説明

ピッキング方法およびピッキングシステム

【課題】準備工数および教示工数などが低減された、汎用性に優れたピッキング方法を提供する。
【解決手段】ピッキング対象部材が収納されている収納部の近傍に設けられた第1の無線端末と、ピッキング対象部材をピッキングするロボットハンドの近傍に設けられた第2の無線端末とからそれぞれ送信される無線信号を受信する受信段階と、第1および第2の無線端末から送信される無線信号の受信結果から、収納部およびロボットハンドの3次元位置を算出する位置算出段階と、算出された収納部およびロボットハンドの3次元位置に基づいて、ロボットハンドを収納部に向かって誘導する誘導段階と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング方法およびピッキングシステムに関する。特に、本発明は、ピッキング対象部材が収納される収納部に向かってロボットハンドを誘導するピッキング方法およびピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の組立工程において、サプライヤからの供給部品を生産順序に並べ替え、組立ラインに同期させて供給するロットピッキングが実施されている。
【0003】
一般的なピッキング作業とは、部品棚をピッキングエリアに並べ、生産順序工程にしたがって、作業者が、組立ラインへ供給されるキットおよび同期台車などにそれぞれの部品をセットしてゆく作業のことをいう。
【0004】
生産効率の向上を目的として、ピッキング作業の自動化を図ろうとする場合、種々の部品および棚の形状、大きさ、および色などの要件に対応した自動化システムが必要となる。このような種々の部品および棚に対応した専用設備を適用しようとすると、ピッキングエリア毎に設備が設計されなければならず、設備の設計および準備工数がピッキング作業の自動化による工数削減の効果を上回り、目的が果たせないという問題がある。
【0005】
また、部品および棚の要件に対して汎用的なティーチングプレイバックロボットを使用することによるピッキング作業の自動化が考えられる。しかしながら、この場合、種々の部品および棚毎にピッキング動作を実現するために、ロボットに多くの動作を教示しなければならない。したがって、膨大な教示工数が必要となるという問題がある。
【0006】
以上の問題により、ピッキング作業は作業者によって実施されているのが現状である(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−338014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。したがって、本発明の目的は、準備工数および教示工数などが低減された、汎用性に優れたピッキング方法およびピッキングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
本発明のピッキング方法は、ピッキング対象部材が収納されている収納部の近傍に設けられた第1の無線端末と、当該ピッキング対象部材をピッキングするロボットハンドの近傍に設けられた第2の無線端末とからそれぞれ送信される無線信号を受信する受信段階と、前記第1および第2の無線端末から送信される無線信号の受信結果から、前記収納部およびロボットハンドの3次元位置を算出する位置算出段階と、前記算出された収納部およびロボットハンドの3次元位置に基づいて、当該ロボットハンドを当該収納部に向かって誘導する誘導段階と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のピッキングシステムは、ピッキング対象部材が収納されている収納部の近傍に設けられた第1の無線端末と、当該ピッキング対象部材をピッキングするロボットハンドの近傍に設けられた第2の無線端末とからそれぞれ送信される無線信号を受信するアンテナ手段と、前記第1および第2の無線端末から送信される無線信号の受信結果から、前記収納部およびロボットハンドの3次元位置を算出する位置算出手段と、前記算出された収納部およびロボットハンドの3次元位置に基づいて、当該ロボットハンドを当該収納部に向かって誘導する誘導手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のピッキング方法およびピッキングシステムによれば、無線信号の受信結果から算出される3次元位置に基づいて、ロボットハンドが収納部に誘導される。したがって、ロボットへの動作の教示工数を省略することができるとともに、設備の設計などが不要な汎用性に優れたピッキング方法およびピッキングシステムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態では、車両などの生産ラインに部品を供給するために、部品棚に設けられた部品箱(収納部)からロボットハンドがピッキング対象部品(ピッキング対象部材)をピッキングし、供給用容器に収容する場合を例にとって説明する。なお、図中、同様の部材には同一の符号を用いた。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態におけるピッキングシステムを示す図である。図1に示されるとおり、本実施の形態におけるピッキングシステムは、ロボットアーム100、アンテナユニット200、位置算出部300、制御部400、および部品指示受付部500を有する。
