説明

バルブアッセンブリ及び圧力容器

【課題】寿命に到達したときに強制的に実用に耐えなくするバルブアッセンブリ及び圧力容器。
【解決手段】バルブアッセンブリ4は、燃料を貯留する圧力容器1に着脱可能に取り付けられたものであり、圧力容器1の内部と外部とを連通する燃料用の流路42と、バルブアッセンブリ4の寿命到達時に、流路42の流路面積を制限する時限式制限装置200と、を備える。流路42は、燃料電池104への供給流路である。時限式制限装置200は、ピストン203の位置により流路42の流路面積を可変し、流路42を完全に閉塞しないように流路面積を制限することで、燃料電池自動車100の退避走行を可能にさせる。ピストン203の移動は、可溶合金201を溶融することで行うか、疲労材301を疲労破壊させることで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブアッセンブリ、及びこれを着脱実在に取り付けた圧力容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力容器として、燃料電池自動車に搭載される水素タンク(特許文献1参照)や、天然ガス自動車に搭載されるボンベ(特許文献2参照)が知られている。これら圧力容器への燃料の充填作業が繰り返し行われると、圧力容器が劣化する。そこで、特許文献1に記載のシステムでは、耐用年数(寿命)を過ぎた水素タンクが使用されるのを防止するべく、水素タンクへの水素ガスの充填回数を計数し、それが耐久性能を考慮した回数に達している場合に警報を発するようにしている。また、特許文献2に記載のシステムでは、バーコードからボンベの使用有効期限を読み取り、それが過ぎている場合に警報を発するようにしている。一方、特許文献3に記載のように、弁の寿命を知らせる装置も知られている。この装置は、所定の操作回数で疲労破壊に至るコイルバネを弁内に挿入しておき、コイルバネの疲労破壊を介して弁の寿命を検出するというものである。
【特許文献1】特開2003−28393号公報
【特許文献2】特開平5−288300号公報
【特許文献3】特開昭64−46083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、遮断弁や逆止弁などの各種のバルブを組み込んで一つのバルブアッセンブリを構成し、このバルブアッセンブリを水素タンク等の口金に着脱自在に取り付けることが提案されている。バルブアッセンブリのボディーやバルブにも耐用年数はあるが、その経過前に交換や修理等に供されれば、耐用年数経過後のバルブアッセンブリが使用されることはない。しかし、バルブアッセンブリが寿命に到達したことは、外観上判断し難い。このため、例えば、一の車両におけるバルブアッセンブリが別の車両に載せ替えられた場合、耐用年数を大幅に越えて使用される可能性がある。また、従来のように耐用年数が経過したことの警報を発するだけでは、耐用年数経過後も経過前と同じようにバルブアッセンブリが使用される可能性がある。
【0004】
本発明は、寿命に到達したときに強制的に実用に耐えなくするバルブアッセンブリ及び圧力容器を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のバルブアッセンブリは、燃料を貯留する圧力容器に着脱可能に取り付けられたものにおいて、圧力容器の内部と外部とを連通する燃料用の流路と、バルブアッセンブリの寿命到達時に流路の流路面積を制限する時限式制限装置と、を備えたものである。
【0006】
本発明によれば、寿命到達時に、流路を流れる燃料の量を制限することができる。これにより、寿命到達時、バルブアッセンブリが通常通り(正常に)用いられることを強制的に抑制でき、実用に耐えなくすることが可能となる。
【0007】
本発明の好ましい一態様によれば、流路は、圧力容器内から圧力容器外の機器へと燃料を供給するための供給流路であるとよい。
【0008】
この構成によれば、寿命到達時に、燃料の供給先である機器に対して、燃料を通常通り供給することができなくなる。これにより、機器は燃料不足の状態となるので、機器の出力が低下するなど、実用に耐えられない仕様へと強制的に変更できる。
【0009】
本発明の好ましい別の態様によれば、流路は、圧力容器外から圧力容器内へと燃料を充填するための充填流路であってもよい。これにより、寿命に到達したとき、圧力容器への燃料の充填量を抑制できる。
