説明

ナビゲーションシステム、及びナビゲーション方法

【課題】移動通信端末に付加的なハードウェアを追加することなく、歩行者向けに視覚的に容易に理解できるナビゲーションシステム等を提供する。
【解決手段】移動通信端末装置と移動体通信システムを備えるナビゲーションシステムにおいて、前記移動体通信システムはGPS衛星からの地図情報と空間配置情報とを記憶する記憶手段と、固有情報と目的地情報とを受信する受信手段と、ナビゲーション情報を前記移動通信端末装置に送信するナビゲーション情報送信手段とを備え、前記移動通信端末装置は操作手段と、前記固有情報を検出する検出手段と、前記固有情報と前記目的地情報とを前記移動体通信システムに送信する送信手段と、前記ナビゲーション情報を受信するナビゲーション情報受信手段と、前記ナビゲーション情報受信手段により受信した前記ナビゲーション情報を、撮像手段により撮像された画像に重畳的に表示手段に表示させる表示制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム、及びナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出発地から目的地に歩行者や車両等を誘導するナビゲーションシステムにおいて、目的地への経路の誘導をより分かり易くするために様々な技術が開示されている。
【0003】
それらの技術の一例としては、例えば、従来のGPS(Global Positioning System)を利用したナビゲーションシステムにおいて、車載用ナビゲーションシステムでは、屋外での利用が主体であることもあり、方位センサ、慣性センサやタイヤの回転情報等を組み合わせることにより、環境や状況に左右されにくい利便性の高いシステム構築がされている。
【0004】
また、可視光通信を用いた情報提供について、電子情報技術産業協会(JEITA)により「可視光通信システム」(CP‐1221)として規格化され、ピンポイントでの情報提供や通信は可能である。
【0005】
また、例えば特許文献1には、光学的な識別情報を発信する装置について開示されている。
【特許文献1】特開2007−218813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、携帯電話等を利用した歩行者向けのナビゲーションシステムにおいては、屋内では利用できなかったり、屋外でも環境によっては位置情報の精度が不十分で、適切な現在位置情報を適用できなかったり、特にナビゲーション開始時点では、周囲の情報を利用者が類推できない限りは何れの方向に進むべきかが分からない等、車載用ナビゲーションシステムに比べて大幅に不便であるという問題点があった。また、潜在的なニーズがビル内や地下街等、GPSが利用できない領域で多くあり、車載用ナビゲーションシステムの延長線上では解決が難しいという問題点があった。また、可視光通信を用いた情報提供については、専用のセンサを付加する必要があるだけでなく、本発明によるサインポストに相当する装置の方向に検出装置を向けなければ実質的な機能を発揮できないにもかかわらず、目視による検出はもちろんカメラ等による検出が難しく、その所在位置が把握しづらいという問題点もあった。また、本発明で提案しているカメラ画像とのオーバレイにより、目視できている風景と合わせることも現実的には難しいため、利用の容易性を高めることはできないという問題点もあった。
【0007】
また、上記特許文献1では、GPSやネットワーク等との連携が含まれていないため、現実的な実装(インプリメント)、特に初期導入が非常に困難になるという問題点があった。更に上記特許文献1には、可視表示との照合性のための撮影映像と取得映像との重ね合わせ表示について記載されていないため、歩行状態では向いている方向が不確実で分かり辛く、実際にはただ地図を広げているだけに近い状態であるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記各問題点に鑑みて為されたもので、その目的の一例は、移動通信端末に付加的なハードウェアを追加することなく、歩行者向けに視覚的に容易に理解できるナビゲーションシステム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、前記移動通信端末装置と通信可能に接続された移動体通信システムと、を備えるナビゲーションシステムにおいて、前記移動体通信システムは、GPS衛星からの航法電波による地図情報と、前記発光装置の空間的な配置を示す空間配置情報と、を記憶する記憶手段と、前記移動通信端末装置から送信された前記固有情報と前記目的地情報とを受信する受信手段と、前記記憶手段により記憶されている前記地図情報と前記空間配置情報と、前記受信手段により受信された前記固有情報と前記目的地情報とによりナビゲーション情報を生成して、当該ナビゲーション情報を前記移動通信端末装置に送信するナビゲーション情報送信手段と、を備え、前記移動通