説明

パンタグラフ昇降制御装置

【課題】蓄電池搭載電車において、充電が未了となること及びパンタグラフ、架線、及び道路設備建築物を破損してしまうことを防ぐ。
【解決手段】本発明のパンタグラフ昇降制御装置は、パンタグラフの上昇と下降を行うパンタグラフアクチュエータを制御する。昇降信号生成部が、架線検知部から架線の存在を検知することを示す架線検知信号を受け、停車判断部から車両が停止状態であることを示す停車判断信号を受け、力行判断部から力行ノッチがゼロであることを示す力行ノッチ判断信号を受け、充電要求判断部から充電要求信号が充電要求をするものであることを示す充電要求判断信号を受け、且つパンタグラフ位置センサからパンタグラフの高さ位置が第1の設定高さより小さいことを示すパンタグラフ低位置信号を受けたとき、パンタグラフアクチュエータに対して、パンタグラフ上昇信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンタグラフを介して給電された電力を充電して、架線のない区間を走行可能な蓄電池搭載電車におけるパンタグラフ昇降制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気車両は、パンタグラフを介して、空中に敷設された架線から電力の供給を受け、その電力でモータを駆動し、走行する。
【0003】
近年、架線がない区間(架線レス区間)を走行可能な電気車両(蓄電池搭載電車)が開発されている(特許文献1、2参照)。そのような蓄電池搭載電車は、車両内部にバッテリを備え、バッテリに蓄えた電力でモータを駆動し、走行する。バッテリは、所定の充電所(例えば、駅や基地)で停車中に充電される。その際、パンタグラフを上昇させ、充電所に設けられた架線に接触させて架線から電力の供給を受ける。
【0004】
架線レス区間を走行中は、パンタグラフが周囲の建築物等と干渉して破損しないように、パンタグラフを下降させておく必要がある。つまり、架線レス区間を走行中はパンタグラフを下降させ、充電所で停車中はパンタグラフを上昇させる必要がある。すなわち、蓄電池搭載電車の運転手は、車両が充電所で停車中にはパンタグラフを上昇させ、架線レス区間に向けて出発時には、パンタグラフを下降させるという作業を行う必要がある。
【0005】
一方、車両運行の効率を高くするためには、停車時間を短くする必要がある。そのために、短時間で充電を行わなければならない。つまり、蓄電池搭載電車の充電所(駅等)への到着とともに迅速にパンタグラフを上昇させる必要がある。しかしながら、特に、電気車両の運転手は、停車駅の確認、停止位置の確認、電気ブレーキと空気ブレーキの動作状況の把握、ホームの安全確認、車掌との連絡等、非常に多くの確認及び調整作業を行わねばならない。そのため、蓄電池搭載電車が駅に完全に停車し、車両及び乗客に関する安全確認が済んだ後でなければ、運転手がパンタグラフの昇降動作を行うことは困難である。そうすると、蓄電池搭載電車の運転手によるパンタグラフの上昇及び下降作業が遅れがちになってしまい、充電終了の時刻の遅れが運行スケジュールに影響を与えるような事態が生じやすくなる。さらに、かかるパンタグラフ上昇下降の動作は運転手に作業負担を強いるものとなっている。
【0006】
また、蓄電池搭載電車が、架線レス区間と架線区間(架線が設けられている区間)の双方を走行する場合もある。この場合、架線区間を走行中は架線から電力を受けるためパンタグラフを上昇させておくのが望ましい。一方、架線レス区間を走行中は、建築物等との干渉を防止するためパンタグラフを下降させておく必要がある。
【0007】
前述の問題は、架線レス区間と架線区間の双方を走行する蓄電池搭載電車においても、架線レス区間と架線区間の切り替わり時において発生し得る。
【0008】
以上の問題を解決するため、特許文献1では、沿線に沿って設けられた電柱に設置される応答器に位置情報が記憶されており、これを読み取ることで架線有区間と架線無区間を正確に把握した上で電車のパンタグラフの上昇下降を行う、架線・バッテリハイブリッド車両のパンタグラフ誤作動防止装置が記載されている。また、特許文献2には、パンタグラフが架線に接触しているときに、架線からの電圧の充電の有無を判定するための電圧センサ(架線電圧検出装置)を設け、車両が非架線区間にパンタグラフを上昇したまま入ることを防止する鉄道車両のパンタグラフ保護方法及び装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−295640公報
【特許文献2】特許第4121766号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載のパンタグラフ誤作動防止装置は、パンタグラフ上昇下降の制御を行うときの条件として、沿線に沿って設けられた電柱に設置される応答器の位置情報を利用しているが、電柱及び応答器の設定位置と架線有区間及び架線無区間の設定位置とは、本来的に無関係である。つまり、特許文献1に記載のパンタグラフ誤作動防止装置を実現するには、架線有区間と架線無区間のいずれにも十分な数の電柱及び応答器を設置しなければならず、膨大な手間とコストが掛かってしまう。
【0011】
また、特許文献2に記載のパンタグラフ保護方法及び装置では、電化区間から非電化区間に車両が進入した際にパンタグラフが下降していなければ、ブレーキの自動制御により車両を停止させることに主眼が置かれており、パンタグラフの昇降は運転手の手作業により行われることが意図されている。つまり、特許文献2に記載の発明は、運転手の作業の軽減には繋がらず、また、手作業の遅れによる運行スケジュールの遅れの問題も解決していない。
