説明

フォトレジスト重合体、フォトレジスト組成物、これを用いた半導体素子の製造方法及び半導体素子

【課題】均一に形成されたフォトレジスト膜の提供。
【解決手段】 フォトレジスト重合体、フォトレジスト組成物及びこれを用いた半導体素子の製造方法に関し、より詳しくは、フッ素元素を含むフォトレジスト重合体と、前記フォトレジスト重合体及び有機溶媒を含み表面張力が減少したフォトレジスト組成物とを提供し、これを用いて被エッチング層パターン全面に均一なフォトレジスト膜を形成することにより、後続イオン注入工程を安定に行い得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトレジスト重合体、フォトレジスト組成物、これを用いた半導体素子の製造方法及び半導体素子に関し、より詳しくはフッ素元素を含むフォトレジスト重合体と、前記フォトレジスト重合体と有機溶媒を含み表面張力が減少したフォトレジスト組成物を提供し、これを用いて被エッチング層パターン全面に均一なフォトレジストパターンを形成することにより、後続イオン注入工程を安定に行え得る半導体素子の製造方法及びこの方法を用いた半導体素子を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体装置の製造技術の発達とメモリ素子の応用分野が拡張されるに伴い、半導体素子をますます高集積化の大容量メモリ素子に製造するための技術開発が切実に要求されると共に、フォトリソグラフィ(photo-lithography)工程、セル構造、配線形成物質及び絶縁膜形成物質の物性限界などを改善するための研究が多角的になされている。
【0003】
この中で、前記フォトリソグラフィ工程は素子を構成する複数層を互いに連結するコンタクトホールパターンなどを形成するための必須工程であって、前記フォトリソグラフィ工程技術の開発が高集積化された半導体素子を製造する要となる。参考に、前記フォトリソグラフィ工程はKrF(365nm)、ArF(193nm)またはVUV(157nm)等の短波長光源と前記光源に対し低い光吸収度、優れた乾式エッチング耐性、耐熱性及び接着性を有する化学増幅型フォトレジスト(chemically amplified photoresist)物質を用い0.01μm以下の微細パターン線幅(critical dimension;CD)を形成することができる。
【0004】
一方、半導体素子の高集積化によりパターン線幅が減少するに伴いパターンのアスペクト比(aspect ratio)が増加したため、フォトリソグラフィ工程の遂行時に従来の化学増幅型フォトレジスト物質を用いるのは多くの限界をもたらす。
【0005】
即ち、従来の化学増幅型フォトレジスト物質は高い表面エネルギーにより高い粘性を有するため、前記のようにアスペクト比が増加した被エッチング層パターンの全面にフォトレジスト膜を形成する場合、フォトレジスト物質が均一に埋め込まれないのでフォトレジスト膜内部にボイド(void)が形成される等の問題点が発生する(図2参照)。このような問題点は、後続イオン注入工程遂行時に基板の損傷をもたらし最終半導体素子の製造歩留りを低減させる。
【0006】
前述したような従来フォトレジスト物質を用いて形成されたフォトレジストパターンと、前記フォトレジストパターンを用いたイオン注入工程は図1(a)〜図1(e)に示した通りである。
図1(a)に示されているように、半導体基板1の上部に被エッチング層(図示省略)を形成した後、エッチングして被エッチング層パターン3を形成する。
前記図1(a)の被エッチング層パターン3を含む全面に図1(b)で示したように、従来フォトレジスト物質(図示省略)を用いてフォトレジスト膜5を形成する。
この時、前記フォトレジスト物質の表面張力により前記フォトレジスト膜が均一に埋め込まれないのでパターン内部にボイド7が発生する(図2参照)。
【0007】
前記ボイドが形成された図1(b)のフォトレジスト膜5に対する露光及び現像工程を行い、図1(c)に示したようなフォトレジストパターンを形成する。このとき、前記フォトレジストパターンは被エッチング層パターン3の間にフォトレジストが埋め込まれた部分5−1と開口部(open)9が交互に存在するように形成される。
【0008】
前記図1(c)のフォトレジストパターンをイオン注入工程用マスクに用い、前記形成された開口部9に対するイオン注入工程を行い図1(d)に示したようにイオン注入領域11を形成した後、前記フォトレジストパターンを除去して被エッチング層パターンを一つおきにイオン注入領域11が形成された半導体基板1を形成する。
