説明

ナビゲーション装置、ナビゲーションプログラムおよびナビゲーション方法

【課題】複数の油種に対応した給油機の脇に停車する場合など、停車位置として複数の候補が存在する場合に、適切な位置に停車できないことがあった。
【解決手段】車両外の画像を取得し、前記画像に基づいて複数の停車位置の候補から停車位置を選択し、前記停車位置に配置すべき車両の部位を示す車両情報を取得し、前記車両の部位を前記選択した停車位置に合わせるための案内情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を案内するナビゲーション装置、プログラムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サービスステーション等に設置された燃料の供給器においては、複数の種類の燃料を供給可能に構成している場合が多い。例えば、燃料の供給器には、軽油、レギュラーガソリン、プレミアムガソリンなどの燃料種毎に複数の供給ノズルが備えられている。この供給器によって車両に対して燃料を供給する際には供給器の横に車両を停車し、所望の種類の燃料に対応した供給ノズルを選択して車両に対して燃料を供給する。
また、燃料供給を円滑に行うため、給油口が車両の左右いずれに取り付けられているかを示す情報や、フューエルリッドオープナーの位置を示す情報を提供するナビゲーション装置が知られている。(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−317302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術においては、燃料を供給するために適切な位置に停車できないことがあった。すなわち、車両の運転者は、燃料の供給器付近に車両の給油口が位置するように運転して停車するが、複数の給油ノズルのいずれが所望の種類の燃料に対応しているのかを運転者が明確に把握している場合は少ない。また、何の指針もなく給油口が所望の位置となるように運転することは困難である。従って、給油ノズルが給油口に届かないなど、不適切な位置に停車することがある。
【0004】
特に、運転者自らが給油を行うセルフ給油式のサービスステーションでは適切な位置に停車することが困難であり、停車後に運転者が車両から降りて給油ノズルと給油口との位置を確認し、適切な位置関係になるまで運転と停車を繰り返すことがあった。
また、前記特許文献1に開示された技術によれば、給油口が車両の左右いずれに存在するのかを容易に把握し、フューエルリッドオープナーの位置を容易に把握することはできるが、複数の給油ノズルに対応した適切な位置に停車することはできない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、複数の停車位置の候補が存在する場合に適切な停車位置に停車させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明においては、車両外の画像に基づいて複数の停車位置の候補から停車位置を選択し、前記停車位置に配置すべき車両の部位を当該停車位置に合わせるための案内情報を出力する。この構成において、適切な停車位置は画像に基づいて特定され、運転者は適切な停車位置について何ら意識する必要がない。また、当該停車位置に配置すべき車両の部位は車両情報によって特定され、運転者は当該車両の部位の位置について何ら意識する必要がない。本発明によれば、以上のように運転者が何ら意識していなくても適切な位置に停車するための案内情報が出力される。従って、運転者は案内情報に従うのみで適切な位置に停車することが可能である。
【0006】
ここで、画像取得手段においては、停車位置選択手段によって停車位置を選択できるように車両外の画像を取得することができればよい。従って、この限りにおいて種々の構成を採用可能であり、例えば、各種のカメラで撮影した画像の画像データを取得する構成等を採用可能である。むろん、カメラは一つ以上存在していればよく、異なるカメラで撮影した画像を併用しても良い。
【0007】
停車位置選択手段においては、前記画像を解析して停車位置を選択することができればよく、各停車位置の候補の画像が予め決められた停車位置の画像であるか否かを判定して停車位置を特定すればよい。例えば、複数の停車位置の候補のいずれかを特定するための停車位置情報を予め記憶媒体に保持しておき、前記画像を解析し、前記停車位置情報に基づいて停車位置を抽出することで停車位置を選択すればよい。
【0008】
