説明

ネガティブ感光性樹脂組成物

【課題】 接着力、耐熱性、絶縁性、平坦性、耐化学性などの性能に優れ、特に液晶表示素子の有機絶縁膜形成時、感度、残膜率、UV透過率が優れているため層間有機絶縁膜として適し、オーバーコート用、ブラックマトリックス用、コラムスペーサ用またはカラーフィルター用レジスト樹脂として使用され、感度及び残膜率を向上させることができる。
【解決手段】 本発明によるネガティブ感光性樹脂組成物は、a)i)アリルアクリル系
化合物、ii)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの混合物、iii)エポキシ基含有不飽和化合物、及びiv)オレフィン系不飽和化合物を共重合させて得られたアクリル系共重合体;b)光開始剤;c)エチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマー;d)エポキシ基またはアミン基を含むシリコン系化合物;及びe)溶媒
を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネガティブ感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
TFT型液晶表示素子や集積回路素子には層間に配置される配線の間を絶縁するために層間絶縁膜が使用され、液晶カラーディスプレイの大面積化、高画質、高対比表示のためにオーバーコート用レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、コラムスペーサ用レジスト、カラーフィルター用レジストなどが画像形成用液晶表示素子の材料として使用されている。
【0003】
層間絶縁膜を形成する場合には、必要とするパターン形状の層間絶縁膜を得るための工程数が少なく平坦性に優れた感光性材料が使用されている。
また、液晶ディスプレイ(LCD)の表示品位向上によりTFT型液晶表示素子の構造も変化し、層間絶縁膜の膜厚を厚くして、平坦性を高めて使用する場合が増加している。加えて、LCD製造工程に適用される層間絶縁膜は優れた透過率が要求される。
【0004】
従来の層間絶縁膜はPAC、バインダー、溶媒などの成分からなり、前記バインダーとしてはアクリル樹脂が主に使用されてきた。しかし、前記アクリル樹脂の場合、熱硬化後に有色化され、層間絶縁膜で要求される高透過率を達成しにくいという問題点があった。
【0005】
従来の画像形成用液晶素子の材料として使用されるオーバーコート用レジスト樹脂、ブラックマトリックス用レジスト樹脂、コラムスペーサ用レジスト樹脂、カラーフィルター用レジスト樹脂の場合、アクリル樹脂が主に使用されており、これらアクリル樹脂は光開始剤とエチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマーによる硬化速度が遅く、硬化後に体積収縮が発生するという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の技術の問題点を解決しようと、本発明は、接着力、耐熱性、絶縁性、平坦性、耐化学性などの性能に優れて液晶表示素子の画像形成用材料に適し、特に液晶表示素子の有機絶縁膜形成時、感度、残膜率、UV透過率が優れているため層間有機絶縁膜として使用するに適したネガティブ感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂の硬化体を含むTFT型液晶表示素子、及び前記ネガティブ感光性樹脂組成物を用いたTFT型液晶表示素子のパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、オーバーコート用レジスト樹脂、ブラックマトリックス用レジスト樹脂、コラムスペーサ用レジスト樹脂、またはカラーフィルター用レジスト樹脂として使用されて、感度及び残膜率を向上させることができるネガティブ感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂の硬化体を含むTFT型液晶表示素子、及び前記ネガティブ感光性樹脂組成物を用いたTFT型液晶表示素子のパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は
a)i)アリルアクリル系化合物;
ii)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの混合物;
iii)エポキシ基含有不飽和化合物;及び
iv)オレフィン系不飽和化合物
を共重合させて得られたアクリル系共重合体;
b)光開始剤;
c)エチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマー;
d)エポキシ基またはアミン基を含むシリコン系化合物;及び
e)溶媒
を含むことを特徴とするネガティブ感光性樹脂組成物を提供する。
【0009】
好ましくは、本発明は
a)i)アリルアクリル系化合物5〜85重量%;
ii)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの混合物5〜40重量%;
iii)エポキシ基含有不飽和化合物5〜70重量%;及び
iv)オレフィン系不飽和化合物10〜70重量%
を共重合させて得られたアクリル系共重合体100重量部;
b)光開始剤0.001〜30重量部;
c)エチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマー10〜100重量部;
d)エポキシ基またはアミン基を含むシリコン系化合物0.0001〜5重量部;及び
e)溶媒を感光性樹脂組成物内の固形分の含量が10〜50重量%になるように含む。
【0010】
また、本発明は前記ネガティブ感光性樹脂組成物の硬化体を含むことを特徴とするTFT型液晶表示素子を提供する。
さらに、本発明は前記ネガティブ感光性樹脂組成物を用いたTFT型液晶表示素子のパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるネガティブ感光性樹脂組成物は、接着力、耐熱性、絶縁性、平坦性、耐化学性などの性能に優れたものとすることができる。従って、液晶表示素子の画像形成用材料に適し、特に液晶表示素子の有機絶縁膜形成時に感度、残膜率、UV透過率が優れているため、層間有機絶縁膜として使用するに適する。また、オーバーコート用レジスト樹脂、ブラックマトリックス用レジスト樹脂、コラムスペーサ用レジスト樹脂、またはカラーフィルター用レジスト樹脂として使用することができ、感度及び残膜率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のネガティブ感光性樹脂組成物は、a)i)アリルアクリル系化合物、ii)不
飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの混合物、iii)エポキシ基含有不飽和化合物、及びiv)オレフィン系不飽和化合物を共重合させて得られたアクリル系共重合体、b)光開始剤、c)エチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマー、d)エポキシ基またはアミン基を含むシリコン系化合物、及びe)溶媒を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に使用される前記a)のアクリル系共重合体は、現像時にスカムが発生しない所定のパターンを容易に形成できるようにする作用を果たす。
前記a)のアクリル系共重合体は、i)アリルアクリル系化合物、ii)不飽和カルボ
ン酸、不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの混合物、iii)エポキシ基含有不飽和化合物、及びiv)オレフィン系不飽和化合物を単量体として溶媒及び重合開始剤の存在下でラジカル反応させて製造することができる。
【0014】
前記a)i)のアリルアクリル系化合物は、光開始剤によるエチレン性不飽和結合を有
する多官能モノマーとの硬化速度を増加させ、現像液内で溶解性を低下させて残膜率を向上させる作用を果たす。
【0015】
前記アリルアクリル系化合物は下記の式(1)
【化1】

(式中、Xは水素またはメチル基である。)
で表示される化合物であるのが好ましく、具体的に、アリルアクリレートまたはアリルメタクリレートなどを使用することができる。
【0016】
前記アリルアクリル系化合物は、全体総単量体に5〜85重量%で含まれるのが好ましく、さらに好ましくは20〜70重量%で含まれる。その含量が5重量%未満である場合には光硬化速度が遅くなるという問題点があり、85重量%を超過する場合にはコンタクトホール生成及びパターン形成において解像力低下が発生することがあるという問題点がある。
【0017】
本発明に使用される前記a)ii)の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物は、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸;またはこれらの不飽和ジカルボン酸の無水物などを単独または2種以上混合して使用することができ、特にアクリル酸、メタクリル酸、または無水マレイン酸を使用することが共重合反応性と現像液であるアルカリ水溶液に対する溶解性においてさらに好ましい。
【0018】
前記不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物は、アルカリ水溶液への溶解性を適度に維持するという観点から、全体総単量体に5〜40重量%で含まれるのが好ましく、さらに好ましくは10〜30重量%で含まれる。本発明に使用される前記a)iii)のエポキシ基含有不飽和化合物は、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、アクリル酸−β−エチルグリシジル、メタクリル酸−β−エチルグリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、またはp−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどを使用することができ、前記化合物を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0019】
特に、前記エポキシ基含有不飽和化合物は、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、またはp−ビニルベンジルグリシジルエーテルを使用することが共重合反応性及び得られるパターンの耐熱性を向上させることにおいてさらに好ましい。
【0020】
前記エポキシ基含有不飽和化合物は、パターンの耐熱性を維持・向上させるとともに、共重合体の保存安定性を向上させるという観点から、全体総単量体に5〜70重量%で含まれるのが好ましく、さらに好ましくは20〜60重量%で含まれる。
【0021】
また、本発明のアクリル系共重合体製造時に使用される単量体である前記iv)のオレフィン系不飽和化合物は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、フェニルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、σ−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、または2,3−ジメチル1,3−ブタジエンなどを使用することができ、前記化合物を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0022】
特に、前記オレフィン系不飽和化合物は、スチレン、ジシクロペンタニルメチルメタクリレート、またはp−メトキシスチレンを使用することが共重合反応性及び現像液のアルカリ水溶液に対する溶解性の面でさらに好ましい。
【0023】
前記オレフィン系不飽和化合物は、全体総単量体に対して10〜70重量%で含まれるのが好ましく、さらに好ましくは20〜50重量%で含まれる。その含量が前記範囲内である場合にはアクリル系共重合体の保存安定性低下、アクリル系共重合体が現像液であるアルカリ水溶液に溶解されにくいという問題点などを同時に解決することができる。
【0024】
このような単量体をアクリル系共重合体として重合するために使用される溶媒は、メタノール、テトラハイドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエチルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ4−メチル2−ペンタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、または3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのようなエーテル類などを使用することができ、前記化合物を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0025】
