説明

ナビゲーションシステム

【課題】 ユーザインタフェース側の負荷を軽減し、アプリケーションが増えた場合でも負荷が増えるのを防止する。
【解決手段】 利用者への情報出力、利用者からの情報入力を処理し、複数のアプリケーションを搭載したユーザインタフェース(2)と、ナビゲーション装置本体(1)と、ユーザインタフェースとナビゲーション装置本体間の情報伝達を行う通信層(3)とを備えたナビゲーションシステムにおいて、ユーザインタフェースは、各アプリケーションが必要とするナビゲーション装置本体からの情報取得条件を登録し、ナビゲーション装置本体から受信した情報が情報取得条件を満たすか否かを一括して監視する制御ユニットを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザインタフェースとナビゲーション装置本体との処理を分散し、両者間の情報伝達を通信層を介して行うようにしたナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーションシステムとユーザインタフェースとの間で情報のやりとりを行うようにし、ユーザインタフェースの使い勝手を向上させるようにしたナビゲーション装置が提案されている(特許文献1)。また、ナビゲーション機能以外にも、音楽再生、ビデオ再生、音楽放送、テレビ放送、インターネット等の複数のアプリケーションを搭載し、ユーザインタフェースのパネルにおいて選択利用できるナビゲーション装置も普及している。
【特許文献1】特開2001−83991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のようなナビゲーションシステムとユーザインタフェースとの間で情報のやりとりを行うようにしたナビゲーション装置においては、ナビゲーションシステムからユーザインタフェースに対して定期通信が行われている。そのため、ユーザインタフェース側に複数のアプリケーションを搭載した場合、ナビゲーションシステムからの情報を必要とするアプリケーションは定期通信を監視し、自ら必要な情報を取得する必要がある。
【0004】
図5は従来のナビゲーション装置本体とユーザインタフェースとの間の定期通信時の処理を説明する図である。
この例では、車速と方位の情報がナビゲーション装置本体から定期的にユーザインタフェース側に送信され、これをユーザインタフェースのイベント受信部で受信すると、オーディオモジュール、方位検出モジュールで値を確認し、チェック結果を返している様子を示している。例えば、オーディオモジュールでは車速が所定速度に達したか否かをチェックし、所定速度に達した場合には音量を上げる等の制御を行っており、方位検出モジュールでは所定方位に達して逆光状態になったか否か等を検出している。
【0005】
このように従来のシステムでは、ナビゲーションシステムからの定期通信をユーザインタフェース側の各アプリケーションが、直接監視を行っているためその負荷が大きい。また、アプリケーションが増えるたびに個々のアプリケーションが監視を行うため、ユーザインタフェース側での負荷が非常に大きくなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決しようとするものであり、ナビゲーション情報の定期通信を監視するユーザインタフェース側の負荷を軽減し、アプリケーションが増えた場合でも負荷が増えるのを防止することを目的とする。
そのために本発明は、利用者への情報出力、利用者からの情報入力を処理し、複数のアプリケーションを搭載したユーザインタフェースと、ナビゲーション装置本体と、ユーザインタフェースとナビゲーション装置本体間の情報伝達を行う通信層とを備えたナビゲーションシステムにおいて、ユーザインタフェースは、各アプリケーションが必要とするナビゲーション装置本体からの情報取得条件を登録し、ナビゲーション装置本体から受信した情報が前記情報取得条件を満たすか否かを一括して監視する制御ユニットを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制御ユニットで一括してナビゲーション情報の定期通信を監視するようにしたので、各アプリケーションの負荷が軽減し、アプリケーションが増えた場合でも監視を行う場所は1つなのでユーザインタフェース側での負荷が増えるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態のナビゲーションシステムを説明する概念図、図2はイベントコントロールユニットの機能を説明する図である。
【0009】
図1において、ナビゲーション装置本体1とユーザインタフェース(以下、UI)2とは、それぞれに適した処理機能のICチップを有するハード構成とすることにより処理を分散して性能アップを図っており、ナビゲーション装置本体1とUI2との間の情報伝達は通信層3を介して行っている。
【0010】
ナビゲーション装置本体1は、GPS、ジャイロ等の位置/方位検出、目的地設定等を行う入力部12からの取得情報と、地図データ、道路データ、案内用データ等のナビゲーションデータに基づいて経路探索等の処理を行っているが、ここではロケーションモジュール11から車速、位置、方位等の情報を可能な限りリアルタイムで連続して通信層3を介してUI2に対して定期的に送信している場合を示している。
【0011】
UI2はナビゲーション装置本体から送られる情報を受信し、各アプリケーションが必要とする状態に達したか否かを一括して監視する制御ユニットとして、イベントコントロールユニット(以下、ICU)21を有し、ここではアプリケーションとしてHMI(Hard Machine Interface)描画モジュール22、AUDIOモジュール23が例示されている。HMI描画モジュール22は、自車位置周辺の地図等を描画しており、車速、位置情報、方位情報を所定のタイミングで必要としている。AUDIOモジュール23は、車速や位置情報により音量を制御している。
【0012】
本実施形態では、各アプリケーションは、ICU21に対してナビゲーション装置本体からの情報を取得する条件をコールバック登録しておく。ICU21では、ナビゲーション装置本体から送られる情報を受信し、各アプリケーションが登録した条件を満たすか否か一括して監視し、登録条件を満たしたとき、各アプリケーションに対してその情報を通知する。
【0013】
このようなICUの処理の1例について図2により説明する。
