トロイダル型無段変速機の変速制御装置
【課題】トロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力する構造において装置全体の大型化を抑制できるトロイダル型無段変速機の変速制御装置を提供する。
【解決手段】このトロイダル型無段変速機の変速制御装置においては、変速比制御弁112は、正転用および逆転用が2つ存在し、共通の1つのステッピングモータ113によりリンク機構200を介して軸方向に変位させられるスリーブと、このスリーブ内に軸方向に変位自在に嵌装されるスプールとを有する。つまり、2つの変速比制御弁112,112がリンク機構200を介して共通の1つのステッピングモータ113に連結されて作動される。
【解決手段】このトロイダル型無段変速機の変速制御装置においては、変速比制御弁112は、正転用および逆転用が2つ存在し、共通の1つのステッピングモータ113によりリンク機構200を介して軸方向に変位させられるスリーブと、このスリーブ内に軸方向に変位自在に嵌装されるスプールとを有する。つまり、2つの変速比制御弁112,112がリンク機構200を介して共通の1つのステッピングモータ113に連結されて作動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図2および図3に示すように構成されている。図2に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
【0003】
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
【0004】
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力側ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図3参照)が回転自在に挟持されている。
【0005】
図2中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図2の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
【0006】
図3は、図6のA−A線に沿う断面図である。図3に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図3においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図3の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
【0007】
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸(軸部)23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、ラジアルニードル軸受99を介して各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
【0008】
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図3の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図2の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
【0009】
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図3で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
【0010】
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
【0011】
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
【0012】
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図3の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置(トロイダル変速部を構成する)32を構成している。
【0013】
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
【0014】
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図3の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
【0015】
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の変速比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
【0016】
また、上記構成において、駆動装置32への圧油の給排状態は、図4に示されるような変速比制御弁112により行なわれ、トラニオン15の動きがこの変速比制御弁112にフィードバックされるようになっている。この変速比制御弁112は、ステッピングモータ113によりリンク部材120を介して軸方向に変位させられるスリーブ114と、このスリーブ114の内径側に軸方向に変位自在に嵌装されたスプール115とを有する。また、トラニオン15と各駆動装置32の駆動ピストン33とを連結する駆動ロッド29の端部にプリセスカム118が固定されており、このプリセスカム118とリンク腕119とを介して、駆動ロッド29の動き、すなわち、軸方向の変位量と回転方向の変位量との合成値がスプール115に伝達される、フィードバック機構が構成されている。
【0017】