【0012】
本発明は、簡単な構造で、かつ、短時間で適切に充電を完了して定時運行性を保持する蓄電池搭載電車におけるパンタグラフ昇降制御装置を提供することを目的とする。本発明は更に、パンタグラフ、架線、及び道路設備建築物を破損してしまうことを防止して安全性を確保する蓄電池搭載電車におけるパンタグラフ昇降制御装置を提供することを目的とし、運転手の作業負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の目的を達成するためになされたものである。本発明に係るパンタグラフ昇降制御装置は、
パンタグラフの上昇と下降を行うパンタグラフアクチュエータを制御するパンタグラフ昇降制御装置であって、
架線の有無を検知する架線検知部と、
車速信号を受ける停車判断部と、
力行ノッチ信号を受ける力行判断部と、
充電要求信号を受ける充電要求判断部と、
パンタグラフの高さ位置を受けるパンタグラフ位置センサと、
パンタグラフアクチュエータに対してパンタグラフの昇降を指示するための制御信号を生成する昇降信号生成部と
を含み、
上記昇降信号生成部が、
上記架線検知部から、架線の存在を検知することを示す架線検知信号を受け、
上記停車判断部から、車両が停止状態であることを示す停車判断信号を受け、
上記力行判断部から、力行ノッチがゼロであることを示す力行ノッチ判断信号を受け、
上記充電要求判断部から、充電要求信号が充電要求をするものであることを示す充電要求判断信号を受け、且つ、
上記パンタグラフ位置センサから、パンタグラフの高さ位置が第1の設定高さより小さいことを示すパンタグラフ低位置信号を受けたとき、
パンタグラフアクチュエータに対して、パンタグラフを上昇させることを指示するパンタグラフ上昇信号を出力する。
【0014】
また、本発明に係るパンタグラフ昇降制御装置は、
パンタグラフの上昇と下降を行うパンタグラフアクチュエータを制御するパンタグラフ昇降制御装置であって、
外部の架線からの給電についての信号を受ける無給電検知装置と、
パンタグラフの高さ位置を受けるパンタグラフ位置センサと、
車速信号を受ける停車判断部と、
力行ノッチ信号を受ける力行判断部と、
充電要求信号を受ける充電要求判断部と、
パンタグラフアクチュエータに対してパンタグラフの昇降を指示するための制御信号を生成する昇降信号生成部と
を含み、
上記昇降信号生成部が、
(A−1)上記無給電検知装置から、外部の架線からの給電がないことを示す無給電検知信号を受けること、
(A−2)上記パンタグラフ位置センサが受けたパンタグラフの高さ位置が第1の上限設定値よりも大きい場合、パンタグラフが架線から逸脱していることを示す架線区間外信号を受けること、
(A−3)上記停車判断部から、車両が停止状態でないことを示す停車判断信号を受けること、
(A−4)上記力行判断部から、力行ノッチがゼロより大きいことを示す力行ノッチ判断信号を受けること、若しくは、
(A−5)上記充電要求判断部から、充電要求信号が充電要求をするものでないことを示す充電要求判断信号を受けること
の上記(A−1)乃至(A−5)のうち、少なくとも一つが発生し、且つ、
上記昇降信号生成部が、
(B)上記パンタグラフ位置センサから、パンタグラフの高さ位置が第2の設定高さより大きいことを示すパンタグラフ高位置信号を受けたとき、
パンタグラフアクチュエータに対して、パンタグラフを下降させることを指示するパンタグラフ下降信号を出力する。
【0015】
更に、本発明に係るパンタグラフ昇降制御装置は、
走行中充電許可信号が更に入力され、
上記走行中充電許可信号が、架線区間走行中にも架線からの充電を許可することを示すものである場合には、
上記昇降信号生成部が、
上記停車判断部から、車両が停止状態でないことを示す停車判断信号を受けることの発生に関する判断と
上記力行判断部から、力行ノッチがゼロより大きいことを示す力行ノッチ判断信号を受けることの発生に関する判断と、
上記充電要求判断部から、充電要求信号が充電要求をするものでないことを示す充電要求判断信号を受けることの発生に関する判断と
をキャンセルするものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パンタグラフを下降させなければならない架線レス区間と、パンタグラフを上昇させなければならない充電所又は架線区間との切り替わりにおいて、自動でパンタグラフの昇降を行う制御がなされるため、パンタグラフを確実に最適な状態に設定することができる。また、特別な地上設備を設けることなくパンタグラフの昇降状態の判断を行えるので、簡単な構成でパンタグラフの自動昇降制御を実現できる。
【0017】
よって、蓄電池搭載電車が短時間で適切に充電を完了するので定時運行性を保持することができる。更に、蓄電池搭載電車がパンタグラフ、架線、及び道路設備建築物を破損してしまうことを防止して安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置の構成を示すブロック図(一部回路図)である。
【図2】非接触電圧センサが屋上面に設けられる電気車両を示す構成図である。
【図3】本発明に係るパンタグラフ位置センサとアーム角度検出センサとの関係を示すブロック図(図3(1))、本発明に係る力行判断部とマスターコントローラとの関係を示すブロック図(図3(2))、本発明に係る停車判断部と速度計との関係を示すブロック図(図3(3))、及び、本発明に係る充電要求判断部と蓄電池監視装置と蓄電池との関係を示すブロック図(図3(4))である。
