説明

フィルム基材および接着シート

【課題】応力緩和特性に優れ、貼り付け時の微弱な力で変形し戻りがないため三次元曲面によく馴染み、貼り付け作業性に優れ、さらにワーク端面で巻き込みを要する場合も経時で浮き上がりがない、貼り付けラベルなどの装飾用接着シートに使用するフィルム基材として適したフィルム基材を提供する。
【解決手段】ウレタン変性ポリエステル樹脂、可塑剤および多官能架橋剤からなるフィルム形成用組成物を流延法により製膜して、50%伸張時応力半減期時間が10秒以内であるフィルム基材2を作製する。このフィルム基材2の一面に感圧接着剤層または感熱接着剤層1を設け、他面には印刷3などを施し、必要に応じ印刷面上に透明保護層5、接着剤層上に剥離紙6を設けることにより、装飾用接着シート1が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応力緩和性、耐候性、耐溶剤性に優れたフィルム基材、より詳細には、装飾用接着シートなどの各種接着シートのフィルム基材およびこのフィルム基材を用いた装飾用接着シートなどの接着シート、さらにはラベル、デザインシート並びにこれを用いて形成された装飾体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装飾用接着シートは、看板、広告塔、シャッター、ショーウィンドウ等に用いられる広告用ステッカー類、自動車、二輪車等の車両やモーターボート等の船舶に用いられる装飾用ストライプステッカー類、交通標識、道路標識、案内板等に用いられる表示用ステッカー類、釣竿などの釣具、ゴルフクラブ、テニスラケットなどの屋外遊具類の装飾用ステッカーなどとして広く使用されている。また、加熱接着タイプとして、塩ビレザー、衣服等の装飾アイロンステッカーとしても用いられているし、塗装代替用シートなどとしても用いられている。このように、装飾用接着シートは、種々の目的で、種々の製品の表面、壁面などに装飾、表示、識別などを目的として貼付されており、その使用される態様、条件などにより、種々の特性が要求されている。例えば、自動車、二輪車等の車両やモーターボート等の船舶に用いられる装飾用ストライプステッカー類については、屋外使用においては優れた耐候性を有し、且つ、三次元曲面や凸凹を有するシボ面に貼り付けるための適度な柔軟性や形状追従性を有することが要求される。また、より高度な外観、磨耗耐性、溶剤耐性を求められる部位(二輪車のタンク、フェンダー、釣竿など)に使用する場合は装飾用接着シートを貼り付けた後、加熱硬化タイプの溶剤を含むクリヤにてオーバーコートすることもなされている。
【0003】
装飾用接着シートは、一般に10〜200μmのフィルムを基材層とし、この基材層に対し、用途や目的に応じて顔料を練り込んで基材を着色したり、印刷や塗装、箔押しなどでデザインを施したものに、基材層の片面に用途や目的に応じて適当な感圧接着剤(粘着剤)や感熱接着剤を塗工して粘接着剤層を形成し、さらに必要に応じて粘接着剤層を保護する目的で離型紙や離型フィルム等の離型材層を積層して構成されており、使用時には、この離型材層を剥離して露出した粘接着剤層を被着体の所定の箇所に貼り付ける方法で用いられる。
【0004】
上記装飾用シートに用いる樹脂基材フィルムとしては、従来、塩化ビニル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、(メタ)アクリル系フィルム、熱可塑性ポリウレタンフィルム、紫外線硬化フィルムなど種々のものが使用あるいは提案されている。
【0005】
まず塩化ビニルフィルムは、塩化ビニル樹脂の重合度と可塑剤、安定剤の調整により様々な柔軟性、耐性グレードのフィルムが比較的容易に得られ、また、応力緩和特性にも優れることから、広く一般に使用されている。しかし、塩化ビニルフィルムは、基本的に熱可塑性樹脂のため十分な耐溶剤性が得られず、特に薄い軟質フィルムは耐溶剤性が低く、ラベル、デザインシートに直接ガソリンやガソホールなどがかかる可能性がある2輪車タンク回りでは使用が難しいという問題がある。また、ウレタン塗装、メラミン塗装、エポキシ塗装などの樹脂塗装面に貼付した後に、全体がさらに透明な樹脂でオーバーコートされるように設計されたラベル、デザインシートにこの様なフィルムを用いた場合、塗装焼付け時に割れが発生したり、塗装面が荒れて外観不良になる場合があった。また、近年においては、環境保護の観点から、塩化ビニル系フィルムの代替品が望まれている。
【0006】
このような、近年における環境保護の観点から、塩化ビニル系フィルムの代替品としてポリプロピレンやポリエチレンを主成分とするポリオレフィン系フィルムが使用されるようになってきている。しかし、これらポリオレフィン系フィルムは、応力緩和性に関しては塩化ビニル系フィルムに及ばず、曲面等への追従性にも難がある。
【0007】
一方、塩化ビニル系フィルムに匹敵する応力緩和性を有する非塩化ビニル系フィルムとして、(メタ)アクリル系ポリマーからなる粘着フィルム基材が提案されている(特許文献1)。しかし、(メタ)アクリル系ポリマーからなる粘着フィルム基材は一般に耐溶剤性が低く、また強靭性がなく割れ易い。特にラベル、デザインシートを樹脂塗装面(ウレタン塗装、メラミン塗装、エポキシ塗装)に貼付した後に、全体がさらに透明な樹脂でオーバーコートされるように設計されたラベル、デザインシートにこの様なフィルムを用いた場合、良好な外観が得られず、焼付け時に割れが発生したり、塗装面が荒れて外観不良になるという問題がある。
【0008】
熱可塑性ポリウレタンは、ポリオールやイソシアネートの種類などにより物性を大きく変化させることができるので、工業的に広く利用されている(例えば、特許文献2参照)。また、強靭であり、上記用途でも十分な性能を有する。しかし、応力緩和特性、加工性の面で塩化ビニル系フィルムに及ばない。このため貼り付け後に戻りや浮きが発生し易いという問題がある。
【0009】
上記以外のものとして、アクリル系ポリマーとポリウレタンの両ポリマーの特徴を生かした材料の開発が行われ、ウレタンアクリレート系オリゴマーと反応性希釈モノマーとを放射線硬化させて得られる粘着テープ用基材が提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーを主成分とする混合物に、低圧水銀ランプにより紫外線照射して硬化させて製造された複合フィルムも提案されている(特許文献4参照)。しかし、一般に用いられる紫外線ランプ(高圧水銀ランプ)は高照度であり、得られた基材の強度は高くなるが、伸びや応力緩和性が低下し、曲面などへの追従性や加工性が低下したり、紫外線ランプの高照度により生じる熱によって、フィルムの平面性を損なうという問題があり、さらに、耐久性と塗膜物性の両立するための組成は極めて偏狭な範囲となり設計が難しいという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−290622号公報
【特許文献2】特開2003−295769号公報
【特許文献3】特開平9−253964号公報