【0014】
ロボットアーム100は、部品箱600に収納されるピッキング対象部品をピッキングするものである。ロボットアーム100は、ロボット本体部110およびロボット本体部110の先端部に設けられたロボットハンド120を有する。ロボット本体部110は、後述する制御部400によって制御され、ロボットハンド120は、ピッキング対象部品が収納されている部品箱600aに向かって誘導される。ロボットハンド120の近傍には、アンテナユニット200に無線信号(たとえば、電波)を送信する無線端末(第2の無線端末)220aが設けられている。同様に、複数の部品箱600それぞれの近傍にも、アンテナユニット200に無線信号を送信する無線端末(第1の無線端末)220が設けられている。なお、本実施の形態のロボットアーム100自体は、一般的な多関節型のロボットアームであるため、詳細な説明は省略する。
【0015】
アンテナユニット200は、ロボットハンド120の近傍に設けられた無線端末220aと、複数の部品箱600それぞれの近傍に設けられた無線端末220とから送信される無線信号を受信するものである。アンテナユニット200は、少なくとも3つのアンテナ210a,210b,210c(以下、総称してアンテナ210と称する)を含み、各アンテナ210は、たとえば、ピッキングエリアが設けられている建屋の天井に設けられている。各アンテナ210は、それぞれ無線端末220から送信される無線信号を受信する。アンテナユニット200と複数の無線端末220とは、所定の時間間隔で常時通信されている。
【0016】
位置算出部300は、アンテナユニット200の受信結果から、ロボットハンド120および部品箱600の3次元位置を算出するものである。より具体的には、たとえば、3つのアンテナ210が受信した無線信号の受信結果から、各アンテナ210と無線端末220との距離を算出し、いわゆる3点測量の原理から、ロボットハンド120および部品箱600の3次元位置を算出する。位置算出部300は、特定手段として、複数の部品箱600のそれぞれに設けられた無線端末220から送信される複数の無線信号の中から、ピッキング対象部品が収納されている部品箱600aに対応した無線信号を特定する。
【0017】
制御部400は、位置算出部300が算出した3次元位置に基づいて、ロボットハンド120を部品箱600aに向かって誘導するものである。より具体的には、制御部400は、算出された部品箱600aの3次元位置とロボットハンド120の3次元位置との差分から位置偏差を算出し、当該算出された位置偏差がゼロとなるようにロボットアーム100を制御する。ロボットアーム100の制御方法の詳細については後述する。
【0018】
部品指示受付部500は、上位の部品指示システムからピッキング対象部品についての指示を受け付けるものである。部品指示システムは、より上位の生産指示システムから生産ラインを流れる車両についての指示を受け付け、受け付けた指示に基づいてピッキング対象部品についての指示を位置算出部300に伝達する。
【0019】
以上のとおり、構成される本実施の形態におけるピッキングシステムでは、上位の部品指示システムからピッキング対象部品についての指示を受け付けた後、ロボットアーム100が制御されて、ピッキング対象部品をピッキングする。それから、ロボットアーム100は、ピッキング対象部品をピッキングした後、離れた場所にある供給用容器610にピッキング対象部品を収容する。以下、本実施の形態のピッキングシステムにおけるピッキング処理について述べる。
【0020】
図2は、本実施の形態におけるピッキング処理の流れを示すフローチャートである。図2に示されるとおり、まず、部品指示受付部500が、上位の部品指示システムからピッキング対象部品についての指示を受け付ける(ステップS101)。次に、指示を受け付けたピッキング対象部品が収納される部品箱600aに向かってロボットハンド120が誘導される(ステップS102)。なお、部品箱600aに向かってロボットハンド120が誘導される誘導処理についての詳細な説明は後述する。
【0021】
そして、ロボットハンド120が部品箱600aに誘導されると、ロボットハンド120は、部品箱600aに収納されるピッキング対象部品に接近(アプローチ)し、ピッキング対象部品をクランプする(ステップS103)。次に、ピッキング対象部品がクランプされたか否かが判断される(ステップS104)。ピッキング対象部品がクランプされたか否かの判断は、たとえば、カメラ(画像処理)、接触センサ、および力センサ(部品の重さ)などを用いて判断される。
【0022】
ピッキング対象部品がクランプされた場合(ステップS104:YES)、ロボットアーム100は部品を引き上げる(ステップS105)。一方、部品がクランプされていない場合(ステップS104:NO)、処理が終了される。なお、部品がクランプされない場合、リトライ処理として、再度、クランプ処理が実行されることができる。あるいは、アラーム警報などによって管理者に状況が報知される。
