説明

トランジスタ、半導体装置及びトランジスタの製造方法

【課題】トランジスタ素子内の電界を十分に緩和する。
【解決手段】表面に凸部12Aを有する半導体基板12と、凸部12Aの側壁部を構成し、凸部12Aの麓から頂上に向かって傾斜する傾斜部12Cと、凸部12Aの頂上にゲート絶縁膜14を介して形成されたゲート電極16と、凸部12Aの頂上で、ゲート電極16及び前記ゲート絶縁膜14の両側壁に形成されたサイドウォール18と、低濃度領域20A,22A及び高濃度領域20B,22Bをそれぞれ含むソース20及びドレイン22と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタ、半導体装置及びトランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化に伴い、トランジスタ等の素子構造の微細化が進展している。特にMOSトランジスタ等のトランジスタでは、微細化によって、ゲート長が短くなると、ゲート電極の端部(ゲートエッジ)等で電界が集中して、短チャネル効果等が顕著となり、オフ電流の増加や、耐圧の低下に影響を及ぼす原因となる。
【0003】
このため、トランジスタの構造として、チャンネルと隣接するドレイン端部(ゲート電極の側方)に低濃度領域を有するLDD(Lightly−Doped Drain)構造を採用することによって、上記電界集中を緩和している。
【0004】
しかしながら、従来のLDD構造では、上記低濃度領域の形成範囲が、ゲート電極の高さや、サイドウォールの幅で制限される。また、低濃度領域を形成するためのイオン注入は、ゲート電極を突き抜けない程度のエネルギーとする必要がある事から、ゲート電極の薄膜化により、注入エネルギーも低エネルギー化の傾向がある。したがって、今後さらに素子構造の微細化が進んだ場合には、上記LDD構造のトランジスタでは、十分にゲート電極の端部内側下方まで低濃度領域を形成する事ができず、素子内の電界を十分に緩和することが困難になってきている。
【0005】
そこで、特許文献1には、ゲート電極の下方にある半導体基板に凸部を形成し、この凸部に上斜め方向から不純物イオンを注入して、ゲート電極の端部内側下方にあるソース及びドレイン形成予定領域に低濃度領域を形成するMOSトランジスタの製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−8430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、ゲート電極の端部の下方にある半導体基板の凸部の角に電界が集中してしまう。また、仮に、低濃度領域を形成する前に、ゲート電極及びゲート酸化膜の側壁にサイドウォールを形成する場合、このサイドウォールの幅によって、低濃度領域の形成範囲が制限されてしまう。
【0008】
本発明は上記事実を考慮し、素子内の電界を十分に緩和することができるトランジスタ、半導体装置及びトランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様に係るトランジスタは、表面に凸部を有する半導体基板と、前記凸部の側壁部を構成し、前記凸部の麓から頂上に向かって傾斜する傾斜部と、前記凸部の頂上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記凸部の頂上で、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜の両側壁に形成されたサイドウォールと、前記サイドウォールの下方と前記ゲート電極の両端部内側下方にある前記凸部内に形成されたソース及びドレインの低濃度領域と、前記低濃度領域と隣接し、前記凸部の両側方にある前記半導体基板内に形成され、前記低濃度領域よりも拡散濃度が高いソース及びドレインの高濃度領域と、を有する。
この構成によれば、ゲート電極の両端部内側下方にまで低濃度領域が形成されているため、トランジスタの微細化によって、ゲート長が短くなって、ゲート電極の端部(ゲートエッジ)等で電界が集中することを防止することができる。
また、半導体基板の凸部の側壁部を構成し、頂上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成された凸部の麓から当該頂上に向かって傾斜する傾斜部を有しているため、凸部の頂上の両端の角が従来(半導体基板に対して直角)に比べて緩やかとなり、当該凸部の角に電界が集中することを抑制し、もって素子内の電界を十分に緩和することができるトランジスタを提供することができる。
【0010】
本発明の第2態様に係るトランジスタは、前記傾斜部は、凹状の丸みを有している。
この構成によれば、凸部と当該凸部の両側方にある半導体基板表面との境界に角がなくなり、当該境界に電界が集中することを抑制することができる。
【0011】
