説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラム

【課題】案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供すること。
【解決手段】ナビゲーションシステム1は、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部25aと、経路探索部25aにより探索された経路上の出発地または現在位置から目的地までの分岐数に基づき、電子ペーパー34に表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定する案内制御部25b、36aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行経路を案内するナビゲーション装置が用いられている。従来のナビゲーション装置では、交差点での右左折を案内する場合、例えば右左折する交差点から所定距離まで車両が接近すると、当該交差点の目印となる施設を含む拡大図をディスプレイに表示したり、交差点までの距離をスピーカから音声出力したりする。
【0003】
さらに、誘導経路などを表示することの利便性を損なうことなく、消費電力を節減することを目的としたナビゲーション装置も提案されている。このナビゲーション装置は、表示装置として電子ペーパーを用いている。電子ペーパーは、表示内容が静止しているときには電力が消費されず、表示内容が変更されるときにだけ電力が消費されるという性質を有しているため、地図等の表示に要する消費電力を節減することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−151462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、走行経路の目的地近傍において車両を停車させた後、最終目的地までユーザが徒歩で向かう場合において、携帯電話等の携帯型情報端末を用いて停車位置から最終目的地までの徒歩経路を案内することも考えられる。この場合、歩行中における通話やインターネットの利用等により携帯型情報端末のバッテリ残量がなくなり、経路案内を継続できなくなる可能性がある。しかしながら、上述の如き従来の装置は、電子ペーパーを用いることで消費電力を節減したものに過ぎず、目的地までの経路案内を行っている途中でバッテリ残量がなくなることを想定したものではなかった。このため、目的地までの経路案内を行っている途中でバッテリ残量がなくなり電源供給が遮断された場合、例えば次の案内地点までの経路が表示され続けるに過ぎず、最終目的地までの案内を行えない可能性があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のナビゲーションシステムは、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段により探索された経路上の出発地または現在位置から前記目的地までの分岐数に基づき、電子ペーパーに表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定する案内制御手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2に記載のナビゲーションシステムは、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内制御手段は、前記分岐数に応じて前記地図の表示形式を異ならせると共に、当該分岐数が少ないほど当該地図の表示数を増加させる。
【0009】
また、請求項3に記載のナビゲーションシステムは、請求項1又は2に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記経路探索手段又は前記電子ペーパーのうち少なくとも1つに電力を供給するバッテリの残量を特定するバッテリ残量特定手段を備え、前記案内制御手段は、前記バッテリの残量が所定値未満の場合には前記分岐数に基づき決定した地図の表示形式で当該分岐数に基づき決定した地図を前記電子ペーパーに表示させ、前記バッテリの残量が所定値以上の場合には前記経路上の現在位置に基づく地図を前記電子ペーパーに表示させる。
【0010】
また、請求項4に記載のナビゲーションシステムは、請求項2又は3に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内制御手段は、前記経路における分岐数が第1の閾値未満の場合、当該経路全体の地図と当該経路における各分岐の拡大図とを含む案内図を前記電子ペーパーに表示させるための制御を行う。
【0011】
また、請求項5に記載のナビゲーションシステムは、請求項4に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内制御手段は、前記経路における分岐数が第1の閾値以上であり、且つ、当該第1の閾値より大きい第2の閾値未満である場合、各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含む当該経路全体の概略図を前記電子ペーパーに表示させるための制御を行う。
【0012】
また、請求項6に記載のナビゲーションシステムは、請求項5に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内制御手段は、前記経路における分岐数が第2の閾値以上である場合、各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含むリストを、前記電子ペーパーに表示させるための制御を行う。
【0013】
また、請求項7に記載のナビゲーション方法は、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、前記経路探索ステップで探索された経路上の出発地または現在位置から前記目的地までの分岐数に基づき、電子ペーパーに表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定する案内制御ステップと、を含む。
【0014】
