説明

ナビゲーション装置、表示切替方法、及び表示装置

【課題】 連続スクロール表示を実行する際の操作性を向上することができるナビゲーション装置、表示切替方法及び表示装置を提供する。
【解決手段】 ナビ装置1は、ディスプレイ3と、回転操作される操作部5と、操作部5の回転量及び回転方向を検出する制御部10とを備える。制御部10は、操作部5の回転量及び回転方向に応じた地図描画データの変位量を算出し、この変位量に基づいて地図描画データの表示領域を決定し、その表示領域のデータをディスプレイに出力する。また、制御部10は、操作部5が、一方向であって、予め定めた時間内に第1の回転量以上回転したことを検出した際に、地図描画データの表示領域を連続して変位させ、ディスプレイ3に画面を連続スクロール表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、表示切替方法、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ナビゲーション装置は、スイッチ、回転操作可能なダイヤル等の入力部の操作により、ディスプレイに地図画面をスクロール表示できるようになっていた。例えば、特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、ロータリースイッチの押下操作、回転方向等に基づいて、スクロール表示するモード及び通常モードの切替え、スクロール方向の決定等を行うようになっていた。
【特許文献1】特開2002−132248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記したようなナビゲーション装置では、画面をスクロールさせる場合に、所望の位置に到達するまで入力部を連続して操作しなければならない。例えば、ダイヤルを備えたナビゲーション装置の場合には、ユーザの所望の位置がディスプレイに表示されるまで、ダイヤルを連続して回転操作しなければならず、操作性に問題があった。運転者がナビゲーション装置を操作する場合には、短時間かつ容易に操作を行う必要があるため、特に操作性が問題となる。また、入力部を連続操作しなくても、専用のスイッチを押下したり、メニュー画面から「連続スクロール」が選択された際に、一定の速度でスクロール表示を連続して行う、いわゆる連続スクロールを実行する方法も考えられる。しかし、この場合、スイッチが増加したり、操作方法が複雑化して操作性が低下する可能性がある。また、ユーザが「連続スクロール」を選択する操作を覚えられない可能性も想定される。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、連続スクロール表示を実行する際の操作性を向上することができるナビゲーション装置、表示切替方法及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像を表示する表示手段と、回転操作される入力手段と、前記入力手段の回転量及び回転方向を検出する回転検出手段と、前記回転検出手段に基づいて、前記表示手段に表示されている画像を、前記入力手段の回転量及び回転方向に応じてスクロール表示する表示制御手段とを備えたナビゲーション装置において、前記回転検出手段に基づいて、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したと判断した際に、前記表示手段に表示されている画像を前記入力手段の回転方向に応じて連続スクロール表示する連続表示制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記判断手段により、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上の回転を所定回数以上繰り返したと判断した際に、前記連続表示制御手段が、連続スクロール表示を行うことを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記連続表示制御手段は、前記連続スクロール表示が実行されている際であって、前記回転検
出手段により前記入力手段が他方向に回転したことを検出した際に、前記連続スクロール表示を停止することを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記連続表示制御手段は、前記回転検出手段により、前記入力手段が他方向に第2の回転量以上回転したことを検出した際に、前記連続スクロール表示を停止することを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のナビゲーション装置において、前記回転検出手段は、前記入力手段の回転に連動するロータリーエンコーダを備え、前記ロータリーエンコーダから送出された信号に基づいて、前記入力手段の回転量及び回転方向を検出することを要旨とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載のナビゲーション装置において、前記入力手段は、同入力手段の回転に従動し、節度を与える節度動作を行う節度機構と連結され、前記連続スクロール表示を行うための前記第1の回転量は、前記入力手段を、前記節度機構により所定回数の節度を発生する分だけ回転させた際の回転量であることを要旨とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