車両情報取得手段においては、車両情報を取得することで停車位置に配置すべき車両の部位を特定することができればよい。従って、車両情報は、前記車両の部位と前記停車位置との相関を把握できるように定義されていればよく、前記車両の部位の位置を車両の特定の基準位置に対して定義した情報であるなど、種々の構成を採用可能である。また、当該車両の部位は、停車位置に配置させ得る全ての部位を想定可能であり、車体やタイヤなどいずれの部位であっても良い。
【0009】
案内情報出力手段においては、前記車両の部位を前記選択した停車位置に合わせるための案内を出力する限りにおいて、いかなる案内を採用してもよく、例えば、車載ナビゲーション装置における表示装置にて画像を出力しても良いし、音声出力装置にて音声を出力しても良いし、自動運転や運転アシストであってもよく、種々の構成を採用可能である。むろん、複数の案内を併用しても良い。
【0010】
なお、本発明は、車両を停車させる複数の停車位置が想定可能である限りにおいて、全ての状況に対して適用することが可能である。例えば、車両に対して複数種類の動力源を供給可能な供給器にて車両に動力源を供給する状況において、複数種類の動力源のそれぞれを供給するための停車位置が異なっているとき、各停車位置を前記複数の停車位置の候補とする。
【0011】
また、このとき、前記動力源を前記車両に供給するために車両に形成された車両側供給部の位置を示す情報を前記車両情報とする。この構成によれば、所望の種類の動力源を供給するための停車位置に前記車両側供給部を配置するように案内情報を出力するナビゲーション装置を提供することができる。
【0012】
ここで、動力源としては特に限定されず、ガソリン、軽油、電気、ガス、水素など、車両に動力を与えるエネルギーであれば、全てのエネルギーがこの動力源となり得る。また、動力源の種類としても特に限定されず、例えば、ガソリンや軽油の成分、電圧、ガスや水素の成分等によって種類を分けることが可能である。なお、複数種類の動力源のそれぞれを供給するための停車位置としては、各種の動力源を車両に供給するためのノズルやワイヤ等が車両側供給部に到達し得る範囲で定義すればよい。また、動力源の供給器は本発明の一適用対象であり、タイヤの空気圧を検査する検査装置の脇に車両を停車させる構成とするなど、他にも種々の停車位置を対象として本発明を適用することができる。
【0013】
さらに、前処理を行って停車位置選択手段において停車位置を選択する処理を開始するか否かを判定しても良い。例えば、車両を停車するための目印として車両の進行方向の路面上に標識が記されている場合、画像取得手段によってこの標識を含む画像を取得するように構成する。当該標識を含む画像によれば、前記標識と前記車両との距離を判定することができるので、この距離が一定の距離以下になるなど、所定の基準を満たす場合に画像取得手段にて前記複数の停車位置の候補の少なくとも一つを含む画像を取得し、停車位置選択手段による停車位置の選択を行う。
【0014】
以上の処理によれば、必要なときのみに停車位置を選択する処理を行うようにすることができる。本発明において、停車位置の候補は複数存在し、画像に基づいて複数の停車位置の候補から停車位置を選択するので、この処理は、前記標識を認識する処理よりも一般的に重くなる。しかし、上述のように、必要なときのみに停車位置を選択する処理を行う構成であれば、この処理を行う制御部の処理能力が低くても容易に本発明を実施することができる。
【0015】
なお、前記標識は停車位置を示す標識であればよく、路面上に記された枠や線など、停車位置に対応した全ての標識が含まれる。このような標識が路面上に記されている場合、一見、停車位置が明らかなようであるが、本発明のように、複数の停車位置の候補が存在する場合、各候補に正確に停車させるための標識を記すのは実際には困難である。また、路面上の標識に合わせて運転者が正確に運転する場合も実際は少ない。しかし、本発明によれば、路面上の標識ではなく複数の停車位置の候補を実際に撮影した画像に基づいて停車位置を選択し、車両を案内する。従って、適切な停車位置に対して正確に停車させることが可能である。
【0016】
また、ここでは、画像取得手段によって前記標識を含む画像と前記複数の停車位置の候補を含む画像とを取得することができればよく、各画像を同じカメラで撮影しても良いし、別のカメラで撮影しても良い。さらに、停車位置の候補を含む画像においては、各候補の少なくとも一つを含んでいればよく、複数の停車位置の候補を一つ含む画像においてその候補が停車位置とされないのであれば、再度画像を取得し、あるいは複数の停車位置の候補を含む画像を取得して再度停車位置を選択すればよい。むろん、複数の停車位置の候補を含む一枚の画像においては、一枚の画像から停車位置を選択すればよい。
【0017】
