と、RAM63と、EEPROM64と、外部アクセスRAM68と、入出力インターフェイス(I/O)66とを備え、これらはバス67により相互に接続されている。入出力インターフェイス66には、縫製開始・停止スイッチ91と、速度調整摘み94と、タッチパネル26と、駆動回路71から74とが電気的に接続されている。駆動回路71は、LCD10を駆動させる。駆動回路72は、ミシンモータ79を駆動させる。駆動回路73は、送り量調整用モータ77を駆動させる。駆動回路74は、針振り用モータ78を駆動させる。
【0024】
CPU61は、ミシン1の主制御を司り、ROM62に記憶されたプログラムに従って、各種演算及び処理を実行する。ROM62は、少なくとも、各種プログラム及び縫製データを記憶する。RAM63は、任意に読み書き可能な記憶素子であり、CPU61が演算処理した演算結果を収容する各種記憶領域が必要に応じて設けられる。EEPROM64は、少なくとも、各種設定と、既成の縫製データと、ユーザの指示に従って生成された縫製データとを記憶する。
【0025】
次に、第1の実施形態のミシン1において実行される、第1縫製データ生成処理と、第2縫製データ生成処理と、縫製処理とについて順に説明する。第1縫製データ生成処理は、ユーザが指定する相対位置に針落ち点を有する模様を縫製するための縫製データを生成する処理である。ユーザは、タッチパネル26を操作して、LCD10に表示されたキャンパス上に針落ち点の位置を指定する。
【0026】
第2縫製データ生成処理は、ROM62又はEEPROM64に記憶されている縫製データを利用して、複合模様を縫製するための縫製データを生成する処理である。複合模様は、ユーザによって選択された複数個の模様を、設定された配置に従って組合せた模様である。本実施形態では、模様の配置は模様の選択順に応じて自動的に決定される。本実施形態の第2縫製データ生成処理で作成される複合模様は、繰り返し模様であるものとする。繰り返し模様は、同じ模様が連続して繰り返し縫製される模様であり、針棒8の揺動位置が始点と、終点とで同じ模様である。
【0027】
縫製処理は、ROM62又はEEPROM64に記憶されている縫製データに従って、模様を縫製する処理である。第1縫製データ生成処理と、第2縫製データ生成処理と、縫製処理とにおける縫製データは、それぞれ、送り歯57(図2参照)による縫製対象物の移送量と、針棒揺動機構59(図2参照)による針棒8の揺動位置とを指示するデータである。以下の説明では、送り歯57による縫製対象物の移送量を、送り量(F)と言う。縫製データに含まれる送り量がプラスの値の場合の縫製対象物の移送方向は、ミシン1の前方から後方に向かう方向である。送り量がマイナスの値の場合の縫製対象物の移送方向は、ミシン1の後方から前方に向かう方向である。針棒揺動機構59(図2参照)による針棒8の揺動位置を、針振り量(Z)と言う。
【0028】
まず、図3から図5を参照して、第1縫製データ生成処理について説明する。第1縫製データ生成処理は、特開2006−43231号公報に記載された公知の模様データ作成制御と基本的に同様であるので、簡単に説明する。図3のフローチャートに示す各処理を実行させるプログラムは、図2のROM62に記憶されており、CPU61が実行する。図3の第1縫製データ生成処理は、ユーザがタッチパネル26を操作してマイイラスト作成モードを設定し、LCD10に表示されたキャンパスにおいて針落ち点の位置を指定した場合に実行される。
【0029】
図3に示すように、第1縫製データ生成処理ではまず、ユーザがタッチパネル26を操作して入力した点が、針落ち点として検出され、基準点に対する針落ち点の相対座標がRAM63に記憶される(S4)。ユーザがタッチパネル26を操作して、図4の点P1からP5を入力した具体例を想定する。図4では、LCD10に表示されるキャンパス150を点線で示している。キャンパス150は、基準点に対する針落ち点の相対位置を表す。図4の紙面上下方向に伸びる軸であるY軸は、送り方向(ミシン1の前後方向)に対応している。Y軸の1マスは、例えば、1mmに相当する。図4の紙面左右方向に伸びる軸であるX軸は、ミシン1の左右方向に対応している。X軸の1マスは、例えば、1mmに相当する。基準点は、針落ち点の相対位置を示す基準となる点であればよく、例えば、キャンパス150の(X,Y)=(1,0)の点151である。具体例では、ステップS4において、点P1からP5の相対座標が検出される。点P1の相対座標は(X,Y)=(4,0)である。点P2,P5の相対座標は(X,Y)=(4,5)である。点P3の相対座標は(X,Y)=(2,3)である。点P4の相対座標は(X,Y)=(6,3)である。
【0030】
次に、ステップS4で検出された針落ち点P1からP5の点151に対する相対座標に基づき、点P1からP5を順に結んだ模様100を縫製するための縫製データが生成される(S6)。具体例では、図4の点P1からP5を順に結んだ模様100を縫製するための縫製データ170が図5のように生成される。図5の縫製データ170は、データ番号と、送り量(Fn)と、針振り量(Zn)とを含む。nは自然数であり、針落ち点の縫製順序を示す。データ番号1から5は、それぞれ点P1からP5に対応する。n=1の場合は、送り量(Fn)に、点P1のY座標が設定される。n>1の場合は、送り量(Fn)に、(点PnのY座標)−(点P(n−1)のY座標)が設定される。針振り量(Zn)には、nの値によらず、PnのX座標が設定される。次に、ステップS6で生成された縫製データ170が、後述する第2縫製データ生成処理において取得可能にEEPROM64に記憶される(S8)。ステップS8では、公知の方法によって、模様100を表すサムネイル画像101(図7参照)をLCD10に表示するための画像データが生成される。生成された画像データは縫製データ170と対応付けられてRAM63に記憶される。第1縫製データ生成処理は以上で終了する。
【0031】
図6から図21を参照して、第2縫製データ生成処理について説明する。図6のフローチャートに示す各処理を実行させるプログラムは、図6のROM62に記憶されており、CPU61が実行する。図6の第2縫製データ生成処理は、ユーザがタッチパネル26を操作して複合模様作成モードを設定した場合に実行される。以下の説明では、各種画像は、駆動回路71に出力された制御信号に基づき、LCD10に表示されるものとする。また、各種画像に含まれる各種キーは、ユーザがタッチパネル26を操作することによって選択されるものとする。
【0032】
図6に示すように、第2縫製データ生成処理では、まず、ROM62又はEEPROM64に記憶されている縫製データに対応付けられた画像データが呼び出される(S10)。ROM62に記憶されている縫製データは、ミシン1の出荷時に記憶された既成の縫製データである。EEPROM64に記憶されている縫製データは、既成の縫製データに加え、第1縫製データ生成処理においてユーザの指示に従って生成された縫製データが含まれる。具体例において、ステップS10では、呼び出された画像データに基づき、図7に例示する模様呼出画面200(以下、「画面200」と言う。)が表示される。図7のように、画面200には、模様表示欄210が含まれる。模様表示欄210には、サムネイル画像101と、サムネイル画像111と、サムネイル画像131とを含む複数のサムネイル画像が表示されている。サムネイル画像101は、図4の模様100の形状を表す画像である。サムネイル画像111は、図10を参照して後述する模様110の形状を表す画像である。サムネイル画像131は、第1縫製データ生成処理によって生成された縫製データを記憶可能な空き領域を示す画像である。図7の具体例では、あと4つの模様のそれぞれに対応する縫製データを記憶可能である。
【0033】
次に、CPU61は、ステップS10で表示されたサムネイル画像のいずれかを選択するまで待機する(S20:NO)。具体例において、組合せ順序が1番目の模様として、模様100の形状を表すサムネイル画像101が選択された場合を想定する(S20:YES)。組合せ順序は、複数の模様間の配置に基づき決定される、模様の縫製順序を表す。本実施形態のミシン1は、模様の選択順序に従って、選択された模様が、ミシン1の後方から前方(図8では、矢印180で示す方向)に向かって順に配置されて縫製されるように、組合せ順序を自動的に設定する。このため、本実施形態では、組合せ順序は、模様が選択された順序と等しい。サムネイル画像101が選択されると(S20:YES)、選択された模様の配置が自動的に設定され、図8の模様表示画面201(以下、「画面201」と言う。)が表示される(S30)。画面201には、ステップS20で選択されたサムネイル画像101と、組合せキー221とが表示される。組合せキー221は、さらに模様を選択することを指示するためのキーである。
【0034】
組合せ順序が1番目の模様が選択された場合に表示される画面201には、後述する確定キーが表示されないので、CPU61は、組合せキー221が選択されるまで待機する(S40:NO,S50:NO)。組合せキー221が選択された場合(S40:YES)、処理はステップS10に戻り、模様を選択する処理を繰り返す。2巡目以降に実行されるステップS20では、選択済みの模様と同じ模様が選択されてもよいし、選択済みの模様と異なる模様が選択されてもよい。具体例において、2巡目のステップS20で、サムネイル画像111が選択された場合を想定する(S20:YES)。サムネイル画像111は、模様110(図10参照)に対応する画像である。模様110は、図4のキャンパス150と同様のキャンパス154上に配置された9つの針落ち点Q1からQ9を備える模様である。基準点155に対する点Q1からQ9の相対座標はそれぞれ、(X,Y)=(2,0)、(6,0)、(6,4)、(2,4)、(2,2)、(4,2)、(4,6)、(2,6)、(2,8)である。
【0035】
サムネイル画像111を表す画像データは、図11に示す、模様110を縫製するための縫製データ171と対応付けられて、ROM62又はEEPROM64に記憶されている。この場合、ステップS30では、図9に例示する模様表示/組合せ画面202(以下、「画面202」と言う。)が表示される。画面202では、1巡目の処理で選択された模様100のサムネイル画像101と、2巡目の処理で選択された模様110のサムネイル画像111とが、それぞれ図9の紙面上から下に順に配置されている。矢印180で示す図9の紙面上から下に向かう方向は、ミシン1の後方から前方に向かう方向(プラスの移送方向)に対応し、紙面上側に配置されている模様ほど、紙面下側に配置されている模様に比べ、縫製順序が早いことを示す。画面202には、図8の画面201と同様の組合せキー221に加え、確定キー222が表示されている。確定キー222は、複合模様の作成に用いる模様の選択を終了することを指示するためのキーである。
【0036】
組合せキー221が選択された場合には(S40:YES)、処理はステップS10に戻り、模様を選択する処理を繰り返す。確定キー222が選択された場合(S50:YES)、図12に例示する模様編集/確定画面203(以下、「画面203」と言う。)が表示される(S60)。画面203には、画面202と同様のサムネイル画像101と、サムネイル画像111とに加え、編集キー223と、確定キー224とが表示されている。編集キー223は、選択中の模様のうちのいずれかを編集するモードに切り換えることを指示するためのキーである。確定キー224は、複合模様を縫製するための縫製データを生成することを指示するためのキーである。CPU61は、編集キー223及び確定キー224のいずれかが選択されるまで待機する(S70:NO,S80:NO)。編集キー223が選択された場合(S70:NO、S80:YES)、図13の模様表示画面204(以下、「画面204」と言う。)が表示される(S90)。画面204は、選択中の複数の模様の中から、編集の対象となる模様を選択するための画面である。
