説明

バイオフィルム制御剤組成物

【課題】バイオフィルムの生成を制御又は除去を促進するための組成物を提供する。
【解決手段】特定構造を有するチオール類、カルボン酸エステル類およびアミン類から選ばれる1種以上の化合物と特定の酵素類とを含有するバイオフィルム制御剤組成物。該組成物に特定の界面活性剤、酵素安定剤を更に組み合わせると、より効果的に利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオフィルム制御剤組成物に関するものであり、より詳細には、微生物が関与するさまざまな分野において、バイオフィルムの生成を抑制すると共にバイオフィルムの除去を促進し、バイオフィルムに起因する危害を防止するためのバイオフィルム制御剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオフィルムは生物膜やスライムとも言われ、一般に水系で微生物が物質の表面に付着・増殖することによって微生物細胞内から多糖やタンパク質などの高分子物質を産生して構造体を形成したものを指す。バイオフィルムが形成すると、微生物を原因とする危害が発生して、様々な産業分野で問題を引き起こす。例えば、食品プラントの配管内にバイオフィルムが形成されると、このバイオフィルムが剥がれ落ち、製品内への異物混入につながるだけでなく、微生物由来の毒素で食中毒の原因となる。さらに、金属表面へのバイオフィルム形成は金属腐食の原因となり、設備の老朽化を促進する。
更に、バイオフィルムを形成した微生物集合体に対しては、水系に分散浮遊状態にある微生物と比較して、殺菌剤・静菌剤のような微生物制御薬剤の十分な効果が出せないことも多い。例えば医療の面では近年、医療器具の狭い隙間や空孔内に微生物が残存してバイオフィルムを形成し、これを原因とする院内感染例が数多く報告されている。ヒト口腔内においては歯に形成するバイオフィルム、いわゆるデンタルプラーク(歯垢)がう食や歯周病の原因となることは良く知られており、これらの問題について長い間検討されている。
【0003】
これまでバイオフィルムを抑制するためには、微生物、特に細菌に対して殺菌作用もしくは静菌作用を与えることによって菌を増殖させない考え方が一般的に検討されてきた。特許文献1や特許文献2には、脂肪酸や脂肪族アルコールなどを用いて細菌数を低減させ、結果として細菌の対象物質への付着が防止できることを開示している。特に特許文献1では抗菌性油相と乳化剤でエマルジョンを調製した組成物が比較的短時間で菌数低減効果を示しており、これは単位体積あたりの細菌絶対数が低くなることに基づき、対象物質表面への付着を抑制する考え方を表している。更に特許文献3では消炎剤などの非水性有効成分を油性物質に溶解させた歯磨き組成物などが開示されている。
一方、殺菌ではなく、形成されたバイオフィルムを除去する方法も検討されている。酵素を利用してバイオフィルムを除去することが試みられており、特許文献4では各種酵素の使用が、特許文献5ではプロテアーゼの使用が開示されている。
【特許文献1】特表2002−524257号公報
【特許文献2】特表2004−513153号公報
【特許文献3】特開2005−289917号公報
【特許文献4】特表2001−508677号公報
【特許文献5】特開平6−262165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1又は2においては、微生物を60分以内の比較的短時間での評価で殺菌性(菌数を約4乗低減)が評価されている。しかしながらバイオフィルム問題は数日〜数ヶ月の長時間単位で起きるものであり、短時間の殺菌評価でバイオフィルムの生成抑制に結びつけることは事実上困難である。抗菌性油相として挙げられる脂肪酸や脂肪アルコールは全ての微生物(細菌)に対して十分な殺菌効果を有しているとは言えず、特にバイオフィルムを形成して問題をしばしば引き起こすグラム陰性菌に対して、長期間にわたる殺菌効果の指標である最少生育阻止濃度(Minimal Inhibitory Concentration : MIC)を有してはいない(防腐・殺菌剤の科学;ジョン・J・カバラ編、フレグランスジャーナル社、1990)。さらに発明者らの実験より、グラム陰性菌の中でも緑膿菌やセラチア菌に対して、特許文献1及び2記載の組成物は記述の通り短期的な(3時間くらいまで)殺菌効果を示すものの、長期的(1日以上)には殺菌性はおろか菌増殖を抑制する静菌効果さえも示すことがなく、結果としてバイオフィルムを形成することが確認された。その他、殺菌性の高いカチオン性界面活性剤や次亜塩素酸塩など即効性の特徴を持つ殺菌性の高い殺菌薬剤もあるが、系内に有機物が存在すると殺菌性は速やかに失われるため、前述の通り長期間にわたって菌数低減効果を維持することは難しい。
これらの理由から、細菌を殺菌や静菌の観点から根本的にバイオフィルムの生成を抑制することは困難である。