さらに、停車位置選択手段においては、車両外の画像に基づいて複数の停車位置の候補から停車位置を選択することができればよく、その構成例として、車両外の画像に基づいて立体物を検出する構成を採用可能である。すなわち、複数の停車位置の候補は、動力源の供給器など路面に設置された立体物に形成されている場合が多いので、車両外の画像に基づいて立体物を検出すれば、その画像から停車位置を選択することが可能になる。
【0018】
また、停車位置を選択する際には、前記画像から停車位置に対応した画像パターンを抽出しても良い。すなわち、前記立体物には、複数の停車位置の候補に対応した構造が含まれるので、その画像から車両が停車すべき停車位置に対応した画像パターンを抽出すれば、容易に停車位置を選択することが可能である。さらに、このような画像パターンに基づく停車位置の選択によれば、複数の停車位置の候補の配置順序や間隔等が未知であったとしても車両の案内を行うことが可能になり、本発明の適用範囲が極めて広範囲になるとともに、適用の自由度が高くなる。
【0019】
なお、前記画像パターンは、停車位置を特定することが可能である限りにおいて、種々のパターンを採用可能である。例えば、前記立体物に記された文字に対応したパターンであっても良いし、前記立体物に付された色や図形であっても良いし、その組み合わせであっても良い。また、他の情報と組み合わせて停車位置の選択を行っても良い。例えば、動力源の供給器において、動力源の種類毎に色分け等がなされており、その色分けが動力源の供給業者毎に異なる場合に、ナビゲーション装置が備える記憶媒体から車両の現在位置にて動力源を供給している業者を示す情報を抽出し、この情報と前記色分けを示す情報とを組み合わせて停車位置に対応した画像パターンを抽出しても良い。
【0020】
また、画像パターンの抽出についても種々の処理を採用可能である。例えば、予め特定の画像パターンを記憶媒体に記憶しておき、前記立体物の画像に当該記憶してある画像パターンが含まれるか否かを検出しても良いし、画像からエッジを抽出し、エッジによって形成されているパターンが特定の画像パターンに合致するか否かを検出しても良く、他にも種々の構成を採用可能である。
【0021】
むろん、以上の処理に付随するいかなる処理も採用可能であり、例えば、前記画像を二値化してから画像パターンと比較しても良いし、画像に含まれる歪みを補正してから画像パターンと比較してもよく、種々の構成を採用可能である。さらに、前記立体物を検出するために、ステレオカメラを利用しても良いし、一台のカメラによって撮影した画像を利用しても良いし、一台のカメラによって異なる位置の画像を取得して立体物を検出してもよく、種々の構成を採用可能である。
【0022】
さらに、案内情報出力手段においては、前記車両の部位を前記選択した停車位置に合わせるための案内情報を出力することができればよく、各種の案内手法を採用可能である。例えば、前記選択された停車位置の画像と前記車両情報とを参照すれば、前記車両側供給部と前記停車位置との距離を取得することができる。当該距離を取得すれば、この距離を走行するように案内を行うことで前記案内情報を出力することが可能となる。
【0023】
このような、距離に基づく案内においては、前記車両の部位を前記選択した停車位置に合わせるように案内することができればよく、例えば、前記距離を走行したときに報知をしたり、前記車両の部位を前記選択した停車位置に合わせるために必要な残りの走行距離を報知する構成や、音声出力、自動運転や運転アシストによる案内、これらの組み合わせなど、種々の構成を採用可能である。
【0024】
なお、選択された停車位置の画像と車両情報とに基づいて前記車両の部位と前記停車位置との距離を取得する構成としても各種の手法を採用可能である。例えば、選択された停車位置に対応した画像パターンの画像内での位置や向き、大きさなど、画像から得られる情報に対して停車位置と車両との相対的な位置関係を対応付けておき、前記車両情報によって前記停車位置に配置すべき車両の部位の車両内での位置を取得すれば、前記車両の部位と前記停車位置との距離を取得することができる。
【0025】
さらに、本発明のように画像に基づいて停車位置を選択し、この停車位置に特定の車両の部位を合わせるための案内を行う手法は、この案内を行うプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなナビゲーション装置、プログラム、方法は、単独のナビゲーション装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、ナビゲーション装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)ナビゲーション装置の処理:
(3)他の実施形態:
【0027】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかるナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記憶媒体30とを備えており、記憶媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとして車両の案内を行うナビゲーションプログラム21を実行可能であり、車両に備えられた各種部品と協働して車両を案内するための案内情報を出力する。
【0028】
すなわち、車両には、GPS受信部40とフロントカメラ41とステレオカメラ42と車速センサ43とスピーカー44と表示部45とが備えられており、これらの各部と制御部20との信号の授受は図示しないインタフェースによって実現されている。GPS受信部40は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。フロントカメラ41は、車両の前方の路面が視野に含まれるように車両に対して取り付けられており、撮影した画像を示す画像データを出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、各種の案内に利用する。
【0029】
ステレオカメラ42は、車両の進路の脇を含めた所定領域が視野に含まれるように車両に対して取り付けられており、視野内の構造物の3次元的な情報を示す画像データを出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、各種の案内に利用する。車速センサ43は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の速度や走行距離等を取得する。
【0030】
制御部20は、ナビゲーションプログラム21を実行することにより、上述のようにして取得した車両の現在位置に基づいて当該現在位置や目的地までの経路等を示す情報を出力し、また、安全運転を促すための情報を出力して車両を案内する。すなわち、制御部20は、音声によって各種の案内を行うための制御信号をスピーカー44に出力し、スピーカー44から案内情報としての音声を出力する。また、制御部20は、画像によって各種の案内を行うための制御信号を表示部45に出力し、表示部45にその画像を表示する。
【0031】
本実施形態においては、以上のナビゲーションプログラム21の機能の一部としてサービスステーション内で適切な停車位置へ案内する機能を有しており、ナビゲーション装置10はこの処理によって本発明にかかるナビゲーション装置として機能する。この処理を行うため、ナビゲーションプログラム21は、画像取得部21aと停車位置選択部21bと車両情報取得部21cと案内情報出力部21dとを備えており、記憶媒体30には予め地図情報30aと油種情報30bと車両情報30cとが記憶されている。
【0032】
地図情報30aは、交差点に対応したノードデータやノード同士の連結を示すリンクデータ、目標物を示すデータ等を含むデータである。ナビゲーションプログラム21は当該地図情報30aおよびGPS受信部40の出力を取得して現在位置や目的地の特定を行っており、本実施形態においては、目的地への案内中にサービスステーションに進入したか否かを判定するために当該地図情報30aを利用する。
【0033】
油種情報30bは、車両を停車させるべき停車位置を特定するための情報であり、本実施形態においては、車両に給油すべき油種を特定するための画像データである。なお、本実施形態において、この画像データは前記給油すべき油種の文字列に対応した画像データであって、後述するパターンマッチング処理を行う際の比較基準となる。車両情報30cは給油ノズルを挿入する給油口の位置を示す情報であり、車両内の基準位置から給油口までの距離を示すデータである。なお、本実施形態において基準位置はステレオカメラ42の位置であり、前記距離は当該ステレオカメラ42から給油口までの車両の進行方向に平行な方向の長さである。
【0034】
一方、画像取得部21aは、フロントカメラ41およびステレオカメラ42から画像データを取得するモジュールであり、取得したデータは停車位置選択部21bに受け渡される。停車位置選択部21bは、複数の油種毎の供給ノズルに対応した位置(複数の停車位置の候補に相当)から車両に供給すべき油種の供給ノズルに対応した位置を選択するモジュールであり、画像認識部21b1を備えている。画像認識部21b1は、画像取得部21aから取得した画像に基づいて各種認識を行うことが可能であり、路面の枠線や立体物、油種を示す文字のパターンマッチングを実施する。
