説明

ナビゲーション装置およびプログラム

【課題】過去の走行履歴に基づいて、走行時間帯毎の走行所要時間が加味された経路表示を行うナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置が、その起動から停止までの間に自車両が走行した経路毎に、その経路に係る起動時間日時、通過地点座標、走行所要時間を記録し、それらに基づいて、各経路について起動時間帯毎の走行所要時間のデータを外部記憶媒体18に記録する。さらに、記録したデータ中の経路のうち、現在地を始点として目的地を終点とする複数の経路を表示し(ステップ230)、さらに現在時刻を含む時間帯においてお最も走行所要時間が短いものを強調表示する(ステップ240)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過去の走行履歴に基づいた経路表示を行うナビゲーション装置およびそのナビゲーション装置に用いるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置において、過去の走行履歴を記録し、その走行履歴に基づいた情報表示を行う技術が提案されている。例えば、特許文献1では、ある経路についての過去の走行所要時間を記録し、その経路を走行中に、その記録した所用時間と、現時点におけるその経路の走行経過時間とを比較して表示する技術が開示されている。
【特許文献1】実開平6−81099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、同じ経路であっても走行所要時間は時間帯によって異なるのが普通である。例えば、通勤時間帯と昼間とでは道路の込み具合が異なるので、同じ経路でも通勤時間帯の方が昼間よりも走行所要時間が長いという場合がある。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、過去の走行履歴に基づいて、走行時間帯毎の走行所要時間が加味された経路表示を行うナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、過去に走行した複数の経路のそれぞれについての、走行時間帯毎の走行所要時間のデータを記憶媒体に記録する所要時間記録手段と、前記所要時間記録手段が記録した前記データ中の、現在地から設定された目的地までの経路を、前記データにおいて当該経路に対応づけられた走行時間帯毎の走行所要時間に基づいた形式で表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えたナビゲーション装置である。
【0006】
このようになっているので、ナビゲーション装置は、経路と走行時間帯の組み合わせ毎の走行所要時間のデータを用いた経路表示を行うことができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記表示制御手段は、前記所要時間記録手段が記録した前記データ中の、現在地から設定された目的地までの複数の経路のうち、ある同時間帯において走行所用時間がより短い経路をより優先的に表示することを特徴とする。
【0008】
このようになっているので、ナビゲーション装置は、現在地から目的地までの複数の経路を、ある同時間帯における過去の所要時間の比較結果を反映した形で表示することができる。なお、ある同時間帯としては、例えば現在時刻やユーザが入力した時刻等がある。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、前記表示制御手段は、前記所要時間記録手段が記録した前記データ中の、現在地から設定された目的地までの経路の1つについて、走行所用時間がより短い時間帯をより優先的に表示することを特徴とする。
【0010】
このようになっているので、ナビゲーション装置は、現在地から目的地までの1つの経路を、その経路についての複数の走行時間帯間の所要時間の比較結果を反映した形で表示することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置において、前記表示制御手段は、前記データにおいて当該経路に対応づけられた走行時間帯毎の複数の走行所要時間の統計的代表値に基づいた形式で表示装置に表示させることを特徴とする。
【0012】
このように走行時間帯毎の複数の走行所要時間の統計的代表値を用いることで、走行時間帯毎の走行所要時間に基づいた経路表示の精度が向上する。なお、「複数の走行所要時間の統計的代表値」とは、複数の走行所要時間の平均値、最大値、最小値、最もお大きい3つと最も小さい3つを除いた残りの平均値、全体の中間値、重み付き平均値等、それら複数の走行所要時間の集合の特徴を表す、その集合に対して特定の関係を有する値をいう。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のナビゲーション装置において、前記所要時間記録手段は、当該ナビゲーション装置の起動から停止までの間に自車両が走行した経路毎に、その経路の起動時間帯毎の走行所要時間のデータを記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0014】
