説明

フォトニック結晶の製造方法

フォトニック結晶を製造する方法は、(a)実質的に無機の光反応性組成物を提供する工程と、(b)少なくとも3本のビームを含むマルチビーム干渉技術を用いて、光反応性組成物の少なくとも一部に、適切な波長、空間分布および強度の放射線を露光して、光反応性組成物の反応済みおよび未反応部分の二次元または三次元周期パターンを形成する工程と、(c)光反応性組成物の未反応部分または反応済み部分を除去して間隙ボイドスペースを形成する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期的誘電性構造体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトニック結晶、従来の半導体のフォトニック類似体は、現在、集積光学用途について研究対象になっている。かかる結晶は、どの光子波長が結晶を通して広がるかを決めるフォトニックバンドギャップ(半導体の電子バンドギャップと類似)を示す。結晶のバンドギャップ構造体に特定の欠陥を導入することにより、結晶内の光子の流れを操作し、様々なマイクロメートル規模の光学装置を製造することができる。
【0003】
特に、適切な線欠陥のある三次元(3−D)フォトニック結晶は、低損失導波路装置として作用して、大きく散乱損失することなく、90度曲げることにより点灯させることができると想定される。かかる装置は、光学チップ上のコンポーネントの密度を増大させたり、チップから背面への用途に有用となり得る。その他の潜在的な装置用途としては、光学相互接続、光学スイッチ、カプラー、アイソレータ、マルチプレクサ、チューナブルフィルタおよび低スレショルドエミッタが挙げられる。
【0004】
様々な方法を用いてフォトニック結晶が生成されてきた。かかる方法としては、例えば、コロイド結晶自己集合方法、ブロックコポリマーの自己集合、半導体系リソグラフィー(例えば、フォトリソグラフィー、マスキングおよびエッチング)、基材材料におけるホールの配列の機械的生成(あるいは、基材材料の機械的な除去による、基材材料の円柱または同様の形状のロッドの周期的パターンの形成)、基材材料におけるポア配列の電気化学的生成、マルチビーム干渉(MBI)またはホログラフィーリソグラフィー技術を用いたフォトファブリケーション、視斜角蒸着および多光子フォトファブリケーションが挙げられる。各方法にはそれぞれ利点がある。しかしながら、MBI以外は全て、比較的高い構造上の狂いまたは欠陥集中、比較的遅い蒸着速度、および数多く必要なプロセス工程のうち1つ以上の欠点がある。
【0005】
これとは対照的に、MBIの技術では、比較的高速で、僅かなプロセス工程を用いて、様々な異なるブラベ格子構造のフォトニック結晶を生成することができる。得られるフォトニック結晶は、一般的に、格別の秩序および構造上の信頼性を示す。
【0006】
通常、有機フォトレジストがMBIに用いられてきたが、大半の従来の有機フォトポリマーは、実質的に2未満の屈折率を有し、例えば、高屈折率半導体(例えば、シリコン、一般的に500℃を超える温度)を蒸着するのに用いられることの多い化学蒸着(CVD)の間無傷なままとする十分な熱安定性に欠けている。かかる欠点が、完全なフォトニックバンドギャップを支持できる高屈折率コントラスト比を得ることを困難または不可能とさせている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
このように、高屈折率コントラスト周期的誘電性構造体を直接または間接的に提供し得るフォトニック結晶(制御または設計された欠陥)を製造する方法が要求とされていることを本発明者らは認識している。簡潔に述べると、一態様において、本発明は、(a)実質的に無機の光反応性組成物を提供する工程と、(b)少なくとも3本のビームを含むマルチビーム干渉技術を用いて、光反応性組成物の少なくとも一部に、適切な波長、空間分布および強度の放射線を露光して、光反応性組成物の反応済みおよび未反応部分の二次元または三次元周期(好ましくは、サブミクロンスケールの)パターンを形成する工程と、(c)光反応性組成物の未反応性部分または反応済み部分(好ましくは未反応部分)を除去して間隙ボイドスペースを形成する工程とを含む、かかる製造方法を提供するものである。
【0008】
本プロセスを用いると、高屈折率コントラスト周期的誘電性構造体を直接生成することができる(実質的に無機の光反応性組成物の適切な選択によって)。あるいは、かかる構造体は、周期的誘電性構造体をテンプレートとして用いることによって、あまり直接的でなく得ることもできる。このように、本プロセスは、間隙ボイドスペースを、光反応性組成物の反応済み部分の屈折率とは異なる屈折率を有する少なくとも1種類の材料で少なくとも部分的に充填する工程を任意に更に含むことができる。
【0009】
本プロセスを用いるとまた、1つ以上の制御または設計された欠陥を含む周期的誘電性構造体を生成することができる。かかる場合において、本プロセスは、光反応性組成物の未反応部分の少なくとも一部を、適切な波長および強度の放射線に露光して、多光子吸収および光反応を生じさせて、更なる反応済み部分を形成する工程を更に含む。
【0010】
有機材料を用いる従来のMBIプロセスとは異なり、本発明のプロセスは、実質的に無機の光反応性組成物を用いて、例えば、約600〜1300℃までの温度に耐え得る熱安定性で強く、秩序のある周期的誘電性構造体を生成するものである。この構造体は、無機性により高屈折率コントラストを示すことが多い。この構造体はまた、半導体CVDに続いて、例えば、フッ化水素エッチングによる構造体の除去によってエアボイドを生成して、コントラストの向上も可能とする。このように、本発明のプロセスは、高屈折率コントラストの周期的誘電性構造体を直接または間接的に提供し得るプロセスについての要求を満たすものである。
【0011】
本プロセスの好ましい1実施形態において、多光子技術を用いると、制御または設計された欠陥を周期的誘電性構造体に形成して、本構造体を通して光の広がりを選択的に通して制御することができる。得られる欠陥を含む構造体は、例えば、平面光導波回路に用いることができる。
【0012】
本発明のこれらおよびその他の特徴、態様および利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面を参照するとよりよく理解できるであろう。
【0013】
これらの図面は理想化されたもので、縮尺は合っておらず、単なる例証のためであってこれらに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
定義
本特許出願において、
「周期的誘電性構造体」とは、誘電率に周期的空間的変化を示す構造体のことを意味する。
「フォトニックバンドギャップ」(PBG)とは、周期的誘電性構造体において電磁放射線が一部(「部分フォトニックバンドギャップ」)または全て(「完全フォトニックバンドギャップ」)の方向に伝搬しないある範囲の周波数または波長のことを意味する。
「実質的に無機の光反応性組成物」とは、光反応および熱分解の際に、初期重量の約80パーセント未満を失う光反応性の組成物のことを意味する。
【0015】
実質的に無機の光反応性組成物
本発明のプロセスに有用な光反応性組成物は、実質的に無機質であり、フォトニック結晶の製造に一般的に用いられる条件下(例えば、約600〜1300℃までの温度)で熱安定性である。光反応および熱分解の際に、かかる組成物は、初期重量の約80パーセント未満(好ましくは、約60パーセント未満、より好ましくは約40パーセント未満、最も好ましくは約30パーセント未満)を失う。
【0016】
好適な組成物としては、(1)少なくとも1種類の反応性種と、(2)光開始剤系(好ましくは、多光子光開始剤系)と、(3)任意に、複数の無機粒子とを含む組成物が挙げられる。組成物は、任意に、非反応性種(例えば、非反応性ポリマーバインダー)を更に含むことができる。表面粗さが関係するときは、組成物は無機粒子を含有しないのが好ましい。
【0017】
本組成物は、光反応の際に約20パーセント未満の体積収縮を示すのが好ましい。用いる反応性種の少なくとも一部は多官能性であるのが好ましい。
【0018】
(1)反応性種
好適な反応性種としては、硬化性および非硬化性種が挙げられる。硬化性種が通常好ましく、例えば、有機質(例えば、アクリレート)またはハイブリッド有機質/無機質(例えば、オルガノシラン)であるものが挙げられる。有用な硬化性種としては、付加重合性モノマーおよびオリゴマーおよび付加架橋性ポリマー(例えば、アクリレート、メタクリレートおよびスチレンのような特定のビニル化合物をはじめとする遊離基重合性または架橋性エチレン化不飽和種)、カチオン重合性モノマーおよびオリゴマー、およびカチオン架橋性ポリマー(例えば、エポキシ、ビニルエーテルおよびシアネートエステルをはじめとする)等が挙げられる。
【0019】
硬化性種は、かかる種の使用により、組成物の屈折率を大幅に変更することなく、露光領域における光酸の潜像の形成が可能となるため、カチオン硬化性が好ましい。これは、硬化および現像前に多数回の露光を含むプロセスに好ましい。
【0020】
有用な非硬化性種としては、例えば、酸−または放射線−誘導反応の際に溶解度が増大する反応性ポリマーが挙げられる。かかる反応性ポリマーとしては、例えば、光生成酸により水溶性酸基に変換可能なエステル基(例えば、ポリ(4−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン)を含む水溶性ポリマーが挙げられる。非硬化性種としてはまた、R.D.アレン(Allen)、G.M.ウォールラフ(Wallraff)、W.D.ハインスベルク(Hinsberg)およびL.L.シンプソン(Simpson)、「化学増幅フォトレジスト用高性能アクリルポリマー(High Performance Acrylic Polymers for Chemically Amplified Photoresist Applications)」、J.Vac.Sci.Technol.B,,3357頁(1991年)に記載された化学増幅フォトレジストが挙げられる。化学増幅フォトレジストの概念は、現在、特にサブ−0.5ミクロン(さらにはサブ−0.2ミクロン)フィーチャーのマイクロチップ製造に広く用いられている。かかるフォトレジスト系において、触媒種(一般的には水素イオン)は、放射線により生成され、化学反応の連鎖を引き起こす。この連鎖は、水素イオンが、更なる水素イオンまたはその他酸性種を生成する反応を開始するときに生じ、反応速度が増幅される。代表的な酸触媒化学増幅フォトレジスト系としては、脱保護(例えば、米国特許第4,491,628号明細書に記載されたt−ブトキシカルボニルオキシスチレンレジスト、テトラヒドロピラン(THP)メタクリレート系材料、米国特許第3,779,778号明細書に記載されたTHP−フェノール材料、R.Dアレン(Allen)ら、Proc.SPIE 2438,474(1995年)に記載されたようなt−ブチルメタクリレート系材料等)、解重合(例えば、ポリフタルアルデヒド系材料)および転位(例えば、ピナコール転位に基づく材料)が挙げられる。
【0021】
異なる種類の反応性種の混合物を光反応性組成物に用いることができる。例えば、遊離基反応性種とカチオン反応性種の混合物、有機質とハイブリッド有機質/無機質反応性種の混合物、硬化性種と非硬化性種の混合物等も有用である。
【0022】
(1)有機質反応性種
有機質反応性種は、無機粒子および/またはハイブリッド有機質/無機質反応性種と組み合わせて光反応性組成物に用いることができる。好適な有機質反応性種としては、遊離基およびカチオン硬化性種の両方が挙げられる。有用なエチレン化不飽和種は、例えば、米国特許第5,545,676号明細書に記載されており、モノ−、ジ−およびポリ−アクリレートおよびメタクリレート(例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリス−ヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート、米国特許第4,652,274号明細書に記載されたようなアクリル化モノマーと、米国特許第4,642,126号明細書に記載されたようなアクリル化オリゴマーの共重合性混合物)、不飽和アミド(例えば、メチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス−アクリルアミドおよびベータ−メタクリルアミノエチルメタクリレート)、ビニル化合物(例えば、スチレン、フタル酸ジアリル、コハク酸ジビニル、アジピン酸ジビニルおよびフタル酸ジビニル)等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
所望であれば、2種類以上のモノマー、オリゴマーおよび/または反応性ポリマーの混合物を用いることができる。好ましいエチレン化不飽和種としては、アクリレート、芳香族酸(メソ)アクリレートハーフエステル樹脂、および遊離基ジ重合性官能基が付加したヒドロカルビル骨格と懸垂ペプチド基を有するオリゴマーが挙げられる。
【0024】
好適なカチオン硬化性種については、例えば、米国特許第5,998,495号明細書および同第6,025,406号明細書に記載されており、エポキシ樹脂が挙げられる。広くはエポキシドと呼ばれるかかる材料としては、モノマーエポキシ化合物およびオリゴマータイプのエポキシドが挙げられ、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式とすることができる。これらの材料は、通常、平均で、1分子当たり少なくとも1個(好ましくは少なくとも約1.5個、より好ましくは少なくとも約2個)の重合性エポキシ基を有する。オリゴマーエポキシドとしては、末端エポキシ基を有する鎖状オリゴマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格エポキシ単位を有するオリゴマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)および懸垂エポキシ基を有するオリゴマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)が挙げられる。エポキシドは、純粋な化合物としたり、1分子当たり1個、2個またはそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物とすることができる。これらのエポキシ含有材料は、その骨格および置換基の性質により大きく異なる。例えば、骨格はいずれのタイプでも構わず、その骨格についている置換基は室温でカチオン硬化を実質的に妨げないのであれば任意の基であってもよい。許容される置換基としては、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、ホスフェート基等が例示される。エポキシ含有材料の分子量は約58〜約500以上と様々である。
【0025】
有用なエポキシ含有材料としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレートおよびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートに代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートのようなシクロヘキセンオキシド基を含有するようなものが挙げられる。この性質の有用なエポキシドの詳細なリストは、米国特許第3,117,099号明細書に規定されている。
【0026】
有用なその他のエポキシ含有材料としては、下式のグリシジルエーテルモノマーが挙げられる。
【0027】
【化1】

【0028】
上式において、アルキルまたはアリールであり、nは1〜6の整数である。例として、多価フェノールを、エピクロロヒドリンのような過剰のクロロヒドリンと反応させることにより得られる多価フェノールのグリシジルエーテル(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパンのジグリシジルエーテル)が挙げられる。この種類のエポキシドの更なる例は、米国特許第3,018,262号明細書、およびエポキシ樹脂ハンドブック(Handbook of Epoxy Resins)、リー(Lee)およびネヴィル(Neville)、ニューヨークのマグローヒルブック社(McGraw−Hill Book Co., New York)(1967年)に記載されている。
【0029】