【特許文献4】特開2006−213931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は従来の上記問題点を解決すべくなされたものであり、十分な応力緩和性を持ち、三次元曲面によく馴染み、戻りが少なく、耐候性、耐溶剤性に優れたフィルム基材を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記フィルム基材を用いて形成された、十分な応力緩和性を持ち、三次元曲面によく馴染み、戻りが少なく、ワーク端面で巻き込みを要する場合にも、経時で浮きが少なく、貼り付け作業性、貼り付け適性が良好であるとともに、耐候性、耐溶剤性に優れ、塗装焼付け時の割れや塗装面の荒れのない接着シートとを提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、紫外線照射装置を使用することなく製造することのできるフィルム基材と、該基材を用いた接着シートとを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、上記基材を用いた装飾用接着シートおよびラベル、デザインシートを提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、上記接着シート、装飾用接着シート、ラベル、またはデザインシートの貼付により装飾された装飾体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、鋭意研究、検討を行った結果、ウレタン変性ポリエステル樹脂、多官能架橋剤および可塑剤を必須成分とするフィルム用組成物を用いて作製されたフィルム基材により、上記目的が達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明をなしたものである。
【0017】
すなわち、本発明は、以下のフィルム基材、接着シート、装飾用接着シート、ラベルまたはデザインシート、装飾体に関する。
【0018】
(1)ウレタン変性ポリエステル樹脂、多官能架橋剤および可塑剤を含むフィルム形成用組成物を製膜することにより得た、50%伸張時応力半減期時間が10秒以内であるフィルム基材。
【0019】
(2)前記製膜が流延法(キャスティング法)による製膜であることを特徴とする上記(1)に記載のフィルム基材。
【0020】
(3)前記ウレタン変性ポリエステル樹脂が、ガラス転移点30℃以上かつ水酸基価が0.1〜10KOHmg/gの数平均分子量10,000〜100,000のウレタン変性ポリエステル樹脂であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のフィルム基材。
【0021】
(4)多官能架橋剤がイソシアネート系多官能架橋剤であり、可塑剤がポリエステル系可塑剤であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム基材。
【0022】
(5)フィルム形成用組成物が、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、導電材、難燃剤および着色剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム基材。
【0023】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルム基材の一面に感圧接着剤層または感熱接着剤層が設けられた接着シート。
【0024】
(7)上記(6)に記載の接着シートにおいて、フィルム基材の感圧接着剤層または感熱接着剤層と接する面に、金属薄膜層を設けてなることを特徴とする接着シート。
【0025】
(8)上記(6)に記載の接着シートにおいて、フィルム基材の感圧接着剤層または感熱接着剤層と接する面に微細なエンボスを形成した後、金属薄膜層若しくは金属酸化物、金属硫化物、金属フッ化物のいずれかを薄膜に形成した層が設けられてなることを特徴とする接着シート。
【0026】
(9)上記(6)〜(8)のいずれかに記載の接着シートにおいて、フィルム基材の他面に少なくとも印刷層が形成されたことを特徴とする装飾用接着シート。
【0027】
(10)上記(9)に記載の装飾用接着シートにおいて、印刷層上に保護クリヤ層が設けられた装飾用接着シート。
【0028】
(11)上記(9)または(10)に記載の装飾用接着シートの上に、被着体に貼付する作業を補助する貼付補助部材(アプリケーションシート)が更に積層されていることを特徴とする装飾用接着シート。
【0029】
(12)上記(9)〜(11)のいずれかに記載の装飾用接着シートを用いて形成されたラベルまたはデザインシート。
【0030】
(13)上記(12)に記載のラベルまたはデザインシートが貼付されてなる装飾体。
【0031】
(14)上記(13)に記載の装飾体において、ラベルまたはデザインシートが貼付された後、さらに透明な樹脂でオーバーコートされてなる装飾体。
【0032】
(15)上記(13)に記載の装飾体において、ラベルまたはデザインシートが布または塩化ビニルレザーを含む合成皮革面に加熱接着されてなる装飾体。
【0033】
なお、本発明において、「50%伸張時応力半減期時間」とは、幅25mm、長さ50mmの短冊状サンプルを、温度23℃、湿度50%で200mm/minの速度で歪み50%を与え、引っ張り試験機((株)島津製作所、オートグラフAGS−50G)のクロスヘッドを停止して応力の変化をモニターし、応力が、初期の応力の50%に低下する時間をいう。
【発明の効果】
【0034】
本発明のフィルム基材は、ウレタン変性ポリエステル樹脂がベース樹脂として用いられていることから軟質フィルムであり、変形しやすく、任意に細かいデザインのエンボス(押し型)加工が容易であるとともに、50%伸張時応力半減期時間が10秒以内と塩化ビニル樹脂に匹敵する応力緩和性を有し、応力緩和性に優れていることから三次元曲面によく馴染み、伸びた後の戻りが少ないという優れた特性を有している。また、架橋剤により架橋されていることから、耐熱性、耐候性、耐溶剤性に優れているので、従来十分な耐性が得られなかった用途にも曲面追従性のあるシート材が提供できる。
【0035】
また、本発明のフィルム基材を用いて作製された接着シートは、被着体に被着される際、被着体が三次元曲面やシボを有するものであっても、よく馴染み、変形し易く、変形後の戻りも少なく、ワーク端面で巻き込みを要する場合にも、経時で浮きが少ないことから、貼り付け作業性、貼り付け適性にすぐれた接着シートを得ることができる。
【0036】
また、印刷、蒸着などによる装飾模様が形成された装飾用接着シート、ラベル、デザインシートは、耐熱性、耐候性、耐溶剤性が要求される、例えば自動車、オートバイ、電車等の車両あるいはその他の任意の被着体において有利に使用することができる。
【0037】
また、装飾用接着シート、ラベル、デザインシートなどは、被着体に貼付された後、さらに透明な樹脂でオーバーコートされ、焼き付けなどを行うことにより、美麗な装飾を行うことができる。
【0038】
本発明の装飾用接着シート、ラベル、デザインシートが感熱性接着剤層を有する場合、これらを布、塩ビレザーを含む合成皮革面などに加熱接着させることができ、その際基材が布などによく馴染むことから、剥がれなどのない装飾体を得ることができる。
【0039】