【0035】
停車位置選択部21bは、これらの認識に基づいて画像から車両に供給すべき油種の給油ノズルを特定することで停車位置を選択し、選択した停車位置を示す情報を案内情報出力部21dに受け渡す。また、車両情報取得部21cは、記憶媒体30から上述の車両情報30cを取得し、案内情報出力部21dに受け渡す。
【0036】
案内情報出力部21dは、前記選択した停車位置を示す情報と車両情報30cとに基づいて、前記車両の供給口が前記選択した停車位置に合うように案内を行うモジュールであり、この案内を行うための案内情報をスピーカー44と表示部45とに出力する。従って、車両の運転者は、自車に供給すべき油種やその油種に対応した供給ノズル等を全く意識することなく、案内情報に従って運転するのみで適切な位置に停車をすることが可能である。
【0037】
(2)ナビゲーション装置の処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する案内情報の出力処理を説明する。図2は、本実施形態におけるナビゲーションプログラム21の処理を示すフローチャートであり、図3A〜3Dは、車両と路面上の枠線と給油機との関係を示す模式図である。図3A〜3Dにおいては、サービスステーション内に給油機50が設置されており、当該給油機50の前の路面に停車の目安として枠線51が記されている例を示している。
【0038】
なお、この例において、給油機50はレギュラーガソリン用の供給ノズルが設置されたノズル設置部50aとハイオクガソリン(プレミアムガソリン)用の供給ノズルが設置されたノズル設置部50bと軽油用の供給ノズルが設置されたノズル設置部50cとを備えている。本実施形態においては、ノズル設置部50a〜50cのそれぞれを含み、車両の進行方向Gに垂直な面が停車位置の候補(図3Aの51a〜51c)である。
【0039】
また、この例において、車両60は、その前方にフロントカメラ41とステレオカメラ42とを備えており、フロントカメラ41は、単一のカメラによって車両前方の路面を撮影できるように車両60に搭載されている。なお、図3Aにおいては、フロントカメラ41の視野を破線で示している。本実施形態におけるステレオカメラ42は、複数のカメラによって共通の視野を撮影することによって撮影対象の3次元的な位置関係を取得するカメラであり、少なくとも給油機50が設置されている方向を撮影できるように車両60に搭載されている。
【0040】
本実施形態において、ナビゲーションプログラム21は、当該地図情報30aおよびGPS受信部40の出力に基づいて車両を案内しており、サービスステーションに進入したことを検出(ステップS100)したときに停車位置を案内する処理を開始する。当該サービスステーションへの進入は、目的地がサービスステーションであり、かつ案内中に車両が車道を外れたことによって検出するなど、種々の手法を採用可能である。
【0041】
サービスステーションへの進入が検出されると、ナビゲーションプログラム21はフロントカメラ41を起動し(ステップS105)、画像取得部21aによって車両前方の路面の画像を取得する(ステップS110)。なお、本実施形態においては、車両60の左右いずれに給油口61が設置されているのかを示す情報が記憶媒体30に予め記憶されており、サービスステーションに進入したときには当該記憶されている情報を取得し、給油口61の設置方向を示す情報を表示部45等にて出力することが好ましい。
【0042】
停車位置選択部21bの画像認識部21b1は、当該車両前方の路面の画像において枠線51を認識する(ステップS115)。すなわち、前記車両前方の路面の画像に枠線51のパターンが含まれるか否かを判定し、枠線のパターンが含まれていたら枠線51が存在すると認識する。枠線51のパターンを認識する際には予め決められた矩形等の形状を抽出しても良いし、ハフ変換等によって直線を抽出し、直線の配置が枠線51に一致するか否かを判定してもよく、種々の構成を採用可能である。
【0043】
次に、停車位置選択部21bは、前記路面の画像に基づいて、枠線51と車両60との距離が所定の基準以下になっているか否かを判別する(ステップS120)。ここでは、枠線51と車両60との距離が所定の基準以下になっていることを判別することができればよく、例えば、予め路面の画像内で枠線51のパターンが現れる位置と前記距離とを対応付けたデータを記憶媒体30に保持しておき、枠線51のパターンがこの位置に現れているか否かを判別するなどの処理を行えばよい。
【0044】