前述のようにバイオフィルムは菌体、多糖、タンパク質などいろいろな物質から形成されており、これらの化合物の一部だけを分解することで、バイオフィルムを完全に除去することは困難であると考えられる。酵素を利用しバイオフィルムを除去する方法においては、ある程度の除去効果は認められるもの完全な除去は困難であるとともに、バイオフィルムの生成抑制に効果はないため、残存したバイオフィルム中の菌が再び増殖し、多糖やタンパク質などの高分子物質を産生する。
すなわち、バイオフィルムを除去する方法によっても、バイオフィルムを有効に制御することは困難であった。
従って、本発明の目的は、様々な領域において微生物ならびに微生物産生物質からなるバイオフィルムの生成を制御又は除去を促進するための組成物、及びバイオフィルムの生成抑制及び除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次の成分(A)及び成分(B):
(A)一般式(1)、(2)及び(3)
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R1、R2、R4は炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R3は水素原子または炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、mとnは平均付加モル数であり、m+nは0〜15の数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物
(B) 酵素
を含有するバイオフィルム制御剤組成物を提供するものである。
本発明はまた、前記バイオフィルム制御剤組成物を微生物と接触させてバイオフィルムの生成を抑制するとともに、既に形成されたバイオフィルムを除去する方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バイオフィルムの生成を抑制すると共に、効果的にバイオフィルムを除去し、バイオフィルムの対象物表面への付着を効果的に阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で成分(A)として用いられる一般式(1):
1−SH (1)
で表される化合物において、R1は炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であるが、炭素数10〜12のアルキル基又はアルケニル基であるのが好ましく、アルキル基であるのが更に好ましい。
本発明で成分(A)として用いられる一般式(2):
【0010】
【化2】

【0011】
で表される化合物において、R2は炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基である。R2で示されるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、炭素数10〜12であるものが好ましい。また、R3のアルキル基としては、炭素数1又は2のものが特に好ましい。
本発明で成分(A)として用いられる一般式(3):
【0012】
【化3】

【0013】
で表される化合物又はその塩において、R4は炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、そしてmとnは平均付加モル数であり、m+nは0〜15の数である。
4で示されるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、炭素数10〜12であるものが好ましい。EOで示されるエチレンオキシ基の数m+nは0〜10が好ましく、特に、0〜5が好ましい。一般式(3)で表される化合物の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の鉱酸塩、酢酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
【0014】
成分(A)の重量濃度としては、使用時に1ppm以上存在すればよいが、経済性と効果の観点から1〜10000ppmが好ましく、更に5〜2000ppmが好ましく、特に10〜1000ppmが好ましい。
【0015】
本発明で用いられる成分(B)は、オキシドレダクターゼ(酸化還元酵素)、トランスフェラーゼ(転移酵素)、ヒドラーゼ(加水分解酵素)、リアーゼ(異性化酵素)、イソメラーゼ(異性化酵素)から選ばれる1種以上の酵素が好ましい。
オキシドレダクターゼ(酸化還元酵素)としては、ペルオキシターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ等が挙げられる。
トランスフェラーゼ(転移酵素)としては、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ヘキソキナーゼ等が挙げられる。
