説明

パターン形成方法

【課題】 より微細なパターンを簡便かつ効率的に形成可能であり、半導体の製造プロセスに適用することのできる、実用性の高いパターン形成方法を提供することにある。
【解決手段】 少なくとも、(1)基板上に有機下層膜を成膜し、有機下層膜上にフォトレジストパターンを形成する工程と、(2)フォトレジストパターンに、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液を保持させ、その後過剰なアルカリ性溶液を除去する工程と、(3)フォトレジストパターンに、アルカリ性物質の作用により架橋可能なシロキサンポリマー溶液を塗布して、フォトレジストパターン近傍で架橋させて架橋部を形成する工程と、(4)未架橋のシロキサンポリマー及びフォトレジストパターンを除去する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側壁スペーサー法を用いたパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。
【0003】
しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのFリソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、Fリソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献1)。
【0004】
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA(開口数)1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44近くにまで上げることができる。当初、水温変化に伴う屈折率変化による解像性の劣化やフォーカスのシフトが指摘された。水温を1/100℃以内にコントロールすることと、露光によるレジスト膜からの発熱による影響もほぼ心配ないことが確認され、屈折率変化の問題が解決された。水中のマイクロバブルがパターン転写されることも危惧されたが、水の脱気を十分に行うことと、露光によるレジスト膜からのバブル発生の心配がないことが確認された。
【0005】
1980年代の液浸リソグラフィーの初期段階では、ステージを全て水に浸ける方式が提案されていたが、高速スキャナーの動作に対応するために投影レンズとウエハーの間のみに水を挿入し、水の給排水ノズルを備えたパーシャルフィル方式が採用された。水を用いた液浸によって原理的にはNAが1以上のレンズ設計が可能になったが、従来の屈折率系による光学系では巨大なレンズになってしまい、レンズが自身の自重によって変形してしまう問題が生じた。よりコンパクトなレンズ設計のために反射屈折(Catadioptric)光学系が提案され、NA1.0以上のレンズ設計が加速された。NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示され(非特許文献2)、更にはNA1.35のレンズの開発も行われている。
【0006】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化などが挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0007】
NA1.35レンズを使った水液浸リソグラフィーの最高NAで到達できる解像度は40〜38nmであり、32nmには到達できない。そこで更にNAを高めるための高屈折率材料の開発が行われている。レンズのNAの限界を決めるのは投影レンズ、液体、レジスト膜の中で最小の屈折率である。水液浸の場合、投影レンズ(合成石英で屈折率1.5)、レジスト膜(従来のメタクリレート系で屈折率1.7)に比べて水の屈折率が最も低く、水の屈折率によって投影レンズのNAが決まっていた。最近、屈折率1.65の高透明な液体が開発されてきている。この場合、合成石英による投影レンズの屈折率が最も低く、屈折率の高い投影レンズ材料を開発する必要がある。LUAG(LuAl12)は屈折率が2以上であり、最も期待される材料ではあるが、複屈折率と吸収が大きい問題を持っている。また、屈折率1.8以上の投影レンズ材料が開発されたとしても屈折率1.65の液体ではNAは1.55止まりであり、32nmを解像できない。
【0008】
32nmを解像するには屈折率1.8以上の液体が必要である。今のところ吸収と屈折率がトレードオフの関係にあり、このような材料は未だ見つかっていない。アルカン系化合物の場合、屈折率を上げるためには直鎖状よりは有橋環式化合物の方が好ましいが、環式化合物は粘度が高いために露光装置ステージの高速スキャンに追随できない問題も孕んでいる。また、屈折率1.8の液体が開発された場合、屈折率の最小がレジスト膜になるために、レジスト膜も1.8以上に高屈折率化する必要がある。
【0009】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献3)。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0010】
前述の方法では、ハードマスクを2回敷く必要があり、後者の方法ではハードマスクが1層で済むが、ラインパターンに比べて解像が困難なトレンチパターンを形成する必要がある。後者の方法では、トレンチパターンの形成にネガ型レジスト材料を使う方法がある。これだとポジパターンでラインを形成するのと同じ高コントラストの光を用いることができるが、ポジ型レジスト材料に比べてネガ型レジスト材料の方が溶解コントラストが低いために、ポジ型レジスト材料でラインを形成する場合に比較してネガ型レジスト材料で同じ寸法のトレンチパターンを形成した場合を比較するとネガ型レジスト材料を使った方が解像性が低い。後者の方法で、ポジ型レジスト材料を用いて広いトレンチパターンを形成してから、基板を加熱してトレンチパターンをシュリンクさせるサーマルフロー法や、現像後のトレンチパターンの上に水溶性膜をコートしてから加熱してレジスト膜表面を架橋させることによってトレンチをシュリンクさせるRELACS法を適用させることも考えられるが、プロキシミティーバイアスが劣化するという欠点やプロセスが更に煩雑化し、スループットが低下する欠点が生じる。
【0011】
前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
【0012】
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料が溶解しない炭素4以上の高級アルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使うため解像性の劣化が生じる。
【0013】
ダブルパターニングにおいて最もクリティカルな問題となるのは、1回目のパターンと2回目のパターンの合わせ精度である。位置ずれの大きさがラインの寸法のバラツキとなるために、例えば32nmのラインを10%の精度で形成しようとすると3.2nm以内の合わせ精度が必要となる。現状のスキャナーの合わせ精度が8nm程度であるので、大幅な精度の向上が必要である。
【0014】
スキャナーの合わせ精度の問題や、1つのパターンを2つに分割することが困難であるため、1回の露光でピッチを半分にする方法が検討されている。