例えば、AUDIOモジュールが車速60kmに達したとき、方位検出モジュールが方位18度になったとき、それぞれコールバック(情報を通知)することをICUに対して登録した場合を説明する。ICUでは、ナビゲーション装置本体から送信される車速、方位情報を受信して監視し、方位18度になったとき方位検出モジュールに対してコールバック(イベント発行)し、方位検出モジュールは方位18度の情報を取得する。また、車速が60kmになったとき、オーディオモジュールに対してコールバック(イベント発行)し、オーディオモジュールは車速60kmの情報を取得する。もちろん、登録条件を車速60km以上というように設定すれば、図の61kmにおいてもコールバック(イベント発行)する。
【0014】
図3は交差点拡大図表示の場合のICUの処理の例を示す図である。
ナビゲーションシステムでは、案内交差点に所定距離まで接近すると交差点拡大図を表示し、交差点の案内を行っている。図5に示した従来の方法を用いて交差点拡大図を表示する場合、ナビゲーション装置本体で算出された自車位置と交差点間の距離が常にUIの交差点拡大図表示アプリケーションでチェックされ、交差点までの予め定められた所定距離(例えば100m)まで接近した場合に交差点案内が行われることになる。
【0015】
本実施形態では、図示するように、UIの交差点拡大図表示アプリケーションは、ICUに予め定められた所定距離(例えば100m)をコールバック登録する。そして、ナビゲーション装置本体から送られてくるデータがコールバック登録したデータに一致したときにのみICUから交差点拡大図表示アプリケーションにデータが送られ、交差点拡大図を表示しての案内が開始される。その結果、UI側での処理の負担を軽減することが可能になる。なお、交差点との距離0mをコールバック登録しておくことにより、交差点に到達したとき交差点拡大図を消去する場合の処理負担も軽減される。
【0016】
図4は方位磁石表示の場合のICUの処理の例を示す図である。
ナビゲーションシステムでは、地図をヘディングアップ表示(自車の進行方向が画面上方になるような地図表示)を行う際に、自車の移動に従って地図上に地図の向きを示す方位磁石表示を行っている。方位磁石データは複数の図、例えば30度毎(0度、30度、60度……)のように離散的な値のビットマップ図として格納されているが、ナビゲーション装置本体での方位検出はそれよりも詳細な値、例えば1度毎のようにほぼ連続的なデータとして検出されている。
【0017】
そのため、図5に示した従来の方法を用いて方位磁石表示を行う場合、ナビゲーション装置本体で算出された方位が常にUI側の方位磁石表示アプリケーションでチェックされ、交差点まで予め定められた方位(例えば0度、30度、60度……)になった時に方位磁石表示が更新されることになるため、方位磁石表示アプリケーションの処理負担が大きかった。
【0018】
本実施形態では、方位磁石表示アプリケーションは、ICUに予め定められた方位(例えば0度、30度、60度……)をコールバック登録し、ナビゲーション装置本体から送られてくるデータがコールバック登録したデータに一致したときにのみICUから方位磁石表示アプリケーションにデータが送られて方位磁石表示されることになるため、UI側での処理の負担を軽減することが可能になる。
【0019】
このように、ICUが無い場合(図5に示した従来例の場合)には、ナビゲーション装置本体側でUI側のモジュール(アプリケーション)を把握し、各モジュールに対して直接イベントを起こし、UI側では各モジュールが常に受信イベントを直接監視する必要があったが、本実施形態ではナビゲーション装置本体から定期的に送信される情報をICUが一括して監視し、各アプリケーションが登録した条件に合致したとき各アプリケーションに対して通知するので、各アプリケーションの負荷が軽減し、また、アプリケーションが増えても監視を行うのはICU1箇所だけであるので、UI側の負荷が増えることはない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明によれば、ユーザインタフェース側の負荷が軽減し、アプリケーションが増えた場合でも負荷が増えるのを防止できるので産業上の利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態のナビゲーションシステムを説明する概念図である。
【図2】イベントコントロールユニットの機能の1例を説明する図である。
【図3】交差点拡大図表示の場合のICUの処理の例を説明する図である。
【図4】方位磁石表示の場合のICUの処理の例を示す図である。
【図5】従来のナビゲーション装置本体とユーザインタフェースとの間の定期通信時の処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0022】
1…ナビゲーション装置本体、2…ユーザインタフェース、3…通信層、11…ロケーションモジュール、12…入力部、21…イベントコントロールユニット、22…HMI描画モジュール、23…AUDIOモジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者への情報出力、利用者からの情報入力を処理し、複数のアプリケーションを搭載したユーザインタフェースと、ナビゲーション装置本体と、ユーザインタフェースとナビゲーション装置本体間の情報伝達を行う通信層とを備えたナビゲーションシステムにおいて、
ユーザインタフェースは、各アプリケーションが必要とするナビゲーション装置本体からの情報取得条件を登録し、ナビゲーション装置本体から受信した情報が前記情報取得条件を満たすか否かを一括して監視する制御ユニットを有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、ナビゲーション装置本体から受信した情報が、各アプリケーションの登録した情報取得条件を満たしたとき、各アプリケーションに対して受信情報を通知することを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−215603(P2006−215603A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24732(P2005−24732)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】