ヒドラーゼ(加水分解酵素)としては、アミラーゼ、セルラーゼ、デキストラナーゼ、グルカナーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、マンノシダーゼ、アガラーゼ、ラクトーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、キチナーゼ、キトサナーゼなどの糖質分解酵素;ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スブチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼ、アミノペプチターゼ、サーモリシン、アクロモペプチターゼ等のタンパク質分解酵素;リパーゼ類、クチナーゼ、ホスホリパーゼ等の脂質分解酵素等が挙げられる。
リアーゼとしてはアルギン酸リアーゼ、アルドラーゼ、セリンデヒドラターゼ等が挙げられる。
イソメラーゼとしてはUDP-グルコース−4−エピメラーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ等が挙げられる。
【0016】
成分(B)として好ましいものは、ヒドラーゼ又はリアーゼであり、更に好ましくは、タンパク質分解酵素、グルカナーゼ又はアルギン酸リアーゼである。
成分(B)である酵素の重量濃度は特に制限されるものではなく、その種類により適宜選択が可能であるが、経済性と効果の観点から、使用時において、0.01〜20,000ppm、好ましくは0.1〜2,000ppm、更に好ましくは1〜200ppmである。
【0017】
本発明の成分(A)は、疎水性が高く水への溶解性が低いために、界面活性剤〔以下成分(C)とも言う〕を用いて水系中に安定的に存在させることにより、水系において本剤をより効果的に利用することが可能になる。ここで「水系中に安定的に存在する」とは、疎水性の高い成分(A)が、長期的に分離することなく乳化・分散・可溶化している状態を云い、これにより、水系の単位体積当たり、より多量の成分(A)を乳化・分散・可溶化できるようになる。
本発明に利用できる界面活性剤の種類は特に限定されないが、成分(A)を水系中に安定的に存在させることができ、成分(B)である酵素を変性させない界面活性剤の利用が望ましい。特に成分(A)の乳化・分散・可溶化性能の観点から、界面活性剤の中で陰イオン界面活性剤、成分(A)以外の非イオン界面活性剤、又は両性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0018】
陰イオン性界面活性剤としては、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン(以下、POEと記す)アルキルスルホン酸塩、POEアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、POEアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、POEアリールフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、POEアルキル硫酸エステル塩、POEアリールフェニルエーテルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、POEトリベンジルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、POEトリベンジルフェニルエーテルリン酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩(石けん)、POEアルキルエーテル酢酸塩等が挙げられ、中でもアルキル硫酸エステル塩やPOEアルキル硫酸エステル塩又はPOEアルキルエーテル酢酸塩を用いることがより好ましい。
【0019】
非イオン性界面活性剤としては、POEアルキルエーテル〔但し、成分(A)を除く〕、POEアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン・POE(ブロック又はランダム)アルキルエーテル、POEアリールフェニルエーテル、POEスチレン化フェニルエーテル、POEトリベンジルフェニルエーテル等の1価アルコール誘導体型非イオン性界面活性剤、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸アルカノールアミド等の多価アルコール誘導体型非イオン性界面活性剤等が挙げられ、中でもPOEアルキルエーテル〔但し、成分(A)を除く〕、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル又はPOEソルビタン脂肪酸エステルを用いることがより好ましい。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン、脂肪酸アミドベタイン、アミンオキシド等が挙げられ、中でもアミンオキシドを用いることが好ましい。
