説明

ノズルユニット及び洗浄装置

【課題】被洗浄物に応じた洗浄を可能として、洗浄品質を向上させることを目的とする。
【解決手段】被洗浄物3を個別に洗浄し乾燥させるノズルユニット11であって、液体若しくはエアを選択的に切り換えて噴射し又は吸引可能なノズル部27・27・・・が複数配設され、該ノズル部27・27・・・は、洗浄液噴射ノズル部27a、濯ぎ水斜方噴射ノズル部27b、濯ぎ水垂直噴射ノズル部27c、エア噴射ノズル部27d、及び吸引ノズル部27eからなる群より選ばれる少なくとも一種のノズル部27・27・・・からなり、各ノズル部の種類及び位置を変更可能とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルユニット及び洗浄装置に関し、より詳細には、被洗浄物に対して洗浄・乾燥までを連続して行うことができるノズルユニットの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、洗浄を行う洗浄装置は、被洗浄物に洗浄液を塗布する工程と、洗浄液が塗布された被洗浄物を濯ぎ落とす工程と、乾燥させる工程とが行われ、この洗浄装置には、洗浄液を塗布したり濯ぎ水を被洗浄物に対して吹き付けたりする装置がそれぞれ設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、被洗浄物に対して洗浄液を塗布するノズル部やエアを吹き付けて乾燥させるノズル等が一体として組み付けられたノズルユニットを備えた洗浄装置が公知となっている(特許文献2)。この洗浄装置には、各ノズル部が別箇所にバラバラに配設されるのではなく、液体噴射ノズル部と水切り用のエア噴射ノズルとがノズルユニットとして一体に形成され、ノズルユニットは、ブース内部を移動可能とされるとともに、順次に若しくは選択的に洗浄及び水切り・乾燥に自動的に切り換えられるように構成されている。
【特許文献1】特許第3175855号公報
【特許文献2】特開平5−309347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
なるほど、特許文献2に開示されるように、複数種のノズル部を一体として組み付けたノズルユニットとすることで、このノズルユニット一体で複数の洗浄工程を担うことができ、装置のコンパクト化や簡素化を図ることができる。しかし、従来のノズルユニットは、予め定められたノズル部が組み付けられるため、洗浄物の形状や構造に応じた洗浄・乾燥を行うことが困難であった。特に、洗浄のバリエーションが画一化してしまい、一品毎に精度の高い洗浄品質が要求される被洗浄物に対しては、被洗浄物毎の汚れ度合いや、顧客の個々のニーズ等に対応できず、洗浄品質が十分に担保されているとはいえなかった。
【0005】
本発明においては、ノズルユニットに関し、前記従来の課題を解決するもので、被洗浄物に応じた洗浄を可能として、洗浄品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
すなわち、請求項1においては、被洗浄物を個別に洗浄し乾燥させるノズルユニットであって、液体若しくはエアを選択的に切り換えて噴射し又は吸引可能なノズル部が複数配設され、該ノズル部は、洗浄液噴射ノズル部、濯ぎ水噴射ノズル部、エア噴射ノズル部、及び吸引ノズル部からなる群より選ばれる少なくとも一種のノズル部からなり、各ノズル部の種類及び位置を変更可能とされるものである。
【0008】
請求項2においては、前記ノズル部は、被洗浄物が略中心に位置するように平面視略円形に形成されたワーク部材の円周の方向に沿って配設されるものである。
【0009】
請求項3においては、前記吸引ノズル部は、被洗浄物に当接する吸着パッドを備えてなるものである。
【0010】
請求項4においては、前記吸引ノズル部は、被洗浄物との接触の有無を検知する検知手段を備えてなるものである。
【0011】
請求項5においては、前記ノズルユニットが、方向自在に移動可能に配設されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
すなわち、請求項1に示す構成としたので、洗浄のバリエーションが豊富になり、被洗浄物の種類や洗浄工程に応じた一連の洗浄が可能となり、洗浄効率及び洗浄品質を向上できる。
【0014】
請求項2に示す構成としたので、被洗浄物に対して円周方向から複数のノズル部より同時に洗浄等を行うことができ、洗浄効率及び洗浄効率を向上できる。
【0015】
請求項3に示す構成としたので、気密性を向上させて吸引力を高めながら被洗浄物を局所的かつ効果的に吸引でき、洗浄効率及び洗浄品質をより向上できる。
【0016】
請求項4に示す構成としたので、吸引ノズル部が被洗浄物に吸着したところでノズルユニットを固定でき、また、被洗浄物が必要以上に吸引されて損傷等するのを防止でき、洗浄効率及び洗浄品質を向上できる。
【0017】