また、請求項8に記載のナビゲーションプログラムは、請求項7に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載のナビゲーションシステム、請求項7に記載のナビゲーション方法、及び請求項8に記載のナビゲーションプログラムによれば、案内制御手段は、経路探索手段により探索された経路上の出発地または現在位置から目的地までの分岐数に基づき、電子ペーパーに表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定するので、目的地までの分岐数に応じた内容及び形式の地図を電子ペーパーに表示させることができ、万一目的地までの経路案内を行っている途中でバッテリ残量がなくなり電源供給が遮断されたとしても、目的地までの経路案内に必要な地図表示を保持することができる。これにより、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる。
【0016】
請求項2に記載のナビゲーションシステムによれば、案内制御手段は、分岐数に応じて地図の表示形式を異ならせると共に、分岐数が少ないほど地図の表示数を増加させるので、経路における分岐数に応じて、目的地までの経路における各分岐についての情報を必要且つ十分に電子ペーパーを用いて案内することができ、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって一層分かりやすい案内を行うことができる。
【0017】
請求項3に記載のナビゲーションシステムによれば、案内制御手段は、バッテリの残量が所定値未満の場合には分岐数に基づき決定した地図の表示形式で当該分岐数に基づき決定した地図を電子ペーパーに表示させ、バッテリの残量が所定値以上の場合には経路上の現在位置に基づく地図を電子ペーパーに表示させるので、バッテリの残量に余裕がある場合には現在位置に基づく地図を表示させて詳細な案内を行い、バッテリの残量に余裕がない場合には分岐数に基づき決定した必要最低限の内容の地図を表示させつつ消費電力を節減する等、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる。
【0018】
請求項4に記載のナビゲーションシステムによれば、案内制御手段は、経路における分岐数が第1の閾値未満の場合、当該経路全体の地図と当該経路における各分岐の拡大図とを含む案内図を電子ペーパーに表示させるための制御を行うので、経路全体を把握可能であると共に、各分岐の周辺状況を詳細に把握可能な態様で経路案内を行うことができ、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって一層分かりやすい案内を行うことができる。
【0019】
請求項5に記載のナビゲーションシステムによれば、案内制御手段は、経路における分岐数が第1の閾値以上であり、且つ、当該第1の閾値より大きい第2の閾値未満である場合、各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含む当該経路全体の概略図を電子ペーパーに表示させるための制御を行うので、経路における分岐数が第1の閾値未満の場合と比較して案内の情報量は減るものの、経路全体の概略を把握可能であると共に、各分岐の名称や概略位置、通過方向等を把握可能な態様で経路案内を行うことができ、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる。
【0020】
請求項6に記載のナビゲーションシステムによれば、案内制御手段は、経路における分岐数が第2の閾値以上である場合、各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含むリストを、電子ペーパーに表示させるための制御を行うので、経路における分岐数が第2の閾値未満の場合と比較して案内の情報量は減るものの、目的地までの経路における全ての分岐について、各分岐の名称や通過方向等を把握可能な態様で経路案内を行うことができ、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係るナビゲーションシステムを例示するブロック図である。
【図2】ナビゲーション処理のフローチャートである。
【図3】省電力案内データ生成処理のフローチャートである。
【図4】分岐数が第2の閾値以上の場合用の案内データの内容を例示した図である。
【図5】分岐数が第1の閾値以上の場合用の案内データの内容を例示した図である。
【図6】分岐数が第1の閾値未満の場合用の案内データの内容を例示した図である。
【図7】省電力案内処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、これら実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(構成)
最初に、実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るナビゲーションシステムを例示するブロック図である。図1に示すように、ナビゲーションシステム1は、車載装置2と、端末装置3とを備えている。
【0024】
(構成−車載装置)
車載装置2は、通信部21、入力部22、現在位置検出処理部23、ディスプレイ24、制御部25、及び、データ記録部26を備えている。
【0025】
(構成−車載装置−通信部)
通信部21は、端末装置3との間で無線又は有線にて各種情報の送受信を行うための通信手段であり、公知の通信装置を用いて構成することができる。
【0026】
(構成−車載装置−入力部)
入力部22は、ユーザによる操作入力を受け付ける入力手段である。この入力部22の具体的な構成は任意であり、例えば、ディスプレイ24の前面に設けたタッチパネル、押しボタン、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいは、音声入力を受け付けるマイクの如き音声認識手段を用いて入力部22を構成することができる。
【0027】
(構成−車載装置−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部23は、車載装置2が取り付けられた車両の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部23は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、車両の現在の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する(後述する端末装置3の現在位置検出処理部33についても同じ)。