【0023】
次に、ピッキング対象部品をクランプした状態のロボットハンド120は、供給用容器610に向かって誘導される(ステップS106)。この誘導処理は、ステップS102に示される誘導処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。次に、供給用容器610上に誘導されたロボットハンド120は、ピッキング対象部品をアンクランプする(ステップS107)。そして、ステップS104に示す処理と同様に、部品がアンクランプされたか否かが判断される(ステップS108)。
【0024】
部品がアンクランプされた場合(ステップS108:YES)、ロボットアーム100の位置がリセットされ、処理が終了される(ステップS109)。一方、部品がアンクランプされていない場合(ステップS108:NO)、処理が終了される。なお、部品がアンクランプされない場合、リトライ処理として、再度、アンクランプ処理が実行されることができる。あるいは、アラーム警報などによって管理者に状況が報知される。
【0025】
以上のとおり、図2に示されるピッキング処理によれば、ピッキング対象部品が収納される部品箱600aに向かってロボットハンド120が誘導され、ピッキング対象部品がクランプされた後、供給用容器610上でアンクランプされて供給用容器610に収容される。以下、図2のステップS102に示す誘導処理について詳細に説明する。上述したとおり、ステップS102に示す誘導処理では、ロボットハンド120が部品箱600aに向かって誘導される。
【0026】
図3は、図2のステップS102に示すロボットハンドの誘導処理を示すフローチャートであり、図4は、本実施の形態における誘導処理を説明するための図である。
【0027】
まず、アンテナユニット200は、ロボットハンド120および部品箱600の近傍に設けられた複数の無線端末220から送信される信号を受信する(ステップS201)。次に、複数の部品箱600近傍にそれぞれ設けられた無線端末220から送信される複数の無線信号の中から、指示を受け付けたピッキング対象部品が収納される部品箱600aおよびロボットハンド120に対応した無線信号が特定される(ステップS202)。なお、無線信号はID信号を含んでおり、当該ID信号から無線信号が特定される。
【0028】
次に、特定された無線信号の受信結果からロボットハンド120および部品箱600aの3次元位置が算出される(ステップS203)。より具体的には、ロボットハンド120および部品箱600aの近傍に設けられた無線端末220a,220bから送信される無線信号の受信結果に基づいて、いわゆる3点測量の原理から、無線端末220a,220bの3次元位置A’,B’が算出される。
【0029】
次に、算出された3次元位置A’,B’に基づいて、ロボットハンド120の移動が開始される(ステップS204)。より具体的には、図4に示されるとおり、たとえば、ロボットハンド120近傍の無線端末220aの3次元位置A’と部品箱600a近傍の無線端末220bの三次元位置B’とから、ロボットハンド120および部品箱600aの正確な3次元位置A,Bが算出される。そして、ロボットハンド120の正確な3次元位置Aと部品箱600aの正確な3次元位置Bとの差分から、ロボットハンド120を誘導するためのベクトル(位置偏差)が算出され、当該ベクトル方向に、かつベクトル長がゼロになるようにロボットハンド120が直線補間動作で誘導される。なお、無線端末220aの3次元位置A’とロボットハンド120の3次元位置Aとの位置関係、および、無線端末220bの3次元位置B’と部品箱600aの3次元位置Bとの位置関係は既知であり、予め位置算出部300に記憶されている。また、それぞれの位置関係は、3次元位置A,Bのベクトル長がゼロになったときに、ロボットハンド120と部品箱600およびその周辺設備とが干渉せず、さらに、ロボットハンド120による部品のクランプのアプローチが可能な位置となることを条件とする。また、ロボット本体部110は、ロボットハンド120の3次元位置から関節角度などを逆算することにより制御される。
【0030】
あるいは、3次元位置A,B間の差分をLとすると、L=B−A…(1)の関係が成立する。また、ロボットハンド120の正確な3次元位置Aと無線端末220aの3次元位置A’との差分をLA、および、部品箱600aの正確な3次元位置Bと無線端末220bの3次元位置B’との差分をLBとすると、以下の(2)および(3)式が成立する。LA=A’−A…(2)、LB=B’−B…(3)。そして、(1)〜(3)式より、L=(B’−LB)−(A’−LA)=0とすれば、B’−A’=LB−LA…(4)の関係が成立する。すなわち、本実施の形態では、無線端末220a,220bの3次元位置A’,B’の差分が、既知のLBとLAの差分と一致するように、ロボットハンド120は制御されてもよい。そして、このように制御すると、部品箱600aの3次元位置とロボットハンド120の3次元位置とを結ぶ直線に沿って、部品箱600aに近づく方向にロボットハンド120は直線補間動作で誘導される。