【0037】
次に、CPU61は、模様編集処理を実行する(S100)。模様編集処理では、編集の対象となる模様の針落ち点の基準点に対する相対位置を変更する各種処理が実行される。例えば、次のように模様編集処理が実行される。模様編集処理ではまず、画面204の個別模様選択キー225及び226によって、編集対象となる模様を表すサムネイル画像が選択される。具体例において、模様100に対応するサムネイル画像101が選択された場合を想定する。次に、編集キー228が選択されると、選択中の模様100を編集するための、図14に例示する模様編集画面205(以下、「画面205」と言う。)が表示される。画面205には、図4と同様のキャンパス150上に模様100の針落ち点P1からP5が表される。画面205には、拡大キー229と、反転キー230と、縮小キー231と、変形キー232と、移動キー233と、確定キー234とがそれぞれ表示されている。模様100は、選択されたキーに応じて、拡大と、反転と、縮小と、変形と、移動とのいずれかの編集処理が実行される。上記のような編集処理は公知であるので、詳しい説明を省略する。具体例では、編集処理が実行されなかったものとする。確定キー234が選択された場合には、編集処理が終了され、図13に例示する画面204が表示される。図13の戻るキー227が選択された場合には、模様編集処理は終了し、処理はステップS70に戻る。
【0038】
確定キー224が選択された場合(S70:YES)、変換処理が実行される(S120)。変換処理は、選択中の複数個の模様のそれぞれに対応する縫製データに基づき、複合模様を表すベクトルデータを生成する処理である。ベクトルデータは、基準点に対する複合模様の針落ち点の相対位置によって表されるデータである。本実施形態では、ベクトルデータを、図4のキャンパス150に例示したXY座標系の数値で表す。縫製順序がJ番目の針落ち点から、(J+1)番目の針落ち点に向かうベクトルは、縫目が形成される方向を表す。基準点は、複合模様の針落ち点の相対位置を表す基準となる点であればよい。本実施形態では、例えば、図16に例示するキャンパス152の紙面左上の点(X,Y)=(1,0)を基準点153とする。
【0039】
図15から図17を参照して、変換処理の詳細を説明する。図15のように、変換処理ではまず、選択中の模様数Mとして2が取得され、取得された模様数MはRAM63に記憶される(S122)。次に、変数mに1が、Y0に0がそれぞれ設定され、設定された変数m及びY0はRAM63に記憶される(S124)。変数mは、選択中の模様を組合せ順序に従って読み出すための変数である。Y0は、縫製開始時のY座標の値であり、本実施形態ではY0は0とする。次に、図5の縫製データ170に基づき、1番目(m=1)の模様の針数Nとして5が取得され、針数NはRAM63に記憶される(S126)。次に、EEPROM64が参照され、1番目(m=1)の模様100の縫製データ170が取得され、取得された縫製データ170はRAM63に記憶される(S128)。次に、nに0が、Lに0がそれぞれ設定され、設定されたn及びLはRAM63に記憶される(S130)。nは、m番目の模様を縫製するための縫製データに含まれるデータ行を順に呼び出すための変数である。Lは、複合模様を表す縫製データのデータ番号(縫製順序)を表す変数である。
【0040】
次に、n及びLはそれぞれインクリメントされ、RAM63に記憶される(S132)。次に、ステップS128又は後述のステップS150で取得され、RAM63に記憶されているm番目の縫製データの、データ番号nのデータ行が取得され、取得されたデータ行はRAM63に記憶される(S134)。具体例において、m=1、n=1の場合、図5の縫製データ170の内、データ番号1に対応するデータ行が取得される。この場合、nはNよりも小さいので(S136:NO)、XLにZnが設定され、YLに(YL−1+Fn)が設定され、設定されたXL及びYLはRAM63に記憶される(S138)。YLは、複合模様のL番目の針落ち位置のY座標を表す。YL−1は、複合模様の(L−1)番目の針落ち位置のY座標を表す。XLは、複合模様のL番目の針落ち位置のX座標を表す。具体例では、図17のベクトルデータ173に示すように、m=1、n=1の場合、(X1,Y1)=(Z1,Y0+F1)=(4,0)である。次に、処理はステップS132に戻る。
【0041】
具体例において、m=1の条件下でステップS132が繰り返し実行され、nが5になった場合(S136:YES)、YLに(YL−1+Fn)が設定され、設定されたYLはRAM63に記憶される(S140)。この場合、mがMより小さいので(S142:NO)、mがインクリメントされ、RAM63に記憶される(S146)。次に、ステップS126及びステップS128と同様の処理によって、2番目の模様110(図10参照)の針数Nとして9が取得され(S148)、模様110を縫製するための縫製データ171(図11参照)が取得される(S150)。次に、nに1が設定され、設定されたnはRAM63に記憶される(S152)。
【0042】
次に、ステップS134と同様の処理によって、縫製データ171のうち、データ番号1のデータ行が取得される(S154)。次に、XLにZnが設定され、設定されたXLはRAM63に記憶される(S156)。ステップS140及びステップS156の処理によって、図16に示すように、複合模様120において、点P5′と、点Q1とが一致する。すなわち、ステップS156によって、組合せ順序が1番目(J番目)の模様100の縫製順序が最後の針落ち点P5が点P5′に変更される。これによって、変更後の点P5′と、組合せ順序が2番目(J+1番目)の模様110の縫製順序が1番目(データ番号1)の針落ち点Q1とは一致する。次に、処理はステップS132に戻る。
【0043】
繰り返し実行されるステップS142において、mが2である場合には(S142:YES)、m番目の模様が、組合せ順序が最後の模様である。この場合、XLにX1が設定され、設定されたXLはRAM63に記憶される(S160)。ステップS160の処理は、複合模様120の1番目の針落ち点P1の基準点153に対する左右方向の相対位置と、複合模様120の最後の針落ち点Q1の基準点153に対する左右方向の相対位置とを一致させる処理である。ステップS160の処理は、複合模様が繰り返し模様である場合に実行される。次に、(X1,Y1)から(XL,YL)がベクトルデータとしてEEPROM64に記憶される(S170)。具体例では、変換処理によって、図17に示すベクトルデータ173が生成され、EEPROM64に記憶される。変換処理は以上で終了し、処理は図6の第2縫製データ生成処理に戻る。
【0044】
ステップS120の次に、ステップS120で生成されたベクトルデータに基づき、複合模様120を表すサムネイル画像121(図18参照)の画像データが生成され、生成された画像データに基づき複合模様表示画面206(以下、「画面206」と言う。)が表示される(S180)。図18の画面206には、サムネイル画像121と、編集キー235と、確定キー236とが表示されている。編集キー235は、サムネイル画像121によって表される複合模様120の、針落ち点の相対位置を変更することを指示するためのキーである。確定キー236は、サムネイル画像121によって表される複合模様120の縫製データ172を生成することを指示するためのキーである。ユーザは、画面206のサムネイル画像121によって、複合模様120の形状を確認する。
【0045】
CPU61は、編集キー235及び確定キー236のいずれかのキーが選択されるまで待機する(S190:NO,S200:NO)。編集キー235が選択された場合(S200:YES)、模様編集処理が実行される(S210)。ステップS210では、模様編集処理として、基準点153に対する複合模様120の針落ち点の相対位置を変更する処理が実行される。模様編集処理では、例えば、図14の画面205と同様の画面が表示され、選択された選択キーに応じて模様が編集される。次に、編集後の複合模様を表すベクトルデータに基づき、画面206が更新される(S220)。次に、処理はステップS190に戻る。具体例においてステップS210の模様編集処理によって、複合模様120が図19の模様130のように変更された場合を想定する。この場合、複合模様120のベクトルデータ173(図17参照)は、模様編集処理によって、図20のベクトルデータ175のようにデータが変更、追加(削除)される。
【0046】
確定キー236が選択された場合(S190:YES)、複合模様を縫製するための縫製データが生成され、生成された縫製データはRAM63に記憶される(S230)。ステップS210で模様編集処理が実行された場合には、ステップS210で編集されたベクトルデータに基づき縫製データが生成される。ベクトルデータを縫製データに変換する処理は、図3のステップS6と同様である。具体例では図20のデータのうちの、ベクトルデータ175(Xn,Yn)に基づき、データ番号と、送り量(Fn)と、針振り量(Zn)とを含む縫製データ174が生成される。ステップS210で模様編集処理が実行されていない場合には、ステップS120で生成されたベクトルデータに基づき縫製データが生成される。具体例で模様編集処理が実行されていない場合、図17のデータのうちの、ベクトルデータ173(Xn,Yn)に基づき、データ番号と、送り量(Fn)と、針振り量(Zn)とを含む縫製データ172が生成される。
【0047】
次に、ステップS230で生成された縫製データと、縫製データに対応する画像データとは、それぞれステップS10で呼び出し可能なデータとしてEEPROM64に記憶される(S240)。第2縫製データ生成処理は以上で終了する。次回以降に実行される第2縫製データ生成処理では、ステップS10において、図7の模様呼出画面200に代えて、例えば、図21の模様呼出画面207(以下、「画面207」と言う。)が表示される。画面207には、前述のステップS240で記憶された画像データに基づき、複合模様120の形状を表すサムネイル画像121が表示される。したがって、次回以降に実行される第2縫製データ生成処理では、ユーザは、複合模様120を、他の模様と組み合わせた複合模様を作成することができる。
【0048】
次に、図22を参照して縫製処理を説明する。図22のフローチャートに示す各処理を実行させるプログラムは、図6のROM62に記憶されており、CPU61が実行する。図22の縫製処理は、ユーザがタッチパネル26を操作して縫製モードを設定した場合に実行される。
【0049】
図22のように、縫製処理では、CPU61は、縫製対象となる模様が選択されるまで待機する(S300:NO)。縫製対象となる模様は、ROM62及びEEPROM64に記憶されている縫製データに基づき縫製される模様の中から選択される。選択可能な模様には、少なくとも、第1縫製データで生成された縫製データに基づき縫製される模様と、第2縫製データで生成された縫製データに基づき縫製される複合模様とが含まれる。複合模様120が選択された場合(S300:YES)、選択された複合模様120を縫製するための縫製データ172が取得され、取得された縫製データ172はRAM63に記憶される(S310)。次に、CPU61は、縫製開始・停止スイッチ91が押下されるまで待機する(S320:NO)。