その他、本発明のフィルム基材は、溶液キャスティング(溶液流延法)でフィルム化するにあたり、溶液塗工後の後架橋で分子量を上げ、耐溶剤性等を付与するため、低沸点溶剤で固形分濃度を高く設定できる。このため、従来の塩ビ樹脂に比べ、極薄フィルム(10μm以下)から厚手のフィルム(200μm以上)までより低温で乾燥することができ、より速い塗工速度で塗工が可能になり、揮発溶剤分も少なくできるため、低環境負荷になる。
【0040】
また、上記の理由で塗工液の粘度が低いため、より細かい濾過フィルターが使用できるのでゴミ等の異物が少ない高品位のフィルムが作成可能になる。
【0041】
また、本発明のフィルム基材は、塩ビフィルムのようにハロゲンを含まないことから、使用後は焼却処理による廃棄が容易にできる低環境負荷型の接着シート、ラベルなどを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のフィルム基材を用いた装飾用接着シートの一例の模式的断面図である。
【図2】端面折り返し試験の説明図である。(a)は接着シートが貼着された塗装鉄板の表面図であり、(b)はみ出した接着シートが端面で折り返されて貼着された塗装鉄板の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明のフィルム基材は、ウレタン変性ポリエステル樹脂、多官能架橋剤および可塑剤を含むフィルム形成用組成物を、流延法(キャスティング)によって製膜して得られる。以下、本発明のフィルム基材を形成するために用いられるフィルム形成用組成物の各成分について先ず説明する。
【0044】
(ウレタン変性ポリエステル樹脂)
本発明のフィルム形成用組成物において用いられるウレタン変性ポリエステル樹脂は、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の比率で反応させることによって得られる溶剤可溶性の樹脂であり、1分子中に2個以上の水酸基を有していることが好ましい。また、溶剤への溶解性は、例えば、10%以上の濃度にて、好ましくは粘度500〜10,000cps/25℃の溶液を形成するものが好ましい。
【0045】
上記ウレタン変性ポリエステル樹脂を製造する際に用いられるポリエステルポリオールは、多塩基酸と多価アルコールとをエステル化反応させることにより得られる、1分子中に2個以上の水酸基を有する樹脂である。このポリエステルポリオールの製造原料である多塩基酸としては、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸が挙げられる。多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族二塩基酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多塩基酸、および、ブタントリカルボン酸、トリカルバリル酸、クエン酸等の脂肪族多塩基酸が挙げられる。本発明においては、脂肪族二塩基酸のみが用いられてもよいし、脂肪族二塩基酸を主成分とし、これに小割合の芳香族多塩基酸あるいは脂肪族多塩基酸を配合して用いてもよい。これら二塩基酸あるいは多塩基酸は1種単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0046】
また、多価アルコールとしては、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物が用いられ、脂肪族グリコールなどの2価のアルコールあるいは3価以上の多価アルコールが挙げられる。2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等が、また多価アルコールとしては、脂肪族グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。本発明においては、2価のアルコールのみが用いられてもよいし、2価のアルコール、例えば脂肪族グリコールを主成分とし、これに小割合の多価アルコールを配合して用いてもよい。これら2価のアルコールあるいは多価アルコールは1種単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0047】
更に、カプロラクトンの開環反応によって得られるポリエステル化合物もポリエステルポリオールとして使用することができる。
【0048】
他方、上記ポリエステルポリオールと反応せしめられるポリイソシアネート化合物は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートおよびトリメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートおよびビフェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;等が挙げられる。これらは1種もしくは2種以上使用することができる。本発明においては、ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート化合物のみでもよいが、ジイソシアネート化合物を主成分とし、これに少割合のトリイソシアネートなどのイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネートが併用されてもよい。
【0049】
上記ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物との反応には通常のウレタン化反応の反応条件を広く適用することができる。
【0050】
本発明では、上記ウレタン変性ポリエステル樹脂として、ガラス転移点が30℃以上かつ水酸基価が0.1〜10KOHmg/gで、数平均分子量が10,000〜100,000のウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。また、上記ウレタン変性ポリエステル樹脂の酸価は特に限定されるものではないが、1以下であることが好ましい。ガラス転移点が30℃未満であると、フィルムに表面タックが生じ、ブロッキングし易くなる(フィルム塗工面が工程紙や剥離紙の裏面とくっつき易くなる)。一方、水酸基価が0.1以下であると十分な架橋性が得られないし、10以上であると表面タックが生じ、ブロッキングし易くなる。さらに、数平均分子量が10,000以下では、フィルム強度が不十分となり易く、溶液粘度が低く塗工性が悪くなるし、一方100,000を超える場合は溶液粘度が高くなり、塗工性が悪くなる。
【0051】
前記好ましい特性を有するウレタン変性ポリエステル樹脂はそれ自体公知であり、例えば、「バイロンUR−1350、1400、4125、8200(東洋紡製、商品名)」などとして市販もされている。
【0052】
(多官能架橋剤)
ウレタン変性ポリエステル樹脂は非架橋のため、これを用いて作成されたフィルム基材は、耐溶剤性がなく、印刷および塗装の溶剤に侵されやすい。また熱溶融性であるため、塗装焼付け時の高温に耐えられず外観不具合が発生する恐れがある。このため、ウレタン変性ポリエステル樹脂残存水酸基に対し反応し得る多官能架橋剤を配合する。
【0053】
本発明のフィルム形成用組成物で用いられる多官能架橋剤は、ウレタン変性ポリエステル樹脂残存水酸基に対し反応し、架橋させる多官能架橋剤であればいずれのものでもよい。このような多官能架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。