このように、記録する経路としては、当該ナビゲーション装置の起動から停止までの間に自車両が走行した経路を採用し、走行時間帯としては、ナビゲーション装置の起動時間帯を採用してもよい。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、過去に走行した複数の経路のそれぞれについての、走行時間帯毎の走行所要時間のデータを記憶媒体に記録する所要時間記録手段、および、前記所要時間記録手段が記録した前記データ中の、現在地から設定された目的地までの経路を、前記データにおいて当該経路に対応づけられた走行時間帯毎の走行所要時間に基づいた形式で表示装置に表示させる表示制御手段として、コンピュータを機能させるプログラムである。
【0016】
このように、本発明はプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、スピーカ14、RAM16、ROM17、外部記憶媒体18、および制御回路19を有している。
【0018】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。
【0019】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路19に出力する。
【0020】
画像表示装置13は、制御回路19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0021】
外部記憶媒体18は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、制御回路19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0022】
地図データは、道路片(リンク)および交差点(ノード)の位置、種別、交差点と道路片との接続関係情報等を含む道路データ、および施設データを有している。
【0023】
制御回路(コンピュータに相当する)19は、ROM17および外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、および外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM16および外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13およびスピーカ14と信号の授受を行う。
【0024】
制御回路19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、所要時間記録処理、経路履歴表示処理、経路案内処理等がある。
【0025】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0026】
所要時間記録処理は、ナビゲーション装置1の起動から停止までの間に自車両が走行した経路毎に、その経路に係る起動日時、通過地点座標、走行所要時間を記録し、それらに基づいて、各経路について起動時間帯毎の走行所要時間のデータを外部記憶媒体18に記録する処理である。
【0027】
経路履歴表示処理は、所要時間記録処理が記録した経路のうち、入力された目的地までの経路を、その経路に対応づけられた走行時間帯毎の走行所要時間に基づいた形式で画像表示装置13に表示させ、スピーカ14に音声として出力させる処理である。
【0028】
経路案内処理は、外部記憶媒体18から地図データを読み出し、ダイクストラ法等によって算出された目的地までの誘導経路をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置13に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達した等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力する処理である。
【0029】
ここで、所要時間記録処理について説明する。制御回路19は、この所要時間記録処理を実現するために、車両用ナビゲーション装置1の起動時に、図2にフローチャートとして示す所要時間記録プログラム100の実行を開始するようになっている。この所要時間記録プログラム100の実行において、制御回路19は、まずステップ110で、走行道路テーブルが外部記憶媒体18に記録されているか否かを判定し、記録されていなければステップ160を実行し、記録されていればステップ120を実行する。
【0030】
ステップ160では、走行履歴テーブルの初期化を行う。すなわち、外部記憶媒体18中に、走行道路テーブルのための領域を確保し、その領域に、起動日時、起動持続時間、および通過座標点数として、それぞれ現在の日時、ゼロ値、およびゼロ値を記録する。なお、すでに外部記憶媒体18中に走行道路テーブルがある場合は、そのテーブル中の起動日時、起動持続時間、および通過座標点数として、それぞれ現在の日時、ゼロ値、およびゼロ値を記録し、さらにその座標点のデータを消去する。なお、このステップ160においては、現在位置の座標(緯度、経度)を座標点のデータとして走行道路テーブルに追記し、記録する座標点数の値を1としてもよい。
【0031】
続いてステップ170では、現在位置が更新するタイミングであるか否かを、車両用ナビゲーション装置1の起動後もしくは前回このステップ170で肯定の判定があってから、自車両が所定距離(例えば10メートル、100メートル)以上走行したか否かによって判定する。更新するタイミングであれば続いてステップ180を実行し、更新するタイミングでなければ再度ステップ170を実行する。
【0032】
