説明

ファクシミリ装置

【課題】 音声ガイダンスにより誤送信を防止することができ、音声ガイダンスを必要としないユーザにとっても煩わしさを低減できるファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 音声ガイダンスを出力する場合には、音声ガイダンス生成部46がワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aから宛先名を読み出して音声ガイダンスを生成し、生成された音声ガイダンスを音声出力制御部45がスピーカ108から出力する。発信制御部43は、音声ガイダンスの出力終了後に発信を行うので、音声ガイダンスにより送信先を確認することができ、誤送信を防止することができる。また、音声ガイダンスを出力しない場合には、発信準備期間の経過後に送信先へ発信を行うことにより、音声ガイダンスを必要としないユーザにとって、発信が開始されるのが遅くなることによる煩わしさを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置に係り、さらに詳しくは、予め記憶されている電話番号を読み出して送信先に指定することができるファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置の中には、いわゆるワンタッチダイヤルキーのように、送信先ごとに割り当てられた複数のキーを備えているものがある。このようなファクシミリ装置では、上記複数のキーのいずれかを操作することにより、そのキーに対応付けて予め記憶されている電話番号を読み出し、その電話番号を送信先に指定してファクシミリ送信を行うことができる。
【0003】
ワンタッチダイヤルキーを用いて送信先を指定するような構成の場合、テンキーを用いて電話番号を直接入力する場合に比べて、送信先を指定する操作が容易である。しかし、電話番号を直接入力する場合のように電話番号を確認しながら送信先を指定することができないため、キー操作を誤った場合には、予定とは異なる送信先にファクシミリ送信され、そのことに気付かない場合がある。
【0004】
ファクシミリ装置の中には、ワンタッチダイヤルキーを用いて送信先を指定した場合に、その送信先に対応付けて予め記憶されている宛先名などが表示部に表示されるようになっているものがある。このようなファクシミリ装置であれば、ワンタッチダイヤルキーを用いて送信先を指定した後、表示部に表示されている宛先名を確認することにより、誤送信を未然に防止することができる。
【0005】
しかし、ユーザの中には、表示部に表示される宛先名を確認する作業が面倒と感じる者もいる。そこで、宛先名を音声で出力することにより、表示部を見なくても送信先を確認することができるような構成が考えられる。特許文献1には、宛先名を音声で出力することができるような車上電話装置の技術が開示されている。
【特許文献1】特開昭59−34735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ファクシミリ送信を行う度ごとに指定された宛先名が音声で出力されると、ユーザが煩わしいと感じるおそれがある。また、音声ガイダンスにより送信先の間違いに気付いた場合に、送信先への発信をキャンセルすることができるようにするためには、音声ガイダンスの終了後に発信を開始するような構成にする必要がある。したがって、音声ガイダンスを必要としないユーザにとっては、ファクシミリ送信にかかる時間が長くなってしまい、ますます煩わしいと感じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、音声ガイダンスにより誤送信を防止することができ、音声ガイダンスを必要としないユーザにとっても煩わしさを低減できるファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明によるファクシミリ装置は、電話番号に文字情報を対応付けて記憶する文字情報記憶部と、ユーザが、上記文字情報記憶部に保持されている電話番号のいずれかを送信先として指定する電話番号指定手段と、ユーザの送信操作から所定の発信準備期間が経過した後に上記送信先への発信が可能となる発信手段と、上記発信先に対応付けられた文字情報を含む音声ガイダンスであって、上記送信操作に基づいて開始され、上記発信準備期間よりも遅く終了する音声ガイダンスを出力する音声出力手段と、上記音声ガイダンスを出力させるか否かをユーザに選択させるためのガイダンス選択手段と、ユーザ操作に基づいて、上記発信手段による発信前に上記送信操作を取り消す発信キャンセル手段とを備え、上記発信手段は、上記音声ガイダンスが出力される場合には、音声ガイダンスの出力終了後に発信を行い、上記音声ガイダンスが出力されない場合には、上記発信準備期間の経過後に発信を行うように構成される。