【図4】蓄電池搭載電気車両における、蓄電池、インバータを伴うモータ、補機、及び、無給電検知装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置の構成を示すブロック図(一部回路図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態を説明する。
【0020】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置2の構成を示すブロック図であり、パンタグラフアクチュエータ18も示している。図1に示すように、パンタグラフ昇降制御装置2は、概略、昇降信号生成部3、パンタグラフ位置センサ4、無給電検知装置10、力行判断部12、停車判断部14、充電要求判断部16、非接触電圧センサA6、及び非接触電圧センサB8を含む。更に、昇降信号生成部3は、比較器32、第1の論理積回路24、第2の論理積回路34、第3の論理積回路22、第1の論理和回路20、第1の論理否定回路26、第2の論理否定回路28、及び、第3の論理否定回路30から構成される。
【0021】
パンタグラフアクチュエータ18は、蓄電池搭載電気車両のパンタグラフ42の上昇及び下降を行うアクチュエータである。パンタグラフアクチュエータ18は、例えば、ばねを利用して上昇のための動作を行い、空気圧を利用して下降のための動作を行う。これらの昇降のための動作を行うに当たり、パンタグラフアクチュエータ18は、図1右部に示すようにパンタグラフ昇降制御装置2からのパンタグラフ上昇信号及びパンタグラフ下降信号に基づいて、夫々上昇及び下降を行う。
【0022】
昇降信号生成部3は、パンタグラフ位置センサ4、無給電検知装置10、力行判断部12、停車判断部14、充電要求判断部16、非接触電圧センサA6、及び非接触電圧センサB8から信号を受けて、パンタグラフアクチュエータ18の動作を制御するための前述のパンタグラフ上昇信号及びパンタグラフ下降信号を生成する。
【0023】
〔パンタグラフ上昇信号の出力〕
パンタグラフアクチュエータ18に送信されるパンタグラフ上昇信号は、昇降信号生成部3の第1の論理積回路24から出力される。上記第1の論理積回路24がパンタグラフ上昇信号を出力するのは、以下の(1)から(5)までの条件が全て充たされている場合である(図1参照)。
(1)非接触電圧センサ(A6、B8)(架線検知部)が架線があることを検知する。
(2)車速信号が、車両が停止状態であること示すものである。
(3)力行ノッチ信号が0ノッチである。
(4)蓄電池監視装置108(図3(4)参照)が、充電要求をするものであることを示す充電要求信号を出力している。
(5)パンタグラフ位置センサ4が、パンタグラフが下降位置にあることを示すパンタグラフ低位置信号(パンタグラフ下降位置信号)を出力している。
【0024】
非接触電圧センサA6、A8は、パンタグラフ42の上方に通電された架線40が存在することを検知するものであり、電気車両44の屋上面に設けられている。図2(1)に示すように、非接触電圧センサA6、B8は、パンタグラフ42の前後にパンタグラフ42を挟むようにして設けられる。非接触電圧センサA6、B8は、上方に架線42が存在し且つその架線42が通電されている場合に動作するセンサである。なお、通電された架線40が電気車両44の屋上面のパンタグラフ42に確実に接触し得る状況にあることを検知するために、図2(2)に示すように、非接触電圧センサA6、B8が、複数のパンタグラフ42を挟んで電気車両44の前部と後部とに設けられてもよい。
【0025】
非接触電圧センサA6、B8は、上方に架線42が存在し且つその架線42が通電されていることを検知すると、検知信号“1”を出力するように構成されている。従って、非接触電圧センサA6と非接触電圧センサB8のいずれもが検知信号“1”を出力すると、第2の論理積回路34により第1の論理積回路24に対して架線検知信号“1”が出力される。それ以外の場合は、第2の論理積回路34により第1の論理積回路24に対して架線検知信号“0”が出力される。
【0026】
車速信号は、図3(3)に示すように、電気車両に通常備わる速度計108により出力される。パンタグラフ昇降制御装置2の停車判断部14は、この車速信号を受けて停車判断信号を、第1の論理積回路24の前に設置される第2の論理否定回路28に出力する。停車判断部14は、車速信号が0km/時のとき停車判断信号を“0”とし、車速信号が0km/時以外のとき停車判断信号を“1”とする。なお、停車判断部14は、車速信号が0km/時に近い所定速度(例えば、5km/時)以下であるとき停車判断信号を“0”とし、車速信号が所定速度より大きいとき停車判断信号を“1”とするものであってもよい。つまり、車速信号が0km/時に近い所定速度(例えば、5km/時)以下であるときには、車両は停止状態であるとみなして、停車判断部14が停車判断信号“0”を出力し、車速信号が上記所定速度より大きいときには、車両は停止状態でないとみなして、停車判断部14が停車判断信号“1”を出力するようにしてもよい。
【0027】
力行ノッチ信号は、図3(2)に示すように、電気車両のマスターコントローラ104により出力される。パンタグラフ昇降制御装置2の力行判断部12は、この力行ノッチ信号を受けて力行判断信号を、第1の論理積回路24の前に設置される第3の論理否定回路30に出力する。力行判断部12は、力行ノッチ信号が0ノッチのとき力行判断信号を“0”とし、力行ノッチ信号が0ノッチ以外のとき力行判断信号を“1”とする。
【0028】
