説明

プテロスチルベン共結晶

プテロスチルベン:カフェイン共結晶、プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶、プテロスチルベン:グルタル酸共結晶、およびプテロスチルベン:ピペラジン共結晶を含めた、プテロスチルベン共結晶が開示される。プテロスチルベン:カフェイン共結晶は、多形性である。プテロスチルベン:カフェイン共結晶のフォームIおよびIIが、開示される。プテロスチルベン共結晶およびそれらを含有する医薬/栄養補強組成物の治療上の使用もまた、開示される。本開示は、プテロスチルベン共結晶を製造し特徴付けする、多様な方法を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年2月3日に出願された、「Nutraceutical Cocrystals: Utilizing Pterostilbene As A Cocrystal Former」と題された、米国仮出願第61/301,001号および2010年2月3日に出願された、「Pterostilbene Cocrystals」と題された、米国仮出願第61/301,029号に関するものであり、優先権を主張し、その内容は、参照により全体が本明細書中に援用される。本出願はまた、2010年7月30日に出願された、米国特許出願(U.S. Utility Applications)第12/847,482号、第12/847,516号、第12/847,535号、および第12/847,557号にも関するものであり、上記仮出願の優先権を主張し、その内容は、全体が本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、プテロスチルベンを含有する新規の結晶化合物に関するものであり、より具体的には、本発明は、プテロスチルベン共結晶、それらのプテロスチルベン共結晶の治療上の使用およびそれらを含有する医薬/栄養補強組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
プテロスチルベン(トランス-3,5-ジメトキシ-4'-ヒドロキシスチルベン)は、天然起源のスチルベノイド化合物であり、レスベラトロールのイオン化できないメチル化された構造類似体である。プテロスチルベンおよびレスベラトロールの化学構造は、
【0004】
【化1】

【0005】
である。
【0006】
プテロスチルベンは、栄養補強食品として特徴付けられ、自然界では、いくつかの樹皮、およびブドウを含めた多様なベリー、ならびに伝統的な民間薬中に一般的に使用される植物の中に見出される。レスベラトロールおよびプテロスチルベンの両方とも、抗癌、抗酸化、抗炎症およびその他の潜在的な健康上の恩恵を含む、広範な生物活性を示すことが報告された。プテロスチルベンについてのいくつかのインビトロおよびインビボの研究が行われ、プテロスチルベンは、インビトロで癌細胞株に対する細胞障害活性を示し、高血糖のラットにおいて、血漿グルコース濃度を42%減少させた(グルコース濃度を48%減少させる、市販薬メトホルミンに匹敵する)。さらに、LDL/HDLコレステロール比は、食事に25ppmプテロスチルベンを与えた高コレステロール血症のハムスターにおいて、対照動物と比較して、著しく低下した。酸化ストレスを寛解させ、作業記憶を改良するためのプテロスチルベンの使用およびプテロスチルベンを含有する組成物が、公表された米国出願(U.S. application)第2009/0069444号において記載されており、参照により本明細書中に援用される。したがって、認知された健康上の恩恵に起因して、プテロスチルベンへの顕著な興味が、近年生まれ、ブドウおよびベリーなどの、化合物を含有する食品の消費の増加を引き起こした。
【0007】
いくつかの薬理学的研究が、プテロスチルベンについて行われたが、公開された文献において、固体状態におけるプテロスチルベンの挙動についてほとんど調査が現れず、したがって、その物性は、現在まで完全には研究されてこなかったようである。
【0008】
プテロスチルベンは、難水溶性であり、それがプテロスチルベンを食用エキスまたはサプリメントに組み込むことを困難にすることが指摘された(Lopez-Nicolas, J. M.、Rodriguez-Bonilla, P.、Mendez-Cazorla, L.、Garcia-Carmona, F.、Physicochemical Study of the Complexation of Pterostilbene by Natural and Modified Cyclodextrins.、Journal of Agricultural and Food Chemistry 2009、57、(12)、5294〜5300頁)。さらに、プテロスチルベンは、低い生物学的利用能を示し、多様な酵素によって容易に酸化される(Pezet, R.、Purification and characterization of a 32-kDa laccase-like stilbene oxidase produced by Botrytis cinerea.、FEMS Micobiology Letters 1998、167、203〜208頁およびBreuil, A. C.、Jeandet, P.、Adrian, M.、Chopin, F.、Pirio, N.、Meunier, P.、Bessis, R.、Characterization of a pterostilbene dehydrodimer produced by laccase of Botrytis cinerea.、Phytopathology 1999、89、(298〜302頁))。融点は、82℃と報告された(Mallavadhani, U. V.、Sahu, G.、Pterostilbene: A Highly Reliable Quality-Control Marker for the Ayurvedic Antidiabetic Plant 'Bijasar'.、Chromatographia 2003、58、307〜312頁)。プテロスチルベンの溶解度を改良する取り組みは、シクロデキストリンを使用することによるなどの製剤へのアプローチに集中した(Lopez-Nicolas、2009)。
【0009】
プテロスチルベンの多形相が、最近報告された。プテロスチルベンの5つの多形体が、2010年、1月27日に出願された、PCT/US2010/22285において開示され、参照により本明細書中に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国出願第2009/0069444号
【特許文献2】PCT/US2010/22285
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Lopez-Nicolas, J. M.、Rodriguez-Bonilla, P.、Mendez-Cazorla, L.、Garcia-Carmona, F.、Physicochemical Study of the Complexation of Pterostilbene by Natural and Modified Cyclodextrins.、Journal of Agricultural and Food Chemistry 2009、57、(12)、5294〜5300頁
【非特許文献2】Pezet, R.、Purification and characterization of a 32-kDa laccase-like stilbene oxidase produced by Botrytis cinerea.、FEMS Micobiology Letters 1998、167、203〜208頁
【非特許文献3】Breuil, A. C.、Jeandet, P.、Adrian, M.、Chopin, F.、Pirio, N.、Meunier, P.、Bessis, R.、Characterization of a pterostilbene dehydrodimer produced by laccase of Botrytis cinerea.、Phytopathology 1999、89、(298〜302頁)
【非特許文献4】Mallavadhani, U. V.、Sahu, G.、Pterostilbene: A Highly Reliable Quality-Control Marker for the Ayurvedic Antidiabetic Plant 'Bijasar'.、Chromatographia 2003、58、307〜312頁
【非特許文献5】Pharmaceutical Analysis、Lee & Web、255〜257頁(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここ20年にわたる薬物の発見戦略の発展に起因して、薬物の開発候補の物理化学的な特性は、顕著に変化した。本明細書中に使用されている通り、用語「薬物」はまた、栄養補強食品が規制試験および承認を受けていないとしても、栄養補強食品および有効栄養補強成分を含むことを意味する。開発候補は、一般的に、どちらかというと水溶性でなく脂溶性であり、このことは、産業にとって大きな問題を創出する。研究は、いくつかの薬物候補が、低いヒトの生物学的利用能および/またはそれらの製剤に関する問題が原因で、臨床段階において失敗することを示した。分子を完全に再設計することなく、これらの問題に取り組む伝統的な方法は、塩の選択、アモルファス材料の生成、粒径の縮小、プロドラッグ、および様々な製剤へのアプローチを含む。
【0013】
治療有効性または臨床有効性は、薬物(または有効栄養補強成分)にとって第一の関心事であるが、薬物候補の塩および固体状の形態(すなわち、結晶形態またはアモルファス形態)は、薬理特性および実行可能な薬物としての開発にとって、重大であり得る。薬物の結晶形態は、特定の薬物の物理化学特性を変化させるために使用されてきた。薬物候補のそれぞれの結晶形態は、薬物の送達に関連し得る様々な(物理的および化学的)物性を有し得る。結晶形態は、アモルファス形態などの対応する非結晶形態より優秀な化学特性および物理特性をしばしば有する。薬物の新規の固体形態(先発薬物の共結晶または多形体など)によって示される物理特性における違いは、貯蔵安定性、圧縮率および密度(製剤および製品製造に関連する)、ならびに溶解速度および溶解度(適切な生物学的利用能を達成する関連要因)などの医薬パラメーターに影響する。
【0014】
インビボ(例えば、胃液または腸液)での有効成分の溶解速度は、経口で投与される有効成分が患者の血流に到達し得る速度に影響を与えるので、治療的重要性を有し得る。さらに、薬物の、可溶性が低い結晶形態は、同一の製剤の、より可溶性が高い結晶形態ほど薬物を送達しない可能性があるので、溶解度、熱力学量は、薬物の送達を評価する関連特性である。
【0015】
これらの実用的な物理特性は、薬物の結晶形態の物性によって影響されるので、薬物としての化合物の選択、最終的な医薬剤形、製造工程の最適化、および身体における吸収に、著しく影響を与えることができる。さらに、さらなる薬物の開発のための最も適切な固体状の形態を見出すことによって、その開発の時間およびコストを削減できる。
【0016】
薬物の適切な結晶形態を得ることは、多くの経口的に利用可能な薬物のために必要な段階である。適切な結晶形態は、特定の薬物の所望の特性を所有する。かかる適切な結晶形態は、薬物と共形成剤(coformer)との間で共結晶を形成することによって得られてよい。共結晶は、より好ましい医薬および薬理特性をしばしば所有するか、または薬物自体の既知の形態より、加工するのが容易であり得る。例えば、共結晶は、薬物とは異なる溶解および溶解度特性を有し得る。さらに、共結晶は、薬物の送達ための好都合な媒体として使用されてよく、所与の薬物の共結晶を含む新規の薬物の製剤は、薬物の既存の製剤に対して、溶解度、溶解、吸湿性、および貯蔵安定性などのより優秀な特性を有し得る。
【0017】
本共同発明者らの知る限りでは、プテロスチルベンのいかなる共結晶も、公開/学術文献または特許文献において、報告されてこなかった。事実、栄養補強食品の共結晶の分野は、比較的未開拓の様相のようである。
【0018】
薬物(有効栄養補強成分または有効医薬成分)の共結晶は、薬物と共形成剤との間の特徴的な化学組成物であり、薬物および共形成剤の特性と個別に比較する場合、特徴的な結晶学的および分光学的特性を一般的に所有する。中性の正味荷電を所有するが、荷電を平衡させる成分を含む塩とは異なり、共結晶は、中性化学種を含む。したがって、塩とは異なり、荷電平衡に基づいて共結晶の化学量論を決定できない。実際、1:1を超えるまたは1:1未満の薬物対共形成剤の化学量論比を有する共結晶を、しばしば得ることができる。API対共形成剤の化学量論比は、共結晶の一般的に予測不可能な特徴である。
【0019】
用語の定義が異なることがあるので、本発明を、いずれの特定の定義の構成概念にも限定することなく、用語「共結晶」を、中性分子からなる多成分結晶と考えてよい。これらの多成分集合体は、物理化学特性を変化させる能力のために、特に医薬の活動領域内での有用性を、喚起し、見出し続けている。より具体的には、共結晶は、水溶解度および/または溶解速度を変化させ、相対湿度に対する安定性を増大させ、有効医薬成分の生物学的利用能を改良すると報告された。
【0020】
共結晶を設計する場合に必要な考慮は、最終目標が有望な市販の薬物製品である場合、許容される毒性プロファイルを有する適切な共結晶形成剤(共形成剤)を組み込むことである。医薬産業内で、共形成剤は、FDA認可の薬物または食品中のこれらの分子の以前の出現により、医薬的に許容される塩形成剤の同一のリスト、GRAS(一般的に安全であるとみなされる)リストおよび/またはEAFUS(米国における食品添加物の全て)リストから、典型的に選択される。可能な共形成剤と考えられる分子のさらなる群は、天然起源の化合物、栄養補強食品である。
【0021】
栄養補強(栄養と医薬の混成語)化合物は、「疾患の予防および/もしくは治療を含む、医療または健康上の恩恵を提供し、生理学的恩恵を所有するか、または慢性疾患のリスクを軽減する食品(または食品の一部)」であると定義される。天然起源の化合物を共形成剤として使用することによって、医薬産業にとって利用可能な有望な分子のリストを拡大し、消費者に、さらなる生理学的恩恵を提供する。
【0022】
カルボン酸の共結晶など、状況によっては、共形成剤は、酸部分として一般的にみなされ、一方で、プテロスチルベン:グルタル酸共結晶の場合のように、治療特性が興味深い化合物は、薬物としてみなされる。他の状況においては、複数の成分が、薬物としてみなされることもある。本明細書中に報告されているプテロスチルベン共結晶の場合、プテロスチルベンを薬物として活性があり、カルバマゼピンが共形成剤であるとみなしても、またはその逆とみなしてもよい。同様に、プテロスチルベン:カフェイン共結晶中のプテロスチルベンが薬物であり、カフェインが共形成剤であるとみなしても、またはその逆とみなしてもよい。しかし、いかなる名前を特定の成分に使用しようが、共結晶構造は変化しない。本明細書中に報告されている本発明の目的のために、プテロスチルベンは、薬物としてみなされ、一方で、共結晶のそれぞれの第二の成分は、共形成剤としてみなされる。
【0023】
共結晶において、薬物および共形成剤はそれぞれ、結晶格子の単位胞内に固有の格子位置を所有する。共結晶の結晶学的および分光学的特性は、いくつかある技術の中でもとりわけ、粉末X線回折(XRPD)、単結晶X線結晶構造解析、および固体NMRなどによって、その他の結晶形態と同様に分析できる。共結晶はまた、対応する薬物のその他の形態と比較して、特徴的な熱挙動をしばしば示す。熱挙動は、少し例を挙げると、毛管融点、熱重量分析(TGA)、および示差走査熱量測定(DSC)などの技術によって分析してよい。これらの技術は、共結晶を同定し、特徴付けるために使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、以下の新規のプテロスチルベン共結晶、
(1)プテロスチルベン:カフェイン(「共結晶1」)、
(2)プテロスチルベン:カルバマゼピン(「共結晶2」)、
(3)プテロスチルベン:グルタル酸(「共結晶3」)、および
(4)プテロスチルベン:ピペラジン(「共結晶4」)
に関する。
【0025】
プテロスチルベン、カフェイン、カルバマゼピン、グルタル酸、およびピペラジンの分子構造を(左から右へ)、以下に示す。
【0026】
【化2】