数多くの市販のエポキシ樹脂を用いることができる。特に、容易に入手可能なエポキシドとしては、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、以前のシェルケミカル社(Shell Chemical Co.)であるリゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)よりエポン(EPON)828およびエポン(EPON)825という商品名で入手可能なもの、同様にダウケミカル社(Dow Chemical Co.)よりDERという商品名で入手可能なもの)、ビニルシクロヘキセンジオキシド(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりERL4206という商品名で入手可能な化合物)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりERL4221、サイラキュア(Cyracure)UVR6110またはUVR6105という商品名で入手可能な化合物)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキセンカルボキシレート(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりERL4201という商品名で入手可能な化合物)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりERL4289という商品名で入手可能な化合物)、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりERL0400という商品名で入手可能な化合物)、ポリプロピレングリコールから変性した脂肪族エポキシ(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりERL4050およびERL4052という商品名で入手可能なもの)、ジペンテンジオキシド(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりERL4269という商品名で入手可能な化合物)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、FMC社(FMC Corp.,)よりオキシロン(Oxiron)2001という商品名で入手可能な化合物)、エポキシ官能基を含有するシリコーン樹脂、レゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、コッパーズカンパニー(Koppers Company, Inc.)よりコポキサイト(KOPOXITE)という商品名で入手可能な化合物)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりERL4229またはUVR6128という商品名で入手可能なもの)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりERL−4234という商品名で入手可能な化合物)、ビニルシクロヘキセン一酸化物、1,2−エポキシヘキサデカン(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)よりUVR−6216という商品名で入手可能な化合物)、アルキルC8〜C10グリシジルエーテルのようなアルキルグリシジルエーテル(例えば、リゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)よりヘロキシモディファイア(HELOXY MODIFIER)7という商品名で入手可能なもの)、ブチルグリシジルエーテル(例えば、リゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)よりヘロキシモディファイア(HELOXY MODIFIER)61という商品名で入手可能なもの)、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテルのような多官能性グリシジルエーテル(例えば、リゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)よりヘロキシモディファイア(HELOXY MODIFIER)67という商品名で入手可能なもの)、シクロへキサンジメタノールのジグリシジルエーテル(例えば、リゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)よりヘロキシモディファイア(HELOXY MODIFIER)107という商品名で入手可能なもの)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(例えば、リゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)よりヘロキシモディファイア(HELOXY MODIFIER)44という商品名で入手可能なもの)、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル(例えば、リゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)よりヘロキシモディファイア(HELOXY MODIFIER)84という商品名で入手可能なもの)、ポリグリコールジエポキシド(例えば、リゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)よりヘロキシモディファイア(HELOXY MODIFIER)32という商品名で入手可能なもの)およびビスフェノールFエポキシド(例えば、リゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)よりエポン(EPON)1138およびチバガイギー社(Ciba−Geigy Corp.)よりGY−281という商品名で入手可能なもの)が挙げられる。
【0030】
その他の有用なエポキシ樹脂は、グリシドールのアクリル酸エステル(グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートのような)と、1種類以上の共重合可能なビニル化合物とのコポリマーを含む。かかるコポリマーとしては、1:1スチレン−グリシジルメタクリレートおよび1:1メチルメタクリレート−グリシジルアクリレートが例示される。その他の有用なエポキシ樹脂は周知であり、エピクロロヒドリンのようなエポキシド、アルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシド)、スチレンオキシド、アルケニルオキシド(例えば、ブタジエンオキシド)およびグリシジルエステル(例えば、エチルグリシデート)を含有する。
【0031】
有用なエポキシ官能性ポリマーとしては、米国特許第4,279,717号明細書に記載された、ジェネラルエレクトリック社(the General Electric Company)より市販されているエポキシ官能性シリコーンがある。米国特許第5,753,346号明細書に記載されたような、1〜20モル%のケイ素原子がエポキシアルキル基(例えば、エポキシシクロヘキシルエチルで置換されたポリジメチルシロキサンがある。
【0032】
様々なエポキシ含有材料のブレンドも用いることができる。かかるブレンドは、2つ以上の重量平均分子量分布のエポキシ含有化合物が挙げられる(低分子量(200未満)、中間分子量(約200〜1000)および高分子量(約1000を超える))。これとは別に、またはこれに加えて、エポキシ樹脂は、異なる化学的性質(脂肪族と芳香族のように)、または異なる官能性(極性と非極性のような)を有するエポキシ含有材料のブレンドを含有することができる。その他のカチオン反応性ポリマー(ビニルエーテル等)を、所望であれば更に組み込むことができる。
【0033】
好ましいエポキシとしては、芳香族グリシジルエポキシ(リゾル−ションパフォーマンスプロダクツ(Resolution Performance Products)より入手可能なエポン(EPON)樹脂等)および環状脂肪族エポキシ(ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)より入手可能なERL4221およびERL4299等)が挙げられる。
【0034】
好適なカチオン硬化性種としてはまた、ビニルエーテルモノマーおよびオリゴマー(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル(例えば、ニュージャージー州ウェインのインターナショナルスペシャルティプロダクツ(International Specialty Products,Wayne,NJ)よりRAPI−CURE(ラピ−キュア)DVE−3という商品名で入手可能なもの)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル(例えば、ニュージャージー州マウントオリーブのBASF社(BASF Corp.,Mount Olive,NJ)よりTMPTVEという商品名で入手可能なもの)およびアライドシグナル(Allied Signal)よりベクトマー(VECTOMER)ジビニルエーテル樹脂という商品名で入手可能なもの(例えば、ベクトマー(VECTOMER)2010、ベクトマー(VECTOMER)2020、ベクトマー(VECTOMER)4010およびベクトマー(VECTOMER)4020ならびにその他のメーカーより入手可能な等価物)およびこれらの混合物も挙げられる。1種類以上のビニルエーテル樹脂および/または1種類以上のエポキシ樹脂のブレンド(任意の比率)も用いることができる。ポリヒドロキシ官能性材料(例えば、米国特許第5,856,373号明細書(カイサキ(Kaisaki)ら)に記載されているようなもの)もまたエポキシ−および/またはビニルエーテル−官能性材料と組み合わせて用いることもできる。
【0035】
(ii)ハイブリッド有機質/無機質反応性種
ハイブリッド有機質/無機質反応性種は、無機粒子を添加して、または添加せずに光反応性組成物に用いることができる。有用なハイブリッド有機質/無機質反応性種としては、少なくとも1個の重合性有機基を有するシラン化合物が挙げられる。かかるシランとしては、例えば、(メソ)アクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン(メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン等のような)、メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(メタクリルオキシプロピル)ジメトキシシラン、1,3−ビス(3−メタクリルオキシプロピル)テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、テトラキス(2−メタクリルオキシエトキシ)シラン、ビニルシラン化合物(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、トリビニルメトキシシラン等のような)、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、エポキシシラン化合物(グリシジルオキシトリメトキシシラン、ビス(グリシジルオキシ)ジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のような)、オキセタンシラン化合物(3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン等のような)、6員環エーテル構造を有するシラン化合物(オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン等のような)および多光子活性化光硬化可能なその他反応性シランが例示される。かかるシラン化合物の加水分解物も用いることができる。
【0036】
光反応性シラン化合物の縮合物および/または反応性および非反応性シランの混合物の縮合物(例えば、ハイブリッドプラスチックス(Hybrid Plastics)、ジェレスト(Gelest)、テクネグラス(Techneglas)およびアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)のような供給業者より入手可能なポリオクタヘドラルシルセスキオキサン、ならびにオリゴマーおよびポリマーシルセスキオキサン材料)、オリゴマーシロキサン材料(例えば、ポリジメチルシロキサン)および分岐および高分岐ケイ素含有オリゴマーおよびポリマー材料を、所望であれば、上述したシラン化合物と組み合わせて用いることができる。ゾル−ゲル材料(例えば、シリコンアルコキシド)をシラン化合物と組み合わせて用いて、組成物の無機含量を増大させることもできる。
【0037】
(2)光開始剤系
光開始剤系は、1光子光開始剤系または多光子光開始剤系のいずれかとすることができる。有用な1光子光開始剤系としては、一成分、二成分および三成分系が挙げられる。一成分系は、光化学有効量(すなわち、例えば、密度、粘度、色、pH、屈折率あるいはその他物理または化学特性を変化させることにより明らかとなる、選択した露光条件下で少なくとも部分反応を行わせるのに十分な量)の少なくとも1種類の光開始剤を含む。かかる光開始剤としては、電磁スペクトルの紫外線または可視部分における波長の放射線に露光したときに、遊離基源を生成する化合物、あるいは酸(プロトンかルイス酸のいずれかを含む)を生成するカチオン光触媒が例示される。
【0038】
有用な遊離基光開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アリールグリオキサレート、アシルホスフィンオキシド、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、芳香族スルホニル塩化物、光活性オキシム、ニトロソ化合物、アシルハロゲン化物、ヒドラゾン、クロロアルキルトリアジン、ビスイミダゾール、トリアシルイミダゾール、ピリリウム化合物、スルホニウムおよびヨードニウム塩、メルカプト化合物、キノン、アゾ化合物、有機過酸化物およびこれらの混合物が挙げられる。かかる光開始剤は、例えば、米国特許6,054,007号明細書(ボイド(Boyd)ら)(例えば、第16欄58行から第17欄7行参照)、同第5,235,744号明細書(ウィリアム(Williams)ら)(例えば、第11欄26行〜第12欄65行参照)および同第4,735,632号明細書(オキサマン(Oxman)ら)(例えば、第3欄26行〜47行参照)に記載されている。
【0039】
有用なカチオン光触媒としては、オニウムカチオンと金属またはメタロイドのハロゲン含有錯体アニオンを有するメタロセン塩が挙げられる。その他の有用なカチオン光触媒としては、有機金属錯体カチオンと金属またはメタロイドのハロゲン含有錯体アニオンを有するメタロセン塩が挙げられる。かかる光触媒は、例えば、米国特許4,751,138号明細書(ツーメイ(Tuney)ら)(例えば、第6欄65行〜第9欄45行参照)、同第6,054,007号明細書(例えば、第14欄20行〜第16欄13行参照)および同第5,238,744号明細書(例えば、第10欄12行〜第11欄3行参照)に記載されている。光触媒の混合物も有用である。
【0040】
かかる遊離基光開始剤およびカチオン光触媒およびその調製方法は業界で公知である。多くは市販されている。
【0041】
別法によれば、有用な2成分および3成分1光子光開始剤系は、光化学有効量の(1)少なくとも1種類の1光子光増感剤と、(2)(i)光増感剤とは異なり、光増感剤の電子励起状態まで電子を供与可能な少なくとも1つの遊離基および/または酸を形成する少なくとも1種類の電子供与化合物(好ましくは、ゼロより大きく、p−ジメトキシベンゼンの酸化電位より少ないまたは等しい酸化電位を有する電子供与化合物)および(ii)光増感剤の電子励起状態から電子を受容することにより光増感可能な少なくとも1種類の電子受容体(好ましくは、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、アジニウム塩、クロロメチル化トリアジンおよびトリアリールイミダゾイルダイマーからなる群より選択される電子供与体)のいずれか、または両方とを含む。
【0042】
好ましくは、光開始剤系は、多光子光開始剤系である。というのは、かかる系を用いると、3次元周期誘電性構造体におけるコントラストおよび欠陥の向上を可能とするからである。かかる系は、少なくとも1種類の多光子光増感剤と、少なくとも1種類の電子受容体と、任意に、少なくとも1種類の電子供与体とを含む2−または3−成分系であるのが好ましい。かかる多成分系は、感度を向上させ、短期間で光反応を行うことができるため、試料および/または露光系の1つ以上の成分の移動による問題が生じる恐れを減じる。
【0043】
別法によれば、多光子光開始剤系は、少なくとも1種類の光開始剤を含む1成分系とすることができる。1成分多光子光開始剤系として有用な光開始剤としては、アシルホスフィンオキシド(例えば、チバ(Chiba)よりイルガキュア(Irgacure)(登録商標)819という商品名で販売されているもの、同様に、BASFコーポレーション(BASF Corporation)よりルシリン(Lucirin)(登録商標)TPO−Lという商品名で販売されている2,4,6トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド)およびスルホニウム塩部分に共有結合したスチルベン誘導体(例えば、W.シャウ(Zhou)ら、サイエンス(Science)296,1106頁(2002年)に記載されているようなもの)が挙げられる。ベンジルケタールのようなその他の従来の紫外線(UV)光開始剤もまた用いることができる。ただし、多光子光開始感度は通常比較的低い。
【0044】
2−および3−成分光開始剤系に有用な1光子光増感剤、多光子光増感剤、電子受容体および電子供与体について後述する。
【0045】
(i)1光子光増感剤
好適な1光子光増感剤としては、約150〜約800ナノメートル(好ましくは、約200〜約600ナノメートル、より好ましくは約240〜約500ナノメートル)の波長範囲内で光吸収可能なものが挙げられる。好ましくは、光増感剤は、反応性種の反応を実質的に妨げ、反応性種に溶解する(反応性種が液体の場合)、または組成物に含まれる反応性種と、そして任意のバインダー(後述)と相容性のある官能基を実質的に含まない。
