説明

ドレッシング装置、化学的機械的研磨装置及び方法

【課題】研磨パッドをあまり偏摩耗させることなくドレッシングし、かつドレッシング荷重を軽荷重とすることができるドレッシング装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るドレッシング装置は、研磨パッド10に摺接されるドレッシング面を有するドレッシング部材42と、回転可能かつ上下動可能なドレッサ駆動軸32と、ドレッサ駆動軸32に連結され、ドレッシング部材42が固定されるドレッサフランジ41A,41Bと、ドレッサフランジ41A,41B内に配置され、ドレッシング部材42をドレッサ駆動軸32に対して傾動可能とする球面軸受45と、ドレッシング部材42の傾動に抗する力を発生するばね機構49とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の被研磨物の研磨に使用される研磨パッドをドレッシングするドレッシング装置に関し、特に被研磨物の表面を平坦に研磨する研磨装置に設けられるドレッシング装置に関する。また、本発明は、そのようなドレッシング装置を用いた化学的機械的研磨装置及び化学的機械的研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスはますます微細化され、素子構造が複雑になりつつある。半導体デバイスの製造工程において、表面の平坦化は非常に重要な工程とされる。表面の平坦化に用いられる代表的な技術は、化学的機械的研磨(CMP,Chemical Mechanical Polishing)である。この化学的機械的研磨では、シリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッドの研磨面上に供給しつつ半導体ウェハを研磨面に摺接させて半導体ウェハの表面を研磨する。研磨パッドに代えて、砥粒をバインダにより固定した固定砥粒が用いられることもある。
【0003】
この化学的機械的研磨はCMP装置を用いて行われる。CMP装置は、上面に研磨パッドを貼付した研磨テーブルと、ポリッシング対象物である半導体ウェハ等の基板(被研磨物)を保持するトップリングとを一般に備えている。研磨テーブルおよびトップリングをその軸心を中心としてそれぞれ回転させながら、トップリングにより基板を所定の圧力で研磨パッドの研磨面(上面)に押圧し、研磨液を研磨面上に供給しつつ基板の表面を平坦且つ鏡面に研磨する。研磨液には、通常、アルカリ溶液にシリカ等の微粒子からなる砥粒を懸濁したものが用いられる。基板は、アルカリによる化学的研磨作用と、砥粒による機械的研磨作用との複合作用によって研磨される。
【0004】
基板の研磨を行なうと、研磨パッドの研磨面には砥粒や研磨屑が付着し、また、研磨パッドの特性が変化して研磨性能が劣化してくる。このため、基板の研磨を繰り返すに従い、研磨速度が低下し、また、研磨むらが生じてしまう。そこで、劣化した研磨パッドの研磨面を再生するために、研磨テーブルに隣接してドレッシング装置が設けられている。
【0005】
このドレッシング装置は、一般に、回転可能なドレッサヘッドと、該ドレッサヘッドに固定されたドレッシング部材を備えている。ドレッシング装置は、ドレッサヘッドをその軸心を中心として回転させながら、回転する研磨テーブル上の研磨パッドの研磨面にドレッシング部材を押し付けることにより、研磨面に付着した砥液や切削屑を除去するとともに、研磨面の平坦化及び目立て(ドレッシング)を行なう。ドレッシング部材としては、一般に、研磨面に接触する面(ドレッシング面)にダイヤモンド粒子が電着されたもの等が使用される。
【0006】
上述したドレッシング装置による研磨パッドの研磨面のドレッシングには、基板の研磨と同時に行なう方法と、基板の研磨と研磨との合間に行なう方法とがある。いずれの方法においても、研磨面はドレッシングによってある程度削り取られてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、研磨パッドを適切にドレッシングし、かつドレッシング荷重を軽荷重とすることができるドレッシング装置を提供することを目的とする。また、本発明は、そのようなドレッシング装置を用いた化学的機械的研磨装置及び化学的機械的研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、研磨パッドをドレッシングするドレッシング装置において、前記研磨パッドに摺接されるドレッシング面を有するドレッシング部材と、回転可能かつ上下動可能なドレッサ駆動軸と、前記ドレッサ駆動軸に連結され、前記ドレッシング部材が固定されるドレッサフランジと、前記ドレッサフランジ内に配置され、前記ドレッシング部材を前記ドレッサ駆動軸に対して傾動可能とする球面軸受と、前記ドレッシング部材の傾動に抗する力を発生するばね機構とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記ばね機構は、0.5×10N/m以上で2×10N/m以下のばね定数を有するか、または12.5Nm/rad以上で50Nm/rad以下の傾き剛性を前記ドレッシング部材に付与することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッサフランジは、前記ドレッサ駆動軸に固定された上側ドレッサフランジと、前記ドレッシング部材が固定された下側ドレッサフランジとを有し、前記球面軸受は、前記上側ドレッサフランジと前記下側ドレッサフランジとを互いに傾動自在に連結することを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記上側ドレッサフランジは弾性材から形成されており、該上側ドレッサフランジが前記ばね機構として機能することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記上側ドレッサフランジと前記下側ドレッサフランジとの間に設けられたシール部材をさらに備え、前記球面軸受は、前記上側ドレッサフランジと前記下側ドレッサフランジとの間に形成されている空間内に配置され、前記空間は、前記シール部材によって密閉されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記ドレッサ駆動軸のトルクを前記ドレッシング部材に伝達するトルク伝達部材をさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記球面軸受は、前記ドレッサ駆動軸の外周面に設けられた球面凸部と、前記ドレッサフランジに設けられた球面凹部とを有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング部材は、前記ドレッサフランジに着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッサフランジの少なくとも一部を囲むように配置されたカバーをさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様は、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、被研磨物を回転させながら前記研磨パッドに押圧するトップリング装置と、前記研磨パッドに研磨液を供給する研磨液供給機構と、上記ドレッシング装置とを備えたことを特徴とする化学的機械的研磨装置である。
本発明の他の態様は、上記化学的機械的研磨装置を用いて被研磨物を研磨することを特徴とする化学的機械的研磨方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドレッサフランジが、回転する研磨パッドの姿勢や形状に追従してジンバル運動するので、低荷重でドレッシングする際にも、研磨パッドをあまり偏摩耗させることなくドレッシングすることができる。また、本発明によれば、ドレッシング荷重を軽荷重とすることができるため、ドレッシングの際の研磨パッドの削り取り量をできるだけ少なくすることができ、研磨パッド(又は固定砥粒)の寿命を伸ばすことができる。したがって、化学的機械的研磨装置のランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】CMP装置のポリッシュ部を示す斜視図である。
【図2】ドレッシング装置の荷重機構の一例を模式的に示す正面図である。
【図3】ドレッシング装置の荷重機構の他の例を模式的に示す正面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るドレッシング装置の要部を示す断面図である。
【図5】図4に示すドレッシング装置の一部を示す平面図である。
【図6】上側ドレッサフランジに対して下側ドレッサフランジが傾いた状態を示す図である。
【図7】ドレッシング装置の他の例の一部を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るドレッシング装置の要部を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るドレッシング装置の変形例を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るドレッシング装置の要部を示す断面図である。
【図11】本発明の参考例に係るドレッシング装置の要部を示す断面図である。
【図12】下側ドレッサフランジの中央を支点に弾性支持した場合のモデルを示す図である。
【図13】図13は、ばね定数Kによって変化する荷重Fと変位xとの関係を示すグラフである。
【図14】図14(a)は、傾き剛性が大きい場合に生じうる問題を説明する図であり、図14(b)は、傾き剛性が小さい場合に生じうる問題を説明する図である。
【図15】図15(a)は、ばね定数Kが2×10N/mよりも大きい(傾き剛性Kθが50Nm/radよりも大きい)場合の、ドレッサディスクによって削り取られた研磨パッドを模式的に示す平面図であり、図15(b)は図15(a)のA−A線断面図である。
【図16】図16(a)は、ばね定数Kが2×10N/m以下(傾き剛性Kθが50Nm/rad以下)の場合の、ドレッサディスクによって削り取られた研磨パッドを模式的に示す平面図であり、図16(b)は図16(a)のB−B線断面図である。
【図17】ばね定数または傾き剛性によって変化するドレッサディスクの回転速度の変動(誤差)を示すグラフである。