【0009】
このような構成によれば、音声ガイダンスが出力される場合と出力されない場合とで、送信先へ発信を行うタイミングを異ならせることができる。音声ガイダンスが出力される場合には、音声ガイダンスの出力終了後に発信が行われるので、音声ガイダンスにより送信先を確認することができる。これにより、送信先の誤りに気付いた場合には、発信キャンセル手段で発信指示を取り消すことにより、誤送信を防止することができる。
【0010】
また、音声ガイダンスが出力されない場合には、発信準備期間の経過後に送信先へ発信を行うことができる。これにより、音声ガイダンスが出力される場合よりも早期に発信を開始させることができるので、音声ガイダンスを必要としないユーザにとって、発信が開始されるのが遅くなることによる煩わしさを低減することができる。
【0011】
第2の本発明によるファクシミリ装置は、上記音声ガイダンスが出力される場合に、上記発信先に対応付けられた文字情報が上記文字情報記憶部に記憶されていないときに、文字情報を入力するための文字情報入力画面を表示させる表示手段を備えて構成される。
【0012】
このような構成によれば、音声ガイダンスとして出力すべき文字情報が記憶されていない場合に、文字情報入力画面でユーザに文字情報を入力させることができる。これにより、ユーザは、送信先として指定した電話番号に対応付けて文字情報を入力することができ、電話番号と文字情報との対応関係を確認することができるので、誤送信をより確実に防止することができる。
【0013】
第3の本発明によるファクシミリ装置は、上記音声出力手段が、上記文字情報入力画面が表示された後、ユーザ操作に基づいて文字情報が入力された場合に、その文字情報を含む音声ガイダンスを出力するように構成される。
【0014】
このような構成によれば、ユーザが送信先に対応する文字情報を入力した場合に、その文字情報を含む音声ガイダンスが出力されるので、ユーザは入力した文字情報を確認することができる。これにより、送信先の電話番号と文字情報との対応関係を再度確認することができるので、誤送信をさらに確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、音声ガイダンスが出力される場合には、音声ガイダンスの出力終了後に発信が行われるので、音声ガイダンスにより送信先を確認することができ、誤送信を防止することができる。また、音声ガイダンスが出力されない場合には、発信準備期間の経過後に送信先へ発信を行うことができるので、音声ガイダンスを必要としないユーザにとって、発信が開始されるのが遅くなることによる煩わしさを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の実施の形態によるファクシミリ装置1の一例を示したブロック図である。このファクシミリ装置1は、原稿画像の送受信を行うためのファクシミリ機構部1Aと、音声を出力するための音声出力機構部1Bとを備えている。ファクシミリ機構部1Aの動作はMPU(Micro Processing Unit)2により制御され、音声出力機構部1Bの動作は、MPU102により制御される。MPU2及びMPU102は、シリアル信号線1Cを介して接続されている。
【0017】
ファクシミリ機構部1Aには、MPU2にバス3を介して接続されたROM(Read Only Memory)4、SRAM(Static Random Access Memory)5、NCU(Network Control Unit)6、モデム7、コーデック8、画像信号処理回路9、メモリコントローラ10、メモリコントローラ11、プリント画像処理回路12、プリンタ機構制御回路13、表示部14、操作部15及びLAN(Local Area Network)インターフェース16が備えられている。
【0018】
画像信号処理回路9は、CCD(Charge Coupled Device)17の出力信号に基づいて画像データを生成する回路であり、生成された画像データは、送信画像データとしてコーデック8へ出力される。CCD17は、原稿画像を光学的に読み取るための原稿読取手段であり、原稿に向けて照射された光の反射光を受光し、その受光量に応じた電気信号を出力する。画像信号処理回路9は、この電気信号に基づいて、ピクセルごとの輝度情報又は色情報で構成されるビットマップデータとして送信画像データを生成している。
【0019】
コーデック8は、ランレングス法やハフマン符号化法などを用いて、画像データを圧縮又は伸張する処理を行う。画像信号処理回路9からコーデック8に入力された送信画像データは、当該コーデック8により原稿1ページ分ごとに圧縮処理が行われ、メモリコントローラ10を介してSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)からなる画像メモリ18に格納される。
