説明

ナビゲーション装置

【課題】車両停止位置などの前もって登録した位置への案内処理中に電力不足となることを回避しやすくするナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は制御部2、位置検出部3、記憶部4、位置登録部5、経路探索部6、電力供給部7、残電力計測部8、消費電力算出部9、報知要否判定部10、音声出力部11、表示部12、時間計測部13を備え、位置検出部3から得られる現在位置から位置登録部5によって記憶部4に保存された登録位置までの案内処理によって消費される電力量を消費電力算出部9によって算出すると共に、算出された消費電力量と残電力計測部8が計測した電力量から報知要否判定部10を用いて記憶部4に保存されている登録位置への案内がおこなえるかを判定し、案内がおこなえなくなりつつあると判定した際に、音声出力部11を用いてナビゲーション装置1の利用者への報知をおこない、登録位置までの案内をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵電源を有した携帯可能なナビゲーション装置の電源管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現在位置から目的地までの経路を案内することができるナビゲーション装置がある。このようなナビーション装置は、車両に搭載されたものや、車両から取り外して使用することができるポータブルナビゲーション装置等が広く普及している。これらのポータブナビゲーション装置の機能は、車両から取り外された際に車両の停車位置を記憶装置に保持しておき、車両から遠くに離れた場合であっても、車両を停車した位置まで経路案内することができるものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−275520号公報
【特許文献2】特開2006−145442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来のポータブルナビゲーション装置においては、内蔵電源で動作しているため、車両位置から離れ過ぎてしまった場合や、利用者がポータブルナビゲーション装置に設けられた機能を使って映像や動画を再生することで内臓電源の電力を大量に消費してしまった場合、車両の位置まで戻る案内を行おうとしても車両位置までの案内を満了するための電力が不足する恐れがあった。また、車両の位置まで戻る案内が開始できたとしても、車両の位置に向かって戻っている最中に案内処理が中断してしまうことで利用者が車両の位置まで戻ることができないという問題があった。
【0004】
そこで、本願発明は、車両を駐車してナビゲーション装置を外に持ち出した時でも、内臓電源が不足する前に駐車した車両の位置まで案内することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のナビゲーション装置は、携帯可能なナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置を制御する制御手段と、前記ナビゲーション装置の現在位置を検出する位置検出手段と、地図データが保存され他のデータが保存可能に構成された記憶手段と、任意の位置を登録位置として前記記憶手段に保存する位置登録手段と、前記現在位置から前記登録位置までの経路を探索する経路探索手段と、前記ナビゲーション装置に電力を供給する電力供給手段と、前記電力供給手段の残電力量を計測する残電力計測手段と、前記現在位置から前記登録位置までの距離を案内することで消費する消費電力量を算出する消費電力算出手段と、前記残電力量と前記消費電力量とから、経路案内に必要な残電力量が十分量残っているかを確認し、利用者への報知が必要かを判定する報知要否判定手段と、前記報知要否判定手段の判定結果に応じて、前記ナビゲーション装置の利用者に報知する報知手段と、前記記憶手段に記憶された地図データや映像を表示可能な表示手段と、前記制御手段に対し一定時間間隔で通知をおこなう時間計測手段と、を備えて構成されている。
【0006】
このように構成された本発明のナビゲーション装置によれば、ナビゲーション装置の内臓電源の電力量が登録位置までの案内に必要となる電力量を下回る前に、利用者に報知をおこなうとともに登録位置までの経路案内を開始することができる。
【0007】
また、本発明のナビゲーション装置の前記報知手段は、音声を出力する音声出力手段、
光媒体を発光させて通知する発光手段、振動によって通知する振動手段の少なくとも一つを備えて構成されている。
【0008】
このように構成された本発明のナビゲーション装置によれば、利用者に報知する方法として音声、光、振動の少なくとも1つを用いて利用者に通知することができる。
【0009】
さらに、本発明のナビゲーション装置の前記表示手段は、前記報知要否判定手段の判定結果に応じて、現在の残電力量で前記記憶手段に保存された登録位置までの案内が可能な範囲を地図上に表示する構成を有している。