【図18】ばね定数と回転速度の誤差との関係、及びばね定数と研磨パッドプロファイルとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1にCMP装置のポリッシュ部の斜視図を示す。ポリッシュ部は、研磨パッド10を支持する研磨テーブル11と、ウェハなどの基板(被研磨物)を研磨パッド10に摺接させて研磨するトップリング装置20と、研磨パッド10を目立て(ドレッシング)するドレッシング装置30とを備えている。研磨パッド10は研磨テーブル11の上面に取り付けられており、研磨パッド10の上面は研磨面を構成している。研磨テーブル11は、図示しないモータに連結されており、このモータによって研磨テーブル11および研磨パッド10は、矢印で示す方向に回転されるようになっている。
【0016】
トップリング装置20は、基板を保持し研磨パッド10の上面に押圧するトップリングヘッド21と、トップリングヘッド21に連結されるトップリング駆動軸22と、トップリング駆動軸22を回転自在に保持するトップリング揺動アーム23とを備えている。トップリング揺動アーム23は、トップリング揺動軸24によって支持されている。トップリング揺動アーム23の内部には、トップリング駆動軸22に連結された図示しないモータが設置されている。このモータの回転はトップリング駆動軸22を介してトップリングヘッド21に伝達され、これによりトップリングヘッド21は、矢印で示す方向にトップリング駆動軸22を中心として回転する。
【0017】
トップリング装置20に隣接して、研磨液及びドレッシング液を研磨パッド10の研磨面に供給する液体供給機構25が配置されている。液体供給機構25は、複数の供給ノズルを備えており、この供給ノズルから研磨液及びドレッシング液が研磨パッド10の研磨面に供給される。この液体供給機構25は、研磨液を研磨パッド10に供給する研磨液供給機構と、ドレッシング液(例えば純水)を研磨パッド10に供給するドレッシング液供給機構とを兼用している。なお、研磨液供給機構とドレッシング液供給機構とを別に設けてもよい。
【0018】
トップリングヘッド21の下面は、真空吸着などにより基板を保持する基板保持面を構成している。トップリング駆動軸22は、図示しない上下動アクチュエータ(例えばエアシリンダ)に連結されている。したがって、トップリングヘッド21は、上下動アクチュエータによりトップリング駆動軸22を介して上下動する。
【0019】
基板の研磨は、次のようにして行なわれる。トップリングヘッド21の下面に基板が保持され、トップリングヘッド21および研磨テーブル11が回転される。この状態で、研磨パッド10の研磨面には研磨液が供給され、そして、トップリングヘッド21により基板が研磨パッド10の研磨面に押圧される。基板の表面(下面)は、研磨液に含まれる砥粒による機械的研磨作用と研磨液の化学的研磨作用により研磨される。トップリング揺動軸24は、研磨パッド10の径方向外側に位置している。このトップリング揺動軸24は回転可能に構成されており、これによりトップリングヘッド21は研磨パッド10上の研磨位置と、研磨パッド10の外側の待機位置との間を移動可能となっている。
【0020】
ドレッシング装置30は、研磨パッド10の研磨面に摺接されるドレッサ31と、このドレッサ31に連結されたドレッサ駆動軸32と、ドレッサ駆動軸32を回転自在に保持するドレッサ揺動アーム33とを備えている。ドレッサ31の下面は、研磨パッド10の研磨面に摺接されるドレッシング面を構成している。このドレッシング面には、ダイヤモンド粒子などの砥粒が固定されている。ドレッサ揺動アーム33は、ドレッサ揺動軸34に支持されている。ドレッサ揺動アーム33の内部には、ドレッサ駆動軸32に連結された図示しないモータが設置されている。このモータの回転はドレッサ駆動軸32を介してドレッサ31に伝達され、これによりドレッサ31は、矢印で示す方向にドレッサ駆動軸32を中心として回転する。
【0021】
ドレッサ揺動アーム33は、第1のアーム33Aと第2のアーム33Bとから構成される関節アームである。第1のアーム33Aには、ドレッサ駆動軸32を回転させるための上述したモータが設けられている。第2のアーム33Bには、第1のアーム33Aを関節軸を中心として所定の角度だけ回転させる図示しない揺動モータが内蔵されている。この揺動モータの駆動により、ドレッサ31は研磨パッド10の研磨面をその略半径方向に移動する。
【0022】
図2は、ドレッシング装置30の荷重機構の一例を模式的に示す正面図である。図2に示すように、ドレッサ駆動軸32は複数の軸受37によって回転自在に支持されている。ドレッサ揺動アーム33(第1のアーム33A)の上部には支持台35が固定され、この支持台35には上下動アクチュエータとしてのエアシリンダ36が設置されている。ドレッサ駆動軸32の上端はエアシリンダ36に連結されている。ドレッサ31は、このエアシリンダ36によりドレッサ駆動軸32を介して研磨パッド10の研磨面に押圧される。
【0023】
図3は、ドレッシング装置30の荷重機構の他の例を模式的に示す正面図である。図3の荷重機構は、図2に示す荷重機構の構成と基本的に同一であるが、ドレッサ駆動軸32を上方に持ち上げるばね39が設けられている点で、上述の例と異なっている。このばね39は、ドレッサ揺動アーム33の上部に配置され、ドレッサ駆動軸32の上端部を上方に付勢する。この例において、ドレッサ31を研磨パッド10に対して押圧するときは、エアシリンダ36により、ばね39の力に抗してドレッサ駆動軸32を押し下げる。本発明は、いずれの荷重機構を採用することができるが、低荷重でドレッシングする観点からは、ヒステリシスの少ない、ばねを使用した荷重機構が好ましい。