【0046】
光増感剤はまた、米国特許第3,729,313号明細書に記載された試験手順を用いて、光増感剤の単一光子吸収スペクトルとオーバーラップする波長範囲の連続照射にて、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンを増感可能であるのが最も好ましい。現在入手可能な材料を用いて、試験は次のようにして行う。標準試験溶液は、45,000〜55,000分子量、9.0〜13.0%ヒドロキシル含量ポリビニルブチラール(例えば、モンサント(Monsanto)よりBUTVAR B76という商品名で入手可能なもの)のメタノール中5%(体積部)溶液5.0部と、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.3部と、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(例えば、Bull.Chem.Soc.Japan,42,2924−2930(1969年)参照)0.03部との組成を有するように調製する。この溶液に、試験する化合物0.01部を光増感剤として添加する。得られる溶液を、0.05mmの透明なポリエステルフィルムに0.05mmのナイフオリフィスを用いてナイフコートし、コーティングを約30分間空気乾燥する。0.05mmの透明ポリエステルカバーフィルムを、乾燥しているが、柔らかく粘着性のコーティングに空気の入るのを最小にして慎重に配置する。得られるサンドイッチ構造体を、3分間、161,000ルクスの入射光に、可視と紫外の両範囲の光を与えるタングステン光源(ジェネラルエレクトリック(General Electric)より入手可能なFCH650Wクォーツ−ヨウ素ランプから作成したもの)から露光する。露光はステンシルを通して行って、露光および未露光領域を構造体に与える。露光後、カバーフィルムを除去し、乾式複写に従来から用いられているタイプのカラートナー粉末のような微粉砕着色粉末でコーティングを処理する。試験した化合物が光増感剤の場合には、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンから遊離基を光生成することにより露光領域でトリメチロールプロパントリメタクリレートモノマーが重合される。重合領域は実質的に粘着性がないため、着色粉末は選択的にコーティングの粘着性の未露光領域にのみ接合して、ステンシルに対応する目視画像が得られる。
【0047】
光増感剤はまた、貯蔵安定性を一部考慮に入れて選択されるのが好ましい。従って、特定の光増感剤の選択は、ある程度、用いる特定の反応性種(同様に、電子供与化合物および/または電子受容体の選択)に応じて異なる。
【0048】
好適な1光子光増感剤としては次の部類の化合物が挙げられる。ケトン、クマリン染料(例えば、ケトクマリン)、キサンテン染料、アクリジン染料、チアゾール染料、チアジン染料、オキサジン染料、アジン染料、アミノケトン染料、ポルフィリン、芳香族多環炭化水素、p−置換アミノスチリルケトン化合物、アミノトリアリールメタン、メロシアニン、スクアリウム染料およびピリジニウム染料。ケトン(例えば、モノケトンまたはアルファ−ジケトン)、ケトクマリン、アミノアリールケトンおよびp−置換アミノスチリルケトン化合物が好ましい増感剤である。光増感剤の混合物も用いることができる。高感度を必要とする用途(例えば、グラフィックアート)については、通常ユロリジニル部分を含有する増感剤を用いるのが好ましい。
【0049】
好ましい部類のケトン光増感剤は、一般式:
ACO(X)b
により表されるものであり、式中、XはCOまたはCR12、R1およびR2は同一または異なり、水素、アルキル、アルカリールまたはアラルキルで、bはゼロ、AおよびBは同一または異なり、置換(1個以上の妨害しない置換基)または非置換のアリール、アルキル、アルカリールまたはアラルキル基とすることができ、あるいはAおよびBを合わせて置換または非置換の、脂環式、芳香族、複素環式芳香族または溶融芳香族環の環構造を形成することができる。
【0050】
上記の式の好適なケトンとしては、2,2,−、4,4−または2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ジ−2−ピリジルケトン、ジ−2−フラニルケトン、ジ−2−チオフェニルケトン、ベンゾイン、フルオレノン、カルコン、ミヒラーケトン、2−フルオロ−9−フルオロン、2−クロロチオキサントン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、1−または2−アセトナフトン、9−アセチルアントラセン、2−、3−または9−アセチルフェンアントレン、4−アセチルビフェニル、プロピロフェノン、n−ブチロフェノン、バレロフェノン、2−、3−または4−アセチルピリジン、3−アセチルクマリン等のモノケトン(b=0)が挙げられる。好適なジケトンとしては、アントラキノンのようなアラルキルジケトン、フェナンスレンキノン、o−、m−およびp−ジアセチルベンゼン、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−および1,8−ジアセチルナフタレン、1,5−、1,8−および9,10−ジアセチルアントラセン等が挙げられる。好適なアルファ−ジケトン(b=1およびx=CO)としては、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオン、ベンジル、2,2’−、3,3’−および4,4’−ジヒドロキシベンジル、フリル、ジ−3,3’−インドリルエタンジオン、2,3−ボルナンジオン(樟脳キノン)、バイアセチル、1,2−シクロヘキサンジオン、1,2−ナフタキノン、アセナフタキノン等が挙げられる。
【0051】
好ましいケトクマリンおよびp−置換アミノスチリルケトン化合物としては、3−(p−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジメチル−アミノクマリン、9−(4−ジシアノエチルアミノシンナモイル)−1,2,4,5−テトラ−ヒドロ−3H,6H,10H[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i.j]−キノリジン−10−オン、2,3−ビス(9’−ユロリジン)シクロペンタノン、9−エトキシカルボニル−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H,6H,10H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i.j]−キノリジン−10−オン、2−(4’−ジエチルアミノベンジリジン)−1−インダノン、9−アセチル−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H,6H,10H[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i.j]−キノリジン−10−オンおよび5,10−ジエトキシ−12,16,17−トリクロロビオラントレン等が挙げられる。
【0052】
その他の有用な光増感剤としては、国際公開第01/96409号パンフレットに記載されたものが挙げられる。
【0053】
特に好ましい光増感剤としては、樟脳キノン、グリオキサール、バイアセチル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、3,3,7,7−テトラメチル−1,2−シクロヘプタンジオン、3,3,8,8−テトラメチル−1,2−シクロオクタンジオン、3,3,18,18−テトラメチル−1,2−シクロオクタデカンジオン、ジピバロイル、ベンジル、フリル、ヒドロキシベンジル、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオンおよび1,2−シクロヘキサンジオンが挙げられる。これらの中でも、樟脳キノンが最も好ましい。当業者であれば、露光波長および光増感剤の選択が、必要なリソグラフィー解像度と、波長に応じた無機粒子からの光散乱量との両方により決まることが分かるであろう。
【0054】
(ii)多光子光増感剤
光反応性組成物に用いるのに好適な多光子光増感剤は、露光システムにおいて適切な光源からの放射線に露光されると、少なくとも2つの光子を同時に吸収することができる。好ましい多光子光増感剤は、同じ波長で測定したときに、フルオレセインより大きな(すなわち、3’,6’−ジヒドロキシスピロ[イソベンゾフラン−1(3H)、9’−[9H]キサンテン]3−オンより大きな)2光子吸収断面を有している。
【0055】
通常、2光子吸収断面は、C.スゥ(Xu)およびW.W.ウェッブ(Webb)、J.Opt.Soc.Am.B,13,481(1996年)および国際公開第98/21521号パンフレットに記載された方法により測定されると、約50×10-50cm4秒/光子より大きい。この方法には、光増感剤の2光子フルオレセイン強度と参照化合物のものとの比較(同一の励起強度および光増感剤濃度条件下での)が含まれる。参照化合物は、光増感剤の吸収および蛍光によりカバーされるスペクトル範囲とできる限り近く適合されるようなものを選択する。ある実験構成においては、励起ビームを、励起強度の50%を光増感剤へ、50%を参照化合物へと2つのアームに分離することができる。光増感剤の参照化合物に対する相対蛍光強度は、2本の光電子増倍管またはその他較正検出器を用いて測定することができる。最後に、1光子励起下で両化合物の蛍光量子効率を測定することができる。
【0056】
蛍光およびりん光量子効率を求める方法は業界に周知である。一般的に、当該の化合物の蛍光(またはりん光)スペクトルの領域を、公知の蛍光(またはりん光)量子効率を有する標準ルミネッセント化合物の蛍光(またはりん光)スペクトルの領域と比べ、適切な補正を行う(例えば、励起波長での組成物の光学密度、蛍光検出装置の幾何形状、放出波長における差異、および異なる波長に対する検出器の応答を考慮に入れる)。標準的方法は、例えば、I.B.ベールマン(Berlman)、芳香族分子の蛍光スペクトルハンドブック(Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules)、第2版、24−27頁、アカデミックプレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)(1971年)、J.N.デュマ(Demas)およびG.A.クロスビー(Crosby)、J.Phys.Chem.75、991−1024頁(1971年)およびJ.V.モリス(Morris)、M.A.マホニー(Mahoney)およびJ.R.ヒューバー(Huber)、J.Phys.Chem.80、969−974頁(1976年)に記載されている。
【0057】
放出状態が、1および2光子励起で同じと仮定すると(一般的な仮定)、光増感剤の2光子吸収断面(δsam)は、δrefK(Isam/Iref)(Φsam/Φref)に等しく、δrefは参照化合物の2光子吸収断面であり、Isamは光増感剤の蛍光強度であり、Irefは参照化合物の蛍光強度であり、Φsamは光増感剤の蛍光量子効率であり、Φrefは参照化合物の蛍光量子効率であり、Kは2つの検出器の光路および応答における僅かな差に相当する補正係数である。Kは、試料および参照アームの両方における同じ光増感剤での応答を測定することにより求めることができる。適正な測定を確実にするために、励起電力での2光子蛍光強度の明白な二次依存性が確認され、両方とも比較的低濃度の光増感剤および参照化合物を用いる(蛍光再吸収および光増感剤凝集の影響を排除するために)。
【0058】
光増感剤が蛍光でないときは、電子励起状態の効率を測定し、既知の標準と比較する。蛍光効率を求める上述した方法に加えて、励起状態効率を測定する様々な方法(例えば、過渡吸収、りん光効率、光生成物形成または光増感剤の消失(光反応からの)等をはじめとする)が知られている。
【0059】
光増感剤の2光子吸収断面は、好ましくは、フルオレセインの約1.5倍を超える(あるいは、上記の方法により測定したときに、約75×10-50cm4秒/光子を超える)、より好ましくは、フルオレセインの約2倍を超える(あるいは、約100×10-50cm4秒/光子を超える)、最も好ましくは、フルオレセインの約3倍を超える(あるいは、約150×10-50cm4秒/光子を超える)、かつ任意に、フルオレセインの約4倍を超える(あるいは、約200×10-50cm4秒/光子を超える)。
【0060】
好ましくは、多光子光増感剤は、反応性種に溶解する(反応性種が液体の場合)、または多光子反応性組成物に含まれる反応性種と、そして任意のバインダー(後述)と相容性がある。光増感剤はまた、米国特許第3,729,313号明細書に記載された上述した試験手順を用いて、光増感剤の単一光子吸収スペクトルとオーバーラップする波長範囲の連続照射にて(単一光子吸収条件)、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンを増感可能であるのが最も好ましい。
【0061】
多光子光増感剤はまた、貯蔵安定性を一部考慮に入れて選択されるのが好ましい。従って、特定の光増感剤の選択は、ある程度、用いる特定の反応性種(同様に、電子供与化合物および/または電子受容体の選択)に応じて異なる。
【0062】
有用な多光子光増感剤としては、2つ以上の光子の吸収によりアクセス可能な少なくとも1つの電子励起状態を有する半導体ナノ粒子量子ドットが挙げられる。特に好ましい多光子光増感剤としては、大きな多光子吸収断面を示す、ローダミン(Rhodamine)B(すなわち、N−[9−(2−カルボフェニル)−6−(ジエチルアミノ)−3H−キサンテン−3−イリデン]−N−エチル塩化エタナミニウムおよびローダミン(Rhodamine)Bのヘキサフルオロアンチモン酸塩)および例えば、マーダーおよびペリー(Marder and Perry)ら、国際公開第98/21521号パンフレットおよび国際公開第99/53242号パンフレットに記載されているような4つの部類の光増感剤のようなより一般的な光増感剤が挙げられる。4つの部類は以下の通りである。(a)2つの供与体が共役π−電子ブリッジに接続された分子、(b)2つの供与体が、1つ以上の電子受容基で置換された共役π−電子ブリッジに接続された分子、(c)2つの受容体が共役π−電子ブリッジに接続された分子および(d)2つの受容体が、1つ以上の電子供与基で置換された共役π−電子ブリッジに接続された分子(ここで、「ブリッジ」とは、2つ以上の化学基を接続する分子フラグメントのことを意味し、「供与体」とは、共役π電子ブリッジにボンド可能な低イオン化電位の原子または原子グループのことを意味し、「受容体」とは、共役π−電子ブリッジにボンド可能な高電子親和力のある原子または原子グループのことを意味する)。
【0063】
かかる光増感剤の代表例としては以下のものが挙げられる。
【0064】
【化2】

【0065】
【化3】

【0066】
【化4】

【0067】
【化5】

【0068】
上述した4つの部類の光増感剤は、国際公開第98/21521号パンフレットに記載された通り、標準ウィッティヒ条件にて、またはマクマリー反応を用いて、アルデヒドをイリドと反応させることにより調製することができる。
【0069】
その他の好適な化合物は、大きな多光子吸収断面を有するものとして米国特許第6,100,405号明細書、同第5,859,251号明細書および同第5,770,737号明細書に記載されている。ただし、これらの断面は、上述した以外の方法により求められたものである。かかる化合物の代表例としては以下のものが挙げられる。
【0070】
【化6】

【0071】
【化7】

【0072】
【化8】

【0073】
(iii)電子受容体化合物
光反応性組成物に用いるのに好適な電子受容体は、光増感剤の電子励起状態から電子を受容することにより光増感可能で、少なくとも1つの遊離基および/または酸を形成するものである。かかる電子受容体としては、ヨードニウム塩(例えば、ジアリルヨードニウム塩)、クロロメチル化トリアジン(例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンおよび2−アリール−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン)、ジアゾニウム塩(例えば、アルキル、アルコキシ、ハロまたはニトロのような基で任意に置換されたフェニルジアゾニウム塩)、スルホニウム塩(例えば、アルキルまたはアルコキシ基で任意に置換され、近接するアリール部分を架橋する2,2’オキシ基を任意に有するトリアリールスルホニウム塩)、アジニウム塩(例えば、N−アルコキシピリジニウム塩)およびトリアリールイミダゾイルダイマー(好ましくは、アルキル、アルコキシまたはハロのような基で任意に置換された、2,2’,4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾールのような2,4,5−トリフェニルイミダゾイルダイマー)等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0074】