【0010】
このように構成された本発明のナビゲーション装置は、利用者への報知が必要と報知要否判定手段によって判定されたときに、現在の残電力量で登録位置までの案内が可能な範囲をナビゲーション装置の利用者に示すことができる。
【0011】
さらに、本発明のナビゲーション装置の消費電力算出手段は、前記現在位置から前記登録位置までの直線距離または案内経路に沿った道のり距離のいずれかを用いる構成を有している。
【0012】
このように構成された本願発明のナビゲーション装置によれば、消費電力算出手段は、精度は粗いが短時間で算出可能な直線距離又は、精度は高いが算出に時間がかかる経路探索によって得られる案内経路に沿った距離の、いずれかを用いることができる。
【0013】
さらに、本発明のナビゲーション装置は、前記報知手段で利用者に報知する際に、前記経路探索手段による前記登録位置までの経路探索及び前記表示手段による経路表示をおこなうか否かを、利用者に選択させる構成を有している。
【0014】
このように構成された本願発明のナビゲーション装置によれば、利用者が登録位置への経路案内が不要と感じているときに、ナビゲーション装置が自動で経路探索を開始してしまうことを回避することができる。
【0015】
さらに、本発明のナビゲーション装置の制御手段は、前記ナビゲーション装置の累計動作時間に応じて前記報知可否判定手段の判定条件を変更し、前記電力供給手段の経年劣化の影響を加味する構成を有している。
【0016】
このように構成された本願発明のナビゲーション装置によれば、制御手段で電力供給手段の経年劣化の影響を加味するように報知可否判定手段の判定条件を変更することができるように構成しているので、より精度の高い消費電力量の算出をおこなうことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、現在位置から登録位置までの案内をおこなう際に必要となる電力量を算出し、算出された電力量と電力供給手段の残電力量を残電力計測手段で計測して、計測された残電力量から現在位置から登録位置まで案内がおこなえるか否かを報知要否判定手段で判定するようにしているので、現在位置から登録位置まで案内がおこなえなくなる可能性があると判定された際には利用者に報知するとともに、登録位置まで戻るための経路案内を開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のナビゲーション装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である

【0020】
図1に示すように本発明の実施形態におけるナビゲーション装置1は、制御部2と、位置検出部3と、記憶部4と、位置登録部5と、経路探索部6と、電力供給部7と、残電力計測部8と、消費電力算出部9と、報知要否判定部10と、音声出力部11と、表示部12と、時間計測部13とを有して構成されている。
【0021】
ここで制御部2は、ナビゲーション装置1を制御することができるように構成されている。マイコンを主体として構成され、ナビゲーション装置の各機器の制御をおこなうができるように構成されている。
【0022】
位置検出部3は、ナビゲーション装置1の現在位置を取得するための測位処理をおこなうことができる。例えば、人工衛星からの送信電波に基づいて現在位置を検出するGPS受信機や、Wi−Fi電波により位置を推定するPlaceEngine技術などを用いることができる。
【0023】
記憶部4は、データの保存が可能に構成され、例えばE2PROMやFlashROM、HDDなどの記録媒体による記憶装置から構成されている。本発明の記憶部4には、地図データ、後述する位置登録部5によって保存される登録位置、ナビゲーション装置1が案内処理の実行中における平均電力消費率、ナビゲーション装置1の携帯中における利用者の平均移動速度、報知要否判定部10が報知の要否を判定するために用いる基準電力量を記憶することができる。
【0024】
位置登録部5は、車両が停止した位置、ナビゲーション装置1の利用者が設定した地図上の任意の位置やナビゲーション装置1が車両から外された位置を、前記記憶部4に保存するように構成されている。
【0025】
経路探索部6は、ナビゲーション装置1の現在位置から任意の位置までの案内経路を、前記地図データを参照して探索することができるように構成されている。
【0026】
電力供給部7は、ナビゲーション装置1に内蔵されたバッテリー装置であり、ナビゲーション装置外部から電力供給がない状態のときに、ナビゲーション装置1の各構成部に対して電力を供給することができるように構成されている。
【0027】
残電力計測部8は、電力供給部7の残電力量を計測するためのセンサであり、計測された電力量を制御部2へと送信することができるように構成されている。
