説明

ヒーターおよびそれを備えた加熱定着装置

【課題】 ヒーター全体を均一に加熱することができ、昇温速度を増大させることができるとともに、トナー画像の定着性に優れたヒーターの構造を提供する。
【解決手段】 セラミックヒーター10は用紙9の表面上に形成されたトナー画像を定着させる。セラミック基板1は、トナー画像が形成された用紙9の一方の表面に対向するように配設される。発熱体2は、用紙9の一方の表面に対向するセラミック基板1の表面と反対側の表面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒーターおよびそれを備えた加熱定着装置に関し、より特定的には、複写機、プリンタなどで用いられる、紙等の転写材の表面上に形成されたトナー画像を定着させるためのヒーターおよびそれを備えた加熱定着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トナー画像を定着させるために用いられるヒーターとしては、円筒型ヒーターがある。図5は、従来の加熱定着装置の構成を概略的に示す模式図である。図5に示すように、加熱定着装置は、所定の温度に維持されたアルミニウム製の加熱ローラ25と、加熱ローラ25に対して圧接する加圧ローラ8とを備えている。トナー画像が形成された転写材である用紙9が、加熱ローラ25と加圧ローラ8との間に送り込まれ、両ローラで加熱加圧されることにより、用紙9の上に形成されたトナー画像が定着する。この場合、円筒型ヒーター20自体も加熱ローラ25とともに矢印Rの方向に回転する。加圧ローラ8も矢印Rで示す方向に回転する。したがって、用紙9は加熱ローラ25と加圧ローラ8との間に挟まれて矢印Pで示す方向に移動する。
【0003】
上述のように、円筒型ヒーターが用いられる場合には、ヒーター自体が回転して加熱ローラ25を通じて用紙9に熱を伝えてトナー画像を定著させている。このため、円筒型ヒーター20だけでなく、アルミニウム製の加熱ローラ25の全体をトナーの定着可能な温度まで加熱しなければならない。その結果、ヒーター全体の熱容量を大きくする必要があり、消費電力が大きくなる。
【0004】
これに対して、熱容量の小さい板状のヒーターと薄膜のフィルムとを用いた加熱定着装置が、特開昭63−313182号公報、特開平1−263679号公報、特開平2−157878号公報、特開平5−135849号公報等で提案されている。図6は、板状のヒーターを用いた加熱定着装置の概略的な構成を示す模式図である。図6に示すように、加熱定着装置は、耐熱性樹脂フィルム、たとえばポリイミド樹脂から形成されたポリイミドフィルム7と加圧ローラ8とを備えている。ポリイミドフィルム7と加圧ローラ8が矢印Rで示す方向に回転する。トナー画像が形成された用紙9はポリイミドフィルム7と加圧ローラ8との間に挟まれて矢印Pで示す方向に移動する。回転するポリイミドフィルム7の内側には、板状のセラミックヒーター10が固定されている。板状のセラミックヒーター10からポリイミドフィルム7を通じて用紙9に熱が伝わる。また、この加圧ローラ8の表面は弾性体(通常はゴム)から形成されており、後述のように加熱ローラと加圧ローラとの間に設けられたばねによって一定の荷重が加えられている。この荷重によって転写材である用紙9には加熱と同時に荷重が加えられる。また、この荷重によって加圧ローラ8の表面は加圧され、図7に示すようにヒーターに対向する部分に一定幅Wの接触部を形成する。この熱と加えられる荷重とにより、用紙9の表面上に形成されたトナー画像が定着する。このように、ヒーターを板状にすることにより、円筒型ヒーターよりも大幅にヒーターの熱容量を下げることができ、消費電力を低減させることができる。
【0005】
図7は、図6に示された加熱定着装置の構成をより詳細に示す模式図である。図6に示されたセラミックヒーター10は、セラミック基板1と発熱体2と温度検知素子用電気回路層3と温度検知素子4と保護ガラス層5とを備えている。セラミック基板1の用紙9に対向する一方の表面上には、発熱体2が形成されている。セラミックヒーター10はヒーター搭載台6の上に固定されている。耐熱性樹脂フィルム7は、固定されたセラミックヒーター10の表面を覆うようにして矢印Rで示される方向に回転する。したがって、セラミックヒーター10の用紙9に対向する表面は樹脂フィルム7と摺動することとなる。そのため、樹脂フィルム7と対向する発熱体2の表面とセラミック基板1の表面には、保護ガラス層5が形成されている。セラミック基板1の反対側の表面には、温度検知素子用電気回路層3を介在して温度検知素子4が搭載されている。
【0006】
上記のように構成されたセラミックヒーター10を用いて用紙9の表面上に熱を伝える場合、熱は発熱体2から保護ガラス層5に伝わり、樹脂フィルム7を通じて用紙9に伝わる。保護ガラス層5は、平滑でかつ均一の厚みを有する必要がある。もし、保護ガラス層5が平滑でない場合や、その膜厚のばらつきが大きい場合には、トナーの定着性にむらが生じるおそれがある。また、発熱体2と樹脂フィルム7との間の絶縁抵抗を確保するために、保護ガラス層5の厚みを数十μm以上にする必要がある。
【0007】
一方、前述の定着のための加圧機構は、通常、図8に示されるような機構である。図8の(A)は図7の加熱定着装置における加熱ローラの内部断面を示す図である。図8の(B)は加圧機構を示す模式図である。これらの図を参照して、加圧ローラ8は加圧ローラ搭載台81にその軸が保持されている。セラミックヒーター10はヒーター搭載台6に固着されている。アルミニウム製フレーム61はヒーター搭載台6に固定され、加熱ローラの外枠を構成している。図8の(A)に示す断面に直角の方向から見た断面が図8の(B)に示されている。言い換えれば、図8の(A)は図8の(B)のA−A線に沿った断面のうち加熱ローラ側の部分のみを示している。図8の(B)は、図8の(A)で示した加熱ローラの内部構造、特にアルミニウム製フレーム61と加圧ローラ8との接続構造を示している。ヒーター搭載台6に固定されたアルミニウム製フレーム61の両端は、加圧ローラ8の軸を保持した固定台81にばね82によって弾性的に支持されている。このように加熱ローラがばね82によって加圧ローラ8に当接する方向に弾性的に一定の荷重が加えられるようになっている。このばね82の圧縮力とアルミニウム製フレーム61の剛性によって両ローラ間に一定の圧力が加わり、加圧ローラ8の表面の弾性体(通常ゴム)の変形によって接触部が形成されている。転写材である用紙は、図8の(B)に示される紙投入口83を通じて送り込まれる。なお、図示していないが、図8の(B)において、紙投入口83の外側に実際にはヒーター搭載台6が存在し、ヒーター搭載台6と加圧ローラ8との間に耐熱性樹脂フィルム(たとえばポリイミド製フィルム)7が走行するようになっている。転写材である用紙が投入される前には、加圧ローラ8と耐熱性樹脂フィルム7とが接触した状態となっている。
【0008】
接触部の幅Wとセラミック基板の幅Wとの間の模式的な関係は図7に示されている。ただし、図7においては、セラミックヒーター10を拡大して示しているので、接触部の幅Wとセラミック基板の幅Wとの間の関係が実際とは少し異なっている。
【0009】