【0020】
NCU6は、電話回線などの公衆通信回線(不図示)への接続制御を行っている。当該ファクシミリ装置1がファクシミリ送信を行う場合、NCU6が、公衆通信回線へ発呼信号を送出し、更に送信先の電話番号を含む選択信号を送出することによって発呼が行われ、相手方のファクシミリ装置との接続状態が確立される。この接続状態は、ファクシミリ送信の終了後にNCU6によって切断される。一方、ファクシミリ受信を行う場合には、公衆通信回線からの呼出信号に応じて、NCU6が回線を接続することにより、相手方のファクシミリ装置との接続状態が確立される。
【0021】
画像メモリ18に格納された送信画像データは、ファクシミリ送信時にメモリコントローラ10により読み出される。読み出された送信画像データは、モデム7により音声信号に変調され、NCU6から公衆通信回線を介して相手方のファクシミリ装置へ送信される。つまり、NCU6及びモデム7は、ユーザの送信操作に基づいて送信画像データをファクシミリ送信するファクシミリ送信手段である。
【0022】
一方、ファクシミリ受信時には、相手方のファクシミリ装置から送出された音声信号を公衆通信回線を介してNCU6が受信する。NCU6で受信された音声信号は、モデム7によって復調され、受信画像データとして画像メモリ18に格納される。
【0023】
画像メモリ18に格納された受信画像データは、メモリコントローラ10により1ページ分の画像データごとに読み出される。これらの画像データは、コーデック8で伸張され、メモリコントローラ11を介してページメモリ19に格納される。ページメモリ19は、SDRAMからなり、ページごとのビットマップデータに展開された受信画像データを保持している。
【0024】
メモリコントローラ11によってページメモリ19から読み出された受信画像データは、1ページごとにプリント画像処理回路12へ出力される。プリント画像処理回路12は、入力された各ページの受信画像データを複数ラインのラインデータに分割し、受信画像データを1ラインごとにLED(Light Emitting Diode)プリントヘッド20へ出力する。LEDプリントヘッド20は、多数のLEDをライン状に配列したLEDアレイを備えており、受信画像データに基づく光を1ラインごとに照射する。
【0025】
プリンタ機構制御回路13は、感光体ドラム21、帯電器22、現像装置23、転写装置24及び定着装置25などからなるプリンタ機構の動作を制御する。感光体ドラム21は、表面に感光体層が形成された円筒状のドラムからなり、印刷時には、感光体ドラム21の表面が帯電器22により一様に帯電される。この帯電された感光体ドラム21の表面に、受信画像データに基づく光がLEDプリントヘッド20から照射されることにより、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。
【0026】
現像装置23は、静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面にトナーを付着させることにより、当該表面にトナー像を形成させる。感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像は、転写装置24により、用紙収容部(不図示)から送り出された用紙に転写される。このようにしてトナー像が転写された用紙に対して、定着装置25により加熱処理及び加圧処理が施されることにより、受信画像データに基づく画像が用紙上に形成される。
【0027】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)からなり、表示画面に各種の表示を行うことができる。操作部15には、原稿画像の送信操作を行うためのスターキー15A、送信操作を取り消すためのストップキー15B、送信先の電話番号を直接入力する際などに数字を入力するためのテンキー15C、及び、送信先の電話番号を読み出すための複数のワンタッチダイヤルキー15Dが含まれる。
【0028】
LANインターフェース16は、LAN(不図示)に対する信号の入出力を制御している。このファクシミリ装置1は、CCD17で読み取った原稿の画像データをLANを介して他の端末装置へ送信することができる。また、他の端末装置からLANを介して受信した画像データに基づいて、プリンタ機構で用紙の画像を印刷することができる。つまり、ファクシミリ装置1は、ネットワーク接続されたスキャナ装置やプリンタ装置として機能させることもできる。
【0029】