信端末装置は、目的地情報を設定するための操作手段と、前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出手段と、前記検出された前記固有情報と、前記操作手段により設定された前記目的地情報とを前記移動体通信システムに送信する送信手段と、前記ナビゲーション情報送信手段により送信された前記ナビゲーション情報を受信するナビゲーション情報受信手段と、前記ナビゲーション情報受信手段により受信した前記ナビゲーション情報を、前記撮像手段により撮像された前記画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、を備えるナビゲーションシステムにおいて、前記移動通信端末装置は、前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出手段と、前記画像内における各前記発光装置の空間的な配置を示す空間的配置情報を認識する配置認識手段と、前記検出手段により検出された前記固有情報と、前記配置認識手段により認識された前記空間配置情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記空間的配置情報と前記固有情報とを、前記撮像手段により撮像された画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、前記移動通信端末装置と通信可能に接続された移動体通信システムと、を備えるナビゲーションシステムにおいて、前記移動体通信システムは、GPS衛星からの航法電波による地図情報を記憶する記憶手段と、前記移動通信端末装置から送信された前記固有情報と前記空間配置情報と前記目的地情報とを受信する受信手段と、前記地図情報と前記空間配置情報と前記固有情報と前記目的地情報とによりナビゲーション情報を生成して、当該ナビゲーション情報を前記移動通信端末装置に送信するナビゲーション情報送信手段と、を備え、前記移動通信端末装置は、前記発光装置の空間的な配置を示す空間配置情報を記憶する記憶手段と、目的地情報を設定するための操作手段と、前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出手段と、前記検出された前記固有情報と、前記空間配置情報と、前記操作手段により設定された前記目的地情報とを前記移動体通信システムに送信する送信手段と、前記ナビゲーション情報送信手段により送信された前記ナビゲーション情報を受信するナビゲーション情報受信手段と、前記ナビゲーション情報受信手段により受信した前記ナビゲーション情報を、前記撮像手段により撮像された前記画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、前記移動通信端末装置は、前記空間配置情報を更新する場合、又は前記空間配置情報の追加する場合に、前記移動体通信システムと送受信を行うことを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、前記移動通信端末装置と通信可能に接続された移動体通信システムと、を備えるナビゲーションシステムのナビゲーション方法において、前記移動体通信システムは、GPS衛星からの航法電波による地図情報と、前記発光装置の空間的な配置を示す空間配置情報と、を記憶する記憶工程と、前記移動通信端末装置から送信された前記固有情報と前記目的地情報とを受信する受信工程と、前記地図情報と前記空間配置情報と前記固有情報と前記目的地情報とによりナビゲーション情報を生成して、当該ナビゲーション情報を前記移動通信端末装置に送信するナビゲーション情報送信工程と、を備え、前記移動通信端末装置は、目的地情報を設定するための操作工程と、前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出工程と、前記検出された前記固有情報と、前記操作工程により設定された前記目的地情報とを前記移動体通信システムに送信する送信工程と、前記ナビゲーション情報送信工程により送信された前記ナビゲーション情報を受信するナビゲーション情報受信工程と、前記ナビゲーション情報受信工程により受信した前記ナビゲーション情報を、前記撮像手段により撮像された前記画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、を備えるナビゲーションシステムのナビゲーション方法において、前記移動通信端末装置は、前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出工程と、前記画像内における各前記発光装置の空間的な配置を示す空間的配置情報を認識する配置認識工程と、前記検出工程により検出された前記固有情報と、前記配置認識手段により認識された前記空間配置情報とを関連付けて記憶する記憶工程と、前記記憶工程に記憶されている前記空間的配置情報と前記固有情報とを、前記撮像手段により撮像された