この接触部の幅Wの範囲内では、多少の温度分布は存在するもの、通常トナーの定着に必要な最低限の温度は確保されるようになっている。現在、ヒーター基板の材料としてはアルミナ(Al)が主として用いられている。アルミナを用いる場合には、この接触部の幅Wは、用紙の送り込み速度が低速である4ppm(日本工業規格A列4番の大きさの用紙を1分間に4枚送る速度)では、通常2mm程度である。このときのアルミナ基板は、幅9mm、長さ270mm、厚み0.635mmの大きさのものが通常用いられ、その基板上に形成される発熱体の幅は通常1.5mmである。なお、発熱体の両側には、絶縁性を確保するため、200V電源を使用する場合には少なくとも2.5mmずつ空間を設け、同様に100V電源を使用する場合には少なくとも1.6mmずつ空間を設ける。
【0010】
用紙の送り込み速度(定着速度)が大きくなると、接触部の幅Wも当然大きくする必要がある。そこで、単純にセラミック基板上の発熱体の幅を大きくし、さらに加圧ローラの直径を大きくしたり、加圧ローラと加熱ローラとの間の荷重を増加させて接触部の幅を大きくし、高速の送り込み速度においでも安定にトナーを定着できるだけの均熱部の距離を確保しているのが現状である。
【0011】
したがって、この接触部の幅Wは、接触部内での温度が均一とする単純な仮定の下では、前述のように定着速度が4ppmのとき2mmであるので、8ppmのとき4mm、16ppmのとき8mmとする必要がある。実際には、接触部内でも温度分布が生じているので安全をみて発熱体の幅を接触部の幅Wよりわずかに小さい程度に広げる必要がある。発熱体の幅が大きくなれば、その発熱体が設けられるアルミナ基板の幅Wも当然大きくする必要がある。その結果、定着の高速化によってヒーターの消費電力も増加する。
【0012】
一方、両ローラ間に加えられる荷重を大きくすることによって接触部の幅Wを大きくし、発熱体の幅の増加と、それに伴うセラミック基板の幅Wの増加を抑制するとともに、定着品質を確保することも試みられている。
【0013】
しかしながら、図7に示されるようなセラミックヒーターの構造を採用する限り、上記の荷重を増加させることになって定着品質を確保するには限界がある。たとえば、セラミック基板と発熱体に加わる熱衡撃も増加し、定着速度の増加に伴ってセラミック基板と発熱体の寿命も短くなる。また、セラミックヒーターの表面と摺動する耐熱性樹脂フィルムとの摩擦が大きくなり、セラミックヒーターの表面に形成される保護ガラス層の損傷も大きくなる。さらに、転写材である用紙への負荷も増大し、定着の高速化によって用紙の表面に皺や傷が発生しやすくなる。
【0014】
以上述べたように、現状のアルミナ基板を用いたセラミックヒーターの構造で定着の高速化に対応するとすれば、単純に設計すると、各定着速度ごとの設計仕様は表1に示されるようになる。表1において、定着速度が8ppm以上での値は推計値である。
【0015】
【表1】

【0016】
なお、上記の表1で8ppmの定着速度までは基板の幅Wは、いずれも9mmで計算上設計可能であり、同じ幅とした。また、表1において荷動6kgまで、すなわち定着速度が6ppmまでは、図8の(A)に示すように加熱ローラのフレームはアルミニウム製であるが、荷重が8kg以上、すなわち定着速度が8ppm以上になると、剛性を高くするために加熱ローラのフレームとしてスチール製のものを用いる必要がある。
【0017】
以上のように定着速度を上げようとすると現状のアルミナ基板を用いたセラミックヒーターの構造を採用している限り、種々の問題が考えられる。
【特許文献1】特開昭63−313182号公報
【特許文献2】特開平01−263679号公報
【特許文献3】特開平02−157878号公報
【特許文献4】特開平05−135849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで、現状のアルミナ基板を用いたセラミックヒーターの構造を採用する場合、特に定着速度の高速化を図るための最大の課題は、保護ガラス層に関係するヒーターの熱効率の向上をいかに達成することができるか、ということである。一般に、ガラスの熱伝導率は数W/mK以下であり、非常に低い。このため、発熱体2から伝えられた熱により上昇した保護ガラス層5の温度のばらつきが大きくなる。その結果、セラミックヒーター10の全体を一定温度にすることが困難になる。これにより、用紙9の表面上に形成されたトナー画像を均一に定着させることが困難となる。
【0019】
また、セラミックヒーターの温度を制御するための装置が必要となり、製造コストが高くなるという問題もある。さらに、セラミックヒーターが所定の使用温度に達するまで時間がかかるなどの問題点がある。
【0020】
一方、上記の間題点を解決するために保護ガラス層の厚みを薄くすると、発熱体2と樹脂フィルム7との間の絶縁抵抗が小さくなるという問題点がある。
【0021】
そこで、この発明の目的は、セラミックヒーター内の温度のばらつきを小さくし、トナー画像の定着性能を向上させるとともに、ヒーターの昇温速度を向上させることである。
【0022】
さらに、この発明の別の目的は、以上の目的を達成した上で今後の定着速度の高速化に追随できるセラミックヒーターの構造を提供することである。
【0023】
この発明のさらに別の目的は、トナー画像の定着性能を向上させ、セラミックヒーターの昇温速度を向上させ、さらに定着速度の高速化に対応可能なヒーターの構造を備えた加熱定着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この発明に従ったヒーターは、移動可能に配置された耐熱性フィルムと、その耐熱性フィルムの上に圧力を加える加圧ローラとを備え、その加圧ローラによる加圧と耐熱性フィルムを介した加熱とによって、耐熱性フィルムと加圧ローラとの間に挟まれて移動する転写材の表面上に形成されたトナー画像を定着させる加熱定着装置に、耐熱性フィルムがその上で摺動して密着し得るように設けられるヒーターである。そのヒーターは、セラミック基板と、発熱体とを備える。セラミック基板は、トナー画像が形成された転写材の一方の表面に対向するように配置されている。発熱体は、転写材の一方の表面に対向するセラミック基板の表面と反対側の表面に形成されている。
【0025】
好ましくは、発熱体は、セラミック基板の表面上に複数本の線状の形態で形成されている。
【0026】
また、好ましくは、発熱体は、セラミック基板の表面上に面状の形態で形成されている。
【0027】
セラミック基板の表面に形成される発熱体は、線状の場合、面状の場合ともに、その成分としてたとえば、銀、白金、パラジウム、ルテニウム等の貴金属およびそれらの合金からなる群から選ばれた金属の少なくとも1種を含む複合体か、またはSiの炭化物、周期律表IVa、VaおよびVIa族に属する各元素単体(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W)、ならびにそれらの各元素の炭化物、窒化物、硼化物および珪化物からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む複合体から形成されているのが好ましい。
【0028】