請求項5に示す構成としたので、装置内のスペースを有効活用して様々な工程を実施できるとともに、局所的な洗浄等が可能となり、洗浄効率及び洗浄品質を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明に係るノズルユニットを備えた洗浄装置の全体的な構成を示した正面図、図2は同じく側面図、図3は被洗浄物が上室にある状態を表す図、図4は支持部に被洗浄物を固定した状態の断面図、図5はノズルユニットの平面図、図6は同じく側面図、図7は濯ぎ水斜方噴射ノズル部における濯ぎ水の噴射の様子を示す模式図、図8は濯ぎ水垂直噴射ノズル部における濯ぎ水の噴射の様子を示す模式図、図9は左右方向で切断されたワーク部材よりなるノズルユニットの平面図、図10は吸引ノズル部が配設されたノズルユニットの平面図、図11は吸引ノズル部が配設されたノズルユニットが被洗浄物に当接した状態を表す断面図、図12は別実施例に係るノズルユニットのノズル部の正面図、図13は図12のノズルユニットが配設された洗浄装置による被洗浄物の洗浄の様子を表す図である。
【0019】
本実施例に係るノズルユニット11は、衣服等の被洗浄物3を洗浄するための洗浄装置1に配設され、ノズルユニット11によって被洗浄物3の洗い・濯ぎ・乾燥が連続して行われるように構成されている。なお、ノズルユニット11としては、被洗浄物3の洗浄に用いられるものに限定されず、後述するように、金型などの金属機械加工物の被洗浄物3の洗浄・乾燥用に用いられてもよい(図12及び図13参照)。
【0020】
まず、本発明に係るノズルユニット11を用いた洗浄装置1の全体構成について、以下に概説する。
図1乃至図3に示すように、洗浄装置1は、ハウジング2内に配設された支持装置4に被洗浄物3が固定され、被洗浄物3が支持装置4に固定された状態で、各洗浄工程(洗い、定着、濯ぎ、乾燥等)が連続して行われるように構成されている。そして、洗浄装置1は、衣服の種類、汚れ度合い、汚れ箇所等のみならず、洗浄回数、受付票に基づく整理番号、顧客名、洗浄開始時間、納品日、受注日、洗浄担当者などの洗浄情報に基づいて、各洗浄工程の順序や、洗浄液の温度・濃度や、ノズルユニット11におけるワーク部材27の配置や、ノズルユニット11の移動方向・速度や、濯ぎ水の噴射方向・水圧・温度や、被洗浄物3に吹き付けられるエアの温度・時間などが変更されて最適な洗浄が行えるように構成されている。
【0021】
ここで、本実施例における「洗い」とは、被洗浄物3に洗浄液を塗布し、汚れ等を被洗浄物3表面に浮き出させる工程をいう。「定着」とは、塗布された洗浄液を被洗浄物3の繊維内部に浸透させるための工程をいう。「濯ぎ」とは、被洗浄物3に付着した洗浄液及び汚れ等を、被洗浄物3を静止水に浸漬させたり濯ぎ水を吹き付けたりして濯ぎ落とす工程をいい、後述する浸漬濯ぎ工程やノズル濯ぎ工程等を含むものである。「乾燥」とは、濯ぎによって汚れが落とされた被洗浄物3に含まれる水分を除去する工程をいい、乾燥後若しくは乾燥中に被洗浄物3の形を整えしわを伸ばす「仕上げ」を含む工程である。
【0022】
被洗浄物3は、背広の上着・背広のズボン・カッターシャツ・ワンピース・セーター・ジャンパー等の広く一般的な衣類を含むものである。以下、被洗浄物3として背広の上着を用いる場合について説明するがこれに限定するものではない。
【0023】
ハウジング2は、仕切板6によって前後方向に仕切られており、前側に被洗浄物3が収納される収納部7が形成され、後側に駆動装置8・9や前記コントローラなどの制御装置等が配設される。収納部7には、被洗浄物3を固定して支持する支持装置4と、ノズルユニット11とが配設され、支持装置4は駆動装置8に接続されて上下動可能とされ、ノズルユニット11は駆動装置9に接続されて上下動可能とされている。
【0024】
収納部7は、さらに上下方向に2分割され、上室7aと下室7bとが形成されている。上室7a及び下室7bは、境界部7cにおいて上下方向に開放され、支持装置4が上室7a及び下室7bを跨いで移動可能となるように構成されている。後述するように、上室7a内は洗浄液雰囲気となるように構成されるため、境界部7cには樹脂成形されたカーテン部材等が支持装置4の移動を妨げないように取り付けられ、上室7aの空間と下室7bの空間とが遮断されている。ノズルユニット11は、上室7aの空間内で上下動され、下室7bにまで至ることがないように構成されている。
【0025】
ハウジング2の前面上方に取出口12が開口され、取出口12にはハウジング2前方に開閉自在に取り付けられた扉13が配設されている。扉13を装置前方に開放することで、取出口12を介して被洗浄物3が収納部7から出入される。被洗浄物3を出入する際には、支持装置4が上室7aまで移動されて最上位(位置P1)で停止される。
【0026】
また、下室2bには、図示せぬ給排ポンプが接続され、下壁に開口された給排口7dから濯ぎ水が給排されるように構成されている。そして、下室7bは、給排口7dより供給される濯ぎ水を貯溜できるように構成されており、下室7bに移動された被洗浄物3が貯溜された濯ぎ水に浸漬させるように構成されている。また、給排口7dにより貯溜した濯ぎ水を排水するように構成されている。
【0027】
支持装置4は、上端部が略直角に屈曲されて駆動装置8に接続された左右一対の支持アーム14・14と、支持アーム14・14の下端部の間に略水平に介設された支持基板15と、支持基板15の平面略中心に配設された支持台16と、支持台16の左右両側であって支持基板15の縁部に垂直に立設された腕用ダクト17等とが配設されている。この支持装置4によって、被洗浄物3は、略垂直に立設された状態で固定され、さらに、収納部7内に上室7a及び下室7bに渡って上下動可能とされる。