このような単量体をアクリル系共重合体として重合するために使用される重合開始剤は、ラジカル重合開始剤を使用することができ、具体的に、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(4−メトキシ2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、またはジメチル2,2−アゾビスイソブチレートなどを使用することができる。
【0026】
このような単量体を溶媒と重合開始剤存在下でラジカル反応させて製造されるa)のアクリル系共重合体は、現像性、残膜率などを低下させず、パターン形状、耐熱性などを向上させるとともに、コンタクトホール及びパターン現像を向上させるという観点から、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が6,000〜90,000であるのが好ましく、さらに好ましくは6,000〜40,000である。
【0027】
本発明に使用される前記b)の光開始剤は、イルガキュア(Irgacure)369、Irgacur 651、Irgacure 907、ダロキュア(Darocur)TPO、Irgacure 819、ケトン系、α−アミノケトン系、α−ヒドロキシケトン系、トリアジン系、ベンゾイン、アセトフェノン系、イミダゾール系、またはキサントン系などの化合物を使用することができる。
【0028】
具体的に、前記光開始剤は、2,4−ビストリクロロメチル−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−p−メトキシスチリル−4,6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−4−メチルナフチル−6−トリアジン、ベンゾフェノン、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンノ、2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、または2,2−ビス−2−クロロフェニル−4,5,4,5−テトラフェニル−2−1,2−ビイミダゾールなどの化合物を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0029】
前記光開始剤は、感度を向上させて残膜率を良好にし、保存安定性を向上させ、高い硬化度によって現像時にパターンの接着力が低下するという現象を抑えるという観点から、アクリル系共重合体100重量部に対して0.001〜30重量部で含むのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜20重量部で含まれる。
【0030】

本発明に使用される前記c)のエチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマーは、一般に少なくとも2つ以上のエチレン系二重結合を有する架橋性モノマーであって、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリジアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート誘導体、ジペンタアリスリトルポリアクリレート、またはこれらのメタクリレート類などを使用することができる。
【0031】
前記エチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマーは、感光性樹脂との硬化度を向上し、コンタクトホール及びパターン実現を良好にするとともに、硬化度を調整して現像時にコンタクトホール及びパターンの解像力を向上させるという観点から、アクリル系共重合体100重量部に対して10〜100重量部で含まれるのが好ましく、さらに好ましくは10〜60重量部で含まれる。本発明に使用される前記d)のエポキシ基またはアミン基を含むシリコン系化合物は、(3−グリシドオキシプロピル)トリメトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)トリエトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)メチルジメトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)トリメトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)ジメチルエトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)ジメチルエトキシシレイン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシレイン、3,4−エポキシブチルトリエトキシシレイン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシレイン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシレインまたはアミノプロピルトリメトキシシレインなどを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0032】
前記エポキシ基またはアミン基を含むシリコン系化合物は、電極材料(例えば、ITO電極)と感光性樹脂との接着力を保ち、硬化後に耐熱特性を維持するとともに、現像液内での非露光部の白化現象及び現像後におけるコンタクトホールやパターンのスカム(scum)の発生を防止するという観点から、アクリル系共重合体100重量部に対して0.0001〜5重量部で含まれるのが好ましく、さらに好ましくは0.005〜2重量部で含まれる。
【0033】
本発明に使用される前記e)の溶媒は、層間絶縁膜の平坦性とコーティング斑を発生しないようにして、均一なパターンプロファイルを形成するようにする。