【0027】
それぞれの共結晶について、単結晶構造が決定され、いくつかの物理特性が測定された。
【0028】
プテロスチルベン:カフェイン共結晶は、多形性である。
【0029】
プテロスチルベン対カフェインの化学量論的モル比1:1(2つの多形体、フォームIおよびフォームII)を有する共結晶を、調製した。
【0030】
共結晶を調製し、中でも、結晶学的(XRPD、単結晶)および熱分析的(TGA、DSC)技術によって、特徴付けした。
【0031】
相対湿度(RH)に対する共結晶の物理的安定性が試験され、場合によって、例えば、カフェインまたはカルバマゼピンとの関係において、劇的に改良されることがわかった。
【0032】
プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶は、3日間、水中でのスラリー化において安定であり、したがって、水平衡溶解度測定(aqueous equilibrium solubility measurement)を実行して、共結晶の溶解度が、カルバマゼピン二水和物より7倍低く、プテロスチルベンより2.5倍低かったことが明らかになった。
【0033】
水中でプテロスチルベン:カフェイン共結晶フォームIをスラリー化することによって、溶液をプテロスチルベンに対して過飽和にして、3日後、プテロスチルベンの沈殿を引き起こし、したがって、特定の時点での濃度が、平衡溶解度とは対照的に測定された。5時間でのカフェインの共結晶の濃度は、カフェイン水和物溶解度より33倍低かったが、プテロスチルベン溶解度より27倍高かった。
【0034】
水中でプテロスチルベン:ピペラジン共結晶をスラリー化することによって、溶液をプテロスチルベンに対して過飽和にして、3日後、プテロスチルベンの沈殿を引き起こし、したがって、特定の時点での濃度が、測定された。5時間でのプテロスチルベン:ピペラジン共結晶の濃度は、プテロスチルベンの溶解度と比較して6倍の上昇を明らかにした。
【0035】
共結晶のその他の特性もまた、特徴付けられた。
【0036】
上述の通り、本発明はまた、プテロスチルベン:カフェイン共結晶1のフォームIおよびIIに関する。
【0037】
本発明はさらに、それらのプテロスチルベン共結晶の治療上の使用、およびそれらを含有する医薬/栄養補強組成物に関する。
【0038】
プテロスチルベン共結晶を製造する方法は、本発明のさらなる態様である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】プテロスチルベン(フォームI)、カフェイン、カルバマゼピン、共結晶1(フォームIおよびII)および2についてのXRPDパターンを並べて示す図である。
【図2】プテロスチルベン:カフェイン共結晶1(フォームI)のXRPDパターンを示す図である。
【図3】プテロスチルベン:カフェイン共結晶1(フォームI)のDSCおよびTGAのトレースを示す図である。
【図4】プテロスチルベン:カフェイン共結晶1(フォームI)の単結晶X線構造のORTEP図である。
【図5A】カフェインおよびプテロスチルベンの列を表示する、共結晶1の二次元シートの上面図である。
【図5B】図5Aの比較的平面状に積み重なった二次元シートの側面図である。
【図6】プテロスチルベン:カフェイン共結晶1(フォームII)のXRPDパターンを示す図である。
【図7】プテロスチルベン:カフェイン共結晶1(フォームII)のDSCおよびTGAのトレースを示す図である。
【図8】プテロスチルベン:カフェイン共結晶1(フォームII)の単結晶X線構造のORTEP図である。
【図9】プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶2のXRPDパターンを示す図である。
【図10】プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶2のDSCおよびTGAのトレースを示す図である。
【図11】プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶2の単結晶X線構造のORTEP図である。
【図12A】共結晶2の4成分の超分子を示す図である。
【図12B】共結晶2の「並進的に積み重なった」カルバマゼピン二量体の側面図である。
【図13】プテロスチルベン:グルタル酸共結晶3のXRPDパターンを示す図である。
【図14】プテロスチルベン:グルタル酸共結晶3の単結晶X線構造のORTEP図である。
【図15】プテロスチルベン:グルタル酸共結晶3の固体13C NMRスペクトルを示す図である。
【図16】プテロスチルベンの固体13C NMRスペクトルを示す図である。
【図17】グルタル酸の固体13C NMRスペクトルを示す図である。
【図18】プテロスチルベン:ピペラジン共結晶4のXRPDパターンを示す図である。
【図19】プテロスチルベン:ピペラジン共結晶4のDSCおよびTGAのトレースを示す図である。
【図20】プテロスチルベン:ピペラジン共結晶4の構造のORTEP図である。
【図21】周囲温度での共結晶1についての濃度対時間プロファイルおよびプテロスチルベンの平衡溶解度を示す図である。
【図22】周囲温度での共結晶4についての濃度対時間プロファイルおよびプテロスチルベンの平衡溶解度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明のいくつかの好ましい実施形態は、例証の目的のために記載されており、本発明が、特に図によって示されることなく、または以下に記載されることなく、その他の形態で実施されてよいことが理解される。
【0041】
本発明は、新規のプテロスチルベン共結晶である、プテロスチルベン:カフェイン共結晶1、プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶2、プテロスチルベン:グルタル酸共結晶3、およびプテロスチルベン:ピペラジン共結晶4に関する。プテロスチルベン:カフェイン共結晶は、多形性である。本発明はまた、プテロスチルベン:カフェイン共結晶1のフォームIおよびIIに関する。共結晶1、2および3は、プテロスチルベン対それぞれの共形成剤のモル比1:1を有し、一方で、4は、モル比2:1を有する。それぞれの共結晶の調製および特徴付けは、以下の実施例において記載される。
【0042】
本発明のその他の実施形態は、医薬または栄養補強剤形などのプテロスチルベン共結晶の1つまたは複数の固体形態を含有する組成物を含む。かかる医薬剤形は、結合剤、充填剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、着香剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、ならびにその他の従来の賦形剤および添加物を限定することなく含む、1種または複数の賦形剤を含んでよい。したがって、本発明の組成物は、以下の、医薬的に許容される担体または賦形剤、その他の薬剤(medicinal agent)、医薬品(pharmaceutical agent)、アジュバント、緩衝剤、保存剤、希釈剤、ならびに当業者にとって既知の多様なその他の医薬添加物および剤のいずれか1つまたは組合せを含むことができる。これらの追加の製剤添加物および剤は、しばしば、生物学的に不活性であり、有害な副作用または相互作用を引き起こすことなくヒトへ投与できる。
【0043】
適切な添加物としては、微結晶性セルロース、乳糖、ショ糖、果糖、グルコース、デキストロース、その他の糖、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、その他の糖アルコール、乾燥デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、その他の多糖、またはそれらの混合物が挙げられてよいが、それに限定されない。
【0044】
本発明の一実施形態において、固体状態のプテロスチルベン共結晶の投与は、経口剤形である。本開示における使用のための代表的な経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤、およびロゼンジ剤が挙げられ、医薬経口剤形を調製する任意の従来の方法によって調製されてよい。錠剤などの経口剤形は、放出調節剤(release modifying agent)、滑剤、圧縮助剤、崩壊剤、発泡剤、潤滑剤、結合剤、希釈剤、香味剤、香味強化剤、甘味剤、および保存剤を含むがそれに限定されない、従来の、医薬的に許容される追加の製剤成分の1つまたは複数を含有してよい。錠剤の剤形は、部分的にまたは完全にコーティングされている、サブコーティングされている、コーティングされていなくてよく、チャネリング剤を含んでよい。成分は、医薬製剤技術において既知の非常に多様な賦形剤から選択される。経口剤形の所望の特性に依って、任意の数の成分が、錠剤などの剤形の調製におけるそれらの既知の使用のために、単独でまたは組合せで選択されてよい。
【0045】
抗酸化剤であるプテロスチルベンは、ヒトの健康にとって有益であると知られている。本発明はまた、プテロスチルベン共結晶の治療上の使用、ならびにプテロスチルベン共結晶およびそれらを含有する剤形をヒトに送達する方法を提供する。剤形は、医薬組成物の任意の量、任意の形態、および治療に有効な投与の任意の経路を使用して、投与されてよい。当業者によって知られている通り、所望の投与において適切な、医薬的に許容される担体との製剤の後で、この開示の医薬組成物は、治療される場所および状態の重症度に依って、経口的に、直腸内に、非経口的に、静脈内に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤、またはドロップ剤によるように)、頬の内側に、経口または鼻腔スプレー剤として等、ヒトおよびその他の動物へ投与できる。本開示の一実施形態において、送達の方法は、経口剤形による。
【0046】
特定の実施形態において、本発明のプテロスチルベン共結晶を含有する固体形態は、所望の効果を得るために、1日当たり1回または複数回、1日当たり患者の体重の約0.001mg/kg〜約50mg/kg、約0.01mg/kg〜約25mg/kg、または約0.1mg/kgから約10mg/kgのプテロスチルベン投与量レベルで投与されてよい。0.001mg/kg未満または50mg/kgを超える(例えば、50〜100mg/kg)投与量が、それを必要とする患者へ投与できることもまた、認識されることになる。
【0047】
本発明によるプテロスチルベンと一緒に使用してもよい共形成剤は、以下の有効医薬成分のいずれか1つまたは複数を含んでもよいが、それに限定されない:鎮痛および抗炎症薬(NSAID、フェンタニル、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、パラセタモール、ピロキシカム、トラマドール、セレコキシブおよびロフェコキシブなどのCOX-2阻害剤);抗不整脈薬(プロカインアミド、キニジン、ベラパミル);抗菌および抗原虫剤(アモキシシリン、アンピシリン、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、セファクロル、セファドロキシル、セフプロジル、セフロキシムアキセチル、セファレキシン、クロラムフェニコール、クロロキン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、ドキシサイクリン(doxyxycline)、エリスロマイシン、フルクロキサシリンナトリウム、ハロファントリン、イソニアジド、硫酸カナマイシン、リンコマイシン、メフロキン、ミノサイクリン、ナフシリンナトリウム、ナリジクス酸、ネオマイシン、ノルフロキサシン(nortloxacin)、オフロキサシン、オキサシリン、フェノキシメチル-ペニシリンカリウム、ピリメタミン-スルファドキシン(sulfadoxime)、ストレプトマイシン);抗凝固剤(ワルファリン);抗うつ剤(アミトリプチリン、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン、ドキセピン、フルオキセチン、レボキセチン、アミネプチン、セレギリン、ゲピロン、イミプラミン、炭酸リチウム、ミアンセリン、ミルナシプラン、ノルトリプチリン、パロキセチン、セルトラリン;3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン);抗糖尿病薬(グリベンクラミド、メトホルミン);抗てんかん薬(カルバマゼピン、クロナゼパム、エトスクシミド、ガバペンチン、ラモトリジン、レベチラセタム、フェノバルビトン、フェニトイン、プリミドン、チアガビン、トピラマート、バルプロミド、ビガバトリン);抗真菌剤(アムホテリシン、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、ニスタチン、テ