ラインパターン両側の側壁に膜を付けてこれによってピッチを半分にする方法が提案されている(非特許文献4)。この側壁スペーサー法としては、レジスト下層のハードマスクとその側壁に付けた膜と膜の間のスペースに埋めこんだ膜とをエッチングパターンとして用いるスペーサースペース法と、レジスト下層のハードマスク側壁に付けた膜をエッチングパターンとして用いるスペーサーライン法が提案されている(非特許文献5)。
しかしながら、これらのような幾つかのプロセスの提案はあるものの、更なる実用的な方法や技術の提案については未だになされていないのが現状である。
【0015】
上記のように、近年のパターンルールの微細化に伴い、より微細なパターンを簡便で効率的に形成することができるパターン形成方法が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 4690 xxix
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 5040 p724
【非特許文献3】Jpn. J. App. Phys. Vol.33(1994)p 6874−6877、Part 1, No.12B, December 1994)
【非特許文献4】J. Vac. Sci. Technol. B 17(6)、 Nov/Dec 1999
【非特許文献5】第4回液浸シンポジウム(2007年) 講演番号;PR−01、題名;Implementation of immersion lithography to NAND/CMOS lithography to NAND/CMOS device manufacturing
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、より微細なパターンを簡便かつ効率的に形成可能であり、半導体の製造プロセスに適用することのできる、実用性の高いパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明によれば、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、
(1)基板上に有機下層膜を成膜し、該有機下層膜上にポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料を用いてレジスト膜を成膜し、その後、該レジスト膜を高エネルギー線で露光し、現像液を用いて現像し、フォトレジストパターンを形成する工程と、
(2)該フォトレジストパターンに、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液を保持させ、その後過剰なアルカリ性溶液を除去する工程と、
(3)前記アルカリ性溶液を保持させたフォトレジストパターンに、前記アルカリ性物質の作用により架橋可能なシロキサンポリマー溶液を塗布して、隣接する前記フォトレジストパターン同士の間を前記シロキサンポリマーで埋め込むことにより、前記シロキサンポリマーを前記フォトレジストパターン近傍で架橋させて架橋部を形成し、前記フォトレジストパターン、架橋部、未架橋の前記シロキサンポリマー、架橋部がこの順で配列する繰り返し構造を形成する工程と、
(4)前記未架橋のシロキサンポリマー及び前記フォトレジストパターンを除去する工程
とを含むパターン形成方法を提供する。
【0019】
上記のようなパターン形成方法を用いれば、微細なパターンを簡便かつ効率的に形成することができる。また、(4)工程で形成されたシロキサンパターン(架橋部)は、これをマスクにして有機下層膜をドライエッチング加工でき、加工された有機下層膜をマスクに基板をドライエッチング加工することができるため、従来の加工技術を適用することができる。
【0020】
尚、従来、ポリシロキサン化合物の硬化促進作用を付与する物質として、レジストパターンに含まれている酸発生剤が利用されていた。しかしながら、この酸発生剤は、レジストパターン内に均一に分布しているため、レジストパターン側壁だけを硬化させるようなプロセスにおいては、レジストパターン内部から表面に酸触媒を移動させるために比較的高い温度を必要とするために効率が悪いという欠点があった。また、この硬化処理温度が高くなるため、ポリシロキサン内部でも触媒となる酸の拡散速度が速くなってしまい、側壁の寸法制御が困難となる問題もあった。
【0021】
一方、本発明では、酸脱離基が脱離したカルボン酸残基がフォトレジストパターン表面に分布しており、これにアルカリ性物質を含むアルカリ性溶液を作用させると、このフォトレジストパターン表面のカルボン酸残基とアルカリ性溶液中のアルカリ性物質が中和反応を起こすため、フォトレジストパターン表面にアルカリ性物質を含むアルカリ性溶液を保持させることができる。このアルカリ性物質は、ポリシロキサン化合物(シロキサンポリマー)の硬化触媒となるため、従来の酸触媒の作用によってフォトレジストパターン側壁を硬化させる手順に比べて、フォトレジストパターン表面で効率的に作用させることができるため、硬化温度を低温化することができ、シロキサンパターン寸法をより確実に制御することができる。
【0022】
また、(1)工程において、前記有機下層膜と前記レジスト膜との間に、反射防止膜を形成することが好ましい。
このように、有機下層膜とレジスト膜との間に反射防止膜を形成することにより、フォトレジストパターンを形成した際にパターン形状の劣化を防ぐことができる。
【0023】
また、前記反射防止膜として、ケイ素を含有しない有機反射防止膜を形成することができる。
【0024】
また、前記フォトレジストパターンに保持させるアルカリ性溶液として、有機アミン又は水酸化有機アンモニウムの有機溶剤溶液又は水溶液を用いることが好ましい。
このように、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液として、例えば、有機アミン又は水酸化有機アンモニウムの有機溶剤溶液又は水溶液が挙げられる。
【0025】
また、前記フォトレジストパターンに保持させるアルカリ性溶液は、前記フォトレジストパターンを溶解しないものが好ましい。
(2)工程では、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液をフォトレジストパターンに保持させるため、フォトレジストパターンを溶解しないものが好ましい。
【0026】
また、前記(3)工程において、隣接する前記フォトレジストパターン同士の間を前記シロキサンポリマーで埋め込んだ後、熱処理温度が30〜200℃、熱処理時間が1〜500秒の条件下で熱処理を行うことによって、前記架橋部を形成することが好ましい。
このような熱処理条件とすれば、フォトレジストパターン近傍のシロキサンポリマーを架橋させることができるため、好ましい。
【0027】
前記(4)工程において、前記未架橋のシロキサンポリマーを除去し、その後前記フォトレジストパターンを除去することができる。
例えば、(3)工程においてシロキサンポリマー溶液を厚めに塗布した場合には、まず未架橋のシロキサンポリマーを除去し、その後フォトレジストパターンを除去することができる。
【0028】
また、前記(4)工程において、前記未架橋のシロキサンポリマー及び前記フォトレジストパターンを同時に除去することができる。
例えば、(3)工程においてフォトレジストパターンの上部が露出するようにシロキサンポリマー溶液を塗布した場合には、未架橋のシロキサンポリマーとフォトレジストパターンとを同時に除去することができる。
【0029】
また、前記アルカリ性物質の作用により架橋可能なシロキサンポリマーは、下記一般式(1)に示されるモノマーの加水分解縮合で得たものを用いることができる。
m1m2m3Si(OR)(4−m1−m2−m3) (1)
(Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜30の1価の有機基であり、m1、m2、m3は独立して0又は1である。)
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明のパターン形成方法を用いることにより、通常のArFエキシマレーザーを用いた露光方法によっても、微細なパターンを簡便に形成することができ、また、従来のレジストパターン側壁を硬化させる方法に比べ、硬化温度を低温化でき、シロキサンパターン寸法をより確実に制御することができる。従って、本発明のパターン形成方法によれば、半導体の製造プロセスに好適に組み込むことが可能で、極めて実用的なパターン形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るパターン形成方法の一例の説明図である。
【図2】本発明に係るパターン形成方法の別の一例の説明図である。
【図3】本発明に係るパターン形成方法の別の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、近年のパターンルールの微細化に伴い、より微細なパターンを簡便かつ効率的に形成可能であり、半導体の製造プロセスに適用することのできる、実用性の高いパターン形成方法が必要視されていた。
【0033】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、少なくとも、
(1)基板上に有機下層膜を成膜し、該有機下層膜上にポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料を用いてレジスト膜を成膜し、その後、該レジスト膜を高エネルギー線で露光し、現像液を用いて現像し、フォトレジストパターンを形成する工程と、
(2)該フォトレジストパターンに、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液を保持させ、その後過剰なアルカリ性溶液を除去する工程と、
(3)前記アルカリ性溶液を保持させたフォトレジストパターンに、前記アルカリ性物質の作用により架橋可能なシロキサンポリマー溶液を塗布して、隣接する前記フォトレジストパターン同士の間を前記シロキサンポリマーで埋め込むことにより、前記シロキサンポリマーを前記フォトレジストパターン近傍で架橋させて架橋部を形成し、前記フォトレジストパターン、架橋部、未架橋の前記シロキサンポリマー、架橋部がこの順で配列する繰り返し構造を形成する工程と、
(4)前記未架橋のシロキサンポリマー及び前記フォトレジストパターンを除去する工程
とを含むパターン形成方法であれば、簡便かつ効率的に基板にパターンを形成することができることを見出した。
【0034】
上記本発明の一態様を、図を用いて説明する。図1は本発明に係るパターン形成方法の一例を示す説明図である。
まず、上記(1)工程では、基板1上に有機下層膜2を成膜し(図1(a)、(b))、該有機下層膜2上にポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料を用いてレジスト膜3を成膜する(図1(c))。その後、該レジスト膜3を高エネルギー線で露光し(図1(d))、現像液を用いて現像し、フォトレジストパターン3’を形成する(図1(e))
【0035】
次いで、上記(2)工程では、フォトレジストパターン3’にアルカリ性物質を含むアルカリ性溶液4を保持させる(図1(f))。その後過剰なアルカリ性溶液4を除去する(図1(g))。
【0036】
そして、上記(3)工程では、アルカリ性溶液を保持させたフォトレジストパターン3’に、アルカリ性物質の作用により架橋可能なシロキサンポリマー溶液を塗布して、隣接する前記フォトレジストパターン3’同士の間をシロキサンポリマー5で埋め込む(図1(h))ことにより、シロキサンポリマー5をフォトレジストパターン3’近傍で架橋させて架橋部6を形成する(図1(i)))。これにより、フォトレジストパターン3’、架橋部6、未架橋の前記シロキサンポリマー5’、架橋部6がこの順で配列する繰り返し構造を形成する。
【0037】
次いで、(4)工程では、未架橋のシロキサンポリマー5’及び前記フォトレジストパターン3’を除去し、架橋部6のパターン(シロキサンパターン)を形成する(図1(j))。
【0038】
そして本発明のパターン形成方法は、(4)工程後に、従来と同様の方法で、シロキサンパターン(架橋部6)をマスクにして有機下層膜をエッチングし、得られた有機下層膜パターンをマスクにして基板にパターンを形成することができる。
【0039】
以下、各工程を順に詳述する。
(1)工程において、有機下層膜2は基板1上にスピンコート法等で成膜することができる(図1(a)、(b))。
【0040】
基板1は、ベース基板上に被加工層を形成したものとすることができる。ベース基板としては、特に限定されるものではなく、Si、アモルファスシリコン(α−Si)、p−Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層と異なる材質のものが用いられてもよい。被加工層としては、Si、SiO、SiN、SiON、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等及び種々の低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が用いられ、通常50〜10,000nm、特に100〜5,000nmの厚さに形成し得る。
【0041】
有機下層膜2は、特に限定されるものではないが、レジスト膜のパターニングを行う際に十分な反射防止膜機能を発現するものが好ましい。また、有機下層膜2とレジスト膜3との間に反射防止膜2aを形成することができ(図2(a’)〜(c’))、このように反射防止膜2aを形成した場合も、本発明のパターン形成方法は好適に実施することができる(図2(d’)〜)。
この反射防止膜2aとしては、ケイ素を含有しない有機反射防止膜を形成することができる。このとき、有機下層膜2の反射防止機能は、ケイ素を含有しない有機反射防止膜との組み合わせにより反射防止機能が発現すれば、高NA露光機を使用するリソグラフィー工程でも使用できるためより好ましいものとなる。
【0042】
有機下層膜2としては、基板をエッチング加工する際にエッチングマスクとして機能しなければならないため、基板とのエッチング選択性の高い材料、具体的には芳香族骨格を有するものが好ましい。このような下層膜としての有機膜は既に3層レジスト法用、あるいはシリコン含有レジスト組成物を使用した2層レジスト法用の下層膜として多数公知であり、特開2005−128509号公報記載の4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂が、2層レジスト法や3層レジスト法のレジスト下層膜材料として公知であり、それらをいずれも使用することができる。
また、通常のノボラックよりも耐熱性を上げたい場合には、ナフタレン化合物、アセナフチレン化合物、ナフトール化合物、ビスナフトール化合物を骨格に含む樹脂を例示出来る。例えば、特開2007−199653号公報、特開2008−274250号公報、特願2008−270158号、特開2004−264710号公報、特開2005−043471号公報、特開2005−250434号公報、特開2007−293294号公報、特開2008−65303号公報、特開2004−205685号公報、特開2007−171895号公報、特開2009−14816号公報等に記載の樹脂を例示できる。更にポリイミド系樹脂を選択することもできる(例えば、特開2004−153125号公報)。また、低温で有機膜を形成する場合であれば、ヒドロキシスチレン系樹脂も選択することができるが、これのエッチング耐性を高めるためにも多環式骨格の導入効果があり、例えばインデン、フルオレン等を共重合することができる。