電子受容体は、反応性種に可溶であるのが好ましく、貯蔵安定性がある(すなわち、光増感剤および電子供与化合物の存在下で溶解させたときに、反応性種の反応を自然に促進しない)のが好ましい。従って、特定の電子供与体の選択は、上述した通り、選んだ特定の反応性種、光増感剤および電子供与体化合物にある程度依存している。
【0075】
好適なヨードニウム塩としては、米国特許5,545,676号明細書、同第3,729,313号明細書、同第3,741,769号明細書、同第3,808,006号明細書、同第4,250,053号明細書および同第4,394,403号明細書に記載されたものが挙げられる。ヨードニウム塩は、単純塩(例えば、Cl-、Br-、I-またはC45SO3-のようなアニオンを含有する)または金属錯体塩(例えば、SbF6-、PF6-、BF4-、テトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、SbF5OH-やAsF6-を含有する)とすることができる。所望であれば、ヨードニウム塩の混合物を用いることができる。
【0076】
有用な芳香族ヨードニウム錯体塩電子受容体としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(ナフチル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート;ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;フェニル−2−チエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;2,2’−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;およびジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等およびこれらの混合物が例示される。芳香族ヨードニウム錯体塩は、ベルリンガー(Beringer)ら、J.Am.Chem.Soc.81,342頁(1959年)の教示に従って、対応の芳香族ヨードニウム単純塩(例えば、ジフェニルヨードニウム重硫酸塩のような)のメタセシスにより調製することができる。
【0077】
好ましいヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウム塩化物、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートおよびジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートのような)、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(例えば、サートマーカンパニー(Sartomer Company)よりSARCAT SR1012という商品名で入手可能なもの)およびこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
スルホニウム塩(および電子受容体の他のタイプのいずれか)に好適なアニオンX-としては、例えば、イミド、メチド、ホウ素中心、リン中心、アンチモン中心、砒素中心およびアルミニウム中心アニオンのような様々なアニオンタイプが挙げられる。
【0079】
好適なイミドおよびメチドアニオンとしては、(C25SO22-、(C49SO22-、(C817SO23-、(CF3SO23-、(CF3SO22-、(C49SO23-、(CF3SO22(C49SO2)C-、(CF3SO2)(C49SO2)N-、((CF32NC24SO22-、(CF32NC24SO2-(SO2 CF32、(3,5−ビス(CF3)C63)SO2-SO2CF3、C65SO2-(SO2CF32、C65SO2-SO2CF3等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。このタイプの好ましいアニオンとしては、式(RfSO23-(式中、Rfは1〜約4個の炭素原子を有するパーフルオロアルキルラジカルである)で表されるものが挙げられる。
【0080】
好適なホウ素中心アニオンとしては、F4-、(3,5−ビス(CF3)C634-、(C654-、(p−CF3644-、(m−CF3644-、(p−FC644-、(C653(CH3)B-、(C653(n−C49)B-、(p−CH3643(C65)B-、(C653FB-、(C653(C65)B-、(CH32(p−CF3642-、(C653(n−C1837O)B-等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましいホウ素中心アニオンは、通常、ホウ素に付加した3個以上のハロゲン置換芳香族炭化水素ラジカルを含有しており、最も好ましいハロゲンはフッ素である。好ましいアニオンとしては、(3,5−ビス(CF3)C634-、(C654-、(C653(n−C49)B-、(C653FB-および(C653(CH3)B-が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0081】
その他金属または半金属中心を含有する好適なアニオンとしては、例えば、(3,5−ビス(CF3)C634Al-、(C654Al-、(C6524-、(C65)F5-、F6-、(C65)F5Sb-、F6Sb-、(HO)F5Sb-およびF6As-が挙げられる。アニオンX-は、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネートおよびヒドロキシペンタフルオロアンチモネート(例えば、エポキシ樹脂のようなカチオン硬化性種と共に用いる)から選択されるのが好ましい。
【0082】
好適なスルホニウム塩電子受容体としては、以下のものが例示される。
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート
トリトリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
アニシルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
トリ(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート
ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート
4−アセトニルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
4−チオメトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
ジ(ニトロフェニル)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
p−(フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
10−メチルフェノキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート
5−メチルチアンスレニウムヘキサフルオロホスフェート
10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート
10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラフルオロボレート
5−メチル−10−オキソチアンスレニウムテトラフルオロボレート
5−メチル−10,10−ジオキソチアンスレニウムヘキサフルオロホスフェート
【0083】
好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(例えば、サートマーカンパニー(Sartomer Company)よりSARCAT SR1010という商品名で入手可能なもの)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(例えば、サートマーカンパニー(Sartomer Company)よりSARCAT SR1011という商品名で入手可能なもの)およびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(例えば、サートマーカンパニー(Sartomer Company)よりSARCAT KI85という商品名で入手可能なもの)のようなトリアリール置換塩が挙げられる。
【0084】
有用なアジニウム塩としては、ピリジニウム、ジアジニウムまたはトリアジニウム部分のようなアジニウム部分を含む米国特許第4,859,572号明細書に記載されたものが挙げられる。アジニウム部分は、一般的に1つ以上の芳香族環、アジニウム環で溶融した炭素環式芳香族環(例えば、キノリニウム、イソキノリニウム、ベンゾジアジニウムおよびナフトジアゾニウム部分)を含むことができる。アジニウム環中の窒素原子の四級化置換基は、光増感剤の電子励起状態からアジニウム電子受容体へ電子が移動する際に遊離基として放出される。好ましい形態において、四級化置換基はオキシ置換基である。アジニウム部分の環窒素原子を四級化するオキシ置換基−O−Tは、合成に都合のよい様々なオキシ置換基から選択することができる。部分Tは、例えば、メチル、エチル、ブチル等のアルキルラジカルとすることができる。アルキルラジカルは置換することができる。例えば、アラルキル(例えば、ベンジルおよびフェネチル)およびスルホアルキル(例えば、スルホメチル)ラジカルが有用である。他の形態において、Tは−OC(O)−T1ラジカル(式中、T1は上述した様々なアルキルおよびアラルキルラジカルとすることができる)のようなアシルラジカルとすることができる。更に、T1はフェニルまたはナフチルのようなアリールラジカルとすることができる。アリールラジカルは置換することができる。例えば、T1はトリルまたはキシリルラジカルとすることができる。Tは、一般的に1〜約18個の炭素原子を含有し、上記の各例におけるアルキル部分は好ましくは低級アルキル部分であり、各例におけるアリール部分は好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含有する。オキシ置換基、−O−Tが1または2個の炭素原子を含有するとき、最高活性レベルが実現された。アジニウム核は、四級化置換基以外に置換基は含む必要はない。しかしながら、その他の置換基があっても、これらの電子受容体の活性に悪影響はない。
【0085】
有用なトリアリールイミダゾリルダイマーとしては、米国特許第4,963,471号明細書に記載されているようなものが挙げられる。これらのダイマーとしては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)−1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾールおよび2,5−ビス(o−クロロフェニル)−4−[3,4−ジメトキシフェニル]−1,1’−ビイミダゾールが挙げられる。
【0086】
好ましい電子受容体としては、ヨードニウム塩(より好ましくは、アリールヨードニウム塩)、クロロメチル化トリアジン、スルホニウム塩およびジアゾニウム塩のような光酸発生剤が挙げられる。より好ましいのは、アリールヨードニウム塩およびクロロメチル化トリアジンである。
【0087】
(iv)電子供与体化合物
光反応性組成物に有用な電子供与体化合物は、光増感剤の電子励起状態に電子を供与することのできる化合物(光増感剤そのもの以外)である。電位供与化合物は、ゼロより大きく、p−ジメトキシベンゼンの酸化電位より少ない、または等しい酸化電位を有しているのが好ましい。好ましくは、酸化電位は、標準飽和カロメル電極(「S.C.E.」)に対して約0.3〜1Vである。
【0088】
電子供与化合物はまた、反応性種に可溶であるのが好ましく、貯蔵安定性を一部考慮に入れて選択される(上述した通り)。好適な供与体は、光反応性組成物を所望の波長の光に露光した際、硬化速度または画像密度を増大することができる。
【0089】
カチオン反応性種と作用させるとき、当業者であれば、電子供与化合物は、塩基性が強いと、カチオン反応に悪影響を及ぼす可能性があることが分かるであろう。(例えば、米国特許第6,025,406号明細書の記載を参照のこと。)
【0090】
通常、特定の光増感剤および電子受容体に用いるのに好適な電子供与化合物は、3成分の酸化および還元電位を比較することにより選択することができる(例えば、米国特許第4,859,572号明細書に記載されている通り)。かかる電位は実験的に測定したり(例えば、R.J.コックス(Cox)、写真感度(Photographic Sensitivity)、15章、アカデミックプレス(Academic Press)(1973年)に記載された方法により)、N.L.ワインバーグ(Weinburg)編、電気有機合成の技術パートII:化学の技術(Technique of Electroorganic Synthesis Part II:Techniques of Chemistry)、第V巻(1975年)およびC.K.マン(Mann)およびK.K.バーンズ(Barnes)、非水系における電気化学反応(Electrochemical Reactions in Nonaqueous Systems)(1970年)のような参考文献から得ることができる。電位は、相対エネルギー関係を反映するものであり、後述するやり方で用いて電子供与化合物の選択を導くことができる。
【0091】
光増感剤が電子励起状態にあるとき、光増感剤の最高被占分子軌道(HOMO)の電子はより高いエネルギーレベル(すなわち、光増感剤の最低空分子軌道(LUMO))まで上がり、最初に被占していた分子軌道に空孔が残る。電子受容体は、最高エネルギー軌道から電子を受容し、電子受容化合物は電子を供与して、特定の相対エネルギー関係を満足するのであれば、元々被占していた軌道の空孔を充填することができる。
【0092】
電子受容体の還元電位が、光増感剤の還元電位よりやや負(またはより正)である場合には、これは、発熱プロセスを表すものであるため、光増感剤の高エネルギー軌道の電子が、光増感剤から電子受容体の最低空軌道(LUMO)まで直ちに移動する。この代わりにプロセスがやや吸熱であっても(すなわち、光増感剤の還元電位が電子受容体よりも負の0.1ボルトまでであっても)、周囲熱活性が、かかる小さな障害に容易に打ち勝つことができる。
【0093】
同様のやり方で、電子供与化合物の酸化電位が光増感剤の酸化電位よりあまり正でない(またはより負)である場合には、同じく発熱プロセスを表すものであるため、電子供与化合物のHOMOから光増感剤の空軌道まで移動する電子が、高電位から低電位へ移動するプロセスがやや吸熱であっても(すなわち、光増感剤の酸化電位が電子供与化合物よりも正の0.1Vまでであっても)、周囲熱活性が、かかる小さな障害に容易に打ち勝つことができる。
【0094】
光増感剤の還元電位が、電子受容体の還元電位より負の0.1Vまで、または光増感剤の酸化電位が電子供与化合物の酸化電位より正の0.1Vまでのやや吸熱反応は、電子受容体または電子供与化合物がまず、励起状態において光増感剤と反応するかどうかに関らず、それぞれの場合で生じる。電子受容体または電子供与化合物が励起状態で光増感剤と反応するときは、反応は発熱またはほんの僅か吸熱であるのが好ましい。電子受容体または電子供与化合物が光増感剤イオンラジカルと反応するときは、発熱反応が尚好ましいが、それでも吸熱反応が多くの場合に生じるものと予測される。このように、光増感剤の還元電位は、第2の反応電子受容体の還元電位より負の0.2V以上、または光増感剤の酸化電位は、第2の反応電子供与化合物の酸化電位より正の0.2V以上とすることができる。
【0095】
好適な電子供与化合物としては、例えば、D.F.イートン(Eaton)、最新光化学(Advances in Photochemistry)、B.ボマン(Voman)ら編、第13巻、427−488頁、ジョンウィリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク(New York)(1986年)および米国特許第6,025,406号明細書および同第5,545,676号明細書が挙げられる。かかる電子供与化合物としては、アミン(トリエタノールアミン、ヒドラジン、1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、トリフェニルアミン(およびそのトリフェニルホスフィンおよびトリフェニルアルシン類似体)、アミノアルデヒドおよびアミノシランを含む)、アミド(ホスホルアミド)、エーテル(チオエーテルを含む)、ウレア(チオウレアを含む)、スルフィン酸およびその塩、フェロシアン化物の塩、アスコルビン酸およびその塩、ジチオカルバミン酸およびその塩、キサンテートの塩、エチレンジアミン四酢酸の塩、(アルキル)n(アリール)mボレートの塩(n+m=4)(テトラアルキルアンモニウム塩が好ましい)、SnR4化合物(式中、各Rはアルキル、アラルキル(特にベンジル)、アリールおよびアルカリール基から独立して選択される)(例えば、n−C37Sn(CH33、(アリル)Sn(CH33および(ベンジル)Sn(n−C373のような化合物)といった様々な有機金属化合物、フェロセン等およびこれらの混合物が挙げられる。電子供与化合物は非置換または1個以上の妨害しない置換基で置換することができる。特に好ましい電子供与化合物は、電子供与電子(窒素、酸素、リンまたは硫黄原子)と、電子供与原子のアルファ位の炭素またはケイ素原子に結合した引き抜き可能な水素原子とを含有する。
