説明

ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】 道路上の目印ペイントによる案内を適正に行えるようにする。
【解決手段】 少なくとも目印ペイントのデータベースを備え、目印ペイントによる案内を行うようにしたナビゲーション装置において、案内対象の目印ペイントを撮影する撮影手段(1′)と、前記撮影手段により撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断する判断手段(4a)と、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記目印ペイントを案内対象から外すか否かの処理を実行する制御手段(4b)とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路上に表示した目印ペイントの異常に対処できるようにしたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路面にペイントや石等により、線、記号、文字等を表示し、道路交通に関する規制や指示を表す道路標示をカメラで撮影し、撮影画像から案内経路情報を認識して案内を行うナビゲーション装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−205349
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1のように道路標示をカメラで撮影し、撮影画像から案内経路情報を認識するものにあっては、ペイントがかすれてしまって認識できない場合には案内経路情報を取得することができない。また、道路上の目印ペイントをデータベースとしてもっていて、データベース上の目印ペイントに基づいて案内を行うものにあっては、実際の道路上の目印ペイントがかすれ等で見にくくなっていても常に、その目印ペイントを案内してしまい、運転者には案内された目印ペイントが認識できず戸惑ってしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、道路上の目印ペイントによる案内を適正に行えるようにすることを目的とする。
そのために本発明は、少なくとも目印ペイントのデータベースを備え、目印ペイントによる案内を行うようにしたナビゲーション装置において、案内対象の目印ペイントを撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記目印ペイントを案内対象から外すか否かの処理を実行する制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、少なくとも目印ペイントのデータベースを備え、目印ペイントによる案内を行うようにしたナビゲーション装置において、データベース上で案内禁止となっている目印ペイントを撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記目印ペイントの案内禁止を解除するか否かの処理を実行する制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、少なくとも目印ペイントのデータベースを備え、目印ペイントによる案内を行うようにしたナビゲーション装置を制御するプログラムにおいて、案内対象の目印ペイントを撮影するステップ、撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断するステップ、判断結果に基づいて、前記目印ペイントを案内対象から外すか否かの処理を実行するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明は、少なくとも目印ペイントのデータベースを備え、目印ペイントによる案内を行うようにしたナビゲーション装置を制御するプログラムにおいて、データベース上で案内禁止となっている目印ペイントを撮影するステップ、撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断するステップ、判断結果に基づいて、前記目印ペイントの案内禁止を解除するか否かの処理を実行するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、異常な目印ペイントは案内対象とせず、一旦案内禁止とした目印ペイントでも異常が復旧した場合には案内対象とするようにしたので、道路上の目印ペイントによる案内を適正化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係るナビゲーション装置の例を示す図である。出発地や目的地等の経路案内に関する情報を入力する入力装置1、道路上の目印ペイントを撮影するカメラ1′、自車両の現在位置に関する情報を検出する現在位置検出装置2、地図データ、経路の探索に必要なナビゲーション用データ、経路案内に必要な表示/音声の案内データ、さらに地図の表示、経路探索、音声案内等の案内を行うためのプログラム(アプリケーション及び/又はOS)等が記録されている情報記憶装置3、カメラ1′で撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断する判断手段4a、判断手段4aの判断結果に基づいて目印ペイントを案内対象とするか否かの処理を実行する制御手段4bを備え、ナビゲータ処理手段として地図の表示処理、経路探索処理、経路案内に必要な表示/音声案内処理、さらにシステム全体の制御を行う中央処理装置4、車両の走行に関する情報である、例えば道路情報、交通情報を送受信したり、現在位置に関する情報を検出したり、さらに地図データや交通情報データを随時更新し記憶している地図配信センタと情報を送受信する情報送受信装置5、経路案内に関する情報を出力するディスプレイやスピーカその他の出力装置6から構成されている。なお、地図配信センタは、地図更新エリアを設定し、例えば、暗号化された地図更新情報を復号する復号キーを持つユーザに対して、エリア内の地図更新情報(変更道路データ等)を放送局やインーターネット網を介して提供するセンタである。
【0007】
次に、異常な目印ペイントは案内対象とせず、一旦案内禁止とした目印ペイントの異常が回復した場合には案内禁止を解除して道路上の目印ペイントによる案内を適正に行えるようにする例について、図2〜図5を参照して説明する。
【0008】
図2は目印ペイントの異常を検知する説明図である。
