説明

ブラシレスモータ

【課題】駆動コイルを回路基板に直接位置決め固定できるブラシレスモータの提供。
【解決手段】扁平形振動モータは、支軸12の周りに2個の駆動コイルC,Cを持つ給電用フレキシブル基板14を搭載するステータ板11と、駆動コイルC,Cに面対向するマグネット22及び偏心錘24を持ち支軸12に対し回転自在に支持されたロータ20とを備え、給電用フレキシブル基板14はコイル用位置決め穴14b,14cを有し、給電用フレキシブル基板14がステータ板11に片面を貼り合せた両面粘着フィルム13の他面に貼り合せて成り、駆動コイルC,Cをコイル用位置決め穴14b,14cに嵌め込んで当該駆動コイルC,Cの下端面が他面に粘着して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動モータなどに適用可能なブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−111374においては、ベース部材上に珪素鋼板,フレキシブル配線基板,複数の駆動コイルを積層固定したステータと、駆動コイルに面対向するマグネットを持ちベース部材に回転自在に支持されたシャフトと一体的に回転するロータとを有するブラシレスモータが示されている。
【特許文献1】特開2003−111374(図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、上記の駆動コイルをフレキシブル配線基板上に固定する組み付け作業は、駆動コイルの外径が数ミリ程度であるため、複数個の駆動コイルを治具の位置決め部に一旦セットして駆動コイルの端面に接着材を塗布した後、治具を天地反転させてフレキシブル配線基板に駆動コイルを位置決め固定するものであり、治具を用いた組み付け作業であるため、作業効率に遜色がある。
【0004】
そこで上記問題点に鑑み、本発明の課題は、駆動コイルを回路基板に直接位置決め固定できるブラシレスモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、支軸の周りに複数個の駆動コイルを持つ回路基板を搭載するステータ板と、駆動コイルに面対向するマグネットを持ち支軸に回転自在に支持されたロータとを備えるブラシレスモータにおいて、回路基板はコイル用位置決め穴を有し、回路基板がステータ板に片面を貼り合せた両面粘着フィルムの他面に貼り合せて成り、駆動コイルをコイル用位置決め穴に嵌め込んで当該駆動コイルの下端面が他面に粘着して成ることを特徴とする。なお、ここで両面粘着フィルムとは両面粘着シート、両面粘着紙を含む意味で用いる。
【0006】
コイルの組み付け作業においては、駆動コイルを回路基板のコイル用位置決め穴に嵌め込むだけで、駆動コイルの位置決め固定を実現でき、作業効率を高めることができる。しかも、駆動コイルの上端面の回路基板からの突出高さを回路基板の厚みだけ低くできるため、モータの扁平化や駆動コイルのターン数増加による高トルク化を図ることができる。
【0007】
回路基板がフレキシブル配線基板の場合は、コイル用位置決め穴は打ち抜きで形成できる。そして、このブラシレスモータはロータに偏心錘を持つ扁平形振動モータに適用できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、駆動コイルを回路基板に直接位置決め固定できるブラシレスモータを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1(A)は本発明の一実施例に係る扁平形振動モータを示す平面図、図1(B)はその底面図、図2(A)は図1(A)のa−a′線に沿って切断した断面図、図2(B)は図1(A)のb−b′線に沿って切断した断面図、図3は同扁平形振動モータのステータを示す斜視図、図4は同ステータの組み付け斜視図である。
【0010】
本例の扁平形(コイン形)振動モータは、ステータ10とロータ20とから成るブラシレスモータである。ステータ10は、円形の磁性材(珪素鋼鈑)のステータ板(ベースプレートないし底板)11と、このステータ板11の中央穴11aに一端が圧入して溶接固定した支軸12と、ステータ板11の上面に貼り合せた円形の両面粘着フィルム13と、この両面粘着フィルム13上に貼り合せた給電用フレキシブル基板14と、支軸12に遊嵌した樹脂ワッシャー17と、支軸12の他端を圧入して下開口がステータ11で塞がれたカップ状のハウジング18とを有する。ステータ板11はロータ20のデットポイントを回避するための3つのコギング発生用丸穴11bを有する。両面粘着フィルム13は支軸12が貫通する中央穴13aを有し、フィルム基材の両面に粘着層を形成したもので、両面粘着紙又は両面粘着シートでも構わないが、薄い方が望ましい。給電用フレキシブル基板14は、支軸12が貫通する中央穴14aと、この中央穴14aの周りで2つの駆動コイルC,Cが内嵌する非円形のコイル用位置決め穴14b,14cと、磁気を検知するホール素子を内蔵し駆動コイルC,Cに対する励磁電流を切換えて回転磁界を形成するための駆動制御IC15が内嵌するIC位置決め穴14dと、コンデンサ16が内嵌するコンデンサ位置決め穴14eとを有する。駆動コイルC,Cは非円形の空心コイルであり、支軸12を中心に180°の回転対称位置に設けられている。