、画像を表示する表示手段と、回転操作される入力手段とを備えたナビゲーション装置の表示モードを切替える表示切替方法であって、前記ナビゲーション装置が、前記入力手段の回転量及び回転方向を検出する工程と、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したか否かを判断する工程と、前記入力手段が予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したと判断した際に、前記表示手段に表示されている画像を、前記入力手段の回転方向に応じて連続スクロール表示する工程とを有することを要旨とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の表示切替方法において、前記ナビゲーション装置が、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転していないと判断した場合に、前記表示手段に表示されている画像を、前記入力手段の回転量及び回転方向に応じてスクロール表示する工程を有することを要旨とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、画像を表示する表示手段と、回転操作される入力手段と、前記入力手段の回転量及び回転方向を検出する回転検出手段と、前記回転検出手段に基づいて、前記表示手段に表示されている画像を、前記入力手段の回転量及び回転方向に応じてスクロール表示する表示制御手段とを備えた表示装置において、前記回転検出手段に基づいて、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したと判断した際に、前記表示手段に表示されている画像を前記入力手段の回転方向に応じて連続スクロール表示することを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ナビゲーション装置は、画像を表示する表示手段と、回転操作される入力手段と、この入力手段の回転量及び回転方向を検出する回転検出手段と、検出した回転方向及び回転量に応じてスクロール表示を行う表示制御手段とを備える。また、入力手段が、予め定めた時間内に、一方向であって第1の回転量以上回転したか否か判断する判断手段と、判断手段が予め定めた時間内に一方向であって第1の回転量以上回転したと判断した際に、画像を連続スクロール表示する連続表示制御手段とを備える。このため、通常のスクロールを行うための入力手段を、上記の条件で回転させた際に連続スクロール表示に切替えるため、複雑な操作を行うことなく、簡単な操作で連続スクロール表示を実行させることができる。このため、ナビゲーション装置の操作性を向上でき
る。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、ナビゲーション装置の判断手段は、入力手段が予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上の回転を所定回数以上繰り返したか否かを判断し、入力手段がその条件に合うように回転した場合には、連続表示制御手段により連続スクロール表示を行うようにした。このため、簡単な操作で連続スクロール表示を実行させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、連続表示制御手段は、連続スクロール表示を行っている際であって、回転検出手段により、入力手段が他方向に回転したことを検出した際に、連続スクロール表示を停止させる。このため、ユーザは簡単な操作で、停止操作を行うことができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、連続表示制御手段は、連続スクロール表示を行っている際に、回転検出手段により、入力手段が他方向に第2の回転量以上回転したことを検出した際に、連続スクロール表示を停止する。このため、操作性を向上するとともに、誤操作を防止できる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、回転検出手段は、ロータリーエンコーダを備え、このロータリーエンコーダから送出された信号に基づいて回転量及び回転方向を算出するので、検出精度の向上を図ることができる。また、回転検出手段をロータリーエンコーダから構成することで、装置の小型化を図ることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、入力手段は節度機構と連結されている。このため、入力手段を回転操作する際に、節度感を与えることができる。しかも、節度機構により節度が数回発生した際に、連続スクロール表示を行うことができるので、ユーザは、連続スクロールを行うための目安を付けることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、ナビゲーション装置は、画像を表示する表示手段と、回転操作される入力手段とを備える。ナビゲーション装置は、この入力手段の回転量及び回転方向を検出し、入力手段が、予め定めた時間内に、一方向であって第1の回転量以上回転したか否か判断する。また、ナビゲーション装置は、予め定めた時間内に一方向であって第1の回転量以上回転したと判断した際に、画像を回転方向に応じて連続スクロール表示する。