【0028】
(構成−車載装置−ディスプレイ)
ディスプレイ24は、制御部25の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。なお、このディスプレイ24の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0029】
(構成−車載装置−制御部)
制御部25は、車載装置2を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(後述する端末装置3の制御部36についても同じ)。特に、実施の形態に係るナビゲーションプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して車載装置2にインストールされることで、制御部25の各部を実質的に構成する。
【0030】
この制御部25は、機能概念的に、経路探索部25a、及び案内制御部25bを備えている。経路探索部25aは、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段である。案内制御部25bは、経路探索部25aにより探索された経路上の出発地または現在位置から目的地までの分岐数に基づき、電子ペーパー34に表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定する案内制御手段である。これらの制御部25の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0031】
(構成−車載装置−データ記録部)
データ記録部26は、車載装置2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述する端末装置3のデータ記録部37についても同じ)。
【0032】
このデータ記録部26は、地図情報データベース26a(以下、データベースを「DB」と称する)を備えている。地図情報DB26aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、法定速度、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ24や後述する電子ペーパー34に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0033】
(構成−端末装置)
端末装置3は、通信部31、入力部32、現在位置検出処理部33、電子ペーパー34、バッテリ35、制御部36、及び、データ記録部37を備えている。
【0034】
(構成−端末装置−通信部)
通信部31は、車載装置2との間で無線又は有線にて各種情報の送受信を行うための通信手段であり、公知の通信装置を用いて構成することができる。
【0035】
(構成−端末装置−入力部)
入力部32は、ユーザによる操作入力を受け付ける入力手段である。この入力部32の具体的な構成は任意であり、例えば、電子ペーパー34の前面に設けたタッチパネル、押しボタン、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいは、音声入力を受け付けるマイクの如き音声認識手段を用いて入力部32を構成することができる。
【0036】
(構成−端末装置−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部33は、端末装置3の現在位置を検出する現在位置検出手段である。
【0037】
(構成−端末装置−電子ペーパー)
電子ペーパー34は、制御部36の制御に基づいて各種の画像を表示する。なお、この電子ペーパー34としては、電気泳動方式、マイクロカプセル方式、液晶方式、電子粉流体方式等の公知の技術を用いた電子ペーパーを用いることができる。
【0038】
(構成−端末装置−バッテリ)
バッテリ35は、端末装置3の各部に電力を供給する電力供給手段である。このバッテリ35としては、例えばリチウムイオンバッテリ等の公知のバッテリを用いることができる。
【0039】
(構成−端末装置−制御部)
制御部36は、端末装置3を制御する制御手段である。特に、実施の形態に係るナビゲーションプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して端末装置3にインストールされることで、制御部36の各部を実質的に構成する。
【0040】
この制御部36は、機能概念的に、案内制御部36aを備えている。案内制御部36aは、経路探索部25aにより探索された経路上の出発地または現在位置から目的地までの分岐数に基づき、電子ペーパー34に表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定する案内制御手段であり、バッテリ35の残量を特定するバッテリ残量特定手段でもある。この制御部36の構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0041】
(構成−端末装置−データ記録部)
データ記録部37は、端末装置3の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。
【0042】
(処理−ナビゲーション処理)
次に、このように構成されたナビゲーションシステム1によって実行されるナビゲーション処理について説明する。図2は、ナビゲーション処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。このナビゲーション処理は、例えば、車載装置2によって予め探索された走行経路の目的地周辺(例えば目的地から所定距離以内に位置する駐車場)に車両が停車し、当該停車位置から最終目的地までの経路案内を端末装置3を用いて行う旨の指示入力が入力部22により受け付けられた場合に起動される。この場合、停車位置を出発地とし、最終目的地を目的地とする経路が、経路探索部25aにより予め探索されるものとする。
【0043】
ナビゲーション処理の起動後、車載装置2の案内制御部25bは、端末装置3のバッテリ35の残量に関する情報を要求する旨の信号を、通信部21を介して端末装置3に送信させる(SA1)。
【0044】
端末装置3の案内制御部36aは、バッテリ35の残量に関する情報を要求する旨の信号を車載装置2から受信すると、バッテリ35の残量を特定し、当該特定したバッテリ35の残量に関する情報を通信部31を介して車載装置2に送信する(SA2)。なお、バッテリ35の残量に関する情報の具体的な内容は任意で、例えばバッテリ35のSOC(State of Charge)を特定する情報をバッテリ35の残量に関する情報として車載装置2に送信する。
