説明

フープ洗浄装置

【課題】作業性を損なうことなくロードポート部上のフープの光学式記号を容易に読み取ることができるフープ洗浄装置を提供する。
【解決手段】ロードポート部4の載置面14に光を透過する透過窓17を形成し、透過窓17の下方に、ロードポート部4上のフープ3の光学式記号7を透過窓17越しに読み取る記号読取部18を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード等の光学式記号を有するフープを洗浄するとき光学式記号からフープの識別情報を読み取ると共にその識別情報を記憶するフープ管理部を有するフープ洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等は、フープ(FOUP:Front Openning Unify Pod)と称する搬送容器に収容されて搬送される。このフープは、前面部に開口部を有するフープ本体(シェルともいう)と、このフープ本体の開口部に着脱自在に装着されるドア(蓋ともいう)とからなっている。
【0003】
上記フープは、半導体ウエハ等の汚染源にならないようにするために、定期的に洗浄されることが好ましい。そこで、空のフープをフープ本体とドアに分離して洗浄室(洗浄槽ともいう)内に配置し、これらフープ本体及びドアに洗浄水を吹き付けて洗浄を行い、洗浄後、同洗浄室内でフープ本体及びドアに乾燥空気を吹き付けて乾燥させるようにしたフープ洗浄装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、フープは、半導体ウエハの製造ライン等にて複数同時に使用されるものであるため、個体ごとに洗浄の履歴を管理する必要がある。このため、光学式記号たるバーコードを有するフープを用い、バーコードに記録されたフープの個体識別情報をフープ使用時に読み取ると共に洗浄時に読み取り、所定回数使用したフープを確実に洗浄するようにしたシステムも開発されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−109523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フープ洗浄時にフープのバーコードから個体識別情報を読み取る場合、フープ洗浄装置に具備されたバーコードリーダ(記号読取部)を作業員が手で持ち、バーコードにバーコードリーダをかざしており、煩雑であるという課題があった。また、バーコードリーダをロードポート部の載置面上に設置し、フープがロードポート部上に置かれたとき自動的にバーコードを読み取るようにすることも考えられたが、バーコードリーダが載置面上に突起することとなり、フープを置く際に邪魔になるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、作業性を損なうことなくロードポート部上のフープの光学式記号を容易に読み取ることができるフープ洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、半導体ウエハを出し入れするためのドアを前面に有し側面又は背面に個体識別用の光学式記号を有するフープを載置するためのロードポート部と、該ロードポート部上のフープの光学式記号からフープの個体識別情報を読み取ると共に該個体識別情報を記憶するフープ管理部と、フープを洗浄する洗浄槽と、上記ロードポート部上のフープを上記洗浄槽に搬送する搬送部とを備えたフープ洗浄装置において、上記ロードポート部の載置面に光を透過する透過窓を形成し、該透過窓の下方に、ロードポート部上のフープの光学式記号を上記透過窓越しに読み取る記号読取部を設けたものである。
【0009】
上記透過窓の下方に、上記透過窓越しの上記光学式記号を上記記号読取部に向かって反射させる鏡を設けるとよい。
【0010】
また、上記鏡と上記記号読取部は、上記透過窓の下方に取付フレームを介して角度調節可能に設けられるとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業性を損なうことなくロードポート部上のフープの光学式記号を容易に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好適実施の形態を添付図面を用いて説明する。
【0013】
図1はフープ洗浄装置の側面図であり、図2はフープ洗浄装置のロードポート部の側面図であり、図3はロードポート部に設けた記号読取部の側面図である。図4はフープ洗浄装置の平面図であり、図5はロードポート部の平面図である。図6はフープ洗浄装置の正面図である。
【0014】
図1、図4、図6及び図7に示すように、フープ洗浄装置1は、架台2と、架台2の前端側に設けられフープ3の搬入搬出を行うためのロードポート部4と、架台2の後端側に設けられフープの洗浄及び乾燥を行う2つの洗浄槽5と、架台2の中央に設けられロードポート部4と洗浄槽5との間でフープ3を搬送する搬送ロボット(搬送部)6と、ロードポート部4に載置されたフープ3の光学式記号7(図6参照)からフープ3の個体識別情報を読み取ると共に個体識別情報を記憶するフープ管理部8(図7参照)とを備えて構成されている。
【0015】
ロードポート部4は、ポートすなわち3個のフープ3を載置するようになっている。ロードポート部4は、左の2ポート分のエリアがロード専用となっており、右端の1ポート分のエリアがアンロード専用となっている。
【0016】