【0043】
また、有機反射防止膜材料としては、特公平7−69611号公報記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂と吸光剤とからなるものや、米国特許第5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号公報記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号公報記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂ベース型、特開平8−87115号公報記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号公報記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
【0044】
基板1上に有機下層膜2を成膜した後、有機下層膜2上にポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料を用いてレジスト膜3を成膜し(図1(c))、露光、現像してフォトレジストパターン3’を形成する(図1(d)、(e))。
【0045】
ポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料としては、特に限定はされないが、下記一般式(a1)で示される繰り返し単位を有する樹脂を含有することが好ましい。
【化1】

(式中、R101は水素原子又はメチル基を示す。R102は酸不安定基である。)
【0046】
一般式(a1)で示される酸不安定基を有する繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、下記一般式(Ma1)で示される。ここで、R101、R102は前述と同じである。
【化2】

酸不安定基を有する繰り返し単位としては、特開2008−111103号公報(0083)〜(0104)、具体的には(0114)〜(0117)に記載されている。
【0047】
本発明のパターン形成方法で用いるポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料は、酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報(0122)〜(0142)段落に記載されている。
【0048】
また、本発明のパターン形成方法で用いるポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報(0144)〜(0145)、塩基性化合物としては(0146)〜(0164)、界面活性剤は(0165)〜(0166)、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報(0155)〜(0178)、アセチレンアルコール類は(0179)〜(0182)に記載されている。
【0049】
レジスト膜3の厚さとしては、例えば、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。そして、レジスト膜3を露光、現像してフォトレジストパターン3’を形成する。
【0050】
露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光における露光量は1〜200mJ/cm程度、好ましくは10〜100mJ/cm程度となるように露光することが好ましい。その後、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)することが好ましい。
【0051】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0052】
次に、(2)工程を説明する。
(2)工程では、(1)工程で形成したフォトレジストパターン3’にアルカリ性物質を含むアルカリ性溶液4を保持させる(図1(f))。上記(1)工程でフォトレジストパターン3’が形成された時、このフォトレジストパターン3’表面にはポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料中の樹脂の酸脱離基(酸不安定基)が脱離したカルボン酸基が多く存在する。従って、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液を作用させると、このフォトレジストパターン3’表面のカルボン酸基と、(2)工程で用いるアルカリ性溶液4中のアルカリ性物質が中和反応をおこし、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液4がフォトレジストパターンの表面に保持されるのである。
フォトレジストパターン3’にアルカリ性物質を含むアルカリ性溶液4を保持させた後は、スピンドライ、低温によるベーク、下記に挙げるフォトレジストパターンを溶解しない有機溶剤によるリンス等によって過剰なアルカリ性溶液を除去する(図1(g))。
【0053】
アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液4としては、フォトレジストパターン3’を溶解させないものが好ましく、有機アミン又は水酸化有機アンモニウムの有機溶剤溶液又は水溶液等が挙げられる。
【0054】
有機アミンとしては、トリメチルアミン、トリフェニルアミン、ジアザビシクロウンデカン、ジアザビシクロノネン等が好ましく用いられる。また、水酸化有機アンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化トリメチルブチルアンモニウム等が好ましく用いられる。
なお、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液は、現像液として用いられる溶液以外を用いるのが好ましい。現像液として用いられる溶液としては、例えば、テトラメチルアンモニウム水溶液等が挙げられる。
【0055】