【0045】
車載装置2の案内制御部25bは、バッテリ35の残量に関する情報を通信部21を介して端末装置3から受信すると、当該受信した情報に基づき、端末装置3のバッテリ35の残量が所定値A以下か否かを判定する(SA3)。この所定値Aの具体的な値は任意で、例えば案内制御部25bは、出発地(すなわち車両の停車位置)から目的地(すなわち最終目的地)までの経路案内を当該端末装置3により実行するために必要なバッテリ35の残量を算出し、当該算出した残量を所定値Aとして用いる。より具体的には、例えば、出発地から目的地までの経路における分岐毎に当該分岐を案内するための案内図を電子ペーパー34に描画させることを前提として、当該経路における分岐数と、電子ペーパー34の表示画面を1回書き換えるために必要な電力とを乗算することにより、出発地から目的地までの経路案内を当該端末装置3により実行するために必要なバッテリ35の残量を求めることができる。あるいは、出発地から目的地までの予測所要時間に基づいて、必要なバッテリ35の残量を算出してもよい。
【0046】
その結果、端末装置3のバッテリ35の残量が所定値A以下ではない場合(端末装置3のバッテリ35の残量が所定値Aより大きい場合)(SA3、No)、出発地から目的地までの経路案内を当該端末装置3により実行するために十分なバッテリ35の残量があるものとし、案内制御部25bは、出発地から目的地までの経路を通常の内容にて案内するためのデータ(以下、必要に応じて「通常案内データ」)を、通信部21を介して端末装置3に送信する(SA4)。ここで「通常案内データ」とは、例えば従来と同様の方法により出発地から目的地までの経路を案内するために必要となるデータである。より具体的には、出発地から目的地までの経路における分岐毎に当該分岐を案内するために必要となるデータ(例えば、経路全体の案内図、各分岐毎の拡大図、経路を構成する各道路リンクのリンク番号等)を、通常案内データとして用いる。SA4の処理の後、車載装置2の制御部25はナビゲーション処理を終了する。
【0047】
一方、端末装置3のバッテリ35の残量が所定値A以下である場合(SA3、Yes)、出発地から目的地までの経路案内を当該端末装置3により実行するために十分なバッテリ35の残量がないものとし、案内制御部25bは、出発地から目的地までの経路を省電力にて案内するためのデータ(以下、必要に応じて「省電力案内データ」)を生成する省電力案内データ生成処理を実行する(SA5)。
【0048】
(処理−省電力案内データ生成処理)
ここで、省電力案内データ生成処理について説明する。図3は、省電力案内データ生成処理のフローチャートである。省電力案内データ生成処理が開始されると、車載装置2の案内制御部25bは、経路探索部25aにより探索された出発地(すなわち車両の停車位置)から目的地(すなわち最終目的地)までの経路における分岐数が第2の閾値(図3では6)以上か否かを判定する(SB1)。
【0049】
その結果、経路探索部25aにより探索された出発地から目的地までの経路における分岐数が第2の閾値以上である場合(図3では分岐数が6以上である場合)(SB1、Yes)、案内制御部25bは、分岐数が第2の閾値以上の場合用の案内データ(図3では「分岐数6以上用案内データ」)を生成する(SB2)。具体的には、案内制御部25bは、出発地から目的地までの経路における各分岐を特定する情報と、当該分岐の通過方向を特定する情報とを含むリストを、分岐数が第2の閾値以上の場合用の案内データとして生成する。すなわち、経路上の出発地から目的地までの分岐数に基づき、出発地から目的地までの経路上における各分岐点を特定する情報と、当該分岐の通過方向を特定する情報とを含むリストを、表示手段である電子ペーパー34に表示する表示形式として決定し、表示手段である電子ペーパー34に表示する地図は無い(この場合、地図の表示数は0)として決定する。また、本実施形態では出発地を用いているが、出発地を車両又は端末装置3の現在位置に置き換えて用いても良い。
【0050】
図4は、分岐数が第2の閾値以上の場合用の案内データの内容を例示した図である。この図4に示すように、分岐数が第2の閾値以上の場合用の案内データは、出発地(図示せず)から目的地(図示せず)までの経路における各分岐を特定する情報として各交差点の名称(例えば「○○交差点」等)を含むと共に、各分岐の通過方向を特定する情報(例えば「右折」等)を含んだリストとして構成されている。また、本実施形態では出発地から目的地までの経路における各分岐点を特定する情報としているが、出発地ではなくて車両又は端末装置3の現在位置を表示しても良く、出発地と車両又は端末装置3の現在位置を共に表示しても良く、いずれか一方を図示しても良い。
【0051】
図3に戻り、SB1において、経路探索部25aにより探索された出発地から目的地までの経路における分岐数が第2の閾値以上ではない場合(分岐数が第2の閾値未満である場合。図3では分岐数が6未満である場合)(SB1、No)、案内制御部25bは、経路探索部25aにより探索された出発地から目的地までの経路における分岐数が第1の閾値(図3では3)以上か否かを判定する(SB3)。ここで、第1の閾値は第2の閾値より小さい値として設定されている。
【0052】
その結果、経路探索部25aにより探索された出発地から目的地までの経路における分岐数が第1の閾値以上である場合(図3では分岐数が3以上である場合)(SB3、Yes)、又は、SB2の処理の後、案内制御部25bは、分岐数が第1の閾値以上の場合用の案内データ(図3では「分岐数3以上用案内データ」)を生成する(SB4)。具体的には、案内制御部25bは、出発地から目的地までの経路における各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含む当該経路全体の概略図を、分岐数が第1の閾値以上の場合用の案内データとして生成する。すなわち、経路上の出発地から目的地までの分岐数に基づき、経路全体の概略図を表示手段である電子ペーパー34に表示させる地図(この場合、地図の表示数は1)として決定するとともに、当該経路全体の概略図を表示手段である電子ペーパー34に表示する表示形式として決定する。また、本実施形態では出発地を用いているが、出発地を車両又は端末装置3の現在位置に置き換えて用いても良い。なお、SB2の処理の後にSB4の処理を行う場合には、案内制御部25bは、目的地までの分岐数が第2の閾値から1減算した数となる地点から目的地までの経路における各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含む当該経路全体の概略図を、分岐数が第1の閾値以上の場合用の案内データとして生成する。
