フェノール化合物に富む組成物及びその製造方法
粗製植物抽出物からフェノール化合物に富む組成物を製造する方法が提供されている。一つの方法には、フェノール化合物を放出できるように吸収するが極性非フェノール化合物は保持しないポリマー樹脂であって、1個以上の電子吸引性基で置換された芳香族環を含む該樹脂を用いた新規なカラム精製工程が含まれる。本発明には又、フェノール化合物に富む組成物も含まれる。本発明には、呼吸器合胞体ウィルスのようなパラミクソウィルス科、インフルエンザA,B,及びCのようなオルソミクソウィルス科、パラインフルエンザ、HSV−1及びHSV−2のようなヘルペスウィルス、及び西ナイルウィルスのようなフラビウィルス属に感染した人間を含む温血動物を治療するために、又関節炎により引起こされるような炎症、ストレス及び消化器系の病気を治療するために、フェノール化合物に富む組成物を使用する方法が含まれる。該組成物は食品媒介病原体を阻止する肉添加剤としても有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の引用〕
本願は、2000年8月31日に出願された米国仮出願第60/229,205号の優先権を主張する、2001年8月30日に出願された米国特許出願第09/943,158号の部分継続出願である、2002年11月22日に出願された米国特許出願第10/302,264号の部分継続出願である、2004年1月23日に出願された米国特許出願第10/764,321号の優先権を主張するものであり、それらの開示をすべて全体的に本明細書に引用して援用する。
【0002】
本発明は、植物原料からのフラボノイド化合物の抽出及び精製に関し、より具体的にはフェノール化合物に富む組成物の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
フラボノイド化合物は植物のあらゆる大気中部分に存在し、その皮、樹皮及び種子に高濃度が見出される。このような化合物は、茶、ココア、及びワインのような植物起源の多数の飲物にも見出される。フラボノイドは、ポリフェノールと呼ばれる比較的大きな族の化合物類の一員である。即ち、これらの化合物は、1個以上の芳香族環上に1個より多くのヒドロキシル基(OH)を含有する。ポリフェノール、特にフラボノイドの物理的及び化学的性質、分析、及び生物学的活性は何年にもわたって研究されてきた。
【0004】
アントシアニンは、多数の果物、野菜、穀物、及び花の赤、紫、及び青色の原因である天然に生ずるフラボノイド化合物の特定のクラスである。例えば、ブルーベリー、ビルベリー、イチゴ、ラズベリー、ボイゼンベリー、マリオンベリー、クランベリー、エルダーベリー、等のような果物の色は、多数の異なるアントシアニンによる。300種を超える構造的に異なるアントシアニンが事実上同定されている。アントシアニンは天然素材であるので、食物及び飲物用着色剤としての用途に大きな関心を呼んできた。
【0005】
最近、アントシアニン顔料に対する関心は、食物酸化防止剤としての健康上の利益が考えられるので、増大してきた。例えば、ビルベリー(バチニウム・ミルチラス)のアントシアニン顔料は、視力を改善し循環障害を治療するために長い間使用されてきた。或るアントシアニン及び他のフラボノイドは抗炎症性を有することが実験的に証明されている。更に、経口投与されたアントシアニンは糖尿病及び潰瘍を治療するのに効果的であり抗ウィルス活性及び抗菌活性を有している可能性があるということが報告されている。フラボノイドのこれら望ましい性質に対する化学的根拠は、それらの抗酸化剤能力に関連していると考えられる。かくして、ベリーと他の果物及び野菜に関連する抗酸化剤特性は、それらのアントシアニン含量に帰せられてきた。
【0006】
「オリゴマー状プロアントシアニジン」、「OPCs」、又は「プロシアニジン」としても知られるプロアントシアニジンは、果物、野菜、実、種子、花、及び樹皮から広く入手できる天然に生ずるフラボノイド化合物のもう一つのクラスである。プロアントシアニジンは縮合タンニンとして知られる範疇に属する。それらは、果物及び野菜に見出される最も普通のタイプのタンニンであり、その種子及び皮に大量に存在する。事実上、異なるプロアントシアニジンの混合物は普通一緒に見出され、個々の単位から多数の結合単位の複雑な分子(オリゴマー又はポリマー)まで変動する。ポリマー状プロアントシアニジンの一般的化学構造は、共通のC(4)−C(6)及び(又は)C(4)−C(8)結合により一緒に結合したフラボノイド3−オール単位の直鎖を含む。13C NMRはポリマー状プロアントシアニジンの構造を同定するのに有用であったが、最近の研究はダイマー、トリマー、及びテトラマー状プロアントシアニジンの化学を解明している。フラボノイド3−オール単位のより大きなオリゴマーは大部分の植物において支配的であり、2,000ダルトンより大きな平均分子量を有し6以上のモノマー単位を含有するものが見出されている(Mag.Res.Chem.,25:118(1987),Newman等)。
【0007】
最近のかなりの研究により、主として抗酸化剤活性が知られているプロアントシアニジンの治療的応用が探求されてきた。しかしながら、これらの化合物は、抗菌性、抗ウィルス性、抗癌性、抗炎症性、抗アレルギー性、及び血管拡張性の作用を示すことも報告されている。更に、それらは、脂質過酸化、血小板凝集、毛細血管透過性及び脆弱性を阻止し、ホスホリパーゼA2、シクロオキシゲナーゼ、及びリポキシゲナーゼを含む酵素系に影響することも見出されている。例えば、プロアントシアニジンのモノマー(即ち、アントシアニン)及びダイマーは、増加した毛細血管脆弱性に関連する病気の治療に用いられており、動物における抗炎症性効果を有することも示されている(Ann.N.Y.Acad.Sci.,284:358(1977),Beladi,I.等)。これらの報告された発見に基づいて、オリゴマー状プロアントシアニジン(OPCs)は、多数の状態の治療に有用な成分となり得るのである(Altern.Med.Rev.5(2):144−151(2000),Fine,A.M.)。
【0008】
プロアントシアニジンはウィルスに対抗して保護することも出来るのである。試験管内の研究において、ウィッチヘーゼル(ハマメリス・バージニアナ)からのプロアントシアニジンは単純ヘルペス1ウィルス(HSV−1)を殺した(Plant Med.6月号:62(3):241−5(1996),Erdelmeier,C.A.,Cinatl,J.; J.Nat.Prod.7月号:62(7):954−8(1999),DeBruyne,T.,Pieters,L.)。種々のタンニンの抗ウィルス活性について構造と活性の関係を判断するために、もう一つの研究が行われた。化学構造がより縮合されている程、抗ウィルス効果はより大きいことが判明した(Phytochemistry,24:2245−50(1985),Takechi,M.等)。もう一つの研究において、プロアントシアニジンは抗単純ヘルペス活性を有することが示されたが、そこでは単純ヘルペス溶菌斑形成を減少させるのに必要な50%効果量が50%細胞障害量よりも2〜3桁の大きさ低かった(Antiviral Res.,11:285−298(1989),Fukuchi,K.等)。
【0009】
シクロオキシゲナーゼ(COX−1,COX−2)又はプロスタグランジン・エンドパーオキサイドHシンターゼ(PGHS−1,PGHS−2)酵素は、植物製品の抗炎症効果を測定するために広く使用されている(Phytochemistry,28: 2373−2378(1989),Bayer,T.等;及びChem.Pharm.Bull.,40:2452−2457(1992),Goda,Y.等)。COX酵素は、非ステロイド性抗炎症薬に対する薬理上の標的部位である(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,78:2053−2056(1981),Humes,J.L.等;及びProc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,72:4863−4865(1975),Rome,L.H.等)。プロスタグランジン合成に含まれるシクロオキシゲナーゼの二つのイソ酵素は、シクロオキシゲナーゼ1(COX−1)及びシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)である(J.Biol.Chem.,25:251,5575−5579(1976),Hemler,M.等)。選択的COX−2阻害剤が主として抗炎症活性を引起こすと仮定されている(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91:3228−3232(1994),Masferrer,J.L.等)。フラボノイドは、抗炎症物質として、並びに、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害活性に対するそれらの構造的特色のために、今や研究されつつある。
【0010】
アントシアニン及びプロアントシアニジンの上記特性及び利点により、果物、野菜、及び他の植物源からこれらの化合物を抽出することに向かって、多くの努力が提起されている。プロアントシアニジン及びアントシアニンに加えて、植物、果物、及び野菜は又無機塩類、クエン酸又は酒石酸のような普通の有機酸、炭水化物、フラボノイド配糖体、及びカテキンのような他の化合物をも含有する。アントシアニン及びプロアントシアニジンは他の天然に生ずる化合物から分離することがしばしば望ましい。アントシアニンは種々の操作によって植物及び果物から抽出されてきた。アントシアニンを抽出する一つの方法では、双性イオン種を形成する重硫酸塩の添加が使用されている。該抽出物はイオン交換カラムを通過させ、そこで双性イオンアントシアニン付加物が吸着され、吸着されたアントシアニンはアセトン、アルカリ、又はジメチルホルムアミド(DMF)を用いて該樹脂から溶離される。この方法の短所には重硫酸塩の存在が含まれるが、重硫酸塩はアントシアニンの吸着を妨害し、それにより複数のカラム吸着が必要となる。アルカリを用いた溶離はアントシアニンをかなり分解させるが、一方DMFは認められた食品添加物ではないので、アントシアニンを任意の食品製品に添加する前に完全に除去しなければならない。
【0011】
これらのフラボノイド化合物を捕えるために、明確で正確な処理及び分離技術が必要である。Nafisi−Movaghar等は、米国特許第5,912,363号において、植物原料の水性混合物を加熱し、該水溶液を限外濾過膜に通して濾過し比較的大きな分子量のポリマー及び微粒子を除去して抽出されたプロアントシアニジンを含有する透過水を生成し、プロアントシアニジンを放出できるように保持できる吸着剤物質に該透過水を接触させることにより該液体からプロアントシアニジンを分離し、そして該保持されたプロアントシアニジンを極性溶剤で溶離することを特徴とする、植物原料からプロアントシアニジンを抽出精製する方法を記載している。しかしながら、この方法は非常に熱い抽出温度を使用しているので、プロアントシアニジンの分解が起こり得る。更に、限外濾過は最終製品からいくらかの低分子量ポリフェノール物質を除去している。
【0012】
種々の植物原料からプロアントシアニジン及び(又は)アントシアニンを抽出単離する技術において知られている多くの方法は、有毒なそして(又は)環境的に有害な物質を使用している。従って、プロアントシアニジンを単離精製するのに使用できる現在の方法は、効率的な工業的方法まで容易には拡大されないが、それは工業的方法では種々の化学薬品や溶剤の廃棄検討が該方法の全体的実現可能性において重要な役割を演じるからである。更に、プロアントシアニジン及びアントシアニンは、それらの分解に向かう自然な傾向を最小にする方法で、単離しなければならない。
【0013】
従って、栄養補給食品や処方薬に使用されるプロアントシアニジンのようなフェノール化合物を含有する組成物を単離精製する効率的方法であって、費用効率が高く、拡大縮小が可能で、経済的に健全で、有毒な溶剤又は試薬の使用を必要とせず、そして植物原料からフェノール化合物をそれらの分解に向かう傾向を最小にする方法で単離する該効率的方法に対する必要性が依然として存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、フェノール化合物に富む組成物を抽出し、単離し、そして精製する単純化された経済的方法を提供する。より具体的には、本発明の一局面によれば、フェノール化合物に富む組成物を製造する方法において、(a)フェノール化合物を含有する1種以上の植物原料の粗製抽出物であって、フェノール化合物及び極性非フェノール化合物を含む該抽出物を用意し、(b)該粗製抽出物を濾過し、(c)前記フェノール化合物を放出できるように吸着するが前記極性非フェノール化合物は実質的に保持しないポリマー樹脂であって、1個以上の電子吸引性基で置換された芳香族環を含む該ポリマー樹脂に、該粗製抽出物を接触させ、(d)前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄して前記極性非フェノール化合物を溶離し、(e)該樹脂を第一溶離剤で溶離し、前記フェノール化合物を含有する第一画分を収集し、(f)該樹脂を第二溶離剤で溶離し、前記フェノール化合物を含有する第二画分を収集し、そして(g)工程(e)又は工程(f)から該画分を単離して、或いは、工程(e)及び(f)から前記画分を組合せて、前記フェノール化合物に富み前記極性非フェノール化合物が実質的に激減している組成物を得ることを特徴とする、前記製造方法が提供される。適切な置換ポリマー樹脂の例は、臭素化ポリスチレン樹脂及びプロトン化第三級アミン置換スチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂を含むが、それらに限定されない。
【0015】
本発明の更なる局面によれば、プロアントシアニジンに富む組成物を製造する方法において、(a)プロアントシアニジンを含有する1種以上の植物原料を溶剤で抽出して、プロアントシアニジン、アントシアニン、他の小フェノール系誘導体及び非フェノール化合物を含む粗製抽出物を提供し、(b)該粗製抽出物をサイズ除外濾過以外の手段により濾過し、(c)前記アントシアニンを保持し前記プロアントシアニジンを放出できるように吸着するが該極性非フェノール化合物は実質的に保持しない未置換芳香族環を含む樹脂に、該粗製抽出物を接触させ、(d)前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄して該極性非フェノール化合物を溶離し、(e)該樹脂を第一溶離剤で溶離し、前記プロアントシアニジンを含有する第一画分を収集し、(f)該樹脂を第二溶離剤で溶離し、前記プロアントシアニジンを含有する第二画分を収集し、そして(g)工程(e)又は工程(f)から該画分を単離して、或いは、工程(e)及び(f)から前記画分を組合せて、プロアントシアニジンに富み前記極性非フェノール化合物が実質的に激減している組成物を得ることを特徴とする、前記製造方法が提供される。適切な未置換樹脂の例は、ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体を含むが、それらに限定されない。一態様において、該第一及び(又は)第二の溶離は大体室温で行われる。
【0016】
本発明は、フェノール化合物に富む組成物を精留して、非極性プロアントシアニジン、及び極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物から極性プロアントシアニジンを分離する方法を更に提供する。極性プロアントシアニジンは、非極性プロアントシアニジンとは異なる生物活性を有することが判明した。
【0017】
本発明は、本発明の方法により単離された、フェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物を更に提供する。
【0018】
本発明のフェノール化合物に富む組成物をC−18親油性カラムで逆相HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により分析すると、280nm及び510nmで吸収される化合物の溶離ピークの特性セットが観察される。例えば、一態様において、本発明のフェノール化合物に富む組成物は、HPLC分析をここに記載した通りに行うと、実質的に図10〜13に図示されているように、HPLCトレースにおいて60〜75分の範囲で溶離ピークの特性セットを有する特徴がある。
【0019】
本発明のフェノール化合物に富む組成物をIR(赤外線)分光測定により分析すると、実質的に図33〜40に示されているような化合物の特性吸収ピークが観察される。本発明の組成物は栄養補給食品及び処方薬として有用である。例えば、本発明の組成物は抗感染症剤(例えば、抗ウィルス剤、抗UTI(尿路感染症)剤、及び抗菌剤)として、及び抗炎症剤として有用である。
【0020】
本発明に関する前記の及び他の特色、有用性および利点は、本発明の好ましい態様に関する以下のより詳しい説明から、図面に説明されているように、そして特許請求の範囲に特に指摘されているように、明らかとなるであろう。
【0021】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、アントシアニン及びプロアントシアニジンのようなフェノール化合物を自然に含有する植物原料からフェノール化合物に富む組成物を製造する方法を提供する。本発明の方法は、フェノール化合物に富む精製された組成物を更に提供する。用語、「フェノール」及び「フェノール化合物」は、本明細書では交換できるように使用されており、1個以上のフェノール基を有するモノマー状、オリゴマー状、及びポリマー状化合物を含み、従ってアントシアニン、プロアントシアニジン、及びフラボノイドを含むが、それらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用されているように、用語「フェノール化合物に富む組成物」は、1種以上のフェノール化合物に富み、植物、果物、液果、及び野菜の粗製抽出物に存在する極性非フェノール化合物が実質的に激減した量である組成物のことを言う。かかる極性非フェノール化合物の例は、砂糖、セルロース、ペクチン、アミノ酸、蛋白質、核酸、及び水を含むが、それらに限定されない。
【0023】
フェノール化合物に富む組成物は植物原料抽出物又は濃縮物から典型的に製造される。用語「抽出物」は、フェノール化合物を自然に含有する植物源から導き出された物質のことを言い、植物全体から、又は植物の種々な部分、例えば、果実、葉、茎、根、樹皮、等から製造された抽出物を含む。従って、本発明の方法は、抽出物を製造するのに使用される植物の特定の部分に限定されない。本方法は、最も典型的に、植物学的に誘導された植物原料全体又は植物原料の部分、例えば、表皮、皮、果実、実、種子、穀物、群葉、茎、樹皮以外の木質又は繊維質原料、等からの任意のフェノール化合物源を使用することが出来る。従って、本発明の方法は、抽出物を製造するのに使用される植物の特定の部分に限定されない。大部分の有色の果実、果粒、及び野菜はフェノール化合物を含有することが知られている。本発明の方法に使用することが出来る適切なフェノール化合物含有植物原料は、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、黒イチゴ、イチゴ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、クランベリー、サクランボ、赤ラズベリー、黒ラズベリー、ブドウ、ハイビスカスの花、ピーマン、インゲン豆、エンドウ豆、赤キャベツ、紫トウモロコシ、紫サツマイモ、オリーブ、ザクロ、マンゴスチン、リンゴ、サンザシ、西洋スグリ、及びオレンジを含むが、それらに限定されず、該植物原料全体又はそれらの表皮,皮、果実、実、殻又は種子を含むが樹皮は除く。該生の植物原料はそのまま(湿ったまま)使用しても良いし、或いは抽出前に乾燥しても良い。所望により、該生の植物原料は、抽出前に、アントシアニン及びプロアントシアニジンが低い成分を分離除去することにより、事前に分類することが出来る。
【0024】
一態様において、本発明のフェノール化合物に富む組成物は、フェノール化合物を含有する植物原料を抽出精製することにより得られる。フェノール化合物を含有する植物原料は特異で独特な特徴を有すること、即ち、各植物原料中のフェノール化合物の量及びタイプは該特定の植物原料に対して特定的であることが知られている。従って、本発明により或る特定の植物原料から単離されたフェノール化合物に富む組成物は、他の植物原料から単離された組成物とは異なるであろう。
【0025】
図1は、フェノール化合物に富む組成物が製造できる本発明方法の一態様の工程を示すフローチャートである。本発明の方法は、いくつかの処理工程を除去することにより、又該方法に必要な試薬の量を減少させることにより、製造原価及び廃棄物処理問題を減少させて、フェノール化合物に富む組成物を得る経済的で効率的な方法を提供する。
【0026】
抽出段階
【0027】
この相の間に、新鮮な又は乾燥した植物原料からフェノール化合物(例えば、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び他のフェノール化合物)及び極性非フェノール化合物を含む非フェノール化合物を抽出することにより、抽出物が製造される(図1、工程10)。当業者は、バット抽出、パーコレイション、向流抽出、等のような種々の抽出方法が文献から利用できることを認識するであろう。使用される特定の抽出方法は、本発明の方法にとって本質的なものではない。抽出処理前の植物原料の粉砕程度は、抽出溶剤が効果的に接触するのに充分な微粒子表面積を提供する程度であるべきである。
【0028】
図1に示された方法の一態様において、抽出工程(工程10)は、新鮮な又は乾燥した植物原料を適切な量の抽出溶剤に充分な時間入れることにより達成される。抽出処理で用いられる植物原料対抽出溶剤の量は、グラム対ミリリットルの基準で約2:1〜約1:20の間で変化する。一態様において、植物原料対抽出溶剤の比は、約1:4〜1:8の間である。植物原料と溶剤の混合物は、該植物原料に存在するアントシアニンの量に依って、所望により加熱される。即ち、もし植物原料が約0.05%〜2%のアントシアニンを典型的に含有しているならば、該抽出は好ましくは45℃以下で行われる。しかしながら、もし植物原料が0.05%未満のアントシアニンを典型的に含有しているならば、該フェノール化合物の安定性に依って、室温から85℃を越えるまでの温度で該抽出を行うことが出来る。例えば、非常に少しのアントシアニンしか含有していないクランベリーは、クランベリー抽出物に含まれるプロアントシアニジンの安定性に影響することなく、約100℃の温度で抽出することが出来る。
【0029】
一態様において、抽出溶剤には、水中約0〜95%のエタノール及び約0〜3重量%、より好ましくは約0.006〜0.012重量%の適切な酸を有する酸性化アルコール溶液が含まれる。他の態様において、抽出溶剤には、水中約0〜100%のメタノール及び約0〜3重量%の適切な酸を有する酸性化アルコール溶液が含まれる。抽出工程で使用することができる適切な酸は、硫酸(H2SO4)、酢酸(HOAc)、又は塩酸(HCl)を含むが、それらに限定されない。或いは、植物原料を非酸性化抽出溶剤で抽出してから、該抽出物に酸を添加することが出来る。抽出溶剤における酸の存在又は該抽出物は、アントシアニンの分解を最小にする助けをする。従って、一態様において、酸性条件は、図1に説明されているように、本発明方法の大部分の工程を通して維持される。
【0030】
粗製抽出物は、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び他のフェノール系誘導体のようなフェノール化合物の他に、砂糖、ペクチン、植物ステロール、脂肪酸、トリグリセライド、水、及び他の化合物のような望ましくない極性非フェノール物質をも又含有する。粗製抽出物に含有される固体残渣は液体部分から分離され、該固体は上述のように再抽出されるか、又は廃棄される。
【0031】
工程10(図1)の一態様において、抽出処理の前又はその間に、植物原料又は抽出溶剤にペクチナーゼを添加する。或いは、抽出処理が完了してから、粗製抽出物にペクチナーゼを添加することが出来る。ペクチナーゼは、抽出物がカラム精製の間流動性を維持するように、抽出処理中又はその後の任意の点で抽出物がゲル化するのを防ぐのに役立つ。ペクチナーゼの添加量は、抽出物を製造するのに使用される植物原料の量又は抽出物に既に存在しているペクチナーゼの量に部分的に依存する。典型的に、ペクチナーゼは植物原料の約0〜0.12重量%の量で添加される。
【0032】
図1を続けて参照しながら、もし工程10において粗製抽出物を製造するのにエタノール性又はメタノール性抽出溶剤が使用されたら、粗製抽出物は、濃縮の間好ましくは45℃以下の温度を維持しながら、粗製抽出物に含有されるエタノール又はメタノールが6%より少なくなるまで濃縮される(工程20)。濃縮された粗製抽出物を希釈するのに水が添加され、希釈された粗製抽出物は、工程30の前に濃縮され水で再び希釈されるか、又は第二の希釈を行うことなく工程30に直接持ち込まれる。勿論、もし粗製抽出物の製造に抽出溶液として水が使用されたら、工程20は必要ないので、この場合図1に破線矢印により示されているように、工程10からの粗製抽出物は工程30に直接持ち込まれる。
【0033】
濾過段階
【0034】
図1に示された方法の工程30には、工程10又は20からの粗製抽出物を所望により濾過して該粗製抽出物から固体を除去することが含まれる。本発明者達は、工程10に対して説明した抽出条件を調節することにより、工程30における濾過によって粗製抽出物から沈澱する望ましくない非フェノール化合物の量が増加するので、望ましくない物質の一部を吸着段階の前に該抽出物から除去することが出来ることを発見した。本発明方法の濾過工程30では種々の濾過方法を使用することが出来る。工程30で使用することが出来る一濾過方法には、珪藻土又はセルロースのような濾過助剤を測定量で粗製抽出物に添加することが含まれる。粗製抽出物と濾過助剤の混合物は、好ましくは均質になるまで振とう又は撹拌され、濾過助剤床を通して濾過される。該床は酸性水溶液、好ましくは約0.006%の硫酸水溶液で洗浄される。
【0035】
図1の工程30で使用することが出来る他の濾過方法には、サイズ除外濾過以外の濾過手段を用いて粗製抽出物を濾過することが含まれる。例えば、一態様には、砂床又は好ましくはガラスウールで覆われた30ミクロンのポリプロピレン・フィルターを通して粗製抽出物を濾過することが含まれる。なお他の濾過方法には、有利には以下に説明する工程40の精製カラムと一列に並んで置くことができるバグフィルター(ポリエチレン又はポリプロピレンから成る袋形状の布フィルター)を使用することが含まれる。従って、上述のフィルターは、当該技術で溶液から或る大きさの分子を除去するのに使用される限外濾過膜のようなサイズ除外フィルターというよりむしろ固体除去用フィルターであると理解されるべきである。
【0036】
吸着段階
【0037】
図1に示された方法によりフェノール化合物を単離するために、工程30で単離された濾過抽出物は、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を放出できるように吸収するが濾過抽出物に存在していた望ましくない極性非フェノール物質はより少ししか保持しない樹脂と、接触させる。一態様において、該樹脂は1個以上の電子吸引性官能基で置換された1個以上の芳香族環を有するポリマー樹脂である。各芳香族環は1個以上の同様な又は異なる電子吸引性基で置換することができ、該電子吸引性基はハロゲン(F,Cl,Br,I)、プロトン化アルキルアミン(第一級、第二級及び第三級アミンを含む)、スルホン酸、トリハロメチル、COOH,NO2及びCNを含むが、それらに限定されない。或いは、該ポリマーは置換芳香族環および未置換芳香族環の混合物を含むことができる。かかる樹脂は本明細書において「置換樹脂」と言及される。好ましくは、該樹脂は承認食品等級の樹脂である。
【0038】
本発明の目的に適した置換樹脂の一例は、三菱ケミカルアメリカ製のSP−207 (ペンシルベニア州ベラフォンテ、Supelco)のような臭素化ポリスチレン樹脂である。SP−207樹脂は、逆相クロマトグラフィー用途に合わせて設計されたマクロ孔質臭素化スチレンポリマービーズ型樹脂で、約250〜800ミクロンの粒径分布及び約100〜300Åの孔径範囲を有する。芳香族環の臭素化は、ポリスチレン樹脂の疎水性を増加させ、従来のスチレン・ジビニルベンゼン・ポリマー逆相支持体と比較して、疎水性分子に対する増加した選択性を有する樹脂を提供するように設計されている。臭素化ポリスチレン樹脂は、その堅固な結合性の故に、天然製品の精製に典型的には使用されない。
【0039】
かくして、或る従来のポリスチレン樹脂はプロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を非常に堅固に結合するのでかかる化合物をポリスチレン樹脂から溶離するのは非常に難しいことが知られていたので、臭素化ポリスチレン樹脂はフェノール化合物を更に堅固に結合するであろうと予想された。従って、臭素化ポリスチレン樹脂がフェノール化合物の精製に適しているであろうとは予想されなかった。しかしながら、本発明者達は、驚いた事にそして予想外に、臭素化ポリスチレン樹脂は、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を結合する強さが非臭素化ポリスチレン樹脂よりも低いが、望ましくない極性非フェノール化合物からのフェノール化合物の分離を依然として可能にすることを発見したのである。即ち、工程30で単離された濾過抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上で精製することによりフェノール化合物に富む高純度組成物が得られることが発見されたのである。
【0040】
本発明によりフェノール化合物に富む高純度組成物を提供するのに適したもう一つの置換樹脂は、Dowex Optipore SD−2(ミシガン州、ミッドランドのDow Chemical販売)のようなプロトン化形状の第三級アミン置換ポリマーであるが、それは芳香族環上に第三級アミン官能基を有する食品等級のマクロ孔質スチレン・ジビニルベンゼン共重合体である。
【0041】
いかなる理論によっても縛られたくないけれども、臭素及びプロトン化第三級アミンのような置換基は電子吸引性であるので、それらが結合している芳香族環の電子密度を減少させ、この効果はそれらの正に帯電したアントシアニンに対する保持力を減少させるのに充分であろうと考えられる。対照的に、未置換スチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂の芳香族環はより高い電子密度を有するので、アントシアニンの正電荷により強く結合して、アントシアニンがこの樹脂により堅固に保持されるのである。かくして、Dowex Optipore SD−2及び三菱SP207樹脂のような置換樹脂はアントシアニンを放出できるように保持することが出来るが、一方未置換ベンゼン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂はアントシアニンを保持するが放出する確率はより低いのである。
【0042】
なお他の態様において、該樹脂は、本明細書において「未置換芳香族樹脂」又は「未置換ポリマー樹脂」と言及される未置換芳香族環を含むポリマーである。本発明の目的に適した未置換芳香族樹脂の一例は、三菱SP70のようなポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂である。この樹脂は以下の物理的性質、即ち、250mmの平均粒径、700m2/gの比表面積、及び65Åの比孔半径を有する。SP70樹脂は、驚いた事にプロアントシアニジンを放出できるように保持するがアントシアニンを容易には放出しない。これはアントシアニン及びプロアントシアニジンの両方に富む製品を得るのに受け入れられる樹脂であるとは普通には考えられないであろうが、著しい量のアントシアニンは含有しない植物原料、例えば、プラムからプロアントシアニジンに富む製品を単離するには適している。この態様において、抽出物を該樹脂上に供給して該樹脂から望ましい化合物を溶離する工程は、室温で行われる。SP70を用いてプラムからプロアントシアニジンを単離する例は、実施例21で説明する。
【0043】
図1に示された方法の一態様において、工程30で単離された濾過抽出物をSP207のような置換樹脂を詰め込んだカラム上に供給する。好ましくは、該樹脂は、約200〜700ミクロンの粒径分布及び約50〜300Åの孔径範囲を有する(工程40)。工程40は該抽出物をカラム中に詰め込まれた樹脂と接触させるという形でここに記載されているけれども、しかし、かかる記載は単に説明の場合用に過ぎない。このように、該樹脂は本発明方法を行うためにカラム中に詰め込む必要はない。カラム上に供給される濾過抽出物の量は、粗製抽出物を製造するのに用いた植物原料に依存する。例えば、ビルベリーから粗製抽出物を製造する場合、1リットルのSP207樹脂当り、約16〜30グラムのフェノール化合物を供給することが出来る。もう一つの例として、ブルーベリーから粗製抽出物を製造する場合、1リットルのSP207樹脂当り、約15〜45グラムのフェノール化合物を供給することが出来る。エルダーベリーから粗製抽出物を製造する場合、1リットルのSP207樹脂当り、約15〜40グラムのフェノール化合物を供給することが出来る。もし濃縮粗製抽出物中の固体濃度が200グラム/リットルを超えるならば、濾過抽出物は供給する前に水で希釈することが出来る。工程40(図1)におけるカラム装填中に溶離する画分は「画分1」として収集される。
【0044】
濾過粗製抽出物を該樹脂上に供給した後、該吸着剤に対して殆んど又は全く親和性を有さない望ましくない極性非フェノール物質(例えば、砂糖、塩、有機酸、等)は、少なくとも0.003%の酸を含む水性洗浄溶剤,例えば、硫酸水溶液、酢酸水溶液、又は塩酸水溶液を用いて該樹脂から溶離される(図1、工程50)。例えば、該異質物質を溶離するために約3カラム量の0.006%硫酸水溶液又は0.1%酢酸水溶液を使用することが出来る。該溶離液は「画分2」として収集される。
【0045】
図1を続けて参照しながら、該カラムは次に約50〜70%のエタノール/水又は約50〜90%のメタノール/水のような極性有機溶剤を含む第一溶離剤を用いて溶離する(工程60)。工程60では、典型的に約2〜12カラム量の溶離溶剤が使用される。一態様において、第一溶離剤は約0.003%の酸、例えば、硫酸、塩酸、又は酢酸を含有する。溶離工程60の間に収集された画分は、「画分3」として収集される。「画分3」は、粗製抽出物に含有されるフェノール化合物の一部を含有し、特にアントシアニン及び(又は)プロアントシアニジンに富む。