【0054】
具体的には、ポリイソシアネート化合物としては、前述のポリイソシアネート化合物が挙げられ、さらにそれらのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、またはイソシアヌレート環を有する3量体等も挙げられる。ポリイソシアネート化合物を配合し、加熱乾燥した後、エージングし架橋すると、上記耐溶剤性および耐熱性が向上する。この際、ウレタン化触媒として、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンなど公知の触媒を添加してもよい。また、メラミン樹脂としては、ハイソリッド完全アルキル型、メチロール基型、イミノ型、メチロール−イミノ基型メラミン樹脂が挙げられる。これら多官能架橋剤は1種単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0055】
(可塑剤)
形成されたフィルム基材の物性、機械的特性などを調整するために、本発明のフィルム基材には可塑剤が用いられる。可塑剤としては、従来公知の可塑剤(例えば、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、セバシン酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、クエン酸エステル系、エポキシ化大豆油などのエポキシ系、マレイン酸エステル系などの可塑剤)のいずれをも用いることができるが、中でもポリエステル系可塑剤が好ましい。
【0056】
ポリエステル系可塑剤としては、通常、多塩基酸成分と多価アルコール成分とを、必要に応じて末端停止成分として、一価アルコール類および/または一塩基酸を用いて、縮合させることにより製造されたものが用いられる。
【0057】
上記多塩基酸成分としては、ウレタン変性ポリエステル樹脂と同様に例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族二塩基酸あるいはこれを主成分とするものが挙げられ、その他の成分として、小割合の、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多塩基酸、あるいは、ブタントリカルボン酸、トリカルバリル酸、クエン酸等の脂肪族多塩基酸を配合して用いることもできる。脂肪族二塩基酸および多塩基酸は1種単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
上記多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等の脂肪族グリコールあるいはこれを主成分とするものが挙げられ、その他の成分として、小割合のグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールを配合して用いることもできる。脂肪族グリコールおよび多価アルコールは1種単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
上記末端停止成分としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、第二ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、ヘプタノール、イソヘプタノール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、イソノニルアルコール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソトリデシルアルコール、ベンジルアルコール等の脂肪族一価アルコールおよび酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪族一塩基酸が挙げられる。
【0060】
上記多塩基酸と多価アルコールとの反応には通常のエステル化反応の反応条件を広く適用することができる。また、上記各成分は、用いる成分の種類および目的とするポリエステル系可塑剤の特性、分子量等により適宜の量を使用すればよい。
【0061】
ポリエステル系可塑剤は、ウレタン変性ポリエステル樹脂との相溶性に合わせて調整されたものを適宜用いることができるが、数平均分子量が600〜5,000であるものが好ましく、より好ましくは800〜4,000であり、酸価は、1以下であることが好ましく、水酸基価は10以下であることが好ましい。
【0062】
このようなポリエステル系可塑剤はそれ自体既知であり、例えば、アジピン酸系ポリエステル「アデカサイザー PN−150、PN−350」(アデカ製、商品名)」などが挙げられる。
【0063】
前記ウレタン変性ポリエステル樹脂、多官能架橋剤および可塑剤は、本発明の目的を達成し得るフィルム基材が得られる限りどのような割合であってもよいし、また、具体的に使用される樹脂、化合物によりその使用割合は変わるが、一般的には、ポリエステル系可塑剤の配合量は、ウレタン変性ポリエステル樹脂100重量部に対して、5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部である。また、多官能架橋剤の配合割合は、ウレタン変性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。
【0064】
また、フィルム形成用組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料などの着色剤などの各種添加剤を加えることができる。これらの添加剤は、その種類に応じて通常の量で用いられる。
【0065】
さらに、これら添加剤について説明すると、酸化防止剤としては従来樹脂あるいは樹脂組成物において酸化防止剤として知られたものであればいずれのものであってもよく、特に限定されない。代表的な酸化防止剤としては、フェノール系(モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系)、硫黄系、リン系等、従来一般的に使用されているものが挙げられる。
【0066】
また、紫外線吸収剤としては、サリチレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系が挙げられるが、特に紫外線吸収効果の点から、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好適である。
【0067】
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系等の光安定剤を使用することができる。光安定剤の添加量は、特に限定されるものではなく、通常使用される量とすればよい。
【0068】