セラミック基板の熱伝導率は50W/mK以上であるのが好ましい。セラミック基板は、そのような熱伝導率を有する複合材料、多層基板または単板から構成される。
【0029】
セラミック基板の厚みは、4mm以上0.6mm以下であるのが好ましい。耐熱性フィルムと加圧ローラとの間で形成される接触部の幅(W)に対するセラミック基板の幅(W)の比(W/W)が1.4以下であるのが好ましい。
【0030】
セラミック基板は、窒化アルミニウムを主成分とする。好ましくは、セラミック基板は窒化アルミニウム焼結体からなり、その窒化アルミニウム焼結体を構成している粒子の平均粒径は6.0μm以下であり、窒化アルミニウム焼結体の曲げ強度は40kg/mm以上である。
【0031】
ヒーターの温度を制御する制御回路および/または制御素子は、発熱体が形成されたセラミック基板の表面と同一の表面上に形成されるのが好ましい。
【0032】
ヒーターの温度を検知する素子および/またはその制御回路は、発熱体が形成されたセラミック基板と異なる基板の上に形成され、その基板が発熱体の直上に設けられるのが好ましい。
【0033】
さらにこの発明の別に局面に従った加熱定着装置は、セラミックヒーターと、耐熱性フィルムと、加圧ローラとを備えている。耐熱性フィルムは、セラミックヒーターに密着して摺動するように配置されている。加圧ローラは、耐熱性フィルムの上に圧力を加えるものである。加熱定着装置は、加圧ローラによる加圧と耐熱性フィルムを介したセラミックヒーターによる加熱とによって、耐熱性フィルムと加圧ローラとの間に挟まれて移動する転写材の表面上に形成されたトナー画像を定着させる。セラミックヒーターは、セラミック基板と、発熱体とを含む。セラミック基板は、トナー画像が形成された転写材の一方の表面に対向するように配置されている。発熱体は、転写材の一方の表面に対向するセラミック基板の表面と反対側の表面に形成されている。
【0034】
この発明においては、発熱体が形成された表面と反対側のセラミック基板の表面が、トナー画像の形成された転写材の一方の表面に対向している。そのため、発熱体が形成されていないセラミック基板の表面から紙等の転写材に熱が伝わる。その熱により、転写材に形成されたトナー画像が定着する。転写材に対向するセラミック基板の表面には発熱体が形成されていないので、その発熱体を保護するためのガラス層も形成されていない。このように熱伝導率の低いガラス層が発熱体と転写材との間に介在しないため、ヒーター全体の温度を均一にすることが容易となる。また、ヒーターを急速に昇温させることも容易となる。このように、発熱体で発生した熱はセラミック基板に拡散し、セラミックヒーター全体を迅速に均一な温度にすることができるので、ヒーターの温度制御を容易にすることができる。
【0035】
セラミック基板の表面上に複数本の線状の形態で発熱体を形成することにより、あるいは、セラミック基板の表面上に面状の形態で発熱体を形成することにより、ヒーター全体の温度をより均一にすることができる。
【0036】
セラミック基板の表面に形成される発熱体は、線状の場合、面状の場合ともに、その成分としてたとえば、銀、白金、パラジウム、ルテニウム等の貴金属およびそれらの合金からなる群から選ばれた金属の少なくとも1種を含む複合体か、またはSiの炭化物、周期律表IVa、VaおよびVIa族に属する各元素単体、それらの各元素の炭化物、窒化物、硼化物および珪化物からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む複合体から構成するものとし、これらをたとえば、窒化アルミニウムを主成分とするセラミック基板上に配設することにより、基板を均一に加熱することができる。この場合、特に面状であれば、発熱体の区間ごとの抵抗値を制御することが不要になる。なお、前者の場合は、発熱体の形成が後者に比べて低温でできるという製造上の利点があり、後者の場合は、前者より低コストで耐熱性を有するという利点がある。
【0037】
また、セラミック基板の材料として50W/mK以上の熱伝導率を有するものを用いると、ヒーター全体の温度分布をより均一にすることができる。このような材料には、窒化アルミニウム、窒化硼素、炭化珪素、およびこれらの複合材料が用いられる。その中でも、経済性、ヒーターの性能を考慮する、窒化アルミニウムが最も好ましい。
【0038】
したがって、セラミック基板の材料として窒化アルミニウムを主成分とすることにより、セラミック基板を均一に加熱することができるとともに、急速に昇温させることが可能になる。特に好ましくは、100W/mK以上、さらには200W/mK以上の熱伝導率を有するものを用いることによって、より迅速に昇温でき、全体の温度分布のより一層の均一化を図ることができる。したがって、同じトナー定着強度の転写体が、より速く得られ(すなわち、立ち上がりが速く)、高速紙送り(高いppm値(1分間当たりに送り込まれる紙の枚数の値)、すなわち、高い定着速度操作)での転写強度の追随が容易となる。また、同じ定着速度であれば、より高い定着強度の転写が可能になる。ここで、Al(アルミナ)とAlN(窒化アルミニウム)をセラミック基板の材料に用いた場合において、ヒーターの特性について説明する。
【0039】
ヒーターの特性は、セラミック基板に形成された発熱体に加えられる電力量が同一の場合、セラミック基板の熱伝導率と熱容量に依存する。すなわち、セラミック基板の熱伝導率が高いほど、セラミック基板をより均一に加熱することができ、熱容量が小さいほど、セラミック基板を急速に昇温することができる。また、昇温過程(定常状態ではなく、過渡期)におけるヒーターの温度は、電気的な等価回路を想定すると、抵抗RとコンデンサCが直列に接続された回路によって決定されるものとなる。すなわち、ヒーター温度は以下の式で表わされる。
【0040】
【数1】

【0041】
ここで、RC(cm・sec)は、トナー画像を定着させるために本発明のヒーターを用いた場合、定着特性を表わす指数とすることができる。以下の表にアルミナと窒化アルミニウムの特性値を示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示すように、熱伝導率が50W/mK以上の窒化アルミニウムをセラミック基板の材料として用いると、比熱×密度/熱伝導率の値を5.0以下にすることができ、定着特性を表わす指数を低くすることができる。
【0044】
また、この発明のヒーターにおいては、発熱体が、転写材に対向するセラミック基板の表面と反対側の表面に形成されているので、ヒーター温度を制御する制御回路や制御素子も、発熱体が形成されるセラミック基板の表面と同一の表面上に形成することができる。そのため、発熱体の電気回路パターンと制御回路パターンとをセラミック基板の表面上に同一の工程で製造することができる。
【0045】
さらに、ヒーターの温度を検知する素子やその制御回路を、発熱体が形成された基板と異なる基板の上に形成し、その基板を発熱体の直上に設けることにより、温度検知素子の応答性を向上させることができる。温度検知素子が発熱体と同一のセラミック基板の表面上に存在する場合、温度検知素子用回路と発熱体回路との絶縁を確保する必要がある。そのため、温度検知素子用回路と発熱体回路をある一定距離隔てる必要がある。その結果、温度検知素子で検知した温度と実際のヒーターの温度との間に温度差が生じる。この温度差は、発熱体に流す電流を制御する装置の制御方法を変更することにより是正することが可能である。しかしながら、このような対策を行なうと、温度に対する応答性が悪くなる。そこで、セラミック基板と異なる絶縁性基板の上に温度検知素子および/または温度検知素子用の電気回路を形成し、その絶縁性基板を発熱体の直上に設けることにより、温度に対する応答性を改善することが可能になる。