【0009】
このとき、前記内部にボイドが形成されたフォトレジスト膜は、前記イオン注入工程時にイオンガスから半導体基板を保護することができるほど十分な厚みを有しないため、安定した後続イオン注入工程を行うことができない。その結果、前記フォトレジストパターンをマスクに用い前記イオン注入工程を行う場合、前記図1(d)に示したように望まない領域にイオン注入領域13が形成される。このような欠点は半導体素子の電気的特性を低減させ、最終半導体素子の歩留りを低減させる。
さらに、最近のように高いレンズ開口数(NA: numerical aperture)を有する露光装置を用いてアスペクト比の高い超微細パターンを形成する場合、フォトレジスト膜の内部でボイド発生の程度がさらに深化される。
【0010】
ここに、本発明者等は活発な研究結果、高価の装備開発なくとも前記従来の問題点等を克服することのできる新しい構成のフォトレジスト重合体、フォトレジスト組成物、及びこれを用いた半導体素子の製造方法を開発して本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような従来イオン注入工程時に発生したフォトレジストパターンの問題点を解決するため案出されたものであって、フッ素元素を含むフォトレジスト重合体及び前記重合体を含んで表面張力が減少したフォトレジスト組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明では前記フォトレジスト組成物を用いて被エッチング層パターンの間の空間に均一なフォトレジスト膜を形成することにより、安定した後続イオン注入を行い得る半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するため本発明では、
フッ素原子を含む下記式(1)で示される重合反復単位を含むフォトレジスト重合体を提供する。
【化1】

(前記式で、
R1は水素またはC1〜C2のアルキルであり、
R2はC1〜C10のパーフルオロアルキルまたは部分的にFが置換されたC1〜C10のアルキルで、
R3は酸に敏感な保護基であり、
a:b:c:dの重量比は10:10〜30:2〜8:2〜8である。)
【0013】
前記で、酸に敏感な保護基とは酸により脱離され得るグループであって、酸に敏感な保護基が付着してある場合はフォトレジストがアルカリ現像液により溶解されるのが抑制され、露光により発生した酸により敏感な保護基が脱離すればアルカリ現像液に溶解され得る。
【0014】
このような酸に敏感な保護基は前記のような役割を行うことができるものであれば何でも可能であり、これはUS 5,212,043(1993年5月18日)、WO 97/33198(1997年9月12日)、WO 96/37526(1996年11月28日)、EP 0 794 458(1997年9月10日)、EP 0 789 278(1997年8月13日)、US 5,750,680(1998年5月12日)、US 6,051,678(2000年4月18日)、GB 2,345,286 A(2000年7月5日)、US 6,132,926(2000年10月17日)、US 6,143,463(2000年11月7日)、US 6,150,069(2000年11月21日)、US 6,180,316 B1(2001年1月30日)、US 6,225,020 B1(2001年5月1日)、US 6,235,448 B1(2001年5月22日)、及びUS 6,235,447 B1(2001年5月22日)などに開示されたものを含み、好ましくは、t-ブチルテトラヒドロピラン-2-イル、2-メチルテトラヒドロピラン-2-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、2-メチルテトラヒドロフラン-2-イル、1-メトキシプロピル、1-メトキシ-1-メチルエチル、1-エトキシプロピル、1-エトキシ-1-メチルエチル、1-メトキシエチル、1-エトキシエチル、t-ブトキシエチル、1-イソブトキシエチル又は2-アセチルメント-1-イルである。
【0015】
このとき、前記式(1)のフォトレジスト重合体の好ましい例としては、下記式(1a)のポリ(t-ブチルアクリレート/2, 2, 3, 4, 4, 4-ヘキサフルオロブチルアクリレート/無水マレイン酸/N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2, 3-ジカルボキシイミドパーフルオロ-1-ブタンスルホン酸塩)を挙げることができる。