【0010】
好ましくは、時限式制限装置は、流路を完全に閉塞しないように流路面積を制限するとよい。
【0011】
この構成によれば、寿命に到達したとき、寿命到達前に対して、圧力容器からの燃料供給量又は圧力容器への充填量等が抑制されるとはいえ、圧力容器からの燃料の供給や圧力容器への充填を確保することができる。これにより、圧力容器が燃料源として例えば車両等に搭載されている場合、車両を修理工場等に自走させることも可能となる。
【0012】
本発明の好ましい一態様による時限式制限装置は、所定温度で溶融する可溶体と、可溶体を加熱する熱源と、可溶体の溶融前には可溶体により可動を規制されて流路面積を制限しない位置にあると共に、可溶体の溶融後には規制の解除により可動して流路面積を制限する可動体と、寿命到達時に熱源の温度を所定温度以上に設定する制御部と、を有する。
【0013】
この構成によれば、バルブアッセンブリが寿命に到達すると、熱源が加熱されて可溶体が溶融し、可動体が可動して流路面積を制限する。これにより、電気的に流路面積を制限することが可能となる。
【0014】
より好ましくは、制御部は、圧力容器内への燃料の充填回数をカウントし、そのカウント数が所定数に達しときに、熱源の温度を所定温度以上に設定するとよい。
【0015】
こうすることで、寿命との関連性が高いパラメータ(燃料の充填回数)をトリガとして、寿命到達時に流路面積を制限することができる。
【0016】
好ましくは、圧力容器は、燃料として、外圧よりも高い圧力のガスを内部に貯留しており、可動体は、可溶体の溶融後に、少なくとも圧力容器内のガス圧によって可動するとよい。
【0017】
この構成によれば、寿命到達時に、圧力容器内のガスを有効に利用して可動体を可動させることができる。
【0018】
本発明の好ましい別の態様による時限式制限装置は、バルブアッセンブリの寿命に到達したときに破断する疲労材と、疲労材の破断前には疲労材により可動を規制されて流路面積を制限しない位置にあると共に、疲労材の破断後には規制の解除により可動して流路面積を制限する可動体と、を有する。
【0019】
この構成によれば、寿命に到達すると、疲労材が疲労破壊に至り、可動体が可動して流路面積を制限する。これにより、機械的な構成だけで流路面積の制限が可能となるので、製造コストを低減できる。
【0020】
好ましくは、疲労材は、圧力容器内に充填する燃料の目標充填回数の近傍で破断するように構成されているとよい。
【0021】
この構成によれば、目標充填回数を大幅に超えた使用を制限できる。なお、このようなタイミングで疲労破壊させる疲労材の設計は、S−N曲線を取得することで可能である。
【0022】
より好ましくは、圧力容器は、燃料として、外圧よりも高い圧力のガスを内部に貯留しており、可動体は、疲労材の破断後に、少なくとも圧力容器内のガス圧によって可動するとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明のバルブアッセンブリによれば、耐用年数経過後に強制的に実用に耐えなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係るバルブアッセンブリ及び圧力容器について説明する。ここでは、圧力容器として高圧タンクを例に説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る高圧タンクを搭載した燃料電池自動車を示す図である。
燃料電池自動車100は、例えば3つの高圧タンク1を車体のリア部に搭載する。各高圧タンク1は、燃料電池システムの一部を構成し、ガス供給ライン102を通じて燃料電池104に燃料ガスを供給可能に構成される。高圧タンク1に貯留される燃料ガスは、自動車100外部のガスステーション105等からガス充填ライン106を経て高圧タンク1に供給される。燃料ガスは、可燃性の高圧ガスであり、例えば圧縮天然ガス又は水素ガスである。なお、高圧タンク1は、燃料電池自動車のみならず、電気自動車、ハイブリッド自動車などの車両のほか、各種移動体(例えば、船舶や飛行機、ロボットなど)や定置型にも適用できる。
【0026】
図2は、高圧タンク1を一部裁断して示すと共にバルブアッセンブリの回路系統の一例を示す図である。