ルビナフィン、ボリコナゾール);抗ヒスタミン剤(アステミゾール、シンナリジン、シプロヘプタジン、デカルボエトキシルオラタジン、フェキソフェナジン、フルナリジン、レボカバスチン、ロラタジン、ノラステミゾール、オキサトミド、プロメタジン、テルフェナジン);降圧薬(カプトプリル、エナラプリル、ケタンセリン、リシノプリル、ミノキシジル、プラゾシン、ラミプリル、レセルピン、テラゾシン);抗ムスカリン剤(硫酸アストロピン、ヒオスシン);抗悪性腫瘍剤および代謝拮抗剤(シスプラチン、カルボプラチンなどの白金化合物;パクリタキセル、ドセタキセルなどのタキサン;カンプトテシン、イリノテカン、トポテカンなどのテカン;ビンブラスチン、ビンデシン(vindecine)、ビンクリスチン、ビノレルビンなどのビンカアルカロイド;5-フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン、メトトレキサートなどのヌクレオシド誘導体および葉酸アンタゴニスト;窒素マスタード、例えばシクロホスファミド、クロラムブシル、クロルメチン(chiormethine)、イホスファミド、メルファラン、もしくはニトロソ尿素、例えばカルムスチン、ロムスチンなどのアルキル化剤、またはその他のアルキル化剤、例えばブスルファン、ダカルバジン、プロカルバジン、チオテパ;ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、マイトマイシンなどの抗生物質;トラスツズマブなどのHER2抗体;エトポシド、テニポシドなどのポドフィロトキシン誘導体;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;ミトキサントロン(mitoxantron)などのアントラキノン誘導体);抗片頭痛薬(アルニジタン、ナラトリプタン、スマトリプタン);抗パーキンソン病薬(メシル酸ブロモクリプチン、レボドパ、セレギリン);抗精神病、催眠、および鎮静剤(アルプラゾラム、ブスピロン、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、クロザピン、ジアゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、9-ヒドロキシリスペリドン、ロラゼパム、マザペルチン、オランザピン、オキサゼパム、ピモジド、ピパンペロン、ピラセタム、プロマジン、リスペリドン、セルフォテル、セロクエル、セルチンドール、スルピリド、テマゼパム、チオチキ
セン、トリアゾラム、トリフルペリドール、ジプラシドン、ゾルピデム);抗卒中剤(ルベルゾール、ルベルゾール酸化物、リルゾール、アプチガネル、エリプロジル、レマセミド);鎮静剤(デキストロメトルファン、レボドロプロピジン);抗ウイルス剤(アシクロビル、ガンシクロビル、ロビリド、チビラピン、ジドブジン、ラミブジン、ジドブジン+ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、アバカビル、ロピナビル、アンプレナビル、ネビラピン、エファビレンツ、デラビルジン、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アデフォビル、ヒドロキシ尿素);ベータアドレナリン受容体遮断剤(アテノロール、カルベジロール、メトプロロール、ネビボロール、プロプラノロール(propanolol));強心剤(cardiac inotropic agent)(アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、ミルリノン);副腎皮質ホルモン剤(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン);殺菌剤(クロルヘキシジン);利尿剤(アセタゾラミド、フルセミド、ヒドロクロロチアジド、イソソルビド);酵素;精油(アネトール、アニス油、キャラウェー、カルダモン、カッシア油、シネオール、桂皮油、丁子油、コリアンダー油、脱メントールハッカ油、ジル油、ユーカリ油、オイゲノール、ショウガ、レモン油、カラシ油、橙花油、ナツメグ油、オレンジ油、ペパーミント、セージ、スペアミント、テルピネオール、タイム);胃腸剤(シメチジン、シサプリド、クレボプリド、ジフェノキシラート、ドンペリドン、ファモチジン、ランソプラゾール、ロペラミド、酸化ロペラミド、メサラジン、メトクロプラミド、モサプリド、ニザチジン、ノルシサプリド、オルサラジン、オメプラゾール、パントプラゾール、ペルプラゾール、プルカロプリド、ラベプラゾール、ラニチジン、リドグレル、スルファサラジン);止血剤(アミノカプロン酸);脂質制御剤(アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、プロブコール、シンバスタチン);局所麻酔剤(ベンゾカイン、リグノカイン);オピオイド鎮痛剤(ブプレノルフィン、コデイン、デキストロモラミド、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、モルヒネ)
;副交感神経刺激薬および抗認知症薬(AIT-082、エプタスチグミン、ガランタミン、メトリホナート、ミラメリン、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、サブコメリン、タルサクリジン、キサノメリン、メマンチン、ラザベミド);ペプチドおよびタンパク質(抗体、ベカプレルミン、シクロスポリン、エリスロポエチン、免疫グロブリン、インスリン);性ホルモン(エストロゲン、共役エストロゲン、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、エストロン;黄体ホルモン剤;酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、17-デアセチルノルゲスチマート、デソゲストレル、ジエノゲスト、ジドロゲステロン、二酢酸エチノジオール、ゲストデン、3-ケトデソゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチマート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、プロゲステロン、酢酸キンゲスタノール);刺激剤(シルデナフィル);血管拡張剤(アムロジピン、ブフロメジル、硝酸アミル、ジルチアゼム、ジピリダモール、三硝酸グリセリン、二硝酸イソソルビド、リドフラジン、モルシドミン、ニカルジピン、ニフェジピン、オキシペンチフィリン、四硝酸ペンタエリスリトール);それらのN-酸化物、それらの医薬的に許容される酸または塩基付加塩およびそれらの立体化学的異性体。
【0048】
以下は、非限定的な実施例である。
【実施例】
【0049】
プテロスチルベン共結晶の調製
試薬
プテロスチルベンを、Aptuit Laurus Pty. Ltd.、Indiaから取得した。カフェイン、カルバマゼピン、グルタル酸、およびピペラジンを、Sigma-Aldrichから購入し、受け取ったままで使用した。その他の全ての化学製品を、多様な供給者から購入し、さらなる精製なしで使用した。図1は、プテロスチルベンフォームI(102)、カフェイン(受け取ったまま)(104)、カルバマゼピン(受け取ったまま)(106)、ならびに共結晶1(フォームIおよびII)および2(上から下へ)(108、110、112)についてのXRPDパターンを示す。
【0050】
技術
以下の技術を使用して、本発明のプテロスチルベン共結晶を調製した。一般的に言えば、下記の技術のうち、粉砕法は、共結晶の構造を決定するために使用し、一方で、周囲温度または高温での溶媒ベースの方法は、スケールアップおよび特徴付けのために使用し、蒸気拡散または緩慢な蒸発は、単結晶を成長させるために使用した。
【0051】
粉砕法
有効医薬/栄養補強成分(API)としてのプテロスチルベンの計測された重量を、ミリングコンテナ(典型的には、メノウ)に移動させた。共形成剤を、モル比1:1または2:1(API:共形成剤)で加えた。(指定された場合)無極性、極性非プロトン性、または極性非プロトン性を含んでよい、少量の溶媒およびメノウのミリングボールをコンテナに入れ、次に、レッチェミルに取り付けた。その他の予め決められた時間およびその他の振動数もまた検討されるが、混合物を、およそ20分間、30Hzで粉砕した。指摘された場所において、固体は、粉砕プロセスの中間で、ジャーの側面からこそげ取られた。結果として生じた固体を、清潔なバイアルに移動させ、分析した。
【0052】
周囲温度での溶媒ベースの方法
プテロスチルベンと共形成剤との混合物を、1つの成分の固体をもう1つの成分の飽和(またはほぼ飽和の)溶液に加えることによって、所与の溶媒中で調製した。溶液を、予め決められた時間、撹拌させた。任意の沈殿した固体を、単離し、分析した。
【0053】
高温での溶媒ベースの方法
プテロスチルベンおよび共形成剤の溶液(API対共形成剤のモル比1:1または2:1で)を、混合物が周囲温度または室温より高く加熱されるような加熱によって、溶媒または溶媒系中で調製した。場合によって、溶液を、冷却に先立って、0.2μmのナイロンフィルターによって濾過した。周囲温度まで冷却すると同時に、固体が形成された。指定された場合、固体を、単離し、分析した。粘着性のある薄膜が結果として生じたいくつかの場合において、薄膜を、異なる溶媒に再度溶解させ、実験を繰り返すか、またはその他の技術を使用した。
【0054】
蒸気拡散
プテロスチルベンおよび共形成剤の濃縮溶液(API対共形成剤のモル比1:1で)を、溶媒中で調製した。溶液を、小さな入れ物の中に分配し、次に、水が挙げられ得るが、それに限定されない貧溶媒を入れた、より大きな容器の内側に、入れ物を収納した。小さい入れ物を、蓋をせずに放置し、大きい方の容器を、ある時間、蓋をして、蒸気拡散を起こさせた。指示された場合、固体を、単離し、分析した。
【0055】
緩慢な蒸発
プテロスチルベンおよび共形成剤の溶液(API対共形成剤のモル比1:1または2:1で)を、撹拌および/または穏やかな加熱によって、溶媒または溶媒系中で調製した。溶液を、軽く覆ったバイアルにおいて、周囲条件で蒸発させた。場合によって、溶液を、蒸発に先立って、0.2μmのナイロンフィルターによって濾過した。指定された場合、固体を単離し、分析した。
【0056】
略語
以下の略語が、下の実施例において使用される。
EtOH エタノール
IPA イソプロパノール
EtOAc 酢酸エチル
【0057】
(実施例1)
1:1のプテロスチルベン:カフェイン共結晶、1(フォームI)の調製。
共結晶1(フォーム1)を、粉砕法および溶媒ベースの方法によって調製した。粉砕のために、プテロスチルベン(約45mg、約0.18ミリモル)とカフェイン(約34mg、約0.18ミリモル)との1:1の混合物を、ミリングジャーに加えた。溶媒(クロロホルム、アセトニトリル、エタノール、またはニトロメタン)およそ25μLを加え、材料を、20分間、30Hzの速度で粉砕した。周囲温度での溶媒ベースの方法のために、固体のカフェインを、エタノール中のプテロスチルベンのほぼ飽和の溶液に加え、濾過前に、約24時間撹拌させた。単結晶を、プテロスチルベン(56.0mg、0.22ミリモル)とカフェイン(42.4mg、0.22ミリモル)との1:1の混合物を、1ドラムバイアル中の最少量のメタノール(2ml)に溶解させる蒸気拡散実験によって成長させた。1ドラムバイアルを、水を入れた20mlバイアル中に蓋をせずに収納した。大きい方のバイアルに蓋をし、2日後、棒状の結晶を採取した。
【0058】
(実施例2)
1:1のプテロスチルベン:カフェイン共結晶、1(フォームII)の調製。
単結晶を、プテロスチルベン(約56.0mg、約0.22ミリモル)とカフェイン(約42.0mg、約0.22ミリモル)との1:1の混合物を、1ドラムバイアル中の最少量のメタノール(2ml)に溶解させる蒸気拡散実験によって成長させた。1ドラムバイアルを、水を入れた20mlバイアル中に蓋をせずに収納した。大きい方のバイアルに蓋をし、2日後、無色で角柱状の結晶を採取した。
【0059】
(実施例3)
1:1のプテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶、2の調製。
共結晶2を、粉砕法および溶媒ベースの方法によって調製した。粉砕のために、プテロスチルベン(約41mg、約0.16ミリモル)とカルバマゼピン(約38mg、約0.16ミリモル)との1:1の混合物を、ミリングジャーに加えた。溶媒(クロロホルム、アセトニトリル、エタノール、またはp-ジオキサン)およそ25μLを加え、材料を、20分間、30Hzの速度で粉砕した。固体カルバマゼピンをトルエン中のプテロスチルベンのほぼ飽和の溶液に加え、濾過前に、約24時間撹拌させる、周囲温度での溶媒ベースの方法を使用して、共結晶をスケールアップした。単結晶を、プテロスチルベン(55.3mg、0.22ミリモル)とカルバマゼピン(50.8mg、0.22ミリモル)との1:1の混合物を、1ドラムバイアル中の最少量のメタノール(2ml)に溶解させる蒸気拡散実験によって成長させた。1ドラムバイアルを、水を入れた20mlバイアル中に蓋をせずに収納した。大きい方のバイアルに蓋をし、2日後、棒状の結晶を採取した。
【0060】
(実施例4)
1:1のプテロスチルベン:グルタル酸共結晶、3の調製。