ROM4は、文字データ記憶部4Aとして使用される。文字データ記憶部4Aには、平仮名、片仮名、漢字及び英数字などの文字形状を表す文字情報が記憶されており、これらの文字情報は文字コードにそれぞれ対応付けられている。
【0030】
SRAM5は、ワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aとして使用される。ワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aは、電話番号及び宛先名をワンタッチダイヤルキー15Dに対応付けて記憶しており、ファクシミリ送信時にユーザがワンタッチダイヤルキー15Dを操作すれば、当該ワンタッチダイヤルキー15Dに対応する電話番号がワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aから読み出され、送信先として指定される。なお、上記電話番号は、送信先となり得る電話番号であり、上記宛先名は、1又は2以上の文字コードで表現された文字列である。
【0031】
音声出力機構部1Bには、MPU102にバス103を介して接続されたROM104、RAM105、音声信号生成部106、AF(Audio Frequency)増幅回路107及びスピーカ108が備えられている。ROM104は、音声データ記憶部104Aとして使用される。音声データ記憶部104Aには、各文字コードに音声データが対応付けて記憶されている。RAM105には、音声出力制御時に必要なデータが書き込まれる。
【0032】
音声信号生成部106は、音声データ記憶部104Aから音声データを読み出し、音声信号に変換して出力する。音声信号生成部106から出力された音声信号は、AF増幅回路107により増幅され、音声信号に基づく音声がスピーカ108から出力される。したがって、文字コードに基づいて音声データ記憶部4Aから音声データを読み出すことにより、文字コードに対応する音声をスピーカ108から出力することができる。
【0033】
図2は、ファクシミリ装置1のファクシミリ送信制御部40の一構成例を示した機能ブロック図である。ファクシミリ送信制御部40は、スタートキー15Aの操作に基づいて、原稿画像を読み取りファクシミリ送信するための制御を行うとともに、テンキー15Cの操作の有無に応じてスピーカ108から音声を出力するための制御を行う。
【0034】
ファクシミリ送信制御部40は、電話番号指定部41、読取制御部42、発信制御部43、ガイダンス選択部44、音声出力制御部45及び音声ガイダンス生成部46によって構成される。ここでは、電話番号指定部41、読取制御部42、発信制御部43及びガイダンス選択部44が、ファクシミリ機構部1AのMPU2により実行されるコンピュータプログラムとして実現されるものとし、音声出力制御部45及び音声ガイダンス生成部46が、音声出力機構部1BのMPU102により実行されるコンピュータプログラムとして実現されるものとする。
【0035】
ユーザが複数のワンタッチダイヤルキー15Dのいずれかを操作すると、電話番号指定部41が、そのワンタッチダイヤルキー15Dに対応する電話番号をワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aから読み出し、送信先として指定する。電話番号指定部41により電話番号が指定された後、ユーザがスタートキー15Aを操作すると、読取制御部42が、CCD17で原稿画像を読み取るための制御を行う。
【0036】
このファクシミリ装置1には、原稿を1ページずつ送り出すための自動原稿送出装置(不図示)が備えられており、この自動原稿送出装置に複数ページの原稿をセットしてスタートキー15Aを操作すれば、原稿画像を1ページずつCCD17に読み取らせることができる。読取制御部42は、各ページの原稿画像の読取が完了する度に、その旨を表す信号を発信制御部43へ出力する。
【0037】
本実施の形態では、スタートキー15Aが操作されてからファクシミリ送信が可能になるまでの期間を発信準備期間とする。この例において、発信準備期間は、スタートキー15Aが操作された後に1ページ目の原稿画像の読取が完了し、その画像データが圧縮されて画像メモリ18に格納されたときに終了する。ただし、このような構成に限らず、タイマ(不図示)を用いることにより、スタートキー15Aが操作されてから一定時間が経過するまでの期間を発信準備期間としてもよい。
【0038】