【0053】
図5は、分岐数が第1の閾値以上の場合用の案内データの内容を例示した図である。この図5に示すように、分岐数が第1の閾値以上の場合用の案内データは、出発地(図5上に出発地点Sとして図示)から目的地(図5上に目的地点Gとして図示)までの経路における各分岐を特定する情報として各交差点の名称(例えば「○○交差点」等)を含むと共に、各分岐の通過方向を特定する情報を含む経路全体の概略図(図5では、各分岐の通過方向を折れ線で表した経路全体の概略図)として構成されている。また、本実施形態では出発地から目的地までの経路における各分岐点を特定する情報としているが、出発地ではなくて車両又は端末装置3の現在位置を表示しても良く、出発地と車両又は端末装置3の現在位置とを共に表示しても良く、いずれか一方を図示しても良い。
【0054】
図3に戻り、経路探索部25aにより探索された出発地から目的地までの経路における分岐数が第1の閾値以上ではない場合(分岐数が第1の閾値未満である場合。図3では分岐数が3未満である場合)(SB3、No)、又は、SB4の処理の後、案内制御部25bは、分岐数が第1の閾値未満の場合用の案内データ(図3では「分岐数3未満用案内データ」)を生成する(SB5)。具体的には、案内制御部25bは、出発地から目的地までの経路全体の地図と当該経路における各分岐の拡大図とを含む案内図を、分岐数が第1の閾値未満の場合用の案内データとして生成する。すなわち、経路上の出発地から目的地までの分岐数に基づき、経路上の出発地から目的地までの経路全体の地図と当該経路における各分岐の拡大図とを含む案内図を表示手段である電子ペーパー34に表示する地図(この場合、地図の表示数は3)として決定するとともに、経路上の出発地から目的地までの経路全体の地図と当該経路における各分岐の拡大図とを含む案内図を含む地図を表示手段である電子ペーパー34に表示する表示形式として決定する。また、本実施形態では出発地を用いているが、出発地を車両又は端末装置3の現在位置に置き換えて用いても良い。なお、SB4の処理の後にSB5の処理を行う場合には、案内制御部25bは、目的地までの分岐数が第1の閾値から1減算した数となる地点から目的地までの経路における各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含む当該経路全体の概略図を、分岐数が第1の閾値未満の場合用の案内データとして生成する。
【0055】
図6は、分岐数が第1の閾値未満の場合用の案内データの内容を例示した図である。この図6に示すように、分岐数が第1の閾値未満の場合用の案内データは、出発地(図6上に出発地点Sとして図示)から目的地(図6上に目的地点Gとして図示)までの経路全体の地図(図6では左側領域に示した地図)と、当該経路における各分岐の拡大図(図6では右上領域及び右下領域に示した拡大図)とを含む案内図として構成されている。また、本実施形態では出発地から目的地までの経路における各分岐点を特定する情報としているが、出発地ではなくて車両又は端末装置3の現在位置を表示しても良く、出発地と車両又は端末装置3の現在位置とを共に表示しても良く、いずれか一方を図示しても良い。
【0056】
図3に戻り、SB5の処理の後、制御部25は省電力案内データ生成処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0057】
図2に戻り、SA5で省電力案内データ生成処理を実行した後、車載装置2の案内制御部25bは、省電力案内データ生成処理で生成した各省電力案内データを、通信部21を介して端末装置3に送信させる(SA6)。その後、車載装置2の制御部25はナビゲーション処理を終了する。
【0058】
端末装置3の案内制御部36aは、SA2の処理の後、車載装置2から通信部31を介して通常案内データを受信したか否かを判定する(SA7)。その結果、車載装置2から通信部31を介して通常案内データを受信した場合(すなわち、SA4で車載装置2の案内制御部25bが通常案内データを端末装置3に送信した場合)(SA7、Yes)、案内制御部36aは、出発地から目的地までの経路を通常の内容にて案内する(SA8)。例えば案内制御部36aは、現在位置検出処理部33により端末装置3の現在位置を所定周期で特定し、当該特定した現在位置周辺の地図を電子ペーパー34に表示させる。また、出発地から目的地までの経路における各分岐から所定距離以内に端末装置3が接近した場合に、当該分岐の拡大図を電子ペーパー34に表示させる。このような案内を、端末装置3の現在位置が目的地に到達するまで繰り返す。端末装置3の現在位置が目的地に到達した場合、端末装置3の制御部36はナビゲーション処理を終了する。
【0059】
一方、車載装置2から通信部31を介して通常案内データを受信していない場合(すなわち、SA4で車載装置2の案内制御部25bが通常案内データを端末装置3に送信しない場合)(SA7、No)、端末装置3の案内制御部36aは、SA6で車載装置2の案内制御部25bが通信部21を介して端末装置3に送信した省電力案内データを、当該端末装置3のRAM(図示省略)等の記憶手段に格納し、当該省電力案内データに基づき出発地から目的地までの経路を省電力にて案内するための省電力案内処理を実行する(SA9)。
【0060】
(処理−省電力案内処理)
ここで、省電力案内処理について説明する。図7は、省電力案内処理のフローチャートである。省電力案内処理が開始されると、案内制御部36aは、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐数が第1の閾値(図7では3)未満か否かを判定する(SC1)。
【0061】