【化2】

(前記式で、a:b:c:dの重量比は10:10〜30:2〜8:2〜8である。)
【0016】
さらに、本発明の重合体は(e)単位単量体として下記式(2)の化合物をさらに含む下記式(3)で示される重合反復単位を含む重合体に示すことができ、これに対する好ましい例として下記式(3a)のポリ(t-ブチルアクリルレート/2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリルレート/無水マレイン酸/N-ヒドロキシル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドパーフルオロ-1-ブタンスルホン酸塩/2-ヒドロキシルエチルバイサイクロ[2,2,1]へプト-5-エン-2-カルボキシルレート)重合体を挙げることができる。
【化3】

【化4】

【化5】

(前記式で
R1は水素またはC1〜C2のアルキルであり、
R2はC1〜C10のパーフルオロアルキルまたは部分的にFが置換されたC1〜C10のアルキルで、
R3は酸に敏感な保護基であり、
R4はC1〜C10の直鎖または側鎖アルキルレンであり、
nは1〜2の整数であり、
a:b:c:d:eの重量比は10:10〜30:2〜8:2〜8:1〜4である。)
【0017】
さらに、本発明では前記式(1)または(3)で示される重合反復単位を含むフォトレジスト重合体、及び有機溶媒を含んで表面張力が低減したフォトレジスト組成物を提供する。このとき、前記フォトレジスト組成物は塩基性化合物をさらに含むことができる。
【0018】
前記フォトレジスト重合体は組成物100の重量部に対し5〜30重量部、好ましくは5〜15重量部で含まれる。もし、前記フォトレジスト重合体が組成物内に5重量部未満に含まれる場合、フォトレジストの厚みが余りにも薄く形成される短所があり、30重量部を超過する場合はフォトレジストの厚みが余りにも厚く形成される短所がある。
【0019】
このとき、前記重合反復単位を構成する各々の単量体の単位等は本発明の目的を達成するため下記のような役割を行う。
前記(a)単位単量体は、フォトレジスト膜が露光されるあいだ露光領域で発生した酸により敏感な保護基が脱離する役割を行い、これによりフォトレジスト膜の露光領域が現像液に溶解される。
前記(b)単位単量体及び(d)単位単量体にはフッ素元素が含まれているため、本発明のフォトレジスト組成物の表面張力を低減させフォトレジスト膜が被エッチング層パターンの間の空間に均一に埋め込まれる役割を行う。
さらに、前記(d)単位の単量体は光酸発生剤(photoacid generator)の役割を行う化合物であり、フォトレジスト膜に対する現像工程時に非露光部位まで共に現像されていた問題点を追加して防止することができる。
【0020】
即ち、従来の光酸発生剤はフォトレジスト組成物内に個別的な構成成分として含まれていながら、前記フォトレジスト組成物をコーティングするあいだフォトレジスト組成物内部で不均一に分布され少量の露光エネルギーでもフォトレジスト膜の非露光部位まで一度に現像される問題点があった。反面、本願発明のようにフォトレジスト重合体の反復単位内に光酸発生剤の役割を行う化合物が直接含まれる場合、フォトレジスト組成物の内部に光酸発生剤が均一に分布され、非露光部位まで現像されていた問題点を防止する効果を得ることができる。
【0021】
前記(c)単位の単量体は前記単量体等の重合歩留りを高める役割を行う。
【0022】
前記有機溶媒は前記化合物等を溶解させ得る有機溶媒であれば特に制限を設けないが、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(diethylene glycol diethyl ether)、エチル3-エトキシプロピオネート(ethyl 3-ethoxypropionate)、メチル3-メトキシプロピオネート(methyl 3-methoxypropionate)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、n-ヘプタノン(n-heptanone)、エチルラクテート、及びシクロペンタノン等でなる群から一つ以上選択されたものを用いる。
【0023】