【0050】
縫製開始・停止スイッチ91が押下された場合(S320:YES)、ステップS310で取得された縫製データに従って、駆動回路72から74に制御信号が出力され、縫製が開始/継続される(S330)。ステップS330は、縫製開始後、縫製開始・停止スイッチ91が押下されていない期間(S340:NO)、実行される。具体例では、図17の縫製データに従って複合模様120が縫製される場合、1巡目の処理では、データ番号1から13のデータ行が順に呼び出され、縫製が実行される。2巡目以降の処理では、データ番号1のデータ行は省略され、データ番号2から13のデータ行が順に呼び出され、縫製が実行される。縫製開始後、縫製開始・停止スイッチ91が押下された場合(S340:YES)、縫製処理は終了する。
【0051】
ミシン1の前後方向は、本発明の「第1所定方向」に相当する。ミシン1の左右方向は、本発明の「第2所定方向」に相当する。EEPROM64は、本発明の「記憶手段」に相当する。タッチパネル26は、本発明の「選択手段」及び「入力手段」に相当する。点153は、本発明の「第1基準点」及び「第3基準点」に相当する。点151は、本発明の「第2基準点」に相当する。図6のステップS30を実行するCPU61は、本発明の「配置設定手段」として機能する。図15のステップS128及びステップS150を実行するCPU61は、本発明の「取得手段」として機能する。ステップS138と、ステップS140と、ステップS156と、ステップS160とのそれぞれを実行するCPU61は、「ベクトルデータ生成手段」として機能する。ステップS210を実行するCPU61は、本発明の「編集手段」として機能する。ステップS210が実行された後に、ステップS230を行うCPU61は、本発明の「第2縫製データ生成手段」として機能する。
【0052】
ステップS120からステップS230を実行するCPU61は、本発明の「第1縫製データ生成手段」として機能する。ステップS240を実行するCPU61は、本発明の「第1記憶制御手段」として機能する。図3のステップS4及びステップS6を実行するCPU61は、本発明の「第3縫製データ生成手段」として機能する。ステップS8を実行するCPU61は、本発明の「第2記憶制御手段」に相当する。図15のステップS140及びステップS156を実行するCPU61は、本発明の「第1設定手段」として機能する。ステップS160を実行するCPU61は、本発明の「第2設定手段」として機能する。図22の縫製処理を実行するCPU61は、本発明の「縫製手段」として機能する。
【0053】
ミシン1によれば、EEPROM64に記憶されている縫製データを利用して、複合模様を縫製するための縫製データを新たに生成した場合、その縫製データを利用して新たな複合模様を生成することが可能である。このため、ミシン1は、新たに複合模様の縫製データを作成する際のユーザの利便性を向上させることができる。ミシン1は、縫製データを一旦ベクトルデータに変換することによって、複合模様を1つの模様として編集することができる。このため、ミシン1は、複合模様の縫製データを編集する際のユーザの利便性を向上させることができる。ミシン1は、図3の第1縫製データ生成処理によって、ユーザが基準点に対する針落ち点の相対位置を指定して生成した模様を縫製するための縫製データを利用して、複合模様を表す縫製データを生成することができる。ミシン1は、組合せ順序がJ番目の模様の終点と、組合せ順序が(J+1)番目の模様の始点とを自動的に一致させることができる。ミシン1は、複合模様が繰り返し模様である場合の複合模様の始点と、終点とのミシン1の左右方向(針棒揺動機構59による針棒8の揺動方向)の相対位置を自動的に一致させることができる。
【0054】
次に、図19と、図20と、図23とを参照して、第2の実施形態のミシン1で実行される、第2縫製データ生成処理について説明する。第2の実施形態のミシン1では、第1の実施形態と同様の、第1縫製データ生成処理及び縫製処理が実行される。第1の実施形態の第2縫製データ生成処理と、第2の実施形態の第2縫製データ生成処理とは、図6のステップS120で実行される変換処理のみにおいて異なり、他の処理は同じである。したがって、以下に、第2の実施形態の変換処理について説明する。第2の実施形態の変換処理は、第1の実施形態と同様の具体例において、変換処理が実行される場合に、変換処理によって、図5の縫製データ170と、図11の縫製データ171とに基づき、図19の模様130の形状を表すベクトルデータ175が生成される。
【0055】
図23において、図15の第1の実施形態の第2縫製データ生成処理と同様の処理を行う処理には、同じステップ番号を付与している。図15及び図23のように、第2の実施形態の変換処理では、ステップS144が実行され、ステップS154及びステップS156が実行されない点と、及びステップS160の処理に代えて、ステップS162からステップS166が実行される点とにおいて、第1の実施形態の変換処理と異なる。第2の実施形態の変換処理と同様な処理を行う処理については説明を省略し、以下、ステップS144と、ステップS162からステップS166とについて説明をする。
【0056】
図23のステップS144では、ステップS138と同様に、XLにZnが設定され、YLに(YL−1+Fn)が設定され、設定されたXL及びYLはRAM63に記憶される(S144)。ステップS144が実行され、ステップS154及びステップS156が省略されることによって、ミシン1は、図20に示すように、針落ち点Q1を点Q1′に変更し、変更後の点Q1′と針落ち点P5とを一致させる。
【0057】
ステップS162では、ステップS138と同様に、XLにZnが設定され、YLに(YL−1+Fn)が設定され、設定されたXL及びYLはRAM63に記憶される。次に、ステップS162で設定したXLがX1と等しいか否かが判断される(S164)。XLがX1と等しい場合(S164:YES)、ベクトルデータ(X1,Y1)から(XL,YL)がEEPROM64に記憶される(S170)。XLがX1と等しくはない場合(S164:NO)、XL+1にX1が設定され、YL+1に0が設定され、設定されたXL+1及びYL+1はRAM63に記憶される(S166)。ステップS166の処理は、複合模様に針落ち点Q10を追加する処理である。ステップS166の処理によって、複合模様120の縫製順序が1番目の針落ち点P1の基準点153に対する左右方向の相対位置と、複合模様120の縫製順序が最後の針落ち点Q10の基準点153に対する左右方向の相対位置とを一致させる処理である。次に、ベクトルデータ(X1,Y1)から(XL+1,YL+1)がEEPROM64に記憶される(S170)。
【0058】
第2の実施形態のミシン1において、図21のステップS144を実行するCPU61は、本発明の「第1設定手段」として機能する。ステップS162及びステップS166を実行するCPU61は、本発明の「第2設定手段」として機能する。第2の実施形態のミシン1は、組合せ順序がJ番目の最後の針落ち点と、(J+1)番目の最初の針落ち点を一致させることによって、J番目の模様の形状が変更されることを回避することができる。ミシン1は、複合模様が繰り返し模様である場合の複合模様の始点と、終点とのシン1の左右方向(針棒揺動機構59による針棒8の方向)の相対位置を、繰り返し順序が最後の模様の形状を変更することなく、自動的に一致させることができる。
【0059】
本発明のミシンは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の(A)から(C)までの変形が適宜加えられてもよい。
【0060】
(A)第1縫製データ生成処理と、第2縫製データ生成処理とは、それぞれミシン1で実行されたが、汎用のPC及び専用機を含むデータ生成装置において実行されてもよい。ミシン1の構成は適宜変更されてもよい。例えば、送り歯57による縫製対象物の送り方向と、針棒揺動機構59による針棒8の揺動方向とのそれぞれは、適宜変更されてよい。他の例では、ミシン1は、模様の選択及び針落ち点の入力を指示するための操作部材として、タッチパネル26以外の操作部材(例えば、ポインティングデバイス)を備えてもよい。
【0061】
(B)図3の第1縫製データ生成処理は、適宜変更されてもよいし、省略されてもよい。例えば、第1縫製データ生成処理において、図6の第2縫製データ生成処理と同様の模様編集処理が実行されてもよい。第1縫製データ生成処理が省略された場合、第2縫製データ生成処理は、ROM62又はEEPROM64に記憶されている既成の縫製データによって表される模様を組み合わせる処理として実行されればよい。
【0062】
(C)図6の第2縫製データ生成処理は、適宜変更されてもよい。例えば、本発明の特徴部分が適宜組み合わされた処理が実行されてもよい。より具体的には、以下の(C−1)から(C−4)のいずれかの変形が加えられてもよい。
【0063】
(C−1)ステップS30での模様の配置の設定方法は適宜変更されてよい。例えば、模様の配置は、ユーザの指示に従って設定されてもよい。また、予め定められたルールに従って自動的に設定された模様の配置を、ユーザが変更可能としてもよい。
【0064】
(C−2)選択中の複数個の模様に含まれる針落ち点の相対位置を、個々に編集する必要がない場合には、ステップS80からステップS100は省略されてもよい。同様に、複合模様に含まれる針落ち点の位置を変更する必要がない場合には、ステップS200からステップS220が省略されてもよい。ステップS100及びステップS210で実行可能な編集処理は公知の方法を用いて適宜実行されればよく、編集処理の内容は適宜変更されてもよい。
【0065】
(C−3)図15の変換処理において、組合せ順序がN番目の模様の終点と、組合せ順序が(N+1)番目の模様の始点とを一致させていたがこれに限定されない。組合せ順序がN番目の模様の終点と、組合せ順序が(N+1)番目の模様の始点とが所定の送り量の縫目でつなげられて縫製されるように、複合模様の針落ち点が設定されてもよい。例えば、図24に例示する、模様100が複数個重ね合わされた複合模様140の縫製データとして、組合せ順序がN番目の模様の終点と、組合せ順序が(N+1)番目の模様との間に数針分の後退運針を数針分含む縫製データが生成されてもよい。
【0066】
(C−4)複合模様が繰り返し模様ではない場合等には、複合模様の縫製順序が1番目の針落ち点の基準点に対する左右方向の相対位置と、複合模様の縫製順序が最後の針落ち点の基準点に対する左右方向の相対位置とを一致させる処理(一致処理)を省略してよい。ミシン1は、ユーザが複合模様を繰り返し模様とする指示を入力した場合に、上記一致処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 ミシン
8 針棒
57 送り歯
58 送り機構
59 針棒揺動機構
61 CPU
62 ROM
63 RAM
64 EEPROM
77 送り量調整用モータ
78 針振り用モータ
