説明

データ送信モジュール及びそのモジュールを保持するための周辺装置

【課題】従来技術における不利な点が除去された、できるだけ汎用の装置を特定すること。
【解決手段】第1中央演算処理装置CPU1(1)と、CPU1(1)と情報をやり取りし且つ多層オペレーティングシステム(S1,S2,S3)を含む第1メモリユニット(3)と、複数の送受信機を含むネットワークと無線データ交換を行う送受信機(2)とを備えるデータ送信モジュールに関する。送受信機(2)は、ネットワークにおいてユーザを識別するための識別データを要求する所定のデータ送信プロトコルを含み、そのデータは第2メモリユニット(5)に偽造が防止される方法で記憶されている。モジュールは、周辺装置との接続のための差込接続を確立するのに適した第1インタフェース(6)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信モジュール及びそのモジュールを保持するための周辺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、周辺装置、特にパーソナルコンピュータと共に使用するための複数の種々のカード又はモジュールが知られている。そのようなモジュールは、プラグコネクタのように形成されたインタフェースを有しており、周辺装置に設けられた対応するインタフェースに差込接続することで互いにデータ交換をすることができる。
【0003】
そのようなモジュールは、周辺装置に対していくつかの追加機能を提供する。例えば、GPSモジュールは、衛星データの送受信と地球表面上の位置決定を可能にする。GSM又はUMTSモジュールは、無線データ送信、特に電気通信網、インターネット等との通信を可能にする。そのようなモジュールは、周辺装置のハードウェアの拡張を意味するだけである。言い換えれば、モジュールは、周辺装置なしに単独では機能することができない。ドライバプログラムは、周辺装置との機能的カップリングを行うために必要である。そのようなモジュールの電源は、周辺装置によって提供される。
【0004】
さらに、従来技術において、携帯電話、PDA、MP3プレーヤ等が知られている。これらは、個人データを記憶することができるデータ処理ユニットである。例えば、そのようなデータは、IRインタフェース、ブルートゥース、又はケーブル接続を介してパーソナルコンピュータへ送信されることができる。上記各装置は、通常、電源を備えており、必要であれば、パーソナルコンピュータへの接続なしに単独で操作されることができる。
【0005】
例えば、もし、住所、電話番号等の個人データが携帯電話又はPDAに記憶されれば、データ同期化の問題が現実に起きる。言い換えれば、新たに入力され、一の装置上で変換されたデータは、他の装置において装置間でデータが互いに異なるため容易に利用することができない。技術の状態の通り、知られている同期化のためのプログラムがある。しかしながら、現実実務において、特に異なる製品の装置が使用されるときに、データ同期化に伴う技術的問題が何度も生じる。
【0006】
国際公開第2004/055635A2号パンフレットは、第1のCPUと、第1CPUと一緒に動作する第1メモリユニットと、オペレーティングシステムとを備えたデータ送信モジュールについて述べている。また、知られているモジュールは、周辺装置との無線データ交換のための送受信ユニットを備えている。SIMカードは、知られているモジュールにおいて使用されることができる。知られているモジュールを使用することで、例えば、そこに記憶されたデータは、同期化のために送受信ユニットを介して他の周辺装置へ移動されることができる。しかしながら、知られているモジュールでは、移動無線ネットワークとのデータ交換のための接続の確立ができない。
【0007】
ユーザは、自身が携帯電話ネットワーク等を使用することができる前に、身元を明かさなければならない。これは、特に携帯電話の場合において、SIMカードのメモリに偽造を防止するように記憶された識別子を送信することによってなされる。特に、パーソナルコンピュータの場合において、ハードディスクドライブに不具合があり、例えば、この情報が交換されなければならいとき、識別子が再び入力されなければならないことを意味するオペレーティングシステムが再びインストールされなければならない。そして、このような場合、ユーザは識別子を間違えたかもしれない。新しい識別子を取得することは、費用と時間がかかる。
【0008】
国際公開第2004/006600A1号パンフレットは、モデムとして、及び、送信装置における追加機能を備えたモデムの双方として使用することができる無線モジュールを開示している。このために設けられたオペレーティングシステムは、モデムの接続ピンの形状を取り扱う。それ自体では、知られている無線モジュールは、移動無線ネットワークとの無線データ交換のための接続の確立には適していない