さらに、前記塩基性化合物は前記(d)単位単量体から発生した酸が過度に分布されないよう添加される物質であって、前記酸を中和させ得る一般的な塩基性化合物であれば特に制限しないが、トリエタノールアミンのようなアミン類を用いるのが好ましい。前記塩基性化合物はフォトレジスト組成物内に0.02〜3.0重量部、好ましくは0.2〜1.0重量部で含まれる。もし、前記塩基性化合物がフォトレジスト組成物内に0.02重量部未満に含まれる場合はフォトレジスト組成物の解像力が不足し、3.0重量部を超過する場合はフォトレジスト組成物の感度が落ちるという短所がある。
【0024】
このような構成で製造された本発明のフォトレジスト組成物は、フォトレジスト重合体内にフッ素元素を含むため、フォトレジスト組成物の表面張力が低減してガラス転移温度以上で容易にフローされるので、微細パターン間の空間を均一に埋め込むのが容易である。
【0025】
さらに、本発明では
(i)半導体基板に形成された被エッチング層上部に本発明のフォトレジスト組成物をコーティングする段階と、
(ii)前記結果物をベークしてフォトレジスト膜を形成する段階と、
(iii)前記フォトレジスト膜を露光する段階と、
(iv)前記露光されたフォトレジスト膜をベークする段階と、
(v)前記結果物を現像して第1のフォトレジストパターンを形成する段階と、
(vi)前記第1のフォトレジストパターンをエッチングマスクに用いて下部の被エッチング層をエッチングし、被エッチング層パターンを形成する段階とを含む半導体素子の製造方法を提供する。
【0026】
加えて、本発明の方法は、
(vii)前記第1のフォトレジストパターンを除去する段階と、
(viii)前記結果物の全面に本発明のフォトレジスト組成物をコーティングし、被エッチング層パターンを埋め込ませたフォトレジスト膜を形成する段階と、
(ix)イオン注入マスクを用いて結果物に対する露光及び現像工程を行い、被エッチング層パターンの間に埋め込まれた部分と開口部が交互に存在する第2のフォトレジストパターンを形成する段階とをさらに含む半導体素子の製造方法を提供する。
【0027】
このとき、前記(ix)段階で露光工程の前後にベーク工程段階をさらに含むことができる。前記(ix)段階後、第2のフォトレジストパターンをマスクに用いて基板の電気的特性を高めるための後続イオン注入工程を行う。
【0028】
以下、本発明を図4(a)〜図4(d)を用いて詳しく説明する。
図4(a)に示されているように、半導体基板41の上部に被エッチング層(図示省略)を形成した後、その上部に露光及び現像工程による第1のフォトレジストパターン(図示省略)を形成する。
このとき、前記第1のフォトレジストパターンは本願発明のフォトレジスト組成物またはノボラック樹脂、アクリルレート系化合物及びシクロオレフィン系単量体と無水マレイン酸の共重合体を一つ以上含むフォトレジスト物質を用いて形成することができる。
その次に、前記第1のフォトレジストパターンを用いたエッチング工程で被エッチング層パターン43を形成する。このとき、前記被エッチング層パターンの幅は10〜150nmであり、パターン間のスペース幅は10〜150nmである。
以後、通常の現像液に沈漬して前記第1のフォトレジストパターン(図示省略)を除去する。
【0029】
図4(a)のような前記被エッチング層パターン43を含む全面に、図4(b)に示したように本発明のフォトレジスト組成物をスピンコーティングして被エッチング層パターンの間に均一に埋め込まれたフォトレジスト膜45を形成する。前記フォトレジスト膜は基板から50nm〜800nm、好ましくは100nm〜300nmの厚みに形成される。
【0030】
このとき、前記フォトレジスト組成物を形成した後、ガラス転移温度以上の温度である130〜180℃、好ましくは150〜160℃で100〜150秒、好ましくは110〜130秒のあいだベークする段階をさらに含むことも可能である。
【0031】
前記図4(b)で形成された前記フォトレジスト膜45に対する露光及び現像工程を行い、図4(c)に示したような第2のフォトレジストパターンを形成する。このとき、前記第2のフォトレジストパターンは被エッチング層パターン43との間にフォトレジストが埋め込まれた部分45−1と開口部47が交互に存在するように形成する。
このとき、前記露光工程は露光源としてKrFだけでなく、ArF、EUV(Extreme Ultra Violet)、VUV(Vacuum Ultra Violet)、E-ビーム、X-線またはイオンビーム等を全て用いることができ、1〜100mJ/cm2の露光エネルギーで行われるのが好ましい。
前記現像工程はアルカリ現像液、例えば0.01〜5重量部のTMAH水溶液を用いて行われる。
【0032】