ステップ180では、走行道路テーブルの更新処理を行う。具体的には、現在時刻と、走行道路テーブル中の起動時刻との差を算出し、その算出値を新たな起動持続時間の値として走行道路テーブルに上書きする。そしてさらに、走行道路テーブル中の座標点数の値に1を加えた値を、新たな座標点数の値として走行道路テーブルに上書きする。そしてさらに、現在位置の座標(緯度、経度)を座標点のデータとして走行道路テーブルに追記する。
【0033】
このようなステップ170、180の処理が走行中に繰り返されることで、走行道路テーブルには、その走行経路上の通過点の位置データが順次追加されてゆく。そして、車両が目的地に到着する等によってエンジンがオフになると、車両用ナビゲーション装置1の作動が停止し、それと共に所要時間記録プログラム100の実行も終了する。この停止時、走行道路テーブルには、起動時刻、起動から停止までの経過時間(すなわち起動持続時間)、起動から停止までに走行した経路上の始点から終点までの複数位置の座標、およびその複数位置の数が記録された状態になっている。図3に、この時点における走行道路テーブルの一例を示す。なお、起動から停止までの経過時間は、起動から停止までに走行した経路上の始点から終点までの走行所要時間に相当する。
【0034】
また、ステップ110で走行道路テーブルがあると判定した場合、続いてステップ120で、走行道路解析を行う。具体的には、外部記憶媒体18中の走行道路テーブルから複数の座標点のデータを読み出し、この読み出したデータの描く経路を、地図データ中のリンク配置と照合することで、当該経路がどのリンク群を通過したかを特定する。
【0035】
続いてステップ130では、ステップ120の解析結果を用いて、走行道路テーブルの示す走行経路と類似の経路を有する時間帯別所要時間テーブル(以下所要時間テーブルと記す)があるか否かを判定する。所要時間テーブルは、後述するステップ150が実行される度に外部記憶媒体18中に1つずつ作成され、ステップ140においてその内容が更新されるようになっている。
【0036】
図4に、1つの所要時間テーブルの構成の一例を示す。この図に示す通り、1つの所要時間テーブルは、1つの経路上の複数の位置(すなわち座標点)の数、その複数の座標点のそれぞれの座標値、および時間帯別所要時間のデータを有している。なお、時間帯別所要時間のデータは、24時間を所定の単位時間(例えば1時間、30分、10分)毎に区切る複数の時間帯のいずれかに対応する走行所要時間データを1つ以上有する。例えば、図4においては、25分、26分、35分の3つの所要時間データが、午前6時〜7時の時間帯に対応し、45分の所要時間データが、8時〜9時のデータに対応している。また、23時〜24時に対応している所要時間データはない。
【0037】
ここで、ある所要時間テーブルが、走行道路テーブルの示す走行経路と類似の経路を有するか否かは、次のようにして判定する。すなわち、ステップ120と同様に、その所要時間テーブルの示す経路中が地図データ中のどのリンク群を通過したかを特定し、その特定したリンク群が、ステップ120で特定したリンク群と同じまたはほとんど(例えば90パーセント以上)同じであれば、類似の経路を有すると判定し、そうでない場合は、類似の経路を有さないと判定する。
【0038】
また、ある所要時間テーブルが、走行道路テーブルの示す走行経路と類似の経路を有するか否かは、次のようにしても判定できる。すなわち、その所要時間テーブルが有する座標点のそれぞれについて、その位置が、ステップ120で読み出した走行道路テーブル中の座標点のいずれかから所定距離(例えば50メートル)以内にあるか、それともそれら座標点のすべてから所定距離を越えて離れているかを判定する。そして、所定距離内にあると判定した座標点が、その所要時間テーブル中の全座標点の所定の割合(例えば90パーセント)以上あれば、類似の経路を有すると判定し、そうでない場合は、類似の経路を有さないと判定する。
【0039】
このような判定をすべての所要時間テーブルについて行った結果、外部記憶媒体18中の所要時間テーブル中に1つでも走行道路テーブルの示す走行経路と類似の経路を有する所要時間テーブルがある場合、続いてステップ140を実行し、1つもない場合、続いてステップ150を実行する。
【0040】
ステップ150では、ステップ120で読み出した走行道路テーブルに基づいて、新たな所要時間テーブルを作成する。すなわち、走行道路テーブル中の座標点数、および複数の座標点のデータを、所要時間テーブルの座標点数、および複数の座標点のデータとして記録する。さらに、時間帯別所要時間については、走行道路テーブル中の起動持続時間のデータを、走行道路テーブル中の起動日時の時刻が属する時間帯に対応する所要時間データとして記録する。そして更に、外部記憶媒体18中の経路数のデータの値を1つ増やすことで、現在の走行道路テーブルの数と同じ値にする。ステップ150に続いては、ステップ160を実行する。
【0041】
ステップ140では、ステップ120で読み出した走行道路テーブルに基づいて、既存の所要時間テーブルに、時間帯別所要時間の所要時間データを1つ追記する。具体的には、走行道路テーブル中の起動持続時間のデータを、走行道路テーブル中の起動日時の時刻が属する時間帯に対応する所要時間データとして追記する。ステップ140に続いては、ステップ160を実行する。
【0042】