音声ガイダンス生成部46は、指定された送信先の電話番号に対応する宛先名をワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aから読み出し、その宛先名を音声データに変換することにより音声ガイダンスを生成する。すなわち、ワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aから読み出された宛先名の各文字コードに基づいて、音声データ記憶部104Aから対応する音声データが読み出されることにより、音声ガイダンスが生成されるようになっている。
【0039】
音声ガイダンスを出力するかどうかは、ユーザがスタートキー15Aを操作する前に、テンキー15Cに含まれる所定のキーを操作するか否かにより選択することができる。この例では、テンキー15Cに含まれる「0」キーが操作された後にスタートキー15Aが操作された場合に、音声ガイダンスの出力が選択されるものとする。ガイダンス選択部44は、スタートキー15Aが操作されたときに「0」キーが操作されているか否かを判別して、音声ガイダンスを出力するかどうかを選択する。音声ガイダンスを出力すると選択された場合には、ガイダンス選択部44が、音声ガイダンスをスピーカ108から出力させるための音声出力指示信号を音声出力制御部45へ出力する。ここで、「0」キーは、音声ガイダンスを出力させるか否かをユーザに選択させるためのガイダンス選択手段である。
【0040】
ただし、「0」キーが操作されずにスタートキー15Aが操作された場合に音声ガイダンスを出力し、「0」キーが操作されてからスタートキー15Aが操作された場合には音声ガイダンスを出力しないような構成であってもよい。また、「0」キーに限らず、他のキーを用いて音声ガイダンスを出力するか否かを選択できるようになっていてもよい。
【0041】
音声出力制御部45は、ガイダンス選択部44から音声出力指示信号が入力された場合に、音声ガイダンス生成部46で生成された音声ガイダンスをスピーカ108から出力させるための処理を行う。音声ガイダンスは発信準備期間よりも長く設定されており、発信準備期間よりも遅く音声ガイダンスが終了するようになっている。なお、音声ガイダンスには、宛先名だけでなく、その他の文字情報が含まれていてもよい。
【0042】
発信制御部43は、指定されている電話番号へ発呼するための処理を行い、相手方のファクシミリ装置との接続状態が確立されれば、画像メモリ18に記憶されている画像データを発信することによりファクシミリ送信を行う。ここで、音声ガイダンスの出力中は、ファクシミリ送信を禁止する旨の信号が音声出力制御部45から発信制御部43へ入力され、音声ガイダンスの出力が終了すれば、ファクシミリ送信を許可する旨の信号が音声出力制御部45から発信制御部43へ入力されるようになっている。
【0043】
したがって、音声ガイダンスを出力させると選択されている場合には、読取制御部42から読取完了の信号を受信した後、音声ガイダンスの出力が終了してから、発信制御部43によるファクシミリ送信が開始される。一方、音声ガイダンスを出力させないと選択されている場合には、発信準備期間の経過後にファクシミリ送信が行われる。
【0044】
図3及び図4は、ファクシミリ送信を行う際のMPU2,102による処理の一例を示したフローチャートである。ワンタッチダイヤルキー15Dが操作されることにより送信先が選択されると、電話番号指定部41が対応する電話番号をワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aから読み出すことにより、送信先の電話番号が指定される(ステップS101)。このとき、文字データ記憶部4Aに記憶されている文字情報に基づいて、ワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aに記憶されている宛先名が文字列として表示部14に表示される。
【0045】
その後、ユーザによりスタートキー15Aが操作されると(ステップS102でYes)、読取制御部42により原稿の読取が開始される(ステップS103)。このとき、テンキー15Cに含まれる「0」キーが操作された後にスタートキー15Aが操作されているか否かがガイダンス選択部44により判別され、その判別結果によって、その後の処理が異なるようになっている(ステップS104)。
【0046】
「0」キーが操作された後にスタートキー15Aが操作されている場合には(ステップS104でYes)、指定された電話番号に対応する宛先名がワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aに記憶されていれば(ステップS105でYes)、音声ガイダンス生成部46が、その宛先名を音声データに変換することにより音声ガイダンスを生成する(ステップS109)。そして、生成された音声ガイダンスが、音声出力制御部45によりスピーカ108から出力開始される(ステップS110)。
【0047】