【0031】
次に、ロボットハンド120が誘導された状態で、アンテナユニット200の受信結果から、ロボットハンド120および部品箱600aの3次元位置が再び算出される(ステップS205,S206)。上述したとおり、無線端末220a,220bとアンテナユニット200とは、所定の時間間隔で常時通信されており、位置算出部300は、たとえば、この所定の時間間隔でロボットハンド120および部品箱600aの3次元位置を算出することができる。なお、このステップS205およびS206に示す処理では、ロボットハンド120の3次元位置のみが算出されてもよい。
【0032】
次に、算出されたロボットハンド120および部品箱600aの3次元位置に基づいて、ロボットハンド120と部品箱600aとの位置偏差が算出される(ステップS207)。そして、算出された位置偏差がゼロか否かが判断される(ステップS208)。位置偏差がゼロでない場合(ステップS208:NO)、算出される位置偏差がゼロになるまで、ロボットハンド120が移動されつつ、ステップS205以下の処理が繰り返される。一方、算出された位置偏差がゼロの場合(ステップS208:YES)、ロボットハンド120の移動が停止し、処理が終了される(ステップS209)。したがって、図3に示されるフローチャートの誘導処理によれば、ピッキング対象部品が収納されている部品箱600a上までロボットハンド120が誘導される。
【0033】
なお、図2のステップS106に示される誘導処理は、ロボットハンド120の誘導先が供給用容器610であることを除けば、上述した誘導処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。このとき、供給用容器610近傍に設けられた無線端末(第3の無線端末)220cを介して、位置算出部300は、供給用容器610の3次元位置C’を算出することができる。
【0034】
以上のとおり説明された本実施の形態のピッキングシステムでは、ロボットハンド120は、位置偏差がゼロになるように直線補間動作で制御される。しかしながら、ロボットハンド120は、直線補間動作のみならず、直線補間動作と他の動作とを組み合わせて制御されてもよい。
【0035】
図5は、本実施の形態におけるロボットハンドの誘導処理の変形例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートでは、ロボットハンド120と部品箱600aとの間に、少なくとも一つの経由点(teaching point)が設定される。ロボットハンド120は、当該経由点まで、PTP(Point To Point)制御により最短時間で誘導され、経由点から部品箱600aまでCP(Continuous Path)制御により直線補間動作で誘導される。
【0036】
より具体的には、まず、アンテナユニット200は、ロボットハンド120および部品箱600aの近傍に設けられた無線端末220a,220bから送信される信号を受信する(ステップS301)。次に、無線信号の受信結果からロボットハンド120および部品箱600aの3次元位置が算出される(ステップS302)。次に、算出された部品箱600aの3次元位置に基づいて、経由点が設定される(ステップS303)。なお、経由点は、設定手段としての制御部400によって、たとえば、部品箱600aから所定の距離に設定される。
【0037】
そして、ロボットアーム100は、PTP動作命令にしたがって、経由点を目標点として、最短時間で経由点に到達するように移動を開始する(ステップS304)。次に、ロボットハンド120および部品箱600aの近傍に設けられた無線端末220a,220bから送信される無線信号が受信され、受信結果からロボットハンド120および部品箱600aの3次元位置が算出される(ステップS305,S306)。そして、ロボットハンド120が経由点に到達したか否かが判断される(ステップS307)。ロボットハンド120が経由点に到達していない場合(ステップS307:NO)、ロボットハンド120が経由点に到達するまでステップS305以下の処理が繰り返される。
【0038】
一方、ロボットハンド120が経由点に到達した場合(ステップS307:YES)、ロボットアーム100は直線補間動作命令にしたがって移動を開始する(ステップS308)。次に、ロボットハンド120および部品箱600aの近傍に設けられた無線端末220a,220bから送信される無線信号が受信され、受信結果からロボットハンド120および部品箱600aの3次元位置が算出される(ステップS309,S310)。次に、ロボットハンド120および部品箱600aの位置偏差が算出される(ステップS311)。そして、算出された位置偏差がゼロになるまで、ステップS309以下の処理が繰り返されて、位置偏差がゼロになったところでロボットアーム100の移動が停止し、処理が終了される(ステップS312,S313)。
【0039】