本発明の第3態様に係る半導体装置は、前記トランジスタを含む半導体集積回路を有する。
このように、上述のトランジスタは、半導体集積回路を有する半導体装置に適用することができる。
【0012】
本発明の第4態様に係るトランジスタの製造方法は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜の側壁にサイドウォールを形成する工程と、前記半導体基板内のソース及びドレイン形成予定領域の前記サイドウォールから露出する上面部を酸化して、前記上面部に酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜を除去することにより、前記ゲート電極の下方に前記半導体基板の凸部を形成すると共に前記サイドウォールを後退させる工程と、前記凸部に上斜め方向から第1不純物イオンを注入し熱拡散して、前記ゲート電極の両端部内側下方にある前記ソース及びドレイン形成予定領域に低濃度領域を形成する工程と、前記凸部の両側方に第2不純物イオンを注入し熱拡散して、前記凸部の両側方にある前記ソース及びドレイン形成予定領域に、前記低濃度領域よりも拡散濃度が高い高濃度領域を形成する工程と、を有する。
この製造方法によれば、ゲート電極の下方に半導体基板の凸部を形成し、この凸部に上斜め方向から第1不純物イオンを注入するので、凸部と凸部の両側方にある半導体基板の段差分、ゲート電極の両端部内側下方にあるソース及びドレイン形成予定領域に第1不純物イオンを注入し易くすることができる。
また、半導体基板のソース及びドレイン形成予定領域の上面部の酸化膜を除去する際に、サイドウォールの一部も除去されて、サイドウォールが後退、すなわちサイドウォールの幅が狭められる。このようにサイドウォールの幅が狭まると、上斜め方向から第1不純物イオンを注入する際に、凸部に注入される第1不純物イオンの量が増大するため、ゲート電極の両端部内側下方にあるソース及びドレイン形成予定領域に低濃度領域を広く形成することができ、素子内の電界を十分に緩和することができる。
また、単に、半導体基板内のソース及びドレイン形成予定領域のサイドウォールから露出する上面部を除去する場合と比較して、当該上面部を一旦酸化して除去する工程を採用することにより、凸部の両側壁部が傾斜し、かつ、凹状の丸みを有することとなる。この結果、凸部の頂上の両端の角が従来(半導体基板に対して直角)に比べて緩やかとなり、また凸部と当該凸部の両側方にある半導体基板表面との境界に角がなくなり、当該凸部の角や当該境界に電界が集中することを抑制し、もって素子内の電界を十分に緩和することができるトランジスタを提供することができる。
【0013】
本発明の第5態様に係るトランジスタの製造方法は、前記ゲート電極を形成する工程の後で、かつ前記サイドウォールを形成する工程の前に、前記ゲート電極をマスクとして、前記第1不純物イオンと同一の不純物イオンを前記ソース及びドレイン形成予定領域に注入する工程を有する。
この製造方法によれば、予めサイドウォールを形成する前に、低濃度領域を形成する際に注入する第1不純物イオンと同一の不純物イオンをソース及びドレイン形成予定領域に注入するので、サイドウォールの影響を受けることなく、後に形成されるサイドウォール下方にあるソース及びドレイン形成予定領域に予め低濃度領域を形成することができ、低濃度領域と高濃度領域を確実に隣接させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記構成としたので、素子内の電界を十分に緩和するトランジスタ、半導体装置及びトランジスタの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るトランジスタの概略構成を示す図である。
【図2−1】本発明の実施形態に係るトランジスタの製造方法の製造手順を示す図である。
【図2−2】図2−1の製造手順の続きを示す図である。
【図3】比較例に係るトランジスタの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(構成)
まず、本発明の実施形態に係るトランジスタの構成について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るトランジスタの概略構成を示す図である。
本発明の実施形態に係るトランジスタ10は、MOS(金属酸化膜半導体)トランジスタであり、例えばp型Si等からなる半導体基板12を備えている。
【0018】
半導体基板12には、表面に凸部12Aが形成されており、その両側壁部は、凸部12Aの麓から頂上に向かって傾斜する傾斜部12Cで構成される。なお、全図面においてこの傾斜部12Cは、直線状に傾斜しているが、凹状の丸みを有していることが好ましい。
当該凸部12Aの頂上には、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜14が形成されている。そして、ゲート絶縁膜14上には、ゲート電極16が形成されている。