【0046】
また、セラミック基板の材料として窒化アルミニウム焼結体を用い、その窒化アルミニウム焼結体を構成する粒子の平均粒径を6.0μm以下、窒化アルミニウム焼結体の曲げ強度を40kg/mm以上とすることにより、機械的強度に優れたセラミック基板を得ることができる。このような窒化アルミニウム焼結体を用いると、熱衝撃性を示す温度差が50℃以上、上昇するため、使用時の過熱に強く、ローラからの偏加圧にも強い基板を設計することができる。また、曲げ強度が大きくなると、後述する発熱体、電極、ガラス等の印刷、焼成後の基板の反り、うねりがより小さく抑えられ、定着のより一層の均一化が図られ、好ましい。このような高強度の窒化アルミニウム焼結体を得るには、AlN原料の粒径、焼結助材の組合せ等を最適化し、少なくとも1800℃以下、好ましくは1700℃以下の温度で焼結する必要がある。さらに、このように曲げ強度が高く、反り、うねりが小さく抑えられ、熱衝撃性が高くなるので、現状の基板の厚み0.635mmに比べて薄い0.4〜0.6mmの厚みの基板も利用することができる。その結果、基板の熱容量は小さくなり、ヒーターの消費電力がさらに低減される。このような特徴は、窒化硼素、炭化珪素をセラミック基板の材料として用いた場合にも確認されている。
【発明の効果】
【0047】
セラミックヒーター内の温度のばらつきを小さくし、トナー画像の定着性能を向上させるとともに、ヒーターの昇温速度を向上させ、さらに、今後の定着速度の高速化に追随できるセラミックヒーターの構造を提供することができる。また、トナー画像の定着性能を向上させ、セラミックヒーターの昇温速度を向上させ、さらに定着速度の高速化に対応可能なヒーターの構造を備えた加熱定着装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
図1は、この発明の1つの実施形態に従ったセラミックヒーターを備えた加熱定着装置の概略的な構成を示す模式図である。図1に示すように、板状セラミックヒーター10はヒーター搭載台6に固着されている。ポリイミド等の樹脂フィルム7は板状セラミックヒーター10の表面を覆い、ヒーター搭載台6のまわりを矢印Rで示す方向に回転可能である。また、ゴム製の加圧ローラ8は、樹脂フィルム7との間に用紙9を挟んで矢印Rで示す方向に回転可能である。
【0049】
板状のセラミックヒーター10は、窒化アルミニウム焼結体からなるセラミック基板1と発熱体2と温度検知素子用電気回路層3と温度検知素子4と保護ガラス層5とを備えている。セラミック基板1の用紙9に対向する表面と反対側の表面に発熱体2と、ヒーター温度を制御する制御回路として温度検知素子用電気回路層3とが形成されている。発熱体2を被覆するように保護ガラス層5が形成されている。温度検知素子4はセラミック基板1の上に電気回路層3を介在して設けられている。
【0050】
このようにして構成された加熱定着装置においては、発熱体2で発生した熱はセラミック基板1に均一に拡散し、回転する樹脂フィルム7を通じて用紙9に伝わる。これにより、用紙9の表面上に形成されたトナー画像が定着する。用紙9は、互いに逆方向に回転する樹脂フィルム7と加圧ローラ8との間に挟まれて加熱されるとともに矢印Pで示す方向に移動する。このようにして、用紙9の表面上のトナー画像を定着させる動作が行なわれる。
【0051】
上記の実施形態において、窒化アルミニウム焼結体からなるセラミック基板1の用紙9に対向する表面は、表面粗さ、うねりおよび反りが小さい方が好ましい。用紙9に対向するセラミック基板1の表面が平滑でない場合、すなわち表面粗さやうねり、反りなどが大きい場合、樹脂フィルム7の表面と均一にセラミック基板1の表面が接触することが困難となる。その結果、セラミック基板1に伝わった熱が樹脂フィルム7を通じて用紙9に均一に伝わらない。これにより、用紙19上でのトナー画像の定着を均一に行なうことが困難になる。具体的には、セラミック基板1の表面粗さは、JIS十点平均高さ粗さRzで5.0μm以下、うねり、反りに関しては2.0mm以下であるのが好ましい。
【0052】
セラミック基板1の熱伝導率は高ければ高いほど効果的ではあるが、50W/mK以上であれば、比較的、ヒーター全体の温度分布は良好である。前述のように、このようなセラミック材料には、窒化アルミニウム、窒化硼素、炭化珪素およびこれらの複合材料がある。しかしながら、窒化硼素は高価であり、炭化珪素はそれのみでは電気絶縁性が低く、利用するためには表面に絶縁性の膜を形成する必要がある。したがって、窒化アルミニウムがこれらの中で最も好ましい材料である。熱伝導率が50W/mKよりも低くなると、発熱体2で発生した熱はセラミック基板1の用紙9に対向する面の側に伝わるのに時間が長くかかる。また、熱伝導率が50W/mKよりも低くなると、発熱体2から発生した熱によって昇温したセラミック基板1の温度のばらつきが大きくなるため、好ましくない。
【0053】
セラミック基板1の上に塗布することによって形成される発熱体2の材質は、ヒーターの使用温度が200℃程度であるために、前述のようにたとえば、Ag−Pd、Pt−Pd、Ru系の化合物、またはW、Mo等の高融点金属などのいずれかの金属材料を選択することができる。セラミック基板1の上に発熱体2を焼き付けた後、さらに発熱体の回路パターンを保護し、かつ絶縁性を確保するために保護ガラス層5が形成される。このガラスの材質としては、基板に窒化アルミニウムを用いる場合、窒化アルミニウムと反応するものを含まなければ、どのようなものでも用いることは可能である。セラミック基板1を構成する窒化アルミニウムとの良好な密着性を確保するためには、周期律表IIa族元素、IIIa族元素、IIIb族元素の酸化物を保護ガラス層5の材料に含ませるのが好ましい。しかしながら、導電性を有する酸化物を保護ガラス層5の材料に含ませることは、回路間の絶縁耐圧の低下を招くため、好ましくない。
【0054】
なお、セラミック基板1の発熱体2が形成されている表面には、Agペースト等によって発熱体2や温度検知素子用電気回路層3のための電極が形成される。
【0055】
このようにして構成された加熱定着装置においては、発熱体2などが形成されていないセラミック基板1の表面がポリイミド等の樹脂フィルム7の表面に接触する。窒化アルミニウム焼結体からなるセラミック基板1は樹脂フィルム7に直接接触するが、窒化アルミニウム焼結体は熱伝導に優れているため、接触面の温度ばらつきが非常に小さいので、均一な温度分布を有する加熱定着装置を実現することが可能になる。
【0056】
図2は、この発明の別の実施形態に従ったセラミックヒーターを備えた加熱定着装置の構成を概略的に示す模式図である。図2に示すように、図1の構成と異なる点は、セラミック基板1の用紙9に対向する表面と反対側の表面上に複数本の発熱体2が形成されている点である。このように、複数本の線状の発熱体2をセラミック基板1の表面に形成することにより、セラミック基板1を均一に加熱することが可能になる。このようにセラミック基板1の均一加熱を実現できる。