充電要求信号は、図3(4)に示すように、蓄電池監視装置108が蓄電池70の充電状態を監視して蓄電池70の充電状態が充電が必要である状態に達したとき、蓄電池監視装置108から、充電要求をするために出力される。蓄電池監視装置108は、例えば、蓄電池70の充電量が所定値以下になれば、充電要求をするものであることを示す充電要求信号を出力するように構成されている。また図示していないが、例えば所定の短時間に所定値以上の距離を電気車両が走行した場合に、充電要求をするものであることを示す充電要求信号を出力するように蓄電池監視装置108が構成されていてもよい。
【0029】
パンタグラフ昇降制御装置2の充電要求判断部16は、この充電要求信号を受けて、充電要求判断信号を第1の論理積回路24に出力する。充電要求判断部16は、充電要求信号が充電要求をするものでないとき充電要求判断信号を“0”とし、充電要求信号が充電要求をするものであるとき充電要求判断信号を“1”とする。
【0030】
パンタグラフ低位置信号は、上述のようにパンタグラフ位置センサ4により出力される。ところで、図3(1)に示すように、パンタグラフ42にはアーム角度検出センサ102が取り付けられており、アーム角度検出センサ102はパンタグラフのアームの角度からパンタグラフの高さ位置を算出する。パンタグラフ位置センサ4は、パンタグラフの高さ位置を受けて、パンタグラフ低位置信号を第1の論理積回路24に対して出力する。パンタグラフ位置センサ4は、パンタグラフの高さ位置が第1の設定高さより小さいときパンタグラフ低位置信号を“1”とし、パンタグラフの高さ位置が第1の設定高さ以上のときパンタグラフ低位置信号を“0”とする。
【0031】
なお、後述するように、アーム角度検出センサ102と接続するパンタグラフ位置センサ4は、パンタグラフが上昇位置にあることを示すパンタグラフ高位置信号、及び、パンタグラフの位置(高さ)を示すパンタグラフ位置信号をも出力する。また、後述するように、パンタグラフ位置センサ4がアーム角度検出センサ102の代わりに、パンタグラフの所定高さ(位置)で作動する各種オンオフスイッチ(例えば、近接スイッチ、リミットスイッチ等)を備え、パンタグラフが所定高さより上にあるか下にあるかに従って、オン信号“1”、若しくは、オフ信号“0”を出力する、というようにパンタグラフ位置センサ4が構成されてもよい。
【0032】
従って、第1の論理積回路24は、図1に示すように、
(1)非接触電圧センサA6、B8に繋がる第2の論理積回路34が、架線検知信号“1”を出力し、
(2)停車判断部14が停車判断信号“0”を出力し、
(3)力行判断部12が力行判断信号“0”を出力し、
(4)充電要求判断部16が充電要求判断信号“1”を出力し、且つ、
(5)パンタグラフ位置センサ4がパンタグラフ低位置信号“1”を出力している
とき、パンタグラフ上昇信号を出力する。
【0033】
つまり、架線が確実に存在し、電気車両が確実に停車しており、蓄電池等の状況から充電が必要であり、且つ、パンタグラフが低位置に在る場合に、パンタグラフ上昇信号が出力される。パンタグラフアクチュエータ18に対してパンタグラフ下降信号が出力される条件の上記組み合わせは、当然ながら例示に過ぎず、別の組み合わせのものであってもよい。
【0034】
なお、上記(1)(2)の停車判断信号と力行判断信号とは、いずれも電気車両が停車状況にあるか否かを示す信号である。ここで、上記(1)の停車判断信号さえあれば(即ち、車速のみ判断されれば)、電気車両の停車状況は把握され得るとも考えられる。しかしながら、パンタグラフの上昇や下降は所定の時間を要するものである。例えば、たとえ電気車両が停止していてもノッチが0以上に動かされていると、パンタグラフの上昇終了時に電車が走り出してしまっている、というような望ましくない状況が発生してしまうことが考えられる。従って、上記の条件では力行ノッチ信号を用いて車両の直近の動作をできるだけ把握し、安全な停車状況時にのみパンタグラフの上昇が為されるようにしている。つまり、本実施形態のパンタグラフ昇降制御装置2は、車速信号が車両が停止状態であること示すものであり力行ノッチ信号が0ノッチである場合のみ、電気車両は安全な停車状況にあるとしている。従って、パンタグラフの上昇や下降が瞬時に為され得るのであれば、パンタグラフ昇降制御装置2はパンタグラフ上昇信号を作成するために力行ノッチ信号を用いなくてもよい、といえる。
【0035】
〔パンタグラフ下降信号の出力〕
パンタグラフアクチュエータ18に送信されるパンタグラフ下降信号は、昇降信号生成部3の第1の論理和回路20の出力を利用する第3の論理積回路22から出力される。上記第3の論理積回路22がパンタグラフ上昇信号を出力するのは、以下の(1)から(5)までのうち少なくともいずれか一つの条件が充たされ、且つ、以下の(6)の条件が満たされている場合である(図1参照)。
(1)外部の変電所から架線への給電が無い。
(2)パンタグラフが架線高さより高い位置にあり、パンタグラフが架線から逸脱している。
(3)車速信号が、車両が停止状態でないこと示すものである(電気車両が走行状態である)。
(4)力行ノッチ信号が0ノッチではない。
(5)蓄電池監視装置108(図3(4)参照)が出力する充電要求信号が、充電要求をするものでない。
(6)パンタグラフ位置センサ4が、パンタグラフが上昇位置にあることを示すパンタグラフ高位置信号(パンタグラフ上昇位置信号)を出力している。
【0036】
上記(1)の外部の変電所から架線40への給電が無いことの検知は、無給電検知装置10が行う。図4は、蓄電池搭載電気車両44における、蓄電池70、インバータ72を伴うモータ74、補機76、及び、無給電検知装置10の概略の構成を示すブロック図である。無給電検知装置10は、図4に示すように、架線電圧及び架線電流を入力とする。
