説明

フラボノリグナンベースの組成物およびその調製方法

本発明は、フラボノリグナン(例えば、Silybum marianumから単離されたフラボノリグナン)、および塩基性アミノ酸、ならびに必要に応じて、他の補助物質を、混合物形態で含む、フラボノリグナンベースの組成物に関し、これらの組成物をその成分を混合およびホモジナイズすることによって調製する方法に関する。本発明は、薬学的な産業、化粧品、食品産業、ビール業界、醸造所、および飲料製品の産業において、特に適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、フラボノリグナンに基づいた組成物、および該組成物を調製する方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
オオアザミの果実からの抽出物(Silybum marianum (L.) Gaertn.)が、ポリヒドロキシフェニルクロマノン骨格を有するフラボノリグナン型物質の内容物によって知られている(G. Hahn et al., Arzneimittel - Forschung Drug Res. 18, 698-704, (1968))。これらのポリヒドロキシフェニルクロマノンは、シリビンおよびそのエナンチオマー(シリビンA,シリビンB、イソシリビンA,イソシリビンB)、シリジアニン、ならびにシリクリスチンを含んでおり、これらは全体でSilybum marianumの粉末抽出物またはシリマリンといわれる。Silybum marianumの抽出物CAS No: [84604-20-6]は、ほとんどが水に不溶性であり、アセトン、酢酸エチル、メタノールおよびエタノールに可溶性である。この抽出物についての質的な要求は、例えば、薬局方基準USP/NFまたはPh Eurによって規定されている。
【0003】
実際に、化学式C252210および分子量482.443のシリビンCAS No. [22888-70-6]、化合物名3,5,7−トリヒドロキシ−2−[3−(4’−ヒドロキシ−3’−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシメチル)−1,4−ベンゾジオキサン−6−イル]−4−クロマノンもまた用いられている。市販のシリビンの融点は、無水物については約158℃であり、一水和物については約167℃である。
【0004】
しかし、本明細書中にて言及した物質の全てが、水性溶媒にほとんど不溶性である。
【0005】
水と混和性の溶媒における25℃でのシリビンの溶解度(mg/mL)は以下のとおりである.
エトキシジグリコール 350.1 ±10.4
ポリエチレングリコール200 345.9 ± 9.5
ポリエチレングリコール400/エタノール(1:1) 342.1 ± 7.1
エタノール 225.2 ± 5.2
pロピレングリコール 162.4 ± 3.6
水 0.4 ± 0.1
水と完全には混和しない溶媒における25℃でのシリビンの溶解度(mg/mL)は以下のとおりである.
グリセリルモノオレエート 33.2 ± 2.8
トコフェロール 20.0 ± 1.9
ヒマシ油 7.1 ± 1.2
リノレン酸エチル 2.1 ± 0,8
カプリル−カプリントリグリセリド 0.8 ± 0.5
魚油 0.5 ± 0.2。
【0006】
シリビンの可溶性は、Jong Soo Woo, Tae-Seo Kim, Jae-Hyun Park, and Sang-Cheol Chi: Formulation and Biopharmaceutical Evaluation of Silymarin Using SMEDDS. Arch Pharm Res Vol. 30, No 1, 82-89, 2007に従って付与される。
【0007】
フラボノリグナンのフェノール特性は、4−クロマノン骨格上の5位および7位における2つの水酸基による置換、ならびに、側鎖のヒドロキシメトキシフェニル基上の4位における1つの水酸基による置換によって付与される。これらの解離定数pKは以下のとおりである:
シリビン pKa.1 [25℃] = 7.00; pKa.1 [37℃] = 6.86
pKa.2 [25℃] = 8.77; pKa.2[37℃] = 8.77
pKa.3 [25℃] = 9.57; pKa.3[37℃] = 9.62
シリクリスチン pKa.1 [25℃] = 6.52; pKa.1 [37℃] = 6.62
pKa.2 [25℃] = 7.22; pKa.2[37℃] = 7.41
pKa.3 [25℃] = 8.96; pKa.3[37℃] = 8.94
シリジアニン pKa.1 [25℃] = 6.64; pKa.1 [37℃] = 7.10
pKa.2 [25℃] = 7.78; pKa.2[37℃] = 8.93
pKa.3 [25℃] = 9.66; pKa.3 [37℃] = 10.06。
【0008】
pK値データは、Meloun, Milan; Syrovy, Tomas; Bordovska, Sylva; Vrana, Ales: Reliability and uncertainty in the estimation of pKa by least squares nonlinear regression analysis of multiwavelength spectrophotometric pH titration data. Analytical and Bioanalytical Chemistry, 2007, 387 (3), 941-955に従って示した。
【0009】
上述した物質の全てが、広いスペクトルの薬理活性(抗酸化特性、細胞膜の安定化、タンパク質生合成の刺激)を示す。これらの効果は、シリマリンおよびその成分、特に、シリビン(シリビンAおよびBの混合物およびイソシリビンAおよびB)の、肝保護剤としての利用のための基礎を構成する。シリマリンは、多くの毒素による肝臓の急性および慢性の中毒の両方に対して作用する。このような中毒は、四塩化炭素、ガラクトースアミン、パラセタモール、エタノール、フォロイジンおよびα−アマニチンによって示される。よって、シリマリンは、肝疾患の治療および予防のために使用される多くの調製物の活性成分である(LEGALON(登録商標)、FLAVOBION(登録商標)など)。シリビンおよびシリマリンならびにこれらの利用についての最近の研究に対する多くの情報が、Kr en V., Walterova D.: Silybin and silymarin - new effects on applications. Biomed.Papers 149 (1),29-41, 2005による調査報告に見出すことができる。
【0010】