界面活性剤は単独で、あるいはより乳化・分散・可溶化性能を高めるために2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
バイオフィルム制御剤組成物中の成分(A)と成分(B)の重量比率(A)/(B)は1,000,000/1〜1/20,000が好ましく、10,000/1〜1/1,000がより好ましく、1,000/1〜1/100が更に好ましく、特に100/1〜1/10が好ましい。
また、バイオフィルム制御剤組成物は、成分(A)を好ましくは0.005〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%含み、そして成分(B)を好ましくは0.0001〜10重量%、より好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは 0.01〜2重量%含む。また、バイオフィルム制御剤組成物は(C)界面活性剤を0.01〜50重量%、更に0.1〜20重量%含むのが好ましい。
バイオフィルム制御剤組成物中の成分(A)と成分(C)の有効分重量比率(A)/(C)は10/1〜1/100が好ましく、5/1〜1/50がより好ましく、2/1〜1/50が更に好ましく、特に1/1〜1/20が好ましい。
本発明のバイオフィルム制御剤組成物の作用系内への成分(A)、(B)の添加方法は、成分(A)と成分(B)を別々に上述の濃度になるよう添加しても良いし、予め成分(A)と成分(B)を配合した組成物を作成しておき、それを系内に添加することも可能である。また、一般式(1)、(2)又は(3)の化合物を原料とした誘導体を添加し、系内で加水分解などの反応により成分(A)を生成させても良い。
【0021】
本発明組成物の成分(A)と成分(B)を予め配合した組成物とする場合の形態としては、液状、ペースト、粉末、タブレットなど、用途に応じて様々な形態をとることが可能である。バイオフィルム制御剤組成物は全ての成分が混在した1剤型でも良いが、使い勝手によってはそれをいくつかの分割パッケージにしても良い。
【0022】
バイオフィルム制御剤組成物を、予め水を溶剤とした高濃度の液状組成物にする場合は、保管中における成分(B)の酵素活性失活を防止し、その効果を維持する目的で酵素安定化剤〔以下成分(D)とも言う〕を用いることができる。酵素安定化剤としては、ホウ酸若しくはその塩、又はホウ砂などのホウ素化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールなどのポリオール類;ギ酸若しくはその塩、酢酸若しくはその塩などの短鎖のカルボニル化合物;酢酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウムなどの水溶性カルシウム化合物が挙げられ、これらの酵素安定化剤から1種類以上を選択して使用することができる。これらの中で好ましいのは、ホウ酸又はその塩、ポリオール類、ギ酸又はその塩、及び水溶性カルシウム化合物であり、更に好ましいのは、ホウ酸又はその塩、及びポリオール類である。特に、ホウ酸又はその塩とポリオールを併用して用いることが好ましい。
成分(D)は、好ましくはバイオフィルム制御剤組成物中に0.01〜20重量%、更に0.1〜15重量%含まれる。
【0023】
本発明のバイオフィルム制御剤組成物は、菌体及び菌が産生する高分子物質から成るバイオフィルムの産生を抑制すると共に、既に形成され対象物表面に付着したバイオフィルムを除去するものであり、これらの効果を同時に発揮することで対象物表面のバイオフィルム付着を制御し、清浄化あるいは清浄を維持する剤であって、菌そのものを殺滅するものではない。菌の殺滅を目的として、殺菌剤や抗菌剤と併用することも可能である。一般にバイオフィルムが形成すると殺菌剤が効きにくい状況が起こるが、本発明組成物によってバイオフィルムの形成が抑制されると共に、バイオフィルムが除去されることにより、殺菌剤の効力を十分に引き出すことが可能となる。
【0024】
本発明に使用し得る殺菌剤は、特に限定されるものではないが、成分(B)である酵素を変性させたり、酵素活性を失活するものは好ましくない。好ましいものとしては、例えば、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロカルバン、イソプロピルメチルフェノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。また、本発明のバイオフィルム制御剤組成物を作用させた後であれば、バイオフィルムに殺菌効果を阻害されることなくあらゆる殺菌剤が効果的に使用可能となる。
【0025】