高圧タンク1は、タンク本体2及び口金3を有すると共に、口金3にバルブアッセンブリ4が着脱可能にねじ込み接続されている。
【0027】
タンク本体2は、全体として密閉円筒状からなり、例えば樹脂ライナー6及びCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)層7の二層構造を備えている。タンク本体2の内部は、燃料ガスを常圧(外圧)よりも高い圧力(すなわち高圧)で貯留する貯留空間5を構成している。例えば35MPaあるいは70MPaの水素ガス、または20MPaの圧縮天然ガスが貯留空間6に貯留される。以下では、高圧タンク1が貯留する高圧ガスとして水素ガスを例に説明する。
【0028】
口金3は、アルミニウム等の金属で形成され、タンク本体2のタンク本体2の長手方向の一端部又は両端部に位置する。口金3は、タンク本体2の軸線上に軸心を有する開口部を備えており、この開口部にバルブアッセンブリ4の一部が挿入される。挿入されたバルブアッセンブリ4は、開口部の内周面に形成されためねじ9に螺合する。
【0029】
バルブアッセンブリ4は、外部のガス充填ライン106に接続される充填流路41と、外部のガス供給ライン102に接続される供給流路42と、を有している。充填流路41及び供給流路42は、貯留空間5に連通しており、それぞれ、高圧タンク1の内部と外部とを連通する水素ガス用の流路として機能している。高圧タンク1内への水素ガスの充填は、ガス充填ライン106から充填流路41を経て行われる一方、高圧タンク1から燃料電池104への水素ガスの供給は、供給流路42からガス供給ライン102を経て行われる。
【0030】
充填流路41には、水素ガスの逆流を阻止するための逆止弁51と、逆止弁51と直列に配置された手動弁52と、が設けられている。一方、供給流路42には、貯留空間5側から順に、水素ガス中の異物を捕捉するフィルタ61と、電磁弁である遮断弁62と、手動弁63と、水素ガス圧を減圧する調圧弁64と、が設けられている。
【0031】
バルブアッセンブリ4のボディー71(ハウジング)には、充填流路41及び供給流路42が形成されると共に、これら流路41,42に設けられる各種の弁(51,52,61,62,63)が組み込まれている。ボディー71には、弁以外にもセンサや継手などのほか、後述する時限式制限装置200を組み込むことができる。ボディー71は、アルミニウム等の金属から形成され、その外周面には、めねじ9に螺合するおねじ72が形成されている。このねじ部分における螺合によって、バルブアッセンブリ4は口金3にねじ込み接続され、高圧タンク1の内外に亘るようにこれに取り付けられることになる。
【0032】
次に、図3及び図4を参照して、時限式制限装置200について説明する。
時限式制限装置200は、その機械的構造部分が供給流路42に設けられる。時限式制限装置200は、バルブアッセンブリ4が寿命に到達したとき(以下、「寿命到達時」という。)に作動して、図3に示す状態から図4に示す状態となり、供給流路42の流路面積を制限する。
【0033】
時限式制限装置200は、可溶合金201、ヒータ202、ピストン203及び制御部204を有している。
可溶合金201は、はんだ等の低融点合金を用いて円柱状に形成された可溶体であり、所定の温度で溶融する。ヒータ202は、可溶合金201の近傍においてその周囲を囲繞するように配設され、可溶合金201を加熱する熱源として機能する。ヒータ202は、ハーネス205を介して制御部204に接続されており、その加熱温度が制御部204によって制御される。取付け部材206は、ヒータ202を内部に組み込んでいる。また、取付け部材206内の収容空間207には、可溶合金201が収容されている。取付け部材206の外周面にはおねじ208が形成されており、おねじ208がボディー71のめねじ209にねじ込み接続されることで、取付け部材206がボディー71に着脱可能に取り付けられる。
【0034】
ピストン203(可動体)は、摺動部211と、摺動部211よりも縮径された棒状の縮径部212と、で構成されている。縮径部212の一部は、収容空間207に収容されている。摺動部211は、ボディー71内の筒状の空間214に収容され、空間214を画成する内壁216に対して摺動可能に構成されている。摺動部211の内部には、L字状の流路218が形成されており、流路218の両端は空間214内で開放している。内壁216には、二つのOリング221,222が設けられ、Oリング221,222によって、内壁216と摺動部211の外周面との間がシールされる。