図1、図2及び図5に示すように、ロードポート部4は、架台2に前方に張り出して設けられた棚部9と、棚部9上に設けられた載置台10とを備えて構成されている。載置台10は、棚部9に固定され上下に伸縮自在な脚部11と、脚部11上に設けられフープ3を載置するための複数の台座12と、脚部11上に設けられ複数の台座12の周りを囲むように配置されるサブ板13とを備えて構成されている。台座12は、フープ3を載置するための載置面14を有する。台座12には、載置されるフープ3の位置決めをするための位置決めピン15が載置面14の上方に突出して複数設けられると共に、載置面14上にフープ3が載置されているか否かを検出し、かつ、フープ3の傾きを検出するためのセンサ16が前後左右に間隔を隔てて複数設けられている。また、載置面14の前部には、光を透過する透過窓17が形成され、後述するフープ管理部8の記号読取部18が透過窓17越しに載置面14の下方からフープ3の光学式記号7を読み取れるようになっている。透過窓17は載置面14の前部に孔19を形成し、この孔19をガラス又はアクリルなどの透明な板材20で塞いで形成されている。光学式記号7は、バーコードからなり、フープ3の背面21の下部に設けられている。サブ板13には、ロードポート部4上の状態等を示すための各種インジケータ22が設けられている。
【0017】
図1及び図4に示すように、搬送ロボット6は、例えば6軸の回転が可能なアーム23を有する多関節ロボットからなり、アーム23の先端部にはフープ本体24の上部に突設された被把持部25又はドア26を選択的に把持可能な把持機構27が設けられている。
【0018】
洗浄槽5は、上部が開放された洗浄槽本体28と、この洗浄槽本体28の上部に着脱自在に密着される筒状の内蓋29と、内蓋29の上部に着脱自在に密着される外蓋30とから主に構成されている。内蓋29及び外蓋30はそれぞれ電動式パワーシリンダ31、32により開閉されるようになっている。外蓋30の内面にはドア26を吸着保持するためのドア保持部33が設けられ、外蓋30の外面にはドア保持部33を回転させるドア回転機構34が設けられている。
【0019】
図3、図5及び図7に示すように、フープ管理部8は、透過窓17の下方のロードポート部4に取付フレーム35を介して設けられ光学式記号7を読み取るための記号読取部18と、記号読取部18にケーブル36を介して接続された制御装置37と、制御装置37にケーブル38を介して接続され記号読取部18からの個体識別情報、個体識別情報を受信した時刻及び洗浄を示す情報を相互に関連づけて記憶する記憶媒体39とを備えて構成されている。記号読取部18はバーコードリーダからなる。
【0020】
図3に示すように、取付フレーム35は、ロードポート部4の台座12に取り付けられた固定フレーム部40と、固定フレーム部40に左右に延びる軸ピン41を介して回動可能に設けられ記号読取部18を保持する可動フレーム部42とからなる。可動フレーム部42は、上下に延びる板状に形成されており、下端を後方に向けるように上下の中間部を屈曲されている。また、可動フレーム部42は、屈曲部47より上方の上部43を軸ピン41で回動可能に支持されている。可動フレーム部42の屈曲部47より下方の下部44には、側方に突出するガイドピン45が設けられている。ガイドピン45は、固定フレーム部40に前後に延びて形成されたガイド孔46内に挿入されており、ガイド孔46の前後の端部に当接することで可動フレーム部42の回動範囲を規制するようになっている。また、可動フレーム部42の下部44の後面には、記号読取部18が受光面48を上方に向けて取り付けられている。可動フレーム部42の上部43の後面には、透過窓17越しにフープ3から入射される光学式記号7の像を記号読取部18に向かって反射させるための鏡49が取り付けられており、透過窓17越しの光学式記号7が鏡49を介して記号読取部18に送られるようになっている。
【0021】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0022】
フープ3を洗浄するとき、洗浄すべきフープ3を台座12上に載置する。このとき、位置決めピン15が予めフープ3の底面に形成された凹部(図示せず)に嵌るように載置する。また、台座12の載置面14は平坦であるため台座12上にフープ3を容易に正しい姿勢で載置することができる。フープ3が台座12上に載置されると、台座12に設けられたセンサ16がフープ3の存在を検出すると共に傾きを検出する。フープ3が傾いている場合、インジケータ22にその旨を表示して作業者にフープ3の載置姿勢の修正を求め、フープ3が正しい姿勢で載置されている場合、フープ3の背面21の光学式記号7が透過窓17下方の鏡49を介して記号読取部18の受光面48に投影される。このため、作業者が記号読取部18を直接操作する必要がなく、台座12上にフープ3を載置するだけで光学式記号7を読み取ることができる。記号読取部18は受光面48に投影された光学式記号7からフープ3の個体識別情報を読み取り、個体識別情報を制御装置37に送る。制御装置37は、受信した個体識別情報と、情報受信時刻と、洗浄を示す情報とを相互に関連づけた履歴データを作成し、この履歴データを記憶媒体39の過去の履歴データに追加記録する。具体的には、洗浄を示す情報は、個体識別情報の送信元の記号読取部18を特定する情報であってもよく、予め定めた洗浄を示すコードであってもよい。
【0023】
履歴データが正しく記録されたら、搬送ロボット6が起動され、台座12上のフープ3は搬送ロボット6により洗浄槽5内に搬送され、洗浄される。洗浄されたフープ3は搬送ロボット6によりロードポート部4の右端の台座12上に載置され、使用に供される。
【0024】