その次に、前記図4(c)で形成されたフォトレジストパターンをイオン注入工程用マスクに用い、前記形成された開口部47に対するイオン注入工程を行ない図4(d)に示したようなイオン注入領域49を形成する。
前記イオン注入工程は、ブロム(Br)及び二弗化硼素(BF2)イオンを用い50KeVでドーズ量(Dose)=2×1013に注入して行われる。
【0033】
そして、前記図4(d)の結果物に対する露光及び現像工程を行い、マスクに用いられた残りのフォトレジストパターンを除去することにより、イオン注入領域49が形成された半導体素子(図示省略)を製造する。
さらに、本発明では前述した半導体素子の製造方法を用いた半導体素子を提供する。
【発明の効果】
【0034】
本発明では表面張力が低減したフォトレジスト組成物を用いてボイドの形成されない均一なフォトレジストパターンを形成することができるので、後続イオン注入工程を安定に行い半導体素子の最終歩留りを高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。但し、実施例は本発明を例示するものであるだけで、本発明が下記実施例により限定されるものではない。
【0036】
[フォトレジスト重合体及び組成物の製造]
(実施例1.フォトレジスト重合体の製造)
t-ブチルアクリルレート(77.7g)、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリルレート(Aldrich, CAS No. 54052-90-3)(87.5g)、無水マレイン酸(24.5g)、N-ヒドロキシル-5-ノルボルネン-2, 3-ジカボキシルイミドパーフルオロ-1-ブタンスルホン酸塩(Aldrich, Cas No. 307531-76-6)(22.25g)、及び2,2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(14.84g)をテトラヒドロフラン(THF)(600g)に溶解させた後、66℃で12時間の間攪拌した。重合反応の完了後、ノーマルへキサンを加えて沈殿させた沈殿物を真空乾燥し、前記式(1a)の重合体103g(歩留り49%)を得た(図3のNMRスペクトラム参照)。
<前記式(1a)の重合体に対するNMR分析値>
1H NMR 1.5ppm(-C(CH3)3), 4〜5ppm(-CHF-)
(実施例2.フォトレジスト重合体の製造)
t-ブチルアクリルレート(77.7g)、2,2,3,4,4,4,-ヘキサフルオロブチルアクリルレート(Aldrich, CAS No. 54052-90-3)(87.5g)、無水マレイン酸(24.5g)、N-ヒドロキシル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドパーフルオロ-1-ブタンスルホン酸塩(Aldrich, Cas No. 307531-76-6)(22.25g)、2-ヒドロキシエチルバイサイクロ[2,2,1]へプト-5-エン-2-カルボキシルレート(15g)及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(14.84g)をテトラヒドロフラン(THF)(600g)に溶解させた後、66℃で12時間の間攪拌した。重合反応完了の後、ノーマルへキサンを加えて沈殿させた沈殿物を真空乾燥し、前記式(3a)の重合体103g(歩留り67%)を得た。
(実施例3.フォトレジスト組成物の製造)
前記実施例1で得られた重合体(10g)及びトリエタノールアミン(0.024g)をPGMEA(180g)に溶解させた後、0.01μmフィルターでろ過させ本発明のフォトレジスト組成物を得た。
(実施例4.フォトレジスト組成物の製造)
前記実施例2で得た重合体(10g)及びトリエタノールアミン(0.024g)をPGMEA(180g)に溶解させた後、0.01μmフィルターでろ過させ、本発明のフォトレジスト組成物を得た。
【0037】
[本発明のフォトレジスト組成物の平坦化実験]
(実験例1.)
前記実施例3で製造されたフォトレジスト組成物を用い、1200rpmのスピンコーティング法で直径が0.2μmで深さが0.8μmのコンタクトホールを埋め込んだ後140℃で90秒間ベークしてボイド発生なく均一なフォトレジスト膜を得た。
(実験例2.)
前記実施例4で製造されたフォトレジスト組成物を用いて1200rpmのスピンコーティング法で直径が0.2μmで、深さが0.8μmであるコンタクトホールを埋め込んだ後140℃で90秒間ベークしてボイド発生なく均一なフォトレジスト膜を得た。
【0038】
[イオン注入工程方法]
(実施例5.)