【0057】
図3の(A)〜(C)は、従来の板状のセラミックヒーターと本発明の板状のセラミックヒーターの構成を概略的に示す断面図である。図3(A)に示すように、従来の板状のセラミックヒーターにおいては、用紙に対向するセラミック基板1の表面(図において下側の表面)上に発熱体2が形成されている。発熱体2を被覆するように保護ガラス層5が形成されている。また、図3の(B)に示すように、本発明の一つの形態にしたがったセラミックヒーターにおいては、セラミック基板1の用紙と対向する表面と反対側の表面(図において上側の表面)上に発熱体2が形成されている。発熱体2を被覆するように保護ガラス層5が形成されている。
【0058】
図3の(C)には、本発明のさらに別の形態に従ったセラミックヒーターの構成が示されている。このセラミックヒーターにおいては、セラミック基板1の全面上に発熱体2が形成されている。発熱体2の上には保護ガラス層5が形成されている。このようなセラミックヒーターはバルクヒーターと呼ばれる。
【0059】
以上の3つの板状のセラミックヒーターについて、トナー画像が形成された用紙の側に伝わる熱の抵抗値を近似計算する。熱抵抗の近假計算法は、図3の(D)に示される。また、その近似計算式は以下の式で示される。
【0060】
【数2】

【0061】
図3の(D)に示すように、熱は発熱体2から角度α=45°の方向に伝わるものとする。発熱体2から熱が伝わる材料の熱伝導率をKとする。幅A、厚みtの位置までの熱抵抗は上記の式Riで表わされる。全体の熱抵抗はRthで表わされる。
【0062】
熱抵抗の近似計算を行なうにあたって、各セラミックヒーターの寸法を以下のとおりとする。図3の(A)で示される従来のセラミックヒーターにおいては、発熱体2の厚みtは0.01mm、幅Wは1.5mm、セラミック基板1の厚みtは0.635mm、幅Wは9.0mm、保護ガラス層5の厚みtは0.080mmである。図3の(B)で示される本発明のセラミックヒーターにおいては、発熱体2の厚みtは0.01mm、幅Wは1.5mm、セラミック基板1の厚みtは0.635mm、幅Wは9.0mm、保護ガラス層5の厚みtは0.080mmである。図3の(C)で示される本発明のバルクヒーターにおいては、発熱体2の厚みtは0.01mm、セラミック基仮1の厚みtは0.4mm、保護ガラス層5の厚みtは0.080mm、セラミック基板1の幅Wは9.0mmである。
【0063】
各ヒーターの構造について近似計算された熱抵抗の値は表3に示される。
【0064】
【表3】

【0065】
表3から明らかなように、本発明に従って図3(B)の構造を有するセラミックヒーターは、従来の図3(A)で示されるセラミックヒーターに比べて低い熱抵抗値を有する。なお、図3(A)で示されるセラミックヒーターは、セラミック基板1の材料としてAlまたはAlNのいずれの材料を用いても、同一の熱抵抗値を有する。これは、発熱体から発生する熱が図において下側の方向、すなわち用紙側の方向に伝わる熱のみについて計算を行なっているためである。しかし、図3(A)の構造では、実際には、セラミック基板1を構成するアルミナまたは窒化アルミニウムにも熱は伝わる。この際、窒化アルミニウムの方が、熱の伝わり方が速く、昇温均熱化が速く進むため、図3(A)の構造においても、窒化アルミニウムを用いた方がアルミナを用いるよりも実際の熱抵抗はかなり低くなる。また、ヒーターの構造を図3(C)に示すようにすると、熱抵抗値がさらに低くなる。以上述べた伝熱特性は、窒化硼素、炭化珪素を用いた場合においても同様である。
【0066】
以上のように、板状のセラミックヒーターにおいて、熱を伝える方向、すなわちトナー画像が形成された用紙の方向にセラミック基板の材料として窒化アルミニウムを用いると、その方向での熱抵抗値をより小さくすることができる。また、発熱体を線状の形態ではなく、面状の形態でセラミック基板の表面に形成することにより、すなわちセラミックヒーターをバルクヒーターの形態で構成することにより、その方向での熱抵抗値をより小さくすることができる。
【0067】
図4は、この発明のセラミックヒーターのさらに別の形態を示す図である。図4の(A)に示すように、絶縁基板11の表面上に温度検知素子用電気回路層3を形成する。温度検知素子用電気回路層3の一方端には電極層41が接続されている。温度検知素子用電気回路層3の他方端の上には温度検知素子4が搭載されている。この場合、絶縁基板11の材料としては、Al、ZrO、ガラス、Si、AlNなどを用いることができる。また、電気回路層3に用いられる導体は、ヒーターの近傍に形成されるので酸化しにくい金属、すなわちAg、Au、Ptなどの貴金属あるいはそれらの合金で形成するのが好ましい。
【0068】
図4の(B)に示すように、窒化アルミニウム焼結体からなるセラミック基板1の表面上に発熱体2を形成する。発熱体2に接続し、それと平行に延びるように電気回路層22がセラミック基板1の表面上に形成される。発熱体2の一方端部と電気回路層22の一方端部に接続するように電極層21が形成される。
【0069】
図4(A)に示すように構成された絶縁基板11を図4(B)に示すように構成された発熱体2を有するセラミック基板1の上に搭載する。このように構成されたセラミックヒーターの平面図は図4(C)に示されている。図4(D)は図4(C)のD−D線に沿う断面図である。図4(D)に示すように、温度検知素子4が絶縁基板11を介して発熱体2の直上に位置するように搭載されている。これにより、温度に対する応答性を改善することができる。
【0070】
この場合、絶縁基板11を発熱体2の上に搭載すればよく、セラミック基板1と絶縁基板11の接合はどのような方法によって行なってもよい。
【0071】
たとえば、セラミック基板1の上に所定の発熱体2と電気回路層22と電極層21を厚膜スクリーン印刷法により形成する。次に、絶縁基板11の表面上にも電気回路層3と電極層41を同様の方法で形成する。その後、絶縁基板11をセラミック基板1の所定の位置に搭載し、大気中で焼成する。これにより、発熱体2と電気回路層22と電極21はセラミック基板1と絶縁基板11の両方に焼き付き、接合することができる。
【0072】
また、セラミック基板1と絶縁基板11との別の接合方法として以下の方法を採用することができる。まず、セラミック基板1と絶縁基板11の両方にそれぞれ、発熱体2、電気回路層22、電極層21、電気回路層3、電極層41を別々に焼き付ける。その後、セラミック基板1に発熱体2を保護するためのオーバーコートガラスを印刷乾燥させる。このセラミック基板1の上に上記の絶縁基板11を所定の位置に固定し、ガラスを焼き付ける。ガラスは両方の基板に焼き付くため、セラミック基板1と絶縁基板11を接合することができる。
【実施例1】
【0073】
セラミック基板の材料としてAlまたはAlNを用いて図1、図2および図7に示すセラミックヒーターを作製した。セラミックヒーターの作製方法は以下のとおりである。
【0074】