79 ミシンモータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、送り歯による縫製対象物の移送量と、針棒揺動機構による針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを生成するデータ生成装置、ミシン、及びデータ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、模様を縫製するためのデータであって、送り歯による縫製対象物の移送量と、針棒揺動機構による針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを、ユーザの指示に従って生成する模様データ作成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の模様データ作成装置は、送り歯を有する送り機構と、針棒揺動機構とを備えるミシン用の縫製データを生成する。送り歯は、縫製対象物を第1所定方向に移送する。針棒揺動機構は、針棒を第1所定方向と交差する方向である第2所定方向に揺動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−43231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置では、タッチパネルを用いて入力された指示に従って新たな模様を縫製するための縫製データが生成された場合であっても、生成された縫製データをユーザが意図するように利用することができない場合があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、模様を縫製するためのデータであって、送り歯による縫製対象物の移送量と、針棒揺動機構による針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを生成する際のユーザの利便性を向上させたデータ作成装置、ミシン、及びデータ作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1態様のデータ生成装置は、下端に縫針が装着される針棒と、縫製対象物を第1所定方向に移送する送り歯を駆動する送り機構と、前記針棒を前記第1所定方向と交差する方向である第2所定方向に揺動させる針棒揺動機構とを備えるミシンを用いて模様を縫製するためのデータであって、前記送り歯による前記縫製対象物の移送量と、前記針棒揺動機構による前記針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを生成するデータ生成装置であって、記憶手段に記憶された前記縫製データに基づき縫製される模様を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された前記模様を縫製するための前記縫製データを前記記憶手段から取得する取得手段と、前記選択手段によって選択された前記模様の配置を設定する配置設定手段と、前記取得手段によって取得された前記縫製データに基づき、前記選択手段によって選択された複数個の前記模様を、前記配置設定手段によって設定された前記配置に従って組合せた模様である複合模様を縫製するための前記縫製データを生成する第1縫製データ生成手段と、前記第1縫製データ生成手段によって生成された前記縫製データを、前記取得手段が取得可能に前記記憶手段に記憶させる第1記憶制御手段とを備えている。
【0007】
第1態様のデータ作成装置は、記憶手段に記憶されている縫製データを利用して、複合模様を縫製するための縫製データを新たに生成した場合、生成された縫製データを利用して新たな複合模様を作成し、作成された複合模様の縫製データを生成することが可能である。このため、データ作成装置は、新たに複合模様の縫製データを生成する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0008】
第1態様のデータ生成装置は、前記第1縫製データ生成手段は、前記取得手段によって取得された前記縫製データと、前記配置設定手段によって設定された前記配置とに基づき、第1基準点に対する前記複合模様の針落ち点の相対位置によって表されるデータであるベクトルデータを生成するベクトルデータ生成手段と、前記ベクトルデータ生成手段によって生成された前記ベクトルデータを編集して、前記第1基準点に対する前記複合模様の針落ち点の相対位置を変更する編集手段と、前記編集手段によって編集された前記ベクトルデータに基づき、前記第1基準点に対する前記針落ち点の相対位置が変更された前記複合模様の前記縫製データを生成する第2縫製データ生成手段とを備えてもよい。この場合のデータ作成装置は、縫製データを一旦ベクトルデータに変換することによって、複合模様を1つの模様として編集することができる。このため、データ作成装置は、複合模様の縫製データを編集する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0009】
第1態様のデータ生成装置は、第2基準点に対する針落ち点の相対位置を入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された前記針落ち点の前記相対位置に基づき、前記縫製データを生成する第3縫製データ生成手段と、前記第3縫製データ生成手段によって生成された前記縫製データを、前記取得手段が取得可能に前記記憶手段に記憶させる第2記憶制御手段とをさらに備えてもよい。この場合のデータ生成装置は、ユーザが針落ち点の相対位置を指定して生成した模様を縫製するための縫製データを利用して、複合模様を表す縫製データを生成することができる。
【0010】
第1態様のデータ生成装置において、前記第1縫製データ生成手段はさらに、前記複合模様に含まれる前記複数個の模様のうちの、前記配置設定手段によって設定された前記配置によって決定される組合せ順序がN(Nは自然数)番目の前記模様の最後の針落ち点と、前記組合せ順序がN+1番目の前記模様の1番目の針落ち点とを一致させる第1設定手段を備えてもよい。この場合のデータ生成装置は、組合せ順序がN番目の模様の終点と、組合せ順序がN+1番目の模様の始点とを自動的に一致させることができる。
【0011】
第1態様のデータ生成装置において、前記第1縫製データ生成手段はさらに、前記複合模様の1番目の針落ち点の第3基準点に対する前記第2所定方向の相対位置と、前記複合模様の最後の針落ち点の前記第3基準点に対する前記第2所定方向の相対位置とを一致させる第2設定手段を備えてもよい。この場合のデータ生成装置は、複合模様が繰り返し模様である場合の複合模様の始点と、終点との第2所定方向の相対位置を自動的に一致させることができる。繰り返し模様は、同じ模様が連続して繰り返し縫製される模様である。
【0012】
第2態様のミシンは、下端に縫針が装着される針棒と、縫製対象物を第1所定方向に移送する送り歯を駆動する送り機構と、前記針棒を前記第1所定方向と交差する方向である前記第2所定方向に揺動させる針棒揺動機構と、第1態様のデータ生成装置と、前記データ生成装置によって生成された前記縫製データに基づいて、前記送り機構と、前記針棒揺動機構とを制御して、前記縫製対象物に前記複合模様を縫製する縫製手段とを備えている。第2態様のミシンは、第1態様のデータ生成装置と同様の作用効果を奏することができる。
【0013】
第3態様のデータ生成プログラムは、第1態様のデータ生成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させる。第3態様のデータ生成プログラムは、コンピュータに実行させることにより第1態様のデータ生成装置の各種処理手段としての作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ミシン1の斜視図である。
【図2】ミシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】第1縫製データ生成処理のフローチャートである。
【図4】図3の第1縫製データ生成処理で生成された模様100の説明図である。
【図5】模様100を縫製するための縫製データ170の説明図である。
【図6】第2縫製データ生成処理のフローチャートである。
【図7】模様呼出画面200の説明図である。
【図8】模様表示画面201の説明図である。
【図9】模様表示/組合せ画面202の説明図である。
【図10】模様110の説明図である。
【図11】模様110を縫製するための縫製データ171の説明図である。
【図12】模様編集/確定画面203の説明図である。
【図13】模様表示画面204の説明図である。
【図14】模様編集画面205の説明図である。
【図15】図6の第2縫製データ生成処理で実行される変換処理の説明図である。
【図16】複合模様120の説明図である。
【図17】複合模様120を縫製するための縫製データ172及び複合模様120のベクトルデータ173の説明図である。
【図18】複合模様表示画面206の説明図である。
【図19】複合模様130の説明図である。
【図20】複合模様130を縫製するための縫製データ174及び複合模様130のベクトルデータ175の説明図である。
【図21】模様呼出画面207の説明図である。
【図22】縫製処理のフローチャートである。
【図23】変換処理のフローチャートである。
【図24】複合模様140の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、第1及び第2の実施形態のミシン1について、図面を参照して順に説明する。参照する図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明するために用いるものであり、記載している装置の構成、及びフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0016】
図1及び図2を参照して、第1及び第2の実施形態のミシン1に共通する物理的構成について説明する。以下の説明では、図1の左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側をそれぞれ、ミシン1の左側、右側、後方、前方とする。
【0017】
図1に示すように、ミシン1は、ベッド部2と、脚柱部3と、アーム部4とを構成の主体とする。脚柱部3は、ベッド部2の右端部分にベッド部2から垂直方向に立設されている。アーム部4は、脚柱部3の上端部から左方向へベッド部2に対向して延びる。アーム部4の先端部は、頭部49である。
【0018】
ベッド部2には、針板11が設けられている。針板11には、後述の送り歯57(図2参照)が出没可能な角穴34が形成されている。また、針板11の下部のベッド部2内には、釜機構(図示外)が設けられている。釜機構は、下糸用ボビン(図示外)を収容する。また、針板11の下部のベッド部2内には、送り歯57と、送り機構58(図2参照)とが設けられている。送り歯57は、縫製対象物(例えば、加工布)を所定の移送量(送り量)でミシン1の前方及び後方のいずれかに移送する。送り機構58は、送り歯57を駆動する周知の機構である。送り機構58として、例えば、特開2006−346087号公報に記載の機構を採用することができる。送り量調整用モータ77(図2参照)は、送り歯57の移動量、すなわち縫製対象物の移送量を所定の値に調整するためのモータである。
【0019】
脚柱部3の下方には、ミシンモータ79(図2参照)が設けられている。ミシンモータ79の駆動力は、駆動ベルト(図示外)を介して主軸(図示外)に伝達される。主軸は、アーム部4内を左右方向へ伸びる。ミシンモータ79の駆動力は、主軸の途中部に設けられた伝達機構(図示外)によって、下軸(図示外)にも伝達される。下軸は、ベッド部2内を左右方向に伸びる。このような構成により、後述の針棒8と、天秤機構(図示外)と、釜機構(図示外)と、送り機構58とを含む要素が同期駆動される。
【0020】
