説明

ノズルおよび基板処理装置

【課題】吐出むらを防止し易く、しかも組立性やメンテナンス性に優れたノズルを提供する。
【解決手段】スリットノズル20は、第1,第2の一対のパーツ32a,32bを、これらの対向面34a,34bの間に隙間を形成した状態で重ね合わせ、この隙間によりスリット状の吐出口Dとこれに通じる扁平は流路Fを形成した構成となっている。このノズル20の前記隙間は、第2パーツ32bの対向面34bに複数の突起33が設けられ、当該突起33が第1パーツ32aの対向面34aに当接する状態で両パーツ32a,32bが締結されることにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD(液晶表示装置)やPDP(プラズマディスプレイ)等のFPD(フラットパネルディスプレイ)用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、プリント基板、半導体基板等の基板に処理液やガス等の流体を供給するノズル、およびこのノズルを備えた基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
処理液を基板に供給するノズルとして、従来からスリット状の液吐出口をもつ液ナイフ(スリットノズル)が知られている(例えば特許文献1)。この液ナイフは、細長い一対の板状部材(ノズル構成部材)を重ね合わせ、その間に微小隙間を設けることにより当該隙間により扁平な液流路を形成するとともにその先端にスリット状の前記液吐出口を形成する構成となっている。より詳しくは、シム又はワッシャをスペーサとして両板状部材の間に挟み込み、このスペーサを貫通するように板状部材の重ね合わせ方向にボルトを挿入して両板状部材を締結することにより前記微小隙間を形成する構成となっている。そして、このようなスペーサを挟み込んだボルト締結部が液ナイフの長手方向に一定間隔で設けられることにより、長手方向に一定隙間をもつ前記液流路および液吐出口が形成されている。
【特許文献1】特開2000−51760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の液ナイフの構造では、隙間管理を行うためのスペーサが障害物となって処理液に吐出むらが発生し易く、従来では、これを改善するためにスペーサを小さく、つまりシムやワッシャを小径化することによって吐出むらの改善を図っていた。
【0004】
ところが、スペーサを小さくすると、それに伴いボルトを小径化する必要があるため、両板状部材の締結強度を確保してノズルの耐久性を維持する観点から、スペーサの小径化にも自ずと限界がある。また、液ナイフの組立は、通常、一方の板状部材のねじ穴に合わせてスペーサを並べ、これに他方の板状部材を上から重ね合わせて当該板状部材の上側からボルトを螺合挿入することにより行われるが、組立中にねじ穴からスペーサがずれることも多々あり、その場合には逐次、スペーサの位置を修正するという煩雑な作業が必要となっている。そのため、ボルト締結部分の多い長寸の液ナイフでは、このような煩雑な作業が増大するため、液ナイフの組立性やメンテナンス性が極めて悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、吐出むらを防止し易く、しかも、組立性やメンテナンス性に優れたノズルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑み、それぞれ平坦な対向面をもつ一対のノズル構成部材を、前記対向面の間に隙間を形成した状態で重ね合わせることにより当該隙間によりスリット状の流体吐出口とこれに通じる扁平な流路を形成したノズルにおいて、前記ノズル構成部材のうち少なくとも一方側の対向面に突起が設けられ、当該突起が相手側ノズル構成部材の対向面に当接する状態で両ノズル構成部材が重ね合わされることにより前記隙間が形成されているものである。
【0007】
この構成によると、ノズル構成部材の対向面に設けられる突起により前記隙間が形成されるため、組立時にいちいちスペーサを挟み込む手間が無くなる。そして、このように突起により隙間を設ける構成によれば、突起の大きさや形状の自由度が高いため、適切な形状等の突起を設けることにより吐出むらを有効に防止することができる。また、両ノズル構成部材をその重ね合わせ方向に挿入してボルトで締結する場合でも、従来のようにスペーサのサイズに左右されることなくボルトサイズを選定できるため、吐出むらを誘発しない範囲で大きいサイズのボルトを使用することにより、板状部材の締結強度を余裕をもって確保することができるようになる。