プテロスチルベン:グルタル酸共結晶を、粉砕法、緩慢な蒸発、または徐冷によって調製した。粉砕条件を使用して、プテロスチルベン(約36mg、約0.14ミリモル)とグルタル酸(約19mg、約0.14ミリモル)との1:1の混合物を、メノウミリングジャーに加えた。溶媒(トルエンまたは2-プロパノール)およそ10μLを加え、材料を、20分間、30Hzの速度割合で粉砕した。高温での溶媒ベースの方法を使用し、加熱によってトルエン(約40mL)にプテロスチルベン(3.03g、11.8ミリモル)とグルタル酸(1.55g、11.7ミリモル)との混合物を溶解させ、溶液をゆっくり冷却させることによって、共結晶をスケールアップした。均一の溶液を撹拌し、冷却と同時に、固体が沈殿した。白色で結晶性の固体を、濾過し乾燥させて、3.79g、83%を生成した。単結晶を、トルエン(3mL)中のプテロスチルベン(25.0mg、0.10ミリモル)とグルタル酸(13.1mg、0.10ミリモル)との1:1の混合物をゆっくり蒸発させることによって成長させた。1日後、板状の結晶を採取した。
【0061】
(実施例5)
プテロスチルベン:ピペラジン共結晶、4の調製。
プテロスチルベン:ピペラジン共結晶を、粉砕法、緩慢な蒸発、または徐冷によって調製した。粉砕条件のために、プテロスチルベン(約65mg、約0.25ミリモル)とピペラジン(約11mg、約0.13ミリモル)との2:1の混合物を、メノウミルに加えた。溶媒(エタノールまたはニトロメタン)およそ10μLを加え、材料を、20分間、30Hzの速度で粉砕した。高温での溶媒ベースの方法を使用し、加熱によってエタノール(約70mL)にプテロスチルベン(5.12g、20.0ミリモル)とピペラジン(862mg、10.0ミリモル)との混合物を溶解することによって、共結晶をスケールアップした。溶液を、およそ1時間、油浴中で撹拌し、そこへ今度は、熱を除去し、固体を沈殿させた。白色の結晶性の固体を、濾過し乾燥させて、10.54g、88%を生成した。共結晶4の単結晶を、エタノール(2mL)中のプテロスチルベン(135.2mg、0.53ミリモル)とピペラジン(45.5mg、0.53ミリモル)との1:1の混合物をゆっくり蒸発させることによって成長させた。1日後、棒状の結晶を採取した。
【0062】
プテロスチルベン共結晶の特徴付け
特徴付けの方法
本発明のプテロスチルベン共結晶を、粉末X線回折、熱重量分析、示差走査熱量測定、単結晶X線回折、および固体13C NMRによって特徴付けた。使用されたそれぞれの方法を、以下に記載する。プテロスチルベン共結晶の安定性(相対湿度に対する)および溶解度はまた、下記の通り決定された。
【0063】
本明細書中に使用されている通り、用語「特徴付ける」は、本発明の共結晶を同定するために使用してよいデータの収集物を同定することを意味する。共結晶を特徴付けるプロセスは、当技術分野における通常技術の1つによって同一の有効医薬または栄養補強成分の共結晶を識別させるために、共結晶について収集されたデータを分析することを伴う。共結晶の化学的同一性は、しばしば、共形成剤およびAPIまたは有効栄養補強成分の化学的同一性を提供するか、または提供の補助をすることになる、溶液状態の1H NMR分光法などの技術によって決定できる。したがって、かかる技術を使用して、様々な共形成剤を有するが同一の薬物(または有効栄養補強成分)を有する共結晶を区別し、特徴付けることができる。
【0064】
例えば、プテロスチルベン共結晶など、共結晶についてのX線粉末回折データを収集してもよい。X線粉末回折プロットは、x軸上が°2θ(回折角)およびy軸上が強度であるx-yグラフである。このプロット内のピークを使用して、結晶性固体形態を特徴付けてよい。ピーク強度は、試料の方位に特に感受性があり得るので、データは、y軸上のピークの強度よりむしろ、x軸上のピークの位置によって、しばしば表される(Pharmaceutical Analysis、Lee & Web、255〜257頁(2003)を参照)。したがって、強度は、共結晶などの固体形態を特徴付けるために、当業者によって典型的には使用されない。実際、当業者は、特徴付けをより着実にするために、好ましい方位によってあまり影響されないように見えるピークを選択しようと試みる。
【0065】
いかなるデータ測定とも同じように、X線粉末回折データには、ばらつきがある。ピーク強度におけるばらつきに加えて、x軸上のピークの位置にもまた、ばらつきがある。しかし、特徴付けのためピークの位置を報告する場合、このばらつきは、典型的に説明できる。x軸にそったピークの位置のかかるばらつきは、いくつかの原因に由来する。試料の調製に由来するばらつきもある。様々な条件下で調製された同一の結晶材料の試料は、わずかに異なるディフラクトグラムを生じ得る。粒径、含水量、溶媒含有量、および方位などの因子は全て、どのように試料がX線を回折するかに影響し得る。ばらつきの別の原因は、装置パラメーターに由来する。様々なX線装置は、様々なパラメーターを使用して作動し、これらは、同一の結晶性固体形態とわずかに異なる回折パターンをもたらし得る。同様に、様々なソフトウエアパッケージは、X線データに異なった処理をし、これもまた、ばらつきをもたらす。ばらつきのこれらの原因およびその他の原因は、医薬の当業者にとって既知である。
【0066】
ばらつきのかかる原因に起因して、°2θでのピーク値の前に、用語「約」を使用してX線回折ピークを挙げ、環境に依って、述べられたピーク値の0.1または0.2°2θ以内までのデータを提示することが、一般的である。本開示のプテロスチルベン共結晶に対応するX線粉末回折データを、当業者によって通常通り較正され操作された装置で、収集した。したがって、これらのデータに関連するばらつきは、±0.1°2θ前後で予測され得て、本明細書中でそのように報告されている。
【0067】
本明細書中に開示されているそれぞれの共結晶について、XRPDパターンのピークのリストを、表形式で提示する。さらに、それらのピークのリストのサブセットを作成し、「代表的な」ピークとして同定した。代表的なピークは、低い角度で比較的強い強度によって一般的に重なりがなく、ピーク上の好ましい方位および粒子統計の影響の評価をしたピークを同定することによって、全体的なパターン上に作成されたピークのリストから選択される。
【0068】
本発明のプテロスチルベン共結晶のそれぞれについて、XRPDパターンのピークのリストおよび代表的なピークを同定した。対応する代表的なピークのいずれか1つ、それぞれの共結晶についての全ての代表的なピークのリストを含め、それ以下の複数のピークの収集物を使用することによって、それぞれの共結晶について特徴付けを行ってよい。さらに、プテロスチルベンの特定の共結晶を特徴付ける必要はないが、全体的な回折パターンを選択して、共結晶を特徴付けてよい。
【0069】
X線粉末回折(XRPD)
PANalytical X'Pert ProまたはInel XRG-3000回折計を使用して、パターンを収集した。Cu Kα放射線の入射光線を、Optixの長焦点微小焦点源を使用して生成した。PANalyticalデータを、X'Pert Pro Data Collectorソフトウエア(v.2.2b)を使用して、収集し分析した。分析に先立って、ケイ素の標本(NIST SRM640c)を分析して、Si 111のピーク位置を検証した。PANalytical回折パターンを、標本から240mmに位置する走査式位置感応検出器(X'Celerator)を使用して収集した。
【0070】
熱重量分析(TGA)
熱重量分析を、TA Instruments 2050熱重量分析計を使用して実施した。試料を、アルミニウムの試料皿に置き、TG炉の中へ入れた。分析を、約20℃で始め、炉を、窒素下、10K/分の速度で、最終温度350℃まで加熱した。ニッケルおよびAlumel(商標)を、較正標準物質として使用した。
【0071】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCを、TA Instruments 2920示差走査熱量測定計を使用して実施した。温度較正を、NIST追跡可能インジウム金属を使用して実施した。試料を、アルミニウムDSC皿の中へ置いて、重量を正確に記録した。皿を、レーザーピンホールによって穿孔された蓋で覆い、蓋を圧着した。重量を量り、圧着したアルミニウム皿を、セルの基準面上に置いた。試料セルを、25℃で平衡化し、窒素パージ下、10K/分の速度で、最終温度250℃まで加熱した。示差走査熱量測定データは、全ての熱測定のように、測定に関連するばらつきを有する。DSCにおいて、かかるばらつきは、皿の形状、加熱速度、試料調製、および束一的特性の結果であり得る。
【0072】
単結晶X線回折(SCXRD)
MoKα放射線を使用するBruker SMART APEX II(共結晶1、3および4)およびKappa APEX II(共結晶2)で、データセットを収集した。APEXIIソフトウエア、APEXII v1.27、(c)2005、Bruker Analytical X-ray Systems、Madison、WI.を使用して、データを収集した。初期の胞の定数(initial cell constant)を、小さい、広く離れた「マトリックス」の実行によって見出した。データ収集戦略を、COSMOを使用して決定した。走査スピードおよび走査幅を、散乱能およびピークロッキングカーブに基づいて選択した。全てのデータセットを、Oxford Cryostreamの低温デバイスを使用して、-153℃で収集した。
【0073】
単位胞の定数および方位マトリックスを、全体的なデータセットから閾値化した反射の最小二乗の精密化によって改良した。SAINT(SAINT v6.02、(c)1997〜1999、Bruker Analytical X-ray Systems、Madison、WI.)によって、出発点としてこの改良された単位胞を使用し、積分を実施した。正確な単位胞の定数を、最終的な統合データセットからSAINTで計算した。ローレンツ補正および偏光補正を適用した。指示された場合、吸収補正を、SADABSにおけるマルチスキャンの手順を使用して行った。
【0074】
データを、SHELXTL(SHELXTL v5.10、(c)1997、Bruker Analytical X-ray Systems、Madison、WI)によって削減した。構造を、問題なく直接的な方法によって、全ての場合において解析した。ヒドロキシルプロトンおよび尿素プロトンを除いて、全ての水素を、理想的な位置に割り当て、乗せた。
【0075】
固体13C NMRスペクトル
固体13C NMRスペクトルを、Inova-400分光計を使用して得た。固体13C交差分極マジック角回転(CP/MAS)NMRスペクトルを、周囲温度でVarianUNITYINOVA-400分光計(ラーモア周波数:13C=100.542MHz、1H=399.799MHz)において、取得した。試料を、4mmのPENCIL型ジルコニアローター中に充填し、12kHzで、マジック角で回転させた。1Hパルス幅2.9μs(90°)、ランプ振幅交差分極接触時間4ms、取得時間30ms、スキャン間の10秒の遅延、2700データポイントでの分光幅45kHz、および100の同時加算(co-added)スキャンを使用して、取得時間の間に、位相変調(TPPM)ハイパワー1Hデカップリングによって、スペクトルを取得した。Varian VNMR 6.1Cソフトウエアを使用して、32768ポイントおよび指数関数型線幅拡大因子(exponential line broadening factor)10Hzによって、自由誘導減衰(FID)を処理し、信号雑音比を改良した。FIDの最初の3つのデータポイントを、VNMR線形予測アルゴリズムを使用して、さかのぼって予測して、平らなベースラインを作成した。スペクトルピークの化学シフトは、176.5ppmでのグリシンのカルボニル炭素の共鳴を外部基準とした。
【0076】
(実施例6)
1:1プテロスチルベン:カフェイン共結晶、1(フォームI)の特徴付け
実施例1によって溶媒ベースの条件で調製された共結晶1(フォームI)の固体を、記載の通り、単結晶を蒸気拡散によって成長させたことを除いて、特徴付けのために使用した。
【0077】
6.1 XRPD特徴付け
PANalytical X'Pert Pro回折計を使用して得られた共結晶1(フォームI)のXRPDパターンを、図2において示す。表1は、図2のXRPDパターンにおいて同定されたピークを収載している。表2は、図2のXRPDパターンからの代表的なピークを収載している。表2の代表的なピーク、またはそれらのピークのサブセット、および表1のピーク、またはそれらのピークのサブセットを使用して、共結晶1(フォームI)を特徴付けてよい。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
6.2 TGAおよびDSC特徴付け
図3は、共結晶1(フォームI)についてのTGAおよびDSCトレースを示す。図3において示されている通り、共結晶1(フォームI)の融点は、約115℃(114.33〜115.59℃)である。トレースを使用して、共結晶1(フォームI)を特徴付けてよい。
【0081】
6.3 単結晶の特徴付け
図4は、共結晶1(フォームI)のORTEP図を示す。錯体は、非対称単位ごとに2つの独立したフェノール/アミンペアによって結晶化する。2つの結晶学的に不等なペアを、SHELXL"RESI"コマンドの使用によって識別した。(それぞれのプテロスチルベン上の)フェノールプロトンH31についての座標を、精密化させた。結晶構造およびデータの精密化パラメーターを、表3において報告する。
【0082】
【表3】