以上のような所要時間記録プログラム100を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、起動する度に、その起動から停止までの間に自車両が走行した経路毎に、その経路に係る起動日時、所定距離毎の複数の通過地点座標、通過地点数、走行所要時間等から成る走行道路テーブルを外部記憶媒体18に記録する(ステップ160〜180)。そして更に車両用ナビゲーション装置1は、起動する度に、前回起動時から停止時までに記録した走行道路テーブルを読み出し、それを経路毎の所要時間テーブルの走行時間帯別の所要時間データとして反映する(ステップ120〜150参照)。その結果、所要時間テーブルは、自車両が過去に走行した経路の数だけ記録される。そして、それぞれの所要時間テーブルは、24時間を所定の単位時間毎に区切った走行時間帯のいずれかに属する走行所要時間データを1つ以上(より具体的には車両がその経路を過去に通った回数と同じ個数)有することになる。このような作動が何度も繰り返されると、通勤路のようなよく通る経路の所要時間テーブルは、同じ時間帯中に走行所要時間データを複数有することになる。
【0043】
次に、経路履歴表示処理について説明する。制御回路19は、この経路履歴表示処理を実現するために、ユーザの操作スイッチ群12に対する所定の経路表示要求操作に基づいて、図5にフローチャートとして示す経路履歴表示プログラム200の実行を開始するようになっている。この経路履歴表示プログラム200の実行において、制御回路19は、まずステップ210で、ユーザによる操作スイッチ群12を用いた目的地の入力操作を待ち、入力があると、続いてステップ220で、現在地を走行開始地点とし、入力された目的地を走行終了地点とする1つまたは複数の経路の所要時間テーブルを、各所要時間テーブル中の最初の座標点および最後の座標点を参照することで特定し、それら特定した所要時間テーブルの内容を読み出す。なお、現在地は、ユーザが操作スイッチ群12を用いて入力した他の出発地点に置き換えてもよい。
【0044】
続いてステップ230では、ステップ220で特定して読み出した所要時間テーブルの示すすべての経路を地図に重ねた画像を、画像表示装置13に表示させる。このとき、地図上の各経路と共に、各経路に対応する所要時間テーブル中の現在時刻の属する時間帯の所要時間データの平均値を表示するようになっていてもよい。
【0045】
続いてステップ240では、ステップ230で画像表示装置13に表示させた経路のうち、対応する所要時間テーブル中の現在時刻の属する時間帯の所要時間データの平均値のうち、最も短い経路を強調表示する。強調表示としては、その経路を他の経路よりも太く表示してもよいし、スピーカ14にその経路の概要およびその経路についておの当該時間帯の平均所要時間を伝える音声を出力させてもよい。なお、ステップ230および240の現在時刻は、ユーザが操作スイッチ群12を用いて入力した他の時刻に置き換えてもよい。
【0046】
ステップ250では、ステップ230で画像表示装置13に表示させた経路のうちから1つを選択するための、ユーザの操作スイッチ群12に対する操作を待つ。そしてその操作があると、続いてステップ260で、その選択された経路に対応する所要時間テーブルの、同じ時間帯に対応する所要時間データを平均することで、各時間帯毎の所要時間の平均を算出する。そして、その平均所要時間が最も短い時間帯を示す文字または音声を、画像表示装置13またはスピーカ14に出力させる。
【0047】
以上のような経路履歴表示プログラム200を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、現在地(または入力された出発地)を走行開始地点とし、入力された目的地を走行終了地点とする1つまたは複数の経路の所要時間テーブルを読み出し(ステップ210、220参照)、読み出した経路をすべて地図上に表示し(ステップ230)、さらにそれらの経路のうち、現在時刻(または入力された出発時刻)を含む時間帯の平均所用時間が最も短い経路を強調表示する(ステップ240参照)。そして、それら表示した経路のうちから1つの選択入力を受け付けると(ステップ250参照)、その選択された経路の所要時間が最も短い時間帯を最優先で表示する。なお車両用ナビゲーション装置1は、ステップ250で選択された経路について、経路案内を開始するようになっていてもよい。
【0048】
以上のような作動により、車両用ナビゲーション装置1は、経路と走行時間帯の組み合わせ毎の走行所要時間のデータを用いた経路表示をすることで、過去の走行履歴に基づいた、走行時間帯毎の走行所要時間が加味された経路表示を行うことができる。
【0049】
また、走行時間帯毎の走行所要時間が、複数の走行所用時間データの平均値となっているので、経路表示の精度が向上する。
【0050】
なお、上記の実施形態において、画像表示装置13およびスピーカ14が表示装置に相当する。また、制御回路19が、所要時間記録プログラム100を実行することで所要時間記録手段として機能し、経路表示プログラム200を実行することで表示制御手段として機能する。
【0051】
(他の実施形態)
なお、上記の実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1が、本発明のナビゲーション装置の一例として挙げられているが、本発明のナビゲーションシステムは、車両用ナビゲーション装置に限らず、例えば、人が携帯できるような携帯型ナビゲーション装置としても実現可能である。
【0052】