このため、入力手段を、上記の条件で回転させた際に連続スクロール表示に切替えるため、複雑な操作を行うことなく、簡単な操作で連続スクロール表示を実行させることができる。このため、ナビゲーション装置の操作性を向上できる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、ナビゲーション装置は、入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転していないと判断した場合に、入力手段の回転量及び回転方向に応じてスクロール表示を行う。このため、スクロール表示と連続スクロール表示を、同じ入力手段を使用して、簡単に切替えることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、表示装置は、回転操作される入力手段と、この入力手段の回転方向及び回転量を検出する回転検出手段と、検出した回転方向及び回転量に応じてスクロール表示を行う表示制御手段とを備える。また、入力手段が、予め定めた時間内に、一方向であって第1の回転量以上回転したか否か判断する判断手段と、判断手段が予め定めた時間内に一方向であって第1の回転量以上回転したと判断した際に、画像を連続スクロール表示する連続表示制御手段とを備える。このため、通常のスクロールを行うための入力手段を、上記の条件で回転させた際に連続スクロール表示に切替えるため、複雑な操作を行うことなく、簡単な操作で連続スクロール表示を実行させることができる。こ
のため、表示装置の操作性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。図1は、本実施形態の表示装置としてのナビゲーション装置(以下、単にナビ装置と言う)の正面図である。
【0024】
図1に示すように、ナビ装置1は、筐体2に固定された表示手段としてのディスプレイ3を備えている。また、ナビ装置1は、各スイッチ4と、筐体2に対して回転可能に設けられた入力手段としての操作部5とを備えている。各スイッチ4は、各モードの選択、現在地・目的地の入力、音量調節等を行うための入力部であって、操作部5は、ディスプレイ3に表示された地図画面100のスクロールを行うための入力部である。
【0025】
例えば、図1のように表示された、画像としての地図画面100の右側をディスプレイ3に表示する場合には、操作部5を図1中時計回り方向に回転操作するようになっている。地図画面100の左側を表示する場合には、操作部5を反時計回り方向に回転操作する。また、地図画面100の上側を表示する場合には、各スイッチ4のうち、上下スクロール表示を行うためのスイッチ4aを押下した後、操作部5を時計回り方向に回転操作する。さらに、ユーザが、地図画面100の下側を確認したい場合には、そのスイッチ4aを押下した状態で、操作部5を反時計回り方向に回転操作する。
【0026】
次に、ナビ装置1の電気的構成を図2に従って説明する。ナビ装置1は、回転検出手段、表示制御手段、判断手段、連続表示制御手段としての制御部10、インターフェース(I/F)11、GPS受信部12を備えている。GPS受信部12は、GPS衛星からの電波を受信し、制御部10は、インターフェース11を介してGPS受信部12から現在地の緯度、経度、高度等のデータを受信する。さらに、制御部10は、車両に設けられた車速センサ13、方位センサ14からインターフェース11を介して、出発地等からの相対距離、方位データ等を受信する。そして、制御部10は、GPS受信部12からのデータ、車速センサ13、方位センサ14からのデータに基づいて、自車位置を算出する。
【0027】
また、制御部10は、図示しないディスクドライブに挿入された光ディスクが格納する経路データ記憶部15、描画データ記憶部16から、経路データ15a、描画データ16aの読出しを行う。各経路データ15aは、緯度・経度に基づいて区画された各エリアの道路に対応するノードデータ、リンクデータを格納し、隣接するエリアの経路データ15aと互いに関連付けられている。制御部10は、この経路データ15aに基づいて、現在地から目的地までの最適な案内経路を算出する。
【0028】
描画データ記憶部16に格納された各描画データ16aは、道路、施設等を描画する背景データ、施設名等を表示する文字データ等から構成されている。また、各描画データ16aは、経路データ15aと同じように各エリアごとに分割されている。さらに、各描画データ16aは、隣接するエリアの描画データ16aと互いに関連付けられている。制御部10は、経路案内モードが設定されている場合には、経路データ15aに基づいて算出した案内経路に対応する描画データ16aを読出し、これらの描画データ16aを連結させて地図描画用データを作成する。作成された地図描画用データは、RAM18に一時格納される。そして、制御部10は、地図描画データのうち、自車位置を中心とした所定距離内のデータを読出し、自車位置、案内経路を、読み出した地図描画用データに重ね合わせてディスプレイ3に表示する。
【0029】
また、ナビ装置1は、回転検出手段を構成するロータリーエンコーダ20を備えている。ロータリーエンコーダ20は、筐体2に設けられた操作部5と駆動連結されている。こ
れにより、操作部5を回転操作すると、ロータリーエンコーダ20は、パルス信号を発生するようになっている。また、制御部10は、パルス信号数をカウントすることによって操作部5の回転量を算出し、パルス信号の位相によって回転方向を算出することができるようになっている。