【0046】
UV−VIS(紫外/可視)分光計により測定して、(抽出物に存在している場合)アントシアニンの大部分が該カラムから溶離された後で、アントシアニンを溶離するのに用いた溶剤(工程60)よりも大きなパーセントのエタノール又はメタノールを含む極性有機溶剤を含む第二溶離剤で該カラムを溶離する(図1、工程70)。例えば、第二溶離剤は、約70〜90%のエタノール/水又は約75〜100%のメタノール/水を含むことが出来る。溶離工程70の間に収集される画分は「画分4」として収集される。「画分4」は、粗製抽出物に最初含有されていたフェノール化合物の更なる部分を含有し、典型的にプロアントシアニジンに富む。「画分4」は、溶離工程60の間に単離されなかったアントシアニンを含有することも出来る。
【0047】
温度がフェノール化合物を分解するものでないならば、工程50、60および70の各々は典型的に大体室温で行われるが、それより高い又は低い温度を使用することが出来る。
【0048】
回収方法がフェノール化合物を分解しない温度で行われるならば、「画分3」及び「画分4」中のフェノール化合物の回収は、蒸発、蒸留、凍結乾燥、等のような任意の都合の良い方法で遂行して本発明のフェノール化合物に富む組成物を提供することが出来る。
【0049】
上述の方法は、エルダーベリー、プラム、ブルーベリー、ビルベリー、黒イチゴ、イチゴ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、クランベリー、サクランボ、ラズベリー、ブドウ、ハイビスカスの花、ピーマン、インゲン豆、エンドウ豆、赤キャベツ、紫トウモロコシ、及び紫サツマイモを含むが、それらに限定されない、フェノール化合物を含む種々の植物原料から、栄養補給食品として用いられるフェノール化合物に充分富む組成物を製造するのに適している。一態様において、本発明のフェノール化合物に富む組成物は、少なくとも10〜80%のフェノール化合物を含有する。他の態様において、本組成物は少なくとも12%のフェノール化合物を含有する。なお他の態様において、本組成物は少なくとも25%のフェノール化合物を含有する。
【0050】
植物原料からフェノール化合物、特にプロアントシアニジンを単離するための、変化をもたらす態様において、上述のように製造された植物原料抽出物は、三菱SP70(ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂)のような未置換芳香族樹脂上に供給される。述べたように、未置換芳香族樹脂はプロアントシアニジンを放出できるように保持するがアントシアニンを容易には放出しないので、このタイプの樹脂は、著しい量のアントシアニンを含有しない植物原料、例えば、プラムからプロアントシアニジンに富む製品を単離するのに適するのである。一態様において、該抽出物を該樹脂上に供給して該樹脂から望ましい化合物を溶離する工程は、大体室温で行われる。例えば、(上述のように製造された)粗製の又は濾過された植物抽出物、又は果物濃縮物は、未置換ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体を詰め込んだカラム上に室温で供給される。その後で、該吸着剤に対して殆んど又は全く親和性を有さない望ましくない極性非フェノール物質(例えば、砂糖、塩、有機酸、等)は、少なくとも0.003%の酸を含む水性洗浄溶剤,例えば、硫酸水溶液、酢酸水溶液、又は塩酸水溶液を用いて該樹脂から室温で溶離される。次にフェノール化合物を該カラムから、室温で約50〜70%のエタノール/水又は約50〜90%のメタノール/水のような極性有機溶剤を含む第一溶離剤を用いて溶離して第一溶離剤画分を得、それから室温でより大きなパーセントのエタノール又はメタノールを含む第二溶離剤(例えば、70〜90%のエタノール/水又は75〜100%のメタノール/水)を用いて溶離して第二溶離剤画分を得る。更なる溶離が更なるフェノール化合物を該樹脂から溶離するかどうかを判断するために、所望なら、該第一及び第二溶離画分をフェノール化合物含量について分析することが出来る。述べた通り、未置換ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体はアントシアニンを典型的に保持するので、プロアントシアニジンに富む組成物を単離することが目的である場合、この態様によりプロアントシアニジンからアントシアニンを分離するために、溶離条件を調整する必要はない。
【0051】
プロアントシアニジン分離段階
【0052】
置換樹脂から本明細書で説明されたように単離されたフェノール化合物に富む組成物、特に「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せから単離された組成物は、図12及び13に示されたような特性ピークを有する同様のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)クロマトグラムを生ずることが発見された。例えば、フェノール化合物を含有する植物原料から製造され、図1に説明された方法により臭素化ポリスチレン樹脂を用いて単離され、そして「画分4」から単離されたフェノール化合物に富むあらゆる組成物のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)クロマトグラムは、エルダーベリーから単離された「画分4」組成物に対する図12及び13に示されたクロマトグラムにおけるピークと同様な60〜75分の特性ピークを含有することが分った。「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せから単離され、本発明により製造された本発明のフェノール化合物に富む組成物は、下記に詳細に説明するように、抗感染性(例えば、抗ウィルス性)及び抗炎症性活性を有する。
【0053】
本発明のフェノール化合物に富む組成物をIR(赤外線)分光測定により分析すると、フェノール化合物からの特性ピークがやはり観察される。より具体的に、本発明のフェノール化合物に富む組成物は、実質的に図33〜40に示されたIR吸収ピークを有する特徴がある。
【0054】
フェノール化合物に富む組成物(例えば、「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せ)は、実施例11で詳細に説明されるように、又図15に示されているように、C−18カラムのような逆相親油性カラム上で低圧真空液体クロマトグラフィー(VLC)を用いて、「極性」プロアントシアニジンに富む画分および「非極性」プロアントシアニジンに富む画分に更に分割することが出来ることが又発見された。例えば、エルダーベリー抽出物から単離された「画分3」組成物を水に溶解しC−18カラム上に供給した。該カラムを100%の水で洗浄して、C−18媒体によって強くは保持されない物質を収集した。流過画分及び洗浄画分は、「画分5」として組合せたが、より極性のプロアントシアニジンを含有していた。かくして、「画分5」は「極性」プロアントシアニジンに富む画分とここで言及される(図15)。エルダーベリーからの極性プロアントシアニジンに富む「画分5」は典型的にいくぶん紫色をしているので、この画分におけるポリマーは該オリゴマー状プロアントシアニジン鎖内に少なくとも1個以上のカチオン性アントシアニジン副単位を含有していることが示唆される。次に該VLCカラムを30〜100%のメタノールで溶離して、該低圧カラムに使用したC−18媒体によってより強く保持されているプロアントシアニジンを収集した。複数のメタノール画分は、「画分6」として組合せたが、「画分5」で収集されたものより極性の低いプロアントシアニジンを含有していた。かくして、「画分6」は「非極性」プロアントシアニジンに富む画分とここで言及される(図15)。非極性プロアントシアニジンに富む「画分6」は例えあるとしても少ししか色を有していないので、この画分におけるオリゴマー状プロアントシアニジン鎖はカチオン性アントシアニジン副単位を含有しないことが示唆される。
【0055】
かくして、本発明は「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せに含有される非極性プロアントシアニジンから極性プロアントシアニジンを都合よく分離する方法を提供する。極性プロアントシアニジンに富む「画分5」及び非極性プロアントシアニジンに富む「画分6」は、粗製濾過水性抽出物(図1、工程30)をC−18 VLCカラム上に供給することにより直接に単離することが出来ることが又分った。単離されたプロアントシアニジンに富む画分5及び6を夫々説明するために使用する場合、用語「極性」及び「非極性」は画分5及び6におけるプロアントシアニジンの極性のことをお互いに比較して、即ち、特定の留分がC−18 VLCカラム上でどのように挙動するかを言及していると理解されるべきである。本発明の極性プロアントシアニジンに富む組成物(画分5)及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物(画分6)は、実施例で論議されるように、実質的に減少した量のアントシアニンを有する。
【0056】
極性及び非極性プロアントシアニジンに富む画分(夫々「画分5」及び「画分6」)は異なる生物活性を有することが分ったが、該非極性画分は、実施例17で説明されるように、或る試験において該極性画分よりも大きな抗ウィルス活性を有することが分った。
【0057】
極性及び非極性プロアントシアニジンに富む画分5及び6の各々は夫々、図15に示されているように、又実施例12〜14で説明されるように、更に精製することが出来る。例えば、VLC分離中に単離された極性プロアントシアニジンに富む「画分5」は、極性プロアントシアニジンを放出できるように保持する半分離用C−18 HPLCカラム上に供給することが出来る。次に該カラムを、増加するパーセントのアセトニトリル、メタノール、又はエタノールを含む溶剤グラディエントで洗浄してアントシアニン及び他の極性化合物の大部分を溶離し、それから少なくとも60%のアセトニトリル、メタノール、又はエタノールで洗浄して精製極性プロアントシアニジンを含有する「画分7」を溶離する(図15)。更に、VLC分離中に単離された非極性プロアントシアニジンに富む「画分6」は、ゲル濾過又は逆相半分離用HPLCにより更に精製することが出来る。サイズ除外又はゲル浸透クロマトグラフィーとも呼ばれるゲル濾過は、分子をそれらのサイズにより分離する液体クロマトグラフィー技術である。このタイプの媒体は比較的小さな化合物を保持するが、一方比較的大きな非極性プロアントシアニジンに富む「画分8」(図15)は流過溶離剤と共に溶離する。本発明の精製された極性及び非極性プロアントシアニジンに富む画分7及び8は夫々、実質的に減少した量のアントシアニン及びフラボノイドを有し、又実質的に減少した量の極性非フェノール化合物を有する。更に、精製された極性及び非極性プロアントシアニジンに富む「画分7」及び「画分8」は夫々異なる生物活性を有することが観察された。
【0058】
用途
【0059】
本発明の、フェノール化合物に富む組成物(「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せ)、極性プロアントシアニジンに富む組成物(画分5及び7)、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物(画分6及び8)は、様々な生物活性を有する。例えば、本発明の組成物は、実施例15及び16で説明されるように、抗ウィルス活性を有することが分った。本発明の組成物は、インフルエンザA,B,及びC、パラインフルエンザ・ウィルス、アデノウィルス1型、パンタトロウィルスA、単純ヘルペスウィルスI及びII、ライノウィルス、西ナイルウィルス、水痘・帯状疱疹ウィルス、及びはしかウィルスを含むがそれらに限定されないウィルスからのウィルス感染により誘発された又は併発した病気を予防及び(又は)治療するために、単独で又は他の抗ウィルス剤と組合せて使用することが出来る。従って、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、治療的有効量の本発明組成物を投与することにより、かかるウィルスにより誘発される病気に対する予防的及び治療的応用において有利に使用することが出来る。
【0060】
プロアントシアニジンは、それらのシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害活性により抗炎症物質としても研究されている。抗炎症物質はCOX−1阻害よりもむしろCOX−2阻害に対して選択性があることが望ましいと示されている。従って、本発明の他の局面には、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、又は非極性プロアントシアニジンに富む組成物を治療的有効量投与することを特徴とする、哺乳類における炎症性疾病を治療する方法が含まれる。例えば、ブルーベリー抽出物の精製中に画分3及び4として単離されたフェノール化合物に富む組成物は、高いCOX−2/COX−1阻害選択性を有し、108μg/mLのIC50(50%抑制濃度)を有することが分った(実施例17)。本発明の組成物は、炎症性反応を予防又は阻害するために、単独で又は他の抗炎症剤と組合せて使用することが出来る。かかる反応は、骨関節炎、アレルギー性鼻炎、循環器病、上気道疾患、創傷感染、神経炎、及び肝炎を含むが、それらに限定されない状態又は病気により引起こされ得る。
【0061】
クランベリー及びブルーベリーから単離されたプロアントシアニジンは、細菌が膀胱壁に付着するのを阻害し、それにより尿路感染症のような疾病の可能性を減少させることが知られている(New England J.Medicine,339:1085−1086 (1998),Howell,A.B.等)。プロアントシアニジンは細菌の付着を阻害することによりそれらの効果を発揮することが前提とされている。従って、本発明の他の局面には、尿生殖器感染症に伴う症状を予防し、減少させ、又は除去するのに充分な量で、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、又は非極性プロアントシアニジンに富む組成物を有効量投与することを特徴とする、哺乳類における尿生殖器感染症を予防又は治療する方法が含まれる。本発明の組成物は単独で又は他の抗菌剤と組合せて使用することが出来る。
【0062】
プロアントシアニジンは強力な抗酸化剤であることが更に知られている。例えば、プロアントシアニジンの抗酸化剤効果は循環系及び免疫系に対するそれらの多くの利点を説明すると推測される。従って、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、食事サプリメント(例えば、食事抗酸化剤)として、又人間及び哺乳類における疾患の治療に使用することが出来るのである。例えば、本発明の組成物は、視力を改善するために、又循環器系疾患、糖尿病,及び潰瘍を治療するために使用することが出来る。
【0063】
乾燥プラムは肉製品における病原体の成長を抑制する有効な微生物剤として役に立つことが出来ることが知られている。例えば、D.Fung(カンサス州大学)は、乾燥プラムピューレをひき肉製品における微生物阻害剤として試験した。3重量%レベルの乾燥プラムピューレを用いて、ひき肉における大腸菌やサルモネラ菌のような毒性病原菌に対する99%の殺菌割合が報告された(次のURL:http://www.mediarelations.ksu.eduで入手できる2002年の新聞発表)。フェノール化合物が部分的にこの有益な効果を引起こすと考えられる。従って、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、肉製品における病原菌の成長を妨げる肉添加剤として使用することが出来る。
【0064】
本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、アラビノガラクタン、エキナシア種、ビタミン、ミネラル、多糖類、及びレンゲ属を含むが、それらに限定されない免疫活性剤と組合わせることも出来る。
【0065】
本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、緑茶抽出物、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、及びフラボノイドを含むが、それらに限定されない抗変異原性剤と組合わせることも出来る。
【0066】
本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、錠剤、カプセル、液体、又はチンキ剤として配合することが出来る。本発明により組成物を配合する際、広い範囲の付形剤を使用することが出来るが、それらの性質は勿論該組成物の意図した適用方法に依存するであろう。付形剤の例には、防腐剤、担体、緩衝剤、増粘剤、沈澱防止剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、及び香料添加剤、特に、カルボキシビニルポリマー、プロピレングリコール、エチルアルコール、水、セチルアルコール、飽和野菜トリグリセライド、脂肪酸エステル又はプロピレングリコール、トリエタノールアミン、グリセロール、澱粉、ソルビトール、カルボキシメチルセルロース、ラウリルサルフェート、燐酸二カルシウム、レシチン、等が含まれる。
【実施例1】
【0067】
水抽出剤を用いたビルベリーの精製
1kgの乾燥ビルベリー原料に対して3回の抽出を行った。最初の抽出は6Lの水を用い、他の2回の抽出は4Lの水を用いた。すべての抽出剤は濃硫酸で5g/Lの酸濃度まで酸性化した。粗製抽出物中にアントシアニンが大体88%回収された。正確に2.3Lの粗製抽出物を、ガラスウール層が上に乗せられた30ミクロンのプロピレンフィルターに通して濾過した。該ガラスウールは一度交換し、該フィルターを脱イオン水ですすいだ。濾液の最終体積は2.43Lで、濾液中にアントシアニンが90.9%回収された。
【0068】
カラムに臭素化ポリスチレン樹脂SP−207(Supelco; Belfonte,PA)を詰め込み、0.1%酢酸で平衡させた。該カラムに2.24Lの該濾液を29.8g/Lの固体濃度で2.2mL/分の流速を用いて装填した。装填流出は装填されたアントシアニンの0.9%より少なく、該装填及び最初の2回のカラム洗浄におけるアントシアニンの全損失は4.07%であった。該溶離工程でアントシアニンが88.4%回収され、アントシアニンの物質収支は92.5%であった。2,3百ミリリットルの溶離生成物を回転蒸発器の上で蒸発乾固させてから凍結乾燥させた。乾燥生成物の最終分析は、標準分光光度定量により、塩化デルフィニジン標準物質に対して535nmにおける吸収(1.0cmにおいて102吸収単位/g/L)であった。得られた組成物は重量で43%の全アントシアニンを含有していた。
【実施例2】
【0069】
70%エタノール抽出剤を用いたビルベリーの精製
2.0%のアントシアニンが分析された乾燥ビルベリー原料(667g)を、容量で3%の硫酸を含有する70%のエタノール/水を用いて、パーコレーションにより抽出した。粗製抽出物中の固体は、3.9重量%の全アントシアニンを含有していた。1リットルの最初の抽出容量を100mLの脱イオン水と混合し、真空で約460mLまで蒸発させて該アルコールを除去した。該混合物に脱イオン水(300mL)を添加し、更に170mLの液体を蒸発させた。脱イオン水(210mL)を添加して最終容量を800mLとした。該水性混合物に150gのCelite 512(固体1グラム当り0.5〜0.9gのCelite)を添加した。該混合物を均質になるまで振蕩した。Celite/抽出物を真空下で30gの湿ったCelite 512床上に注いだ。濾過完了後、該床を1.20Lの1%硫酸水溶液で200mLずつ洗浄した。濾液量は1855mLであった。該濾液に145mLの脱イオン水を加えて2.0Lの最終容量にした。
【0070】
該濾液の一部(695mL)を、170mLの臭素化ポリスチレン樹脂(SP−207)が装填されたカラム上に2.2mL/分(1.3mL/分/cm2)で供給した。これにより、1リットルのカラム媒体当り17gのアントシアニンという装填値が得られた。該カラムを、1カラム容量の0.1%酢酸水溶液に続いて2.5カラム容量の0.1%HOAc/10%エタノール/90%水で洗浄した。次に該カラムを10カラム容量の70%エタノール/水で溶離し、該70%エタノール画分を一緒にして60℃、50mbarにおいて真空で濃縮して光る暗色乾燥非晶質固体(「画分3」)が得られた。乾燥生成物の最終分析は、標準分光光度定量により、塩化デルフィニジン標準物質に対して535nmにおける吸収(1.0cmにおいて102吸収単位/g/L)であった。得られた組成物は重量で32%の全アントシアニンを含有していた。
【0071】
図2及び3は、本発明の方法によりビルベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の、510nm及び280nm夫々におけるHPLCクロマトグラムである。
【0072】
表1は、典型的なアントシアニンに富む組成物(「画分3」)中の各アントシアニンのパーセントを取りまとめたものである。
表1.ビルベリーの「画分3」に存在するアントシアニンの同定及び含量
【0073】
【表1】
【実施例3】
【0074】
ブルーベリーからのフェノール化合物に富む組成物
10Lの丸底フラスコにおいて、940gの乾燥粉砕ブルーベリー(イリノイ州モメンス、Van Drunen Future Ceuticals)に4.0リットルの抽出溶剤(70%エタノール中1.0w/v%硫酸)を添加した。該フラスコを40℃に維持された恒温水槽中で2時間回転させた。該混合物をかきまぜ、真空下150gのCelite 512床に通して濾過した。ブルーベリーのバイオマスケークを500mLの抽出溶剤で洗浄した。該ケークを該Celite床から注意深く掻き取り、丸底フラスコ中に移し、上述の操作に従って再抽出した。次に第三の抽出を行った。三つの粗製抽出物を一緒にした。
【0075】
一緒にした抽出物の一部(2.00L)を40℃の水槽温度で真空下175mLまで濃縮した。蒸発させた抽出物を脱イオン水で希釈して675mLのブルーベリー粗製抽出物が得られた。該粗製抽出物を、170mLの臭素化ポリスチレン樹脂(SP−207)が装填され、前以て調整され(即ち、アセトンで洗浄され)平衡させられたカラム上に濾過せずに供給した。該カラムを、0.1%酢酸で、そして0.1%HOAc/10%エタノールで洗浄した。アントシアニンは70%エタノールで溶離された。生成物プールを60℃、50mbarで真空下蒸発させた。最終生成物分析は、標準分光光度定量により、塩化デルフィニジン標準物質に対して535nmにおける吸収(1.0cmにおいて102吸収単位/g/L)であった。精製されたブルーベリー組成物(「画分3」)は重量で18%の全アントシアニンを含有し、アントシアニンの全回収は95%であった。
【0076】
図4及び5は、本発明の方法によりブルーベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の、510nm及び280nm夫々におけるHPLCクロマトグラムである。
【実施例4】
【0077】
ブルーベリーからのより高純度のフェノール化合物に富む組成物
この実施例では、実施例3に記載したように製造されたブルーベリーを原料とし全アントシアニンが18重量%であるフェノール化合物に富む組成物の一部を、該組成物の純度を増加させるために、強い又は弱いアニオン交換樹脂に通過させて残留酸を除去した。
【0078】
該フェノール化合物に富むブルーベリー組成物の約1.0gを、50mLの水に溶解し、強アニオン交換樹脂(ペンシルベニア州モントゴメリー、TosoHaas,Super Q−650 M)又は弱アニオン交換樹脂(Whatman,DEM−63)を含有する9mLのカラムに通過させた。該カラムを30〜35mLの水で洗浄した。該強アニオン交換樹脂カラムの場合は、該樹脂を25mLの20%エタノールに続いて40%エタノールで更に洗浄した。該強アニオン交換カラムから単離した組成物は28.3重量%の全アントシアニンを含有し、該回収は88%であった。該弱アニオン交換カラムから単離した組成物は30.6重量%の全アントシアニンを含有し、該回収は88%であった。
【実施例5】
【0079】
ペクチナーゼ処理を用いたビルベリーからのフェノール化合物に富む組成物
1024gの冷凍ビルベリーに温水(548g)を添加した。該混合物をミキサーでピューレにしてから40℃に加熱した。次に150μLのペクチナーゼ(ニューヨーク州ノリッジ、Quest International,Quest Super 7x)を添加して40℃で30分攪拌処理した。該スラリーに約4mLの濃硫酸を添加して0.5%(w/w)の酸濃度を達成した。次に該混合物を45℃に加熱して非常にゆっくり攪拌しながら15分間抽出した。Dicalite(164g)を該抽出混合物に添加してから、それを26gのDicalite床を越えて濾過した。得られたケークを400mLの0.1%温硫酸水溶液で3回洗浄した。この抽出物を25μmの加圧フィルターに通して濾過した。濾過抽出物のすべて(2.4L)を170mLのSP−207カラム上に装填した。装填後、該カラムを0.1%酢酸水溶液で洗浄してから70%エタノール水溶液で溶離して「画分3」が提供された。「画分3」を蒸発乾固させてから凍結乾燥器上に48時間置いた。最終生成物は、535nmにおける吸収の標準分光光度定量により全アントシアニンを分析した。該フェノール化合物に富む組成物は、重量で40%の全アントシアニンを含有していた。アントシアニンの全回収は大体79%であった。
【実施例6】
【0080】
エルダーベリー・バイオマス粉末からのフェノール化合物に富む組成物
1.88%のアントシアニンおよび5.31%のフェノール化合物が分析された乾燥エルダーベリー・バイオマス粉末(カリフォルニア州ロングビーチ、BI Nutraceuticals)約190gを1000gの温水に添加した。該溶液を充分に混合して45℃の湯浴に移した。該溶液に190μLのペクチナーゼ(Super 7X,Quest)を添加してから、該混合物を30分間放置した。該混合物を、2.5mLの濃H2SO4を用いて2.5のpHまで酸性化してから、10分間静かに混合した。この酸性化混合物に164gのCeliteを添加してから、該酸性化混合物を26gのCelite床を越えて濾過した。該フィルターケークを400mLの酸性化温水で3回、全体として1200mLで洗浄した。次に該濾液を25μmの加圧フィルターに通して濾過しエルダーベリー抽出物が得られた。
【0081】
該エルダーベリー抽出物を、170mLのSP−207(三菱ケミカル)臭素化ポリスチレンカラム上に2.3mL/分(1.3mL/分/cm2)の速度で装填した。装填中該カラムから離れて収集された溶離液は、「画分1」として収集された。装填後、該カラムを3カラム容量(3x170mL)の0.006%硫酸水溶液で洗浄した。この洗浄からの溶離液は「画分2」として収集された。次に該カラムを8〜10カラム容量の70%エタノール水溶液で溶離し、それらは「画分3」として収集された。次に該カラムを3カラム容量の90%エタノール水溶液で洗浄し、それらは「画分4」として収集された。該カラムを8カラム容量の0.006%硫酸水溶液で再平衡化した。画分3及び4を蒸発乾固させてから乾燥するまで凍結乾燥させた。臭素化ポリスチレン樹脂からの溶離の間に単離されたいくつかの画分を、実施例7及び8で記載されるように、アントシアニン及びフェノール化合物について分析した。
表2.エルダーベリー画分中のアントシアニン及びポリフェノールの分析と回収
【0082】
【表2】
【0083】
図6〜13は、濾過されたエルダーベリー抽出物の、及びカラム精製の間に単離されたいくつかの画分のHPLCクロマトグラムを示す。使用されたHPLC条件は実施例9に記載される条件である。
【0084】
図6及び7は、濾過されたエルダーベリー抽出物の、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。
【0085】
図8及び9は、濾過されたエルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上にカラム装填している間に収集された「画分1」の、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。
【0086】
図10及び11は、濾過されたエルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂から70%エタノールの使用によりカラム溶離している間に収集された「画分3」の、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。
【0087】
図12及び13は、濾過されたエルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂から90%エタノールの使用によりカラム溶離している間に収集された「画分4」の、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。
【0088】
本発明のフェノール化合物に富む組成物は、実質的に図10〜13に示された標準的HPLCクロマトグラムにおいて60〜75分の範囲にピークを示す化合物を含む。
【実施例7】
【0089】
アントシアニンの定量的測定
この方法は、外部標準を用いたUV−VIS(紫外・可視)分光光度測定法により、種々のバイオマス試料及び乾燥され精製されたフェノール化合物に富む組成物中の全アントシアニンを定量するのに用いられる。試験される各試料(例えば、濃縮されたフェノール化合物に富む組成物、乾燥されたバイオマス、又は新鮮/冷凍バイオマス)は、以下に説明されるように異なる調整操作を必要とする。
【0090】
フェノール化合物に富む組成物: 精製されたフェノール化合物に富む組成物を100mL容量のフラスコ中に75〜100mg正確に秤量し、2%HCl/MeOHで希釈して一杯にする。良く混合してから、この試料の0.40〜1.6mLを2%のHCl/MeOHで希釈して10.0mLとする。
【0091】
乾燥バイオマス: コーヒー豆ひき器中に、該豆ひき器の刃を覆うのに充分な量の乾燥バイオマスを入れる。約1分間又は微細に粉砕されるまで粉砕する。或いは、乳鉢及び乳棒を用いて該原料を微細に粉砕する。100mL容量のフラスコ中に微細に粉砕されたバイオマスを約50〜100mg正確に秤量してから、約80mLの2%HCl/MeOHを添加し蓋をする。該フラスコを、50℃の油浴又は強制空気オーブンに30〜60分間入れ、30秒静かに振蕩させてから、5分間音波破砕する。該溶液を室温まで冷却させる。2%HCl/MeOHを該印まで添加し混合する。該試料の一部を0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してバイアル中に濾過する。該濾液の1.0mLを2%HCl/MeOHで10.0mLまで希釈する。該希釈係数は10mL/1mL、即ち10となるであろう。
【0092】
冷凍/新鮮バイオマス: 1000mLのポリプロピレンビーカー中に冷凍/新鮮バイオマスを400.0g秤量する。該ビーカー中に400gの沸騰直前の水を添加する。機械的ミキサー(Waring等)を用いて裏ごしする。口径の広いポリエチレンスポイトを用いて、0.5〜1.5gの代表的試料を取除いて、風袋が計量された100mL容量のフラスコ中に移す。80mLの2%HCl/MeOHを添加し蓋をする。該フラスコを、50℃の油浴又は強制空気オーブンに60〜120分間入れ、30秒静かに振蕩させてから、5分間音波破砕する。該溶液を室温まで冷却させる。2%HCl/MeOHを該印まで添加し混合する。一部を0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してバイアル中に濾過する。該希釈係数は、バイオマスと水の合計重量をバイオマスの重量で割った値となるであろう[例えば、(400g+400g)/400g=2]。
【0093】
乾燥損失: 上記試料中の全アントシアニン含量を得る計算は、該原料の含水量、即ち、%LOD(乾燥損失)の測定を必要とする。%LODを測定するため、正確に秤量されたアルミニウム・ウェーパン中に0.5〜3.0gの試料を移して均一に分配し、該重量を0.1mgに近似した正確さで記録する。該試料を105℃±3℃のオーブンに2時間(2時間15分を超えない)入れる。該試料が室温に冷えてから(乾燥器を使用しても良い)、該試料を秤量して該重量を0.1mgに近似した正確さで記録する。%LODは式1を用いて0.1%に近似した正確さで決定される。
【0094】
【数1】
[式中、%LOD=乾燥損失パーセント、WD=受皿及び試料の乾燥重量(g)、WP=受皿の重量(g)、そしてWSP=受皿及び試料の初期重量(g)。]
【0095】
分析操作: UV/VIS分光光度計を、可視ランプをオンにして光度測定モードで読めるようにセットする。該計器を、1cm光路長のガラス、石英、又は使い捨てポリスチレンのセル中に2%HCl/MeOHを用いて、535nmでゼロ目盛に合せる。同じか又は整合させた1cmのセル中で、準備した試料の吸収を535nmで測定する。
【0096】
計算: 全アントシアニンの濃度は式2に示されたように計算される。
【0097】
【数2】
[式中、CANTHOS=試料中全アントシアニンの濃度(mg/mL)、ABSSAMP=535nmにおける試料の吸収、DF=下記に説明される希釈係数、そしてES=塩化シアニジン(サクランボ、クランベリー、エルダーベリー、及びプラムに対して、101.1)又は塩化デルフィニジン(ビルベリー及びブルーベリーに対して、102.0)の適切な外部標準の吸収率(1cmのセルを用いた2%HCl/MeOH中535nmにおける1mg/mL溶液の吸収)。乾燥バイオマスに対する希釈係数(DF)は1であり、新鮮/冷凍バイオマスに対する希釈係数はバイオマスと水の合計重量をバイオマスの重量で割った値[例えば、(400g+400g)/400g]である。精製された抽出物に対する希釈係数は、最終希釈容量を抽出物溶液の容量で割った値(例えば、10mL/0.40mL)である。]
【0098】
全アントシアニンパーセントは式3に示されるように計算される。
【0099】
【数3】