本発明のバイオフィルム制御剤組成物に本発明の目的を損なわない範囲で、バイオフィルム以外のタンパク質、でんぷん、油脂、水アカなどの有機汚れや泥、スケールなど無機汚れを洗浄する目的で、洗浄性を向上する成分を配合することが可能である。このような成分としては、例えば、アルカリ剤、アルカリビルダー、金属捕捉剤、分散剤が挙げられる。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリビルダーとしては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどが挙げられる。金属捕捉剤としては、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、イミノジコハク酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、アミノメチルグリシンジ酢酸塩などのアミノカルボン酸誘導体、ポリアクリル酸及び/又はその塩、ポリアクリル酸/マレイン酸共重合体及び/又はその塩などの高分子電解質系化合物、トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩、ピロリン酸塩などのリン酸系化合物、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及び/又はその塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)及び/又はその塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及び/又はその塩などのホスホン酸系化合物、A型ゼオライト、B型ゼオライトなどのアルミノケイ酸などが挙げられる。その他の添加可能な成分として、層状ケイ酸塩、クエン酸及び/又はその塩、アスパラギン酸及び/又はその塩、グルタミン酸及び/又はその塩が挙げられる。
【0026】
更に、本発明の目的を損なわない範囲で、増粘剤、粘度調整剤、溶剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、蛍光剤、賦形剤、ソイルリリーズ剤、漂白剤、漂白活性化剤、粉末化剤、造粒剤、コーティング剤などを配合することができる。
【0027】
本発明のバイオフィルム制御剤組成物はpH2〜12、好ましくはpH4〜11、更に好ましくはpH5〜11の範囲で使用することが好ましい。
【0028】
本発明のバイオフィルム制御剤組成物は水系で水希釈物として用いるのが効果的である。このバイオフィルム制御剤組成物の水希釈物に対象物を接触させるようにして使用する。本発明のバイオフィルム制御剤組成物を用いる場合、拭き取り、ブラッシング、水流などの物理力なしに対象物からバイオフィルムを除去することが可能であるが、短時間でのバイオフィルム除去のために前記のような物理力を併用してもよい。対象物が広範に亘る場合にはスプレー機器を用いてミストを吹き付けたり、発泡機を用いて泡状にしたものを吹き付けたりしても良い。又、該組成物の水希釈物を流したり、はけ等により塗布してもよい。その他、タオルなどに該水希釈液を含浸させて、対象物を拭き取っても良い。微生物と接触させる条件が満足されるならば、微生物が存在しうる表面に該組成物の水希釈液を付着させたり、塗り付けたりすることも可能である。該組成物の水希釈液は、その使用時の成分(A)の重量濃度を1〜10,000ppmとするのが好ましい。
また、対象物によっては水希釈系にせず、クリーム状や軟膏にして塗り広げることも可能である。この場合、成分(A)は適切な溶媒に溶解、分散、乳化された形状で提供され、使用時の成分(A)の重量濃度が1〜10,000ppmとなるようにすることが好ましい。
【0029】
本発明はまた、バイオフィルム制御剤組成物を微生物と接触させてバイオフィルムの生成を抑制すると共に、既に形成されたバイオフィルムを除去する方法を提供するものである。ここでバイオフィルム制御剤組成物と微生物との接触は連続して行うのが好ましい。
本発明品はバイオフィルムの危害が懸念される広い分野に使用することが可能である。例えば菌汚染リスクの高い食品製造又は飲料製造プラント用洗浄剤、キッチン又は厨房などの排水溝、排水管に応用できる。また、産業用の冷却タワーなどの冷却水系、脱塩装置、パルプ及び紙製造系や浴槽、プール、人工池などの循環水系路に応用できる。バイオフィルムが形成しやすい医療機器、例えば内視鏡やカテーテル、人工透析機等、の洗浄剤にも応用できる。更に、高い安全性を有することから、ヒト対象の洗浄剤、歯磨き剤、口腔ケア剤、入れ歯ケア剤、コンタクトレンズ洗浄剤などに使用することも可能である。
【実施例】
【0030】
実施例1:バイオフィルム制御剤組成物の配合およびバイオフィルム形成抑制能の検定
成分(A)
1−SH (1)
(A-1)C8チオール〔1−オクタンチオール、和光純薬工業(株)製、R1=C8アルキル〕
(A-2)C10チオール〔1−デカンチオール、和光純薬工業(株)製、R1=C10アルキル〕