【0028】
消費電力算出部9は、位置検出部3から得られる現在位置と、記憶部4に記憶された登録位置との間を経路案内した際に消費される消費電力量を算出することができるように構成されている。
【0029】
報知要否判定部10は、残電力計測部8から得られる電力供給部7の残電力量と、消費電力算出部9によって算出された消費電力量との差分を、記憶部4に記憶された基準電力量と比較することにより、利用者に登録位置に戻ることを促すための報知が必要か否かを判定することができるように構成されている。
【0030】
音声出力部11は、DSP、アンプ、スピーカ等から構成され、報知要否判定部10によって報知が必要と判定されたときに、制御部2からの指示によって音声信号を出力することができるように構成されている。
【0031】
表示部12は、LCD等から構成され、制御部2からの指示によって地図やナビゲーション装置の現在位置などの映像を画面上に表示することができるように構成されている。
【0032】
時間計測部13は、一定時間毎に信号出力をおこなうタイマ装置であり、制御部2に対し、消費電力算出部9を利用した消費電力量の算出処理、報知要否判定部10を利用した報知要否の判定処理を実行するタイミングを通知することができるように構成されている。
【0033】
このように構成された本発明の実施形態におけるナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1の現在位置から、車両の停止時等に位置登録部5によって登録された登録位置までの案内に必要となる電力量を算出し、算出された電力量と電力供給部の残電力量を残電力計測部で計測して、計測された残電力量から現在位置から登録位置まで戻るための案内がおこなえるか否かを報知要否判定部で判定するようにしているので、現在位置から登録位置まで戻るための案内がおこなえなくなる可能性があると判定された際には、スピーカから音声を出力してナビゲーション装置の利用者に報知をおこない、その上で登録位置まで戻るための経路探索をおこなうことで、電力量が不足する前に利用者を登録位置まで戻すことができる。
【0034】
次に、以上のように構成されたナビゲーション装置の動作について、フローチャートを用いて説明する。図2は、本発明の実施形態における、ナビゲーション装置の動作を示す全体フロー図である。図3は、本発明の実施形態における、車両への案内によって消費される電力量の算出処理を示すフロー図である。
【0035】
なお、ナビゲーション装置1は、案内処理の実行中における平均電力消費率、ナビゲーション装置1の携帯中における利用者の平均移動速度、報知要否判定部10が報知の要否を判定するために用いる基準電力量をあらかじめ定められた固定値として記憶部4に保存している状態として説明する。
【0036】
図2に示すように、位置登録部5は、車両が停止した位置、またはナビゲーション装置1の利用者が指定した位置、またはナビゲーション装置1が車両から外された位置を、登録位置として記憶部4に保存する(S1)。続いて制御部2は、時間計測部13の動作を開始させる(S2)。
【0037】
制御部2は、時間計測部13からの通知を受けると(S3)、消費電力算出部9を用いて記憶部4に保存されている登録位置への案内により消費される電力量の算出をおこなわせる(S4)。続いて制御部2は、残電力計測部8を用いて電力供給部7の残電力量を取得する(S5)。続いて制御部2は、報知要否判定部10を用い、ステップS4で算出した消費電力量とステップS5で取得した残電力量との差分が記憶部4に保存されている基準電力量以下であるか否かを判定する(S6)。ステップS6において基準電力量以下ではないと判断された場合は(S6、NO)、S3に戻り時間計測部13からの通知を待つ。ステップS6において基準電力量以下と判定された場合は(S6、YES)、制御部2は、時間計測部13の動作を停止させる(S7)。続いてナビゲーション装置1の利用者に、記憶部4に保存されている登録位置への案内に必要な電力量が不足しそうであることを伝えるため、音声出力部11からBEEP音と警告音声を出力する(S8)。そして表示部12に、ステップS8で出力した警告音声と同内容の文字列を表示する(S9)。続いて制御部2は、記憶部4に保存されている登録位置を取得する(S10)。また位置検出部3からナビゲーション装置1の現在位置を取得する(S11)。次に経路探索部6を用いて、ステップS11で取得した現在位置からステップS10で取得した登録位置までの案内経路を探索し(S12)、探索された経路を表示部12に表示する(S13)。
【0038】
ここで、ステップS4において消費電力算出部9を用いておこなわれる、位置検出部3から得られる現在位置から記憶部4に保存された登録位置までの経路案内で消費される電力量を算出する処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