その後、ストップキー15Bが操作されることなく音声ガイダンスが終了すれば(ステップS112でYes)、発信制御部43が指定された電話番号へ発信を行うことにより、ファクシミリ送信が開始される(ステップS113)。ここで、音声ガイダンスが終了したときには、1ページ目の原稿画像の読取が既に完了し、発信準備期間が終了しており、ファクシミリ送信が可能な状態となっている。
【0048】
一方、音声ガイダンスの出力中にストップキー15Bが操作された場合には(ステップS111でYes)、音声ガイダンスが停止され、指定された電話番号へのファクシミリ送信が中止される。ストップキー15Bは、スタートキー15Aによる送信操作を取り消すための発信キャンセル手段である。
【0049】
指定された電話番号に対応する宛先名がワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aに記憶されていなければ(ステップS105でNo)、宛先名を入力するか否かを確認するための入力確認画面が表示部14に表示される。この入力確認画面において、ユーザが宛先名の入力を指示する操作を行った場合には(ステップS106でYes)、宛先名を入力するための宛先名入力画面が表示部14に表示される(ステップS107)。
【0050】
図5は、宛先名を入力する際に表示部14に表示される表示画面の一例を示した図であり、(a)は入力確認画面、(b)は宛先名入力画面を示している。図5(a)に示した入力確認画面において、宛先名の入力を指示する「はい」が選択されると、図5(b)に示すような宛先名入力画面が表示部14に表示される。この宛先名入力画面において、ユーザは、操作部15を操作することにより宛先名を入力することができる。
【0051】
宛先名を入力する際には、テンキー15Cに仮名文字が割り当てられ、テンキー15Cを操作することにより宛先名を仮名入力することができる。仮名入力された宛先名をワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aに記憶することにより、各仮名文字に対応する文字コードに基づいて音声データ記憶部104Aから音声データを読み出し、音声ガイダンスを生成することができる。
【0052】
ただし、仮名入力した宛先名を漢字に変換して、ワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aに記憶することができるようになっていてもよい。このような構成によれば、ワンタッチダイヤルキー15Dを操作して送信先を指定すると、対応する宛先名が漢字で表示部14に表示される。この場合には、仮名入力したときの仮名文字情報をワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aに記憶しておき、仮名文字情報に対応する各文字コードに基づいて音声データ記憶部104Aから音声データを読み出すことにより、音声ガイダンスを生成すればよい。
【0053】
宛先名の入力が終了すると(ステップS108でYes)、音声ガイダンス生成部46が、その宛先名に基づいて音声ガイダンスを生成し(ステップS109)、生成された音声ガイダンスが、音声出力制御部45によりスピーカ108から出力開始される(ステップS110)。その後の処理は、上述したステップS111〜S113の処理と同様である。
【0054】
これに対して、図5(a)に示した入力確認画面で、宛先名の非入力を指示する「いいえ」が選択された場合には(ステップS106でNo)、1ページ目の原稿画像の読取が完了して発信準備期間が終了した後(ステップS114でYes)、発信制御部43が指定された電話番号へ発信を行うことにより、ファクシミリ送信が開始される(ステップS113)。
【0055】
また、「0」キーが操作されずにスタートキー15Aが操作されている場合にも(ステップS104でNo)、読取制御部42により原稿の読取が開始された後、1ページ目の原稿画像の読取が完了して発信準備期間が終了した時点で(ステップS114でYes)、発信制御部43が指定された電話番号へ発信を行うことにより、ファクシミリ送信が開始される(ステップS113)。
【0056】
本実施の形態では、音声ガイダンスが出力される場合と出力されない場合とで、送信先へ発信を行うタイミングを異ならせることができる。音声ガイダンスが出力される場合には、音声ガイダンスの出力終了後に発信が行われるので、音声ガイダンスにより送信先を確認することができる。これにより、送信先の誤りに気付いた場合には、ストップキー15Bを操作して発信指示を取り消すことにより、誤送信を防止することができる。
【0057】