その結果、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐数が第1の閾値未満である場合(図7では分岐数が3未満である場合)(SC1、Yes)、案内制御部36aは、図2のSA6で車載装置2の案内制御部25bが通信部21を介して端末装置3に送信した省電力案内データの内、分岐数が第1の閾値未満の場合用の案内データ(図7では「分岐数3未満用案内データ」)を電子ペーパー34に表示させる(SC2)。例えば案内制御部36aは、図6に示したように、出発地から目的地までの経路全体の地図(図6では左側領域に示した地図)と、当該経路における各分岐の拡大図(図6では右上領域及び右下領域に示した拡大図)とを含む案内図を電子ペーパー34に表示させる。
【0062】
図7に戻り、SC2の処理の後、案内制御部36aは、バッテリ35から電子ペーパー34への表示電力の供給を遮断する(SC3)。この場合においても、SC2で電子ペーパー34に表示された案内データは、電子ペーパー34に表示された状態で保持される。SC3の処理の後、制御部36は省電力案内処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0063】
また、SC1において、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐数が第1の閾値未満ではない場合(分岐数が第1の閾値以上である場合。図7では分岐数が3以上である場合)(SC1、No)、案内制御部36aは、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐数が第2の閾値(図7では6)未満か否かを判定する(SC4)。
【0064】
その結果、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐数が第2の閾値未満である場合(図7では分岐数が6未満である場合)(SC4、Yes)、案内制御部36aは、図2のSA6で車載装置2の案内制御部25bが通信部21を介して端末装置3に送信した省電力案内データの内、分岐数が第1の閾値以上の場合用の案内データ(図7では「分岐数3以上用案内データ」)を電子ペーパー34に表示させる(SC5)。例えば図5に示したように、案内制御部36aは、出発地から目的地までの経路における各分岐を特定する情報として各交差点の名称(例えば「○○交差点」等)を含むと共に、各分岐の通過方向を特定する情報を含む経路全体の概略図(図5では、各分岐の通過方向を折れ線で表した経路全体の概略図)を電子ペーパー34に表示させる。
【0065】
図7に戻り、SC4において、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐数が第2の閾値未満ではない場合(分岐数が第2の閾値以上である場合。図7では分岐数が6以上である場合)(SC4、No)、案内制御部36aは、図2のSA6で車載装置2の案内制御部25bが通信部21を介して端末装置3に送信した省電力案内データの内、分岐数が第2の閾値以上の場合用の案内データ(図7では「分岐数6以上用案内データ」)を電子ペーパー34に表示させる(SC6)。例えば図4に示したように、案内制御部36aは、出発地から目的地までの経路における各分岐を特定する情報として各交差点の名称(例えば「○○交差点」等)を含むと共に、各分岐の通過方向を特定する情報(例えば「右折」等)を含んだリストを電子ペーパー34に表示させる。
【0066】
図7に戻り、SC5又はSC6の処理の後、案内制御部36aは、バッテリ35から電子ペーパー34への表示電力の供給を遮断する(SC7)。この場合においても、SC5又はSC6で電子ペーパー34に表示された案内データは、電子ペーパー34に表示された状態で保持される。
【0067】
続いて案内制御部36aは、現在位置検出処理部33を介して端末装置3の現在位置を特定し、端末装置3の現在位置が目的地までの経路における分岐に到達するまで待機する(SC8、No)。端末装置3の現在位置が目的地までの経路における分岐に到達した場合(SC8、Yes)、案内制御部36aは、端末装置3のバッテリ35の残量が所定値B以上か否かを判定する(SC9)。この所定値Bの具体的な値は任意で、例えば案内制御部36aは、端末装置3の現在位置から目的地(すなわち最終目的地)までの経路案内を当該端末装置3により実行するために必要なバッテリ35の残量を算出し、当該算出した残量を所定値Bとして用いる。より具体的には、例えば、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐毎に当該分岐を案内するための案内図を電子ペーパー34に描画させることを前提として、当該経路における分岐数と、電子ペーパー34の表示画面を1回書き換えるために必要な電力とを乗算することにより、端末装置3の現在位置から目的地までの経路案内を当該端末装置3により実行するために必要なバッテリ35の残量を求めることができる。あるいは、端末装置3の現在位置から目的地までの予測所要時間に基づいて、必要なバッテリ35の残量を算出してもよい。
【0068】
その結果、端末装置3のバッテリ35の残量が所定値B以上である場合(SC9、Yes)、SC8で端末装置3の現在位置が到達したと判定された分岐に関する案内を電子ペーパー34に表示させる(SC10)。例えば案内制御部36aは、当該分岐の拡大図を電子ペーパー34に表示させる。その後、制御部36はSC1に戻る。以降、SC1で端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐数が第1の閾値未満である(図7では分岐数が3未満である)と判定されるか(SC1、Yes)、又はSC9で端末装置3のバッテリ35の残量が所定値B以上ではないと判定される(SC9、No)まで、SC1、及びSC4からSC10の処理を繰り返す。
【0069】
一方、端末装置3のバッテリ35の残量が所定値B以上ではない場合(端末装置3のバッテリ35の残量が所定値Bより小さい場合)(SC9、No)、SC8で端末装置3の現在位置が到達したと判定された分岐に関する案内を行うために電子ペーパー34の表示を更新する際に必要となるバッテリ35の残量がないものとし、制御部36は省電力案内処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0070】
図2に戻り、SA9で省電力案内処理を実行した後、端末装置3の制御部36はナビゲーション処理を終了する。
【0071】
(効果)