【0028】
支持基板15は、略矩形の中空の箱型とされ、内部に中空ダクト15aが成形され、中空ダクト15aは、エア(空気・温風など)の噴射・吸引を切り換え可能に構成された下ポンプ装置(図略)と接続されている。このポンプ装置が切り換えられることで、中空ダクト15a内に空気が送られ、一方、中空ダクト15a内の空気が下ポンプ装置の方向に排出される。支持基板15の上面に配設された支持台16には通風孔42が開口されており、通風孔42を介して下ポンプ装置から送られた空気が収納部7内に噴出し、また収納部7内の空気が中空ダクト15aへと吸引される。
【0029】
支持台16は、支持基板15の上面よりも上方に突出するようにして配設され、支持台16上に被洗浄物3を固定する支持部19が配設されている。支持部19は、枠体19aが人型若しくは人型の一部に近似するようにして立体成形され、枠体19aとしてアルミ製の針金(ワイヤ)が用いられ、これを網目状に編み込んで人型の上半身に成形されている。さらに、本実施例では、支持部19と被洗浄物3に間に、通気性のある中間部材21が配設される。中間部材21は、被洗浄物3よりもメッシュの細かい布等の素材より支持部19の形状に合わせて成形され、支持部19の表面を完全に覆うようにして取り付けられ、下端部においては支持台16と密着固定されている(図4参照)。支持台16の穿設された通風孔42によって、支持部19の内部と中空ダクト15aとが連続されている。
【0030】
支持部19が人型等に立体成形されることで、被洗浄物3の形状に合わせた形状に成形すれば、各洗浄工程(洗い・濯ぎ・乾燥等)において、被洗浄物3が絡まったり擦れたりして損傷等するのを防止でき、特に、洗い工程で洗浄液を特定の汚れ箇所に集中して噴射しやすく、乾燥工程で生地を傷めずに素早く乾燥できる。また、乾燥工程から仕上げ工程へと連続して移行することができ、被洗浄物3がしわになりにくい。
【0031】
腕用ダクト17は、上縁部に支持台16に支持された被洗浄物3(衣服の上着)の腕部の袖口が嵌合されるとともに、下縁部が中空ダクト15aと連通されている。上述したポンプ装置によって中間ダクト15a内の空気が吐出・吸引されると、腕用ダクト17を介して被洗浄物3の腕部に空気が吐出・吸引されて、乾燥や仕上げが行われる。本実施例のように、被洗浄物3が背広の上着の場合には、腕部や袖口の乾きが遅いため、洗浄効率を向上できるという点で有効である。
【0032】
駆動装置8は、ハウジング2の内部後方に配設され、ピストン22aを伸縮させて支持装置4を上下動させる電動シリンダ22と、電動シリンダ22と略平行に垂設されるガイド部材23・23と、左右の支持アーム14・14の上端部であって収納部7からハウジング後方に延設された端部に介設されたプレート部材24と、プレート部材の左右両端に配設されガイド部材23に前後方向から互いに当接されるガイドローラ25・25等とで構成されている。
【0033】
電動シリンダ22は、ハウジング2の左右略中央部に配設され、上下方向にピストン22aが伸縮自在とされ、このピストン22aの上端部にプレート部材24が接続されている。ガイド部材23・23は、略円筒型に形成され、電動シリンダ22より前方であってハウジング2の左右両側に配設され、上端がハウジング2の上壁に、下端が略水平の中間壁2aにそれぞれ固定されている。なお、この中間壁2aによって、電動シリンダ22及び後述する駆動装置9を構成する電動シリンダ37が傾倒しないように支持されている。
【0034】
プレート部材24は、側面視でガイド部材23・23と重なる位置であって左右のガイド部材23・23の間に位置され、プレート部材24によって支持アーム14・14が一体的に接続されている。プレート部材24の左右両縁部に取付プレート24a・24aが配設され、ガイドローラ25・25は、取付プレート24aに回転自在に取り付けられ、ガイド部材23に前方及び後方から挟むように当接し、このガイド部材23の表面に沿って回転しながら移動される。ガイドローラ25・25は、上下方向に離間して取り付けられており、ガイド部材23に沿って支持装置4を安定して上下動させることができる。また、前記仕切板6には長穴6a・6aが上下方向に開口され、この長穴6a・6aを介して支持アーム14が支持装置4と駆動装置8とに接続されている。
【0035】
電動シリンダ22のピストン22aが伸長されると、ガイドローラ25・25がガイド部材23に沿って回転されながら支持装置4が垂直方向に上昇され、やがて上室7aの最上位置(位置P1)で停止される。上述したように、支持装置4が位置P1にある状態で、被洗浄物3の収納部7への出入や各洗浄工程(洗い・濯ぎ・乾燥等)が行われる。一方、電動シリンダ22のピストン22aが収縮されると、支持装置4が垂直方向に下降され、やがて下室7bの最下位置(位置P2)で停止される。このように、支持装置4を移動可能とすることで、収納部7におけるスペースを有効活用でき、異なるスペースで様々な工程を実施でき、洗浄効率を向上できる。
【0036】
