説明

ドライブレコーダ

【課題】本発明は、事故等が発生した場合の映像情報の記録と常時記録とをうまく組み合わせて行うことが可能なドライブレコーダを提供することを目的とする。
【解決手段】撮像手段(3)で撮像された情報(600)を定常的に不揮発性の記録媒体(6)に記録し、所定の記録条件が成立した場合に撮像手段で撮像された情報(600)を不揮発性の記録媒体に記録するように制御する制御部(24)を有することを特徴とするドライブレコーダ(2)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダに関し、特に限られた記録容量を有する記録媒体に対して情報の記録を行うためのドライブレコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設置したカメラにより車両周辺の映像を撮影し、衝突や急ブレーキなど車両に衝撃が加わった際に周辺映像や車両速度を記録する車載用映像等記録装置、いわゆるドライブレコーダが提案されている。ドライブレコーダを車両に備えることにより、事故が発生した場合には記録した情報を解析して、事故原因を検証することが可能である。また、ドライブレコーダで記録された情報を用いて、運転手の安全運転意識の向上が図れるとともに、日頃の運転状況を記録した映像を安全運転指導などに役立てることもできる。
【0003】
車載カメラにより撮影した映像を循環的に記録し、事故発生時に記録した映像を他の記録媒体に記録するドライブレコーダが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
また、ドライブレコーダではないが、リングバッファを用いて大量のデータを容易に検索可能な形式で記録できるデータ記録装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−16785号公報
【特許文献2】特開平06−237463号公報
【特許文献3】特開2008−97107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、衝撃が小さい場合等には、衝撃によるGセンサ出力が小さく、情報を記録するトリガとなり得ず、映像情報が記録されないという問題があった。また、大きな衝撃が発生する事故の場合でも、衝撃が発生する前後の所定期間のみの映像情報を記録することから、大きな事故に繋がる因果関係が事故発生のかなり前から生じる場合等では、必要な映像情報が記録されないという問題もあった。
【0007】
また、常に、映像情報を記録していたのでは、記録容量に限りのある記録媒体に記録を行うことができなくなってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記の問題を解決することを可能としたドライブレコーダを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、事故等が発生した場合の映像情報の記録と常時記録とをうまく組み合わせて行うことが可能なドライブレコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るドライブレコーダでは、撮像手段で撮像された情報を定常的に不揮発性の記録媒体に記録し、所定の記録条件が成立した場合に撮像手段で撮像された情報を不揮発性の記録媒体に記録するように制御する制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るドライブレコーダでは、衝撃が大きい事故の場合等には記録条件の成立によって映像情報を記録するとともに、そのような大きな衝撃が発生しない場合であっても、定常的に映像情報を循環的に記録媒体に記録するので、記録された映像情報等からより詳しくドライブレコーダが搭載された車両の危険な状況を把握することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明に係るドライブレコーダについて説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
最初に、ドライブレコーダにおける情報の記録について説明する。
【0014】
図1は、車両1にドライブレコーダ2を搭載した例を示す図である。
【0015】
車両1内にドライブレコーダ2が設置され、車両1の前方を撮影するカメラ3と接続されている。カメラ3による映像情報をドライブレコーダ2内の半導体記録部に循環的に記録を行う。所定の記録条件が成立すると、半導体記録部に記録された映像情報がメモリカード6に循環的に記録される。また、所定の記録条件が成立しない場合であっても、半導体記録部に記録された映像情報が、定常的にメモリカードに循環的に記録される。所定の記録条件とは、事故等の発生により車両1へ衝撃が加わった場合等を言い、詳細については後述する。また、メモリカード6への循環的な記録についても、詳細については後述する。
【0016】