【0009】
従来技術において、カメラを備えた携帯電話が知られている。そのような携帯電話の職場での使用は、産業スパイの機会のきっかけになるので、ビジネスによって次第に禁止されている。この理由のため、従業員は、しばしばカメラを備えていない携帯電話を購入している。終業後に、彼らは、カメラを備えている携帯電話に切り替えている。これは、SIMカードも交換されるべきであることを意味する。いくつかの携帯電話を所持し、SIMカードを交換することは、費用と時間がかかる。
【特許文献1】国際公開第2004/055635A2号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/006600A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術における不利な点が除去された、できるだけ汎用の装置を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、クレーム1,22,及び33の特徴によって解決される。本発明の有用な実施形態は、クレーム2乃至21、23乃至32、及び34の特徴に由来する。
【0012】
本発明に係るデータ送信モジュールは、
データ送信モジュールであって、
第1中央演算処理装置CPU1と、
多層オペレーティングシステムを含み、上記CPU1と共に機能する第1メモリユニットと、
複数の送受信ユニットを備えるネットワークと無線データ交換をするための送受信ユニットとを備え、
上記送受信ユニットは、上記ネットワークにおけるユーザの識別のために第2メモリに偽造を防止するように記憶された識別子を要求する特定のデータ送信プロトコルを含み、
さらに、周辺装置への接続のための差込接続の確立に適した第1インタフェースを備える。
【0013】
本発明においては、「モジュール」は、データ入力装置又はデータ出力装置、例えばキーボード、ディスプレイ等を含まない構成要素を意味する。しかしながら、モジュールは、対応して形成された周辺装置、例えばキーボード又はディスプレイを備えた周辺装置に取り外し可能に接続されることができる。
【0014】
本発明においては、「多層オペレーティングシステム」は、ユーザに、設定変更、データ入力、データ編集等を許可するオペレーティングシステムを意味する。従って、ユーザインタフェースが設けられ、このユーザインタフェースは、例えば、ユーザフレンドリーなメニューナビゲーションを備える。ユーザインタフェースの利用は、本発明によって提供されるモジュールがディスプレイ及びユーザインタフェース、例えばキーボード等と結合することを要求するだけである。多層オペレーティングシステムは、例えば、携帯電話の分野において従来使用されていたオペレーティングシステムであることができる。
【0015】
提案されているデータ送信モジュールは、非常に汎用である。そのモジュールは、例えば、キーボード、ディスプレイ、マイクロホン、ラウドスピーカ、及び電源装置を供えただけの簡素で安価なハウジングと結合して、携帯電話として使用されるのに適している。提案されたモジュールにおいて設けられた多層オペレーティングシステムは、個人データの入力、変更、又は削除と同様、携帯電話の従来の動作を可能にする。個人データは、モジュールの第1メモリユニットによって永久に記憶される。
【0016】
モジュールは、また、他の周辺装置と結合されることができる。例えば、パーソナルコンピュータをデータ送受信に使用できるように、モジュールは、パーソナルコンピュータと結合されることができる。これは、例えば、インターネットとの接続を確立するための簡素な方法を提供する。
【0017】
モジュールは、周辺装置との接続がされていなくても、単独でデータを受信し、送信することができる。そのような手段は、周辺装置との接続によって後で認識されることができる。
【0018】
さらに、モジュール、特に送受信ユニットは、ネットワーク、例えば移動無線ネットワークにおけるユーザ識別子を要求するデータ送信プロトコルを備えている。第2メモリユニットに偽造を防止するように記憶された識別子を読み出す手段は、このために設けられることができる。識別子と協働して、データ送信プロトコルは、ネットワークへの接続の確立と、データ交換とを可能にする。第2メモリユニットに偽造を防止するように記憶された識別子を読み出す手段は、識別子を読み出すプログラムであり、データ送信プロトコルと協働して、データ交換のためにネットワークとの接続を確立する。
【0019】