有機溶剤としては、フォトレジストパターンを溶解しないものが好ましく、例えば、炭素数が4個以上の高級アルコールを用いることができる。具体的には、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1、1−ジメチル−1−プロパノール、2、2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2、2−ジメチル−1−ブタノール、2、3−ジメチル−1−ブタノール、2、3−ジメチル−2−ブタノール、3、3−ジメチル−1−ブタノール、3、3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3−メチル−2−ヘキサノール、4−メチル−2−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘキサノール、4−メチル−3−ヘキサノール、5−メチル−3−ヘキサノール、2、2−ジメチル−1−ペンタノール、2、3−ジメチル−1−ペンタノール、2、4−ジメチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ペンタノール、3−エチル−1−ペンタノール、2、3−ジメチル−2−ペンタノール、2、4−ジメチル−2−ペンタノール、3、3−ジメチル−2−ペンタノール、3、4−ジメチル−2−ペンタノール、4、4−ジメチル−2−ペンタノール、3−エチル−2−ペンタノール、2、2−ジメチル−3−ペンタノール、2、3−ジメチル−3−ペンタノール、2、4−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−メチル−1−ヘプタノール、3−メチル−1−ヘプタノール、4−メチル−1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘプタノール、6−メチル−1−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘプタノール、3−メチル−2−ヘプタノール、4−メチル−2−ヘプタノール、5−メチル−2−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−メチル−3−ヘプタノール、5−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−3−ヘプタノール、2、2−ジメチル−1−ヘキサノール、2、3−ジメチル−1−ヘキサノール、2、4−ジメチル−1−ヘキサノール、2、5−ジメチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3−エチル−1−ヘキサノール、4−エチル−1−ヘキサノール、2、3−ジメチル−2−ヘキサノール、2、4−ジメチル−2−ヘキサノール、2、5−ジメチル−2−ヘキサノール、3、3−ジメチル−2−ヘキサノール、3、4−ジメチル−2−ヘキサノール、3、5−ジメチル−2−ヘキサノール、4、4−ジメチル−2−ヘキサノール、4、5−ジメチル−2−ヘキサノール、3−エチル−2−ヘキサノール、4−エチル−2−ヘキサノール、2、2−ジメチル−3−ヘキサノール、2、3−ジメチル−3−ヘキサノール、2、4−ジメチル−3−ヘキサノール、2、5−ジメチル−3−ヘキサノール、3−エチル−3−ヘキサノール、4−エチル−3−ヘキサノール、2、2、3−トリメチル−1−ペンタノール、2、2、4−トリメチル−1−ペンタノール、2、3、3−トリメチル−1−ペンタノール、2、3、4−トリメチル−1−ペンタノール、2、4、4−トリメチル−1−ペンタノール、3、3、4−トリメチル−1−ペンタノール、3、4、4−トリメチル−1−ペンタノール、2−エチル−2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−4−メチル−1−ペンタノール、3−エチル−2−メチル−1−ペンタノール、3−エチル−3−メチル−1−ペンタノール、3−エチル−4−メチル−1−ペンタノール、3−エチル−3−メチル−2−ペンタノール、3−エチル−4−メチル−2−ペンタノール、2−プロピル−1−ペンタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、3、5、5−トリメチル−1−ヘキサノール、2、6−ジメチル−4−ヘプタノール、3−エチル−2、2−ジメチル−3−ペンタノール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、3、7−ジメチル−1−オクタノール、3、7−ジメチル−3−オクタノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、2−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノールなどである。
【0056】
次に(3)工程を説明する。
(3)工程においては、(2)工程でアルカリ性溶液4を表面に保持させたフォトレジストパターン3’に、アルカリ性物質の作用により架橋可能なシロキサンポリマー溶液を塗布して、隣接するフォトレジストパターン3’同士の間をシロキサンポリマー5で埋め込む(図1(h))。そして、フォトレジストパターン3’表面に保持されたアルカリ性溶液4中のアルカリ性物質を触媒として作用させることによって、シロキサンポリマー5をフォトレジストパターン3’近傍で架橋させて架橋部6を形成する(図1(i))。
こうして、フォトレジストパターン3’、架橋部6、未架橋のシロキサンポリマー5’、架橋部6、フォトレジストパターン3’、架橋部6・・・がこの順で配列する繰り返し構造を形成することができる。
【0057】
尚、隣接するフォトレジストパターン3’同士の間をシロキサンポリマー5で埋め込んだ後、熱処理温度と熱処理時間を調整することによって、架橋部6の膜厚を制御することができる。フォトレジストパターン3’近傍を架橋させるため、比較的低温の熱処理で十分であり、熱処理温度は30〜200℃、好ましくは60〜180℃、熱処理時間は1〜500秒、好ましくは1〜300秒とすることができる。
【0058】
アルカリ性物質の作用により架橋可能なシロキサンポリマーは、アルカリ性物質の作用により架橋するものであれば特に限定はされないが、下記一般式(1)に示されるモノマーの加水分解縮合で得たものを用いることができる。
m1m2m3Si(OR)(4−m1−m2−m3) (1)
(Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜30の1価の有機基であり、m1、m2、m3は独立して0又は1である。)
本発明に用いられる架橋可能なシロキサンポリマーは、この一般式(1)で示されるモノマーから選ばれる1種又は2種以上の混合物を加水分解したものを用いることができる。
【0059】
ここで、有機基は炭素を含む基の意味であり、更に水素を含み、また窒素、酸素、硫黄、ケイ素等を含んでもよい。R,R,Rの有機基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基等の非置換の1価炭化水素基、及びこれらの基の水素原子の1個又はそれ以上がエポキシ基、エステル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等で置換された基や、−O−,−CO−,−OCO−,−COO−,−OCOO−が介在された基等の後述する一般式(2)で示される基、ケイ素−ケイ素結合を含む有機基等を挙げることができる。
【0060】
一般式(1)で示されるモノマーのR、R、Rとして好ましいものは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジエチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、エチニル基等のアルキニル基、更に光吸収性基としてフェニル基、トリル基等のアリ−ル基、ベンジル基、フェニチル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0061】
例えば、m1=0、m2=0、m3=0であるテトラアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシランをモノマーとして例示できる。好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。
【0062】