このように実施の形態によれば、案内制御部25b、36aは、経路探索部25aにより探索された経路上の出発地または現在位置から目的地までの分岐数に基づき、電子ペーパー34に表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定するので、目的地までの分岐数に応じた内容及び形式の地図を電子ペーパー34に表示させることができ、万一目的地までの経路案内を行っている途中でバッテリ残量がなくなり電源供給が遮断されたとしても、目的地までの経路案内に必要な地図表示を保持することができる。これにより、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる。
【0072】
特に、案内制御部25b、36aは、分岐数に応じて地図の表示形式を異ならせると共に、分岐数が少ないほど地図の表示数を増加させるので、経路における分岐数に応じて、目的地までの経路における各分岐についての情報を必要且つ十分に電子ペーパー34を用いて案内することができ、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって一層分かりやすい案内を行うことができる。
【0073】
また、案内制御部25b、36aは、バッテリ35の残量が所定値未満の場合には分岐数に基づき決定した地図の表示形式で当該分岐数に基づき決定した地図を電子ペーパー34に表示させ、バッテリ35の残量が所定値以上の場合には経路上の現在位置に基づく地図を電子ペーパー34に表示させるので、バッテリ35の残量に余裕がある場合には現在位置に基づく地図を表示させて詳細な案内を行い、バッテリ35の残量に余裕がない場合には分岐数に基づき決定した必要最低限の内容の地図を表示させつつ消費電力を節減する等、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる。
【0074】
また、案内制御部25b、36aは、経路における分岐数が第1の閾値未満の場合、当該経路全体の地図と当該経路における各分岐の拡大図とを含む案内図を電子ペーパー34に表示させるための制御を行うので、経路全体を把握可能であると共に、各分岐の周辺状況を詳細に把握可能な態様で経路案内を行うことができ、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって一層分かりやすい案内を行うことができる。
【0075】
また、案内制御部25b、36aは、経路における分岐数が第1の閾値以上であり、且つ、当該第1の閾値より大きい第2の閾値未満である場合、各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含む当該経路全体の概略図を電子ペーパー34に表示させるための制御を行うので、経路における分岐数が第1の閾値未満の場合と比較して案内の情報量は減るものの、経路全体の概略を把握可能であると共に、各分岐の名称や概略位置、通過方向等を把握可能な態様で経路案内を行うことができ、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる。
【0076】
また、案内制御部25b、36aは、経路における分岐数が第2の閾値以上である場合、各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含むリストを、電子ペーパー34に表示させるための制御を行うので、経路における分岐数が第2の閾値未満の場合と比較して案内の情報量は減るものの、目的地までの経路における全ての分岐について、各分岐の名称や通過方向等を把握可能な態様で経路案内を行うことができ、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる。
【0077】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0078】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0079】
(ナビゲーションシステムの構成について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、車載装置2の制御部25やデータ記録部26、あるいは端末装置3の制御部36やデータ記録部37の一部を、ネットワークを介して車載装置2や端末装置3と相互に通信可能に接続されたセンター装置(図示省略)に配置してもよい。
【0080】
また、車載装置2のディスプレイ24に代えて電子ペーパーを設けると共に、端末装置3の制御部36やデータ記録部37を車載装置2の制御部25やデータ記録部26に統合し、上述のナビゲーション処理を車載装置2単独で実行するようにしてもよい。この場合、車載装置2の制御部25は、車載装置2の各部(例えば経路探索部25aや電子ペーパー等)のうち少なくとも1つに電力を供給する車載バッテリ(図示省略)の残量を特定し、当該車載バッテリの残量が所定値未満の場合には、経路上の出発地または現在位置から目的地までの分岐数に基づき決定した地図の表示形式で当該分岐数に基づき決定した地図を車載装置2の電子ペーパーに表示させ、車載バッテリの残量が所定値以上の場合には、経路上の現在位置に基づく地図を車載装置2の電子ペーパーに表示させるようにしてもよい。これにより、車載装置2による経路案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザにとって分かりやすい案内を行うことができる。
【0081】
(ナビゲーション処理について)
上述の実施の形態では、車載装置2と端末装置3とがナビゲーション処理を実行する場合を例として説明したが、端末装置3が単独でナビゲーション処理を実行するようにしてもよい。この場合、端末装置3の案内制御部36aは、車載装置2の経路探索部25aが探索した経路を特定するための情報や、省電力案内データ生成処理で省電力案内データを生成するために必要な各種データを、予め車載装置2やセンター装置(図示省略)から通信部31やネットワークを介して取得しておき、当該取得したデータを用いてナビゲーション処理を実行する。
【0082】