以上のとおり、ロボットハンド120と部品箱600aとの間に経由点を設定し、当該経由点までロボットハンド120をPTP動作で誘導すると、直線補間動作で誘導する場合よりも短い時間で経由点に到達することができる。また、経由点から部品箱600aまで、ロボットハンド120を直線補間動作で誘導すると、ロボットハンド120と部品箱600との干渉問題が回避され、システムの安全性が向上される。
【0040】
以上のとおり、説明された本実施の形態は、以下の効果を奏する。
【0041】
本実施の形態のピッキングシステムは、ピッキング対象部品が収納されている部品箱の近傍に設けられた無線端末と、当該ピッキング対象部品をピッキングするロボットハンドの近傍に設けられた無線端末とからそれぞれ送信される無線信号を受信するアンテナユニットと、無線端末から送信される無線信号の受信結果から、部品箱およびロボットハンドの3次元位置を算出する位置算出部と、算出された部品箱およびロボットハンドの3次元位置に基づいて、ロボットハンドを部品箱に向かって誘導する制御部と、を有する。したがって、部品箱毎のロボットアームへの教示工程が不要となり、準備期間が短縮される。また、ピッキングエリアの移動にともなう設定が不要であり、移動期間が短縮される。さらに、部品箱の追加にともなう設定が不要となり、部品箱(部品棚)の追加期間が短縮される。
【0042】
位置算出部は、少なくともロボットハンドの3次元位置を所定の時間間隔で算出し、制御部は、所定の時間間隔で算出されるロボットハンドの3次元位置に基づいて、当該ロボットハンドを誘導する。したがって、部品箱の3次元位置を特定するためのセンシング工順が不要となるため、サイクルタイムを向上することができる。また、ロボットハンドの3次元位置の特定および補正は、ロボット動作と同時に実行することができ、サイクルタイムをさらに向上することができる。
【0043】
制御部は、算出された部品箱の3次元位置とロボットハンドの3次元位置とを結ぶ直線に沿って、部品箱に近づく方向にロボットハンドを誘導する。したがって、ロボットハンドの位置決めおよび補正ロジックが簡易であり、高い信頼性が確保され、実装コストを節約することができる。また、処理の高速化が可能となる。さらに、ロボットハンドと障害物との干渉を回避することができる。
【0044】
制御部は、ロボットハンドと部品箱との間に、少なくとも一つの経由点を設定し、経由点を目標点として、経由点までロボットハンドを最短時間で誘導し、経由点から部品箱まで、経由点の3次元位置と部品箱の3次元位置とを結ぶ直線に沿って、部品箱に近づく方向にロボットハンドを誘導する。したがって、干渉などの問題がない経路では、短時間でロボットハンドを誘導することができ、部品箱近傍では、ロボットハンドと障害物との干渉を回避することができる。
【0045】
無線端末は、複数の部品箱のそれぞれに設けられており、位置算出部は、複数の無線端末から送信される複数の無線信号の中から、ピッキング対象部品が収納されている部品箱に対応した無線信号を特定する。したがって、生産ラインを流れる車両(あるいは、製品)に対応した部品を生産ラインに供給することができる。
【0046】
本実施の形態のピッキングシステムでは、ロボットハンドがピッキング対象部品をピッキングした後、ピッキングされたピッキング対象部品を供給用容器に収容する。したがって、部品のロットピッキングを自動化することができる。
【0047】
アンテナユニットは、供給用容器の近傍に設けられた無線端末から送信される無線信号を受信し、位置算出部は、無線端末から送信される無線信号の受信結果から、供給用容器の3次元位置を算出する。そして、位置算出部で算出された供給用容器およびロボットハンドの3次元位置に基づいて、ロボットハンドが供給用容器に向かって誘導される。したがって、部品のピッキング処理と同様の処理で部品を供給用容器に供給することができ、処理を簡素化することができる。
【0048】
以上のとおり、本発明の実施の形態において、本発明のピッキング方法およびピッキングシステムについて説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、省略することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態におけるピッキングシステムを示す図である。
【図2】図1に示すピッキングシステムにおけるピッキング処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS102に示すロボットハンドの誘導処理を示すフローチャートである。
【図4】図3に示すロボットハンドの誘導処理を説明するための図である。
【図5】図2のステップS102に示すロボットハンドの誘導処理の変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
100 ロボットアーム、
110 ロボット本体部、
120 ロボットハンド、
200 アンテナユニット、
210 アンテナ、
220 無線端末、
300 位置算出部、
400 制御部、
500 部品指示受付部、
600 部品箱、