図3に示すように、制御部2は、記憶部4に保存されている登録位置、案内処理実行中の平均電力消費率、平均移動速度を取得する(S14)。続いて位置検出部3からナビゲーション装置1の現在位置を取得する(S15)。消費電力算出部9は、ステップS14で取得した登録位置とステップS15で取得した現在位置との直線距離を算出し(S16)、この直線距離を現在位置と登録位置との移動距離の近似値として扱う。また、消費電力算出部9は、(平均移動時間) = (ステップS16で算出した直線距離)÷(ステップS14で取得した平均移動速度)の計算式に基づき、現在位置から登録位置までの平均移動時間を算出する(S17)。さらに消費電力算出部9は、(消費電力量) = (ステップS14で取得した案内処理実行中の平均電力消費率)× (ステップS17で算出した案内時間) の計算式に基づき現在位置から登録位置までに消費する消費電力量を算出する(S18)。
【0040】
このように本発明の実施形態のナビゲーション装置によれば、電力供給部7の残電力量が現在位置から登録位置までの案内に必要となる電力量を下回る前に、ナビゲーション装置の利用者に音による報知をおこなった上で、登録位置への経路案内を開始することができる。
【0041】
また、本発明の実施形態ではナビゲーション装置1の利用者に電力供給部7の残電力量が少なくなったことを報知するために音声出力部11を用いたが、本発明を限定するものではなく、例えば、ナビゲーション装置1の本体に振動部を設け、ナビゲーション装置1の本体を振動させて利用者に報知するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置1の本体にLEDやランプ等を設け、電力供給部7の残電力量が少なくなったことを報知するように構成してもよい。
【0042】
また、利用者に電力供給部7の残電力が少なくなったことを利用者に報知するために、音声出力部、振動部、発光部を個々に設けるように構成したが、本発明を限定するものではなく、特定の組み合わせやすべて設けるようにしてもよい。例えば、ここで音声出力部と振動部の双方を同時に設けることで、スピーカから音で利用者に報知するとともに、振動でも通知することができるので、利用者がいる場所で他の大きな音があったとしても、音と振動の両方で通知することができる。
【0043】
また、本発明の他の実施の形態について図4、図5を用いて説明する。図4は現在位置から登録位置までの案内が可能な範囲を地図上に表示した画面の概念図である。図5は、本発明の他の実施の形態における、登録位置までの案内が可能な範囲を地図上に表示する処理を示すフロー図である。
【0044】
図4に示すように、表示部12に表示される画面Dは、地図M、ナビゲーション装置1の現在位置G、記憶部4に登録された登録位置K、登録位置Kを中心とし円Cから構成されている。なお、円Cは、利用者の現在位置Gと登録位置Kとの距離を半径として構成されている。
【0045】
次にこの構成における制御部2の処理について、図5を用いて説明する。制御部2は、表示部12の画面Dに、登録位置K及びナビゲーション装置1の現在位置Gが画面内に同時に収まる表示スケールで地図Mを表示する(S19)。続いて地図M上に登録位置K及び現在位置Gを地図と重畳して表示する(S20)。さらに、ステップS16で算出した移動距離を半径とし、登録位置Kを中心とする円Cを地図M上に重畳して表示する(S21)。また、表示した範囲が登録位置への案内が可能な範囲であることを説明する音声を音声
出力部11から出力する(S22)。また、表示した範囲が登録位置への案内が可能な範囲であることを説明する文字列を表示部12に表示する(S23)。
【0046】
このように構成することで、利用者への報知及び登録位置への経路案内をおこなう際に、前記登録位置Kまで戻るための案内が可能な範囲を地図上に表示してナビゲーション装置1の利用者に示すことができる。
【0047】
また、上述の実施形態では、現在位置から登録位置までの移動距離として直線距離を用いているが本発明を限定するものではなく、経路探索部6によって求められる、案内経路に沿った距離を用いることもできる。
【0048】
このように構成することで、経路探索部を用いることによる精度の高い距離を算出することが可能となる。
【0049】
また他の実施形態として、本発明の実施形態ではナビゲーション装置1は、ステップS6において報知必要と判定された場合に、登録位置までの経路探索を併せておこなうように構成されているが、表示部12に経路探索をおこなうか否かの選択肢を表示し利用者に選択をおこなわせることにより、経路探索処理であるステップS10以降の処理をおこなうかを、ナビゲーション装置1の利用者に判断させることもできる。
【0050】
このように構成すると、ナビゲーション装置1の利用者が報知を受けた際に、経路案内を不要と感じた場合は経路案内をおこなわないという選択肢を利用者に設けることができる。
【0051】