また、本実施例における洗浄装置1には、上述した通風孔42と下ポンプ装置の他に、ハウジング2(上室7a)の上壁の略中央に開口された通風孔43と、この通風孔43に接続された上ポンプ装置(図略)等とが配設され、この上ポンプ装置と上述した下ポンプ装置とが切り換え操作されることによって、前記支持部19の内部が加減圧されて、被洗浄物3がサクションされる機構が構成されている。
【0037】
下ポンプ装置が通風孔42を介して支持部19内の空気を吸引する方向に駆動されるとともに、上ポンプ装置が通風孔43より空気を噴出すように駆動されると、支持部19内部が減圧されて負圧とされて、支持部19の内側方向にエアが吸引される。一方、下ポンプ装置が通風孔42より空気を噴出すように駆動されるとともに、上ポンプ装置が通風孔43を介して上室7a内の空気を吸引するように駆動されると、支持部19内部が加圧されて正圧とされて、支持部19内の空気が外側方向に吸引される。
【0038】
このように、両ポンプ装置の駆動を切り換えることによって、支持部19の内側/外側から空気を吹き付ける一方で外側/内側から空気を吸引して、支持部19内部が加減圧されるように構成されている。このように、洗浄工程毎に、好ましい方向に切り換えてサクションをかけて、各洗浄工程において、繊維間の汚れを効果的に除去して濯ぎ落とすことができるとともに、乾燥時間を短縮でき、ひいては洗浄効率をさらに向上できるように構成されている。
【0039】
特に、本実施例では、支持部19と被洗浄物3との間に中間部材21が配設されるため、支持部19の内側方向に空気が吸引される場合には、網目状に成形された支持部19のメッシュに被洗浄物3が入り込んで繊維に極度の引っ張りや曲げ力がかかって損傷したりするのを防止でき、また、吸引漏れを防止して効率を向上できる。一方、支持部19内の空気が外側方向に吸引される場合には、中間部材21が膨張して、被洗浄物3の繊維に適当な引っ張り力が付与されてアイロン効果を奏するとともに、被洗浄物3が乾燥中であれば均一の熱分布とすることができ乾燥効率がよい。
【0040】
以上のように、本実施例における洗浄装置1は、支持装置4によって被洗浄物3が上室7aで停止され、洗い工程、濯ぎ工程、及び乾燥工程が行われるとともに、下室7bに移動されて定着工程及び濯ぎ工程(浸漬濯ぎ)が行われるように構成されている。そして、上室7aにおける各洗浄工程において、ノズルユニット11が上下動されながら、洗浄液、濯ぎ水、及びエアが切り換えて噴射されるように構成されている。
【0041】
ここで、本実施例に係るノズルユニット11について、詳述する。
まず、ノズルユニット11の駆動手段たる駆動装置9について、以下に説明する。
図1乃至図3に戻って、駆動装置9は、ハウジング2の内部後方に配設され、ピストン37aを伸縮させてノズルユニット11を上下動させる電動シリンダ37と、電動シリンダ37と略平行に垂設されるガイド部材38・38と、ノズルユニット11を略水平に支持するユニット支持部39等とを備えてなり、上室7a内で各ノズル部27から洗浄液等を噴射しながら上下方向に自在に移動されるように構成されている(図3参照)。ただし、前記電動シリンダ37の代わりラックとモータにより構成することもできる。
【0042】
電動シリンダ37は、ハウジング2の左右略中央部であって前記電動シリンダ22の前方に配設され、上下方向にピストン37aが伸縮自在とされ、このピストン37aの上端部にユニット支持部39が接続されている。ガイド部材38・38は、略円筒型に形成され、電動シリンダ37の左右両側に配設され、上端がユニット支持部39を挿通してハウジングの上壁に固定され、下端が前記中間壁2aに固定されている。また、前記仕切板6には上下方向に長穴6b・6bが開口され、この長穴6b・6bを介してノズルユニット11がユニット支持部39に接続されている。
【0043】
電動シリンダ37のピストン37aが伸長されると、ガイド部材38に沿ってユニット支持部39が上昇され、ノズルユニット11が垂直方向に上昇され、やがて上室7aの最上位置(位置P3)で停止される。ノズルユニット11が位置P3にある状態で、被洗浄物3の収納部7への出入や支持部19への着脱が行われる。各洗浄工程(洗い・濯ぎ・乾燥)が行われる際には、電動シリンダ37のピストン37aの収縮及び伸長が繰り返されて、ノズルユニット11が垂直方向に上下昇降される(位置P4)。このように、ノズルユニット11を移動可能とすることで、収納部7におけるスペースを有効活用して様々な工程を実施でき、洗浄効率を向上できる。また、被洗浄物3に応じた局所的な洗浄等が可能となり、洗浄品質も向上できる。
【0044】
なお、本実施例においては、駆動装置9の構成としては、ユニット支持部39によってノズルユニット11が上下方向にしか移動されないように構成されているが、その移動方向は上下方向に限定されず、左右方向や前後方向、若しくは駆動装置9との接続部を中心に回転されるように構成してもよい(例えば、図13参照)。
【0045】
次に、ノズルユニット11について、以下に詳述する。