有利な実施形態によれば、モジュールは第2メモリユニットを含む。ユーザ識別のためのデータは、第1メモリユニットに実際に記憶されることができる。しかしながら、特別の第2メモリユニットがこのために設けられているとき、それは有用である。第2メモリユニットは、モジュールに取り外し可能に接続されることができる。第2メモリユニットの接続のための第2インタフェースは、このために設けることができる。この場合、第2メモリユニットは、第2インタフェースに対応する第3インタフェースを備える。第2メモリユニットは、特に、SIMカードを有する第2インタフェースに対応する第3インタフェースの一部であることができる。この場合、第2インタフェースが、SIMカードを保持するための第1保持装置を備えることが有用である。第1保持装置は、SIMカードを保持する手段を有することができる。
【0020】
SIMカードは、少なくとも「加入者識別モジュール」又はユーザ識別モジュールを有するカードを意味する。ユーザ識別モジュールは、ネットワークオペレータのためのユーザ識別データが記憶されるマイクロチップを備える。記憶されたデータは、音声又はデータ送信を暗号化するために使用されることができる。これに加えて、電話番号等のような個人データは、マイクロチップに記憶することができる。SIMカードに代えて、例えば汎用加入者識別モジュール標準(USIM標準)を支持する汎用ICカード(UICC)が使用されることができる。この標準は、SIMカード上のいくつかのユーザ識別モジュールの結合を可能にする。
【0021】
第2インタフェースは、SIMカードを保持するために、第1保持装置に効果的に設けられる。第1保持装置は、SIMカードをセットするための開口部であることができ、又は、SIMカードを挿入するためのスリットであることができる。第1保持装置は、SIMカードの保持手段を有することができる。これは、キャッチ装置、可動バー、錠等であることができる。いくつかの第1保持装置を、SIMカードをそれぞれ保持するために設けることができる。いくつかのSIMカードの提供は、例えば、種々のデータ送信ネットワーク、特に移動無線ネットワークへのアクセスを可能にする。
【0022】
有利な実施形態によれば、多層オペレーティングシステムは、第1インタフェースに接続される周辺装置との接続を確立するための少なくとも1つのドライバプログラムを有する1つの層を備える。いくつかのドライバプログラムは、その層に有効に設けられる。ドライバプログラムは、第1インタフェースを介して、例えばディスプレイ、キーボード等に接続される周辺装置とのデータ交換を可能にする。必要であれば、適したドライバプログラムが、遡及的にインストールされることができ、又は、例えば無線データ交換通信を通じてインターネットからプロバイダを介してダウンロードすることができる。さらなる実施形態によれば、多層オペレーティングシステムは、少なくとも1つのアプリケーションプログラムを有するさらなる層を備える。複数のアプリケーションプログラムからアプリケーションプログラムを選択するためのメニューナビゲーションが設けられたとき、それは有用である。さらに、特にラウドスピーカ、マイクロホン、モニタスクリーン、キーボード、マウス、プリンタ、インタフェース、及び他の周辺装置のためのアプリケーションカーネルが設けられる。
【0023】
データ送信プロトコルは、例えば、UMTS,GSM,Bluetooth,W−LAN,IR,AMPS,NMT,HSCSD,GPRS,EDGE等のような標準プロトコルである。もちろん、送受信ユニットはいくつかのデータ送信プロトコルを備えることが可能である。この場合、特に汎用データ送信が可能である。例えば、モジュール又は送受信ユニットが以下のデータ送信プロトコルの組み合わせを備える。
UMTS,GSM、
UMTS,Bluetooth、
UMTS,Bluetooth,W−LAN,IR
【0024】
「UMTS」は、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システムを意味する。それは、データ送信速度を2ビット/秒(Mbs)に上げることが可能な第3世代移動体通信技術(3G)である。
【0025】
「GSM」(Global System for Mobile Communication)は、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションを意味する。それは、デジタル通信の支配的な2G標準である。このシステムは、送信機/受信機のランド・サポート・ネットワークを介して携帯電話が互いにどのように通信するかを決定する。
【0026】
「Bluetooth」は、小さい範囲でケーブル・フリー・ネットワークを構築するための技術を意味する。特に、マイクロホン、プリンタ、ラウドスピーカ等のようなケーブル・フリーの周辺装置は、これでデータ処理ユニットに接続されることができる。
【0027】
「W−LAN」(Wireless Local Area Network)は、無線ローカル・エリア・ネットワークを意味する。W−LAN技術は、ラップトップ、携帯電話、PDA等のようなモバイル・データ・デバイス間での高速データ通信を、いわゆるワイ・ファイ・アクセス・ポイント周辺の狭い範囲で提供する。ワイ・ファイ・アクセス・ポイントは、ケーブル接続ネットワークと接続された特別のハードウェアである。