例えば、m1=1、m2=0、m3=0であるトリアルコキシシランとして、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−nプロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−トリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−nプロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロプロピル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロペンチル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロヘキシル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロヘキセニル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリ−iso−プロポキシシラン、シクロオクタニルトリメトキシシラン、シクロオクタニルトリエトキシシラン、シクロオクタニル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロオクタニル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピル−トリ−iso−プロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニル−トリ−n−プロポキシシラン、ビシクロヘプテニル−トリ−iso−プロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチル−トリ−n−プロポキシシラン、ビシクロヘプチル−トリ−iso−プロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチル−トリ−n−プロポキシシラン、アダマンチル−トリ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。また、光吸収性モノマーとして、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリ−n−プロポキシシラン、ベンジルトリ−iso−プロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリ−n−プロポキシシラン、トリルトリ−iso−プロポキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリ−n−プロポキシシラン、フェネチルトリ−iso−プロポキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリ−n−プロポキシシラン、ナフチルトリ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。
【0063】
好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシランである。
【0064】
例えば、m1=1、m2=1、m3=0であるジアルコキシシランとして、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジiso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジエトキシシラン、ジ−t−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−t−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロプロピルジメトキシシラン、ジ−シクロプロピルジエトキシシラン、ジ−シクロプロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロプロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロブチルジメトキシシラン、ジ−シクロブチルジエトキシシラン、ジ−シクロブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロペンチルジメトキシシラン、ジ−シクロペンチルジエトキシシラン、ジ−シクロペンチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロペンチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジ−シクロヘキシル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキシル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニルジメトキシシラン、ジ−シクロヘキセニルジエトキシシラン、ジ−シクロヘキセニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロオクタニルジメトキシシラン、ジ−シクロオクタニルジエトキシシラン、ジ−シクロオクタニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロオクタニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニルジメトキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニルジエトキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニル−ジ−n−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプチルジメトキシシラン、ビス−ビシクロヘプチルジエトキシシラン、ビス−ビシクロヘプチル−ジ−n−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ビス−アダマンチルジメトキシシラン、ビス−アダマンチルジエトキシシラン、ビス−アダマンチル−ジ−n−プロポキシシラン、ビス−アダマンチル−ジ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。また、光吸収性モノマーとして、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニル−ジ−nプロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。
【0065】
好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−メトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−メトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等を例示できる。
【0066】
例えば、m1=1、m2=1、m3=1であるモノアルコキシシランとして、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン等を例示できる。また、光吸収性モノマーとして、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルベンジルエトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、ジメチルフェネチルエトキシシラン等を例示できる。