【0011】
ロータ20は、軸受ホルダー部23aのメタル軸受21を介して支軸14に回転自在に支持され、駆動コイルC,Cと面対向する環状6磁極のマグネット22を下側に持つロータ板23と、このロータ板23の外周側に設けられた弧状の偏心錘24とを有する。
【0012】
図4に示す如く、ステータ10の組立作業においては、片面剥離紙(図示せず)を剥がした両面粘着フィルム13をステータ板11の表面に貼り合わせる。この際、ステータ板11に起立した支軸12に嵌る中央穴13aがガイドとなって両面粘着フィルム13を位置決め固定できる。次いで、この両面粘着フィルム13を覆う他面剥離紙(図示せず)を除去してから給電用フレキシブル基板14の中央穴14aを支軸12に嵌めて給電用フレキシブル基板14を両面粘着フィルム13の上面に貼り合わせる。次いで、駆動コイルC,Cをコイル用位置決め穴14b,14cに嵌め込み駆動コイルC,Cの下端面をコイル用位置決め穴14b,14c内の両面粘着フィルム13に粘着し、コイル端末(図示せず)を給電用フレキシブル基板14の給電パターン(図示せず)に半田付けする。また、駆動制御IC15をIC位置決め穴14dに倒立姿勢で嵌め込み、端子15aと給電パターン(図示せず)を半田付けし、更に、コンデンサ16をコンデンサ位置決め穴14eに倒立姿勢で嵌め込み、電極16aと給電パターン(図示せず)を半田付けする。次いで、樹脂ワッシャー17を支軸12に嵌めると、ステータ10を得ることができる。なお、必要ならば、駆動コイルC,Cに接着剤を充填しても構わない。
【0013】
このように、駆動コイルC,Cを給電用フレキシブル基板14のコイル用位置決め穴14b,14cに嵌め込むだけで、駆動コイルC,Cの位置決め固定を実現でき、作業効率を高めることができる。また、駆動制御IC15,コンデンサ16もIC位置決め穴14d,コンデンサ位置決め穴14eに嵌め込むだけで位置決めできる。駆動コイルC,Cの上端面の給電用フレキシブル基板14からの突出高さを給電用フレキシブル基板14の厚みだけ低くできるため、モータの扁平化を図ることができ、或いは駆動コイルC,Cのターン数増加による高トルク化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)は本発明の一実施例に係る扁平形振動モータを示す平面図、(B)はその底面図である。
【図2】(A)は図1(A)のa−a′線に沿って切断した断面図、(B)は図1(A)のb−b′線に沿って切断した断面図である。
【図3】同扁平形振動モータのステータを示す斜視図である。
【図4】同ステータの組み付け斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
10…ステータ
11…ステータ板
11b…コギング発生用丸穴
11a,13a,14a…中央穴
12…支軸
13…両面粘着フィルム
14…給電用フレキシブル基板
14b,14c…コイル用位置決め穴
14d…IC位置決め穴
14e…コンデンサ位置決め穴
15…駆動制御IC
15a…端子
16…コンデンサ
16a…電極
17…樹脂ワッシャー
18…ハウジング
20…ロータ
21…メタル軸受
22…マグネット
23…ロータ板
23a…軸受ホルダー部
24…偏心錘
,C…駆動コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支軸の周りに複数個の駆動コイルを持つ回路基板を搭載するステータ板と、前記駆動コイルに面対向するマグネットを持ち前記支軸に回転自在に支持されたロータとを備えるブラシレスモータにおいて、
前記回路基板はコイル用位置決め穴を有し、前記回路基板が前記ステータ板に片面を貼り合せた両面粘着フィルムの他面に貼り合せて成り、前記駆動コイルを前記コイル用位置決め穴に嵌め込んで当該駆動コイルの下端面が前記他面に粘着して成ることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記回路基板はフレキシブル配線基板であることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のブラシレスモータにおいて、前記ロータは偏心錘を有することを特徴とする振動モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−261062(P2009−261062A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104519(P2008−104519)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000177151)三洋精密株式会社 (143)
【Fターム(参考)】