[式中、%Anthos=試料中全アントシアニンのパーセント、CANTHOS=全アントシアニンの濃度(mg/mL)、Volume=試料調製の初期容量(通常100mL)、WS=該調製に用いたバイオマス又はフェノール化合物に富む組成物の重量(通常、乾燥バイオマスの場合50〜100mg、新鮮/冷凍バイオマスの場合500〜1500mg、又は精製抽出物の場合75〜100mg)、そしてSLOD=乾燥或いは新鮮バイオマス又は精製抽出物に対して(100−%LOD)/100(新鮮又は冷凍バイオマスに対してこの係数はあてはまらない)]。
【実施例8】
【0100】
全ポリフェノールの定量的測定
この方法は、外部標準として没食子酸を用いたUV−VIS(紫外・可視)分光光度測定法により、種々のバイオマス試料及び乾燥され精製されたフェノール化合物に富む組成物中の全ポリフェノールを定量的に測定するのに用いられる。
【0101】
該操作は20%Na2CO3溶液及び2%HCl/MeOHを必要とする。該Na2CO3溶液を調製するには、約350mLの脱イオン水を含有する500mL容量のフラスコ中に約100gのNa2CO3を秤量する。10分間音波破砕し振蕩して混合する。脱イオン水を用いて一杯になるまで希釈し、均質になるまで攪拌する。2%のHCl/MeOHを調製するには、500mL容量のフラスコ中に約350mLのメタノールを移す。該フラスコ中に10.0mLのHClをピペットで入れる。メタノールを用いて一杯になるまで希釈し、均質になるまで混合する。
【0102】
没食子酸ストック標準を調整するには、100mL容量のフラスコ中に100mgの没食子酸(ミズーリ州セントルイス、Sigma)を正確に秤量する。70mLの脱イオン水を添加し、溶解するまで5分間音波破砕する。脱イオン水を用いて一杯になるまで希釈し、蓋をして均質になるまで混合する。
【0103】
試験する各試料(例えば、フェノール化合物に富む組成物、乾燥バイオマス、又は新鮮/冷凍バイオマス)は、異なる調製操作を必要とし、実施例7に説明したように調製した。
【0104】
乾燥損失: 上記試料中の全ポリフェノール含量を得る計算は、該原料の含水量、即ち、%LOD(乾燥損失)の測定を必要とする。%LODを測定するため、正確に秤量されたアルミニウム・ウェーパン中に0.5〜3.0gの試料を移して均一に分配し、該重量を0.1mgに近似した正確さで記録する。該試料を105℃±3℃のオーブンに2時間(2時間15分を超えない)入れる。該試料が室温に冷えてから(乾燥器を使用しても良い)、該試料を秤量して該重量を0.1mgに近似した正確さで記録する。%LODは上記式1を用いて0.1%に近似した正確さで決定される。
【0105】
比色発現操作: きれいな100mL容量のフラスコを試薬ブランクとして役立つように脇に置く。2個の100mL容量のフラスコに「高」標準及び「低」標準とラベルを付ける。没食子酸ストック溶液を用いて、ピペットで800mLを「高」標準フラスコ中に入れ、200mLを「低」標準フラスコ中に入れる。乾燥バイオマス試料に対しては、該濾過溶液の20mLを100mL容量のフラスコ中にピペットで入れる。新鮮/冷凍バイオマス試料に対しては、該濾過溶液の10mLを100mL容量のフラスコ中にピペットで入れる。精製された試料に対しては、0.80〜2.0mLを100mL容量のフラスコ中にピペットで入れる。上記で調製したフラスコ(試薬ブランクを含む)の各々に以下のものを添加する。
1.全容量を約65mLにするのに充分な脱イオン水を各フラスコに添加する。
2.FCフェノール試薬(Sigma)の5.0mLを各フラスコ中にピペットで入れ、静かに攪拌する。
3.20%Na2CO3溶液の15±2mLを各フラスコ中にピペットで入れる。
4.各フラスコ中の溶液を静かにかきまぜながら混合し、脱イオン水で一杯になるまで希釈し、蓋をして逆さにする。
5.それらの溶液を少なくとも3時間しかし4時間以下発色させる。
6.濾過を必要とする試料の10mL分割量を0.45μmのPVDFシリンジフィルターに通して適切な容器中に濾過する。
【0106】
分析操作: UV/VIS分光光度計を、可視ランプをオンにして光度測定モードで読めるようにセットする。1cm光路長のガラス、石英、又は使い捨てポリスチレンのセル中で分析を行う。該計器を、試薬ブランクを用いて、760nmでゼロ目盛に合せる。同じか又は整合させた1cmのセル中で、各溶液の吸収を760nmで測定する。
【0107】
計算: 全ポリフェノールの濃度を計算するには、最初に没食子酸の吸収率を測定しなければならない。この値は式4に記載されているように得られる。
【0108】
【数4】
[式中、ER=吸収単位/g/Lで表した760nmにおける参照標準(没食子酸)の吸収率、AR=参照標準溶液の吸収、CR=ストック標準溶液中没食子酸の濃度、DR=没食子酸標準に対する希釈係数(「高」標準に対する125又は「低」標準に対する500)、そしてELOD=パーセントとしての没食子酸固体の乾燥損失。]
【0109】
下記の式5に使用するため、「高」標準及び「低」標準に対する吸収率を平均化する。発色試料調製液中の全ポリフェノールの濃度は式5に示されているように計算される。
【0110】
【数5】
[式中、CP=FC試料調製液中全ポリフェノールの濃度(mg/mL)、AS=FC試料調製液の吸収、DFC=試料希釈係数(DFは典型的に、乾燥バイオマスに対し5、新鮮/冷凍バイオマスに対し10、そして精製されたフェノール化合物に富む組成物に対し50〜125である)、そしてER=没食子酸標準の平均吸収率。]
【0111】
全ポリフェノールパーセントは式6に示されているように計算される。
【0112】
【数6】
[式中、%P=試料中全ポリフェノールのパーセント、CP=全ポリフェノールの濃度(mg/mL)、VS=初期試料調製液の容量(通常100mL)、WS=初期試料調製液に用いたバイオマス又は精製組成物の重量(通常、乾燥バイオマスに対しては50〜100mg、新鮮/冷凍バイオマスに対しては500〜1500mg、そして精製抽出物に対しては75〜100mg)、DS=初期試料希釈係数(DSは、乾燥バイオマスに対し1、新鮮/冷凍バイオマスに対し2、又は精製抽出物に対し1である)、そしてSLOD=バイオマス又は精製抽出物に対して(100−%LOD)/100。新鮮又は冷凍バイオマスに対してこの係数はあてはまらない。]
【実施例9】
【0113】
HPLC定性分析
この方法は、種々のバイオマス及び精製されたフェノール化合物に富む組成物中の化合物を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により同定するのに使用される。各タイプの試料は、下記に説明するように異なる調製操作を必要とする。
【0114】
乾燥バイオマス: 乾燥バイオマスは、まだ粉末化されてないならば、ウィリーミルを用いて1mmスクリーンに通して粉砕する。適切な大きさにした円筒濾紙及びソックスレー抽出器を使用して、約12gの粉末化バイオマスを円筒濾紙中に秤量し、200mLのメタノールを用いて抽出する。少なくとも20サイクル又は抽出溶剤が澄明になるまで抽出する。該抽出液を250mL容量のフラスコにメタノールを用いて定量的に移し、一杯になるまで希釈して混合する。該抽出液を0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してHPLCバイアル中に濾過する。
【0115】
冷凍/新鮮バイオマス: 1000mLのポリプロピレンビーカー中に冷凍/新鮮バイオマスを400g秤量する。該ビーカー中に400gの沸騰直前の水を添加する。機械的ミキサー(Waring等)を用いて裏ごしする。口径の広いポリエチレンスポイトを用いて、0.5〜1.5gの代表的試料を取除いて、風袋が計量された100mL容量のフラスコ中に移す。80mLのMeOHを添加し、蓋をして50℃で30分間加熱する。該溶液を室温まで冷却させ、メタノールで一杯になるまで調整してから、均質になるまで音波破砕する。一部を0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してHPLCバイアル中に濾過する。
【0116】
精製されたフェノール化合物に富む組成物: 該フェノール化合物に富む組成物をガラスのシンチレーション・バイアル中に50〜100mg正確に秤量し、10.0mLの50%MeOH/H2Oを添加する。5分間音波破砕する。0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してHPLCバイアル中に濾過する。
【0117】
HPLCを必要とされているようにセットする。本発明の一態様において、5mLのトリフルオロ酢酸(TFA)を1000mLの高純度タイプ1水中に混合することにより水性移動相を調製した。20μLの試料を周囲温度で注入した。280nmの波長を検出に使用し、流速は1.0mL/分であり、運転時間は105分であった。Zorbaxカラムは150x4.6mmのIDカラムに5μmのSBC−18を詰め込んだ。この態様において、移動相は以下のようにセットした:チャネルA:100%アセトニトリル;チャネルB:H2O中0.5%TFA;そしてチャネルC:100%メタノール。表3は、本発明のこの態様に対するHPLC階調度をまとめたものである。
【0118】
もし入手できるならば、試料中に存在することが知られている化合物の標準調製液を約1mg/mLの濃度で調製することが出来る。これらの標準調製液は、大体の滞留時間を測定し、それにより試料クロマトグラム中のそれらの化合物を同定するのに使用することが出来る。この方法は定性目的の為のみに使用されるので、計算は全く必要ない。
表3: 定性分析のためのHPLC階調度
【0119】
【表3】
【実施例10】
【0120】
プロアントシアニジンのパーセントを測定するための定量的HPLC法
このHPLC法は、種々の画分及びフェノール化合物に富む組成物中のプロアントシアニジンの量を測定するのに使用される。各タイプの試料は異なる調製を必要とするので、実施例9で説明したように調製する。該方法は、150x4.6mmのカラムにStablebond SBC−18を詰め込んだ5μm Zorbaxカラムを使用する。流速は1.5mL/分であり、検出器は280nmにセットし、注入容量は10μLであり、そして運転時間は24分であった。移動相は、チャネルA=100%アセトニトリル;チャネルB=水中0.1%トリフルオロ酢酸;チャネルC=100%メタノールであった。使用した階調度を表4に提供する。プロアントシアニジンは、11〜22分の溶離時間でHPLCクロマトグラムにおいて幅広いピーク群として典型的に溶離された。
表4.プロアントシアニジンの%分析のためのHPLC階調度
【0121】
【表4】
【0122】
プロアントシアニジンを定量するために、組織内で前以って調整したプロアントシアニジン標準を90%より高い純度で利用する。これの試料は70%エタノール中5.5mg/mLで調製し、この実施例で説明したHPLC法を用いて分析する。この標準に対するクロマトグラムには(図14に見られるように)11〜22分の滞留時間範囲で大きな幅広いピークが含まれるが、これはプロアントシアニジンによる。11〜22分のピーク全体を手作業で積分する。次に、式7に示されているように、標準に対するピーク面積応答係数を、11〜22分の全ピーク面積を標準溶液濃度とその純度の積で割ることにより決定する。
【0123】
【数7】
[式中、RF=標準に対するピーク面積応答係数(面積単位/mg/mL)、PA=標準におけるプロアントシアニジンのピーク面積、CSTD=mg/mLで表した標準溶液の濃度、そしてPSTD=パーセントとしての標準物質純度(通常0.90)。]
【0124】
試料中のプロアントシアニジンのパーセントは、上述の試料調製及びHPLC分析法を用いて測定することが出来る。問題の試料に対して、11〜22分の滞留時間範囲における全ピーク面積を測定する。しかしながら、いかなる計算をする前にも、プロアントシアニジン滞留時間範囲における非プロアントシアニジン化合物のピーク面積を、端から端までの全ピーク面積から引かなければならない。非プロアントシアニジン化合物は、幅広いプロアントシアニジンのピークと共に溶離する鋭いピークとして又は該ピークの頂上における鋭いピークとして頻繁に現れ、それらのダイオードアレーによるUVスペクトルはプロアントシアニジンのピークの大部分としばしば異なる。非プロアントシアニジンのピーク面積を測定するには、これらのピークを手作業で積分し、それらのピーク面積を合計し、次にこの面積を11〜22分の全ピーク面積から引く。試料中のプロアントシアニジンのピーク正味面積が一旦測定されたら、式8に示されるように、この値を組織内標準に対するピーク面積応答係数で割って試料中のプロアントシアニジンの濃度を得る。
【0125】
【数8】
[式中、CPROANTHOS=試料中全プロアントシアニジンの濃度(mg/mL)、PASAMP=試料に対する訂正全ピーク面積、DF=希釈係数(乾燥バイオマスに対して1、新鮮/冷凍バイオマスに対して2、そしてフェノール化合物に富む組成物に対して1)、そしてRF=式7を用いて計算されたピーク面積応答係数。]
【0126】
全プロアントシアニジンの%は式9に示されるように計算される。
【0127】
【数9】
[式中、%Proanthocyanidins=試料中全プロアントシアニジンのパーセント、CPROANTHOS=全プロアントシアニジンの濃度(mg/mL)、V=試料調製液の容量(通常、乾燥バイオマスに対しては250mL、新鮮/冷凍バイオマスに対しては100mL、又はフェノール化合物に富む組成物に対しては10mL)、そしてWS=試料調製に用いたバイオマス又はフェノール化合物に富む組成物の重量(通常、乾燥バイオマスに対しては12,000mg、新鮮/冷凍バイオマスに対しては500〜1500mg、又はフェノール化合物に富む組成物に対しては50〜100mg)。]
【実施例11】
【0128】
濾過されたエルダーベリー抽出物からの極性及び非極性プロアントシアニジンの直接的分割
この実施例では、濾過されたエルダーベリー抽出物を調製し、臭素化ポリスチレン樹脂上で精製する代りに、図15に説明した方法により、真空液体クロマトグラフィー(VLC)カラム上に直接供給して、濾過抽出物から直接に極性プロアントシアニジン及び非極性プロアントシアニジンを分割した。
【0129】
メタノール中Bakerbond 40μmフラッシュ・クロマトグラフィー C−18媒体のスラリー50mLを、60mLのガラス濾過器に通して濾過することにより、50mLのC−18 VLCカラムを調製した。該カラムを、メタノールで、次に水で洗浄することにより、調整した。12.0gの固体、74mgのアントシアニン、及び約780mgのプロアントシアニジンを含有する濾過されたエルダーベリー抽出物の300mL部分を、該カラム上に供給した。実施例10で説明したHPLC法を用いた濾過抽出物のHPLCクロマトグラムを図16に示す。流過溶離液(約300mL)及び100mLの洗浄液(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA))を一緒にして極性プロアントシアニジンの「画分5」を提供した。「画分5」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図17に示す。次に該カラムを、0.1%TFAを含有する30,40,50,60,70及び100%メタノールの各100mLで溶離した。60%メタノール溶離液中に単離された非極性プロアントシアニジンの「画分6」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図18に示す。これらの画分を、実施例7及び10で説明した方法により、アントシアニン及びプロアントシアニジンに対して分析した。表5はこの実験の結果をまとめたものである。
表5: エルダーベリーの分割
【0130】
【表5】
【0131】
該結果によれば、濾過抽出物中のプロアントシアニジンの71%(558mg)が装填及び洗浄中に収集されたことが示されている。これらの化合物は比較的極性のプロアントシアニジンであった。非極性プロアントシアニジンは、メタノール濃度を少なくとも40%に増加させた時に溶離された。50〜70%メタノール画分中に溶離されたプロアントシアニジンの純度は高かったが、それは、濾過されたエルダーベリー抽出物に含有される固体の大部分が装填溶離剤、水洗浄液、及び30%メタノール洗浄液中に溶離された事による。
【実施例12】
【0132】
VLCによるエルダーベリー・プロアントシアニジンの分割に続くゲル浸透クロマトグラフィー又は半分離用HPLCによる精製
実施例6で説明した操作を用いて、臭素化ポリスチレン樹脂からの溶離の間に70%エタノール画分(「画分3」)を収集することにより、エルダーベリー乾燥バイオマス(ドイツ、Martin Bauer)からフェノール化合物に富む組成物を調製した。このフェノール化合物に富む組成物の一部(2.00g)を50mLの水に溶解し、Bakerbond 40μm C−18媒体で調製した15mLのC−18 VLCカラム上に供給した。流過溶離液及び25mLの水洗浄液を一緒にし凍結乾燥して、733mgの極性プロアントシアニジン画分(「画分5」)を生成した。次に該カラムを25mLの50%メタノールで洗浄した。非極性プロアントシアニジン(「画分6」)は25mLの70%メタノールで溶離された。この画分中のメタノールを除去し、得られた水懸濁液を凍結乾燥して、192mgの非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)を生成したが、これはHPLC分析により100%のプロアントシアニジンであった。この画分は例えあるとしても少ししか色を有していなかったので、この画分におけるオリゴマー状プロアントシアニジン鎖はカチオン性アントシアニン単位を含有しないことが示唆される。
【0133】
極性プロアントシアニジン画分(「画分5」)を半分離用HPLCにより更に精製してアントシアニン残渣及び他のより極性の不純物を除去した。これら固体の半分離用HPLC精製のための条件を下記に説明する。
【0134】
該半分離用HPLC法は、6μm,60オングストロームのNova−Pak HR C−18媒体で充填された2.5x10cmのWaters PrepPakカートリッジ(マサチューセッツ州ミルフォード、Waters)を使用した。移動相は、チャネルA=100%アセトニトリル;チャネルB=0.1%トリフルオロ酢酸;チャネルC=100%メタノールであった。この態様で使用した階調度は表6に提供した通りであった。流速は30mL/分であり、検出器は280nmにセットし、注入容量は典型的に50〜125mgの固体を含有する溶液の3〜5mLであった。運転時間は30分であった。プロアントシアニジンは13〜20分で溶離された幅広いピークで収集された。
表6: エルダーベリー・プロアントシアニジン精製に対するHPLC階調度
【0135】
【表6】
【0136】
極性プロアントシアニジン画分(「画分5」)の約600mgを25mLの水に溶解した。約3mL(75mg)を8回の試験の各々に注入した。各試験において約12〜18分で溶離するプロアントシアニジンのピークを収集し、ため、回転蒸発器上で蒸発させてから、水溶液残渣を凍結乾燥させた。約100mgの精製極性エルダーベリー・プロアントシアニジン(「画分7」)が、VLC分離後の極性プロアントシアニジン固体(「画分5」)600mgから得られた。半分離用HPLC精製後のVLC単離極性プロアントシアニジンに対する280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図19に示す。砂糖、アミノ酸、アントシアニン、有機酸、及び小さなフラボノイド化合物を含む極性前線は、図19におけるこれらピークの不存在により証明されるように、半分離用HPLC精製により除去された。精製極性プロアントシアニジン(「画分7」)の13C NMRスペクトルを図20に示す。
【0137】
非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)をゲル濾過クロマトグラフィーにより更に精製した。VLC分離中に単離された非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)の一部(48mg)を20mLの温水に溶解し、前以て水で平衡させておいた14mLのSephadex LH−20カラム上に装填した。装填溶離液を収集し40mLのカラム洗浄水と一緒にした。非極性プロアントシアニジンの大部分はこの点で該カラムから溶離されたが、一方それより小さなフラボノイド不純物は保持された。一緒にした装填溶離液及び洗浄溶離液を冷凍乾燥して32mgの精製非極性プロアントシアニジン「画分8」を提供した。これらの固体は強い抗ウィルス活性を有していた。図21及び23は、Sephadex LH−20カラム精製前の非極性プロアントシアニジン(「画分6」)の、280nm及び368nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。図22及び24は、精製非極性プロアントシアニジン(「画分8」)の、280nm及び368nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。図21における星印でマークしたピークは、それらのUVスペクトルに基づき非プロアントシアニジン・フラボノイド化合物である。これらの化合物は、図22の280nmにおけるHPLCクロマトグラムに示されているように、Sephadex LH−20カラム後に単離された精製非極性生成物(「画分8」)では減少している。ゲル精製の効果は、精製前の非極性プロアントシアニジンの368nmにおけるHPLCクロマトグラム(図23)を比較することにより、より良く理解することが出来る。非プロアントシアニジン不純物は、図23では4〜6分及び15〜17分に現れている。図24に示された精製試料においては、5.8分で溶離された少量のフラボノイド化合物以外、微量のフラボノイド化合物も全く存在しない。精製非極性プロアントシアニジン「画分8」の13C NMRスペクトルを図25に示す。図33は画分7のIRスペクトルを示し、図34は「画分8」のIRスペクトルを示す。
【実施例13】
【0138】
VLCに続く半分離用HPLCによるブルーベリー極性及び非極性プロアントシアニジンの精製
この実施例の出発材料は、ブルーベリーから調製し、臭素化ポリスチレン樹脂からの70%エタノール溶離中に単離したフェノール化合物に富む「画分3」であった。「画分3」の一部(6.00g)を80mLの水に溶解し、前述の30mL C−18 VLCカラム上に装填した。装填溶離液を収集し100mLの0.1%TFA洗浄溶離液と一緒にした(「画分5」)。次に、該カラムを80mLの40%メタノールで洗浄して極性化合物(「画分5」)残渣を除去してから、80mLの70%メタノールで洗浄して非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)を得た。表7はこの実験の結果をまとめたものである。
表7: ブルーベリー・プロアントシアニジンの精製
【0139】
【表7】
【0140】
極性プロアントシアニジン「画分5」(装填溶離液+洗浄液)及び非極性プロアントシアニジン画分6(70%メタノール溶離液)を各々、実施例12に説明した方法により半分離用HPLCで更に精製して、夫々「画分7」及び「画分8」を提供した。半分離用精製の前及び後のブルーベリー極性プロアントシアニジン画分(即ち、「画分5」及び「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを夫々図26及び27に示す。半分離用精製の前及び後のブルーベリー非極性プロアントシアニジン画分(即ち、「画分6」及び「画分8」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを夫々図28及び29に示す。図27及び29の約0〜8分におけるピークの不存在により証明されているように、極性及び非極性画分の半分離用精製により、望ましくないアントシアニン及び極性フラボナイド化合物がプロアントシアニジンから除去された。図37は「画分7」のIRスペクトルを示し、図38は「画分8」のIRスペクトルを示す。
【実施例14】
【0141】
VLCに続く半分離用HPLCによるプラム極性及び非極性プロアントシアニジンの精製
この実施例の出発材料は、プラムから単離し、その61%が極性と39%が非極性と称された全プロアントシアニジン約17%を含有する、「画分3」及び「画分4」の組合せであった。この組成物の一部(8.00g)を、0.5%TFAを含有する100mLの水に溶解し、前述の45mL C−18 VLCカラム上に装填した。装填溶離液を収集し、該カラムを50mLの0.1%TFAで洗浄した。該装填溶離液及び洗浄画分を一緒にして極性プロアントシアニジン画分「画分5」を提供した。極性プロアントシアニジン「画分5」のHPLCを図30に示す。該カラムを、0.5%TFAを含有する100mLの40%メタノールに続けて0.5%TFAを含有する100mLの70%メタノールで溶離した。すべてのメタノール画分を一緒にして非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)を提供した。表8はこの実験の結果をまとめたものである。
表8: プラム・プロアントシアニジンの精製
【0142】
【表8】
【0143】
極性プロアントシアニジン「画分5」(装填溶離液と洗浄溶離液の組合せ)を実施例12に説明した方法により半分離用HPLCで更に精製して、「画分7」を提供した。アントシアニン及び他のより極性的不純物の除去により、試料のプロアントシアニジン純度は15%から100%に増加した。精製された極性プロアントシアニジン「画分7」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図31に示す。非極性「画分6」(40%及び70%メタノール洗浄液の組合せ)は更に精製しなかった。非極性プロアントシアニジン「画分6」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図32に示す。図39は「画分7」のIRスペクトルであり、図40は「画分6」のIRスペクトルである。
【実施例15】
【0144】
エルダーベリーVLC画分からのプロアントシアニジン画分の精製
Amberchrom CG−71cd樹脂(ペンシルベニア州フィラデルフィア、80〜160μm粒径、TosoHaas)を用いてVLCカラムを調製した。エルダーベリーの水抽出物を調製し、この抽出物の一部を該VLCカラム上に装填した。次に、該カラムを水で洗浄してから、30%、40%、50%、60%、70%、及び100%メタノールを用いて溶離した。メタノールで溶離されたすべての画分を別個に保持した。50%メタノールで溶離されたVLC画分を回転蒸発器上で蒸発させてメタノールを除去してから、凍結乾燥させて水を除去した。乾燥物質を、乳鉢と乳棒を用いて粉末に粉砕した。該乾燥試料を、実施例10に説明した方法を用いてHPLCにより分析した。この分析の結果を用い、HPLC分析法から半分離用HPLC法を誘導してプロアントシアニジンを単離した。移動相は、チャネルA=100%アセトニトリル;チャネルB=水中0.5%トリフルオロ酢酸;チャネルC=100%メタノールであった。流速は30mL/分にセットした。使用した階調度を表9に提供する。
表9.エルダーベリー・プロアントシアニジンの精製に対するHPLC階調度
【0145】
【表9】
【0146】
該乾燥試料の約500mgを約50mg/mLの固体濃度で水に溶解した。関連ピークの滞留時間を判断するために非常に小さな注入を行った。この最初の注入に基づいて、二つのピーク、即ち、14〜22分で溶離されたピークA、及び26〜28分で溶離されたピークBを収集した。濃縮溶液の5回の注入を行い、各注入から各ピークの適切な収集液をためた。ピークAの収集により得られた試料はプロアントシアニジンを含有すると判断され、蒸発させて有機溶剤及び一部の水を除去した。濃縮試料を、実施例10に説明したHPLC法を用いて分析した。該試料のクロマトグラフィー純度は93.9%であると測定された。次に該試料を凍結乾燥させて乾燥物質を得た。一旦乾燥したら、該試料の小部分を1.918mg/mLの濃度で70%エタノール中に送り込み、同じHPLC法により再分析した。この分析の結果及び先に得られたクロマトグラフィー純度を用いて、ピーク面積応答係数を決めた。このデータは、他の精製画分中のプロアントシアニジン濃度を決めるのに用いた。プロアントシアニジン「標準」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図14に示す。
【実施例16】
【0147】
VLCに続く半分離用HPLCによるクランベリー・プロアントシアニジンの精製
この実施例の出発材料は、14%の全プロアントシアニジンを含む8.00gの精製クランベリー抽出物(「画分3」+「画分4」)であった。この材料を、1mLのトリフルオロ酢酸を含有する100mLの水に溶解し、前述の50mL C−18 VLCカラム上に装填した。装填溶離液(100mL)を収集し、50mLの0.1%TFA洗浄溶離液と一緒にして「画分5」を得た。次に、該カラムを100mLの40%メタノールで洗浄して極性化合物残渣を除去してから100mLの70%メタノールで溶離して非極性プロアントシアニジン「画分6」を得た。表10はこの実験の結果をまとめたものである。
表10.クランベリー・プロアントシアニジンの精製
【0148】
【表10】
【0149】
極性プロアントシアニジン画分(装填溶離液 + 洗浄液)を、実施例12に説明した方法により半分離用HPLCで更に精製して、「画分7」を得た。図41は半分離用精製前の極性プロアントシアニジン画分のHPLCクロマトグラムであり、図42は精製後の極性プロアントシアニジン画分のHPLCクロマトグラムである。図43は非極性プロアントシアニジン画分のHPLCクロマトグラムである。プロアントシアニジンの前に溶離されたアントシアニンのような極性非プロアントシアニジン化合物はこの方法において除去された。
【実施例17】
【0150】
エルダーベリー画分の単純ヘルペス2型ウィルス分析
実施例6に説明したように単離した粗製エルダーベリー抽出物及び画分1,3並びに4の抗ウィルス活性を、ウィルス性細胞変性効果(CPE)分析を用いて測定した。この分析は前に説明した(Drug Develp.Res.28:467−472(1993),Wyde等)。すべての抗ウィルス活性は50%効果量(ED50)として報告される。
【0151】
表11は、試験した四つの組成物に対するCPE阻害のためのED50をまとめたものである。
表11.エルダーベリー画分のCPE阻害のためのED50
【0152】
【表11】
【実施例18】
【0153】
ウィルス分析
本発明により製造された本発明のフェノール化合物に富む組成物は、種々のDNAウィルス及びRNAウィルスに対して幅広い活性を示しており、人間及び動物における炎症を治療するのに有用な活性成分として適している。細胞培養において、該フェノール化合物に富む組成物は、呼吸器合胞体ウィルス(RSV)、インフルエンザA及びB型ウィルス、パラインフルエンザウィルス(PIV)、並びに他の呼吸系ウィルス及び単純ヘルペスウィルスの分離株や実験室株に対して強力活性を示す。フェノール化合物に富む組成物は、人間及び動物における広範囲のウィルス性感染症を治療するのに有用な活性成分として適している。
【0154】
各ウィルスに対する活性を測定するのに用いられる分析は、当業者に周知である。細かに切られた特定の目的組織を希望のウィルスに曝し、該ウィルスの成長割合を試験物質の存在下及び非存在下で測定した。フェノール化合物を含有する種々の植物原料から製造した精製プロアントシアニジンに富む組成物の抗ウィルス活性を測定した。
【0155】
細胞系: ウィルス分析は、相対的なED50(50%効果量)又は50%抑制終点を測定するのに以下の細胞系を使用した: RSV(呼吸器合胞体ウィルス)及びPIV(パラインフルエンザウィルス)分析は、アフリカのミドリザルの腎臓を起源とするMA−104細胞を使用し;インフルエンザA及びB分析は、犬の腎臓を起源とするMDCK細胞を使用し;鼻炎ウィルス属分析はHeLa及びKB細胞を使用し;単純ヘルペス1および2型ウィルス分析は、人間の包皮繊維芽細胞から採ったHHF細胞を使用し;西ナイルウィルス分析は、アフリカのミドリザルの腎臓から採ったVero細胞を使用し;アデノウィルス1型分析は、人間の肺癌腫を起源とするA549細胞を使用し;そしてパンタトロウィルスA分析は、アカゲザルの腎臓を起源とするLLC−MK2細胞を使用した。
【0156】
該分析は、正の対照として公知の医薬品標準(リビバリン又はアシクロビール)を使用した。本実施例で用いた分析におけるリビバリンに対するED50は以下の通りである: RSV(呼吸器合胞体ウィルス)分析ED50=20μg/mL; PIV(パラインフルエンザウィルス)分析ED50=20μg/mL; インフルエンザA及びB分析ED50=2−3μg/mL; 鼻炎ウィルス属分析ED50<1μg/mL; 西ナイルウィルス分析ED50=20μg/mL; アデノウィルス1型分析ED50=10μg/mL; 及びパンタトロウィルスA分析ED50=20μg/mL。単純ヘルペス1および2型ウィルス分析は正の対照としてアシクロビールを使用したが、HSV1及びHSV2分析におけるED50は1−2μg/mLである。
【0157】
本発明のいくつかの組成物に対するウィルス分析で得られたデータを表12に提供する。細胞培養において、該組成物は、インフルエンザA型ウィルス(株H1N1及びH3N3)、インフルエンザB型ウィルス、アデノウィルス1型、パンタトロA型ウィルス、及び鼻炎ウィルス属2型の分離株や実験室株に対して強力活性を示した。表12における生物活性データを抗ウィルス判別検査におけるアシクロビール及びリバビリンと比較すると、本発明の組成物はこれらの分析において生物学的に活性であり、これらのウィルス性の病気を治療するのに使用されている確立された医薬品と競い合っても引けをとらないことが明白に示されている。
表12: 種々の抗ウィリス分析における種々の画分のIC50(μg/mL)
【0158】
【表12】
【実施例19】
【0159】
フェノール化合物に富む組成物のCOX−2活性の評価
シクロオキシゲナーゼ酵素(COX−1及びCOX−2)は、アラキドン酸や他の必須脂肪酸を種々のプロスタグランジンに変換する触媒作用をする。プロスタグランジンは哺乳類における炎症を引起こすホルモン状物質である。COX−2酵素を阻害することにより、組織内の炎症を最小の副作用で減少させることが出来る。他方、COX−1の阻害は、胃潰瘍化や身体内における他の望ましくない副作用を引起こす。COX−1酵素の完全な阻害は望ましくない。COX−2酵素を選択的に阻害する化合物がより良い抗炎症剤である。植物原料から製造した本発明のフェノール化合物に富む組成物は、COX−2酵素を阻害することが示されており、人間及び動物における炎症を治療するのに有用な活性成分として適している。