また、上記実施形態では、車両用ナビゲーション装置1は、目的地までの経路のうち、現在時刻(または入力された出発時刻)を含む時間帯の所用時間が最も短い経路を強調表示するようになっているが、必ずしも所用時間が最も短い経路のみを強調表示する必要はない。例えば、目的地までの経路のうち、同時間帯の所用時間が最も短い順に上位複数の経路を強調表示してもよいし、同時間帯の経路別の所用時間と他の条件を加味した結果、最も望ましい上位複数の経路を強調表示してもよい。すなわち、車両用ナビゲーション装置1は、ある同時間帯において走行所用時間がより短い目的地までの経路をより優先的に表示するようになっていれば足りる。
【0053】
また、必ずしも強調表示を行う必要はなく、所要時間テーブルに基づいて、目的地までの複数の経路を、その所要時間と共に表示するだけでもよい。この場合においても、車両用ナビゲーション装置1は、現在地から設定された目的地までの複数の経路を、ある同時間帯において走行所要時間の優劣が判断できるように表示することになる。
【0054】
また、上記実施形態では、車両用ナビゲーション装置1は、目的地までの経路のうち1つについて、所要時間が最も短い時間帯を最優先で表示するようになっているが、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、所要時間が最も短い順に上位複数の時間帯を、その時間帯における所要時間と共に表示するようになっていてもよいし、1つの経路の時間帯別の所用時間と他の条件を加味した結果、最も望ましい上位複数の時間帯を強調表示してもよい。すなわち、車両用ナビゲーション装置1は、設定された目的地までの経路の1つについて、走行所用時間がより短い時間帯をより優先的に表示するようになっていれば足りる。
【0055】
また、必ずしも強調表示を行う必要はなく、所要時間テーブルに基づいて、目的地までの経路のうち1つについて、複数の時間帯と、その時間帯における所要時間とを共に表示するだけでもよい。この場合においても、車両用ナビゲーション装置1は、目的地までの経路の1つについて、時間帯別の走行所要時間の優劣が判断できるように表示することになる。
【0056】
また、走行道路テーブルや所要時間テーブルは、バックアップ機構を持ったROMに記録するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】制御回路19が実行する所要時間記憶プログラム100のフローチャートである。
【図3】走行進路テーブルの一例を示す図表ある。
【図4】走行道路・時間帯別所要時間テーブルの一例を示す図表である。
【図5】経路履歴表示プログラム200のフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、
13…画像表示装置、14…スピーカ、16…RAM、17…ROM、
18…外部記憶媒体、19…制御回路、100…所要時間記録プログラム、
200…経路履歴表示プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に走行した複数の経路のそれぞれについての、走行時間帯毎の走行所要時間のデータを記憶媒体に記録する所要時間記録手段と、
前記所要時間記録手段が記録した前記データ中の、現在地から設定された目的地までの経路を、前記データにおいて当該経路に対応づけられた走行時間帯毎の走行所要時間に基づいた形式で表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記所要時間記録手段が記録した前記データ中の、現在地から設定された目的地までの複数の経路のうち、ある同時間帯において走行所用時間がより短い経路をより優先的に表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記所要時間記録手段が記録した前記データ中の、現在地から設定された目的地までの経路の1つについて、走行所用時間がより短い時間帯をより優先的に表示することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記データにおいて当該経路に対応づけられた走行時間帯毎の複数の走行所要時間の統計的代表値に基づいた形式で表示装置に表示させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記所要時間記録手段は、当該ナビゲーション装置の起動から停止までの間に自車両が走行した経路毎に、その経路の起動時間帯毎の走行所要時間のデータを記憶媒体に記録することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
過去に走行した複数の経路のそれぞれについての、走行時間帯毎の走行所要時間のデータを記憶媒体に記録する所要時間記録手段、および、
前記所要時間記録手段が記録した前記データ中の、現在地から設定された目的地までの経路を、前記データにおいて当該経路に対応づけられた走行時間帯毎の走行所要時間に基づいた形式で表示装置に表示させる表示制御手段として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−242890(P2006−242890A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62356(P2005−62356)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】