画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、前記移動通信端末装置と通信可能に接続された移動体通信システムと、を備えるナビゲーションシステムのナビゲーション方法において、前記移動体通信システムは、GPS衛星からの航法電波による地図情報を記憶する記憶工程と、前記移動通信端末装置から送信された前記固有情報と前記空間配置情報と前記目的地情報とを受信する受信工程と、前記地図情報と前記空間配置情報と前記固有情報と前記目的地情報とによりナビゲーション情報を生成して、当該ナビゲーション情報を前記移動通信端末装置に送信するナビゲーション情報送信工程と、を備え、前記移動通信端末装置は、前記発光装置の空間的な配置を示す空間配置情報を記憶する記憶工程と、目的地情報を設定するための操作工程と、前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出工程と、前記検出された前記固有情報と、前記空間配置情報と、前記操作工程により設定された前記目的地情報とを前記移動体通信システムに送信する送信工程と、前記ナビゲーション情報送信工程により送信された前記ナビゲーション情報を受信するナビゲーション情報受信工程と、前記ナビゲーション情報受信工程により受信した前記ナビゲーション情報を、前記撮像手段により撮像された前記画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御工程と、を備え、前記移動通信端末装置は、前記空間配置情報を更新する場合、又は前記空間配置情報の追加する場合に、前記移動体通信システムと送受信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、屋外だけでなく、GPS衛星からの電波の届かない屋内、特に地下街や、GPS衛星からの電波が届いたとしても識別が非常に困難な多層階ビル等のフロアごとに発光装置を設置することにより、従来のGPSのみ利用のナビゲーションシステムでは従来不可能であった場所でのナビゲーションが可能になる。
【0016】
また、本発明によれば、ナビゲーションするための情報が撮像手段により撮像された画像にオーバレイされて表示されるため、空間的な配置を含んだ情報の取得及び提供が可能であり、周囲の視覚情報と一致させやすいことにより、確実で誤認の少ないナビゲーションが可能になる。
【0017】
また、本発明によれば、撮像手段をセンサとすることにより、複数の発光装置を同時に認識することが可能となるため、視覚情報との一致度やナビゲーション性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、歩行者用のナビゲーションシステムに対して本願を適用した場合の実施形態である。
【0019】
先ず、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成及び機能の概要について、図1を用いて説明する。
【0020】
なお、図1は、本実施形態に係るナビゲーションシステムの概略を示した図である。
【0021】
図1に示すように、T字部分は道路や通路を模式しており、また、サインポスト321〜328(発光装置の一例)が適宜配置されている様子を示しており、移動体通信システム300(移動体通信システムの一例)に収容される移動通信端末310(移動通信端末装置の一例)は、利用者に携行され、その中に存在する。
【0022】
図2乃至4は、図1に示した本実施形態に係るナビゲーションシステムを説明するために視覚的に状況を示した図であり、具体的には、図2は、サインポスト321〜328の配置を俯瞰的に示す図であり、図3は、図2のもとで、サインポスト321近傍からサインポスト324方向を向いている際に、移動通信端末310のカメラ部200(撮像手段の一例)にて撮像されて表示部240に表示されている画面の一例を示す図であり、図4は、図3の画像に、本実施形態に係るナビゲーションシステムが機能して作成された情報が重畳されて、利用者に情報が表示部240の画面表示として提供されている画面の一例を示す図である。
【0023】
次に、本実施形態に係る移動通信端末310の概略構成及び機能について、図5を用いて説明する。
【0024】
なお、図5は、本実施形態に係る移動通信端末310のブロック図である。
【0025】
図5に示すように、移動通信端末310は、カメラ部200と、アンテナ210と、無線送受信部220(送信手段、ナビゲーション情報受信手段の一例)と、表示部240(表示手段の一例)と、操作部250(操作手段の一例)とを備える一般的な移動通信端末の構成である。なお、カメラ部200は移動通信端末310の必須の構成要件ではないが、現在ではその実装は一般化している。
【0026】
更にまた、移動通信端末310は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)等を備える制御部230(検出手段の一例、表示制御手段の一例)を備え、制御部230と各部とは、システムバスを介して相互に接続されている。