図1に示すように、脚柱部3には、縦長の液晶ディスプレイ(以下、単に「LCD」という)10が設けられている。LCD10には、縫製模様の選択及び編集といった、縫製作業に必要な各種の機能を実行させる機能名及び各種のメッセージ等が表示される。LCD10の前面にはタッチパネル26が備えられている。ユーザがLCD10に表示された項目を指又はタッチペンで選択すると、タッチパネル26によってどの項目が選択されたかが感知される。このようにして、ユーザは、LCD10及びタッチパネル26を介して種々の指示を入力することができる。
【0021】
アーム部4の上部には、収容部15が設けられている。収容部15は、上糸が巻回された糸駒21を収容する凹部である。頭部49の下部には、針棒8が配設されている。針棒8の下端には、縫針16が装着可能である。針棒8の後方には押え棒38が設けられている。押え棒38の下端部には、押えホルダ29が取り付けられる。押えホルダ29には、押え足30が着脱可能である。頭部49内には、針棒上下動機構(図示外)と、針棒揺動機構59(図2参照)と、天秤機構(図示外)とが設けられている。針棒上下動機構は、縫針16が装着された針棒8を上下方向に駆動させる。針棒揺動機構59は、針棒8を左方及び右方のいずれかに移動させるための周知の機構である。詳しくは図示しないが、針棒揺動機構59は、針振り用モータ78(図2参照)を動力源として回動する偏心状の揺動カム(図示外)を駆動させることで、針棒台(図示外)を左右方向に揺動させる。針棒台(図示外)の左右方向の揺動によって、針棒8が左右方向に揺動する。
【0022】
アーム部4には、糸駒21から引き出される上糸を、糸調子機構と、糸取りバネと、天秤(いずれも図示外)とを経由して、最終的に縫針16まで案内する糸案内溝7が設けられている。さらに、アーム部4の前面には、各種の縫製動作を指示するための複数の操作キー9が設けられている。操作キー9には、例えば、縫製開始・停止スイッチ91と、速度調整摘み94とが含まれる。縫製開始・停止スイッチ91は、縫製動作の開始及び停止を指示するためのスイッチである。縫製停止中に縫製開始・停止スイッチ91が押下されると、ミシン1は縫製動作を開始する。縫製中に、縫製開始・停止スイッチ91が押下されると、ミシン1は縫製動作を停止する。速度調整摘み94は、縫製速度(ミシンモータ79の回転速度)を指示するための操作部材である。
【0023】
次に、図2を参照して、第1及び第2の実施形態のミシン1に共通する、ミシン1の電気的構成について説明する。図2に示すように、ミシン1は、制御部60を備える。制御部60は、CPU61と、ROM62と、RAM63と、EEPROM64と、外部アクセスRAM68と、入出力インターフェイス(I/O)66とを備え、これらはバス67により相互に接続されている。入出力インターフェイス66には、縫製開始・停止スイッチ91と、速度調整摘み94と、タッチパネル26と、駆動回路71から74とが電気的に接続されている。駆動回路71は、LCD10を駆動させる。駆動回路72は、ミシンモータ79を駆動させる。駆動回路73は、送り量調整用モータ77を駆動させる。駆動回路74は、針振り用モータ78を駆動させる。
【0024】
CPU61は、ミシン1の主制御を司り、ROM62に記憶されたプログラムに従って、各種演算及び処理を実行する。ROM62は、少なくとも、各種プログラム及び縫製データを記憶する。RAM63は、任意に読み書き可能な記憶素子であり、CPU61が演算処理した演算結果を収容する各種記憶領域が必要に応じて設けられる。EEPROM64は、少なくとも、各種設定と、既成の縫製データと、ユーザの指示に従って生成された縫製データとを記憶する。
【0025】
次に、第1の実施形態のミシン1において実行される、第1縫製データ生成処理と、第2縫製データ生成処理と、縫製処理とについて順に説明する。第1縫製データ生成処理は、ユーザが指定する相対位置に針落ち点を有する模様を縫製するための縫製データを生成する処理である。ユーザは、タッチパネル26を操作して、LCD10に表示されたキャンパス上に針落ち点の位置を指定する。
【0026】
第2縫製データ生成処理は、ROM62又はEEPROM64に記憶されている縫製データを利用して、複合模様を縫製するための縫製データを生成する処理である。複合模様は、ユーザによって選択された複数個の模様を、設定された配置に従って組合せた模様である。本実施形態では、模様の配置は模様の選択順に応じて自動的に決定される。本実施形態の第2縫製データ生成処理で作成される複合模様は、繰り返し模様であるものとする。繰り返し模様は、同じ模様が連続して繰り返し縫製される模様であり、針棒8の揺動位置が始点と、終点とで同じ模様である。
【0027】
縫製処理は、ROM62又はEEPROM64に記憶されている縫製データに従って、模様を縫製する処理である。第1縫製データ生成処理と、第2縫製データ生成処理と、縫製処理とにおける縫製データは、それぞれ、送り歯57(図2参照)による縫製対象物の移送量と、針棒揺動機構59(図2参照)による針棒8の揺動位置とを指示するデータである。以下の説明では、送り歯57による縫製対象物の移送量を、送り量(F)と言う。縫製データに含まれる送り量がプラスの値の場合の縫製対象物の移送方向は、ミシン1の前方から後方に向かう方向である。送り量がマイナスの値の場合の縫製対象物の移送方向は、ミシン1の後方から前方に向かう方向である。針棒揺動機構59(図2参照)による針棒8の揺動位置を、針振り量(Z)と言う。
【0028】
まず、図3から図5を参照して、第1縫製データ生成処理について説明する。第1縫製データ生成処理は、特開2006−43231号公報に記載された公知の模様データ作成制御と基本的に同様であるので、簡単に説明する。図3のフローチャートに示す各処理を実行させるプログラムは、図2のROM62に記憶されており、CPU61が実行する。図3の第1縫製データ生成処理は、ユーザがタッチパネル26を操作してマイイラスト作成モードを設定し、LCD10に表示されたキャンパスにおいて針落ち点の位置を指定した場合に実行される。
【0029】
図3に示すように、第1縫製データ生成処理ではまず、ユーザがタッチパネル26を操作して入力した点が、針落ち点として検出され、基準点に対する針落ち点の相対座標がRAM63に記憶される(S4)。ユーザがタッチパネル26を操作して、図4の点P1からP5を入力した具体例を想定する。図4では、LCD10に表示されるキャンパス150を点線で示している。キャンパス150は、基準点に対する針落ち点の相対位置を表す。図4の紙面上下方向に伸びる軸であるY軸は、送り方向(ミシン1の前後方向)に対応している。Y軸の1マスは、例えば、1mmに相当する。図4の紙面左右方向に伸びる軸であるX軸は、ミシン1の左右方向に対応している。X軸の1マスは、例えば、1mmに相当する。基準点は、針落ち点の相対位置を示す基準となる点であればよく、例えば、キャンパス150の(X,Y)=(1,0)の点151である。具体例では、ステップS4において、点P1からP5の相対座標が検出される。点P1の相対座標は(X,Y)=(4,0)である。点P2,P5の相対座標は(X,Y)=(4,5)である。点P3の相対座標は(X,Y)=(2,3)である。点P4の相対座標は(X,Y)=(6,3)である。
【0030】
次に、ステップS4で検出された針落ち点P1からP5の点151に対する相対座標に基づき、点P1からP5を順に結んだ模様100を縫製するための縫製データが生成される(S6)。具体例では、図4の点P1からP5を順に結んだ模様100を縫製するための縫製データ170が図5のように生成される。図5の縫製データ170は、データ番号と、送り量(Fn)と、針振り量(Zn)とを含む。nは自然数であり、針落ち点の縫製順序を示す。データ番号1から5は、それぞれ点P1からP5に対応する。n=1の場合は、送り量(Fn)に、点P1のY座標が設定される。n>1の場合は、送り量(Fn)に、(点PnのY座標)−(点P(n−1)のY座標)が設定される。針振り量(Zn)には、nの値によらず、PnのX座標が設定される。次に、ステップS6で生成された縫製データ170が、後述する第2縫製データ生成処理において取得可能にEEPROM64に記憶される(S8)。ステップS8では、公知の方法によって、模様100を表すサムネイル画像101(図7参照)をLCD10に表示するための画像データが生成される。生成された画像データは縫製データ170と対応付けられてRAM63に記憶される。第1縫製データ生成処理は以上で終了する。
【0031】
図6から図21を参照して、第2縫製データ生成処理について説明する。図6のフローチャートに示す各処理を実行させるプログラムは、図6のROM62に記憶されており、CPU61が実行する。図6の第2縫製データ生成処理は、ユーザがタッチパネル26を操作して複合模様作成モードを設定した場合に実行される。以下の説明では、各種画像は、駆動回路71に出力された制御信号に基づき、LCD10に表示されるものとする。また、各種画像に含まれる各種キーは、ユーザがタッチパネル26を操作することによって選択されるものとする。
【0032】
図6に示すように、第2縫製データ生成処理では、まず、ROM62又はEEPROM64に記憶されている縫製データに対応付けられた画像データが呼び出される(S10)。ROM62に記憶されている縫製データは、ミシン1の出荷時に記憶された既成の縫製データである。EEPROM64に記憶されている縫製データは、既成の縫製データに加え、第1縫製データ生成処理においてユーザの指示に従って生成された縫製データが含まれる。具体例において、ステップS10では、呼び出された画像データに基づき、図7に例示する模様呼出画面200(以下、「画面200」と言う。)が表示される。図7のように、画面200には、模様表示欄210が含まれる。模様表示欄210には、サムネイル画像101と、サムネイル画像111と、サムネイル画像131とを含む複数のサムネイル画像が表示されている。サムネイル画像101は、図4の模様100の形状を表す画像である。サムネイル画像111は、図10を参照して後述する模様110の形状を表す画像である。サムネイル画像131は、第1縫製データ生成処理によって生成された縫製データを記憶可能な空き領域を示す画像である。図7の具体例では、あと4つの模様のそれぞれに対応する縫製データを記憶可能である。
【0033】
次に、CPU61は、ステップS10で表示されたサムネイル画像のいずれかを選択するまで待機する(S20:NO)。具体例において、組合せ順序が1番目の模様として、模様100の形状を表すサムネイル画像101が選択された場合を想定する(S20:YES)。組合せ順序は、複数の模様間の配置に基づき決定される、模様の縫製順序を表す。本実施形態のミシン1は、模様の選択順序に従って、選択された模様が、ミシン1の後方から前方(図8では、矢印180で示す方向)に向かって順に配置されて縫製されるように、組合せ順序を自動的に設定する。このため、本実施形態では、組合せ順序は、模様が選択された順序と等しい。サムネイル画像101が選択されると(S20:YES)、選択された模様の配置が自動的に設定され、図8の模様表示画面201(以下、「画面201」と言う。)が表示される(S30)。画面201には、ステップS20で選択されたサムネイル画像101と、組合せキー221とが表示される。組合せキー221は、さらに模様を選択することを指示するためのキーである。
【0034】