【0019】
凸部12A上で、ゲート電極16及びゲート絶縁膜14の側壁には、例えば窒化膜等からなるサイドウォール18が形成されている。
【0020】
半導体基板12の凸部12Aの両側壁部(傾斜部12C)から、凸部12Aの両側方にある凹部12Bにかけての半導体基板12表面には、ソース20とドレイン22とが形成されている。
ソース20とドレイン22は、低濃度領域20A,22Aと、低濃度領域20A,22Aよりも不純物の拡散濃度が高い高濃度領域20B,22Bとで構成される。
【0021】
低濃度領域20A,22Aは、サイドウォール18の下方とゲート電極16の両端部内側下方にある凸部12A内に、凸部12A内の中央部にあるチャネルを挟んでそれぞれ配置されている。この低濃度領域20A,22Aのドーズ量は、例えば1×1013cm−2等である。
【0022】
高濃度領域20B,22Bは、低濃度領域20A、22Aの端部にそれぞれ隣接し、凸部12Aの両側方にある凹部12Bの半導体基板12内に配置されている。この高濃度領域20B,22Bのドーズ量は、例えば1×1015cm−2等である。
【0023】
高濃度領域20B、22Bの外側(高濃度領域20B,22Bの間を内側とする)には、素子分離領域としてのSTI(Shallow Trench Isolation)24が形成されている。
【0024】
(製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るトランジスタ10の製造方法について説明する。
【0025】
図2−1は、本発明の実施形態に係るトランジスタ10の製造方法の製造手順を示す図である。図2−2は、図2−1の製造手順の続きを示す図である。
【0026】
まず、図2−1(a)に示すように、Si等からなる半導体基板12を用意し、半導体基板12内にSTI24を形成する。STI24の形成後、半導体基板12にp型の不純物として例えばホウ素を注入する。そして、半導体基板12上に、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜とポリシリコン等からなる電極膜を順次積層し、レジストパターンによるエッチングで、STI24に挟まれる半導体基板12上にゲート絶縁膜14とゲート電極16を形成する。
次に、ゲート電極16をマスクとして、後述する低濃度領域20A,22Aを形成する際に注入する不純物イオン(例えばリン)と同一の不純物イオンを、露出する半導体基板12に注入する。具体的には、半導体基板12内のソース及びドレイン形成予定領域26,28に注入する。そして、このソース及びドレイン形成予定領域26,28の端部上で、かつゲート電極16及びゲート絶縁膜14の側壁に窒化膜等からなるサイドウォール18を形成する。
【0027】
次に、図2−1(b)に示すように、ゲート電極16及びサイドウォール18をマスクとして、半導体基板12を酸化、すなわち半導体基板12のソース及びドレイン形成予定領域26,28のサイドウォール18から露出する上面部を酸化して、この上面部に酸化膜30を形成する。なお、この際、ゲート電極16の上面部にも酸化膜16Aが形成される。
酸化の方法は、特に限定されないが、例えば図2−1(a)に示す半導体基板12を電気炉内に入れて、当該電気炉内に酸素を流しながら熱酸化する方法等が挙げられる。
【0028】
次に、図2−1(c)に示すように、形成した酸化膜30をウェットエッチングにより除去し、ゲート電極16の下方に半導体基板12の凸部12Aを形成する。このウェットエッチングの際、酸化膜30だけでなく、サイドウォール18の一部も除去され、サイドウォール18が後退する(サイドウォール18の幅が狭まる)。また、ゲート電極16の上面部に形成された酸化膜16Aも除去される。また、この凸部12Aの両側壁部は、酸化膜30を除去したことにより、凸部12Aの麓から頂上に向かって傾斜することとなる。このような凸部12Aの両側壁部を傾斜部12Cと称す。この傾斜部12Cは、凹状の丸みを有している。
そして、ゲート電極16をマスクとし、半導体基板12基板を回転させながら、半導体基板12の凸部12Aに上斜め方向からリン等のn型不純物イオン32を注入する。なお、このn型不純物イオン32の注入は、ゲート電極16を突き抜けない程度の高エネルギーで行う。
【0029】
次に、図2−2(d)に示すように、注入したn型不純物イオン32を熱拡散して、ソース及びドレイン形成予定領域26,28を広げ、ゲート電極16の両端部内側下方にまで拡がったソース及びドレイン形成予定領域26,28に低濃度領域20A,22Aを形成する。
【0030】