また、他の実施形態について、図6、図7、図8を用いて説明する。図6は、他の実施形態における、位置登録部5によって登録位置が登録される前の、ナビゲーション装置1の処理フローである。図7は、位置登録部5によって登録位置が登録された時点からの、ナビゲーション装置1の処理フローである。図8は、車両への案内によって消費される電力量の算出処理を示すフロー図である。
【0052】
本実施の形態においては、ナビゲーション装置1の動作中は時間計測部13も常に動作しており制御部2に一定時間間隔で通知をおこなう構成とする。また記憶部4には、時間計測部13が制御部2に通知をおこなった回数が累計通知回数として保存されている。
【0053】
この構成において、位置登録部5によって登録位置が登録される前のナビゲーション装置1の処理について、図6を用いて説明する。制御部2は、時間計測部13からの通知を受けて(S24)、記憶部4に保存されている累計動作回数に1加算する(S25)。
【0054】
次に、位置登録部5によって登録位置が登録された時点からの、ナビゲーション装置1の処理について、図7を用いて説明する。図7に示すように、位置登録部5は、車両が停止した位置、またはナビゲーション装置1の利用者が指定した位置、またはナビゲーション装置1が車両から外された位置を、登録位置として記憶部4に保存する(S26)。
【0055】
制御部2は、時間計測部13からの通知を受けると(S27)、制御部2は記憶部4に保存されている累計動作回数に1加算する(S28)。続いて消費電力算出部9を用いて記憶部4に保存されている登録位置への案内により消費される電力量の算出をおこなわせる(S29)。続いて制御部2は、残電力計測部8を用いて電力供給部7の残電力量を取得する(S30)。続いて制御部2は、報知要否判定部10を用い、ステップS29で算出した消費電力量とステップS30で取得した残電力量との差分が記憶部4に保存されている基準電力量以下であるか否かを判定する(S31)。ステップS31において基準電力量
以下ではないと判断された場合は(S31、NO)、S27に戻り時間計測部13からの通知を待つ。ステップS31において基準電力量以下と判定された場合は(S31、YES)、制御部2は、ナビゲーション装置1の利用者に、記憶部4に保存されている登録位置への案内に必要な電力量が不足しそうであることを伝えるため、音声出力部11からBEEP音と警告音声を出力する(S32)。そして表示部12に、ステップS32で出力した警告音声と同内容の文字列を表示する(S33)。続いて制御部2は、記憶部4に保存されている登録位置を取得する(S34)。また位置検出部3からナビゲーション装置1の現在位置を取得する(S35)。次に経路探索部6を用いて、ステップS35で取得した現在位置からステップS34で取得した登録位置までの案内経路を探索し(S36)、探索された経路を表示部12に表示する(S37)。
【0056】
続いて、記憶部4に保存されている登録位置への案内により消費される電力量を消費電力算出部9で算出する処理のフローを、図8を用いて説明する。
【0057】
図8に示すように、制御部2は、記憶部4から、消費電力量の算出に必要となるデータ、すなわち、登録位置、案内処理実行中の平均電力消費率、平均移動速度、累計通知回数を取得する(S38)。続いて位置検出部3からナビゲーション装置1の現在位置座標を取得する(S39)。続いて制御部2は、消費電力算出部9を呼び出す。消費電力算出部9は、ステップS38で取得した登録位置とステップS39で取得した現在位置との直線距離を算出し(S40)、この直線距離を現在位置と登録位置との移動距離の近似値として扱う。続いて消費電力算出部9は、(平均移動時間) = (ステップS40で算出した直線距離)÷(ステップS38で取得した平均移動速度)の計算式に基づき、現在位置から登録位置までの平均移動時間を算出する(S41)。次に消費電力算出部9は、(累計動作時間) = (ステップS38で取得した累計通知回数)×(時間計測部13の通知間隔)の計算式に基づき、ナビゲーション装置1の累計動作時間を算出する(S42)。次に消費電力算出部9は、記憶部4に保存されているナビゲーション装置1の累計動作時間と電力供給部7の経年劣化率との関係を表す配列データを参照し、ステップS42で算出した累計動作時間と対応する経年劣化率を取得する。次に消費電力算出部9は、(消費電力量) = (ステップS38で取得した案内処理実行中の平均電力消費率)×(ステップS41で算出した案内時間)×(ステップS43で取得した経年劣化率) の計算式に基づき、車両への案内によって消費する消費電力量を算出する(S44)。
【0058】