【0037】
図4に示すように、パンタグラフ42が上昇位置にあり架線40と接触している場合搭載された蓄電池70と架線40とが接続状態となり、外部の変電所からの給電が無くても(若しくは、止まっても)、蓄電池電圧によって架線40に電圧が供給される。このとき、非接触電圧センサは通電のある架線40を検知することになるが、この通電が外部の変電所からの給電によるものなのか、蓄電池70からの電圧によるものなのか、判別がつかない。そこで、上記の両者の判別を行い、外部の変電所からの給電が無い場合にパンタグラフ下降信号を作成するために、無給電検知装置10が設けられている。
【0038】
つまり、無給電検知装置10が、外部の変電所からの給電が無いと判別した場合には、パンタグラフを下降させて蓄電池70から架線40への充電を無くすことにより、外部の変電所に対して流出する蓄電池70の放電を抑制できる。
【0039】
図4に示す無給電検知装置10は、架線電圧に所定の周波数の高調波が検出されたとき、又は、架線電流が一定期間ゼロであることが検出されたとき、架線の無給電を検出する。具体的には、無給電検知装置10は、まず、架線電圧を調べている。電気車両に給電を行う変電所は、通常、三相交流を整流器によって整流して直流電流を作る。このため、変電所から供給される電圧には、所定の周波数の高調波成分が含まれる。例えば、6パルス整流が行われれば、直流電流には交流基本周波数の6倍高調波成分が重畳する。無給電検知装置10はこの高調波成分を検知する。具体的には、架線電圧を電圧センサ50が検知し、検知された架線電圧のうち、例えば、交流基本周波数の6倍高調波成分が、帯域通過フィルタ54により抽出され、整流器56を経て、比較器58にて設定値と比較される。比較器58は、6倍高調波成分が設定値以下であると判定すれば、無電圧検知信号を“1”として出力し、6倍高調波成分が設定値より大きいと判定すれば、無電圧検知信号を“0”として出力する。
【0040】
なお、外部の変電所において、12パルス整流、18パルス整流、若しくは24パルス整流などが行われることもあるが、それらの場合には、帯域通過フィルタ54のフィルタ対象が、夫々基本周波数の12倍、18倍、若しくは24倍などに設定されることになる。
【0041】
図4に示す無給電検知装置10は、また、架線電流を調べている。架線電流を電流センサ52が検知する。検知された架線電流が電流ゼロ検出部60によって一定時間ゼロであることが検出されれば、電流ゼロ検出部60は、無電流検知信号を“1”として出力する。それ以外の場合は、電流ゼロ検出部60は、無電流検知信号を“0”として出力する。
【0042】
図4に示す無給電検知装置10(の第2の論理和回路62)は、上記無電圧検知信号と上記無電流検知信号のいずれか一方でも“1”である場合、無給電検知信号を“1”として第1の論理和回路20に出力する。それ以外の場合は、無給電検知装置10は、無給電検知信号を“0”として第1の論理和回路20に出力する。
【0043】
次に、パンタグラフが架線高さより高い位置にありパンタグラフが架線から逸脱しているか、否かの判断は、パンタグラフ位置センサ4及び比較器(パンタグラフ高さ判断部)32により為される。上述のように、パンタグラフ42にはアーム角度検出センサ102が取り付けられており、アーム角度検出センサ102はパンタグラフのアームの角度からパンタグラフの高さ位置を算出する。パンタグラフの高さ位置を受けて(図3(1)参照)、パンタグラフ位置センサ4は、比較器32に対してパンタグラフの位置の現在値を出力する。比較器32は、パンタグラフの位置の現在値と、パンタグラフ位置の上限設定値(第1の上限設定高さ)とを比較して、パンタグラフの位置の現在値の方が大きい場合、架線区間外信号を“1”として第1の論理和回路20に出力する。パンタグラフの位置の現在値の方が小さい場合、架線区間外信号を“0”として第1の論理和回路20に出力する。この架線区間外信号“1”は、「パンタグラフが架線高さより高い位置にあり、パンタグラフが架線から逸脱している」ことを表す。
【0044】
上記では、パンタグラフ位置センサ4は、比較器32に対してパンタグラフの位置の現在値、即ち、連続量を出力するものとしているが、デジタル信号である架線区間外信号そのものを出力するものであってもよい。例えば、パンタグラフ位置センサ4がアーム角度検出センサ102から受けたパンタグラフの高さ位置が、上記第1の上限設定高さより大きい場合に、架線区間外信号を“1”として第1の論理和回路20に出力し、パンタグラフの高さ位置の方が小さい場合、架線区間外信号を“0”として第1の論理和回路20に出力する、というものであってもよい。
【0045】
ここで、パンタグラフ位置センサ4がアーム角度検出センサ102の代わりに、パンタグラフの所定高さ(位置)で作動する各種オンオフスイッチ(例えば、近接スイッチ、リミットスイッチ等)を備え、パンタグラフが所定高さより上にあるか下にあるかに従って、オン信号“1”、若しくは、オフ信号“0”を出力する、というようにパンタグラフ位置センサ4が構成されてもよい。上記の例によると、オンオフスイッチを備えるパンタグラフ位置センサ4が、パンタグラフが上記第1の上限設定値の高さより上にある場合、架線区間外信号“1”を出力し、パンタグラフが上記第1の上限設定値の高さより下にある場合、架線区間外信号“0”を出力することになる。当該スイッチの作動位置(高さ)を調整することにより、パンタグラフ位置センサと比較器を合わせ持つ構成と同じ役割を果たすことができる。
【0046】