(A-3)C12チオール〔チオカルコール20、花王(株)製、R1=C12アルキル〕
(A-4)C12チオール(3級)〔t−ドデカンチオール、和光純薬工業(株)製、R1=C12アルキル〕
【0031】
2O−CO−CH3 (2)
(A-5)C8アルコール−酢酸エステル〔酢酸オクチル、和光純薬工業(株)製、R2=C8アルキル〕
(A-6)C10アルコール−酢酸エステル〔酢酸デシル、和光純薬工業(株)製、R2=C10アルキル〕
(A-7)C12アルコール−酢酸エステル〔酢酸ドデシル、和光純薬工業(株)製、R2=C12 アルキル〕
【0032】
【化4】

【0033】
(A-8)C8アミン〔ファーミン08D、花王(株)製、R4=C8アルキル、m+n=0〕
(A-9)C10アミン〔デシルアミン、和光純薬工業(株)製、R4=C10アルキル、m+n=0〕
(A-10)C12アミン〔ファーミン20D、花王(株)製、R4=C12アルキル、m+n=0〕
(A-11)C12アミン塩酸塩〔ドデシルアミン塩酸塩、和光純薬工業(株)製、R4=C12、m +n=0〕
(A-12)ココアミン〔ファーミンCS、花王(株)製、R4=C8−14アルキル(ココヤシ組成 )、m+n=0〕
(A-13)ココアミン酢酸塩〔アセタミン24、花王(株)製、R4=C8−14アルキル(ココヤ シ組成)、m+n=0〕
(A-14)ココアミンエチレンオキサイド2モル付加物〔アミート102、花王(株)製、R4=C 8−14アルキル(ココヤシ組成)、m+n=2〕
(A-15)ココアミンエチレンオキサイド5モル付加物〔アミート105、花王(株)製、R4=C 8−14アルキル(ココヤシ組成)、m+n=5〕
【0034】
成分(A’)
1'−SH
(A'-1)C3チオール〔1−プロパンチオール、和光純薬工業(株)製、R1’=C3アルキル〕
(A'-2)C3チオール(2級)〔2−プロパンチオール、和光純薬工業(株)製、R1’=C3アルキル〕
(A'-3)C6チオール〔1−ヘキサンチオール、和光純薬工業(株)製、R1’=C6アルキル〕
(A'-4)C16チオール〔1−ヘキサデカンチオール、和光純薬工業(株)製、R1’=C16アルキル〕
(A'-5)C18チオール〔1−オクタデカンチオール、和光純薬工業(株)製、R1’=C18アルキル〕
【0035】
2’O−CO−CH3
(A'-6)C2アルコール−酢酸エステル〔酢酸エチル、和光純薬工業(株)製、 R2’=C2アルキル〕
(A'-7)C4アルコール−酢酸エステル〔酢酸ブチル、和光純薬工業(株)製、 R2’=C4アルキル〕
(A'-8)C6アルコール−酢酸エステル〔酢酸ヘキシル、和光純薬工業(株)製、R2’=C6アルキル〕
(A'-9)C16アルコール−酢酸エステル〔酢酸ヘキサデシル、和光純薬工業(株)製、R2’=C16アルキル〕
(A'-10)C18アルコール−酢酸エステル〔酢酸オクタデシル、和光純薬工業(株)製、R2’=C18アルキル〕
【0036】
【化5】

【0037】
(A'-11)C3アミン〔プロピルアミン、和光純薬工業(株)製、R4’=C3アルキル、m+n=0〕
(A'-12)C3アミン塩酸塩〔プロピルアミン塩酸塩、和光純薬工業(株)製、R4’=C3アル キル、m+n=0〕
(A'-13)C6アミン〔ヘキシルアミン、和光純薬工業(株)製、R4’=C6アルキル、m+n=0〕
(A'-14)C6アミン塩酸塩〔ヘキシルアミン塩酸塩、和光純薬工業(株)製、R4’=C6アル キル、m+n=0〕
(A'-15)硬化タローアミン〔ファーミン86T、花王(株)製、R4’=C16,18アル キル、m+n=0〕
(A'-16)C18アミン〔ファーミン80、花王(株)製、R4’=C18アルキル、m+n=0〕
(A'-17)オレイルアミン〔ファーミンO、花王(株)製、R4’=C18アルケニル、m+n=0〕
(A'-18)硬化タローアミン エチレンオキサイド2モル付加物〔アミート302、花王(株)製 、R4’=C16,18アルキル、m+n=2〕
(A'-19)硬化タローアミン エチレンオキサイド20モル付加物〔アミート320、花王(株) 製、R4’=C16,18アルキル、m+n=20〕
【0038】
成分(B)酵素
(B-1) タンパク質分解酵素 〔アルカラーゼ2.5L,TypeDX、ノボザイムズ(株)製〕
(B-2) タンパク質分解酵素 〔サビナーゼ16L,TypeEX、ノボザイムズ(株)製〕
(B-3) グルカナーゼとタンパク質分解酵素との混合物〔ツニカーゼFN、大和化成(株)製〕
(B-4) アルギン酸リアーゼ〔アルギン酸リアーゼ S、ナガセケムテックス(株)製〕
(B-5) デキストラナーゼ 〔デキストラナーゼ L「アマノ」、天野エンザイム(株)製〕
(B-6) アミラーゼ 〔デュラミル、ノボザイムズ(株)製〕
【0039】
成分(C)界面活性剤〔( )内の数字はエチレンオキシド平均付加モル数を示す。〕
<陰イオン界面活性剤>
(C-1)ラウリル硫酸ナトリウム〔エマール0、花王(株)製〕