肝保護の薬学的調製物または食品添加物に使用されるSilybum marianumの粉末抽出物は、標準化されたフラボノリグナン内容物を有する、精製された抽出物である。USP/NFに従い、シリビン標準に対する液体クロマトグラフィによって評価して、合計40〜80%のフラボノリグナンを含むべきである。
【0011】
最近の研究によれば、Silybum marianum物質の治療能力が、伝統的な肝保護効果に沿って、特に、糖尿病および結腸癌によって絶命しそうなヒトの健康状態の予防増強のために用いられ得る。
【0012】
Silybum marianumの血糖値を下げる(hypoglemic)効果についての実験的な研究(Marles R. J., Farnsworth N. R.: Antidiabetic plants and their active constituents. Phytomedicine 2 (2), l37-189, 1995)および糖尿病に対するフラボノリグナンの陽性効果についての実験的な研究(Soto C.P. et al.: C. Pharmacology, Toxicology & Endocrinology ,119 (2), 125-129, 1998)が公開されている。
【0013】
Silybum marianumからのフラボノリグナンの、腫瘍の化学療法におけるアジュバントとしての使用(米国特許第5,714,473号)、および抗増殖性医薬としての使用(米国特許第5,912,265号)が、最近特許によって保護されている。
【0014】
シリマリンメチルグルカミンの形態でのシリマリンもまた、アルコールの効果に対する調製剤の成分として提唱されている(米国特許第6,913,769号および同第6,967,031号)。
【0015】
医薬におけるSilybum marianumのフラボノリグナンの使用、ならびにフラボノリグナンが特に製品の感覚的な特性(例えば、その味および色)をもたらす他の適用は、親水性溶媒および親油性溶媒の両方における可溶性が低いことによって制限される。
【0016】
不十分な可溶性を克服するための多くの手段が提案されている。例えば、N−メチルグルカミンとのシリマリン成分塩の調製による(米国特許第3,994,925号)。モノアミノポリヒドロキシアルキルアルコールとのこれらの塩は容易に加水分解し、実質的な量のポリビニルピロリドンまたはアルブミンを用いる安定化を必要とする。同様に、ポリビニルピロリドン中のシリマリンフラボノリグナンの溶液を調製する工程、およびこの溶液を凍結乾燥する工程を包含する手順もまた提案されている(米国特許第4,081,529号)。
【0017】
ジカルボン酸とのシリビンのエステル(例えば、米国特許第5,196,448号に従うシリビンのビス−ヘミスクシネートの二ナトリウム塩)が、話題となっている適用形態における外皮用および化粧用に適用されることが予定されている。
【0018】
シリビンよりも水により可溶性であり、かつシリマリンと同様の効果を示すシリビングリコシドの調製物が、CZ特許第287657号によって保護されている。しかし、グリコシドの工業製品は、技術的な問題が多くそして高価である。
【0019】
米国特許第4,764,508号および同第4,895,839号に記載されている、シリマリンまたはシリビンとリン脂質との複合体の化合物は、その成分(1molのシリマリンまたはシリビンおよび0.3〜2.0molのホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、またはホスファチジルエタノラミン)を中性溶媒(ジオキサンまたはアセトン)に溶解し、そして脂肪族炭水化物を添加することによって、または凍結乾燥もしくはスプレードライすることによって、その複合体を沈降させることによって調製される。環境的に望まれない有機溶媒の利用に加えて、生じた複合体の化合物が、水との接触にて分散系を形成する。この特性は、これらの複合体化合物の適用を、話題となっている適用へより方向付ける。
【0020】
シリビンとシクロデキストリンとの封入体複合体が、米国特許第5,198,430号に記載されている。シリビンとα−、β−、およびγ−シクロデキストリンならびにこれらの誘導体との複合体が開示されており、そのモル比は、1モルのシリビンに対して1〜4モルの各シクロデキストリンである。この複合体は、2つの成分をアンモニア水に溶解し、アンモニアを蒸発させるか、または塩酸で中和するかによってアンモニアを除去し、次いで、乾燥または凍結乾燥によって調製される。これらの封入体複合体の調製のために、生理的に不適切なケトン性溶媒(例えばアセトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンおよびジエチルケトン)が用いられる。よって、調製された複合体は、フラボノリグナン自身よりもよりよい生物学的な利用可能性を示す。しかし、これらの水における可溶性は増強されるが非常に小さく、その結果、アニオン活性なデンシドが薬物形態において使用されるべきである。
【0021】
アルカノール性溶媒またはケトン性溶媒へSilybum marianumのフラボノリグナンを溶解すること、および補助的な物質(テントリトール(tetritols)、ペンチトール(pentitols)、ヘキシトール(hexitols)、あるいは、ビニルピロリドンのようなホモポリマーまたはエチレンオキシドのホモポリマーからなる群より選択される物質)をこの溶液と混合すること、引き続く溶媒の除去に基づく手順(CZ特許第292832号)は、低い可溶性を生じさせる結晶性の形態が形成することを防止する。得られた物質から調製された固体の薬物形態は、よりよい溶解パラメータを示すが、文言上の正確な意味では水に不溶性である。
【0022】
キャリアおよび界面活性剤とのフラボノリグナンの同時沈降による調製に基づくシリマリンのバイオアベイラビリティを増強するためのプロセスは、特許(米国特許第5,906,991号)によってカバーされている。水溶性の糖、セルロースの誘導体、およびポリビニルピロリドンは、好適なキャリアとして記載されており、脂質のポリソルベートが界面活性剤として使用されている。溶解試験において、これらの同時沈降物は、修飾されていないシリマリンよりも高い可溶性を示し、その結果、より高いバイオアベイラビリティが期待され得る。
【0023】
これまでに知られている、Silybum marianum抽出物の水溶性形態は、これらの成分のいくつかが食品産業における使用のために承認されていないように、食品産業における適用(例えば、ビールのような飲料、ビールベースの飲料、ソフトドリンクにおいて用いるための適用)に完全には好適でない。
【0024】
〔発明の開示〕
本発明は、
(a)一般式Iのフラボノリグナン
【0025】
【化1】