【0096】
好ましいアミン電子供与化合物としては、アルキル−、アリール−、アルカリール−およびアラルキル−アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、トリエタノールアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、2,4−ジメチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、o−、m−およびp−トルイジン、ベンジルアミン、アミノピリジン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ピペラジン、4,4’−トリメチレンジピペリジン、4,4’−エチレンジピペリジン、p−N,N−ジメチル−アミノフェンエタノールおよびp−N−ジメチルアミノベンゾニトリル)、アミノアルデヒド(例えば、p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、9−ユロリジンカルボキシアルデヒドおよび4−モルホリノベンズアルデヒド)、アミノシラン(例えば、トリメチルシリルモルホリン、トリメチルシリルピペリジン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、N,N−ジエチルアミノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(メチルシリル)アミン、トリス(ジメチルシリル)アミン、ビス(ジメチルシリル)アミン、N,N−ビス(ジメチルシリル)アニリン、N−フェニル−N−ジメチルシリルアニリンおよびN,N−ジメチル−N−ジメチルシリルアミン)およびこれらの混合物が挙げられる。第三級芳香族アルキルアミン、特に、芳香族環に少なくとも1個の電子吸引基を有するものは、特に良好な貯蔵安定性をもたらすことが分かった。良好な貯蔵安定性はまた、室温で固体のアミンを用いても得られる。良好な写真速度速度は、1つ以上のユロリジニル部分を含有するアミンを用いて得られる。
【0097】
好ましいアミド電子供与化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−N−フェニルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサエチルホスホルアミド、ヘキサプロピルホスホルアミド、トリモルホリノホスフィンオキシドおよびトリピペリジノホスフィンオキシドおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0098】
好ましいアルキルアリールボレート塩としては、以下のものが挙げられる。
Ar3-(n−C49)N+(C254
Ar3-(n−C49)N+(CH34
Ar3-(n−C49)N+(n−C494
Ar3-(n−C49)Li+
Ar3-(n−C49)N+(C6134
Ar3-−(C49)N+(CH33(CH22CO2(CH22CH3
Ar3-−(C49)N+(CH33(CH22OCO(CH22CH3
Ar3-−(sec−C49)N+(CH33(CH22CO2(CH22CH3
Ar3-−(sec−C49)N+(C6134
Ar3-−(C49)N+(C8174
Ar3-−(C49)N+(CH34
(p−CH3O−C643-(n−C49)N+(n−C494
Ar3-−(C49)N+(CH33(CH22OH
ArB-(n−C493+(CH34
ArB-(C253+(CH34
Ar2-(n−C492+(CH34
Ar3-(C49)N+(C494
Ar4-+(C494
ArB-(CH33+(CH34
(n−C494-+(CH34
Ar3-(C49)P+(C494
【0099】
上式において、Arは、フェニル、ナフチル、置換(好ましくは、フルオロ置換)フェニル、置換ナフチルおよび多数の溶融芳香族環を有する同様の基、ならびに、テトラメチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルボレートおよびテトラブチルアンモニウムn−ヘキシル−トリス(3−フルオロフェニル)ボレート(チバスペシャルティケミカルズコーポレーション(Ciba Specialty Chemicals Corporation)よりCGI437およびCGI7460という商品名で入手可能なもの)およびこれらの混合物である。
【0100】
好適なエーテル電子供与化合物としては、4,4’−ジメトキシビフェニル、1,2,4−トリメトキシベンゼンおよび1,2,4,5−テトラメトキシベンゼン等およびこれらの混合物が挙げられる。好適なウレア電子供与化合物としては、N,N’−ジメチルウレア、N,N−ジメチルウレア、N’,N’−ジフェニルウレア、テトラメチルチオウレア、テトラエチルチオウレア、テトラ−n−ブチルチオウレア、N,N−ジ−n−ブチルチオウレア、N,N’−ジ−n−ブチルチオウレア、N,N−ジフェニルチオウレアおよびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジエチルチオウレア等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
遊離基誘導反応のために好ましい電子供与化合物としては、1つ以上のユロリジニル部分、アルキルアリールボレート塩および芳香族スルフィン酸を含有するアミンが挙げられる。しかしながら、かかる反応について、電子供与化合物はまた、所望であれば排除することもできる(例えば、光反応性組成物の貯蔵安定性を改善したり、解像度、コントラストおよび相互関係を修正するために)。酸誘導反応のために好ましい電子供与化合物としては、4−ジメチルアミノ安息香酸、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、3−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾイン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンゾニトリル、4−ジメチルアミノフェネチルアルコールおよび1,2,4−トリメトキシベンゼンが挙げられる。
【0102】
所望であれば、電子供与体、電子受容体または両方を、光増感剤につなぐ(例えば、共有結合させる)ことができる。
【0103】
(3)無機粒子
本発明のプロセスに用いるのに好適な粒子としては、化学組成が無機のものが挙げられる。所望であれば、これら粒子は表面処理することができる(例えば、表面付加有機基を含ませるために)。通常、粒子はサブミクロンサイズとし、組成物中で約10重量%を超える濃度で用いる場合には、光反応組成物の光反応に用いる光の波長で大部分透明とすることができる。粒子の屈折率は、反応性種の屈折率(例えば、約10パーセント)と実質的に同じであるのが好ましい。
【0104】
好適な粒子については、例えば、米国特許第5,648,407号明細書に記載されている。好適な粒子としては、金属酸化物(Al23、ZrO2、TiO2、ZnO、SiO2、希土類酸化物およびシリケートガラス)および金属炭酸塩、ならびにその他の十分に透明な非酸化物セラミック材料(例えば、金属フッ化物)の粒子が挙げられるがこれらに限定されるものではない。粒子の選択について更に考慮すべきこととしては、粒子を含む材料を高密度の無機構造へと焼結する温度がある。粒子は酸エッチング可能(例えば、水性HFまたはHClによりエッチング可能)であるのが好ましい。
【0105】
コロイドシリカは、本発明のプロセスに用いる好ましい粒子であるが、その他のコロイド金属酸化物(例えば、チタニア、アルミナ、ジルコニア、バナジア、酸化アンチモン、酸化錫等およびこれらの混合物)を用いることもできる。コロイド粒子は、十分に透明なシリカのような単体酸化物、または他の種類の酸化物、好ましくはシリカが付着したある種類の酸化物のコア(金属酸化物以外の材料のコア)を含むことができる。あるいは、コロイド粒子は、小さな粒子(同様または異なる組成)のクラスタで構成したり、中空またはポーラスとすることができる。
【0106】
通常、粒子またはクラスタは、光反応性組成物のフォトパターニングに用いる光の波長より小さく、約1ナノメートル〜約150ナノメートル、好ましくは約5ナノメートル〜約75ナノメートル、より好ましくは約5ナノメートル〜約30ナノメートル、最も好ましくは約5ナノメートル〜約20ナノメートルのサイズ(平均直径、ここで「直径」とは実質的に球形粒子の直径ばかりでなく、非球形粒子の最大寸法のことも指す)とすることができる。指定されたサイズ範囲のコロイド粒子の光反応性組成物への組み込みにより、実質的に透明で均一な組成物が得られる。かかる組成物は、フォトパターニングプロセス中の光の散乱を最小にする。最も好ましくは、粒子は、かかるサイズであるばかりでなく、選択した反応性種と実質的に同じ屈折率も有している。
【0107】
当業者であれば、特定の種類の無機粒子だと、光開始剤系の成分と相互作用して(例えば、電子受容体として作用して)、光開始光反応を妨げることが分かるであろう。無機粒子と光開始剤の組み合わせは、かかる妨害を避けるように選択するのが好ましい。
【0108】
粒子は比較的サイズが均一で、実質的に凝集しないままであるのも好ましい。というのは、粒子が凝集すると、沈殿、ゲル化またはゾル粘度の大幅な増加となる可能性があるためである。実質的に単分散または実質的に二項サイズ分布の粒子を含む光反応性組成物が好ましい。
【0109】
このように、本発明のプロセスに用いる粒子の特に望ましい部類としては、無機粒子のゾル(例えば、液体媒体中の無機粒子のコロイド分散液)、特にアモルファスシリカのゾルが挙げられる。かかるゾルはまた、様々な技術により、ヒドロゾル(水が液体媒体として作用する)、オルガノゾル(有機液体が液体媒体として用いられる)および混合ゾル(液体媒体が水と有機液体の両方を含有する)をはじめとする様々な形態で調製することができる。例えば、その記載内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第2,801,185号明細書(イラー(Iler))および同第4,522,958号明細書(ダス(Das)ら)、R.K.アイラー(Iler)、シリカの化学(The Chemistry of Silica)、ジョンウィリー&サンズ(John Wiley&Sons)、ニューヨーク(New York)(1979年)にある技法および形式の説明を参照のこと。
【0110】
表面の化学および商業的な入手のし易さから、本発明のプロセスに用いるにはシリカヒドロゾルが好ましい。かかるヒドロゾルは、様々な粒度および濃度で、例えば、ミッドランド州アシュランドのニャコールプロダクツ社(Nyacol Products,Inc.,Ashland,Md)、イリノイ州オークブルックのナルコケミカルカンパニー(Nalco Chemical Company,Oakbrook,Ill)およびデラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(Dupont de Nemours and Company,Wilmington,Del)より入手可能である。水中約10〜約50重量パーセントのシリカの濃度が通常有用であり、約30〜約50重量パーセントの濃度が好ましい(除去すべき水が少ないため)。所望であれば、シリカヒドロゾルは、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を酸でpH約8または約9まで部分中和する(溶液の得られるナトリウム含量が、酸化ナトリウム基準で約1重量パーセント未満とする)ことにより調製することができる。シリカヒドロゾルの他の調製方法、例えば、電気透析、ケイ酸ナトリウムのイオン交換、ケイ素化合物の加水分解および元素ケイ素の溶解については上記のアイラー(Iler)に記載されている。
【0111】
反応性樹脂ゾルの調製には、反応性種の粒子の分散性を補助するための無機粒子表面の少なくとも一部の修正が含まれる。この表面修正は、業界に周知の様々な異なる方法により行うことができる(例えば、米国特許第2,801,185号明細書(アイラー(Iler))および同第4,522,958号明細書(ダス(Das)ら)に記載された表面修正技術を参照のこと)。かかる方法としては、例えば、シラン化、プラズマ処理、コロナ処理、有機酸処理、加水分解、チタン化等が挙げられる。
【0112】
例えば、シリカ粒子は、粒子表面のシラノール基がヒドロキシル基に化学的に結合して、表面結合エステル基を生成する条件下で一価アルコール、ポリオールまたはその混合物(好ましくは飽和第一級アルコール)で処理することができる。シリカ(またはその他金属酸化物)粒子の表面はまた、オルガノシラン、例えば、アルキルクロロシラン、トリアルコキシアリールシランまたはトリアルコキシアルキルシランで、または、化学結合(共有またはイオン)により、または強い物理的結合により粒子表面に付加可能で、選択した樹脂と化学的に相容性のあるその他化学化合物、例えば、オルガノチタネートで処理することもできる。オルガノシランによる処理が通常好ましい。芳香族環を含有するエポキシ樹脂を用いると、少なくとも1つの芳香族環を含有する表面処理剤は、通常、樹脂と相容性があるため好ましい。同様に、その他の金属酸化物は、有機酸(例えば、オレイン酸)で処理したり、有機酸を分散剤として光反応性組成物に組み込むことができる。
【0113】
反応性樹脂ゾルの調製において、ヒドロゾル(例えば、シリカヒドロゾル)は、通常、水混和性有機液体(例えば、アルコール、エーテル、アミド、ケトンまたはニトリル)と、任意に(アルコールを有機液体として用いる場合)オルガノシランまたはオルガノチタネートのような表面処理剤と混合することができる。アルコールおよび/または表面処理剤は、通常、粒子表面の少なくとも一部が、安定した反応性樹脂ゾルを形成できるだけ(反応性種との混合の際に)十分に修正されるような量で用いることができる。アルコールおよび/または処理剤の量は、少なくとも約50重量パーセントの金属酸化物(例えば、シリカ)、より好ましくは少なくとも約75重量パーセントの金属酸化物である粒子を提供するように選択するのが好ましい。(アルコールが希釈剤と処理剤の両方として作用する十分量でアルコールを添加することができる。)得られる混合物を加熱して、蒸留または共沸蒸留により水を除去して、例えば、約100℃の温度に、例えば、約24時間の期間にわたって維持して、アルコールおよび/またはその他表面処理剤の粒子表面の化学基での反応(またはその他相互作用)を可能にすることができる。これによって、表面付加または表面結合した有機基を有する粒子を含むオルガノゾルが提供される。
【0114】
得られるオルガノゾルは、反応性種と混合して、有機液体は、例えば、ロータリエバポレータを用いることにより除去することができる。有機液体は、真空下で強固に結合した揮発性成分を除去するのに十分な温度まで加熱することにより除去されるのが好ましい。ストリッピング時間および温度は、通常、反応性種の進行を最小にしつつ、揮発性物質の除去を最大にするように選択することができる。あるいは、ボールミリング、3本ロールミリング、ブラベンダー混合、押出しまたはその他高剪断混合プロセスのような業界に公知の方法を用いて、無機粒子を反応性種と混合することができる。
【0115】
光反応性組成物の調製
光反応性組成物の成分は、上述した方法により、または業界に公知のその他の方法により調製することができ、多くが市販されている。これらの成分は、「安全光」条件下で、任意の混合の順番および方法(任意に、攪拌またはかき混ぜで)を用いて混合することができる。ただし、電子受容体を最後に(その他の成分の溶解を促すために任意に用いられる任意の加熱工程後に)添加するのが好ましい場合がある。所望であれば、組成物の成分とあまり反応しないような溶剤を選択するという条件で、溶剤を用いることができる。好適な溶剤としては、アセトン、ジクロロエタンおよびアセトニトリルが挙げられる。反応性種自身がまた、その他の成分の溶剤として機能することもある。
【0116】
光開始剤系の成分は、光化学有効量(すなわち、例えば、密度、粘度、色、pH、屈折率あるいはその他物理または化学特性を変化させることにより明らかとなる、選択した露光条件下で少なくとも部分反応を行わせるのに十分な量)で存在する。通常、光反応性組成物は、組成物中の固体の総重量(すなわち、溶剤以外の成分の総重量)に基づいて、約5重量%〜約99.79重量%の1種類以上の反応性種(または反応性と未反応性種の組み合わせ)、約0.01重量%〜約10重量パーセントの1種類以上の光増感剤(例えば、約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.2%〜約2%)、約10重量%までの1種類以上の電子供与化合物(好ましくは、約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.1%〜約5%)、約0.1重量%〜約10重量%の1種類以上の電子受容体(好ましくは、約0.1%〜約5%)を含有する。光反応性組成物には、通常、組成物の総体積に基づいて、約0.01体積%〜約75体積%の無機粒子を充填することができる。
【0117】