フープ3を使用するときには、図示しないフープ使用機器に具備された記号読取部50によりフープ3の光学式記号7が読み取られ、フープ3の個体識別情報に対応する履歴データが参照される。フープ3を最後に洗浄したとき以降のフープ使用回数が所定回数を超える場合、フープ3は再度フープ洗浄装置1に送られて上述のように洗浄される。上記フープ使用回数が所定回数以下の場合、使用した旨の履歴データが記憶媒体39に追加記録され、フープ3が使用に供される。
【0025】
また、工場等にフープ洗浄装置1を新規に設置する場合等、フープ3の光学式記号7の取付位置に応じて記号読取部18の取付角度を調節する必要がある場合、取付フレーム35の可動フレーム部42を軸ピン41を中心として適宜回動させて記号読取部18と鏡49の角度を調節する。鏡49と記号読取部18を一括して回動させることができ、容易に角度調節できる。
【0026】
このように、ロードポート部4の載置面14に光を透過する透過窓17を形成し、透過窓17の下方のロードポート部4に、ロードポート部4上のフープ3の光学式記号7を透過窓17越しに読み取る記号読取部18を設けたため、ロードポート部4の台座12上を平坦に保ったままロードポート部4に記号読取部18を設置することができ、作業性を損なうことなくロードポート部4上のフープ3の光学式記号7を容易に読み取ることができる。
【0027】
また、透過窓17の下方のロードポート部4に、透過窓17越しの光学式記号7を記号読取部18に向かって反射させる鏡49を設けたため、記号読取部18の設置位置を自由に設定でき、記号読取部18を設置するためにロードポート部4が大型化するのを防ぐことができる。
【0028】
鏡49と記号読取部18が、透過窓17の下方のロードポート部4に取付フレーム35を介して角度調節可能に設けられるものとしたため、記号読取部18と鏡49の取付角度を容易に調節することができ、光学式記号7の取付位置が異なる複数種類のフープ3に容易に対応することができる。特に使用されるフープ3はユーザによって異なるため、フープ洗浄装置1を新規に工場に設置する場合には、設置作業を短時間で容易に行うことができる。
【0029】
なお、透過窓17は、載置面14の前部に孔19を形成し、この孔19をガラス又はアクリルなどの透明な板材20で塞いで形成されるものとしたが、これに限るものではない。透明な板材20を省略してもよい。すなわち、透過窓17は載置面14の前部に孔19を形成してなるものとしてもよい。
【0030】
記号読取部18はロードポート部4に取付フレーム35を介して設けるものとしたが、ロードポート部4に直接取り付けてもよい。
【0031】
また、載置面14の下方のロードポート部4に記号読取部18を、その受光面48を載置面14上のフープ3の光学式記号7に直接向けて設置できる場合、鏡49を省略してもよい。
【0032】
光学式記号7はバーコードからなるものとしたが、バーコード以外のコードからなるものとしてもよい。この場合、記号読取部18もそのコードに対応したコードリーダからなるものにするとよい。
【0033】
また、光学式記号7がフープ3の背面21に設けられる場合について述べたが、側面に光学式記号7が設けられるフープ(図示せず)を取り扱う場合、載置面14の側部に透過窓17を形成し、透過窓17の下方のロードポート部4に透過窓17越しに光学式記号7を読み取る記号読取部18を設けるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の好適実施の形態を示すフープ洗浄装置の側面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図1の平面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図1の正面図である。
【図7】フープ洗浄装置のフープ管理部の概略説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 フープ洗浄装置
3 フープ
4 ロードポート部
5 洗浄槽
6 搬送ロボット(搬送部)
7 光学式記号
8 フープ管理部
14 載置面
17 透過窓
18 記号読取部
21 背面
26 ドア
35 取付フレーム
49 鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハを出し入れするためのドアを前面に有し側面又は背面に個体識別用の光学式記号を有するフープを載置するためのロードポート部と、該ロードポート部上のフープの光学式記号からフープの個体識別情報を読み取ると共に該個体識別情報を記憶するフープ管理部と、フープを洗浄する洗浄槽と、上記ロードポート部上のフープを上記洗浄槽に搬送する搬送部とを備えたフープ洗浄装置において、上記ロードポート部の載置面に光を透過する透過窓を形成し、該透過窓の下方に、ロードポート部上のフープの光学式記号を上記透過窓越しに読み取る記号読取部を設けたことを特徴とするフープ洗浄装置。
【請求項2】
上記透過窓の下方に、上記透過窓越しの上記光学式記号を上記記号読取部に向かって反射させる鏡を設けた請求項1記載のフープ洗浄装置。
【請求項3】
上記鏡と上記記号読取部が、上記透過窓の下方に取付フレームを介して角度調節可能に設けられた請求項2記載のフープ洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−45173(P2010−45173A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207910(P2008−207910)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(308025945)株式会社コンタクト (8)
【Fターム(参考)】