【0028】
「AMPS」(Advanced Mobile Phone Service)は、800−900メガヘルツの周波数帯で動作する1G標準を意味する。
【0029】
「NMT」(Nordic Mobile Telephone)は、450メガヘルツ帯及び900メガヘルツ帯で動作する最古の1G標準である。
【0030】
「HSCSD」(High Speed Circuit Switched Data)は、1つのチャネルでデータ送信が14.4Kbpsに上がるGSMのためのデータ送信技術を意味する。いくつかのチャネルが共に接続することにより、データ送信速度が57.6Kbpsまで増加する。
【0031】
「GPRS」(General Paket Radio Service)は、パケット交換プロトコルを用いるGSMネットワークのための無線技術を意味する。
【0032】
「EDGE」(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)は、GSMネットワークにおけるネットワーク容量及びデータ速度が増加することができる改良された変調技術を意味する。
【0033】
提案されたモジュールは、送受信ユニットを介したネットワークへのコンタクトの確立と、そのネットワークとのデータ交換を可能にする。
【0034】
有利な実施形態によれば、第1取り付け装置が、第1メモリユニットの取り外し可能な取り付けのために設けられる。同様に、第2取り付け装置が、送受信ユニットの取り外し可能な取り付けのために設けられる。上記取り付け装置は、第1メモリユニット又は送受信ユニットを提供するチップを保持するための従来のベースであることができる。そのようなチップを交換することにより、ユーザは新しい要求にモジュールを容易に適合させることができる。
【0035】
さらなる実施形態によれば、送受信ユニットは、第2中央演算処理装置CPU2を備える。これは、特に速いデータ交換を高速で可能にする。これの他に、データは特に速やかに暗号化されることができる。
【0036】
さらなる実施形態によれば、CPU1、第1メモリユニット、必要ならば、第2メモリユニット、及び送受信ユニットが、ポリマーで成型される。これは、提案されたモジュールを特に頑丈にする。これは、モジュールを水分及び衝撃等に対して特に抵抗させる。モジュールは一体に形成されることができる。言い換えれば、それはコンパクトな構成要素を示し、SIMカードの保持が可能な手段を除いて、他の要素は取り付け手段によって取り付けられない。モジュールが、長さ及び幅の最大値が6cmで高さの最大値が1cmの直平行6面体形状に形成されたとき、それは有用であると思われる。これは、多種多様な周辺装置とモジュールの自在な組み合わせを可能にする。
【0037】
モジュールは一体に形成される限りにおいて、電磁波から保護するコーティングを少なくとも外側部分に備えることができる。これは、モジュールが干渉なしに動作することを可能にする。それは、特に電磁干渉に対する抵抗性である。
【0038】
さらなる実施形態によれば、電源ユニットを設けることができる。電源ユニットは、バッテリ又は再充電可能なバッテリを備えることができる。これは、周辺装置への接続なしでもモジュールの能動動作を可能にする。この場合、モジュールはデータを単独で受信し又は送信することができる。この目的のために、モジュールはアンテナを備えることが有益である。
【0039】
さらなる有利な実施形態によれば、第1インタフェースは、プラグコネクタの形に形成される。プラグコネクタは、周辺装置への接続のための隣接した接点の列である。
【0040】
本発明の提供によれば、周辺装置は、本発明によって提供されるモジュールとの差込接続を確立するための第1インタフェースに対応する第4インタフェースを備える。周辺装置は、第4インタフェースを介してモジュールとのデータ交換を可能にする。モジュールは、周辺装置の一部であることができる。
【0041】
実施形態によれば、第4インタフェースは、モジュールを保持するための第2保持装置に設けられる。第2保持装置は、モジュールの挿入のための凹所又はスロットの形の開口部であることができる。
【0042】
さらなる実施形態によれば、第2保持装置は、プラグ接続部に対応して形成される。言い換えれば、保持装置は、モジュールの形に対応しており、モジュールを第4インタフェースとの正しい接続位置にガイドするために、例えば、溝、隆条、ランナー等を有する。この場合、モジュールはその大部分が第2保持装置に確実に保持される。さらなる実施形態によれば、第2保持装置は、モジュールを保持する手段を備える。これは、ロック機構又はキャッチ機構、及び/又は、挿入スロットからモジュールを取り出すための装置であることができる。