変速状態を切り換える際には、ステッピングモータ113によりリンク部材120を介してスリーブ114を所定量だけ変位させて、変速比制御弁112の流路を開く。この結果、各駆動装置32に圧油が所定方向に送り込まれて、これら各駆動装置32が各トラニオン15を所定方向に変位させる。すなわち、上記圧油の送り込みに伴ってこれら各トラニオン15が各枢軸14の軸方向に変位しつつ、これら各枢軸14を中心に揺動する。そして、トラニオン15の動き(軸方向及び揺動変位)が、駆動ロッド29の端部に固定されたプリセスカム118とリンク腕119とを介してスプール115に伝達され、このスプール115を軸方向に変位させる。この結果、トラニオン15が所定量変位した状態で、変速比制御弁112の流路が閉じられ、各駆動装置32への圧油の給排が停止される。従って、各トラニオン15の軸方向及び揺動方向の変位量は、ステッピングモータ113によるスリーブ114の変位量に応じただけのものとなる。
【0018】
ところで、トロイダル変速部に入力される回転方向が正転および逆転の両方ある場合には、前進用および後進用として2つの変速比制御弁が設けられるが、トロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力した場合、変速制御および変速フィードバックに重要な出力側ディスク3,3間で伝達するパワーローラ11の傾斜方向も入力回転方向に合わせて制御する必要がある。そのため、特許文献1〜5等においては、パワーローラ11を所定の傾転位置に駆動する変速油圧アクチュエータと、パワーローラ11の傾転量をフィードバックしつつ変速制御弁に油圧信号を出力する変速装置とが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特公平7−113410号公報
【特許文献2】特開平7−027212号公報
【特許文献3】特開平7−269673号公報
【特許文献4】特許第4055253号公報
【特許文献5】特開平8−28645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
このようにトロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力する構造は、装置の複雑化・大型化を招く傾向にあるが、従来の構造では、正転および逆転に対応して2つのステッピングモータおよびプリセスカムを設けているため、装置の大型化および複雑化が更に助長される。
【0021】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、トロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力する構造において装置全体の大型化を抑制できるトロイダル型無段変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するために、本発明は、トロイダル型無段変速機のトラニオンを軸方向に変位させる駆動装置への圧油の給排を制御して無段変速機の無段変速を生起させる変速比制御弁を備え、該変速比制御弁は、ステッピングモータによりリンク部材を介して軸方向に変位させられるスリーブと、このスリーブ内に軸方向に変位自在に嵌装されるスプールとを有し、無段変速機の前記駆動装置の駆動ピストンを保持する駆動ロッドがカム・リンク機構を介して前記スプールに連結されることにより駆動ロッドの動きをスプールに伝達するフィードバック機構が構成されるトロイダル型無段変速機の変速制御装置であって、前記駆動装置を伴うトロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力するために前記変速比制御弁が2つ設けられるとともに、前記トロイダル変速部に入力される回転方向が正転か逆転かを検出する検出手段を備え、前記検出手段の検出結果に基づいて駆動されるべき正転用の変速比制御弁と逆転用の変速比制御弁とを切替弁により選択的に切り替える、トロイダル型無段変速機の変速制御装置において、前記2つの変速比制御弁がリンク機構を介して共通の1つのステッピングモータに連結されて作動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のトロイダル型無段変速機の変速制御装置によれば、2つの変速比制御弁に対してステッピングモータが1つで済むため、トロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力する構造において装置全体の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る無段変速機の変速制御装置を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は概略平面図である。
【図2】従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】従来の変速制御装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、トロイダル型無段変速機の無段変速を生起させる変速制御装置の構造形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図2〜図4と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
【0026】
図1は、前述したトロイダル型無段変速機のトラニオン15を軸方向に変位させる駆動装置32への圧油の給排を制御して無段変速機の無段変速を生起させる変速比制御弁112を備える本発明の実施形態の変速制御装置を示している。
【0027】
図示のように、変速比制御弁112は、正転用および逆転用が2つ存在し、共通の1つのステッピングモータ113によりリンク機構200を介して軸方向に変位させられるスリーブと、このスリーブ内に軸方向に変位自在に嵌装されるスプールとを有する。つまり、本実施形態では、2つの変速比制御弁112,112がリンク機構200を介して共通の1つのステッピングモータ113に連結されて作動される(1つの共通のステッピングモータ113と2つの変速比制御弁112,112とがリンク機構200で連動される)。なお、リンク機構200は、リンク支点200a,200aを中心に回動できるようになっている。
【0028】
また、背景技術に関連して前述したように、本実施形態の変速制御装置は、トロイダル型無段変速機の駆動装置32の駆動ピストン33を保持する駆動ロッド29がプリセスカム118とリンク腕119とから成るカム・リンク機構を介して前記スプールに連結されることにより、駆動ロッド29の動きを前記スプールに伝達するフィードバック機構を構成する。図から分かるように、本実施形態において、プリセスカム118は2つの変速比制御弁112,112で共用される。