【0024】
研磨パッド10の研磨面をドレッシングするときは、モータによりドレッサ31を回転させ、次いでエアシリンダ36によりドレッサ31を下降させて、ドレッサ31のドレッシング面を回転する研磨パッド10の研磨面に摺接させる。その状態で、ドレッサ31を研磨パッド10の略径方向に往復移動させる。この回転するドレッサ31の移動(揺動)により、研磨パッド10の研磨面に付着した研磨屑などが除去され、かつ研磨面が再生される。ドレッシング中は、液体供給機構25により、ドレッシング液(例えば純水)が研磨パッド10の研磨面上に供給される。ドレッサ揺動軸34は、研磨パッド10の径方向外側に位置している。このドレッサ揺動軸34は回転可能に構成されており、これによりドレッサ31は研磨パッド10の上のドレッシング位置と、研磨パッド10の外側の待機位置との間を移動可能となっている。このドレッシング装置20による研磨パッド10のドレッシングは、基板の研磨と同時に行なってもよく、または複数の基板を連続して研磨する場合には、研磨処理と研磨処理との合間に行ってもよい。
【0025】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るドレッシング装置の要部を示す断面図である。図5は、図4に示すドレッシング装置の一部を示す平面図である。図4に示すように、ドレッサ31は、円盤状の上側ドレッサフランジ41Aおよび円盤状の下側ドレッサフランジ41Bからなるドレッサフランジ41と、ドレッサディスク(ドレッシング部材)42とを備えている。上側ドレッサフランジ41Aは、下側ドレッサフランジ41Bよりも小さな直径を有し、下側ドレッサフランジ41Bは、ドレッサディスク42と同一の直径を有している。上側ドレッサフランジ41Aと下側ドレッサフランジ41Bとの間には微小な隙間が形成されている。ドレッサディスク42の上面は、下側ドレッサフランジ41Bの下面に固定されている。ドレッサディスク42の下面は、上述したドレッシング面を構成している。上側ドレッサフランジ41Aおよび下側ドレッサフランジ41Bは、同じ材料から構成されている。好ましい材料の例としては、ステンレス鋼などの金属が挙げられる。
【0026】
ドレッサディスク42とドレッサ駆動軸32とは、上側ドレッサフランジ41A、下側ドレッサフランジ41B、及び球面軸受45を介して互いに連結されている。上側ドレッサフランジ41Aはドレッサ駆動軸32の下端に固定されている。球面軸受45は上側ドレッサフランジ41Aと下側ドレッサフランジ41Bとの間に配置されており、上側ドレッサフランジ41Aと下側ドレッサフランジ41Bとを互いに傾動可能としている。この球面軸受45は、ドレッサ駆動軸32に対するドレッサディスク42の傾動を許容しつつ、ドレッサ駆動軸32からのスラスト荷重及びラジアル荷重を下側ドレッサフランジ41B及びドレッサディスク42に伝達する。
【0027】
球面軸受45は、上側ドレッサフランジ41Aの下面に形成された下向きの球面凹部45Aと、下側ドレッサフランジ41Bの上面に形成された球面凹部45Bと、これら球面凹部に45A,45B摺動自在に係合するボール45Cとを備えている。ボール45Cはセラミックなどの耐摩耗性に優れた材料から構成されている。球面凹部45A,45B及びボール45Cは、ドレッサ駆動軸32の中心軸上に配置されている。なお、本実施形態においては、球面凹部45A,45Bは上側ドレッサフランジ41A及び下側ドレッサフランジ41Bに形成されているが、球面凹部が形成された2つの受け部材を、それぞれ上側ドレッサフランジ41A及び下側ドレッサフランジ41Bに取り付けてもよい。
【0028】
上側ドレッサフランジ41Aと下側ドレッサフランジ41Bとは、複数のトルク伝達ピン(トルク伝達部材)48により互いに連結されている。これらのトルク伝達ピン48は、球面軸受45の周り(すなわち、ドレッサ駆動軸32及びドレッサディスク42の中心軸の周り)に等間隔に配置されている。トルク伝達ピン48は、ドレッサ駆動軸32に対するドレッサディスク42の傾動を許容しつつ、ドレッサ駆動軸32のトルクをドレッサディスク42に伝達する。
【0029】
図6は、上側ドレッサフランジに対して下側ドレッサフランジが傾いた状態を示す図である。トルク伝達ピン48は、球面状の摺接面を有しており、この摺接面は、上側ドレッサフランジ41Aの収容孔に緩やかに係合している。トルク伝達ピン48の摺接面と上側ドレッサフランジ41Aの収容孔との間には、微小な隙間が形成されている。上側ドレッサフランジ41Aに対して下側ドレッサフランジ41Bが傾くと、トルク伝達ピン48は、上側ドレッサフランジ41Aとの係合を維持しつつ、下側ドレッサフランジ41Bと一体に傾く。
【0030】