組合せ順序が1番目の模様が選択された場合に表示される画面201には、後述する確定キーが表示されないので、CPU61は、組合せキー221が選択されるまで待機する(S40:NO,S50:NO)。組合せキー221が選択された場合(S40:YES)、処理はステップS10に戻り、模様を選択する処理を繰り返す。2巡目以降に実行されるステップS20では、選択済みの模様と同じ模様が選択されてもよいし、選択済みの模様と異なる模様が選択されてもよい。具体例において、2巡目のステップS20で、サムネイル画像111が選択された場合を想定する(S20:YES)。サムネイル画像111は、模様110(図10参照)に対応する画像である。模様110は、図4のキャンパス150と同様のキャンパス154上に配置された9つの針落ち点Q1からQ9を備える模様である。基準点155に対する点Q1からQ9の相対座標はそれぞれ、(X,Y)=(2,0)、(6,0)、(6,4)、(2,4)、(2,2)、(4,2)、(4,6)、(2,6)、(2,8)である。
【0035】
サムネイル画像111を表す画像データは、図11に示す、模様110を縫製するための縫製データ171と対応付けられて、ROM62又はEEPROM64に記憶されている。この場合、ステップS30では、図9に例示する模様表示/組合せ画面202(以下、「画面202」と言う。)が表示される。画面202では、1巡目の処理で選択された模様100のサムネイル画像101と、2巡目の処理で選択された模様110のサムネイル画像111とが、それぞれ図9の紙面上から下に順に配置されている。矢印180で示す図9の紙面上から下に向かう方向は、ミシン1の後方から前方に向かう方向(プラスの移送方向)に対応し、紙面上側に配置されている模様ほど、紙面下側に配置されている模様に比べ、縫製順序が早いことを示す。画面202には、図8の画面201と同様の組合せキー221に加え、確定キー222が表示されている。確定キー222は、複合模様の作成に用いる模様の選択を終了することを指示するためのキーである。
【0036】
組合せキー221が選択された場合には(S40:YES)、処理はステップS10に戻り、模様を選択する処理を繰り返す。確定キー222が選択された場合(S50:YES)、図12に例示する模様編集/確定画面203(以下、「画面203」と言う。)が表示される(S60)。画面203には、画面202と同様のサムネイル画像101と、サムネイル画像111とに加え、編集キー223と、確定キー224とが表示されている。編集キー223は、選択中の模様のうちのいずれかを編集するモードに切り換えることを指示するためのキーである。確定キー224は、複合模様を縫製するための縫製データを生成することを指示するためのキーである。CPU61は、編集キー223及び確定キー224のいずれかが選択されるまで待機する(S70:NO,S80:NO)。編集キー223が選択された場合(S70:NO、S80:YES)、図13の模様表示画面204(以下、「画面204」と言う。)が表示される(S90)。画面204は、選択中の複数の模様の中から、編集の対象となる模様を選択するための画面である。
【0037】
次に、CPU61は、模様編集処理を実行する(S100)。模様編集処理では、編集の対象となる模様の針落ち点の基準点に対する相対位置を変更する各種処理が実行される。例えば、次のように模様編集処理が実行される。模様編集処理ではまず、画面204の個別模様選択キー225及び226によって、編集対象となる模様を表すサムネイル画像が選択される。具体例において、模様100に対応するサムネイル画像101が選択された場合を想定する。次に、編集キー228が選択されると、選択中の模様100を編集するための、図14に例示する模様編集画面205(以下、「画面205」と言う。)が表示される。画面205には、図4と同様のキャンパス150上に模様100の針落ち点P1からP5が表される。画面205には、拡大キー229と、反転キー230と、縮小キー231と、変形キー232と、移動キー233と、確定キー234とがそれぞれ表示されている。模様100は、選択されたキーに応じて、拡大と、反転と、縮小と、変形と、移動とのいずれかの編集処理が実行される。上記のような編集処理は公知であるので、詳しい説明を省略する。具体例では、編集処理が実行されなかったものとする。確定キー234が選択された場合には、編集処理が終了され、図13に例示する画面204が表示される。図13の戻るキー227が選択された場合には、模様編集処理は終了し、処理はステップS70に戻る。
【0038】
確定キー224が選択された場合(S70:YES)、変換処理が実行される(S120)。変換処理は、選択中の複数個の模様のそれぞれに対応する縫製データに基づき、複合模様を表すベクトルデータを生成する処理である。ベクトルデータは、基準点に対する複合模様の針落ち点の相対位置によって表されるデータである。本実施形態では、ベクトルデータを、図4のキャンパス150に例示したXY座標系の数値で表す。縫製順序がJ番目の針落ち点から、(J+1)番目の針落ち点に向かうベクトルは、縫目が形成される方向を表す。基準点は、複合模様の針落ち点の相対位置を表す基準となる点であればよい。本実施形態では、例えば、図16に例示するキャンパス152の紙面左上の点(X,Y)=(1,0)を基準点153とする。
【0039】
図15から図17を参照して、変換処理の詳細を説明する。図15のように、変換処理ではまず、選択中の模様数Mとして2が取得され、取得された模様数MはRAM63に記憶される(S122)。次に、変数mに1が、Y0に0がそれぞれ設定され、設定された変数m及びY0はRAM63に記憶される(S124)。変数mは、選択中の模様を組合せ順序に従って読み出すための変数である。Y0は、縫製開始時のY座標の値であり、本実施形態ではY0は0とする。次に、図5の縫製データ170に基づき、1番目(m=1)の模様の針数Nとして5が取得され、針数NはRAM63に記憶される(S126)。次に、EEPROM64が参照され、1番目(m=1)の模様100の縫製データ170が取得され、取得された縫製データ170はRAM63に記憶される(S128)。次に、nに0が、Lに0がそれぞれ設定され、設定されたn及びLはRAM63に記憶される(S130)。nは、m番目の模様を縫製するための縫製データに含まれるデータ行を順に呼び出すための変数である。Lは、複合模様を表す縫製データのデータ番号(縫製順序)を表す変数である。
【0040】
次に、n及びLはそれぞれインクリメントされ、RAM63に記憶される(S132)。次に、ステップS128又は後述のステップS150で取得され、RAM63に記憶されているm番目の縫製データの、データ番号nのデータ行が取得され、取得されたデータ行はRAM63に記憶される(S134)。具体例において、m=1、n=1の場合、図5の縫製データ170の内、データ番号1に対応するデータ行が取得される。この場合、nはNよりも小さいので(S136:NO)、XLにZnが設定され、YLに(YL−1+Fn)が設定され、設定されたXL及びYLはRAM63に記憶される(S138)。YLは、複合模様のL番目の針落ち位置のY座標を表す。YL−1は、複合模様の(L−1)番目の針落ち位置のY座標を表す。XLは、複合模様のL番目の針落ち位置のX座標を表す。具体例では、図17のベクトルデータ173に示すように、m=1、n=1の場合、(X1,Y1)=(Z1,Y0+F1)=(4,0)である。次に、処理はステップS132に戻る。
【0041】
具体例において、m=1の条件下でステップS132が繰り返し実行され、nが5になった場合(S136:YES)、YLに(YL−1+Fn)が設定され、設定されたYLはRAM63に記憶される(S140)。この場合、mがMより小さいので(S142:NO)、mがインクリメントされ、RAM63に記憶される(S146)。次に、ステップS126及びステップS128と同様の処理によって、2番目の模様110(図10参照)の針数Nとして9が取得され(S148)、模様110を縫製するための縫製データ171(図11参照)が取得される(S150)。次に、nに1が設定され、設定されたnはRAM63に記憶される(S152)。
【0042】
次に、ステップS134と同様の処理によって、縫製データ171のうち、データ番号1のデータ行が取得される(S154)。次に、XLにZnが設定され、設定されたXLはRAM63に記憶される(S156)。ステップS140及びステップS156の処理によって、図16に示すように、複合模様120において、点P5′と、点Q1とが一致する。すなわち、ステップS156によって、組合せ順序が1番目(J番目)の模様100の縫製順序が最後の針落ち点P5が点P5′に変更される。これによって、変更後の点P5′と、組合せ順序が2番目(J+1番目)の模様110の縫製順序が1番目(データ番号1)の針落ち点Q1とは一致する。次に、処理はステップS132に戻る。
【0043】
繰り返し実行されるステップS142において、mが2である場合には(S142:YES)、m番目の模様が、組合せ順序が最後の模様である。この場合、XLにX1が設定され、設定されたXLはRAM63に記憶される(S160)。ステップS160の処理は、複合模様120の1番目の針落ち点P1の基準点153に対する左右方向の相対位置と、複合模様120の最後の針落ち点Q1の基準点153に対する左右方向の相対位置とを一致させる処理である。ステップS160の処理は、複合模様が繰り返し模様である場合に実行される。次に、(X1,Y1)から(XL,YL)がベクトルデータとしてEEPROM64に記憶される(S170)。具体例では、変換処理によって、図17に示すベクトルデータ173が生成され、EEPROM64に記憶される。変換処理は以上で終了し、処理は図6の第2縫製データ生成処理に戻る。
【0044】
ステップS120の次に、ステップS120で生成されたベクトルデータに基づき、複合模様120を表すサムネイル画像121(図18参照)の画像データが生成され、生成された画像データに基づき複合模様表示画面206(以下、「画面206」と言う。)が表示される(S180)。図18の画面206には、サムネイル画像121と、編集キー235と、確定キー236とが表示されている。編集キー235は、サムネイル画像121によって表される複合模様120の、針落ち点の相対位置を変更することを指示するためのキーである。確定キー236は、サムネイル画像121によって表される複合模様120の縫製データ172を生成することを指示するためのキーである。ユーザは、画面206のサムネイル画像121によって、複合模様120の形状を確認する。
【0045】
CPU61は、編集キー235及び確定キー236のいずれかのキーが選択されるまで待機する(S190:NO,S200:NO)。編集キー235が選択された場合(S200:YES)、模様編集処理が実行される(S210)。ステップS210では、模様編集処理として、基準点153に対する複合模様120の針落ち点の相対位置を変更する処理が実行される。模様編集処理では、例えば、図14の画面205と同様の画面が表示され、選択された選択キーに応じて模様が編集される。次に、編集後の複合模様を表すベクトルデータに基づき、画面206が更新される(S220)。次に、処理はステップS190に戻る。具体例においてステップS210の模様編集処理によって、複合模様120が図19の模様130のように変更された場合を想定する。この場合、複合模様120のベクトルデータ173(図17参照)は、模様編集処理によって、図20のベクトルデータ175のようにデータが変更、追加(削除)される。
【0046】