【0030】
また、操作部5には、節度機構21が駆動連結されている。節度機構21は、操作部5の一定の回転量ごとに、クリック音と、節度感とを与える機構である。また、1回分の節度感を発生するための操作部5の回転量(以下、1ステップと言う)により、ロータリーエンコーダ20が所定数(自然数)のパルス信号を発生するようになっている。
【0031】
次に、ナビ装置1がディスプレイ3に地図等を表示する処理手順について、図3に従って説明する。まず、制御部10は、自車位置を中心とした予め決められた距離内に含まれる各描画データ16aを描画データ記憶部16から抽出する。制御部10は、抽出された各描画データ16aを連結して地図描画データを作成し、その地図描画データをRAM18に一時格納する。そして、地図描画データのうち、ディスプレイ3に自車位置を中心とした所定距離内のデータを表示領域として出力する。また、制御部10は、自車位置の移動に応じて、地図描画データの表示領域を変更及び出力する処理を繰り返す。このとき、制御部10が、経路案内モードが設定されていることを検知した場合には、目的地までの経路、自車位置を示す位置マーク105(図4参照)を地図に重ねて表示する。
【0032】
このとき、制御部10は、操作部5の回転操作が行われたか否かの判断を繰り返す(ステップS1−1)。制御部10が、ロータリーエンコーダ20からのパルス信号を受信すると、操作部5が回転操作されたと判断して(ステップS1−1においてYES)、操作部5の回転方向及び回転量を算出する(ステップS1−2)。具体的には、制御部10が、ロータリーエンコーダ20により発生したパルス信号をカウントして回転量を演算し、パルス信号の位相に基づいて回転方向を判断する。
【0033】
次に、制御部10は、所定時間内に第1の回転量を検出したか否かを判断する(ステップS1−3)。このとき、制御部10は、タイマ17を使用して、所定時間内において、ステップS1−2で算出された回転量が第1の回転量以上であるか否かを判断する。本実施形態では、例えば、所定時間は、1.5秒であって、所定回転量は、節度機構21の3ステップ分として設定されている。所定時間内に第1の回転量が検出されなかったと判断した場合(ステップS1−3においてNO)には、制御部10は、通常のスクロール表示を行う(ステップS1−4)。つまり、制御部10は、RAM18に格納された地図描画データの表示領域を、操作部5の回転方向及び回転量に応じて変位させる。例えば、制御部10が、地図を上下方向に移動させるためのスイッチ4aから信号を受信し、操作部5が時計回り方向に回転したと判断した場合には、制御部10は、回転量に応じて、地図描画データの表示領域の上側への変位量を演算する。そして、地図描画データの表示領域を、現在の表示領域よりも上側に、算出した変位量だけ移動して、表示領域のデータをディスプレイ3に出力する。これにより、ディスプレイ3に表示された画面は、操作部5の回転量だけ上側にスクロール表示される。そして、制御部10はステップS1−1に戻り、上記した処理を繰り返す。
【0034】
所定時間内に、第1の回転量が検出されたと判断した場合(ステップS1−3においてYES)、連続スクロール表示を行う(ステップS1−5)。即ち、ナビ装置1においては、ユーザは、現在の表示領域から大きく離れた位置をディスプレイ3に表示する際に、操作部5を比較的多量に、しかも速く連続して回転させる。このため、このような操作を行った際に、ナビ装置1が自動的に連続スクロール表示に切替えるように設定している。
【0035】
このとき、制御部10は、RAM18に格納された地図描画データの現在の表示領域を
、算出された回転方向に予め決められた速度で変位させる。例えば、制御部10が、画面を上下方向に移動するスイッチ4aから信号を受信した状態で、操作部5が時計回り方向に回転したと判断した場合には、以後操作部5の操作を停止しても、地図描画データの表示領域を上側に一定の速度で移動する。これにより、図4に示すディスプレイ3に表示された表示領域101に連続して、図5のように、表示領域101の上側(図4中Y軸方向)の表示領域102がディスプレイ3に表示され、表示領域101のうち、図4中下側(反Y軸方向)の領域は、ディスプレイ3に表示されない状態になる。このように、制御部10が地図描画データの表示領域を変位させることにより、ディスプレイ3には、予め決められた速度で、表示領域が上方向に移動する連続スクロール表示が実行される。操作部5が反時計回り方向に回転操作されたと判断した場合には、表示領域が下側に移動する連続スクロール表示が実行される。
【0036】
また、制御部10が、前記したスイッチ4aから信号を受信していない状態で、操作部5が時計回り方向に回転操作されたと判断した場合には、図4のように表示された表示領域101に連続して、図6のように表示領域101の右側(図4中X軸方向)の表示領域103が連続して表示される。制御部10が、スイッチ4aから信号を受信し、しかも操作部5が反時計回り方向に回転したと判断した場合には、表示領域が左方向(図4中反X軸方向)に変位する、連続スクロール表示が実行される。
【0037】
この連続スクロールが行われている状態において、制御部10は、操作部5の反対方向の回転を検出したか否かを判断する(ステップS1−6)。このとき、制御部10は、ロータリーエンコーダ20からのパルス信号の受信の有無をチェックし、受信した場合には、その回転方向を算出する。そして、ステップS1−2で算出した回転方向と反対方向であるか否かを判断する。