【0029】
また、本実施形態では、トロイダル変速部に入力される回転方向が正転か逆転かを検出する検出手段220が設けられており、検出手段220の検出結果に基づいて駆動されるべき正転用の変速比制御弁112と逆転用の変速比制御弁112とが切替弁210により切り替えられる(切替弁210によって変速比制御弁112,112の油圧が切り替えられる)ようになっている。なお、切替弁は油圧回路により駆動装置32(変速アクチュエータ)にも接続される。
【0030】
このような構成では、背景技術で前述したように、ステッピングモータ113に変速信号を送ると、変速比制御弁112が作動し、駆動装置32の圧油が変化してパワーローラ11がオフセットされる。それにより、傾転力が発生して変速動作が行なわれる。また、変速を終了するために、前述したフィードバック機構により、プリセスカム118には正回転用および逆回転用のカムリフトが一体的に設けられていることから、リンク腕119で正転用の変速比制御弁112および逆転用の変速比制御弁112にフィードバックされる。それにより、変速比制御弁112の弁が閉じ、変速が終了する。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、2つの変速比制御弁112,112に対してステッピングモータ113およびプリセスカム118が1つで済むため、トロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力する構造において装置全体の大型化を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
15 トラニオン
29 駆動ロッド
32 駆動装置(トロイダル変速部)
33 駆動ピストン
112 変速比制御弁
113 ステッピングモータ
114 スリーブ
115 スプール
118 プリセスカム(カム・リンク機構)
119 リンク腕(カム・リンク機構)
200 リンク機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図2および図3に示すように構成されている。図2に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
【0003】
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
【0004】
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力側ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図3参照)が回転自在に挟持されている。
【0005】
図2中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図2の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
【0006】
図3は、図6のA−A線に沿う断面図である。図3に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図3においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図3の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
【0007】
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸(軸部)23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、ラジアルニードル軸受99を介して各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
【0008】
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図3の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図2の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
【0009】
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図3で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
【0010】
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
【0011】
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
【0012】
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図3の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置(トロイダル変速部を構成する)32を構成している。
【0013】
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
【0014】
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図3の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
【0015】
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の変速比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
【0016】