トルク伝達ピン48は、ドレッサ駆動軸32からのスラスト荷重はドレッサディスク42には伝達せず、ドレッサ駆動軸32のトルクのみを下側ドレッサフランジ41B及びドレッサディスク42に伝達する。本実施形態では、トルク伝達ピン48は下側ドレッサフランジ41Bに固定されているが、上側ドレッサフランジ41Aに固定されていてもよい。上述の構成にすることで、ドレッサディスク42及び下側ドレッサフランジ41Bは、ボール45Cの中心を支点にジンバル運動が可能であり、かつそのジンバル運動を拘束せずにドレッサ駆動軸32のトルクをトルク伝達ピン48を介してドレッサディスク42に伝達することができる。
【0031】
さらに、上側ドレッサフランジ41Aと下側ドレッサフランジ41Bとは、複数のばね機構49により互いに連結されている。これらのばね機構49は、球面軸受45の周り(すなわち、ドレッサ駆動軸32及びドレッサディスク42の中心軸の周り)に等間隔に配置されている。各ばね機構49は、下側ドレッサフランジ41Bに固定され、上側ドレッサフランジ41Aを貫通して延びるロッド49Aと、ロッド49Aの上端に形成された鍔部と上側ドレッサフランジ41Aの上面との間に配置されたばね49Bとを有している。ばね機構49は、ドレッサディスク42及び下側ドレッサフランジ41Bの傾動に抗する力を発生して、ドレッサディスク42を元の位置(姿勢)に戻すものである。
【0032】
上述した構成により、ドレッサディスク42及び下側ドレッサフランジ41Bは、ボール45Cの中心を支点にジンバル運動が可能となっている。ドレッシング中は、研磨パッド10の研磨面の表面形状に追従してドレッサディスク42が傾くので、良好なドレッシングができる。また、ドレッサディスク42の傾動の支点(すなわち、球面軸受45の中心の研磨面からの位置)が低いので、ドレッサディスク42は研磨パッド10の研磨面の変動にスムーズに追従し、研磨面の摩擦力によるモーメント力を受けにくい。したがって、過度にドレッサディスク42が傾くことなく、研磨パッド10の研磨面をドレッシングすることができる。また、ドレッサディスク42の傾動により研磨パッド10の偏摩耗が防止されるので、低荷重のドレッシングが可能となる。
【0033】
図4に示すように、下側ドレッサフランジ41Bの上面には円筒状の第1のカバー53Aが固定されている。この第1のカバー53Aは、上側ドレッサフランジ41A、球面軸受45、トルク伝達ピン48、ばね機構49、及びドレッサ駆動軸32の下端を囲むように配置されている。さらに、第1のカバー53Aの上端を囲むように、第2のカバー53Bが設けられている。この第2のカバー53Bはドレッサ揺動アーム33(図1参照)に固定されており、第1のカバー53Aの上端及びドレッサ駆動軸32を囲むように配置されている。第1のカバー53Aと第2のカバー53Bとの間には隙間が形成されており、第1のカバー53Aが下側ドレッサフランジ41B及びドレッサディスク42の傾動に伴って傾いたときに、第1のカバー53Aが第2のカバー53Bに接触しないようになっている。このような第1のカバー53A及び第2のカバー53Bを設けることにより、球面軸受45のボール45Cにドレッシング液や研磨液が付着してしまうことを防止でき、またトルク伝達ピン48などの摺動部から発生する粉が研磨パッド10上に落ちてしまうことを防止することができる。
【0034】
ドレッサディスク42は下側ドレッサフランジ41Bに着脱可能に取り付けられている。より具体的には、ドレッサディスク42は、3つ以上の固定ねじ55(図5では3つの固定ねじ55を示す)によって下側ドレッサフランジ41Bの下面に取り付けられている。したがって、固定ねじ55を取り外すことによって、ドレッサディスク42を取り外すことができ、新しいドレッサディスクに交換することができる。
【0035】
なお、ドレッサディスク42が鉄などの磁性材料で構成されている場合は、図7に示すように、固定ねじ55に代えて、複数の磁石56を用いてドレッサディスク42を固定することもできる。この場合は、ドレッサディスク42の上面に窪みを形成して、この窪みに磁石56を配置することが好ましい。
【0036】
図8は、本発明の第2の実施形態に係るドレッシング装置の要部を示す断面図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、上述した第1の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0037】
本実施形態に係るドレッシング装置30は、上述したばね機構49及びトルク伝達ピン48を備えていなく、上側ドレッサフランジ41Aがばね機構及びトルク伝達部材として機能する。すなわち、上側ドレッサフランジ41Aは弾性材(例えば樹脂)から構成されており、板ばねとして作用する。好ましく使用される弾性材の例としては、優れた機械的強さ、化学的熱的特性、成形加工性を持ったアセタール樹脂(POM)が挙げられる。上側ドレッサフランジ41Aは、第1の実施形態に係る上側ドレッサフランジよりも大きい直径を有している。上側ドレッサフランジ41Aは、環状のフランジプレート60とねじ61により、下側ドレッサフランジ41Bの上面に固定されている。
【0038】