【0038】
反対方向の回転を検出したと判断した場合には(ステップS1−6においてYES)、連続スクロール表示を停止する(ステップS1−7)。これにより、ディスプレイ3に表示された地図画面100は停止する。そして、ステップS1−1に戻り、上記した処理を繰り返す。反対方向の回転を検出しなかった場合(ステップS1−6においてNO)には、所定時間の間、連続スクロール表示を行いながら(ステップS1−5)、反対方向の回転をチェックする(ステップS1−6)。
【0039】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ナビ装置1は、回転操作可能な操作部5を備えるようにした。また、ナビ装置1は、操作部5の回転に連動して、パルス信号を発生するロータリーエンコーダ20と、パルス信号の数と位相とに基づいて操作部5の回転量及び回転方向を算出する制御部10を備えるようにした。さらに、制御部10は、算出された回転量及び回転方向に応じて、ディスプレイ3に地図画面100を表示するための地図描画データの変位量を演算し、この変位量に基づいて地図描画データの表示領域を変位するようにした。さらに、制御部10は、操作部5が一方向であって予め定めた所定時間内に第1の回転量以上回転したと判断した際に、操作部5から手を離しても、地図描画データの表示領域を同じ方向に連続して変位するようにした。即ち、制御部10は、スクロール表示に使用する操作部5が所定の条件で回転すると、連続スクロール表示に自動的に切替える。このため、ユーザは、メニュー画面からのモードの選択等、複雑な操作を行う必要がないので、簡単に短時間で操作することができる。また、連続スクロールに切替える操作方法を覚えやすくするとともに、ユーザが操作方法を特に覚えていない場合にも、連続スクロールを実行することができる。従って、ナビ装置1の操作性を向上することができるので、運転者等の操作の負荷が軽減される。
【0040】
(2)上記実施形態では、制御部10が、連続スクロール表示が実行されている際に、
操作部5が反対方向に回転したと判断した際に、連続スクロール表示を停止させるようにした。このため、ユーザは、簡単な操作で、停止操作を行うことができる。
【0041】
(3)上記実施形態では、操作部5をロータリーエンコーダ20と連結し、ロータリーエンコーダ20からのパルス信号により、制御部10が回転量及び回転方向を演算するようにした。このため、回転量及び回転方向の検出精度の向上、装置の小型化を図ることができる。
【0042】
(4)上記実施形態では、操作部5の一定の回転量ごとに、1ステップの節度を発生する節度機構21を設けるようにした。そして、操作部5を、3ステップ分だけ回転操作した際に、ディスプレイ3の画面が連続スクロール表示されるようにした。このため、操作部5の操作性が向上するとともに、ユーザが連続スクロールに切替えるための回転量の目安を付けることができるので、操作方法を容易に覚えることができる。
【0043】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、所定時間を1.5秒、第1の回転量を3ステップ分としたが、これ以外の時間、回転量でもよい。また、ステップS1−3における判断処理の条件(所定時間内に第1の回転量回転)は、所定時間内に、所定回転量(第1の回転量)以上の回転が所定回数以上繰り返されるという条件にしてもよい。例えば、ステップS1−3において、3ステップ分以上の回転が所定時間内に3回以上繰り返されたと判断した場合に、連続スクロール表示を行う(ステップS1−5)ようにしてもよい。つまり、操作部5が3回回転操作される等して、操作部5の回転操作が断続的に行われた際に、所定時間内に所定回転量以上の回転を所定回数以上検出した場合には、連続スクロール表示を行うようにしてもよい。
【0044】
・上記実施形態では、連続スクロール表示を実行している際に、制御部10が、操作部5の反対方向の回転を検出するとともに、第2の回転量を検出した際に(ステップS1−6においてYES)、連続スクロール表示を停止する(ステップS1−7)ようにしてもよい。第2の回転量は、例えば、1ステップ分であって、予め設定されている。
【0045】
・上記実施形態では、節度機構21を省略してもよい。これにより、ナビ装置1を簡素化することができる。この場合にも、操作部5を、所定時間内に、所定の回転量だけ回転操作した際に、連続スクロール表示を行う。
【0046】
・上記実施形態では、経路データ記憶部15及び描画データ記憶部16は、ディスクドライブに挿入される光ディスクに格納されているとしたが、ナビ装置1に備えられるハードディスクに格納されていてもよい。また、ナビ装置1は、GPS受信部12を省略し、車両に別途設けられたGPS受信部からデータを受信する構成にしてもよい。さらに、ナビ装置1は、車速センサ13、方位センサ14のいずれかを備えていてもよい。
【0047】
・上記実施形態では、操作部5の回転方向及び回転量によって連続スクロールを実行する方法を他の表示装置に応用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のナビ装置の正面図。
【図2】同ナビ装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】同ナビ装置の処理手順の説明図。