【0035】
空間214には、ピストン203と同軸にコイルバネ224が収容されており、ピストン203は、コイルバネ224によって可溶合金201に向かって付勢されている。また、空間214には、ガス入口226及びガス出口228が連通しており、水素ガスが、ガス入口226から空間214に流入し且つ空間214からガス出口228へと流出するようになっている。すなわち、ガス入口226、空間214及びガス出口228は、供給流路42の一部となっている。後述するように、ピストン203の位置によって、供給流路42の流路面積が変化する。
【0036】
制御部204は、内部にCPU,ROM,RAMを備えたマイクロコンピュータとして構成される。制御部204は、寿命到達時に、ヒータ202を通電させ、ヒータ202への温度を可溶合金201の溶融温度(所定温度)よりも高い温度に設定する。また、制御部204は、バルブアッセンブリ4の寿命をカウントする。ここでは、制御部204は、高圧タンク1内への水素ガスの充填回数をカウントし、そのカウント数が所定数(目標充填回数)に達したときに、バルブアッセンブリ4が寿命に到達したと判断する。なお、制御部204は燃料電池自動車100のECUで兼ねることができる。
【0037】
図3に示す寿命到達前では、可溶合金201は固体として存在する。ピストン203は、コイルバネ224による付勢力とタンク内圧とによって可溶合金201に向かって押されており、縮径部212の先端面が可溶合金201に当接して、その移動を規制されている。このとき、ピストン203内の流路218の下流側はガス出口228に面しており、供給流路42の流路面積は、ピストン203によって狭められることなく、最大となるようになっている。なお、水素ガスは、ガス入口226、空間214、流路218及びガス出口228を順に流れる。
【0038】
寿命到達時には、可溶合金201は、ヒータ202からの熱伝導により昇温され、所定温度になった時点で溶融する。溶融した可溶合金201は、図4に示すように、その一部が取付け部材206の開口部230に浸入すると共に、残りが収容空間207の底部231に滞留する。可溶合金201の溶融により、ピストン203の外部への移動規制が解除されるので、ピストン203はコイルバネ224の付勢力とタンク内圧とによって外部に向かって移動する。これにより、流路218の下流側がガス出口228から外れた位置に移動し、供給流路42の流路面積がピストン203によって狭められて制限されることになる。
【0039】
より詳細には、寿命到達前では、供給流路42の流路面積として、流路218の流路面積S1を確保できる。しかし、寿命到達後では、供給流路42の流路面積として、流路面積S1を確保できず、これよりも減少し、ピストン203の外周面と内壁216との間の流路面積S2となる。したがって、寿命到達後では、水素ガスは、ガス入口226から空間214を経てガス出口228に流れる際に、流路218を通過せずに、ピストン203の外周面と内壁216との間を通過するので、その流量が制限される。なお、寿命到達後、ピストン203は摺動部211が取付け部材206に突き当たる。
【0040】
以上説明した本実施形態の作用効果を述べる。
本実施形態のバルブアッセンブリ4によれば、寿命到達前では供給流路42の流路面積を最大限確保することができるので、燃料電池2の要求出力に応じた水素ガスをガス供給ライン102に供給することができる。一方、寿命到達時には、供給流路42の流路面積を制限するので、バルブアッセンブリ4が通常通り(正常に)用いられることを強制的に抑制できる。その結果、燃料電池104の要求出力に応じた水素ガスがガス供給ライン102に供給されなくなり、燃料電池104の出力及び燃料電池自動車100の出力が低下するなど、通常時の実用に耐えられない仕様へと強制的に変更できる。また、運転者に出力不足を実感させることができ、バルブアッセンブリ4の点検・交換を促すことができる。
【0041】
さらに、本実施形態によれば、寿命到達時に、供給流路42を完全に閉塞するのではなく、所定の流路面積S2を確保している。これにより、高圧タンク1から燃料電池104に水素ガスを供給し続けることができるので、燃料電池自動車100を走行させることが可能となる。この場合、寿命到達時に制限した供給流路42の流路面積は、燃料電池自動車100を修理工場等にまで退避走行可能な程度であるとよい。