また、ドライブレコーダ2は、映像情報の他に、車両の速度情報などを含む運行情報を取得して、ドライブレコーダ2内の半導体記録部に循環的に記録する。運行情報は、映像情報と供にメモリカード6に循環的に記録される。運行情報の詳細については後述する。
【0017】
図2は、ドライブレコーダ2を車両1に設置した例を示す図である。
【0018】
ドライブレコーダ2は、カメラ3、マイクロフォン7、撮影スイッチ8と電気的に接続されている。カメラ3は車室内ミラーの裏側のフロントガラス面に取り付けられ、車両前方を撮影し、映像情報をドライブレコーダ2へ送信する。マイクロフォン7は助手席側足元付近に設置され車両1内の音声を集音する。撮影スイッチ8はハンドル付近に設置され、ユーザに操作されることにより、カメラ3で撮影された映像情報をドライブレコーダ2に記録することができる。なお、図1及び図2では、ドライブレコーダ2と1つのカメラ3のみを接続したが、車両の後方用、側方用、又は車内用など、複数のカメラと接続することも可能である。
【0019】
図3は、ドライブレコーダ2の本体を車両1に設置した例を示す図である。
【0020】
ドライブレコーダ2の本体は助手席側シート300の下側スペースに設置することができる。車両1に衝撃等が加わる際に映像情報等を記録制御するため、本体部は固定して設置される。
【0021】
図4は、再生装置の外観例を示す図である。
【0022】
メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等はパーソナルコンピュータ等から構成される再生装置400により再生される。メモリカード6はパーソナルコンピュータに接続されたI/Fに挿入され、映像情報及び運行情報等が読み取られる。後述するように、再生装置400において、メモリカード6に記録された映像情報等を再生することができる。
【0023】
図5は、ドライブレコーダ2の電気的構成を示すブロック図である。
【0024】
なお、ドライブレコーダ2は映像記録専用の装置としてカメラ3と分離して構成することもできるが、カメラ3及びマイクロフォン7と同一の筐体内に収容して一体的に構成してもよい。また、車載用ナビゲーション装置の一機能として構成することもできる。
【0025】
カメラ3は、車両1の前方を撮影してアナログのビデオ信号を映像情報600として出力するよう制御され、例えば二次元イメージセンサとしてCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)から構成される。
【0026】
加速度センサ5は、車両1に加わる衝撃の大きさを重力加速度として検出する、いわゆるGセンサ(Gravity Accelerative Sensor)で構成される。衝撃を受けるとその重力加速度に基づいた電流を発生する半導体からなり、車両の前後方向及び左右方向の重力加速度の大きさを検出して重力加速度情報602をCPU24へ出力する。
【0027】
メモリカード6は、ドライブレコーダ2から取り外し可能な不揮発性の記録媒体であり、プログラム可能な不揮発性半導体メモリカードであるSDカード(Secure Digital Memory Card)が利用される。しかしながら、取り外し可能な他のメモリカードである、CFカード(Compact Flash Card)及びメモリスティック等を利用しても良い。なお、本例では取り外し可能な記録媒体としてメモリカード6を用いているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、取り外し可能なハードディスク等を利用することもできる。
【0028】
マイクロフォン7は、CPU24と電気的に接続され、車両1の車室内または車外の音声を集音して音声情報603としてCPU24へ送信するよう構成される。音声情報603はCPU24内のアナログ/デジタル変換器でデジタル信号に変換される。なお、道路上の騒音を不必要に集音しないように、マイクロフォンの正面の感度が高い単一指向性マイクロフォンを用いるとよい。
【0029】
撮影スイッチ(撮影SW)8は、ユーザにより操作されることにより、電気的に接続されたCPU24へ押下げ信号を送信する。これにより、CPU24は、後述する運行情報の1つとして、映像情報に対する目印情報を記録させるよう制御する。すなわち、撮影SW8を操作することによって、後でその場面を簡単に検索することが可能となる。
【0030】
GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)受信機9は、複数のGPS衛星から衛星の軌道と、衛星に搭載された原子時計からの時刻データを含む電波信号を受信し、受信した電波の時間差により各衛星との相対的距離差を算出して現在地情報を得る。3個の衛星の電波を捉えれば地球上の平面での位置が判別できる。GPS受信機9は、かかる現在地情報を検出すると、位置情報及び時刻情報からなるGPS情報604をCPU24へ送信する。
【0031】
車速センサ10は、車両1の車輪軸に設けられたローターの回転を回転パルス信号605として出力し、磁気センサまたは光センサにより構成される。なお、CPU24は車速センサ10から受信するパルス信号から単位時間当たりの車輪回転数を算出することで車両1の速度情報を算出している。