【0043】
周辺装置は、さらに電源ユニットを有することが有益である。これは、バッテリ、又は再充電可能なバッテリ、またパワーパッケージとすることができる。また、周辺装置は、さらにアンテナを備えることができる。さらに、周辺装置は、ユーザインタフェースを有するハウジングを備えることができる。ユーザインタフェースは、例えばスティックで記録又はタッチすることにより機能又は入力するキーパッド又はタッチディスプレイであることができる。ハウジングは、好ましくは、スイベル式ディスプレイである。
【0044】
特に有利な実施形態によれば、ハウジングは、携帯電話のような形状である。この場合、ハウジングは、キーパッド、ディスプレイ、マイクロホン、ラウドスピーカ、及び電源装置を備えることができる。
【0045】
その一方、携帯電話の他の全ての構成要素は、本発明によって提供されるモジュールに結合される。そのモジュールは、ハウジングの中に単純に挿入されることにより、携帯電話に結合される。このように、比較的安価なハウジングが携帯電話のために設けられる。これらのハウジングは、大きな労力なしに、携帯電話における本発明のモジュールと結合されることができる。これは、本発明のモジュールが、強力で高価な送受信装置、例えばUMTS送受信装置を備える場合に、特に有利である。この場合、本発明のモジュールは携帯電話に結合されることができる。しかしながら、例えば、インターネット又は他のデータネットワークへのラップトップ・コンピュータの接続のためのモジュールを使用することが可能である。
【0046】
モジュールに記憶された個人データは、もはや同期されてはならない。モジュールは汎用であり、データの送受信のためのポピュラーな装置を使用することができる。この範囲に対し、周辺装置はモニタであることが可能である。モニタに対してキーボードを接続することで、データが送受信されることができる。特に、インターネットとの通信が可能である。
【0047】
特に有利なさらなる実施形態によれば、モジュールは、キーボード及び/又はマウスの接続のための従来のソケットを備える。モニタとの結合において、これは、モジュールに設けられた多層オペレーティングシステムの制御を容易且つ便利にする。
【0048】
モジュールは、例えばモニタにモジュールを結合するためのVGAインタフェースを備えることができる。同様に、モジュールは、例えば他の周辺装置との結合のためのIRインタフェース等、適したインタフェースを備えることができる。
【0049】
また、第1インタフェースに対応する第4インタフェースとモジュールの接続のためのアダプタが設けられることができる。さらに、そのアダプタは、第8インタフェースにモジュールを接続するための第7インタフェースを有しており、その第8インタフェースは、周辺装置の上記第7インタフェースに対応する。第8インタフェースは、標準インタフェースであることができ、例えばPCMCIA又はUSBインタフェースである。これは、従来のインタフェースを介して周辺装置とモジュールの通信を可能にする。
【0050】
実施例は、本発明の実施形態を図面に基づいてより詳細に記述するために用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
図1は、本発明によって提供されるモジュールの一例を図式的に示す。モジュールは、中央演算処理装置(CPU1)と、データを無線送受信するための送受信ユニット2と、第1メモリユニット3と、例えばSIMカード7の一部であることができる第2メモリユニット5を含むSIMユニット4とを備えている。さらに、第1インタフェース6が設けられる。
【0052】
多層オペレーティングシステムは、第1メモリユニット3に保存されている。特に図2に示されるように、多層オペレーティングシステムは、いくつかの層S1、S2、及びS3を有している。第1層S1は、ハードウェアコンポーネントの制御のためのオペレーティングシステムである。第2層S2は、通常はユーザにアクセス可能でないサービスレベルである。それは、使用される各ハードウェアコンポーネントへのオペレーティングシステムの適合を可能にする。第3層S3は、ユーザがデータ及びオペレーティングシステムの設定を入力、削除、又は変更することができるユーザインタフェースを提供する。ユーザインタフェースは、通常、ユーザによる取り扱いを容易にするメニューナビゲーションを有している。
【0053】
図3a及び3bは、モジュールの第1実施形態の斜視図を示す。第2メモリユニット5は、SIMカード7に設けられている。モジュールは、SIMカード7の形に対応する開口部8を有している。開口部8は、SIMカード7に対応する第3インタフェース10の接続のための第2インタフェース9を含む。特に図3bとの組み合わせ図に示されるように、SIMカード7は、可動バー11で開口部8に保持される。
【0054】