【0027】
また、制御部230は、CPUがROM等に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより、移動通信端末310全体を制御する。なお、各種プログラム等は、例えば、サーバ等からダウンロードされるようにしても良いし、メモリカード等の記録媒体から読み込まれるようにしても良い。
【0028】
なお、図示しないが、移動体通信システム300は、GPS衛星からの航法電波による地図情報と、サインポストの空間的な配置を示す空間配置情報と、を記憶する記憶部(記憶手段の一例)と、移動通信端末310から送信された固有情報と目的地情報とを受信する受信部(受信手段の一例)と、記憶部により記憶されている地図情報と空間配置情報と、受信部により受信された固有情報と目的地情報とによりナビゲーション情報を生成して、当該ナビゲーション情報を移動通信端末310に送信するナビゲーション情報送信部(ナビゲーション情報送信手段の一例)とを備えている。
【0029】
次に、本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの動作について、図6を用いて説明する。
【0030】
図6は、本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの処理の一例を示すフローチャートである。
【0031】
なお、本実施形態の動作は、単独アプリケーションとして、或いは、GPSナビゲーションのアプリケーションと融合した状態で発動されるものであり、従来のGPSナビゲーションにある操作や機能部分は暗黙に実行されているものとして説明する。
【0032】
本実施形態に係るナビゲーションシステムが展開されている状態で、図2乃至5のサインポスト321近傍に移動通信端末310があるとする。ここで、利用者は、目的地としてサインポスト328近傍にある目的地に到着するために、所定の操作を行った上で、本実施形態の動作部分の起動を行う。
【0033】
かかる起動を受けて、移動通信端末310は、カメラ部200の起動及び表示部240への撮影画像の表示を開始する(ステップS101)。
【0034】
移動通信端末310の制御部230は、カメラ部200から取得される画像を時系列的に処理・解析を行い、画像内にサインポストからの光学的時系列信号の存在の有無を検索する。当該画像領域内に複数のサインポストがあれば、それらのすべてを検索対象として処理を行う(ステップ102)。なお、このサインポスト検索動作は、以降のステップに並行して行われるように実装することが望ましい。
【0035】
次いで、移動通信端末310の制御部230は、サインポストが検出されたか否かを判断する(ステップS103)。サインポストが検出されたと判断した場合(ステップS103:YES)には、ステップ110に移行し、サインポストが検出されていないと判断した場合(ステップS103:NO)には、ステップ130に移行する。
【0036】
ステップS102によりサインポストが検出されているので、画像内の映像情報と各々のサインポスト情報の関連付けして記憶するとともに、検出されたサインポストを表示部240にオーバレイ表示する(ステップS101)。ここで、5頂点星型としてオーバレイ表示した例を図4に示す。
【0037】
次いで移動通信端末310の制御部230は、ステップ102にて検出されたサインポストの情報やナビゲーション目的地等の情報を伴って、無線送受信部220及びアンテナ210を介して移動体通信システム300に問い合わせを行う(ステップS111)。
【0038】
次いで移動通信端末310の制御部230は、ステップS111にて行った問い合わせへの返信待ちをする(ステップS120)。ここでは、移動体通信システム300のサービスエリア圏外である場合や、極めて応答が遅い場合等が考えられるので、タイムアウト等適切なインプリメント(実装)を行う必要がある。
【0039】
次いで移動通信端末310の制御部230は、ステップS120の待ち合わせが完了して、移動体通信システム300から有効な情報が得られたか否かの判定を行う(ステップS121)。
【0040】
移動通信端末310の制御部230は、有効な情報が得られなかったと判定した場合(ステップS121:NO)には、「サービスエリア圏外」、「応答タイムアウト」、「方向が異なっている」等を含めることができる。
【0041】
一方、移動通信端末310の制御部230は、有効な情報が得られたと判定した場合(ステップS121:YES)には、その情報に従って、表示部240に表示されている画像にオーバレイする内容を生成して表示させる(ステップS140)。例えば、「現在の方向に従って、100m先を右折」に相当する情報が得られたとした場合には、図4に示されたように、右折れ矢印と距離表示を生成してオーバレイ表示させ、引き続き、ステップ102に戻ってサインポストの検索を続ける。