【0026】
および
(b)塩基性アミノ酸またはその混合物からなる群より選択される物質の少なくとも1つ
を、(a):(b)=1:1〜1:2のモル比で含んでいる、フラボノリグナンベースの組成物であり、
一般式Iにおいて、Rは、
【0027】
【化2】

【0028】
(ここで、RがHであり、RがCHOHであり、Rが4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルであり、RがHであるか、またはRがCHOHであり、RがHであり、RがHであり、Rが4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルであるか、またはRがHであり、Rが4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルであり、RがCHOHであり、RがHであるか、またはRが4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルであり、RがHであり、RがOHであり、RがHである。)であるか、あるいはRは、
【0029】
【化3】

【0030】
もしくは
【0031】
【化4】

【0032】
もしくは
【0033】
【化5】

【0034】
もしくは
【0035】
【化6】

【0036】
またはこれらの混合物である。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、一般式Iのフラボノリグナンは、シリビン、シリジアニンおよびシリクリスチンのアイソマー、あるいは、シリジアニンおよびシリクリスチンを合計で20〜45重量%、シリビンAおよびシリビンBを合計で40〜65重量%、イソシリビンAおよびイソシリビンBを合計で10〜20重量%からなるこれらの混合物を含む群より選択される。
【0038】
好ましくは、塩基性アミノ酸が、L−リジン、ラセミ体のリジン、L−アルギニン、ラセミ体のアルギニン、L−オルニチン、およびラセミ体のオルニチンからなる群より選択される。L−ヒスチジンまたはラセミ体のヒスチジンは、フラボノリグニンと塩基性アミノ酸との最終混合物のアルカリ度の調整に特に有利である。L−ヒスチジン(CAS No. 71-00-1)およびL−リジン(CAS No. 39665-12-8)はヒトについての必須アミノ酸である。
【0039】
例えば、シリビンと、本発明に従って選択された塩基性アミノ酸との混合物(補助物質を何ら含まない最終混合物におけるモル比が1:2〜1:1)は、制限内の濃度を示す(シリビン濃度を重量%で示す。):
シリビン/L−リジン 59.50〜74.61 %;
シリビン/L−アルギニン 58.07〜73.47 %;
シリビン/L−オルニチン 64.62〜80.59 %;
シリビン/L−ヒスチジン 60.86〜75.66 %。
【0040】
本発明に従う混合物を水に溶解する場合、塩基性アミノ酸自身の可溶性が異なることを考慮することが必要である。室温において、アミノ酸の以下の水溶液が、容易に調製され得る:L−リジンの1.0M溶液(14.62質量%)、L−アルギニンの0.5M溶液(8.71質量%)、またはL−ヒスチジンの0.25M溶液(3.88質量%)。
【0041】
L−アルギニン(CAS No. 74-79-3)は、尿素サイクルにおける酵素の1つを欠損している子供にのみ必須であるが、生物にとって栄養学的に価値があるにもかかわらず、一般的に、必須アミノ酸とみなされていない。L−オルニチン(CAS No. 60259-81-6)もまた、一般的にヒトに必須であるとみなされていないが、生物において、アルギニンに代替し得る。これらのアミノ酸は、遊離塩基の形態で市販されており、これらは水に非常に良く溶解し、比較的好ましい甘味を有している。
【0042】
本発明に従う塩基性アミノ酸の、25℃での水溶液中での溶解定数pKおよびpIの値:
アミノ酸 pK1 pK2 pK3 pI
L−アルギニン 2.01 9.04 12.48 10.76
L−ヒスチジン 1.77 6.10 9.18 7.64
L−リジン 2.18 8.95 10.53 9.47
L−オルニチン 1.71 8.69 10.76 9.73
pI = 1/2 (pKi+pKi+1), i =上述した全てのアミノ酸について2。
【0043】