【0160】
この分析においては、分析すべき物質を、希望する酵素を含有することが知られている特定のマウス又はウシの細かに切られた器官組織と混合した。この混合物にアラキドン酸を添加した。酸素の吸収割合を測定し公知のCOX阻害剤に関して観察した吸収割合と比較する。COX−2分析は、人間の組換え型COX−2ポジティブ細胞を用いたアラキドン酸からの定量的PGE2生成に基づいている。
【0161】
いくつかの組成物に対する結果を表13に示す。表13に示した組成物に対するデータを公知の医薬品標準(アスピリン及びインドメタシン)の測定COX−2生物活性と比較すると、本発明の精製プロアントシアニジンに富む組成物はCOX−2分析において生物学的に活性であることが明白に示されている。アスピリンは660μg/mLでCOX−2に対して活性であり、240μg/mLでCOX−1に対して活性である。インドメタシンは10μg/mLでCOX−2に対して活性である。従って、表13中の組成物は、COX−2分析において、最も普通に使用されている炎症処理剤(即ち、アスピリン)に対して2.5〜6倍の効力増加を示し、本発明の精製プロアントシアニジンに富む組成物が哺乳類における炎症を治療するのに有用であることを示している。
表13.プロアントシアニジンに富む組成物に対するCOX−2活性
【0162】
【表13】
【実施例20】
【0163】
プロトン化第三級アミン置換ポリスチレン樹脂を用いたプラム濃縮物の精製
275gのプラム濃縮物(カリフォルニア州ユバ市、Sunsweet)に1460mLの室温水を添加した。該混合物を充分に混合してから4mLの濃硫酸を添加することにより酸性化し、次に該酸性化溶液をワットマン♯1紙フィルターに通して濾過した。
【0164】
該濾過溶液(1.7L)を、第三級アミン置換ポリスチレン樹脂(ミシガン州ミッドランド、ダウケミカル、Optipore SD−2)を含有する調整平衡化カラム(0.96メートル、170mL)上に約1.5mL/分(1時間当り0.53カラム容量)の流速で装填した。該調製材料のすべてを該カラム上に装填してから、該カラムを0.038%硫酸含有水で洗浄した。該カラムを、6カラム容量の50%エタノール/水で、次に5カラム容量の90%エタノール/水で溶離した。各溶離溶剤は0.038%硫酸まで酸性化した。両方の溶離液を一試料として収集し全フェノール化合物に対して分析した。フェノール化合物の不完全な回収が示されたこの分析結果に基づいて、該カラムを更に2.5カラム容量の50%エタノールで洗浄し、該単離溶離液を先の溶離液と一緒にした。一緒にされた該溶離液を蒸発させてエタノール及びいくらかの水を除去してから、凍結乾燥器上に48時間置いた。これらの画分から得られた乾燥物質を、ホリン・シオカルトー分光光度測定法(没食子酸標準に対して760nmにおける吸収)を用いて、全フェノール化合物に対して分析した。この同じ乾燥画分は又、本明細書に説明されているようにHPLC法(カテキン標準に対して280nmにおける吸収)を用いて、プロアントシアニジンに対しても分析した。
【0165】
単離された該精製プラム抽出物質は、生成物画分に対して22.4重量%の全フェノール化合物及び5.1%のプロアントシアニジンを含んでいた。該精製プラム抽出物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図44に示す。該カラムに対する全回収は、全フェノール化合物に対して約91%でありプロアントシアニジンに対して95%であった。図45は、比較の為に臭素化ポリスチレン樹脂からプラム濃縮物の溶離中に収集された50%エタノール溶離画分の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを示す。
【実施例21】
【0166】
未置換芳香族ポリマー樹脂を用いたプラム濃縮物の精製
519gのプラム濃縮物(カリフォルニア州ユバ市、Sunsweet)に2750mLの室温水を添加した。該混合物を充分に混合してから7mLの濃硫酸を添加することにより酸性化し、次に該酸性化溶液をワットマン♯1紙フィルターに通して濾過した。
【0167】
該濾過溶液(3.27L)を、SP−70,未置換ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂(日本東京、三菱ケミカル)を含有する調整平衡化カラム(0.96メートル、170mL)上に約1.5mL/分(1時間当り0.53カラム容量)の流速で装填した。装填は流出物中のポリフェノールの濃度がカラム供給物中の濃度の18%になるまで続け、その点で装填を停止し、該カラムを0.038%硫酸含有水で洗浄した。該カラムを、5カラム容量の50%エタノール/水で、次に5カラム容量の90%エタノール/水で溶離したが、各々は0.038%の硫酸を含有していた。該溶離液を別個に収集し、蒸発させてエタノール及びいくらかの水を除去してから、凍結乾燥器上に48時間置いた。50%エタノール溶離液からの乾燥物質を、ホリン・シオカルトー分光光度測定法(没食子酸標準に対して760nmにおける吸収)を用いて、全フェノール化合物に対して分析した。この同じ乾燥画分は又、本明細書に説明されているようにHPLC法(カテキン標準に対して280nmにおける吸収)を用いて、プロアントシアニジンに対しても分析した。90%エタノール画分からの乾燥物質は分析しなかった。
【0168】
該精製プラム物質は、50%エタノール画分に対して34重量%の全フェノール化合物及び4.9%のプロアントシアニジンを含んでいた。該カラムに対する全回収は、全ポリフェノールに対して約95%でありプロアントシアニジンに対して100%を超えていた。
【実施例22】
【0169】
プロトン化三級アミン置換ポリスチレン樹脂を用いたクランベリー濃縮物の精製
130mLの濃縮物(ワシントン州オセロ、SVZ USA)に1700mLの室温水を添加した。使用した130mLの濃縮物は、106mLの一つのクランベリー濃縮物(ロット♯02−1377)と24mLの他のクランベリー濃縮物(ロット♯02−11155)から成っていたが、両方とも同じ源からのものであった。該混合物を充分に混合してから3mLの濃硫酸を添加することにより酸性化し、その後該酸性化溶液をワットマン♯1紙フィルターに通して濾過した。
【0170】
該濾過溶液(1.83L)を、第三級アミン置換ポリスチレン樹脂、Optipore SD−2(ミシガン州ミッドランド、ダウケミカル)を含有する調整平衡化樹脂カラム(0.96メートル、170mL)上に約1.8mL/分(1時間当り0.63カラム容量)の流速で装填した。該調製材料のすべてを該カラム上に装填した。装填後、該カラムを0.038%硫酸含有水で洗浄した。
【0171】
該カラムを、6カラム容量の50%エタノール/水で、次に5カラム容量の90%エタノール/水で溶離した。各溶離溶剤は0.038%硫酸まで酸性化した。両方の溶離液を一試料として収集し分析した。一緒にされた該溶離画分を蒸発させてエタノール及びいくらかの水を除去してから、凍結乾燥器上に48時間置いた。該乾燥物質を、ホリン・シオカルトー分光光度測定法(没食子酸標準に対して760nmにおける吸収)を用いて全フェノール化合物に対して分析し、塩化シアニジン標準に対して535nmにおける吸収(101.1吸収単位/mg/mL)の標準分光光度測定によりアントシアニンに対して分析した。この同じ乾燥画分は又、本明細書に説明されているようにHPLC法(カテキン標準に対して280nmにおける吸収)を用いて、プロアントシアニジンに対しても分析した。該精製クランベリー抽出物質は、生成物画分に対して30.3重量%の全フェノール化合物、1.8%のアントシアニン、及び12.9%のプロアントシアニジンを含んでいた。
【0172】
図46及び47は、クランベリーの50%と90%エタノール溶離画分の組合せの、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムである。図46及び47におけるHPLCクロマトグラムを、臭素化樹脂から溶離したクランベリー抽出物の280nm及び510nmにおけるHPLCクロマトグラム(夫々図48及び49)と比較すると、非常にわずかな相違が示される。これらの相違は、分析時の条件及び出発原料間に存在するわずかな変動にさかのぼることが出来る。
【実施例23】
【0173】
本発明により更なる植物原料を抽出し精製してプロアントシアニジンに富む組成物を提供した。本発明の方法により製造した精製プロアントシアニジン組成物の限定されない例を表14に示す。示されたプロアントシアニジンのパーセントは精製組成物中の重量パーセントである。
【0174】
【表14】
【実施例24】
【0175】
プロアントシアニジンのパーセントを測定するための代替定量的HPLC法
種々の画分及びフェノール化合物に富む組成物中のプロアントシアニジンの量を測定するのに使用されるこの代替HPLC法は、外部標準としてカテキンを使用する。各タイプの試料は異なる調製を必要とするので、実施例9で説明したように調製する。該方法は、150x4.6mmのカラムにStablebond SBC−18を詰め込んだ5μm Zorbaxカラムを使用する。流速は1.5mL/分であり、検出器は280nmにセットし、注入容量は10μLであり、そして運転時間は24分であった。移動相は、チャネルA=100%アセトニトリル;チャネルB=水中0.1%トリフルオロ酢酸;チャネルC=100%メタノールであった。使用した階調度を表15に提供する。プロアントシアニジンは、11〜22分の溶離時間でHPLCクロマトグラムにおいて幅広いピーク群として典型的に溶離された。
表15.プロアントシアニジンの%分析のためのHPLC階調度
【0176】
【表15】
【0177】
カテキン標準を調製するために、100mL容量のフラスコ中に100mgのカテキン(ウィスコンシン州ミルウォーキー、Aldrich)を正確に秤量する。70mLの50%メタノール/水を添加し、溶解するまで5分間音波破砕する。50%メタノール/水を用いて一杯になるまで希釈し、蓋をしてから均質になるまで混合する。調製した標準は、この実施例で説明したHPLC法を用いて分析する。次に、式10に示されているように、カテキン標準に対するピーク面積応答係数を、該ピーク面積を標準溶液濃度とその純度の積で割ることにより決定する。
【0178】
【数10】
【0179】
[式中、RF=標準に対するピーク面積応答係数(面積単位/mg/mL)、PA=該クロマトグラムにおけるカテキンピークのピーク面積、CSTD=mg/mLで表した標準溶液の濃度、そしてPSTD=パーセントとしての標準物質純度(通常0.98)。]
【0180】
試料中のプロアントシアニジンのパーセントは、上述の試料調製及びHPLC分析法を用いて測定することが出来る。問題の試料に対して、11〜22分の滞留時間範囲における全ピーク面積を測定する。しかしながら、いかなる計算をする前にも、プロアントシアニジン滞留時間範囲における非プロアントシアニジン化合物のピーク面積を、端から端までの全ピーク面積から引かなければならない。非プロアントシアニジン化合物は、幅広いプロアントシアニジンのピークと共に溶離する鋭いピークとして又は該ピークの頂上における鋭いピークとして頻繁に現れ、それらのダイオードアレーによるUVスペクトルはプロアントシアニジンのピークの大部分としばしば異なる。非プロアントシアニジンのピーク面積を測定するには、これらのピークを手作業で積分し、それらのピーク面積を合計し、次にこの面積を11〜22分の全ピーク面積から引く。試料中のプロアントシアニジンのピーク正味面積が一旦測定されたら、式11に示されるように、この値を組織内標準に対するピーク面積応答係数で割って試料中のプロアントシアニジンの濃度を得る。
【0181】
【数11】
【0182】
[式中、CPROANTHOS=試料中全プロアントシアニジンの濃度(mg/mL)、PASAMP=試料に対する訂正全ピーク面積、DF=希釈係数(乾燥バイオマスに対して1、新鮮/冷凍バイオマスに対して2、そしてフェノール化合物に富む組成物に対して1)、そしてRF=式10を用いて計算されたピーク面積応答係数。]
【0183】
全プロアントシアニジンの%は式12に示されるように計算される。
【0184】
【数12】
【0185】
[式中、%Proanthocyanidins=試料中全プロアントシアニジンのパーセント、CPROANTHOS=全プロアントシアニジンの濃度(mg/mL)、V=試料調製液の容量(通常、乾燥バイオマスに対しては250mL、新鮮/冷凍バイオマスに対しては100mL、又はフェノール化合物に富む組成物に対しては10mL)、そしてWS=試料調製に用いたバイオマス又はフェノール化合物に富む組成物の重量(通常、乾燥バイオマスに対しては12,000mg、新鮮/冷凍バイオマスに対しては500〜1500mg、又はフェノール化合物に富む組成物に対しては50〜100mg)。]
【0186】
前述の記載は本発明の原理を説明しているに過ぎないと考えられる。更に、多数の修正や変更が当業者の頭には容易に浮かぶであろうから、本発明を上述の正確な構成や方法に限定することは希望しない。従って、あらゆる適当な修正や均等物は別紙特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に入ると考えることが出来る。
【0187】
用語「含む」は、本明細書及び別紙特許請求の範囲で使用されている場合、記載された特色、整数、成分、又は工程の存在を特定することを意図しているが、他の一つ以上の特色、整数、成分、工程、又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】本発明の方法によりフェノール化合物に富む組成物を製造する方法の一態様のフローチャートである。
【図2】ビルベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図3】ビルベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図4】ブルーベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図5】ブルーベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図6】濾過されたエルダーベリー抽出物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図7】濾過されたエルダーベリー抽出物の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図8】濾過されたエルダーベリー抽出物をカラム装填している間に溶離された第一画分の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図9】濾過されたエルダーベリー抽出物をカラム装填している間に溶離された第一画分の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図10】エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上でカラム精製している間に70%エタノールで溶離された第三画分の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図11】エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上でカラム精製している間に70%エタノールで溶離された第三画分の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図12】エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上でカラム精製している間に90%エタノールで溶離された第四画分の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図13】エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上でカラム精製している間に90%エタノールで溶離された第四画分の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図14】実施例10で説明したように調製したプロアントシアニジン標準の代替HPLC法を用いたHPLCクロマトグラムである。
【図15】極性プロアントシアニジンを非極性プロアントシアニジンから分離する方法のフローチャートである。
【図16】濾過されたエルダーベリー抽出物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図17】VLC C−18カラムからの流過画分及び洗浄画分の組合せから単離したエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分5」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図18】VLC C−18カラムから60%メタノール溶離液中に単離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図19】半分離用HPLC精製後に単離されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図20】半分離用HPLCによる精製後のエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の13C NMRスペクトルである。
【図21】Sephadex LH−20カラムにおける精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムであるが、そこで非プロアントシアニジンのピークは星印でマークされている。
【図22】Sephadex LH−20カラムにおける精製後のエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図23】Sephadex LH−20カラムにおける精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の368nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図24】Sephadex LH−20カラムにおける精製後のエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)の368nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図25】Sephadex LH−20カラムにおける精製後のエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)の13C NMRスペクトルである。
【図26】半分離用HPLC精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分5」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図27】半分離用HPLC精製後のブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図28】半分離用HPLC精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図29】半分離用HPLC精製後のブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図30】半分離用HPLC精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたプラム極性プロアントシアニジン組成物(「画分5」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図31】半分離用HPLC精製後のプラム極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図32】VLC C−18カラムから40%及び70%メタノール溶離中に単離されたプラム非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図33】精製されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)のIRスペクトルである。
【図34】精製されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)のIRスペクトルである。
【図35】精製されたクランベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)のIRスペクトルである。
【図36】精製されたクランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)のIRスペクトルである。
【図37】精製されたブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)のIRスペクトルである。
【図38】精製されたブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)のIRスペクトルである。
【図39】精製されたプラム極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)のIRスペクトルである。
【図40】精製されたプラム非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)のIRスペクトルである。
【図41】半分離用HPLC精製前のクランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分5」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図42】半分離用HPLC精製後のクランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図43】クランベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図44】プロトン化第三級アミン置換ポリスチレン樹脂からプラム濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図45】臭素化ポリスチレン樹脂からプラム濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図46】プロトン化第三級アミン置換ポリスチレン樹脂からクランベリー濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図47】プロトン化第三級アミン置換ポリスチレン樹脂からクランベリー濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図48】臭素化ポリスチレン樹脂からクランベリー濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図49】臭素化ポリスチレン樹脂からクランベリー濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図50】精製された黒ラズベリー組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図51】精製されたイチゴ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図52】精製されたザクロ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図53】精製されたオリーブ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図54】精製されたクロフサスグリ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図55】精製されたサクランボ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図56】精製されたブドウ皮組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図57】精製されたリンゴ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図58】精製されたバナナ皮組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図59】精製されたサンザシの実組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図60】精製されたマンゴスチン殻組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図61】精製されたオレンジ皮組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の引用〕
本願は、2000年8月31日に出願された米国仮出願第60/229,205号の優先権を主張する、2001年8月30日に出願された米国特許出願第09/943,158号の部分継続出願である、2002年11月22日に出願された米国特許出願第10/302,264号の部分継続出願である、2004年1月23日に出願された米国特許出願第10/764,321号の優先権を主張するものであり、それらの開示をすべて全体的に本明細書に引用して援用する。
【0002】
本発明は、植物原料からのフラボノイド化合物の抽出及び精製に関し、より具体的にはフェノール化合物に富む組成物の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
フラボノイド化合物は植物のあらゆる大気中部分に存在し、その皮、樹皮及び種子に高濃度が見出される。このような化合物は、茶、ココア、及びワインのような植物起源の多数の飲物にも見出される。フラボノイドは、ポリフェノールと呼ばれる比較的大きな族の化合物類の一員である。即ち、これらの化合物は、1個以上の芳香族環上に1個より多くのヒドロキシル基(OH)を含有する。ポリフェノール、特にフラボノイドの物理的及び化学的性質、分析、及び生物学的活性は何年にもわたって研究されてきた。
【0004】
アントシアニンは、多数の果物、野菜、穀物、及び花の赤、紫、及び青色の原因である天然に生ずるフラボノイド化合物の特定のクラスである。例えば、ブルーベリー、ビルベリー、イチゴ、ラズベリー、ボイゼンベリー、マリオンベリー、クランベリー、エルダーベリー、等のような果物の色は、多数の異なるアントシアニンによる。300種を超える構造的に異なるアントシアニンが事実上同定されている。アントシアニンは天然素材であるので、食物及び飲物用着色剤としての用途に大きな関心を呼んできた。
【0005】
最近、アントシアニン顔料に対する関心は、食物酸化防止剤としての健康上の利益が考えられるので、増大してきた。例えば、ビルベリー(バチニウム・ミルチラス)のアントシアニン顔料は、視力を改善し循環障害を治療するために長い間使用されてきた。或るアントシアニン及び他のフラボノイドは抗炎症性を有することが実験的に証明されている。更に、経口投与されたアントシアニンは糖尿病及び潰瘍を治療するのに効果的であり抗ウィルス活性及び抗菌活性を有している可能性があるということが報告されている。フラボノイドのこれら望ましい性質に対する化学的根拠は、それらの抗酸化剤能力に関連していると考えられる。かくして、ベリーと他の果物及び野菜に関連する抗酸化剤特性は、それらのアントシアニン含量に帰せられてきた。
【0006】
「オリゴマー状プロアントシアニジン」、「OPCs」、又は「プロシアニジン」としても知られるプロアントシアニジンは、果物、野菜、実、種子、花、及び樹皮から広く入手できる天然に生ずるフラボノイド化合物のもう一つのクラスである。プロアントシアニジンは縮合タンニンとして知られる範疇に属する。それらは、果物及び野菜に見出される最も普通のタイプのタンニンであり、その種子及び皮に大量に存在する。事実上、異なるプロアントシアニジンの混合物は普通一緒に見出され、個々の単位から多数の結合単位の複雑な分子(オリゴマー又はポリマー)まで変動する。ポリマー状プロアントシアニジンの一般的化学構造は、共通のC(4)−C(6)及び(又は)C(4)−C(8)結合により一緒に結合したフラボノイド3−オール単位の直鎖を含む。13C NMRはポリマー状プロアントシアニジンの構造を同定するのに有用であったが、最近の研究はダイマー、トリマー、及びテトラマー状プロアントシアニジンの化学を解明している。フラボノイド3−オール単位のより大きなオリゴマーは大部分の植物において支配的であり、2,000ダルトンより大きな平均分子量を有し6以上のモノマー単位を含有するものが見出されている(Mag.Res.Chem.,25:118(1987),Newman等)。
【0007】
最近のかなりの研究により、主として抗酸化剤活性が知られているプロアントシアニジンの治療的応用が探求されてきた。しかしながら、これらの化合物は、抗菌性、抗ウィルス性、抗癌性、抗炎症性、抗アレルギー性、及び血管拡張性の作用を示すことも報告されている。更に、それらは、脂質過酸化、血小板凝集、毛細血管透過性及び脆弱性を阻止し、ホスホリパーゼA2、シクロオキシゲナーゼ、及びリポキシゲナーゼを含む酵素系に影響することも見出されている。例えば、プロアントシアニジンのモノマー(即ち、アントシアニン)及びダイマーは、増加した毛細血管脆弱性に関連する病気の治療に用いられており、動物における抗炎症性効果を有することも示されている(Ann.N.Y.Acad.Sci.,284:358(1977),Beladi,I.等)。これらの報告された発見に基づいて、オリゴマー状プロアントシアニジン(OPCs)は、多数の状態の治療に有用な成分となり得るのである(Altern.Med.Rev.5(2):144−151(2000),Fine,A.M.)。
【0008】
プロアントシアニジンはウィルスに対抗して保護することも出来るのである。試験管内の研究において、ウィッチヘーゼル(ハマメリス・バージニアナ)からのプロアントシアニジンは単純ヘルペス1ウィルス(HSV−1)を殺した(Plant Med.6月号:62(3):241−5(1996),Erdelmeier,C.A.,Cinatl,J.; J.Nat.Prod.7月号:62(7):954−8(1999),DeBruyne,T.,Pieters,L.)。種々のタンニンの抗ウィルス活性について構造と活性の関係を判断するために、もう一つの研究が行われた。化学構造がより縮合されている程、抗ウィルス効果はより大きいことが判明した(Phytochemistry,24:2245−50(1985),Takechi,M.等)。もう一つの研究において、プロアントシアニジンは抗単純ヘルペス活性を有することが示されたが、そこでは単純ヘルペス溶菌斑形成を減少させるのに必要な50%効果量が50%細胞障害量よりも2〜3桁の大きさ低かった(Antiviral Res.,11:285−298(1989),Fukuchi,K.等)。
【0009】
シクロオキシゲナーゼ(COX−1,COX−2)又はプロスタグランジン・エンドパーオキサイドHシンターゼ(PGHS−1,PGHS−2)酵素は、植物製品の抗炎症効果を測定するために広く使用されている(Phytochemistry,28: 2373−2378(1989),Bayer,T.等;及びChem.Pharm.Bull.,40:2452−2457(1992),Goda,Y.等)。COX酵素は、非ステロイド性抗炎症薬に対する薬理上の標的部位である(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,78:2053−2056(1981),Humes,J.L.等;及びProc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,72:4863−4865(1975),Rome,L.H.等)。プロスタグランジン合成に含まれるシクロオキシゲナーゼの二つのイソ酵素は、シクロオキシゲナーゼ1(COX−1)及びシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)である(J.Biol.Chem.,25:251,5575−5579(1976),Hemler,M.等)。選択的COX−2阻害剤が主として抗炎症活性を引起こすと仮定されている(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91:3228−3232(1994),Masferrer,J.L.等)。フラボノイドは、抗炎症物質として、並びに、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害活性に対するそれらの構造的特色のために、今や研究されつつある。
【0010】
アントシアニン及びプロアントシアニジンの上記特性及び利点により、果物、野菜、及び他の植物源からこれらの化合物を抽出することに向かって、多くの努力が提起されている。プロアントシアニジン及びアントシアニンに加えて、植物、果物、及び野菜は又無機塩類、クエン酸又は酒石酸のような普通の有機酸、炭水化物、フラボノイド配糖体、及びカテキンのような他の化合物をも含有する。アントシアニン及びプロアントシアニジンは他の天然に生ずる化合物から分離することがしばしば望ましい。アントシアニンは種々の操作によって植物及び果物から抽出されてきた。アントシアニンを抽出する一つの方法では、双性イオン種を形成する重硫酸塩の添加が使用されている。該抽出物はイオン交換カラムを通過させ、そこで双性イオンアントシアニン付加物が吸着され、吸着されたアントシアニンはアセトン、アルカリ、又はジメチルホルムアミド(DMF)を用いて該樹脂から溶離される。この方法の短所には重硫酸塩の存在が含まれるが、重硫酸塩はアントシアニンの吸着を妨害し、それにより複数のカラム吸着が必要となる。アルカリを用いた溶離はアントシアニンをかなり分解させるが、一方DMFは認められた食品添加物ではないので、アントシアニンを任意の食品製品に添加する前に完全に除去しなければならない。
【0011】