様々な添加剤を、所望の特性に応じて、光反応性組成物に含めることができる。好適な添加剤としては、溶剤、希釈剤、樹脂、バインダー、可塑剤、顔料、染料、チキソトロピー剤、指示薬、抑制剤、安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。かかる添加剤の量および種類、ならびに組成物への添加方法は、当業者にはよく知られている。
【0118】
上述した通り、例えば、粘度を制御したり、フォトスピードを増大するために、未反応性ポリマーバインダーを光反応性組成物に含めることも本発明の範囲内である。かかるポリマーバインダーは、通常、反応性種と相容するようなものを選択する。
【0119】
光反応性組成物は、様々な適用方法により基材に適用することができる。組成物は、ナイフまたはバーコーティングのようなコーティング方法により、またはディッピング、浸漬、スプレー、ブラシ、スピンコーティング、カーテンコーティング等のような適用方法により適用することができる。あるいは、組成物は滴下して適用することができる。基材は、寸法安定性材料(例えば、プロセス工程の温度より高い軟化または分解温度を有するガラス、溶融シリカ、ケイ素またはフッ化カルシウムのような材料)で作成することができ、特定の用途に応じて様々なフィルム、シート、ウェハおよびその他表面から選択することができる。基材は比較的平らであるのが好ましく、プロセスから得られる周期誘電性構造体の屈折率よりも低い屈折率を有するのが好ましい。基材は、露光波長に適合する反射防止コーティングを含むのが好ましい。基材は、任意に、プライマー(例えば、シランカップリング剤)で前処理して、光反応性組成物の基材への接着を促進させることができる。
【0120】
光反応性組成物は、無機粒子の特定の表面処理と、他の成分との相容性の両方に対して感度のあるチキソトロピー、またはレオロジー挙動を示す。このように、適切な溶剤含量および剪断条件を、所望の厚さの均一なフィルムを得るために、特定の組成およびコーティング方法用に最適化することができる。コーティング後、光反応性組成物は、任意に、ソフトベークして(例えば、ホットプレートまたはオーブンで)、残渣溶剤を一部または全て除去する。得られるコートした組成物のレオロジーは、露光および現像工程のタイムスケールで大幅に垂下したり流れないようなものとする。
【0121】
光反応性組成物の露光
実質的に無機光反応性組成物の少なくとも一部を、光反応性組成物の反応および未反応部分の二次元または三次元(好ましくは三次元)周期パターンを生成するために、少なくとも3本のビーム(好ましくは少なくとも4本のビーム)を含むマルチビーム干渉(MBI)技術を用いて、適切な波長、空間分布および強度の放射線に露光することができる。周期パターンはサブミクロンスケールであるのが好ましい。組成物の得られる未反応部分(または、反応部分)を除去して(例えば、溶剤現像により)、間隙ボイドスペース(他の材料、例えば、空気または異なる屈折率を有する溶剤で充填することができる)を形成する。
【0122】
かかるMBI技術には、通常組成物の試料(少なくとも一部)に電磁放射線を照射して、試料内の異なる方向に伝搬する放射線間の干渉が試料内の放射線の強度の二次元または三次元周期変化を引き起こし、光反応性組成物の反応および未反応部分の対応周期パターンを生成することが含まれる。
【0123】
このように、光反応性組成物の試料は、複数の源から同時に電磁放射線に露光して、試料内に干渉パターンを生成することができ、試料内の放射線の強度または線量(干渉パターンにより決まる)は周期的に変わる。試料の照射には、光反応が含まれ、場合によっては、屈折率の変化を伴うため、屈折率に対応のパターンの変化が生成される。多数回露光を用いなければならない場合には(例えば、欠陥を書き込むために)、かかる変化が比較的最小となる反応性種を選択するのが好ましい。
【0124】
光反応性組成物の試料に、電磁放射線の少なくとも3つのコヒーレントまたは部分コヒーレント源を照射することができる。好ましくは、試料内の周期パターンは、試料と交差させ干渉させるために、試料の少なくとも4つのコヒーレントまたは部分コヒーレント源から電磁放射線を方向付けることにより形成される。試料に多数回露光をすると、各干渉パターンが試料内に生成される。
【0125】
試料内の周期性のスケールは、干渉パターンの周期性のスケールに依存しており、これは、入射放射線の波長、組成物の屈折率および試料内の干渉電磁波面の伝播形状および方向に依存している。用いた放射線の各ビームの個々の波ベクトル間の差が、逆格子ベクトルを決めるため、得られる周期誘電性構造体が対称になる。特定の格子対称は、各ビームの出力および/または分極状態を独立して変更することにより更に調整することができる。サブミクロンスケールの三次元周期性を、高価なマスクを必要とすることなく、試料に生成することができる。これにより、電磁スペクトルの赤外、可視または短波領域における光学および電気光学用途に用いる周期誘電性構造体を製造することが可能となる。
【0126】
例えば、三次元周期誘電性構造体は以下の方法で製造することができる。355nmの波長の放射線に露光後に適切な溶剤における溶解度が減少する負のフォトレジストは、3倍波Nd:YAGレーザーから355nmの波長で4つのレーザービームにより同時に放射して、フォトレジストの層内でビームを交差させることができる。4本のビームの干渉によって、立方単位格子サイズが約0.6μmのfcc構造対称性を有するフォトレジスト内に三次元周期強度変調を生成することができる。フォトレジストを現像すると、フォトレジストの照射の少ない領域が除去されて、照射済みフォトレジストと空気−または溶剤−充填ボイドの相互侵入網目構造を含む三次元周期構造体が生成される。
【0127】
干渉パターン内の放射線の強度は、通常、波長の長さスケールで徐々に変化するが、得られる周期誘電性構造体は比較的シャープな表面を有する。これは、照射試料の可溶および不溶部分を分割するスレショルドを生成し得る光反応と後の現像における非直線性の結果として得られる。このスレショルドは、一定の放射線線量の輪郭に略対応している。スレショルド強度の適切な選択により、現像により除去される試料のフラクションを制御することができる。(例えば、過露光は、得られる現像構造体におけるボイドスペースフラクションを減少する。)光反応の非直線性は、多光子露光により更に向上させることができる。
【0128】
露光中に生成される干渉パターンは、現像中に除去すべき試料部分が連結した網目構造を形成するようにするのが好ましい。これによって、かかる部分が除去されたボイドが確実に生成される。更に、ボイドの相互接続によって、光反応性組成物とは異なる屈折率(またはその他望ましい特性)を有する材料をボイドに導入することができる。除去によって、残った部分の周期構造体を破壊しないことも重要である。これは、例えば、干渉パターンが、現像中に除去される部分および保持される部分がそれぞれ連続相互侵入網目構造を確実に形成するようにすることにより達成できる。
【0129】
同時に交差するレーザービームを用いる単一露光を用いることができる。あるいは、多数回露光技術を用いることができる。
【0130】
例えば、二重露光技術において、組成物は2回露光され、各露光は、各露光のために放射線線量が周期的に変化する。一方の露光の部分を形成すると考えられる放射線は、他方の露光の部分を形成すると考えられる放射線と同時に存在させることができる。二重露光の特徴および放射線エネルギーを一方の露光から他方へ割り当てるのに用いる基準は、合計放射線線量の空間変化を決める際の異なる露光からの放射線間の干渉の影響が、同じ露光に属する異なる源からの放射線間の干渉の影響に対して減少または排除されることである。これは、2回露光からの放射線間のコヒーレンスの程度が同じ露光に属する異なる源からの放射線間のコヒーレンスの程度未満とするか、または2回の露光間の時間内でのオーバーラップを減少するかのいずれかにより達成できる。このように、2回露光における放射線は、相互にインコヒーレントな源から誘導でき、例えば、異なる時間、異なるレーザーまたは異なる周波数の源での単一レーザーの出力とすることができる。
【0131】
二重露光技術を用いる変形方法において、電磁放射線の2つのパルスを用いて、第2のパルスを第1よりも遅く到達させることにより2つのパルス間の干渉を減少または排除することができる。例えば、単一レーザーパルスは、2つのパルスに分割することができ、第2は、第1に対して時間遅延がある。第1のパルスは、光反応性組成物に初期三次元干渉パターンを作成するのに用いることのできる4つのビームへ分割することができる。第2のパルスが遅延線に従っている間に第1のパルスが崩壊した後、第2のパルスも同様に、第1の露光において4本のビームから異なる経路に従う4本のビームに分割して、光反応性組成物に異なる三次元干渉パターンを形成するべくオーバーラップさせることができる。
【0132】
別法によれば、第2のパルスから誘導されたビームは、第1の4本のビームと実質的に同じ経路に従うが、第1のパルスからビームの相対位相遅れに対して異なる相対位相遅れを受けて、初期の干渉パターンと同様または同一であるが、初期パターンに対して空間位置がシフトした干渉パターンが形成される。必要な相対位相遅れを生成するためには、電気光学位相変調器を4本のビーム線の少なくとも1つに提供して、第1と第2のパルス間の時間の間隔を調整することができる。約5nsの時間の3倍波Nd:YAGレーザーからのパルスを用いる場合には、2回の露光間の時間でのオーバーラップを避け、パルス間の状態を位相変調器に変更させるのに数メートルの長さの遅延線で十分な遅延である。
【0133】
二重露光技術によって、光反応性組成物内の一定線量の輪郭形状を正確に制御することができ、オープンでありながら連続的に接続された構造体の設計および製造がし易くなる。しかしながら、前述した通り、光反応性組成物は、3回以上の露光により照射することができる。大きな光化学的変化が、照射している間中生じない限りは、全露光で同じ周期性または相応の周期性の周期的強度パターンを確実に生成することができる。連続露光が同じ経路に従ったレーザービームによる照射に対応する場合には、ビーム間の相対位相遅れを源からの各パルス間で変更することができる。これによって、組成物の3回以上の露光が可能となり、1回毎に他の干渉パターンに対して空間的にシフトした干渉パターンが生成される。
【0134】
ある光反応性組成物については、組成物を電磁放射線に露光する期間を、強度干渉パターンが組成物の屈折率の光誘導変化により大幅に動かないよう十分に短く調整する必要がある。短いパルス露光は、光学成分の機械的安定性に対する制約を減らす。組成物に形成された強度干渉パターンは、放射線により誘導される屈折率の変化にあまり変化を受けないようにするために、組成物には、例えば、約100msを超える照射を行わないのが最も好ましい。他の光反応性組成物では、屈折率に光誘導による大きな変化は露光中には生じないが、後の手順(例えば、組成物の加熱中)では生じ得る。
【0135】
有用なMBI技術としては、例えば、近藤(Kondo)ら、応用物理学レター(Applied Physics Letters)79、725(2001年、A.J.ターバーフィールド(Turberfield)、MRS定期刊行物(Bulletin)p.632、2001年8月、S.ヤン(Yang)ら、材料化学(Chemistry of Materials)14、2831(2002年)、近藤(Kondo)ら、応用物理学レター(Applied Physics Letters)82、2759(2003年)、I.ディヴランスキー(Divliansky)ら、応用物理学レター(Applied Physics Letters)82、1667(2003年)およびYu.V.ミクリヤエフ(Miklyaev)ら、応用物理学レター(Applied Physics Letters)82、1284(2003年)に記載されたものも挙げられる。かかる参考文献には、例えば、回折マスクの使用、コントラストを向上させるための同調抑制剤濃度の使用、レジストの厚さへ良好に浸透する可視光の使用、周期構造体を書き込むときコントラストを向上させる多光子吸収の使用およびフォトレジストに所望の光波ベクトルを得る補助となる「プリズム」の使用が記載されている。干渉パターンの安定性は、米国特許第5,142,385号明細書(アンダーソン(Anderson)ら)に記載された位相ロッキング技術を用いて更に改善することができる。
【0136】
欠陥含有周期誘電性構造体が望ましい場合には、光反応性組成物の未反応部分の少なくとも一部を、適切な波長および強度の放射線に露光して、多光子吸収および光反応を生じさせて、更なる反応済み部分を形成する。あるいは、欠陥書き込みは、所望であれば、MBIの前に実施することができる(プロセスの工程の順番を変えることができる)。多光子プロセスは、構造上の欠陥を書き込むのに特に好適である。かかるプロセスは、構造体の内部に欠陥を形成できる150ナノメートル未満の解像度および浸透深さを有するからである。
【0137】
露光システムおよびその使用
多ビーム干渉用の好適な光源としては、パルスと連続波源の両方が含まれる。好適な連続波源としては、アルゴンイオンレーザー(例えば、カリフォルニア州サンタクララのコヒーレント(Coherent,Santa Clara,California)より入手可能なイノーバ(Innova)90)およびヘリウムカドミウムレーザー(例えば、カリフォルニア州メレスグリオ(Melles Griot,California)より入手可能なもの)が挙げられる。光源は、必要な露光時間を最小にするために、比較的長いコヒーレンス長、比較的良好なビーム品質および比較的高出力を有しているのが望ましい。好適なパルス源としては、2倍または3倍波出力のナノセカンドNd:YAGレーザー(例えば、カリフォルニア州スペクトラ−フィジックス(Spectra−Physics,California)より入手可能なプロシリーズ(Pro−Series)250)および2倍波出力のフェムト秒チタンサファイアレーザー(例えば、(スペクトラ−フィジックスマイタイ(Spectra−Physics Mai Tai))が挙げられる。パルス源は、露光時間を短く保持し、光学コンポーネントの振動から生じ得るパターニングの可変性を減少するのが好ましい。
【0138】
欠陥の多光子書き込み用の有用な露光システムは、少なくとも1つの光源と少なくとも1つの光学要素とを含む。選択した光開始剤系に適切な波長で十分な強度(多光子吸収を行うのに)を与える光源であればいずれも用いることができる。かかる波長は、通常、約500〜約1700nm、好ましくは約600〜約1100nm、より好ましくは約750〜約1000nmの範囲とすることができる。照射は連続またはパルスまたはこれらの組み合わせとすることができる。
【0139】
多光子欠陥書き込みに好適な光源としては、例えば、アルゴンイオンレーザー(例えば、コヒーレントイノーバ(Coherent Innova))によりポンピングされるフェムト秒近赤外チタンサファイア発振器(例えば、コヒーレントミラオプティマ(Coherent Mira Optima)900−F)が挙げられる。76MHzで操作するこのレーザーのパルス幅は200フェムト秒未満で、700〜980nmで調整可能であり、1.4ワットまでの平均出力を有している。Q−スイッチNd:YAGレーザー(例えば、スペクトラ−フィジックスクワンタレイプロ(Spectra−Physics Quanta−Ray PRO))、可視波長色素レーザー(例えば、スペクトラ−フィジックスクワンタレイプロ(Spectra−Physics Quanta−Ray PRO)によりポンピングされるスペクトラ−フィジックスシラー(Spectra−Physics Sirah))およびQ−スイッチダイオードポンプレーザー(例えば、スペクトラ−フィジックス(Spectra−Physics)FCbar(登録商標))も用いることができる。ピーク強度は、通常、少なくとも約106W/cm2である。パルスフルエンスの上限は、通常、光反応性組成物のアブレーションスレショルドにより求められる。
【0140】
好ましい光源としては、パルス長さが約10-8秒(より好ましくは、約10-9秒、最も好ましくは約10-11秒未満)の近赤外パルスレーザーが挙げられる。上述したピーク強度およびパルスフルエンス基準に適合するのであれば、その他のパルス長さを用いることができる。
【0141】
本発明のプロセスを実施するのに有用な光学要素としては、屈折光学要素(例えば、レンズおよびプリズム)、屈折光学要素(例えば、再帰反射器または集束鏡)、屈折光学要素(例えば、回折格子、位相マスクおよびホログラム)、偏光光学要素(例えば、直線偏光子および波長板)、ディフューザ、ポッケルスセル、導波管、波長板および複屈折液晶等が挙げられる。かかる光学要素は、集束、ビーム分配、ビーム/モード成形、パルス成形およびパルスタイミングに有用である。通常、光学要素の組み合わせを用いることができ、その他の適切な組み合わせは当業者であれば分かるであろう。高集束光を与えるために、大きな開口数の光学部品を用いるのが望ましいことが多い。しかしながら、所望の強度プロフィール(およびその空間配置)を与える光学要素の組み合わせを用いることができる。例えば、露光システムには、0.75NA対物レンズ(ツァイス(Zeiss)20Xフルア(Fluar))を備えた走査共焦点顕微鏡(バイオラッド(BioRad)MRC600)を含めることができる。
【0142】