図5及び図6に示すように、ノズルユニット11は、被洗浄物3の外側を囲むように平面視略円状に形成されたワーク部材26と、ワーク部材26の円周方向に沿って複数配設され被洗浄物3に向けて洗浄液や濯ぎ水を噴射するノズル部27・27・・・等とで構成され、このノズルユニット11によって、ノズル部27・27・・・から洗浄液や濯ぎ水等が噴射されて、被洗浄物3の洗い・濯ぎ等が行われる。ノズルユニット11は、収納部7の上室7aに配設され、駆動装置9に接続されて、支持装置4に固定された被洗浄物3がワーク部材26の略中心に位置するように固定されている。このように、ワーク部材26を平面視略円形に成形して、このワーク部材26に沿ってノズル部27・27・・・を配設することで、複数のノズル部27・27・・・から被洗浄物3に対して円周方向から同時に洗浄等を行うことができ、洗浄効率を向上できる。
【0046】
本実施例に係るノズルユニット11は、洗浄液、濯ぎ水、及びエア(温風)をそれぞれ選択的若しくは順次に切り換えて噴射するように構成されており、そのために洗浄用ワーク部材26a、濯ぎ水用ワーク部材26b・26c、及び温風用ワーク部材26dの計4個のワーク部材26が略同一に形成され、垂直方向に上方から下方に向けて順に積層されて構成されている。ただし、後述するように、ワーク部材26の個数や配置、及びノズル部27の種類等はこれに限定されるものではない。例えば、後述する吸引ノズル部27eを配設したり、エア給排ノズル部を配設して、このノズル部と支持基板15との間でサクションが行われるように構成したりしてもよい。
【0047】
洗浄用ワーク部材26aは、図示せぬ洗浄液タンクと洗浄用バルブ29aを介してバルブ洗浄液用パイプ29によって接続され、洗浄液が給排される。濯ぎ水用ワーク部材26bは、図示せぬ濯ぎ水タンクと濯ぎ水用バルブ30aを介して濯ぎ水用パイプ30によって接続され、濯ぎ水用ワーク部材26cは、図示せぬ濯ぎ水タンクと濯ぎ水用バルブ31aを介して濯ぎ水用パイプ31によって接続される。また、温風用ワーク部材26dは、図示せぬ温風発生用ポンプ装置と温風発生用バルブ32aを介して温風用パイプ32によって接続され、温風が送排風される。洗浄用バルブ29a、濯ぎ水用バルブ30a・31a、及び温風発生用バルブ32aが同じくコントローラ45に接続され、コントローラ45によって洗浄用バルブ29a等が切り換えられて、各タンクから各ワーク部材26への濯ぎ水等の給排が制御される(図6参照)。なお、洗浄液タンクや濯ぎ水タンク等は、ハウジング2後部にそれぞれ配設されている。
【0048】
ワーク部材26には、円周方向に沿って複数のノズル部27・27・・・が配設されており、具体的には、洗浄用ワーク部材26aには洗浄液噴射ノズル部27a・27a・・・が配設され、濯ぎ水用ワーク部材26bには濯ぎ水斜方噴射ノズル部27b・27b・・・が配設され、濯ぎ水用ワーク部材26cには濯ぎ水垂直噴射ノズル部27c・27c・・・が配設され、温風用ワーク部材26dにはエア噴射ノズル部27d・27d・・・が配設されている。各ノズル部27a・27b・27c・27dには、被洗浄物3に向けてノズル孔33・34・35・36がそれぞれ開口され、各ワーク部材26a・26b・26c・26dに到達された洗浄液等は、連通路33a・34a・35a・36aを介してノズル孔33・34・35・36から噴射される。
【0049】
洗浄液噴射ノズル部27aは、被洗浄物3に向けて洗浄液が噴射されるように構成され、特に、本実施例においては、洗浄液がミスト状に連続して噴霧されるように構成されている。洗浄液をミスト状に噴霧するために、例えば、ミスト発生ディスクを用いるディスク式、もしくはノズル孔33を狭小化した後に洗浄液を高圧噴霧する高圧式等による各種ミスト化の手段が用いられる。また、扇型ノズル・充円錐ノズル・空円錐ノズル等の各種ノズルが用いられる。
【0050】
このような構成とすることで、上室7aはミスト状に噴霧された洗浄液が充満した洗浄液雰囲気とされ、被洗浄物3は、支持装置4に固定された状態で洗浄液雰囲気の空間中で放置され、表面に洗浄液が付着して塗布される。このように、被洗浄物3を擦りあわせることなく洗浄液を充分に塗布することができ、衣服の劣化損傷を防ぐことができる。また、洗浄液のかかりムラをなくし、均一に塗布させることができる。
【0051】
洗浄液噴射ノズル部27aは、被洗浄物3に直接に噴射するように構成してもよく、局所的な噴射を可能とするために、直線ノズル等を用いて連続若しくは脈動噴射が可能な構成としてもよい。また、上述したように洗浄液を洗浄液噴射ノズル部27aよりミスト状に噴霧させる構成とする場合は、洗浄液噴射ノズル部27aをノズルユニット11に配設する場合だけでなく、例えば、上室7aの内部壁面に配設するようにしてもよい。
【0052】
洗浄液噴射ノズル部27aにより噴射される洗浄液としては、環境保護等の観点から、従来のドライ洗浄で用いられる石油系溶剤をはじめとする非水系の揮発性有機溶媒以外の洗浄液を用いるのが好ましい。本実施例では、特に、特開2003−183977号公報等に提示される洗浄液を用いることが好ましい。この洗浄液を用いることで、被洗浄物3に機械力やその他の物理的な作用を与えることなく、かつ、従来の水系の洗浄液では除去することのできなかった油溶性汚れを効果的に除去することができ、シルクやウール製品を洗浄する場合でも、縮みを最小限に留めることができる。