【0067】
好ましくは、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン等を例示できる。
【0068】
上記R,R,Rで表される有機基の別の例として、炭素−酸素単結合又は炭素−酸素二重結合を1以上有する有機基を挙げることができる。具体的には、エポキシ基、エステル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基からなる群から選択される1以上の基を有する有機基である。一般式(1)中の炭素−酸素単結合、炭素−酸素二重結合の1以上を有する有機基は、例として次の一般式(2)で示されるものを挙げることができる。
【0069】
(P−Q−(Sv1−Q−)−(T)v2−Q−(Sv3−Q− (2)
(上記式中、Pは水素原子、ヒドロキシル基、下記式で示されるエポキシ環を有する基、
【化3】

炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜6のアルキルカルボニル基であり、Q1と2と3とは各々独立して−CqH(2q−p)−(式中、Pは上記と同様であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜10の整数である。)、uは0〜3の整数であり、S1と2は各々独立して−O−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−OCOO−を表す。v1、v2、v3は、各々独立して0又は1を表す。これらとともに、Tは脂環又は芳香環からなる2価の基であり、Tの例を以下に示す。TにおいてQ2とと結合する位置は、特に限定されないが、立体的な要因による反応性や反応に用いる市販試薬の入手性等を考慮して適宜選択できる。)
【0070】
【化4】

【0071】
一般式(1)中の炭素−酸素単結合又は炭素−酸素二重結合を1以上有する有機基の好ましい例として、以下のものが挙げられる。なお、下記式中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。
【0072】
【化5】

【0073】
【化6】

【0074】
【化7】

【0075】
また、R,R,Rの有機基の例として、ケイ素−ケイ素結合を含む有機基を用いることもできる。具体的には下記のものを挙げることができる。
【0076】
【化8】

【0077】
これらのモノマーから1種又は2種類以上を選択して、反応前又は反応中に混ぜてケイ素含有化合物を形成する反応原料とすることができる。
【0078】
また、シロキサンポリマー溶液に含有される溶媒としては、フォトレジストパターン3’や架橋部6を溶解しないものが好ましい。
【0079】
最後に、(4)工程について説明する。
(4)工程では、未架橋のシロキサンポリマー5’及びフォトレジストパターン3’を除去する(図1(j))。図1(h)のように、(3)工程でシロキサンポリマー溶液を塗布した際にフォトレジストパターンの上部7が露出している場合には、例えば、溶剤で未架橋のシロキサンポリマー5’とフォトレジストパターン3’を同時に除去することができる。
未架橋のシロキサンポリマー5’とフォトレジストパターン3’を除去する溶剤としては、これらを溶解する溶剤であれば特に限定はされないが、例えば、プロピレングリコールメチルエーテル/プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液等が使用できる。
【0080】
一方、図3(h’)のように、(3)工程においてシロキサンポリマー溶液を厚めに塗布する場合には、フォトレジストパターンの上部7を架橋部6が覆うため、フォトレジストパターンの上部7は露出しない(図3(i’))。
このような場合には、例えば、まず未架橋のシロキサンポリマー5’を上記の溶剤等を用いて除去し(図3(i’’)、その後フォトレジストパターン3’の上部7が露出するまで架橋部6をドライエッチングし(図3(i’’’)、フォトレジストパターン3’を上記の溶剤等を用いて除去することができる(図3(j’)。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
(1)工程:有機下層膜の形成
まず、有機下層膜材料として、Siウエハー上に4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)含有組成物(樹脂28質量部、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶液100質量部)を回転塗布し、200℃で1分間加熱成膜して、膜厚300nmの下層膜としての有機膜を形成した。この有機下層膜材料としては、上記の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂が、多層レジスト法のレジスト下層膜材料として公知であり、それらをいずれも使用することができる。
【0083】
(1)工程:フォトレジストパターンの形成
更に、有機下層膜上に形成するレジスト膜を形成するため、ポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料として、表1に示す組成の樹脂、酸発生剤、塩基化合物をFC−4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【表1】

【0084】
表1中、ArF単層レジストポリマー、PAG1、TMMEAは下記のものを用いた。
【化9】

【0085】
液浸保護膜(TC−1)としては、表2に示す組成の樹脂を溶媒中に溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【表2】

【0086】
保護膜ポリマー
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化10】

【0087】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポール偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、寸法が40nm、ピッチが160nmのポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。
【0088】
(2)工程:アルカリ性溶液による処理
上記で得たフォトレジストパターンに、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液として1%水酸化テトラメチルアンモニウムの4−メチル−2−ペンタノール溶液を塗布し、室温で30秒間放置した後、基板を回転させて過剰な1%水酸化テトラメチルアンモニウムの4−メチル−2−ペンタノール溶液を振り切り、除去した。
次いで、4−メチル−2−ペンタノールでリンスすることにより、表面にアルカリ性溶液を保持させたフォトレジストパターンを形成した。
【0089】
(3)工程:架橋部の形成
アルカリ性溶液を保持させたフォトレジストパターンに塗布するシロキサンポリマー溶液は下記のように調整したものを用いた。
【0090】
(シロキサンポリマー溶液の調製)