前記溶媒は、メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラハイドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ4−メチル2−ペンタノンなどのケトン類;または酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオ酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのエステル類などを使用することができる。
【0034】
特に、前記溶媒は、溶解性、各成分との反応性、及び塗布膜形成が容易なグリコールエーテル類、エチレンアルキルエーテルアセテート類、及びジエチレングリコール類からなる群より1種以上選択して使用するのが好ましい。
【0035】
前記溶媒は、コーティング厚さを適切な厚さに調整し、コーティング平坦性を向上させ、あるいは、コーティング時にコーティング装備に無理を与えることを防止するという観点から、全体感光性樹脂組成物の固形分含量が10〜50重量%になるように含まれるのが好ましく、前記範囲の固形分を有する組成物は0.1〜0.2μmのミリポアフィルターなどで濾過した後に使用することがよい。さらに好ましくは15〜40重量%である。
【0036】
前記のような成分からなる本発明のネガティブ感光性樹脂組成物は、必要によってf)光増感剤及びg)界面活性剤をさらに含むことができる。
前記f)の光増感剤は、使用する紫外線波長に適切な感度を有し、光開始剤より速い光開始反応によって光開始剤にエネルギーを移転させて光開始剤の光開始反応速度を助ける。
【0037】
前記光増感剤は、DETX、ITX、n−ブチルアクリドン、または2−エチルヘキシル−ジメチルアミノベンゾエートなどを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0038】
前記光増感剤は、前記b)の光開始剤100重量部に対して0.001〜40重量部で含まれるのが好ましく、その含量が前記範囲内である場合にはネガティブ感光性樹脂組成物の光硬化速度の向上においてさらによい。
【0039】
前記g)の界面活性剤は、感光性組成物の塗布性や現像性を向上させる作用を果たす。
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、F171、F172、F173(商品名:大日本インキ化学工業株式会社)、FC430、FC431(商品名:住友スリーエム株式会社)、またはKP341(商品名:信越化学工業株式会社)等を使用することができる。
【0040】
前記界面活性剤は、前記a)のアクリル系重合体100重量部に対して0.0001〜2重量部で含まれるのが好ましく、その含量が前記範囲内である場合にはネガティブ感光性組成物の塗布性や現像性の向上においてさらによい。
【0041】
また、本発明のネガティブ感光性樹脂組成物は、必要によって前記の組成物に熱重合禁止剤、消泡剤などの相溶性を有する添加剤を添加することができ、用途によって顔料を添加することができる。例えば、TFT型液晶表示素子の画像形成用材料の一つであるブラックマトリックス用レジスト及びカラーフィルター用レジストは、前記の組成物に顔料を配合したものであり、このとき、顔料はブラックマトリックス用レジスト及びカラーフィルター用レジストの用途によって適切に選定することができ、無機及び有機顔料が全て使用可能である。
【0042】
また、本発明はこのようなネガティブ感光性樹脂の硬化体を含むTFT型液晶表示素子、及び前記ネガティブ感光性樹脂組成物を利用したTFT型液晶表示素子のパターン形成方法を提供する。
【0043】
本発明のTFT型液晶表示素子のパターン形成方法は、ネガティブ感光性樹脂組成物を有機絶縁膜、オーバーコート用レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、コラムスペーサ用レジスト、またはカラーフィルター用レジストとして形成してTFT型液晶表示素子を形成する方法において、前記ネガティブ感光性樹脂組成物を使用することを特徴とする。
【0044】
具体的に、前記ネガティブ感光性樹脂組成物を用いてTFT型液晶表示素子のパターンを形成する方法の一例は次の通りである。
まず、本発明の感光性樹脂組成物をスプレー法、ロールコーター法、回転塗布法などで基板表面に塗布し、プリベークによって溶媒を除去して、塗布膜を形成する。この時、前記プリベークは70〜110℃の温度で1〜15分間実施するのが好ましい。
【0045】
その後、予め準備されたパターンによって可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを前記形成された塗布膜に照射し、現像液で現像して不必要な部分を除去することによって所定のパターンを形成する。
【0046】
前記現像液はアルカリ水溶液を使用することがよく、具体的に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどの無機アルカリ類;n−プロピルアミンなどの1級アミン類;ジエチルアミン、n−プロピルアミンなどの2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液などを使用することができる。この時、前記現像液は、アルカリ性化合物を0.1〜10重量%の濃度で溶解させて使用され、メタノール、エタノールなどのような水溶性有機溶媒及び界面活性剤を適正量添加することもできる。
【0047】
また、このような現像液で現像した後、超純水で30〜90秒間洗浄して不必要な部分を除去し、乾燥してパターンを形成し、前記形成されたパターンに紫外線などの光を照射した後、パターンをオーブンなどの加熱装置によって150〜250℃の温度で30〜90分間加熱処理して最終パターンを得ることができる。
【0048】
このような本発明によるネガティブ感光性樹脂組成物は、接着力、耐熱性、絶縁性、平坦性、耐化学性などの性能に優れていて液晶表示素子の画像形成用材料として適しおり、特に液晶表示素子の有機絶縁膜形成時、感度、残膜率、UV透過率が優れているため層間有機絶縁膜として使用するに適しており、オーバーコート用レジスト樹脂、ブラックマトリックス用レジスト樹脂、コラムスペーサ用レジスト樹脂、またはカラーフィルター用レジスト樹脂として使用されて、感度及び残膜率を向上させるのに適した材料である。
【0049】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるわけではない。
実施例1
(アクリル系共重合体製造)