ステップ120にて枠線51と車両60との距離が所定の基準以下になっていると判別されないときには、ステップS115の処理を繰り返す。すなわち、本実施形態においては、停車位置を選択する処理を開始する前に、枠線51と車両60との距離が近づくまで画像取得部21aによる前記路面の画像の取得と距離の判定を続ける。
【0045】
ステップS120にて枠線51と車両60との距離が所定の基準以下になっていると判別されたときには、ステレオカメラ42を起動し(ステップS125)、画像取得部21aによってステレオカメラ42の撮影画像を取得する(ステップS130)。そして、本実施形態においては、給油機50を検出するために、停車位置選択部21bの画像認識部21b1がステレオカメラ42の画像に基づいて立体物を認識する(ステップS135)。
【0046】
このとき、画像認識部21b1は、記憶媒体30を参照して車両60における給油口61の設置方向を認識し、図3Bに一点鎖線で示すように、給油口61が設置された方向の画像を認識対象領域として立体物の認識を行う。この認識においては、車両60の進路の脇に設置された立体物を認識することができればよく、画像における視差を利用して路面の脇に立体物が存在することを認識したり、予め決められた形状や大きさの対象についてパターンマッチングを行うなど、種々の処理を採用可能である。なお、ここでは、立体物であるか否かを検出することができればよいので、その認識処理は簡易な処理によって実施可能である。
【0047】
停車位置選択部21bは、ステップS135の認識処理によって立体物が検出されたか否かを判定し(ステップS140)、立体物が検出されたと判定されないときには、表示部45等によって停車位置の案内が不可能である旨を報知し(ステップS145)、処理を終了する。ステップS140にて、立体物が検出されたと判定されたときには、記憶媒体30から上述の油種情報30bを取得する(ステップS150)。
【0048】
さらに、停車位置選択部21bの画像認識部21b1が、油種情報30bに基づいて立体物の画像に含まれる複数の停車位置の候補から車両60に対して供給すべき油種に対応した停車位置を選択する(ステップS155)。すなわち、画像認識部21b1は、油種情報30bが示す画像データを比較基準とし、前記ステップS135にて認識した立体物の画像に対してパターンマッチング処理を行って、前記比較基準に合致する画像を検出する。
【0049】
当該比較基準である油種情報30bは、上述のように、車両60に給油すべき油種の文字列に対応した画像データであるので、以上のパターンマッチング処理によって車両60に給油すべき油種のノズル設置部が特定される。例えば、油種情報30bがレギュラーガソリンであることを示す文字(「レギュラー」等)の画像データである場合、図3Bに示す例では、ノズル設置部50aに対応した停車位置51aが選択される。
【0050】
以上のようにして停車位置を特定すると、停車位置への案内情報を出力するため、車両情報取得部21cが記憶媒体30から車両情報30cを取得し(ステップS160)、案内情報出力部21dが停車位置と給油口61との距離を取得する(ステップS165)。ここでは、給油口61を停車位置(例えば、図3Bに示す停車位置51a等)に合わせて停車するために両者の距離を取得することができればよい。従って、ステレオカメラ42にて取得した画像内の特定の位置に特定の物体の像が存在する状態で、予めステレオカメラ42とその物体の像との相対関係を取得しておき、車両情報30cを加味して両者の距離を取得すればよい。
【0051】
例えば、図3Cに示すように、ステレオカメラ42の横方向に停車位置が存在するような状態において、予めステレオカメラ42の画像を参照して停車位置の像の位置を特定しておき、データとして保持しておく。以上の構成によれば、ステレオカメラ42の画像を参照することによってステレオカメラ42と停車位置との関係を把握することができるので、さらに車両情報30cを参照することで給油口61を停車位置に合わせて停車するための距離を取得することができる。なお、図3Cに示す例において、この距離はステレオカメラ42から給油口61までの距離Lである。
【0052】
給油口61を停車位置に合わせて停車するための距離を取得すると、案内情報出力部21dは、車速センサ43からの信号に基づいて当該距離を走行したか否かを判別し続け、この距離を走行したときにスピーカー44と表示部45とのいずれかまたは双方によって停車を促す報知を行う(ステップS170)。この結果、車両60の運転者は、図3Dに例示するように、車両60に給油すべき油種のノズル設置部50aに対して給油口61を合わせて停車することができる。この結果、複数の停車位置の候補(51a〜51c)が存在し、運転者が給油口61の位置を正確に把握していなくても、極めて容易に正確に停車位置に給油口61を合わせることが可能になる。