【0008】
なお、上記のようにノズル構成部材同士を複数のボルトにより締結する場合には、これらボルトによる締結部と前記突起とが前記吐出口の長手方向に一列に直線状に並んでいるのが好適である。
【0009】
このようにボルトの締結部と突起とが一列に直線状に並んだ構成によると、ボルト毎の締付け度合いの差による隙間寸法の変動を有効に防止することができる。
【0010】
また、上記の突起は、板状部材に一体形成されているものでもよいが、例えば前記対向面に穴部が形成され、この穴部に突起形成用部材が挿入されることにより設けられているものであってもよい。
【0011】
この構成によれば、より微小隙間(より細い吐出口)が求められる場合に有効となる。すなわち、ノズル構成部材の対向面に突起を一体形成する場合、突起が小さくなるに伴い正確な突起を形成することが技術的に難しくなるが、上記のような構成によれば、対向面には、穴部を形成するだけで済むため突起を一体形成する場合に比べて加工が容易になる。
【0012】
この場合、例えばノズル構成部材に、前記穴部として前記重ね合わせ方向に貫通するねじ穴が形成され、このねじ穴に、ねじ軸が螺合挿入されてその先端が相手ノズル構成部材の対向面に突き当てられることにより、当該ねじ軸の先端により前記突起が形成されているものが好適である。
【0013】
この構成によると、ねじ軸を操作して当該ねじ軸をその軸方向に進退させることによって前記隙間の寸法を微調整することが可能となる。
【0014】
なお、突起の具体的な形状は種々考えられるが、例えば、前記突起は、流体の流動方向に細長に形成されているのが好適である。
【0015】
この構成によると、対向面との接触面積が増大して突起の圧縮応力が増大するため強度的に有利になる。また、突起が整流板として機能することにより吐出むらの発生がより効果的に防止されるようになる。
【0016】
一方、本発明に係る基板処理装置は、基板を搬送する搬送手段と、スリット状の流体吐出口をもち、前記搬送手段により搬送される基板に対して流体を供給することにより当該基板に所定の処理を施すノズルとを備えた基板処理装置において、前記ノズルとして上記のようなノズルを備えているものである。
【0017】
このような基板処理装置によると、スリット状の吐出口をもつノズルとして上記のようなノズルを備えているので、生産性およびメンテナンス性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係るノズルによると、一対のノズル構成部材の対向面に突起を設け、この突起により両部材間に隙間を形成して流体吐出口および流路を設けているので、従来のように一対のノズル構成部材の間にいちいちスペーサを挟み込みながらノズルを組み立てるといった手間が要らず、また、突起形状の自由度が高いため、適切な突起を設けることにより吐出むらも有効に防止できる。従って、吐出むらを有効に防止する一方で、組立性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0019】
請求項2に係るノズルによると、各ボルトの締付け度合いの差による隙間寸法の変動を有効に防止することができる。そのため、ボルトの締め付け調整等を要することなく一定隙間の流路および吐出口を設けることができる。
【0020】
請求項3に係るノズルによると、流体吐出口や流路として微細な隙間寸法をもつものを容易に製作できるようになる。
【0021】
請求項4に係るノズルによると、組立後、ねじ軸の回転操作によって吐出口等の隙間寸法を微調整することが可能となるため、吐出口等に対するメンテナンス性が向上する。
【0022】
請求項5に係るノズルによると、吐出口や流路の隙間寸法を確実に、かつ長期的に適切に保つことができ、また、吐出むらの発生をより有効に防止することができる。
【0023】