冷却管と撹拌機を備えたフラスコに、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部、メタクリル酸10重量部、メタアクリル酸グリシジル25重量部、下記の式(1a)のアリルメタクリレート35重量部、及びスチレン30重量部を入れ、窒素置換した後、緩慢に攪拌した。前記反応溶液を62℃まで昇温させて、5時間の間にこの温度を維持しながら、アクリル系共重合体を含む重合体溶液を製造した。
【0050】
前記のように製造したアクリル系共重合体をヘキサン5,000重量部に滴下させて析出し、濾過分離した後、ここにプロピオネート200重量部を入れ、30℃まで加熱して、固形分濃度が45重量%であり、重合体の重量平均分子量が11,000である重合体溶液を製造した。この時、重量平均分子量はGPCを使用して測定したポリスチレン換算平均分子量である。
【0051】
(ネガティブ感光性樹脂組成物製造)
前記製造したアクリル系共重合体を含む重合体溶液100重量部、光開始剤としてはイルガキュア819 15重量部、光増感剤として2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート5重量部及びn−ブチルアクリドン5重量部、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40重量部及びトリメチロールプロパントリアクリレート10重量部、シリコン系化合物として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシレイン1重量部、及びシリコン系界面活性としてF171 2重量部を混合した。前記混合物に、固形分濃度が35重量%になるように、ジエチレングリコールジメチルエーテルを加えて溶解させた後、0.2μmのミリポアフィルターで濾過して、ネガティブ感光性樹脂組成物コーティング溶液を製造した。
【0052】
【化2】

【0053】
実施例2
前記実施例1のアクリル系共重合体製造において、メタクリル酸グリシジル15重量部、式(1a)のアリルメタクリレート45重量部を使用して、固形分の濃度が45重量%であり、重量平均分子量が13,000であるアクリル系共重合体を製造したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施してネガティブ感光性樹脂組成物コーティング溶液を製造した。
【0054】
実施例3
前記実施例1のアクリル系共重合体製造において、式(1a)のアリルメタクリレート65重量部、メタクリル酸5重量部、メタクリル酸グリシジル5重量部、スチレン25重量部で重合体溶液を製造し、プロピオネート250重量部を添加して、固形分の濃度が45重量%であり、重量平均分子量が15,000であるアクリル系共重合体を製造したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施してネガティブ感光性樹脂組成物コーティング溶液を製造した。
【0055】
実施例4
前記実施例1のアクリル系共重合体製造において、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部、メタクリル酸10重量部、メタクリル酸グリシジル25重量部、下記の式(1b)のアリルアクリレート35重量部、及びスチレン30重量部で重合体溶液を製造し、プロピオネート220重量部を添加して、固形分の濃度が45重量%であり、重量平均分子量が15,000であるアクリル系共重合体を製造したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施して感光性樹脂ネガティブ組成物コーティング溶液を製造した。
【0056】
【化3】

【0057】
実施例5
前記実施例1のアクリル系共重合体製造において、メタクリル酸グリシジル15重量部、化学式1bのアリルアクリレート45重量部で重合体溶液を製造し、プロピオネート200重量部を添加して、固形分の濃度が45重量%であり、重量平均分子量が13,000であるアクリル系共重合体を製造したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施してネガティブ感光性樹脂組成物コーティング溶液を製造した。
【0058】
実施例6
前記実施例1のアクリル系共重合体製造において、式(1b)のアリルメタクリレート65重量部、メタクリル酸5重量部、メタクリル酸グリシジル5重量部、スチレン25重量部で重合体溶液を製造し、プロピオネート210重量部を添加して、固形分の濃度が45重量%であり、重量平均分子量が15,000であるアクリル系共重合体を製造したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施してネガティブ感光性樹脂組成物コーティング溶液を製造した。
【0059】
比較例1
前記実施例1のアクリル系共重合体製造において、式(1a)のアリルメタクリレートを使用せず、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部、メタクリル酸10重量部、メタクリル酸グリシジル25重量部、メチルメタクリレート35重量部、及びスチレン30重量部で重合体溶液を製造し、プロピオネート200重量部を添加して、固形分の濃度が45重量%であり、重量平均分子量が12,000であるアクリル系共重合体を製造したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施してネガティブ感光性樹脂組成物コーティング溶液を製造した。
【0060】
比較例2
前記実施例1のアクリル系共重合体製造において、式(1a)のアリルメタクリレートを使用せず、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部、メタクリル酸30重量部、メタクリル酸グリシジル25重量部、及びメチルメタクリレート20重量部、及びスチレン25重量部で重合体溶液を製造し、プロピオネート200重量部を添加して、固形分の濃度が45重量%であり、重量平均分子量が8、500であるアクリル系共重合体を製造したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施してポジティブ感光性樹脂組成物コーティング溶液を製造した。
【0061】
(1,2−キノンジアジド化合物製造)