【0042】
また、本実施形態によれば、寿命到達時に可溶合金201を溶融させるのに、寿命との関連性が高い充填回数をトリガとして用いることができる。なお、可溶合金201が溶融した時点で、制御部204はヒータ202への通電を停止するとよい。
【0043】
<第2実施形態>
次に、図5を参照して、第2実施形態に係る時限式制限装置300について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、バルブアッセンブリ4が寿命に到達したときに、ピストン203を機械的に移動させるようにしたことである。なお、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】
時限式制限装置300は、可溶合金201、ヒータ202及び制御部204の代わりに、取付け部材206の収容空間207に疲労材301を備える。疲労材301は、収容空間207の内壁に肩持ち支持されている。寿命到達前では、疲労材301の先端側には、ピストン203の縮径部212の先端面が当接する。このため、ピストン203の外部への移動が規制されるようになっている。またこのとき、図3と同様に、供給流路42の流路面積は、ピストン203によって狭められることなく、最大となるようになっている。
【0045】
上述のとおり、ピストン203には、コイルバネ224の付勢力のほかに、タンク内圧が作用する。水素ガスが高圧タンク1に充填される際、タンク内圧が上昇する。このため、疲労材301には、充填回数に応じた圧力サイクル負荷がピストン203を介して伝えられることになる。
【0046】
本実施形態では、このような事実に鑑み、疲労材301が、水素ガスの目標充填回数後に破断するように構成されている。この破断は疲労破壊によるものであるから、疲労材301を設計するに際しては、各種材料や大きさ等の疲労材301についてS−N曲線を予め取得すればよい。そして、そのS−N曲線から目標充填回数に相当する回数又はそれを僅かに超える回数で破断するように、疲労材301を設定すればよい。なお、目標充填回数は、バルブアッセンブリ4の寿命到達時に相当する回数である。
【0047】
寿命到達後に、疲労材301が疲労破壊により破断すると、今まで疲労材301によって移動を規制されていたピストン203は、その移動規制が解除される。その結果、ピストン203は、コイルバネ224の付勢力とタンク内圧とによって外部に向かって移動する。これにより、図4と同様に、供給流路42の流路面積が、ピストン203によって狭められて制限されることになる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のバルブアッセンブリ4によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、本実施形態によれば、時限式制限装置300の機械的な構成によって、バルブアッセンブリ4が目標充填回数を大幅に超えて使用されることを抑制でき、製造コストを低減することができる。
【0049】
なお、疲労材301を破壊させるタイミングについて目標充填回数を基準としたが、もちろん他の要素を基準としてもよい。要するに、疲労材301は寿命到達時に疲労破壊により破断するように構成されればよい。
【0050】
本実施形態の変形例として、図6に示す疲労材401を用いてもよい。疲労材401は、疲労材301よりも薄肉に形成され、収容空間207の内壁に両持ち支持される。このような疲労材401は、疲労破壊により、破裂するように破断することになる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上記した各実施形態では、寿命到達時に時限式制限装置200、300によって供給流路42の流路面積を制限したが、供給流路42に代えて、充填流路41の流路面積を制限してもよい。こうすることで、寿命到達時に、高圧タンク1への水素ガスの充填量を抑制できる。また、燃料ガスの例として水素ガスを例に説明したが、燃料が液体である場合にも、上記各実施形態を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1実施形態に係る圧力容器を搭載した燃料電池自動車を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るバルブアッセンブリを取り付けた圧力容器を一部裁断して示すと共にバルブアッセンブリの回路系統の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る時限式制限装置について、バルブアッセンブリの寿命経過前の状態を示す概略断面図である。