請求項6に係る基板処理装置によると、処理用の流体を基板に供給するノズルとして、上記のようなノズルを備えているので、吐出むらを伴うことなく基板に流体を供給することができ、しかも、組立性およびメンテナンス性の良い基板処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る基板処理装置の一実施形態を概略的に示す断面図である。この図に示す基板処理装置10は、前工程で薬液処理(例えばエッチング処理)が施された基板Sを図中の矢印方向に搬送しながら当該基板Sに対して洗浄処理を施すものである。
【0026】
同図に示すように、この基板処理装置10は略密閉された処理用チャンバ12(以下、チャンバ12と略す)を有している。チャンバ12の内部には、複数の搬送ローラ18が所定間隔で配備されており、基板Sがこれら搬送ローラ18により水平姿勢で搬送されるようになっている。なお、図中符号14は、チャンバ12に形成される基板Sの搬入口を示し、また、符号16は、同搬出口を示している。
【0027】
チャンバ12の内部において、搬送ローラ18の上方には、基板Sに対してリンス液、当例では純水を供給するための2種類の液供給手段が配備されている。具体的には、搬入口14の直ぐ近傍に、基板Sの幅方向(基板Sの搬送方向と直交する方向;同図では紙面に直交する方向)に延びるスリット状の吐出口をもつスリットノズル20が配備され、さらにその下流側に(同図では左側)にスプレイノズル24が配備されている。
【0028】
スリットノズル20(本発明に係るノズル)は、同図に示すように、上流側から下流側に向かって斜め下向きの姿勢でチャンバ内壁に固定されており、前記吐出口からカーテン状に純水を吐出して基板Sに供給するようになっている。
【0029】
一方、スプレイノズル24は、詳しく図示していないが、搬送ローラ18の上方に複数設けられ、例えばマトリクス状に配備されている。そして、各スプレイノズル24からそれぞれ液滴状に純水を吐出して基板Sに供給するようになっている。
【0030】
純水2は、同図に示すようにタンク26に貯溜されており、ポンプ28の作動により導出管30を通じてタンク26から導出され、この導出管30から分岐する供給管32,34を通じてそれぞれスリットノズル20およびスプレイノズル24に供給されるようになっている。供給管32,34には開閉バルブV1,V2がそれぞれ介設されており、各ノズル20,24に供給される純水の流量がこれら開閉バルブV1,V2の操作により個別に制御されるようになっている。
【0031】
また、前記チャンバ12には、その内底部に漏斗状の回収パン(図示省略)が設けられており、使用済みの純水がこの回収パンにより収集されながら回収管36を通じて前記タンク26に戻されるようになっている。つまり、この基板処理装置10では、純水を循環させながら繰り返し使用するように構成されている。
【0032】
回収管36には、開閉バブルV4が介設され、さらにこの開閉バルブV4よりも上流側で分岐する分岐管38が設けられている。そして、この分岐管38に介設される開閉バルブV5および前記開閉バルブV4が適宜操作されることにより、循環使用される純水の一部が分岐管38を介して廃棄されるようになっている。なお、図中符号27は、タンク26に新たな純水を供給する新液供給管で、純水の残量に応じて適宜この新液供給管27を通じて新たな純水が供給されるようになっている。
【0033】
図2〜図4は、本発明に係る上記スリットノズル20の概略を断面図でそれぞれ示しており、図2,図3は縦断面で、図4は平断面(図2のIV−IV線断面図)でそれぞれスリットノズル20を示している。なお、図2,図3はそれぞれ、図4のII―II線、III−III線に相当する部分のスリットノズル20の縦断面を示している。
【0034】
これらの図に示すように、スリットノズル20は、共に細長い板状の部材である第1パーツ32aと第2パーツ32bとを重ね合わせ、両パーツ32a,32b(本発明に係るノズル構成部材に相当する)を複数本のボルト40により互いに締結することにより構成されている。具体的には、図3に示すように、第1パーツ32aに形成される貫通穴35aに同パーツ32aの上側からボルト40が挿入され、このボルト40が第2パーツ32bに形成されるねじ穴35bに螺合挿入されることにより両パーツ32a,32bが互いに締結されている。
【0035】