4,4'−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1モルと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸[クロライド]2モルとを縮合反応させて、4,4'−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルを製造した。
【0062】
(感光性樹脂組成物製造)
前記比較例1で製造したアクリル系共重合体を含む重合体溶液100重量部及び前記製造した4,4'−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル25重量部を混合した後、この混合物の固形分濃度が35重量%になるようにジエチレングリコールジメチルエーテルを加えて溶解させ、0.2μmのミリポアフィルターで濾過して感光性樹脂組成物コーティング溶液を製造した。
【0063】
前記実施例1〜6及び比較例1または2で製造したネガティブ感光性樹脂組成物コーティング溶液を利用して、下記のような方法で物性を評価した後、その結果を下記表1に示した。
【0064】
イ)感度−ガラス基板上にスピンコーターを用いて前記実施例1乃至6及び比較例1または2で製造されたネガティブ感光性樹脂組成物溶液を塗布した後、90℃で2分間ホットプレート上でプリベークして膜を形成した。
前記で得られた膜に、所定のパターンマスクを使用して365nmでの強度が15mW/cm2である紫外線を6秒間照射した。その後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.38重量部の水溶液で25℃で2分間現像した後、超純水で1分間洗浄した。
その後、前記で現像されたパターンに365nmでの強度が15mW/cm2である紫外線を34秒間照射し、120℃で3分間ミッドベークした後、オーブンの中で220℃で60分間加熱して硬化させてパターン膜を得た。
【0065】
ロ)残膜率−前記イ)の感度測定時、形成されたパターン膜の最も下とパターンの最も上側の高さを測定した。この時、厚さの変化率がプリベークして得られた膜の厚さを基準に、0〜10%である場合を優秀、10〜40%である場合を良好、40%を越える場合を悪いと示した。
【0066】
ハ)透過率−前記イ)の感度測定時、プリベーク後の膜の厚さが3ミクロンである塗膜の可視光線の光吸収スペクトルを測定し、400nmにおいて光線透過率が98%以上の場合を非常に優秀、94〜98%である場合を優秀、92〜94%である場合を普通、92%以下である場合を悪いと示した。
【0067】
【表1】

上記表1によれば、本発明によってアリルアクリル系化合物を含んで製造したアクリル系共重合体を使用した実施例1〜6は、感度が18〜30mJ/cm2であって、比較例1及び2と比較して非常に優れており、透過率において既存のポジティブ絶縁膜に比べて非常に優れた透過率を示す反面、アリルアクリル系化合物が含まれていないネガティブレジストとは類似しているか優れた透過率を示した。特に、残膜率の面では、感度対比残膜率を考慮すれば、比較例1及び2に比べて非常に優れていることを確認することができた。
【0068】
これから、本発明によるネガティブ感光性樹脂組成物を画像形成用材料である層間絶縁膜に使用する場合、非常に優れた感度、残膜率及び透過率を得ることができ、オーバーコート用レジスト樹脂、ブラックマトリックス用レジスト樹脂、コラムスペーサ用レジスト樹脂、カラーフィルター用レジスト樹脂に使用する場合、感度及び残膜率の向上に寄与することを予測することができた。
【0069】
以上で本発明の記載された具体例についてのみ詳しく説明されたが、本発明の技術思想範囲内で多様な変形及び修正が可能であることは当業者にいて明白なことであり、このような変形及び修正が添付された特許請求の範囲に属することは当然である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i)アリルアクリル系化合物;
ii)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの混合物;
iii)エポキシ基含有不飽和化合物;及び
iv)オレフィン系不飽和化合物
を共重合させて得られたアクリル系共重合体;
b)光開始剤;
c)エチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマー;
d)エポキシ基またはアミン基を含むシリコン系化合物;及び
e)溶媒
を含むことを特徴とするネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項2】
a)i)アリルアクリル系化合物5〜85重量%;
ii)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの混合物5〜40重量%;
iii)エポキシ基含有不飽和化合物5〜70重量%;及び
iv)オレフィン系不飽和化合物10〜70重量%
を共重合させて得られたアクリル系共重合体100重量部;
b)光開始剤0.001〜30重量部;
c)エチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマー10〜100重量部;
d)エポキシ基またはアミン基を含むシリコン系化合物0.0001〜5重量部;及び
e)溶媒を感光性樹脂組成物内の固形分の含量が10〜50重量%になるように含むことを特徴とする請求項1に記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記a)i)のアリルアクリル系化合物が式(1)
【化1】

(式中、Xは水素またはメチル基である。)