また、既に説明したように、パンタグラフ昇降制御装置2の停車判断部14は、車速信号が0km/時以外のとき停車判断信号を“1”とし、車速信号が0km/時のとき停車判断信号を“0”とする。停車判断部14は、車速信号が0km/時に近い所定速度(例えば、5km/時)以下であるとき停車判断信号を“0”とし、車速信号が所定速度より大きいとき停車判断信号を“1”とするものであってもよい。停車判断部14は、停車判断信号を第1の論理和回路20に出力する。
【0047】
また、既に説明したように、パンタグラフ昇降制御装置2の力行判断部12は、力行ノッチ信号が0ノッチ以外のとき力行判断信号を“1”とし、力行ノッチ信号が0ノッチのとき力行判断信号を“0”とする。力行判断部12は、力行判断信号を第1の論理和回路20に出力する。前に説明したように、本実施形態のパンタグラフ昇降制御装置2は、力行ノッチ信号が0ノッチ以外である場合、電気車両は安全な停車状況にないとしている。
【0048】
また、既に説明したように、パンタグラフ昇降制御装置2の充電要求判断部16は、充電要求信号が充電要求をするものであるとき充電要求判断信号を“1”とし、充電要求信号が充電要求をするものでないとき充電要求判断信号を“0”とする。充電要求判断部16は、充電要求判断信号を、第1の論理和回路20の前に設置される第1の論理否定回路26に出力する。
【0049】
次に、パンタグラフ高位置信号は、前述のパンタグラフ低位置信号と同様に、パンタグラフ位置センサ4により出力される。つまり、アーム角度検出センサ102からのパンタグラフの高さ位置を受けて(図3(1)参照)、パンタグラフ位置センサ4は、パンタグラフ高位置信号をパンタグラフ昇降制御装置2の第3の論理積回路22に対して出力する。パンタグラフ位置センサ4は、パンタグラフの高さ位置が第2の設定高さより大きいときパンタグラフ高位置信号を“1”とし、パンタグラフの高さ位置が第2の設定高さ以下のときパンタグラフ高位置信号を“0”とする。なお、パンタグラフ高位置信号に係る第2の設定高さは、上記のパンタグラフ低位置信号に係る第1の設定高さと同じでもよいし、異なっていてもよい(例えば、第2の設定高さが第1の設定高さより大きくてもよい)。また、既に説明したように、パンタグラフ位置センサ4がアーム角度検出センサ102の代わりに、パンタグラフの所定高さ(位置)で作動する各種オンオフスイッチ(例えば、近接スイッチ、リミットスイッチ等)を備えるようにパンタグラフ位置センサ4が構成されてもよい。
【0050】
従って、第3の論理積回路22は、図1に示すように、
(A)第1の論理和回路20が“1”を出力し、且つ、
(B)パンタグラフ位置センサ4がパンタグラフ高位置信号“1”を出力している
とき、パンタグラフ下降信号を出力する。
上記(A)の第1の論理和回路20は、
(A−1)無得給電検知装置10が無給電検知信号“1”を出力すること、
(A−2)比較器32(若しくはパンタグラフ位置センサ4)が架線区間外信号“1”を出力すること、
(A−3)停車判断部14が停車判断信号“1”を出力すること、
(A−4)力行判断部12が力行判断信号“1”を出力すること、又は、
(A−5)充電要求判断部16が充電要求判断信号“0”を出力すること
の(A−1)〜(A−5)のうち、いずれかが満たされれば、“1”を出力する。
【0051】
つまり、架線から給電がない、パンタグラフが架線から逸脱している、電気車両が確実には停車していない、若しくは、蓄電池等の状況から充電が必要でない、の少なくともいずれか1つの場合にはパンタグラフは下降状態にされるべきとして、パンタグラフが高位置に在る場合にパンタグラフ下降信号が出力される。パンタグラフアクチュエータ18に対してパンタグラフ下降信号が出力される条件の上記組み合わせは、当然ながら例示に過ぎず、別の組み合わせのものであってもよい。
【0052】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、電気車両の走行中にパンタグラフが下降されるように制御していた。しかし、電気車両が架線区間を走行中にその架線から電力を受けて蓄電池を充電する場合も想定される。そこで、電気車両の走行中に充電する必要がある場合にはパンタグラフを下降させないように制御するための構成を説明する。
【0053】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置2’の構成を示すブロック図であり、パンタグラフアクチュエータ18も示している。第2の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置2’は、第1の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置2と略同様のものである。従って、同一部位には同一符号を付して説明を省略し、その差異を中心に説明する。
【0054】
図5に示す第2の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置2’の昇降信号生成部3は、第1の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置2の昇降信号生成部3の構成に加えて、第4の論理積回路86、第5の論理積回路84、第6の論理積回路82、及び、第4の論理否定回路80を備えている。
【0055】