このように構成することで、電力供給部7の経年劣化を考慮したより精度の高い消費電力量算出をおこなうことができ、ナビゲーション装置1の使用年数が長く電力供給部の残電力量の低下が早い場合においても、電力量が不足する前に登録位置への経路案内をおこなうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の利用者が登録した登録位置への案内に必要となる電力量と、現在の残電力量を比較する手段及びナビゲーション装置の利用者への報知部を設けることにより、登録位置への案内に必要な電力量が不足しそうであることを利用者に報知し、電力量が不足する前に車両まで案内することができるという効果を有し、内蔵電源を有する携帯可能な車載ナビゲーション装置に有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態における、ナビゲーション装置の動作を示す全体フロー図
【図3】本発明の実施の形態における、車両への案内によって消費される電力量の算出処理を示すフロー図
【図4】本発明の他の実施の形態における、現在位置から車両までの案内が可能な範囲を示す概念図
【図5】本発明の他の実施の形態における、登録位置までの案内が可能な範囲を地図上に表示する処理を示すフロー図
【図6】本発明の他の実施の形態における、位置登録部5によって登録位置が登録される前の処理を示すフロー図
【図7】本発明の他の実施の形態における、位置登録部5によって登録位置が登録された時点からの処理を示すフロー図
【図8】本発明の他の実施の形態における、車両への案内によって消費される電力量の算出処理を示すフロー図
【符号の説明】
【0061】
1 ナビゲーション装置
2 制御部
3 位置検出部
4 記憶部
5 位置登録部
6 経路探索部
7 電力供給部
8 残電力計測部
9 消費電力算出部
10 報知要否判定部
11 音声出力部
12 表示部
13 時間計測部
D 画面
M 地図
G 現在位置
K 登録位置
C 登録位置を中心とした円

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能なナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置を制御する制御手段と、
前記ナビゲーション装置の現在位置を検出する位置検出手段と、
地図データが保存され他のデータが保存可能に構成された記憶手段と、
任意の位置を登録位置として前記記憶手段に保存する位置登録手段と、
前記現在位置から前記登録位置までの経路を探索する経路探索手段と、
前記ナビゲーション装置に電力を供給する電力供給手段と、
前記電力供給手段の残電力量を計測する残電力計測手段と、
前記現在位置から前記登録位置までの距離を案内することで消費する消費電力量を算出する消費電力算出手段と、
前記残電力量と前記消費電力量との差分から、経路案内に必要な残電力量が十分量残っているかを確認し、利用者への報知が必要かを判定する報知要否判定手段と、
前記報知要否判定手段の判定結果に応じて、前記ナビゲーション装置の利用者に報知する報知手段と、
前記記憶手段に記憶された地図データや映像を表示可能な表示手段と、
前記制御手段に対し一定時間間隔で通知をおこなう時間計測手段と、
を備え、
前記報知手段で利用者に報知する際に前記経路探索手段で前記登録位置までの経路を探索し前記表示手段に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記報知手段は、音声を出力する音声出力手段、光媒体を発光させて通知する発光手段、振動によって通知する振動手段の少なくとも一つを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記報知要否判定手段の判定結果に応じて、現在の残電力量で前記記憶手段に保存された登録位置までの案内が可能な範囲を地図上に表示することを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記消費電力算出手段は、前記現在位置から前記登録位置までの直線距離または案内経路に沿った距離のいずれかを用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記報知手段で利用者に報知する際に、前記経路探索手段による前記登録位置までの経路探索及び前記表示手段による経路表示をおこなうか否かを、利用者に選択させることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記ナビゲーション装置の累計動作時間に応じて前記報知可否判定手段の判定条件を変更し、前記電力供給手段の経年劣化の影響を加味することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−145144(P2010−145144A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320446(P2008−320446)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】