Al焼結体またはAlN焼結体から、300mm×10mm×0.7mmの大きさのセラミック基板1を準備した。この表面を十点平均高さ粗さRzで2μmに仕上げ、その基板の上にAgまたはPtの貴金属を主成分とするペーストを所定の位置にスクリーン印刷法によって塗布することにより、発熱体を形成した。Ag等の金属成分を含むペーストを所定の位置にスクリーン印刷法によって塗布することにより、発熱体2に接続する電極を形成した。また、Ag−Pdを基板1の上にスクリーン印刷法で塗布することにより、温度検知素子用電気回路層3を形成した。その温度検知素子用電気回路層3の上に温度検知素子4を搭載した。その後、セラミック基板1を温度900℃で大気中で焼成した。このときの発熱体2の抵抗値は20Ωとした。焼成処理されたセラミック基板1に対して、電気回路層と発熱体2の保護のためにガラスをスクリーン印刷法によって塗布し、温度600℃で大気中で焼成した。これにより、厚み60μmの保護ガラス層5が形成された。なお、この時点での基板の長手方向の反りおよびうねりは、それぞれ1.8mm、2.0mmであった。
【0075】
上記のセラミックヒーターの製造方法において用いられるAlN焼結体は以下のようにして準備された。
【0076】
AlN扮末100重量部に対して焼結助剤0.8重量部添加し、さらに所定量の有機バインダ、有機溶剤を加え、ボールミル混合法により混合した。その後、得られたスラリーをドクターブレード法によりシート成形した。得られたシートを所定の大きさに切断した後、非酸化性雰囲気にて温度800℃〜900℃で脱脂処理した。また、このときの脱脂処理方法として、大気中などの酸化性雰囲気中で温度600℃以下で行なってもよい。温度600℃以上の酸化性雰囲気中で行なうと、AlN粉末表面の酸化反応が進行してしまい、得られる焼結体の熱伝導率が低下するため好ましくない。以上のように脱脂処理されたシートを温度1700℃〜1900℃の非酸化性雰囲気中で焼成した。これにより、粒径が小さく、曲げ強度の大きな焼結体を得ることができる。このようにして作製されたAlN焼結体の熱伝導率は170W/mK程度であり、曲げ強度は30kg/mm、平均粒径は8μmであった。
【0077】
なお、上記のAlN焼結体の製造方法において、焼結温度が高くなればなるほど、AlNを構成している粒子の粒径は大きくなる。焼結時間を長くしても、粒径は大きくなるが、焼結温度による影響の方が大きい。AlN焼結体は粒子の場合によって構成されている。このとき、AlN焼結体の曲げ強度は、粒子間の結合力と粒子の接合面積に比例する。低温で焼結を行なう場合、粒子の成長がないため、粒子が小さく、相対的に単位体積当りの粒子の表面積も大きくなる。その結果、粒子間の接合(結合)面積も大きくなるので、相対的に高い強度を有する焼結体を得ることができる。
【0078】
以上のようにして作製された図1、図2および図7に示されるセラミックヒーターを用いて各図で示されるように加熱定着装置を構成した。なお、図7と図1に示すセラミックヒーターにおいて発熱体2の幅は1.5mmとし、図2に示すセラミックヒーターにおいては3本の線状の発熱体2が形成されており、個々の発熱体2の幅はそれぞれ0.5mmとした。各加熱定着装置を用いてトナー画像の用紙に対する定着性を評価した。定着性の評価方法は以下のようにして行なわれた。日本工業規格A列4番(A4)の用紙にトナーを一面に塗布した。塗布方法としては、プリンタの定着装置に搬入される前の用紙を使用した。この用紙を図1、図2および図7で示された各セラミックヒーターを用いてトナーを定着させた。定着速度の設定は、加圧ローラ8を回転させるモータの速度を調節することによって行なった。耐熱性樹脂フィルム7と加圧ローラ8の間に形成される接触部の幅Wと定着の荷重は、定着速度に応じて表1に示されるレベル程度とした。
【0079】
その評価試験における条件および結果は以下の表4に示される。
【0080】
【表4】

【0081】
表4において、定着速度の単位「ppm」は、1分間当りに送り込まれる用紙の枚数を示す。定着荷重は、加圧ローラ8と樹脂フィルム7とによって用紙9に加えられる絶対荷重を示す。「Al」はセラミック基板1の材料としてアルミナ焼結体を用いたことを示しており、「AlN」はセラミック基板1の材料として窒化アルミニウム焼結体を用いたことを示している。「図1」、「図2」および「図7」は、各図に示されるセラミックヒーターを用いて定着試験を行なったことを示している。「20W/mK」、「170W/mK」は、セラミック基板1の熱伝導率を示している。定着性の評価は、加熱定着装置に送られる用紙の1枚目、2枚目、4枚目、6枚目、8枚目、12枚目および16枚目に行なわれた。1枚目の用紙は、セラミックヒーター10に電力を供給した後、15秒後に加熱定着装置に送られた。
【0082】
定着性の評価は、手でこすることにより用紙の上に形成されたトナーがほとんど剥がれなかった場合を「○」、50%程度剥がれた場合を「△」、ほとんど剥がれた場合を「×」で示した。表4から明らかなように、定着速度を増加させた場合においても、本願発明に従ったセラミックヒーター(図1および図2の構造)を採用すると、優れた定着特性を示した。さらに、セラミック基板の材料をアルミナから窒化アルミニウムとし、高い熱伝導率を有するセラミック基板を用いることにより、さらに定着特性が向上した。
【0083】
また、アルミナ基板を用い従来のセラミックヒーターの構造(図7)の場合、表1に示されるように定着速度の増加につれ、定着荷重を増加させて接触部の幅Wを大きくしていく必要がある。表4に示すように、アルミナ基板を用いた図7の構造では、定着性レベルの荷重に対する推移は、このような状況を反映している。たとえば、定着速度を8ppmとすると、荷重は8kgとし、接触部の幅Wを4mmにしないと送り込み当初からの定着性は「○」にならない。定着速度が12ppm、16ppmの場合でも、荷重が8kgの条件では、必要レベルの定着性を得ることができないことがわかる。
【0084】
これに対して、窒化アルミニウム基板を用いた場合では、従来のセラミックヒーターの構造(図7)で定着速度が8ppmのとき、荷重が4kg(接触部の幅Wが2mm)の条件でも定着性は容易に「○」のレベルに達している。これは、同じ接触部の幅であっても、放熱性の差によって実際の均熱部の幅が変化することによるものと考えられる。
【0085】
また、各条件について転写材である用紙の投入1枚目の定着が完了するまでの消費電力を積算電力計を用いて測定した結果を表5に示す。なお、表5中において左側の数値は昇温に要した消費電力の値、右側の数値は定着に要した消費電力の値を示している。
【0086】
【表5】

【0087】
表5から明らかなように、同一の定着速度、同一の定着荷重、定着特性が同一の場合、窒化アルミニウムの方が、基板の熱容量が小さい分、昇温時の消費電力は小さくなる。また、同一の定着速度、同一の定着荷重、同一の定着特性の場合、定着時の消費電力は基板材料にかかわらず、図7>図1>図2の順で大きくなる。これは、接触部の幅内におけるヒーターの温度分布が図7>図1>図2の順で大きくなるため、温度分布のより均一な図2に示すセラミックヒーターの消費電力が若干小さくなるからである。
【0088】