これらのフラボノイド化合物を捕えるために、明確で正確な処理及び分離技術が必要である。Nafisi−Movaghar等は、米国特許第5,912,363号において、植物原料の水性混合物を加熱し、該水溶液を限外濾過膜に通して濾過し比較的大きな分子量のポリマー及び微粒子を除去して抽出されたプロアントシアニジンを含有する透過水を生成し、プロアントシアニジンを放出できるように保持できる吸着剤物質に該透過水を接触させることにより該液体からプロアントシアニジンを分離し、そして該保持されたプロアントシアニジンを極性溶剤で溶離することを特徴とする、植物原料からプロアントシアニジンを抽出精製する方法を記載している。しかしながら、この方法は非常に熱い抽出温度を使用しているので、プロアントシアニジンの分解が起こり得る。更に、限外濾過は最終製品からいくらかの低分子量ポリフェノール物質を除去している。
【0012】
種々の植物原料からプロアントシアニジン及び(又は)アントシアニンを抽出単離する技術において知られている多くの方法は、有毒なそして(又は)環境的に有害な物質を使用している。従って、プロアントシアニジンを単離精製するのに使用できる現在の方法は、効率的な工業的方法まで容易には拡大されないが、それは工業的方法では種々の化学薬品や溶剤の廃棄検討が該方法の全体的実現可能性において重要な役割を演じるからである。更に、プロアントシアニジン及びアントシアニンは、それらの分解に向かう自然な傾向を最小にする方法で、単離しなければならない。
【0013】
従って、栄養補給食品や処方薬に使用されるプロアントシアニジンのようなフェノール化合物を含有する組成物を単離精製する効率的方法であって、費用効率が高く、拡大縮小が可能で、経済的に健全で、有毒な溶剤又は試薬の使用を必要とせず、そして植物原料からフェノール化合物をそれらの分解に向かう傾向を最小にする方法で単離する該効率的方法に対する必要性が依然として存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、フェノール化合物に富む組成物を抽出し、単離し、そして精製する単純化された経済的方法を提供する。より具体的には、本発明の一局面によれば、フェノール化合物に富む組成物を製造する方法において、(a)フェノール化合物を含有する1種以上の植物原料の粗製抽出物であって、フェノール化合物及び極性非フェノール化合物を含む該抽出物を用意し、(b)該粗製抽出物を濾過し、(c)前記フェノール化合物を放出できるように吸着するが前記極性非フェノール化合物は実質的に保持しないポリマー樹脂であって、1個以上の電子吸引性基で置換された芳香族環を含む該ポリマー樹脂に、該粗製抽出物を接触させ、(d)前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄して前記極性非フェノール化合物を溶離し、(e)該樹脂を第一溶離剤で溶離し、前記フェノール化合物を含有する第一画分を収集し、(f)該樹脂を第二溶離剤で溶離し、前記フェノール化合物を含有する第二画分を収集し、そして(g)工程(e)又は工程(f)から該画分を単離して、或いは、工程(e)及び(f)から前記画分を組合せて、前記フェノール化合物に富み前記極性非フェノール化合物が実質的に激減している組成物を得ることを特徴とする、前記製造方法が提供される。適切な置換ポリマー樹脂の例は、臭素化ポリスチレン樹脂及びプロトン化第三級アミン置換スチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂を含むが、それらに限定されない。
【0015】
本発明の更なる局面によれば、プロアントシアニジンに富む組成物を製造する方法において、(a)プロアントシアニジンを含有する1種以上の植物原料を溶剤で抽出して、プロアントシアニジン、アントシアニン、他の小フェノール系誘導体及び非フェノール化合物を含む粗製抽出物を提供し、(b)該粗製抽出物をサイズ除外濾過以外の手段により濾過し、(c)前記アントシアニンを保持し前記プロアントシアニジンを放出できるように吸着するが該極性非フェノール化合物は実質的に保持しない未置換芳香族環を含む樹脂に、該粗製抽出物を接触させ、(d)前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄して該極性非フェノール化合物を溶離し、(e)該樹脂を第一溶離剤で溶離し、前記プロアントシアニジンを含有する第一画分を収集し、(f)該樹脂を第二溶離剤で溶離し、前記プロアントシアニジンを含有する第二画分を収集し、そして(g)工程(e)又は工程(f)から該画分を単離して、或いは、工程(e)及び(f)から前記画分を組合せて、プロアントシアニジンに富み前記極性非フェノール化合物が実質的に激減している組成物を得ることを特徴とする、前記製造方法が提供される。適切な未置換樹脂の例は、ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体を含むが、それらに限定されない。一態様において、該第一及び(又は)第二の溶離は大体室温で行われる。
【0016】
本発明は、フェノール化合物に富む組成物を精留して、非極性プロアントシアニジン、及び極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物から極性プロアントシアニジンを分離する方法を更に提供する。極性プロアントシアニジンは、非極性プロアントシアニジンとは異なる生物活性を有することが判明した。
【0017】
本発明は、本発明の方法により単離された、フェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物を更に提供する。
【0018】
本発明のフェノール化合物に富む組成物をC−18親油性カラムで逆相HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により分析すると、280nm及び510nmで吸収される化合物の溶離ピークの特性セットが観察される。例えば、一態様において、本発明のフェノール化合物に富む組成物は、HPLC分析をここに記載した通りに行うと、実質的に図10〜13に図示されているように、HPLCトレースにおいて60〜75分の範囲で溶離ピークの特性セットを有する特徴がある。
【0019】
本発明のフェノール化合物に富む組成物をIR(赤外線)分光測定により分析すると、実質的に図33〜40に示されているような化合物の特性吸収ピークが観察される。本発明の組成物は栄養補給食品及び処方薬として有用である。例えば、本発明の組成物は抗感染症剤(例えば、抗ウィルス剤、抗UTI(尿路感染症)剤、及び抗菌剤)として、及び抗炎症剤として有用である。
【0020】
本発明に関する前記の及び他の特色、有用性および利点は、本発明の好ましい態様に関する以下のより詳しい説明から、図面に説明されているように、そして特許請求の範囲に特に指摘されているように、明らかとなるであろう。
【0021】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、アントシアニン及びプロアントシアニジンのようなフェノール化合物を自然に含有する植物原料からフェノール化合物に富む組成物を製造する方法を提供する。本発明の方法は、フェノール化合物に富む精製された組成物を更に提供する。用語、「フェノール」及び「フェノール化合物」は、本明細書では交換できるように使用されており、1個以上のフェノール基を有するモノマー状、オリゴマー状、及びポリマー状化合物を含み、従ってアントシアニン、プロアントシアニジン、及びフラボノイドを含むが、それらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用されているように、用語「フェノール化合物に富む組成物」は、1種以上のフェノール化合物に富み、植物、果物、液果、及び野菜の粗製抽出物に存在する極性非フェノール化合物が実質的に激減した量である組成物のことを言う。かかる極性非フェノール化合物の例は、砂糖、セルロース、ペクチン、アミノ酸、蛋白質、核酸、及び水を含むが、それらに限定されない。
【0023】
フェノール化合物に富む組成物は植物原料抽出物又は濃縮物から典型的に製造される。用語「抽出物」は、フェノール化合物を自然に含有する植物源から導き出された物質のことを言い、植物全体から、又は植物の種々な部分、例えば、果実、葉、茎、根、樹皮、等から製造された抽出物を含む。従って、本発明の方法は、抽出物を製造するのに使用される植物の特定の部分に限定されない。本方法は、最も典型的に、植物学的に誘導された植物原料全体又は植物原料の部分、例えば、表皮、皮、果実、実、種子、穀物、群葉、茎、樹皮以外の木質又は繊維質原料、等からの任意のフェノール化合物源を使用することが出来る。従って、本発明の方法は、抽出物を製造するのに使用される植物の特定の部分に限定されない。大部分の有色の果実、果粒、及び野菜はフェノール化合物を含有することが知られている。本発明の方法に使用することが出来る適切なフェノール化合物含有植物原料は、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、黒イチゴ、イチゴ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、クランベリー、サクランボ、赤ラズベリー、黒ラズベリー、ブドウ、ハイビスカスの花、ピーマン、インゲン豆、エンドウ豆、赤キャベツ、紫トウモロコシ、紫サツマイモ、オリーブ、ザクロ、マンゴスチン、リンゴ、サンザシ、西洋スグリ、及びオレンジを含むが、それらに限定されず、該植物原料全体又はそれらの表皮,皮、果実、実、殻又は種子を含むが樹皮は除く。該生の植物原料はそのまま(湿ったまま)使用しても良いし、或いは抽出前に乾燥しても良い。所望により、該生の植物原料は、抽出前に、アントシアニン及びプロアントシアニジンが低い成分を分離除去することにより、事前に分類することが出来る。
【0024】
一態様において、本発明のフェノール化合物に富む組成物は、フェノール化合物を含有する植物原料を抽出精製することにより得られる。フェノール化合物を含有する植物原料は特異で独特な特徴を有すること、即ち、各植物原料中のフェノール化合物の量及びタイプは該特定の植物原料に対して特定的であることが知られている。従って、本発明により或る特定の植物原料から単離されたフェノール化合物に富む組成物は、他の植物原料から単離された組成物とは異なるであろう。
【0025】
図1は、フェノール化合物に富む組成物が製造できる本発明方法の一態様の工程を示すフローチャートである。本発明の方法は、いくつかの処理工程を除去することにより、又該方法に必要な試薬の量を減少させることにより、製造原価及び廃棄物処理問題を減少させて、フェノール化合物に富む組成物を得る経済的で効率的な方法を提供する。
【0026】
抽出段階
【0027】
この相の間に、新鮮な又は乾燥した植物原料からフェノール化合物(例えば、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び他のフェノール化合物)及び極性非フェノール化合物を含む非フェノール化合物を抽出することにより、抽出物が製造される(図1、工程10)。当業者は、バット抽出、パーコレイション、向流抽出、等のような種々の抽出方法が文献から利用できることを認識するであろう。使用される特定の抽出方法は、本発明の方法にとって本質的なものではない。抽出処理前の植物原料の粉砕程度は、抽出溶剤が効果的に接触するのに充分な微粒子表面積を提供する程度であるべきである。
【0028】
図1に示された方法の一態様において、抽出工程(工程10)は、新鮮な又は乾燥した植物原料を適切な量の抽出溶剤に充分な時間入れることにより達成される。抽出処理で用いられる植物原料対抽出溶剤の量は、グラム対ミリリットルの基準で約2:1〜約1:20の間で変化する。一態様において、植物原料対抽出溶剤の比は、約1:4〜1:8の間である。植物原料と溶剤の混合物は、該植物原料に存在するアントシアニンの量に依って、所望により加熱される。即ち、もし植物原料が約0.05%〜2%のアントシアニンを典型的に含有しているならば、該抽出は好ましくは45℃以下で行われる。しかしながら、もし植物原料が0.05%未満のアントシアニンを典型的に含有しているならば、該フェノール化合物の安定性に依って、室温から85℃を越えるまでの温度で該抽出を行うことが出来る。例えば、非常に少しのアントシアニンしか含有していないクランベリーは、クランベリー抽出物に含まれるプロアントシアニジンの安定性に影響することなく、約100℃の温度で抽出することが出来る。
【0029】
一態様において、抽出溶剤には、水中約0〜95%のエタノール及び約0〜3重量%、より好ましくは約0.006〜0.012重量%の適切な酸を有する酸性化アルコール溶液が含まれる。他の態様において、抽出溶剤には、水中約0〜100%のメタノール及び約0〜3重量%の適切な酸を有する酸性化アルコール溶液が含まれる。抽出工程で使用することができる適切な酸は、硫酸(H2SO4)、酢酸(HOAc)、又は塩酸(HCl)を含むが、それらに限定されない。或いは、植物原料を非酸性化抽出溶剤で抽出してから、該抽出物に酸を添加することが出来る。抽出溶剤における酸の存在又は該抽出物は、アントシアニンの分解を最小にする助けをする。従って、一態様において、酸性条件は、図1に説明されているように、本発明方法の大部分の工程を通して維持される。
【0030】
粗製抽出物は、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び他のフェノール系誘導体のようなフェノール化合物の他に、砂糖、ペクチン、植物ステロール、脂肪酸、トリグリセライド、水、及び他の化合物のような望ましくない極性非フェノール物質をも又含有する。粗製抽出物に含有される固体残渣は液体部分から分離され、該固体は上述のように再抽出されるか、又は廃棄される。
【0031】
工程10(図1)の一態様において、抽出処理の前又はその間に、植物原料又は抽出溶剤にペクチナーゼを添加する。或いは、抽出処理が完了してから、粗製抽出物にペクチナーゼを添加することが出来る。ペクチナーゼは、抽出物がカラム精製の間流動性を維持するように、抽出処理中又はその後の任意の点で抽出物がゲル化するのを防ぐのに役立つ。ペクチナーゼの添加量は、抽出物を製造するのに使用される植物原料の量又は抽出物に既に存在しているペクチナーゼの量に部分的に依存する。典型的に、ペクチナーゼは植物原料の約0〜0.12重量%の量で添加される。
【0032】
図1を続けて参照しながら、もし工程10において粗製抽出物を製造するのにエタノール性又はメタノール性抽出溶剤が使用されたら、粗製抽出物は、濃縮の間好ましくは45℃以下の温度を維持しながら、粗製抽出物に含有されるエタノール又はメタノールが6%より少なくなるまで濃縮される(工程20)。濃縮された粗製抽出物を希釈するのに水が添加され、希釈された粗製抽出物は、工程30の前に濃縮され水で再び希釈されるか、又は第二の希釈を行うことなく工程30に直接持ち込まれる。勿論、もし粗製抽出物の製造に抽出溶液として水が使用されたら、工程20は必要ないので、この場合図1に破線矢印により示されているように、工程10からの粗製抽出物は工程30に直接持ち込まれる。
【0033】
濾過段階
【0034】
図1に示された方法の工程30には、工程10又は20からの粗製抽出物を所望により濾過して該粗製抽出物から固体を除去することが含まれる。本発明者達は、工程10に対して説明した抽出条件を調節することにより、工程30における濾過によって粗製抽出物から沈澱する望ましくない非フェノール化合物の量が増加するので、望ましくない物質の一部を吸着段階の前に該抽出物から除去することが出来ることを発見した。本発明方法の濾過工程30では種々の濾過方法を使用することが出来る。工程30で使用することが出来る一濾過方法には、珪藻土又はセルロースのような濾過助剤を測定量で粗製抽出物に添加することが含まれる。粗製抽出物と濾過助剤の混合物は、好ましくは均質になるまで振とう又は撹拌され、濾過助剤床を通して濾過される。該床は酸性水溶液、好ましくは約0.006%の硫酸水溶液で洗浄される。
【0035】
図1の工程30で使用することが出来る他の濾過方法には、サイズ除外濾過以外の濾過手段を用いて粗製抽出物を濾過することが含まれる。例えば、一態様には、砂床又は好ましくはガラスウールで覆われた30ミクロンのポリプロピレン・フィルターを通して粗製抽出物を濾過することが含まれる。なお他の濾過方法には、有利には以下に説明する工程40の精製カラムと一列に並んで置くことができるバグフィルター(ポリエチレン又はポリプロピレンから成る袋形状の布フィルター)を使用することが含まれる。従って、上述のフィルターは、当該技術で溶液から或る大きさの分子を除去するのに使用される限外濾過膜のようなサイズ除外フィルターというよりむしろ固体除去用フィルターであると理解されるべきである。
【0036】
吸着段階
【0037】
図1に示された方法によりフェノール化合物を単離するために、工程30で単離された濾過抽出物は、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を放出できるように吸収するが濾過抽出物に存在していた望ましくない極性非フェノール物質はより少ししか保持しない樹脂と、接触させる。一態様において、該樹脂は1個以上の電子吸引性官能基で置換された1個以上の芳香族環を有するポリマー樹脂である。各芳香族環は1個以上の同様な又は異なる電子吸引性基で置換することができ、該電子吸引性基はハロゲン(F,Cl,Br,I)、プロトン化アルキルアミン(第一級、第二級及び第三級アミンを含む)、スルホン酸、トリハロメチル、COOH,NO2及びCNを含むが、それらに限定されない。或いは、該ポリマーは置換芳香族環および未置換芳香族環の混合物を含むことができる。かかる樹脂は本明細書において「置換樹脂」と言及される。好ましくは、該樹脂は承認食品等級の樹脂である。
【0038】
本発明の目的に適した置換樹脂の一例は、三菱ケミカルアメリカ製のSP−207 (ペンシルベニア州ベラフォンテ、Supelco)のような臭素化ポリスチレン樹脂である。SP−207樹脂は、逆相クロマトグラフィー用途に合わせて設計されたマクロ孔質臭素化スチレンポリマービーズ型樹脂で、約250〜800ミクロンの粒径分布及び約100〜300Åの孔径範囲を有する。芳香族環の臭素化は、ポリスチレン樹脂の疎水性を増加させ、従来のスチレン・ジビニルベンゼン・ポリマー逆相支持体と比較して、疎水性分子に対する増加した選択性を有する樹脂を提供するように設計されている。臭素化ポリスチレン樹脂は、その堅固な結合性の故に、天然製品の精製に典型的には使用されない。
【0039】
かくして、或る従来のポリスチレン樹脂はプロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を非常に堅固に結合するのでかかる化合物をポリスチレン樹脂から溶離するのは非常に難しいことが知られていたので、臭素化ポリスチレン樹脂はフェノール化合物を更に堅固に結合するであろうと予想された。従って、臭素化ポリスチレン樹脂がフェノール化合物の精製に適しているであろうとは予想されなかった。しかしながら、本発明者達は、驚いた事にそして予想外に、臭素化ポリスチレン樹脂は、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を結合する強さが非臭素化ポリスチレン樹脂よりも低いが、望ましくない極性非フェノール化合物からのフェノール化合物の分離を依然として可能にすることを発見したのである。即ち、工程30で単離された濾過抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上で精製することによりフェノール化合物に富む高純度組成物が得られることが発見されたのである。
【0040】
本発明によりフェノール化合物に富む高純度組成物を提供するのに適したもう一つの置換樹脂は、Dowex Optipore SD−2(ミシガン州、ミッドランドのDow Chemical販売)のようなプロトン化形状の第三級アミン置換ポリマーであるが、それは芳香族環上に第三級アミン官能基を有する食品等級のマクロ孔質スチレン・ジビニルベンゼン共重合体である。
【0041】
いかなる理論によっても縛られたくないけれども、臭素及びプロトン化第三級アミンのような置換基は電子吸引性であるので、それらが結合している芳香族環の電子密度を減少させ、この効果はそれらの正に帯電したアントシアニンに対する保持力を減少させるのに充分であろうと考えられる。対照的に、未置換スチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂の芳香族環はより高い電子密度を有するので、アントシアニンの正電荷により強く結合して、アントシアニンがこの樹脂により堅固に保持されるのである。かくして、Dowex Optipore SD−2及び三菱SP207樹脂のような置換樹脂はアントシアニンを放出できるように保持することが出来るが、一方未置換ベンゼン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂はアントシアニンを保持するが放出する確率はより低いのである。
【0042】
なお他の態様において、該樹脂は、本明細書において「未置換芳香族樹脂」又は「未置換ポリマー樹脂」と言及される未置換芳香族環を含むポリマーである。本発明の目的に適した未置換芳香族樹脂の一例は、三菱SP70のようなポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂である。この樹脂は以下の物理的性質、即ち、250mmの平均粒径、700m2/gの比表面積、及び65Åの比孔半径を有する。SP70樹脂は、驚いた事にプロアントシアニジンを放出できるように保持するがアントシアニンを容易には放出しない。これはアントシアニン及びプロアントシアニジンの両方に富む製品を得るのに受け入れられる樹脂であるとは普通には考えられないであろうが、著しい量のアントシアニンは含有しない植物原料、例えば、プラムからプロアントシアニジンに富む製品を単離するには適している。この態様において、抽出物を該樹脂上に供給して該樹脂から望ましい化合物を溶離する工程は、室温で行われる。SP70を用いてプラムからプロアントシアニジンを単離する例は、実施例21で説明する。
【0043】
図1に示された方法の一態様において、工程30で単離された濾過抽出物をSP207のような置換樹脂を詰め込んだカラム上に供給する。好ましくは、該樹脂は、約200〜700ミクロンの粒径分布及び約50〜300Åの孔径範囲を有する(工程40)。工程40は該抽出物をカラム中に詰め込まれた樹脂と接触させるという形でここに記載されているけれども、しかし、かかる記載は単に説明の場合用に過ぎない。このように、該樹脂は本発明方法を行うためにカラム中に詰め込む必要はない。カラム上に供給される濾過抽出物の量は、粗製抽出物を製造するのに用いた植物原料に依存する。例えば、ビルベリーから粗製抽出物を製造する場合、1リットルのSP207樹脂当り、約16〜30グラムのフェノール化合物を供給することが出来る。もう一つの例として、ブルーベリーから粗製抽出物を製造する場合、1リットルのSP207樹脂当り、約15〜45グラムのフェノール化合物を供給することが出来る。エルダーベリーから粗製抽出物を製造する場合、1リットルのSP207樹脂当り、約15〜40グラムのフェノール化合物を供給することが出来る。もし濃縮粗製抽出物中の固体濃度が200グラム/リットルを超えるならば、濾過抽出物は供給する前に水で希釈することが出来る。工程40(図1)におけるカラム装填中に溶離する画分は「画分1」として収集される。
【0044】
濾過粗製抽出物を該樹脂上に供給した後、該吸着剤に対して殆んど又は全く親和性を有さない望ましくない極性非フェノール物質(例えば、砂糖、塩、有機酸、等)は、少なくとも0.003%の酸を含む水性洗浄溶剤,例えば、硫酸水溶液、酢酸水溶液、又は塩酸水溶液を用いて該樹脂から溶離される(図1、工程50)。例えば、該異質物質を溶離するために約3カラム量の0.006%硫酸水溶液又は0.1%酢酸水溶液を使用することが出来る。該溶離液は「画分2」として収集される。
【0045】
図1を続けて参照しながら、該カラムは次に約50〜70%のエタノール/水又は約50〜90%のメタノール/水のような極性有機溶剤を含む第一溶離剤を用いて溶離する(工程60)。工程60では、典型的に約2〜12カラム量の溶離溶剤が使用される。一態様において、第一溶離剤は約0.003%の酸、例えば、硫酸、塩酸、又は酢酸を含有する。溶離工程60の間に収集された画分は、「画分3」として収集される。「画分3」は、粗製抽出物に含有されるフェノール化合物の一部を含有し、特にアントシアニン及び(又は)プロアントシアニジンに富む。
【0046】
UV−VIS(紫外/可視)分光計により測定して、(抽出物に存在している場合)アントシアニンの大部分が該カラムから溶離された後で、アントシアニンを溶離するのに用いた溶剤(工程60)よりも大きなパーセントのエタノール又はメタノールを含む極性有機溶剤を含む第二溶離剤で該カラムを溶離する(図1、工程70)。例えば、第二溶離剤は、約70〜90%のエタノール/水又は約75〜100%のメタノール/水を含むことが出来る。溶離工程70の間に収集される画分は「画分4」として収集される。「画分4」は、粗製抽出物に最初含有されていたフェノール化合物の更なる部分を含有し、典型的にプロアントシアニジンに富む。「画分4」は、溶離工程60の間に単離されなかったアントシアニンを含有することも出来る。
【0047】
温度がフェノール化合物を分解するものでないならば、工程50、60および70の各々は典型的に大体室温で行われるが、それより高い又は低い温度を使用することが出来る。
【0048】
回収方法がフェノール化合物を分解しない温度で行われるならば、「画分3」及び「画分4」中のフェノール化合物の回収は、蒸発、蒸留、凍結乾燥、等のような任意の都合の良い方法で遂行して本発明のフェノール化合物に富む組成物を提供することが出来る。
【0049】
上述の方法は、エルダーベリー、プラム、ブルーベリー、ビルベリー、黒イチゴ、イチゴ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、クランベリー、サクランボ、ラズベリー、ブドウ、ハイビスカスの花、ピーマン、インゲン豆、エンドウ豆、赤キャベツ、紫トウモロコシ、及び紫サツマイモを含むが、それらに限定されない、フェノール化合物を含む種々の植物原料から、栄養補給食品として用いられるフェノール化合物に充分富む組成物を製造するのに適している。一態様において、本発明のフェノール化合物に富む組成物は、少なくとも10〜80%のフェノール化合物を含有する。他の態様において、本組成物は少なくとも12%のフェノール化合物を含有する。なお他の態様において、本組成物は少なくとも25%のフェノール化合物を含有する。
【0050】
植物原料からフェノール化合物、特にプロアントシアニジンを単離するための、変化をもたらす態様において、上述のように製造された植物原料抽出物は、三菱SP70(ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂)のような未置換芳香族樹脂上に供給される。述べたように、未置換芳香族樹脂はプロアントシアニジンを放出できるように保持するがアントシアニンを容易には放出しないので、このタイプの樹脂は、著しい量のアントシアニンを含有しない植物原料、例えば、プラムからプロアントシアニジンに富む製品を単離するのに適するのである。一態様において、該抽出物を該樹脂上に供給して該樹脂から望ましい化合物を溶離する工程は、大体室温で行われる。例えば、(上述のように製造された)粗製の又は濾過された植物抽出物、又は果物濃縮物は、未置換ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体を詰め込んだカラム上に室温で供給される。その後で、該吸着剤に対して殆んど又は全く親和性を有さない望ましくない極性非フェノール物質(例えば、砂糖、塩、有機酸、等)は、少なくとも0.003%の酸を含む水性洗浄溶剤,例えば、硫酸水溶液、酢酸水溶液、又は塩酸水溶液を用いて該樹脂から室温で溶離される。次にフェノール化合物を該カラムから、室温で約50〜70%のエタノール/水又は約50〜90%のメタノール/水のような極性有機溶剤を含む第一溶離剤を用いて溶離して第一溶離剤画分を得、それから室温でより大きなパーセントのエタノール又はメタノールを含む第二溶離剤(例えば、70〜90%のエタノール/水又は75〜100%のメタノール/水)を用いて溶離して第二溶離剤画分を得る。更なる溶離が更なるフェノール化合物を該樹脂から溶離するかどうかを判断するために、所望なら、該第一及び第二溶離画分をフェノール化合物含量について分析することが出来る。述べた通り、未置換ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体はアントシアニンを典型的に保持するので、プロアントシアニジンに富む組成物を単離することが目的である場合、この態様によりプロアントシアニジンからアントシアニンを分離するために、溶離条件を調整する必要はない。
【0051】
プロアントシアニジン分離段階
【0052】
置換樹脂から本明細書で説明されたように単離されたフェノール化合物に富む組成物、特に「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せから単離された組成物は、図12及び13に示されたような特性ピークを有する同様のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)クロマトグラムを生ずることが発見された。例えば、フェノール化合物を含有する植物原料から製造され、図1に説明された方法により臭素化ポリスチレン樹脂を用いて単離され、そして「画分4」から単離されたフェノール化合物に富むあらゆる組成物のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)クロマトグラムは、エルダーベリーから単離された「画分4」組成物に対する図12及び13に示されたクロマトグラムにおけるピークと同様な60〜75分の特性ピークを含有することが分った。「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せから単離され、本発明により製造された本発明のフェノール化合物に富む組成物は、下記に詳細に説明するように、抗感染性(例えば、抗ウィルス性)及び抗炎症性活性を有する。
【0053】
本発明のフェノール化合物に富む組成物をIR(赤外線)分光測定により分析すると、フェノール化合物からの特性ピークがやはり観察される。より具体的に、本発明のフェノール化合物に富む組成物は、実質的に図33〜40に示されたIR吸収ピークを有する特徴がある。
【0054】
フェノール化合物に富む組成物(例えば、「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せ)は、実施例11で詳細に説明されるように、又図15に示されているように、C−18カラムのような逆相親油性カラム上で低圧真空液体クロマトグラフィー(VLC)を用いて、「極性」プロアントシアニジンに富む画分および「非極性」プロアントシアニジンに富む画分に更に分割することが出来ることが又発見された。例えば、エルダーベリー抽出物から単離された「画分3」組成物を水に溶解しC−18カラム上に供給した。該カラムを100%の水で洗浄して、C−18媒体によって強くは保持されない物質を収集した。流過画分及び洗浄画分は、「画分5」として組合せたが、より極性のプロアントシアニジンを含有していた。かくして、「画分5」は「極性」プロアントシアニジンに富む画分とここで言及される(図15)。エルダーベリーからの極性プロアントシアニジンに富む「画分5」は典型的にいくぶん紫色をしているので、この画分におけるポリマーは該オリゴマー状プロアントシアニジン鎖内に少なくとも1個以上のカチオン性アントシアニジン副単位を含有していることが示唆される。次に該VLCカラムを30〜100%のメタノールで溶離して、該低圧カラムに使用したC−18媒体によってより強く保持されているプロアントシアニジンを収集した。複数のメタノール画分は、「画分6」として組合せたが、「画分5」で収集されたものより極性の低いプロアントシアニジンを含有していた。かくして、「画分6」は「非極性」プロアントシアニジンに富む画分とここで言及される(図15)。非極性プロアントシアニジンに富む「画分6」は例えあるとしても少ししか色を有していないので、この画分におけるオリゴマー状プロアントシアニジン鎖はカチオン性アントシアニジン副単位を含有しないことが示唆される。
【0055】
かくして、本発明は「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せに含有される非極性プロアントシアニジンから極性プロアントシアニジンを都合よく分離する方法を提供する。極性プロアントシアニジンに富む「画分5」及び非極性プロアントシアニジンに富む「画分6」は、粗製濾過水性抽出物(図1、工程30)をC−18 VLCカラム上に供給することにより直接に単離することが出来ることが又分った。単離されたプロアントシアニジンに富む画分5及び6を夫々説明するために使用する場合、用語「極性」及び「非極性」は画分5及び6におけるプロアントシアニジンの極性のことをお互いに比較して、即ち、特定の留分がC−18 VLCカラム上でどのように挙動するかを言及していると理解されるべきである。本発明の極性プロアントシアニジンに富む組成物(画分5)及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物(画分6)は、実施例で論議されるように、実質的に減少した量のアントシアニンを有する。
【0056】
極性及び非極性プロアントシアニジンに富む画分(夫々「画分5」及び「画分6」)は異なる生物活性を有することが分ったが、該非極性画分は、実施例17で説明されるように、或る試験において該極性画分よりも大きな抗ウィルス活性を有することが分った。
【0057】
極性及び非極性プロアントシアニジンに富む画分5及び6の各々は夫々、図15に示されているように、又実施例12〜14で説明されるように、更に精製することが出来る。例えば、VLC分離中に単離された極性プロアントシアニジンに富む「画分5」は、極性プロアントシアニジンを放出できるように保持する半分離用C−18 HPLCカラム上に供給することが出来る。次に該カラムを、増加するパーセントのアセトニトリル、メタノール、又はエタノールを含む溶剤グラディエントで洗浄してアントシアニン及び他の極性化合物の大部分を溶離し、それから少なくとも60%のアセトニトリル、メタノール、又はエタノールで洗浄して精製極性プロアントシアニジンを含有する「画分7」を溶離する(図15)。更に、VLC分離中に単離された非極性プロアントシアニジンに富む「画分6」は、ゲル濾過又は逆相半分離用HPLCにより更に精製することが出来る。サイズ除外又はゲル浸透クロマトグラフィーとも呼ばれるゲル濾過は、分子をそれらのサイズにより分離する液体クロマトグラフィー技術である。このタイプの媒体は比較的小さな化合物を保持するが、一方比較的大きな非極性プロアントシアニジンに富む「画分8」(図15)は流過溶離剤と共に溶離する。本発明の精製された極性及び非極性プロアントシアニジンに富む画分7及び8は夫々、実質的に減少した量のアントシアニン及びフラボノイドを有し、又実質的に減少した量の極性非フェノール化合物を有する。更に、精製された極性及び非極性プロアントシアニジンに富む「画分7」及び「画分8」は夫々異なる生物活性を有することが観察された。