pK値およびpI値は、CRC Handbook of Chemistry and Physics, 66th ed., CRC Press, Boca Raton, Florida 1985; R. M. C. Dawson, D. C. Elliott, W. H. Elliott, K. M. Jones, Data for Biochemical Research 3rd ed., Clarendon Press Oxford 1986に従って示した。
【0044】
本発明に従う、フラボノリグナンと塩基性アミノ酸との混合物は、個々のフラボノリグナンよりもはるかに水に可溶性である。これらの利用について新たな化学物質として言及される必要がなかったという事実は、本発明の混合物の別の利点である。シリマリンといわれるSilybum marianumの乾燥抽出物は、塩基性アミノ酸と容易に反応しないその成分の特定量のオリゴマーを含んでおり、その結果、乳白色または中程度の濁度の溶液を生じさせ得る。
【0045】
NaOHまたはKOHのような強塩基の作用の下で、γ−ピロン環が開き、水酸化したカルボン酸の誘導体が形成される(Wawzonek S./Heterocyclic Compounds, Vol. 2, page 383-385, Ed. R. Elderfield, J. Wiley, New York 1951)。本発明に従う混合物中のアミノ酸は、無機塩基よりも穏やかにフラボノリグナンに作用し、固体の物理的な混合物において非常に安定的である。
【0046】
本発明の別の局面において、本発明に従う組成物は、1つ以上の補助物質を含み得る。吸湿性を示さない水溶性の物質は、液体形態にて適用される組成物において使用されることが予定されており、補助物質として使用され得る。好ましくは、いわゆる糖アルコール(テントリトール、ペンチトールまたはヘキシトール、すなわち、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、タリトール、またはマンニトール)が使用され得る。さらに、ポリエチレングリコール4000〜20000、好ましくは、スプレー化によって乾燥されたポリエチレングリコール6000が、本目的のために使用され得る。さらに、混合物の物理的な特性(例えば、静電荷、流動性、または容積重量)をもたらす物質が補助物質として使用され得る。これらの補助物質は、特に固体薬物形態に有用である。例えば、アモルファスな二酸化シリコンまたはアモルファスなマグネシウムアルミノメタシリケートAl−MgO.1.7SiO−xHOが、このような補助物質であり得る。
【0047】
フラボノリグナンと塩基性アミノ酸との混合物は、フラボノリグナンの固体適用形態(例えば、増強された生物学的なアクセス能を有するカプセルまたは錠剤)の調製に用いられ得、これにより、本発明に従うさらなる組成物が消化器系における生理学的な条件下で形成される。好ましくは、フラボノリグナンのこのような固体適用形態は、錠剤またはカプセルが、所定の時間にわたって胃酸の効果に耐性である層で被覆されることによって、酸耐性形態にて調製される。
【0048】
本発明の別の局面は、フラボノリグナンベースの組成物のための混合物を調製する方法である。ここで、一般式Iのフラボノリグナンと、塩基性アミノ酸およびその混合物からなる群より選択される物質とが、モル比1:1〜1:2で混合される。本発明の同質な混合物は、少なくとも1つの補助物質の存在下で調製されることが好ましい。
【0049】
〔図面について〕
図1に、1−シリビンA,2−シリビンB,3−イソシリビンA,4−イソシリビンB,5−シリクリスチン,6−イソシリクリスチン,7−シリジアニン,8−タキソフォリンの構造を示す。
【0050】
〔本発明を実施する例〕
以下に、例示の目的で本発明が例証されるが、本発明は決してこの範囲内に限定されない。
【0051】
〔実施例1〕
水溶性の、Silybum marianumの48%抽出物
充填した組成物:
シリマシン 80% 1200.00g
L−アルギニン 98% 711.03g
ポリエチレングリコール6000 88.97g。
【0052】
市販のシリマリンを秤量し、無水L−アルギニンと混合し、スプレードライしたポリエチレングリコール6000で2000gまでメスアップし、0.25mmのメッシュ篩を通した。実験室のミキサーERWEKA上でホモジナイズした後に、均質な産物を、光および湿度から保護するパッキング中に充填した。
【0053】
【表1】