帯電防止剤は特に限定されないが、四級アミン塩単量体等が挙げられる。四級アミン塩単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩化物、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩化物、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩化物、p−ジメチルアミノスチレン四級塩化物、およびp−ジエチルアミノスチレン四級塩化物等が挙げられ、ジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩化物が好適に用いられる。
【0069】
難燃剤としては特に限定されず、例えば、臭素系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤、メラミンシアヌレート、尿素、メラミン誘導体等を含むトリアジン環含有化合物、芳香族ポリフォスフェート等のリン酸エステル等の有機系難燃剤が挙げられる。
【0070】
着色剤としては、有機系顔料、無機系顔料、染料、カーボンブラック等、公知あるいは周知の着色剤のいずれをも使用することができる。色は任意であり、例えば、白、アイボリー、黒、赤、青、黄、緑等とすることができる。フィルム基材を多層構造とした場合には、全ての層に着色剤を入れてもよく、又は一部の層のみ着色剤を入れてもよい。顔料の例を挙げると、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、縮合アゾ系、アゾレーキ系、アンスラキノン系、ペリレン・ペリノン系、インジゴ・チオインジゴ系、イソインドリノン系、アゾメチンアゾ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アニリンブラック系、トリフェニルメタン系、カーボンブラック系等の有機顔料、酸化チタン系、酸化鉄系、水酸化鉄系、酸化クロム系、スピネル型焼成系、クロム酸系、クロムバーミリオン系、紺青系、アルミニウム粉末系、ブロンズ粉末系等が挙げられる。これらの顔料はいずれの形態でもよく、又、これらの顔料は種々公知の方法によって各種の分散処理が施されたものであってもよい。
【0071】
さらに、本発明のフィルム形成用組成物には、必要に応じウレタン変性ポリエステル樹脂、架橋剤および可塑剤などを溶解する溶剤が含まれていてもよい。溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、n−ヘプタン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノエーテル類、プロピレングリコールモノエーテルエステル類等が挙げられる。
【0072】
本発明のフィルム基材は、溶剤を含む前記フィルム形成用組成物を剥離性の支持体の上に流延し、溶剤を揮発させてフィルム化する流延法(キャスティング法)によることが好ましい。膜厚は、使用目的により適宜の厚さとされるが、例えば装飾用接着シートなどの接着シートに用いられる場合、通常5〜500μm、より一般的には10〜200μm程度とされる。
【0073】
こうして製造されたフィルム基材は、変形し易いフィルムなので細かいデザインのエンボス(押し型)加工が容易であるとともに、フィルム基材の50%伸張時応力半減期時間が10秒以内であることから、変形後の戻りが少なく、三次元曲面や表面にシボのある被着体、布等にもよく馴染み、ワーク端面で巻き込みを要する場合にも、経時で浮きが少なく、貼り付け作業性、貼り付け適性も良好である。また、耐溶剤性、耐熱性にも優れている。したがって、このような特性の要求される任意の用途の基材として有用であるが、特に、接着シート、なかんずくラベル、デザインシートを含む装飾用接着シートの基材として適している。
【0074】
本発明のフィルム基材を用いた接着シートは、フィルム基材の一面に少なくとも接着剤層を有するものである。接着シートを、図1を参照しつつ具体的に説明する。なお、図1に示す接着シートは、単に説明のために例示したものにすぎず、本発明の接着シートが例示されたものに限定されるものでないことは言うまでもないことである。
【0075】
図1の接着シート1は、フィルム基材2の一方の面に接着剤層3が設けられ、基材の他面には、印刷インキ層からなる装飾表示層4、光透過性保護層5が設けられている。また、接着剤層面には剥離シート6が積層されている。
【0076】
接着剤層3は、従来知られた感圧接着剤、感熱接着剤であれば、如何なるものでも使用できる。感圧接着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、天然ゴム系、スチレン系、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)系、ポリエステル系、シリコーン系など公知あるいは周知の任意の接着剤が挙げられる。
【0077】
アクリル系感圧接着剤は、アクリル系共重合体単独でも粘着剤として使用することができ、通常、溶液、水性エマルジョン形態として適用される。アクリル系感圧接着剤に用いられるアクリル系共重合体としては、例えば、(A)炭素数4〜8のアルキル基を持つアルキルアクリレートと、(B)分子内にカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーおよび/またはヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとを含んでなる混合モノマーを重合して得られる共重合体が挙げられる。このとき、前記モノマー(A)及び(B)と共重合可能なその他の(メタ)アクリルモノマーや不飽和二重結合(ビニル結合等)を有するモノマーも併用できる。
【0078】
上記アクリル系共重合体を構成する(A)成分としては、たとえば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。また、上記(B)成分の内、カルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、通常(メタ)アクリル酸が使用され、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシメチル、ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどが使用される。また、その他の(メタ)アクリルモノマーとしては、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルベンゾフェノン等が、不飽和二重結合(ビニル結合等)を有するモノマーとしては、アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−置換アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン等を挙げることができる。
【0079】
上記アクリル系共重合体において、カルボキシル基を含有する共重合性不飽和モノマーの配合割合は、一般には1〜25重量%の範囲に設定される。アクリル系共重合体は、上記(A)成分および(B)成分、さらに必要に応じ他のモノマーに重合開始剤、溶剤適宜加え、反応を行うことによって製造することができる。溶媒としては、水、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられる。上記の重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等の過酸化物、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸等のアゾ系開始剤等が挙げられる。また、必要に応じて、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、四塩化炭素等を分子量調節剤として添加することができる。水を溶媒とした場合には、各種の公知の界面活性剤が使用できる。