【0083】
図4に示されている結晶構造において、2成分集合体は、プテロスチルベンのヒドロキシル部分からカフェインのカルボニル酸素までO-H…Oの水素結合によって、一緒に結び付けられる。共結晶1(フォームIおよびII)および共結晶2についての水素結合配置を、以下の表4において示す。
【0084】
【表4】

【0085】
カルボン酸および/またはヒドロキシル部分が、共形成剤に存在し、結晶学的座標が決定される、18の多成分結晶を収載しているCambridge Structural Database(CSD v.5.31)によって、カフェインの共結晶は珍しくない。エッターの法則(Etter's rule)に基づいて、カルボン酸が存在する場合、成分は、O-H…N(カフェイン)の水素結合によって、18回中15回一緒に結び付き、一方で、カルボン酸およびヒドロキシル部分の両方が存在する場合、O-H…O(カフェイン)および/またはO-H…N(カフェイン)の水素結合が、残りの3回に結果として生じることは、驚きではない。したがって、O-H…Nの結合が使用されなかったので、共結晶1の水素を結合するパターンは、予測されず、全ての結晶充填のエネルギーは、水素を結合する相互作用より強いことを示唆する。
【0086】
図5Aおよび5Bにおいてそれぞれ示されている通り、共結晶集合体は、プテロスチルベンおよびカフェイン分子の交互の列によって、二次元シートに充填し、一方で、積み重なったシートは、三次元で比較的平面状の配置を結果としてもたらす。
【0087】
(実施例7)
1:1のプテロスチルベン:カフェイン共結晶、1(フォームII)の特徴付け
共結晶1(フォームII)の単結晶を、実施例2において報告されている通り、蒸気拡散によって成長させた。
【0088】
7.1 XRPD特徴付け
PANalytical X'Pert Pro回折計を使用して得られた共結晶1(フォームII)のXRPDパターンを、図6において示す。表5は、図6のXRPDパターンにおいて同定されたピークを収載している。表6は、図6のXRPDパターンからの代表的なピークを収載している。表6における代表的なピークまたはそれらのピークのサブセット、および表5のピーク、またはそれらのピークのサブセットを使用して、共結晶1(フォームII)を特徴付けてよい。
【0089】
【表5】