【0053】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、複数の停車位置の候補から適切な停車位置を選択し、特定の車両の部位と停車位置とを合わせるための案内を行うことができる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、本発明による処理を実施するために、サービスステーションへの進入時に案内開始を指示する入力インタフェースを表示部45に表示し、その入力によって本発明を実施しても良いし、フューエルリッドオープナーの位置を表示部に表示しても良い。
【0054】
また、サービスステーションにおいて、車両60の進行方向に複数の給油機50が並べられており、縦方向に複数の車両60を並べて給油が可能である場合に、フロントカメラ41によって最も近い枠線の奥に枠線が存在し、かつ車両が検出されなければ当該奥の枠線と車両60との距離が所定の基準以下になるまで立体物の認識を開始しないように構成してもよい。以上の処理によれば、適切な枠線内に車両を案内するとともにその枠線内で適切な停車位置と給油口61とを合わせる処理を行うことができる。むろん、車両60が案内情報を無視して進行したときに、再度本発明の処理を繰り返すことによって適切な枠線内での案内を実施するように構成してもよい。
【0055】
さらに、上述の実施形態のようにフロントカメラ41とステレオカメラ42との2種類のカメラを利用する構成の他、1種類あるいは3種類以上のカメラを利用する構成を採用しても良い。例えば、路面と路面の脇の立体物を撮影可能な一台のカメラによって本発明を実施しても良い。この構成によれば、簡易な構成によって本発明を実施することが可能である。なお、一台のカメラであっても、異なる位置によって撮影を行うことによってステレオカメラとして利用することが可能である。
【0056】
一方、フロントカメラ41とステレオカメラ42とを利用する構成であっても、本発明以外の目的で車両60に搭載されたこれらのカメラを本発明に利用することで、コスト増を抑えながら本発明を実施することが可能である。むろん、カメラの取付位置としては、図3に示す車両60の前部先端に限らず、車内に設置してもよいし、車体の前方の左右に設置しても良いし、ドアミラーやフェンダーミラー等に設置してもよく、種々の構成を採用可能である。むろん、各カメラにおいては、路面や路面の脇を視野にして画像を取得することができればよく、視野の向きは前方、横方向など特に限定されず、また、特定の方向を視野に含むように動かす構成であってもよく、種々の構成を採用可能である。
【0057】
さらに、上述の画像認識部21b1においては、画像認識に伴ういかなる処理を採用しても良い。例えば、カメラのレンズの歪みを補正して認識を行っても良いし、画像を補正して正面から撮影した場合の画像を生成してから画像認識を行っても良い。さらに、停車位置を選択するための構成としても種々の構成が採用可能であり、各ノズル設置部50a〜50cの油種を示す文字の背景が特定の色になっている場合など、それぞれのノズルに特定の色が対応付けられている場合は、その色を認識することによって停車位置を選択しても良い。
【0058】
むろん、停車位置に対応した文字や色が燃料の供給業者によって異なる場合に、地図情報30aから当該供給業者を示す情報を取得して当該文字や色を特定しても良い。さらに、停車位置を特定するための情報としては、文字や色に限らず、2次元バーコード等のパターンであっても良いし、ICタグ等から得られる情報であってもよく、種々の情報を利用可能である。
【0059】
さらに、本発明においては、少なくとも画像に基づいて停車位置を選択することができればよく、上述の枠線の認識と立体物の認識と文字の認識との中で、少なくとも文字の認識を実施することができればよい。従って、リソースが豊富な場合に、前処理としての枠線の認識と立体物の認識とのいずれかまたは双方を省略しても良い。なお、立体物の認識は、ステレオカメラ42によらず、一枚の画像に対するパターンマッチング処理等によって行っても良い。
【0060】
さらに、案内情報の出力態様としても上述の態様に限定されず、表示部45に対して適切な停車位置と給油口61とを合わせるために必要な走行距離を表示しても良いし、停車位置が近づくにつれて変化する音をスピーカー44から出力してもよく、種々の構成を採用可能である。むろん、適切な停車位置と給油口61とを合わせるために必要な走行距離以外にも種々の情報を案内することが可能であり、例えば、方位センサ等を利用して必要な操舵を案内する構成等を採用可能である。