【0054】
〔実施例2〕
40%シリビンのL−リジンとの水溶性の混合物
100μm未満のグレインサイズの98%シリビン490.00gを、細かくグラインドしたエリトリトール370.00gと混合し、次いで細かくグラインドした97%L−リジン一水和物340.00gと混合し、0.25mmのメッシュ篩を通した。実験室のミキサーERWEKA上でホモジナイズした後に、均質な産物1200gを、光および湿度から保護するパッキング中に充填した。
【0055】
〔実施例3〕
シリマリン110mgのカプセル
充填した組成物:
シリマシン 80% 16.075kg
L−ヒスチジン 10.345kg
Aerosil 200 VV 0.580kg。
【0056】
シリマリンとAerosilとの混合物を、篩Frewitt SGVにおいて0.25mmのメッシュ篩を通し、作動する容器の容量が55LであるTurbulla T 50Aホモジナイザー中に移し、L−ヒスチジンを添加した。充填物を15rpmで14分間にわたって混合した。
【0057】
均質な混合物を、ゼラチンサイズNo.1のカプセルに、1カプセル当たり225mgの量で充填した。カプセル中のシリマリンの量は、シリビンとして示すと、最低で110mgである。
【0058】
〔実施例4〕
コートしたシリビンカプセル
1カプセルの組成物:
シリビン 98% 120.611mg
L−アルギニン 87.101mg
ポリエチレングリコール6000 41.288mg
Aerosil 200 VV 1.000mg。
【0059】
シリビンとAerosilとの混合物を、篩Frewitt SGVにおいて0.25mmのメッシュ篩を通し、作動する容器の容量が55LであるTurbulla T 50Aホモジナイザー中に移し、L−アルギニンを添加し、粉末のポリエチレングリコール6000を添加した。充填物を15rpmで14分間にわたって混合した。
【0060】
均質な混合物を、回転錠剤化マシンFETTE P 1200にて錠剤化した。その錠剤の重量は250mgである。
【0061】
外見は、直径9mmの丸い黄色のピルで、窪んでおり、上部は分離した溝を有している。この錠剤を、ドラムGlatt GMPC IIの中で、酸耐性のコーティングでコートした。このコーティングは、錠剤のコア重量の4%である。コートした錠剤の重量は260mgである。
【0062】
【表2】