【図4】同ナビ装置のディスプレイに表示された画面の説明図。
【図5】同ディスプレイに表示された画面の説明図。
【図6】同ディスプレイに表示された画面の説明図。
【符号の説明】
【0049】
1…表示装置としてのナビゲーション装置、3…表示手段としてのディスプレイ、5…入力手段としての操作部、10…回転検出手段、判断手段、表示制御手段、連続表示制御手段を構成する制御部、16a…描画データ、20…回転検出手段を構成するロータリーエンコーダ、21…節度機構、101,102,103…表示領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
回転操作される入力手段と、
前記入力手段の回転量及び回転方向を検出する回転検出手段と、
前記回転検出手段に基づいて、前記表示手段に表示されている画像を、前記入力手段の回転量及び回転方向に応じてスクロール表示する表示制御手段とを備えたナビゲーション装置において、
前記回転検出手段に基づいて、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したと判断した際に、前記表示手段に表示されている画像を前記入力手段の回転方向に応じて連続スクロール表示する連続表示制御手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記判断手段により、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上の回転を所定回数以上繰り返したと判断した際に、前記連続表示制御手段が、連続スクロール表示を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、
前記連続表示制御手段は、前記連続スクロール表示が実行されている際であって、前記回転検出手段により前記入力手段が他方向に回転したことを検出した際に、前記連続スクロール表示を停止することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記連続表示制御手段は、前記回転検出手段により、前記入力手段が他方向に第2の回転量以上回転したことを検出した際に、前記連続スクロール表示を停止することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のナビゲーション装置において、
前記回転検出手段は、前記入力手段の回転に連動するロータリーエンコーダを備え、前記ロータリーエンコーダから送出された信号に基づいて、前記入力手段の回転量及び回転方向を検出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載のナビゲーション装置において、
前記入力手段は、同入力手段の回転に従動し、節度を与える節度動作を行う節度機構と連結され、
前記連続スクロール表示を行うための前記第1の回転量は、前記入力手段を、前記節度機構により所定回数の節度を発生する分だけ回転させた際の回転量であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
画像を表示する表示手段と、回転操作される入力手段とを備えたナビゲーション装置の表示モードを切替える表示切替方法であって、
前記ナビゲーション装置が、
前記入力手段の回転量及び回転方向を検出する工程と、
前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したか否かを判断する工程と、
前記入力手段が予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したと判断した際に、前記表示手段に表示されている画像を、前記入力手段の回転方向に応じて連続スクロ
ール表示する工程と
を有することを特徴とする表示切替方法。
【請求項8】
請求項7に記載の表示切替方法において、
前記ナビゲーション装置が、
前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転していないと判断した場合に、前記表示手段に表示されている画像を、前記入力手段の回転量及び回転方向に応じてスクロール表示する工程を有することを特徴とする表示切替方法。
【請求項9】
画像を表示する表示手段と、
回転操作される入力手段と、
前記入力手段の回転量及び回転方向を検出する回転検出手段と、
前記回転検出手段に基づいて、前記表示手段に表示されている画像を、前記入力手段の回転量及び回転方向に応じてスクロール表示する表示制御手段とを備えた表示装置において、
前記回転検出手段に基づいて、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記入力手段が、予め定めた時間内に、一方向に第1の回転量以上回転したと判断した際に、前記表示手段に表示されている画像を前記入力手段の回転方向に応じて連続スクロール表示することを特徴とする連続表示制御手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−145287(P2006−145287A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333356(P2004−333356)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】