メタノール60g、イオン交換水200g、35%塩酸1gを1,000mlガラスフラスコに仕込み、テトラエトキシシラン50g、メチルトリメトキシシラン100g及びフェニルトリメトキシシラン10gの混合物を室温で加えた。そのまま、8時間室温で加水分解縮合させた後、メタノール及び副生エタノールを減圧で留去した。そこに、酢酸エチル800ml及び4−メチル−2−ペンタノール300mlを加え、水層を分液し、反応で使用した塩酸を除去した。残った有機層に1%マレイン酸水溶液100mlを加えて撹拌、静置、分液した。これを2回繰り返した後、イオン交換水100mlを加えて撹拌、静置、分液した。これを3回繰返した。残った有機層に4−メチル−2−ペンタノールを200ml加えて、減圧で濃縮してシロキサンポリマーの4−メチル−2−ペンタノール溶液300g(ポリマー濃度21%)を得た。得られた溶液をイオンクロマトグラフでクロルイオンを分析したところ、検出されなかった。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,000であった。
【0091】
上記のように形成したアルカリ性溶液を保持させたフォトレジストパターンに、シロキサンポリマーの側壁(架橋部)を付けるため、下記の材料を混合し、均一化した後、0.1μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過することによってシロキサンポリマー溶液を調整した。
上記濃度21%のポリマー溶液 10質量部
4−メチル−2−ペンタノール 90質量部
このシロキサンポリマー溶液を回転塗布し、ホットプレート上、80℃で60秒間加熱し、フォトレジストパターン近傍のシロキサンポリマーを架橋させ、架橋部を形成した。
【0092】
(4)工程:未架橋のシロキサンポリマー及びフォトレジストパターンの除去
次いで、未架橋のシロキサンポリマー及びフォトレジストパターンを除去するため、プロピレングリコールメチルエーテル/プロピレングリコールメチルエーテルアセテート=7/3溶液でリンスした。リンス後に、残ったシロキサンパターン(架橋部)の架橋を進行させるため、150℃、60秒間加熱処理した。これにより、パターン寸法が40nm、パターンピッチが80nmの架橋部のパターン(シロキサンパターン)を得ることができた。
【0093】
(実施例2)
実施例1の(1)工程において、有機下層膜を形成した後、有機反射防止膜としてARC−29A(日産化学工業(株)製)を回転塗布し、180℃で1分間加熱成膜して80nmの有機反射防止膜を形成した。続いて、実施例1の(1)工程:フォトレジストパターンの形成〜(4)工程:未架橋のシロキサンポリマー及びフォトレジストパターンの除去と同様の工程を実施し、パターン寸法が40nm、パターンピッチが80nmの架橋部(シロキサンパターン)を得ることができた。
【0094】
以上により本発明のパターン形成方法によれば、初めのパターン(フォトレジストパターン)の1/2ピッチでシロキサンパターン(架橋部)が形成できた。
更に、その後も定法に従って、形成したシロキサンパターン(架橋部)をマスクにして有機下層膜をドライエッチング加工し、パターンが形成された有機下層膜をマスクにして基板をドライエッチング加工することができた。
【0095】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。
【符号の説明】
【0096】
1…基板、 2…有機下層膜、 2a…反射防止膜、 3…レジスト膜、 3’…フォトレジストパターン、 4…アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液、 5…シロキサンポリマー、 5’…未架橋のシロキサンポリマー、 6…架橋部(シロキサンパターン)、 7…フォトレジストパターンの上部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、
(1)基板上に有機下層膜を成膜し、該有機下層膜上にポジ型化学増幅フォトレジスト膜材料を用いてレジスト膜を成膜し、その後、該レジスト膜を高エネルギー線で露光し、現像液を用いて現像し、フォトレジストパターンを形成する工程と、
(2)該フォトレジストパターンに、アルカリ性物質を含むアルカリ性溶液を保持させ、その後過剰なアルカリ性溶液を除去する工程と、
(3)前記アルカリ性溶液を保持させたフォトレジストパターンに、前記アルカリ性物質の作用により架橋可能なシロキサンポリマー溶液を塗布して、隣接する前記フォトレジストパターン同士の間を前記シロキサンポリマーで埋め込むことにより、前記シロキサンポリマーを前記フォトレジストパターン近傍で架橋させて架橋部を形成し、前記フォトレジストパターン、架橋部、未架橋の前記シロキサンポリマー、架橋部がこの順で配列する繰り返し構造を形成する工程と、
(4)前記未架橋のシロキサンポリマー及び前記フォトレジストパターンを除去する工程
とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記(1)工程において、前記有機下層膜と前記レジスト膜との間に、反射防止膜を形成することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記反射防止膜として、ケイ素を含有しない有機反射防止膜を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記フォトレジストパターンに保持させるアルカリ性溶液として、有機アミン又は水酸化有機アンモニウムの有機溶剤溶液又は水溶液を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記フォトレジストパターンに保持させるアルカリ性溶液は、前記フォトレジストパターンを溶解しないものが用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記(3)工程において、隣接する前記フォトレジストパターン同士の間を前記シロキサンポリマーで埋め込んだ後、熱処理温度が30〜200℃、熱処理時間が1〜500秒の条件下で熱処理を行うことによって、前記架橋部を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記(4)工程において、前記未架橋のシロキサンポリマーを除去し、その後前記フォトレジストパターンを除去することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記(4)工程において、前記未架橋のシロキサンポリマー及び前記フォトレジストパターンを同時に除去することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記アルカリ性物質の作用により架橋可能なシロキサンポリマーは、下記一般式(1)に示されるモノマーの加水分解縮合で得たものを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
m1m2m3Si(OR)(4−m1−m2−m3) (1)
(Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜30の1価の有機基であり、m1、m2、m3は独立して0又は1である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−256626(P2010−256626A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106660(P2009−106660)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】