確定キー236が選択された場合(S190:YES)、複合模様を縫製するための縫製データが生成され、生成された縫製データはRAM63に記憶される(S230)。ステップS210で模様編集処理が実行された場合には、ステップS210で編集されたベクトルデータに基づき縫製データが生成される。ベクトルデータを縫製データに変換する処理は、図3のステップS6と同様である。具体例では図20のデータのうちの、ベクトルデータ175(Xn,Yn)に基づき、データ番号と、送り量(Fn)と、針振り量(Zn)とを含む縫製データ174が生成される。ステップS210で模様編集処理が実行されていない場合には、ステップS120で生成されたベクトルデータに基づき縫製データが生成される。具体例で模様編集処理が実行されていない場合、図17のデータのうちの、ベクトルデータ173(Xn,Yn)に基づき、データ番号と、送り量(Fn)と、針振り量(Zn)とを含む縫製データ172が生成される。
【0047】
次に、ステップS230で生成された縫製データと、縫製データに対応する画像データとは、それぞれステップS10で呼び出し可能なデータとしてEEPROM64に記憶される(S240)。第2縫製データ生成処理は以上で終了する。次回以降に実行される第2縫製データ生成処理では、ステップS10において、図7の模様呼出画面200に代えて、例えば、図21の模様呼出画面207(以下、「画面207」と言う。)が表示される。画面207には、前述のステップS240で記憶された画像データに基づき、複合模様120の形状を表すサムネイル画像121が表示される。したがって、次回以降に実行される第2縫製データ生成処理では、ユーザは、複合模様120を、他の模様と組み合わせた複合模様を作成することができる。
【0048】
次に、図22を参照して縫製処理を説明する。図22のフローチャートに示す各処理を実行させるプログラムは、図6のROM62に記憶されており、CPU61が実行する。図22の縫製処理は、ユーザがタッチパネル26を操作して縫製モードを設定した場合に実行される。
【0049】
図22のように、縫製処理では、CPU61は、縫製対象となる模様が選択されるまで待機する(S300:NO)。縫製対象となる模様は、ROM62及びEEPROM64に記憶されている縫製データに基づき縫製される模様の中から選択される。選択可能な模様には、少なくとも、第1縫製データで生成された縫製データに基づき縫製される模様と、第2縫製データで生成された縫製データに基づき縫製される複合模様とが含まれる。複合模様120が選択された場合(S300:YES)、選択された複合模様120を縫製するための縫製データ172が取得され、取得された縫製データ172はRAM63に記憶される(S310)。次に、CPU61は、縫製開始・停止スイッチ91が押下されるまで待機する(S320:NO)。
【0050】
縫製開始・停止スイッチ91が押下された場合(S320:YES)、ステップS310で取得された縫製データに従って、駆動回路72から74に制御信号が出力され、縫製が開始/継続される(S330)。ステップS330は、縫製開始後、縫製開始・停止スイッチ91が押下されていない期間(S340:NO)、実行される。具体例では、図17の縫製データに従って複合模様120が縫製される場合、1巡目の処理では、データ番号1から13のデータ行が順に呼び出され、縫製が実行される。2巡目以降の処理では、データ番号1のデータ行は省略され、データ番号2から13のデータ行が順に呼び出され、縫製が実行される。縫製開始後、縫製開始・停止スイッチ91が押下された場合(S340:YES)、縫製処理は終了する。
【0051】
ミシン1の前後方向は、本発明の「第1所定方向」に相当する。ミシン1の左右方向は、本発明の「第2所定方向」に相当する。EEPROM64は、本発明の「記憶手段」に相当する。タッチパネル26は、本発明の「選択手段」及び「入力手段」に相当する。点153は、本発明の「第1基準点」及び「第3基準点」に相当する。点151は、本発明の「第2基準点」に相当する。図6のステップS30を実行するCPU61は、本発明の「配置設定手段」として機能する。図15のステップS128及びステップS150を実行するCPU61は、本発明の「取得手段」として機能する。ステップS138と、ステップS140と、ステップS156と、ステップS160とのそれぞれを実行するCPU61は、「ベクトルデータ生成手段」として機能する。ステップS210を実行するCPU61は、本発明の「編集手段」として機能する。ステップS210が実行された後に、ステップS230を行うCPU61は、本発明の「第2縫製データ生成手段」として機能する。
【0052】
ステップS120からステップS230を実行するCPU61は、本発明の「第1縫製データ生成手段」として機能する。ステップS240を実行するCPU61は、本発明の「第1記憶制御手段」として機能する。図3のステップS4及びステップS6を実行するCPU61は、本発明の「第3縫製データ生成手段」として機能する。ステップS8を実行するCPU61は、本発明の「第2記憶制御手段」に相当する。図15のステップS140及びステップS156を実行するCPU61は、本発明の「第1設定手段」として機能する。ステップS160を実行するCPU61は、本発明の「第2設定手段」として機能する。図22の縫製処理を実行するCPU61は、本発明の「縫製手段」として機能する。
【0053】
ミシン1によれば、EEPROM64に記憶されている縫製データを利用して、複合模様を縫製するための縫製データを新たに生成した場合、その縫製データを利用して新たな複合模様を生成することが可能である。このため、ミシン1は、新たに複合模様の縫製データを作成する際のユーザの利便性を向上させることができる。ミシン1は、縫製データを一旦ベクトルデータに変換することによって、複合模様を1つの模様として編集することができる。このため、ミシン1は、複合模様の縫製データを編集する際のユーザの利便性を向上させることができる。ミシン1は、図3の第1縫製データ生成処理によって、ユーザが基準点に対する針落ち点の相対位置を指定して生成した模様を縫製するための縫製データを利用して、複合模様を表す縫製データを生成することができる。ミシン1は、組合せ順序がJ番目の模様の終点と、組合せ順序が(J+1)番目の模様の始点とを自動的に一致させることができる。ミシン1は、複合模様が繰り返し模様である場合の複合模様の始点と、終点とのミシン1の左右方向(針棒揺動機構59による針棒8の揺動方向)の相対位置を自動的に一致させることができる。
【0054】
次に、図19と、図20と、図23とを参照して、第2の実施形態のミシン1で実行される、第2縫製データ生成処理について説明する。第2の実施形態のミシン1では、第1の実施形態と同様の、第1縫製データ生成処理及び縫製処理が実行される。第1の実施形態の第2縫製データ生成処理と、第2の実施形態の第2縫製データ生成処理とは、図6のステップS120で実行される変換処理のみにおいて異なり、他の処理は同じである。したがって、以下に、第2の実施形態の変換処理について説明する。第2の実施形態の変換処理は、第1の実施形態と同様の具体例において、変換処理が実行される場合に、変換処理によって、図5の縫製データ170と、図11の縫製データ171とに基づき、図19の模様130の形状を表すベクトルデータ175が生成される。
【0055】
図23において、図15の第1の実施形態の第2縫製データ生成処理と同様の処理を行う処理には、同じステップ番号を付与している。図15及び図23のように、第2の実施形態の変換処理では、ステップS144が実行され、ステップS154及びステップS156が実行されない点と、及びステップS160の処理に代えて、ステップS162からステップS166が実行される点とにおいて、第1の実施形態の変換処理と異なる。第2の実施形態の変換処理と同様な処理を行う処理については説明を省略し、以下、ステップS144と、ステップS162からステップS166とについて説明をする。
【0056】
図23のステップS144では、ステップS138と同様に、XLにZnが設定され、YLに(YL−1+Fn)が設定され、設定されたXL及びYLはRAM63に記憶される(S144)。ステップS144が実行され、ステップS154及びステップS156が省略されることによって、ミシン1は、図20に示すように、針落ち点Q1を点Q1′に変更し、変更後の点Q1′と針落ち点P5とを一致させる。
【0057】
ステップS162では、ステップS138と同様に、XLにZnが設定され、YLに(YL−1+Fn)が設定され、設定されたXL及びYLはRAM63に記憶される。次に、ステップS162で設定したXLがX1と等しいか否かが判断される(S164)。XLがX1と等しい場合(S164:YES)、ベクトルデータ(X1,Y1)から(XL,YL)がEEPROM64に記憶される(S170)。XLがX1と等しくはない場合(S164:NO)、XL+1にX1が設定され、YL+1に0が設定され、設定されたXL+1及びYL+1はRAM63に記憶される(S166)。ステップS166の処理は、複合模様に針落ち点Q10を追加する処理である。ステップS166の処理によって、複合模様120の縫製順序が1番目の針落ち点P1の基準点153に対する左右方向の相対位置と、複合模様120の縫製順序が最後の針落ち点Q10の基準点153に対する左右方向の相対位置とを一致させる処理である。次に、ベクトルデータ(X1,Y1)から(XL+1,YL+1)がEEPROM64に記憶される(S170)。
【0058】
第2の実施形態のミシン1において、図21のステップS144を実行するCPU61は、本発明の「第1設定手段」として機能する。ステップS162及びステップS166を実行するCPU61は、本発明の「第2設定手段」として機能する。第2の実施形態のミシン1は、組合せ順序がJ番目の最後の針落ち点と、(J+1)番目の最初の針落ち点を一致させることによって、J番目の模様の形状が変更されることを回避することができる。ミシン1は、複合模様が繰り返し模様である場合の複合模様の始点と、終点とのシン1の左右方向(針棒揺動機構59による針棒8の方向)の相対位置を、繰り返し順序が最後の模様の形状を変更することなく、自動的に一致させることができる。
【0059】
本発明のミシンは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の(A)から(C)までの変形が適宜加えられてもよい。
【0060】
(A)第1縫製データ生成処理と、第2縫製データ生成処理とは、それぞれミシン1で実行されたが、汎用のPC及び専用機を含むデータ生成装置において実行されてもよい。ミシン1の構成は適宜変更されてもよい。例えば、送り歯57による縫製対象物の送り方向と、針棒揺動機構59による針棒8の揺動方向とのそれぞれは、適宜変更されてよい。他の例では、ミシン1は、模様の選択及び針落ち点の入力を指示するための操作部材として、タッチパネル26以外の操作部材(例えば、ポインティングデバイス)を備えてもよい。
【0061】
(B)図3の第1縫製データ生成処理は、適宜変更されてもよいし、省略されてもよい。例えば、第1縫製データ生成処理において、図6の第2縫製データ生成処理と同様の模様編集処理が実行されてもよい。第1縫製データ生成処理が省略された場合、第2縫製データ生成処理は、ROM62又はEEPROM64に記憶されている既成の縫製データによって表される模様を組み合わせる処理として実行されればよい。
【0062】
(C)図6の第2縫製データ生成処理は、適宜変更されてもよい。例えば、本発明の特徴部分が適宜組み合わされた処理が実行されてもよい。より具体的には、以下の(C−1)から(C−4)のいずれかの変形が加えられてもよい。