【0090】
【表6】

【0091】
7.2 TGAおよびDSC特徴付け
図7は、共結晶1(フォームII)についてのTGAおよびDSCトレースを示す。図7において示されている通り、共結晶1(フォームII)の融点は、約117℃(115.81〜118.07℃)である。トレースを使用して、共結晶1(フォームII)を特徴付けてよい。
【0092】
7.3 単結晶の特徴付け
図8は、共結晶1(フォームII)のORTEP図を示す。欠面の双晶形成(斜方晶を模倣する)の小さいが有意な度合いを、適切なTWINおよびBASFコマンドを使用して処理した。構造物を、SHELXL "RESI"コマンドを使用することによって、4つの化学的に同一の残基に分割した。それぞれの残基は、1個のプテロスチルベンおよび1個のカフェイン分子を含有した。4つの固有のヒドロキシルプロトンについての座標を、精密化させた。結晶構造およびデータの精密化パラメーターを、表7において報告する。
【0093】
【表7】

【0094】
上記の考察からわかるように、プテロスチルベン:カフェイン共結晶1の結晶フォームIおよび結晶フォームIIは、X線粉末回折によって容易には識別できない。化合物の多形体は、X線粉末回折によって典型的に識別されるが、場合によって、その作業課題は、従来の粉末X線回折計にとって困難である。ここに、本発明者らは、単結晶X線回折によって2つの形態があることを示した。フォームIおよびIIの単結晶構造は、単位胞(3つの長さおよび3つの角度)を定義し同一の空間群(P2(1)/n)によって結晶化する、6個のパラメーターのうちの5個においてほぼ同一である。しかし、1つの長さ、すなわち「b」の長さは、2の因子によって、2つのフォームの間でサイズが異なり、小さい方の多形体(フォームI)の単位胞体積を、フォームIIの2分の1にする。単結晶の測定は、フォームIが、単位胞ごとに、8個のプテロスチルベン:カフェイン分子ペアを有するが、一方で、フォームIIが、16個所有することを、同様に示す。
【0095】
したがって、X線粉末回折を使用することによって、発明者らは、プテロスチルベン:カフェイン多形体の一つの属を特徴付けることができ、この属は、共結晶1のフォームIおよびフォームIIの種を含む。単結晶X線粉末分析を使用することによって、発明者らは、プテロスチルベン:カフェインのフォームIまたはフォームIIのいずれかを識別し、したがって特徴付けることができる。プテロスチルベン:カフェインの結晶1のフォームIからフォームIIを識別するために、その他の固体状態技術を使用することが、可能であり得る。
【0096】
(実施例8)
プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶、2の特徴付け
実施例3によって溶媒ベースの条件で調製された共結晶2の固体を、記載の通り、単結晶を蒸気拡散によって成長させたことを除いて、特徴付けのために使用した。
【0097】
8.1 XRPD特徴付け
PANalytical X'Pert Pro回折計を使用して得られた共結晶2のXRPDパターンを、図9において示す。表8は、図9のXRPDパターンにおいて同定されたピークを収載している。表9は、図9のXRPDパターンからの代表的なピークを収載している。表9の代表的なピーク、またはそれらのピークのサブセット、および表8のピーク、またはそれらのピークのサブセットを使用して、共結晶2を特徴付けてよい。
【0098】
【表8】

【0099】
【表9】

【0100】
8.2 TGAおよびDSC特徴付け
図10は、共結晶2についてのTGAおよびDSCトレースを示す。図10において示されている通り、共結晶2の融点は、約135℃(134.01〜135.53℃)である。トレースを使用して、共結晶2を特徴付けてよい。
【0101】
8.3 単結晶の特徴付け
図11は、共結晶2のORTEP図を示す。尿素プロトンおよびヒドロキシルプロトンの座標を、精密化させた。結晶構造およびデータ精密化パラメーターを、表10において報告する。共結晶2は、Z=8によって単結晶C2/c空間群において結晶化する。共結晶2の非対称単位は、化学量論比1:1でプテロスチルベンおよびカルバマゼピンを含有する。
【0102】
【表10】

【0103】
成分は、カルバマゼピンが、ホモマーのN-H…Oの水素結合によって、アミド:アミド二量体を形成する、4成分超分子を形成し、一方で、図12Aにおいて示される通り、プテロスチルベンは、そのヒドロキシル基からカルバマゼピン上のアミド基の酸素へO-H…Oの水素結合によって結合される。カルバマゼピンの非アミノプロトンは、水素結合に関与していない。三次元において、カルバマゼピン分子は、図12Bにおいて示される通り、カルバマゼピンを含有する多成分結晶のためのより一般的な充填モチーフの一つである「並進的積み重ね」モチーフに充填される。
【0104】
(実施例9)
プテロスチルベン:グルタル酸共結晶、3の特徴付け
実施例4によって徐冷で調製された共結晶3の固体を、記載の通り、単結晶を緩慢な蒸発によって成長させたことを除いて、特徴付けのために使用した。
【0105】
9.1 XRPD特徴付け
PANalytical X'Pert Pro回折計を使用して得られた共結晶3のXRPDパターンを、図13において示す。表11は、図13のXRPDパターンにおいて同定されたピークを収載している。表12は、図13のXRPDパターンからの代表的なピークを収載している。表12の代表的なピーク、またはそれらのピークのサブセット、および表11のピーク、またはそれらのピークのサブセットを使用して、共結晶3を特徴付けてよい。
【0106】
【表11】

【0107】
【表12】

【0108】
9.2 単結晶の特徴付け
図14は、共結晶3のORTEP図を示す。カルボン酸プロトンH11およびH15ならびにフェノールプロトンH21についての座標を、精密化させた。結晶構造およびデータ精密化パラメーターを、表13において報告する。
【0109】
【表13】

【0110】
9.3 固体13C NMR特徴付け
図15は、共結晶3の固体13C NMRスペクトルを示す。プテロスチルベンおよびグルタル酸の固体13C NMRスペクトルを、それぞれ、図16および17において示す。スペクトルを使用して、共結晶3を特徴付けてよい。
【0111】
(実施例10)
プテロスチルベン:ピペラジン共結晶、4の特徴付け
実施例5によって徐冷で調製された共結晶4の固体を、記載の通り、単結晶を緩慢な蒸発によって成長させたことを除いて、特徴付けのために使用した。
【0112】
10.1 XRPD特徴付け
PANalytical X'Pert Pro回折計を使用して得られた共結晶4のXRPDパターンを、図18において示す。表14は、図18のXRPDパターンにおいて同定されたピークを収載している。表15は、図18のXRPDパターンからの代表的なピークを収載している。表15の代表的なピーク、またはそれらのピークのサブセット、および表14のピーク、またはそれらのピークのサブセットを使用して、共結晶4を特徴付けてよい。
【0113】
【表14】

【0114】
【表15】

【0115】
10.2 TGAおよびDSC特徴付け
図19は、共結晶4についてのTGAおよびDSCトレースを示す。図19において示されている通り、共結晶4の融点は、約133℃(130.98〜135.59℃)である。トレースを使用して、共結晶4を特徴付けてよい。
【0116】
10.3 単結晶の特徴付け
図20は、共結晶4のORTEP図を示す。2つの結晶学的に不等なプテロスチルベンを、SHELXL 「RESI」コマンドの使用によって識別した。化合物は、非中心対称性の空間群P212121において結晶化する。重原子異常散乱体の非存在が原因で、結晶の利き手の決定を探求せず、フリーデル反対をマージした。アミンプロトンH11およびH14ならびにフェノールプロトンH21(それぞれのプテロスチルベン上)についての座標を、精密化させた。消衰補正を適用した;小さいが、ゼロではない数までに精密化したEXTIパラメーター。結晶構造およびデータ精密化パラメーターを、表16において報告する。
【0117】
【表16】