【0032】
インターフェイス(I/F)11は、ドライブレコーダ2に設けられたメモリカード6の差込口、いわゆるスロット部を構成する。I/F11は、ドライブレコーダ2から送信される映像情報及び運行情報を含む記録情報606を、差し込まれたメモリカード6へ転送する。
【0033】
画像処理回路13は、カメラ3から入力される映像情報600をデジタル信号に変換し、画像データ609を作成して出力する。例えば、画像処理回路13は、JPEG−IC(Joint Photographic coding Experts Group−Integrated Circuit)から構成され、JPEG形式の静止画像データを作成する。この場合、JPEG−ICはアドレスを指定してデータを出力する機能を有さないため、毎秒30枚の静止画像データ(毎秒30枚のデータファイル)をRAM(Random Access Memory)14へ出力する。
【0034】
RAM14は、画像処理回路13によって変換された静止画像データ(映像情報)609を循環的に常時40秒間分(30×40=1200枚分)記録する。なお、RAM14は、後述する運行情報についても、各静止画像データとリンクさせて循環的に記録する。RAM14には、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が用いられる。SDRAMはCPUのクロックに同期して動作するよう設計されているため、入出力の待ち時間が短く、従来のDRAM(Dynamic Random Access Memory)に比較してアクセスを高速に行うことができ、大容量の映像データを高速に処理する制御に適しているためである。なお、RAM14の記録容量は一例であって、これに限定されるものではない。
【0035】
不揮発性ROM16は、ドライブレコーダ2を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラム17等を記録する。不揮発性ROM16には、マスクROMを用いてもよいが、プログラム可能な不揮発性半導体メモリであるフラッシュメモリ、EEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、強誘電体メモリ等を用いればプログラムの書き込みや消去が可能となる。
【0036】
制御プログラム17は、不揮発性ROM16内に記録されドライブレコーダ2の起動時にCPU24に読み出され、各部の制御やデータ演算処理のプログラムとして機能する。
【0037】
表示灯18は、発光ダイオード等からなり、CPU24から電源が供給されることによりドライブレコーダ2の起動中は点灯し、ユーザへ起動中であることを報知する。また、ドライブレコーダ2に異常が生じた場合には、CPU23が表示灯18を点滅させることにより異常の発生をユーザへ報知するよう構成されている。
【0038】
アクセサリスイッチ(ACCスイッチ)19は、車両1に備えられたエンジン始動用のキーシリンダと電気的に一体に構成されている。ユーザのキー操作によりスイッチがオンとされるとアクセサリオン信号610をドライブレコーダ2へ送信する。ドライブレコーダ2はACCスイッチ19のアクセサリオン信号610を受信することにより、制御を開始する。なお、ACCスイッチ19の出力信号に代わりに、イグニッションキー出力信号を利用することも可能である。
【0039】
電源スイッチ(電源SW)20は、ユーザによりスイッチ操作がなされると、電源オン信号をドライブレコーダ2へ送信する。ACCスイッチ17をオンさせずにドライブレコーダ2を動作させたい場合に用いることができる。
【0040】
バッテリ21は、車両1内に備えられ、ドライブレコーダ2の本体に電源を供給する。また、バッテリは、電源制御回路22及びバックアップバッテリ23へ電源を供給する。なお、バッテリ21は車両に装備可能で12Vの起電力を発生できるものであればよい。
【0041】
電源制御回路22は、CPU24に接続されACCスイッチ19からのオン信号を受信することで、バッテリ21からの電源をCPU24及びドライブレコーダ2の各部へ供給する。また、電源SW20が操作されたことを検知すると、ACCスイッチ19の状態に関わらず電源の供給を開始する。さらに電源制御回路22はACCスイッチ19又は電源SW20のオフを検知することにより、終了信号をCPU24へ送信する。終了信号を受信したCPU24は、制御の終了処理として電源制御回路22にオフ信号を送信する。これにより、電源制御回路22が電源の供給を停止する。
【0042】
バックアップバッテリ(B/Uバッテリ)23は、コンデンサ等から構成され、バッテリ21からの電源をCPU24及びドライブレコーダ2の各部へ供給するよう接続されている。衝突事故等により車両に衝撃が加わると、バッテリ21の破損やバッテリ19と電源制御回路22と接続線の断線が発生する恐れがある。この場合、B/Uバッテリ23は、蓄電された電源をCPU24等へ供給することで、ドライブレコーダ2の電源のバックアップを行う。
【0043】