また、上述の実施の形態では、端末装置3の案内制御部36aは、図2のSA6で車載装置2の案内制御部25bが通信部21を介して端末装置3に送信した省電力案内データを、当該端末装置3のRAM(図示省略)等の記憶手段に格納すると説明したが、この場合において、当該省電力案内データ専用のメモリ領域をRAMに確保し、当該メモリ領域に省電力案内データを格納するようにしてもよい。これにより、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐数に応じた省電力案内データを読み込む際に、予め省電力案内データ専用の領域として確保されているメモリ領域を直接参照すればよく、データ読み込みに要する消費電力を一層節減することができる。また、目的地周辺の案内データ専用のメモリ領域をRAMに確保し、端末装置3のバッテリ35の残量が所定値未満となった場合には当該メモリ領域に格納されているデータを読み込んで電子ペーパー34に表示させるようにしてもよい。これにより、バッテリ35の残量が僅かとなった場合においても、必要最小限の電力で目的地周辺の案内図等を電子ペーパー34に表示させることができ、ユーザにとって必要な案内を行うことができる。
【0083】
さらに、上述の実施の形態では、図3のSB2、SB4、及びSB5において、経路上の出発地から目的地までの分岐数に基づいて、表示手段である電子ペーパー34に表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定し、図4、5、及び6に開示したような案内データを生成すると説明してきたが、経路の上の現在位置から目的地までの分岐数に基づいて、表示手段である電子ペーパー34に表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定するようにしても良い。この場合、図5と図6のように出発地点Sと目的地点Gを表示した上で現在位置を所定のアイコンを使って表示しても良いし、出発地点Sの代わりに現在位置を所定のアイコンを使って表示しても良い。
【0084】
(省電力案内処理について)
上述の実施の形態では、図7の省電力案内処理において、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における分岐数が第2の閾値以上である場合(SC4、No)、案内制御部36aが、出発地から目的地までの経路における各分岐を特定する情報として各交差点の名称を含むと共に、各分岐の通過方向を特定する情報を含んだリストを電子ペーパー34に表示させると説明したが、この場合において、電子ペーパー34に表示された交差点の名称のいずれかが入力部32を介して選択された場合、当該選択された交差点周辺の拡大図を電子ペーパー34に表示させるようにしてもよい。この場合、拡大図を表示した交差点を端末装置3の現在位置が通過した後、端末装置3の現在位置から目的地までの経路における各分岐を特定する情報として各交差点の名称を含むと共に、各分岐の通過方向を特定する情報を含んだリストを電子ペーパー34に再度表示させるようにしてもよい。これにより、案内に必要な電力を節約しつつ、ユーザが望む場合には一層分かりやすい案内を行うことができる。
【符号の説明】
【0085】
1 ナビゲーションシステム
2 車載装置
3 端末装置
21、31 通信部
22、32 入力部
23、33 現在位置検出処理部
24 ディスプレイ
25、36 制御部
25a 経路探索部
25b、36a 案内制御部
26、37 データ記録部
26a 地図情報DB
34 電子ペーパー
35 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段により探索された経路上の出発地または現在位置から前記目的地までの分岐数に基づき、電子ペーパーに表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定する案内制御手段と、
を備えるナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記案内制御手段は、前記分岐数に応じて前記地図の表示形式を異ならせると共に、当該分岐数が少ないほど当該地図の表示数を増加させる、
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記経路探索手段又は前記電子ペーパーのうち少なくとも1つに電力を供給するバッテリの残量を特定するバッテリ残量特定手段を備え、
前記案内制御手段は、前記バッテリの残量が所定値未満の場合には前記分岐数に基づき決定した地図の表示形式で当該分岐数に基づき決定した地図を前記電子ペーパーに表示させ、前記バッテリの残量が所定値以上の場合には前記経路上の現在位置に基づく地図を前記電子ペーパーに表示させる、
請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記案内制御手段は、前記経路における分岐数が第1の閾値未満の場合、当該経路全体の地図と当該経路における各分岐の拡大図とを含む案内図を前記電子ペーパーに表示させるための制御を行う、
請求項2又は3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記案内制御手段は、前記経路における分岐数が第1の閾値以上であり、且つ、当該第1の閾値より大きい第2の閾値未満である場合、各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含む当該経路全体の概略図を前記電子ペーパーに表示させるための制御を行う、
請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記案内制御手段は、前記経路における分岐数が第2の閾値以上である場合、各分岐を特定する情報と当該分岐の通過方向を特定する情報とを含むリストを、前記電子ペーパーに表示させるための制御を行う、
請求項5に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
出発地から目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
前記経路探索ステップで探索された経路上の出発地または現在位置から前記目的地までの分岐数に基づき、電子ペーパーに表示させる地図と当該地図の表示形式とを決定する案内制御ステップと、
を含むナビゲーション方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法をコンピュータに実行させるナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−53997(P2013−53997A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194020(P2011−194020)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】