【0118】
(実施例11)
プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶2の平衡溶解度およびプテロスチルベン:カフェイン共結晶1(フォームI)の粉体溶解
溶解度および濃度の測定を、Spectramax Microplate Reader上での紫外線(UV)分光法を使用して実施した。カルバマゼピンおよびカフェインについて、標準曲線を、段階希釈によって作成し、カフェインまたはカルバマゼピンについて、それぞれ、275または284nmの吸収測定値を使用して、線形回帰を確立した。カルバマゼピンの標準物質を調製するために使用された少量のメタノールは、吸収スペクトルにおいてシフトを引き起こさなかった。
【0119】
カフェイン、カルバマゼピン、および共結晶2を、72時間、水中でスラリー化し、0.2μmのナイロンフィルターによって濾過し、96ウエル水晶板によって、二回繰り返して分析した。共結晶1(フォームI)を、水中でスラリー化し、プテロスチルベンへの形質転換が起こる前に、アリコートを特定の時点でとって、濃度対時間のプロファイルを引き出して、最高濃度を推定した。水による適切な希釈を、標準曲線内の吸収測定値を維持するため必要に応じて行った。全ての実験を、三回繰り返して、標準偏差を評価し、一方で、粒径を、実験のいずれのためにも調節しなかった。プテロスチルベンフォームIの平衡溶解度測定を、HPLCによって判定した。共結晶1(フォームI)についてのおよそ5時間での濃度は、カフェイン水和物の溶解度と比較して33倍低かったが、プテロスチルベンの水溶解度より27倍高かった。共結晶2は、カルバマゼピンおよびプテロスチルベン、それぞれと比較して、溶解度において、7倍および2.5倍の減少を示した。溶解度測定を、表17において報告する。図21は、共結晶1(フォームI)についての濃度対時間のプロファイルおよび周囲温度でのプテロスチルベンの平衡溶解度を示す。
【0120】
【表17】

【0121】
(実施例12)
プテロスチルベン、カフェイン、カルバマゼピン、共結晶1(フォームI)、および共結晶2の相対湿度に対する安定性
無水物と水和物(またはその反対)の間の転換は、薬物の開発プロセスの間、非常に問題であり得る。一つの潜在的な懸念は、大気の湿度の関数としての結晶形態における変化であり、形態間に著しく異なる物理化学特性をもたらし得る。カフェインおよびカルバマゼピンは、高湿度レベルで、非化学量論的水和物または二水和物それぞれに、変換することが知られている。水和物/無水物の形態の水溶解度が、かなり異なることは、驚きではない。それぞれの水和形態へ変換すると知られているAPIの物理的安定性を、共結晶形成を通じて改良できることが、以前示された。したがって、共結晶1および2は、カフェインおよびカルバマゼピンと比較したRHの上昇の効果をアセスする系統的な研究のための優秀な候補である。
【0122】
相対湿度(RH)条件を、飽和塩類溶液、NaCl約75%、KNO3約94%、およびK2SO4約98%を使用して、周囲温度で創出した。およそ10mgを含有するそれぞれの試料のバイアルを、約75%RH、約94%RH、および約98%RHで、1日間、3日間、1週間、および4週間、密室内で、物理的に安定させた。プテロスチルベンを、約75%RH、約94%RH、および約98%RHで、4週間、ストレスをかけた。割り当てられた持続期間の完了と同時に、試料を、XRPDによってすぐに分析した。結果を、表19において報告する。
【0123】
【表18A】

【0124】
【表18B】

【0125】
上述の通り、カフェインは、75%RHで4週間まで、変換の徴候を示さないが、しかし、1日〜3日の間に、94%RHで、部分的な変換が観察され、一方で、98%RHで、無水カフェインは、1日未満内にカフェイン水和物に変換する。対照的に、共結晶1は、75、94、または98%RHで、4週間後、XRPDによって、いかなる解離も示さず、顕著な物理的安定性を示した。カルバマゼピンは、75%RHでは、変換が観察されないが、94%RHでは、無水カルバマゼピンが、3日〜1週間の間に、二水和物に部分的に変換する点で、カフェインと同様の水和パターンを示す。二水和物への完全な変換は、98%RHで、1日未満内に観察される。75、94、または98%RHで、4週間後、共結晶3がその個別の成分へ解離しないことによって観察される通り、プテロスチルベンは、またしてもカフェインの物理的安定性を改良する。
【0126】
(実施例13)
プテロスチルベン:グルタル酸共結晶3およびプテロスチルベン:ピペラジン共結晶4の物理的安定性
物理的安定性を、およそ40℃、60℃、25℃/75%RH、25℃/98%RH、および40℃/75%RHで評価し、XRPDを使用して、解離または形態の変換を検出した。それぞれの共結晶のバイアルに、2週間、1ヶ月、および2ヶ月の持続期間の間、それぞれの条件を受けさせた。割り当てられた持続期間の完了と同時に、試料を、XRPDによってすぐに分析した。結果を、表20において報告する。
【0127】
【表19】

【0128】
(実施例14)
プテロスチルベン:ピペラジン共結晶4および試されたプテロスチルベン:グルタル酸共結晶3の粉体溶解
濃度測定を、Spectramax Microplate Reader上での紫外線(UV)分光法を使用して実施した。プテロスチルベンについて、標準曲線を、段階希釈によって作成し、プテロスチルベンについての315nmでの吸収測定値を使用して、線形回帰を確立した。プテロスチルベン標準物質を調製するために使用された少量のメタノールは、吸収スペクトルにおいてシフトを引き起こさなかった。
【0129】
共結晶4を、周囲で、水中でスラリー化し、プテロスチルベンへの形質転換が起こる前に、アリコートを、特定の時点でとって、濃度対時間のプロファイルを引き出して、最高濃度を推定した。アリコートを遠心分離し、上澄みを抽出し、適切な希釈を行って、標準曲線内に吸収測定値を維持した。吸収測定を、プテロスチルベンについて、315nmで行い、濃度を、標準曲線から計算した。全ての実験を、3回繰り返して、標準偏差を評価し、一方で、粒径を、実験のいずれのためにも調節しなかった。共結晶4についてのおよそ5時間での濃度測定を、表21において報告する。
【0130】
【表20】