610 供給用容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキング対象部材が収納されている収納部の近傍に設けられた第1の無線端末と、当該ピッキング対象部材をピッキングするロボットハンドの近傍に設けられた第2の無線端末とからそれぞれ送信される無線信号を受信する受信段階と、
前記第1および第2の無線端末から送信される無線信号の受信結果から、前記収納部およびロボットハンドの3次元位置を算出する位置算出段階と、
前記算出された収納部およびロボットハンドの3次元位置に基づいて、当該ロボットハンドを当該収納部に向かって誘導する誘導段階と、を有することを特徴とするピッキング方法。
【請求項2】
前記位置算出段階は、少なくとも前記ロボットハンドの3次元位置を所定の時間間隔で算出し、
前記誘導段階は、前記所定の時間間隔で算出される前記ロボットハンドの3次元位置に基づいて、当該ロボットハンドを誘導することを特徴とする請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項3】
前記誘導段階は、前記算出された収納部の3次元位置とロボットハンドの3次元位置とを結ぶ直線に沿って、当該収納部に近づく方向に当該ロボットハンドを誘導することを特徴とする請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項4】
前記誘導段階は、前記ロボットハンドと前記収納部との間に、少なくとも一つの経由点を設定する設定段階と、
前記経由点を目標点として、当該経由点まで前記ロボットハンドを最短時間で誘導する第1の誘導段階と、
前記経由点から前記収納部まで、当該経由点の3次元位置と当該収納部の3次元位置とを結ぶ直線に沿って、当該収納部に近づく方向に当該ロボットハンドを誘導する第2の誘導段階と、を有することを特徴とする請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項5】
前記第1の無線端末は、複数の収納部のそれぞれに設けられており、
前記位置算出段階は、前記複数の第1の無線端末から送信される複数の無線信号の中から、ピッキング対象部材が収納されている収納部に対応した無線信号を特定する特定段階を有することを特徴とする請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項6】
前記誘導段階の後に、
前記ロボットハンドが前記ピッキング対象部材をピッキングするピッキング段階と、
前記ピッキングされたピッキング対象部材を供給用容器に収容する収容段階と、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のピッキング方法。
【請求項7】
前記収容段階は、前記供給用容器の近傍に設けられた第3の無線端末と、前記第2の無線端末とからそれぞれ送信される無線信号を受信する段階と、
前記第2および第3の無線端末から送信される無線信号の受信結果から、前記ロボットハンドおよび供給用容器の3次元位置を算出する段階と、
前記算出されたロボットハンドおよび供給用容器の3次元位置に基づいて、当該ロボットハンドを当該供給用容器に向かって誘導する段階と、を有することを特徴とする請求項6に記載のピッキング方法。
【請求項8】
ピッキング対象部材が収納されている収納部の近傍に設けられた第1の無線端末と、当該ピッキング対象部材をピッキングするロボットハンドの近傍に設けられた第2の無線端末とからそれぞれ送信される無線信号を受信するアンテナ手段と、
前記第1および第2の無線端末から送信される無線信号の受信結果から、前記収納部およびロボットハンドの3次元位置を算出する位置算出手段と、
前記算出された収納部およびロボットハンドの3次元位置に基づいて、当該ロボットハンドを当該収納部に向かって誘導する誘導手段と、を有することを特徴とするピッキングシステム。
【請求項9】
前記誘導手段は、前記ロボットハンドと前記収納部との間に、少なくとも一つの経由点を設定する設定手段を有し、
前記経由点を目標点として、当該経由点まで前記ロボットハンドを最短時間で誘導し、前記経由点から前記収納部まで、当該経由点の3次元座標と当該収納部の3次元座標とを結ぶ直線に沿って、当該収納部に近づく方向に当該ロボットハンドを誘導することを特徴とする請求項8に記載のピッキングシステム。
【請求項10】
前記第1の無線端末は、複数の収納部のそれぞれに設けられており、
前記位置算出手段は、前記複数の第1の無線端末から送信される複数の無線信号の中から、ピッキング対象部材が収納されている収納部に対応した無線信号を特定する特定手段を有することを特徴とする請求項8に記載のピッキングシステム。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−182286(P2007−182286A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−922(P2006−922)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】