通常、光反応性組成物の露光は、組成物中の光強度の三次元空間分布を制御する手段としての光学システムと共に、光源(上述した通り)を用いて実施できる。例えば、連続波またはパルスレーザーからの光を、焦点が組成物の塊の中となるようにして集束レンズに通過させることができる。焦点は、所望の形状に対応する三次元パターンにおいて走査または変換することができ、所望の形状の三次元画像が作成される。組成物の露光または照射した塊は、組成物自身を移動するか、または光源を移動する(例えば、ガルボミラーを用いて移動する)かにより走査することができる。得られた露光組成物に、所望であれば、後露光熱処理を施すことができる。
【0143】
露光時間は、通常、用いる露光システムのタイプ(およびそれに伴う開口数、光強度の空間分布の幾何形状、例えば、レーザーパルス(ピーク光強度に略対応する高強度および短パルス期間)中のピーク光強度、ならびに露光した組成物の性質(および光増感剤、光開始剤および電子供与化合物の濃度)のような変数)に応じて異なる。通常、焦点範囲が高めのピーク光強度であると、他のものは同等のまま露光時間を短くすることができる。直線画像形成または「書き込み」速度は、連続波レーザーを用いて、またはレーザーパルス期間が約10-8〜10-15秒(好ましくは約10-11〜10-14秒)、1秒当たり約102〜109パルス(好ましくは1秒当たり約103〜108パルス)のパルスレーザーを用いて、約5〜100,000ミクロン/秒とすることができる。
【0144】
1光子光開始剤系を含む光反応性組成物は、接触またはプロジェクションリソグラフィーのような標準フォトリソグラフィー技術を用いてフォトパターニングすることができる(例えば、W.モロー(Moreau)、半導体リソグラフィー:原理、実践および材料、第3版、プレナムプレス、ニューヨーク(Semiconductor Lithography:Principles,Practices,and Materials,Third Edition,Plenum Press, New York)(1991年))。レーザーまたはランプからの集束ビームを用いたスポット書き込み技術を用いることもできる。
【0145】
付加硬化性反応性種を含む光反応性組成物を用いるときは、露光によって、組成物の硬化した(または少なくとも部分的に硬化した)部分と未硬化部分(組成物の露光および未露光領域にそれぞれ対応する)を与える。カチオン硬化性反応性種を含む光反応性組成物を用いるときは、組成物の露光部分に酸が生成され、任意の後硬化ベーク(例えば、ホットプレートまたはオーブンで)を用いて完全に硬化させることができる。組成物の露光点のゲル点は、低い硬化の程度で到達でき、組成物の露光部分と未露光部分の間に大きく異なる溶解度を即時に形成する。
【0146】
置換
光反応性組成物の選択的露光後、光反応性組成物の反応部分(例えば、非硬化性反応性種を用いるとき)または未反応部分(好ましくは、未反応部分)のいずれかを除去して、光反応性組成物の残りの部分とは異なる屈折率を有する1種類以上の材料で少なくとも部分的に任意に充填できる空隙容量を作成することができる。光反応性組成物の一部の露光により、その溶解度が変化するとき(例えば、低分子量反応性種の高分子量種への硬化の際に)、組成物の未露光、未反応部分は、適切な溶剤(例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノン等)による現像により除去することができる。好ましくは、現像溶液は、未反応反応性種と無機粒子の両方を効率的に溶媒和することができ、両者とも周期誘電性構造体から実質的にきれいに除去することができる。
【0147】
化学増幅フォトレジストのような標準レジスト系については、異なる溶解度(光反応性組成物の露光部分と未露光部分との間)は、ポリマー骨格の親水性基の脱保護に基づくものであることが多い。かかるレジストは、一般的に塩基性溶液で現像すると、露光部分(脱保護部分)を除去することができる。(例えば、マイクロリソグラフィー入門(Introduction to Microlithography)、第2版、ラリーF.トンプソン(Larry F.Thompson)、C.グラントウィルソン(Grant Wilson)およびムラーJ.ボーデン(Murrae J.Bowden)編、ワシントンD.C.のアメリカ化学協会(American Chemical Society, Washington, D.C.)(1994年)を参照のこと。)
【0148】
現像は、光画定パターンの崩壊を最小にする、またはこれを防止する方法で行うことができ、これは乾燥中の溶剤の表面張力により誘導される応力から得られるものである。一方、乾燥応力を最小にするために、構造体を現像するのに用いる溶剤は、CO2超臨界抽出(例えば、C.J.ブリンカーおよびG.W.シェーラー(Scherer)、ゾル−ゲルサイエンス(Sol−Gel Science)、アカデミックプレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)501−505頁(1990年)により除去できる。この方法において、溶剤を含む構造体を押出しチャンバーに置き、臨界点より低い温度の液体CO2で構造体を完全にカバーするようにする。通常、溶剤の量に比べて液体CO2が過剰の場合には、CO2は、構造体内の溶剤と略定量的に交換される。構造体をCO2の臨界点(31.1℃およびP=7.36MPa)より高く加熱すると、CO2は即時に排気されて、実質的に溶剤を含まない周期誘電性構造体が得られる。現像後、任意の熱分解工程を行って、残りの有機材料を除去することができる。追加の熱アニールまたは焼結も行うと、無機構造体を更に安定化させることができる。例えば、構造体は、約600℃まで1分間に約1度の速度で加熱し、その温度に約1時間保持してから徐冷することができる。
【0149】
光反応性組成物の反応済みまたは未反応部分のいずれかを除去した後、周期誘電性構造体の得られるボイドスペースは、所望であれば、部分的または完全に1種類以上の材料で充填することができる。有用な材料としては、所望のフォトニックバンドギャップの波長範囲において実質的に非吸収のようなものである。好適な材料としては、例えば、半導体(有機または無機)、金属(例えば、タングステンおよび銀のような貴金属)または所望の特性を示すその他材料が挙げられる。材料は、無機半導体のような高屈折率(例えば、約2を超える屈折率を有する)材料であるのが好ましい。有用な無機半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、セレン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、リン化ガリウムインジウムおよびヒ化ガリウムインジウムのような三元化合物等が例示される。ドープ半導体も用いることができる(例えば、シリコンをホウ素でドープしてn型半導体を作成することができる)。
【0150】
充填は、例えば、化学蒸着(CVD)、溶融浸透、半導体ナノ粒子の蒸着および焼結、化学電着、酸化物形成および還元等をはじめとする一般的な蒸着方法を用いて行うことができる。(例えば、EP1052312号明細書(ルーセントテクノロジー社(Lucent Technologies Inc.))およびD.J.ノリス(Norris)およびY.A.ブラソフ(Vlasov)、Adv.Mater.13(6)、371(2001年)に記載された方法を参照のこと。)CVDが好ましいことが多い。選択した蒸着装置の条件(例えば、ガスフロー、圧力および温度)を調整して、周期誘電性構造体に材料を最適に浸透させるのが好ましい。これらの条件を変えることにより、構造体の内側に付着した材料の量を制御することができる。高屈折率材料の場合には、完全なフォトニックバンドギャップを得るのに周期誘電性構造体内側の材料の量が重要なパラメータである。(例えば、ブッシュ(Busch)ら、「特定の自己組織化システムにおけるフォトニックバンドギャップの形成(Photonic Band Gap Formation in Certain Self−Organizing Systems)」、フィジカルレビュー(Physical Review)E 58、3896(1998年)を参照のこと。)
【0151】
蒸着後、業界に公知の熱アニールにより材料を任意に更に処理することができる。例えば、低圧化学蒸着(LPCVD)をまず用いて、周期誘電性構造体をアモルファスシリコンで部分的または完全に充填する。次に、アモルファスシリコンを熱アニールして、多結晶シリコン(ポリ−Si)を形成する。この後者の工程の重要な利点は、アモルファスシリコンが非常に僅かの表面粗さに蒸着するため、均一な充填が促されることである。所望であれば、アモルファスシリコンをポリ−Siに変換して、頑丈な機械的特性および屈折率の増加といったその所望の特性の多くを受け継がせることができる。
【0152】
所望であれば(例えば、材料の屈折率対光反応性組成物の残りの部分の比率が約2未満のときは)、光反応性組成物の残りの部分を除去して、逆の周期誘電性構造体を作成することができる。かかる除去は、例えば、水性またはエタノールフッ化水素酸(HF)、緩衝酸化物エッチング液またはその他好適なエッチング液を用いた化学エッチングにより行うことができる。
【0153】
除去および任意の充填工程後、得られる構造は制御または設計された欠陥を任意に含む周期誘電性構造体である。構造体は、少なくとも部分フォトニックバンドギャップ(好ましくは、完全なフォトニックバンドギャップ)を示すことのできる少なくとも2つの方向(好ましくは3つの方向)に屈折率の十分な周期性を有することができる。好ましくは、周期性はミクロンスケール(より好ましくはサブミクロンスケール)の周期性であり、部分フォトニックバンドギャップは、紫外(UV)から赤外(IR)までの波長(より好ましくは可視から近IR波長)で示される。
【0154】
完全なフォトニックバンドギャップを示す周期誘電性構造体としては、誘電性材料および空気の相互侵入ダイヤモンド型光子に基づくものが挙げられる。特定の光子構造が、部分または完全フォトニックバンドギャップを得るのに必要な(誘電性材料および空気の)屈折率比を決める。かかる構造体は、例えば、ホー(Ho)ら、Phys.Rev.Lett.65(25)、3152(1990年)、ヤブ ロノビッチ(Yablonovitch)ら、Physica B,175(1−3)、81(1991年)、米国特許出願公開第2002/0059897A1号明細書(ジョン(John)ら)、米国特許第5,739,796号明細書(ジャスパー(Jasper)ら)、米国特許第5,406,573号明細書(オズビー(Ozbay)ら)、米国特許第5,335,240号明細書(ホー(Ho)ら)、米国特許第5,600,483号明細書(ファン(Fan)ら)、米国特許第5,440,421号明細書(ファン(Fan)ら)およびS.G.ジョンソン(Johnson)ら、Appl.Phys.Lett.77,3490(2000年)に記載されている。
【0155】
得られる周期誘電性構造体は、業界(機械、化学、電気または光学)に公知の追加のプロセスにより更に修正、構造化、変更、処理またはパターン化して、光学装置(例えば、光学導波管)を製造することができる。かかる装置としては、電磁放射線を誘導、減衰、フィルタをかける、かつ/または変調可能であるものが挙げられる。追加のプロセスを用いて、例えば、材料の新たな層を基材(用いる場合)に追加する(または材料を除去する)、周期誘電性構造体に新たな材料を追加する(または材料を除去する)、または基材をパターニングすることができる。新たな材料を周期誘電性構造体に追加するのが望ましいときは、構造体は、他の材料で部分的に、または完全に再充填することができる。
【0156】
完全なフォトニックバンドギャップを示す制御された欠陥含有三次元(3−D)周期誘電性構造体は、光集積回路の基本として用いることができる。ある可能な装置において、光学導波路は、実質的に完全に光を閉じ込め、放射線損失が実質的にない尖った角周囲にそれを効率的に導くことができる。例えば、3−Dスタックにおいて、ログタイプの周囲誘電性構造体(例えば、米国特許第5,335,240号明細書(ホー(Ho)ら)を参照)において、1枚の層で1つのログを空気欠陥に置換すると、構造体を直線単一モード導波路として用いることができるようになる。構造体のフォトニックバンドギャップ内に周波数を有する光を導波路に導入することができる(例えば、光学ファイバーを構造体の端部に突き合わせ結合し、ファイバーのコアを空気欠陥と平行に位置合せすることにより)。高度の閉じ込めの結果として、導波路に導入された光は最小の損失で伝搬する。光学導波路はまた、二次元周期誘電性構造体の平均屈折率が、全内反射を介して光を閉じ込めるだけ十分に高いのであれば、二次元で作成することもできる。
【0157】
A.チュティナン(Chutinan)およびS.ノダ(Noda)、Appl.Phys.Lett.75(24)、3739(2002年)に記載されている通り、光は90度曲がって透過する。例えば、ログタイプの周期誘電性構造体において、90度曲がった導波路は、一方が他方に垂直である2つのログを除去することにより作成することができる。曲げ部周囲の最適な透過効率は、第2のログが第1のログの直ぐ上の層にあるときに得られる。スプリッタおよびカプラーは、同じ原理を用いて作成できるその他の有用な光学装置である。欠陥に対して最大の光閉じ込めのための制御された欠陥の最適なサイズおよび形状は、用いる特定の周期誘電性構造体に応じて異なる。90度回転が、光学回路の小型化を可能とする欠陥の最も重要な種類の1つである。
【0158】
周期誘電性構造体における単一点欠陥は、高品質因子マイクロキャビティとして用いることができる。例えば、単一格子点を僅かに大きくする、サイズを減少する、または全体的に除去して、欠陥に閉じ込められる光の波長を調整することができる。マイクロキャビティの非常に高い有効反射率のために、自発放出のレートを調整することができる。エミッタを点欠点に導入する場合、超低スレショルドレージングが得られる。
【0159】
単一点欠陥と線欠陥の組み合わせを用いて、フィルタ、波長分割マルチプレクサおよびデマルチプレクサ、信号変調器等のようなより複雑な装置を作成することができる。かかる集積光回路(またはシステム)は、多数のコンポーネントを単一の周期誘電性構造体に組み込むとき最大に有用性を有する。これは、本発明のプロセスを用いて達成することができる。
【0160】
光反応性組成物の残りの部分を除去しないと、増幅器および高効率低スレショルドレーザーのような装置を作成することができる。残りの光反応性組成物の無機部分を励起して(充填により追加された材料が透明の波長の放射線で)、周期誘電性構造体のバンドギャップにある波長で放射線を放出することができる。例えば、エルビウムイオンを含有する組成物は、980nm放射線で励起して、超低スレショルドレーザーとして1550nm放射線を放出することができる。あるいは、半導体ナノ粒子量子ドットは、光反応性組成物へエミッタとして組み込むことができる。
【0161】
プロセスの好ましい実施形態
図1a〜図1dを参照すると、本発明のプロセスの好ましい実施形態において、実質的に無機の光反応性組成物10(任意に基材20に適用された)を提供することができ(図1a)、多ビーム干渉装置30(図1b)を用いて組成物10の少なくとも一部を露光して、組成物10の露光部分32と未露光部分36の二次元または三次元周期パターンをそれぞれ形成する(図1c)(そして、露光部分に光反応を行う)ことができる。周期パターンの性質とスケールは、各レーザービームの波長、干渉角度、出力および/または偏光を変更することにより調整することができる。
【0162】
任意に(例えば、欠陥が望ましい場合には)、レンズを用いて得られるパターン化構造内部のピンポイントにレーザービームを集束することができる。ピンポイントの位置を所望のパターンで移動して、追加の露光部分を形成することができる。ピンポイントの位置は、例えば、3軸ステージを用いて、レーザービーム、レンズまたはパターン化構造体を移動することにより(集束レーザービームに対して)調整することができる。
【0163】
例えば、光組成物10の未露光部分36は、適切な溶剤で現像することにより除去することができる。この除去により、様々な技術(例えば、化学蒸着)を用いて、比較的高屈折率の材料(例えば、半導体)で任意に充填可能な得られる周期誘電性構造体50(図1d)に、ボイドスペース40が作成される。実質的に無機の性質のために、パターン化された光反応性組成物の少なくとも一部は、高温で実施される任意のプロセス工程で無傷のままである。得られる充填構造体を、高屈折率の材料は実質的に無傷としながら、残りの光反応性組成物(例えば、その露光部分)を選択的に除去することのできるエッチング液(例えば、HF)に任意に露出させることができる。
【実施例】
【0164】
本発明の目的および利点を以下の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例に挙げられた特定の材料および量、その他条件および詳細は本発明を不当に限定するものではない。
【0165】
特に断りのない限り、実施例で用いた化学物質は、ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)より市販されている。
【0166】
実施例1(a)
実質的に無機の光反応性組成物の提供
ローダミン(Rhodamine)Bヘキサフルオロアンチモネートの調製