これらのパーツ32a,32bは、PVC、あるいはSUSからなり、互いの対向面34a,34bは、後記凹部36a,36bおよび突起33が形成される以外は、全体が平坦に形成されている。
【0036】
スリットノズル20の内部には、その長手方向に延びる中空のバッファ部Bと、このバッファ部Bに連通する扁平な流路Fとが形成されており、この流路Fがノズル先端(図2では右端)に開口することによりこの開口によりスリット状の吐出口Dが形成されている。
【0037】
前記バッファ部Bは、両パーツ32a,32bの対向面34a,34bにそれぞれ形成される凹部36a,36bにより構成されており、前記流路Fおよび吐出口Dは、前記対向面34a,34bの間に設けられる隙間により構成されている。
【0038】
この隙間(流路Fおよび吐出口D)は、図2および図3に示すように、第2パーツ32bの前記対向面34bに設けられる複数の突起33が第1パーツ32aの対向面34aに当接することにより形成されている。
【0039】
これらの突起33は、先端が半球状の突起で、第2パーツ32bに一体形成されている。各突起33と前記ボルト40の締結部(すなわち貫通穴35a,ねじ穴35b)とは、図2および図4に示すように、共に流路Fの前後方向(図2では左右方向)略中央に位置し、かつスリットノズル20の長手方向に略一定間隔で交互に一列に並んでいる。このように突起33とボルト40の締結部とが並ぶことにより、ボルト40の締め付け度合の差による隙間の変動が防止され、流路Fおよび吐出口Dの隙間寸法がスリットノズル20の長手方向に一定に保たれるようになっている。
【0040】
なお、図2および図3中符号37は、バッファ部Bに連通する純水の導入孔で第1パーツ32aに形成されている。また、符号39は、バッファ部Bの後側で両パーツ32a,32b(対向面34a,34b)の間に挟み込まれる帯状のシール部材であり、ゴムや樹脂等により構成されている。
【0041】
上記のようなスリットノズル20は、例えば次のような手順で組み立てられる。
【0042】
まず、予め加工された第2パーツ32bを、前記対向面34bが上向きになる状態で載置し、前記シール部材39を対向面34bの後端縁部に沿って貼付ける。その後、この第2パーツ32bの上に、第1パーツ32aを重ね合わせ、各貫通穴35aにボルト40を挿入した後、これらボルト40を締め付ける。この締め付けにより、第2パーツ32bの各突起33が第1パーツ32aの対向面34aに当接して一定隙間の前記流路Fおよび吐出口Dが設けられた上記スリットノズル20が完成する。
【0043】
このようなスリットノズル20によると、第2パーツ32bの対向面34bに設けられる突起33により流路Fおよび吐出口Dが形成されるため、従来のように、シムやワッシャ等の多数のスペーサをいちいちボルト締結部に合わせて両パーツの間に挟み込むといった手間が要らず、スリットノズル20の組立性およびメンテナンス性が改善される。しかも、流路Fの隙間寸法や純水の流量を考慮して突起33の大きさや形状を自由に選定できるため、ボルト40と共に突起33を細径化することにより、吐出むらの発生を有効に防止することが可能となる。従って、純水の吐出むらの発生を有効に防止する一方で、スリットノズル20の組立性およびメンテナンス性を向上させることができる。
【0044】
また、従来のようにスペーサのサイズに左右されることなくボルト40のサイズを選定できるため、ボルトサイズの自由度が向上する。従って、例えば吐出むらを誘発しない範囲で可及的に大きいサイズのボルト40を使用すれば、両パーツ32a,32bの締結強度を余裕を持って確保することができ、その結果、スリットノズル20の耐久性を向上させるこができるという利点もある。
【0045】
そして、このようなスリットノズル20をもつ上記の基板処理装置10によると、チャンバ12に搬入されてくる基板Sに対し、吐出むらを伴うことのないカーテン状の純水を供給することができ、また、上述したスリットノズル20の利点を生かした組立性、メンテナンス性、および耐久性に優れた基板処理装置10を提供することができる。
【0046】
なお、上述したスリットノズル20および基板処理装置10は、本発明に係るノズルおよび基板処理装置の好ましい実施形態の一例であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、次の構成を採用することもできる。