【0063】
〔産業上の利用可能性〕
本発明は、Silybum marianumから単離したフラボノリグナンおよび塩基性アミノ酸の含有する固体混合物を調製についての組成物および方法に関する。この組成物は、純粋なフラボノリグナンと比較して実質的に良好な水溶性を示す。この生理学的に好ましい活性に起因して、このような混合物は、生物学的なアクセス能を有する医薬、栄養補助食品の製造に使用され得、ポリフェノール性化合物の中身あるいはビールおよびビールベ−スの他の飲料の天然成分である必須アミノ酸の中身の規格化または強化のために使用され得る。心地よい苦味および強烈な黄色によって、これらの添加化合物もまた、ノンアルコールおよびアルコール飲料のための強壮物質および天然色素として有用である。
【0064】
本発明は、概して、薬学的な産業、化粧品業界、食品産業、ビール会社、醸造所、飲料調製物の産業において特に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、1−シリビンA,2−シリビンB,3−イソシリビンA,4−イソシリビンB,5−シリクリスチン,6−イソシリクリスチン,7−シリジアニン,8−タキソフォリンの構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラボノリグナンベースの組成物であって、
(a)一般式Iのフラボノリグナン
【化1】

および
(b)塩基性アミノ酸またはその混合物からなる群より選択される物質の少なくとも1つ
を、(a):(b)のモル比が1:1〜1:2で含んでおり、
一般式Iにおいて、Rは、
【化2】

(ここで、RがHであり、RがCHOHであり、Rが4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルであり、RがHであるか、またはRがCHOHであり、RがHであり、RがHであり、Rが4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルであるか、またはRがHであり、Rが4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルであり、RがCHOHであり、RがHであるか、またはRが4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルであり、RがHであり、RがOHであり、RがHである。)であるか、あるいはRは、
【化3】

もしくは
【化4】

もしくは
【化5】

もしくは
【化6】

またはこれらの混合物である、組成物。
【請求項2】
一般式Iのフラボノリグナンが、シリビン、シリジアニンおよびシリクリスチン、あるいは、シリジアニンおよびシリクリスチンを合計で20〜45重量%、シリビンAおよびシリビンBを合計で40〜65重量%、イソシリビンAおよびイソシリビンBを合計で10〜20重量%からなるこれらの混合物を含む群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記塩基性アミノ酸が、L−ヒスチジン、ラセミ体のヒスチジン、L−リジン、ラセミ体のリジン、L−アルギニン、ラセミ体のアルギニン、L−オルニチン、およびラセミ体のオルニチンからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1つ以上の補助物質をさらに含んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記補助物質が、吸湿性を示さない水溶性の補助物質、好ましくは、糖アルコールおよびポリエチレングリコール4000〜20000からなる群より選択される物質である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記補助物質が、前記混合物の物理的な特性をもたらす物質、好ましくは、アモルファスな二酸化シリコンおよびアモルファスなマグネシウムアルミノメタシリケートAl−MgO.1.7SiO−xHOからなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
一般式Iのフラボノリグナンと塩基性アミノ酸およびその混合物からなる群より選択される物質とが、モル比1:1〜1:2で混合され、生じた混合物がホモジナイズされる、請求項1に記載の組成物を調製する方法。
【請求項8】
前記混合物が、少なくとも1つの補助物質の存在下で調製される、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−525498(P2011−525498A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515082(P2011−515082)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/CZ2009/000086
【国際公開番号】WO2009/155887
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510339164)
【氏名又は名称原語表記】AGRA GROUP,A.S.
【住所又は居所原語表記】Tovarni 9,387 15 Strelske Hostice,Czech Republic
【Fターム(参考)】