【0131】
プテロスチルベン:グルタル酸共結晶の試された粉体および固有溶解
共結晶3の固体溶解を、共結晶4と同一の実験条件下で試みた。しかし、XRPDの結果は、周囲で、水中でスラリー化した5分後に、結晶性のプテロスチルベンを示す。周囲条件で、水900mL中での固有溶解もまた、試みた。しかし、XRPDの結果は、30分後に結晶性のプテロスチルベンを示す。したがって、濃度対時間および固有溶解速度値は、これらの条件では、入手不可能であった。しかし、結晶性のプテロスチルベンが、水中でのスラリー化後、XRPDによって観察された唯一の生成物であることに起因して、本発明者らは、共結晶3の溶解度が、プテロスチルベンの溶解度を超えると結論付けることができる。
【0132】
開示された発明の特定の現在好ましい実施形態は、本明細書中に特に記載されたが、本明細書中に示され、記載さている多様な実施形態の変形および変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、なされてよいことは、本発明が属する技術分野の当業者にとって明白であろう。例えば、本発明は、結晶構造における、少なくともいくつかの水和されたもしくは溶媒和された共結晶、遊離APIまたは遊離共形成剤の存在の可能性を検討する。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲および法の適用される規則によって必要とされる程度においてのみ限定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プテロスチルベン:カフェイン共結晶。
【請求項2】
プテロスチルベン:カフェインのモル比が、1:1である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項3】
ある量のプテロスチルベン:カフェイン共結晶、および
1種または複数の賦形剤
を含む組成物。
【請求項4】
前記1種または複数の賦形剤が、結合剤、充填剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、着香剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、添加物、およびそれらの混合物の1つまたは複数である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記添加物が、微結晶性セルロース、乳糖、ショ糖、果糖、グルコース、デキストロース、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、糖アルコール、乾燥デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、多糖類、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
1つまたは複数の医薬的に許容される担体、医薬的に許容される賦形剤、薬剤、医薬品、アジュバント、希釈剤、およびそれらの混合物をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の共結晶を含む、医薬または栄養補強剤形。
【請求項8】
錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤およびロゼンジ剤からなる群から選択される経口剤形である、請求項7に記載の剤形。
【請求項9】
放出調節剤、滑剤、圧縮助剤、崩壊剤、発泡剤、潤滑剤、結合剤、希釈剤、香味剤、香味強化剤、甘味剤、および保存剤の1つまたは複数を含む、コーティング錠または素錠を含む、請求項7に記載の剤形。
【請求項10】
容器内に予め決められた量の固体のプテロスチルベンおよび固体のカフェインを加えるステップ、および
予め決められた時間、混合物を粉砕するステップ
を含む、プテロスチルベン:カフェイン共結晶を製造する方法。
【請求項11】
適切な溶媒を前記容器に加えるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒が、クロロホルム、アセトニトリル、エタノール、およびニトロメタンの1つから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
適切な溶媒に溶解されたプテロスチルベンの溶液へ、予め決められた時間、ある量のカフェインを混合するステップ、または適切な溶媒に溶解されたカフェインの溶液へ、予め決められた時間、ある量のプテロスチルベンを混合するステップ、および
固体を単離するステップ
を含む、プテロスチルベン:カフェイン共結晶を製造する方法。
【請求項14】
前記単離するステップが、混合物を濾過することを伴う、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合するステップが、室温を超える温度で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前期固体を単離するステップの前に、混合物を冷却するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記適切な溶媒が、メタノールである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
適切な溶媒を含有する第一の容器内で、ある量のプテロスチルベンおよびある量のカフェインを溶解するステップ、
場合によって、予め決められた時間、混合物を撹拌または加熱するステップ、および
共結晶を単離するステップ
を含む、プテロスチルベン:カフェイン共結晶を製造する方法。
【請求項19】
前記適切な溶媒が、メタノールである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
予め決められた時間、適切な貧溶媒を有する第二の容器の内側に第一の容器を収納するステップ
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記適切な貧溶媒が、水である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
Cu K-アルファ放射線を使用する粉末X線回折によって分析する場合、約9.45、10.08、13.77、25.97、および26.42度2シータ(±0.10度)で固有のピークを有する、プテロスチルベン:カフェイン共結晶のフォームI。
【請求項23】
図2において示される粉末X線回折パターンを有する、請求項22に記載のフォームIの共結晶。
【請求項24】
DSCによって測定された約115℃での固相の融点を有する、プテロスチルベン:カフェイン共結晶のフォームI。
【請求項25】
Cu K-アルファ放射線を使用する粉末X線回折によって分析する場合、約9.45、10.07、25.97、および26.45度2シータ(±0.10度)で固有のピークを有する、プテロスチルベン:カフェイン共結晶のフォームII。
【請求項26】
図6において示される粉末X線回折パターンを有する、請求項25に記載のフォームIIの共結晶。
【請求項27】
DSCによって測定された約117℃での固相の融点を有する、プテロスチルベン:カフェイン共結晶のフォームII。
【請求項28】
フォームIおよびフォームIIのプテロスチルベン:カフェインから選択されるプテロスチルベン:カフェイン共結晶。
【請求項29】
プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶。
【請求項30】
プテロスチルベン:カルバマゼピンのモル比が、1:1である、請求項29に記載の共結晶。
【請求項31】
Cu K-アルファ放射線を使用する粉末X線回折によって分析する場合、約5.04、10.11、13.54、13.64、14.88、17.52、18.01、18.13、19.20、19.84、20.56、21.80、22.91、23.27、23.73、25.89度2シータ(±0.10度)で固有のピークを有する、請求項29に記載の共結晶。
【請求項32】
図9において示される粉末X線回折パターンを有する、請求項29に記載の共結晶。
【請求項33】
DSCによって測定された約135℃での固相の融点を有するプテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶。
【請求項34】
ある量のプテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶、および
1種または複数の賦形剤
を含む組成物。
【請求項35】
前期1種または複数の賦形剤が、結合剤、充填剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、着香剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、添加物、およびそれらの混合物の1つまたは複数である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記添加物が、微結晶性セルロース、乳糖、ショ糖、果糖、グルコース、デキストロース、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、糖アルコール、乾燥デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、多糖類、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
1つまたは複数の医薬的に許容される担体、医薬的に許容される賦形剤、薬剤、医薬品、アジュバント、希釈剤、およびそれらの混合物をさらに含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項38】
請求項35に記載の共結晶を含む、医薬または栄養補強剤形。
【請求項39】
錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤およびロゼンジ剤からなる群から選択される経口剤形である、請求項38に記載の剤形。
【請求項40】
放出調節剤、滑剤、圧縮助剤、崩壊剤、発泡剤、潤滑剤、結合剤、希釈剤、香味剤、香味強化剤、甘味剤、および保存剤の1つまたは複数を含む、コーティング錠または素錠を含む、請求項38に記載の剤形。
【請求項41】
容器内に予め決められた量の固体のプテロスチルベンおよび固体のカルバマゼピンを加えるステップ、および
予め決められた時間、混合物を粉砕するステップ
を含む、プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶を製造する方法。
【請求項42】
適切な溶媒を容器へ加えるステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記溶媒が、クロロホルム、アセトニトリル、エタノール、またはp-ジオキサンの1つから選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
適切な溶媒に溶解されたプテロスチルベンの溶液へ、予め決められた時間、ある量のカルバマゼピンを混合するステップ、または適切な溶媒に溶解されたカルバマゼピンの溶液へ、予め決められた時間、ある量のプテロスチルベンを混合するステップ、および
固体を単離するステップ
を含む、プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶を製造する方法。
【請求項45】
前記単離するステップが、混合物を濾過することを伴う、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記混合するステップが、室温を超える温度で行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記固体を単離するステップの前に、混合物を冷却するステップをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記適切な溶媒が、トルエンである、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
適切な溶媒を含有する第一の容器内で、ある量のプテロスチルベンおよびある量のカルバマゼピンを溶解するステップ、
場合によって、予め決められた時間、混合物を撹拌または加熱するステップ、および
固体を単離するステップ
を含む、プテロスチルベン:カルバマゼピン共結晶を製造する方法。
【請求項50】
前記適切な溶媒が、メタノールである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
予め決められた時間、適切な貧溶媒を有する第二の容器の内側に第一の容器を収納するステップ
をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記適切な貧溶媒が、水である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
プテロスチルベン:グルタル酸共結晶。
【請求項54】
プテロスチルベン:グルタル酸のモル比が、1:1である、請求項53に記載の共結晶。
【請求項55】
Cu K-アルファ放射線を使用する粉末X線回折によって分析する場合、約12.20、13.32、16.25、19.32、21.66、25.76、および25.91度2シータ(±0.10度)で固有のピークを有する、請求項53に記載の共結晶。
【請求項56】
図13において示される粉末X線回折パターンを有する、請求項53に記載の共結晶。
【請求項57】
ある量のプテロスチルベン:グルタル酸共結晶、および
1種または複数の賦形剤
を含む組成物。
【請求項58】
前記1種または複数の賦形剤が、結合剤、充填剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、着香剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、添加物、およびそれらの混合物の1つまたは複数である、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記添加物が、微結晶性セルロース、乳糖、ショ糖、果糖、グルコース、デキストロース、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、糖アルコール、乾燥デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、多糖類、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
1つまたは複数の医薬的に許容される担体、医薬的に許容される賦形剤、薬剤、医薬品、アジュバント、希釈剤、およびそれらの混合物をさらに含む、請求項57に記載の組成物。
【請求項61】
請求項53に記載の共結晶を含む、医薬または栄養補強剤形。
【請求項62】
錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤およびロゼンジ剤からなる群から選択される経口剤形である、請求項61に記載の剤形。
【請求項63】
放出調節剤、滑剤、圧縮助剤、崩壊剤、発泡剤、潤滑剤、結合剤、希釈剤、香味剤、香味強化剤、甘味剤、および保存剤の1つまたは複数を含む、コーティング錠または素錠を含む、請求項61に記載の剤形。
【請求項64】
容器内に予め決められた量の固体のプテロスチルベンおよび固体のグルタル酸を加えるステップ、および
予め決められた時間、混合物を粉砕するステップ
を含む、プテロスチルベン:グルタル酸共結晶を製造する方法。
【請求項65】
適切な溶媒を容器へ加えるステップをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記溶媒が、トルエンおよび2-プロパノールの1つから選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
適切な溶媒に溶解されたプテロスチルベンの溶液へ、予め決められた時間、ある量のグルタル酸を混合するステップ、または適切な溶媒に溶解されたグルタル酸の溶液へ、予め決められた時間、ある量のプテロスチルベンを混合するステップ、および
固体を単離するステップ
を含む、プテロスチルベン:グルタル酸共結晶を製造する方法。
【請求項68】
前記単離するステップが、混合物を濾過することを伴う、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記混合するステップが、室温を超える温度で行われる、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記固体を単離するステップの前に、混合物を冷却するステップをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記適切な溶媒が、トルエンである、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
適切な溶媒を含有する第一の容器内で、ある量のプテロスチルベンおよびある量のグルタル酸を溶解するステップ、
場合によって、予め決められた時間、混合物を撹拌または加熱するステップ、および
固体を単離するステップ
を含む、プテロスチルベン:グルタル酸共結晶を製造する方法。
【請求項73】
前記適切な溶媒が、トルエンである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
予め決められた時間、適切な貧溶媒を有する第二の容器の内側に第一の容器を収納するステップ
をさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記適切な貧溶媒が、水である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
プテロスチルベン:ピペラジン共結晶。
【請求項77】
プテロスチルベン:ピペラジンのモル比が、2:1である、請求項76に記載の共結晶。
【請求項78】
Cu K-アルファ放射線を使用する粉末X線回折によって分析する場合、約14.93、18.43、19.08、19.61、20.33、22.57、22.77、23.56、24.13、および28.39度2シータ(±0.10度)で固有のピークを有する、請求項76に記載の共結晶。
【請求項79】
図18において示される粉末X線回折パターンを有する、請求項76に記載の共結晶。
【請求項80】
DSCによって測定された約135℃での固相の融点を有するプテロスチルベン:ピペラジン共結晶。
【請求項81】
ある量のプテロスチルベン:ピペラジン共結晶、および
1種または複数の賦形剤
を含む組成物。
【請求項82】
前記1種または複数の賦形剤が、結合剤、充填剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、着香剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、添加物、およびそれらの混合物の1つまたは複数である、請求項81に記載の組成物。
【請求項83】
前記添加物が、微結晶性セルロース、乳糖、ショ糖、果糖、グルコース、デキストロース、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、糖アルコール、乾燥デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、多糖類、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
1つまたは複数の医薬的に許容される担体、医薬的に許容される賦形剤、薬剤、医薬品、アジュバント、希釈剤、およびそれらの混合物をさらに含む、請求項81に記載の組成物。
【請求項85】
請求項76に記載の共結晶を含む、医薬または栄養補強剤形。
【請求項86】
錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤およびロゼンジ剤からなる群から選択される経口剤形である、請求項85に記載の剤形。
【請求項87】
放出調節剤、滑剤、圧縮助剤、崩壊剤、発泡剤、潤滑剤、結合剤、希釈剤、香味剤、香味強化剤、甘味剤、および保存剤の1つまたは複数を含む、コーティング錠または素錠を含む、請求項86に記載の剤形。
【請求項88】
容器内に予め決められた量の固体のプテロスチルベンおよび固体のピペラジンを加えるステップ、および
予め決められた時間、混合物を粉砕するステップ
を含む、プテロスチルベン:ピペラジン共結晶を製造する方法。
【請求項89】
適切な溶媒を容器へ加えるステップをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記溶媒が、エタノールおよびニトロメタンの1つから選択される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
適切な溶媒に溶解されたプテロスチルベンを有する溶液へ、予め決められた時間、ある量のピペラジンを混合するステップ、または適切な溶媒に溶解されたピペラジンの溶液へ、予め決められた時間、ある量のプテロスチルベンを混合するステップ、および
固体を単離するステップ
を含む、プテロスチルベン:ピペラジン共結晶を製造する方法。
【請求項92】
前記単離するステップが、混合物を濾過することを伴う、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記混合するステップが、室温を超える温度で行われる、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記共結晶を単離するステップの前に、混合物を冷却するステップをさらに含む、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記適切な溶媒が、エタノールである、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
適切な溶媒を含有する第一の容器内で、ある量のプテロスチルベンおよびある量のピペラジンを溶解するステップ、
場合によって、予め決められた時間、混合物を撹拌または加熱するステップ、および
共結晶を単離するステップ
を含む、プテロスチルベン:ピペラジン共結晶を製造する方法。
【請求項97】
前記適切な溶媒が、エタノールである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
予め決められた時間、適切な貧溶媒を有する第二の容器の内側に第一の容器を収納するステップ
をさらに含む、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記適切な貧溶媒が、水である、請求項98に記載の方法。

【図5A】
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【図5B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2013−518896(P2013−518896A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552081(P2012−552081)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2011/023595
【国際公開番号】WO2011/097372
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512202772)ローラス・ラブス・プライベート・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】