モジュールは、最大高さ1cmの平らな直平行6面体形状を有している。ガイド溝12は、長手サイドに設けられている。特に図4の組み合わせ図において明瞭に示されるように、送受信ユニット2又は第1メモリユニットを含むカードの挿入のための第1スロット13が前面に沿って延びている。参照番号14で示される第5インタフェースは、参照番号15で示され第1スロット13内に設けられた第6インタフェースに対応して形成される。例えば、送受信ユニット2の交換はカードで提供されるので、本発明によって提供されるモジュールは、ユーザの各ニーズに速やかに且つ容易に適合することができる。例えば、カードは、UMTS,GSM,ブルートゥース、又は同様の送受信ユニット2を備えることができる。
【0055】
図4に示される第2例において、第2メモリユニット5は、SIMカード7の一部ではない。それは、モジュールにおいて統合される。
【0056】
図5は、第1周辺装置、すなわち携帯電話のハウジング16の斜視図を示す。ハウジング16は、ディスプレイ17と、キーパッド18と、ラウドスピーカ19と、マイクロホン20と、モジュールの外形に対応する形状の第2スロット21とを備えている。第2スロット21は、特にガイド溝12に対応するガイドレール22を有する。第2スロット21は、第1インタフェース6に対応する第2インタフェース9(ここでは図示しない)を含む。モジュールが第2スロット21に完全に挿入されたとき、第1インタフェース6と第2インタフェース9の接触の間で電気的接続が確立される。スロット21内にモジュールを保持するために、ここでは詳細に示されないキャッチ機構又はロッキング機構を設けることができる。
【0057】
図6は、第2周辺装置の斜視図を示す。これは、キーパッド18及びディスプレイ17を有するPDAである。ここでも、図5に示した第1周辺装置の第2スロット21と同様に第2スロット21が形成される。
【0058】
図7は、第3周辺装置、すなわち携帯用コンピュータ又はラップトップコンピュータの斜視図を示す。そのようなコンピュータに通常設けられるインタフェース、例えばPCMCIAインタフェースは、本発明によって設けられるモジュールを適切な第1アダプタ24を介して保持するために使用されることができる。第1アダプタ24は代わりに第2スロット21と、ガイドレール22と、第2インタフェース9(ここでは図示せず)を有する。また、第1アダプタ24は、第3スロット23に対応して設けられたPCMCIAインタフェースの第8インタフェースに接続することができる第7インタフェース(ここでは図示せず)を有する。
【0059】
図8に示されるように、本発明によって設けられるモジュールは、また、例えばUSBインタフェースと接続することができる。プラグコネクタ26を有し適切に形成された第2アダプタ25は、USBインタフェースへの接続のために設けられる。
【0060】
上記各例に示されるように、提案されたモジュールは、多種多様の周辺装置と一緒に汎用的に機能することができる。それは、データの無線送受信機能を周辺装置に与えるだけでなく、多層オペレーティングシステムを提供し、とりわけ制御装置を有効にする。ユーザによるモジュールの制御は、モジュールがユーザインタフェース、例えばキーパッド18及びディスプレイ17と結合されることを要求するだけである。
【0061】
モジュールは、再充電可能な電源ユニットを備えることができる。電源装置を再充電するために、バッテリ充電装置のための適切な接続が設けられることができる。この他に、モジュールは、キーボード及びマウスのための接続が設けられることができる。この場合、モジュールは、例えば、さらなる周辺装置として設けられた平面モニタスクリーンと結合されることができる。そして、キーボード及び/又はマウスが接続されるとき、モジュールと周辺装置の接続は制御されることができる。
【0062】
モジュールが電源装置を備えている範囲に対し、モジュールは、また、周辺装置への接続なしに、単独でデータを送受信することができる。従って、モジュールは、例えばSMSメッセージ、ボイスメッセージ等を受信し、記憶することができる。同様に、モジュールは、ユーザの体の機能をモニタするための適切なセンサとの結合において使用されることができると考えられる。いくつかの体の機能が特定の重篤な値に達している場合には、例えば、適切なアラームが示される遠隔受信ユニットに対してデータが自動的に送信されることができる。これは、モジュールを持ち運ぶユーザの弱い体の状態を認識するために使用されることができる。GPS送受信ユニット2との組み合わせにおいて、助けが速やかに提供されるように、ユーザの位置が決定されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】モジュールの構成要素を示す図
【図2】多層オペレーティングシステムを示す図
【図3】モジュールの第1実施形態