CPU(Central Processing Unit)24は、ドライブレコーダ2の制御装置として動作し、マイクロコンピュータ等により構成される。CPU24は、制御プログラム17に基づき、ドライブレコーダ2の各部の制御やデータ演算処理等を実行する。
【0044】
図6は、再生装置400の電気的構成を示すブロック図である。
【0045】
インターフェイス(I/F)411は、再生装置400に設けられたメモリカード6の差込口、いわゆるスロット部を構成する。I/F411は、メモリカード6に記録された、映像情報及び運行情報等を再生装置400側に転送する。
【0046】
RAM414は、CPU424がメモリカード6から転送された映像情報の画像処理及び運行情報の情報処理等を行う際に一時的にデータを記録するために利用される。RAM414には、例えばSDRAMが用いられる。
【0047】
不揮発性ROM416は、再生装置400を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラム417等を記録する。不揮発性ROM16には、例えば、EEPROM、強誘電体メモリ等が用いられる。
【0048】
制御プログラム417は、不揮発性ROM416内に記録され、再生装置400の起動時にCPU424に読み出され、各部の制御やデータ演算処理のプログラムとして機能する。
【0049】
CPU424は、再生装置400の制御装置として動作し、マイクロコンピュータ等により構成される。CPU424は、制御プログラム417に基づき、再生装置400の各部の制御やデータ演算処理等を実行する。
【0050】
操作部430は、キーボード、マウス等から構成され、ユーザが再生装置400を操作する場合に、CPU424への操作入力を行うための手段として利用する。
【0051】
表示部440は、液晶表示装置等から構成され、メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等を適宜表示するために利用される。
【0052】
地図情報記録部450は、ハードディスク、DVD等の記録媒体によって構成され、道路情報及び制限速度情報等を含んだ地図情報が記録されている。
【0053】
カード情報記録部460は、ハードディスク等の記録媒体によって構成され、メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等を、記録するために利用される。
【0054】
次に、ドライブレコーダ2における映像情報及び運行情報等の記録手順について説明する。ドライブレコーダ2における記録には、所定の記録条件が成立した場合の記録と、常時記録(定常的な記録)の2種類が存在する。
【0055】
記録条件が成立する場合とは、以下の2つ場合を言う。
【0056】
1.「G検知」:加速度センサ5が、所定の閾値以上の重力加速度を検出した場合。具体的には、車両1の前後方向の重力加速度をGy及び車両1の左右方向の重力加速度をGxとすると、CPU24が、加速度センサ5からの出力の合成重力加速度の絶対値(Gx2+Gy20・5を10ミリ秒毎に検出し、閾値加速度以上の値が、閾値継続時間以上連続して検出された場合に、記録条件が成立したと判断する。なお、閾値加速度を0.40Gに、閾値継続時間を100ミリ秒設定することができるが、これらの値は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0057】
2.「速度トリガ」:車速センサ10から検出した車両1の所定の期間内の速度差が、閾値以上となった場合。具体的には、60km/h以上で走行中に、1秒間の減速が、14km/h以上となった場合に、記録条件が成立したと判断する。
【0058】
なお、上記2つの記録条件は、一例であって、他の条件を記録条件とすることも可能である。
【0059】
運行情報とは、以下の情報を言う。
【0060】
1.加速度センサ5から検出した重力加速度情報(Gy、Gx)。
2.操作SW8の押下情報。操作SW8が押下げられたことを示す情報であって、例えば、ユーザが何か気になる事象が起きた場合に、あとで記憶を容易にたどるためのマーク付けとして操作SW8を利用できるように構成した。
3.GPS受信機9から検出した車両1の位置情報(緯度及び経度情報)及び時刻情報。
4.車速センサ10から検出した速度情報。
5.ACCスイッチ19のON/OFF情報。
【0061】
なお、運行情報の内容は、必ずしも上記の情報に限定されるものではなく、例えばウィンカー等の灯火類の点灯状態やハンドル操舵角のような車両1の運行や走行に関する情報を含めるようにしても良い。
【0062】
図7は、メモリカード6の記録領域の利用例を示す図である。
【0063】
メモリカード6の記録領域100には、記録条件が成立した場合にデータが記録される第1領域101と、常時記録によってデータが記録される第2領域102、及びその他領域103が割当られている。なお、その他領域103には、メモリカード6の管理プログラム、管理データ、メモリカード6の固有のID、メモリカード6を利用した利用者(例えば、タクシー乗務員等)のID(又は氏名のデータ)等が記録されている。