下側ドレッサフランジ41Bの上面には、円形の窪み43が同心状に形成されている。この円形の窪み43は、上側ドレッサフランジ41Aよりも小さい径を有している。環状のフランジプレート60の外径は上側ドレッサフランジ41Aの直径と略等しく、フランジプレート60の内径は、下側ドレッサフランジ41Bに形成された円形の窪み43と同一またはやや小さい。したがって、上側ドレッサフランジ41Aの周縁部のみがフランジプレート60及び下側ドレッサフランジ41Bに保持されており、上側ドレッサフランジ41Aの弾性変形を阻害しない構造となっている。なお、フランジプレート60、上側ドレッサフランジ41A、下側ドレッサフランジ41B、及びドレッサフランジ42は同じ径を有してもよい。球面軸受45は、第1の実施形態と同様である。第1のカバー53Aの下端は、ドレッサ駆動軸32の外周面に固定されている。第2のカバー53Bの構成、及び第1のカバー53Aと第2のカバー53Bとの位置関係は第1の実施形態と同様である。
【0039】
上側ドレッサフランジ41Aの上面にドレッシング液などの液体が溜まらないように、上側ドレッサフランジ41Aとフランジプレート60との間に径方向に延びる少なくとも1つの溝63が形成されている。この溝63は、フランジプレート60の下面及び上側ドレッサフランジ41Aの上面の少なくとも一方に形成される。
【0040】
下側ドレッサフランジ41Bの上面には、円形の窪み43を囲むようにOリング(シール部材)62が設けられている。上側ドレッサフランジ41Aと窪み43とによって形成される空間は、Oリング62によって密閉されている。球面軸受45はこの空間内に位置しているので、球面軸受45にドレッシング液、研磨液、研磨屑などが侵入しないようにすることができ、球面軸受45の潤滑性を維持することができる。なお、Oリング62は上側ドレッサフランジ41Aの下面に取り付けてもよい。また、窪み43は上側ドレッサフランジ41Aの下面に形成してもよい。
【0041】
本実施形態においては、上述したように、上側ドレッサフランジ41Aがばね機構及びトルク伝達部材として機能する。すなわち、ドレッサディスク42及び下側ドレッサフランジ41Bがドレッサ駆動軸32に対して傾くと、上側ドレッサフランジ41Aが弾性変形する。したがって、ドレッシング中、ドレッサディスク42は、上側ドレッサフランジ41Aの弾性変形により、研磨パッド10の研磨面の形状に追従して傾動することができる。
【0042】
図9は、本発明の第2の実施形態に係るドレッシング装置の変形例を示す断面図である。この例では、上側ドレッサフランジ41Aの下面は平坦に形成されており、上側ドレッサフランジ41Aに球面凹部45Aは形成されていない。ボール45Cは下側ドレッサフランジ41Bの上面に形成された球面凹部45Bに収容されている。この場合でも、球面軸受45は、下側ドレッサフランジ41B及びドレッサディスク42の傾動を許容しつつ、上側ドレッサフランジ41Aからのスラスト荷重を下側ドレッサフランジ41Bに伝達することができる。なお、この例では、図示しない位置決めピンにより、上側ドレッサフランジ41Aと下側ドレッサフランジ41Bとの中心軸が合わせられる。
【0043】
図10は、本発明の第3の実施形態に係るドレッシング装置の要部を示す断面図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、上述した第1の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0044】
ドレッサ駆動軸32は、その下端に小径部32aを有している。上側ドレッサフランジ41Aの下面と下側ドレッサフランジ41Bの上面とは互いに固定されており、1つのドレッサフランジを形成している。上側ドレッサフランジ41A及び下側ドレッサフランジ41Bには、同心状の孔が形成されており、ドレッサ駆動軸32の小径部32aはこの孔に収容されている。上側ドレッサフランジ41A及び下側ドレッサフランジ41Bは、球面軸受45を介してドレッサ駆動軸32の小径部32aに傾動自在に連結されている。より具体的には、小径部32aの外周面には球面凸部45Dが固定されており、孔の内周面には、球面凹部45Eが固定されている。球面凸部45Dと球面凹部45Eとは互いに摺動自在に係合している。
【0045】
上側ドレッサフランジ41Aの上面には、ばね機構としての複数のスプリングピン49(図10には1つのスプリングピンのみを示す)が固定されている。これらのスプリングピン49は、球面軸受45の周り(すなわち、ドレッサ駆動軸32及びドレッサディスク42の中心軸の周り)に等間隔に配置されている。スプリングピン49はドレッサ駆動軸32を上方に押圧するように配置されている。上側ドレッサフランジ41Aとドレッサ駆動軸32とは、複数のトルク伝達ピン48によって連結されている。第1のカバー53Aの下端は、上側ドレッサフランジ41Aの外周面に固定されている。第2のカバー53Bの構成、及び第1のカバー53Aと第2のカバー53Bとの位置関係は第1の実施形態と同様である。
【0046】
本実施形態においては、上側ドレッサフランジ41A、下側ドレッサフランジ41B、及びドレッサディスク42は一体にドレッサ駆動軸32に対して傾斜可能に構成されている。したがって、ドレッシング中、ドレッサディスク42は、研磨パッド10の研磨面の形状に応じて傾動することができる。
【0047】
図11は、本発明の参考例に係るドレッシング装置の要部を示す断面図である。なお、特に説明しない本例の構成及び動作は、上述した第3の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0048】