また、定着速度が高速になるにつれて、セラミック基板材料がアルミナの場合、温度分布が大きいため消費電力を上げても、定着特性は悪い。しかし、セラミック基板材料が窒化アルミニウムの場合、基板内の温度分布が均一なこと、さらに熱抵抗が小さいことにより、有効に熱を伝えることができ、図7>図1>図2の順に消費電力も小さくなる。
【0089】
次に、熱伝導率が定着特性に及ぼす影響を調べた。定着性の評価試験方法は上記と同様に行なった。この場合、定着遠度を8ppm、定着圧力を4kgとした。上記と同様にして、送られる用紙の1枚目と4枚目と8枚目とにおいて定着特性を評価した。その結果は表6に示される。
【0090】
【表6】

【0091】
表6から明らかなように、セラミック基板の熱伝導率としては50W/mK以上が好ましく、熱伝導率が高ければ高いほど、定着特性が向上した。なお、表6において「◎」は用紙の上に形成されたトナーが全く剥がれなかったことを示す。
【0092】
なお、別途、焼結助材を変えてシート成形し、温度1700℃で焼結調製した平均粒径5.5μm、曲げ強度42kg/mm、熱伝導率170W/mKの窒化アルミニウム焼粘体を用い、前記例と同様の300mm×10mm×0.7mmの基板を準備した。基板表面の十点平均高さ粗さは2μmであった。これに前記例と同様のAgまたはPtの貴金属を含む発熱体、Agを含む電極およびAg−Pdの温度検知素子用回路の各印刷焼付け層を形成し、さらに保護ガラス層を焼付けした。この状態で基板の長手方向の反りおよびうねりは、いずれも1mm以下であった。このヒーターユニットを用いて前記例と同様に図1、図2および図7に示すような加熱定着装置を構成し、前記例と同様に、このヒーターによる定着特性を確認した。その結果、表4に示す前記例のAlNのデータに比べて、特に定着速度12ppm、定着圧力8kgでの追随性(早い枚数での定着強度向上の程度)に1ランクの向上(つまり、×が△に、△が○に)が見られた。
【実施例2】
【0093】
図3の(C)に示されるバルクヒーターを用いて実施例1と同様にトナーの定着性の評価試験を行なった。バルクヒーターは以下のようにして製造された。
【0094】
AlN粉末に所定の導体成分として粉末を加え、混合した後、ドクターブレード法によりシート成形した。このようにして発熱体2が成形された。また、AlNのセラミック基板1は、導体粉末を加えないで、実施例1と同様の方法でシート成形した。得られたシートを積み重ねて所定の大きさに切断した後、非酸化性雰囲気において温度600〜900℃で脱脂処理した。このとき、脱脂処理の方法としては、大気中などの酸化性雰囲気中で温度600℃以下で行なってもよい。脱脂処理されたシートを温度1700〜1900℃の非酸化性雰囲気中で焼成した。得られた焼結体のうち、発熱体2に相当する厚みは0.3mm、セラミック基板1に相当する厚みは0.4mmであった。合計の厚みは0.7mmであった。このような焼結体を300mm×10mmの大きさに切断した。
【0095】
これに対して、150mm×8mm×0.3mmの大きさのAl基板を準備した。その基板の上に所定の回路を形成し、温度検知素子であるサーミスタを取付けた。ここで使用する基板は、発熱体との間の絶縁を確保することができればよく、材料としてはZrO、ガラス、AlNなどが用いられてもよい。また、回路形成に使用される導体の材料も導電性を有するものであればよい。ただし、発熱体の近傍に形成されるので、酸化しにくい金属、すなわちAg、Au、Ptなどの貴金属およびそれらの合金を用いるのが好ましい。このようにして作製されたサーミスタ基板を発熱体の上に取付け、実施例1と同様にトナーの定着特性の試験を行なった。その結果は以下の表7に示される。
【0096】
【表7】

【0097】
定着特性の評価試験条件は、定着圧力を4kg、定着速度を8ppmとした。表7から明らかなように、導体成分の配合量を増加させることにより、定着特性が向上した。
【実施例3】
【0098】
実施例1のシート成形法で得られた平均粒径5.5μm、曲げ強度42kg/mm、熱伝導率170W/mKの窒化アルミニウム焼結体で作られた長さ300mm、厚み0.7mmで以下の表8に示す各種の幅寸法を有する基板を準備した。基板の表面は十点平均高さ粗さRzで2μmに仕上げた。これらの各種の幅のセラミック基板のそれぞれに実施例1と同様の発熱体、電極、温度検知素子用電気回路層を焼付け、図1に示すセラミックヒーターを作製した。
【0099】
これらのセラミックヒーターを用いて図1に示すように加熱定着装置を構成した。各加熱定着装置を用いて表8に示す定着速度と定着荷重の条件にて実施例1と同様の手順でトナーの用紙に対する定着性を評価した。また、実施例1と同様の手順で1枚目の定着に要した消費電力を測定した。その結果を表8に示す。なお、表8中の「消費電力」の欄の左側の数値は昇温に要した消費電力の値、右側の数値は定着に要した消費電力の値を示す。定着性の表示は表4と同様である。
【0100】
【表8】

【0101】
なお、実施例1で作製したアルミナ基板を用いて図1に示すセラミックヒーターを構成し、上記と同様にして基板の幅を変化させて定着性を評価すると、定着速度8ppm、定着荷重4kgの条件では、基板の幅が5mm以下で定着性のレベルは「×」であり、荷重を8kgにすると、基板の幅が6mm(この場合、接触部の幅は4mmであり、基板の幅/接触部の幅の比は1.5)まではレベル「○」の定着性が確認された。定着速度が12ppmの条件では、基板の幅を10mmにしてもトナーの定着を行なうことは不可能であった。
【0102】
以上の結果より、本発明に従って窒化アルミニウムを基板材料として用いて図1に示すようにセラミックヒーターを構成することによって、同一の定着速度、同一の定着荷重の条件下では、従来の標準の基板の幅(表1)よりも小さい基板の幅でも所定の定着性を確保することができることがわかる。
【0103】
基板の幅/接触部の幅の比との関係で見ると、アルミナ基板を用いたセラミックヒーターの場合は、所定の定着性を確保するためには上記の比率をせいぜい1.5まで小さくするのが限度であるが、本発明のように窒化アルミニウム基板を用いてセラミックヒーターを構成すると、上記の比率を1.4以下まで小さくしても所定の定着性を確保することができることがわかる。
【0104】
また、このようにセラミック基板の幅を小さくすることによって、セラミックヒーターそのものの熱容量を低減させることにより、消費電力をかなり低減できることがわかる。
【0105】
さらに、上記のアルミナ基板を用いて図7に示す構造のセラミックヒーターを作製し、上記と同じ条件下で同様に定着性を評価した。その結果、定着速度8ppm、定着荷重4kgの場合、基板の幅2.0mmのとき定着性のレベル「○」を確保することができる下限値であり、基板の幅が1.6mmでは定着性のレベルは「△」または「×」であった。また、上記と同様に評価した消費電力は、表8と同じ対応の定着条件下で対比すると、4〜11%程度増加した。
【実施例4】
【0106】
実施例3の評価で用いたものと同じ窒化アルミニウム焼結体から、長さ300mm、幅9mmで以下の表9に示される各種の厚み寸法を有する基板を作製した。これらの基板から、実施例1と同様の発熱体(幅が1.5mm)、電極、温度検知素子用電極回路層を焼付け、図1と図7に示すセラミックヒーターを作製した。これらの各セラミックヒーターを用いて図1と図7に示すように加熱定着装置を構成した。