【図4】第1実施形態に係る時限式制限装置について、バルブアッセンブリの寿命経過後の状態を示す概略断面図である。
【図5】第2実施形態に係る時限式制限装置を示す概略断面図である。
【図6】第2実施形態の変形例に係る時限式制限装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1:高圧タンク、4:バルブアッセンブリ、41:充填通路、42:供給通路、200:時限式制限装置、201:可溶合金(可溶体)、202:ヒータ(熱源)、203:ピストン(可動体)、204:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を貯留する圧力容器に着脱可能に取り付けられたバルブアッセンブリにおいて、
前記圧力容器の内部と外部とを連通する燃料用の流路と、
当該バルブアッセンブリが寿命に到達したときに、前記流路の流路面積を制限する時限式制限装置と、
を備えた、バルブアッセンブリ。
【請求項2】
前記流路は、前記圧力容器内から当該圧力容器外の機器へと燃料を供給するための供給流路である、請求項1に記載のバルブアッセンブリ。
【請求項3】
前記時限式制限装置は、前記流路を完全に閉塞しないように前記流路面積を制限する、請求項1又は2に記載のバルブアッセンブリ。
【請求項4】
前記時限式制限装置は、
所定温度で溶融する可溶体と、
前記可溶体を加熱する熱源と、
前記可溶体の溶融前には当該可溶体により可動を規制されて前記流路面積を制限しない位置にあると共に、前記可溶体の溶融後には前記規制の解除により可動して前記流路面積を制限する可動体と、
当該バルブアッセンブリが寿命に到達したときに、前記熱源の温度を前記所定温度以上に設定する制御部と、
を有する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のバルブアッセンブリ。
【請求項5】
前記制御部は、前記圧力容器内への燃料の充填回数をカウントし、そのカウント数が所定数に達しときに、前記熱源の温度を前記所定温度以上に設定する、請求項4に記載のバルブアッセンブリ。
【請求項6】
前記圧力容器は、前記燃料として、外圧よりも高い圧力のガスを内部に貯留しており、
前記可動体は、前記可溶体の溶融後に、少なくとも前記圧力容器内のガス圧によって可動する、請求項4又は5に記載のバルブアッセンブリ。
【請求項7】
前記時限式制限装置は、
当該バルブアッセンブリが寿命に到達したときに破断する疲労材と、
前記疲労材の破断前には当該疲労材により可動を規制されて前記流路面積を制限しない位置にあると共に、前記疲労材の破断後には前記規制の解除により可動して前記流路面積を制限する可動体と、
を有する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のバルブアッセンブリ。
【請求項8】
前記疲労材は、前記圧力容器内に充填する燃料の目標充填回数の近傍で破断するように構成されている、請求項7に記載のバルブアッセンブリ。
【請求項9】
前記圧力容器は、前記燃料として、外圧よりも高い圧力のガスを内部に貯留しており、
前記可動体は、前記疲労材の破断後に、少なくとも前記圧力容器内のガス圧によって可動する、請求項8に記載のバルブアッセンブリ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載のバルブアッセンブリを備えた圧力容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−121510(P2009−121510A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293039(P2007−293039)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】