(C-2)ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム〔エマール20C、花王(株)製〕
<非イオン性界面活性剤>
(C-3)ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル〔エマルゲン120、花王(株)製〕
(C-4)ラウリルグリコシド〔マイドール12、花王(株)製〕
(C-5)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〔レオドールTW−L120、花王(株)製〕
<両性界面活性剤>
(C-6)ラウリルジメチルアミンオキシド〔アンヒトール20N、花王(株)製〕
【0040】
成分(A)又は(A’)を1重量%(有効分)に固定し、成分(B)を1重量%(見かけ)、成分(C)を1重量%、3重量%、6重量%、10重量%(有効分)から選ばれる濃度にし、残部をイオン交換水で配合して表1〜3に示す配合物とした。この配合物を、ミューラーヒントン培地〔日本ベクトン・ディッキンソン(株)製〕を用いて1重量%に希釈したものを24ウェルマイクロプレート〔旭テクノグラス(株)製〕に2mL計りとった。
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)、セラチア菌(Serratia marcescens NBRC12648)、クレブシェラ菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)をそれぞれ大豆−カゼインダイジェストアガー(Soybean-Casein Digest Agar)〔SCD寒天培地:日本製薬(株)製〕を用いて、37℃、24時間前培養してコロニー形成したものから極少量の菌塊を、滅菌済みの竹串を用いて、前述のマイクロプレート内の試験溶液に接種した。これを37℃、48時間培養後に培養液を廃棄して、マイクロプレート壁に付着したバイオフィルムの形成状態を目視によって観察した。バイオフィルムの状態は、バイオフィルムがプレート壁面の0〜20%を覆った状態を◎、20〜40%を覆った状態を○、40〜60%を覆った状態を△、60%以上を覆った状態を×とした。結果を表1〜3に示す。
本発明品を用いた場合、バイオフィルム形成を著しく抑制できることが確認できた。
【0041】
実施例2:バイオフィルム制御剤組成物の配合およびバイオフィルム除去能の検定
成分(A)又は(A’)を1重量%(有効分)に固定し、成分(B)を1重量%(見かけ)、成分(C)として1重量%、3重量%、6重量%、10重量%(有効分)から選ばれる濃度にし、残部をイオン交換水で配合して表1〜3に示す配合組成物とした。この配合組成物をイオン交換水で1重量%に希釈してバイオフィルム制御剤を調製した。
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)、セラチア菌(Serratia marcescens NBRC12648)、クレブシェラ菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)をそれぞれ大豆−カゼインダイジェストアガー(Soybean-Casein Digest Agar)〔SCD寒天培地:日本製薬(株)製〕を用いて、37℃、24時間の前培養してコロニー形成したものから極少量の菌塊を、滅菌済みの竹串を用いて、ミューラーヒントン培地を各2mL注加した24ウェルマイクロプレート内に接種した。これを37℃、48時間培養後に培養液を廃棄してマイクロプレート壁にバイオフィルムを形成、付着させた。ただちに、調製したバイオフィルム制御剤を2mL注加し、40℃で20分間作用させた後、バイオフィルム制御剤を廃棄してマイクロプレート壁のバイオフィルムの残存状態を目視によって観察した。バイオフィルムの残存状態は、バイオフィルムがプレート壁面を0〜20%覆った状態を◎、20〜40%覆った状態を○、40〜60%覆った状態を△、60%以上覆った状態を×とした。結果を表1〜3に示した。
本発明品を用いた場合、バイオフィルムを容易に除去できることが確認できた。酵素を配合した比較品においては、ある程度の効果は認められるものの、完全ではなかった。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
実施例3:シリコンチューブでのバイオフィルム制御試験