【0042】
なお、サインポスト検索を単発動作としての実装として、図6に示されるフローチャートを抜けるような実装や、一定時間をおいてからステップS102に戻るような実装とすることもできる。
【0043】
ステップS103においてサインポストが検出できなかった場合(ステップS103:NO)と、ステップS121において移動体通信システムから有効な応答が得られなかった場合(ステップS121:NO)に、適切な表示を行う(ステップS103)。このステップに至った理由に対して最も適切な表現の表示を、表示部240に対して単独又はオーバレイ表示を行う。なお、当該表示は続行をするか否かを利用者に尋ねるダイアログであっても良い。
【0044】
また、ステップS140と同様に、サインポスト検索を単発動作としての実装として、図1に示されるフローチャートを抜けるような実装や、一定時間をおいてからステップS102に戻るような実装とすることもできる。
【0045】
ここで、サインポスト321〜328の動作について説明する。
【0046】
サインポスト321〜328は、動画カメラ画像の解析にて検出できるような光学的な時系列情報を発信するものである。ここで、サインポスト321〜328には、以下のような特性を持たせている。具体的には、カメラ部200の画像取得速度が高々毎秒数十枚程度であるから、連続する画像から時系列情報が検出できるように毎秒十数回以下の変化点を持つような低速度の明滅又は輝度変化である光学的信号を発するように設計される。また、光学的な情報の光学的な特性は、周囲の照明や発光型広告物等との識別性を高めるため、また、それらを阻害しないようなものであることが望ましく、好ましくはカメラ部200の視感度があり、人間には視感度の極めて低い波長領域である近赤外線域とすることで、設計の容易性を向上させることができる。また、サインポスト321〜328の物理的な大きさは、カメラ部200の画像解像度と認識されるべき距離を考慮して決定する必要があるが、十数〜数十センチメートル程度四方の面積とすることで十分である。カメラ部200の映像画素の複数にわたって映し出されればよいので、真四角や円状等である必要はなく、細長い形状であっても構わない。また、光学的な情報を発する方向については、無指向性である必要はなく、2方向か3方向程度に強い指向性を持ったもので十分である。
【0047】
なお、サインポスト321〜328の設置方法や高さについては、街灯、壁面、天井面、照明器具等、状況に応じて選択することが可能であり、特に限定されない。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、屋外だけでなく、GPS衛星からの電波の届かない屋内、特に地下街や、GPS衛星からの電波が届いたとしても識別が非常に困難な多層階ビルのフロアごとにサインポストを設置することにより、従来のGPSのみ利用のナビゲーションシステムでは従来不可能だった場所でのナビゲーションが可能になる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ナビゲーション情報がカメラ部200により撮像された画像にオーバレイされて表示されるため、空間的な配置を含んだ情報の取得及び提供が可能であり、周囲の視覚情報と一致させやすいことにより、確実で誤認の少ないナビゲーションが可能になる。
【0050】
また、本実施形態によれば、カメラ部200をセンサとすることにより、同時に複数のサインポスト321〜328を認識することが可能となっており、視覚情報との一致度やナビゲーション性が向上している。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において変更することが可能である。例えば、本発明の上記実施形態の他の実施形態として、その基本的構成は上記の通りであるが、移動通信端末310の本体メモリあるいは内臓可能なメモリカード等の媒体にサインポストや地図の情報を格納し、移動体通信システム300と通信できないときであっても自律的にナビゲーションするような構成をとり、サインポストや地図の情報の更新時のみを移動端末通信310により行うように構成しても良い。この場合には、図6においてステップS111,S120,及びS121が実施されないようにし、運用上で必要となる「サインポストや地図の情報の更新」は一般的に実装及びサービス提供されているダウンロードの仕組みを利用することで実現される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの概略構成を示す図である。
【図2】サインポスト321〜328の配置を俯瞰的に示す図である。
【図3】図2のもとで、サインポスト321近傍からサインポスト324方向を向いている際に、移動通信端末310のカメラ部200にて撮像されて表示部240に表示される画像の一例を示す図である。