【0047】
(1)突起33の形状は、実施形態のような半球状のものに限られず、図5に示すような円柱状、角柱状等の柱状のものでもよい。なお、突起33は、第2パーツ32bに限らず、第1パーツ32aに設けてもよく、また、両パーツ32a,32bに設けてもよい。
【0048】
(2)突起33は、第2パーツ32bの対向面34bに一体形成する以外に、図6に示すようにして設けてもよい。すなわち、第2パーツ32bの対向面34bに穴部42を形成し、この穴部42に、突起形成用部材44を嵌め込むことにより前記突起33を設けるようにしてもよい。
【0049】
このような構成は、より隙間寸法の小さい流路Fおよび吐出口Dを設ける場合に有効となる。すなわち、平坦な対向面34bに突起33を一体形成する場合、突起33が小さくなるに伴い正確な突起33を形成することが技術的に難しくなるが、上記のような構成によれば、対向面34bには、穴部42を形成するだけで済むため突起33を一体形成する場合に比べて加工が容易になる。そのため、より隙間寸法の小さい流路F等を設ける場合、つまり小さな突起33が必要な場合に有効な構成となる。
【0050】
(3)上記(2)の変形として、図7に示すような構成で突起33を設けるようにしてもよい。すなわち、両パーツ32a,32bの重ね合わせ方向に貫通するねじ穴46を第2パーツ32bに形成し、このねじ穴46に、第1パーツ32aとは反対側(同図では下側)からボルト48を螺合挿入し、そのねじ軸先端を第1パーツ32aの対向面34aに突き当てることによりそのねじ軸により前記突起33を形成してもよい。この構成によると、ボルト48を操作してねじ軸先端の突出量を調整することによって、ノズル組立後等に、流路Fおよび吐出口Dの隙間寸法を微調整することが可能となる。そのため、流路Fおよび吐出口Dの隙間寸法をスリットノズル20の長手方向に亘ってより均一に設けることが可能になる。なお、同図中符号47は、緩み防止のためにボルト48に挿入されるスプリングワッシャを示している。
【0051】
(4)突起33の形状として、図8に示すように前後方向(純水の流動方向)に細長い突起33を設けるようにしてもよい。この突起33によると、突起33と対向面34aとの接触面積を増やして突起33の圧縮応力を高めることができる。そのため、突起33の強度を高めることができ、また、突起33が整流板として機能することも期待できるため吐出むらをより防止する上で有効となる。
【0052】
(5)突起33とボルト40の締結部(貫通穴35a,ねじ穴35b)との配列は、実施形態のようにスリットノズル20の長手方向に一列に直線状に配列されるものに限らず、例えば図9に示すように、ボルト40の締結部に対して突起33が前後方向にオフセットされるものであってもよい。要は、流路Fおよび吐出口Dの隙間寸法を一定に保つことができ、かつ純水の吐出むらを防止できる配列であればよい。但し、実施形態のような配列によれば、上述した通り、ボルト40の締め付け度合の差による隙間の変動を有効に防止することができるため、流路Fおよび吐出口Dの隙間寸法を一定保ち得るようにしながらも、組立性を向上させることができるという利点がある。
【0053】
(6)実施形態では、吐出口Dが1つの単孔タイプのスリットノズル20について説明したが、勿論、吐出口Dが2つ、あるいは3つ以上平行に並ぶ多孔タイプのスリットノズルにいても本発明は適用可能である。例えば、図10は、2つの吐出口D1,D2が上下二列に並ぶスリットノズル20′を示している。このスリットノズル20′は、第1パーツ52a〜第3パーツ52cを重ね合わせ、各パーツ52a〜52cをボルト60により互いに締結することにより構成されている。第1パーツ52aおよび第3パーツ52cの対向面54a,54cにはそれぞれ突起53が形成されており、これら突起53が、第2パーツ52bの対向面54b,54b′にそれぞれ当接することにより、第2パーツ52b(対向面54b,54b′)と第1,第3パーツ52a,52c(対向面54a,54c)との間にそれぞれ隙間が形成され、これらの隙間により上下二列に並ぶ流路F1,F2および吐出口D1,D2が設けられた構成となっている。なお、図中符号B1,B2は、バッファ部を示しており、各対向面54a〜54cに形成される凹部により形成されている。