【0063】
(C−1)ステップS30での模様の配置の設定方法は適宜変更されてよい。例えば、模様の配置は、ユーザの指示に従って設定されてもよい。また、予め定められたルールに従って自動的に設定された模様の配置を、ユーザが変更可能としてもよい。
【0064】
(C−2)選択中の複数個の模様に含まれる針落ち点の相対位置を、個々に編集する必要がない場合には、ステップS80からステップS100は省略されてもよい。同様に、複合模様に含まれる針落ち点の位置を変更する必要がない場合には、ステップS200からステップS220が省略されてもよい。ステップS100及びステップS210で実行可能な編集処理は公知の方法を用いて適宜実行されればよく、編集処理の内容は適宜変更されてもよい。
【0065】
(C−3)図15の変換処理において、組合せ順序がN番目の模様の終点と、組合せ順序が(N+1)番目の模様の始点とを一致させていたがこれに限定されない。組合せ順序がN番目の模様の終点と、組合せ順序が(N+1)番目の模様の始点とが所定の送り量の縫目でつなげられて縫製されるように、複合模様の針落ち点が設定されてもよい。例えば、図24に例示する、模様100が複数個重ね合わされた複合模様140の縫製データとして、組合せ順序がN番目の模様の終点と、組合せ順序が(N+1)番目の模様との間に数針分の後退運針を数針分含む縫製データが生成されてもよい。
【0066】
(C−4)複合模様が繰り返し模様ではない場合等には、複合模様の縫製順序が1番目の針落ち点の基準点に対する左右方向の相対位置と、複合模様の縫製順序が最後の針落ち点の基準点に対する左右方向の相対位置とを一致させる処理(一致処理)を省略してよい。ミシン1は、ユーザが複合模様を繰り返し模様とする指示を入力した場合に、上記一致処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 ミシン
8 針棒
57 送り歯
58 送り機構
59 針棒揺動機構
61 CPU
62 ROM
63 RAM
64 EEPROM
77 送り量調整用モータ
78 針振り用モータ
79 ミシンモータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に縫針が装着される針棒と、縫製対象物を第1所定方向に移送する送り歯を駆動する送り機構と、前記針棒を前記第1所定方向と交差する方向である第2所定方向に揺動させる針棒揺動機構とを備えるミシンを用いて模様を縫製するためのデータであって、前記送り歯による前記縫製対象物の移送量と、前記針棒揺動機構による前記針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを生成するデータ生成装置であって、
記憶手段に記憶された前記縫製データに基づき縫製される模様を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された前記模様を縫製するための前記縫製データを前記記憶手段から取得する取得手段と、
前記選択手段によって選択された前記模様の配置を設定する配置設定手段と、
前記取得手段によって取得された前記縫製データに基づき、前記選択手段によって選択された複数個の前記模様を、前記配置設定手段によって設定された前記配置に従って組合せた模様である複合模様を縫製するための前記縫製データを生成する第1縫製データ生成手段と、
前記第1縫製データ生成手段によって生成された前記縫製データを、前記取得手段が取得可能に前記記憶手段に記憶させる第1記憶制御手段と
を備えることを特徴とするデータ生成装置。
【請求項2】
前記第1縫製データ生成手段は、
前記取得手段によって取得された前記縫製データと、前記配置設定手段によって設定された前記配置とに基づき、第1基準点に対する前記複合模様の針落ち点の相対位置によって表されるデータであるベクトルデータを生成するベクトルデータ生成手段と、
前記ベクトルデータ生成手段によって生成された前記ベクトルデータを編集して、前記第1基準点に対する前記複合模様の針落ち点の相対位置を変更する編集手段と、
前記編集手段によって編集された前記ベクトルデータに基づき、前記第1基準点に対する前記針落ち点の相対位置が変更された前記複合模様の前記縫製データを生成する第2縫製データ生成手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項3】
第2基準点に対する針落ち点の相対位置を入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記針落ち点の前記相対位置に基づき、前記縫製データを生成する第3縫製データ生成手段と、
前記第3縫製データ生成手段によって生成された前記縫製データを、前記取得手段が取得可能に前記記憶手段に記憶させる第2記憶制御手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ生成装置。
【請求項4】
前記第1縫製データ生成手段はさらに、
前記複合模様に含まれる前記複数個の模様のうちの、前記配置設定手段によって設定された前記配置によって決定される組合せ順序がN(Nは自然数)番目の前記模様の最後の針落ち点と、前記組合せ順序がN+1番目の前記模様の1番目の針落ち点とを一致させる第1設定手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のデータ生成装置。
【請求項5】
前記第1縫製データ生成手段はさらに、
前記複合模様の1番目の針落ち点の第3基準点に対する前記第2所定方向の相対位置と、前記複合模様の最後の針落ち点の前記第3基準点に対する前記第2所定方向の相対位置とを一致させる第2設定手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のデータ生成装置。
【請求項6】
下端に縫針が装着される針棒と、
縫製対象物を第1所定方向に移送する送り歯を駆動する送り機構と、
前記針棒を前記第1所定方向と交差する方向である前記第2所定方向に揺動させる針棒揺動機構と、
請求項1から5のいずれかに記載のデータ生成装置と、
前記データ生成装置によって生成された前記縫製データに基づいて、前記送り機構と、前記針棒揺動機構とを制御して、前記縫製対象物に前記複合模様を縫製する縫製手段と
を備えたことを特徴とするミシン。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載のデータ生成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるためのデータ生成プログラム。
【請求項1】
下端に縫針が装着される針棒と、縫製対象物を第1所定方向に移送する送り歯を駆動する送り機構と、前記針棒を前記第1所定方向と交差する方向である第2所定方向に揺動させる針棒揺動機構とを備えるミシンを用いて模様を縫製するためのデータであって、前記送り歯による前記縫製対象物の移送量と、前記針棒揺動機構による前記針棒の揺動位置とを指示するデータである縫製データを生成するデータ生成装置であって、
記憶手段に記憶された前記縫製データに基づき縫製される模様を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された前記模様を縫製するための前記縫製データを前記記憶手段から取得する取得手段と、
前記選択手段によって選択された前記模様の配置を設定する配置設定手段と、
前記取得手段によって取得された前記縫製データに基づき、前記選択手段によって選択された複数個の前記模様を、前記配置設定手段によって設定された前記配置に従って組合せた模様である複合模様を縫製するための前記縫製データを生成する第1縫製データ生成手段と、
前記第1縫製データ生成手段によって生成された前記縫製データを、前記取得手段が取得可能に前記記憶手段に記憶させる第1記憶制御手段と
を備えることを特徴とするデータ生成装置。
【請求項2】
前記第1縫製データ生成手段は、
前記取得手段によって取得された前記縫製データと、前記配置設定手段によって設定された前記配置とに基づき、第1基準点に対する前記複合模様の針落ち点の相対位置によって表されるデータであるベクトルデータを生成するベクトルデータ生成手段と、
前記ベクトルデータ生成手段によって生成された前記ベクトルデータを編集して、前記第1基準点に対する前記複合模様の針落ち点の相対位置を変更する編集手段と、
前記編集手段によって編集された前記ベクトルデータに基づき、前記第1基準点に対する前記針落ち点の相対位置が変更された前記複合模様の前記縫製データを生成する第2縫製データ生成手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項3】
第2基準点に対する針落ち点の相対位置を入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記針落ち点の前記相対位置に基づき、前記縫製データを生成する第3縫製データ生成手段と、
前記第3縫製データ生成手段によって生成された前記縫製データを、前記取得手段が取得可能に前記記憶手段に記憶させる第2記憶制御手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ生成装置。
【請求項4】
前記第1縫製データ生成手段はさらに、
前記複合模様に含まれる前記複数個の模様のうちの、前記配置設定手段によって設定された前記配置によって決定される組合せ順序がN(Nは自然数)番目の前記模様の最後の針落ち点と、前記組合せ順序がN+1番目の前記模様の1番目の針落ち点とを一致させる第1設定手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のデータ生成装置。
【請求項5】
前記第1縫製データ生成手段はさらに、
前記複合模様の1番目の針落ち点の第3基準点に対する前記第2所定方向の相対位置と、前記複合模様の最後の針落ち点の前記第3基準点に対する前記第2所定方向の相対位置とを一致させる第2設定手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のデータ生成装置。
【請求項6】
下端に縫針が装着される針棒と、
縫製対象物を第1所定方向に移送する送り歯を駆動する送り機構と、
前記針棒を前記第1所定方向と交差する方向である前記第2所定方向に揺動させる針棒揺動機構と、
請求項1から5のいずれかに記載のデータ生成装置と、
前記データ生成装置によって生成された前記縫製データに基づいて、前記送り機構と、前記針棒揺動機構とを制御して、前記縫製対象物に前記複合模様を縫製する縫製手段と
を備えたことを特徴とするミシン。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載のデータ生成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるためのデータ生成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−61140(P2012−61140A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207862(P2010−207862)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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