【0058】
用途
【0059】
本発明の、フェノール化合物に富む組成物(「画分3」、「画分4」、又はそれらの組合せ)、極性プロアントシアニジンに富む組成物(画分5及び7)、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物(画分6及び8)は、様々な生物活性を有する。例えば、本発明の組成物は、実施例15及び16で説明されるように、抗ウィルス活性を有することが分った。本発明の組成物は、インフルエンザA,B,及びC、パラインフルエンザ・ウィルス、アデノウィルス1型、パンタトロウィルスA、単純ヘルペスウィルスI及びII、ライノウィルス、西ナイルウィルス、水痘・帯状疱疹ウィルス、及びはしかウィルスを含むがそれらに限定されないウィルスからのウィルス感染により誘発された又は併発した病気を予防及び(又は)治療するために、単独で又は他の抗ウィルス剤と組合せて使用することが出来る。従って、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、治療的有効量の本発明組成物を投与することにより、かかるウィルスにより誘発される病気に対する予防的及び治療的応用において有利に使用することが出来る。
【0060】
プロアントシアニジンは、それらのシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害活性により抗炎症物質としても研究されている。抗炎症物質はCOX−1阻害よりもむしろCOX−2阻害に対して選択性があることが望ましいと示されている。従って、本発明の他の局面には、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、又は非極性プロアントシアニジンに富む組成物を治療的有効量投与することを特徴とする、哺乳類における炎症性疾病を治療する方法が含まれる。例えば、ブルーベリー抽出物の精製中に画分3及び4として単離されたフェノール化合物に富む組成物は、高いCOX−2/COX−1阻害選択性を有し、108μg/mLのIC50(50%抑制濃度)を有することが分った(実施例17)。本発明の組成物は、炎症性反応を予防又は阻害するために、単独で又は他の抗炎症剤と組合せて使用することが出来る。かかる反応は、骨関節炎、アレルギー性鼻炎、循環器病、上気道疾患、創傷感染、神経炎、及び肝炎を含むが、それらに限定されない状態又は病気により引起こされ得る。
【0061】
クランベリー及びブルーベリーから単離されたプロアントシアニジンは、細菌が膀胱壁に付着するのを阻害し、それにより尿路感染症のような疾病の可能性を減少させることが知られている(New England J.Medicine,339:1085−1086 (1998),Howell,A.B.等)。プロアントシアニジンは細菌の付着を阻害することによりそれらの効果を発揮することが前提とされている。従って、本発明の他の局面には、尿生殖器感染症に伴う症状を予防し、減少させ、又は除去するのに充分な量で、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、又は非極性プロアントシアニジンに富む組成物を有効量投与することを特徴とする、哺乳類における尿生殖器感染症を予防又は治療する方法が含まれる。本発明の組成物は単独で又は他の抗菌剤と組合せて使用することが出来る。
【0062】
プロアントシアニジンは強力な抗酸化剤であることが更に知られている。例えば、プロアントシアニジンの抗酸化剤効果は循環系及び免疫系に対するそれらの多くの利点を説明すると推測される。従って、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、食事サプリメント(例えば、食事抗酸化剤)として、又人間及び哺乳類における疾患の治療に使用することが出来るのである。例えば、本発明の組成物は、視力を改善するために、又循環器系疾患、糖尿病,及び潰瘍を治療するために使用することが出来る。
【0063】
乾燥プラムは肉製品における病原体の成長を抑制する有効な微生物剤として役に立つことが出来ることが知られている。例えば、D.Fung(カンサス州大学)は、乾燥プラムピューレをひき肉製品における微生物阻害剤として試験した。3重量%レベルの乾燥プラムピューレを用いて、ひき肉における大腸菌やサルモネラ菌のような毒性病原菌に対する99%の殺菌割合が報告された(次のURL:http://www.mediarelations.ksu.eduで入手できる2002年の新聞発表)。フェノール化合物が部分的にこの有益な効果を引起こすと考えられる。従って、本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、肉製品における病原菌の成長を妨げる肉添加剤として使用することが出来る。
【0064】
本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、アラビノガラクタン、エキナシア種、ビタミン、ミネラル、多糖類、及びレンゲ属を含むが、それらに限定されない免疫活性剤と組合わせることも出来る。
【0065】
本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、緑茶抽出物、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、及びフラボノイドを含むが、それらに限定されない抗変異原性剤と組合わせることも出来る。
【0066】
本発明のフェノール化合物に富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、錠剤、カプセル、液体、又はチンキ剤として配合することが出来る。本発明により組成物を配合する際、広い範囲の付形剤を使用することが出来るが、それらの性質は勿論該組成物の意図した適用方法に依存するであろう。付形剤の例には、防腐剤、担体、緩衝剤、増粘剤、沈澱防止剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、及び香料添加剤、特に、カルボキシビニルポリマー、プロピレングリコール、エチルアルコール、水、セチルアルコール、飽和野菜トリグリセライド、脂肪酸エステル又はプロピレングリコール、トリエタノールアミン、グリセロール、澱粉、ソルビトール、カルボキシメチルセルロース、ラウリルサルフェート、燐酸二カルシウム、レシチン、等が含まれる。
【実施例1】
【0067】
水抽出剤を用いたビルベリーの精製
1kgの乾燥ビルベリー原料に対して3回の抽出を行った。最初の抽出は6Lの水を用い、他の2回の抽出は4Lの水を用いた。すべての抽出剤は濃硫酸で5g/Lの酸濃度まで酸性化した。粗製抽出物中にアントシアニンが大体88%回収された。正確に2.3Lの粗製抽出物を、ガラスウール層が上に乗せられた30ミクロンのプロピレンフィルターに通して濾過した。該ガラスウールは一度交換し、該フィルターを脱イオン水ですすいだ。濾液の最終体積は2.43Lで、濾液中にアントシアニンが90.9%回収された。
【0068】
カラムに臭素化ポリスチレン樹脂SP−207(Supelco; Belfonte,PA)を詰め込み、0.1%酢酸で平衡させた。該カラムに2.24Lの該濾液を29.8g/Lの固体濃度で2.2mL/分の流速を用いて装填した。装填流出は装填されたアントシアニンの0.9%より少なく、該装填及び最初の2回のカラム洗浄におけるアントシアニンの全損失は4.07%であった。該溶離工程でアントシアニンが88.4%回収され、アントシアニンの物質収支は92.5%であった。2,3百ミリリットルの溶離生成物を回転蒸発器の上で蒸発乾固させてから凍結乾燥させた。乾燥生成物の最終分析は、標準分光光度定量により、塩化デルフィニジン標準物質に対して535nmにおける吸収(1.0cmにおいて102吸収単位/g/L)であった。得られた組成物は重量で43%の全アントシアニンを含有していた。
【実施例2】
【0069】
70%エタノール抽出剤を用いたビルベリーの精製
2.0%のアントシアニンが分析された乾燥ビルベリー原料(667g)を、容量で3%の硫酸を含有する70%のエタノール/水を用いて、パーコレーションにより抽出した。粗製抽出物中の固体は、3.9重量%の全アントシアニンを含有していた。1リットルの最初の抽出容量を100mLの脱イオン水と混合し、真空で約460mLまで蒸発させて該アルコールを除去した。該混合物に脱イオン水(300mL)を添加し、更に170mLの液体を蒸発させた。脱イオン水(210mL)を添加して最終容量を800mLとした。該水性混合物に150gのCelite 512(固体1グラム当り0.5〜0.9gのCelite)を添加した。該混合物を均質になるまで振蕩した。Celite/抽出物を真空下で30gの湿ったCelite 512床上に注いだ。濾過完了後、該床を1.20Lの1%硫酸水溶液で200mLずつ洗浄した。濾液量は1855mLであった。該濾液に145mLの脱イオン水を加えて2.0Lの最終容量にした。
【0070】
該濾液の一部(695mL)を、170mLの臭素化ポリスチレン樹脂(SP−207)が装填されたカラム上に2.2mL/分(1.3mL/分/cm2)で供給した。これにより、1リットルのカラム媒体当り17gのアントシアニンという装填値が得られた。該カラムを、1カラム容量の0.1%酢酸水溶液に続いて2.5カラム容量の0.1%HOAc/10%エタノール/90%水で洗浄した。次に該カラムを10カラム容量の70%エタノール/水で溶離し、該70%エタノール画分を一緒にして60℃、50mbarにおいて真空で濃縮して光る暗色乾燥非晶質固体(「画分3」)が得られた。乾燥生成物の最終分析は、標準分光光度定量により、塩化デルフィニジン標準物質に対して535nmにおける吸収(1.0cmにおいて102吸収単位/g/L)であった。得られた組成物は重量で32%の全アントシアニンを含有していた。
【0071】
図2及び3は、本発明の方法によりビルベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の、510nm及び280nm夫々におけるHPLCクロマトグラムである。
【0072】
表1は、典型的なアントシアニンに富む組成物(「画分3」)中の各アントシアニンのパーセントを取りまとめたものである。
表1.ビルベリーの「画分3」に存在するアントシアニンの同定及び含量
【0073】
【表1】
【実施例3】
【0074】
ブルーベリーからのフェノール化合物に富む組成物
10Lの丸底フラスコにおいて、940gの乾燥粉砕ブルーベリー(イリノイ州モメンス、Van Drunen Future Ceuticals)に4.0リットルの抽出溶剤(70%エタノール中1.0w/v%硫酸)を添加した。該フラスコを40℃に維持された恒温水槽中で2時間回転させた。該混合物をかきまぜ、真空下150gのCelite 512床に通して濾過した。ブルーベリーのバイオマスケークを500mLの抽出溶剤で洗浄した。該ケークを該Celite床から注意深く掻き取り、丸底フラスコ中に移し、上述の操作に従って再抽出した。次に第三の抽出を行った。三つの粗製抽出物を一緒にした。
【0075】
一緒にした抽出物の一部(2.00L)を40℃の水槽温度で真空下175mLまで濃縮した。蒸発させた抽出物を脱イオン水で希釈して675mLのブルーベリー粗製抽出物が得られた。該粗製抽出物を、170mLの臭素化ポリスチレン樹脂(SP−207)が装填され、前以て調整され(即ち、アセトンで洗浄され)平衡させられたカラム上に濾過せずに供給した。該カラムを、0.1%酢酸で、そして0.1%HOAc/10%エタノールで洗浄した。アントシアニンは70%エタノールで溶離された。生成物プールを60℃、50mbarで真空下蒸発させた。最終生成物分析は、標準分光光度定量により、塩化デルフィニジン標準物質に対して535nmにおける吸収(1.0cmにおいて102吸収単位/g/L)であった。精製されたブルーベリー組成物(「画分3」)は重量で18%の全アントシアニンを含有し、アントシアニンの全回収は95%であった。
【0076】
図4及び5は、本発明の方法によりブルーベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の、510nm及び280nm夫々におけるHPLCクロマトグラムである。
【実施例4】
【0077】
ブルーベリーからのより高純度のフェノール化合物に富む組成物
この実施例では、実施例3に記載したように製造されたブルーベリーを原料とし全アントシアニンが18重量%であるフェノール化合物に富む組成物の一部を、該組成物の純度を増加させるために、強い又は弱いアニオン交換樹脂に通過させて残留酸を除去した。
【0078】
該フェノール化合物に富むブルーベリー組成物の約1.0gを、50mLの水に溶解し、強アニオン交換樹脂(ペンシルベニア州モントゴメリー、TosoHaas,Super Q−650 M)又は弱アニオン交換樹脂(Whatman,DEM−63)を含有する9mLのカラムに通過させた。該カラムを30〜35mLの水で洗浄した。該強アニオン交換樹脂カラムの場合は、該樹脂を25mLの20%エタノールに続いて40%エタノールで更に洗浄した。該強アニオン交換カラムから単離した組成物は28.3重量%の全アントシアニンを含有し、該回収は88%であった。該弱アニオン交換カラムから単離した組成物は30.6重量%の全アントシアニンを含有し、該回収は88%であった。
【実施例5】
【0079】
ペクチナーゼ処理を用いたビルベリーからのフェノール化合物に富む組成物
1024gの冷凍ビルベリーに温水(548g)を添加した。該混合物をミキサーでピューレにしてから40℃に加熱した。次に150μLのペクチナーゼ(ニューヨーク州ノリッジ、Quest International,Quest Super 7x)を添加して40℃で30分攪拌処理した。該スラリーに約4mLの濃硫酸を添加して0.5%(w/w)の酸濃度を達成した。次に該混合物を45℃に加熱して非常にゆっくり攪拌しながら15分間抽出した。Dicalite(164g)を該抽出混合物に添加してから、それを26gのDicalite床を越えて濾過した。得られたケークを400mLの0.1%温硫酸水溶液で3回洗浄した。この抽出物を25μmの加圧フィルターに通して濾過した。濾過抽出物のすべて(2.4L)を170mLのSP−207カラム上に装填した。装填後、該カラムを0.1%酢酸水溶液で洗浄してから70%エタノール水溶液で溶離して「画分3」が提供された。「画分3」を蒸発乾固させてから凍結乾燥器上に48時間置いた。最終生成物は、535nmにおける吸収の標準分光光度定量により全アントシアニンを分析した。該フェノール化合物に富む組成物は、重量で40%の全アントシアニンを含有していた。アントシアニンの全回収は大体79%であった。
【実施例6】
【0080】
エルダーベリー・バイオマス粉末からのフェノール化合物に富む組成物
1.88%のアントシアニンおよび5.31%のフェノール化合物が分析された乾燥エルダーベリー・バイオマス粉末(カリフォルニア州ロングビーチ、BI Nutraceuticals)約190gを1000gの温水に添加した。該溶液を充分に混合して45℃の湯浴に移した。該溶液に190μLのペクチナーゼ(Super 7X,Quest)を添加してから、該混合物を30分間放置した。該混合物を、2.5mLの濃H2SO4を用いて2.5のpHまで酸性化してから、10分間静かに混合した。この酸性化混合物に164gのCeliteを添加してから、該酸性化混合物を26gのCelite床を越えて濾過した。該フィルターケークを400mLの酸性化温水で3回、全体として1200mLで洗浄した。次に該濾液を25μmの加圧フィルターに通して濾過しエルダーベリー抽出物が得られた。
【0081】
該エルダーベリー抽出物を、170mLのSP−207(三菱ケミカル)臭素化ポリスチレンカラム上に2.3mL/分(1.3mL/分/cm2)の速度で装填した。装填中該カラムから離れて収集された溶離液は、「画分1」として収集された。装填後、該カラムを3カラム容量(3x170mL)の0.006%硫酸水溶液で洗浄した。この洗浄からの溶離液は「画分2」として収集された。次に該カラムを8〜10カラム容量の70%エタノール水溶液で溶離し、それらは「画分3」として収集された。次に該カラムを3カラム容量の90%エタノール水溶液で洗浄し、それらは「画分4」として収集された。該カラムを8カラム容量の0.006%硫酸水溶液で再平衡化した。画分3及び4を蒸発乾固させてから乾燥するまで凍結乾燥させた。臭素化ポリスチレン樹脂からの溶離の間に単離されたいくつかの画分を、実施例7及び8で記載されるように、アントシアニン及びフェノール化合物について分析した。
表2.エルダーベリー画分中のアントシアニン及びポリフェノールの分析と回収
【0082】
【表2】
【0083】
図6〜13は、濾過されたエルダーベリー抽出物の、及びカラム精製の間に単離されたいくつかの画分のHPLCクロマトグラムを示す。使用されたHPLC条件は実施例9に記載される条件である。
【0084】
図6及び7は、濾過されたエルダーベリー抽出物の、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。
【0085】
図8及び9は、濾過されたエルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上にカラム装填している間に収集された「画分1」の、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。
【0086】
図10及び11は、濾過されたエルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂から70%エタノールの使用によりカラム溶離している間に収集された「画分3」の、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。
【0087】
図12及び13は、濾過されたエルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂から90%エタノールの使用によりカラム溶離している間に収集された「画分4」の、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。
【0088】
本発明のフェノール化合物に富む組成物は、実質的に図10〜13に示された標準的HPLCクロマトグラムにおいて60〜75分の範囲にピークを示す化合物を含む。
【実施例7】
【0089】
アントシアニンの定量的測定
この方法は、外部標準を用いたUV−VIS(紫外・可視)分光光度測定法により、種々のバイオマス試料及び乾燥され精製されたフェノール化合物に富む組成物中の全アントシアニンを定量するのに用いられる。試験される各試料(例えば、濃縮されたフェノール化合物に富む組成物、乾燥されたバイオマス、又は新鮮/冷凍バイオマス)は、以下に説明されるように異なる調整操作を必要とする。
【0090】
フェノール化合物に富む組成物: 精製されたフェノール化合物に富む組成物を100mL容量のフラスコ中に75〜100mg正確に秤量し、2%HCl/MeOHで希釈して一杯にする。良く混合してから、この試料の0.40〜1.6mLを2%のHCl/MeOHで希釈して10.0mLとする。
【0091】
乾燥バイオマス: コーヒー豆ひき器中に、該豆ひき器の刃を覆うのに充分な量の乾燥バイオマスを入れる。約1分間又は微細に粉砕されるまで粉砕する。或いは、乳鉢及び乳棒を用いて該原料を微細に粉砕する。100mL容量のフラスコ中に微細に粉砕されたバイオマスを約50〜100mg正確に秤量してから、約80mLの2%HCl/MeOHを添加し蓋をする。該フラスコを、50℃の油浴又は強制空気オーブンに30〜60分間入れ、30秒静かに振蕩させてから、5分間音波破砕する。該溶液を室温まで冷却させる。2%HCl/MeOHを該印まで添加し混合する。該試料の一部を0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してバイアル中に濾過する。該濾液の1.0mLを2%HCl/MeOHで10.0mLまで希釈する。該希釈係数は10mL/1mL、即ち10となるであろう。
【0092】
冷凍/新鮮バイオマス: 1000mLのポリプロピレンビーカー中に冷凍/新鮮バイオマスを400.0g秤量する。該ビーカー中に400gの沸騰直前の水を添加する。機械的ミキサー(Waring等)を用いて裏ごしする。口径の広いポリエチレンスポイトを用いて、0.5〜1.5gの代表的試料を取除いて、風袋が計量された100mL容量のフラスコ中に移す。80mLの2%HCl/MeOHを添加し蓋をする。該フラスコを、50℃の油浴又は強制空気オーブンに60〜120分間入れ、30秒静かに振蕩させてから、5分間音波破砕する。該溶液を室温まで冷却させる。2%HCl/MeOHを該印まで添加し混合する。一部を0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してバイアル中に濾過する。該希釈係数は、バイオマスと水の合計重量をバイオマスの重量で割った値となるであろう[例えば、(400g+400g)/400g=2]。
【0093】
乾燥損失: 上記試料中の全アントシアニン含量を得る計算は、該原料の含水量、即ち、%LOD(乾燥損失)の測定を必要とする。%LODを測定するため、正確に秤量されたアルミニウム・ウェーパン中に0.5〜3.0gの試料を移して均一に分配し、該重量を0.1mgに近似した正確さで記録する。該試料を105℃±3℃のオーブンに2時間(2時間15分を超えない)入れる。該試料が室温に冷えてから(乾燥器を使用しても良い)、該試料を秤量して該重量を0.1mgに近似した正確さで記録する。%LODは式1を用いて0.1%に近似した正確さで決定される。
【0094】
【数1】
[式中、%LOD=乾燥損失パーセント、WD=受皿及び試料の乾燥重量(g)、WP=受皿の重量(g)、そしてWSP=受皿及び試料の初期重量(g)。]
【0095】
分析操作: UV/VIS分光光度計を、可視ランプをオンにして光度測定モードで読めるようにセットする。該計器を、1cm光路長のガラス、石英、又は使い捨てポリスチレンのセル中に2%HCl/MeOHを用いて、535nmでゼロ目盛に合せる。同じか又は整合させた1cmのセル中で、準備した試料の吸収を535nmで測定する。
【0096】
計算: 全アントシアニンの濃度は式2に示されたように計算される。
【0097】
【数2】
[式中、CANTHOS=試料中全アントシアニンの濃度(mg/mL)、ABSSAMP=535nmにおける試料の吸収、DF=下記に説明される希釈係数、そしてES=塩化シアニジン(サクランボ、クランベリー、エルダーベリー、及びプラムに対して、101.1)又は塩化デルフィニジン(ビルベリー及びブルーベリーに対して、102.0)の適切な外部標準の吸収率(1cmのセルを用いた2%HCl/MeOH中535nmにおける1mg/mL溶液の吸収)。乾燥バイオマスに対する希釈係数(DF)は1であり、新鮮/冷凍バイオマスに対する希釈係数はバイオマスと水の合計重量をバイオマスの重量で割った値[例えば、(400g+400g)/400g]である。精製された抽出物に対する希釈係数は、最終希釈容量を抽出物溶液の容量で割った値(例えば、10mL/0.40mL)である。]
【0098】
全アントシアニンパーセントは式3に示されるように計算される。
【0099】
【数3】
[式中、%Anthos=試料中全アントシアニンのパーセント、CANTHOS=全アントシアニンの濃度(mg/mL)、Volume=試料調製の初期容量(通常100mL)、WS=該調製に用いたバイオマス又はフェノール化合物に富む組成物の重量(通常、乾燥バイオマスの場合50〜100mg、新鮮/冷凍バイオマスの場合500〜1500mg、又は精製抽出物の場合75〜100mg)、そしてSLOD=乾燥或いは新鮮バイオマス又は精製抽出物に対して(100−%LOD)/100(新鮮又は冷凍バイオマスに対してこの係数はあてはまらない)]。
【実施例8】
【0100】
全ポリフェノールの定量的測定
この方法は、外部標準として没食子酸を用いたUV−VIS(紫外・可視)分光光度測定法により、種々のバイオマス試料及び乾燥され精製されたフェノール化合物に富む組成物中の全ポリフェノールを定量的に測定するのに用いられる。
【0101】
該操作は20%Na2CO3溶液及び2%HCl/MeOHを必要とする。該Na2CO3溶液を調製するには、約350mLの脱イオン水を含有する500mL容量のフラスコ中に約100gのNa2CO3を秤量する。10分間音波破砕し振蕩して混合する。脱イオン水を用いて一杯になるまで希釈し、均質になるまで攪拌する。2%のHCl/MeOHを調製するには、500mL容量のフラスコ中に約350mLのメタノールを移す。該フラスコ中に10.0mLのHClをピペットで入れる。メタノールを用いて一杯になるまで希釈し、均質になるまで混合する。
【0102】
没食子酸ストック標準を調整するには、100mL容量のフラスコ中に100mgの没食子酸(ミズーリ州セントルイス、Sigma)を正確に秤量する。70mLの脱イオン水を添加し、溶解するまで5分間音波破砕する。脱イオン水を用いて一杯になるまで希釈し、蓋をして均質になるまで混合する。
【0103】
試験する各試料(例えば、フェノール化合物に富む組成物、乾燥バイオマス、又は新鮮/冷凍バイオマス)は、異なる調製操作を必要とし、実施例7に説明したように調製した。
【0104】
乾燥損失: 上記試料中の全ポリフェノール含量を得る計算は、該原料の含水量、即ち、%LOD(乾燥損失)の測定を必要とする。%LODを測定するため、正確に秤量されたアルミニウム・ウェーパン中に0.5〜3.0gの試料を移して均一に分配し、該重量を0.1mgに近似した正確さで記録する。該試料を105℃±3℃のオーブンに2時間(2時間15分を超えない)入れる。該試料が室温に冷えてから(乾燥器を使用しても良い)、該試料を秤量して該重量を0.1mgに近似した正確さで記録する。%LODは上記式1を用いて0.1%に近似した正確さで決定される。
【0105】
比色発現操作: きれいな100mL容量のフラスコを試薬ブランクとして役立つように脇に置く。2個の100mL容量のフラスコに「高」標準及び「低」標準とラベルを付ける。没食子酸ストック溶液を用いて、ピペットで800mLを「高」標準フラスコ中に入れ、200mLを「低」標準フラスコ中に入れる。乾燥バイオマス試料に対しては、該濾過溶液の20mLを100mL容量のフラスコ中にピペットで入れる。新鮮/冷凍バイオマス試料に対しては、該濾過溶液の10mLを100mL容量のフラスコ中にピペットで入れる。精製された試料に対しては、0.80〜2.0mLを100mL容量のフラスコ中にピペットで入れる。上記で調製したフラスコ(試薬ブランクを含む)の各々に以下のものを添加する。
1.全容量を約65mLにするのに充分な脱イオン水を各フラスコに添加する。
2.FCフェノール試薬(Sigma)の5.0mLを各フラスコ中にピペットで入れ、静かに攪拌する。
3.20%Na2CO3溶液の15±2mLを各フラスコ中にピペットで入れる。
4.各フラスコ中の溶液を静かにかきまぜながら混合し、脱イオン水で一杯になるまで希釈し、蓋をして逆さにする。
5.それらの溶液を少なくとも3時間しかし4時間以下発色させる。
6.濾過を必要とする試料の10mL分割量を0.45μmのPVDFシリンジフィルターに通して適切な容器中に濾過する。
【0106】
分析操作: UV/VIS分光光度計を、可視ランプをオンにして光度測定モードで読めるようにセットする。1cm光路長のガラス、石英、又は使い捨てポリスチレンのセル中で分析を行う。該計器を、試薬ブランクを用いて、760nmでゼロ目盛に合せる。同じか又は整合させた1cmのセル中で、各溶液の吸収を760nmで測定する。
【0107】
計算: 全ポリフェノールの濃度を計算するには、最初に没食子酸の吸収率を測定しなければならない。この値は式4に記載されているように得られる。
【0108】
【数4】
[式中、ER=吸収単位/g/Lで表した760nmにおける参照標準(没食子酸)の吸収率、AR=参照標準溶液の吸収、CR=ストック標準溶液中没食子酸の濃度、DR=没食子酸標準に対する希釈係数(「高」標準に対する125又は「低」標準に対する500)、そしてELOD=パーセントとしての没食子酸固体の乾燥損失。]
【0109】
下記の式5に使用するため、「高」標準及び「低」標準に対する吸収率を平均化する。発色試料調製液中の全ポリフェノールの濃度は式5に示されているように計算される。
【0110】
【数5】
[式中、CP=FC試料調製液中全ポリフェノールの濃度(mg/mL)、AS=FC試料調製液の吸収、DFC=試料希釈係数(DFは典型的に、乾燥バイオマスに対し5、新鮮/冷凍バイオマスに対し10、そして精製されたフェノール化合物に富む組成物に対し50〜125である)、そしてER=没食子酸標準の平均吸収率。]
【0111】
全ポリフェノールパーセントは式6に示されているように計算される。
【0112】
【数6】
[式中、%P=試料中全ポリフェノールのパーセント、CP=全ポリフェノールの濃度(mg/mL)、VS=初期試料調製液の容量(通常100mL)、WS=初期試料調製液に用いたバイオマス又は精製組成物の重量(通常、乾燥バイオマスに対しては50〜100mg、新鮮/冷凍バイオマスに対しては500〜1500mg、そして精製抽出物に対しては75〜100mg)、DS=初期試料希釈係数(DSは、乾燥バイオマスに対し1、新鮮/冷凍バイオマスに対し2、又は精製抽出物に対し1である)、そしてSLOD=バイオマス又は精製抽出物に対して(100−%LOD)/100。新鮮又は冷凍バイオマスに対してこの係数はあてはまらない。]
【実施例9】
【0113】
HPLC定性分析
この方法は、種々のバイオマス及び精製されたフェノール化合物に富む組成物中の化合物を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により同定するのに使用される。各タイプの試料は、下記に説明するように異なる調製操作を必要とする。
【0114】
乾燥バイオマス: 乾燥バイオマスは、まだ粉末化されてないならば、ウィリーミルを用いて1mmスクリーンに通して粉砕する。適切な大きさにした円筒濾紙及びソックスレー抽出器を使用して、約12gの粉末化バイオマスを円筒濾紙中に秤量し、200mLのメタノールを用いて抽出する。少なくとも20サイクル又は抽出溶剤が澄明になるまで抽出する。該抽出液を250mL容量のフラスコにメタノールを用いて定量的に移し、一杯になるまで希釈して混合する。該抽出液を0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してHPLCバイアル中に濾過する。
【0115】
冷凍/新鮮バイオマス: 1000mLのポリプロピレンビーカー中に冷凍/新鮮バイオマスを400g秤量する。該ビーカー中に400gの沸騰直前の水を添加する。機械的ミキサー(Waring等)を用いて裏ごしする。口径の広いポリエチレンスポイトを用いて、0.5〜1.5gの代表的試料を取除いて、風袋が計量された100mL容量のフラスコ中に移す。80mLのMeOHを添加し、蓋をして50℃で30分間加熱する。該溶液を室温まで冷却させ、メタノールで一杯になるまで調整してから、均質になるまで音波破砕する。一部を0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してHPLCバイアル中に濾過する。
【0116】
精製されたフェノール化合物に富む組成物: 該フェノール化合物に富む組成物をガラスのシンチレーション・バイアル中に50〜100mg正確に秤量し、10.0mLの50%MeOH/H2Oを添加する。5分間音波破砕する。0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してHPLCバイアル中に濾過する。
【0117】
HPLCを必要とされているようにセットする。本発明の一態様において、5mLのトリフルオロ酢酸(TFA)を1000mLの高純度タイプ1水中に混合することにより水性移動相を調製した。20μLの試料を周囲温度で注入した。280nmの波長を検出に使用し、流速は1.0mL/分であり、運転時間は105分であった。Zorbaxカラムは150x4.6mmのIDカラムに5μmのSBC−18を詰め込んだ。この態様において、移動相は以下のようにセットした:チャネルA:100%アセトニトリル;チャネルB:H2O中0.5%TFA;そしてチャネルC:100%メタノール。表3は、本発明のこの態様に対するHPLC階調度をまとめたものである。
【0118】
もし入手できるならば、試料中に存在することが知られている化合物の標準調製液を約1mg/mLの濃度で調製することが出来る。これらの標準調製液は、大体の滞留時間を測定し、それにより試料クロマトグラム中のそれらの化合物を同定するのに使用することが出来る。この方法は定性目的の為のみに使用されるので、計算は全く必要ない。
表3: 定性分析のためのHPLC階調度
【0119】
【表3】
【実施例10】
【0120】
プロアントシアニジンのパーセントを測定するための定量的HPLC法
このHPLC法は、種々の画分及びフェノール化合物に富む組成物中のプロアントシアニジンの量を測定するのに使用される。各タイプの試料は異なる調製を必要とするので、実施例9で説明したように調製する。該方法は、150x4.6mmのカラムにStablebond SBC−18を詰め込んだ5μm Zorbaxカラムを使用する。流速は1.5mL/分であり、検出器は280nmにセットし、注入容量は10μLであり、そして運転時間は24分であった。移動相は、チャネルA=100%アセトニトリル;チャネルB=水中0.1%トリフルオロ酢酸;チャネルC=100%メタノールであった。使用した階調度を表4に提供する。プロアントシアニジンは、11〜22分の溶離時間でHPLCクロマトグラムにおいて幅広いピーク群として典型的に溶離された。
表4.プロアントシアニジンの%分析のためのHPLC階調度
【0121】
【表4】
【0122】