また、上記構成において、駆動装置32への圧油の給排状態は、図4に示されるような変速比制御弁112により行なわれ、トラニオン15の動きがこの変速比制御弁112にフィードバックされるようになっている。この変速比制御弁112は、ステッピングモータ113によりリンク部材120を介して軸方向に変位させられるスリーブ114と、このスリーブ114の内径側に軸方向に変位自在に嵌装されたスプール115とを有する。また、トラニオン15と各駆動装置32の駆動ピストン33とを連結する駆動ロッド29の端部にプリセスカム118が固定されており、このプリセスカム118とリンク腕119とを介して、駆動ロッド29の動き、すなわち、軸方向の変位量と回転方向の変位量との合成値がスプール115に伝達される、フィードバック機構が構成されている。
【0017】
変速状態を切り換える際には、ステッピングモータ113によりリンク部材120を介してスリーブ114を所定量だけ変位させて、変速比制御弁112の流路を開く。この結果、各駆動装置32に圧油が所定方向に送り込まれて、これら各駆動装置32が各トラニオン15を所定方向に変位させる。すなわち、上記圧油の送り込みに伴ってこれら各トラニオン15が各枢軸14の軸方向に変位しつつ、これら各枢軸14を中心に揺動する。そして、トラニオン15の動き(軸方向及び揺動変位)が、駆動ロッド29の端部に固定されたプリセスカム118とリンク腕119とを介してスプール115に伝達され、このスプール115を軸方向に変位させる。この結果、トラニオン15が所定量変位した状態で、変速比制御弁112の流路が閉じられ、各駆動装置32への圧油の給排が停止される。従って、各トラニオン15の軸方向及び揺動方向の変位量は、ステッピングモータ113によるスリーブ114の変位量に応じただけのものとなる。
【0018】
ところで、トロイダル変速部に入力される回転方向が正転および逆転の両方ある場合には、前進用および後進用として2つの変速比制御弁が設けられるが、トロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力した場合、変速制御および変速フィードバックに重要な出力側ディスク3,3間で伝達するパワーローラ11の傾斜方向も入力回転方向に合わせて制御する必要がある。そのため、特許文献1〜5等においては、パワーローラ11を所定の傾転位置に駆動する変速油圧アクチュエータと、パワーローラ11の傾転量をフィードバックしつつ変速制御弁に油圧信号を出力する変速装置とが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特公平7−113410号公報
【特許文献2】特開平7−027212号公報
【特許文献3】特開平7−269673号公報
【特許文献4】特許第4055253号公報
【特許文献5】特開平8−28645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
このようにトロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力する構造は、装置の複雑化・大型化を招く傾向にあるが、従来の構造では、正転および逆転に対応して2つのステッピングモータおよびプリセスカムを設けているため、装置の大型化および複雑化が更に助長される。
【0021】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、トロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力する構造において装置全体の大型化を抑制できるトロイダル型無段変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するために、本発明は、トロイダル型無段変速機のトラニオンを軸方向に変位させる駆動装置への圧油の給排を制御して無段変速機の無段変速を生起させる変速比制御弁を備え、該変速比制御弁は、ステッピングモータによりリンク部材を介して軸方向に変位させられるスリーブと、このスリーブ内に軸方向に変位自在に嵌装されるスプールとを有し、無段変速機の前記駆動装置の駆動ピストンを保持する駆動ロッドがカム・リンク機構を介して前記スプールに連結されることにより駆動ロッドの動きをスプールに伝達するフィードバック機構が構成されるトロイダル型無段変速機の変速制御装置であって、前記駆動装置を伴うトロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力するために前記変速比制御弁が2つ設けられるとともに、前記トロイダル変速部に入力される回転方向が正転か逆転かを検出する検出手段を備え、前記検出手段の検出結果に基づいて駆動されるべき正転用の変速比制御弁と逆転用の変速比制御弁とを切替弁により選択的に切り替える、トロイダル型無段変速機の変速制御装置において、前記2つの変速比制御弁がリンク機構を介して共通の1つのステッピングモータに連結されて作動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のトロイダル型無段変速機の変速制御装置によれば、2つの変速比制御弁に対してステッピングモータが1つで済むため、トロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力する構造において装置全体の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る無段変速機の変速制御装置を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は概略平面図である。
【図2】従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】従来の変速制御装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、トロイダル型無段変速機の無段変速を生起させる変速制御装置の構造形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図2〜図4と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
【0026】
図1は、前述したトロイダル型無段変速機のトラニオン15を軸方向に変位させる駆動装置32への圧油の給排を制御して無段変速機の無段変速を生起させる変速比制御弁112を備える本発明の実施形態の変速制御装置を示している。
【0027】