【0080】
粘着剤層に用いられるアクリル系粘着剤としては、架橋処理されたものが好ましい。この架橋処理に用いられる架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いればよい。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物が好ましく用いられる。粘着剤層の膜厚は、好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜50μmの範囲に設定する。なお、粘着剤層の表面には、図1に示すように、剥離紙、例えばシリコーン離型剤等で表面処理した剥離紙などの剥離シートを仮着しておくのが好ましい。
【0081】
この架橋剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、架橋剤の種類にもよるが、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100質量部に対し、通常0.01〜20質量部、好ましくは、0.1〜10質量部の範囲で選定される。また、アクリル系粘着剤には、所望により粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、シランカップリング剤、充填剤などを添加することができる。
【0082】
また、従来、接着シート、ラベル、デザインシートなどを貼着する際には、位置決めの際に貼り剥がしがしばしば行われる。このような場合、初期タックの大きい粘着剤を用いると貼り剥がしで基材が簡単に伸びてしまい、デザインが崩れたり貼りスジが発生しやすいため、初期タックが非常に低い粘着剤を用いることが好ましい。このような粘着剤としては、初期タックが小さく、最終接着力は大きい従来から公知の粘着剤を使用することができる。
【0083】
本発明では、このような粘着剤として、ウレタン変性ポリエステル樹脂とこれと架橋し得る多官能架橋剤(メラミン系、イソシアネート系)およびポリエステル系可塑剤を必須成分としたものが用いられてもよい。
【0084】
このような初期タックの小さい感圧接着剤を用いると、三次元曲面などに接着シート、ラベル、デザインシートなどを貼着する際貼り剥がしによる影響を受けることなく、曲面に追随した形状を作り易いという利点もある。
【0085】
前記感圧接着剤は、ラベル、デザインシートなどの装飾用接着シートを樹脂塗装面(ウレタン塗装、メラミン塗装、エポキシ塗装)に貼付した後1分以内では前記接着剤層が3N/25mm以下の180度Peel接着力であることが好ましい。
【0086】
また、接着剤として、エチレン−アクリル樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、ポリエステル系、ポリウレタン系、スチレン−ブタジエン(SBR)系などのホットメルト型のものをはじめとして、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの反応硬化型の接着剤が用いられてもよい。
【0087】
図1では、フィルム基材2上に装飾あるいは表示などのため装飾表示層として印刷によるインク層が施されているが、フィルム基材が着色されている場合、印刷を行うことなく基材の色を生かしたラベルやデザインシートとしてもよい。また印刷層は多色印刷とし、複数層とされてもよいし、また蒸着層などとされてもよいし、印刷層と蒸着層の組合せとされてもよい。さらに、装飾材料薄膜の貼り付け(箔押し)によってもよい。このように、本発明の装飾用接着シートなどに設ける装飾表示層は、特に限定されるものではなく、蒸着、印刷、または装飾材料薄膜の貼り付け(箔押)等従来知られている装飾効果、表示効果を生じるものであれば如何なるものでもよい。また、その形成方法も特に限定されるものではない。
【0088】
また、装飾表示層はフィルム基材の粘着剤層面に設けられてもよい。このようなフィルム基材の粘着剤層面に設けられる装飾表示層は、フィルム基材の粘着剤層と反対面に設けられた装飾表示面と同様の印刷層あるいは蒸着層であってもよい。またフィルム基材の粘着剤層面にエンボスなどにより微細模様を形成し、その上に蒸着層を設けることにより、ヘアラインパターンやホログラムパターンを形成するようにしてもよい。
【0089】
これらの方法によって種々の態様の装飾表示層を形成することができるが、光輝性装飾模様を形成するものとしては、例えば次の方法により形成されるものが挙げられる。
(1)金箔、銀箔、ホログラム膜、光干渉膜等の金属調の光輝性箔押し材料を貼り付けた光輝性装飾模様。
(2)アルミニウム粉等の金属粉を配合したインクを用いて印刷したメタリック模様。
(3)基材上にアルミニウム、錫等の金属を真空メッキして形成した光輝性装飾模様。
なお、上記ホログラム膜は、熱可塑性樹脂記録材料等の感光性樹脂膜に被写体で回折した信号波と参照波を干渉させて生じた干渉縞を記録したものである。
【0090】
着色印刷インクを用いて文字や絵柄等の装飾模様を形成する場合、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等、公知の印刷方法を用いることができる。前記したように、印刷インク層は1層のみでもよいが、複数層形成されてもよい。また、透明または半透明のクリヤーインク層を設けてもよい。
【0091】
図1に示すように、本発明の装飾用接着シート1における装飾表示層の表面には、光透過性保護層5が設けられてもよい。光透過性保護層は、一般の印刷インキ用合成樹脂が使用できる。具体的には、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、エチルセルロース、塩化ゴム樹脂等が挙げられる。特に好ましくは、透明性がよく、耐溶剤性に優れたポリアクリルポリオールまたはポリエステルポリオールの単独または混合樹脂に対し、ポリイソシアネート架橋剤を混合し、反応するポリウレタン系二液型硬化樹脂、アクリレートモノマー、オリゴマーを主成分とする紫外線硬化型アクリル系樹脂等が使用できる。
【0092】
なお、上記光透過性保護層には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望に応じ各種添加成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料などの着色剤などを適宜添加することができる。
【0093】
さらに、本発明の装飾用接着シートを所望の被着物品の表面に貼着した後、被着物品の表面に、貼着された装飾用接着シートの全面が覆われるように透明または半透明の樹脂保護層(トップコートクリヤー層)を形成してもよい。それによって、美麗な外観を持つ物品を得ることができる。トップコートクリヤー層に用いるフィルム形成用組成物としては、例えば、アルキド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン−アルキド樹脂、アクリル−メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等、一般の塗料用合成樹脂が挙げられる。