一点鎖線で示すルート10は、中央処理装置4で探索した目的地までの案内経路を示しており、案内分岐点11を左折するルートである。車20が案内分岐点11の所定距離手前、例えば、600m手前、300m手前の案内発話点30に達すると、データベース上の目印ペイント40により左折を案内する。例えば、目印ペイント40が横断歩道を示す白線である場合は、「横断歩道の先を左方向です。」のように音声案内する。次いで、車20が目印ペイント40の位置に差しかかったき、車に備えられたバックガイドモニタ等のカメラで目印ペイント40を撮影する。撮影した目印ペイントの画像は、ナビゲーション装置の中央処理装置4において、画像認識し、かすれ等で読み取れず認識できない場合、また、認識できたとしても案内した目印ペイント(ナビゲーション装置のデータベース上の目印ペイント)と一致しない場合には、ペイントの異常として記録する。ペイントの異常と記録された場合は、次回、同じ場所を走行する場合には案内対象から外す。このようにペイントの異常を検知したときは、ペイントの異常情報を地図配信センタに上げ、地図配信センタは各車に対してその情報を流すことにより、異常情報を各車が共有するようにすることが望ましい。この場合、異常のあるペイントを地図配信センタで案内対象データから外して各車に情報を配信する方法と、案内対象データからは外さずにペイントが異常という情報のみを各車に配信する方法とがある。なお、天気の異常などにより、カメラで撮影した画像が判別しにくい場合もあり得るので、複数回の異常を確認したうえで、案内対象から外すようにしてもよい。
【0009】
図3は目印ペイントの異常検知処理フローを示す図である。
ルート上の案内発話点において目印ペイントによる案内を実施し(ステップS1)、案内した目印ペイントの位置に差しかかったとき、該当する目印ペイントをカメラ撮影する(ステップS2)。次いで、撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し(ステップS3)、認識できない場合は案内したペイントを案内対象から外す(ステップS5)。ステップS4において、認識できた場合はデータベース上のペイントと一致するか否か判断し、一致しない場合は同様にその目印ペイントを案内対象から外す。一致する場合には異常のない目印ペイントとして処理は終了する。
【0010】
図4は目印ペイントの異常回復を検知する説明図である。
一点鎖線で示すルート10は、中央処理装置4で探索した目的地までの案内経路を示しており、案内分岐点11を左折するルートである。車20が案内分岐点11の所定距離手前、例えば、600m手前、300m手前の案内発話点30に達すると、本来なら案内分岐点11の手前の目印ペイント40により左折を案内するが、この目印ペイントがデータベース上で案内禁止となっているため、目印ペイント40による案内は行わない。そして、車20が、目印ペイント40の位置に差しかかったとき、車に備えられたカメラで目印ペイントを撮影する。撮影した目印ペイント40がナビゲーション装置の中央処理装置4において画像認識可能で、かつナビゲーション装置のデータベース上の目印ペイントと一致する場合には、案内禁止を解除して当該ペイントを案内対象とする。
【0011】
図5は目印ペイントの異常回復検知処理フローを示す図である。
ルート上の案内禁止となっている目印ペイントを通過するとき(ステップS10)、目印ペイントをカメラ撮影する(ステップS11)。次いで、撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し(ステップS12)、認識できない場合は処理は終了する。ステップS12において、認識できた場合はデータベース上のペイントと一致するか否か判断し、一致しない場合は同様に処理は終了し、一致する場合には異常が回復したものとして当該ペイントを案内対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】目印ペイントの異常を検知する説明図である。
【図3】目印ペイントの異常検知処理フローを示す図である。
【図4】目印ペイントの異常回復を検知する説明図である。
【図5】目印ペイントの異常回復検知処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0013】
1…入力装置、1′…カメラ、2…現在位置検出装置、3…情報記憶装置、4…中央処理装置、5…情報送受信装置、6…出力装置、10…案内ルート、11…案内分岐点、20…車、30…案内発話点、40…目印ペイント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも目印ペイントのデータベースを備え、目印ペイントによる案内を行うようにしたナビゲーション装置において、
案内対象の目印ペイントを撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記目印ペイントを案内対象から外すか否かの処理を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記判断手段により、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致しないと判断された場合、目印ペイントが異常であることを地図配信センタに送信することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記目印ペイントを案内対象から外すか否かの処理は、前記判断手段による複数回の判断結果に基づいて行うことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
少なくとも目印ペイントのデータベースを備え、目印ペイントによる案内を行うようにしたナビゲーション装置において、
データベース上で案内禁止となっている目印ペイントを撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記目印ペイントの案内禁止を解除するか否かの処理を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
少なくとも目印ペイントのデータベースを備え、目印ペイントによる案内を行うようにしたナビゲーション装置を制御するプログラムにおいて、
案内対象の目印ペイントを撮影するステップ、
撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断するステップ、
判断結果に基づいて、前記目印ペイントを案内対象から外すか否かの処理を実行するステップ、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
少なくとも目印ペイントのデータベースを備え、目印ペイントによる案内を行うようにしたナビゲーション装置を制御するプログラムにおいて、
データベース上で案内禁止となっている目印ペイントを撮影するステップ、
撮影した目印ペイントが認識できるか否か判断し、認識できた目印ペイントがデータベース上の目印ペイントと一致するか否かを判断するステップ、
判断結果に基づいて、前記目印ペイントの案内禁止を解除するか否かの処理を実行するステップ、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−304256(P2008−304256A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150434(P2007−150434)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】