ドレッシング装置30は、上述したばね機構及びトルク伝達ピンを備えていなく、ドレッサ駆動軸32の下端と上側ドレッサフランジ41Aの上面とを接続するベローズ65を備えている。このベローズ65は、ドレッサ駆動軸32のトルクを上側ドレッサフランジ41A(すなわちドレッサディスク42)に伝達する。
【0049】
ドレッサディスク42がスムーズに研磨パッド10の研磨面に追従しないと、研磨パッド10の偏摩耗が生じうる。図11に示す参考例の場合、ベローズ65が比較的硬いため、研磨パッド10の表面状態によっては、適切にドレッシングが行われない場合もありうる。そのような場合には、第1乃至第3の実施形態を用いることが望ましい。なお、第1及び第2の実施形態は、その構造上、第3の実施形態に比べて、ドレッサディスク42の傾動の支点(すなわち、球面軸受45の中心の研磨面からの位置)を低くすることができるという利点がある。
【0050】
図12は、下側ドレッサフランジ41B(及びドレッサディスク42)の中央を支点に弾性支持した場合のモデルを示す図である。荷重Fは、ドレッサフランジ41Bの中心から距離Lだけ離れた箇所に加わった力であり、変位xは、荷重Fによるドレッサフランジ41Bの端部の変位であり、kn(n=1,2,…)は、各ばね機構のばね定数である。ドレッサディスク42が、研磨パッド10の形状に追従してスムーズに傾くためには、適切な傾き剛性を実現するばね定数Kが必要である。第1乃至第3の実施形態では、ばね定数Kは、0.5×10N/m以上で2×10N/m以下、またはドレッサディスク42の傾き剛性Kθは、12.5Nm/rad以上で50Nm/rad以下に設定されている。ここで、傾き剛性とは、回転運動させる力(トルク)を与えたときのトルクと回転変位(角度)との関係を示す数値として定義される。ばね定数Kは、第1及び第3の実施形態においては、複数のばね機構49全体のばね定数を示し、第2の実施形態においては、弾性体である上側ドレッサフランジ41A全体のばね定数を示している。
【0051】
図13は、ばね定数Kによって変化する荷重Fと変位xとの関係を示すグラフである。図14(a)は、傾き剛性が大きい場合に生じうる問題を説明する図であり、図14(b)は、傾き剛性が小さい場合に生じうる問題を説明する図である。
研磨パッド10のドレッシング中は、研磨テーブル11の回転に伴って、研磨パッド10の最外周部は最大で100μm程度上下動する。このような条件下では、ドレッサディスク42の傾き剛性が大きい場合、図14(a)に示すように、ドレッサディスク42が研磨パッド10の変動に追従できない。その結果、ドレッサディスク42の外周部が研磨パッド10を局所的に削り取ってしまう。
【0052】
図15(a)は、ばね定数Kが2×10N/mよりも大きい(傾き剛性Kθが50Nm/radよりも大きい)場合の、ドレッサディスクによって削り取られた研磨パッドを模式的に示す平面図であり、図15(b)は図15(a)のA−A線断面図である。図15(a)および図15(b)に示すように、ドレッサディスク42の傾き剛性が大きい場合、研磨パッド10が局所的に大きく削り取られてしまう。一方、図16(a)は、ばね定数Kが2×10N/m以下(傾き剛性Kθが50Nm/rad以下)の場合の、ドレッサディスクによって削り取られた研磨パッドを模式的に示す平面図であり、図16(b)は図16(a)のB−B線断面図である。図16(a)および図16(b)に示すように、ドレッサディスク42の傾き剛性がある程度小さい場合、研磨パッド10は均一に削り取られることが分かる。
【0053】
ドレッサディスク42の傾き剛性がほどんどなく、かつ傾動の支点が高い場合は、図14(b)に示すように、ドレッサディスク42が研磨パッド10に突っかかりやすくなる。その結果、ドレッサディスク42の傾動動作にスティック・スリップ現象が起き、ドレッサディスク42の回転速度にむら(誤差)が生じてしまう。図17は、ばね定数または傾き剛性によって変化するドレッサディスクの回転速度の変動(誤差)を示すグラフである。図17に示すように、ばね定数Kが0.5×10N/m以上、または傾き剛性Kθが12.5Nm/rad以上の場合におけるドレッサディスク42の回転速度の誤差は、ばね定数Kが0.5×10N/m未満、または傾き剛性Kθが12.5Nm/rad未満の場合に比べて、小さいことが分かる。
【0054】
図18は、ばね定数と回転速度の誤差との関係、及びばね定数と研磨パッドプロファイルとの関係を示すグラフである。ばね定数Kが0.5×10N/mよりも小さいと、傾き剛性が小さくなり、研磨パッドの表面で発生する摩擦力によるモーメント力によってドレッサディスクが傾き、上述したスティック・スリップ現象に起因したドレッサディスクの振動が発生しやすくなる。この振動によってドレッサディスクの回転速度にむら(誤差)が生じてしまう。
【0055】
一方、ばね定数Kが2×10N/mよりも大きいと、傾き剛性が大きくなる。その結果、ドレッサディスクの外周部が研磨パッドを局所的に削り取り、研磨パッドを偏摩耗させてしまう。したがって、研磨パッドを安定的にドレッシングするためには、ばね機構のばね定数は、0.5×10N/m以上で2×10N/m以下(傾き剛性Kθが12.5Nm/rad以上で50Nm/rad以下)であることが必要となる。
【0056】