プロアントシアニジンを定量するために、組織内で前以って調整したプロアントシアニジン標準を90%より高い純度で利用する。これの試料は70%エタノール中5.5mg/mLで調製し、この実施例で説明したHPLC法を用いて分析する。この標準に対するクロマトグラムには(図14に見られるように)11〜22分の滞留時間範囲で大きな幅広いピークが含まれるが、これはプロアントシアニジンによる。11〜22分のピーク全体を手作業で積分する。次に、式7に示されているように、標準に対するピーク面積応答係数を、11〜22分の全ピーク面積を標準溶液濃度とその純度の積で割ることにより決定する。
【0123】
【数7】
[式中、RF=標準に対するピーク面積応答係数(面積単位/mg/mL)、PA=標準におけるプロアントシアニジンのピーク面積、CSTD=mg/mLで表した標準溶液の濃度、そしてPSTD=パーセントとしての標準物質純度(通常0.90)。]
【0124】
試料中のプロアントシアニジンのパーセントは、上述の試料調製及びHPLC分析法を用いて測定することが出来る。問題の試料に対して、11〜22分の滞留時間範囲における全ピーク面積を測定する。しかしながら、いかなる計算をする前にも、プロアントシアニジン滞留時間範囲における非プロアントシアニジン化合物のピーク面積を、端から端までの全ピーク面積から引かなければならない。非プロアントシアニジン化合物は、幅広いプロアントシアニジンのピークと共に溶離する鋭いピークとして又は該ピークの頂上における鋭いピークとして頻繁に現れ、それらのダイオードアレーによるUVスペクトルはプロアントシアニジンのピークの大部分としばしば異なる。非プロアントシアニジンのピーク面積を測定するには、これらのピークを手作業で積分し、それらのピーク面積を合計し、次にこの面積を11〜22分の全ピーク面積から引く。試料中のプロアントシアニジンのピーク正味面積が一旦測定されたら、式8に示されるように、この値を組織内標準に対するピーク面積応答係数で割って試料中のプロアントシアニジンの濃度を得る。
【0125】
【数8】
[式中、CPROANTHOS=試料中全プロアントシアニジンの濃度(mg/mL)、PASAMP=試料に対する訂正全ピーク面積、DF=希釈係数(乾燥バイオマスに対して1、新鮮/冷凍バイオマスに対して2、そしてフェノール化合物に富む組成物に対して1)、そしてRF=式7を用いて計算されたピーク面積応答係数。]
【0126】
全プロアントシアニジンの%は式9に示されるように計算される。
【0127】
【数9】
[式中、%Proanthocyanidins=試料中全プロアントシアニジンのパーセント、CPROANTHOS=全プロアントシアニジンの濃度(mg/mL)、V=試料調製液の容量(通常、乾燥バイオマスに対しては250mL、新鮮/冷凍バイオマスに対しては100mL、又はフェノール化合物に富む組成物に対しては10mL)、そしてWS=試料調製に用いたバイオマス又はフェノール化合物に富む組成物の重量(通常、乾燥バイオマスに対しては12,000mg、新鮮/冷凍バイオマスに対しては500〜1500mg、又はフェノール化合物に富む組成物に対しては50〜100mg)。]
【実施例11】
【0128】
濾過されたエルダーベリー抽出物からの極性及び非極性プロアントシアニジンの直接的分割
この実施例では、濾過されたエルダーベリー抽出物を調製し、臭素化ポリスチレン樹脂上で精製する代りに、図15に説明した方法により、真空液体クロマトグラフィー(VLC)カラム上に直接供給して、濾過抽出物から直接に極性プロアントシアニジン及び非極性プロアントシアニジンを分割した。
【0129】
メタノール中Bakerbond 40μmフラッシュ・クロマトグラフィー C−18媒体のスラリー50mLを、60mLのガラス濾過器に通して濾過することにより、50mLのC−18 VLCカラムを調製した。該カラムを、メタノールで、次に水で洗浄することにより、調整した。12.0gの固体、74mgのアントシアニン、及び約780mgのプロアントシアニジンを含有する濾過されたエルダーベリー抽出物の300mL部分を、該カラム上に供給した。実施例10で説明したHPLC法を用いた濾過抽出物のHPLCクロマトグラムを図16に示す。流過溶離液(約300mL)及び100mLの洗浄液(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA))を一緒にして極性プロアントシアニジンの「画分5」を提供した。「画分5」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図17に示す。次に該カラムを、0.1%TFAを含有する30,40,50,60,70及び100%メタノールの各100mLで溶離した。60%メタノール溶離液中に単離された非極性プロアントシアニジンの「画分6」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図18に示す。これらの画分を、実施例7及び10で説明した方法により、アントシアニン及びプロアントシアニジンに対して分析した。表5はこの実験の結果をまとめたものである。
表5: エルダーベリーの分割
【0130】
【表5】
【0131】
該結果によれば、濾過抽出物中のプロアントシアニジンの71%(558mg)が装填及び洗浄中に収集されたことが示されている。これらの化合物は比較的極性のプロアントシアニジンであった。非極性プロアントシアニジンは、メタノール濃度を少なくとも40%に増加させた時に溶離された。50〜70%メタノール画分中に溶離されたプロアントシアニジンの純度は高かったが、それは、濾過されたエルダーベリー抽出物に含有される固体の大部分が装填溶離剤、水洗浄液、及び30%メタノール洗浄液中に溶離された事による。
【実施例12】
【0132】
VLCによるエルダーベリー・プロアントシアニジンの分割に続くゲル浸透クロマトグラフィー又は半分離用HPLCによる精製
実施例6で説明した操作を用いて、臭素化ポリスチレン樹脂からの溶離の間に70%エタノール画分(「画分3」)を収集することにより、エルダーベリー乾燥バイオマス(ドイツ、Martin Bauer)からフェノール化合物に富む組成物を調製した。このフェノール化合物に富む組成物の一部(2.00g)を50mLの水に溶解し、Bakerbond 40μm C−18媒体で調製した15mLのC−18 VLCカラム上に供給した。流過溶離液及び25mLの水洗浄液を一緒にし凍結乾燥して、733mgの極性プロアントシアニジン画分(「画分5」)を生成した。次に該カラムを25mLの50%メタノールで洗浄した。非極性プロアントシアニジン(「画分6」)は25mLの70%メタノールで溶離された。この画分中のメタノールを除去し、得られた水懸濁液を凍結乾燥して、192mgの非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)を生成したが、これはHPLC分析により100%のプロアントシアニジンであった。この画分は例えあるとしても少ししか色を有していなかったので、この画分におけるオリゴマー状プロアントシアニジン鎖はカチオン性アントシアニン単位を含有しないことが示唆される。
【0133】
極性プロアントシアニジン画分(「画分5」)を半分離用HPLCにより更に精製してアントシアニン残渣及び他のより極性の不純物を除去した。これら固体の半分離用HPLC精製のための条件を下記に説明する。
【0134】
該半分離用HPLC法は、6μm,60オングストロームのNova−Pak HR C−18媒体で充填された2.5x10cmのWaters PrepPakカートリッジ(マサチューセッツ州ミルフォード、Waters)を使用した。移動相は、チャネルA=100%アセトニトリル;チャネルB=0.1%トリフルオロ酢酸;チャネルC=100%メタノールであった。この態様で使用した階調度は表6に提供した通りであった。流速は30mL/分であり、検出器は280nmにセットし、注入容量は典型的に50〜125mgの固体を含有する溶液の3〜5mLであった。運転時間は30分であった。プロアントシアニジンは13〜20分で溶離された幅広いピークで収集された。
表6: エルダーベリー・プロアントシアニジン精製に対するHPLC階調度
【0135】
【表6】
【0136】
極性プロアントシアニジン画分(「画分5」)の約600mgを25mLの水に溶解した。約3mL(75mg)を8回の試験の各々に注入した。各試験において約12〜18分で溶離するプロアントシアニジンのピークを収集し、ため、回転蒸発器上で蒸発させてから、水溶液残渣を凍結乾燥させた。約100mgの精製極性エルダーベリー・プロアントシアニジン(「画分7」)が、VLC分離後の極性プロアントシアニジン固体(「画分5」)600mgから得られた。半分離用HPLC精製後のVLC単離極性プロアントシアニジンに対する280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図19に示す。砂糖、アミノ酸、アントシアニン、有機酸、及び小さなフラボノイド化合物を含む極性前線は、図19におけるこれらピークの不存在により証明されるように、半分離用HPLC精製により除去された。精製極性プロアントシアニジン(「画分7」)の13C NMRスペクトルを図20に示す。
【0137】
非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)をゲル濾過クロマトグラフィーにより更に精製した。VLC分離中に単離された非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)の一部(48mg)を20mLの温水に溶解し、前以て水で平衡させておいた14mLのSephadex LH−20カラム上に装填した。装填溶離液を収集し40mLのカラム洗浄水と一緒にした。非極性プロアントシアニジンの大部分はこの点で該カラムから溶離されたが、一方それより小さなフラボノイド不純物は保持された。一緒にした装填溶離液及び洗浄溶離液を冷凍乾燥して32mgの精製非極性プロアントシアニジン「画分8」を提供した。これらの固体は強い抗ウィルス活性を有していた。図21及び23は、Sephadex LH−20カラム精製前の非極性プロアントシアニジン(「画分6」)の、280nm及び368nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。図22及び24は、精製非極性プロアントシアニジン(「画分8」)の、280nm及び368nm夫々におけるHPLCクロマトグラムを示す。図21における星印でマークしたピークは、それらのUVスペクトルに基づき非プロアントシアニジン・フラボノイド化合物である。これらの化合物は、図22の280nmにおけるHPLCクロマトグラムに示されているように、Sephadex LH−20カラム後に単離された精製非極性生成物(「画分8」)では減少している。ゲル精製の効果は、精製前の非極性プロアントシアニジンの368nmにおけるHPLCクロマトグラム(図23)を比較することにより、より良く理解することが出来る。非プロアントシアニジン不純物は、図23では4〜6分及び15〜17分に現れている。図24に示された精製試料においては、5.8分で溶離された少量のフラボノイド化合物以外、微量のフラボノイド化合物も全く存在しない。精製非極性プロアントシアニジン「画分8」の13C NMRスペクトルを図25に示す。図33は画分7のIRスペクトルを示し、図34は「画分8」のIRスペクトルを示す。
【実施例13】
【0138】
VLCに続く半分離用HPLCによるブルーベリー極性及び非極性プロアントシアニジンの精製
この実施例の出発材料は、ブルーベリーから調製し、臭素化ポリスチレン樹脂からの70%エタノール溶離中に単離したフェノール化合物に富む「画分3」であった。「画分3」の一部(6.00g)を80mLの水に溶解し、前述の30mL C−18 VLCカラム上に装填した。装填溶離液を収集し100mLの0.1%TFA洗浄溶離液と一緒にした(「画分5」)。次に、該カラムを80mLの40%メタノールで洗浄して極性化合物(「画分5」)残渣を除去してから、80mLの70%メタノールで洗浄して非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)を得た。表7はこの実験の結果をまとめたものである。
表7: ブルーベリー・プロアントシアニジンの精製
【0139】
【表7】
【0140】
極性プロアントシアニジン「画分5」(装填溶離液+洗浄液)及び非極性プロアントシアニジン画分6(70%メタノール溶離液)を各々、実施例12に説明した方法により半分離用HPLCで更に精製して、夫々「画分7」及び「画分8」を提供した。半分離用精製の前及び後のブルーベリー極性プロアントシアニジン画分(即ち、「画分5」及び「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを夫々図26及び27に示す。半分離用精製の前及び後のブルーベリー非極性プロアントシアニジン画分(即ち、「画分6」及び「画分8」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを夫々図28及び29に示す。図27及び29の約0〜8分におけるピークの不存在により証明されているように、極性及び非極性画分の半分離用精製により、望ましくないアントシアニン及び極性フラボナイド化合物がプロアントシアニジンから除去された。図37は「画分7」のIRスペクトルを示し、図38は「画分8」のIRスペクトルを示す。
【実施例14】
【0141】
VLCに続く半分離用HPLCによるプラム極性及び非極性プロアントシアニジンの精製
この実施例の出発材料は、プラムから単離し、その61%が極性と39%が非極性と称された全プロアントシアニジン約17%を含有する、「画分3」及び「画分4」の組合せであった。この組成物の一部(8.00g)を、0.5%TFAを含有する100mLの水に溶解し、前述の45mL C−18 VLCカラム上に装填した。装填溶離液を収集し、該カラムを50mLの0.1%TFAで洗浄した。該装填溶離液及び洗浄画分を一緒にして極性プロアントシアニジン画分「画分5」を提供した。極性プロアントシアニジン「画分5」のHPLCを図30に示す。該カラムを、0.5%TFAを含有する100mLの40%メタノールに続けて0.5%TFAを含有する100mLの70%メタノールで溶離した。すべてのメタノール画分を一緒にして非極性プロアントシアニジン画分(「画分6」)を提供した。表8はこの実験の結果をまとめたものである。
表8: プラム・プロアントシアニジンの精製
【0142】
【表8】
【0143】
極性プロアントシアニジン「画分5」(装填溶離液と洗浄溶離液の組合せ)を実施例12に説明した方法により半分離用HPLCで更に精製して、「画分7」を提供した。アントシアニン及び他のより極性的不純物の除去により、試料のプロアントシアニジン純度は15%から100%に増加した。精製された極性プロアントシアニジン「画分7」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図31に示す。非極性「画分6」(40%及び70%メタノール洗浄液の組合せ)は更に精製しなかった。非極性プロアントシアニジン「画分6」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図32に示す。図39は「画分7」のIRスペクトルであり、図40は「画分6」のIRスペクトルである。
【実施例15】
【0144】
エルダーベリーVLC画分からのプロアントシアニジン画分の精製
Amberchrom CG−71cd樹脂(ペンシルベニア州フィラデルフィア、80〜160μm粒径、TosoHaas)を用いてVLCカラムを調製した。エルダーベリーの水抽出物を調製し、この抽出物の一部を該VLCカラム上に装填した。次に、該カラムを水で洗浄してから、30%、40%、50%、60%、70%、及び100%メタノールを用いて溶離した。メタノールで溶離されたすべての画分を別個に保持した。50%メタノールで溶離されたVLC画分を回転蒸発器上で蒸発させてメタノールを除去してから、凍結乾燥させて水を除去した。乾燥物質を、乳鉢と乳棒を用いて粉末に粉砕した。該乾燥試料を、実施例10に説明した方法を用いてHPLCにより分析した。この分析の結果を用い、HPLC分析法から半分離用HPLC法を誘導してプロアントシアニジンを単離した。移動相は、チャネルA=100%アセトニトリル;チャネルB=水中0.5%トリフルオロ酢酸;チャネルC=100%メタノールであった。流速は30mL/分にセットした。使用した階調度を表9に提供する。
表9.エルダーベリー・プロアントシアニジンの精製に対するHPLC階調度
【0145】
【表9】
【0146】
該乾燥試料の約500mgを約50mg/mLの固体濃度で水に溶解した。関連ピークの滞留時間を判断するために非常に小さな注入を行った。この最初の注入に基づいて、二つのピーク、即ち、14〜22分で溶離されたピークA、及び26〜28分で溶離されたピークBを収集した。濃縮溶液の5回の注入を行い、各注入から各ピークの適切な収集液をためた。ピークAの収集により得られた試料はプロアントシアニジンを含有すると判断され、蒸発させて有機溶剤及び一部の水を除去した。濃縮試料を、実施例10に説明したHPLC法を用いて分析した。該試料のクロマトグラフィー純度は93.9%であると測定された。次に該試料を凍結乾燥させて乾燥物質を得た。一旦乾燥したら、該試料の小部分を1.918mg/mLの濃度で70%エタノール中に送り込み、同じHPLC法により再分析した。この分析の結果及び先に得られたクロマトグラフィー純度を用いて、ピーク面積応答係数を決めた。このデータは、他の精製画分中のプロアントシアニジン濃度を決めるのに用いた。プロアントシアニジン「標準」の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図14に示す。
【実施例16】
【0147】
VLCに続く半分離用HPLCによるクランベリー・プロアントシアニジンの精製
この実施例の出発材料は、14%の全プロアントシアニジンを含む8.00gの精製クランベリー抽出物(「画分3」+「画分4」)であった。この材料を、1mLのトリフルオロ酢酸を含有する100mLの水に溶解し、前述の50mL C−18 VLCカラム上に装填した。装填溶離液(100mL)を収集し、50mLの0.1%TFA洗浄溶離液と一緒にして「画分5」を得た。次に、該カラムを100mLの40%メタノールで洗浄して極性化合物残渣を除去してから100mLの70%メタノールで溶離して非極性プロアントシアニジン「画分6」を得た。表10はこの実験の結果をまとめたものである。
表10.クランベリー・プロアントシアニジンの精製
【0148】
【表10】
【0149】
極性プロアントシアニジン画分(装填溶離液 + 洗浄液)を、実施例12に説明した方法により半分離用HPLCで更に精製して、「画分7」を得た。図41は半分離用精製前の極性プロアントシアニジン画分のHPLCクロマトグラムであり、図42は精製後の極性プロアントシアニジン画分のHPLCクロマトグラムである。図43は非極性プロアントシアニジン画分のHPLCクロマトグラムである。プロアントシアニジンの前に溶離されたアントシアニンのような極性非プロアントシアニジン化合物はこの方法において除去された。
【実施例17】
【0150】
エルダーベリー画分の単純ヘルペス2型ウィルス分析
実施例6に説明したように単離した粗製エルダーベリー抽出物及び画分1,3並びに4の抗ウィルス活性を、ウィルス性細胞変性効果(CPE)分析を用いて測定した。この分析は前に説明した(Drug Develp.Res.28:467−472(1993),Wyde等)。すべての抗ウィルス活性は50%効果量(ED50)として報告される。
【0151】
表11は、試験した四つの組成物に対するCPE阻害のためのED50をまとめたものである。
表11.エルダーベリー画分のCPE阻害のためのED50
【0152】
【表11】
【実施例18】
【0153】
ウィルス分析
本発明により製造された本発明のフェノール化合物に富む組成物は、種々のDNAウィルス及びRNAウィルスに対して幅広い活性を示しており、人間及び動物における炎症を治療するのに有用な活性成分として適している。細胞培養において、該フェノール化合物に富む組成物は、呼吸器合胞体ウィルス(RSV)、インフルエンザA及びB型ウィルス、パラインフルエンザウィルス(PIV)、並びに他の呼吸系ウィルス及び単純ヘルペスウィルスの分離株や実験室株に対して強力活性を示す。フェノール化合物に富む組成物は、人間及び動物における広範囲のウィルス性感染症を治療するのに有用な活性成分として適している。
【0154】
各ウィルスに対する活性を測定するのに用いられる分析は、当業者に周知である。細かに切られた特定の目的組織を希望のウィルスに曝し、該ウィルスの成長割合を試験物質の存在下及び非存在下で測定した。フェノール化合物を含有する種々の植物原料から製造した精製プロアントシアニジンに富む組成物の抗ウィルス活性を測定した。
【0155】
細胞系: ウィルス分析は、相対的なED50(50%効果量)又は50%抑制終点を測定するのに以下の細胞系を使用した: RSV(呼吸器合胞体ウィルス)及びPIV(パラインフルエンザウィルス)分析は、アフリカのミドリザルの腎臓を起源とするMA−104細胞を使用し;インフルエンザA及びB分析は、犬の腎臓を起源とするMDCK細胞を使用し;鼻炎ウィルス属分析はHeLa及びKB細胞を使用し;単純ヘルペス1および2型ウィルス分析は、人間の包皮繊維芽細胞から採ったHHF細胞を使用し;西ナイルウィルス分析は、アフリカのミドリザルの腎臓から採ったVero細胞を使用し;アデノウィルス1型分析は、人間の肺癌腫を起源とするA549細胞を使用し;そしてパンタトロウィルスA分析は、アカゲザルの腎臓を起源とするLLC−MK2細胞を使用した。
【0156】
該分析は、正の対照として公知の医薬品標準(リビバリン又はアシクロビール)を使用した。本実施例で用いた分析におけるリビバリンに対するED50は以下の通りである: RSV(呼吸器合胞体ウィルス)分析ED50=20μg/mL; PIV(パラインフルエンザウィルス)分析ED50=20μg/mL; インフルエンザA及びB分析ED50=2−3μg/mL; 鼻炎ウィルス属分析ED50<1μg/mL; 西ナイルウィルス分析ED50=20μg/mL; アデノウィルス1型分析ED50=10μg/mL; 及びパンタトロウィルスA分析ED50=20μg/mL。単純ヘルペス1および2型ウィルス分析は正の対照としてアシクロビールを使用したが、HSV1及びHSV2分析におけるED50は1−2μg/mLである。
【0157】
本発明のいくつかの組成物に対するウィルス分析で得られたデータを表12に提供する。細胞培養において、該組成物は、インフルエンザA型ウィルス(株H1N1及びH3N3)、インフルエンザB型ウィルス、アデノウィルス1型、パンタトロA型ウィルス、及び鼻炎ウィルス属2型の分離株や実験室株に対して強力活性を示した。表12における生物活性データを抗ウィルス判別検査におけるアシクロビール及びリバビリンと比較すると、本発明の組成物はこれらの分析において生物学的に活性であり、これらのウィルス性の病気を治療するのに使用されている確立された医薬品と競い合っても引けをとらないことが明白に示されている。
表12: 種々の抗ウィリス分析における種々の画分のIC50(μg/mL)
【0158】
【表12】
【実施例19】
【0159】
フェノール化合物に富む組成物のCOX−2活性の評価
シクロオキシゲナーゼ酵素(COX−1及びCOX−2)は、アラキドン酸や他の必須脂肪酸を種々のプロスタグランジンに変換する触媒作用をする。プロスタグランジンは哺乳類における炎症を引起こすホルモン状物質である。COX−2酵素を阻害することにより、組織内の炎症を最小の副作用で減少させることが出来る。他方、COX−1の阻害は、胃潰瘍化や身体内における他の望ましくない副作用を引起こす。COX−1酵素の完全な阻害は望ましくない。COX−2酵素を選択的に阻害する化合物がより良い抗炎症剤である。植物原料から製造した本発明のフェノール化合物に富む組成物は、COX−2酵素を阻害することが示されており、人間及び動物における炎症を治療するのに有用な活性成分として適している。
【0160】
この分析においては、分析すべき物質を、希望する酵素を含有することが知られている特定のマウス又はウシの細かに切られた器官組織と混合した。この混合物にアラキドン酸を添加した。酸素の吸収割合を測定し公知のCOX阻害剤に関して観察した吸収割合と比較する。COX−2分析は、人間の組換え型COX−2ポジティブ細胞を用いたアラキドン酸からの定量的PGE2生成に基づいている。
【0161】
いくつかの組成物に対する結果を表13に示す。表13に示した組成物に対するデータを公知の医薬品標準(アスピリン及びインドメタシン)の測定COX−2生物活性と比較すると、本発明の精製プロアントシアニジンに富む組成物はCOX−2分析において生物学的に活性であることが明白に示されている。アスピリンは660μg/mLでCOX−2に対して活性であり、240μg/mLでCOX−1に対して活性である。インドメタシンは10μg/mLでCOX−2に対して活性である。従って、表13中の組成物は、COX−2分析において、最も普通に使用されている炎症処理剤(即ち、アスピリン)に対して2.5〜6倍の効力増加を示し、本発明の精製プロアントシアニジンに富む組成物が哺乳類における炎症を治療するのに有用であることを示している。
表13.プロアントシアニジンに富む組成物に対するCOX−2活性
【0162】
【表13】
【実施例20】
【0163】
プロトン化第三級アミン置換ポリスチレン樹脂を用いたプラム濃縮物の精製
275gのプラム濃縮物(カリフォルニア州ユバ市、Sunsweet)に1460mLの室温水を添加した。該混合物を充分に混合してから4mLの濃硫酸を添加することにより酸性化し、次に該酸性化溶液をワットマン♯1紙フィルターに通して濾過した。
【0164】
該濾過溶液(1.7L)を、第三級アミン置換ポリスチレン樹脂(ミシガン州ミッドランド、ダウケミカル、Optipore SD−2)を含有する調整平衡化カラム(0.96メートル、170mL)上に約1.5mL/分(1時間当り0.53カラム容量)の流速で装填した。該調製材料のすべてを該カラム上に装填してから、該カラムを0.038%硫酸含有水で洗浄した。該カラムを、6カラム容量の50%エタノール/水で、次に5カラム容量の90%エタノール/水で溶離した。各溶離溶剤は0.038%硫酸まで酸性化した。両方の溶離液を一試料として収集し全フェノール化合物に対して分析した。フェノール化合物の不完全な回収が示されたこの分析結果に基づいて、該カラムを更に2.5カラム容量の50%エタノールで洗浄し、該単離溶離液を先の溶離液と一緒にした。一緒にされた該溶離液を蒸発させてエタノール及びいくらかの水を除去してから、凍結乾燥器上に48時間置いた。これらの画分から得られた乾燥物質を、ホリン・シオカルトー分光光度測定法(没食子酸標準に対して760nmにおける吸収)を用いて、全フェノール化合物に対して分析した。この同じ乾燥画分は又、本明細書に説明されているようにHPLC法(カテキン標準に対して280nmにおける吸収)を用いて、プロアントシアニジンに対しても分析した。
【0165】
単離された該精製プラム抽出物質は、生成物画分に対して22.4重量%の全フェノール化合物及び5.1%のプロアントシアニジンを含んでいた。該精製プラム抽出物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを図44に示す。該カラムに対する全回収は、全フェノール化合物に対して約91%でありプロアントシアニジンに対して95%であった。図45は、比較の為に臭素化ポリスチレン樹脂からプラム濃縮物の溶離中に収集された50%エタノール溶離画分の280nmにおけるHPLCクロマトグラムを示す。
【実施例21】
【0166】
未置換芳香族ポリマー樹脂を用いたプラム濃縮物の精製
519gのプラム濃縮物(カリフォルニア州ユバ市、Sunsweet)に2750mLの室温水を添加した。該混合物を充分に混合してから7mLの濃硫酸を添加することにより酸性化し、次に該酸性化溶液をワットマン♯1紙フィルターに通して濾過した。
【0167】
該濾過溶液(3.27L)を、SP−70,未置換ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂(日本東京、三菱ケミカル)を含有する調整平衡化カラム(0.96メートル、170mL)上に約1.5mL/分(1時間当り0.53カラム容量)の流速で装填した。装填は流出物中のポリフェノールの濃度がカラム供給物中の濃度の18%になるまで続け、その点で装填を停止し、該カラムを0.038%硫酸含有水で洗浄した。該カラムを、5カラム容量の50%エタノール/水で、次に5カラム容量の90%エタノール/水で溶離したが、各々は0.038%の硫酸を含有していた。該溶離液を別個に収集し、蒸発させてエタノール及びいくらかの水を除去してから、凍結乾燥器上に48時間置いた。50%エタノール溶離液からの乾燥物質を、ホリン・シオカルトー分光光度測定法(没食子酸標準に対して760nmにおける吸収)を用いて、全フェノール化合物に対して分析した。この同じ乾燥画分は又、本明細書に説明されているようにHPLC法(カテキン標準に対して280nmにおける吸収)を用いて、プロアントシアニジンに対しても分析した。90%エタノール画分からの乾燥物質は分析しなかった。
【0168】
該精製プラム物質は、50%エタノール画分に対して34重量%の全フェノール化合物及び4.9%のプロアントシアニジンを含んでいた。該カラムに対する全回収は、全ポリフェノールに対して約95%でありプロアントシアニジンに対して100%を超えていた。
【実施例22】
【0169】
プロトン化三級アミン置換ポリスチレン樹脂を用いたクランベリー濃縮物の精製
130mLの濃縮物(ワシントン州オセロ、SVZ USA)に1700mLの室温水を添加した。使用した130mLの濃縮物は、106mLの一つのクランベリー濃縮物(ロット♯02−1377)と24mLの他のクランベリー濃縮物(ロット♯02−11155)から成っていたが、両方とも同じ源からのものであった。該混合物を充分に混合してから3mLの濃硫酸を添加することにより酸性化し、その後該酸性化溶液をワットマン♯1紙フィルターに通して濾過した。
【0170】
該濾過溶液(1.83L)を、第三級アミン置換ポリスチレン樹脂、Optipore SD−2(ミシガン州ミッドランド、ダウケミカル)を含有する調整平衡化樹脂カラム(0.96メートル、170mL)上に約1.8mL/分(1時間当り0.63カラム容量)の流速で装填した。該調製材料のすべてを該カラム上に装填した。装填後、該カラムを0.038%硫酸含有水で洗浄した。
【0171】
該カラムを、6カラム容量の50%エタノール/水で、次に5カラム容量の90%エタノール/水で溶離した。各溶離溶剤は0.038%硫酸まで酸性化した。両方の溶離液を一試料として収集し分析した。一緒にされた該溶離画分を蒸発させてエタノール及びいくらかの水を除去してから、凍結乾燥器上に48時間置いた。該乾燥物質を、ホリン・シオカルトー分光光度測定法(没食子酸標準に対して760nmにおける吸収)を用いて全フェノール化合物に対して分析し、塩化シアニジン標準に対して535nmにおける吸収(101.1吸収単位/mg/mL)の標準分光光度測定によりアントシアニンに対して分析した。この同じ乾燥画分は又、本明細書に説明されているようにHPLC法(カテキン標準に対して280nmにおける吸収)を用いて、プロアントシアニジンに対しても分析した。該精製クランベリー抽出物質は、生成物画分に対して30.3重量%の全フェノール化合物、1.8%のアントシアニン、及び12.9%のプロアントシアニジンを含んでいた。
【0172】
図46及び47は、クランベリーの50%と90%エタノール溶離画分の組合せの、280nm及び510nm夫々におけるHPLCクロマトグラムである。図46及び47におけるHPLCクロマトグラムを、臭素化樹脂から溶離したクランベリー抽出物の280nm及び510nmにおけるHPLCクロマトグラム(夫々図48及び49)と比較すると、非常にわずかな相違が示される。これらの相違は、分析時の条件及び出発原料間に存在するわずかな変動にさかのぼることが出来る。
【実施例23】
【0173】
本発明により更なる植物原料を抽出し精製してプロアントシアニジンに富む組成物を提供した。本発明の方法により製造した精製プロアントシアニジン組成物の限定されない例を表14に示す。示されたプロアントシアニジンのパーセントは精製組成物中の重量パーセントである。
【0174】
【表14】
【実施例24】
【0175】
プロアントシアニジンのパーセントを測定するための代替定量的HPLC法
種々の画分及びフェノール化合物に富む組成物中のプロアントシアニジンの量を測定するのに使用されるこの代替HPLC法は、外部標準としてカテキンを使用する。各タイプの試料は異なる調製を必要とするので、実施例9で説明したように調製する。該方法は、150x4.6mmのカラムにStablebond SBC−18を詰め込んだ5μm Zorbaxカラムを使用する。流速は1.5mL/分であり、検出器は280nmにセットし、注入容量は10μLであり、そして運転時間は24分であった。移動相は、チャネルA=100%アセトニトリル;チャネルB=水中0.1%トリフルオロ酢酸;チャネルC=100%メタノールであった。使用した階調度を表15に提供する。プロアントシアニジンは、11〜22分の溶離時間でHPLCクロマトグラムにおいて幅広いピーク群として典型的に溶離された。
表15.プロアントシアニジンの%分析のためのHPLC階調度
【0176】
【表15】
【0177】
カテキン標準を調製するために、100mL容量のフラスコ中に100mgのカテキン(ウィスコンシン州ミルウォーキー、Aldrich)を正確に秤量する。70mLの50%メタノール/水を添加し、溶解するまで5分間音波破砕する。50%メタノール/水を用いて一杯になるまで希釈し、蓋をしてから均質になるまで混合する。調製した標準は、この実施例で説明したHPLC法を用いて分析する。次に、式10に示されているように、カテキン標準に対するピーク面積応答係数を、該ピーク面積を標準溶液濃度とその純度の積で割ることにより決定する。
【0178】
【数10】
【0179】
[式中、RF=標準に対するピーク面積応答係数(面積単位/mg/mL)、PA=該クロマトグラムにおけるカテキンピークのピーク面積、CSTD=mg/mLで表した標準溶液の濃度、そしてPSTD=パーセントとしての標準物質純度(通常0.98)。]
【0180】