【図4】図3の画像に、本実施形態に係るナビゲーションシステムが機能して作成された情報が重ね合わされて、利用者に情報が表示部240の画面表示として提供されている画面の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る移動通信端末310のブロック図である。
【図6】本実施形態に係るナビゲーションシステムの処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
200 カメラ部
210 アンテナ
220 無線送受信部
230 制御部
240 表示部
250 操作部
300 移動体通信システム
310 移動通信端末
321〜328 サインポスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、
前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、前記移動通信端末装置と通信可能に接続された移動体通信システムと、を備えるナビゲーションシステムにおいて、
前記移動体通信システムは、
GPS(Global Positioning System)衛星からの航法電波による地図情報と、前記発光装置の空間的な配置を示す空間配置情報と、を記憶する記憶手段と、
前記移動通信端末装置から送信された前記固有情報と前記目的地情報とを受信する受信手段と、
前記記憶手段により記憶されている前記地図情報と前記空間配置情報と、前記受信手段により受信された前記固有情報と前記目的地情報とによりナビゲーション情報を生成して、当該ナビゲーション情報を前記移動通信端末装置に送信するナビゲーション情報送信手段と、を備え、
前記移動通信端末装置は、
目的地情報を設定するための操作手段と、
前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出手段と、
前記検出された前記固有情報と、前記操作手段により設定された前記目的地情報とを前記移動体通信システムに送信する送信手段と、
前記ナビゲーション情報送信手段により送信された前記ナビゲーション情報を受信するナビゲーション情報受信手段と、
前記ナビゲーション情報受信手段により受信した前記ナビゲーション情報を、前記撮像手段により撮像された前記画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、を備えるナビゲーションシステムにおいて、
前記移動通信端末装置は、
前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出手段と、
前記画像内における各前記発光装置の空間的な配置を示す空間的配置情報を認識する配置認識手段と、
前記検出手段により検出された前記固有情報と、前記配置認識手段により認識された前記空間配置情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記空間的配置情報と前記固有情報とを、前記撮像手段により撮像された画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、
前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、前記移動通信端末装置と通信可能に接続された移動体通信システムと、を備えるナビゲーションシステムにおいて、
前記移動体通信システムは、
GPS(Global Positioning System)衛星からの航法電波による地図情報を記憶する記憶手段と、
前記移動通信端末装置から送信された前記固有情報と前記空間配置情報と前記目的地情報とを受信する受信手段と、
前記地図情報と前記空間配置情報と前記固有情報と前記目的地情報とによりナビゲーション情報を生成して、当該ナビゲーション情報を前記移動通信端末装置に送信するナビゲーション情報送信手段と、を備え、
前記移動通信端末装置は、
前記発光装置の空間的な配置を示す空間配置情報を記憶する記憶手段と、
目的地情報を設定するための操作手段と、
前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出手段と、
前記検出された前記固有情報と、前記空間配置情報と、前記操作手段により設定された前記目的地情報とを前記移動体通信システムに送信する送信手段と、
前記ナビゲーション情報送信手段により送信された前記ナビゲーション情報を受信するナビゲーション情報受信手段と、
前記ナビゲーション情報受信手段により受信した前記ナビゲーション情報を、前記撮像手段により撮像された前記画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記移動通信端末装置は、前記空間配置情報を更新する場合、又は前記空間配置情報の追加する場合に、前記移動体通信システムと送受信を行うことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、