【0094】
また、前記保護クリヤ層の上には、ラベル、デザインシートなどの装飾用接着シートを被着体に貼付する作業を補助する貼付補助部材(アプリケーションシート)がさらに設けられていてもよい。
【0095】
本発明のラベル、デザインシートなどの装飾用接着シートは、種々の被着体に貼着され、被着体に装飾、表示、識別、保護などの機能が付与された装飾体とすることができる。装飾用接着シートの被着体への貼付は、手工的に、あるいは機械的に行うことができる。接着剤が感圧接着剤である場合には、剥離紙を剥離した後押圧により貼付し、感熱接着剤である場合には、例えばアイロンなどの加熱体を用いて、加熱押圧により貼付すればよい。三次元曲面に貼付する際には、装飾用接着シートを最終的に被着体に貼着する前に、手工的にあるいは真空成形や圧空成形などの機械的手段によって、装飾用接着シートに適用される三次元曲面にあわせた型付けを行い、貼着されてもよいし、貼付の際に装飾用接着シートを三次元曲面に合わせて延ばしながら貼付されてもよい。本発明の接着シート、ラベル、デザインシートなどは、塩化ビニル樹脂に匹敵する応力緩和特性を有し、三次元曲面や表面にシボのある被着体、布等にもよく馴染み浮きが発生しにくい。また、従来、ラベル、デザインシートを布、塩ビレザー面に加熱接着して装飾体を得ることが広く行われているが、本発明のラベル、デザインシートなどは、布、塩ビレザーなどの被着体の形状によく馴染み、加熱接着後の浮きなどの発生がない。
【0096】
すなわち、本発明の装飾用接着シート、ラベル、デザインシートなどは、これらが従来用いられていた、例えば、看板、広告塔、シャッター、ショーウィンドウ等に用いられる広告用ステッカー類、自動車、二輪車等の車両やモーターボート等の船舶に用いられる装飾用ストライプステッカー類、交通標識、道路標識、案内板等に用いられる表示用ステッカー類、釣竿などの釣具、ゴルフクラブ、テニスラケットなどの屋外遊具類の装飾用ステッカー、装飾アイロンステッカー、塗装代替用シートなどのあらゆる用途に用いることができる。
【実施例】
【0097】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0098】
実施例1
ガラス転移温度(Tg)が46℃、水酸基価が3〜4、酸価が1以下、数平均分子量約30,000のウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡製、バイロン UR−1350;固形分33%のMEK/トルエン(65/35)溶液)100重量部(固形分)、分子量約1,000のアジピン酸系ポリエステル系可塑剤(アデカ製、アデカサイザー PN−150)20重量部(固形分)および無黄変イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業製、コロネートHL)10重量部(固形分)を、メチルエチルケトン(MEK)を用いて30重量%濃度の溶液とした。この溶液を、離型処理が施された厚さ100μmの二軸延伸ポリエステルフィルムよりなる支持フィルム上に塗工し、140℃にて5分間乾燥して、支持フィルム上に膜厚25μmの無延伸フィルムを形成し、これを室温で1週間エージングし、フィルム基材1を作成した。
【0099】
実施例2
ガラス転移温度(Tg)が83℃、水酸基価が2〜3、酸価が1以下、数平均分子量約40,000のウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡製、バイロン UR−1400;固形分30%のMEK/トルエン(65/35)溶液)100重量部(固形分)、分子量約1,000のアジピン酸系ポリエステル系可塑剤(アデカサイザー PN−150)30重量部(固形分)および無黄変イソシアネート架橋剤(コロネートHL)10重量部(固形分)を、メチルエチルケトン(MEK)を用いて30重量%濃度の溶液とした。この溶液を、実施例1と同様にしてフィルム基材2を作成した。
【0100】
実施例3
ガラス転移温度(Tg)が46℃、水酸基価が3〜4、酸価が1以下、数平均分子量30,000のウレタン変性ポリエステル樹脂(バイロン UR−1350)80重量部(固形分)、ガラス転移温度(Tg)が83℃、水酸基価が2〜3、酸価が1以下、数平均分子量約40,000のウレタン変性ポリエステル樹脂(バイロン UR−1400)20重量部(固形分)、分子量約1,000のアジピン酸系ポリエステル系可塑剤(アデカサイザー PN−150)25重量部(固形分)および無黄変イソシアネート架橋剤(コロネートHL)10重量部(固形分)を、メチルエチルケトン(MEK)を用いて30重量%濃度の溶液とした。この溶液を、実施例1と同様にしてフィルム基材を作成した。その後、接着剤層と接する側に微細なエンボスパターン(ホログラムパターン)を公知の方法で施し、その上に500ÅのSnを真空メッキしてフィルム基材3を作成した。
【0101】
比較例1
無黄変イソシアネート架橋剤を用いないことを除き実施例2と同様にして、フィルム基材4を作成した。
【0102】
比較例2
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度:1050)100重量部、ポリエステル系可塑剤(PN−150)27重量部を配合したのち、シクロヘキサノン(CHX)により17.5重量%溶液を調製した。この溶液を、実施例1と同様にしてフィルム基材5とした。
【0103】
比較例3
軟化点160℃の熱可塑ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業製;ニッポラン5025)を酢酸エチル/トルエン(6/4)溶液で固形分濃度25重量%に調整し、この溶液を、実施例1と同様にしてフィルム基材6とした。
【0104】
実施例4〜6および比較例4〜6
実施例1〜3および比較例1〜3で作製したフィルム基材1〜6を用い、以下の方法により感圧接着シートを作製した。
【0105】
ブチルアクリレート(BA)/アクリル酸(AA)=100/2で溶液重合された重量平均分子量Mw=32万のアクリル共重合体100重量部に対し、N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシレンジアミン2重量部を添加し、この混合物をシリコーン剥離紙上に塗工し、100℃で5分間乾燥させた。乾燥後の粘着剤層の厚さは20μmであった。この粘着剤層上に実施例1〜3、比較例1〜3の各フィルム基材をラミネートして感圧接着シートを得、さらにこれを室温で1週間エージングして、感圧接着シート1〜6を得た。
【0106】
実施例7〜9および比較例7〜9
日本ユニポリマー製ホットメルト接着剤 UNH790(30μm)を、実施例1〜3および比較例1〜3の各フィルム基材に110℃×1分にて熱ラミネートし、熱接着シート1〜6を作製した。
【0107】
<フィルム基材および接着シートの試験、測定>
試験1(フィルム基材の50%伸張時応力半減期時間の測定)