第2の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置2’には、走行中充電許可信号が入力される。走行中充電許可信号は、架線区間走行中にも架線からの充電を許可するか否かを示す信号である。走行中充電許可信号は、架線区間走行中に架線からの充電を許可することを設定する場合に“1”が設定され、それ以外の場合(即ち、停車中のみ充電を行う場合)に“0”が設定される。
【0056】
なお、パンタグラフ昇降制御装置が、蓄電池への充電を指示する蓄電池充電指示信号が外部から入力されるように構成されているのであれば、この蓄電池充電指示信号を走行中充電許可信号の代わりに使用することができる。また、第1の実施形態において説明した架線検知信号のような、架線の存在を検知する信号が外部から入力されるのであれば、この架線の存在を検知する信号を、走行中充電許可信号の代わりに使用してもよい。
【0057】
第2の実施形態に係るパンタグラフ昇降制御装置2’において、具体的にはパンタグラフアクチュエータ18が受け取るパンタグラフ下降信号の作成条件が、変わることになる。まず、走行中充電許可信号が“1”である場合、即ち、走行中にパンタグラフを介して蓄電池の充電を行う必要がある場合、第4の論理否定回路80と第4の論理積回路86により、力行ノッチに関する判断が省かれる(キャンセルされる)。同様に、第4の論理否定回路80と第5の論理積回路84により、車速に関する判断が省かれる(キャンセルされる)。従って、電気車両が、停止状態から走行状態になっても、それだけではパンタグラフ下降信号は作成されないことになる。
【0058】
また、走行中充電許可信号が“1”である場合、第4の論理否定回路80と第6の論理積回路82により、充電要求信号に関する判断が省かれる(キャンセルされる)。従って、電気車両が停止状態から走行状態になり、充電要求信号が充電要求をするものでなくなっても、パンタグラフ下降信号は作成されない。走行状態になったことにより、蓄電池70は充電を要求する、若しくは充電を要求しやすい状態になったと考えられるためである。
【0059】
なお、運行上の安全を考慮して、パンタグラフアクチュエータ18が受け取るパンタグラフ上昇信号の作成条件は変わっていない。従って、パンタグラフ上昇信号を作成する回路構成は変わっていない。
【符号の説明】
【0060】
2・・・パンタグラフ昇降制御装置、3・・・昇降信号生成部、4・・・パンタグラフ位置センサ、6・・・非接触電圧センサA、8・・・非接触電圧センサB、10・・・無給電検知装置、12・・・力行判断部、14・・・停車判断部、16・・・充電要求判断部、18・・・パンタグラフアクチュエータ、20・・・第1の論理和回路、22・・・第3の論理積回路、24・・・第1の論理積回路、32・・・比較器、34・・・第2の論理積回路、40・・・架線、42・・・パンタグラフ、44・・・蓄電池搭載電気車両、50・・・電圧センサ、52・・・電圧センサ、54・・・帯域通過フィルタ、56・・・整流器、58・・・比較器、60・・・電流ゼロ検出器、62・・・第2の論理和回路、70・・・蓄電池、72・・・インバータ、74・・・モータ、76・・・モータ、86・・・第4の論理積回路、84・・・第5の論理積回路、82・・・第6の論理積回路、102・・・アーム角度検出センサ、104・・・マスターコントローラ、106・・・速度計、108・・・蓄電池監視装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンタグラフの上昇と下降を行うパンタグラフアクチュエータを制御するパンタグラフ昇降制御装置であって、
架線の有無を検知する架線検知部と、
車速信号を受ける停車判断部と、
力行ノッチ信号を受ける力行判断部と、
充電要求信号を受ける充電要求判断部と、
パンタグラフの高さ位置を受けるパンタグラフ位置センサと、
パンタグラフアクチュエータに対してパンタグラフの昇降を指示するための制御信号を生成する昇降信号生成部と
を含み、
上記昇降信号生成部が、
上記架線検知部から、架線の存在を検知することを示す架線検知信号を受け、
上記停車判断部から、車両が停止状態であることを示す停車判断信号を受け、
上記力行判断部から、力行ノッチがゼロであることを示す力行ノッチ判断信号を受け、
上記充電要求判断部から、充電要求信号が充電要求をするものであることを示す充電要求判断信号を受け、且つ、
上記パンタグラフ位置センサから、パンタグラフの高さ位置が第1の設定高さより小さいことを示すパンタグラフ低位置信号を受けたとき、
パンタグラフアクチュエータに対して、パンタグラフを上昇させることを指示するパンタグラフ上昇信号を出力する
ことを特徴とするパンタグラフ昇降制御装置。
【請求項2】
パンタグラフの上昇と下降を行うパンタグラフアクチュエータを制御するパンタグラフ昇降制御装置であって、
外部の架線からの給電についての信号を受ける無給電検知装置と、
パンタグラフの高さ位置を受けるパンタグラフ位置センサと、
車速信号を受ける停車判断部と、
力行ノッチ信号を受ける力行判断部と、
充電要求信号を受ける充電要求判断部と、
パンタグラフアクチュエータに対してパンタグラフの昇降を指示するための制御信号を生成する昇降信号生成部と
を含み、
上記昇降信号生成部が、
(A−1)上記無給電検知装置から、外部の架線からの給電がないことを示す無給電検知信号を受けること、
(A−2)上記パンタグラフ位置センサが受けたパンタグラフの高さ位置が第1の上限設定値よりも大きい場合、パンタグラフが架線から逸脱していることを示す架線区間外信号を受けること、
(A−3)上記停車判断部から、車両が停止状態でないことを示す停車判断信号を受けること、
(A−4)上記力行判断部から、力行ノッチがゼロより大きいことを示す力行ノッチ判断信号を受けること、若しくは、