また、音声ガイダンスが出力されない場合には、発信準備期間の経過後に送信先へ発信を行うことができる。これにより、音声ガイダンスが出力される場合よりも早期に発信を開始させることができるので、音声ガイダンスを必要としないユーザにとって、発信が開始されるのが遅くなることによる煩わしさを低減することができる。
【0058】
また、音声ガイダンスとして出力すべき宛先名がワンタッチダイヤルリスト記憶部5Aに記憶されていない場合には、宛先名入力画面でユーザに宛先名を入力させることができる。これにより、ユーザは、送信先として指定した電話番号に対応付けて宛先名を入力することができ、電話番号と宛先名との対応関係を確認することができるので、誤送信をより確実に防止することができる。
【0059】
特に、ユーザが送信先に対応する宛先名を入力した場合に、その宛先名を含む音声ガイダンスが出力されるので、ユーザは入力した宛先名を確認することができる。これにより、送信先の電話番号と宛先名との対応関係を再度確認することができるので、誤送信をさらに確実に防止することができる。
【0060】
以上の実施の形態では、ワンタッチダイヤルキー15Dを操作することにより、予め記憶されている電話番号を読み出して送信先に指定するような構成について説明した。しかし、テンキー15Cで電話番号を直接入力するよりも操作回数が少ないような構成であれば、例えば短縮キー(不図示)を操作した後、テンキー15Cのいずれかを操作することにより電話番号を読み出すような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態によるファクシミリ装置の一例を示したブロック図である。
【図2】ファクシミリ装置のファクシミリ送信制御部の一構成例を示した機能ブロック図である。
【図3】ファクシミリ送信を行う際のMPUによる処理の一例を示したフローチャートである。
【図4】ファクシミリ送信を行う際のMPUによる処理の一例を示したフローチャートであり、図3の続きを示している。
【図5】宛先名を入力する際に表示部に表示される表示画面の一例を示した図であり、(a)は入力確認画面、(b)は宛先名入力画面を示している。
【符号の説明】
【0062】
1 ファクシミリ装置
1A ファクシミリ機構部
1B 音声出力機構部
2 MPU
4A 文字データ記憶部
5A ワンタッチダイヤルリスト記憶部
6 NCU
15A スタートキー
15B ストップキー
15C テンキー
15D ワンタッチダイヤルキー
40 ファクシミリ送信制御部
41 電話番号指定部
42 読取制御部
43 発信制御部
44 ガイダンス選択部
45 音声出力制御部
46 音声ガイダンス生成部
102 MPU
104A 音声データ記憶部
108 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話番号に文字情報を対応付けて記憶する文字情報記憶部と、
ユーザが、上記文字情報記憶部に保持されている電話番号のいずれかを送信先として指定する電話番号指定手段と、
ユーザの送信操作から所定の発信準備期間が経過した後に上記送信先への発信が可能となる発信手段と、
上記発信先に対応付けられた文字情報を含む音声ガイダンスであって、上記送信操作に基づいて開始され、上記発信準備期間よりも遅く終了する音声ガイダンスを出力する音声出力手段と、
上記音声ガイダンスを出力させるか否かをユーザに選択させるためのガイダンス選択手段と、
ユーザ操作に基づいて、上記発信手段による発信前に上記送信操作を取り消す発信キャンセル手段とを備え、
上記発信手段は、上記音声ガイダンスが出力される場合には、音声ガイダンスの出力終了後に発信を行い、上記音声ガイダンスが出力されない場合には、上記発信準備期間の経過後に発信を行うことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
上記音声ガイダンスが出力される場合に、上記発信先に対応付けられた文字情報が上記文字情報記憶部に記憶されていないときに、文字情報を入力するための文字情報入力画面を表示させる表示手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
上記音声出力手段は、上記文字情報入力画面が表示された後、ユーザ操作に基づいて文字情報が入力された場合に、その文字情報を含む音声ガイダンスを出力することを特徴とする請求項2に記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−22183(P2008−22183A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191029(P2006−191029)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】