【図4】モジュールの第2実施形態
【図5】携帯電話と結合する、図4のモジュール
【図6】PDAと結合する、図4のモジュール
【図7】第1アダプタ及び携帯用コンピュータと結合する、図4のモジュール
【図8】第2アダプタと結合する、図4のモジュール
【符号の説明】
【0064】
1 中央演算処理装置 CPU1
2 送受信ユニット
3 第1メモリユニット
4 SIMユニット
5 第2メモリユニット
6 第1インタフェース
7 SIMカード
8 開口部
9 第2インタフェース
10 第3インタフェース
11 バー
12 ガイド溝
13 第1スロット
14 第5インタフェース
15 第6インタフェース
16 ハウジング
17 ディスプレイ
18 キーパッド
19 ラウドスピーカ
20 マイクロホン
21 第2スロット
22 ガイドレール
23 第3スロット
24 第1アダプタ
25 第2アダプタ
26 プラグコネクタ
S1 オペレーティングシステムの第1層
S2 オペレーティングシステムの第2層
S3 オペレーティングシステムの第3層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信モジュールであって、
第1中央演算処理装置CPU1(1)と、
多層オペレーティングシステム(S1,S2,S3)を含み、前記CPU1(1)と共に機能する第1メモリユニット(3)と、
複数の送受信ユニットを備えるネットワークと無線データ交換をするための送受信ユニット(2)とを備え、
前記送受信ユニット(2)は、前記ネットワークにおけるユーザの識別のために第2メモリユニット(5)に偽造を防止するように記憶された識別子を要求する特定のデータ送信プロトコルを含み、
さらに、周辺装置への接続のための差込接続の確立に適した第1インタフェース(6)を備える、データ送信モジュール。
【請求項2】
前記第2メモリユニット(5)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記第2メモリユニット(5)の接続のために、第2インタフェース(9)が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記第2メモリユニット(5)は、前記第2インタフェース(9)に対応する第3インタフェースを有するSIMカード(7)の一部であることを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載のモジュール。
【請求項5】
前記第2インタフェース(9)は、前記SIMカード(7)を保持するための第1保持装置(8)に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載のモジュール。
【請求項6】
前記第1保持装置(9)は、前記SIMカード(7)を保持する手段(11)を有することを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載のモジュール。
【請求項7】
前記多層オペレーティングシステムは、前記第1インタフェースに接続される周辺装置との接続を確立するための少なくとも1つのドライバプログラムを有する1つの層を備えることを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載のモジュール。
【請求項8】
前記多層オペレーティングシステムは、少なくとも1つのアプリケーションプログラムを有するもう一つの層を備えることを特徴とする、請求項1乃至7いずれかに記載のモジュール。
【請求項9】
複数のアプリケーションプログラムからアプリケーションプログラムの選択をするためのメニューナビゲーションが設けられていることを特徴とする、請求項1乃至8いずれかに記載のモジュール。
【請求項10】
前記データ送信プロトコルは、以下のグループ:UMTS,GSM,Bluetooth,W−LAN,IR,AMPS,NMT,HSCSD,GPRS,EDGEから選択された標準プロトコルに対応することを特徴とする、請求項1乃至9いずれかに記載のモジュール。
【請求項11】
前記第1メモリユニット(3)を取り外し可能に取り付けるための第1取り付け装置が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至10いずれかに記載のモジュール。
【請求項12】
前記送受信ユニット(2)を取り外し可能に取り付けるための第2取り付け装置が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至11いずれかに記載のモジュール。
【請求項13】
前記送受信ユニット(2)は、第2中央演算処理装置CPU2を備えることを特徴とする、請求項1乃至12いずれかに記載のモジュール。
【請求項14】