で表されるアリルメタクリレートまたはアリルアクリレートであることを特徴とする請求項1又は2に記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記a)ii)の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物が、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、及びこれらの不飽和ジカルボン酸の無水物からなる群より選択される1種以上である請求項1〜3のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記a)iii)のエポキシ基含有不飽和化合物が、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、アクリル酸−β−エチルグリシジル、メタクリル酸−β−エチルグリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルからなる群より選択される1種以上である請求項1〜4のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記a)iv)のオレフィン系不飽和化合物が、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、フェニルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、n−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル1,3−ブタジエンからなる群より選択される1種以上である請求項1〜5のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記a)のアクリル系共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が6,000〜90,000である請求項1〜6のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記b)の光開始剤が、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア907、ダロキュアTPO、イルガキュア819、2,4−ビストリクロロメチル−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−p−メトキシスチリル−4,6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−4−メチルナフチル−6−トリアジン、ベンゾフェノン、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンノ、2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、及び2,2−ビス−2−クロロフェニル−4,5,4,5−テトラフェニル−2−1,2−ビイミダゾールからなる群より選択される1種以上である請求項1〜7のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記c)のエチレン性不飽和結合を有する多官能性モノマーが、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリジアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート誘導体、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、及びこれらのメタクリレート類からなる群より選択される1種以上である請求項1〜8のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記d)のエポキシ基またはアミン基を含むシリコン系化合物が、(3−グリシドオキシプロピル)トリメトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)トリエトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)メチルジメトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)トリメトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)ジメチルエトキシシレイン、(3−グリシドオキシプロピル)ジメチルエトキシシレイン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシレイン、3,4−エポキシブチルトリエトキシシレイン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシレイン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシレイン、及びアミノプロピルトリメトキシシレインからなる群より選択される1種以上である請求項1〜9のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記ネガティブ感光性樹脂組成物が、DETX、ITX、n−ブチルアクリドン及び2−エチルヘキシル−ジメチルアミノベンゾエートからなる群より選択される1種以上のf)光増感剤を、光開始剤100重量部に対して0.001〜40重量部でさらに含む請求項1〜10のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記ネガティブ感光性樹脂組成物が、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、F171、F172、F173、FC430、FC431、及びKP341からなる群より選択される1種以上のg)界面活性剤を、アクリル系重合体100重量部に対して0.0001〜2重量部でさらに含む請求項1〜11のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記ネガティブ感光性樹脂組成物が、熱重合禁止剤、消泡剤及び顔料からなる群より選択される1種以上をさらに含む請求項1〜12のいずれか1つに記載のネガティブ感光性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載のネガティブ感光性樹脂組成物の硬化体を含むことを特徴とするTFT型液晶表示素子。
【請求項15】
請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載のネガティブ感光性樹脂組成物を用いることを特徴とするTFT型液晶表示素子のパターン形成方法。


【公開番号】特開2006−343744(P2006−343744A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156813(P2006−156813)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(502081871)ドンジン セミケム カンパニー リミテッド (62)
【Fターム(参考)】