220mL脱イオン水中ローダミン(Rhodamine)B染料(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI))の塩化物塩4.2gの溶液を珪藻土を通してろ過した。ろ液を除去し、10.0gのNaSbF6(オクラホマ州カトーサのアドバンスドリサーチケミカルズ社(Advanced Research Chemicals, Inc.,Catoosa,OK))を攪拌しながら添加した。5分間の混合後、得られる混合物をろ過し、得られる固体を脱イオン水で洗って、50〜80℃で一晩オーブンで乾燥した。暗赤固体が得られ(4.22g)、これを赤外(IR)分光学、核磁気共鳴分析(NMR)法および塩化物の元素分析により分析した。分析は、ローダミン(Rhodamine)Bのヘキサフルオロアンチモネート塩(以下に示す構造)と一致していた。
【0167】
【化9】

【0168】
表面処理済み無機粒子の調製
900gのナルコ(NALCO)2327(イリノイ州ベッドフォードパークのオンデオナルコ(ONDEO Nalco)より入手可能な水中平均直径約20nmのシリカ粒子の分散液)を2リットルのビーカーに入れ、中程度の攪拌で、アンバーライト(AMBERLITE)で予備洗浄し、IR−120プラスイオン交換樹脂(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)より入手可能)をpH測定値が2〜3になるまで(ニュージャージー州ギブスタウンのEMサイエンス(EM Science,Gibbstown,NJ)より入手可能なカラーファスト(COLORPHAST)pH紙、pH範囲1〜14を用いて)徐々に添加した。室温で30分間攪拌した後、得られる混合物を10−ミクロンのナイロンメッシュ布地を通してろ過し、イオン交換樹脂を除去したところ、固体は41.6パーセントであった。800gのイオン交換ナルコ(NALCO)2327分散液を丸底フラスコに入れ、中程度の攪拌で、230gの脱イオン水(pHが上昇するにつれた凝集を防ぐために)を添加した後、水酸化アンモニウム水を滴下して、pHを8〜9とした。この混合物に、1600gの1−メトキシ−2−プロパノールと40.92gのトリメトキシフェニルシラン(シリカ1g当たり0.62mmolのシラン)の予備混合した溶液を5〜10分にわたって添加した。得られた非凝集シリカ分散液を約22時間にわたって90〜95℃で加熱した。分散液のシリカ固体の重量分析によれば15.4パーセントであった。
【0169】
反応性種の添加
390gの非凝集シリカ分散液を36.0gのERL(登録商標)4221E(ミシガン州ミッドランドのダウケミカル(Dow Chemical,Midland,MI)より入手可能な脂環式エポキシ)に添加し、よく混合して、アスピレータおよび油浴と共にロータリエバポレータを用いて徐々に加熱しながら、真空ストリッピングした。最終ストリッピング温度(真空ポンプを用いた)は45分間で130℃であった。96gのこの混合物を、1,5−ペンタンジオール(アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)4.0gと共に100−gのレートの速度混合カップ(サウスカロライナ州ランドラムのフラックテック社(FlackTek Inc.,Landrum,SC)より入手可能)に入れ、得られた混合物を、フラックテック社DAC150FVZスピードミキサー(フラックテック社(FlackTek Inc.))を用いて3000rpmで10分間混合した。得られたシリカ−エポキシゾルは60重量パーセントの表面処理済みシリカ粒子を含有していた。
【0170】
光開始剤系の添加
反応性種の早期硬化を防ぐために安全光条件下で動作させて、2.06gの上述した通りに調製したシリカ−エポキシゾルを、0.020gのジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(ペンシルバニア州ウェストチェスターのサートマー(Sartomer,West Chester,PA)より入手可能)、0.010gのローダミン(Rohdamine)Bヘキサフルオロアンチモネート(すなわち、N−[9−(2−カルボキシフェニル)−6−(ジエチルアミノ)−3H−キサンテン−3−イリデン]−N−エチルエタナミニウムヘキサフルオロアンチモネート、上述した通りに調製したもの)、0.2gのテトラヒドロフランおよび0.65gの1,2−ジクロロエタンの溶液と混合する。得られる混合物をマグネチックスターラーを用いて15分間攪拌して、均一な分散液を提供する。
【0171】
実施例1(b)
光反応性組成物の露光
トリエチルアミンのような塩基を、実施例1(a)の得られる実質的に無機組成物に添加し、得られる組成物を好適な基材(例えば、シリコンまたはガラス)にコーティング(例えば、ディップコーティング、スピンコーティング、グラビアコーティングまたはマイヤー(Meyer)ロッドコーティング)により適用する。組成物の粘度は慎重に制御する。(この塩基は、露光中に生成される局所光酸を部分中和して、均一な架橋バックグラウンドを減少させることにより組成物の「未露光」部分における非ゼロ−バックグラウンド光強度を緩和する補助となる。)露光前、加熱工程を適用して、残渣溶剤を組成物から除去する。
【0172】
得られるコートされた基材を、連続波(cw)レーザーからの光のビームに干渉可能な領域に配置する。コートされた基材または試料を、真空チャックに装着して、試料を適所に固定する。試料を、約1秒の時間で488nmで操作されるアルゴンイオンレーザー(例えば、カリフォルニア州サンタクララのコヒーレント(Coherent,Santa Clara,California)より入手可能)の3または4本のノンコプラナービームを用いて作成された干渉パターンに露光する。シャッター(機械的または音響-光学)を用いて、露光時間を正確に制御する。レーザーからのビーム直径は約数ミリメートルである。各レーザービームの干渉角度、出力および偏光を慎重に選択して、所望の二次元または三次元パターンを最大のコントラストで作成する。
【0173】
実施例1(c)
光反応性組成物の未反応部分の除去
露光後、試料を加熱して、露光領域の組成物の硬化を促進する。未露光部分を好適な溶剤(例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)で除去する。溶剤を、乾燥応力を最小にするために、超臨界乾燥により除去する。得られる露光、現像試料を熱分解して(例えば、バルカン(Vulcan)オーブン、型番3−350、コネチカット州ブルームフィールドのデグサ−ネイ(Degussa−Ney,Bloomfield,CT)、5℃/分〜600℃、1時間)、有機分を除去し、更に熱処理して、残りのシリカの空隙率を最小にする。得られる周期誘電性構造体は、少なくとも部分フォトニックバンドギャップを示し、「調製品」用いる、または化学蒸着またはその他好適な技術により高屈折率材料(例えば、ケイ素)で浸透させることができる。残りのシリカを除去して(例えば、希釈HF溶液での化学エッチングにより)、ケイ素/空気周期誘電性構造体を提供することができる。
【0174】
本発明の予測されない様々な修正および変更は、本発明の範囲および技術思想から逸脱することなく当業者に明白であろう。本発明は、本明細書に挙げた例示の実施形態および実施例に不当に限定されるものではなく、かかる実施例および実施形態は例証のためにだけ示されるものであって、本発明の範囲は冒頭に記載される特許請求の範囲によってのみ限定されるものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1a】本発明の方法の1実施形態を示す断面図である。
【図1b】本発明の方法の1実施形態を示す断面図である。
【図1c】本発明の方法の1実施形態を示す断面図である。
【図1d】本発明の方法の1実施形態を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)実質的に無機の光反応性組成物を提供する工程と、
(b)少なくとも3本のビームを含むマルチビーム干渉技術を用いて、前記光反応性組成物の少なくとも一部に、適切な波長、空間分布および強度の放射線を露光して、前記光反応性組成物の反応済みおよび未反応部分の二次元または三次元周期パターンを形成する工程と、
(c)前記光反応性組成物の前記反応済み部分または前記未反応部分を除去して間隙ボイドスペースを形成する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記周期パターンが三次元である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周期パターンがサブミクロン規模の周期性を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記実質的に無機の光反応性組成物が、(a)少なくとも1種類の反応性種と、(b)光開始剤系と、(c)任意に複数の無機粒子とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記実質的に無機の光反応性組成物が、光反応および熱分解により初期重量の約60パーセント未満を失う、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記反応性種が硬化性種である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記硬化性種が有機質またはハイブリッド有機質/無機質である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記実質的に無機の光反応性組成物が、光反応性シランの縮合物、反応性および非反応性シランの混合物の縮合物、オリゴマーシロキサン材料、分岐ケイ素含有オリゴマーおよびポリマー材料およびゾル−ゲル材料からなる群より選択される少なくとも1種類の材料を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記光開始剤系が、(a)少なくとも1種類の多光子光増感剤と、(b)少なくとも1種類の電子受容体と、(c)任意に、少なくとも1種類の電子供与体とを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記光開始剤系が少なくとも1種類の電子供与体を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記多光子光増感剤がフルオレセインより大きな二光子吸収断面を有している、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記多光子光増感剤がフルオレセインより約1.5倍大きな二光子吸収断面を有している、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記多光子光増感剤が、ローダミンB、2つの供与体が共役π(パイ)−電子ブリッジに接続された分子、2つの供与体が1つ以上の電子受容基で置換された共役π(パイ)−電子ブリッジに接続された分子、2つの受容体が共役π(パイ)−電子ブリッジに接続された分子および2つの受容体が1つ以上の電子供与基で置換された共役π(パイ)−電子ブリッジに接続された分子からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記多光子光増感剤がローダミンBである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電子受容体が、ヨードニウム塩、クロロメチル化トリアジン、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、アジニウム塩、トリアリールイミダゾリルダイマーおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記電子供与体は、アミン、アミド、エーテル、ウレア、スルフィン酸およびそれらの塩、フェロシアン化物の塩、アスコルビン酸およびその塩、ジチオカルバミン酸およびその塩、キサンテートの塩、エチレンジアミン四酢酸の塩、(アルキル)n(アリール)mボレートの塩(式中、n+m=4)、SnR4化合物(式中、各Rは、アルキル、アラルキル、アリールおよびアルカリール基より独立に選択される)、フェロセンおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記無機粒子が、金属酸化物粒子、金属炭酸塩粒子、金属フッ化物粒子およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
前記無機粒子が金属酸化物粒子である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記金属酸化物は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、バナジア、酸化アンチモン、酸化錫およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属酸化物がシリカである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記無機粒子の平均直径が約150ナノメートル未満である、請求項4に記載の方法。
【請求項22】
前記無機粒子が表面処理されたものである、請求項4に記載の方法。
【請求項23】
前記露光工程が、少なくとも4本のビームを含むマルチビーム干渉技術を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記露光工程が、パルスモードでの照射によるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記放射線が近赤外線である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記光反応性組成物の前記未反応部分を除去して前記間隙ボイドスペースを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記光反応性組成物の前記未反応部分の除去工程が、溶剤による現像によりなされる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、前記光反応性組成物の前記反応済み部分の屈折率とは異なる屈折率を有する少なくとも1種類の材料で前記間隙ボイドスペースを少なくとも部分的に充填する工程を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記充填工程が、化学蒸着による前記材料の蒸着を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、前記光反応性組成物の前記反応済み部分を除去する工程を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記除去工程が化学エッチングによるものである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記材料の屈折率が約2を超える、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記材料が無機半導体である、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記無機半導体が、シリコン、ゲルマニウム、セレン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、リン化ガリウムインジウムおよびヒ化ガリウムインジウムからなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記無機半導体がシリコンである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、前記光反応性組成物の前記未反応部分の少なくとも一部を、適切な波長および強度の放射線に露光して、多光子吸収および光反応を生じさせて、更なる反応済み部分と残りの未反応部分とを形成する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が、焼結、熱分解および/またはアニールを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
(a)(1)少なくとも1種類のカチオン反応性種と、
(2)多光子光開始剤系と、
(3)任意に、複数の表面処理済みシリカ粒子と
を含む実質的に無機の光反応性組成物を提供する工程と、
(b)少なくとも4本のビームを含むマルチビーム干渉技術を用いて、前記光反応性組成物の少なくとも一部に、適切な波長、空間分布および強度の放射線を露光して、前記光反応性組成物の反応済みおよび未反応部分の三次元のサブミクロン規模の周期パターンを形成する工程と、
(c)前記光反応性組成物の前記未反応部分を除去して間隙ボイドスペースを形成する工程と
を含む方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【公表番号】特表2007−515675(P2007−515675A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542612(P2006−542612)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/038644
【国際公開番号】WO2005/062091
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】