(A−5)上記充電要求判断部から、充電要求信号が充電要求をするものでないことを示す充電要求判断信号を受けること
の上記(A−1)乃至(A−5)のうち、少なくとも一つが発生し、且つ、
上記昇降信号生成部が、
(B)上記パンタグラフ位置センサから、パンタグラフの高さ位置が第2の設定高さより大きいことを示すパンタグラフ高位置信号を受けたとき、
パンタグラフアクチュエータに対して、パンタグラフを下降させることを指示するパンタグラフ下降信号を出力する
ことを特徴とするパンタグラフ昇降制御装置。
【請求項3】
パンタグラフの上昇と下降を行うパンタグラフアクチュエータを制御するパンタグラフ昇降制御装置であって、
架線の有無を検知する架線検知部と、
車速信号を受ける停車判断部と、
力行ノッチ信号を受ける力行判断部と、
充電要求信号を受ける充電要求判断部と、
パンタグラフの高さ位置を受けるパンタグラフ位置センサと、
外部の架線からの給電についての信号を受ける無給電検知装置と、
パンタグラフアクチュエータに対してパンタグラフの昇降を指示するための制御信号を生成する昇降信号生成部と
を含み、
上記昇降信号生成部が、
上記架線検知部から、架線の存在を検知することを示す架線検知信号を受け、
上記停車判断部から、車両が停止状態であることを示す停車判断信号を受け、
上記力行判断部から、力行ノッチがゼロであることを示す力行ノッチ判断信号を受け、
上記充電要求判断部から、充電要求信号が充電要求をするものであることを示す充電要求判断信号を受け、且つ、
上記パンタグラフ位置センサから、パンタグラフの高さ位置が第1の設定高さより小さいことを示すパンタグラフ低位置信号を受けたとき、
パンタグラフアクチュエータに対して、パンタグラフを上昇させることを指示するパンタグラフ上昇信号を出力し、
更に、
上記昇降信号生成部が、
(A−1)上記無給電検知装置から、外部の架線からの給電がないことを示す無給電検知信号を受けること、
(A−2)上記パンタグラフ位置センサが受けたパンタグラフの高さ位置が第1の上限設定値よりも大きい場合、パンタグラフが架線から逸脱していることを示す架線区間外信号を受けること、
(A−3)上記停車判断部から、車両が停止状態でないことを示す停車判断信号を受けること、
(A−4)上記力行判断部から、力行ノッチがゼロより大きいことを示す力行ノッチ判断信号を受けること、若しくは、
(A−5)上記充電要求判断部から、充電要求信号が充電要求をするものでないことを示す充電要求判断信号を受けること
の上記(A−1)乃至(A−5)のうち、少なくとも一つが発生し、且つ、
上記昇降信号生成部が、
(B)上記パンタグラフ位置センサから、パンタグラフの高さ位置が第2の設定高さより大きいことを示すパンタグラフ高位置信号を受けたとき、
パンタグラフアクチュエータに対して、パンタグラフを下降させることを指示するパンタグラフ下降信号を出力する
ことを特徴とするパンタグラフ昇降制御装置。
【請求項4】
上記無給電検知装置が、
架線を経て給電される架線電圧から、交流基本周波数の所定倍の高調波成分を検知する架線電圧検知部と、
架線を経て給電される架線電流から、一定時間電流値がゼロであることを検出する架線電流検出部とを含み、
上記架線電圧検知部が上記高調波成分を検出するとき、若しくは、上記架線電流検出部が一定時間電流値がゼロであること検出するとき、
上記無給電検知装置が、外部の架線からの給電がないことを示す無給電検知信号を出力することを特徴とする請求項2又は3に記載のパンタグラフ昇降制御装置。
【請求項5】
上記架線検知部が、少なくとも、一つ又は複数のパンタグラフの前後を挟んで設置される2つの非接触電圧センサを含み、
上記2つの非接触電圧センサのいずれもが、上方に架線が存在し且つその架線が通電されていることを検知するとき、架線の存在を検知する架線検知信号を出力することを特徴とする請求項1又は3に記載のパンタグラフ昇降制御装置。
【請求項6】
上記充電要求信号は、
蓄電池を監視する蓄電池監視装置が、蓄電池の状態を監視して充電が必要であると判定すれば、蓄電池監視装置により充電要求をするものであることを示すものとして設定され、
蓄電池を監視する蓄電池監視装置が、蓄電池の状態を監視して充電が必要であると判定すれば、蓄電池監視装置により充電要求をするものでないことを示すものとして設定されることを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1に記載のパンタグラフ昇降制御装置。
【請求項7】
上記昇降信号生成部が、
走行中の架線からの充電の許可若しくは不許可を示す走行中充電許可信号を更に入力し、
上記走行中充電許可信号が、架線区間走行中に架線からの充電を許可することを示す場合には、
上記停車判断部から、車両が停止状態でないことを示す停車判断信号を受けることの発生に関する判断と
上記力行判断部から、力行ノッチがゼロより大きいことを示す力行ノッチ判断信号を受けることの発生に関する判断と、
上記充電要求判断部から、充電要求信号が充電要求をするものでないことを示す充電要求判断信号を受けることの発生に関する判断と
をキャンセルすることを特徴とする請求項2又は3に記載のパンタグラフ昇降制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−183802(P2010−183802A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27504(P2009−27504)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】