上記フィルム基材1〜6について、下記方法により、50%伸張時応力半減期時間の測定を行った。
すなわち、上記で得たフィルム基材1〜6を用いて、幅25mm、長さ50mmの短冊状サンプルを作成した。温度23℃、湿度50%で200mm/minの速度で歪み50%を与え、引っ張り試験機((株)島津製作所、オートグラフAGS−50G)のクロスヘッドを停止して応力の変化をモニターした。応力が、初期の応力の50%に低下する時間を応力半減期時間とした。結果を表1に示す。
【0108】
試験2(端面折り返し性)
上記で得た感圧接着シート1〜6を幅25mm、長さ50mmの短冊状サンプルとした。これらのサンプルから剥離紙を剥がし、図2(a)に示すように長さ170mm×幅70mm×厚さ0.3mmの塗装鉄板7(BASF製 ハイウレタンNo.5000白を両面に塗布)の長さ方向のエッジ部分に沿って、接着シートの端がエッジ部から5mm飛び出るように接着シートサンプル8を塗装鉄板に貼り付けた。その後、貼り付いていない部分(5mm飛び出した部分)をエッジに沿って折り返し、図2(b)に示すように塗装鉄板の裏面に貼り付けた。塗装鉄板の裏面を表側にして室温(23℃)に放置し、5分後に貼り付けたサンプルの裏面からの浮きの有無を観察した。浮きが見られないものを○、浮きがあるものを×として評価した。結果を表1に示す。
【0109】
試験3(曲面追従性)
上記で得た感圧接着シート1〜6を100mm角の正方形に切断してサンプルを作製した。各サンプルを、表面にBASF製 ハイウレタンNo.5000白を塗装した直径250mmのステンレス製ボール上に貼り付け、5分後に浮きの発生を観察した。浮きがないものを○、浮きがあるものを×として評価した。結果を表1に示す。
【0110】
試験4(耐溶剤性)
フィルム基材1〜6の表面に、帝国インク製 SP−3100AUクリヤ(2液硬化溶剤系艶クリヤ)を、乾燥膜厚10μmにてスクリーン印刷し、40℃×24時間乾燥した後、表面外観の異常の有無を観察した。その後、さらにこの上に2mlのハイオクガソリンを滴下した後24時間放置し、表面外観の異常の有無を観察した。艶引けがないものを○、艶引けの発生したものを×として評価した。結果を表1に示す。
【0111】
試験5(布への馴染み性)
上記で作製した感熱接着シート1〜6を幅25mm、長さ50mmの短冊状に切断し、サンプルとした。これを長さ170mm×幅70mmの綿布上に置き、110℃、5.6N/cm、1分の条件にて熱圧着し、常温(20℃)下に24時間放置した後の馴染み具合を観察した。浮きの発生しないものを○、浮きの発生したものを×として評価した。結果を表1に示す。
【0112】
試験6(低温割れ性)
試験5で感熱接着シート1〜6が貼り合わせた布を−30℃にて2時間放置後、180°に折り曲げ、割れ、剥がれの発生状況を観察した。割れ、剥がれのないものを○、割れまたは剥がれの発生したものを×として評価した。結果を表1に示す。
【0113】
【表1】

【0114】
表1から明らかなように、本発明のフィルム基材は塩化ビニル樹脂と同様あるいはそれ以上の50%伸張時応力半減期時間を有するとともに、本発明のフィルム基材を用いて作製された接着シートは、端面折り返し性、曲面追従性、耐溶剤性、馴染み、低温割れ性のいずれの特性にも優れていることがわかる。
【符号の説明】
【0115】
1 接着シート
2 フィルム基材
3 接着剤層
4 装飾表示層
5 光透過性保護層
6 剥離シート
7 塗装鉄板
8 接着シートサンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン変性ポリエステル樹脂、多官能架橋剤および可塑剤を含むフィルム形成用組成物を製膜することにより得た、50%伸張時応力半減期時間が10秒以内であるフィルム基材。
【請求項2】
前記製膜が流延法による製膜であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム基材。
【請求項3】
前記ウレタン変性ポリエステル樹脂が、ガラス転移点が30℃以上かつ水酸基価が0.1〜10KOHmg/gである、数平均分子量10,000〜100,000のウレタン変性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム基材。
【請求項4】
多官能架橋剤がイソシアネート系多官能架橋剤であり、可塑剤がポリエステル系可塑剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム基材。
【請求項5】
フィルム形成用組成物が、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、導電材、難燃剤および着色剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム基材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム基材の一面に感圧接着剤層または感熱接着剤層が設けられた接着シート。
【請求項7】
請求項6に記載の接着シートにおいて、フィルム基材の感圧接着剤層または感熱接着剤層と接する面に、金属薄膜層を設けてなることを特徴とする接着シート。
【請求項8】
請求項7に記載の接着シートにおいて、フィルム基材の感圧接着剤層または感熱接着剤層と接する面に微細なエンボスを形成した後、金属薄膜層若しくは金属酸化物、金属硫化物、金属フッ化物のいずれかを薄膜に形成した層が設けられてなることを特徴とする接着シート。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の接着シートにおいて、フィルム基材の他面に少なくとも印刷層が形成されたことを特徴とする装飾用接着シート。
【請求項10】
請求項9に記載の装飾用接着シートにおいて、印刷層上に保護クリヤ層が設けられた装飾用接着シート。
【請求項11】
請求項9または10に記載の装飾用接着シートの上に、被着体に貼付する作業を補助する貼付補助部材(アプリケーションシート)が更に積層されていることを特徴とする装飾用接着シート。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかに記載の装飾用接着シートを用いて形成されたラベルまたはデザインシート。
【請求項13】
請求項12に記載のラベルまたはデザインシートが貼付されてなる装飾体。
【請求項14】
請求項13に記載の装飾体において、ラベルまたはデザインシートが貼付された後、さらに透明な樹脂でオーバーコートされてなる装飾体。
【請求項15】
請求項13に記載の装飾体において、ラベルまたはデザインシートが布または塩化ビニルレザーを含む合成皮革面に加熱接着されてなることを特徴とする装飾体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−189579(P2010−189579A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37017(P2009−37017)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(391046562)株式会社倉本産業 (18)
【Fターム(参考)】