前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、前記移動通信端末装置と通信可能に接続された移動体通信システムと、を備えるナビゲーションシステムのナビゲーション方法において、
前記移動体通信システムは、
GPS(Global Positioning System)衛星からの航法電波による地図情報と、前記発光装置の空間的な配置を示す空間配置情報と、を記憶する記憶工程と、
前記移動通信端末装置から送信された前記固有情報と前記目的地情報とを受信する受信工程と、
前記地図情報と前記空間配置情報と前記固有情報と前記目的地情報とによりナビゲーション情報を生成して、当該ナビゲーション情報を前記移動通信端末装置に送信するナビゲーション情報送信工程と、を備え、
前記移動通信端末装置は、
目的地情報を設定するための操作工程と、
前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出工程と、
前記検出された前記固有情報と、前記操作工程により設定された前記目的地情報とを前記移動体通信システムに送信する送信工程と、
前記ナビゲーション情報送信工程により送信された前記ナビゲーション情報を受信するナビゲーション情報受信工程と、
前記ナビゲーション情報受信工程により受信した前記ナビゲーション情報を、前記撮像手段により撮像された前記画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御工程と、
を備えることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項5】
空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、を備えるナビゲーションシステムのナビゲーション方法において、
前記移動通信端末装置は、
前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出工程と、
前記画像内における各前記発光装置の空間的な配置を示す空間的配置情報を認識する配置認識工程と、
前記検出工程により検出された前記固有情報と、前記配置認識手段により認識された前記空間配置情報とを関連付けて記憶する記憶工程と、
前記記憶工程に記憶されている前記空間的配置情報と前記固有情報とを、前記撮像手段により撮像された画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御工程と、
を備えることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項6】
空間的に適切に配置され、光学的な固有情報を発信する発信手段を備える発光装置と、
前記発光装置を撮像する撮像手段と、少なくとも前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、を備える移動通信端末装置と、前記移動通信端末装置と通信可能に接続された移動体通信システムと、を備えるナビゲーションシステムのナビゲーション方法において、
前記移動体通信システムは、
GPS(Global Positioning System)衛星からの航法電波による地図情報を記憶する記憶工程と、
前記移動通信端末装置から送信された前記固有情報と前記空間配置情報と前記目的地情報とを受信する受信工程と、
前記地図情報と前記空間配置情報と前記固有情報と前記目的地情報とによりナビゲーション情報を生成して、当該ナビゲーション情報を前記移動通信端末装置に送信するナビゲーション情報送信工程と、を備え、
前記移動通信端末装置は、
前記発光装置の空間的な配置を示す空間配置情報を記憶する記憶工程と、
目的地情報を設定するための操作工程と、
前記発信手段から発信される前記固有情報を検出する検出工程と、
前記検出された前記固有情報と、前記空間配置情報と、前記操作工程により設定された前記目的地情報とを前記移動体通信システムに送信する送信工程と、
前記ナビゲーション情報送信工程により送信された前記ナビゲーション情報を受信するナビゲーション情報受信工程と、
前記ナビゲーション情報受信工程により受信した前記ナビゲーション情報を、前記撮像手段により撮像された前記画像に重畳的に前記表示手段に表示させる表示制御工程と、
を備え、
前記移動通信端末装置は、前記空間配置情報を更新する場合、又は前記空間配置情報の追加する場合に、前記移動体通信システムと送受信を行うことを特徴とするナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−229282(P2009−229282A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75859(P2008−75859)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】