前記CPU1(1)、第1メモリユニット(3)、必要ならば第2メモリユニット(5)、及び送受信ユニット(2)がポリマーで成型されていることを特徴とする、請求項1乃至13いずれかに記載のモジュール。
【請求項15】
幅の最大値が6cm、高さの最大値が1cmである直平行6面体の形に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至14いずれかに記載のモジュール。
【請求項16】
前記モジュールは、少なくとも外側部分に電磁波を遮断するためのコーティングが施されていることを特徴とする、請求項1乃至15いずれかに記載のモジュール。
【請求項17】
一体に成形されていることを特徴とする、請求項1乃至16いずれかに記載のモジュール。
【請求項18】
電源装置が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至17いずれかに記載のモジュール。
【請求項19】
電源装置が、バッテリ又は再充電可能なバッテリを備えていることを特徴とする、請求項1乃至18いずれかに記載のモジュール。
【請求項20】
アンテナが設けられていることを特徴とする、請求項1乃至19いずれかに記載のモジュール。
【請求項21】
前記第1インタフェース(6)がプラグコネクタ(26)の形に成形されていることを特徴とする、請求項1乃至20いずれかに記載のモジュール。
【請求項22】
請求項1乃至21いずれかに記載のモジュールとの差込接続を確立するための第1インタフェース(6)に対応する第4インタフェースを備えた周辺装置。
【請求項23】
前記モジュールを保持するための第2保持装置(21)に第4インタフェースが設けられていることを特徴とする、請求項22に記載の周辺装置。
【請求項24】
前記第2保持装置(21)が、前記プラグコネクタ(26)に対応して形成されていることを特徴とする、請求項23に記載の周辺装置。
【請求項25】
前記第2保持装置(21)が、前記モジュールを保持する手段を有することを特徴とする、請求項23又は24に記載の周辺装置。
【請求項26】
さらに電源装置を有することを特徴とする、請求項22乃至25いずれかに記載の周辺装置。
【請求項27】
前記電源装置は、バッテリ又は再充電可能なバッテリを備えていることを特徴とする、請求項26に記載の周辺装置。
【請求項28】
さらにアンテナを有することを特徴とする、請求項22乃至27いずれかに記載の周辺装置。
【請求項29】
ハウジング(16)を有することを特徴とする、請求項22乃至28いずれかに記載の周辺装置。
【請求項30】
前記ハウジング(16)に好ましくはスイベルディスプレイ(17)及び/又はユーザインタフェース(18)が設けられていることを特徴とする、請求項29に記載の周辺装置。
【請求項31】
前記ハウジング(16)が、携帯電話のように形成されていることを特徴とする、請求項29又は30に記載の周辺装置。
【請求項32】
前記周辺装置は、コンピュータ又はモニタであることを特徴とする、請求項22乃至31いずれかに記載の周辺装置。
【請求項33】
前記第1インタフェース(6)に対応する第4インタフェースと、請求項1乃至21いずれかに記載のモジュールを第8インタフェースに接続するためのプラグコネクタとして形成された第7インタフェース(26)とを備え、前記第8インタフェースは、周辺装置(16,18)の第7インタフェース(26)に対応している、アダプタ。
【請求項34】
前記第8インタフェースは、PCMCIA又はUSBインタフェースであることを特徴とする、請求項33に記載のアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−524945(P2008−524945A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547280(P2007−547280)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013441
【国際公開番号】WO2006/066772
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(507208163)
【氏名又は名称原語表記】MAYR, Ralph
【住所又は居所原語表記】Kreuzsteinweg 16, 90765 Furth Germany
【出願人】(507208174)
【氏名又は名称原語表記】SCHOBBERT, Kai Rudiger
【住所又は居所原語表記】Sudliche Stadtmauerstr. 15b, 91054 Erlangen Germany
【出願人】(507208185)
【氏名又は名称原語表記】WIEDEKING, Michael
【住所又は居所原語表記】Schellingstr. 62, 91052 Erlangen Germany
【Fターム(参考)】