【0053】
図7に示すように、濯ぎ水斜方噴射ノズル部27bは、高圧エアを混入させた濯ぎ水を被洗浄物3の表面に斜方向から吹き付けるように構成されている。濯ぎ水斜方噴射ノズル部27bには、連通路34aに加えて、エア導入パイプ34bが接続され、高圧エアを濯ぎ水に混入させてマイクロバブルを発生させるような構成とされている。具体的には、濯ぎ水用ワーク部材26bに図示せぬ高圧エアコンプレッサー若しくはブロアー等が接続され、エア導入パイプ34bを介してノズル孔34にエアが送られる。
【0054】
マイクロバブルとは、直径が数十μm〜数百μm程度の気泡のことをいい、濯ぎ水の噴射の際に通常発生するバブル(マクロバブル)を除くものをいう。マイクロバブルの発生方法としては、例えば、濯ぎ水斜方噴射ノズル部27bに送り込まれたエアを、ノズル孔34付近で濯ぎ水と混合させて、マイクロバブルを発生させてもよく、ノズル孔34において濯ぎ水とエアとの気液2相の旋回流を起こし、その界面における強せん断作用により、マイクロバブルを発生させるようにしてもよい。
【0055】
濯ぎ水斜方噴射ノズル部27bから噴射される濯ぎ水は、被洗浄物3表面の法線に対して、入射角θとなるように調整される。濯ぎ効率の観点から、好ましくは、入射角θが略±30度となるように調整される。濯ぎ水が入射角θで噴射されると、マイクロバブルが被洗浄物3表面で弾けて、パルス衝撃を発生させる。このような超微振動によって、該被洗浄物3に付着した汚れ等を濯ぎ落とし、被洗浄物3外に汚れ等を濯ぎ出す効果も期待できる。また、噴射速度をある程度低く設定できるため、被洗浄物3の損傷等を防ぐことができる。
【0056】
図8に示すように、濯ぎ水垂直噴射ノズル部27cは、微細液滴化した濯ぎ水を被洗浄物に対して略垂直方向から吹き付けるように構成されている。濯ぎ水垂直噴射ノズル部27cは、局所的な噴射を可能とするための直線ノズル等が具備され、連通路35aを介して前記濯ぎ水タンクから濯ぎ水がノズル孔35に送られて、衣服の表面に対して略垂直となるように濯ぎ水が噴射される。
【0057】
本実施例においては、ノズル孔35から噴射される濯ぎ水の幅がマイクロメートルオーダーで調節され、好ましくは、口径W1が0.1mm〜0.5mmに形成される。通常の衣服等の被服地は、経密度と緯密度(1インチ間の糸本数)で表され、織り方(平織・綾織)や番手によってこの密度は異なるものの、通常は1インチ(2.54cm)あたり経糸(緯糸)が30本〜80本程度で織り込まれている。そして、各経糸(緯糸)間距離W2は、およそ数百μm程度である。口径W1を上記のように形成することで、噴射される濯ぎ水が各経糸(緯糸)間を通過することが可能となり、各交錯部位の汚れ等を効果的に濯ぎ落とすことができる。
【0058】
被洗浄物3に対して濯ぎ水を直接噴射しただけでは、被洗浄物3に付着した汚れや洗浄液を迅速かつ確実に濯ぎ落とすことが容易ではなく、また、使用される水量も多い。濯ぎ水垂直噴射ノズル部27cを配設することで、被洗浄物3の経糸と緯糸との交錯によって複雑に造形される衣服等において、交錯部位にまで浸透した汚れ等を効果的に落とすことができる。
【0059】
ノズルユニット11に濯ぎ水斜方噴射ノズル部27b及び濯ぎ水垂直噴射ノズル部27cを配設して、濯ぎ水による濯ぎを行うように構成することで、各糸間の汚れまで確実に濯ぎ落とすことができるだけでなく、短時間で、少量の濯ぎ水の噴射量とすることができるため、水資源の保護にも寄与することができる。濯ぎ水斜方噴射ノズル部27b及び濯ぎ水垂直噴射ノズル部27cは、連続もしくは脈動噴射が可能な構成とされ、特に、濯ぎ水を脈動噴射させることによって、より効果的に汚れ等を濯ぎ落とすことができる。なお、ノズルユニット11には、いずれか一方のノズル部27を配設するようにしてもよい。
【0060】
エア噴射ノズル部27dは、温風発生用のポンプ装置によって発生され、温風用パイプ32を介してノズル孔36まで移送されたエア(温風)が被洗浄物3に吹き付けられるように構成されている。このエア噴射ノズル部27dから吹き付けられる温風によって、洗い及び濯ぎの各洗浄工程を経た被洗浄物3が乾燥される。温風としては、好ましくは被洗浄物3の生地等を傷めない温度に設定される。なお、エア噴射ノズル部27dは、ノズルユニット11に配設する構成に限らず、被洗浄物3に温風が吹き付けられるようにハウジング2内部の側壁等に配設されてもよい。
【0061】
ノズルユニット11は、被洗浄物3の種類(汚れ度・形状・材料)に応じた最適な条件で、各ノズル部27から噴出される濯ぎ水等の流量・圧力・温度・時間、また駆動装置9による駆動速さ等が調節される。また、各ワーク部材26に配設されるノズル部27は、被洗浄物3の種類に応じて個数や対向する角度等が変更される。また、複数のノズル部27のうち、例えば、汚れ箇所に近い位置に配設されたノズル部27のみの濯ぎ水の噴射量等を調節してもよい。
【0062】