(5-1)被エッチング層パターン形成
ヘキサメチルシラザン(HMDS)処理されたシリコンウェハに被エッチング層を形成させ、その上部に前記実施例3で得られた本発明のフォトレジスト組成物をスピンコーティングして3,500Åの厚みでフォトレジスト膜を製造した。前記フォトレジスト膜を130℃のオーブンで9秒間ソフトベークした後ArFレーザ露光装備で露光し、130℃のオーブンで90秒間再度ポストベークした。ベーク完了後2.38重量%のTMAH水溶液に30秒間浸漬させて現像することにより110nmのフォトレジストパターンを得た(図5参照)。前記得られた第1のフォトレジストパターンをマスクに用い、前記被エッチング層に対するエッチング工程で被エッチング層パターンを形成した。
(5-2)イオン注入工程
前記被エッチング層パターンが露出されるよう、前記5-1の方法により得られた第1のフォトレジストパターンをTMAH現像液で除去した後、露出した被エッチング層パターンの全面に前記実施例3で得られた本発明のフォトレジスト組成物を基板から2000Å厚みにコーティングし、140℃で90秒間ベークして被エッチング層パターン間の空間に均一に埋め込まれたフォトレジスト膜を形成した(図6参照)。
前記フォトレジスト膜に対する露光及び現像工程で、被エッチング層パターンの間に埋め込まれた部分と開口部が交互に存在する80nmの第2のフォトレジストパターンを形成した後、前記第2のフォトレジストパターンをマスクに用いて50KeV、ドーズ量(Dose)=2×1013の注入方式で開口部に対しBrイオンを注入した。前記イオン注入工程を行った後、残余の第2のフォトレジストパターンに対する露光工程、及び現像工程を行いマスクに用いられた残余のフォトレジストパターンを除去した。
その結果、一つおきにイオン注入領域が形成された0.08μmのL/S被エッチング層パターンを含む半導体基板を製造した。
(実施例6.)
前記実施例5で用いる実施例3の組成物の代わりに前記実施例4の組成物を用いることを除いては、前記実施例5と同一方法で一つ置きにイオン注入領域が形成された0.08μmのL/S被エッチング層パターンを含む半導体基板を製造した。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1(a)〜図1(d)は従来イオン注入工程のための半導体素子の製造方法に係る工程図である。
【図2】前記図1(c)の工程により内部にボイドが形成されたフォトレジスト膜断面のSEM写真である。
【図3】実施例1で製造した重合体のNMRスペクトラムである。
【図4】図4(a)〜図4(d)は本発明のフォトレジスト組成物を用いイオン注入工程のためのパターンを形成する半導体素子の製造方法に関する工程図である。
【図5】実施例3により形成されたフォトレジストパターン写真である。
【図6】実施例3により形成された被エッチング層パターン間の空間に均一に埋め込まれたフォトレジスト膜のSEM写真である。
【符号の説明】
【0040】
1、41 半導体基板
3、43 被エッチング層パターン
5 フォトレジスト膜
5-1 フォトレジストが埋め込まれた部分
7 ボイド
9、47 開口部
11、49 イオン注入領域
13 望まない領域に形成されたイオン注入領域
45 フォトレジスト膜
45-1 フォトレジストが埋め込まれた部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される重合反復単位を含むフォトレジスト重合体。
【化1】

(前記式で、
R1は水素またはC1〜C2のアルキルであり、
R2はC1〜C10のパーフルオロアルキルまたは部分的にFが置換されたC1〜C10のアルキルで、
R3は酸に敏感な保護基であり、
a:b:c:d の重量比は10:10〜30:2〜8:2〜8である。)
【請求項2】
前記式(1)の重合体は下記式(1a)の重合体であることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト重合体。
【化2】

(前記式で、a:b:c:d の重量比は10:10〜30:2〜8:2〜8である。)
【請求項3】
前記重合体は下記式(2)の化合物を(e)単位単量体でさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト重合体。
【化3】

(前記式で
R4 はC1〜C10の直鎖または側鎖アルキルレンであり、
nは1〜2の整数である。)
【請求項4】
前記重合体は下記式(3)で示すことを特徴とする請求項3に記載のフォトレジスト重合体。
【化4】

(前記式で
R1は水素またはC1〜C2のアルキルであり、
R2はC1〜C10のパーフルオロアルキル又は部分的にFが置換されたC1〜C10のアルキルで、
R3は酸に敏感な保護基であり、
R4はC1〜C10の直鎖または側鎖アルキルレンで、
nは1〜2の整数で、
a:b:c:d:eの重量比は10:10〜30:2〜8:2〜8:1〜4である。)
【請求項5】
前記式(3)の重合体は下記式(3a)の重合体であることを特徴とする請求項4に記載のフォトレジスト重合体。
【化5】

(前記式で
a:b:c:d:eの重量比は10:10〜30:2〜8:2〜8:1〜4である。)
【請求項6】