次に、図2−2(e)に示すように、半導体基板12に対してほぼ0度の入射角度から、半導体基板12に不純物イオン40を注入する。具体的には、凸部12Aの両側方に、例えば低濃度領域20A,22Aを形成する際に注入した不純物イオン32と同型のn型不純物イオン40を注入する。n型不純物イオン40としては、例えばヒ素イオンが挙げられる。
【0031】
最後に、図2−2(f)に示すように、注入したn型不純物イオン40を熱拡散して、凸部12Aの両側方の凹部12Bにあるソース及びドレイン形成予定領域26,28に、上述の低濃度領域20A,22Aよりも拡散濃度が高い高濃度領域20B,22Bを形成する。
【0032】
以上の製造手順を経ることにより、図1に示すような本発明の実施形態に係るトランジスタ10を得ることができる。
【0033】
(効果)
ここで、比較例に係るトランジスタ500を説明する。図3は、比較例に係るトランジスタ500の構成を示す図である。
比較例に係るトランジスタ500は、表面が平らでp型の半導体基板502上にゲート絶縁膜504を介して形成されたゲート電極506を有している。また、半導体基板502上には、ゲート電極506及びゲート絶縁膜504の両側壁にサイドウォール508が形成されている。このサイドウォール508の下方にある半導体基板502内には、ソース510及びドレイン512の低濃度領域510A,512Aが形成されており、サイドウォール508の側方の下方にある半導体基板12内には、低濃度領域510A,512Aと隣接し、低濃度領域510A,512Aよりも拡散濃度が高いソース510及びドレイン512の高濃度領域510B,512Bが形成されている。また、高濃度領域510B,512Bの外側には、素子分離領域としてのSTI514が形成されている。
このような構成は、例えば、サイドウォール508を形成する前に、上斜め方向からn型不純物イオンを注入して低濃度領域510A,512Aを形成し、サイドウォール508を形成した後に、半導体基板502に対してほぼ0度の入射角度から、半導体基板12にn型不純物イオンを注入して、製造される。
【0034】
一方、本発明の実施形態に係るトランジスタ10によれば、比較例に比べて、ゲート電極16の両端部内側下方にまで低濃度領域20A、22Aが形成されているため、半導体装置12の高集積化に伴うトランジスタ10の微細化によって、ゲート長が短くなって、ゲート電極16の端部(ゲートエッジ)等で電界が集中することを防止することができる。
また、比較例に比べて、半導体基板12の凸部12Aの側壁部を構成し、頂上にゲート絶縁膜14を介してゲート電極16が形成された凸部12Aの麓から当該頂上に向かって傾斜する傾斜部12Cを有しているため、凸部12Aの頂上の両端の角が比較例(半導体基板12に対して直角)に比べて緩やかとなり、当該凸部12Aの角に電界が集中することを抑制し、もって素子内の電界を十分に緩和することができるトランジスタを提供することができる。
また、この傾斜部12Cが凹状の丸みを有していると、凸部12Aと当該凸部12Aの両側方にある半導体基板12表面との境界に角がなくなり、当該境界に電界が集中することを抑制することができる。
【0035】
また、本発明の実施形態に係るトランジスタ10の製造方法によれば、ゲート電極16の下方に半導体基板12の凸部12Aを形成し、この凸部12Aに上斜め方向から第1不純物イオン32を注入するので、比較例に比べて、凸部12Aと凸部12Aの両側方にある半導体基板12の段差分、ゲート電極16の両端部内側下方にあるソース及びドレイン形成予定領域26,28に第1不純物イオン32を注入し易くすることができる。
また、半導体基板12のソース及びドレイン形成予定領域26,28の上面部の酸化膜30を除去する際に、サイドウォール18の一部も除去されて、サイドウォール18が後退、すなわちサイドウォール18の幅が狭められる。このようにサイドウォール18の幅が狭まると、上斜め方向から第1不純物イオン32を注入する際に、凸部12Aに注入される第1不純物イオン32の量が増大するため、ゲート電極16の両端部内側下方にあるソース及びドレイン形成予定領域26,28に低濃度領域20A,22Aを広く形成することができ、素子内の電界を十分に緩和することができる。
また、単に、半導体基板12内のソース及びドレイン形成予定領域26,28のサイドウォール18から露出する上面部を除去する場合と比較して、当該上面部を一旦酸化して除去する工程を採用することにより、凸部12Aの両側壁部が傾斜し、かつ、凹状の丸みを有することとなる。この結果、凸部12Aの頂上の両端の角が比較例(半導体基板に対して直角)に比べて緩やかとなり、また凸部12Aと当該凸部12Aの両側方にある半導体基板12表面との境界に角がなくなり、当該凸部12Aの角や当該境界に電界が集中することを抑制し、もって素子内の電界を十分に緩和することができるトランジスタ10を提供することができる。