また、ノズルユニット11は、各ワーク部材26を被洗浄物3の種類(汚れ度・形状・材料など)に応じて着脱させて、ノズル部27を取り換えたり増減したりできるように構成される。例えば、図9に示すように、ノズルユニット11の左右中心から右側と左側とでノズル部27の種類が異なるように構成してもよい。この場合には、右側と左側とで略半円形に形成されたワーク部材27が対向するようにして組み付けられる。このようなノズルユニット11は、ノズルユニット11が上下動だけでなく左右方向に回転等可能に構成することで被洗浄物の全体の洗浄が可能となり、例えば、4種類のノズル部27が配設される場合であってもノズルユニット11をコンパクトに形成できる。
【0063】
ノズル部27の種類としては、上述した、洗浄液噴射ノズル部27a、濯ぎ水斜方噴射ノズル部27b・濯ぎ水垂直噴射ノズル部27c、エア噴射ノズル部27dの他に、吸引ノズル部やサクションノズル部等が設けられる。一例として、図10及び図11に示すノズルユニット11のように、吸引ノズル部27eが、吸引用ワーク部材26eの円周方向に沿って装置前側の内側壁に略垂直に2個配設される。吸引用ワーク部材26eは、図示せぬ吸引ポンプ装置と接続されており、吸引ノズル部27eによって被洗浄物3に付着した不要な洗浄液や濯ぎ水が吸引される。吸引ノズル部27eは、吸引用ワーク部材26eから水平方向に突出されて、先端部にゴム系素材より形成された吸着パッド41が取り付けられ、吸着パッド41が被洗浄物3の表面に吸着するように構成されている。吸引ノズル部27e及び吸着パッド41から吸引された洗浄液等は、ノズル孔40を介して吸引用ワーク部材26eに穿設された連通路40aから上述した吸引ポンプ装置へと送られる。
【0064】
ノズルユニット11に吸引ノズル部27eを配設することで、被洗浄物3を局所的かつ効果的に吸引乾燥させることができ洗浄品質を向上できる。例えば、本実施例においては、被洗浄物3である背広の上着の両ポケットは特に乾燥しにくく、吸引ノズル部27eをこの両ポケットに対向する位置に2個配設することで、そのような乾燥しにくい箇所に対して局所的な乾燥を行うことができる。また、駆動装置9によってノズルユニット11を自在に移動させるように構成すれば、局所的な濡れ箇所のみを乾燥させることができ洗浄効率がよい。特に、この吸引ノズル部27eには、上述したように、先端部に吸着パッド41が取り付けられることが、吸引ノズル部27eと被洗浄物3との気密性を向上させて吸引力を高めるという点で好ましい。
【0065】
吸引ノズル部27e(本実施例では吸着パッド41)には、吸着パッド41の被洗浄物3への当接状態を検出する検知手段としての圧力センサ44が配設されている。吸着パッド41は、被洗浄物3の表面に吸着するとその形状が円周方向に広がるように変形されるため(図11参照)、圧力センサ44によってその変化量を検出するようにして、吸引ノズル部27eによる吸引圧を調節するように構成されている。吸引ノズル部27eが被洗浄物3に吸着したところで駆動装置9を停止させれば、ノズルユニット11を所定位置で固定させることができ、また、圧力センサによる検出値が一定値以上となった場合に吸引ノズル部27eからの吸引を停止するように構成すれば、被洗浄物3が必要以上に吸引されて損傷等するのを防止できる。なお、検知手段としては、圧力センサ44に限定するものではなく接触センサ等を用いることができる。また、この吸引ノズル部27eを配設することによって、後述する金属機械加工物における切粉の吸引除去を効果的に行うことができる(図13参照)。
【0066】
さらにまた、ノズルユニット11の被洗浄物3に対向する内壁部であって、ノズル部27の近傍に、被洗浄物3の汚れ箇所や濡れ箇所を検知する検知手段としてのセンサ部材が配設されてもよい。センサ部材は、被洗浄物3において、脂肪・油・蛋白質・糖分等の汚れの箇所を検出可能とされ、具体的には、該汚れ箇所を色調の違いにより検出する画像センサもしくは反射センサや、被洗浄物3の表面の水分を検出する水検出センサなどが用いられる。センサ部材が図示せぬコントローラ等に接続されて、所定の汚れ若しくは濡れ以上の汚れ箇所や濡れ箇所に局所的に洗浄液、濯ぎ水、温風が噴射されるようにノズルユニット11及び駆動装置9が制御される。このような構成とすることで、不必要な洗浄液・濯ぎ水の噴射量を低減させることができるとともに、洗浄効率も向上できる。また、個々の顧客ニーズに対応しつつ、洗浄品質を担保できる。
【0067】
以上のように、ノズルユニット11として、洗浄液・濯ぎ水、若しくはエアを選択的に切り換えて噴射可能なノズル部27・27・・・が複数配設されて、このノズル部27・27・・・が、洗浄液噴射ノズル部27a・濯ぎ水斜方噴射ノズル部27b・濯ぎ水垂直噴射ノズル部27c・エア噴射ノズル部27d・吸引ノズル部27eよりなる群より選ばれる少なくとも一種のノズル部27・27・・・からなり、このノズル部27・27・・・が取り付け変更可能に構成されることで、ノズル部27・27・・・の種類を取り換えることで、ノズルユニット11よる洗浄のバリエーションが豊富になり、被洗浄物3の種類や洗浄工程に応じた洗浄が可能となり、洗浄品質を向上できる。
【0068】
次に、別実施例に係るノズルユニット111について、以下に説明する。