【0061】
さらに、本発明の適用対象は、上述のような給油機50に限定されず、電気、ガス、水素など、車両に動力を与える全ての動力源の供給器に適用可能であるし、タイヤの空気圧を検査する検査装置など、複数の停車位置の候補が存在する全ての状況に対して本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーションプログラムの処理を示すフローチャートである。
【図3】車両と路面上の枠線と給油機との関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0063】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…画像取得部、21b…停車位置選択部、21b1…画像認識部、21c…車両情報取得部、21d…案内情報出力部、30…記憶媒体、30a…地図情報、30b…油種情報、30c…車両情報、40…GPS受信部、41…フロントカメラ、42…ステレオカメラ、43…車速センサ、44…スピーカー、45…表示部、50…給油機、50a-50c…ノズル設置部、51…枠線、51a-51c…停車位置、60…車両、61…給油口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像に基づいて複数の停車位置の候補から停車位置を選択する停車位置選択手段と、
前記停車位置に配置すべき車両の部位を示す車両情報を取得する車両情報取得手段と、
前記車両の部位を前記選択した停車位置に合わせるための案内情報を出力する案内情報出力手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記複数の停車位置の候補は、前記車両に対して複数種類の動力源を供給可能な供給器から前記車両に前記複数種類の動力源のそれぞれを供給するための停車位置であり、
前記車両情報は、前記動力源を前記車両に供給するための車両側供給部の位置を示す情報である
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記画像取得手段は、車両の進行方向の路面上に記された停車位置を示す標識を含む画像と前記複数の停車位置の候補の少なくとも一つを含む画像とを取得し、
前記停車位置選択手段は、前記標識を含む画像に基づいて前記標識と前記車両との距離が所定の基準を満たすことを検出したときに、前記複数の停車位置の候補の少なくとも一つを含む画像に基づいて停車位置を選択する
請求項1または請求項2のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記停車位置選択手段は、前記画像に基づいて立体物を検出し、前記立体物の画像から前記車両が停車すべき停車位置に対応した画像パターンを抽出して停車位置を選択する
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記案内情報出力手段は、前記選択された停車位置の画像と前記車両情報とに基づいて前記車両の部位と前記停車位置との距離を取得し、前記距離に基づいて前記案内情報を出力する
請求項2〜請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
車両外の画像を取得する画像取得機能と、
前記画像に基づいて複数の停車位置の候補から停車位置を選択する停車位置選択機能と、
前記停車位置に配置すべき車両の部位を示す車両情報を取得する車両情報取得機能と、
前記車両の部位を前記選択した停車位置に合わせるための案内情報を出力する案内情報出力機能と、
をコンピュータに実現させるナビゲーションプログラム。
【請求項7】
車両外の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像に基づいて複数の停車位置の候補から停車位置を選択する停車位置選択工程と、
前記停車位置に配置すべき車両の部位を示す車両情報を取得する車両情報取得工程と、
前記車両の部位を前記選択した停車位置に合わせるための案内情報を出力する案内情報出力工程と、
を備えるナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−2855(P2008−2855A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170756(P2006−170756)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】