【0054】
(7)なお、実施形態では、本発明に係るスリットノズル20を、洗浄処理を行う基板処理装置10に適用した例について説明したが、勿論、本発明に係るノズルは、洗浄処理に限らず薬液処理を行う基板処理装置についても適用可能である。また、本発明に係るノズルは、液体以外に、窒素ガスやエア等の気体を基板に供給するものとしても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る基板処理装置(本発明に係るノズルが使用される基板処理装置)の概略を示す断面図である。
【図2】スリットノズル(本発明に係るノズル)の概略を示す縦断面図(突起がある部分の断面図)である。
【図3】スリットノズルの概略を示す縦断面図(ボルトがある部分の断面図)である。
【図4】スリットノズルの概略を示す平断面図(図2のIII−III断面図)である。
【図5】スリットノズルの別の構成を示す縦断面図(突起がある部分の断面図)である。
【図6】スリットノズルの別の構成を示す縦断面図(突起がある部分の断面図)である。
【図7】スリットノズルの別の構成を示す縦断面図(突起がある部分の断面図)である。
【図8】スリットノズルの別の構成を示す平断面図(図4に対応する断面図)である。
【図9】スリットノズルの別の構成を示す平断面図(図4に対応する断面図)である。
【図10】スリットノズルの別の構成を示す縦断面図(突起がある部分の断面図)である。
【符号の説明】
【0056】
10 基板処理装置
20 スリットノズル
32a 第1パーツ(ノズル構成部材)
32b 第2パーツ(ノズル構成部材)
34a,34b 対向面
33 突起
40 ボルト
B バッファ部
D 吐出口
F 流路
S 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ平坦な対向面をもつ一対のノズル構成部材を、前記対向面の間に隙間を形成した状態で重ね合わせることにより当該隙間によりスリット状の流体吐出口とこれに通じる扁平な流路を形成したノズルにおいて、
前記ノズル構成部材のうち少なくとも一方側の対向面に突起が設けられ、当該突起が相手側ノズル構成部材の対向面に当接する状態で両ノズル構成部材が重ね合わされることにより前記隙間が形成されていることを特徴とするノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のノズルにおいて、
両ノズル構成部材は、その重ね合わせ方向に挿入される複数のボルトにより互いに締結されるものであって、これらボルトによる締結部と前記突起とが前記吐出口の長手方向に一列に直線状に並んでいることを特徴とするノズル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のノズルにおいて、
前記対向面に穴部が形成され、この穴部に突起形成用部材が挿入されることにより前記突起が設けられていることを特徴とするノズル。
【請求項4】
請求項3に記載のノズルにおいて、
前記ノズル構成部材に、前記穴部として前記重ね合わせ方向に貫通するねじ穴が形成され、このねじ穴に、ねじ軸が螺合挿入されてその先端が相手ノズル構成部材の対向面に突き当てられることにより、当該ねじ軸の先端により前記突起が形成されていることを特徴とするノズル。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載のノズルにおいて、
前記突起は、流体の流動方向に細長に形成されていることを特徴とするノズル。
【請求項6】
基板を搬送する搬送手段と、スリット状の流体吐出口をもち、前記搬送手段により搬送される基板に対して流体を供給することにより当該基板に所定の処理を施すノズルとを備えた基板処理装置において、
前記ノズルとして、請求項1乃至5の何れかに記載のノズルを備えていることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−100143(P2008−100143A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283284(P2006−283284)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】