図12及び図13に示すように、本実施例に係るノズルユニット111は、洗浄液噴射ノズル部127aと、濯ぎ水噴射ノズル部127bと、エア噴射ノズル部127dと、及び吸引ノズル部127eとが同一方向に向くようにして配設されている。具体的には、平面視略直線型の洗浄用ワーク部材126aと、濯ぎ水用ワーク部材126bと、温風用ワーク部材126dと、吸引用ワーク部材126eとが一束状に集合され、これらのワーク部材126・126の先端部に各ノズル部127が配設されている。吸引ノズル部127eが中心に位置されて、その周りを略等間隔に洗浄液噴射ノズル部127a、濯ぎ水噴射ノズル部127b、及びエア噴射ノズル部dが配置されるように構成される。各ノズル部127は、図示せぬ洗浄液タンク等と接続されている。
【0069】
本実施例に係るノズルユニット111は、被洗浄物3として主に金属機械加工物の洗浄・乾燥に用いられる。具体的には、ノズルユニット111は、多関節型のロボットアーム143を備えた洗浄装置101において、ロボットアーム143の先端部に配設されて、被洗浄物3に対して方向自在に移動可能とされている。この洗浄装置101によって、表面部や略中心部に切削された孔144内に切削油や切粉等が付着した被洗浄物3が洗浄される。具体的には、洗浄液噴射ノズル部127aより洗浄液が塗布され、濯ぎ水噴射ノズル部127bより濯ぎ水が噴射されて被洗浄物3に付着した洗浄液及び汚れ(切削油・切粉)が濯ぎ落とされ、エア噴射ノズル部127dより温風が噴射されて水分が除去されて乾燥される。そして、金属機械加工物のように孔144等が切削された形状の被洗浄物3に対して用いる場合には、ノズルユニット111に吸引ノズル部127eを設け、この吸引ノズル部127eの先端部に吸着パッド141を取り付け、この吸着パッド141を孔144に圧接するようにして孔144内の切粉等を吸引可能とするように構成される。
【0070】
なお、ノズルユニット11(111)は、以上の構成に限定されるものではない。また、このノズルユニット11(111)が配設される洗浄装置1(101)の構成も、ノズルユニット11(111)を方向自在に移動可能に配設する構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係るノズルユニットを備えた洗浄装置の全体的な構成を示した正面図。
【図2】同じく側面図。
【図3】被洗浄物が上室にある状態を表す図。
【図4】支持部に被洗浄物を固定した状態の断面図。
【図5】ノズルユニットの平面図。
【図6】同じく側面図。
【図7】濯ぎ水斜方噴射ノズル部における濯ぎ水の噴射の様子を示す模式図。
【図8】濯ぎ水垂直噴射ノズル部における濯ぎ水の噴射の様子を示す模式図。
【図9】左右方向で切断されたワーク部材よりなるノズルユニットの平面図。
【図10】吸引ノズル部が配設されたノズルユニットの平面図。
【図11】吸引ノズル部が配設されたノズルユニットが被洗浄物に当接した状態を表す断面図。
【図12】別実施例に係るノズルユニットのノズル部の正面図。
【図13】図12のノズルユニットが配設された洗浄装置による被洗浄物の洗浄の様子を表す図。
【符号の説明】
【0072】
1 洗浄装置
3 被洗浄物
11 ノズルユニット
26 ワーク部材
26a 洗浄用ワーク部材
26b 濯ぎ水用ワーク部材
26c 濯ぎ水用ワーク部材
26d 温風用ワーク部材
26e 吸引用ワーク部材
27 ノズル部
27a 洗浄液噴射ノズル部
27b 濯ぎ水斜方噴射ノズル部
27c 濯ぎ水垂直噴射ノズル部
27d エア噴射ノズル部
27e 吸引ノズル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を個別に洗浄し乾燥させるノズルユニットであって、液体若しくはエアを選択的に切り換えて噴射し又は吸引可能なノズル部が複数配設され、該ノズル部は、洗浄液噴射ノズル部、濯ぎ水噴射ノズル部、エア噴射ノズル部、及び吸引ノズル部からなる群より選ばれる少なくとも一種のノズル部からなり、各ノズル部の種類及び位置を変更可能とされることを特徴とするノズルユニット。
【請求項2】
前記ノズル部は、被洗浄物が略中心に位置するように平面視略円形に形成されたワーク部材の円周の方向に沿って配設されることを特徴とする請求項1に記載のノズルユニット。
【請求項3】
前記吸引ノズル部は、被洗浄物に当接する吸着パッドを備えてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のノズルユニット。
【請求項4】
前記吸引ノズル部は、被洗浄物との接触の有無を検知する検知手段を備えてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のノズルユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の前記ノズルユニットが、方向自在に移動可能に配設されることを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−255658(P2006−255658A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79928(P2005−79928)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000102452)エスアールエンジニアリング株式会社 (17)
【Fターム(参考)】