【0064】
第1領域101には、記録条件が成立した場合の映像情報及び運行情報を含むフォルダを記録することができる全部で15の領域が割り当てられている。即ち、ドライブレコーダ2に初期化されたメモリカード6を挿入して運行を開始した場合には、15回分の記録条件成立時のデータを記録することができるように構成されている。
【0065】
最初に記録条件が成立した場合には、第1フォルダ111として記録され、以下順次第2フォルダ112、・・・第15フォルダ125として記録されていく。仮に、16回目の記録条件が成立した場合には、第1フォルダ111に上書きされるように記録される。以下、17回目に記録条件が成立した場合には、第2フォルダ112に上書き、という具合に順次上書きされるように記録されていく。即ち、記録条件が成立した場合のフォルダは、第1領域101に循環的に記録される。なお、本例では、記録条件が成立した場合のフォルダが記録される領域を15個設けたが、これは一例であって、記録されるフォルダの数が15個に限定される趣旨ではない。ところで、第1領域101には、記録条件に応じて、2つの更なる細分化領域を設けることも可能である。例えば、「G検知」によるフォルダが8個記録される細分化領域と、「速度トリガ」によるフォルダが7個記録される細分化領域といったように割り当てることができる。さらに、ドライブレコーダ2では、第1領域101において、フォルダを循環的に記録せずに、所定個のフォルダを記録したら、それ以上のフォルダを記録せずに、警告動作を行うように構成しても良い。
【0066】
第2領域102には、常時記録により映像情報及び運行情報を所定時間分記録することができるファイルが20個割り当てられている。ファイルを20個に分割して細分化しているのは、全てを1つのファイルにまとめておくと、そのファイルが破損した場合に、全て再生不可能となる可能性があるからである。なお、本例では、1つのファイルには、3分間分の常時記録による映像情報及び運行情報が記録できるように設定されている。
【0067】
ドライブレコーダ2が動作を開始して、常時記録が開始されると、1秒間に10枚の割合で取得された静止画像データとその静止画像データが撮像された時点の運行情報が第1ファイル131へ記録される。第1ファイル131への3分間分の記録が完了すると、次に第2ファイル132というように、順次第20ファイル150まで記録が進む。第20ファイル150の記録が完了すると、次に第1ファイル131に戻って、既に記録されたデータを上書きするように記録が進む。以下、第2ファイル132というように順次上書き記録が進む。即ち、常時記録による映像情報及び運行情報は、第2領域に循環的に記録される。なお、本例では、常時記録用のファイルを20個、1時間分設けたが、これは一例であって、ファイルの数が20個に限定される趣旨ではない。
【0068】
図8は、映像情報等の記録方法の一例を示す図である。
【0069】
前述したように、画像処理回路13は毎秒30枚の割合で静止画像データをRAM14へ出力しており、RAM14は入力される毎秒30枚の静止画像データを循環的に記録している。また、RAM14は、少なくとも、40秒間分の静止画上データを記録することができるだけの記録容量を有している。
【0070】
常時記録の場合、CPU24は、RAM14に循環的に記録されている毎秒30枚の静止画像データの内の1/3に相当する毎秒10枚の静止画像データを、前述したメモリカード6の第2領域102に割当られた所定のファイルに記録していく。例えば、時刻T0〜T1の3分間分の毎秒10枚分の静止画像データ(映像情報)及び、各静止画像データを取得した時点の運行情報が、メモリカード6の第2領域102の所定の1つのファイル(常時記録用ファイルp)に記録される。同様に、時刻T5〜T6の3分間分の毎秒10枚分の静止画像データ(映像情報)及び、各静止画像データを取得した時点の運行情報が、メモリカード6の第2領域102の所定の他の1つのファイル(常時記録用ファイル(p+2))に記録される。即ち、定常記録では、0.1秒という所定時間毎に、定常的に静止画像データを記録することとなる。
【0071】
記録条件が成立した場合、CPU24は、RAM14に毎秒30枚の割合で循環的に記録されている静止画像データの内、記録条件が成立した時点の前12秒分及び記録条件が成立した時点以後8秒分の静止画像データ(映像情報:30×20=600枚分)と、それぞれの静止画像データを取得した時点の運行情報とを、1つのフォルダにまとめて、メモリカード6における第1領域101に記録する。例えば、時刻T3で前述した記録条件の何れか1つが成立した場合、時刻T2〜T3の12秒分と、時刻T3〜T4の8秒分の静止画像データ及び、各静止画像データを取得した時点の運行情報が、1つのフォルダ(記録条件成立フォルダq)にまとめられて、メモリカード6における第1領域101に記録される。即ち、記録条件が成立した場合にメモリカード6に記録される映像情報及び運行情報の単位時間当りの情報量は、常時記録の場合にメモリカード6に記録される映像情報及び運行情報の単位時間当りの情報量より多くなるように設定されている。