請求項1に記載のフォトレジスト重合体及び有機溶媒を含むことを特徴とするフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記フォトレジスト重合体はフォトレジスト組成物の100重量部に対し5〜30重量部で含まれることを特徴とする請求項6に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記フォトレジスト重合体はフォトレジスト組成物の100重量部に対し5〜15重量部で含まれることを特徴とする請求項7に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記有機溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチル3−エトキシプロピオネート、メチル3−メトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、n−ヘプタノン、エチルラクテート、及びシクロペンタノンでなる群から一つ以上選択されたことを特徴とする請求項6に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記フォトレジスト組成物は塩基性化合物をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
前記塩基性化合物はトリエタノールアミンであることを特徴とする請求項10に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項12】
前記塩基性化合物はフォトレジスト組成物の100重量部に対し0.02〜3.0重量部で含まれることを特徴とする請求項10に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項13】
前記塩基性化合物はフォトレジスト組成物の100重量部に対し0.2〜1.0重量部で含まれることを特徴とする請求項12に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項14】
(i)半導体基板に形成された被エッチング層の上部に請求項6のフォトレジスト組成物をコーティングする段階と、
(ii)前記結果物をベークしてフォトレジスト膜を形成する段階と、
(iii)前記フォトレジスト膜を露光する段階と、
(iv)前記露光されたフォトレジスト膜をベークする段階と、
(v)前記結果物を現像して第1のフォトレジストパターンを形成する段階と、
(vi)前記第1のフォトレジストパターンをエッチングマスクに用い、下部の被エッチング層をエッチングして被エッチング層パターンを形成する段階と、をさらに含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項15】
前記方法は、
(vii)前記第1のフォトレジストパターンを除去する段階と、
(viii)前記(vii)の結果物全面に請求項6のフォトレジスト組成物をコーティングし、被エッチング層パターンを埋め込ませたフォトレジスト膜を形成する段階と、
(ix)イオン注入マスクを用いて(viii)結果物に対する露光及び現像工程を行い、第2のフォトレジストパターンを形成する段階と、を後続工程としてさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項16】
前記(vii)段階のフォトレジスト除去工程はアルカリ水溶液を用いて行われることを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項17】
前記(ix)段階の露光前にベーク段階をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項18】
前記(ix)段階の露光後に、ベーク段階をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項19】
前記(ix)段階後、前記第2のフォトレジストパターンをマスクとしてイオン注入工程を行う段階をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項20】
(i)被エッチング層パターン上部に第1のフォトレジストパターンを形成する段階と、
(ii)前記第1のフォトレジストパターンをエッチングマスクに用い被エッチング層パターンを形成する段階と、
(iii)前記第1のフォトレジストパターンを除去する段階と、
(iv)前記結果物の全面に請求項6のフォトレジスト組成物をコーティングして被エッチング層パターンを埋め込ませたフォトレジスト膜を形成する段階と、
(v)イオン注入マスクを用いて結果物に対する露光及び現像工程を行い、第2のフォトレジストパターンを形成する段階と、を後続工程としてさらに含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項21】
前記第1のフォトレジストパターンは、ノボラック樹脂、アクリルレート系化合物及びシクロオレフィン系単量体と無水マレイン酸の共重合体を一つ以上含むフォトレジスト物質を用いて形成されることを特徴とする請求項20に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項22】
請求項14に記載の方法を用いて製造された半導体素子。
【請求項23】
請求項20に記載の方法を用いて製造された半導体素子。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−9175(P2007−9175A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8650(P2006−8650)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】