また、予めサイドウォール18を形成する前に、低濃度領域20A,22Aを形成する際に注入する不純物イオン32と同一の不純物イオンをソース及びドレイン形成予定領域26,28に注入するので、サイドウォール18の影響を受けることなく、後に形成されるサイドウォール18下方にあるソース及びドレイン形成予定領域26,28に予め低濃度領域を形成することができ、後に形成する低濃度領域20A,22Aと高濃度領域20B,22Bを確実に隣接させることができる。
【0036】
(変形例)
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
例えば、実施形態に係るトランジスタ10の製造方法では、ゲート電極16を形成する工程の後で、かつサイドウォール18を形成する工程の前に、ゲート電極16をマスクとして、低濃度領域20A,22Aを形成する際に注入する不純物イオン32と同一の不純物イオンをソース及びドレイン形成予定領域26,28に注入する工程を有する場合を説明したが、この工程は省略することも可能である。
【0037】
また、実施形態に係るトランジスタ10は、半導体集積回路の高集積化を図る半導体装置に適用する場合に特に有用となる。
【0038】
また、STI24は、トランジスタ10を半導体装置に適用する場合に、素子間の分離を目的としたものであるが、本発明では必須の構成となるものではない。
【0039】
また、実施形態に係るトランジスタ10は、p型チャネルのトランジスタである場合を説明したが、n型チャネルのトランジスタであってもよく、また、MOSトランジスタである場合を説明したが、他の材料や構成からなるトランジスタにも適用が可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 トランジスタ
12A 凸部
12 半導体基板
14 ゲート絶縁膜
16 ゲート電極
18 サイドウォール
20 ソース
20A,22A 低濃度領域
20B,22B 高濃度領域
22 ドレイン
26,28 ソース及びドレイン形成予定領域
30 酸化膜
32 n型不純物イオン(第1不純物イオン)
40 n型不純物イオン(第2不純物イオン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凸部を有する半導体基板と、
前記凸部の側壁部を構成し、前記凸部の麓から頂上に向かって傾斜する傾斜部と、
前記凸部の頂上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記凸部の頂上で、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜の両側壁に形成されたサイドウォールと、
前記サイドウォールの下方と前記ゲート電極の両端部内側下方にある前記凸部内に形成されたソース及びドレインの低濃度領域と、
前記低濃度領域と隣接し、前記凸部の両側方にある前記半導体基板内に形成され、前記低濃度領域よりも拡散濃度が高いソース及びドレインの高濃度領域と、
を有するトランジスタ。
【請求項2】
前記傾斜部は、凹状の丸みを有している請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のトランジスタを含む半導体集積回路を有する半導体装置。
【請求項4】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜の側壁にサイドウォールを形成する工程と、
前記半導体基板内のソース及びドレイン形成予定領域の前記サイドウォールから露出する上面部を酸化して、前記上面部に酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜を除去することにより、前記ゲート電極の下方に前記半導体基板の凸部を形成すると共に前記サイドウォールを後退させる工程と、
前記凸部に上斜め方向から第1不純物イオンを注入し熱拡散して、前記ゲート電極の両端部内側下方にある前記ソース及びドレイン形成予定領域に低濃度領域を形成する工程と、
前記凸部の両側方に第2不純物イオンを注入し熱拡散して、前記凸部の両側方にある前記ソース及びドレイン形成予定領域に、前記低濃度領域よりも拡散濃度が高い高濃度領域を形成する工程と、
を有するトランジスタの製造方法。
【請求項5】
前記ゲート電極を形成する工程の後で、かつ前記サイドウォールを形成する工程の前に、 前記ゲート電極をマスクとして、前記第1不純物イオンと同一の不純物イオンを前記ソース及びドレイン形成予定領域に注入する工程を有する、
請求項4に記載のトランジスタの製造方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−211089(P2011−211089A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79465(P2010−79465)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】