以上説明したように、本発明によれば、研磨テーブル上の研磨パッドを適切にドレッシングすることができる。また、本発明によれば、ドレッシング荷重を軽荷重とすることができるため、ドレッシングの際の研磨パッドの削り取り量をできるだけ少なくすることができ、研磨パッド(又は固定砥粒)の寿命を伸ばすことができる。したがって、化学的機械的研磨装置のランニングコストを低減することができる。また、本発明によれば、ドレッシングを短時間で行うことができるので、研磨パッドのプロファイルを比較的短時間で良好に維持することができ、化学的機械的研磨装置及び方法のスループットを向上させることができる。さらに、ボルトまたは磁石を取り外すことによって、ドレッサディスクを簡単に交換することができる。
【0057】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0058】
10 研磨パッド
11 研磨テーブル
20 トップリング装置
21 トップリングヘッド
22 トップリング駆動軸
23 トップリング揺動アーム
25 液体供給機構
30 ドレッシング装置
31 ドレッサヘッド
32 ドレッサ駆動軸
33 ドレッサ揺動アーム
35 支持台
36 エアシリンダ
37 軸受
39 ばね
41 ドレッサフランジ
41A 上側ドレッサフランジ
41B 下側ドレッサフランジ
42 ドレッサディスク(ドレッシング部材)
45 球面軸受
48 トルク伝達ピン
49 ばね機構
53A 第1のカバー
53B 第2のカバー
55 固定ねじ
56 磁石
60 フランジプレート
61 ねじ
62 Oリング
65 ベローズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドをドレッシングするドレッシング装置において、
前記研磨パッドに摺接されるドレッシング面を有するドレッシング部材と、
回転可能かつ上下動可能なドレッサ駆動軸と、
前記ドレッサ駆動軸に連結され、前記ドレッシング部材が固定されるドレッサフランジと、
前記ドレッサフランジ内に配置され、前記ドレッシング部材を前記ドレッサ駆動軸に対して傾動可能とする球面軸受と、
前記ドレッシング部材の傾動に抗する力を発生するばね機構とを備えたことを特徴とするドレッシング装置。
【請求項2】
前記ばね機構は、0.5×10N/m以上で2×10N/m以下のばね定数を有するか、または12.5Nm/rad以上で50Nm/rad以下の傾き剛性を前記ドレッシング部材に付与することを特徴とする請求項1に記載のドレッシング装置。
【請求項3】
前記ドレッサフランジは、前記ドレッサ駆動軸に固定された上側ドレッサフランジと、前記ドレッシング部材が固定された下側ドレッサフランジとを有し、
前記球面軸受は、前記上側ドレッサフランジと前記下側ドレッサフランジとを互いに傾動自在に連結することを特徴とする請求項1に記載のドレッシング装置。
【請求項4】
前記上側ドレッサフランジは弾性材から形成されており、該上側ドレッサフランジが前記ばね機構として機能することを特徴とする請求項3に記載のドレッシング装置。
【請求項5】
前記上側ドレッサフランジと前記下側ドレッサフランジとの間に設けられたシール部材をさらに備え、
前記球面軸受は、前記上側ドレッサフランジと前記下側ドレッサフランジとの間に形成されている空間内に配置され、
前記空間は、前記シール部材によって密閉されていることを特徴とする請求項4に記載のドレッシング装置。
【請求項6】
前記ドレッサ駆動軸のトルクを前記ドレッシング部材に伝達するトルク伝達部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のドレッシング装置。
【請求項7】
前記球面軸受は、前記ドレッサ駆動軸の外周面に設けられた球面凸部と、前記ドレッサフランジに設けられた球面凹部とを有することを特徴とする請求項1に記載のドレッシング装置。
【請求項8】
前記ドレッシング部材は、前記ドレッサフランジに着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のドレッシング装置。
【請求項9】
前記ドレッサフランジの少なくとも一部を囲むように配置されたカバーをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のドレッシング装置。
【請求項10】
研磨パッドを支持する研磨テーブルと、
被研磨物を回転させながら前記研磨パッドに押圧するトップリング装置と、
前記研磨パッドに研磨液を供給する研磨液供給機構と、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のドレッシング装置とを備えたことを特徴とする化学的機械的研磨装置。
【請求項11】
請求項10に記載の化学的機械的研磨装置を用いて被研磨物を研磨することを特徴とする化学的機械的研磨方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−172996(P2010−172996A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16851(P2009−16851)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】