【0072】
記録条件が成立した場合、その間の常時記録については、そのまま記録されるようにしても良いが、記録条件が成立した間は、常時記録を行わないように制御しても良い。例えば、時刻T1〜T5の3分間の間の時刻T3で記録条件が成立した場合、時刻T2〜T4までの毎秒30枚の静止画像データ等と、時刻T1〜T5までの毎秒10枚の静止画像データ等をそれぞれメモリカード6の所定の領域に記録するようにしても良い。しかしながら、その場合、時刻T2〜T4については、映像情報等が重複して記録されてしまう。
【0073】
そこで、時刻T1〜T2及び時刻T4〜T5の毎秒10枚分の静止画像データ(映像情報)及び、各静止画像データを取得した時点の運行情報のみが、メモリカード6の第2領域102の所定の1つのファイル(常時記録用ファイル(p+1))に記録されるように設定し、時刻T2〜T4の20秒分(毎秒30枚)の静止画像データ及び、各静止画像データを取得した時点の運行情報を、1つのフォルダにまとめて、メモリカード6における第1領域101所定の領域に記録されるように設定する。その後、再生装置400において、CPU424が、常時記録用ファイル(p+1)と記録条件成立時のフォルダqを利用して、常時記録の時刻T1〜T5の3分間の映像情報等を合成しながら、再生するようにすることが可能である。即ち、再生装置400のCPU424が、記録条件成立時のフォルダqから、時刻T2〜T4間の毎秒10枚の静止画像データ及びそれに対応した運行情報を抜き出して、常時記録用ファイル(p+1)に記録されたデータと合成することによって、常時記録の時刻T1〜T5のデータを形成する。
【0074】
なお、上述した記録条件成立時に記録する静止画像データの単位時間当たりの枚数や、常時記録において記録する静止画像データの単位時間当たりの枚数、1ファイルの記録時間等は、一例であって、これらに限定されるものではない。
【0075】
図9は、メモリカード6の運用例のフローを示した図である。
【0076】
最初にユーザは、メモリカード6を、再生装置400のI/F411に挿入してカードの初期化を行う(S1)。カードの初期化では、CPU424によってそれまでにメモリカード6に記録されていたデータが消去され、図7に示したような第1領域102〜第3領域103、及び各領域内の割り当て等のフォーマット化が行われる。さらに、第3領域103には、メモリカード6の固有のID、メモリカード6を利用した利用者(例えば、タクシー乗務員等)のID又は氏名のデータが、記録される。
【0077】
次に、ユーザは、初期化されたメモリカード6を、運行開始時に(例えば、タクシー乗務員が、日勤勤務(7:45〜17:15)の開始時に)、自己が運転する車両1のドライブレコーダ2のI/F11に挿入して、情報記録を開始する(S2)。それに伴って、前述した2つの記録条件の何れかが成立した場合には映像情報及び運行情報がフォルダ単位でメモリカード6の第1領域101に循環的に記録され、常時記録による映像情報及び運行情報がメモリカード6の第2領域102に循環的に記録される。
【0078】
次に、ユーザは、運行終了時に(例えば、タクシー常務員が、日勤勤務の終了時に)に、車両1のドライブレコーダ2のI/F11に挿入されていたメモリカード6を抜き、再生装置400のI/F411に挿入して、記録された映像情報及び運行情報を再生装置のカード情報記録部460に転送して記録して(S3)、一連の処理を終了する。なお、メモリカード6に記録されたデータの再生装置400への転送は、原則一車両の一運行単位で行われる。しかしながら、1枚のメモリカード6を、複数の車両に用いたり、複数の運行に兼用したりしても良い。
【0079】
再生装置400側では、CPU424が、メモリカード6に記録された記録条件が成立した場合のフォルダ毎の映像情報及び運行情報と、常時記録による複数のファイルに、読み込んだメモリカードのID、利用者のID及び読み込み日時データをそれぞれ付加して、カード情報記録部460に記録する。
【0080】
図10は、表示画面例を示す図である。
【0081】
図10は再生装置400の表示部440の表示される常時記録による1ファイルを再生する場合の画面500の一例を示す図であって、後述する全ての画面の表示処理及び画面上でのオペレータの操作に基づく処理はCPU424により実行される。
【0082】
画面500の画面右側には、車両ID501、再生されている静止画像データが取得された時刻情報502、速度情報502及び重力加速度情報504が表示されている。画像表示領域506には、静止画像データが毎秒10枚で順次表示され、操作ボタン505によって、再生、停止、巻き戻し、早送りが制御される。さらに、重力加速度情報504の推移を示す表示領域507及び現在表示されている静止画像データが全体(3分間)においてどの再生時間位置に対応するのかを示すためのインジケータ508が画像表示領域506の下に配置されている。
【0083】