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)およびクレブシェラ菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)を大豆−カゼインダイジェストアガー(Soybean-Casein Digest Agar)〔SCD寒天培地:日本製薬(株)製〕を用いて37℃24時間の前培養を行った。1Lのミューラーヒントン培地(ベクトン・ディッキンソン)中に前記の寒天培地上の細菌コロニーを1白金耳接種し、コール−パーマーインストルメント(株)(Cole-Parmer Instrument Company)製のマスターフレックス(Masterflex)定量ポンプシステム(システムモデルNo.7553-80、ヘッドNo.7016-21)を用い、アラム(株)製シリコンチューブ(内径5mm、外径7mm)に細菌を懸濁させた培養液を流量50〜60mL/分として30℃で48時間循環させ、シリコンチューブ内表面にバイオフィルムを形成させた。培養液を廃棄し、実施例1における本発明品3,7及び10、ならびに比較品1、8、20、25及び30を0.25重量%、1重量%、さらに、ミューラヒントン培地を10重量%となるようにイオン交換水で調製した。コントロールとしてミューラヒントン培地を10重量%液(配合物未添加)を同様に試験した。
流量50〜60mL/分として30℃で循環させ、0(処理前)、5、12、24、48時間後シリコンチューブ内へのバイオフィルム形成を目視で確認した。バイオフィルム形成状態は、全く形成のないものを○、バイオフィルムが形成開始してシリコンチューブ内表面がやや色づいたものを△、明らかにバイオフィルムが形成したものを×とした。
結果を緑膿菌については表4−1に、及びクレブシェラ菌については表4−2に示す。
【0046】
【表4−1】

【0047】
【表4−2】

【0048】
本発明品を用いた場合、シリコンチューブ内表面に付着したバイオフィルムを効果的に除去するとともに、新たなバイオフィルムの形成は認められず、すぐれたバイオフィルム制御能を有しており、また、界面活性剤のみの比較品では効果が全くないことより、界面活性剤の洗浄効果によるものではないことが確認できた。すなわち、バイオフィルム生成抑制効果と除去効果を同時に有効に働かせることが、バイオフィルム制御に重要であることが判る。一方、比較品は、酵素配合品(比較品1、20、25)において一時的に僅かな効果を示すものの、すぐに新たなバイオフィルムを形成した。
【0049】
実施例4:バイオフィルム制御剤組成物の40℃、1ヶ月保存品のバイオフィルム制御試験
表5に示すバイオフィルム組成物を配合し、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)を用いて実施例3と同様の試験を行った。その結果を表5に示す。
【0050】
【表5】

【0051】
酵素安定化剤を配合したバイオフィルム制御剤組成物(本発明品16〜22)は、40℃、1ヶ月保存後においても配合直後と同様の効果が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び成分(B):
(A)一般式(1)、(2)及び(3)
【化1】

(式中、R1、R2、R4は炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R3は水素原子または炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、mとnは平均付加モル数であり、m+nは0〜15の数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物
(B) 酵素
を含有するバイオフィルム制御剤組成物。
【請求項2】
更に、成分(A)以外の(C)界面活性剤を含有する請求項1記載のバイオフィルム制御剤組成物。
【請求項3】
(C)界面活性剤が陰イオン性界面活性剤及び成分(A)以外の非イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上である請求項2記載のバイオフィルム制御剤組成物。
【請求項4】
成分(B)がヒドラーゼ(加水分解酵素)及びリアーゼ(異性化酵素)からなる群より選ばれる1種以上の酵素である請求項1〜3の何れか1項記載のバイオフィルム制御剤組成物。
【請求項5】
更に、(D)酵素安定化剤を含有する請求項1〜4の何れか1項記載のバイオフィルム制御剤組成物。
【請求項6】
(D)酵素安定化剤が、ホウ酸またはその塩、ポリオール、ギ酸またはその塩、及び水溶性カルシウム含有化合物からなる群より選ばれる1種以上である請求項5記載のバイオフィルム制御剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項記載のバイオフィルム制御剤組成物を微生物と接触させてバイオフィルムの生成を抑制すると共に、既に形成されたバイオフィルムを除去する方法。

【公開番号】特開2008−137917(P2008−137917A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323884(P2006−323884)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】