図示のように、変速比制御弁112は、正転用および逆転用が2つ存在し、共通の1つのステッピングモータ113によりリンク機構200を介して軸方向に変位させられるスリーブと、このスリーブ内に軸方向に変位自在に嵌装されるスプールとを有する。つまり、本実施形態では、2つの変速比制御弁112,112がリンク機構200を介して共通の1つのステッピングモータ113に連結されて作動される(1つの共通のステッピングモータ113と2つの変速比制御弁112,112とがリンク機構200で連動される)。なお、リンク機構200は、リンク支点200a,200aを中心に回動できるようになっている。
【0028】
また、背景技術に関連して前述したように、本実施形態の変速制御装置は、トロイダル型無段変速機の駆動装置32の駆動ピストン33を保持する駆動ロッド29がプリセスカム118とリンク腕119とから成るカム・リンク機構を介して前記スプールに連結されることにより、駆動ロッド29の動きを前記スプールに伝達するフィードバック機構を構成する。図から分かるように、本実施形態において、プリセスカム118は2つの変速比制御弁112,112で共用される。
【0029】
また、本実施形態では、トロイダル変速部に入力される回転方向が正転か逆転かを検出する検出手段220が設けられており、検出手段220の検出結果に基づいて駆動されるべき正転用の変速比制御弁112と逆転用の変速比制御弁112とが切替弁210により切り替えられる(切替弁210によって変速比制御弁112,112の油圧が切り替えられる)ようになっている。なお、切替弁は油圧回路により駆動装置32(変速アクチュエータ)にも接続される。
【0030】
このような構成では、背景技術で前述したように、ステッピングモータ113に変速信号を送ると、変速比制御弁112が作動し、駆動装置32の圧油が変化してパワーローラ11がオフセットされる。それにより、傾転力が発生して変速動作が行なわれる。また、変速を終了するために、前述したフィードバック機構により、プリセスカム118には正回転用および逆回転用のカムリフトが一体的に設けられていることから、リンク腕119で正転用の変速比制御弁112および逆転用の変速比制御弁112にフィードバックされる。それにより、変速比制御弁112の弁が閉じ、変速が終了する。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、2つの変速比制御弁112,112に対してステッピングモータ113およびプリセスカム118が1つで済むため、トロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力する構造において装置全体の大型化を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
15 トラニオン
29 駆動ロッド
32 駆動装置(トロイダル変速部)
33 駆動ピストン
112 変速比制御弁
113 ステッピングモータ
114 スリーブ
115 スプール
118 プリセスカム(カム・リンク機構)
119 リンク腕(カム・リンク機構)
200 リンク機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロイダル型無段変速機のトラニオンを軸方向に変位させる駆動装置への圧油の給排を制御して無段変速機の無段変速を生起させる変速比制御弁を備え、該変速比制御弁は、ステッピングモータによりリンク部材を介して軸方向に変位させられるスリーブと、このスリーブ内に軸方向に変位自在に嵌装されるスプールとを有し、無段変速機の前記駆動装置の駆動ピストンを保持する駆動ロッドがカム・リンク機構を介して前記スプールに連結されることにより駆動ロッドの動きをスプールに伝達するフィードバック機構が構成されるトロイダル型無段変速機の変速制御装置であって、前記駆動装置を伴うトロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力するために前記変速比制御弁が2つ設けられるとともに、前記トロイダル変速部に入力される回転方向が正転か逆転かを検出する検出手段を備え、前記検出手段の検出結果に基づいて駆動されるべき正転用の変速比制御弁と逆転用の変速比制御弁とを切替弁により選択的に切り替える、トロイダル型無段変速機の変速制御装置において、
前記2つの変速比制御弁がリンク機構を介して共通の1つのステッピングモータに連結されて作動されることを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
【請求項1】
トロイダル型無段変速機のトラニオンを軸方向に変位させる駆動装置への圧油の給排を制御して無段変速機の無段変速を生起させる変速比制御弁を備え、該変速比制御弁は、ステッピングモータによりリンク部材を介して軸方向に変位させられるスリーブと、このスリーブ内に軸方向に変位自在に嵌装されるスプールとを有し、無段変速機の前記駆動装置の駆動ピストンを保持する駆動ロッドがカム・リンク機構を介して前記スプールに連結されることにより駆動ロッドの動きをスプールに伝達するフィードバック機構が構成されるトロイダル型無段変速機の変速制御装置であって、前記駆動装置を伴うトロイダル変速部に正転および逆転の回転方向を入力するために前記変速比制御弁が2つ設けられるとともに、前記トロイダル変速部に入力される回転方向が正転か逆転かを検出する検出手段を備え、前記検出手段の検出結果に基づいて駆動されるべき正転用の変速比制御弁と逆転用の変速比制御弁とを切替弁により選択的に切り替える、トロイダル型無段変速機の変速制御装置において、
前記2つの変速比制御弁がリンク機構を介して共通の1つのステッピングモータに連結されて作動されることを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−177393(P2012−177393A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39554(P2011−39554)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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