重力加速度情報504の推移を示す表示部507に記載されるマーク510及び511は、操作SW8が押下げられた時刻を示すものである。また、移動ボタン509によって、各マークにジャンプすることができるように設定されている。さらに、重力加速度情報504の推移を示す表示部507に記載されるマーク512は、重力加速度情報504のこのファイルにおけるピーク位置を示すものである。
【0084】
時刻情報502、速度情報502、重力加速度情報504、及び操作SW8が押下げられた時刻を示すマークは、各静止画像データに対応した運行情報に基づいて表示されるものである。このような、表示画面例を用いて、再生装置400において、常時記録による映像情報及び運行情報を再生することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】ドライブレコーダを車両に搭載した例を示す図である。
【図2】ドライブレコーダ等を車両内に配置した例を示す図である。
【図3】ドライブレコーダの本体を車両に設置した例を示す図である。
【図4】再生装置の外観例を示す図である。
【図5】ドライブレコーダの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】再生装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】メモリカードの記録領域の利用例を示す図である。
【図8】映像情報等の記録方法の一例を示す図である。
【図9】メモリカード6の運用例のフローを示した図である。
【図10】表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 車両
2 ドライブレコーダ
3 カメラ
5 加速度センサ、
6 メモリカード
7 マイクロフォン
8 撮影スイッチ
9 GPS受信機、
10 車速センサ
11 インターフェイス
13 画像処理回路
14 RAM
16 不揮発性ROM、
17 制御プログラム
18 表示灯
19 アクセサリスイッチ
20 電源スイッチ、
21 バッテリ
22 電源制御回路
23 バックアップバッテリ
24 CPU、
400 再生装置
424 CPU
430 操作部
440 表示部
450 地図情報記録部
460 カード情報記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段で撮像された情報を不揮発性の記録媒体に記録するドライブレコーダにおいて、
撮像手段で撮像された情報を定常的に不揮発性の記録媒体に記録し、所定の記録条件が成立した場合に撮像手段で撮像された情報を不揮発性の記録媒体に記録するように制御する制御部を有することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記制御部は、定常的に撮像手段で撮像された情報を不揮発性の記録媒体の第1の領域に循環的に記録し、
前記制御部は、前記記録条件が成立した場合に撮像手段で撮像される情報を不揮発性の記録媒体の第2領域に循環的に記録する、請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
車両の状態を検出する検出部を更に有し、
前記制御部は、定常的に撮像手段で撮像された情報に対応して前記検出部において検出された情報を、不揮発性の記録媒体の第1領域に循環的に記録し、
前記制御部は、前記記録条件が成立した場合に撮像手段で撮像情報に対応して前記検出部において検出された情報を、不揮発性の記録媒体の第2領域に記録する、請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
操作手段を更に有し、
前記制御部は、定常的に撮像手段で撮像された情報に対応して前記操作手段が操作された事を、不揮発性の記録媒体の第1領域に循環的に記録する、請求項2又は3に記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
前記制御部は、前記記録条件が成立した場合には、定常的に撮像手段で撮像された情報を不揮発性の記録媒体に記録しないように制御する、請求項1〜4の何れか一項に記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
前記記録条件が成立した場合に不揮発性の記録媒体に記録される情報の単位時間当たりの情報量は、定常的に撮像手段で撮像された不揮発性の記録媒体に記録される情報の単位時間当たりの情報量より多くなるように設定されている、請求項1〜5の何れか一項に記載のドライブレコーダ。
【請求項7】
定常的に撮像手段で撮像されて不揮発性の記録媒体に記録される情報は、複数のファイルに分割されて不揮発性の記録媒体に記録される、請求項1〜6の何れか一項に記載のドライブレコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−130114(P2010−130114A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300200(P2008−300200)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】