試料中のプロアントシアニジンのパーセントは、上述の試料調製及びHPLC分析法を用いて測定することが出来る。問題の試料に対して、11〜22分の滞留時間範囲における全ピーク面積を測定する。しかしながら、いかなる計算をする前にも、プロアントシアニジン滞留時間範囲における非プロアントシアニジン化合物のピーク面積を、端から端までの全ピーク面積から引かなければならない。非プロアントシアニジン化合物は、幅広いプロアントシアニジンのピークと共に溶離する鋭いピークとして又は該ピークの頂上における鋭いピークとして頻繁に現れ、それらのダイオードアレーによるUVスペクトルはプロアントシアニジンのピークの大部分としばしば異なる。非プロアントシアニジンのピーク面積を測定するには、これらのピークを手作業で積分し、それらのピーク面積を合計し、次にこの面積を11〜22分の全ピーク面積から引く。試料中のプロアントシアニジンのピーク正味面積が一旦測定されたら、式11に示されるように、この値を組織内標準に対するピーク面積応答係数で割って試料中のプロアントシアニジンの濃度を得る。
【0181】
【数11】
【0182】
[式中、CPROANTHOS=試料中全プロアントシアニジンの濃度(mg/mL)、PASAMP=試料に対する訂正全ピーク面積、DF=希釈係数(乾燥バイオマスに対して1、新鮮/冷凍バイオマスに対して2、そしてフェノール化合物に富む組成物に対して1)、そしてRF=式10を用いて計算されたピーク面積応答係数。]
【0183】
全プロアントシアニジンの%は式12に示されるように計算される。
【0184】
【数12】
【0185】
[式中、%Proanthocyanidins=試料中全プロアントシアニジンのパーセント、CPROANTHOS=全プロアントシアニジンの濃度(mg/mL)、V=試料調製液の容量(通常、乾燥バイオマスに対しては250mL、新鮮/冷凍バイオマスに対しては100mL、又はフェノール化合物に富む組成物に対しては10mL)、そしてWS=試料調製に用いたバイオマス又はフェノール化合物に富む組成物の重量(通常、乾燥バイオマスに対しては12,000mg、新鮮/冷凍バイオマスに対しては500〜1500mg、又はフェノール化合物に富む組成物に対しては50〜100mg)。]
【0186】
前述の記載は本発明の原理を説明しているに過ぎないと考えられる。更に、多数の修正や変更が当業者の頭には容易に浮かぶであろうから、本発明を上述の正確な構成や方法に限定することは希望しない。従って、あらゆる適当な修正や均等物は別紙特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に入ると考えることが出来る。
【0187】
用語「含む」は、本明細書及び別紙特許請求の範囲で使用されている場合、記載された特色、整数、成分、又は工程の存在を特定することを意図しているが、他の一つ以上の特色、整数、成分、工程、又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】本発明の方法によりフェノール化合物に富む組成物を製造する方法の一態様のフローチャートである。
【図2】ビルベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図3】ビルベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図4】ブルーベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図5】ブルーベリーから製造したフェノール化合物に富む組成物(「画分3」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図6】濾過されたエルダーベリー抽出物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図7】濾過されたエルダーベリー抽出物の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図8】濾過されたエルダーベリー抽出物をカラム装填している間に溶離された第一画分の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図9】濾過されたエルダーベリー抽出物をカラム装填している間に溶離された第一画分の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図10】エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上でカラム精製している間に70%エタノールで溶離された第三画分の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図11】エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上でカラム精製している間に70%エタノールで溶離された第三画分の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図12】エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上でカラム精製している間に90%エタノールで溶離された第四画分の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図13】エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂上でカラム精製している間に90%エタノールで溶離された第四画分の510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図14】実施例10で説明したように調製したプロアントシアニジン標準の代替HPLC法を用いたHPLCクロマトグラムである。
【図15】極性プロアントシアニジンを非極性プロアントシアニジンから分離する方法のフローチャートである。
【図16】濾過されたエルダーベリー抽出物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図17】VLC C−18カラムからの流過画分及び洗浄画分の組合せから単離したエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分5」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図18】VLC C−18カラムから60%メタノール溶離液中に単離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図19】半分離用HPLC精製後に単離されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図20】半分離用HPLCによる精製後のエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の13C NMRスペクトルである。
【図21】Sephadex LH−20カラムにおける精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムであるが、そこで非プロアントシアニジンのピークは星印でマークされている。
【図22】Sephadex LH−20カラムにおける精製後のエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図23】Sephadex LH−20カラムにおける精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の368nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図24】Sephadex LH−20カラムにおける精製後のエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)の368nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図25】Sephadex LH−20カラムにおける精製後のエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)の13C NMRスペクトルである。
【図26】半分離用HPLC精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分5」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図27】半分離用HPLC精製後のブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図28】半分離用HPLC精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図29】半分離用HPLC精製後のブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図30】半分離用HPLC精製前であってC−18媒体におけるVLCクロマトグラフィー中に単離されたプラム極性プロアントシアニジン組成物(「画分5」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図31】半分離用HPLC精製後のプラム極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図32】VLC C−18カラムから40%及び70%メタノール溶離中に単離されたプラム非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図33】精製されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)のIRスペクトルである。
【図34】精製されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)のIRスペクトルである。
【図35】精製されたクランベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)のIRスペクトルである。
【図36】精製されたクランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)のIRスペクトルである。
【図37】精製されたブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)のIRスペクトルである。
【図38】精製されたブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分8」)のIRスペクトルである。
【図39】精製されたプラム極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)のIRスペクトルである。
【図40】精製されたプラム非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)のIRスペクトルである。
【図41】半分離用HPLC精製前のクランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分5」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図42】半分離用HPLC精製後のクランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「画分7」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図43】クランベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「画分6」)の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図44】プロトン化第三級アミン置換ポリスチレン樹脂からプラム濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図45】臭素化ポリスチレン樹脂からプラム濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図46】プロトン化第三級アミン置換ポリスチレン樹脂からクランベリー濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図47】プロトン化第三級アミン置換ポリスチレン樹脂からクランベリー濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図48】臭素化ポリスチレン樹脂からクランベリー濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図49】臭素化ポリスチレン樹脂からクランベリー濃縮物の溶離中に収集された50%及び90%エタノール溶離画分の組合せの510nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図50】精製された黒ラズベリー組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図51】精製されたイチゴ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図52】精製されたザクロ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図53】精製されたオリーブ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図54】精製されたクロフサスグリ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図55】精製されたサクランボ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図56】精製されたブドウ皮組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図57】精製されたリンゴ組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図58】精製されたバナナ皮組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図59】精製されたサンザシの実組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図60】精製されたマンゴスチン殻組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【図61】精製されたオレンジ皮組成物の280nmにおけるHPLCクロマトグラムである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール化合物に富む組成物を製造する方法において、
a) フェノール化合物を含有する1種以上の植物原料の粗製抽出物であって、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び極性非フェノール化合物を含む該抽出物を用意し、
b) 前記粗製抽出物を濾過し、
c) 前記フェノールを放出できるように吸着するが前記極性非フェノール化合物は保持しないポリマー樹脂であって、1個以上の電子吸引性基で置換された芳香族環を含む該樹脂に、前記の濾過された抽出物を接触させ、
d) 前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄して前記極性非フェノール化合物を溶離し、
e) 該樹脂を第一溶離剤で溶離し、フェノール化合物を含有する第一画分を収集し、
f) 該樹脂を第二溶離剤で溶離し、フェノール化合物を含有する第二画分を収集し、そして
g) 工程e)又は工程f)から該画分を単離して、或いは、工程e)及びf)から前記画分を組合せて、フェノール化合物に富む組成物であって、前記極性非フェノール化合物の量が実質的に激減している該組成物を得る、
ことを特徴とする前記製造方法。
【請求項2】
前記電子吸引性基がF,Cl,Br,I,プロトン化アルキルアミン、スルホン酸、トリハロメチル、COOH,NO2及びCNから成る群から選択される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記樹脂がプロトン化第三級アミン置換スチレン・ジビニルベンゼン共重合体である、請求項1の方法。
【請求項4】
前記粗製抽出物が、乾燥した又は新鮮な植物原料を酸性化抽出溶剤で抽出することにより製造される、請求項1の方法。
【請求項5】
前記の酸性化抽出溶剤が、約0〜95%のエタノール及び約0〜3%の酸を有する水溶液、又は、約0〜100%のメタノール及び約0〜3%の酸を有する水溶液を含む、請求項4の方法。
【請求項6】
前記酸が硫酸、酢酸、又は塩酸である、請求項5の方法。
【請求項7】
前記洗浄溶離剤が少なくとも0.003%の酸を含有する、請求項1の方法。
【請求項8】
前記酸が酢酸、塩酸、又は硫酸である、請求項7の方法。
【請求項9】
前記第一溶離剤が水中に約50〜70%のエタノール及び0.003%の酸を含む、請求項1の方法。
【請求項10】
前記酸が酢酸、塩酸、又は硫酸である、請求項9の方法。
【請求項11】
前記第二溶離剤が水中に約70〜90%のエタノールを含む、請求項1の方法。
【請求項12】
前記組成物が約10〜80%の前記フェノール化合物を含む、請求項1の方法。
【請求項13】
前記組成物が少なくとも12%の前記フェノール化合物を含む、請求項12の方法。
【請求項14】
前記組成物が少なくとも25%の前記フェノール化合物を含む、請求項12の方法。
【請求項15】
前記植物原料が、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、黒イチゴ、イチゴ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、クランベリー、サクランボ、赤ラズベリー、黒ラズベリー、ブドウ、スグリ、ハイビスカスの花、ピーマン、インゲン豆、エンドウ豆、赤キャベツ、紫トウモロコシ、紫サツマイモ、オリーブ、ザクロ、マンゴスチン、リンゴ、サンザシ、西洋スグリ、及びオレンジから成る群から選択され、該植物原料全体又はそれらの表皮,皮、果実、実、殻又は種子を含む、請求項1の方法。
【請求項16】
工程(a)が前記粗製抽出物にペクチナーゼを添加することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項17】
前記ペクチナーゼが前記植物原料の約0〜0.12重量%の量で存在する、請求項16の方法。
【請求項18】
前記組成物に付形剤を添加することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項19】
前記付形剤が防腐剤、担体、緩衝剤、増粘剤、沈澱防止剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、及び香料添加剤から成る群から選択される、請求項18の方法。
【請求項20】
請求項1の方法において、
h) 工程e)からの前記組成物、工程f)からの前記組成物、又は工程g)からの前記組成物を、逆相親油性樹脂が充填された低圧真空液体クロマトグラフィーカラム上に供給し、該供給中に溶離する画分を収集し、
i) 前記樹脂を水で溶離し、
j) 工程h)及びi)からの画分を組合せて極性プロアントシアニジンに富む第一組成物を得、そして
k) 前記樹脂を増加する量の極性有機溶剤で溶離して非極性プロアントシアニジンに富む第二組成物を得る、
ことを更に含む前記方法。
【請求項21】
前記第一組成物を逆相分離用HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により精製して実質的にアントシアニンの存在しない前記のより極性のプロアントシアニジンを得ることを更に含む、請求項20の方法。
【請求項22】
前記第二組成物をゲル濾過又は分離用HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により精製して実質的にアントシアニンの存在しない前記のより極性の低いプロアントシアニジンを得ることを更に含む、請求項21の方法。
【請求項23】
フェノール化合物に富む、精製された、植物原料に基づく組成物。
【請求項24】
前記植物原料が、ブルーベリー、ビルベリー、クランベリー、ブルーベリー、エルダーベリー、プラム、ラズベリー、イチゴ、ザクロ、オリーブ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、サクランボ、ブドウ、リンゴ、バナナ、サンザシ、マンゴスチン、オレンジの皮、及び西洋スグリから成る群から選択され、該植物原料全体又はそれらの表皮,皮、果実、実、殻又は種子を含む、請求項23の組成物。
【請求項25】
前記組成物の約5〜30重量%のプロアントシアニジンを含む、請求項24の組成物。
【請求項26】
請求項1の方法により製造した組成物を有効量投与することを特徴とする、感染微生物又は感染菌により引起こされる哺乳類の症状を治療する方法。
【請求項27】
前記微生物がインフルエンザ・ウィルスA型、インフルエンザ・ウィルスB型、ライノウィルス2型、単純ヘルペスウィルス1、単純ヘルペスウィルス2、パラインフルエンザ・ウィルス、西ナイルウィルス、水痘・帯状疱疹ウィルス、鼻炎ウィルス属2型、アデノウィルスI型、及びパンタトロAウィルスから成る群から選択されるウィルスである、請求項26の方法。
【請求項28】
請求項1の方法により得た組成物を有効量投与することを特徴とする、非ウィルス性微生物感染により引起こされる哺乳類の症状を治療する方法。
【請求項29】
請求項1の方法により得た組成物を肉製品に病原体の成長を抑制するのに有効な量で添加することを特徴とする、肉製品における病原体の成長を抑制する方法。
【請求項30】
プロアントシアニジンに富む組成物を製造する方法において、
(a) プロアントシアニジンを含有する1種以上の植物原料を溶剤で抽出して、フェノール化合物を含有する粗製抽出物であって、プロアントシアニジン、アントシアニン、他の小フェノール系誘導体及び極性非フェノール化合物を含む該抽出物を提供し、
(b) 該粗製抽出物をサイズ除外濾過以外の手段により濾過し、
(c) 前記アントシアニンを保持し前記プロアントシアニジンを放出できるように吸着するが該極性非フェノール化合物は実質的に保持しない未置換芳香族環を含む樹脂に、該粗製抽出物を接触させ、
(d) 前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄して前記極性非フェノール化合物を溶離し、
(e) 該樹脂を第一溶離剤で溶離し、前記プロアントシアニジンを含有する第一画分を収集し、
(f) 該樹脂を第二溶離剤で溶離し、前記プロアントシアニジンを含有する第二画分を収集し、そして
(g) 工程(e)又は工程(f)から該画分を単離して、或いは、工程(e)及び(f)から前記画分を組合せて、前記プロアントシアニジンに富み前記極性非フェノール化合物が実質的に激減している組成物を得る、
ことを特徴とする前記製造方法。
【請求項31】
前記樹脂がポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体である、請求項30の方法。
【請求項32】
前記接触工程及び洗浄工程を大体室温で行う、請求項33の方法。
【請求項33】
前記植物原料が、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、黒イチゴ、イチゴ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、クランベリー、サクランボ、赤ラズベリー、黒ラズベリー、ブドウ、スグリ、ハイビスカスの花、ピーマン、インゲン豆、エンドウ豆、赤キャベツ、紫トウモロコシ、紫サツマイモ、オリーブ、ザクロ、マンゴスチン、リンゴ、サンザシ、西洋スグリ、及びオレンジから成る群から選択され、該植物原料全体又はそれらの表皮,皮、果実、実、殻又は種子を含む、請求項30の方法。
【請求項1】
フェノール化合物に富む組成物を製造する方法において、
a) フェノール化合物を含有する1種以上の植物原料の粗製抽出物であって、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び極性非フェノール化合物を含む該抽出物を用意し、
b) 前記粗製抽出物を濾過し、
c) 前記フェノールを放出できるように吸着するが前記極性非フェノール化合物は保持しないポリマー樹脂であって、1個以上の電子吸引性基で置換された芳香族環を含む該樹脂に、前記の濾過された抽出物を接触させ、
d) 前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄して前記極性非フェノール化合物を溶離し、
e) 該樹脂を第一溶離剤で溶離し、フェノール化合物を含有する第一画分を収集し、
f) 該樹脂を第二溶離剤で溶離し、フェノール化合物を含有する第二画分を収集し、そして
g) 工程e)又は工程f)から該画分を単離して、或いは、工程e)及びf)から前記画分を組合せて、フェノール化合物に富む組成物であって、前記極性非フェノール化合物の量が実質的に激減している該組成物を得る、
ことを特徴とする前記製造方法。
【請求項2】
前記電子吸引性基がF,Cl,Br,I,プロトン化アルキルアミン、スルホン酸、トリハロメチル、COOH,NO2及びCNから成る群から選択される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記樹脂がプロトン化第三級アミン置換スチレン・ジビニルベンゼン共重合体である、請求項1の方法。
【請求項4】
前記粗製抽出物が、乾燥した又は新鮮な植物原料を酸性化抽出溶剤で抽出することにより製造される、請求項1の方法。
【請求項5】
前記の酸性化抽出溶剤が、約0〜95%のエタノール及び約0〜3%の酸を有する水溶液、又は、約0〜100%のメタノール及び約0〜3%の酸を有する水溶液を含む、請求項4の方法。
【請求項6】
前記酸が硫酸、酢酸、又は塩酸である、請求項5の方法。
【請求項7】
前記洗浄溶離剤が少なくとも0.003%の酸を含有する、請求項1の方法。
【請求項8】
前記酸が酢酸、塩酸、又は硫酸である、請求項7の方法。
【請求項9】
前記第一溶離剤が水中に約50〜70%のエタノール及び0.003%の酸を含む、請求項1の方法。
【請求項10】
前記酸が酢酸、塩酸、又は硫酸である、請求項9の方法。
【請求項11】
前記第二溶離剤が水中に約70〜90%のエタノールを含む、請求項1の方法。
【請求項12】
前記組成物が約10〜80%の前記フェノール化合物を含む、請求項1の方法。
【請求項13】
前記組成物が少なくとも12%の前記フェノール化合物を含む、請求項12の方法。
【請求項14】
前記組成物が少なくとも25%の前記フェノール化合物を含む、請求項12の方法。
【請求項15】
前記植物原料が、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、黒イチゴ、イチゴ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、クランベリー、サクランボ、赤ラズベリー、黒ラズベリー、ブドウ、スグリ、ハイビスカスの花、ピーマン、インゲン豆、エンドウ豆、赤キャベツ、紫トウモロコシ、紫サツマイモ、オリーブ、ザクロ、マンゴスチン、リンゴ、サンザシ、西洋スグリ、及びオレンジから成る群から選択され、該植物原料全体又はそれらの表皮,皮、果実、実、殻又は種子を含む、請求項1の方法。
【請求項16】
工程(a)が前記粗製抽出物にペクチナーゼを添加することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項17】
前記ペクチナーゼが前記植物原料の約0〜0.12重量%の量で存在する、請求項16の方法。
【請求項18】
前記組成物に付形剤を添加することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項19】
前記付形剤が防腐剤、担体、緩衝剤、増粘剤、沈澱防止剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、及び香料添加剤から成る群から選択される、請求項18の方法。
【請求項20】
請求項1の方法において、
h) 工程e)からの前記組成物、工程f)からの前記組成物、又は工程g)からの前記組成物を、逆相親油性樹脂が充填された低圧真空液体クロマトグラフィーカラム上に供給し、該供給中に溶離する画分を収集し、
i) 前記樹脂を水で溶離し、
j) 工程h)及びi)からの画分を組合せて極性プロアントシアニジンに富む第一組成物を得、そして
k) 前記樹脂を増加する量の極性有機溶剤で溶離して非極性プロアントシアニジンに富む第二組成物を得る、
ことを更に含む前記方法。
【請求項21】
前記第一組成物を逆相分離用HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により精製して実質的にアントシアニンの存在しない前記のより極性のプロアントシアニジンを得ることを更に含む、請求項20の方法。
【請求項22】
前記第二組成物をゲル濾過又は分離用HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により精製して実質的にアントシアニンの存在しない前記のより極性の低いプロアントシアニジンを得ることを更に含む、請求項21の方法。
【請求項23】
フェノール化合物に富む、精製された、植物原料に基づく組成物。
【請求項24】
前記植物原料が、ブルーベリー、ビルベリー、クランベリー、ブルーベリー、エルダーベリー、プラム、ラズベリー、イチゴ、ザクロ、オリーブ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、サクランボ、ブドウ、リンゴ、バナナ、サンザシ、マンゴスチン、オレンジの皮、及び西洋スグリから成る群から選択され、該植物原料全体又はそれらの表皮,皮、果実、実、殻又は種子を含む、請求項23の組成物。
【請求項25】
前記組成物の約5〜30重量%のプロアントシアニジンを含む、請求項24の組成物。
【請求項26】
請求項1の方法により製造した組成物を有効量投与することを特徴とする、感染微生物又は感染菌により引起こされる哺乳類の症状を治療する方法。
【請求項27】
前記微生物がインフルエンザ・ウィルスA型、インフルエンザ・ウィルスB型、ライノウィルス2型、単純ヘルペスウィルス1、単純ヘルペスウィルス2、パラインフルエンザ・ウィルス、西ナイルウィルス、水痘・帯状疱疹ウィルス、鼻炎ウィルス属2型、アデノウィルスI型、及びパンタトロAウィルスから成る群から選択されるウィルスである、請求項26の方法。
【請求項28】
請求項1の方法により得た組成物を有効量投与することを特徴とする、非ウィルス性微生物感染により引起こされる哺乳類の症状を治療する方法。
【請求項29】
請求項1の方法により得た組成物を肉製品に病原体の成長を抑制するのに有効な量で添加することを特徴とする、肉製品における病原体の成長を抑制する方法。
【請求項30】
プロアントシアニジンに富む組成物を製造する方法において、
(a) プロアントシアニジンを含有する1種以上の植物原料を溶剤で抽出して、フェノール化合物を含有する粗製抽出物であって、プロアントシアニジン、アントシアニン、他の小フェノール系誘導体及び極性非フェノール化合物を含む該抽出物を提供し、
(b) 該粗製抽出物をサイズ除外濾過以外の手段により濾過し、
(c) 前記アントシアニンを保持し前記プロアントシアニジンを放出できるように吸着するが該極性非フェノール化合物は実質的に保持しない未置換芳香族環を含む樹脂に、該粗製抽出物を接触させ、
(d) 前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄して前記極性非フェノール化合物を溶離し、
(e) 該樹脂を第一溶離剤で溶離し、前記プロアントシアニジンを含有する第一画分を収集し、
(f) 該樹脂を第二溶離剤で溶離し、前記プロアントシアニジンを含有する第二画分を収集し、そして
(g) 工程(e)又は工程(f)から該画分を単離して、或いは、工程(e)及び(f)から前記画分を組合せて、前記プロアントシアニジンに富み前記極性非フェノール化合物が実質的に激減している組成物を得る、
ことを特徴とする前記製造方法。
【請求項31】
前記樹脂がポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体である、請求項30の方法。
【請求項32】
前記接触工程及び洗浄工程を大体室温で行う、請求項33の方法。
【請求項33】
前記植物原料が、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、黒イチゴ、イチゴ、アカフサスグリ、クロフサスグリ、クランベリー、サクランボ、赤ラズベリー、黒ラズベリー、ブドウ、スグリ、ハイビスカスの花、ピーマン、インゲン豆、エンドウ豆、赤キャベツ、紫トウモロコシ、紫サツマイモ、オリーブ、ザクロ、マンゴスチン、リンゴ、サンザシ、西洋スグリ、及びオレンジから成る群から選択され、該植物原料全体又はそれらの表皮,皮、果実、実、殻又は種子を含む、請求項30の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【公表番号】特表2007−518812(P2007−518812A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551311(P2006−551311)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/001984
【国際公開番号】WO2005/072762
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506251111)フェノーリックス、エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/001984
【国際公開番号】WO2005/072762
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506251111)フェノーリックス、エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】
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