【0107】
各加熱定着装置を用いてトナーの用紙に対する定着性を評価した。定着速度が16ppm、定着荷重が13kgの条件下で実施例1と同様に定着性のレベル(ただし、本実施例では1,000枚の用紙を送り込んで実施例1と同様に定着性の評価をした)と、1枚目の定着に要した消費電力量を測定した。その結果を表9に示す。なお、表9中のヒーター構造の欄で「図7」と表示のものは、図7に示すようにセラミックヒーターを作製し、加熱定着装置を構成した場合、同欄で「図1」と表示のものは、本発明に従って図1に示すようにセラミックヒーターを作製し、加熱定着装置を構成した場合を示している。
【0108】
【表9】

【0109】
表9に示される結果から、基板の厚みが0.635mm(従来の標準の厚み)以下の薄い基板を用いても、基板に損傷が生じることなく、所定の定着性のレベルを維持できることがわかった。ただし、その基板の厚みの下限値は0.4mmであった。
【0110】
また、図1に示される構造のセラミックヒーターを用いた方が、図7に示される構造のセラミックヒーターを用いた場合よりも、昇温時の消費電力を約8%程度低減させることができることもわかった。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】この発明の1つの実施形態としてのセラミックヒーターが組み込まれた加熱定着装置の概略的な構成を示す模式図である。
【図2】この発明のもう1つの実施形態としてのセラミックヒーターが組み込まれた加熱定着装置の概略的な構成を示す模式図である。
【図3】熱抵抗を近似計算するために用いられた従来のセラミックヒーターの構成を示す断面図(A)、本発明のセラミックヒーターの構成を示す断面図(B)(C)、さらに熱抵抗の近似計算を行なうための前提条件を示す図(D)である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態としてのセラミックヒーターの概略的な構成を示し、(A)は温度検知素子が形成された絶縁基板の平面図、(B)は発熱体が形成されたセラミック基板の平面図、(C)は絶縁基板がセラミック基板の上に搭載されたときの平面図、(D)は(C)のD−D線に沿った断面図である。
【図5】従来の円筒型ヒーターが組み込まれた加熱定着装置の概略的な構成を示す模式図である。
【図6】従来の板状セラミックヒーターが組み込まれた加熱定着装置の概略的な構成を示す模式図である。
【図7】従来の板状セラミックヒーターが組み込まれた加熱定着装置の概略的な構成をより詳細に示す模式図である。
【図8】本発明の加熱定着装置において加熱ローラと加圧ローラ間の加圧機構の概略的な構成を示す模式的な断面図(A)(B)である。
【符号の説明】
【0112】
1 セラミックス基板
2 発熱体
4 温度検知素子
5 保護ガラス層
7 耐熱性樹脂フィルム
8 加圧ローラ
10 セラミックヒーター



【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能に配置された耐熱性フィルムと、その耐熱性フィルムの上に圧力を加える加圧ローラとを備え、前記加圧ローラによる加圧と前記耐熱性フィルムを介した加熱とによって、前記耐熱性フィルムと前記加圧ローラとの間に挟まれて移動する転写材の表面上に形成されたトナー画像を定着させる加熱定着装置に、前記耐熱性フィルムがその上で摺動して密着し得るように設けられるヒーターであって、トナー画像が形成された転写材の一方の表面に対向するように配置されたセラミック基板と、前記転写材の一方の表面に対向する前記セラミック基板の表面と反対側の表面に形成された発熱体とを備えた、ヒーター。
【請求項2】
前記発熱体は、前記セラミック基板の表面上に複数本の線状の形態で形成されている、請求項1に記載のヒーター。
【請求項3】
前記発熱体は、前記セラミック基板の表面上に面状の形態で形成されている、請求項1に記載のヒーター。
【請求項4】
前記発熱体は、発熱体成分として銀、白金、パラジウム、ルテニウムおよびそれらの合金からなる群より選ばれた金属の少なくとも1種を含む複合体から形成されている、請求項2または3に記載のヒーター。
【請求項5】
前記発熱体は、発熱体成分としてSiの炭化物、周期律表IVa、VaおよびVIa族に属する各元素単体ならびにそれらの各元素の炭化物、窒化物、硼化物および珪化物からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む複合体から形成されている、請求項2または3に記載のヒーター。
【請求項6】
前記セラミック基板の熱伝導率は50W/mK以上である、請求項1に記載のヒーター。
【請求項7】
前記セラミック基板の厚みが0.4mm以上0.6mm以下である、請求項6に記載のヒーター。
【請求項8】
前記耐熱性フィルムと前記加圧ローラとの間に形成される接触部の幅(W)に対する前記セラミック基板の幅(W)の比(W/W)が1.4以下である、請求項6に記載のヒーター。
【請求項9】
前記セラミック基板は、窒化アルミニウムを主成分とする、請求項1〜8のいずれかに記載のヒーター。
【請求項10】
ヒーター温度を制御する制御回路および/または制御素子は、前記発熱体が形成された前記セラミック基板の表面と同一の表面上に形成されている、請求項1に記載のヒーター。
【請求項11】
ヒーターの温度を検知する素子および/またはその制御回路は、前記セラミック基板と異なる基板上に形成されており、その基板は前記発熱体の直上に設けられている、請求項1に記載のヒーター。
【請求項12】
前記セラミック基板は窒化アルミニウム焼結体からなり、その窒化アルミニウム焼結体を構成している粒子の平均粒径が6.0μm以下であり、前記窒化アルミニウム焼結体の曲げ強度が40kg/mm以上である、請求項1〜11のいずれかに記載のヒーター。
【請求項13】
セラミックヒーターと、前記セラミックヒーターに密着して摺動する耐熱性フィルムと、前記耐熱性フィルムの上に圧力を加える加圧ローラとを備え、前記加圧ローラによる加圧と前記耐熱性フィルムを介した前記セラミックヒーターによる加熱とによって、前記耐熱性フィルムと前記加圧ローラとの間に挟まれて移動する転写材の表面上に形成されたトナー画像を定着させる加熱定著装置であって、前記セラミックヒーターが、トナー面像が形成された転写材の一方の表面に対向するように配置されたセラミック基板と、前記転写材の一方の表面に対向する前記セラミック基板の表面と反対側の表面に形成された発熱体とを含む、加熱定着装置。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−301661(P2006−301661A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161901(P2006−161901)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【分割の表示】特願平8−284999の分割
【原出願日】平成8年10月28日(1996.10.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】